説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 空乏化が抑制されたゲート電極を備え、特性のばらつきが小さく十分な駆動能力を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板1における活性領域1a上に形成された第1のゲート絶縁膜5aと、第1のゲート絶縁膜5a上に形成され、第1導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜からなる第1のゲート電極6aとを備えている。第1のゲート電極6aに含まれる第1導電型の不純物は、第1のゲート電極6aにおける第1のゲート絶縁膜5aとの界面部分に第1の濃度ピークを有し、且つ、第1のゲート電極6aの上面部分に第2の濃度ピークを有し、第1の濃度ピークは、第2の濃度ピークよりも濃度が大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンを含むゲート電極を備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化に伴い、ゲート長及びゲート幅も縮小される結果、トランジスタのランダムばらつきが増大している。SRAM(Static Random Access Memory)などの半導体装置の安定動作を確保するために、トランジスタのランダムばらつきを小さくできる、デバイス構造及びその製造方法の開発が望まれている。ここで、「トランジスタのランダムばらつき」とは、非常に近接した、互いに離れて設けられた2つのトランジスタが、全くランダムにばらつくことを言う。トランジスタのランダムばらつきの主な原因として、チャネル領域に存在する不純物の原子の数や、原子の空間的な位置が統計的にゆらぐ現象が挙げられている。その他の原因としては、例えば、互いに隣接する2つのトランジスタにおいて、ゲート酸化膜厚、ゲート長、及びゲート幅がゆらぐことなどが挙げられる。
【0003】
式1は、トランジスタのランダムばらつきを定量的に示したものである(例えば、非特許文献1参照)。式1により、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のしきい値電圧のばらつき(σVT)が算出される。
σVT=A・Teff・Na1/4・Leff−1/2・Weff−1/2 (式1)
【0004】
式1において、Aは比例係数、Teffは電気的な実効的酸化膜厚、Naはチャネル領域の不純物濃度、Leffは電気的な実効的ゲート長、Weffは電気的な実効的ゲート幅である。式1に示すように、Leff、Weffの寸法が小さい場合や、Teffが厚く、チャネル領域の不純物濃度が高い場合に、σVTは大きくなる。
【0005】
ここで、従来の半導体装置として、N型多結晶シリコン膜からなるゲート電極を備えたNMOSトランジスタを挙げて、図6(a)、(b)を用いて説明する。図6(a)は、従来の半導体装置の構成を示す断面図である。図6(b)は、図6(a)に示すB−B’線における不純物の濃度プロファイルを示す図である。
【0006】
図6(a)に示すように、従来の半導体装置は、P型シリコンからなる半導体基板101と、半導体基板101内に形成された素子分離領域102と、半導体基板101におけるNMOS(Negative Channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ領域に素子分離領域102よりも深く形成されたP型ウェル103と、素子分離領域102に囲まれた半導体基板101からなる活性領域101aと、活性領域101aにおける上部領域に形成されたチャネル領域となるP型不純物領域104と、活性領域101a上に形成されたゲート絶縁膜105と、ゲート絶縁膜105上に形成され、例えば燐などのN型不純物を含む多結晶シリコンからなるN型ゲート電極106と、N型ゲート電極106の側面上に形成された絶縁性のサイドウォールスペーサ108と、活性領域101aにおけるN型ゲート電極106の側方下に形成されたN型エクステンション領域107と、活性領域101aにおけるサイドウォールスペーサ108の外側方下に形成されたN型ソース/ドレイン領域109とを備えている。
【0007】
上記構成を有する従来の半導体装置は、N型多結晶シリコン膜からなるゲート電極を備えた表面チャネル型のトランジスタ構造であるため、半導体装置の高性能化に有用である。ここで、従来の半導体装置では、多結晶シリコン膜を形成した後、該多結晶シリコン膜に例えば燐などのN型不純物をイオン注入することで、N型ゲート電極106を形成している。通常、このイオン注入時には、多結晶シリコン膜に注入した不純物が多結晶シリコン膜を突き抜けて半導体基板の深い位置まで達する、チャネリング現象の発生を抑制するため、ゲート電極の中央よりも上側部分に対して不純物を注入した後、熱処理により該不純物の拡散及び活性化を行う。その結果、N型ゲート電極106に含有されたN型不純物の濃度プロファイルは、図6(b)に示すように、N型ゲート電極106の表面部分に濃度ピークを有し、N型不純物濃度は、表面部分からゲート絶縁膜105との界面部分に近づくにつれ、徐々に小さくなっている。
【非特許文献1】“IEEE Transactions on Ekectron Device”、Vol.41、No.11、Nov.1994、p.2216−2221
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の半導体装置では、ゲート絶縁膜105との界面部分におけるN型不純物濃度が小さいため、ゲート電極の空乏化が起こる恐れがある。ゲート電極の空乏化が起こると、実効的なゲート絶縁膜の膜厚が大きくなる。その結果、式1に示すように、トランジスタのしきい値電圧のばらつきが大きくなるなど、トランジスタ特性にばらつきが生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記不具合に鑑みなされたものであり、空乏化が抑制されたゲート電極を備え、特性のランダムばらつきが小さく、十分な駆動能力を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、半導体基板における第1の活性領域上に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に形成され、第1導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜からなる第1のゲート電極とを備え、前記第1のゲート電極に含まれる前記第1導電型の不純物は、前記第1のゲート電極における前記第1のゲート絶縁膜との界面部分に第1の濃度ピークを有し、且つ、前記第1のゲート電極の上面部分に第2の濃度ピークを有しており、前記第1の濃度ピークは、前記第2の濃度ピークよりも濃度が大きい。
【0011】
この構成によれば、第1のゲート電極に含まれる第1導電型の不純物の濃度ピークは、第1のゲート電極の上面部分だけでなく、第1のゲート絶縁膜との界面部分にも生じている。その結果、第1のゲート絶縁膜との界面部分には、上面部分よりも濃度ピークが大きい第1導電型の不純物が十分な濃度で含まれているので、第1のゲート電極の空乏化が抑制でき、第1のゲート絶縁膜の実効的な電気的膜厚が大きくなるのを防ぐことができる。従って、本発明の半導体装置では、トランジスタランダムばらつきを抑制でき、十分な駆動能力を有する半導体装置を実現することができる。
【0012】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板における第1の活性領域上に第1のゲート絶縁膜を形成する工程(a)と、前記第1のゲート絶縁膜上に、第1導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜からなる第1のゲート電極を形成する工程(b)とを備え、前記第1のゲート電極に含まれる前記第1導電型の不純物は、前記第1のゲート電極における前記第1のゲート絶縁膜との界面部分に第1の濃度ピークを有し、且つ、前記第1のゲート電極の上面部分に第2の濃度ピークを有しており、前記第1の濃度ピークは、前記第2の濃度ピークよりも濃度が大きい。
【0013】
この方法によれば、工程(b)でイオン注入を用いることなく、第1導電型の不純物が含有された第1のゲート電極を形成しており、第1のゲート電極に含まれる第1導電型の不純物は、第1のゲート絶縁膜との界面部分において、上面部分における濃度ピークよりも高い濃度ピークを有する。これにより、イオン注入を用いる従来の方法に比べて、第1のゲート電極における第1のゲート絶縁膜との界面部分には、十分な濃度で第1導電型の不純物が含まれるので、第1のゲート電極の空乏化が抑制でき、第1のゲート電極の実効的な電気的膜厚が大きくなるのを防ぐことができる。従って、本発明の半導体装置の製造方法を用いれば、トランジスタのランダムばらつきが抑制でき、十分な駆動能力を有する半導体装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体装置及びその製造方法によれば、空乏化が抑制されたゲート電極を備えているため、微細化されても十分な駆動能力を有する半導体装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態の半導体装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。図1(a)は、本実施形態の半導体装置の構成を示す断面図である。なお、本実施形態の半導体装置として、NMOS(Negative Channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを一例として挙げる。
【0016】
図1(a)に示すように、本実施形態の半導体装置は、P型シリコンからなる半導体基板1と、半導体基板1内にSTI(Shallow Trench. Isolation)法により形成された素子分離領域2と、半導体基板1におけるNMOSトランジスタ(NMOS)領域に素子分離領域2よりも深く形成されたP型ウェル3aと、素子分離領域2に取り囲まれた半導体基板1からなる活性領域1aと、活性領域1aにおける上部領域に形成され、チャネル領域となるP型不純物領域4aと、活性領域1a上に形成され、シリコン酸化膜からなる第1のゲート絶縁膜5aと、第1のゲート絶縁膜5a上に形成され、それぞれ多結晶シリコン膜からなるN型下部電極6a1及びN型上部電極6a2から構成されたN型ゲート電極6aと、N型ゲート電極6aの側面上に形成された絶縁性のサイドウォールスペーサ8aと、活性領域1aにおけるN型ゲート電極6aの側方下に形成され、例えば砒素(As)などのN型不純物が拡散されたN型エクステンション領域7aと、活性領域1aにおけるサイドウォールスペーサ8aの外側方下に形成され、AsなどのN型不純物が拡散されたN型ソース/ドレイン領域9aとを備えている。なお、P型不純物領域4aには、NMOSトランジスタのしきい値電圧を調整するため、例えばホウ素(B)などのP型不純物が拡散されている。
【0017】
本実施形態の半導体装置では、N型ゲート電極6aは、N型下部電極6a1とN型上部電極6a2との積層膜からなる。ここで、N型下部電極6a1及びN型上部電極6a2は、燐(P)などのN型不純物が含まれた多結晶シリコン膜から構成されている。以下、N型ゲート電極6aにおけるN型不純物の濃度プロファイルについて、図1(b)を参照しながら説明する。
【0018】
図1(b)は、本実施形態に係るN型ゲート電極6aにおけるN型不純物の濃度プロファイルを示す図である。図1(b)に示すように、N型ゲート電極6aに含まれるN型不純物は、第1のゲート絶縁膜5aとの界面部分に生じる第1の濃度ピークと、N型ゲート電極6aの上面部分に生じる第2の濃度ピークとの2つの濃度ピークを有している。第1の濃度ピークはN型下部電極6a1領域に生じ、第2の濃度ピークよりも濃度が大きくなっている。一方、第2の濃度ピークはN型上部電極6a2領域に生じる。このN型下部電極6a2内にN型不純物の第1の濃度ピークを有する点が、本実施形態の半導体装置が従来の半導体装置と異なる点である。ここで、従来の半導体装置では、ゲート電極に含まれる不純物の濃度プロファイルは、ゲート電極の上面部分からゲート絶縁膜の界面部分に向かうに連れ徐々に小さくなり、ゲート絶縁膜との界面部分において不純物の濃度ピークが生じることはなかった。このように、本実施形態と従来の半導体装置において、ゲート電極に含まれる不純物の濃度プロファイルが互いに異なるのは、ゲート電極の形成方法が異なることによる。これについては、後述する本実施形態の半導体装置の製造方法において、詳細に説明する。
【0019】
なお、本実施形態の半導体装置では、N型下部電極6a1及びN型上部電極6a2に含まれるN型不純物の平均濃度は、例えば、それぞれ5×1020/cm、及び5×1019/cmである。
【0020】
本実施形態の半導体装置の特徴は、NMOSトランジスタに設けられたN型ゲート電極において、N型ゲート電極6aの上部を構成するN型上部電極6a2だけでなく、N型ゲート電極6aの下部を構成するN型下部電極6a1にも濃度ピークを有するN型不純物が含有されていることにある。この構成によれば、第1のゲート絶縁膜5aとの界面部分に十分な濃度でN型不純物が含まれているので、N型ゲート電極6aの空乏化を抑制することができる。その結果、ゲート絶縁膜の実効的な電気的膜厚が厚くなるのを防ぐことができ、特性のばらつきが小さく、十分な駆動能力を有する半導体装置を実現することができる。
【0021】
続いて、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。図2(a)〜(d)は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0022】
図2(a)に示すように、まず、P型シリコンからなる半導体基板1に、例えばSTI法により、シリコン酸化膜からなる素子分離領域2を形成する。次に、半導体基板1のうちNMOSトランジスタ(NMOS)領域となる部分に、例えばBなどのP型不純物を注入することでP型ウェル3a及びP型不純物領域4aを形成する。P型ウェル3aは、半導体基板1におけるNMOS領域に素子分離領域2よりも深く設けられ、NMOS領域のうち素子分離領域2に取り囲まれた半導体基板1からなる領域は、活性領域1aとして機能する。P型不純物領域4aは、活性領域1aにおける上部領域に形成され、NMOSトランジスタのチャネル領域として機能する。
【0023】
次に、図2(b)に示すように、半導体基板1の全面上に、例えばシリコン酸化膜からなる第1のゲート絶縁膜形成膜5Aを形成する。その後、第1のゲート絶縁膜形成膜5A上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより、膜厚が20〜30nmで、例えばPなどのN型不純物が、例えば5×1020/cm以上で比較的高濃度でドープされた多結晶シリコン膜からなるN型下部電極形成膜6A1を堆積する。次に、N型下部電極形成膜6A1上に、CVD法などにより、膜厚が70〜80nmで、不純物が添加されていない多結晶シリコン膜からなるN型上部電極形成膜6A2を形成する。
【0024】
次に、図2(c)に示すように、N型上部電極形成膜6A2、N型下部電極形成膜6A1、及び第1のゲート絶縁膜形成膜5Aをドライエッチングにより選択的に除去することで、活性領域1a上に第1のゲート絶縁膜5aを形成するとともに、第1のゲート絶縁膜5a上に、N型不純物がドープされた多結晶シリコン膜からなるN型下部電極6a1、及び多結晶シリコン膜からなるN型上部電極6a2から構成されるN型ゲート電極6aを形成する。
【0025】
次に、図2(d)に示すように、N型ゲート電極6aをマスクにして、活性領域1aにおけるN型ゲート電極6aの側方下に、例えばAsなどのN型不純物をイオン注入することによりN型エクステンション領域7aを形成する。同時に、図示は省略するが、例えばBなどのP型不純物をポケット注入する。次いで、N型ゲート電極6aの側面上にシリコン酸化膜などからなる絶縁性のサイドウォールスペーサ8aを形成する。次に、サイドウォールスペーサ8a及びN型ゲート電極6aをマスクとして、活性領域1aにおけるサイドウォールスペーサ8aの外側方下に例えばAsなどのN型不純物をイオン注入した後、半導体基板1を熱処理することで、N型ソース/ドレイン領域9aを形成する。
【0026】
ここで、図2(d)に示すイオン注入時には、半導体基板1内だけでなく、N型ゲート電極6aに対してもAsなどのN型不純物が注入される。この時、N型不純物は、N型ゲート電極6aの上部を構成するN型上部電極6a2に主に添加される。さらに、イオン注入後の熱処理時に、N型下部電極6a1に含まれるN型不純物の一部がN型上部電極6a2へ拡散することで、熱処理後には、イオン注入により添加されたN型不純物と、N型下部電極6a1から拡散されたN型不純物とが含有されたN型上部電極6a2が形成される。一方、N型下部電極6a1は、図2(b)に示す工程で、N型不純物が比較的高濃度でドープされた多結晶シリコン膜から形成されているため、熱処理後も十分な濃度でN型不純物を含有することができる。その結果、本実施形態の製造方法では、上述の図1(b)に示すように、N型下部電極6a1内及びN型上部電極6a2内にそれぞれN型不純物の濃度ピークを有するN型ゲート電極が得られる。なお、N型下部電極6a1におけるPの平均濃度は例えば5×1020/cmであり、N型上部電極6a2におけるAsの平均濃度は、5×1019/cmである。以上の工程により、本実施形態の半導体装置を製造することができる。
【0027】
本実施形態の半導体装置の製造方法の特徴は、図2(b)に示す工程で、N型不純物が比較的高濃度でドープされた多結晶シリコン膜からなるN型下部電極形成膜6A1をCVD法などで形成することにある。従来の方法では、多結晶シリコン膜の中央よりも上側部分にイオン注入によりN型不純物を添加してN型ゲート電極を形成していたため、N型不純物の濃度プロファイルはN型ゲート電極の表面部分に濃度ピークを有し、N型不純物濃度は、表面部分からゲート絶縁膜との界面部分に近づくにつれ、徐々に小さくなっていた。しかしながら、本実施形態の製造方法では、イオン注入を用いず、高濃度でN型不純物が含有された多結晶シリコン膜を堆積することで、従来の半導体装置の製造方法に比べて、N型ゲート電極6aの下部を構成するN型下部電極6a1に比較的高濃度でN型不純物を確実に含有させることができる。その結果、N型ゲート電極6aにおける第1のゲート絶縁膜5aとの界面部分には、十分な濃度でN型不純物が含まれるので、N型ゲート電極6aの空乏化が抑制でき、第1のゲート絶縁膜5aの実効的な電気的膜厚が大きくなるのを防ぐことができる。従って、本実施形態の半導体装置の製造方法を用いれば、トランジスタのランダムばらつきを抑制でき、十分な駆動能力を有する半導体装置を実現することができる。
【0028】
なお、本実施形態の半導体装置の製造方法では、N型上部電極6a2の材料として、不純物が含まれていない多結晶シリコン膜からなるN型上部電極形成膜6A2を用いたが、これに限定されるものではない。N型上部電極形成膜6A2の材料として、N型下部電極形成膜6A1と同様に、N型不純物を含む多結晶シリコン膜を用いてもよい。この場合、N型上部電極形成膜6A2に含まれるN型不純物の濃度は、N型下部電極形成膜6A1に含まれるN型不純物の濃度よりも小さいことが好ましい。
【0029】
また、本実施形態の半導体装置及びその製造方法では、ゲート絶縁膜の材料としてシリコン酸化膜を用いたが、これに限定されることはなく、例えばシリコン酸窒化膜や高誘電率膜を用いてもよい。この場合、ゲート電極の空乏化を抑制するとともに、リーク電流を抑制することができ、より信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0030】
なお、本実施形態の半導体装置及びその製造方法では、NMOSトランジスタについて説明したが、これに限定されるものではなく、PMOSトランジスタにおいても上述と同様の効果が得られる。
【0031】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。図3は、本実施形態の半導体装置の構成を示す断面図である。本実施形態では、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを一例として挙げる。
【0032】
図3に示すように、本実施形態の半導体装置は、半導体基板1に設けられたNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタ(PMOS)を有している。なお、本実施形態のNMOSトランジスタは、第1の実施形態のNMOSトランジスタと同様な構成であるため、簡略化して説明する。本実施形態のNMOSトランジスタは、半導体基板1内に形成された素子分離領域2と、半導体基板1におけるNMOS領域に素子分離領域2よりも深く形成されたP型ウェル3aと、素子分離領域2に取り囲まれた半導体基板1からなる活性領域1aと、活性領域1aにおける上部領域に形成され、チャネル領域となるP型不純物領域4aと、活性領域1a上に形成された第1のゲート絶縁膜5aと、第1のゲート絶縁膜5a上に形成され、それぞれ多結晶シリコン膜からなるN型下部電極6a1及びN型上部電極6a2から構成されたN型ゲート電極6aと、N型ゲート電極6aの側面上に形成された絶縁性のサイドウォールスペーサ8aと、活性領域1aにおけるN型ゲート電極6aの側方下に形成されたN型エクステンション領域7aと、活性領域1aにおけるサイドウォールスペーサ8aの外側方下に形成されたN型ソース/ドレイン領域9aとを備えている。
【0033】
一方、本実施形態のPMOSトランジスタは、半導体基板1内に形成された素子分離領域2と、半導体基板1におけるPMOS領域に素子分離領域2よりも深く形成されたN型ウェル3bと、素子分離領域2に取り囲まれた半導体基板1からなる活性領域1bと、活性領域1bにおける上部領域に形成され、チャネル領域となるN型不純物領域4bと、活性領域1b上に形成され、第1のゲート絶縁膜5aよりも膜厚の大きい第2のゲート絶縁膜5bと、第2のゲート絶縁膜5b上に形成され、それぞれ多結晶シリコンからなるP型下部電極6b1及びP型上部電極6b2から構成されたP型ゲート電極6bと、P型ゲート電極6bの側面上に形成された絶縁性のサイドウォールスペーサ8bと、活性領域1bにおけるP型ゲート電極6bの側方下に形成され、例えばホウ素などのP型不純物(第2の不純物)がそれぞれ拡散されたP型エクステンション領域7bと、活性領域1bにおけるサイドウォールスペーサ8bの外側方下に形成されたP型ソース/ドレイン領域9bとを有している。なお、P型不純物領域4a及びN型不純物領域4bには、それぞれしきい値電圧を調整するための不純物が添加されている。具体的に、P型不純物領域4aは例えばBなどのP型不純物を含み、N型不純物領域4bは例えばAsなどのN型不純物を含んでいる。また、第1のゲート絶縁膜の膜厚は、第2のゲート絶縁膜の膜厚よりも小さくなっている。
【0034】
本実施形態の半導体装置では、N型ゲート電極6aは、N型下部電極6a1とN型上部電極6a2との積層膜からなる。また、P型ゲート電極6bは、P型下部電極6b1とP型上部電極6b2との積層膜からなる。ここで、N型下部電極6a1及びN型上部電極6a2は、PなどのN型不純物が含まれた多結晶シリコン膜から構成されており、P型下部電極6b1及びP型上部電極6b2は、BなどのP型不純物が含まれた多結晶シリコンから構成されている。
【0035】
ここで、N型ゲート電極6a及びP型ゲート電極6bにそれぞれ含まれるN型不純物及びP型不純物の濃度プロファイルについて説明する。本実施形態の半導体装置においても、上述の図1(b)に示すように、N型ゲート電極6aに含まれるN型不純物は、第1のゲート絶縁膜5aとの界面部分に生じる第1の濃度ピークと、N型ゲート電極6aの上面部分に生じる第2の濃度ピークとの2つの濃度ピークを有している。また、濃度プロファイルの図示は省略するが、P型ゲート電極6bに含まれるP型不純物は、N型ゲート電極6aと同様に、第2のゲート絶縁膜5bとの界面部分に生じる第3の濃度ピークと、P型ゲート電極6bの上面部分に生じる第4の濃度ピークとの2つの濃度ピークを有している。
【0036】
N型ゲート電極6aにおいて、第1の濃度ピーク及び第2の濃度ピークは、それぞれN型下部電極6a1内及びN型上部電極6a2内に生じ、第1の濃度ピークは第2の濃度ピークよりも大きくなっている。また、P型ゲート電極6bにおいて、第3の濃度ピーク及び第4の濃度ピークは、それぞれP型下部電極6b1内及びP型上部電極6b2内に生じ、第3の濃度ピークは第4の濃度ピークよりも大きくなっている。このように、本実施形態の半導体装置では、CMOSトランジスタにおいて、N型下部電極6a1内及びP型下部電極6b1内に、それぞれN型不純物の第1の濃度ピーク、及びP型不純物の第3の濃度ピークを有する点が従来の半導体装置と異なる点である。
【0037】
なお、本実施形態の半導体装置では、N型下部電極6a1及びP型下部電極6b1にそれぞれ含まれるN型不純物及びP型不純物の平均濃度は、例えば、それぞれ5×1020/cmである。また、N型上部電極6a2及びP型上部電極6b2にそれぞれ含まれるN型不純物及びP型不純物の平均濃度は、例えば、それぞれ5×1019/cmである。
【0038】
本実施形態の半導体装置の特徴は、NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタにおいて、N型上部電極6a2だけでなく、N型下部電極6a1にもN型不純物の濃度ピークを有するN型ゲート電極6aと、P型上部電極6b2だけでなく、P型下部電極6b1にもP型不純物の濃度ピークを有するP型ゲート電極6bとを備えていることにある。この構成によれば、第1のゲート絶縁膜5aとの界面部分に十分な濃度でn型不純物が含まれているので、N型ゲート電極6aの空乏化を抑制することができるとともに、第2のゲート絶縁膜5bとの界面部分に十分な濃度でP型不純物が含まれているので、P型ゲート電極6bの空乏化を抑制することができる。その結果、ゲート絶縁膜の実効的な電気的膜厚が厚くなるのを防ぐことができ、特性のばらつきが小さく、十分な駆動能力を有するCMOSトランジスタを実現することができる。
【0039】
さらに、本実施形態の半導体装置では、NMOSトランジスタに設けられた第1のゲート絶縁膜5aの膜厚が、PMOSトランジスタに設けられた第2のゲート絶縁膜5bの膜厚よりも小さい。一般的に、多結晶シリコン膜からなるゲート電極を備えた微細化された半導体装置では、ゲート絶縁膜の信頼性については、PMOSトランジスタがNMOSトランジスタよりも問題になる。一方、トランジスタのランダムばらつきについては、NMOSトランジスタの方がPMOSトランジスタよりも問題になる。従って、本実施形態の半導体装置では、NMOSトランジスタのゲート絶縁膜の膜厚を比較的小さくすることでトランジスタのランダムばらつきを抑制するとともに、PMOSトランジスタのゲート絶縁膜の膜厚を比較的大きくすることで、ゲート絶縁膜の信頼性を向上させることができる。その結果、微細化されても信頼性の高いCMOSトランジスタを実現することができる。
【0040】
続いて、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。図4(a)〜(d)、図5(a)〜(d)は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0041】
図4(a)に示すように、まず、シリコンからなる半導体基板1に、例えばSTI法により、シリコン酸化膜からなる素子分離領域2を形成する。次に、半導体基板1上に、NMOS領域を覆うレジスト21を形成した後、該レジスト21を用いて、半導体基板1のうちPMOS領域となる部分に、例えばAsなどのN型不純物を注入することでN型ウェル3b及びN型不純物領域4bを形成する。N型ウェル3bは、半導体基板1におけるPMOS領域に素子分離領域2よりも深く設けられ、PMOS領域のうち素子分離領域2に取り囲まれた半導体基板1からなる領域は、活性領域1bとして機能する。N型不純物領域4bは、活性領域1bにおける上部領域に形成され、PMOSトランジスタのチャネル領域として機能する。
【0042】
次に、図4(b)に示すように、レジスト21を除去した後、半導体基板1の全面上に、例えば膜厚が2.2nmで、シリコン酸化膜からなる第2のゲート絶縁膜形成膜5Bを形成する。その後、第2のゲート絶縁膜形成膜5B上に、CVD法などにより、膜厚が20〜30nmで、例えば燐などのN型不純物が、例えば5×1020/cm以上で比較的高濃度でドープされた多結晶シリコン膜からなるP型下部電極形成膜6B1を堆積する。
【0043】
次に、図4(c)に示すように、半導体基板1上に、PMOS領域を覆うレジスト22を形成する。次に、レジスト22を用いて、P型下部電極形成膜6B1及び第2のゲート絶縁膜形成膜5Bのうち、NMOS領域に形成された部分をドライエッチングにより選択的に除去する。その後、レジスト22をマスクにして、NMOS領域に設けられた半導体基板1にBなどのP型不純物をイオン注入することで、P型ウェル3a及びP型不純物領域4aを形成する。P型ウェル3aは、半導体基板1におけるNMOS領域に素子分離領域2よりも深く設けられ、NMOS領域のうち素子分離領域2に取り囲まれた半導体基板1からなる領域は、活性領域1aとして機能する。P型不純物領域4aは、活性領域1aにおける上部領域に形成され、NMOSトランジスタのチャネル領域として機能する。
【0044】
次に、図4(d)に示すように、レジスト22を除去した後、半導体基板1の全面上に、例えば膜厚が2.0nmで、シリコン酸化膜からなる第1のゲート絶縁膜形成膜5Aを形成する。その後、第1のゲート絶縁膜形成膜5A上に、CVD法などにより、例えばPなどのN型不純物が、例えば5×1020/cm以上で比較的高濃度でドープされた多結晶シリコン膜からなるN型下部電極形成膜6A1を堆積する。
【0045】
続いて、図5(a)に示すように、N型下部電極形成膜6A1上にNMOS領域を覆うレジスト23を形成する。次に、レジスト23を用いて、N型下部電極形成膜6A1及び第1のゲート絶縁膜形成膜5Aのうち、PMOS領域に形成された部分をドライエッチングにより選択的に除去する。
【0046】
次に、図5(b)に示すように、レジスト23を除去した後、N型下部電極形成膜6A1及びP型下部電極形成膜6B1の上に、CVD法などにより、不純物が添加されていない多結晶シリコン膜からなるN型上部電極形成膜6A2及びP型上部電極形成膜6B2を形成する。なお、本実施形態では、N型上部電極形成膜6A2及びP型上部電極形成膜6B2は、互いに同じ多結晶シリコン膜から構成されているので、半導体基板1の全面上に多結晶シリコン膜を堆積することで、N型上部電極形成膜6A2及びP型上部電極形成膜6B2を形成することができる。
【0047】
次に、図5(c)に示すように、NMOS領域では、N型上部電極形成膜6A2、N型下部電極形成膜6A1、及び第1のゲート絶縁膜形成膜5Aをドライエッチングにより選択的に除去することで、活性領域1a上に第1のゲート絶縁膜5aを形成するとともに、第1のゲート絶縁膜5a上に、N型下部電極6a1とN型上部電極6a2から構成されるN型ゲート電極6aを形成する。これと同時に、PMOS領域では、P型上部電極形成膜6B2、P型下部電極形成膜6B1、及び第2のゲート絶縁膜形成膜5Bをドライエッチングにより選択的に除去することで、活性領域1b上に第2のゲート絶縁膜5bを形成するとともに、第2のゲート絶縁膜5b上に、P型下部電極6b1及びP型上部電極6b2から構成されるP型ゲート電極6bを形成する。
【0048】
次に、図5(d)に示すように、N型ゲート電極6aをマスクにして、活性領域1aにおけるN型ゲート電極6aの側方下に、例えばAsなどのN型不純物を注入するとともに、P型ゲート電極6bをマスクにして、活性領域1bにおけるP型ゲート電極6bの側方下に、例えばBなどのP型不純物を注入する。これにより、NMOSのN型エクステンション領域7a、及びPMOSのP型エクステンション領域7bを形成する。同時に、図示は省略するが、NMOS領域には、例えばBなどのP型不純物をポケット注入するとともに、PMOS領域には、例えばAsなどのN型不純物をポケット注入する。
【0049】
次いで、N型ゲート電極6a及びP型ゲート電極6bの側面上に、シリコン酸化膜などからなる絶縁性のサイドウォールスペーサ8a、8bをそれぞれ形成する。次いで、サイドウォールスペーサ8a及びN型ゲート電極6aをマスクにして、活性領域1aにおけるサイドウォールスペーサ8aの外側方下に、例えばAsなどのN型不純物をイオン注入した後、半導体基板1を熱処理することでNMOSのN型ソース/ドレイン領域9aを形成する。同時に、サイドウォールスペーサ8b及びP型ゲート電極6bをマスクにして、活性領域におけるサイドウォールスペーサ8bの外側方下に、例えばBなどのP型不純物をイオン注入した後、半導体基板1を熱処理することで、P型ソース/ドレイン領域9bを形成する。
【0050】
ここで、図5(d)に示すイオン注入時には、半導体基板1内だけでなく、N型ゲート電極6a及びP型ゲート電極6bに対しても、それぞれN型不純物及びP型不純物が注入される。このN型不純物及びP型不純物は、それぞれN型上部電極6a2及びP型上部電極6b2に主に添加される。さらに、イオン注入後の熱処理時に、N型下部電極6a1に含まれるN型不純物の一部がN型上部電極6a2へ拡散するとともに、P型下部電極6b1に含まれるP型不純物の一部がP型上部電極6b2へ拡散する。その結果、熱処理後には、イオン注入及びN型下部電極6a1からの拡散により添加されたN型不純物を含むN型上部電極6a2と、イオン注入及びP型下部電極6b1からの拡散により添加されたP型不純物を含むP型上部電極6b2とが形成される。
【0051】
一方、N型下部電極6a1は、図4(d)に示す工程で、N型不純物が比較的高濃度でドープされた多結晶シリコン膜から形成されているため、熱処理後も十分な濃度でN型不純物を含有することができる。また、P型下部電極6b1も、図4(b)に示す工程で、P型不純物が比較的高濃度でドープされた多結晶シリコン膜から形成されているため、熱処理後も十分な濃度でP型不純物を含有することができる。その結果、本実施形態の半導体装置では、N型下部電極6a1内及びN型上部電極6a2内にそれぞれN型不純物の濃度ピークを有するN型ゲート電極6aと、P型下部電極6b1内及びP型上部電極6b2内にそれぞれP型不純物の濃度ピークを有するP型ゲート電極6bとを得ることができる。以上の工程により、本実施形態の半導体装置を製造することができる。
【0052】
本実施形態の半導体装置の製造方法の特徴は、NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタにおいて、イオン注入ではなくCVD法などを用いて、N型不純物が比較的高濃度でドープされた多結晶シリコン膜からなるN型下部電極形成膜6A1と、P型不純物が比較的高濃度でドープされた多結晶シリコン膜からなるP型下部電極形成膜6B1とを形成することにある。これにより、イオン注入を用いた従来の製造方法に比べて、N型ゲート電極6aの下部を構成するN型下部電極6a1、及びP型ゲート電極6bの下部を構成するP型下部電極6b1に、それぞれN型不純物及びP型不純物を比較的高濃度で確実に含有させることができる。その結果、N型ゲート電極6a及びP型ゲート電極6bの空乏化を抑制でき、第1のゲート絶縁膜5a及び第2のゲート絶縁膜5bの実効的な電気的膜厚が大きくなるのを防ぐことができる。従って、本実施形態の半導体装置の製造方法を用いれば、CMOSトランジスタのランダムばらつきを抑制でき、十分な駆動能力を有する半導体装置を実現することができる。
【0053】
なお、本実施形態の半導体装置の製造方法では、NMOSトランジスタのP型不純物領域4aを形成する前に、PMOSトランジスタのN型不純物領域4bを形成している。ここで、P型不純物領域4aの形成時にイオン注入されるBは、N型不純物領域4bの形成時にイオン注入されるAsに比べて熱処理により拡散しやすいので、P型不純物領域4aに含まれるBの濃度分布が広がってしまい、所望の濃度分布が得られない恐れがある。従って、本実施形態の製造方法では、Bのイオン注入をAsのイオン注入よりも後に行うことで、上述の不具合を抑制することができるので、所望の濃度プロファイルを有するチャネル領域となる各不純物領域を備え、十分な性能を有する半導体装置を実現することが可能となる。なお、各不純物領域の形成順序は、これに限定されるものではなく、注入する不純物などにより変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】

本発明の半導体装置及びその製造方法は、半導体装置の微細化及び高駆動化に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施形態の半導体装置の構成を示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すA−A’線における不純物の濃度プロファイルを示す図である。
【図2】(a)〜(d)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】は、本発明の第2の実施形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】(a)は、従来の半導体装置の構成を示す断面図であり、図6(b)は、図6(a)に示すB−B’線における不純物の濃度プロファイルを示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 半導体基板
1a、1b 活性領域
2 素子分離領域
3a P型ウェル
3b N型ウェル
4a P型不純物領域
4b N型不純物領域
5A 第1のゲート絶縁膜形成膜
5B 第2のゲート絶縁膜形成膜
5a 第1のゲート絶縁膜
5b 第2のゲート絶縁膜
6A1 N型下部電極形成膜
6A2 N型上部電極形成膜
6B1 P型下部電極形成膜
6B2 P型上部電極形成膜
6a N型ゲート電極
6a1 N型下部電極
6a2 N型上部電極
6b P型ゲート電極
6b1 P型下部電極
6b2 P型上部電極
7a N型エクステンション領域
7b P型エクステンション領域
8a、8b サイドウォールスペーサ
9a N型ソース/ドレイン領域
9b P型ソース/ドレイン領域
21、22、23 レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板における第1の活性領域上に形成された第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上に形成され、第1導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜からなる第1のゲート電極とを備え、
前記第1のゲート電極に含まれる前記第1導電型の不純物は、前記第1のゲート電極における前記第1のゲート絶縁膜との界面部分に第1の濃度ピークを有し、且つ、前記第1のゲート電極の上面部分に第2の濃度ピークを有しており、
前記第1の濃度ピークは、前記第2の濃度ピークよりも濃度が大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電型の不純物は、第1の不純物と第2の不純物を有し、
前記第1の濃度ピークは、前記第1の不純物の濃度ピークであり、
前記第2の濃度ピークは、前記第2の不純物の濃度ピークであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜は、第1の多結晶シリコン膜と第2の多結晶シリコン膜とを有し、
前記第1のゲート電極は、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1の多結晶シリコン膜からなる第1の下部電極と、前記第1の下部電極上に形成された前記第2の多結晶シリコン膜からなる第1の上部電極とから構成され、
前記第1のゲート電極に含まれる前記第1導電型の不純物は、前記第1の下部電極内に前記第1の濃度ピークを有し、前記第1の上部電極内に前記第2の濃度ピークを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の下部電極に含まれる前記第1導電型の不純物の平均濃度は、前記第1の上部電極に含まれる前記第1導電型の不純物の平均濃度よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板における第2の活性領域上に形成された第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜上に形成され、第2導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜からなる第2のゲート電極とをさらに備え、
前記第2のゲート電極に含まれる前記第2導電型の不純物は、前記第2のゲート電極における前記第2のゲート絶縁膜との界面部分に第3の濃度ピークを有し、且つ、前記第2のゲート電極の上面部分に第4の濃度ピークを有しており、
前記第3の濃度ピークは、前記第4の濃度ピークよりも濃度が大きいことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜は、第3の多結晶シリコン膜と第4の多結晶シリコン膜とを有し、
前記第2のゲート電極は、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された前記第3の多結晶シリコン膜からなる第2の下部電極と、前記第2の下部電極上に形成された前記第4の多結晶シリコン膜からなる第2の上部電極とから構成され、
前記第2のゲート電極に含まれる前記第2導電型の不純物は、前記第2の下部電極に前記第3の濃度ピークを有し、前記第2の上部電極に前記第4の濃度ピークを有することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の下部電極に含まれる前記第2導電型の不純物の平均濃度は、前記第2の上部電極に含まれる前記第2導電型の不純物の平均濃度よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の活性領域における前記第1のゲート電極の側方下に形成され、第1導電型の不純物が拡散してなる第1の不純物領域と、
前記第2の活性領域における前記第2のゲート電極の側方下に形成され、第2導電型の不純物が拡散してなる第2の不純物領域とをさらに備え、
前記第1導電型の不純物は、N型不純物であり、
前記第2導電型の不純物は、P型不純物であることを特徴とする請求項5〜8のうちいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1のゲート絶縁膜の膜厚は、前記第2のゲート絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体基板における第1の活性領域上に第1のゲート絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記第1のゲート絶縁膜上に、第1導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜からなる第1のゲート電極を形成する工程(b)とを備え、
前記第1のゲート電極に含まれる前記第1導電型の不純物は、前記第1のゲート電極における前記第1のゲート絶縁膜との界面部分に第1の濃度ピークを有し、且つ、前記第1のゲート電極の上面部分に第2の濃度ピークを有しており、
前記第1の濃度ピークは、前記第2の濃度ピークよりも濃度が大きいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1導電型の不純物は、第1の不純物と第2の不純物を有し、
前記工程(b)は、前記第1のゲート絶縁膜上に、前記第1の不純物を含む第1の多結晶シリコン膜からなる第1の下部電極、及び不純物が添加されていない第2の多結晶シリコン膜からなる第1の上部電極から構成される前記第1のゲート電極を形成する工程(b1)と、前記第1のゲート電極における前記第1の上部電極に、前記第2の不純物をイオン注入する工程(b2)と、前記半導体基板を熱処理して、前記第1の上部電極に注入された前記第2の不純物を活性化する工程(b3)とを含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記工程(b1)では、CVD法により前記第1の不純物を含む前記第1の多結晶シリコン膜を形成することを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記工程(b3)後における前記第1のゲート電極は、前記第1の下部電極内に前記第1の不純物からなる前記第1の濃度ピークを有し、前記第1の上部電極内に前記第2の不純物からなる前記第2の濃度ピークを有していることを特徴とする請求項11又は12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記工程(a)は、前記半導体基板における第2の活性領域上に第2のゲート絶縁膜を形成する工程をさらに含み、
前記工程(b)は、前記第2のゲート絶縁膜上に、第2導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜からなる第2のゲート電極を形成する工程をさらに含み、
前記第2のゲート電極に含まれる前記第2導電型の不純物は、前記第2のゲート電極における前記第2のゲート絶縁膜との界面部分に第3の濃度ピークを有し、且つ、前記第2のゲート電極の上面部分に第4の濃度ピークを有しており、
前記第3の濃度ピークは、前記第4の濃度ピークよりも濃度が大きいことを特徴とする請求項10〜14のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2導電型の不純物は、第3の不純物と第4の不純物を有し、
前記工程(b)は、前記第2のゲート絶縁膜上に、前記第3の不純物を含む第3の多結晶シリコン膜からなる第2の下部電極、及び不純物が添加されていない第4の多結晶シリコン膜からなる第2の上部電極から構成される前記第2のゲート電極を形成する工程(b1)と、前記第2のゲート電極における前記第2の上部電極に、前記第4の不純物をイオン注入する工程(b2)と、前記半導体基板を熱処理して、前記第2の上部電極に注入された前記第4の不純物を活性化する工程(b3)とを含むことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記工程(b)では、CVD法により前記第3の不純物を含む前記第3の多結晶シリコン膜を形成することを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記工程(b3)後における前記第2のゲート電極は、前記第2の下部電極内に前記第3の不純物からなる前記第3の濃度ピークを有し、前記第2の上部電極内に前記第4の不純物からなる前記第4の濃度ピークを有していることを特徴とする請求項15又は16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1導電型の不純物は、N型不純物であり、
前記第2導電型の不純物は、P型不純物であり、
前記第1のゲート絶縁膜の膜厚は、前記第2のゲート絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする請求項15〜17のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記工程(a)は、前記第1のゲート絶縁膜を形成する前に、前記第1の活性領域に第2導電型の第5の不純物を注入する工程(a1)と、前記第2のゲート絶縁膜を形成する前に、前記第2の活性領域に第1導電型の第6の不純物を注入する工程(a2)とをさらに含み、
前記第5の不純物は、前記第6の不純物に比べて熱処理による拡散速度が速く、
前記工程(a2)は、前記工程(a1)の前に行うことを特徴とする請求項18に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−290123(P2009−290123A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143414(P2008−143414)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】