説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】柱状構造体の形成の際のリソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1層と、前記第1層の主面の上に設けられた第2層と、前記主面を貫通し、前記第1層と前記第2層とに延在する導電性の柱状構造体と、前記主面の前記第2層の側において前記柱状構造体の側壁に付設された側部と、を備えたことを特徴とする半導体装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体記憶装置は、シリコン基板の表面にメモリセルを2次元的に集積させることにより作製されてきた。これに対し、集積度をさらに向上するために、メモリセルを3次元的に集積する技術が提案されている。しかし、一般的な3次元デバイスは各層毎に数回のリソグラフィ工程が必要となるため、リソグラフィ工程の増加に伴うコストの増加が問題となる。
【0003】
これに対し、一括加工型の3次元積層メモリが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術においては、例えば、シリコン基板上に電極膜と絶縁膜とを交互に積層させて積層体を形成し、この積層体に貫通孔を一括加工により形成する。そして、貫通孔の側面上に電荷蓄積層を形成し、貫通孔の内部にシリコンを埋め込むことにより、シリコンピラー(柱状半導体)を形成する。これにより、各電極膜とシリコンピラーとが交差する部分に電荷蓄積層型のメモリセルが形成され、これらが一括して形成できるので、コストの問題が解決できるものとして期待されている。
【0004】
このような構造の半導体装置は、例えばメモリセルを構成する第1層に設けられる第1ピラーと、第1層の上に形成される例えば選択ゲートトランジスタ部を構成する第2層に設けられる第2ピラーと、が直接連結される構造を有する。
【0005】
この時、第1ピラー及び第2ピラーの形成におけるリソグラフィにおいて合わせずれが生じ、製造上の困難を伴う。これに対して、第1ピラーにおける第2ピラーとの接続部の径を大きくすることによって、この合わせずれの許容度を拡大する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法は工程が複雑であり、改善の余地がある。
【0006】
また、例えば第2ピラーの形成の際に、第2ピラーとなる貫通孔が第1層のメモリセルの最上層にまで到達し、メモリセルのデバイス特性を劣化させる問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−266143号公報
【特許文献2】特開2008−72051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、柱状構造体の形成の際のリソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、第1層と、前記第1層の主面の上に設けられた第2層と、前記主面を貫通し、前記第1層と前記第2層とに延在する導電性の柱状構造体と、前記主面の前記第2層の側において前記柱状構造体の側壁に付設された側部と、を備えたことを特徴とする半導体装置が提供される。
【0010】
本発明の別の一態様によれば、第1層と、前記第1層の主面の上に設けられた第2層と、前記主面を貫通し、前記第1層と前記第2層とに延在し、前記主面の前記第2層の側において前記延在方向と直交する方向に突出した突出部を有する導電性の柱状構造体と、を備えたことを特徴とする半導体装置が提供される。
【0011】
本発明の別の一態様によれば、第1層と、前記第1層の主面の上に設けられた第2層と、前記主面を貫通し、前記第1層と前記第2層とに延在する導電性の柱状構造体と、を有する半導体装置の製造方法であって、基板の上に前記第1層となる層を形成し、前記第1層となる前記層の上面から前記基板の側に向かって、前記上面に対して直交する方向に延在する第1孔を形成し、前記第1孔の内部に第3層を埋め込み、前記第1膜の前記上面を後退させて前記第3層の側壁を露出させ、前記露出した前記第3層の前記側壁に第4層を形成し、前記第1層、前記第3層及び前記第4層を覆うように前記第2層を形成し、前記第2層の上面から前記第2層を貫通し、前記第3層に到達する第2孔を形成し、前記第2孔の内部に導電性材料を埋め込むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、柱状構造体の形成の際のリソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の要部の構成を例示する模式的断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る半導体装置の要部の構成を例示する模式的断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図5】図4に続く工程順模式的断面図である。
【図6】図5に続く工程順模式的断面図である。
【図7】図6に続く工程順模式的断面図である。
【図8】第1の比較例の半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
【図9】第1の比較例の半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図10】図9に続く工程順模式的断面図である。
【図11】第2及び第3の比較例の半導体装置の製造途中の状態を例示する模式的断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る別の半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
【図13】本発明の第2の実施例に係る半導体装置の要部の構成を例示する模式的断面図である。
【図14】本発明の第2の実施例に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図15】図14に続く工程順模式的断面図である。
【図16】第4の比較例の半導体装置の製造途中の状態を例示する模式的断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の要部の構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置100は、基板1と、基板1の上に設けられた第1層51と、第1層51の基板1とは反対側の第1主面51a(主面)の上に設けられた第2層52と、第1主面51aを貫通して、第1層51と第2層52とに延在する導電性の柱状構造体60と、を備える。
【0016】
柱状構造体60は、第1主面51aに対して直交する方向に延在している。そして、柱状構造体60は、第1層51に設けられた第1孔61に埋め込まれた第1柱61aと、第2層52に設けられた第2孔62に埋め込まれた第2柱62aと、を有する。
【0017】
同図に表したように、第1孔61と第2孔62とは別の工程で設けられ、それぞれの工程のリソグラフィにおける合わせずれに起因して、第1孔61及び第2孔62の延在する軸が、第1主面51aと平行な平面内でずれることがあるが、第1孔61の内部に埋め込まれた第1柱61aと、第2孔62の内部に埋め込まれた第2柱62aと、は、互いに連通しており、第1柱61aと第2柱62aとは電気的に導通可能である。このように、柱状構造体60は、第1層51と第2層52との境界で、延在する軸がずれても良い。
【0018】
なお、本具体例では、柱状構造体60は、第1層51及び第2層52を貫通して設けられているが、本発明はこれに限らず、柱状構造体60は、第1層51の少なくとも一部と第2層52の少なくとも一部に延在して設けられる。
【0019】
第1層51は、半導体層、導電層、絶縁層、及びそれらの積層膜の少なくともいずれかを含むことができる。また、第2層52は、半導体層、導電層、絶縁層、及びそれらの積層膜の少なくともいずれかを含むことができる。
【0020】
柱状構造体60、すなわち、第1柱61a及び第2柱62aは導電性を有し、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、金(Au)、チタン(Ti)及びタンタル(Ta)等の各種の金属を含むことができ、さらに、不純物がドープされたポリシリコンやアモルファスシリコン等を用いることもでき、用いられる材料は任意である。また、第1柱61a及び第2柱62aが同じ材料で形成されても良く、また異なる材料で形成されても良い。
【0021】
そして、半導体装置100は、第1主面51aの第2層52の側において、柱状構造体60の側壁に付設された側部80をさらに備える。側部80は、柱状構造体60の側壁の少なくとも一部に設けられる。側部80は、後述するように、第2柱62aの形成において、第2層52に設けられる第2孔62の形成の際に、第1層51を保護するための機能、すなわちエッチングストッパの役目を果たす部分である。または、側部80は、第1層51を保護するための機能、すなわちエッチングストッパの役目を果たす部分が一旦除去されて、その部分に別の材料が埋め込まれた部分である。
【0022】
側部80には、例えば、窒化珪素、炭化珪素及び酸化アルミニウム等の絶縁性の材料を用いることができる。また、例えば、酸化珪素、窒化珪素及び酸化珪素の積層膜であっても良い。また、ポリシリコンやアモルファスシリコン等の導電性の材料を用いることができる。さらに、後述するように、側部80は、空隙であっても良い。
すなわち、側部80は、第2孔62を形成する際のエッチングストッパとして機能する部分がエッチング工程の後に残存したものであっても良く、エッチング工程の後に除去されて、その部分に他の材料が埋め込まれたものであっても良く、さらに、エッチング工程の後に除去され、そのまま空隙となった構造であっても良い。
【0023】
このような構成を有する半導体装置100は、側部80が第1層51の第1主面51aの上に設けられているので、第2層52に第2孔62を形成する工程において、側部80がエッチングストッパとして機能することで、第1層51の上面にダメージを与えることがない。これにより、柱状構造体60の形成の際のリソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置が提供できる。
【0024】
なお、柱状構造体60(すなわち、第1柱61a及び第2柱62a)と、側部80と、が実質的に同じ材料で構成されても良く、この場合は、側部80が柱状構造体60に設けられた突出部と見なすことができる。
【0025】
上記のような構造を有する本実施形態に係る半導体装置100は、第1層51と、その上に設けられた第2層52と、それらに形成された柱状構造体60を有している構造の任意の半導体装置とすることができる。特に、一括加工型の3次元積層メモリとすることができる。以下では、本実施形態の実施例として、一括加工型の3次元積層メモリについて説明する。
【0026】
(第1の実施例)
図2は、本発明の第1の実施例に係る半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図2に表したように、第1の実施例に係る半導体装置100aは一括加工型の3次元積層メモリである。すなわち、シリコンからなる基板101の上に電極膜と絶縁膜とが交互に積層された積層体が設けられ、この積層体に貫通孔が一括加工され、貫通孔の側面に電荷蓄積層となるONO(Oxide Nitride Oxide)膜172が設けられ、貫通孔の内部に埋め込まれたシリコンによりシリコンピラーが形成される。これにより、各電極膜とシリコンピラーとの交差部分にメモリセルが形成される。同図中、右側の部分がメモリトランジスタ領域MAであり、左側の部分が周辺回路領域PAである。
【0027】
メモリトランジスタ領域MAにおいては、基板101の上に素子分離のためのSTI(Shallow Trench Isolation)102が設けられる。そして、基板101の上にPウエル領域104が設けられ、その上にn拡散領域107が設けられる。その上にバリア層である窒化珪素膜118が設けられ、その上に平坦化膜であるBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)膜124が設けられる。その上に配線となる導電膜126、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜127、窒化珪素膜128が設けられ、そして、導電膜126と導通するように配線146aが設けられ、その周囲が酸化珪素膜142で埋め込まれている。
【0028】
そして、その上に、酸化珪素膜148が設けられ、その上にアモルファスシリコンやポリシリコンなどの導電膜からなる電極膜150、154、158及び162とコントロールゲート間の絶縁層である酸化珪素膜152、156、160及び164が交互に積層されて設けられている。そして、これらの周囲に層間絶縁膜としてBPSG膜182が設けられている。
本具体例では、このBPSG膜182及びBPSG膜182よりも下の層(基板101の側の層)が第1層51となる。
【0029】
電極膜150、154、158及び162と酸化珪素膜152、156、160及び164の積層膜に第1孔61が形成され、その側壁に電荷蓄積層となる酸化珪素膜、窒化珪素膜及び酸化珪素膜のONO膜172が形成されている。そして、第1孔61の内側に半導体材料が埋め込まれ半導体ピラー193が設けられている。これにより、電極膜150、154、158及び162のそれぞれと半導体ピラー193との交差部において、電荷蓄積層のONO膜172を記憶部とするメモリセルが形成される。
【0030】
さらに、BPSG膜182の上に、酸化珪素膜183、選択ゲート線となるポリシリコン膜184及び絶縁膜185が設けられる。
本具体例では、酸化珪素膜183、ポリシリコン膜184及び絶縁膜185が第2層52となる。
【0031】
酸化珪素膜183、ポリシリコン膜184及び絶縁膜185に第2孔62が形成され、ポリシリコン膜184の内側の面に選択ゲートトランジスタのゲート絶縁膜となる熱酸化膜189が設けられ、第2孔62の内部に選択トランジスタのチャネル部となる半導体材料が埋め込まれ半導体ピラー193が延在して設けられている。
このように、本具体例では、第1孔61と第2孔62とに同一の材料の半導体ピラー193が埋め込まれている。半導体ピラー193には、アモルファスシリコンやポリシリコンを用いることができる。半導体ピラー193が柱状構造体60となる。
【0032】
そして、酸化珪素膜183、ポリシリコン膜184及び絶縁膜185の周りに層間絶縁膜となる酸化珪素膜187が設けられ、接続プラグ188cと接続された電極190が設けられ、その上に層間絶縁膜となるBPSG膜192が設けられ、その上に電極190と接続プラグ194bで接続された電極196bが設けられる。
【0033】
なお、同図に例示したように、電極膜150、154、158及び162と酸化珪素膜152、156、160及び164の延在方向の長さは階段状に徐々に変化されており、電極膜150、154、158及び162のそれぞれが接続プラグ188d、188e、188f及び188gによってそれぞれ電極190d、190e、190f及び190gと接続されている。
【0034】
一方、周辺回路領域PAにおいては、基板101の上にSTI102が設けられ、周辺回路トランジスタ110が設けられ、その上に平坦化膜であるBPSG膜124が設けられる。その上に配線となる配線146aが設けられ、その周囲が酸化珪素膜142で埋め込まれている。そして、その上に、酸化珪素膜148が設けられる。
周辺回路領域PAにおいては、上記の酸化珪素膜142及び酸化珪素膜148が第1層51となる。
【0035】
そして、酸化珪素膜142及び酸化珪素膜148を貫通するように、第1孔61が設けられており、第1孔61の内部には第1柱61aとして例えば金属が埋め込まれて、接続プラグ188hが形成されている。接続プラグ188hには任意の導電性の材料を用いることができる。
【0036】
そして、酸化珪素膜148の上にBPSG膜182が設けられ、その上に酸化珪素膜187が設けられ、その上に電極190、接続プラグ194a及びBPSG膜192が設けられ、BPSG膜192の上に接続プラグ194aと接続された電極190aが設けられている。
周辺回路領域PAにおいては、BPSG膜182及び酸化珪素膜187が第2層52となる。そして、BPSG膜182及び酸化珪素膜187を貫通して、第2孔62が設けられ、第2孔62の内部には第2柱62aとして例えば金属が埋め込まれて、接続プラグ188iが形成されている。接続プラグ188iには任意の導電性の材料を用いることができる。
【0037】
このように、半導体装置100aは、メモリトランジスタ領域MAに一括加工型の3次元積層メモリを有する電荷蓄積層型の不揮発性記憶装置である。すなわち、半導体装置100aは、電極膜150、154、158及び162と酸化珪素膜152、156、160及び164がそれぞれ4層積層された4層型の不揮発性記憶装置である。すなわち、半導体装置100aにおいては、第1層51は、それぞれ複数の電極膜と絶縁膜とが交互に積層された積層体を含む。この時、電極膜と絶縁膜の積層数は4層以上とすることができ、これにより、集積度をより向上できる。ただし、電極膜と絶縁膜の積層数は任意であり、例えば、4層よりも多くの層を積層しても良く、また、複数層であれば4層よりも少なくても良い。以下では、4層の積層構造の場合として説明する。
【0038】
半導体装置100aにおいて、例えばメモリトランジスタ領域MAのコンタクト部C1において、本実施形態を適用することができる。また、周辺回路領域PAのコンタクト部C2においても本実施形態を適用することができ、これについては後述の第2の実施例として、説明する。
【0039】
以下では、まず、コンタクト部C1に本実施形態を適用した例を説明する。
図3は、本発明の第1の実施例に係る半導体装置の要部の構成を例示する模式的断面図である。
図3に表したように、本実施例に係る半導体装置100bは、基板1と、基板1の上に設けられた第1層51と、第1層51の基板1とは反対側の第1主面51aの上に設けられた第2層52と、第1主面51aを貫通し、第1層51と第2層52とに延在する導電性の柱状構造体60と、を備える。
基板1は図2に例示した基板101に相当する。
【0040】
柱状構造体60は、第1層51に設けられた第1孔61に埋め込まれた第1柱61aと、第2層52に設けられた第2孔62に埋め込まれた第2柱62aとを有する。
【0041】
本具体例では、第1層51は、導電性の複数の電極膜3と、複数の絶縁膜2が交互に積層された積層構造体及びその上に設けられた第1の層間シリコン酸化膜4を有する。電極膜3は、図2に例示した電極膜150、154、158及び162に対応し、絶縁膜2は、図2に例示した酸化珪素膜148、酸化珪素膜152、156、160及び164に対応する。そして、第1の層間シリコン酸化膜4は、図2に例示したBPSG膜182に対応する。なお、第1層51は、上記の積層構造体以外を含むこともできるが、ここでは省略して説明する。
【0042】
そして、第1層51を貫通する第1孔61の側壁に電荷蓄積層となる酸化珪素膜、窒化珪素膜及び酸化珪素膜のONO膜172が形成されている。第1孔61の内部にシリコンが埋め込まれ、半導体ピラー193が形成されている。これにより、電極膜3のそれぞれと半導体ピラー193との交差部において、電荷蓄積層のONO膜172を記憶部とするメモリセルが形成される。すなわち、第1層51は基板1の主面に対して垂直方向に延在する半導体ピラー193に形成されるメモリセルを有するメモリ部である。
【0043】
そして、第1層51の上に設けられた第2層52には、例えば、メモリセルを選択するための選択ゲートトランジスタやそれに接続された配線が形成される。本具体例では、第2層52は、第1層51の第1主面51aの上に設けられ、第2の層間シリコン酸化膜9と、その上に設けられた選択ゲート線となるポリシリコン層10と、その上に設けられたシリコン酸化膜11と、を有している。第2の層間シリコン酸化膜9、ポリシリコン層10及びシリコン酸化膜11は、それぞれ図2に例示した酸化珪素膜183、ポリシリコン膜184及び絶縁膜185に対応する。なお、図3では、選択ゲートトランジスタのゲート絶縁膜(図2に例示した熱酸化膜189)等は省略されている。
【0044】
すなわち、本具体例では、第1柱61aと第2柱62aとに同じ材料が用いられており、柱状構造体60は、第1層51に設けられた第1孔61及び第2層52に設けられた第2孔62の内部に設けられた半導体ピラー193である。
【0045】
そして、半導体装置100bにおいては、第1主面51aの第2層52の側において、柱状構造体60の側壁の少なくとも一部に、側部80がさらに設けられている。
【0046】
このような構造を有する半導体装置100bは、例えば以下のようにして作製される。 図4は、本発明の第1の実施例に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
すなわち、同図(a)は最初の工程の図であり、同図(b)、(c)及び(d)はそれぞれ前の工程に続く図である。
図5は、図4に続く工程順模式的断面図である。
図6は、図5に続く工程順模式的断面図である。
図7は、図6に続く工程順模式的断面図である。
【0047】
図4(a)に表したように、基板1の上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、酸化珪素からなる絶縁膜2及びポリシリコンからなる電極膜3を交互に4層堆積し、最後に第1の層間シリコン酸化膜4を堆積する。なお、基板1の上には、図2に例示したような各種の配線やプラグを含むことができるがここでは省略している。なお、絶縁膜2、電極膜3及び第1の層間シリコン酸化膜4が第1層51となる。そして、本具体例では、第1の層間シリコン酸化膜4の表面は、第2主面51bである。すなわち、後述するように、第1の層間シリコン酸化膜4の表面である第2主面51bがエッチングされて、その結果として第1主面51aが形成される。
【0048】
そして、図4(b)に表したように、第1の層間シリコン酸化膜4の表面である第2主面51bの上にレジスト5を設け、レジスト5にメモリセルとなる第1のホールパターンをリソグラフィ技術により形成する。
【0049】
そして、図4(c)に表したように、例えばドライエッチング技術を用いて第1の層間シリコン酸化膜4、積層された絶縁膜2及び電極膜3を順次加工した後、レジスト5をアッシング技術及びウェット洗浄技術を用いて除去する。これにより、第1孔61が形成される。
【0050】
そして、図4(d)に表したように、例えばCVD技術を用いて第1孔61にシリコン窒化膜8を埋め込む。
【0051】
そして、図5(a)に表したように、例えば高温のリン酸処理により、第1孔61の内部のシリコン窒化膜8を残しつつ、第1の層間シリコン酸化膜4の上面のシリコン窒化膜8を除去する。
【0052】
そして、図5(b)に表したように、例えば希フッ酸処理により、第1の層間シリコン酸化膜4をシリコン窒化膜8に対して選択的に一部除去する。すなわち、シリコン窒化膜8を残しつつ、第1の層間シリコン酸化膜4の表面である第2主面51bを後退させて、第1層51の第1主面51aを形成する。
【0053】
そして、図5(c)に表したように、第1の層間シリコン酸化膜4及びシリコン窒化膜8の上にシリコン窒化膜16を例えばCVD技術により堆積する。
【0054】
そして、図5(d)に表したように、例えばCHFガスを用いたドライエッチング処理により、第1の層間シリコン酸化膜4に対して選択比を取りながらシリコン窒化膜16を加工して、シリコン窒化膜8の側面にシリコン窒化膜16aを残し、シリコン窒化膜8の側面以外の第1の層間シリコン酸化膜4の上面のシリコン窒化膜16を除去する。
【0055】
そして、図6(a)に表したように、例えばCVD技術を用いて第2の層間シリコン酸化膜9を堆積する。
【0056】
そして、図6(b)に表したように、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)技術によってシリコン窒化膜8の上に生じた段差を削り取り平坦化する。
【0057】
そして、図6(c)に表したように、例えばCVD技術を用いて選択ゲートとなるポリシリコン層10、ハードマスクとなるシリコン酸化膜11を堆積した後、その上にレジスト12を設け、レジスト12にリソグラフィ技術を用いて第2のホールパターンを形成する。なお、第2の層間シリコン酸化膜9、ポリシリコン層10及びシリコン酸化膜11が第2層52となる。
【0058】
そして、図6(d)に表したように、ドライエッチング技術、アッシング技術、ウェット洗浄技術を用いてレジスト12の第2のホールパターンをシリコン酸化膜11に転写して、シリコン酸化膜11を加工した後、レジスト12を除去する。
【0059】
そして、図7(a)に表したように、シリコン酸化膜11をハードマスクとしてポリシリコン層10及び第2の層間シリコン酸化膜9を加工した後、第1孔61に埋め込まれたシリコン窒化膜8を露出させことにより、第2孔62がシリコン窒化膜16aに到達する。このようにして第1孔61及び第2孔62が連結される。この時、リソグラフィの合わせずれによって第1孔61と第2孔62とは、互いに位置がずれているものの、シリコン窒化膜16aがエッチングストッパとなり、第1の層間シリコン酸化膜4がエッチングされることなく、第1の層間シリコン酸化膜4を残すことができる。
【0060】
そして、図7(b)に表したように、例えば高温のリン酸処理によりシリコン窒化膜8及びシリコン窒化膜16aを除去する。
【0061】
そして、図7(c)に表したように、第1孔61及び第2孔62の側壁に、電荷蓄積層となる酸化珪素膜、窒化珪素膜及び酸化珪素膜のONO膜13を堆積し、その中にポリシリコン層14を埋め込む。これにより、電極膜3、ONO膜13及びポリシリコン層14によって、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)構造のメモリセルを形成することができる。ポリシリコン層14が半導体ピラー193、すなわち、柱状構造体60となる。
【0062】
そして、必要に応じて、不要な部分のONO膜13及びポリシリコン層14を除去して、図3に例示した半導体装置100bが作製される。
【0063】
第1の実施例の半導体装置100bにおいては、側部80は、半導体ピラー193(柱状構造体60)の側面に形成されたシリコン窒化膜16aが存在した場所に埋め込まれたONO膜172である。
【0064】
ただし、図7(b)に例示した工程において、シリコン窒化膜16aの大きさによっては、シリコン窒化膜16aが存在した場所にはONO膜172だけでなく半導体ピラー193を構成するポリシリコンが埋め込まれることもある。この場合は、シリコン窒化膜16aが存在した場所において側部80(ONO膜172)が設けられ、さらに、半導体ピラー193が、シリコン窒化膜16aが存在した場所に向けて突出した突出部を有する構造となる。
【0065】
すなわち、このように、シリコン窒化膜16aが存在した場所が大きい場合は、柱状構造体60(半導体ピラー193)は、第1層51の少なくとも一部と第2層52の少なくとも一部とを貫通して第1主面51aに対して直交する方向に延在し、第1主面51aの第2層52の側において、前記延在方向と直交する方向に突出した突出部を有する。そして、この場合も柱状構造体60は導電性を有する。
【0066】
なお、このような構造の場合において、半導体ピラー193が突出部を有しているのではなく、シリコン窒化膜16aが存在した場所にONO膜172とポリシリコンが埋め込まれて、このONO膜172及びこのポリシリコンを側部80と見なしても良い。
【0067】
半導体装置100bにおいては、既に説明したように、図7(a)に例示した工程において、第2層52に第2孔62を形成する際に、シリコン窒化膜16aがエッチングストッパの役目を果たし、第1の層間シリコン酸化膜4がエッチングされることないので、その下の層である電極膜3に損傷を与えることがない。
【0068】
すなわち、第1の層間シリコン酸化膜4が残り、その下の層である電極膜3の上面にはONO膜172は形成されないので、ONO膜172は、電極膜3の側面でのみにおいて電極膜3に接し、一番上層の電極膜3の上面は、第1の層間シリコン酸化膜4で覆われており、電極膜3の上面はONO膜172とは直接接しない。このため、一番上層の電極膜3においてもONO膜172に対向する電極膜3の面積は、下層の電極膜3と同じにでき、デバイス特性は均一であり、安定したメモリ動作が実現できる。
【0069】
このように、本実施例に係る半導体装置100bによれば、柱状構造体60の形成の際のリソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置が提供できる。
【0070】
(第1の比較例)
図8は、第1の比較例の半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図8に表したように、第1の比較例の半導体装置201においては、側部80が設けられない。このため、第2孔62を形成する際に、第1の層間シリコン酸化膜4がエッチングされ、その下の層である電極膜3が露出する。このため、一番上層の電極膜3においては、電極膜3の上面がONO膜172と接し、一番上層の電極膜3がONO膜172と対応する面積が、下層の電極膜3とは異なってしまう。
【0071】
第1の比較例の半導体装置201は、以下のようにして作製される。
図9は、第1の比較例の半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。 図10は、図9に続く工程順模式的断面図である。
半導体装置100bと同様に、第1の比較例の半導体装置201においても、基板1の上に、絶縁膜2及び電極膜3を交互に複数層堆積し、第1の層間シリコン酸化膜4を堆積して第1層51を形成し、第1層51に第1孔61を形成して、第1孔61にシリコン窒化膜8を埋め込み、第1の層間シリコン酸化膜4の上面のシリコン窒化膜8をウェットエッチング技術により除去する。
【0072】
この後、第1の比較例の半導体装置201の場合は、図9(a)に表したように、第1層51の第1主面51aの上に第2の層間シリコン酸化膜9を堆積する。
そして、図9(b)に表したように、選択ゲートとなるポリシリコン層10及びハードマスクとなるシリコン酸化膜11を堆積し、リソグラフィ技術を用いて第2のホールパターンをレジスト12に形成する。なお、この場合も、第2の層間シリコン酸化膜9、ポリシリコン層10及びシリコン酸化膜11が第2層52である。
そして、図9(c)に表したように、ドライエッチング技術、アッシング技術、ウェット洗浄技術を用いてレジスト12の第2のホールパターンをシリコン酸化膜11に転写する。
【0073】
そして、図9(d)に表したように、このシリコン酸化膜11をハードマスクとしてポリシリコン層10及び第2の層間シリコン酸化膜9を加工して、第2孔62を形成し、第1孔61に埋め込まれたシリコン窒化膜8を露出させことにより、第1孔61及び第2孔62が連結する。
このとき、第1孔61と第2孔62の位置は、リソグラフィにおける合わせずれによりずれる。このずれを完全に無くすことは不可能である。このため、第2孔62において、第1孔61よりもはみ出た部分が発生する。そして、この時、ポリシリコン層10及び第2の層間シリコン酸化膜9をドライエッチングする際、ウェーハ面内のエッチングレートのばらつきや、ポリシリコン層10及び第2の層間シリコン酸化膜9などの堆積膜のウェーハ間のばらつきを考慮して、オーバーエッチングが行われる。その時には、同図に例示したように、第1の層間シリコン酸化膜4もエッチングされてしまい、第1層51の最上層の電極膜3が露出されてしまう。
【0074】
そして、この後、図10に表したように、シリコン窒化膜8を除去する。
そして、第1孔61の側壁に、電荷蓄積層となる酸化珪素膜、窒化珪素膜及び酸化珪素膜のONO膜13を堆積し、その中にポリシリコン層14を埋め込み、必要に応じて不要なONO膜13及びポリシリコン層14を除去して、図8に例示した第1の比較例の半導体装置201が形成される。
【0075】
このようにして作製される第1の比較例の半導体装置201においては、図8に関して既に説明したように、第1層51の最上層の電極膜3の上面にもONO膜13が形成されるので、最上層のワードライン(電極膜3)におけるメモリセルの表面積が、他のワードライン(電極膜3)におけるメモリセルの表面積と異なってしまい、メモリセルの特性が他の層とは異なってしまう。これにより、不揮発性記憶装置のデバイスの特性が悪化してしまい、また、歩留りを低下させてしまう。
【0076】
このように、第1の比較例の半導体装置201では、第1層51の第1主面51aにおいて、第2層52の第2孔62を形成する際のエッチングストッパが設けられていないため、第1の層間シリコン酸化膜4もエッチングされてしまい、第1層51の最上層の電極膜3が露出し、特性を劣化させる。
【0077】
これに対し、第1の実施例に係る半導体装置100bは、既に説明したように、第1層51の第1孔61の上部の第1主面51aにおいて、側部80となるシリコン窒化膜16aが設けられ、このシリコン窒化膜16aが第2層52の第2孔62を形成する際のエッチングストッパとして機能するため、オーバーエッチングを行ったとしても第1の層間シリコン酸化膜4がエッチングされることがない。これにより、第1層51の最上層の電極膜3は保護され、第1層51の最上層の電極膜3の上面にONO膜172が形成されることを防止できる。これにより、デバイスの特性が安定し、歩留りの低下を防止できる。
【0078】
(第2及び第3の比較例)
図11は、第2及び第3の比較例の半導体装置の製造途中の状態を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図は、図10に例示した、シリコン窒化膜8を除去して、第1孔61と第2孔62とが連通した状態を例示している。すなわち、第1の実施例に係る図7(b)に対応する図である。
【0079】
図11(a)に表したように、第2の比較例の半導体装置202においては、第1層51において、第1層間シリコン酸化膜4の上に、シリコン窒化膜からなるエッチングストッパ膜9aを設けたものである。そして、第1層51に、第1孔61を形成してその中にシリコン窒化膜8を埋め込んだ後に、第1主面51aの上に第2の層間シリコン酸化膜9、ポリシリコン層10及びシリコン酸化膜11からなる第2層52を堆積し、第2孔62を形成する。この時、第2孔62の形成時に、エッチングストッパ膜9aによって、第1層間シリコン酸化膜4が保護され、その結果、その下の最上層の電極膜3の上面が露出することが防止できる。これにより、最上層の電極膜3においてメモリセルの表面積が他と異なる現象は抑制できる。
【0080】
しかしながら、第2の比較例の半導体装置202の場合、第1層51の上面の全面にエッチングストッパ膜9aが設けられているので、半導体装置202における他の部分の加工とのプロセス整合性が劣化する。すなわち、例えば、図2に例示したように、電極膜150、154、158及び162は、接続プラグ188d、188e、188f及び188gと接続されるが、電極膜150、154、158及び162の上部にエッチングストッパ膜9aが形成されるので、この接続部を形成するプロセスが複雑化し、現実的ではない。
【0081】
これに対し、第1の実施例に係る半導体装置100bでは、エッチングストッパの機能を果たすシリコン窒化膜16a(側部80となる部分の膜)が、第1層51の上面の全面ではなく、第1孔61の側面に部分的に選択的に設けられるため、上記のプロセス整合性の劣化の問題はない。
【0082】
一方、図11(b)に表したように、第3の比較例の半導体装置203は、第1層51に、第1孔61を形成してその中にシリコン窒化膜8を埋め込んだ後に、第1主面51aの上にエッチングストッパ膜9bを形成したものである。そして、その上に、第2の層間シリコン酸化膜9、ポリシリコン層10及びシリコン酸化膜11を堆積し、第2孔62を形成する。この時、第2孔62はエッチングストッパ膜9bを貫通して形成されるので、第1層間シリコン酸化膜4は保護されず、その結果、その下の最上層の電極膜3の上面が露出してしまう。このため、最上層の電極膜3においてメモリセルの表面積が不揮発性記憶装置のデバイスの特性が悪化してしまい、また、歩留りを低下させてしまう。
【0083】
以上のように、本実施例に係る半導体装置100bによれば、プロセスの整合性を悪化させることなく、柱状構造体60の形成の際のリソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置が提供できる。
【0084】
図12は、本発明の第1の実施形態に係る別の半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図12(a)に例示したように、本実施形態に係る別の半導体装置100dでは、元々シリコン窒化膜16aが存在した場所に、空隙17が設けられている。すなわち、第1の実施例に係る半導体装置100bではシリコン窒化膜16aが存在した場所に、ONO膜13(及びポリシリコン層14)が埋め込まれているが、半導体装置100dでは、その箇所が空隙17となっている。そして、空隙17が側部80となる。このように、シリコン窒化膜16aが存在した場所が空隙17であってもデバイス特性上問題がない。
【0085】
このように、シリコン窒化膜16aが存在した場所が側部80となるが、側部80は、ONO膜13等のように、絶縁性の材料や、ポリシリコン層14等のように導電性の材料で埋め込まれていても良く、また、空隙17を含むことができる。
【0086】
図12(b)に表したように、また、本実施形態に係る別の半導体装置100eでは、半導体装置100bにおいてシリコン窒化膜16aが設けられた場所に、例えばシリコンカーバイドや酸化アルミニウムからなる絶縁層18が設けられている。この絶縁層18が、第2孔62を形成する際に、第1層51を保護するエッチングストッパとして機能する。
【0087】
この場合には、第1孔61の上部の側壁に形成される絶縁層18が、第2孔62の形成後、すなわち、例えばONO膜13の堆積後も残る。そして、側部80は絶縁層18となる。このように、エッチングストッパとして機能した絶縁層18が残存しても良い。
【0088】
ところで、半導体装置100bでは、第1層51が、それぞれが複数の絶縁膜2及び電極膜3が交互に積層された積層体を含む例であるが、本発明はこれに限らない。すなわち、第1層51及び第2層52の少なくともいずれかが、それぞれ複数の絶縁膜2及び電極膜3が交互に積層された積層体を含むことができる。この時、絶縁膜2及び電極膜3の積層数は4以上とすることができる。これにより、集積度が向上できる。
【0089】
(第2の実施例)
第2の実施例は、図2に例示した半導体装置100のコンタクト部C2に本実施形態を適用した例である。
図13は、本発明の第2の実施例に係る半導体装置の要部の構成を例示する模式的断面図である。
図13に表したように、本実例に係る半導体装置100cは、基板1と、基板1の上に設けられた第1層51と、第1層51の基板1とは反対側の第1主面51a(主面)の上に設けられた第2層52と、第1主面51aを貫通し、第1層51と第2層52とに延在する導電性の柱状構造体60と、を備える。
第1層51は、図2に例示した酸化珪素膜142及び酸化珪素膜148に対応する。そして、第2層52は、図2に例示したBPSG膜182及び酸化珪素膜187に対応する。
【0090】
柱状構造体60は、第1層51に設けられた第1孔61に埋め込まれた第1柱61aと、第2層52に設けられた第2孔62に埋め込まれた第2柱62aとを有する。第1柱61a及び第2柱62aは、図2に例示した接続プラグ188h及び接続プラグ188i(第2柱62a)にそれぞれ対応する。
【0091】
また、第1柱61aには、バリアメタル24及びタングステン膜25が用いられている。また、第2柱62aには、TaN等のバリアメタル及びシードCu膜の積層膜29及びCu膜30が用いられている。このように、本具体例では、柱状構造体60が、互いに異なる材料で構成された第1柱61a及び第2柱62aで構成される。
【0092】
そして、半導体装置100cは、さらに、第1層51の第1主面51aの第2層52の側において、柱状構造体60の側壁に付設された側部80を備える。側部80は、柱状構造体60の側壁の少なくとも一部に設けられる。具体的には、側部80は、第1層51の第1主面51aの第2層52の側において、第1柱61aの側面に設けられている。側部80には、例えば、窒化珪素、炭化珪素及び酸化アルミニウム等の絶縁性の材料や各種の導電性の材料を用いることができるが、本具体例では第2孔62を加工するプロセスにおいてエッチングストッパとなる窒化珪素が側部80として用いられる。
【0093】
このような構成を有する半導体装置100cにおいては、柱状構造体60の第2柱62aを形成する際に、側部80がエッチングストッパとして機能することで、第1層51に損傷が生じない。すなわち、第1層51に損傷が与えられると電気的特性が劣化するが、側部80によりこのようなデバイス特性の劣化を防止できる。これにより、リソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置が提供できる。
【0094】
半導体装置100cは、例えば以下のようにして製造される。
図14は、本発明の第2の実施例に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図15は、図14に続く工程順模式的断面図である。
図14(a)に表したように、まず、基板1の上にCVD技術を用いて第1のシリコン酸化膜22を堆積し、その上にレジスト23を形成し、そのレジスト23にリソグラフィ技術によって第1のホールパターンを形成する。
【0095】
そして、図14(b)に表したように、例えばフルオロカーボン系のガスを用いたドライエッチング処理により、第1のホールパターンをレジスト23から第1のシリコン酸化膜22に転写し、アッシング技術及びウェット洗浄技術を用いてレジスト23を除去する。これにより、第1孔61が形成される。
【0096】
そして、図14(c)に表したように、第1孔61の内部に、Ti/TiNの積層膜からなるバリアメタル24をスパッタリング技術により堆積し、さらにCVD技術を用いてタングステン膜25を埋め込んだ後、CMP技術を用いて第1のシリコン酸化膜22の上のバリアメタル24及びタングステン膜25を除去する。これにより、柱状構造体60の一部となる第1柱61aが形成される。すなわち、本具体例ではバリアメタル24及びタングステン膜25が第1柱61aとなる。
【0097】
そして、図14(d)に表したように、例えばフルオロカーボン系のガスを用いたドライエッチング処理により、第1のシリコン酸化膜22の第2主面51bをエッチバックして第1主面51aを形成した後、第1のシリコン酸化膜22、第1孔61に埋め込まれたバリアメタル24及びタングステン膜25の上に、シリコン窒化膜26を堆積する。
【0098】
さらに、図15(a)に表したように、例えばドライエッチング処理によってシリコン窒化膜26の表面をエッチバックすることにより、第1主面51aにおいて、第1柱61aの側壁のみにシリコン窒化膜26aを残存させる。このシリコン窒化膜26aが側部80となる。
【0099】
そして、図15(b)に表したように、第1のシリコン酸化膜22、シリコン窒化膜26a、第1孔61に埋め込まれたバリアメタル24及びタングステン膜25の上に、第2のシリコン酸化膜27を例えばCVD技術を用いて堆積し、その上にレジスト28を形成し、レジスト28にリソグラフィ技術を用いて第2のホールパターンを形成する。
【0100】
そして、図15(c)に表したように、第2のホールパターンをドライエッチング技術により第2のシリコン酸化膜27に転写する。この時、第1柱61aの側壁にシリコン窒化膜26aが設けられているので、合わせずれが生じても第1のシリコン酸化膜22まで削り込むことがない。このようにして、第2孔62が形成される。
【0101】
そして、図15(d)に表したように、第2孔62の内部に、例えばTaN等のバリアメタル及びシードCu膜の積層膜29を例えばスパッタリング法で形成した後、例えば、メッキ技術によってCu膜30を埋め込み、CMP技術によって第2のシリコン酸化膜27の上面の積層膜29及びCu膜30を除去することにより、Cuプラグとなる第2柱62aが形成される。なお、積層膜29及びCu膜30が第2柱62aとなり、また、第1柱61aと第2柱62aとが柱状構造体60となる。
【0102】
このようにして、図13に例示した第2の実施例に係る半導体装置100cが作製される。
【0103】
(第4の比較例)
図16は、第4の比較例の半導体装置の製造途中の状態を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図は、第2孔62が形成され、その内部にTaN等のバリアメタル及びシードCu膜の積層膜29を形成した時の状態を例示している。すなわち、第2の実施例に係る図15(c)から図15(d)に到る途中の工程に対応する図である。
【0104】
図16に表したように、第4の比較例の半導体装置204においては、側部80(すなわち、シリコン窒化膜26a)が設けられていない。このため、第2孔62を形成する際に、第1層51、すなわち、第1のシリコン酸化膜22を削り込んでしまう。このため、第1のシリコン酸化膜22を削り込んだ部分に細いスリット31が形成されてしまう。そして、例えばスリット31の底面部分には、バリアメタル及びシードCu膜の積層膜29堆積されず、第1のシリコン酸化膜22が露出した状態となる。このような場合には、Cuの埋め込み不良によるオープン不良や、Cuの絶縁膜中への拡散によるデバイス特性の劣化など深刻な問題が発生する。
【0105】
これに対し、既に説明したように、第2の実施例に係る半導体装置100cにおいては、シリコン窒化膜26aからなる側部80が設けられ、柱状構造体60の第2柱62aを形成する際に、側部80がエッチングストッパとして機能することで、第1層51(第1のシリコン酸化膜22)に損傷が生じない。これにより、スリット31が形成されることもなく、良好なデバイス特性を得ることができる。このように、半導体装置100cによれば、リソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置が提供できる。
【0106】
なお、本実施例に係る半導体装置100cにおいて、シリコン窒化膜26aの代わりにTiNやTaNなどのバリアメタル材料を用いることもできる。この場合にも、リソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置が提供できる。
【0107】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1層51と、第1層51の主面の上に設けられた第2層52と、第1層51の前記主面を貫通し、第1層51と第2層52とに延在する導電性の柱状構造体60と、を有する半導体装置の製造方法である。以下では、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の特徴の部分について説明する。
【0108】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
図17に表したように、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、まず、基板1の上に第1層51となる層を形成する(ステップS110)。例えば、図4(a)や図14(a)に関して説明した方法を採用することができる。
【0109】
そして、第1層51となる層の上面(基板1とは反対側の第2主面51b)から基板1の側に向かって、第2主面51bに対して直交する方向に延在する第1孔61を形成する(ステップS120)。これには、図4(b)及び(c)、並びに、図14(b)に関して説明した方法を採用することができる。なお、後述するように、第1層51となる層の上面(第2主面51b)が後にエッチングされて、第1主面51a(主面)となる。
【0110】
そして、第1孔61の内部に第3層を埋め込む(ステップS130)。
すなわち、図4(d)に関して説明したように、第1孔61の内部に第3層としてシリコン窒化膜8を埋め込む。また、図14(c)に関して説明したように、第1孔61の内部に第3層となる、Ti/TiNの積層膜であるバリアメタル24及びタングステン膜25を埋め込み、第3層となる第1柱61aを形成する。
【0111】
そして、第1層51の第2主面を後退させて第3層の側壁を露出させる(ステップS140)。
すなわち、例えば、図5(b)に関して説明したように、第1層51の第2主面51bを後退させて第1主面51aを形成し、第3層であるシリコン窒化膜8の側壁を露出させる。
また、図14(d)に関して説明したように、第1のシリコン酸化膜22の第2主面51bをエッチバックして第1主面51aを形成し、第3層である第1柱61aの側壁が露出される。
【0112】
そして、露出した第3層の側壁に第4層を形成する(ステップS150)。
すなわち、例えば、図5(c)及び(d)に関して説明したように、シリコン窒化膜16を形成した後エッチバックすることで、第3層であるシリコン窒化膜8の側壁の部分に、第4層となるシリコン窒化膜16aを形成する。
また、図14(d)及び図15(a)に関して説明したように、シリコン窒化膜26を体積した後、シリコン窒化膜26をエッチバックすることにより、第1主面51aにおいて、第3層である第1柱61aの側壁のみに、第4層となるシリコン窒化膜26aを残存させる。
【0113】
そして、第1層51、第3層及び第4層を覆うように第2層52を形成する(ステップS160)。
すなわち、例えば、図6(a)〜(c)に関して説明したように、第2層52となる第2の層間シリコン酸化膜9、ポリシリコン層10及びシリコン酸化膜11を形成する。
また、図15(b)に関して説明したように、第2層52となる第2のシリコン酸化膜27を形成する。
【0114】
そして、第2層52の上面(第1層51とは反対側の主面)から第2層52を貫通し、第3層に到達する第2孔62を形成する(ステップS170)。
すなわち、例えば、図6(d)及び図7(a)に関して説明したように、第2層52となる第2の層間シリコン酸化膜9、ポリシリコン層10及びシリコン酸化膜11に、第3層(シリコン窒化膜8)に到達する第2孔62を形成する。
また、図15(c)に関して説明したように、第2層52となる第2のシリコン酸化膜27に、第3層となる第1柱61aに到達する第2孔62を形成する。
【0115】
そして、第2孔62の内部に導電性材料を埋め込む(ステップS180)。
すなわち、例えば、図7(b)及び(c)に関して説明したように、シリコン窒化膜8及びシリコン窒化膜16aを除去した後、第1孔61及び第2孔62の内部に、ONO膜13及びポリシリコン層14を埋め込む。
また、図15(d)に関して説明したように、第2孔62の内部に積層膜29及びCu膜30を埋め込む。
【0116】
このようにして、半導体装置100b及び100cが形成できる。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれが、第3層の側壁に第4層が設けられ、第2層52に第2孔62を形成する工程において、第4層がエッチングストッパとして機能することで、第1層51の上面にダメージを与えることがない。これにより、柱状構造体60の形成の際のリソグラフィの合わせずれの許容度を拡大し、デバイス特性の劣化を抑制する半導体装置の製造方法が提供できる。
【0117】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、第2孔62を形成した後、第3層及び第4層を除去し、その時、第2孔62の内部への導電性材料の埋め込みは、第1孔61及び第2孔62に一括して(連続的に)導電性材料を埋め込んでも良い。すなわち、図7(b)及び(c)に関して説明したように、シリコン窒化膜8及びシリコン窒化膜16aを除去した後、第1孔61及び第2孔62の内部に、ONO膜13及びポリシリコン層14を埋め込んでも良い。
【0118】
また、上記のステップS110〜ステップS180において、技術的に可能な範囲で入れ替えが可能であり、また、同時に実施することもできる。
【0119】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置及びその製造方法を構成する基板、半導体層、絶縁層及び導電層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0120】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0121】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0122】
1 基板
2 絶縁膜
3 電極膜
4 第1の層間シリコン酸化膜
5 レジスト
8 シリコン窒化膜
9 第2の層間シリコン酸化膜
9a、9b エッチングストッパ膜
10 ポリシリコン層
11 シリコン酸化膜
12 レジスト
13 ONO膜
14 ポリシリコン層
16、16a シリコン窒化膜
17 空隙
18 絶縁層
22 第1のシリコン酸化膜
23 レジスト
24 バリアメタル
25 タングステン膜
26、26a シリコン窒化膜
27 シリコン酸化膜
28 レジスト
29 積層膜
30 Cu膜
31 スリット
51 第1層
51a 第1主面
51b 第2主面
52 第2層
60 柱状構造体
61 第1孔
61a 第1柱
62 第2孔
62a 第2柱
80 側部
100、100a〜100e、201〜204 半導体装置
101 基板
102 STI
104 Pウエル領域
107 n拡散領域
110 周辺回路トランジスタ
118 窒化珪素膜
124 BPSG膜
126 導電膜
127 TEOS膜
128 窒化珪素膜
142 酸化珪素膜
146a 配線
148 酸化珪素膜
150、154、158、162 電極膜
152、156、160、164 酸化珪素膜
172 ONO膜
182 BPSG膜
183 酸化珪素膜
184 ポリシリコン膜
185 絶縁膜
187 酸化珪素膜
188c〜188i 接続プラグ
189 熱酸化膜
190、190a、190d〜190g 電極
192 BPSG膜
193 半導体ピラー
194a、194b 接続プラグ
196b 電極
C1、C2 コンタクト部
MA メモリトランジスタ領域
PA 周辺回路領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層と、
前記第1層の主面の上に設けられた第2層と、
前記主面を貫通し、前記第1層と前記第2層とに延在する導電性の柱状構造体と、
前記主面の前記第2層の側において前記柱状構造体の側壁に付設された側部と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1層と、
前記第1層の主面の上に設けられた第2層と、
前記主面を貫通し、前記第1層と前記第2層とに延在し、前記主面の前記第2層の側において前記延在方向と直交する方向に突出した突出部を有する導電性の柱状構造体と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記第1層及び前記第2層の少なくともいずれかは、それぞれ複数の絶縁膜及び電極膜が交互に積層された積層体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1層と、前記第1層の主面の上に設けられた第2層と、前記主面を貫通し、前記第1層と前記第2層とに延在する導電性の柱状構造体と、を有する半導体装置の製造方法であって、
基板の上に前記第1層となる層を形成し、
前記第1層となる前記層の上面から前記基板の側に向かって、前記上面に対して直交する方向に延在する第1孔を形成し、
前記第1孔の内部に第3層を埋め込み、
前記第1膜の前記上面を後退させて前記第3層の側壁を露出させ、
前記露出した前記第3層の前記側壁に第4層を形成し、
前記第1層、前記第3層及び前記第4層を覆うように前記第2層を形成し、
前記第2層の上面から前記第2層を貫通し、前記第3層に到達する第2孔を形成し、
前記第2孔の内部に導電性材料を埋め込むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2孔を形成した後、前記第3層及び前記第4層を除去し、
前記第2孔の内部への前記導電性材料の埋め込みは、前記第1孔及び前記第2孔に一括して導電性材料を埋め込むことを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−161305(P2010−161305A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3901(P2009−3901)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】