説明

半導体装置

【課題】水分や酸化ガスの透過を防止して、耐水性および耐酸化性を向上できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板11上の素子形成領域13を囲むように前記半導体基板上の層間絶縁膜14−1、12−2中に設けられ、Cuを主成分とするガードリングGR1、GR2と、前記層間絶縁膜とガードリングとの界面に設けられ、前記層間絶縁膜の構成元素と所定の金属元素との化合物を主成分とするバリア膜19とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関し、例えば、LSI(Large Scale Integrated Circuit)の多層配線におけるガードリング、ガードリングのさらに外側の側面及びパッシベーション構造、配線でのヒューズ溶断用窓及びヒューズ構造、さらにボンディングパッド部分の構造等に適用されるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LSIの多層配線においては、半導体チップの中の配線、接続孔、トランジスタ等を外部からの水分および酸化性の気体などから保護するために、チップの周辺にガードリングを何重(例えば、9重)にも設けている。
【0003】
最近、特に多層配線において、性能の観点から低誘電率の層間絶縁膜(いわゆるlow-k膜)を用いるLSIが多い。しかし、この低誘電率の層間絶縁膜が、一般的に水分を多く含み易いという性質に加えて水分やO(酸素)等の酸化ガスなどを透過しやすいという性質がある。この透過しやすいという性質のため、水分や酸化ガスが透過して、ガードリングの金属(例えば、銅(Cu)等)とバリア金属(例えば、タンタル(Ta)等)を酸化させてしまう。そのため、最終的にはガードリングを何重にしていても、全て酸化させてしまい最後にはチップ内の配線や接続孔を酸化や腐食させてしまって、LSIを劣化させてしまうという問題がある。
【0004】
また、現在のLSIでは,一般的にはチップの側面にはガードリングで、上面はパッシベーション膜を用いて先に述べたような水分や酸化ガスなどの浸入を阻止している。この上面に堆積するパッシベーション膜には、SiN膜(シリコン窒化膜)を用いる場合が多い。しかし、このSiN膜が上記水分や酸化ガスの透過を防止ためには、その膜厚が600nm以上というような厚いものが必要である。そのため、微細化を阻害し、製造コストが高くなるという問題がある。加えて、パッシベーション膜の膜厚が大きいと、段差の大きな配線においては側壁部分の膜厚が薄くなるため、さらに厚く形成しなければならなくなるという悪循環になり、微細化に対してさらに不利になるという問題もある。
【0005】
また、LSIの配線ヒューズにおいて、特に低誘電率の層間絶縁膜を用いた場合には、ブロー前のヒューズ窓を開孔した窓の側壁と底部から、ヒューズ自体が酸化や腐食しやすいという問題がある。また、ヒューズをブローした後で、例えばCu配線の場合にはCu配線が露出されてしまい、ヒューズそのものがすぐに酸化や腐食されるという大きな問題がある。
【0006】
また、LSIの配線でCu配線を最上層に用いた場合には、Cu自体は耐酸化性がないため、ワイアボンディング後のワイアと接続しておらず、Cu表面が露出している部分が酸化されてしまうという問題がある。そこで、これを回避するためにさらにもう一層アルミニウム層を形成することが通常である。そのため、非常に製造コストが高くなるという問題がある。
【0007】
上記のように従来の半導体装置では、水分や酸化ガスなどを透過し易いため、耐水性および耐酸化性が低いという事情があった。
【特許文献1】特開2004−172169号公報 明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、水分や酸化ガスの透過を防止して、耐水性および耐酸化性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の一態様によれば、半導体基板上の素子形成領域を囲むように前記半導体基板上の層間絶縁膜中に設けられ、Cuを主成分とするガードリングと、前記層間絶縁膜とガードリングとの界面に設けられ、前記層間絶縁膜の構成元素と所定の金属元素との化合物を主成分とするバリア膜とを具備する半導体装置を提供できる。
【0010】
この発明の一態様によれば、半導体基板上の素子形成領域を囲むように前記半導体基板上の層間絶縁膜中に設けられ、Cuを主成分とするガードリングと、前記層間絶縁膜とガードリングとの界面に設けられ、前記層間絶縁膜の構成元素と所定の金属元素との化合物を主成分とするバリア膜とを具備する半導体装置を提供できる。
【0011】
この発明の一態様によれば、半導体基板上の層間絶縁膜中に設けられ、Cuを主成分とするヒューズと、前記ヒューズを溶断するために前記ヒューズ上における層間絶縁膜中に設けられたヒューズ溶断用窓と、前記ヒューズ溶断用窓の側壁上および底面上に沿って設けられ、前記層間絶縁膜の構成元素と所定の金属元素との化合物を主成分とするバリア膜とを具備する半導体装置を提供できる。
【0012】
この発明の一態様によれば、半導体基板上の層間絶縁膜中に設けられ、Cuを主成分とする配線層と、前記配線層上に設けられたボンディングワイヤと、前記配線層上およびボンディングワイヤ上を覆うように設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜と前記配線層との界面に設けられ、前記絶縁膜の構成元素と所定の金属元素との化合物を主成分とするバリア膜とを具備する半導体装置を提供できる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、水分や酸化ガスの透過を防止して、耐水性および耐酸化性を向上できる半導体装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。尚、この説明においては、全図にわたり共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0015】
[第1の実施形態(ガードリング)]
まず、この発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、図1および図2を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図である。図2は、図1中の領域20近傍の断面TEM像の顕微鏡写真を示す図である。この実施形態は、半導体チップの中の配線、接続孔、トランジスタ等を外部からの水分および酸化性の気体などから保護するために半導体チップの周辺に設けられるガードリングおよびその製造方法に関する。
【0016】
図示するように、シリコン基板11上に半導体チップ10が設けられている。半導体チップ10上を覆うように、層間絶縁膜14−2上にパッシべーション膜(SiN膜)15が設けられている。尚、基板11上の素子形成領域13における層間絶縁膜12−1中には、トランジスタ等の素子構造が設けられることが通常であるが、ここではその図示を省略している。
【0017】
シリコン基板11上の層間絶縁膜12−1、12−2、14−1中に、素子形成領域13を囲むようにCuを主成分(即ち、50%以上)とするガードリングGR1、GR2が設けられている。ガードリングGR1、GR2は、層間絶縁膜12−1、12−2、14−1中に設けられた配線層21と、この配線層21に連結され電気的に接続されたコンタクトプラグ22とを備えている。層間絶縁膜12−1、12−2、14−1、14−2は、例えば、SiO膜(シリコン酸化膜)あるいはSiOC膜(低誘電率絶縁膜)や多孔質SiOC膜等により形成されている。尚、図示するように、このガードリングGR1、GR2は、多層配線構造を利用して形成されるものである。
【0018】
層間絶縁膜12−1、12−2、14−1とガードリングGR1、GR2との界面に、前記層間絶縁膜12−1、12−2、14−1の構成元素(例えば、Si、O等)と所定の金属元素(例えば、Mn等)との化合物を主成分とするバリア膜19が設けられている。
【0019】
バリア膜19は、本例では、MnSi(マンガンシリコンオキサイド)膜により形成されている。ここで、MnSi膜の組成は、より具体的にはMnSiのx:y:zとして、1:1:3乃至1:3:5、等と表される。
【0020】
ここで、図2に示すように、バリア膜19は、薄膜で且つ均一なMnSi膜であり、その膜厚D1は、2nm〜3nm程度である。また、バリア膜19は、Cu層17中のCu元素の拡散を防止するための拡散バリア膜としても働く。
【0021】
ここで、バリア膜19は、所定の金属元素αと層間絶縁膜12−2、14−1の構成元素との化合物を主成分とし、自己整合的に形成される。
【0022】
尚、この所定の金属元素αは、この実施形態のようにMnに限らず、Nb、Zr、Cr、V、Y、Tc、及びReからなる群から選択された少なくとも1つの元素を具備することができる。
【0023】
層間絶縁膜12−1、12−2、14−1、14−2は、Si、C、及びFからなる群から選択された少なくとも1つの元素とOとを具備することができる。具体的な材料として、例えば、SiO、SiO、SiO、SiO等、を挙げることができる。
【0024】
また、バリア膜19は、α、αSi、α、及びαからなる群から選択された材料を主成分とすることができる。ここで、αは上述の所定の金属元素αを表す。
【0025】
上記のように、このバリア膜(MnSi膜)19は、酸化物であるため、これ以上酸化することもない。そのため、ガードリングGR1、GR2の耐酸化性を向上でき、半導体チップ10中の配線等を酸化から保護できる。また、酸化しない上に連続した緻密な反応生成膜になっているので水分を透過させることもない。そのため、ガードリングGR1、GR2の耐水性を向上できる。
【0026】
<製造方法>
次に、この実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図3乃至図6を用いて説明する。尚、この説明においては、簡単のために層間絶縁膜12−2中のガードリングの一部を例に挙げて説明する。
【0027】
まず、図3に示すように、層間絶縁膜12−2中に、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法等の異方性エッチングを用いて、配線溝と接続孔からなる溝23を形成する。続いて、Cu配線とCu配線プロセスと関連した、例えば、スパッタ法等を用いて、層間絶縁膜12−2上および溝23内に沿って、CuMn層24を堆積する。このCuMn層24を形成する際において、スパッタ用のCuMnターゲットのMn元素の濃度は、例えば、0.05〜10原子%程度である。
【0028】
続いて、図4に示すように、CuMn層24上に、例えば、めっき法を用いて、Cu層25を堆積する。
【0029】
続いて、図5に示すように、CuMn合金層24と絶縁層12−2とが接触した状態で、例えば、200℃〜600℃の温度により30min〜60min間熱処理(アニ−ル)を行うことによって、CuMn合金層24中のMn元素が拡散し、絶縁層12−2中のSi元素、O元素と反応させて、その界面に自己整合的に極薄膜(2nm〜3nm)で均一なMnSi膜(バリア膜)19を形成する。さらに、この工程の際には、絶縁膜12−2に対面するCu層25の表面上に余剰なMnが、上部に移動し表面でアニール雰囲気中の酸素などと反応してMnO層26を形成する。
【0030】
さらに、MnSi膜(バリア膜)19は、CuMn合金層24中のMn濃度に関わらず常に一定の膜厚を保つことが確認されている。これは、均一にMnSi膜19が形成されると、CuMn合金層24中のMnがそれ以上層間絶縁膜12−2中の酸素(O)を取り込む事ができず、反応が止まってしてしまうためであると考えられる。
【0031】
尚、上記熱処理工程の時間の反応条件やMn元素の濃度を選択することによって、CuMn合金層24中のMn元素のほとんど全てを析出することも可能である。この場合には、ガードリングGR1、GR2を、純Cuにより形成することも可能である。
【0032】
続いて、図6に示すように、例えば、化学的機械的研磨方法(chemical mechanical polishing :CMP)法を用いて、Cu層25を層間絶縁膜12−2表面上まで平坦化して、上記MnO層26、余分なCu層25および層間絶縁膜12−2上のバリア膜19を除去する。
【0033】
以上の製造工程を繰り返すことにより、図1および図2に示す半導体装置を製造する。このように、この実施形態に係るガードリングGR1、GR2は、多層配線構造と同様の製造工程で形成できるものである。
【0034】
上記のように、この実施形態に係る構成およびその製造方法によれば、下記(1)乃至(3)の効果が得られる。
【0035】
(1)耐酸化性および耐水性を向上できる。
【0036】
上記熱処理(アニ−ル)を行うことにより、CuMn合金層24中のMn元素と絶縁層12−2中のSi元素,O元素とを反応させて、その界面に自己整合的に極薄膜(2nm〜3nm)で均一なMnSi膜(バリア膜)19を形成する。
【0037】
この熱処理工程によって層間絶縁膜12−2との界面に形成されたMnSi膜(バリア膜)19は、2nm〜3nm程度の極薄膜で均一かつ連続していることが確認されている。ここで、従来のガードリングで用いられている材料はCuが主で、層間絶縁膜との界面には拡散バリア絶縁膜であるTa(タンタル)などの金属が用いられている。そのため、容易に酸素ガスや水分を透過してCuを腐食させるため、ガードリングの耐酸化性および耐水性に乏しいことが知られている。
【0038】
しかし、この実施形態のバリア膜19であるMnSi膜はもともと酸化物なので、これ以上酸化することもない。さらに、酸化しない上に、連続して均一かつ緻密な反応生成膜として形成されるので、酸素ガスや水分を透過させることもない。そのため、Cu層17の腐食を防止して、ガードリングの耐酸化性および耐水性を向上でき、その信頼性を向上できる点で有利である。
【0039】
(2)微細化に対して有利である。
【0040】
上記のように、バリア膜(MnSi膜)19は、耐酸化性および耐水性に優れている。そのため、このバリア膜19をガードリングに適用した場合には、従来チップの周辺にガードリングを何重(例えば、9重)にも配置していたものが、その数を半分以下(例えば、2重程度)と大幅に減らすことが可能になる。
【0041】
そのため、半導体チップ10中のガードリングの専有面積を半分以下にすることができ、微細化に対して有利である。
【0042】
(3)製造コストの面で有利である。
【0043】
上記のように、バリア膜19は、成膜プロセス(例えば、CVD法等)を使用することなく、熱処理工程のみで形成できる。
【0044】
また、バリア膜19を形成する際には、CuMn合金をスパッタ工程のターゲットとして使用可能である。そのため、従来のスパッタ工程用の製造装置をそのまま適用でき、新たな製造装置に対する設備投資の必要がない。そのため、製造コストの面で有利である。
【0045】
[第2の実施形態(側壁バリア膜を備えた例)]
次に、この発明の第2の実施形態に係る半導体装置について、図7を用いて説明する。図7は、この実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。この実施形態は、ダイシングの際にガードリング外側の半導体チップの側面に側壁バリア膜を更に備えるものに関する。この説明において、上記第1の実施形態と重複する部分の説明を省略する。
【0046】
上記第1の実施形態では、バリア膜19をガードリングGR1、GR2に適用する一例を説明した。上記バリア膜19を有するガードリングであれば、1個あれば十分であると考えられるが、万一のために通常2個以上配置しておくと、耐酸化性および耐水性の観点からさらに安心できる。しかし、個数を増すほどその専有面積が増えるため、微細化に不利となる。
【0047】
そこで、本実施形態は、専有面積の増大の不利益を回避するためのものである。図示するように、ダイシングのために、半導体チップのガードリング外側に、層間絶縁膜12−1、12−2、14−1、14−2を貫通するダイシング溝29が設けられている。このダイシング溝29の側壁上および底面上に沿って側壁バリア膜(MnSi膜)30が設けられている点で上記第1の実施形態と相違している。
【0048】
次に、この実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図7に示した半導体装置を例に挙げて、図8乃至図10を用いて説明する。
【0049】
まず、図8に示すように、上記第1の実施形態と同様の製造工程によりガードリングを形成した後の多層配線工程を経たシリコンウエハをパッケージに組み込むために、ダイシングして分ける。このダイシング工程の際には、ダイシングによってクラックが入ったり(膜割れ)、剥がれたりする場合がある。これは、特に層間絶縁膜12−1、12−2、14−1、14−2を低誘電率絶縁膜(SiOC膜)や多孔質SiOC膜等により形成した場合に発生することが多い。
【0050】
そのため、ダイシング工程の前に、パッシべーション膜15および層間絶縁膜14−2、14−1、12−1、12−2を予め除去しておくことが上記クラック防止の観点より有利である。即ち、例えば、RIE法等の異方性エッチングにより、シリコン基板11上まで、パッシべーション膜15および層間絶縁膜14−2、14−1、12−1、12−2を貫通するダイシング溝29を形成する。ここで、このエッチング工程により除去した大きなダイシング溝29の側面には、O(酸素)を含む層間絶縁膜12−1、12−2、14−1、14−2が露出している。
【0051】
続いて、図9に示すように、例えば、スパッタ法等を用いて、パッシべーション膜15上およびダイシング溝29側壁上、底面上に沿って、CuMn層24を堆積する。
【0052】
続いて、図10に示すように、例えば、200℃〜600℃の温度により30min〜60min間熱処理(アニ−ル)を行うことによって、CuMn合金層24中のMn元素と層間絶縁膜14−2、14−1、12−2、12−1中のSi元素、O元素とを反応させて、その界面に自己整合的に極薄膜(2nm〜3nm)で均一なMnSi膜(側壁バリア膜)30を形成する。
【0053】
MnSi膜(側壁バリア膜)30が層間絶縁膜14−2、14−1、12−2、12−1の界面に自己整合的に形成されるのは、MnSi膜30形成に必要な、Si元素,O元素がかかる層間絶縁膜より供給されるからである。
【0054】
以上の製造方法により、図7に示す半導体装置を製造する。
【0055】
上記のように、この実施形態に係る構成およびその製造方法によれば、上記第1の実施形態で説明した(1)〜(3)と同様の効果が得られる。
【0056】
さらに、この実施形態では、ダイシング溝29の側壁上および底面上に沿って側壁バリア膜(MnSi膜)30が更に設けられている。
【0057】
そのため、ダイシング溝29側からの酸素ガスおよび水分の半導体チップ10内への侵入を防止できる。よって、ガードリングGR1、GR2による前に、半導体チップ10の側壁側からの酸素ガスおよび水分の侵入を防止できる。このようにすれば、この側壁の内側にあるガードリングGR1、GR2は無くても良いし、また配置した場合でもその個数は少なくても良い。結果、ガードリングの増加による専有面積の増加を防止でき、微細化できる点で有利である。
【0058】
[変形例1(側壁バリア膜を備えた一例)]
次に、この発明の変形例1に係る半導体装置について、図11を用いて説明する。図11は、この変形例1に係る半導体装置を示す断面図である。この変形例1は、ダイシングの際にガードリング外側の半導体チップの側面に側壁バリア膜を更に備えるものに関する。この説明において、上記第2の実施形態と重複する部分の説明を省略する。
【0059】
図示するように、上記側壁バリア膜30を形成した後に、シリコンウエハをパッケージに組み込むために、ダイシングして分ける。そのため、ダイシング溝29の部分32において、側壁バリア膜29、層間絶縁膜12−1、およびシリコン基板11が分離されている点で上記第2の実施形態と相違している。
【0060】
この部分32から分離するダイシング工程の際には、側壁バリア膜30が設けられているため、溝29からの酸素ガスおよび水分の侵入を防止できる。そのため、この工程の際に、層間絶縁膜12−1、12−2、14−1、14−2にクラックが入ったり(膜割れ)、剥がれたりすることを防止でき、信頼性を向上できる点で有利である。
【0061】
[変形例2(側壁バリア膜を備えた一例)]
次に、この発明の変形例2に係る半導体装置について、図12を用いて説明する。図12は、この変形例2に係る半導体装置を示す断面図である。この変形例2は、ダイシングの際に、ガードリング外側の半導体チップの側面に側壁バリア膜を更に備えるものに関する。この説明において、上記第2の実施形態と重複する部分の説明を省略する。
【0062】
図示するように、ダイシング溝29の側壁上および底面上に沿って、側壁バリア膜30が設けられている。さらに、側壁バリア膜30上に、溝29内を埋め込むように金属層33が設けられている点で上記第2の実施形態と相違している。この金属層30は、例えば、CuやAl等の金属により形成されている。
【0063】
製造方法に関しては、上記第2の実施形態と同様の製造工程により、溝内に沿って側壁バリア膜30を形成する。続いて、側壁バリア膜30上に、例えば、スパッタ法等を用いて、Cu層を堆積し、溝29内に埋め込むことにより、図12に示す半導体装置を製造する。
【0064】
上記のように、この変形例2に係る構成およびその製造方法によれば、上記第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0065】
さらに、この変形例2によれば、側壁バリア膜30上に、溝29内を埋め込むように金属層33が設けられている。そのため、溝29部分の機械的強度を増大でき、層間絶縁膜12−1、12−2、14−1、14−2にクラックが入ったり(膜割れ)、剥がれたりすることを防止でき、信頼性を向上できる点で有利である。
【0066】
[変形例3(クラック防止用の溝を備えた一例)]
次に、この発明の変形例3に係る半導体装置について、図13を用いて説明する。図13は、この変形例3に係る半導体装置を示す断面図である。この変形例2は、ガードリングとダイシングライン上のダイシング溝との間に更にクラック防止用の溝を備えるものに関する。この説明において、上記第2の実施形態と重複する部分の説明を省略する。
【0067】
図示するように、この変形例に係る半導体装置は、以下の点で上記第2の実施形態と相違している。即ち、ガードリングGR1、GR2とダイシングライン上のダイシング溝29との間に、パッシべーション膜15、層間絶縁膜14−2、14−1、11−2を貫通し、層間絶縁膜11−1中に底を有するクラック防止用溝80が設けられている。
【0068】
さらに、クラック防止用溝80の側面上および底面上に沿って、上述した側壁バリア膜(MnSi膜)30が設けられている。製造方法に関しては、上記第2の実施形態と実質的に同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0069】
上記のように、この変形例3に係る構成およびその製造方法によれば、上記第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
さらに、ガードリングGR1、GR2とダイシングライン上のダイシング溝29との間に、パッシべーション膜15、層間絶縁膜14−2、14−1、11−2を貫通し、層間絶縁膜11−1中に底を有するクラック防止用溝80を備えている。
【0071】
そのため、ダイシング溝29側からのクラックが生じた場合であっても、この溝80によって、素子形成領域13側へそのクラックが及ぶことを防止できる点で有効である。
【0072】
さらに、クラック防止用溝80の側面上および底面上に沿って、上述した側壁バリア膜(MnSi膜)30が設けられている。
【0073】
そのため、このクラック防止用溝80からの酸化ガスおよび水分の浸入を防止でき、信頼性を向上できる点で有効である。
【0074】
尚、ダイシングラインには図13に示すようなダイシング溝29が形成されなくても溝80によって素子形成領域13へのクラックの防止は可能である。また、溝80内に金属層等を埋め込むことによっても更に機械的強度を高めることができる。
【0075】
[第3の実施形態(パッシベーション膜の例)]
次に、この発明の第3の実施形態に係る半導体装置について、図14を用いて説明する。この実施形態は、半導体チップ10の表面上を覆うパッシべーション膜に関するものである。この説明において、上記第1の実施形態と重複する部分の説明を省略する。
【0076】
図示するように、層間絶縁膜14−2上に、半導体チップ10表面上を覆うようにパッシべーション膜(MnSi膜)35が設けられている点で上記第1の実施形態と相違している。図中の破線15は、層間絶縁膜14−2上にパッシべーション膜として、プラズマCVD法によりSiN膜15を形成した場合を示している。
【0077】
製造方法に関しては、まず層間絶縁膜14−2上に、例えば、スパッタ法等を用いてCuMn合金層を堆積する。
【0078】
続いて、上記CuMn層と層間絶縁膜14−2とが接した状態で、例えば、200℃〜600℃の温度により30min〜60min間熱処理(アニ−ル)を行うことによって、CuMn合金層中のMn元素と層間絶縁膜14−2中のSi元素、O元素とを反応させて、その界面に自己整合的に極薄膜(2nm〜3nm)で均一なMnSi膜(パッシべーション膜)35を形成する。以上の製造方法により、図14に示す半導体装置を製造する。
【0079】
上記のように、この実施形態に係る構成およびその製造方法によれば、上記第1の実施形態で説明した(1)〜(3)と同様の効果が得られる。
【0080】
さらに、この実施形態では、層間絶縁膜14−2上に、半導体チップ10表面上を覆うようにパッシべーション膜(MnSi膜)35が設けられている。
【0081】
ここで、破線15は、層間絶縁膜14−2上にパッシべーション膜として、プラズマCVD法によりSiN膜15を形成した場合を示している。しかし、このSiN膜15が上記水分や酸素の透過を防止ためには、その膜厚D3が600nm以上必要である一方で、側壁部分の膜厚D2は、非常に薄く形成される。そのため、製造コストが増大し、微細化を阻害している。特に、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の段差の大きな多層配線が配置される場合には、このSiN膜15の膜厚D3をさらに厚く形成しなければならなくなるという悪循環になる。
【0082】
しかし、本例におけるパッシべーション膜(MnSi膜)35の膜厚D1は、上記のように2nm〜3nmの極薄膜である(膜厚:D1<D2<D3)。しかも、上記のように、耐酸化性および耐水性に優れている。結果、SiN膜15の専有面積を除くことができるため、微細化に対してより有利である。
【0083】
さらに、膜厚D1が非常に薄いために、パッシべーション膜35および層間絶縁膜14−2を貫通するパッドを形成する際に、このパッド用の開孔をするエッチング時間を低減でき、エッチングコストを低減できるという製造上のメリットがある。
【0084】
また、パッシべーション膜(MnSi膜)35は、段差の大きな側壁部分においても均一の膜厚D1により形成できる。そのため、DRAM等のその他の様々なデバイスに低コストで適用することができる点で有利である。
【0085】
[変形例4(層間にパッシべーション膜を備えた一例)]
次に、この発明の変形例4に係る半導体装置について、図15を用いて説明する。図15は、この変形例4に係る半導体装置を示す断面図である。この変形例4は、層間に上記パッシべーション膜を設けた場合に関する。この説明において、上記第3の実施形態と重複する部分の説明を省略する。
【0086】
図示するように、シリコン基板11上にトランジスタTRが素子構造の一例として設けられている。トランジスタTRは、基板11上に設けられたゲート絶縁膜39と、ゲート絶縁膜39上に設けられたゲート電極36と、ゲート電極36側壁に設けられたスペーサ37と、ゲート電極36を挟むように基板11中に隔離して設けられたソース/ドレインとを備えている。
【0087】
このトランジスタ等の素子構造上を覆うように、層間絶縁膜12−1が設けられている。
【0088】
そして、層間絶縁膜12−1と層間絶縁膜12−2との間の層間に、パッシべーション膜(MnSi膜)40が設けられている点で上記第3の実施形態と相違している。
【0089】
製造方法に関しては、周知の製造工程によりシリコン基板11上にトランジスタTR等の素子構造を形成した後、トランジスタTR等を覆うように、例えば、CVD法等を用いてSiO膜を堆積し、層間絶縁膜12−1を形成する。
【0090】
続いて、層間絶縁膜12−1上に、例えば、スパッタ法等を用いてCuMn合金層を堆積する。
【0091】
続いて、上記CuMn層と層間絶縁膜12−1とが接した状態で、例えば、200℃〜600℃の温度により30min〜60min間熱処理(アニ−ル)を行うことによって、CuMn合金層中のMn元素と層間絶縁膜12−1中のSi元素、O元素とを反応させて、その界面に自己整合的に極薄膜(2nm〜3nm)で均一なMnSi膜(パッシべーション膜)40を形成する。その後、上記第3の実施形態と同様の製造方法により、図15に示す半導体装置を製造する。
【0092】
上記のように、この実施形態に係る構成およびその製造方法によれば、上記第1の実施形態で説明した(1)〜(3)と同様の効果が得られる。
【0093】
さらに、層間絶縁膜12−1と層間絶縁膜12−2との間の層間に、パッシべーション膜(MnSi膜)40が設けられている。
【0094】
このように、トランジスタTRと配線層の間にパッシべーション膜40を設けることにより、LSIに用いる材料に起因する水分やまたはトランジスタを劣化させる不純物の透過を防止することができる。結果、トランジスタTRの信頼性を著しく向上できることが確認できた。
【0095】
尚、このような層間に設けられたパッシべーション膜40は、トランジスタTR等の素子構造と層間絶縁膜12−1との間に限らず、多層配線層の間に設けることも可能である。この場合には、多層配線層への酸化ガスや水分の侵入を防止して、多層配線の耐酸化性および耐水性を向上できる点で有効である。
【0096】
[第4の実施形態(ヒューズを備えた場合の例)]
次に、この発明の第4の実施形態に係る半導体装置について、図16を用いて説明する。図16は、この実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。この実施形態は、ヒューズを備えた半導体装置に関するものである。この説明において、上記第1の実施形態と重複する部分の説明を省略する。
【0097】
図示するように、この実施形態に係る半導体装置は、以下の点で上記第1の実施形態と相違している。
【0098】
即ち、層間絶縁膜12−2中にヒューズ50が設けられている。このヒューズ50は、例えば、Cuを主成分とした金属等により形成されている。
【0099】
このヒューズ50を溶断するために、ヒューズ50上におけるパッシべーション膜15および層間絶縁膜14−1、14−2が除かれたヒューズ溶断用窓51が設けられている。この溶断用窓51は、ヒューズ50を、例えば、レーザー光等を照射して溶断(ブロー)する場合に、容易に為し得るようにするために設けられるものである。
【0100】
ヒューズ溶断用窓44の露出された層間絶縁膜14−1、14−2上の側壁上および底面上に沿って、バリア膜(MnSi膜)45が設けられている。
【0101】
次に、この実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図16に示した半導体装置を例に挙げて、図17および図18を用いて説明する。
【0102】
まず、図17に示すように、上記同様の工程により、半導体チップ10を形成する。続いて、例えば、RIE法等の異方性エッチングを用いて、ヒューズ50上におけるパッシべーション膜15および層間絶縁膜14−1、14−2を除去し、層間絶縁膜12−2表面上が露出するヒューズ溶断用窓51を形成する。
【0103】
続いて、図18に示すように、溶断用窓51形成により露出した層間絶縁膜14−2、14−1側壁上および層間絶縁膜12−2上に沿って、例えば、スパッタ法等を用いてCuMn合金層を10nm〜30nm程度堆積する。
【0104】
続いて、上記CuMn層と層間絶縁膜14−1、14−2、12−1とが接した状態で、例えば、200℃〜600℃の温度により30min〜60min間熱処理(アニ−ル)を行うことによって、CuMn合金層中のMn元素と層間絶縁膜14−1、14−2、12−1中のSi元素、O元素とを反応させて、その界面に自己整合的に極薄膜(2nm〜3nm)で均一なMnSi膜(バリア膜)45を形成する。以上の製造方法により、図16に示す半導体装置を製造する。
【0105】
上記のように、この実施形態に係る構成およびその製造方法によれば、上記第1の実施形態で説明した(1)〜(3)と同様の効果が得られる。
【0106】
さらに、ヒューズ溶断用窓44の露出された層間絶縁膜14−1、14−2上の側壁上および底面上に沿って、バリア膜(MnSi膜)45が設けられている。
【0107】
そのため、ヒューズ溶断用窓44からの酸化ガスや水分の侵入を防止でき、ヒューズ50の腐食を防止できる。その結果、このようなバリア膜45が設けられた半導体装置によれば、例えば、LSIの製品保障年である10年間放置した場合であってもヒューズ50の腐食等の問題は発生しない。
【0108】
尚、ヒューズ50は、層間絶縁膜12−2中に限らず、その他様々なレイアーで適用される。例えば、GC(Gate conductor )やCu配線などが代表的な例である。そのため、ヒューズ溶断用窓51やバリア膜45も適宜様々な場所に設けられ、この実施形態に示した場合に限られない。
【0109】
[第5の実施形態(溶断後のヒューズを備えた場合の例)]
次に、この発明の第5の実施形態に係る半導体装置について、図19を用いて説明する。図19は、この実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。この実施形態は、溶断後のヒューズを備えた半導体装置に関するものである。この説明において、上記第4の実施形態と重複する部分の説明を省略する。
【0110】
図示するように、この実施形態に係る半導体装置は、層間絶縁膜12−2中に、溶断されて分離されたヒューズ50−1、50−2が設けられている。さらに、溶断された際に露出した層間絶縁膜12−2上およびヒューズ50−1、50−2の端部57上に、上記バリア膜45と連続的に接続されたバリア膜(MnSi膜)47が設けられている点で上記第4の実施形態と相違している。
【0111】
次に、この実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図19に示した半導体装置を例に挙げて、図20乃至図22を用いて説明する。
【0112】
まず、図20に示すように、ヒューズ溶断用窓51から、レーザー等を必要なヒューズに照射し、バリア膜45、層間絶縁膜12−1を貫通して、ヒューズを溶断(ブロー)する。
【0113】
続いて、上記溶断工程により露出した層間絶縁膜12−2表面上およびヒューズ50−1、50−2の端部57上に、例えば、イオン注入法等を用いてMn原子をイオンにして加速させて打ち込む。
【0114】
続いて、図21に示すように、液体である絶縁膜(SiO膜、SiOC膜等)59を露出した層間絶縁膜12−2表面上およびヒューズ50−1、50−2の端部57上に塗布し、このヒューズ溶断後の窓51に埋め込む。
【0115】
続いて、絶縁層59上に沿って、例えば、スパッタ法等を用いてCuMn合金層を10nm〜30nm程度堆積する。
【0116】
続いて、図22に示すように、上記CuMn層と層間絶縁膜12−2、塗布された絶縁膜59とが接した状態で、例えば、200℃〜600℃の温度により30min〜60min間熱処理(アニ−ル)を行うことによって、CuMn合金層中のMn元素と層間絶縁膜12−2、塗布された絶縁膜59中のSi元素、O元素とを反応させて、その界面に自己整合的に極薄膜(2nm〜3nm)で均一なMnSi膜(バリア膜)47を形成する。以上の製造方法により、図19に示す半導体装置を製造する。
【0117】
上記のように、この実施形態に係る構成およびその製造方法によれば、上記第1の実施形態で説明した(1)〜(3)と同様の効果が得られる。
【0118】
さらに、上記のように、上記溶断工程により露出したヒューズ50−1、50−2の端部57上に、例えば、イオン注入法等を用いてMn原子をイオンにして加速させて打ち込む。その後、液体である絶縁膜59を露出したヒューズ50−1、50−2の端部57上に塗布し、上記熱処理工程を行う。
【0119】
そのため、露出した層間絶縁膜12−2上のみならず、露出したヒューズ50−1、50−2の端部57上においてもバリア膜47を形成することができ、ヒューズブロー後の複雑な断面においても全てを覆うようにMnSi膜(バリア膜)47を形成することができる。さらに、このバリア膜47は、溶断用窓51の底部上に沿って設けられた上記バリア膜45と連続的に接続している。
【0120】
この結果、ヒューズ溶断後であっても、ヒューズブロー後の露出した部分からの酸化ガスや水分の浸入を防止でき、分離後のヒューズ50−1、50−2の酸化および腐食を防止することができる点で有利である。また、このバリア膜47は、ヒューズ50−1、50−2の端部57上の以外のところ、即ち、溶断工程により露出された層間絶縁膜12−2上でも形成されるが、バリア膜47が絶縁膜であるため、テバイスの電気特性などにおいて問題などは生じない。
【0121】
尚、上記第4の実施形態に示したように、バリア膜47をヒューズ溶断用窓51の側壁上及び底面上に沿って設けることにより、ヒューズ溶断用窓51部分からの水分や酸化ガスの浸入がなくなり、ヒューズ50そのものや引き回し配線が酸化などを起こすことを防止できる。また、この第5の実施形態に示したように、ヒューズブロー後の露出した部分上にバリア膜47を設けることにより、ブロー後の露出部分から酸化などを進むことを実質的完全に防止することが可能である。そのため、溶断後の分離されたヒューズ50−1、50−2がブロー後も安定した状態を保つことが可能である。
【0122】
[第6の実施形態(パッド部分に適用した一例)]
次に、この発明の第6の実施形態に係る半導体装置について、図23を用いて説明する。この実施形態は、上記第1の実施形態で説明したバリア膜(MnSi膜)をボンディングされたパット部分に適用した例に関するものである。この説明において、上記第1の実施形態と重複する部分の説明を省略する。
【0123】
図示するように、この実施形態に係る半導体装置は、以下の点で上記第1の実施形態に係る半導体装置と相違している。
【0124】
層間絶縁膜12−2中に、Cuを主成分とする複数の配線層75−1〜75−4が設けられ、層間絶縁膜14−1、14−2中に配線層75−1〜75−4と電気的に接続されCuを主成分とする電源層73が設けられている。
【0125】
さらに、電源線73上に、この電源線73に電源電圧等を供給するためのボンディングワイヤ72が設けられ、このボンディングワイヤ72上および電源層73上を覆うように絶縁層71が設けられている。この絶縁層71は、例えば、塗布型のSiO膜等により形成されている。
【0126】
ボンディングワイヤ72と電源層73との界面に、Mn層77が設けられている。絶縁膜71と電源層73との界面にバリア膜(MnSi膜)70が設けられている。
【0127】
次に、この実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図23に示した半導体装置を例に挙げて、図24乃至図28を用いて説明する。
【0128】
まず、図24に示すように、周知の製造工程を用いて、配線層75−1〜75−4、層間絶縁膜14−1、14−2、パッシべーション膜15、および電源層73を形成する。
【0129】
続いて、例えば、RIE法等の異方性エッチングをこの電源層73表面上まで行い、パッシべーション膜15および層間絶縁膜14−2を貫通し、電源層73表面上が露出する開口部を形成する。
【0130】
続いて、図25に示すように、例えば、イオン注入法を用いて、Mn元素55を電源層73上に打ち込み、電源層73表面中にMn層77を形成する。
【0131】
ここで、このイオン注入工程の際には、Mn層77中のMn濃度が、1at%以下であるように制御することが望ましい。Mn元素55が電源層73中に注入されると、電源層(Cu層)73の比抵抗上昇率は、2.8μ ohm cm/ Mn at%であるところ、このパッド部であると抵抗が小さいので、この程度の範囲で抵抗の観点からは問題ないからである。
【0132】
続いて、図26に示すように、ボンディング工程を用いて、Mn層77上にボンディングワイヤ72を形成する。
【0133】
続いて、図27に示すように、ボンディングワイヤ72と接続されておらずMn層77が露出した表面上に、電源層73上を覆うように塗布型のSiO膜またはSiOC膜等を塗布し、絶縁層71を形成する。
【0134】
続いて、図28に示すように、塗布した絶縁膜71に対して、例えば、200℃〜400℃の温度により30min〜60min間熱処理を行い、絶縁層71を焼き固める。
【0135】
この熱処理工程の際に、同時に上記絶縁層71と電源層73との界面に、絶縁膜71中のSi元素、O元素とMn層77中のMn元素とを反応させて、自己整合的に極薄膜(2nm〜3nm)で均一なMnSi膜(バリア膜)70を形成する。以上の製造方法により、図23に示した半導体装置を製造する。
【0136】
上記のように、この実施形態に係る構成およびその製造方法によれば、上記第1の実施形態で説明した(1)〜(3)と同様の効果が得られる。
【0137】
さらに、絶縁膜71と電源層73との界面にバリア膜(MnSi膜)70が設けられている。
【0138】
これにより、酸化に弱い電源層(Cu層)73表面が露出されることがなく、LSIを長期にわたり使用した場合であっても、耐酸化性上および耐水性上の問題の発生を防止できる点で有利である。
【0139】
さらに、従来は電源層73上にアルミニウム層を形成することが通常であるところ、この実施形態に係る半導体装置では、バリア膜70が設けられているため、その必要がない。そのため、アルミニウム層を形成するための成膜工程、リソグラフィー工程、エッチング工程およびその製造装置を削減できるため、製造コストを大幅に低減できる点で有効である。
【0140】
また、バリア膜70を形成するための熱処理工程は、塗布された絶縁膜71を焼き固めるための熱処理工程と兼用することができる。その観点でも、製造コストを低減できる点で有効である。
【0141】
以上、第1乃至第6の実施形態および変形例1乃至変形例4を用いてこの発明の説明を行ったが、この発明は上記各実施形態および各変形例に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記各実施形態および各変形例には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態および各変形例に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図。
【図2】図1中の領域20近傍の断面TEM像の顕微鏡写真を示す図。
【図3】この発明の第1の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図4】この発明の第1の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図5】この発明の第1の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図6】この発明の第1の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図7】この発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図。
【図8】この発明の第2の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図9】この発明の第2の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図10】この発明の第2の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図11】この発明の変形例1に係る半導体装置を示す断面図。
【図12】この発明の変形例2に係る半導体装置を示す断面図。
【図13】この発明の変形例3に係る半導体装置を示す断面図。
【図14】この発明の第3の実施形態に係る半導体装置を示す断面図。
【図15】この発明の変形例4に係る半導体装置を示す断面図。
【図16】この発明の第4の実施形態に係る半導体装置を示す断面図。
【図17】この発明の第4の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図18】この発明の第4の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図19】この発明の第5の実施形態に係る半導体装置を示す断面図。
【図20】この発明の第5の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図21】この発明の第5の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図22】この発明の第5の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図23】この発明の第6の実施形態に係る半導体装置を示す断面図。
【図24】この発明の第6の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図25】この発明の第6の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図26】この発明の第6の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図27】この発明の第6の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【図28】この発明の第6の実施形態に係る半導体装置の一製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
【0143】
10…半導体チップ、11…シリコン基板、12−1、12−2、14−1、14−2…層間絶縁膜(SiO膜)、15…パッシべーション膜(SiN膜)、17…Cu層、18…電源配線、19…バリア膜(MnSi膜)、21…配線層、22…コンタクトプラグ、GR1、GR2…ガードリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上の素子形成領域を囲むように前記半導体基板上の層間絶縁膜中に設けられ、Cuを主成分とするガードリングと、
前記層間絶縁膜とガードリングとの界面に設けられ、前記層間絶縁膜の構成元素と所定の金属元素との化合物を主成分とするバリア膜とを具備すること
を特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板上に設けられた層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に設けられ、前記層間絶縁膜の構成元素と所定の金属元素との化合物を主成分とするパッシベーション膜とを具備すること
を特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体基板上の層間絶縁膜中に設けられ、Cuを主成分とするヒューズと、
前記ヒューズを溶断するために前記ヒューズ上における層間絶縁膜中に設けられたヒューズ溶断用窓と、
前記ヒューズ溶断用窓の側壁上および底面上に沿って設けられ、前記層間絶縁膜の構成元素と所定の金属元素との化合物を主成分とするバリア膜とを具備すること
を特徴とする半導体装置。
【請求項4】
半導体基板上の層間絶縁膜中に設けられ、Cuを主成分とする配線層と、
前記配線層上に設けられたボンディングワイヤと、
前記配線層上およびボンディングワイヤ上を覆うように設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜と前記配線層との界面に設けられ、前記絶縁膜の構成元素と所定の金属元素との化合物を主成分とするバリア膜とを具備すること
を特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記所定の金属元素は、Mn、Nb、Zr、Cr、V、Y、Tc、およびReからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含み、
前記構成元素は、Si、C、及びFからなる群から選択された少なくとも1つの元素とOとを含み、
前記バリア膜および前記パッシベーション膜は、α、αSi、α、およびαからなる群から選択された材料を主成分とし、ここで、αは前記所定の金属元素を表すこと
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2007−12996(P2007−12996A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193965(P2005−193965)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221199)東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 (376)
【Fターム(参考)】