説明

半導体記憶装置

【課題】 より高密度にフューズを配置することを可能にする半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】 下層基板100と、下層基板100上に形成された中間絶縁膜202と、下層基板100上に形成された下層配線層201−1と、中間絶縁膜202上に形成された上層フューズ204−1と、下層配線層201−1と上層フューズ204−1とを電気的に接続するコンタクト配線203−1とを含む配線パターンと、下層基板100上に形成された下層配線層201−2と、中間絶縁膜202上に形成され且つ上層フューズ204−1と幅方向において重ならない領域(照射領域LS)を互いに有する上層フューズ204−2と、下層配線層201−2と上層フューズ204−2とを電気的に接続するコンタクト配線203−2とを含み、上記の配線パターンと所定の距離aを離間して隣り合う配線パターンとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関し、特に半導体記憶装置における冗長用フューズの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(Large Scale Integration:LSI)の高集積化のために、ホトリソグラフィやエッチングなどのような微細加工技術が発展されてきている。それに伴い、動作確認(プロービング)、チップの切り出し、およびパッケージ封入などのような、ウェハプロセスの後工程においても、より精度の高い寸法(位置)制御が必要となってきている。
【0003】
特に、近年の主流である128Mbit(メガ・ビット)以上に高集積化された半導体記憶装置では、1チップあたりの動作不良を起こすメモリセル(以下、不良メモリセルと言う)を含む率が多くなるため、全てのビットを不良無しに動作させることが非常に困難になってきている。
【0004】
不良メモリセルを含むことによる歩留りの低下を抑制するための技術としては、冗長用のメモリセル(スペアセルとも言う。以下、単に冗長メモリセルと言う)を用いる技術が存在する。この技術では、冗長メモリセルを必要なビット数に上乗せして予め形成しておき、不良メモリセルが存在する場合には、この不良メモリセルに代えて冗長メモリセルを使用することにより、必要なビット数を満足する。
【0005】
以上のように不良メモリセルを冗長メモリセルに置き換えるための技術としては、例えばレーザ・リペアを用いた技術が存在する(例えば以下に示す特許文献1参照)。この技術では、不良ビットの存在するアドレスを選択している配線の一部にレーザ光を照射し、その際に発生した熱エネルギーで配線を溶断する。これにより、このアドレスに対する読み出し/書き込みが不可能となる。また、この技術を用いた半導体記憶装置は、溶断された配線に対応するアドレスが選択された場合、読み出し/書き込み不可とされたメモリセルに代わって冗長メモリセルを選択するように、回路的に構成されている。
【0006】
上記構成において、レーザ光により溶断される配線部分(以下、これをフューズと言う)の間隔や幅などの寸法は、レーザ光の照射位置精度や、レーザ・スポットのばらつきや、フューズを覆う上層保護膜の膜厚のばらつき等、種々の要因で決定される。
【0007】
このようなレーザ・リペアを用いた技術は、従来において蓄積されたノウハウを活用することができるため、特に汎用DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような、低コストを要求される素子に多く用いられている。
【0008】
なお、特許文献1には、レーザ光照射時に、フューズより下層の配線や素子にダメージが及ぶことを回避するためにダミー配線を用いる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−114382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年では、メモリデバイスの更なる高集積化に伴い、フューズなどの配線にも、更なる高密度化が要求されている。しかしながら、フューズの幅や隣り合うフューズ間の距離は、レーザ・リペアを行う装置(以下、単にレーザリペア装置と言う)の加工精度によって上限および下限が制限されるため、高密度化に限界が存在するという問題があった。
【0010】
例えばフューズの幅を下限よりも細くした場合、レーザリペア装置が有するレーザ照射位置精度の制約から、フューズを正確に溶断することができない場合がある。また、フューズの幅を上限よりも太くした場合、使用するレーザ光のスポット径の制約から、フューズを溶断することができない場合がある。さらに、フューズ間の距離を下限よりも狭くした場合、溶断時のレーザ光や、この際に発生した熱エネルギー等により、溶断対象のフューズに隣接する他のフューズが溶断してしまう場合がある。
【0011】
その一方で、多くのメモリセルを冗長メモリセルで救済可能とするためには、多くのフューズを半導体記憶装置に搭載させることが必要となる。救済可能なメモリセルの割合が少ないと、不良メモリセルの全てを救済することができない場合があり、このために製品の歩留りが低下してしまう恐れがある。
【0012】
このように、従来では、「多くのメモリセルを救済するためには、多くのフューズが必要となる」という要求と、「レーザリペア装置の加工精度の制約から、フューズの高密度化に制限がある」という要求との、相反する要求が存在した。
【0013】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、より高密度にフューズを配置することを可能にする半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、本発明は、下層基板と、下層基板上に形成された中間絶縁膜と、下層基板上に形成された第1配線層と、中間絶縁膜上に形成された第1フューズと、第1配線層と第1フューズとを電気的に接続する第1コンタクト配線とを含む第1配線パターンと、下層基板上に形成された第2配線層と、中間絶縁膜上に形成され且つ第1フューズと幅方向において重ならない領域を互いに有する第2フューズと、第2配線層と第2フューズとを電気的に接続する第2コンタクト配線とを含み、第1配線パターンと所定の距離を離間して隣り合う第2配線パターンとを有して構成される。
【0015】
幅方向において互いに重ならない第1および第2フューズの各領域は、例えば溶断時のレーザ光の照射領域に設定することができる。この場合、配線パターンのうち、少なくとも隣接する他の配線パターンにおけるレーザ光の照射領域に隣接する部分を層構造における下層に退避させた構造となる。このため、配線パターン間の距離は、隣り合う配線パターン同士ではなく、照射領域とこれが幅方向に隣り合うフューズとに基づいて決定することができる。これにより、フューズを含む配線パターンの密度(例えばパターン間の距離)を大幅に向上することができる。
【0016】
また、本発明は、下層基板と、下層基板上に形成された中間絶縁膜と、下層基板上に形成された第1配線層と、中間絶縁膜上に形成された第1フューズと、第1配線層と第1フューズとを電気的に接続する第1コンタクト配線と、下層基板上に形成された第2配線層と、中間絶縁膜上に形成され且つ第1フューズと幅方向において重ならない第2フューズと、第2配線層と第2フューズとを電気的に接続する第2コンタクト配線とを含み、第1配線パターンと所定の距離を離間して隣り合う第2配線パターンとを有して構成される。
【0017】
幅方向において互いに重ならない第1および第2フューズは、例えば溶断時のレーザ光の照射領域に設定することができる。この場合、配線パターンのうち、少なくともレーザ光の照射領域を層構造における上層に引き回し、他の部分(配線部分)を層構造における下層に退避させた構造となる。このため、配線パターン間の距離は、隣り合う配線パターン同士ではなく、照射領域とこれが幅方向に隣り合う上層フューズとに基づいて決定することができる。これにより、フューズを含む配線パターンの密度(例えばパターン間の距離)を大幅に向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、より高密度にフューズを配置することが可能な半導体記憶装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
まず、本発明による実施例1について図面を用いて詳細に説明する。本実施例では、フューズ部分を含む配線パターンのうち、少なくとも他の配線パターンにおけるレーザ光の照射領域と隣接する部分を層構造における下層に退避させた構造を有する半導体記憶装置を例に挙げて説明する。
【0021】
・全体構成
図1は、本発明の実施例1による半導体記憶装置1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、半導体記憶装置1は、ロウデコーダ11とワードラインドライバ12とメモリセルアレイ13と冗長判定回路20と冗長用ロウデコーダ21と冗長用ワードラインドライバ22と冗長メモリセルアレイ23とを有する。これら、ロウデコーダ11とワードラインドライバ12とメモリセルアレイ13と冗長判定回路20と冗長用ロウデコーダ21と冗長用ワードラインドライバ22と冗長メモリセルアレイ23とは、例えば同一の半導体チップ1Aに形成されている。
【0022】
上記構成において、外部回路、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)から入力されたアドレス(以下、単にアドレスと言う)は、ロウデコーダ11と冗長判定回路20とに入力される。
【0023】
ロウデコーダ11は、アドレスが入力されると、これをデコードする。次に、ロウデコーダ11は、デコードしたアドレスに対応するワードラインを駆動させるためのイネーブル信号(以下、第1イネーブル信号と言う)を生成し、これをワードラインドライバ12へ入力する。ワードラインドライバ12は、第1イネーブル信号が入力されると、アドレスに対応するワードラインを所定の電位に立ち上げる。これにより、メモリセルアレイ13における所定のメモリセル(アドレスが示すメモリセル)に対するデータの読み出し/書き込みが可能となる。
【0024】
また、冗長判定回路20は、入力されたアドレスに応じて冗長メモリセルを使用するか否かを判定するための回路であり、後述する冗長メモリセルアレイ23におけるワードライン(以下、冗長用ワードラインと言う)に一対一に対応するフューズ部(後述する上層フューズ204に相当)24を含んで構成されている。なお、冗長用ワードラインは、後述する冗長メモリセルアレイにおけるいずれかの冗長メモリセルを選択している。
【0025】
この冗長判定回路20には、メモリセルアレイ13に含まれる不良メモリセルを選択しているワードラインに対応するアドレスが予めフューズを用いてプログラムされている。冗長判定回路20は、アドレスが入力されると、この入力されたアドレスとプログラムされているアドレスとを比較し、両者が一致する場合、冗長メモリセルを使用するためのイネーブル信号(以下、第2イネーブル信号と言う)を生成し、これを冗長用ロウデコーダ21に入力する。
【0026】
冗長用ロウデコーダ21は、第2イネーブル信号が入力されると、冗長メモリセルを選択しているワードラインを駆動させるためのイネーブル信号(以下、第3イネーブル信号と言う)を生成し、これを冗長用ワードラインドライバ22に入力する。冗長用ワードラインドライバ22は、第3イネーブル信号が入力されると、冗長メモリセルを選択しているワードライン(以下、冗長ワードラインと言う)を所定の電圧に立ち上げる。これにより、冗長メモリセルアレイ23における所定の冗長メモリセル(不良メモリセルを置き換える冗長メモリセル)に対するデータの読み出し/書き込みが可能となる。
【0027】
・断面構造
次に、本実施例による半導体記憶装置1の層構造を図面と共に詳細に説明する。図2は、半導体記憶装置1の層構造を示す上視図である。ただし、図2では、フューズが配置されている領域(図1における冗長判定回路20のフューズ部24)の一部を抜粋して示す。また、図3(a)は図2におけるI−I’断面図であり、図3(b)は図2におけるII−II’断面図であり、図4は図2におけるIII−III’断面図である。なお、図3(b)および図4では、図3(a)における下層基板100の構造を簡略化してある。
【0028】
図3(a)、図3(b)および図4に示すように、半導体記憶装置1は、下層基板100と、下層基板100上に形成された配線層110と、同じく下層基板100上に形成された下層配線層(第1および第2配線層)201−1〜201−6、…(以下、任意の下層配線層の符号を201とする)と、下層配線層201を埋没させる程度に形成された中間絶縁膜202と、中間絶縁膜202上に形成された上層フューズ(第1および第2フューズ)204−1〜204−6,…(以下、任意の上層フューズの符号を204とする)と、下層配線層201と上層フューズ204とを電気的に接続するコンタクト配線(第1および第2コンタクト配線)203−1〜203−6、…(以下、任意のコンタクト配線を203とする)と、上層フューズ204を覆う上層保護膜205とを有する。
【0029】
上記構成において、上下に位置する下層配線層201および上層フューズ204は対応するパターンであり、これらを図3(b)および図4に示すように、コンタクト配線203で電気的に接続することで、1つの配線パターン(第1および第2配線パターン)が形成される。例えば下層配線層201−1と上層フューズ204−1とは対応しており、これらをコンタクト配線203−1で電気的に接続することで1つの配線パターンが形成されている。
【0030】
下層基板100は、図3(a)に示すように、半導体基板101と、半導体基板101に形成された素子分離絶縁膜102と、半導体基板101における素子分離絶縁膜102で規定されたアクティブ領域に形成されたトランジスタ104と、トランジスタ104を埋没するように半導体基板101上に形成された層間絶縁膜105と、層間絶縁膜105上に形成された配線層107と、トランジスタ104における拡散領域(ソース・ドレイン領域)と配線層107とを電気的に接続するように層間絶縁膜105に形成されたコンタクト配線106と、配線層107を埋没するように層間絶縁膜105上に形成された層間絶縁膜108と、配線層107と層間絶縁膜108上に形成された配線層110とを電気的に接続するように層間絶縁膜108に形成されたコンタクト配線109とを有する。
【0031】
上記のような下層基板100上には、上述したように、配線層110および下層配線層201が形成されている。配線層110および下層配線層201は、例えばポリシリコン(Poly−Si)やポリサイド(タングステンポリサイド:WSi/Poly−Si)などで形成された導電膜である。この配線層110および下層配線層201は、例えば既知のパターニング技術(ホトリソグラフィおよびエッチング)を用いて形成することができる。なお、配線層110および下層配線層201が形成される層間絶縁膜108表面は例えばCMP(Chemical and Mechanical Polishing)法などにより平坦化されていることが好ましい。また、配線層110と下層配線層201とは、電気的に接続されていても良い。
【0032】
層間絶縁膜108上に形成された配線層110および下層配線層201は、中間絶縁膜202により埋没されている。すなわち、層間絶縁膜108上には、配線層110および下層配線層201を埋没させる程度に中間絶縁膜202が形成される。この中間絶縁膜202は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて酸化シリコン(SiOx)を堆積させることで形成された絶縁膜である。また、中間絶縁膜202表面は例えばCMP法などにより平坦化されていることが好ましい。
【0033】
中間絶縁膜202には、例えば既知のホトリソグラフィおよびエッチングにより開口部が下層配線層201と位置合わせされつつ形成される。この開口部にはタングステン(W)や銅(Cu)などの導電体を充填することでコンタクト配線203が形成される。このコンタクト配線203は、開口部内に、例えばCVD法にてタングステン(W)などを充填するか、例えばメッキ法にて銅(Cu)などを充填することで形成することができる。
【0034】
また、中間絶縁膜202上には、上層フューズ204がコンタクト配線203と位置合わせされつつ形成される。この上層フューズ204は、例えばポリシリコンやポリサイドなどで形成された導電膜であり、既知のパターニング技術(ホトリソグラフィおよびエッチング)を用いて形成することができる。
【0035】
以上のように形成された上層フューズ204は、上層保護膜205により覆われる。また、上層保護膜205は、露出している中間絶縁膜202上にも形成されている。この上層保護膜205は、例えばプラズマCVD法などを用いて形成されたP−TEOS(プラズマテオス)膜よりなる絶縁膜であり、塵・ゴミや、物理的または電気的な衝撃などから上層フューズ204を保護すると共に、他の上層フューズ204に照射されたレーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーから上層フューズ204を保護するための膜である。また、上層保護膜205は、レーザ・リペアを用いる場合、レーザ光を配線まで到達させ易く、且つ熱エネルギーにより溶解した配線が飛散し易いように、適切な膜厚に調整されている必要がある。
【0036】
上記構成において、下層配線層201と上層フューズ204とコンタクト配線203とから構成される配線パターンは、図1における冗長判定回路20に含まれるフューズ部24を構成する。この配線パターンは、冗長判定回路20における救済の有無を判定する回路(図示せず)と、冗長判定回路20の後段に設けられた冗長用ロウデコーダ21とを接続する配線の一部として形成されている。
【0037】
・配線パターンのレイアウト
ここで、図2から図4を用いて、下層配線層201と上層フューズ204とコンタクト配線203とからなる配線パターンのレイアウトについて説明する。なお、図2では、構成の明確化のため、上層フューズ204の幅(図面中、横方向)を下層配線層201の幅よりも太くして図示する。ただし、本発明では、これに限定されず、例えば上層フューズ204と下層配線層201との幅が略同一若しくは下層配線層201の幅が上層フューズ204の幅よりも狭くても広くてもよい。
【0038】
図3(a)、図3(b)および図4を用いて説明したように、個々の配線パターンは、下層基板100上(これを下層とする)に形成された下層配線層201と、中間絶縁膜202上(これを上層とする)に形成された上層フューズ204とが、中間絶縁膜202内に形成されたコンタクト配線203により接続された構造である。これは、ある配線パターンのうち、少なくとも隣接する他の配線パターンにおけるレーザ光の照射領域LSに隣接する部分を層構造における下層に退避させた構造である。
【0039】
図2に示すレイアウト例では、レーザ光の照射領域LSが、配線パターンの延在方向(図2中縦方向)と垂直(ただし、紙面と平行)に、図面中上下2列に配列されている。各配線パターンにおける照射領域LSは、図面中上下交互に設定されている。これに伴い、照射領域LSが設定される上層フューズ204も、千鳥状に、図面中上下交互に配置されている。このため、ある配線パターンの上層フューズ204における照射領域LSの幅方向における隣には、隣の配線パターンではなく、さらに隣の配線パターンにおける上層フューズ204が配置される。例えば上層フューズ204−1における照射領域LSの幅方向における隣には、上層フューズ204−2ではなく、上層フューズ204−3が配置される(例えば図2における切断面I−I’参照)。なお、隣り合う配線パターンにおける上層フューズ204は、その一部(照射領域LS以外の領域)が幅方向において重なっていてもよい(例えば図2における切断面II−II’参照)。ただし、隣り合う配線パターンにおける上層フューズ204同士が幅方向において完全に重ならない構成は、後述する実施例2と同様であるため、本実施例では、その一部(コンタクト配線203との接続部分)が幅方向において重なる場合を例示する。
【0040】
以上のように、一つおきの上層フューズ204が幅方向に隣り合う構成とした場合、配線パターン間の距離は、隣り合う配線パターン同士ではなく、照射領域LSとこれが幅方向に隣り合う上層フューズ204とに基づいて決定することができる。すなわち、一つおきに配列された配線パターンのみで決定することができる。例えば図2に示す例では、図面中上側に配置された上層フューズ204−1、204−3、204−5それぞれの間の距離が、レーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーが他の上層フューズ204に影響(例えば溶断)を与えない程度の距離となるように設計すればよい。同様に、図2中下側に配置された上層フューズ204−2、204−4、204−6それぞれの間の距離は、レーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーが他の上層フューズ204に影響(例えば溶断)を与えない程度の距離となるように設計すればよい。ただし、一つおきの配線パターン間の距離は、溶断時にレーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーが一つおきの配線パターンにおける上層フューズ204に影響(例えば溶断)を与えない程度の距離に設定する必要がある。本説明では、この距離をaとする。
【0041】
なお、隣り合う配線パターン(例えば上層フューズ204−1を含む配線パターンと上層フューズ204−2を含む配線パターン)間の距離は、設計上の観点から、距離aの半分(a/2)に設定することは好ましい。
【0042】
また、下層配線層201は、以上のような上層フューズ204の配置に応じて、図2に示すように、千鳥状に、図面中上下交互に配置することができる。ただし、下層配線層201の配置は、上層フューズ204の配置を逆にした配置である。例えば、図2に示すように、一つおきに配置された上層フューズ204−1、204−3、204−5を図面中上段に配置し且つ残りの上層フューズ204−2、204−4、204−6を図面中下段に配置した場合、図面中上段に配置された上層フューズ204−1、204−3、204−5に対応する下層配線層201−1、201−3、201−5は図面中下段に配置され且つ図面中下段に配置された上層フューズ204−2、204−4、204−6に対応する下層配線層201−2、201−4、201−6は図面中上段に配置される。
【0043】
また、対応する上層フューズ204と下層配線層201とは、中間絶縁膜202を挟んで一部が重畳している。この重畳部分には、図2、図3(b)および図4に示すように、コンタクト配線203が形成されており、これにより、対応する上層フューズ204と下層配線層201とが電気的に接続されている。例えば対応する構成である上層フューズ204−1と下層配線層201−1とが形成する重畳部分の中間絶縁膜202にはコンタクト配線203−1が形成されており、このコンタクト配線203−1により上層フューズ204−1と下層配線層201−1とが電気的に接続されている。
【0044】
さらに、上層フューズ204は、図3(a)、図3(b)および図4に示すように、上層保護膜205に覆われている。この上層保護膜205の膜厚は、レーザ光を上層フューズ204まで到達させ易く、且つ熱エネルギーにより溶解した上層フューズ204が飛散し易いような膜厚に調整されることが好ましい。なお、この膜厚の算定方法は公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、上層保護膜205は、上層フューズ204表面だけでなく、図3(a)および図3(b)に示すように、露出した中間絶縁膜202上にまで形成されていても良い。
【0045】
以上のように形成された上層フューズ204は、図示しないレーザリペア装置を用いて照射領域LSにレーザ光を照射することで溶断することができる。
【0046】
・作用効果
以上のように、本実施例では、ある配線パターンのうち、少なくとも隣接する他の配線パターンにおけるレーザ光の照射領域に隣接する部分を層構造における下層に退避させた構造を有する。言い換えれば、ある配線パターンにおける上層フューズが、隣り合う配線パターンにおける上層フューズと幅方向において重ならない領域を互いに有する。例えば図2に示す例では、一つおきの上層フューズ204が幅方向に隣り合う構成を有する。このため、配線パターン間の距離は、隣り合う配線パターン同士ではなく、照射領域LSとこれが幅方向に隣り合う上層フューズ204とに基づいて決定することができる。すなわち、例えば図2に示す例では、一つおきに配列された配線パターンのみで決定することができる。これにより、フューズを含む配線パターンの密度(例えばパターン間の距離)を大幅に向上することができる。以下、これを図面と共に説明する。なお、以下の説明では、図5および図6に示すような比較例1、2を挙げて説明する。
【0047】
図5(a)は比較例1として例示するフューズのレイアウトを示す上視図であり、図5(b)は図5(a)のIV−IV’断面図である。
【0048】
図5(a)および図5(b)に示すように、比較例1による半導体記憶装置は、下層基板100上(具体的には層間絶縁膜108上)に形成されたフューズ801−1〜801−6、…(以下、任意のフューズの符号を801とする)と、フューズ801を覆う上層保護膜805とを有する。なお、下層基板100は、図3(a)に示す下層基板100と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0049】
上記構成において、フューズ801は直線状の形状を有する。このため、レーザ光の照射領域LSが隣のフューズ801に近接している。そこで、隣り合うフューズ801同士は、一方をレーザ・リペアする際に照射されたレーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーにより他方が影響(例えば溶断)されないように、適切な距離aを隔てて配置される必要がある。
【0050】
また、図6(a)は比較例2として例示するフューズのレイアウトを示す上視図であり、図6(b)は図6(a)のV−V’断面図である。
【0051】
図6(a)および図6(b)に示すように、比較例2による半導体記憶装置は、下層基板100上(具体的には層間絶縁膜108上)に形成されたフューズ901−1〜901−6、…(以下、任意のフューズの符号を901とする)と、フューズ901を覆う上層保護膜905とを有する。なお、下層基板100は、図3(a)に示す下層基板100と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0052】
上記構成において、フューズ901は、2つの直線状の部分を有し、これらがZ字状につながり合った形状を有する。2つの直線状の部分のうち一方は、レーザ光の照射領域LSが設定される。また、隣り合う2つのフューズ901をペアとすると、このペアを成す2つのフューズ901において、照射領域LSが設定された直線状の部分は、同じ側(図面中、上側または下側)に配置される。さらに、照射領域LSが設定されていない直線状の部分同士が平行に接近すると共に、照射領域LSが設定された直線状の部分同士が適切な距離aを隔てるように配置される。例えばフューズ901−1および901−2に着目し、これらがペアを成すと仮定すると、フューズ901−1および901−2において、照射領域LSが設定された直線状の部分は同じ側(図面中、上側)に配置され、照射領域LSが設定されていない直線状の部分同士は近接し、照射領域LSが設定された直線状の部分同士は適切な距離aを隔てている。
【0053】
さらにまた、隣り合うペアでは、照射領域LSが設定された直線状の部分と、照射領域LSが設定されていない直線状の部分との位置が逆になっている。例えばペアを成すフューズ901−1および901−2と、同じくペアを成すフューズ901−3および901−4とに着目すると、フューズ901−1および901−2では、照射領域LSが設定された直線状の部分が図6(a)中上側に配置され且つ照射領域LSが設定されていない直線状の部分が図6(a)中下側に配置されているのに対し、フューズ901−3および901−4では、照射領域LSが設定された直線状の部分が図6(a)中下側に配置され且つ照射領域LSが設定されていない直線状の部分が図6(a)中上側に配置されている。さらにまた、隣り合うペアにおいて、一方のペアにおける照射領域LSが設定された直線状の部分は、他方のペアにおける照射領域LSが設定されていない直線状の部分から適切な距離aを隔てて配置されている。
【0054】
ここで、本発明の実施例1による上層フューズ204並びに、比較例1および2によるフューズ801および901のそれぞれの幅を1.0μmと仮定し、この寸法並びにレーザ光の波長およびエネルギーに基づいて算定される適切な距離aを2.5μmと仮定する。このように仮定した場合、比較例1では例えば6本のフューズ801をレイアウトした際の全体の幅は図5(a)に示すように18.5μmとなり、比較例2では例えば6本のフューズ901をレイアウトした際の全体の幅は図6(a)に示すように17.0μmとなる。これに対し、本実施例では例えば6本の上層フューズ204をレイアウトした際の全体の幅は図7に示すように9.75μmとなる。
【0055】
また、以上のように仮定した場合、例えば0.64μmの周期でメモリセルが配置されているとすると、比較例1では28本(=18.5[μm]/0.64[μm])に6本の割合でフューズ801を配置することが可能となり、比較例2では26本(=17.0[μm]/0.64[μm])に6本の割合でフューズ901を配置することが可能となるのに対し、本実施例では15本(=9.75[μm]/0.64[μm])に6本の割合で上層フューズ204を配置することが可能となる。
【0056】
また、例えば0.32μmの周期でメモリセルが配置されているとすると、比較例1では57本(=18.5[μm]/0.32[μm])に6本の割合でフューズ801を配置することが可能となり、比較例2では53本(=17.0[μm]/0.32[μm])に6本の割合でフューズ901を配置することが可能となるのに対し、本実施例では30本(=9.75[μm]/0.32[μm])に6本の割合で上層フューズ204を配置することが可能となる。これらを、以下の表1にまとめる。
【0057】
【表1】

【0058】
以上の説明および表1から明らかなように、本実施例では、フューズ(上層フューズ)を含む配線パターン間の距離を大幅に狭めることが可能となるため、より多くのフューズを半導体記憶装置1に搭載することが可能となる。この結果、救済可能なメモリセルの割合を上昇させることが可能となり、製品の歩留りを向上することができる。
【0059】
例えば図5から図8および表1を用いて説明した例では、フューズ若しくは上層フューズの本数を6本とした場合、比較例1及び2と比較して、救済対象とすべきメモリセルの数を約53〜54%程度縮小することができる。すなわち、同一範囲内に、約2倍のフューズ(上層フューズ)を配置することが可能となる。
【0060】
なお、上記では、照射領域LSを上層フューズ204の幅方向に2列(例えば図2参照)に配置した場合を例に挙げたが、本実施例はこれに限定されず、これを上層フューズ204の幅方向に3列以上に配置することも可能である。例えば図8には、照射領域LSを上層フューズ204の幅方向に3列に配置した場合の構成を示す。
【0061】
図8に示す例(これを半導体記憶装置1’とする)では、半導体記憶装置1における下層配線層201−1〜201−6、…が下層配線層201’−1〜201’−6、…(以下、任意の下層配線層の符号を201’とする)に置き換えられ、上層フューズ204−1〜204−6,…が上層フューズ204’−1〜204’−6,…(以下、任意の上層フューズの符号を204’とする)に置き換えられ、コンタクト配線203−1〜203−6、…がコンタクト配線203’−1〜203’−6、…(以下、任意のコンタクト配線を203’とする)に置き換えられた構成を有する。他の構成は、半導体記憶装置1(図2参照)と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0062】
図8に示すように、照射領域LSを上層フューズ204の幅方向に3列に配置した場合、配線パターン間の距離を隣り合う配線パターン同士ではなく照射領域LSとこれが幅方向に隣り合う上層フューズ204とに基づいて決定することができることから、二つおきに配列された配線パターンのみで決定することができる。これにより、フューズを含む配線パターンの密度(例えばパターン間の距離)を大幅に向上することができる。
【0063】
同様に、例えば、照射領域LSを上層フューズ204の幅方向にn(nは4以上の整数)列に配置した場合、配線パターン間の距離を隣り合う配線パターン同士ではなく照射領域LSとこれが幅方向に隣り合う上層フューズ204とに基づいて決定することができることから、n−1つおきに配列された配線パターンのみで決定することができる。これにより、フューズを含む配線パターンの密度(例えばパターン間の距離)を大幅に向上することができる。
【実施例2】
【0064】
次に、本発明の実施例2について図面を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明において、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、特記しない構成に関しては実施例1と同様である。
【0065】
まず、本発明による実施例1について図面を用いて詳細に説明する。本実施例では、フューズ部分を含む配線パターンのうち、少なくともレーザ光の照射領域を層構造における上層に引き回し、他の部分(配線部分)を層構造における下層に退避させた構造を有する半導体記憶装置を例に挙げて説明する。
【0066】
・全体構成
本実施例による半導体記憶装置2の全体構成は、実施例1による半導体記憶装置1の全体構成(図1参照)と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0067】
・断面構造
次に、本実施例による半導体記憶装置2の層構造を図面と共に詳細に説明する。図9は、半導体記憶装置2の層構造を示す上視図である。ただし、図9では、フューズが配置されている領域(図1における冗長判定回路20のフューズ部24)の一部を抜粋して示す。また、図10(a)は図9におけるVI−VI’断面図であり、図10(b)は図9におけるVII−VII’断面図であり、図11は図9におけるVIII−VIII’断面図である。なお、下層基板100は、実施例1(図3(a)参照)と同様であるため、図10(a)、図10(b)および図11では、その構造を簡略化してある。
【0068】
図10(a)、図10(b)および図11に示すように、半導体記憶装置2は、下層基板100と、下層基板100上に形成された配線層110と、同じく下層基板100上に形成された下層配線層(第1〜第3配線層)301−1〜301−6、…(以下、任意の下層配線層の符号を301とする)と、下層配線層301を埋没させる程度に形成された中間絶縁膜302と、中間絶縁膜302上に形成された上層フューズ(第1〜第3フューズ)304−1〜304−6,…(以下、任意の上層フューズの符号を304とする)と、下層配線層301と上層フューズ304とを電気的に接続するコンタクト配線(第1〜第3コンタクト配線)303−1〜303−6、…(以下、任意のコンタクト配線を303とする)と、上層フューズ304を覆う上層保護膜305とを有する。
【0069】
上記構成において、上下に位置する下層配線層301および上層フューズ304は対応するパターンであり、これらを図10(b)および図11に示すように、コンタクト配線303で電気的に接続することで、1つの配線パターンが形成される。例えば下層配線層301−1と上層フューズ304−1とは対応しており、これらをコンタクト配線303−1で電気的に接続することで1つの配線パターン(第1〜第3配線パターン)が形成されている。同様に、例えば下層配線層301−2aおよび301−2bと上層フューズ304−2とは対応しており、これらをコンタクト配線303−2aおよび303−2bでそれぞれ電気的に接続することで1つの配線パターンが形成されている。
【0070】
下層配線層301は、例えばポリシリコン(Poly−Si)やポリサイド(タングステンポリサイド:WSi/Poly−Si)などで形成された導電膜である。この下層配線層301は、例えば既知のパターニング技術(ホトリソグラフィおよびエッチング)を用いて形成することができる。なお、この下層配線層301は配線層110と電気的に接続されていても良い。
【0071】
層間絶縁膜108上に形成された配線層110および下層配線層301は、中間絶縁膜302により埋没されている。すなわち、層間絶縁膜108上には、配線層110および下層配線層301を埋没させる程度に中間絶縁膜302が形成される。この中間絶縁膜302は、例えばCVD法などを用いて酸化シリコン(SiOx)を堆積させることで形成された絶縁膜である。また、中間絶縁膜302表面は例えばCMP法などにより平坦化されていることが好ましい。
【0072】
中間絶縁膜302には、例えば既知のホトリソグラフィおよびエッチングにより開口部が下層配線層301と位置合わせされつつ形成される。この開口部にはタングステン(W)や銅(Cu)などの導電体を充填することでコンタクト配線303が形成される。このコンタクト配線303は、開口部内に、例えばCVD法にてタングステン(W)などを充填するか、例えばメッキ法にて銅(Cu)などを充填することで形成することができる。
【0073】
また、中間絶縁膜302上には、上層フューズ304がコンタクト配線303と位置合わせされつつ形成される。この上層フューズ304は、例えばポリシリコンやポリサイドなどで形成された導電膜であり、既知のパターニング技術(ホトリソグラフィおよびエッチング)を用いて形成することができる。
【0074】
以上のように形成された上層フューズ304は、上層保護膜305により覆われる。また、上層保護膜305は、露出している中間絶縁膜302上にも形成されている。この上層保護膜305は、例えばプラズマCVD法などを用いて形成されたP−TEOS膜よりなる絶縁膜であり、塵・ゴミや、物理的または電気的な衝撃などから上層フューズ304を保護すると共に、他の上層フューズ304に照射されたレーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーから上層フューズ304を保護するための膜である。また、上層保護膜305は、レーザ・リペアを用いる場合、レーザ光を配線まで到達させ易く、且つ熱エネルギーにより溶解した配線が飛散し易いように、適切な膜厚に調整されている必要がある。
【0075】
上記構成において、下層配線層301と上層フューズ304とコンタクト配線303とから構成される配線パターンは、実施例1と同様に、図1における冗長判定回路20に含まれるフューズ部24を構成する。この配線パターンは、冗長判定回路20における救済の有無を判定する回路(図示せず)と、冗長判定回路20の後段に設けられた冗長用ロウデコーダ21とを接続する配線の一部として形成されている。
【0076】
・配線パターンのレイアウト
ここで、図9から図11を用いて、下層配線層301と上層フューズ304とコンタクト配線303とからなる配線パターンのレイアウトについて説明する。
【0077】
図10(a)、図10(b)および図11を用いて説明したように、個々の配線パターンは、下層基板100上(これを下層とする)に形成された下層配線層301と、中間絶縁膜302上(これを上層とする)に形成された上層フューズ304とが、中間絶縁膜302内に形成されたコンタクト配線303により接続された構造である。これは、ある配線パターンのうち、少なくともレーザ光の照射領域LSを層構造における上層に引き回し、他の部分(配線部分)を層構造における下層に退避させた構造である。
【0078】
図9に示すレイアウト例では、レーザ光の照射領域LSが、配線パターンの延在方向(図9中縦方向)と垂直(ただし、紙面と平行)に、図面中上中下3列に配列されている。各配線パターンにおける照射領域LSは、図面中上中下を順に繰り返すように設定されている。これに伴い、照射領域LSが設定される上層フューズ304も、図面中上中下を順に繰り返すように配置されている。このため、ある配線パターンの上層フューズ304における照射領域LSの幅方向における隣には、隣または一つおきの配線パターンではなく、二つおきの配線パターンにおける上層フューズ304が配置される。例えば上層フューズ304−1における照射領域LSの幅方向における隣には、上層フューズ304−2および304−3ではなく、上層フューズ304−4が配置される。なお、隣り合う配線パターンにおける上層フューズ304同士は、幅方向において完全に重ならないように配置されている。
【0079】
以上のように、二つおきの上層フューズ304が幅方向に隣り合う構成とした場合、配線パターン間の距離は、隣り合う配線パターン同士ではなく、照射領域LSとこれが幅方向に隣り合う上層フューズ304とに基づいて決定することができる。すなわち、二つおきに配列された配線パターンのみで決定することができる。例えば図9に示す例では、図面中上側に配置された上層フューズ304−1、304−4の間の距離が、レーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーが他方の上層フューズ304に影響(例えば溶断)を与えない程度の距離となるように設計すればよい。同様に、図9中下側に配置された上層フューズ304−3、304−6の間の距離は、レーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーが他方の上層フューズ304に影響(例えば溶断)を与えない程度の距離となるように設計すればよい。さらに同様に、図9中、上側と下側との間(中側と言う)に配置された上層フューズ304−2、304−5の間の距離は、レーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーが他方の上層フューズ304に影響(例えば溶断)を与えない程度の距離となるように設計すれば良い。ただし、二つおきの配線パターン間の距離は、溶断時にレーザ光およびこれにより生じた熱エネルギーが一つおきの配線パターンにおける上層フューズ304に影響(例えば溶断)を与えない程度の距離aに設定する必要がある。
【0080】
なお、隣り合う配線パターン(例えば上層フューズ304−1を含む配線パターンと上層フューズ304−2を含む配線パターン)間の距離は、設計上の観点から、距離aの3分の1(a/3)に設定することは好ましい。
【0081】
また、下層配線層301は、以上のような上層フューズ304の配置に応じて、図9に示すように、上層フューズ304の有無を反転させた配置である。例えば、図9に示すように、二つおきに配置された上層フューズ304−1、304−4を図面中上段に配置し、同じく二つおきに配置された上層フューズ304−3、304−6を図面中下段に配置し、さらに残りの上層フューズ304−2、304−5を図面中上段と中段との間に配置した場合、図面中上段に配置された上層フューズ304−1、304−4に対応する下層配線層301−1、301−4は図面中中段から下段に配置され、図面中下段に配置された上層フューズ304−3、304−6に対応する下層配線層301−3、301−6は図面中中段から上段に配置され、さらに図面中中段に配置された上層フューズ304−2、304−5に対応する下層配線層301−2aおよび301−2b、301−5および301−5aおよび301−5bは図面中上段および下段に配置される。
【0082】
また、対応する上層フューズ304と下層配線層301とは、中間絶縁膜302を挟んで一部が重畳している。この重畳部分には、図9、図10(b)および図11に示すように、コンタクト配線303が形成されており、これにより、対応する上層フューズ304と下層配線層301とが電気的に接続されている。例えば対応する構成である上層フューズ304−1と下層配線層301−1とが形成する重畳部分の中間絶縁膜302にはコンタクト配線303−1が形成されており、このコンタクト配線303−1により上層フューズ304−1と下層配線層301−1とが電気的に接続されている。また、例えば対応する構成である上層フューズ304−2と下層配線層301−2とが形成する重畳部分の中間絶縁膜302にはコンタクト配線303−2aおよび303−2bがそれぞれ形成されており、このコンタクト配線303−2aおよび303−2bにより上層フューズ304−2と下層配線層301−2とが電気的に接続されている。
【0083】
さらに、上層フューズ304は、図10(a)、図10(b)および図11に示すように、上層保護膜305に覆われている。この上層保護膜305の膜厚は、レーザ光を上層フューズ304まで到達させ易く、且つ熱エネルギーにより溶解した上層フューズ304が飛散し易いような膜厚に調整されることが好ましい。なお、この膜厚の算定方法は公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、上層保護膜305は、上層フューズ304表面だけでなく、図10(a)および図10(b)に示すように、露出した中間絶縁膜302上にまで形成されていても良い。
【0084】
以上のように形成された上層フューズ304は、図示しないレーザリペア装置を用いて照射領域LSにレーザ光を照射することで溶断することができる。
【0085】
・作用効果
以上のように、本実施例では、ある配線パターンのうち、少なくともレーザ光の照射領域LSを層構造における上層に引き回し、他の部分(配線部分)を層構造における下層に退避させた構造を有する。言い換えれば、ある配線パターンにおける上層フューズが、隣り合う配線パターンにおける上層フューズと幅方向において重ならない。例えば図9に示す例では、二つおきの上層フューズ304が幅方向に隣り合う構成を有する。このため、配線パターン間の距離は、隣り合う配線パターン同士ではなく、照射領域LSとこれが幅方向に隣り合う上層フューズ304とに基づいて決定することができる。すなわち、例えば図9に示す例では、二つおきに配列された配線パターンのみで決定することができる。これにより、フューズを含む配線パターンの密度(例えばパターン間の距離)を大幅に向上することができる。以下、これを図面と共に説明する。なお、以下の説明では、実施例1において図5および図6を用いて例示した比較例1、2と対比させて説明する。
【0086】
ここで、実施例1と同様に、本発明の実施例2による上層フューズ304並びに、比較例1および2によるフューズ801および901のそれぞれの幅を1.0μmと仮定し、この寸法並びにレーザ光の波長およびエネルギーに基づいて算定される適切な距離aを2.5μmと仮定する。このように仮定した場合、比較例1では、上述したように、例えば6本のフューズ801をレイアウトした際の全体の幅は図5(a)に示すように18.5μmとなり、比較例2では例えば6本のフューズ901をレイアウトした際の全体の幅は図6(a)に示すように17.0μmとなる。これに対し、本実施例では例えば6本の上層フューズ304をレイアウトした際の全体の幅は図12に示すように6.5μmとなる。
【0087】
また、以上のように仮定した場合、例えば0.64μmの周期でメモリセルが配置されているとすると、比較例1では28本(=18.5[μm]/0.64[μm])に6本の割合でフューズ801を配置することが可能となり、比較例2では26本(=17.0[μm]/0.64[μm])に6本の割合でフューズ901を配置することが可能となるのに対し、本実施例では10本(=6.5[μm]/0.64[μm])に6本の割合で上層フューズ304を配置することが可能となる。
【0088】
また、例えば0.32μmの周期でメモリセルが配置されているとすると、比較例1では57本(=18.5[μm]/0.32[μm])に6本の割合でフューズ801を配置することが可能となり、比較例2では53本(=17.0[μm]/0.32[μm])に6本の割合でフューズ901を配置することが可能となるのに対し、本実施例では20本(=6.5[μm]/0.32[μm])に6本の割合で上層フューズ304を配置することが可能となる。これらを、以下の表2にまとめる。
【0089】
【表2】

【0090】
以上の説明および表2から明らかなように、本実施例では、フューズ(上層フューズ)を含む配線パターン間の距離を大幅に狭めることが可能となるため、より多くのフューズを半導体記憶装置2に搭載することが可能となる。この結果、救済可能なメモリセルの割合を上昇させることが可能となり、製品の歩留りを向上することができる。
【0091】
例えば図9から図12および表2を用いて説明した例では、フューズ若しくは上層フューズの本数を6本とした場合、比較例1及び2と比較して、救済対象とすべきメモリセルの数を約35〜36%程度縮小することができる。すなわち、同一範囲内に、約3倍のフューズ(上層フューズ)を配置することが可能となる。
【0092】
なお、上記では、照射領域LSを上層フューズ304の幅方向に4列(例えば図9参照)に配置した場合を例に挙げたが、本実施例はこれに限定されず、これを上層フューズ304の幅方向に2列若しくは4列以上に配置することも可能である。
【0093】
また、上記実施例1および実施例2は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施例1による半導体記憶装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1による半導体記憶装置1の層構造を示す上視図である。
【図3】(a)は図2におけるI−I’断面の構造を示す図であり、(b)は図2におけるII−II’断面の構造を示す図である。
【図4】図2におけるIII−III’断面の構造を示す図である。
【図5】(a)は本発明で挙げる比較例1による半導体記憶装置の層構造を示す上視図であり、(b)は(a)のIV−IV’断面の構造を示す図である。
【図6】(a)は本発明で挙げる比較例2による半導体記憶装置の層構造を示す上視図であり、(b)は(a)のV−V’断面の構造を示す図である。
【図7】本発明の実施例1による配線パターンの寸法例を示す上視図である。
【図8】本発明の実施例1の変形例による半導体記憶装置1’の層構造を示す上視図である。
【図9】本発明の実施例2による半導体記憶装置2の層構造を示す上視図である。
【図10】(a)は図9におけるVI−VI’断面の構造を示す図であり、(b)は図9におけるVII−VII’断面の構造を示す図である。
【図11】図9におけるVIII−VIII’断面の構造を示す図である。
【図12】本発明の実施例2による配線パターンの寸法例を示す上視図である。
【符号の説明】
【0095】
1、1’、2 半導体記憶装置
1A 半導体チップ
11 ロウデコーダ
12 ワードラインドライバ
13 メモリセルアレイ
20 冗長判定回路
21 冗長用ロウデコーダ
22 冗長用ワードラインドライバ
23 冗長メモリセルアレイ
24 ヒューズ
100 下層基板
101 半導体基板
102 素子分離絶縁膜
104 トランジスタ
105、108 層間絶縁膜
106、109 コンタクト配線
107、110 配線層
201、201−1〜201−6、301、301−1〜301−6 下層配線
202、302 中間絶縁膜
203、203−1〜203−6、303、303−1〜303−6 コンタクト配線
204、204−1〜204−6、304、304−1〜304−6 上層ヒューズ
205、305 保護膜
801、801−1〜801−6、901、901−1〜901−6 ヒューズ
805、905 保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層基板と、
前記下層基板上に形成された中間絶縁膜と、
前記下層基板上に形成された第1配線層と、前記中間絶縁膜上に形成された第1フューズと、前記第1配線層と前記第1フューズとを電気的に接続する第1コンタクト配線とを含む第1配線パターンと、
前記下層基板上に形成された第2配線層と、前記中間絶縁膜上に形成され且つ前記第1フューズと幅方向において重ならない領域を互いに有する第2フューズと、前記第2配線層と前記第2フューズとを電気的に接続する第2コンタクト配線とを含み、前記第1配線パターンと所定の距離を離間して隣り合う第2配線パターンと
を有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
下層基板と、
前記下層基板上に形成された中間絶縁膜と、
前記下層基板上に形成された第1配線層と、前記中間絶縁膜上に形成された第1フューズと、前記第1配線層と前記第1フューズとを電気的に接続する第1コンタクト配線と、
前記下層基板上に形成された第2配線層と、前記中間絶縁膜上に形成され且つ前記第1フューズと幅方向において重ならない第2フューズと、前記第2配線層と前記第2フューズとを電気的に接続する第2コンタクト配線とを含み、前記第1配線パターンと所定の距離を離間して隣り合う第2配線パターンと
を有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項3】
前記下層基板上に形成された第3配線層と、前記中間絶縁膜上に形成され且つ前記第1フューズ及び前記第2フューズそれぞれと前記幅方向において重ならない第3フューズと、前記第3配線層と前記第3フューズとを電気的に接続する第3コンタクト配線とを含み、前記第2配線パターンと前記所定の距離を離間しつつ前記第1配線パターンと反対側で当該第2配線パターンと隣り合う第3配線パターンをさらに有することを特徴とする請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1および第2配線パターンは、前記幅方向に交互に複数配列され、
複数の前記第1および第2フューズは、前記交互に複数配列された第1および第2配線パターンにおいて、千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1から第3配線パターンは、前記幅方向に周期的に配列されていることを特徴とする請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1および第2配線パターンは、前記幅方向に周期的に配列され、
前記幅方向において隣り合う2つの前記第1配線パターンは、一方の第1フューズに照射されたレーザ光および当該レーザ光により生じた熱エネルギーによって他方の第1フューズが溶断されない距離で離間されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1および第2フューズは、ポリシリコンまたはポリサイドよりなることを特徴とする請求項6記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第2配線パターンは、前記幅方向において隣り合う2つの前記第1配線パターンの中間位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1および第2フューズを覆う保護膜をさらに有することを特徴とする請求項1または2記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
ワードラインに接続された複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、
冗長用ワードラインに接続された複数の冗長メモリセルを含む冗長メモリセルアレイと、
入力されたアドレスに基づいて当該アドレスに対応する前記メモリセルが接続された前記ワードラインを駆動するワードラインドライバと、
前記第1および第2配線パターンよりなるフューズ部を含み、入力されたアドレスに応じて前記冗長メモリセルを使用するか否かを判定する冗長判定回路と、
前記冗長判定回路における判定に基づいて前記冗長メモリセルを使用する場合、前記アドレスに対応する前記メモリセルを救済するための前記冗長メモリセルに接続された前記冗長用ワードラインを駆動する冗長用ワードラインドライバと
を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−351663(P2006−351663A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173350(P2005−173350)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591048162)宮城沖電気株式会社 (130)
【Fターム(参考)】