説明

半導体集積回路

【課題】 クロックスキューを低減し、動作マージンを十分に確保することが可能な半導体集積回路を提供する。
【解決手段】 遅延回路8による遅延時間DL1とクロックツリー11による遅延時間DL11との和が、遅延回路9による遅延時間DL2とクロックツリー12による遅延時間DL12との和と等しくなるように、遅延回路8,9の遅延時間DL1,DL2が調整される。このように、予め任意に遅延時間をプログラムすることができるプログラマブル遅延回路8,9を設けたことによって、機能ブロック3,4に供給される内部電源電圧V1,V2の差が大きい場合でも、機能ブロック3,4間のクロックスキューを低減することができる。したがって、低消費電力の半導体集積回路において、クロックスキューを低減することができ、動作マージンを十分に確保することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体集積回路に関し、特に、それぞれ互いに異なる第1および第2の電源電圧で駆動される第1および第2の機能ブロックを備えた半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの半導体チップ上に複数の機能ブロックを搭載した大規模集積回路(LSI)では、機能ブロックごとに異なる電源電圧を供給することによって低消費電力化が図られる。また、低速動作を行なう機能ブロックには低い周波数のクロック信号を供給し、高速動作を行なう機能ブロックには高い周波数のクロック信号を供給する。
【0003】
下記の特許文献1には、高速動作状態においても低消費電力化を図ることが可能な半導体集積回路が開示されている。これによると、半導体集積回路内で高速動作の周波数と低速動作の周波数の2種類の内部クロック信号を発生させることにより、低速動作を行なう論理回路への内部クロック信号と高速動作を行なう論理回路への内部クロック信号とを使い分けることができる。また、電源電圧変換手段によって、基準クロック信号の周波数に対し内部クロック信号の周波数が低い場合は、内部クロック信号が入力されることにより動作を行なう論理回路へ供給される電源電圧を下げ、内部クロック信号の周波数が高い場合は、電源電圧を上げる。
【0004】
また、下記の特許文献2には、低消費電力で、所望の機能および性能を実現したデジタル集積回路が開示されている。これによると、第2の回路ブロックのトランジスタのスイッチ速度が第1の回路ブロックより遅くてよく、許容される範囲内で第2の回路ブロックのトランジスタのスイッチ速度を下げても所望の機能および性能を実現できるので、スイッチ速度を下げて第2の回路ブロックの消費電力を低減することにより集積回路の消費電力が低減されている。
【0005】
また、下記の特許文献3には、通常の動作をさせながら、低消費電力性を実現することが可能な大規模集積回路が開示されている。これによると、各機能ブロックに供給されるクロックおよび電源線を分離し、各機能ブロックに供給するクロックの周波数および電源電圧を可変とできるようなプログラマブル機能をLSI上にオンチップする。
【特許文献1】特開平8−339235号公報
【特許文献2】特開2003−86693号公報
【特許文献3】特開昭63−104443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の半導体集積回路では、各機能ブロックの電源電圧の差が大きいと各機能ブロック間のクロックスキュー(クロック信号の伝播時間のずれ)が大きくなるため、動作マージンが不足して誤動作が生じる可能性があった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、クロックスキューを低減し、動作マージンを十分に確保することが可能な半導体集積回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係わる半導体集積回路は、互いに異なる第1および第2の電源電圧を供給する電圧供給部と、第1および第2のクロック信号を生成するクロック発生回路と、第1のクロック信号を予め設定された第1の遅延時間だけ遅延させて出力する第1の遅延回路と、第2のクロック信号を予め設定された第2の遅延時間だけ遅延させて出力する第2の遅延回路と、第1の電源電圧によって駆動され、第1の遅延回路からのクロック信号を第3の遅延時間だけ遅延させる第1のクロックツリーと、第1のクロックツリーによって遅延されたクロック信号に同期して動作し、データ信号を送信する第1の論理回路とを含む第1の機能ブロックと、第2の電源電圧によって駆動され、第2の遅延回路からのクロック信号を第4の遅延時間だけ遅延させる第2のクロックツリーと、第2のクロックツリーによって遅延されたクロック信号に同期して動作し、第1の論理回路から送信されたデータ信号を受ける第2の論理回路とを含む第2の機能ブロックとを備えたものである。ここで、第1の遅延時間と第3の遅延時間の和と、第2の遅延時間と第4の遅延時間の和とが等しくなるように、第1および第2の遅延時間が予め設定される。
【0009】
好ましくは、第1および第2の遅延回路は、それぞれ第1および第2の遅延時間を予め任意にプログラムすることが可能なプログラマブル遅延回路である。
【0010】
また好ましくは、さらに、第1の論理回路から送信されたデータ信号の電圧レベルを変換して第2の論理回路に与えるレベルシフタが設けられる。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係わる半導体集積回路では、互いに異なる第1および第2の電源電圧を供給する電圧供給部と、第1および第2のクロック信号を生成するクロック発生回路と、第1のクロック信号を予め設定された第1の遅延時間だけ遅延させて出力する第1の遅延回路と、第2のクロック信号を予め設定された第2の遅延時間だけ遅延させて出力する第2の遅延回路と、第1の電源電圧によって駆動され、第1の遅延回路からのクロック信号を第3の遅延時間だけ遅延させる第1のクロックツリーと、第1のクロックツリーによって遅延されたクロック信号に同期して動作し、データ信号を送信する第1の論理回路とを含む第1の機能ブロックと、第2の電源電圧によって駆動され、第2の遅延回路からのクロック信号を第4の遅延時間だけ遅延させる第2のクロックツリーと、第2のクロックツリーによって遅延されたクロック信号に同期して動作し、第1の論理回路から送信されたデータ信号を受ける第2の論理回路とを含む第2の機能ブロックとが設けられる。第1の遅延時間と第3の遅延時間の和と、第2の遅延時間と第4の遅延時間の和とが等しくなるように、第1および第2の遅延時間が予め設定される。したがって、第1および第2の電源電圧の差が大きい場合でも、第1および第2の機能ブロック間のクロックスキューを低減することができる。これにより、低消費電力の半導体集積回路において、クロックスキューを低減することができ、動作マージンを十分に確保することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による大規模集積回路1の概略構成を示すブロック図である。図1において、この大規模集積回路1は、1つの半導体チップ上に電圧供給部2と、機能ブロック3,4と、クロック発生回路5と、バッファ回路6,7と、遅延回路8,9とを備える。機能ブロック3,4は、それぞれクロックツリー11,12を含む。
【0013】
電圧供給部2は、外部から所定の電圧Vinを受け、互いに異なる内部電源電圧V1,V2を出力する。機能ブロック3,4は、それぞれ内部電源電圧V1,V2によって駆動される。内部電源電圧V1は内部電源電圧V2よりも低いものとする。このように、機能ブロックごとに異なる電源電圧を供給することによって、低消費電力化が図られている。機能ブロック3,4は、それぞれ大規模集積回路1が有する複数の機能のうちの所定の機能を実現する。機能ブロック3,4は、双方向または片方向にデータ信号DSを送受信することによって互いに連携して動作する。
【0014】
クロック発生回路5は、クロック信号CLK1,CLK2を生成する。バッファ回路6,7は、それぞれクロック発生回路5からのクロック信号CLK1,CLK2をバッファリングして遅延回路8,9に与える。遅延回路8,9は、それぞれクロック信号CLK1,CLK2を予め設定された遅延時間DL1,DL2だけ遅延させたクロック信号CLK11,CLK12を出力する。これらの遅延回路8,9は、任意に遅延時間DL1,DL2をプログラムすることができるプログラマブル遅延回路である。
【0015】
機能ブロック3,4は、それぞれ遅延回路8,9からのクロック信号CLK11,CLK12によってその動作タイミングが定められる。クロック発生回路5が生成するクロック信号CLK1,CLK2の周波数の大小関係は任意とする。たとえば、機能ブロック3が低速動作を行ない、機能ブロック4が高速動作を行なう場合は、機能ブロック3には周波数の低いクロック信号CLK1を供給し、機能ブロック4に周波数の高いクロック信号CLK2を供給する。
【0016】
機能ブロック3において、入力されたクロック信号CLK11はクロックツリー11によって複数の系統に分配される。また、機能ブロック4において、入力されたクロック信号CLK12はクロックツリー12によって複数の系統に分配される。
【0017】
図2は、図1に示した電圧供給部2の構成を示す回路ブロック図である。図2において、この電圧供給部2は、可変抵抗素子21〜24と、降圧回路25,26を含む。
【0018】
可変抵抗素子21,22は、電圧供給部2の入力ノードと接地電位GNDのラインとの間に直列接続される。可変抵抗素子23,24は、電圧供給部2の入力ノードと接地電位GNDのラインとの間に直列接続される。これらの可変抵抗素子21〜24は、それぞれ制御信号によって抵抗値が任意に調整される。
【0019】
外部から電圧供給部2の入力ノードに与えられた所定の電圧Vinは、可変抵抗素子21,22によって分圧され、可変抵抗素子21,22の間の出力ノードから所望の基準電圧Vref1が出力される。また、電圧供給部2の入力ノードに与えられた所定の電圧Vinは、可変抵抗素子23,24によって分圧され、可変抵抗素子23,24の間の出力ノードから所望の基準電圧Vref2が出力される。降圧回路25,26は、それぞれ基準電圧Vref1,Vref2を降圧して、安定した電圧V1,V2を出力する。
【0020】
図3は、図2に示した降圧回路25の構成を示す回路図である。図3において、この高圧回路25は、差動アンプ31と、PチャネルMOSトランジスタ37と、コンデンサ38とを含む。差動アンプ31は、PチャネルMOSトランジスタ32,33と、NチャネルMOSトランジスタ34,35と、定電流源36とで構成される。なお、図2に示した降圧回路26は、この降圧回路25と同様の構成を有する。
【0021】
差動アンプ31において、PチャネルMOSトランジスタ32およびNチャネルMOSトランジスタ34は、電源電位VDDのラインと共通ノードN1との間に直列接続される。PチャネルMOSトランジスタ33およびNチャネルMOSトランジスタ35は、電源電位VDDのラインと共通ノードN1との間に直列接続される。定電流源36は、共通ノードN1と接地電位GNDのラインとの間に接続される。PチャネルMOSトランジスタ32,33のゲートは互いに接続されるとともに、PチャネルMOSトランジスタ32のドレインに接続され、PチャネルMOSトランジスタ32,33はカレントミラー回路を構成する。NチャネルMOSトランジスタ34のゲートは出力ノードN2に接続され、NチャネルMOSトランジスタ35のゲートは基準電位Vref1を受ける。
【0022】
PチャネルMOSトランジスタ37およびコンデンサ38は、電源電位VDDのラインと接地電位GNDのラインとの間に直列接続される。PチャネルMOSトランジスタ37のゲートは、PチャネルMOSトランジスタ33とNチャネルMOSトランジスタ35のい間の出力ノードに接続され、差動アンプ31からの比較信号COMPを受ける。PチャネルMOSトランジスタ37とコンデンサ38の間の出力ノードN2からは内部電源電圧V1が出力される。
【0023】
差動アンプ31は、基準電圧Vref1と内部電源電圧V1とを比較し、その比較結果を示す比較信号COMPを出力する。基準電圧Vref1よりも内部電源電圧V1の方が高い場合は、比較信号COMPのレベルが上昇してPチャネルMOSトランジスタ37が非導通になり、内部電源電圧V1が低下する。一方、基準電圧Vref1よりも内部電源電圧V1の方が低い場合は、比較信号COMPのレベルが低下してPチャネルMOSトランジスタ37が導通し、内部電源電圧V1が上昇する。このような動作によって、内部電源電圧V1は基準電圧Vref1に常に一致するように調整される。
【0024】
図4は、図1に示した機能ブロック3,4の要部の構成を示すブロック図である。図4において、機能ブロック3は、クロックツリー11と、フリップフロップ(FF)41と、論理ゲート42とを含む。機能ブロック4は、クロックツリー12と、フリップフロップ(FF)43と、論理ゲート44とを含む。機能ブロック3,4は、それぞれ電圧供給部2からの電源電圧V1,V2を受けて動作する。
【0025】
フリップフロップ41は、クロックツリー11を介して受けたクロック信号CLK11の立上がりエッジまたは立下がりエッジのタイミングで入力信号をラッチして出力する。論理ゲート42は、フリップフロップ41の出力信号に対して所定の論理演算を行なって、データ信号DSを出力する。論理ゲート43は、論理ゲート42からのデータ信号DSに対して所定の論理演算を行なう。フリップフロップ44は、クロックツリー12を介して受けたクロック信号CLK12の立上がりエッジまたは立下がりエッジのタイミングで論理ゲート43からの信号をラッチして出力する。フリップフロップ41と論理ゲート42、および論理ゲート43とフリップフロップ44は、それぞれ論理回路を構成する。
【0026】
なお、図4においては、機能ブロック3から機能ブロック4にデータ信号DSが送信される場合について説明したが、機能ブロック4から機能ブロック3にデータ信号DSが送信される場合も同様の動作が成立する。
【0027】
ここで、機能ブロック3に供給される内部電源電圧V1は機能ブロック4に供給される内部電源電圧V2よりも低いため、クロックツリー11によるクロック信号の遅延時間DL11はクロックツリー12によるクロック信号の遅延時間DL12よりも大きい。内部電源電圧V1,V2の電圧差が大きければ大きいほど、遅延時間DL11,DL12の差が大きくなる。
【0028】
従来の半導体集積回路では、機能ブロック3,4に供給される内部電源電圧V1,V2の差が大きいと、機能ブロック3,4間のクロックスキュー(クロック信号の伝播時間のずれ)が大きくなる。この場合、フリップフロップ41,44においてセットアップ時間やホールド時間が不足するなど、動作マージンが少なくなって誤動作が生じる可能性があった。そこで、この実施の形態1では、図1に示したように任意に遅延時間をプログラムすることができるプログラマブル遅延回路8,9を設けている。
【0029】
図5は、図1に示した遅延回路8の構成を示す回路ブロック図である。図5において、この遅延回路8は、セレクタ51〜53と、バッファ回路54,55とを含む。
【0030】
セレクタ51〜53は、それぞれ図示しないレジスタまたは外部端子からの制御信号を受ける。セレクタ51は、制御信号に応答して、接地電位GNDの信号またはクロック信号CLK1のいずれか一方の信号を選択して出力する。バッファ回路54は、セレクタ51の出力信号をバッファリングして、所定時間Tだけ遅延させてセレクタ52に与える。セレクタ52は、制御信号に応答して、バッファ回路54の出力信号またはクロック信号CLK1のいずれか一方の信号を選択して出力する。バッファ回路55は、セレクタ52の出力信号をバッファリングして、所定時間Tだけ遅延させてセレクタ53に与える。セレクタ53は、制御信号に応答して、バッファ回路55の出力信号またはクロック信号CLK1のいずれか一方の信号を選択して、クロック信号CLK11として出力する。
【0031】
クロック信号CLK1がセレクタ53のみを介してクロック信号CLK11として出力された場合は、遅延回路8による遅延時間DL1はT0となる。クロック信号CLK1がセレクタ52、バッファ回路55およびセレクタ53を介してクロック信号CLK11として出力された場合は、遅延時間DL1はT+T0となる。クロック信号CLK1がセレクタ51、バッファ回路54、セレクタ52、バッファ回路55およびセレクタ53を介してクロック信号CLK11として出力された場合は、遅延時間DL1は2T+T0となる。
【0032】
なお、遅延回路8のセレクタおよびバッファ回路の数は任意であり、遅延時間DL1は任意に設定することが可能である。
【0033】
このように、制御信号によって遅延回路8の遅延時間DL1は予め任意に調整される。また、図1に示した遅延回路9は遅延回路8と同様の構成であり、遅延回路9の遅延時間DL2も予め任意に調整される。具体的には、遅延回路8による遅延時間DL1とクロックツリー11による遅延時間DL11との和が、遅延回路9による遅延時間DL2とクロックツリー12による遅延時間DL12との和と等しくなるように、遅延回路8,9の遅延時間DL1,DL2が調整される。
【0034】
したがって、任意に遅延時間をプログラムすることができるプログラマブル遅延回路8,9を設けたことによって、機能ブロック3,4に供給される内部電源電圧V1,V2の差が大きい場合でも、機能ブロック3,4間のクロックスキューを低減することができる。これにより、低消費電力の半導体集積回路において、クロックスキューを低減することができ、動作マージンを十分に確保することが可能になる。
【0035】
なお、ここでは大規模集積回路1が2つの機能ブロック3,4を備える場合について説明したが、機能ブロックの数は3つ以上の任意の数であってもよい。
【0036】
[実施の形態1の変更例]
図6は、この発明の実施の形態1の変更例による遅延回路の構成を示す回路ブロック図である。図6において、この遅延回路は、バッファ回路61〜63と、セレクタ64とを含む。
【0037】
バッファ回路61は、クロック信号CLK1をバッファリングして、所定時間Tだけ遅延させてセレクタ64に与える。バッファ回路62は、クロック信号CLK1をバッファリングして、所定時間Tだけ遅延させて出力する。バッファ回路63は、バッファ回路62の出力信号を所定時間Tだけ遅延させてセレクタ64に与える。
【0038】
セレクタ64は、図示しないレジスタまたは外部端子からの制御信号に応答して、クロック信号CLK1、バッファ回路61の出力信号、およびバッファ回路63の出力信号のうちのいずれか1つの信号を選択して、クロック信号CLK11として出力する。
【0039】
クロック信号CLK1がセレクタ64のみを介してクロック信号CLK11として出力された場合は、この遅延回路による遅延時間DL1はT0となる。クロック信号CLK1がバッファ回路61およびセレクタ64を介してクロック信号CLK11として出力された場合は、遅延時間DL1はT+T0となる。クロック信号CLK1がバッファ回路62,63およびセレクタ64を介してクロック信号CLK11として出力された場合は、遅延時間DL1は2T+T0となる。このように、制御信号によって遅延時間DL1は予め任意に調整される。
【0040】
この実施の形態1の変更例では、実施の形態1において用いた遅延回路8,9の構成を、図6に示した回路構成で実現する。この場合も、実施の形態1と同様に、低消費電力の半導体集積回路において、クロックスキューを低減することができ、動作マージンを十分に確保することが可能になる。
【0041】
[実施の形態1の他の変更例]
図7は、この発明の実施の形態1の他の変更例による機能ブロック3,4の要部の構成を示すブロック図であって、図4と対比される図である。図7を参照して、図4と異なる点は、機能ブロック3と機能ブロック4との間にレベルシフタ71が追加されている点である。図7において、レベルシフタ71は、論理ゲート42からのデータ信号DSの電圧レベルを変換して論理ゲート43に与える。具体的には、データ信号DSの電圧振幅をV1からV2に変換する。
【0042】
実施の形態1では、論理ゲート43内において、論理ゲート42からのデータ信号DSを受けるCMOS構成のトランジスタのしきい値電圧が、電源電圧V1と電源電圧V2の差(V2−V1)よりも小さい場合は、データ信号DSが正確に受信できない。これは、CMOS構成のPチャネルMOSトランジスタが常に導通したままとなるためである。そこで、このような場合は、機能ブロック3,4間にレベルシフタ71を設ける。
【0043】
これにより、論理ゲート43内において、論理ゲート42からのデータ信号DSを受けるCMOS構成のトランジスタのしきい値電圧が、電源電圧V1と電源電圧V2の差(V2−V1)よりも小さい場合でも、データ信号DSを正確に受信することが可能になる。
【0044】
なお、図7においては、機能ブロック3から機能ブロック4にデータ信号DSが送信される場合について説明したが、機能ブロック4から機能ブロック3にデータ信号DSが送信される場合も同様の動作が成立する。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施の形態1による大規模集積回路の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した電圧供給部の構成を示す回路ブロック図である。
【図3】図2に示した降圧回路25の構成を示す回路図である。
【図4】図1に示した機能ブロック3,4の要部の構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示した遅延回路8の構成を示す回路ブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態1の変更例による遅延回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態1の他の変更例による機能ブロック3,4の要部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
1 大規模集積回路、2 電圧供給部、3,4 機能ブロック、5 クロック発生回路、6,7,54,55,61〜63 バッファ回路、8,9 遅延回路、11,12 クロックツリー、21〜24 可変抵抗素子、25,26 降圧回路、31 差動アンプ、37,32,33 PチャネルMOSトランジスタ、38 コンデンサ、34,35 NチャネルMOSトランジスタ、36 定電流源、41,44 フリップフロップ、42,43 論理ゲート、51〜53,64 セレクタ、71 レベルシフタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路であって、
互いに異なる第1および第2の電源電圧を供給する電圧供給部、
第1および第2のクロック信号を生成するクロック発生回路、
前記第1のクロック信号を予め設定された第1の遅延時間だけ遅延させて出力する第1の遅延回路、
前記第2のクロック信号を予め設定された第2の遅延時間だけ遅延させて出力する第2の遅延回路、
前記第1の電源電圧によって駆動され、前記第1の遅延回路からのクロック信号を第3の遅延時間だけ遅延させる第1のクロックツリーと、前記第1のクロックツリーによって遅延されたクロック信号に同期して動作し、データ信号を送信する第1の論理回路とを含む第1の機能ブロック、および
前記第2の電源電圧によって駆動され、前記第2の遅延回路からのクロック信号を第4の遅延時間だけ遅延させる第2のクロックツリーと、前記第2のクロックツリーによって遅延されたクロック信号に同期して動作し、前記第1の論理回路から送信されたデータ信号を受ける第2の論理回路とを含む第2の機能ブロックを備え、
前記第1の遅延時間と前記第3の遅延時間の和と、前記第2の遅延時間と前記第4の遅延時間の和とが等しくなるように、前記第1および第2の遅延時間が予め設定される、半導体集積回路。
【請求項2】
前記第1および第2の遅延回路は、それぞれ前記第1および第2の遅延時間を予め任意にプログラムすることが可能なプログラマブル遅延回路である、請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
さらに、前記第1の論理回路から送信されたデータ信号の電圧レベルを変換して前記第2の論理回路に与えるレベルシフタを備える、請求項1または請求項2に記載の半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−287163(P2006−287163A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108730(P2005−108730)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】