説明

定電流回路、駆動回路および画像表示装置

電圧発生回路114に含まれる第1の増幅回路(132)は、P型TFT素子(P101,P102)およびN型TFT素子(N101,N102)によって構成される差動回路と、定電流回路(150a,150b)と、N型TFT素子(N103)とを含む。定電流回路(150a;150b)は、P型TFT素子(P132a;P132b)と、キャパシタ(C132a;C132b)と、スイッチ(S104a〜S106a;S104b〜S106b)と、抵抗素子(R132a;R132b)とからなる。キャパシタ(C132a;C132b)は、電圧設定時、すなわちダイオード接続されるP型TFT素子(P132a;P132b)に電流が供給されているときのノード(204;208)の電圧を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、定電流回路、駆動回路および画像表示装置に関し、特に、回路を構成するトランジスタの特性の影響を排除した定電流回路、駆動回路および画像表示装置に関する。
【背景技術】
負荷の変動とは無関係に一定の電流を流す定電流回路は、半導体集積回路における基本的かつ最も重要な回路の1つである。
従来より、定電流回路には、カレントミラー型の回路を用いるのが一般的である。カレントミラー型の定電流回路においては、それぞれのゲートが接続された2つのトランジスタの一方のトランジスタがダイオード接続され、そのトランジスタに流れる一定の基準電流に対して両トランジスタの能力比(具体的にはチャネル幅の比)倍の一定電流を、独立した電位にある負荷回路と接続された他方のトランジスタに流すことができる。
このカレントミラー型の定電流回路においては、電流の設定精度は、カレントミラーを構成するトランジスタの電流駆動能力が設計どおりであるか否かによる。
一般に、トランジスタの駆動電流Idは、下記(1)式によって示される。
Id=β(Vgs−Vth)…(1)
ここで、Vgsはゲート電圧を示し、Vthはしきい値電圧を示し、βはコンダクタンスを示している。すなわち、駆動電流の設定精度は、トランジスタの製造プロセスによって定まるコンダクタンスβおよびゲート電圧すなわち電源電圧の影響を受けるほか、そのトランジスタのしきい値電圧Vthの影響を受ける。
特開平5−191166号公報では、カレントミラーを構成するトランジスタのしきい値電圧Vthに影響されずに所望の駆動電流を設定可能にするため、ドレインが抵抗Rを介してゲートに接続される第1のトランジスタと、ゲートが第1のトランジスタのドレインに接続され、第1のトランジスタと能力比が等しい第2のトランジスタとを、2つのトランジスタの能力比がK:1のカレントミラー回路で駆動することによって、製造偏差に対して電流のばらつきを小さくでき、かつ、第1および第2のトランジスタのしきい値電圧と無関係に電流を設定することができる定電流回路が開示されている。
しかしながら、特開平5−191166号公報に記載された定電流回路を含むカレントミラーを用いる定電流回路は、カレントミラーを構成する2つのトランジスタのしきい値電圧Vthが等しいことを前提としている。たとえば、特開平5−191166号公報に記載された定電流回路においては、第1および第2のトランジスタもカレントミラーを構成しており、この第1および第2のトランジスタのしきい値電圧Vthは同じであることを前提とし、また、第1および第2のトランジスタを駆動するカレントミラー回路を構成する2つのトランジスタのしきい値電圧も互いに等しいことを前提としている。
すなわち、カレントミラー回路を構成する2つのトランジスタにおいて、基準電流が流れるトランジスタ(以下、「基準トランジスタ」とも称する。)のしきい値電圧Vth1と駆動電流が流れるトランジスタ(以下、「駆動トランジスタ」とも称する。)のしきい値電圧Vth2とが異なる場合、駆動電流の設定精度が劣化する。さらに、しきい値電圧Vth2がしきい値電圧Vth1よりも大きいときは、基準トランジスタが導通しているにも拘わらず駆動トランジスタが非導通となり、駆動電流が流れなくなることもある。
特に、ガラス基板上や樹脂基板上に形成されるポリシリコン型の薄膜トランジスタ(以下、「TFT」または「TFT素子」とも称する。)においては、シリコン基板上に形成されるトランジスタ(以下、TFTと比較して「バルクトランジスタ」とも称する。)と比べてそのしきい値電圧のばらつきが大きく、定電流回路をTFTで構成する場合には、上述した問題が顕著に現われる。
近年、フラットパネル・ディスプレイの分野において主力的なTFT液晶表示装置や、ここ数年注目されてきた低温ポリシリコン型TFTで構成されるエレクトロルミネッセンス表示装置(以下、「EL表示装置」とも称する。)において、従来外付けのLSIによって構成されていた周辺回路を画像表示部と同一のガラス基板上に一体成形することが望まれている。画像表示部とともに周辺回路も同一のガラス基板上に一体成形できると、画像表示装置を小型化できるからである。
一方、これらの画像表示装置においては、画素に印加する電圧を変化させることによって階調表示を行なっている。すなわち、液晶表示装置においては、画素に印加する電圧を変化させることにより、液晶の透過率を変化させる電圧変調法が一般的に採用されている。また、EL表示装置においては、画素に印加する電圧を変化させることによって、画素ごとに設けられた電流駆動型発光素子である有機発光ダイオードに供給する電流を変化させることにより、有機発光ダイオードの表示輝度を変化させる。
そして、これらの画像表示装置の周辺回路の1つとして、画像データに応じた表示輝度で画素を駆動するための複数の電圧(以下、「階調電圧」とも称する。)を発生する電圧発生回路が設けられている。階調表示を機能付けるこの電圧発生回路に対しては、高い動作安定性が求められ、その高い安定動作を達成するためには、電圧発生回路に含まれる定電流回路の安定動作が重要となる。
また、電圧発生回路によって発生された階調電圧を受け、その階調電圧に対応する表示電圧を画素が接続されるデータ線へ出力する駆動回路(アナログアンプ)においても、電圧発生回路と同様に、高い動作安定性が求められ、さらに、オフセットのない高精度な表示電圧の出力が求められる。そして、この駆動回路の安定かつ高精度な動作においても、その内部に含まれる定電流回路の安定動作が重要となる。
しかしながら、上述したように、装置の小型化を目的として周辺回路に含まれる電圧発生回路や駆動回路を画像表示部とともに同一のガラス基板上に一体成形し、回路をTFTで構成すると、TFTで構成された定電流回路において上述した問題が顕著に発生し、その結果、これらの画像表示装置の製造歩留りを大きく低下させてしまう。
【発明の開示】
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回路を構成するトランジスタのしきい値電圧のばらつきの影響を排除した定電流回路を提供することである。
また、この発明の別の目的は、回路を構成するトランジスタのしきい値電圧のばらつきの影響を排除した定電流回路を備える駆動回路を提供することである。
さらに、この発明の別の目的は、回路を構成するトランジスタのしきい値電圧のばらつきの影響を排除した定電流回路および/またはそのような定電流回路を含む駆動回路を備える画像表示装置を提供することである。
この発明によれば、定電流回路は、第1のノードと第2のノードとの間に接続されるトランジスタと、トランジスタのしきい値電圧に応じて決定され、かつ、トランジスタをONするための第1の電圧を保持する電圧保持回路とを備え、トランジスタは、第1の電圧をゲートに受け、第1のノードにおける電流を一定にし、第1のノードには、差動回路が接続される。
また、この発明によれば、画像表示装置は、行列状に配置された複数の画像表示素子と、複数の画像表示素子の行に対応して配置され、所定の周期で順次選択される複数の走査線と、複数の画像表示素子の列に対応して配置される複数のデータ線と、複数の画像表示素子の各々における表示輝度に対応する少なくとも1つの電圧レベルを発生する電圧発生回路と、電圧発生回路によって発生された少なくとも1つの電圧レベルを維持し、電流増幅して出力する少なくとも1つのバッファ回路と、走査対象行の画像表示素子ごとに対応する画素データによって指示される電圧レベルを走査対象行の画像表示素子ごとに少なくとも1つの電圧レベルから選択し、その選択した電圧レベルで複数のデータ線を活性化するデータ線ドライバとを備え、少なくとも1つのバッファ回路の各々は、少なくとも1つの電圧レベルのいずれかを入力し、電流増幅して出力する内部回路と、内部回路に一定の電流を流す定電流回路とからなり、定電流回路は、内部回路と第1のノードとの間に接続されるトランジスタと、トランジスタのしきい値電圧に応じて決定され、かつ、トランジスタをONするための第1の電圧を保持する電圧保持回路とからなり、トランジスタは、第1の電圧をゲートに受け、内部回路における電流を一定にする。
また、この発明によれば、駆動回路は、入力電圧に応じた出力電圧を出力する駆動回路であって、第1の電源ノードと出力ノードとの間に接続される第1のトランジスタと、出力ノードと第2の電源ノードとの間に接続される定電流回路と、第1のトランジスタのしきい値電圧に応じて発生するオフセット電圧を補償するオフセット補償回路とを備え、オフセット補償回路は、オフセット電圧を保持し、保持されるオフセット電圧だけ入力電圧をシフトさせた第1の電圧を第1のトランジスタのゲート電極へ出力し、定電流回路は、出力ノードと第2の電源ノードとの間に接続される第2のトランジスタと、第2のトランジスタのしきい値電圧に応じて決定され、かつ、第2のトランジスタをオンするための第2の電圧を保持する第1の電圧保持回路とを含み、第2のトランジスタは、第2の電圧をゲート電極に受け、出力ノードに接続される第1のトランジスタにおける電流を一定にし、第1のトランジスタは、オフセット補償回路から出力される第1の電圧をゲート電極に受け、入力電圧と同電位の出力電圧を出力ノードへ出力する。
また、この発明によれば、駆動回路は、入力電圧に応じた出力電圧を出力する駆動回路であって、第1の電源ノードと出力ノードとの間に接続される第1の導電型の第1のトランジスタと、出力ノードと第2の電源ノードとの間に接続される第1の定電流回路と、第1の電圧を受け、その受けた第1の電圧を所定量シフトさせた第2の電圧を出力するレベルシフト回路と、第1の導電型の第1のトランジスタのしきい値電圧に応じて発生するオフセット電圧を補償するオフセット補償回路とを備え、レベルシフト回路は、第3の電源ノードと第1の導電型の第1のトランジスタのゲート電極との間に接続される第2の定電流回路と、第1の導電型の第1のトランジスタのゲート電極と第4の電源ノードとの間に接続される第2の導電型の第1のトランジスタとを含み、オフセット補償回路は、第1の導電型の第1のトランジスタのしきい値電圧と第2の導電型の第1のトランジスタのしきい値電圧との電圧差を保持し、保持される電圧差だけ入力電圧をシフトさせた電圧を第1の電圧として第2の導電型の第1のトランジスタのゲート電極へ出力し、第1の定電流回路は、出力ノードと第2の電源ノードとの間に接続される第1の導電型の第2のトランジスタと、第1の導電型の第2のトランジスタのしきい値電圧に応じて決定され、かつ、第1の導電型の第2のトランジスタをオンするための第3の電圧を保持する第1の電圧保持回路とを含み、第1の導電型の第2のトランジスタは、第3の電圧をゲート電極に受け、出力ノードに接続される第1の導電型の第1のトランジスタにおける電流を一定にし、第2の定電流回路は、第3の電源ノードと第1の導電型の第1のトランジスタのゲート電極との間に接続される第2の導電型の第2のトランジスタと、第2の導電型の第2のトランジスタのしきい値電圧に応じて決定され、かつ、第2の導電型の第2のトランジスタをオンするための第4の電圧を保持する第2の電圧保持回路とを含み、第2の導電型の第2のトランジスタは、第4の電圧をゲート電極に受け、第1の導電型の第1のトランジスタのゲート電極に接続される第2の導電型の第1のトランジスタにおける電流を一定にし、第2の導電型の第1のトランジスタは、オフセット補償回路から出力される第1の電圧をゲート電極に受け、当該第2の導電型の第1のトランジスタのしきい値電圧だけ第1の電圧をシフトさせた第2の電圧を第1の導電型の第1のトランジスタのゲート電極へ出力し、第1の導電型の第1のトランジスタは、レベルシフト回路から出力される第2の電圧をゲート電極に受け、入力電圧と同電位の出力電圧を出力ノードに出力する。
また、この発明によれば、画像表示装置は、行列状に配置された複数の画像表示素子と、複数の画像表示素子の行に対応して配置され、所定の周期で順次選択される複数の走査線と、複数の画像表示素子の列に対応して配置される複数のデータ線と、複数の画像表示素子の各々における表示輝度に対応する少なくとも1つの電圧を発生する電圧発生回路と、走査対象行の画像表示素子ごとに対応する画素データによって指示される電圧を走査対象行の画像表示素子ごとに少なくとも1つの電圧から選択するデコード回路と、デコード回路によって選択された電圧をデコード回路から受け、複数のデータ線を対応する電圧で活性化する、上記に記載の駆動回路とを備える。
この発明による定電流回路においては、電流を流す駆動トランジスタのしきい値電圧に基づいて設定された電圧を保持する電圧保持回路を備え、駆動トランジスタは、その電圧保持回路が保持する電圧をゲートに受けて電流を流す。
したがって、この発明によれば、駆動トランジスタのしきい値電圧に製造ばらつきがあっても、その影響は排除され、定電流回路の動作は安定する。
そして、定電流回路の動作安定化に伴って、それを備えた駆動回路および画像表示装置の動作も安定する。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明の実施の形態1による定電流回路の構成を示す回路図である。
図2は、図1に示す定電流回路の電流駆動時の動作状態を示した図である。
図3は、この発明の実施の形態2による定電流回路の構成を示す回路図である。
図4は、図3に示す定電流回路の電流駆動時の動作状態を示した図である。
図5は、この発明の実施の形態3による差動アンプの構成を示す回路図である。
図6は、この発明の実施の形態3による差動アンプの活性時の動作状態を示した図である。
図7は、図5に示す差動アンプの変形例を示す回路図である。
図8は、この発明の実施の形態4による差動アンプの構成を示す回路図である。
図9は、この発明の実施の形態4による差動アンプの活性時の動作状態を示した図である。
図10は、図8に示す差動アンプの変形例を示す回路図である。
図11は、この発明の実施の形態5によるカラー液晶表示装置の全体構成を示す概略ブロック図である。
図12は、図11に示す画素の構成を示す回路図である。
図13は、図11に示す電圧発生回路の構成を示す回路図である。
図14は、図13に示すバッファ回路の構成を示す回路図である。
図15は、図14に示す第1の増幅回路の構成を示す回路図である。
図16は、図14に示す第2の増幅回路の構成を示す回路図である。
図17は、この発明の実施の形態6によるEL表示装置の画素の構成を示す回路図である。
図18は、この発明の実施の形態7によるカラー液晶表示装置の全体構成を示す概略ブロック図である。
図19は、図18に示すアナログアンプの構成を示す回路図である。
図20は、実施の形態8におけるアナログアンプの構成を示す回路図である。
図21は、実施の形態9におけるアナログアンプの構成を示す回路図である。
図22は、実施の形態10におけるアナログアンプの構成を示す回路図である。
図23は、実施の形態11におけるアナログアンプの構成を示す回路図である。
図24は、実施の形態12におけるアナログアンプの構成を示す回路図である。
図25は、実施の形態13におけるアナログアンプの構成を示す回路図である。
図26は、実施の形態14におけるアナログアンプの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による定電流回路の構成を示す回路図である。
図1を参照して、定電流回路1は、N型トランジスタN1と、キャパシタC1と、スイッチS1〜S3と、抵抗素子R101とを備える。N型トランジスタN1は、定電流を流す駆動トランジスタであって、ノード2と一定の電圧VLが印加されるノード8との間に接続され、ゲートがノード4に接続される。N型トランジスタN1は、N型TFTであっても、N型のバルクトランジスタであってもよい。キャパシタC1は、N型トランジスタN1のゲート電圧を保持するために設けられ、ノード4とノード8との間に接続される。
スイッチS1〜S3は、N型トランジスタN1のゲート電圧を設定する電圧設定時と電流駆動時とで切替わる。スイッチS1は、抵抗素子R101とノード2との間に接続され、スイッチS2は、定電流を必要とする負荷が接続されるノード10とノード2との間に接続され、スイッチS3は、ノード2とノード4との間に接続される。抵抗素子R101は、電圧設定時に所定の電流をノード2に供給するために設けられ、電圧VLよりも高い所定の電圧VHが印加されるノード6とスイッチS1との間に接続される。
この定電流回路1は、上述したように、N型トランジスタN1のゲート電圧を設定する電圧設定動作と本来の機能の電流駆動動作との2つの動作モードを備える。図1は、電圧設定時の動作状態を示しており、後述する図2は、電流駆動時の動作状態を示す。以下、定電流回路1における電圧設定動作について説明する。
電圧設定時は、スイッチS1,S3がONし、スイッチS2はOFFする。そうすると、抵抗素子R101、スイッチS1およびダイオード接続されたN型トランジスタN1を介してノード6からノード8へ電流が流れ、ノード4の電圧レベルは、N型トランジスタN1のしきい値電圧Vth1よりも高い電圧レベル(Vth1+ΔV1)になる。キャパシタC1には、ノード4の電圧レベルに応じた電荷が充電される。
そして、図示しないが、キャパシタC1の充電が完了すると、スイッチS1,S3はOFFし、ノード4の電圧レベルは、キャパシタC1によって(Vth1+ΔV1)に保持される。
図2は、定電流回路1の電流駆動時の動作状態を示した図である。
図2を参照して、電圧レベル(Vth1+ΔV1)に応じた電荷がキャパシタC1に充電され、スイッチS1,S3がOFFすると、スイッチS2がONする。そうすると、ノード10からスイッチS2およびN型トランジスタN1を介してノード8へ電流が流れる。
ここで、ノード4の電圧すなわちN型トランジスタN1のゲート電圧は、キャパシタC1によってしきい値電圧Vth1よりも高い一定の電圧レベル(Vth1+ΔV1)に保持されているので、N型トランジスタN1は、一定の電流を流すことができる。
なお、N型トランジスタN1が流す電流値はΔV1に依存し、このΔV1は、抵抗素子R101の抵抗値によって調整することができる。
なお、図1,2では、キャパシタC1は、ノード8に接続されるが、一定の電圧が印加されるノードであれば、別のノードに接続されてもよい。
なお、この実施の形態1による定電流回路1は、スイッチS1〜S3を切替える時間が確保できる使用方法であれば、汎用的なオペアンプに適用可能である。オペアンプの応用例は多種多様であるが、たとえば、サンプルホールド回路においてオペアンプが用いられている場合、信号をサンプルする前にスイッチS1〜S3を切替える時間が確保できるので、そのようなオペアンプにおいて定電流回路1を適用することができる。
以上のように、実施の形態1による定電流回路1によれば、駆動トランジスタであるN型トランジスタN1が一定の電流を流しているときのゲート電圧を保持し、その保持した電圧に基づいてN型トランジスタN1を駆動するようにしたので、N型トランジスタN1のしきい値電圧のばらつきが大きくても一定の電流を安定して流すことができる。
[実施の形態2]
図3は、この発明の実施の形態2による定電流回路の構成を示す回路図である。
図3を参照して、定電流回路1Aは、P型トランジスタP1と、キャパシタC2と、スイッチS4〜S6と、抵抗素子R102とを備える。P型トランジスタP1は、定電流を流す駆動トランジスタであって、一定の電圧VHが印加されるノード16とノード12との間に接続され、ゲートがノード14に接続される。P型トランジスタP1は、P型TFTであっても、P型のバルクトランジスタであってもよい。キャパシタC2は、P型トランジスタP1のゲート電圧を保持するために設けられ、ノード16とノード14との間に接続される。
スイッチS4〜S6は、P型トランジスタP1のゲート電圧を設定する電圧設定時と電流駆動時とで切替わる。スイッチS4は、ノード12と抵抗素子R101との間に接続され、スイッチS5は、定電流を必要とする負荷が接続されるノード20とノード12との間に接続され、スイッチS6は、ノード12とノード14との間に接続される。抵抗素子R102は、電圧設定時に所定の電流をノード12に流すために設けられ、スイッチS4と電圧VHよりも低い所定の電圧VLが印加されるノード18との間に接続される。
この定電流回路1Aは、実施の形態1による定電流回路1の極性を逆にした構成となっている。図3は、電圧設定時の動作状態を示しており、後述する図4は、電流駆動時の動作状態を示す。以下、定電流回路1Aにおける電圧設定動作について説明する。
電圧設定時は、スイッチS4,S6がONし、スイッチS5はOFFする。そうすると、ダイオード接続されたP型トランジスタP1、スイッチS4および抵抗素子R102を介してノード16からノード18へ電流が流れ、ノード14の電圧レベルは、P型トランジスタP1のしきい値電圧Vth2に基づいた電圧レベル(VH−|Vth2|−ΔV2)になる。キャパシタC2には、ノード14の電圧レベルに応じた電荷が充電される。
そして、図示しないが、キャパシタC2の充電が完了すると、スイッチS4,S6はOFFし、ノード14の電圧レベルは、キャパシタC2によって(VH−|Vth2|−ΔV2)に保持される。
図4は、定電流回路1Aの電流駆動時の動作状態を示した図である。
図4を参照して、電圧レベル(VH−|Vth2|−ΔV2)に応じた電荷がキャパシタC2に充電され、スイッチS4,S6がOFFすると、スイッチS5がONする。そうすると、ノード16からP型トランジスタP1およびスイッチS5を介してノード20へ電流が流れる。
ここで、ノード14の電圧すなわちP型トランジスタP1のゲート電圧は、キャパシタC2によって一定の電圧レベル(VH−|Vth2|−ΔV2)に保持されているので、P型トランジスタP1は、一定の電流を流すことができる。
なお、P型トランジスタP1が流す電流値はΔV2に依存し、このΔV2は、抵抗素子R102の抵抗値によって調整することができる。
なお、図3,4では、キャパシタC2は、ノード16に接続されるが、一定の電圧が印加されるノードであれば、別のノードに接続されてもよい。
なお、この実施の形態2による定電流回路1Aも、実施の形態1による定電流回路1と同様に、スイッチS4〜S6を切替える時間が確保できる使用方法であれば、汎用的なオペアンプに適用可能である。
以上のように、実施の形態2による定電流回路1Aによっても、実施の形態1による定電流回路1と同様の効果を得ることができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、実施の形態1による定電流回路1が差動アンプに適用される場合が示される。
図5は、実施の形態3による差動アンプの構成を示す回路図である。
図5を参照して、実施の形態3による差動アンプは、実施の形態1による定電流回路1と、差動回路30とを備える。定電流回路1のN型トランジスタN1は、N型TFTで構成される。定電流回路1の構成については、既に説明しているので、その説明は繰返さない。
差動回路30は、N型TFT素子N2,N3と、抵抗素子R103,R104とを含む。N型TFT素子N2は、抵抗素子R103とノード10との間に接続され、入力信号IN1をゲートに受ける。N型TFT素子N3は、抵抗素子R104とノード10との間に接続され、入力信号IN2をゲートに受ける。抵抗素子R103は、ノード6とN型TFT素子N2との間に接続され、抵抗素子R104は、ノード6とN型TFT素子N3との間に接続される。
実施の形態3による差動アンプは、回路を構成するトランジスタがTFTで構成され、ガラス基板上あるいは樹脂基板上に形成される。
図5においては、定電流回路1への電圧設定時の動作状態が示されている。電圧設定時は、スイッチS2はOFFしており、差動回路30は、定電流回路1と電気的に分離され、不活性化される。なお、定電流回路1の電圧設定時の動作については、実施の形態1において既に説明したので、その説明は繰返さない。
図6は、実施の形態3による差動アンプの活性時の動作状態を示した図である。
図6を参照して、活性時は、スイッチS1,S3がOFFし、スイッチS2がONして、差動回路30は活性化される。ここで、この差動アンプは、TFTで構成されているが、定電流回路1をその定電流源としているので安定して動作する。すなわち、従来のカレントミラー型の差動アンプをTFTで構成すると、TFT間のしきい値電圧のばらつきによって定電流回路が動作せず、差動アンプの誤動作が発生したが、この実施の形態3による差動アンプは、そのような誤動作が発生することはない。
なお、この実施の形態3による差動アンプにおいては、キャパシタC1に保持される電荷は、N型TFT素子N1のゲートリーク電流あるいはキャパシタC1自体のリーク電流、もしくはスイッチS3のリーク電流となって失われるので、所定の間隔でリフレッシュ動作すなわち上述した電圧設定動作が実行される。
以上のように、実施の形態3による差動アンプによれば、差動アンプを活性化する定電流回路を実施の形態1による定電流回路1で構成したので、差動アンプをTFTで構成してもその動作が安定する。
[実施の形態3の変形例]
図7は、図5に示した差動アンプの変形例を示す回路図である。
図7を参照して、この差動アンプは、図5に示した差動アンプの構成において、定電流回路1に代えて定電流回路1Bを備える。定電流回路1Bは、定電流回路1の構成において、抵抗素子R101に代えてN型TFT素子N4を含む。その他の構成は、図5に示した差動アンプと同じである。
N型TFT素子N4は、ソースをゲートと接続したデプレッション型のトランジスタを構成する。一般に、デプレッション型トランジスタに流れる電流Idは、ソースに対するゲート電圧Vgsが0Vであるから、下記(2)式によって示される。
Id=β(−Vth)…(2)
ここで、Vthはしきい値電圧を示し、βはコンダクタンスを示している。すなわち、N型TFT素子N4を流れる電流Idは、電圧VH,VLに依存しない一定の電流となる。
したがって、上述したように所定の間隔で実行する必要がある電圧設定動作において、電圧VH,VLが変動しても、ノード4は、一定の電流を供給可能なN型TFT素子N4によって毎回一定の電圧レベルに設定され、定電流回路1Bによってノード10に流される定電流値が電圧設定動作ごとにばらつくことがない。その結果、差動アンプの動作は、さらに安定する。
以上のように、この差動アンプによれば、一定の電流を供給可能なデプレッション型のN型TFT素子N4を定電流回路における電圧設定時の電流供給回路として用いたので、電圧設定動作ごとの定電流回路1Bにおける設定電圧が一定となり、差動アンプの動作は、さらに安定する。
[実施の形態4]
実施の形態4では、実施の形態2による定電流回路1Aが差動アンプに適用される場合が示される。
図8は、実施の形態4による差動アンプの構成を示す回路図である。
図8を参照して、実施の形態4による差動アンプは、実施の形態2による定電流回路1Aと、差動回路30Aとを備える。定電流回路1AのP型トランジスタP1は、P型TFTで構成される。定電流回路1Aの構成については、既に説明しているので、その説明は繰返さない。
差動回路30Aは、P型TFT素子P2,P3と、抵抗素子R105,R106とを備える。P型TFT素子P2は、ノード20と抵抗素子R105との間に接続され、入力信号IN3をゲートに受ける。P型TFT素子P3は、ノード20と抵抗素子R106との間に接続され、入力信号IN4をゲートに受ける。抵抗素子R105は、P型TFT素子P2とノード18との間に接続され、抵抗素子R106は、P型TFT素子P3とノード18との間に接続される。
実施の形態4による差動アンプも、回路を構成するトランジスタがTFTで構成され、ガラス基板上あるいは樹脂基板上に形成される。
図8においては、定電流回路1Aへの電圧設定時の動作状態が示されている。電圧設定時は、スイッチS5はOFFしており、差動回路30Aは、定電流回路1Aと電気的に分離され、不活性化される。なお、定電流回路1Aの電圧設定時の動作については、実施の形態2において既に説明したので、その説明は繰返さない。
図9は、実施の形態4による差動アンプの活性時の動作状態を示した図である。
図9を参照して、活性時は、スイッチS4,S6がOFFし、スイッチS5がONして、差動回路30Aは活性化される。ここで、この差動アンプも、TFTで構成されているが、定電流回路1Aをその定電流源としているので安定して動作する。
なお、この実施の形態4による差動アンプにおいても、キャパシタC2に保持される電荷は、P型TFT素子P1のゲートリーク電流あるいはキャパシタC2自体のリーク電流、もしくはスイッチS6のリーク電流となって失われるので、所定の間隔でリフレッシュ動作すなわち電圧設定動作が実行される。
また、上述した説明では、差動アンプは、TFTで構成されるものとしたが、バルクトランジスタで構成してもよい。
以上のように、実施の形態4による差動アンプによれば、差動アンプを活性化する定電流回路を実施の形態2による定電流回路1Aで構成したので、差動アンプをTFTで構成してもその動作が安定する。
[実施の形態4の変形例]
図10は、図8に示した差動アンプの変形例を示す回路図である。
図10を参照して、この差動アンプは、図8に示した差動アンプの構成において、定電流回路1Aに代えて定電流回路1Cを備える。定電流回路1Cは、定電流回路1Aの構成において、抵抗素子R102に代えてN型TFT素子N5を含む。その他の構成は、図8に示した差動アンプと同じである。
N型TFT素子N5は、ソースをゲートと接続したデプレッション型のトランジスタを構成する。したがって、実施の形態3の変形例において説明したように、N型TFT素子N5を流れる電流Idは、電圧VH,VLに依存しない一定の電流となる。
そうすると、所定の間隔で実行する必要がある電圧設定動作において、電圧VH,VLが変動しても、ノード14は、一定の電流を供給可能なN型TFT素子N5によって毎回一定の電圧レベルに設定され、定電流回路1Cによってノード20に流される定電流値が電圧設定動作ごとにばらつくことがない。その結果、差動アンプの動作は、さらに安定する。
以上のように、この差動アンプによっても、実施の形態3の変形例と同様の効果が得られる。
[実施の形態5]
実施の形態5では、実施の形態1,2による定電流回路が液晶表示装置に適用される場合について示される。
図11は、この発明の実施の形態5によるカラー液晶表示装置の全体構成を示す概略ブロック図である。
図11を参照して、カラー液晶表示装置100は、表示部102と、水平走査回路104と、垂直走査回路106とを備える。
表示部102は、行列状に配置された複数の画素118を含む。各画素118には、R(赤)、G(緑)およびB(青)の3原色のいずれかのカラーフィルタが設けられており、列方向に隣接する画素(R)、画素(G)および画素(B)で1つの表示単位120が構成される。また、画素118の行(以下、「ライン」とも称する。)に対応して複数の走査線SLが配置され、画素118の列に対応して複数のデータ線DLが配置される。
水平走査回路104は、シフトレジスタ108と、第1および第2のデータラッチ回路110,112と、電圧発生回路114と、データ線ドライバ116とを含む。
シフトレジスタ108は、クロック信号CLKを受け、クロック信号CLKに同期してパルス信号をデータラッチ回路110へ順次出力する。
第1のデータラッチ回路110は、後述する電圧発生回路114が出力する64レベルの駆動電圧から1つの電圧を選択するための6ビットの画素データDATAを受け、シフトレジスタ108から受けるパルス信号に同期して画素データDATAを内部にラッチする。
第2のデータラッチ回路112は、1ライン分の画素データDATAが第1のデータラッチ回路110に取込まれると発生するラッチ信号LTを受け、第1のデータラッチ回路110にラッチされた1ライン分の画素データDATAを第1のデータラッチ回路110から取込んでラッチする。
電圧発生回路114は、各画素118において64階調の表示を行なうため、64レベルの駆動電圧V1〜V64を発生する。
データ線ドライバ116は、第2のデータラッチ回路112から1ライン分の画素データおよび電圧発生回路114から出力された駆動電圧V1〜V64を受け、画素データに応じて駆動電圧を画素ごとに選択し、列方向に配置されたデータ線DLへ一斉に出力する。
垂直走査回路106は、行方向に配置された走査線SLを所定のタイミングで順次活性化する。
液晶表示装置100においては、クロック信号CLKに同期してシフトレジスタ108から出力されるパルス信号に応じて、画素データDATAが第1のデータラッチ回路110に順次取込まれる。そして、第2のデータラッチ回路112は、1ライン分の画素データDATAが取込まれたタイミングで受けるラッチ信号LTに応じて、第1のデータラッチ回路110に取込まれた1ライン分の画素データDATAを第1のデータラッチ回路110から取り込んでラッチし、その1ライン分の画素データDATAをデータ線ドライバ116へ出力する。
データ線ドライバ116は、第2のデータラッチ回路112から受けた1ライン分の画素データに基づいて、電圧発生回路114から受ける64レベルの駆動電圧V1〜V64から画素ごとに駆動電圧を選択し、1ライン分の画素に対応する駆動電圧を対応するデータ線DLに一斉に出力する。そして、垂直走査回路106が走査対象行に対応する走査線SLを活性化すると、その走査線SLに接続される画素118が一斉に活性化され、各画素118は、対応するデータ線DLに印加されている駆動電圧に応じた輝度で表示を行ない、これによって1ライン分の画素データが表示される。
そして、上記動作を行方向に配置された走査線ごとに順次実行することにより、表示部102に画像が表示される。
図12は、図11に示した画素118の構成を示す回路図である。図12においては、データ線DL(R)および走査線SL(n)に接続される画素118について示されているが、その他の画素についても構成は同じである。
図12を参照して、画素118は、N型TFT素子N11と、液晶表示素子PXと、キャパシタC11とからなる。
N型TFT素子N11は、データ線DL(R)と液晶表示素子PXとの間に接続され、走査線SL(n)にゲートが接続される。液晶表示素子PXは、N型TFT素子N11に接続される画素電極と、対向電極電位Vcomが印加される対向電極とを有している。キャパシタC11は、一方が画素電極に接続され、他方は、共通電位Vssに固定される。
液晶表示素子PXにおいては、画素電極と対向電極との間の電位差に応じて液晶の配向性が変化することにより、液晶表示素子PXの輝度(反射率)が変化する。これによって、N型TFT素子N11を介してデータ線DL(R)から印加される駆動電圧に応じた輝度(反射率)を液晶表示素子PXに表示することができる。
そして、走査線SL(n)が活性化されてデータ線DL(R)から液晶表示素子PXに駆動電圧が印加された後、次の走査線SL(n+1)の画像表示に移行するため、走査線SL(n)は不活性化されてN型TFT素子N11はOFFされるが、N型TFT素子N11のOFF期間においても、キャパシタC11が画素電極の電位を保持するので、液晶表示素子PXは、画素データに応じた輝度(反射率)を維持することができる。
図13は、図11に示した電圧発生回路114の構成を示す回路図である。
図13を参照して、電圧発生回路114は、ノードND100,ND200と、抵抗素子R1〜R65と、ノードND1〜ND64と、ノードND1〜ND64に対応して設けられ、内部に定電流回路を有する64個のバッファ回路130とを含む。
抵抗素子R1〜R65は、ノードND100とノードND200との間にノードND1〜ND64によって直列に接続され、ラダー抵抗回路を構成する。そして、このラダー抵抗回路によってノードND100,ND200間の電圧が分圧され、ノードND1〜ND64に64レベルの駆動電圧V1〜V64が発生する。各バッファ回路130は、データ線DLおよび画素を駆動するのに十分な電流駆動力を有し、ノードND1〜ND64の対応するノードと接続され、入力電圧と同レベルの電圧を出力する。
なお、液晶表示素子PXは、交流駆動される必要があるため、ノードND100,ND200に印加される電圧は、1ライン毎や1フレーム毎などの所定の周期で入れ替わる。
図14は、図13に示したバッファ回路130の構成を示す回路図である。
図14を参照して、バッファ回路130は、内部に定電流回路を有する第1および第2の増幅回路132,134と、抵抗素子R136と、ノード138とからなる。第1の増幅回路132は、ノードNDiと出力ノード140との間に接続され、第2の増幅回路134は、ノード138と出力ノード140との間に接続される。抵抗素子R136は、ノードNDiとノード138との間に接続される。
第1および第2の増幅回路132,134は、プッシュプル型のアンプを構成する。すなわち、第1の増幅回路132は、小さな電流駆動力で出力ノード140を充電するとともに、出力ノード140の電圧レベルがノードNDiの電圧レベルを超えたときは、十分な電流駆動力で出力ノード140から電荷を放電する。第2の増幅回路134は、出力ノード140の電圧レベルがノード138の電圧レベルを下回ったとき、十分な電流駆動力で出力ノード140に電荷を充電する。
第1および第2の増幅回路132,134が同時に動作すると第2の増幅回路134から第1の増幅回路132へ大電流が流れてしまうので、第1および第2の増幅回路132,134の入力電位に電位差を与えて第1および第2の増幅回路132,134が同時に動作しないようにするため、抵抗素子R136が設けられる。なお、一方で、抵抗素子R136の抵抗値は、出力ノード140に出力される駆動電圧が大きく変動しないように、第1および第2の増幅回路132,134が同時に動作しない範囲で十分小さな値に設定される。
図15は、図14に示した第1の増幅回路132の構成を示す回路図である。
図15を参照して、第1の増幅回路132は、P型TFT素子P101,P102と、N型TFT素子N101〜N103と、定電流回路150a,150bと、電源ノードVddと、接地ノードVssと、ノード210〜215と、出力ノード216とからなる。出力ノード216は、図14に示した出力ノード140と接続される。
P型TFT素子P101,P102およびN型TFT素子N101,N102は、差動回路を構成する。N型TFT素子N103は、出力ノード216と接地ノードVssとの間に接続され、ゲートがノード212に接続される。出力ノード216の電圧レベルがノードNDiの電圧レベルよりも高いときは、ノード212の電圧レベルが上昇するので、N型TFT素子N103を流れる電流が増加し、出力ノード216から接地ノードVssへの電荷の放電量が増加する。したがって、出力ノード216の電圧レベルが低下する。
定電流回路150aは、P型TFT素子P132aと、キャパシタC132aと、スイッチS104a〜S106aと、抵抗素子R132aと、ノード202,204とからなる。P型TFT索子P132aは、定電流を流すトランジスタであって、電源ノードVddとノード202との間に接続され、ゲートがノード204に接続される。キャパシタC132aは、P型TFT素子P132aのゲート電圧を保持する電圧保持キャパシタであって、電源ノードVddとノード204との間に接続される。
スイッチS104a〜S106aは、P型TFT素子P132aのゲート電圧を設定する電圧設定時と電流駆動時とで切替わり、スイッチS104aは、ノード202と抵抗素子R132aとの間に接続され、スイッチS105aは、差動回路が接続されるノード210とノード202との間に接続され、スイッチS106aは、ノード202とノード204との間に接続される。抵抗素子R132aは、電圧設定時に所定の電流をノード202に流すために設けられ、スイッチS104aと接地ノードVssとの間に接続される。
この定電流回路150aは、実施の形態2で説明した定電流回路1Aと同様の構成を有している。したがって、定電流を流すトランジスタがP型TFT素子P132aで構成されていても、そのしきい値電圧のばらつきの影響を受けることなく差動回路に一定の電流を流すことができるので、差動回路が誤動作することはない。
定電流回路150bは、P型TFT素子P132bと、キャパシタC132bと、スイッチS104b〜S106bと、抵抗素子R132bと、ノード206,208とからなる。定電流回路150bの構成は、定電流回路150aの構成と同じであるので、その説明は繰返さない。
定電流回路150bは、出力ノード216の電圧レベルをノードNDiの電圧レベルに高めるために設けられている。すなわち、出力ノード216の電圧レベルがノードNDiの電圧レベルよりも高くなるとN型TFT素子N103が活性化され、出力ノード216の電圧レベルは低下する。そして、図14に示したノード138の電圧レベルよりも出力ノード216の電圧レベルが低くなると、図16において後述する第2の増幅回路134に含まれるP型TFT素子が活性化され、出力ノード216の電圧レベルは上昇する。
ところが、上述したように、第2の増幅回路134の入力電圧は、第1および第2の増幅回路132,134が同時に動作しないように、抵抗素子R136によってノードNDiの電圧レベルよりも低くされているので、出力ノード216の電圧レベルは、ノード138の電圧レベルまでしか上昇しない。そこで、出力ノード216の電圧レベルをノードNDiの電圧レベルに上昇させるため、定電流回路150bが設けられている。
この出力ノード216の電圧レベルをノードNDiの電圧レベルに高めるために設けられる定電流回路が誤動作すると、すなわち動作しないと、出力ノード216の電圧レベルは、ノードNDiの電圧レベルに対してオフセットを有することとなる。すなわち、画素に印加される駆動電圧がオフセットを有することとなる。したがって、この定電流回路の動作安定化は重要であり、実施の形態5による液晶表示装置100においては、上述した定電流回路150bが設けられることによって、この定電流回路の動作安定化が図られている。
図16は、図14に示した第2の増幅回路134の構成を示す回路図である。
図16を参照して、第2の増幅回路134は、P型TFT素子P111〜P113と、N型TFT素子N111,N112と、定電流回路152と、電源ノードVddと、接地ノードVssと、ノード230〜235と、出力ノード236とからなる。出力ノード236は、図14に示した出力ノード140と接続される。
P型TFT素子P111,P112およびN型TFT素子N111,N112は、差動回路を構成する。P型TFT素子P113は、電源ノードVddと出力ノード236との間に接続され、ゲートがノード232に接続される。出力ノード236の電圧レベルがノード138の電圧レベルよりも低いときは、ノード232の電圧レベルが低下するので、P型TFT素子P113を流れる電流が増加し、電源ノードVddから出力ノード236への電荷の供給量が増加する。したがって、出力ノード236の電圧レベルが上昇する。
定電流回路152は、N型TFT素子N134と、キャパシタC134と、スイッチS101〜S103と、抵抗素子R134と、ノード222,224とからなる。N型TFT素子N134は、定電流を流すトランジスタであって、ノード222と接地ノードVssとの間に接続され、ゲートがノード224に接続される。キャパシタC134は、N型TFT素子N134のゲート電圧を保持する電圧保持キャパシタであって、ノード224と接地ノードVssとの間に接続される。
スイッチS101〜S103は、N型TFT素子N134のゲート電圧を設定する電圧設定時と電流駆動時とで切替わり、スイッチS101は、抵抗素子R134とノード222との間に接続され、スイッチS102は、差動回路が接続されるノード230とノード222との間に接続され、スイッチS103は、ノード222とノード224との間に接続される。抵抗素子R134は、電圧設定時に所定の電流をノード222に流すために設けられ、電源ノードVddとスイッチS101との間に接続される。
この定電流回路152は、実施の形態1で説明した定電流回路1と同様の構成を有している。したがって、定電流を流すトランジスタがN型TFT素子N134で構成されていても、そのしきい値電圧のばらつきの影響を受けることなく差動回路に一定の電流を流すことができるので、差動回路が誤動作することはない。
なお、上述した第1の増幅回路132における定電流回路150a,150bおよび第2の増幅回路134における定電流回路152においては、それぞれ抵抗素子R132a,R132b,R134が用いられているが、実施の形態3で説明したように、抵抗素子R132a,R132b,R134に代えてデプレッション型のN型TFT素子を用いてもよい。これによって、実施の形態3で述べたように、第1および第2の増幅回路132,134の動作すなわちそれらが含まれる電圧発生回路114の動作は、さらに安定する。
また、上述した液晶表示装置100は、各画素における階調表示を64レベルとしているが、階調表示は64レベルに限られるものではなく、それより多くても少なくてもよい。階調表示のレベル数に応じて、画素データDATAのビット数や、電圧発生回路114の抵抗素子およびバッファ回路の数は異なってくるが、全体構成としては上述した構成と本質的に異なるところはなく、階調表示のレベル数が異なる場合の構成については、上述した説明と重複するので省略する。
以上のように、この実施の形態5による液晶表示装置100によれば、電圧発生回路を画像表示部とともに同一のガラス基板上に一体成形したときに、TFTで構成される定電流回路の動作を安定化したので、TFTのしきい値電圧のばらつきに起因する電圧発生回路の誤動作を防止することができる。
[実施の形態6]
実施の形態6では、実施の形態1,2による定電流回路がEL表示装置に適用される場合について示される。
EL表示装置においては、画素に印加する電圧を変化させることによって、画素ごとに設けられた電流駆動型発光素子である有機発光ダイオードに供給する電流を変化させることにより、有機発光ダイオードの表示輝度を変化させる。そして、各画素における複数レベルの表示輝度に対応する複数の電圧レベルを発生する電圧発生回路を含む周辺回路の構成は、液晶表示装置と同様に構成できる。
この実施の形態6によるEL表示装置100Aは、画素以外の構成が実施の形態5による液晶表示装置100と同じである。したがって、EL表示装置100Aの画素以外の構成の説明は繰返さない。
図17は、実施の形態6によるEL表示装置100Aの画素118Aの構成を示す回路図である。図17においては、データ線DL(R)および走査線SL(n)に接続される画素118Aについて示されているが、その他の画素についても、構成は同じである。
図17を参照して、画素118Aは、N型TFT素子N21と、P型TFT素子P21と、有機発光ダイオードOLEDと、キャパシタC21と、ノード250とを含む。
N型TFT素子N21は、データ線DL(R)とノード250との間に接続され、ゲートが走査線SL(n)に接続される。P型TFT素子P21は、電源ノードVddと有機発光ダイオードOLEDとの間に接続され、ゲートがノード250に接続される。有機発光ダイオードOLEDは、P型TFT素子P21と共通電極Vssとの間に接続される。キャパシタC21は、ノード250と共通電極Vssとの間に接続される。
有機発光ダイオードOLEDは、電流駆動型の発光素子であって、供給される電流に応じてその表示輝度が変化する。図17においては、有機発光ダイオードOLEDのカソードが共通電極Vssと接続される「カソードコモン構成」となっている。共通電極Vssには、接地電圧または所定の負電圧が印加される。
画素118Aにおいては、N型TFT素子N21を介してデータ線DL(R)から印加される駆動電圧のレベルに応じて、有機発光ダイオードOLEDに供給する電流量をP型TFT素子P21が変化させる。したがって、有機発光ダイオードOLEDは、データ線DL(R)から印加される駆動電圧のレベルに応じてその表示輝度が変化する。
そして、走査線SL(n)が活性化されてデータ線DL(R)からP型TFT素子P21のゲートに駆動電圧が印加され、有機発光ダイオードOLEDに駆動電流が供給された後、次の走査線SL(n+1)の画像表示に移行するため、走査線SL(n)は不活性化されてN型TFT素子N21はOFFされるが、N型TFT素子N21のOFF期間においても、キャパシタC21がノード250の電位を保持するので、有機発光ダイオードOLEDは、画素データに応じた輝度を維持することができる。
なお、実施の形態6においても、実施の形態5で述べたように、第1の増幅回路132における定電流回路150a,150bおよび第2の増幅回路134における定電流回路152においてそれぞれ用いられている抵抗素子R132a,R132b,R134に代えてデプレッション型のN型TFT素子あるいはゲートをソースに接続したP型TFT素子を用いてもよい。これによって、第1および第2の増幅回路132,134の動作すなわちそれらが含まれる電圧発生回路114の動作は、さらに安定する。
なお、EL表示装置100Aについても、上述した説明では各画素における階調表示を64レベルとしているが、階調表示は64レベルに限られるものではなく、それより多くても少なくてもよいのは、実施の形態5による液晶表示装置100と同じである。
以上のように、この実施の形態6によるEL表示装置100Aによれば、電圧発生回路を画像表示部とともに同一のガラス基板上に一体成形したときに、TFTで構成される定電流回路の動作を安定化したので、TFTのしきい値電圧のばらつきに起因する電圧発生回路の誤動作を防止することができる。
[実施の形態7]
実施の形態7では、実施の形態5による液晶表示装置100において、選択された階調電圧に対応する表示電圧をデータ線DLへ出力するアナログアンプにも実施の形態1による定電流回路が適用される。
図18は、この発明の実施の形態7によるカラー液晶表示装置の全体構成を示す概略ブロック図である。
図18を参照して、カラー液晶表示装置100Bは、図11に示した実施の形態5によるカラー液晶表示装置100の構成において、水平走査回路104に代えて水平走査回路104Aを備える。水平走査回路104Aは、図11に示したデータ線ドライバ116に代えてデータ線ドライバ116Aを含み、データ線ドライバ116Aは、デコード回路122と、アナログアンプ124とからなる。
デコード回路122は、第2のデータラッチ回路112から出力される1ライン分の画素データおよび電圧発生回路114から出力される階調電圧V1〜V64を受け、画素データに応じて階調電圧を画素ごとに選択する。そして、デコード回路122は、その選択された1ライン分の階調電圧を一斉にアナログアンプ124へ出力する。
アナログアンプ124は、デコード回路122から出力された1ライン分の階調電圧をハイインピーダンスで受け、その受けた階調電圧と同一の表示電圧を対応するデータ線DLに低インピーダンスで出力する。
カラー液晶表示装置100Bのその他の構成は、図11に示したカラー液晶表示装置100の構成と同じであるので、その説明は繰返さない。
図19は、図18に示したアナログアンプ124の構成を示す回路図である。ここで、デコード回路122によって選択された階調電圧を受けてそれに対応する表示電圧を出力するアナログアンプは、データ線DLごとに設けられ、図19では、j番目(jは自然数)のデータ線DLに対応するアナログアンプ124.jが示されており、その他のデータ線DLに対応するアナログアンプも同様の回路構成からなる。
図19を参照して、アナログアンプ124.jは、N型TFT素子N200と、定電流回路300と、スイッチS200〜S206と、キャパシタC200,C202と、電源電圧VH2,VL2がそれぞれ印加される電源ノード380,382と、ノード350〜360とからなる。ノード360は、対応するデータ線DL(図示せず)と接続される。
N型TFT素子N200は、電源ノード380とノード356との間に接続され、ゲートがノード352に接続される。電源ノード380には、たとえば10Vの電源電圧VH2が印加される。N型TFT素子N200のソースが接続されるノード356には、定電流回路300が接続され、N型TFT素子N200は、入力電圧Vinjに対応する電圧を高インピーダンスでゲートに受けて出力電圧Voutjを低インピーダンスでノード360へ出力するソースフォロア動作を行なう。
定電流回路300は、N型TFT素子N202と、キャパシタC204と、スイッチS208〜S212と、抵抗素子R200と、電源ノード384と、ノード362〜366とからなる。N型TFT素子N202は、定電流を流すトランジスタであって、ノード364と電源ノード382との間に接続され、ゲートがノード366に接続される。キャパシタC204は、N型TFT素子N202のゲート電圧を保持する電圧保持キャパシタであって、ノード366と電源ノード382との間に接続される。電源ノード384,382には、たとえば10Vの電源電圧VH2および0Vの電源電圧VL2がそれぞれ印加される。
スイッチS208〜S212は、N型TFT素子N202のゲート電圧を設定する電圧設定時と電流駆動時とで切替わる。スイッチS208は、抵抗素子R200とノード362との間に接続され、スイッチS210は、ノード356とノード364との間に接続され、スイッチS212は、ノード362とノード366との間に接続される。抵抗素子R200は、電圧設定時に所定の電流をN型TFT素子N202に流すために設けられ、電源ノード380とスイッチS208との間に接続される。
この定電流回路300は、実施の形態1で説明した定電流回路1と同様の構成を有している。したがって、定電流を流すトランジスタがN型TFT素子N202で構成されていても、そのしきい値電圧のばらつきの影響を受けることなくドライバトランジスタであるN型TFT素子N200に一定の電流を流すことができるので、このアナログアンプ124.jが誤動作することはない。
スイッチS200〜S204およびキャパシタC200は、N型TFT素子N200においてそのしきい値電圧Vthnによって発生する入力電圧Vinjと出力電圧Voutjとのオフセットを補償するオフセット補償回路を構成する。スイッチS200は、入力電圧Vinjを受ける入力ノード350とノード352との間に接続される。スイッチS202は、ノード354とノード358との間に接続される。スイッチS204は、入力ノード350とノード354との間に接続される。
このオフセット補償回路の動作について説明すると、所定の設定モード時、スイッチS200,S202,S204は、それぞれON,ON,OFFされる。そうすると、N型TFT素子N200のゲート電圧が入力電圧Vinjとなり、ノード356,358の電位は、Vinj−Vthnとなる。したがって、キャパシタC200は、入力電位Vinjとノード358の電位との電位差Vthnに充電される。
充電が終了すると、設定モードが終了し、スイッチS200,S202,S204は、それぞれOFF,OFF,ONされる。そうすると、ノード354の電位は、Vinjとなり、それに応じてノード352の電位すなわちN型TFT素子N200のゲート電位は、Vinj+Vthnとなる。したがって、ノード356,358の電位は、Vinjとなる。すなわち、出力電圧Voutj=入力電圧Vinjとなり、オフセット電圧が打消される。
このアナログアンプ124.jにおいては、定電流回路300が用いられることによって、上記のオフセット補償回路が安定かつ高精度に動作する。すなわち、定電流回路300は、誤動作なく、かつ、安定して一定の電流を流すことができるため、オフセット補償回路におけるキャパシタC200には、オフセットを発生させるしきい値電圧Vthnに相当する電荷が安定かつ高精度に充電される。したがって、動作モード時のN型TFT素子N200のゲート電圧が安定化かつ高精度化され、その結果、オフセットのない高精度な出力電圧Voutjが出力される。
なお、キャパシタC202は、データ線DLが接続されるノード360の容量を表わしており、スイッチS206は、設定モード時、キャパシタC200への充電が早期に終了するようにキャパシタC200をノード360から切離すために設けられている。なお、キャパシタC202の容量が小さい場合には、スイッチS206を特に設けなくてもよい。
以上のように、実施の形態7によれば、アナログアンプ124は、定電流回路300を備えるので、TFTのしきい値電圧のばらつきに起因するアナログアンプ124の誤動作を防止することができる。さらに、このアナログアンプ124は、定電流回路300とともに動作するオフセット補償回路を備えるので、デコード回路122から受ける階調電圧に対してオフセットがなく、かつ、高精度な表示電圧を出力することができる。
したがって、アナログアンプ124を含む周辺回路を画像表示部とともに同一のガラス基板上に一体成形しても、カラー液晶表示装置100Bは、安定かつ高精度に動作する。
[実施の形態8]
実施の形態8によるカラー液晶表示装置は、実施の形態7によるカラー液晶表示装置100Bの構成において、アナログアンプ124に代えてアナログアンプ124Aを含む。
図20は、実施の形態8におけるアナログアンプ124Aの構成を示す回路図である。ここで、実施の形態8においても、アナログアンプは、データ線DLごとに設けられ、図20では、j番目のデータ線DLに対応するアナログアンプ124A.jが示されており、その他のデータ線DLに対応するアナログアンプも同様の回路構成からなる。
図20を参照して、アナログアンプ124A.jは、図19に示した実施の形態7におけるアナログアンプ124.jの構成において、定電流回路300に代えて定電流回路300Aからなる。定電流回路300Aは、N型TFT素子N202〜N210と、キャパシタC204と、スイッチS208〜S212と、抵抗素子R202〜R206と、電源ノード384と、ノード362〜372とからなる。電源ノード384には、電源電位VH2が印加される。
N型TFT素子N204は、電源ノード384とスイッチS208との間に接続され、ゲートがノード372に接続される。N型TFT素子N206,N208,N210は、抵抗素子R202と電源ノード382との間に直列に接続される。N型TFT素子N206,N208,N210の各々は、ゲートをドレインと接続したエンハンスメント型のトランジスタを構成する。
抵抗素子R204,R206は、ノード368とノード370との間に直列に接続され、N型TFT素子N206のドレインーソース間の電圧を抵抗素子R204,R206の抵抗比に基づいて分圧する。そして、抵抗R204,R206を接続するノード372には、N型TFT素子N204のゲートが接続される。
なお、その他の回路については、図19において既に説明したので、その説明は繰返さない。
以下、この定電流回路300Aの特徴について説明する。なお、下記において、しきい値電圧Vthnについては、N型TFT素子N202〜N210間のばらつきは無いものとし、下記におけるしきい値電圧のばらつきとは、設計値に対するばらつきを表わしている。
この定電流回路300Aを構成するN型TFT素子N202〜N210のしきい値電圧をVthn、抵抗素子R204,R206の抵抗値をそれぞれR1,R2とし、電源電圧VL2を接地レベル(0V)とすると、ノード372の電位すなわちN型TFT素子N204のゲート電位は、下記の通りとなる。
Vg=2×Vthn+Vthn×R1/(R1+R2) …(3)
ここで、抵抗値R1,R2は、N型TFT素子N206のON抵抗に比べて十分に大きな値に設定される。(3)式に示されるように、N型TFT素子N204のゲート電圧は、しきい値電圧Vthnに依存する。したがって、N型TFT素子N204において、しきい値電圧Vthnがばらついてもゲート電圧Vgもそのばらつきに伴なって変動するので、しきい値電圧VthnのばらつきによるN型TFT素子N204の安定動作マージンが向上する。
また、(3)式に示されるように、抵抗値R1,R2を調整することによって、ゲート電圧Vgを調整することができる。したがって、N型TFT素子N204に流れる電流量、すなわちこの定電流回路300Aが流す電流量を抵抗素子R204,R206の抵抗値R1,R2の値によって調整することができる。
以上のように、実施の形態8によれば、定電流回路およびそれを含むアナログアンプの動作がさらに安定化され、これによって、液晶表示装置の動作安定性がさらに向上する。
また、抵抗素子R204,R206の抵抗値R1,R2を適切に調整することによって定電流回路300Aが流す電流量を調整できるので、定電流回路における電流量を適正化し、消費電力を低減することもできる。
[実施の形態9]
実施の形態7,8におけるアナログアンプ124,124Aは、電源ノード380と出力ノードとの間にドライバトランジスタであるN型TFT素子N200が接続されるプッシュ型であったのに対し、この実施の形態9では、プル型のアナログアンプが示される。
実施の形態9によるカラー液晶表示装置は、実施の形態7によるカラー液晶表示装置100Bの構成において、アナログアンプ124に代えてアナログアンプ124Bを含む。
図21は、実施の形態9におけるアナログアンプ124Bの構成を示す回路図である。ここで、実施の形態9においても、アナログアンプは、データ線DLごとに設けられ、図21では、j番目のデータ線DLに対応するアナログアンプ124B.jが示されており、その他のデータ線DLに対応するアナログアンプも同様の回路構成からなる。
図21を参照して、アナログアンプ124B.jは、P型TFT素子P200と、定電流回路302と、スイッチS220〜S226と、キャパシタC220,C222と、電源ノード380,382と、ノード400〜410とからなる。ノード410は、対応するデータ線DL(図示せず)と接続される。
P型TFT素子P200は、ノード406と電源ノード382との間に接続され、ゲートがノード402に接続される。電源ノード382には、たとえば接地電位(0V)の電源電圧VL2が印加される。P型TFT素子P200のソースが接続されるノード406には、定電流回路302が接続され、P型TFT素子P200は、入力電圧Vinjに対応する電圧を高インピーダンスでゲートに受けて出力電圧Voutjを低インピーダンスでノード410へ出力するソースフォロア動作を行なう。
定電流回路302は、P型TFT素子P202と、キャパシタC224と、スイッチS228〜S232と、抵抗素子R220と、電源ノード386と、ノード412〜416とからなる。P型TFT素子P202は、定電流を流すトランジスタであって、電源ノード380とノード414との間に接続され、ゲートがノード416に接続される。キャパシタC224は、P型TFT素子P202のゲート電圧を保持する電圧保持キャパシタであって、電源ノード380とノード416との間に接続される。
スイッチS228〜S232は、P型TFT素子P202のゲート電圧を設定する電圧設定時と電流駆動時とで切替わる。スイッチS228は、ノード412と抵抗素子R220との間に接続され、スイッチS230は、ノード414とノード406との間に接続され、スイッチS232は、ノード416とノード412との間に接続される。抵抗素子R220は、電圧設定時に所定の電流をP型TFT素子P202に流すために設けられ、スイッチS228と電源ノード386との間に接続される。
この定電流回路302は、実施の形態2で説明した定電流回路1Aと同様の構成を有している。したがって、定電流を流すトランジスタばP型TFT素子P202で構成されていても、そのしきい値電圧のばらつきの影響を受けることなくドライバトランジスタであるP型TFT素子P200に一定の電流を流すことができるので、このアナログアンプ124B.jが誤動作することはない。
スイッチS220〜S224およびキャパシタC220は、P型TFT素子P200においてそのしきい値電圧Vthpによって発生する入力電圧Vinjと出力電圧Voutjとのオフセットを補償するオフセット補償回路を構成する。スイッチS220は、入力電圧Vinjを受ける入力ノード400とノード402との間に接続される。スイッチS222は、ノード408とノード404との間に接続される。スイッチS224は、入力ノード400とノード404との間に接続される。
このオフセット補償回路の動作について説明すると、所定の設定モード時、スイッチS220,S222,S224は、それぞれON,ON,OFFされる。そうすると、P型TFT素子P200のゲート電圧が入力電圧Vinjとなり、ノード406,408の電位は、Vinj+|Vthp|となる。したがって、キャパシタC220は、入力電位Vinjとノード408の電位との電位差|Vthp|に充電される。
充電が終了すると、設定モードが終了し、スイッチS220,S222,S224は、それぞれOFF,OFF,ONされる。そうすると、ノード404の電位は、Vinjとなり、それに応じてノード402の電位すなわちP型TFT素子P200のゲート電位は、Vinj−|Vthp|となる。したがって、ノード406,408の電位は、Vinjとなる。すなわち、出力電圧Voutj=入力電圧Vinjとなり、オフセット電圧が打消される。
このアナログアンプ124B.jにおいては、定電流回路302が用いられることによって、上記のオフセット補償回路が安定かつ高精度に動作する。すなわち、定電流回路302は、誤動作なく、かつ、安定して一定の電流を流すことができるため、オフセット補償回路におけるキャパシタC220には、オフセットを発生させるしきい値電圧Vthpに相当する電荷が安定かつ高精度に充電される。したがって、動作モード時のP型TFT素子P200のゲート電圧が安定化かつ高精度化され、その結果、オフセットのない高精度な出力電圧Voutjが出力される。
なお、キャパシタC222は、データ線DLが接続されるノード410の容量を表わしており、スイッチS226は、設定モード時、キャパシタC220への充電が早期に終了するようにキャパシタC220をノード410から切離すために設けられている。なお、キャパシタC222の容量が小さい場合には、スイッチS226を特に設けなくてもよい。
以上のように、プル型のアナログアンプ124Bを含む実施の形態9による液晶表示装置によっても、実施の形態7と同様の効果を得ることができる。
[実施の形態10]
実施の形態10によるカラー液晶表示装置は、実施の形態7によるカラー液晶表示装置100Bの構成において、アナログアンプ124に代えてアナログアンプ124Cを含む。
図22は、実施の形態10におけるアナログアンプ124Cの構成を示す回路図である。ここで、実施の形態10においても、アナログアンプは、データ線DLごとに設けられ、図22では、j番目のデータ線DLに対応するアナログアンプ124C.jが示されており、その他のデータ線DLに対応するアナログアンプも同様の回路構成からなる。
図22を参照して、アナログアンプ124C.jは、図21に示した実施の形態9におけるアナログアンプ124B.jの構成において、定電流回路302に代えて定電流回路302Aからなる。定電流回路302Aは、P型TFT素子P202〜P210と、キャパシタC224と、スイッチS228〜S232と、抵抗素子R222〜R226と、電源ノード386と、ノード412〜422とからなる。電源ノード386には、電源電位VL2が印加される。
P型TFT素子P204は、スイッチS228と電源ノード386との間に接続され、ゲートがノード422に接続される。P型TFT素子P206,P208,P210は、電源ノード380と抵抗素子R222との間に直列に接続される。P型TFT素子P206,P208,P210の各々は、ゲートをドレインと接続したエンハンスメント型のトランジスタを構成する。
抵抗素子R224,R226は、ノード418とノード420との間に直列に接続され、P型TFT素子P206のソース−ドレイン間の電圧を抵抗素子R224,R226の抵抗比に基づいて分圧する。そして、抵抗R224,R226を接続するノード422には、P型TFT素子P204のゲートが接続される。
なお、その他の回路については、図21において既に説明したので、その説明は繰返さない。
以下、この定電流回路302Aの特徴について説明する。なお、下記において、しきい値電圧Vthpについては、P型TFT素子P202〜P210間のばらつきは無いものとし、下記におけるしきい値電圧のばらつきとは、設計値に対するばらつきを表わしている。
この定電流回路302Aを構成するP型TFT素子P202〜P210のしきい値電圧をVthp、抵抗素子R224,R226の抵抗値をそれぞれR3,R4とすると、ノード422の電位すなわちP型TFT素子P204のゲート電位は、下記の通りとなる。
Vg=VH2−2×|Vthp|−|Vthp|×R3/(R3+R4) …(4)
ここで、抵抗値R3,R4は、P型TFT素子P206のON抵抗に比べて十分に大きな値に設定される。(4)式に示されるように、P型TFT素子P204のゲート電圧は、しきい値電圧Vthpに依存する。したがって、P型TFT素子P204において、しきい値電圧Vthpがばらついてもゲート電圧Vgもそのばらつきに伴なって変動するので、しきい値電圧VthpのばらつきによるP型TFT素子P204の安定動作マージンが向上する。
また、(4)式に示されるように、抵抗値R3,R4を調整することによって、ゲート電圧Vgを調整することができる。したがって、P型TFT素子P204に流れる電流量、すなわちこの定電流回路302Aが流す電流量を抵抗素子R224,R226の抵抗値R3,R4の値によって調整することができる。
以上のように、プル型のアナログアンプ124Cを含む実施の形態10による液晶表示装置によっても、実施の形態8と同様の効果を得ることができる。
[実施の形態11]
実施の形態11によるカラー液晶表示装置は、実施の形態7によるカラー液晶表示装置100Bの構成において、アナログアンプ124に代えてアナログアンプ124Dを含む。
図23は、実施の形態11におけるアナログアンプ124Dの構成を示す回路図である。ここで、実施の形態11においても、アナログアンプは、データ線DLごとに設けられ、図23では、j番目のデータ線DLに対応するアナログアンプ124D.jが示されており、その他のデータ線DLに対応するアナログアンプも同様の回路構成からなる。
図23を参照して、アナログアンプ124D.jは、図19に示した実施の形態7によるアナログアンプ124.jの構成において、N型TFT素子N200のゲート電極とノード352との間に設けられるレベルシフト回路500をさらに含む。レベルシフト回路500は、P型TFT素子P250と、定電流回路302と、電源電圧VH1,VL1がそれぞれ印加される電源ノード388,390とからなる。
P型TFT素子P250は、ノード374と電源ノード390との間に接続され、ゲートがノード352に接続される。定電流回路302は、図21で示した定電流回路であって、電源ノード388とノード374との間に接続される。ノード374は、N型TFT素子N200のゲートと接続される。P型TFT素子P250は、ソースフォロア動作を行なう。なお、その他の構成は、図19において既に説明したとおりである。
以下、このアナログアンプ124D.jの動作について説明する。P型TFT素子P250のゲート電位をVg、しきい値電圧をVthpとすると、ノード374の電位は、Vg+|Vthp|となる。したがって、レベルシフト回路500は、レベルシフト回路500に入力される電位を|Vthp|だけシフトさせた電位を出力する。
そして、所定の設定モード時、スイッチS200,S202,S204がそれぞれON,ON,OFFされると、P型TFT素子P250のゲート電圧が入力電圧Vinjとなり、ノード374の電位は、Vinj+|Vthp|となり、ノード356,358の電位は、Vinj+|Vthp|−Vthnとなる。したがって、キャパシタC200には、入力電位Vinjとノード358の電位との電位差Vthn−|Vthp|に充電される。
充電が終了すると、設定モードが終了し、スイッチS200,S202,S204は、それぞれOFF,OFF,ONされる。そうすると、ノード354の電位は、Vinjとなり、それに応じてノード352の電位、すなわちP型TFT素子P250のゲート電位は、Vinj+Vthn−|Vthp|となる。したがって、ノード374の電位は、Vinj+Vthnとなり、ノード356,358の電位は、Vinjとなる。すなわち、出力電圧Voutj=入力電圧Vinjとなり、オフセット電圧が打消される。
なお、このようなレベルシフト回路500を設ける理由は、図19に示した実施の形態7におけるアナログアンプ124.jによれば、オフセット補償回路が設けられたとしてもノード352の寄生容量の大きさによっては無視できないオフセット誤差が生じる可能性があるところ、このレベルシフト回路500に含まれるP型TFT素子P250のしきい値電圧の大きさをN型TFT素子N200のしきい値電圧に近いレベルに設計できれば、しきい値電圧に起因して発生するオフセット電圧自体を小さくできるからである。
以上のように、実施の形態11によっても、実施の形態7と同様の効果を得ることができる。
[実施の形態12]
実施の形態12によるカラー液晶表示装置は、実施の形態7によるカラー液晶表示装置100Bの構成において、アナログアンプ124に代えてアナログアンプ124Eを含む。
図24は、実施の形態12におけるアナログアンプ124Eの構成を示す回路図である。ここで、実施の形態12においても、アナログアンプは、データ線DLごとに設けられ、図24では、j番目のデータ線DLに対応するアナログアンプ124E.jが示されており、その他のデータ線DLに対応するアナログアンプも同様の回路構成からなる。
図24を参照して、アナログアンプ124E.jは、図23に示したアナログアンプ124D.jの構成において、定電流回路300に代えて、図20に示した定電流回路300Aを含み、レベルシフト回路500に代えて、レベルシフト回路500Aを含む。レベルシフト回路500Aは、レベルシフト回路500の構成において、定電流回路302に代えて、図22に示した定電流回路302Aからなる。
なお、アナログアンプ124E.jのその他の構成は、実施の形態11におけるアナログアンプ124D.jの構成と同じである。
この実施の形態12によれば、実施の形態11と同様に、実施の形態7と同様の効果が得られるほか、定電流回路300A,302Aによって、アナログアンプの動作がさらに安定化され、液晶表示装置の動作安定性がさらに向上する。
[実施の形態13]
実施の形態13によるカラー液晶表示装置は、実施の形態7によるカラー液晶表示装置100Bの構成において、アナログアンプ124に代えてアナログアンプ124Fを含む。
図25は、実施の形態13におけるアナログアンプ124Fの構成を示す回路図である。ここで、実施の形態13においても、アナログアンプは、データ線DLごとに設けられ、図25では、j番目のデータ線DLに対応するアナログアンプ124F.jが示されており、その他のデータ線DLに対応するアナログアンプも同様の回路構成からなる。
図25を参照して、アナログアンプ124F.jは、図21に示した実施の形態9によるアナログアンプ124B.jの構成において、P型TFT素子P200のゲート電極とノード402との間に設けられるレベルシフト回路502をさらに含む。レベルシフト回路502は、N型TFT素子N250と、定電流回路300と、電源電圧VH1,VL1がそれぞれ印加される電源ノード388,390とからなる。
N型TFT素子N250は、電源ノード388とノード424との間に接続され、ゲートがノード402に接続される。定電流回路300は、図19で示した定電流回路であって、ノード424と電源ノード390との間に接続される。ノード424は、P型TFT素子P200のゲートと接続される。N型TFT素子N250は、ソースフォロア動作を行なう。なお、その他の構成は、図21において既に説明したとおりである。
以下、このアナログアンプ124F.jの動作について説明する。N型TFT素子N250のゲート電位をVg、しきい値電圧をVthnとすると、ノード424の電位は、Vg−Vthnとなる。したがって、レベルシフト回路502は、レベルシフト回路502に入力される電位を−Vthnだけシフトさせた電位を出力する。
そして、所定の設定モード時、スイッチS220,S222,S224がそれぞれON,ON,OFFされると、N型TFT素子N250のゲート電圧が入力電圧Vinjとなり、ノード424の電位は、Vinj−Vthnとなり、ノード406,408の電位は、Vinj−Vthn+|Vthp|となる。したがって、キャパシタC220には、入力電圧Vinjとノード408の電位との電位差Vthn−|Vthp|に充電される。
充電が終了すると、設定モードが終了し、スイッチS200,S202,S204は、それぞれOFF,OFF,ONされる。そうすると、ノード404の電位は、Vinjとなり、それに応じてノード402の電位、すなわちN型TFT素子N250のゲート電位は、Vinj+Vthn−|Vthp|となる。したがって、ノード424の電位は、Vinj−|Vthp|となり、ノード406,408の電位は、Vinjとなる。すなわち、出力電圧Voutj=入力電圧Vinjとなり、オフセット電圧が打消される。
なお、このようなレベルシフト回路502を設ける理由は、実施の形態11においてレベルシフト回路500を設ける理由と同じであり、その説明は繰返さない。
以上のように、実施の形態13によっても、実施の形態9と同様の効果を得ることができる。
[実施の形態14]
実施の形態14によるカラー液晶表示装置は、実施の形態7によるカラー液晶表示装置100Bの構成において、アナログアンプ124に代えてアナログアンプ124Gを含む。
図26は、実施の形態14におけるアナログアンプ124Gの構成を示す回路図である。ここで、実施の形態14においても、アナログアンプは、データ線DLごとに設けられ、図26では、j番目のデータ線DLに対応するアナログアンプ124G.jが示されており、その他のデータ線DLに対応するアナログアンプも同様の回路構成からなる。
図26を参照して、アナログアンプ124G.jは、図25に示したアナログアンプ124F.jの構成において、定電流回路302に代えて、図22に示した定電流回路302Aを含み、レベルシフト回路502に代えて、レベルシフト回路502Aを含む。レベルシフト回路502Aは、レベルシフト回路502の構成において、定電流回路300に代えて、図20に示した定電流回路300Aからなる。
なお、アナログアンプ124G.jのその他の構成は、実施の形態13におけるアナログアンプ124F.jの構成と同じである。
この実施の形態14によれば、実施の形態13と同様に、実施の形態9と同様の効果が得られるほか、定電流回路302A,300Aによって、アナログアンプの動作がさらに安定化され、液晶表示装置の動作安定性がさらに向上する。
なお、上述した実施の形態7〜14では、実施の形態1,2による定電流回路が液晶表示装置におけるアナログアンプに適用される場合について説明したが、実施の形態5に対応する実施の形態6と同様に、実施の形態7〜14で説明したアナログアンプは、実施の形態6で説明したEL表示装置においても適用できる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
この発明における定電流回路は、電流を流す駆動トランジスタのしきい値電圧に基づいて設定された電圧を保持する電圧保持回路を備え、駆動トランジスタは、その電圧保持回路が保持する電圧をゲートに受けて電流を流すようにしたので、駆動トランジスタのしきい値電圧に製造ばらつきがあっても、その影響は排除され、定電流回路の動作は安定する。
そして、定電流回路の動作安定化に伴って、この定電流回路を備える駆動回路および画像表示装置の動作も安定する。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のノード(10,20)と第2のノード(8,16)との間に接続されるトランジスタ(N1,P1)と、
前記トランジスタ(N1,P1)のしきい値電圧に応じて決定され、かつ、前記トランジスタ(N1,P1)をONするための第1の電圧を保持する電圧保持回路(C1,4;C2,14)とを備え、
前記トランジスタ(N1,P1)は、前記第1の電圧をゲートに受け、前記第1のノード(10,20)における電流を一定にし、
前記第1のノード(10,20)には、差動回路(30,30A)が接続される、定電流回路。
【請求項2】
行列状に配置された複数の画像表示素子(118,118A)と、
前記複数の画像表示素子(118,118A)の行に対応して配置され、所定の周期で順次選択される複数の走査線(SL)と、
前記複数の画像表示素子(118,118A)の列に対応して配置される複数のデータ線(DL)と、
前記複数の画像表示素子(118,118A)の各々における表示輝度に対応する少なくとも1つの電圧レベルを発生する電圧発生回路(114)と、
前記電圧発生回路(114)によって発生された前記少なくとも1つの電圧レベルを維持し、電流増幅して出力する少なくとも1つのバッファ回路(130)と、
走査対象行の画像表示素子(118,118A)ごとに対応する画素データによって指示される電圧レベルを前記走査対象行の画像表示素子(118,118A)ごとに前記少なくとも1つの電圧レベルから選択し、その選択した電圧レベルで前記複数のデータ線(DL)を活性化するデータ線ドライバ(116)とを備え、
前記少なくとも1つのバッファ回路(130)の各々は、
前記少なくとも1つの電圧レベルのいずれかを入力し、電流増幅して出力する内部回路と、
前記内部回路に一定の電流を流す定電流回路(150a,150b,152)とからなり、
前記定電流回路(150a,150b,152)は、
前記内部回路と第1のノードとの間に接続されるトランジスタ(P132a,P132b,N134)と、
前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)のしきい値電圧に応じて決定され、かつ、前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)をONするための第1の電圧を保持する電圧保持回路(C132a,204;C132b,208;C134,224)とからなり、
前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)は、前記第1の電圧をゲートに受け、前記内部回路における電流を一定にする、画像表示装置。
【請求項3】
前記電圧保持回路(C132a,204;C132b,208;C134,224)は、前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)のドレインがゲートに接続され、前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)に電流が流れているときのゲート電圧を前記第1の電圧として保持する、請求の範囲第2項に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記定電流回路(150a,150b,152)は、さらに、
前記第1の電圧を設定するための電流を供給する電流供給回路(R132a,R132b,R134)と、
前記第1の電圧の設定時、前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)から前記内部回路を切離し、前記電圧保持回路(C132a,204;C132b,208;C134,224)および前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)を前記電流供給回路(R132a,R132b,R134)に接続するスイッチ回路(S104a〜S106a;S104b〜S106b;S101〜S103)とからなる、請求の範囲第3項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記電圧保持回路(C132a,204;C132b,208;C134,224)は、一方端が前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)のゲートに接続され、他方端が前記第1のノードに接続されるキャパシタ(C132a,C132b,C134)を含み、
前記スイッチ回路(S104a〜S106a;S104b〜S106b;S101〜S103)は、第1から第3のスイッチを含み、
前記第1の電圧の設定時、
前記第1のスイッチ(S105a,S105b,S102)は、前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)から前記内部回路を切離し、
前記第2のスイッチ(S104a,S104b,S101)は、前記電流供給回路(R132a,R132b,R134)を前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)のドレインに接続し、
前記第3のスイッチ(S106a,S106b,S103)は、前記トランジスタ(P132a,P132b,N134)のドレインを前記キャパシタ(C132a,C132b,C134)の前記一方端に接続する、請求の範囲第4項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記複数の画像表示素子(118,118A)、前記電圧発生回路(114)、前記少なくとも1つのバッファ回路(130)および前記データ線ドライバ(116)の各々に含まれるトランジスタは、薄膜トランジスタである、請求の範囲第2項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記複数の画像表示素子(118,118A)、前記電圧発生回路(114)、前記少なくとも1つのバッファ回路(130)および前記データ線ドライバ(116)は、ガラス基板上および樹脂基板上のいずれかに一体形成される、請求の範囲第6項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記複数の画像表示素子(118)の各々は、液晶表示素子(PX)を含む、請求の範囲第2項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記複数の画像表示素子(118A)の各々は、電界発光素子(OLED)を含む、請求の範囲第2項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
入力電圧に応じた出力電圧を出力する駆動回路であって、
第1の電源ノード(380,382)と出力ノード(356,406)との間に接続される第1のドランジスタ(N200,P200)と、
前記出力ノード(356,406)と第2の電源ノード(382,380)との間に接続される定電流回路(300,302)と、
前記第1のトランジスタ(N200,P200)のしきい値電圧に応じて発生するオフセット電圧を補償するオフセット補償回路とを備え、
前記オフセット補償回路は、前記オフセット電圧を保持し、前記保持されるオフセット電圧だけ前記入力電圧をシフトさせた第1の電圧を前記第1のトランジスタ(N200,P200)のゲート電極へ出力し、
前記定電流回路(300,302)は、
前記出力ノード(356,406)と前記第2の電源ノード(382,380)との間に接続される第2のトランジスタ(N202,P202)と、
前記第2のトランジスタ(N202,P202)のしきい値電圧に応じて決定され、かつ、前記第2のトランジスタ(N202,P202)をオンするための第2の電圧を保持する第1の電圧保持回路(C204,C224)とを含み、
前記第2のトランジスタ(N202,P202)は、前記第2の電圧をゲート電極に受け、前記出力ノード(356,406)に接続される前記第1のトランジスタ(N200,P200)における電流を一定にし、
前記第1のトランジスタ(N200,P200)は、前記オフセット補償回路から出力される前記第1の電圧をゲート電極に受け、前記入力電圧と同電位の出力電圧を前記出力ノード(360,410)へ出力する、駆動回路。
【請求項11】
前記オフセット補償回路は、
設定モード時に充電され、動作モード時、前記オフセット電圧を保持する第2の電圧保持回路(C200,C220)と、
前記設定モード時、前記第2の電圧保持回路(C200,C220)の一端および前記第1のトランジスタ(N200,P200)のゲート電極が接続される第1のノード(352,402)、ならびに前記第2の電圧保持回路(C200,C220)の他端をそれぞれ入力ノード(350,400)および前記出力ノード(358,408)と接続し、前記動作モード時、前記第1のノード(352,402)および前記第2の電圧保持回路(C200,C220)の他端をそれぞれ前記入力ノード(350,400)および前記出力ノード(358,408)から切離して前記他端を前記入力ノード(350,400)と接続する第1のスイッチ回路(S200〜S204,S220〜S224)とを含む、請求の範囲第10項に記載の駆動回路。
【請求項12】
前記定電流回路(300A,302A)は、
前記第2の電圧を設定するための電流を供給する電流供給回路と、
前記第2の電圧の設定時、前記第2のトランジスタ(N202,P202)を前記出力ノード(356,406)から切離し、前記第1の電圧保持回路(C204,C224)および前記第2のトランジスタ(N202,P202)を前記電流供給回路と接続する第2のスイッチ回路(S208〜S212,S228〜S232)とをさらに含み、
前記電流供給回路は、
当該電流供給回路を構成するトランジスタのしきい値電圧に応じて決定されるゲート電圧を発生する電圧発生部と、
第3の電源ノード(384,386)と前記第2のスイッチ回路(S208〜S212,S228〜S232)との間に接続され、前記電圧発生部によって発生された前記ゲート電圧をゲート電極に受ける第3のトランジスタ(N204,P204)とからなる、請求の範囲第10項に記載の駆動回路。
【請求項13】
前記電圧発生部は、
前記第3の電源ノード(384,386)と前記第2の電源ノード(382,380)との間に直列に接続される複数のエンハンスメント型トランジスタ(N206〜N210,P206〜P210)と、
前記第3の電源ノード(384,386)に接続されるエンハンスメント型トランジスタ(N206,P206)と並列に接続され、第1および第2の抵抗(R204,R206;R224,R226)が直列接続された分圧回路とからなり、
前記第3のトランジスタ(N204,P204)のゲート電極は、前記第1の抵抗(R204,R224)を前記第2の抵抗(R206,R226)と接続するノード(372,422)に接続される、請求の範囲第12項に記載の駆動回路。
【請求項14】
入力電圧に応じた出力電圧を出力する駆動回路であって、
第1の電源ノード(380,382)と出力ノード(356,406)との間に接続される第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)と、
前記出力ノード(356,406)と第2の電源ノード(382,380)との間に接続される第1の定電流回路(300,302)と、
第1の電圧を受け、その受けた第1の電圧を所定量シフトさせた第2の電圧を出力するレベルシフト回路(500,502)と、
前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)のしきい値電圧に応じて発生するオフセット電圧を補償するオフセット補償回路とを備え、
前記レベルシフト回路(500,502)は、
第3の電源ノード(388,390)と前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)のゲート電極との間に接続される第2の定電流回路(302,300)と、
前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)のゲート電極と第4の電源ノード(390,388)との間に接続される第2の導電型の第1のトランジスタ(P250,N250)とを含み、
前記オフセット補償回路は、前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)のしきい値電圧と前記第2の導電型の第1のトランジスタ(P250,N250)のしきい値電圧との電圧差を保持し、前記保持される電圧差だけ前記入力電圧をシフトさせた電圧を前記第1の電圧として前記第2の導電型の第1のトランジスタ(P250,N250)のゲート電極へ出力し、
前記第1の定電流回路(300,302)は、
前記出力ノード(356,406)と前記第2の電源ノード(382,380)との間に接続される第1の導電型の第2のトランジスタ(N202,P202)と、
前記第1の導電型の第2のトランジスタ(N202,P202)のしきい値電圧に応じて決定され、かつ、前記第1の導電型の第2のトランジスタ(N202,P202)をオンするための第3の電圧を保持する第1の電圧保持回路(C204,C224)とを含み、
前記第1の導電型の第2のトランジスタ(N202,P202)は、前記第3の電圧をゲート電極に受け、前記出力ノード(356,406)に接続される前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)における電流を一定にし、
前記第2の定電流回路(302,300)は、
前記第3の電源ノード(388,390)と前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)のゲート電極との間に接続される第2の導電型の第2のトランジスタ(P202,N202)と、
前記第2の導電型の第2のトランジスタ(P202,N202)のしきい値電圧に応じて決定され、かつ、前記第2の導電型の第2のトランジスタ(P202,N202)をオンするための第4の電圧を保持する第2の電圧保持回路(C224,C204)とを含み、
前記第2の導電型の第2のトランジスタ(P202,N202)は、前記第4の電圧をゲート電極に受け、前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)のゲート電極に接続される前記第2の導電型の第1のトランジスタ(P250,N250)における電流を一定にし、
前記第2の導電型の第1のトランジスタ(P250,N250)は、前記オフセット補償回路から出力される前記第1の電圧をゲート電極に受け、当該第2の導電型の第1のトランジスタ(P250,N250)のしきい値電圧だけ前記第1の電圧をシフトさせた前記第2の電圧を前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)のゲート電極へ出力し、
前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)は、前記レベルシフト回路(500,502)から出力される前記第2の電圧をゲート電極に受け、前記入力電圧と同電位の出力電圧を前記出力ノード(360,410)に出力する、駆動回路。
【請求項15】
前記オフセット補償回路は、
設定モード時に充電され、動作モード時、前記電圧差を保持する第3の電圧保持回路(C200,C220)と、
前記設定モード時、前記第3の電圧保持回路(C200,C220)の一端および前記第2の導電型の第1のトランジスタ(P250,N250)のゲート電極が接続される第1のノード(352,402)、ならびに前記第3の電圧保持回路(C200,C220)の他端をそれぞれ入力ノード(350,400)および前記出力ノード(358,408)と接続し、前記動作モード時、前記第1のノード(352,402)および前記第3の電圧保持回路(C200,C220)の他端をそれぞれ前記入力ノード(350,400)および前記出力ノード(358,408)から切離して前記他端を前記入力ノード(350,400)と接続する第1のスイッチ回路(S200〜S204,S220〜S224)とを含む、請求の範囲第14項に記載の駆動回路。
【請求項16】
前記第1の定電流回路(300A,302A)は、
前記第3の電圧を設定するための電流を供給する第1の電流供給回路と、
前記第3の電圧の設定時、前記第1の導電型の第2のトランジスタ(N202,P202)を前記出力ノード(356,406)から切離し、前記第1の電圧保持回路(C204,C224)および前記第1の導電型の第2のトランジスタ(N202,P202)を前記第1の電流供給回路と接続する第2のスイッチ回路(S208〜S212,S228〜S232)とをさらに含み、
前記第1の電流供給回路は、
当該第1の電流供給回路を構成する第1の導電型のトランジスタのしきい値電圧に応じて決定されるゲート電圧を発生する第1の電圧発生部と、
第5の電源ノード(384,386)と前記第2のスイッチ回路(S208〜S212,S228〜S232)との間に接続され、前記第1の電圧発生部によって発生された前記ゲート電圧をゲート電極に受ける第1の導電型の第3のトランジスタ(N204,P204)とからなり、
前記第2の定電流回路(302A,300A)は、
前記第4の電圧を設定するための電流を供給する第2の電流供給回路と、
前記第4の電圧の設定時、前記第2の導電型の第2のトランジスタ(P202,N202)を前記第1の導電型の第1のトランジスタ(N200,P200)のゲート電極から切離し、前記第2の電圧保持回路(C224,C204)および前記第2の導電型の第2のトランジスタ(P202,N202)を前記第2の電流供給回路と接続する第3のスイッチ回路(S228〜S232,S208〜S212)とをさらに含み、
前記第2の電流供給回路は、
当該第2の電流供給回路を構成する第2の導電型のトランジスタのしきい値電圧に応じて決定されるゲート電圧を発生する第2の電圧発生部と、
第6の電源ノード(386,384)と前記第3のスイッチ回路(S228〜S232,S208〜S212)との間に接続され、前記第2の電圧発生部によって発生された前記ゲート電圧をゲート電極に受ける第2の導電型の第3のトランジスタ(P204,N204)とからなる、請求の範囲第14項に記載の駆動回路。
【請求項17】
行列状に配置された複数の画像表示素子(118,118A)と、
前記複数の画像表示素子(118,118A)の行に対応して配置され、所定の周期で順次選択される複数の走査線(SL)と、
前記複数の画像表示素子(118,118A)の列に対応して配置される複数のデータ線(DL)と、
前記複数の画像表示素子(118,118A)の各々における表示輝度に対応する少なくとも1つの電圧を発生する電圧発生回路(114)と、
走査対象行の画像表示素子(118,118A)ごとに対応する画素データによって指示される電圧を前記走査対象行の画像表示素子(118,118A)ごとに前記少なくとも1つの電圧から選択するデコード回路(122)と、
前記デコード回路(122)によって選択された電圧を前記デコード回路(122)から受け、前記複数のデータ線(DL)を対応する前記電圧で活性化する請求の範囲第10項または第14項に記載の駆動回路(124,124A〜124G)とを備える、画像表示装置。
【請求項18】
前記複数の画像表示素子(118,118A)、前記電圧発生回路(114)、前記デコード回路(122)、および前記駆動回路(124,124A〜124G)の各々に含まれるトランジスタは、薄膜トランジスタである、請求の範囲第17項に記載の画像表示装置。
【請求項19】
前記複数の画像表示素子(118,118A)、前記電圧発生回路(114)、前記デコード回路(122)、および前記駆動回路(124,124A〜124G)は、ガラス基板上および樹脂基板上のいずれかに一体形成される、請求の範囲第17項に記載の画像表示装置。

【国際公開番号】WO2004/034369
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542806(P2004−542806)
【国際出願番号】PCT/JP2003/008870
【国際出願日】平成15年7月11日(2003.7.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】