液晶表示パネル、液晶表示装置、および液晶表示パネルの製造方法
【課題】 スイッチング素子であるTFTと接続端子部との良好な電気的接続を維持できるようにした液晶表示パネル、液晶表示装置、および液晶表示パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】 液晶62を挟持するAM基板31・対向基板51を有する液晶表示パネルにおいて、AM基板31上には、スイッチング素子であるTFT29と、このTFT29を被覆するように平坦化膜14とが設けられるようにし、特に、この平坦化膜14上には、TFT29を表出させるスルーホール1が設けられるようにする。そして、このスルーホール1は、異なる口径サイズの有した複数の部分開孔1a・1bが、平坦化膜14の厚み方向に沿って、連なって構成されるようにする。
【解決手段】 液晶62を挟持するAM基板31・対向基板51を有する液晶表示パネルにおいて、AM基板31上には、スイッチング素子であるTFT29と、このTFT29を被覆するように平坦化膜14とが設けられるようにし、特に、この平坦化膜14上には、TFT29を表出させるスルーホール1が設けられるようにする。そして、このスルーホール1は、異なる口径サイズの有した複数の部分開孔1a・1bが、平坦化膜14の厚み方向に沿って、連なって構成されるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルや、それを搭載した液晶表示装置に関するものであり、特に、半透過型や反射型の液晶表示装置に使用される液晶表示パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の透過型液晶表示装置(液晶表示ディスプレイ)では、液晶表示パネルとバックライト装置とを含むように構成されている。
【0003】
液晶表示パネルは、例えばアクティブマトリックス基板(AM基板;挟持基板)と、このAM基板に対向する対向基板(挟持基板)とをシール材で貼り合わせ、これらの隙間に液晶を注入して形成されている。
【0004】
そして、蛍光管などの光源を含むバックライト装置が、この液晶パネルの背後に配置され、光線を液晶表示パネルに照射することによって、液晶表示パネル、ひいては液晶表示装置が表示を行うようになっている。
【0005】
このようなバックライト装置を用いた液晶表示装置の場合、バックライト装置が、液晶表示装置の全消費電力における50%以上に相当するとともに、その消費電力量が極めて大きいという問題を抱えていた。
【0006】
そのため、携帯性を向上させ、かつ長時間の使用を実現させようとするモバイル電子機器(携帯電話・PDA等)に、このような液晶表示装置を搭載することは難しかった。
【0007】
そこで、かかるような問題の解決のため、バックライト装置を必要としない反射型の液晶表示装置や、省電力タイプの半透過型(高透過型)の液晶表示装置が、種々開発されている。
【0008】
例えば、図12に示す特許文献1の液晶表示装置190では、例えばTFT(Thin Film Transistor)129をスイッチング素子として設けているAM基板131上に、TFT129のソース電極122・ドレイン電極123と同層の導電膜から成る凹凸層128が設けられている。
【0009】
そして、この凹凸層128上に、感光性樹脂層114(凹凸層128等を被覆させる被覆層;およそ1〜5μmの膜厚)・光反射膜116(およそ100〜500nmの膜厚)が積層されるようになっている。
【0010】
つまり、このような液晶表示装置190では、感光性樹脂層114・光反射膜116の下層が、凹凸層128になっている。そのため、積層された感光性樹脂層114・光反射膜116が、凹凸層128に起因して、凹凸パターン(凹凸領域)E’を形成するようになっている。
【0011】
その結果、特許文献1の液晶表示装置190では、この凹凸パターンE’で外光を拡散反射させることで、液晶表示パネルを表示可能にしている。つまり、バックライト装置を設けなくとも、液晶表示パネルが表示できるようになっている。
【0012】
ところで、このような液晶表示装置190では、図13に示すように、感光性樹脂層114の下層に位置するTFT129と、液晶表示パネルを駆動させるためのドライバーICや入出力信号を送受信するための接続端子部124とを光反射膜116を介して、電気的に接続させる必要がある。
【0013】
例えば、図13に示すように、画素毎(すなわちTFT129毎)に対応させて、感光性樹脂層114に開孔(スルーホール)101を設ける方法がある。つまり、スルーホール101(表出開孔)を設けることで、ドレイン電極123やソース電極122を表出させるようにしている(なお、この図13では、ドレイン電極123が表出するようになっている)。
【0014】
そして、光反射膜116を積層させた場合に、表出したドレイン電極123と接続端子部124とが、光反射膜116を介して、電気的に接続できるようにしている。
【特許文献1】特開2003−195347号公報(図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、スルーホール101は、厚みを有する感光性樹脂層114に設けた開孔であることから内壁面102を有している。そのため、接続端子部124とドレイン電極123との良好な電気的接続を確立しようとするならば、スルーホール101全体〔すなわち、スルーホール101の底部(表出したドレイン電極123部分)、および内壁面102(スルーホール101の内周部)〕を、連続して被覆させる必要がある(良好なカバレッジが必要となる)。
【0016】
しかしながら、感光性樹脂層114の膜厚はおよそ1〜5μm程度となっているため、およそ100〜500nmの膜厚である光反射膜16と比べると、図14に示すように、深度の高い(開孔の孔の深さが大きい)スルーホール101となる。
【0017】
そのため、例えばスルーホール101の内壁面102の傾斜が急斜面な場合や、光反射膜116の成膜条件によっては、内壁面102の底部(すなわち、ドレイン電極123と内壁面102との繋ぎ目;後述の隅部分104)や、内壁面102の天部(すなわち、内壁面102の底部に対向するスルーホール101の端部;後述の入口部分105)で、不連続な被膜状態を引き起こすおそれがある。
【0018】
つまり、光反射膜116を、感光性樹脂層114に被覆させた場合、スルーホール101の内壁面102の底部を構成する隅部分104、およびスルーホール101の入口部分105が、光反射膜116で覆われないような事態が発生する(段切れが発生する)。
【0019】
かかるような事態が発生すると、ドレイン電極123ひいてはTFT129に、必要な電流(信号)が供給されないことになる。
【0020】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、例えばスイッチング素子であるTFTと接続端子部との良好な電気的接続を維持できるようにした液晶表示パネル、液晶表示装置、および液晶表示パネルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、液晶を挟持する挟持基板を有する液晶表示パネルであって、上記挟持基板の1つである第1基板上には、スイッチング素子と、このスイッチング素子を被覆する被覆層とが設けられる一方、この被覆層上には、上記スイッチング素子を表出させる表出開孔が設けられており、この表出開孔は、異なる口径サイズの有した複数の部分開孔が上記被覆層の厚み方向に沿って、連なって構成されていることを特徴としている。
【0022】
そして、このような本発明の液晶表示パネルを製造する方法では、上記挟持基板の1つである第1基板上に、スイッチング素子と、このスイッチング素子を被覆する感光性の被覆層とを設ける。
【0023】
そして、この被覆層上に、上記スイッチング素子を表出させる表出開孔を設けるため、少なくとも、被覆層露光工程および被覆層現像工程を含む表出開孔形成工程が行われるようになっている。
【0024】
特に、上記の被覆層露光工程は、露光量の異なる複数の段階的露光工程から構成されており、さらに、これらの複数の段階的露光工程は、露光量の低い工程ほど、露光量の高い工程に比べて、光照射範囲を広くしていることを特徴としている。
【0025】
なお、連なった部分開孔は、深度が高くなるにつれ(具体的には、スイッチング素子に近づくにつれ)、口径サイズが小さくなっていることが好ましい。さらに、各々の部分開孔では、深度が高くなるにつれ、先細りしていることが好ましい。
【0026】
このような、本発明の液晶表示パネルの製造方法によって製造された本発明の液晶表示パネルであると、表出開孔は、口径サイズの異なる部分開孔から構成される。そのため、表出開孔の内壁面には、複数の段差部(連なった部分開孔の繋ぎ目)が発生するようになる。したがって、単独の開孔のみからなる表出開孔の内壁面に比べて、本発明での段差部を有する表出開孔の内壁面は、緩和された傾斜角を備えるようになる。
【0027】
そのため、表出開孔内に、例えば導電性を有する光反射膜を積層させた場合、表出開孔の内壁面全面に、光反射膜が連続して被覆するようになる。つまり、良好なカバレッジを得ることができる。すると、この表出開孔に設けられた光反射膜等をつたって送受信される電気的信号は、確実にスイッチング素子に送受信されることになる。つまり、良好な電気的接続を維持できるようになる。
【0028】
なお、上記の段差部は、深度が高くなるにつれ、先細りしていることが好ましい。このようにしておけば、さらに一層、良好なカバレッジを確保できるためである。
【0029】
また、上記の被覆層露光工程では、露光量の異なる複数の段階的露光工程から構成されている。これは、感光性を有する平坦化膜に、露光量の低い工程ほど深度の低い部分開孔が形成され、露光量の高い工程ほど深度の高い部分開孔が形成されるためである。
【0030】
そこで、上記の被覆層露光工程における複数の段階的露光工程は、露光量の低い工程ほど、露光量の高い工程に比べて、光照射範囲を広くするようになっている。すると、上記の部分開孔は、深度が高くなるにつれ、先細りするようになる。
【0031】
また、特に、上記被覆層現像工程後に、現像による被覆層の溶解により発生する上記表出開孔を焼成させる焼成工程が行うようにすると、現像工程の完了直後における段差部の傾斜角度に比べて、焼成工程後の段差部における傾斜角のほうが、緩やかな傾斜を有するようになる。
【0032】
これは、平坦化膜から成る段差部の一部が熱によって溶融するためである。そのため、上述したように、上記の段差部は、深度が高くなるにつれ、先細りするようになる。
【0033】
また、本発明の液晶表示パネルが、例えば半透過型、または反射型の液晶表示パネルである場合、上記被覆層上の一部には、凹凸領域が設けられるようになっている。
【0034】
そして、特に、上記の複数の段階的露光工程における少なくとも1つの段階的露光工程が、上記被覆層の一部に、凹凸領域を設けるために行われる凹凸露光工程を兼ねていることが好ましい。
【0035】
例えば、凹凸領域上に、外光を反射させる光反射膜を設けるようにすれば、凹凸形状による拡散反射効果(散乱反射効果)により、本発明の液晶表示パネルは、輝度を十分に確保できる。したがって、このような本発明の液晶表示パネルを備えた液晶表示装置であれば、液晶表示パネルに対して光を照射させるバックライト装置等の消費電力を抑制させることができる。
【0036】
また、段階的露光工程が、凹凸露光工程を兼ねている。すなわち、半透過型、または反射型等の液晶表示パネルを製造する過程において、凹凸領域を被覆層上に設けようとすれば、同時に表出開孔を構成する部分開孔形成のための露光までも行えるようになる。したがって、製造工程の増加を抑えながら、表出開孔を形成させることができる。
【0037】
なお、この凹凸領域における凹部分の深さは、上記被覆層の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなっていることが好ましい。
【0038】
つまり、上記の凹凸領域を設けるためになされている凹凸露光工程では、上記凹凸領域における凹部分の深さが、上記被覆層の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなる露光量となっていることが好ましい。
【0039】
このような、凹部分の深さにしておくと、電気的干渉(電気的リーク等)を抑制しつつも、拡散反射効果(散乱反射効果)を維持できるようになる。その結果、本発明の液晶表示パネル、液晶表示装置は、高品質な画像表示を行うことができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、被覆層に設けられた表出開孔の内壁面に、複数の段差部が発生するようになり、単独の開孔のみからなる表出開孔の内壁面に比べて、緩和された傾斜角を備えるようになる。そのため、表出開孔内に、例えば導電性を有する光反射膜を積層させた場合、表出開孔の内壁面全面に、光反射膜が被覆するようになり、良好なカバレッジを得ることができる。
【0041】
その結果、この表出開孔に設けられた光反射膜等をつたって送受信される電気的記信号は、確実にスイッチング素子に送受信されることになり、良好な電気的接続を維持できる液晶表示パネルや液晶表示装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
[実施の形態1]
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0043】
〔液晶表示パネルの概略構成について〕
図2は、液晶表示装置90における液晶表示パネル89の概略平面図であり、図3は、図2における矢視A−A’線での概略断面図である。
【0044】
そして、図4は、図2における領域αの拡大平面図であり、図5は、図4の詳細な平面構成図である。また、図6は、図3のアクティブマトリックス基板31を模式的に示した概略断面図である。
【0045】
図3に示すように、液晶表示パネル89は、スイッチング素子(TFT;図2・図3では不図示)を備えたアクティブマトリックス基板(AM基板)31と、このAM基板31に対向する対向基板51とをシール材61で貼り合わせ、これらの隙間に液晶62を注入して形成されるようになっている。
【0046】
なお、この液晶表示パネル89に、バックライト等の他の部品が組み込まれている場合、液晶表示装置と表現する。
【0047】
そして、図2に示すように、この液晶表示パネル89には、少なくとも、液晶62による表示を制御するソースドライバー71・ゲートドライバー72と接続端子部24とを含むように構成されている。
【0048】
ソースドライバー71は、後述するTFT29のソース電極22に対して供給される画像信号(ソース信号)を制御するものである。
【0049】
ゲートドライバー72は、TFT29のゲート電極21に対して供給される走査信号(ゲート信号)を制御するものである。
【0050】
接続端子部(実装端子部)24は、TFT29のソース電極22につながった端子部であり、液晶表示パネル89(ひいては液晶表示装置90)を駆動させるためのドライバーICや、入出力信号をアプリケーションへと送受信させるためのものである。
【0051】
そして、液晶62を含む領域(表示領域P;図2参照)には、複数の画素がマトリックス状に配設されており、さらに、各画素には、上記のTFT29が設けられるようになっている。
【0052】
〈アクティブマトリックス基板について〉
ここで、図4〜図6を用いて、AM基板31について詳説する。
【0053】
AM基板(挟持基板、第1基板)31は、少なくとも、ガラス基板(AM用ガラス基板)11、ベースコート膜(下地保護膜)12、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)29、層間絶縁膜13、平坦化膜(被覆層)14、画素電極15、および光反射膜16を含む構成となっている。
【0054】
AM用ガラス基板11は、AM基板31のベース(ベース基板)となるガラス基板である。
【0055】
ベースコート膜12は、AM基板31を保護する膜であり、例えばSiO2(酸化シリコン)、またはSiN(窒化シリコン)から成る膜で構成されている。なお、このベースコート膜12は、およそ300〜500nm程度の膜厚となっている。また、図6では、単層構造であるが、これに限定されるものではなく、多層構造であっても構わない。
【0056】
TFT29は、液晶駆動用のスイッチング素子(アクティブ素子)であり、ゲート電極21・ソース電極22・ドレイン電極23等からなる3端子スイッチとなっている(詳細については後述)。なお、このTFT29は、AM用ガラス基板11上で、対向基板51側へ向く方向に積層されるようになっている(設けられている)。
【0057】
層間絶縁膜13は、TFT29周囲を埋める膜であり、例えばSiO2、SiN等の膜で構成されている。なお、この層間絶縁膜13の膜厚は、およそ300〜800nm程度となっている。また、図6では、層間絶縁膜13は、単層構造であるが、これに限定されるものではなく、多層構造であっても構わない。
【0058】
平坦化膜(オーバーコート)14は、層間絶縁膜13・TFT29上に積層された平坦な膜であり、液晶分子の配向を整えるものである。なお、この平坦化膜14は、例えば感光性のアクリル樹脂等から構成されており、膜厚は、およそ1〜5μm程度となっている。
【0059】
画素電極15は、TFT29から加えられる電圧で、液晶62の配向を変化させる電極であり、平坦化膜14上に積層されるようにして設けられている。そして、この画素電極15は、透明な化合物であるITO(Indium Tin Oxide)や、IZO(Indium Zinc Oxide)によって形成されていることが好ましい。
【0060】
なお、この画素電極15は、およそ50〜200nm程度の膜厚となっている。また、この画素電極15は、平坦化膜14に形成されたスルーホール(表出開孔)1を介してTFT29のドレイン電極23等に電気的に接続するようになっている。
【0061】
そして、このスルーホール1は、図1に示すように、異なる口径サイズ(例えば口径サイズX・Y等)を有する複数の開孔(部分開孔)1a・1bが連なって構成されるようになっている。
【0062】
なお、連なっている部分開孔1a・1bでは、深度(深さの度合い)が高くなるにつれ、口径サイズは小さくなっている(幅X>幅Y)。すなわち、TFT29に近い方の部分開孔1bの口径サイズ(幅Y)が、離れた部分開孔1aの口径サイズ(幅X)よりも、小さくなっている。
【0063】
また、各々の部分開孔1a・1bは、深度が高まるにつれ、徐々に先細りするようになっている(別表現すると、各々の部分開孔1a・1bの内壁面2は、傾斜するようになっている)。
【0064】
その上、連なった部分開孔1a・1bの繋ぎ目である段差部3も、深度が高まるにつれ、徐々に先細りしている。つまり、段差部3、ひいては内壁面2の傾斜が、緩斜(緩和)するようになっている(詳細については後述)。
【0065】
また、図6に示すように、光反射膜16は、画素電極15上に積層される膜であり、外光を液晶表示パネル89の外部に向けて反射させるものである。なお、この光反射膜16は、例えば、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、または銀(Ag)等を含む合金から構成されている。そして、この光反射膜16の膜厚は、およそ100〜500nm程度となっている。
【0066】
また、特に、半透過型の液晶表示パネル89や反射型の液晶表示パネル89の場合、外光を効率よく拡散反射させるべく、光反射膜16は凹凸形状となっている。具体的には、上記の平坦化膜14上の一部(後述する光拡散領域E)に凹凸形状を形成させることで、この凹凸状に位置する画素電極15・光反射膜16も凹凸形状にさせている(詳細については後述)。
【0067】
なお、AM基板31には、ソース電極22につながった接続端子部24が、層間絶縁膜13上に設けられるようになっており、この接続端子部24と、TFT29のドレイン電極23とが画素電極15を介して電気的に接続するようになっている。
【0068】
具体的には、上述したスルーホール1を接続端子部24上の平坦化膜14に設けるようにして、表出した接続端子部24と表出したドレイン電極23等とを、画素電極15を介して電気的に接続するようになっている。
【0069】
〈対向基板について〉
なお、対向基板(挟持基板)51は、図3に示すように、対向基板51のベースとなるガラス基板である対向ガラス基板41と、画素電極15同様、ITO等から構成された対向電極(透明電極)42とを含むようになっている。
【0070】
なお、対向電極42は、この対向電極42と画素電極15との間に配設されている液晶62の配向を変化させるものである。また、図3では図示していないが、適宜、カラーフィルターや配向膜等を設けるようにしても構わない。
【0071】
〔液晶表示パネルの製造方法について〕
ここで、液晶表示パネル89の製造方法(製造工程)について、図7・図8・図11を用いて説明する。まず、製造工程において使用する方法(使用方法)を説明する。
【0072】
〈使用方法〉
《成膜方法》
○スパッタリング法…イオン粒子を加速させて、ターゲットという薄膜形成材料の固体表面に衝突させ、飛び出してきた薄膜形成材料がガラス基板上に堆積する方法。
○プラズマCVD法…薄膜形成材料の原料ガスが、プラズマ中の高エネルギー電子と衝突することで分解・解離し、イオン等が生成する。そして、このイオン等が空間を拡散してガラス基板上に堆積する方法。
【0073】
《パターン形成方法;パターニング》
○フォトリソ法…ガラス基板の薄膜上にフォトレジスト(紫外線感光性樹脂)に塗布した後に、予備乾燥(プリベーク)を行う。そして、所望の空隙を有するマスク(フォトマスク)を通して露光を行った後、フォトレジストの一部を溶解させる現像(現像液による溶解除去)を行い、本乾燥(ポストベーク)を行う。さらに、残ったフォトレジストにより保護されていない薄膜を除去するエッチングを行い、最後に残ったフォトレジストを除去する。その結果、所望のパターンとなった薄膜を得ることのできる方法。なお、フォトレジストは、光可溶化するポジレジストや、光硬化するネガレジストのどちらであってもよい。
【0074】
《エッチング》
○ウエットエッチング…エッチング溶液により、薄膜を溶解除去する方法。
○ドライエッチング…減圧下でのガス放電により薄膜と反応させ、その薄膜をガス状にして、溶解除去する方法。
【0075】
〈AM基板の製造工程〉
《TFT(TFTアレイ)の製造工程》
AM基板31の製造方法について、図7を用いて説明する。特にTFT29の製造方法について詳説する。
【0076】
まず、ガラス基板(AM用ガラス基板11)を洗浄する。そして、この洗浄されたAM用ガラス基板11上に、スパッタリング法等で、SiO2またはSiNを成膜させて、ベースコート膜12を形成させる。
【0077】
次に、このベースコート膜12上に、TFT29を構成する半導体層25を成膜させる。具体的には、アモルファスのシリコン(a−Si)をプラズマCVD法によって、ベースコート膜12に成膜させる。
【0078】
そして、このa−Siから成る成膜に対して、熱アニール、レーザーアニール、またはランプアニール等を施すことで、成膜を一旦溶融させる。その後、一旦溶融した成膜を冷却固化させることで結晶化(多結晶化)させ、ポリシリコン(p−Si)から成る半導体層25とする。
【0079】
なお、形成された半導体層25の膜厚は、およそ30〜100nm程度となっている。
【0080】
そして、図7(a)に示すように、形成された半導体層25に対して、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、所望のパターンを形成させる。(例えば、ベースコート膜12状において、散点状(島状)のパターンに形成させる)。
【0081】
続いて、図7(b)に示すように、ベースコート膜12・半導体層25上に、スパッタリング法またはプラズマCVD法等を用いて、SiO2、またはSiN等から成るゲート絶縁膜26を所望の形状に成膜させる。
【0082】
なお、このゲート絶縁膜26の膜厚は、およそ30〜150nm程度となっている。
【0083】
そして、このゲート絶縁膜26上に、スパッタリング法等を用いて、Ta、Mo、Ti、またはAl等を含む合金から成る金属膜(膜厚は、およそ100〜800nm程度)を成膜させる。
【0084】
その後、図7(c)に示すように、この成膜に対して、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等を行い、所望のパターンにパターニングして、ゲート電極21を形成させる。
【0085】
なお、上記のゲート電極21やゲート絶縁膜26は、単層であっても多層であっても構わない。
【0086】
そして、このゲート電極21形成後、イオンドーピングを用いて、半導体層25に、高濃度ソース領域S、および高濃度ドレイン領域Dを形成させる。また、熱アニール、レーザーアニール、またはランプアニール等を施すことでドーピングイオンの活性化を図ってもよい。
【0087】
なお、信頼性特性の向上のために低濃度ソース領域、および低濃度ドレイン領域(LDD領域;ライトリー・ドープト・ドレイン領域)を形成させるようにしてもよい。
【0088】
次に、図7(d)に示すように、ゲート絶縁膜26・ゲート電極21上に、スパッタリング法またはプラズマCVD法等を用いて、SiO2等から成る層間絶縁膜13を形成させる。
【0089】
その後、図7(e)に示すように、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、半導体層25上(具体的には高濃度ソース領域S、および高濃度ドレイン領域D上)の層間絶縁膜13に、開孔(コンタクトホールC)を形成させる。
【0090】
そして、このコンタクトホールCの形成された層間絶縁膜13上に、スパッタリング法を用いて、Ta、Mo、Ti、またはAl等を含む合金から成る金属膜(膜厚は、およそ100〜800nm程度)を成膜させる。
【0091】
その後、図7(f)に示すように、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、所望のパターンにパターニングして、ドレイン電極23・ソース電極22(接続端子部24を含む)を形成させる。
【0092】
なお、ドレイン電極23・ソース電極22は単層構造であっても多層構造であっても構わない。
【0093】
以上のような、製造工程を経て、AM用ガラス基板11上にTFT29を設けることができる。
【0094】
《平坦化膜の製造工程》
続いて、図8(a)に示すように、TFT29の形成された基板上に、例えばポジティブタイプの感光性のアクリル樹脂等をスピンコートさせて、平滑な膜(平坦化膜14)を成膜させる。
【0095】
《スルーホールの製造工程(スルーホール形成工程;表出開孔形成工程)》
次に、フォトマスク65aを介して、平坦化膜14を選択的に露光する(被覆層露光工程)。
【0096】
具体的には、例えば2段階に分けた選択露光(段階的露光工程)を行う。例えば、図8(b)に示すように、ドレイン電極23上の平坦化膜14、接続端子部24上の平坦化膜14、および光反射膜16の配設位置とするべき平坦化膜14(以降、この部分を光拡散領域Eと表現する)に対して、第1段階の露光(ハーフ露光工程;段階的露光工程)を行う(なお、露光された領域は点線表示)。
【0097】
なお、このハーフ露光工程での露光量は、後述する露光(全露光)に比べて低い露光量とする。具体的には、平坦化膜14の厚さ方向の途中位置まで露光させるために、必要な露光量となっている。
【0098】
また、このハーフ露光工程での光照射範囲は、図1に示す幅Xを有する範囲となっている。つまり、このハーフ露光工程は、部分開孔1aを形成するために、必要な露光といえる。
【0099】
また、光拡散領域E、すなわち、凹凸状の平坦化膜14の領域(凹凸領域E)を形成させるために行うハーフ露光工程は、凹凸状を形成させるためのものであるから、凹凸露光工程と表現してもよい。つまり、ハーフ露光工程は、平坦化膜14の一部に、凹凸領域Eを設けるために行われる凹凸露光工程を兼ねているといえる。
【0100】
次に、図8(c)に示すように、フォトマスク65bを介して(フォトマスク65aを取り替えて)、ドレイン電極23上の平坦化膜14、および接続端子部24上の平坦化膜14にハーフ露光された部分(凹状の部分)を、さらに選択的に露光する第2段階の露光(全露光工程;段階的露光工程)を行う(なお、露光された領域は点線表示)。
【0101】
なお、この全露光工程での露光量は、ハーフ露光に比べて高い露光量とする。具体的には、平坦化膜14を完全に除去して、ドレイン電極23・接続端子部24が表出(露出)させるために、必要な露光量となっている。
【0102】
また、この全露光工程での光照射範囲は、図1に示す幅Yを有する範囲となっている。つまり、この全露光工程は、部分開孔1bを形成するために、必要な露光といえる。
【0103】
そして、この全露光工程後に、現像工程(被覆層現像工程)を行い、露光された部分を除去(溶解)させる。さらに、本乾燥工程(ポストベーク;焼成工程)を行う。
【0104】
すると、図8(d)のように、ハーフ露光工程によって形成されたドレイン電極23上と、接続端子部24上との平坦化膜14に、段差部3(図1参照)を有するスルーホール1が形成されるようになる。また、平坦化膜14の光拡散領域Eは、凹凸領域Eとなる。
【0105】
なお、図10に示すように、現像工程の完了直後における段差部3の傾斜角度(θ1;図9参照)と、ポストベークを行った後の段差部3の傾斜角度(θ2;図10参照)とは、異なるようになっている。
【0106】
具体的には、ポストベークを行った後の段差部3の傾斜角度(θ2)は、現像工程の完了直後における段差部3の傾斜角度(θ1)に比べて、緩やかな傾斜を有するようになっている。これは、平坦化膜14から成る段差部3の一部がポストベークのために溶融した結果、発生するようになっている。
【0107】
《画素電極の製造工程》
続いて、図11(a)に示すように、スルーホール1の形成された平坦化膜14上に、スパッタリング法を用いて、ITO等の透明金属膜を成膜させた後、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、所望の画素電極15のパターンを形成させる。
【0108】
《光反射膜の製造工程》
その後、スパッタリング法を用いて、Ta、Mo、Ti、またはAl等を含む合金から成る金属膜を成膜させる。そして、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、所望のパターン、具体的には、図11(b)に示すように、平坦化膜14の光拡散領域E上に位置する画素電極15上に、パターニングして、光反射膜16を形成させる。
【0109】
以上のような、製造工程を経て、TFT29から加えられる電圧で、液晶62の配向を変化させる画素電極を有したAM基板31が完成する。
【0110】
なお、上記の製造工程は、一例であって、これに限定されるものではない。要するに、AM用ガラス基板11上に、少なくともTFT29・画素電極15を設けることのできる製造工程であればよい。
【0111】
〈対向基板の製造工程〉
なお、対向基板51は、フォトリソ法等を用いて製造される。具体的には、最初に、ガラス基板(対向用ガラス基板41)を洗浄する。そして、対向電極42をスパッタリング法・フォトリソ法により所望の形状にして形成させる。すると、対向電極42を有する対向基板51が形成される。
【0112】
〈液晶表示パネルの製造工程〉
そして、上述の工程により製造されたAM基板31と対向基板51(図3参照)とをシール材61により貼り合わせる(貼り合わせ基板を作製する)。そして、この貼り合わせ基板を切断(分断)することで、液晶表示パネル89を複数製造する多面取りを行う〔スクライブ・ブレイク工程〕。
【0113】
その後、これらの隙間(AM基板31と対向基板51との隙間)に液晶62を注入し、液晶注入口(不図示)を紫外線硬化樹脂等で封止することで、液晶表示パネル89が完成する〔セル工程〕。
【0114】
なお、多面取りされた1枚の液晶表示パネル89に、偏光板、駆動回路、バックライト等を取り付ければ、液晶表示装置が完成するようになっている〔モジュール工程〕。
【0115】
〔本発明の種々の特徴について〕
以上のように、本発明は、液晶62を挟持するAM基板31・対向基板51を有する液晶表示パネル89となっている。そして、AM基板31上には、スイッチング素子であるTFT29と、このTFT29を被覆するように平坦化膜14とが設けられるようになっている。
【0116】
特に、この平坦化膜14上には、TFT29(具体的には、ドレイン電極23やソース電極22等)を表出させるスルーホール1が設けられており、このスルーホール1は、異なる口径サイズ(例えば、図1の幅X・幅Y;幅X>幅Y)の有した複数の部分開孔1a・1bが、平坦化膜14の厚み方向に沿って、連なって構成されている。
【0117】
このような、本発明の液晶表示パネル89であれば、スルーホール1は、口径サイズの異なる部分開孔1a・1bから構成される。そのため、スルーホール1の内壁面2には、複数の段差部3(図1参照)が発生するようになる(なお、上述の説明では、2つの部分開孔1a・1bを用いた説明であるため、段差部3は1つである)。
【0118】
そのため、単独の開孔のみからなるスルーホール1の内壁面2に比べて、本発明での段差部3(内壁面2)を有するスルーホール1は、緩和された傾斜角を備えるようになる(緩和された内壁面2を有するようになる)。
【0119】
したがって、このスルーホール1内に、例えば画素電極15(または光反射膜16等)を積層させた場合、スルーホール1の内壁面2全面に、画素電極15が被覆するようになる。つまり、良好なカバレッジを得ることができる。
【0120】
具体的には、図1に示すように、段切れを起こしやすかったスルーホール1の底部を構成する隅部分4、およびスルーホール1の入口部分5が、完全に画素電極15で覆われるようになる。
【0121】
その結果、このスルーホール1の設けられた画素電極15等をつたって送受信される電気的記信号は、確実にTFT29に送受信されることになる。特に、TFT29のソース電極22等につながる接続端子部24と、スルーホール1内のドレイン電極23等とを画素電極15等を介してつなげると、良好な電気的接続を維持できるようになる。
【0122】
また、本発明の液晶表示パネル89において、各々の部分開孔1a(または1b)では、深度が高くなるにつれ(TFT29に近づくにつれ)、先細りしている。つまり、スルーホール1を構成する内壁面2は、緩やかな傾斜面となっている。そのため、段差部3の存在と相まって、良好なカバレッジを確保することができる。
【0123】
その上、本発明の液晶表示パネル89では、連なった部分開孔1a・1bの繋ぎ目である段差部3も、深度が高くなるにつれ、先細りしているので、さらに一層、良好なカバレッジを確保できるようになっている。
【0124】
なお、本発明の液晶表示パネル89が、例えば半透過型の液晶表示パネル89である場合、外光を効率よく拡散させるための光反射膜16を設けるようになっている。そして、特に、本発明では、この光反射膜16の下層に位置する平坦化膜14の領域(光拡散領域E)を凹凸状にしている。
【0125】
具体的には、凹凸領域Eにおける凹部分の深さは、平坦化膜14の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなるようにしている。つまり、凹凸領域Eを設けるためになされているハーフ露光(凹凸露光工程)では、凹凸領域における凹部分の深さが、平坦化膜14の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとするために必要な露光量で光照射(露光)するようになっている。
【0126】
なぜなら、30%以下の平坦化膜14の膜厚であれば、下層との電気的干渉(電気的リーク等)が生じてしまうおそれがあるためである。一方、70%以上の平坦化膜14の膜厚であれば、凹凸形状を構成したことによる光反射膜16の拡散反射効果(散乱反射効果)が低減してしまうためである。
【0127】
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、上述の説明では、スルーホール1は、ドレイン電極23・接続端子部24上の平坦化膜14に設けられているが、これに限定されるものではない。
【0128】
例えば、外部回路等と接続するため、ゲート電極21やソース電極22上の平坦化膜14に、スルーホール1を設けても構わない。
【0129】
また、TFT29は、トップゲート型でもボトムゲート型でも構わない。
【0130】
なお、上述の説明では、平坦化膜14上に、画素電極15・光反射膜16が、この順で積層されている液晶表示パネル89を用いて説明してきたが、これに限定されるものではない。
【0131】
例えば、平坦化膜14上に、光反射膜16・画素電極15が、この順で積層されている液晶表示パネルであっても構わない。
【0132】
また、スルーホール1の開孔の形状は、特に限定されるものではなく、円状でも、図5に示すような四角形状等であっても構わない。要は、電気的な接続を確保できるような開孔であればよい。
【0133】
また、上述の説明では、スルーホール1は、TFT29の積層された基板上を平坦化するための平坦化膜14上に設けられているが、これに限定されるものではない。要は、TFT29等に対する電気的信号の送受信の障害となる膜(被覆層)上に設けられるようになっていればよい。
【0134】
また、上述の説明では、ハーフ露光工程、全露光工程の2段階の露光工程を行っているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の露光工程を行って、複数の(3個以上の)段差部3をスルーホール1の内部に形成させるようにしても構わない。
【0135】
そして、この段差部3を含めたスルーホール1の内壁面2の表現は、種々存在するが、要は、スルーホール1の天部(入口部分5)から底部(隅部分4)に至るまでの内壁面2の傾斜が、段切れを起こさないように緩和していればよい。したがって、内壁面2が、波打つよう形成されている場合でも構わない。
【0136】
また、本発明の液晶表示パネル89の製造方法では、平坦化膜14上に、TFT29のドレイン電極23等を表出させるスルーホール1を設けるため、少なくとも、ハーフ露光工程・全露光工程等を含む被覆層露光工程、および被覆層現像工程から構成されるスルーホール形成工程が行われるようになっている。
【0137】
そして、上述では、ハーフ露光工程、全露光工程の順で行われる場合について説明している。しかしながら、これに限定されるものではなく、全露光工程、ハーフ露光工程の順で行わるようになっていても構わない。
【0138】
なお、本発明は、下記のように表現することもできる。
【0139】
本発明の液晶表示パネル(液晶ディスプレイ)では、平坦化膜の段差部が、例えば2段構成(複数段構成)となっていることを特徴としている。
【0140】
また、本発明の液晶表示パネルの製造方法では、平坦化膜の段差部にハーフ露光を行うことにより、急峻な段差を緩和することを特徴としている。
【0141】
また、本発明の液晶表示パネルの製造方法では、急峻な段差を緩和するためのハーフ露光は、光反射膜の形成のために、平坦化膜に凹凸領域を形成する工程において、同時に処理されることを特徴としている。
【0142】
また、本発明の液晶表示パネルの製造方法では、急峻な段差を緩和するためのハーフ露光は、光反射膜の形成のために、平坦化膜に凹凸領域を形成する工程において、形成された平坦化膜を厚さ方向において、30%を超え70%未満の範囲で残存させるような露光量にて行われることを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、半透過型の液晶表示パネルや反射型の液晶表示パネルにおいて、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】図6におけるスルーホールの拡大図である。
【図2】本発明の液晶表示装置における液晶表示パネルの概略平面図である。
【図3】図2における矢視A−A’線での概略断面図である。
【図4】図2における領域αの拡大平面図である。
【図5】図4の詳細な平面構成図である。
【図6】図5に示されるアクティブマトリックス基板を模式的に示した概略断面図である。
【図7】TFT(TFTアレイ)は製造する工程を説明する説明図であり、(a)は形成された半導体層をパターニングしている工程を説明した説明図であり、(b)はベースコート膜・半導体層上にゲート絶縁膜を形成させている工程を説明した説明図であり、(c)は金属膜をパターニングしてゲート電極を形成させている工程を説明した説明図であり、(d)はゲート絶縁膜・ゲート電極上に、層間絶縁膜を形成させている工程を説明した説明図であり、(e)は半導体層上の層間絶縁膜にコンタクトホールを形成させている工程を説明した説明図であり、(f)はパターニングすることでドレイン電極・ソース電極等を形成させている工程を説明した説明図である。
【図8】(a)はTFTの形成された基板上に、平坦化膜を成膜させる工程を説明した説明図であり、(b)は平坦化膜に対してハーフ露光を行っている工程(ハーフ露光工程)を説明した説明図であり、(c)は平坦化膜に対して全露光を行っている工程(全露光工程)を説明した説明図であり、(d)はハーフ露光工程・全露光工程後に、現像工程・本乾燥工程を行っている工程を説明した説明図である。
【図9】現像工程後のスルーホールを示す概略構成図である。
【図10】本乾燥工程後のスルーホールを示す概略構成図である。
【図11】(a)はスルーホール形成された平坦化膜上に、画像電極を形成させる工程を説明した説明図であり、(b)は平坦化膜の光拡散領域上に位置する画素電極上に、パターニングして、光反射膜を形成させる工程を説明した説明図である。
【図12】従来の液晶表示パネルの概略構成図である。
【図13】図12の詳細な液晶表示パネルの概略構成図である。
【図14】図12・図13でのスルーホールを示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0145】
1 スルーホール(表出開孔)
1a 部分開孔
1b 部分開孔
2 内壁面
3 段差部
4 隅部分
5 入口部分
14 平坦化膜(被覆層)
15 画素電極
16 光反射膜
21 ゲート電極
22 ソース電極
23 ドレイン電極
24 接続端子部
29 TFT(スイッチィング素子)
31 アクティブマトリックス基板(挟持基板、第1基板)
51 対向基板(挟持基板)
62 液晶
89 液晶表示パネル
90 液晶表示装置
C コンタクトホール
E 光拡散領域(凹凸領域)
X 幅(光照射範囲)
Y 幅(光照射範囲)
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルや、それを搭載した液晶表示装置に関するものであり、特に、半透過型や反射型の液晶表示装置に使用される液晶表示パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の透過型液晶表示装置(液晶表示ディスプレイ)では、液晶表示パネルとバックライト装置とを含むように構成されている。
【0003】
液晶表示パネルは、例えばアクティブマトリックス基板(AM基板;挟持基板)と、このAM基板に対向する対向基板(挟持基板)とをシール材で貼り合わせ、これらの隙間に液晶を注入して形成されている。
【0004】
そして、蛍光管などの光源を含むバックライト装置が、この液晶パネルの背後に配置され、光線を液晶表示パネルに照射することによって、液晶表示パネル、ひいては液晶表示装置が表示を行うようになっている。
【0005】
このようなバックライト装置を用いた液晶表示装置の場合、バックライト装置が、液晶表示装置の全消費電力における50%以上に相当するとともに、その消費電力量が極めて大きいという問題を抱えていた。
【0006】
そのため、携帯性を向上させ、かつ長時間の使用を実現させようとするモバイル電子機器(携帯電話・PDA等)に、このような液晶表示装置を搭載することは難しかった。
【0007】
そこで、かかるような問題の解決のため、バックライト装置を必要としない反射型の液晶表示装置や、省電力タイプの半透過型(高透過型)の液晶表示装置が、種々開発されている。
【0008】
例えば、図12に示す特許文献1の液晶表示装置190では、例えばTFT(Thin Film Transistor)129をスイッチング素子として設けているAM基板131上に、TFT129のソース電極122・ドレイン電極123と同層の導電膜から成る凹凸層128が設けられている。
【0009】
そして、この凹凸層128上に、感光性樹脂層114(凹凸層128等を被覆させる被覆層;およそ1〜5μmの膜厚)・光反射膜116(およそ100〜500nmの膜厚)が積層されるようになっている。
【0010】
つまり、このような液晶表示装置190では、感光性樹脂層114・光反射膜116の下層が、凹凸層128になっている。そのため、積層された感光性樹脂層114・光反射膜116が、凹凸層128に起因して、凹凸パターン(凹凸領域)E’を形成するようになっている。
【0011】
その結果、特許文献1の液晶表示装置190では、この凹凸パターンE’で外光を拡散反射させることで、液晶表示パネルを表示可能にしている。つまり、バックライト装置を設けなくとも、液晶表示パネルが表示できるようになっている。
【0012】
ところで、このような液晶表示装置190では、図13に示すように、感光性樹脂層114の下層に位置するTFT129と、液晶表示パネルを駆動させるためのドライバーICや入出力信号を送受信するための接続端子部124とを光反射膜116を介して、電気的に接続させる必要がある。
【0013】
例えば、図13に示すように、画素毎(すなわちTFT129毎)に対応させて、感光性樹脂層114に開孔(スルーホール)101を設ける方法がある。つまり、スルーホール101(表出開孔)を設けることで、ドレイン電極123やソース電極122を表出させるようにしている(なお、この図13では、ドレイン電極123が表出するようになっている)。
【0014】
そして、光反射膜116を積層させた場合に、表出したドレイン電極123と接続端子部124とが、光反射膜116を介して、電気的に接続できるようにしている。
【特許文献1】特開2003−195347号公報(図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、スルーホール101は、厚みを有する感光性樹脂層114に設けた開孔であることから内壁面102を有している。そのため、接続端子部124とドレイン電極123との良好な電気的接続を確立しようとするならば、スルーホール101全体〔すなわち、スルーホール101の底部(表出したドレイン電極123部分)、および内壁面102(スルーホール101の内周部)〕を、連続して被覆させる必要がある(良好なカバレッジが必要となる)。
【0016】
しかしながら、感光性樹脂層114の膜厚はおよそ1〜5μm程度となっているため、およそ100〜500nmの膜厚である光反射膜16と比べると、図14に示すように、深度の高い(開孔の孔の深さが大きい)スルーホール101となる。
【0017】
そのため、例えばスルーホール101の内壁面102の傾斜が急斜面な場合や、光反射膜116の成膜条件によっては、内壁面102の底部(すなわち、ドレイン電極123と内壁面102との繋ぎ目;後述の隅部分104)や、内壁面102の天部(すなわち、内壁面102の底部に対向するスルーホール101の端部;後述の入口部分105)で、不連続な被膜状態を引き起こすおそれがある。
【0018】
つまり、光反射膜116を、感光性樹脂層114に被覆させた場合、スルーホール101の内壁面102の底部を構成する隅部分104、およびスルーホール101の入口部分105が、光反射膜116で覆われないような事態が発生する(段切れが発生する)。
【0019】
かかるような事態が発生すると、ドレイン電極123ひいてはTFT129に、必要な電流(信号)が供給されないことになる。
【0020】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、例えばスイッチング素子であるTFTと接続端子部との良好な電気的接続を維持できるようにした液晶表示パネル、液晶表示装置、および液晶表示パネルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、液晶を挟持する挟持基板を有する液晶表示パネルであって、上記挟持基板の1つである第1基板上には、スイッチング素子と、このスイッチング素子を被覆する被覆層とが設けられる一方、この被覆層上には、上記スイッチング素子を表出させる表出開孔が設けられており、この表出開孔は、異なる口径サイズの有した複数の部分開孔が上記被覆層の厚み方向に沿って、連なって構成されていることを特徴としている。
【0022】
そして、このような本発明の液晶表示パネルを製造する方法では、上記挟持基板の1つである第1基板上に、スイッチング素子と、このスイッチング素子を被覆する感光性の被覆層とを設ける。
【0023】
そして、この被覆層上に、上記スイッチング素子を表出させる表出開孔を設けるため、少なくとも、被覆層露光工程および被覆層現像工程を含む表出開孔形成工程が行われるようになっている。
【0024】
特に、上記の被覆層露光工程は、露光量の異なる複数の段階的露光工程から構成されており、さらに、これらの複数の段階的露光工程は、露光量の低い工程ほど、露光量の高い工程に比べて、光照射範囲を広くしていることを特徴としている。
【0025】
なお、連なった部分開孔は、深度が高くなるにつれ(具体的には、スイッチング素子に近づくにつれ)、口径サイズが小さくなっていることが好ましい。さらに、各々の部分開孔では、深度が高くなるにつれ、先細りしていることが好ましい。
【0026】
このような、本発明の液晶表示パネルの製造方法によって製造された本発明の液晶表示パネルであると、表出開孔は、口径サイズの異なる部分開孔から構成される。そのため、表出開孔の内壁面には、複数の段差部(連なった部分開孔の繋ぎ目)が発生するようになる。したがって、単独の開孔のみからなる表出開孔の内壁面に比べて、本発明での段差部を有する表出開孔の内壁面は、緩和された傾斜角を備えるようになる。
【0027】
そのため、表出開孔内に、例えば導電性を有する光反射膜を積層させた場合、表出開孔の内壁面全面に、光反射膜が連続して被覆するようになる。つまり、良好なカバレッジを得ることができる。すると、この表出開孔に設けられた光反射膜等をつたって送受信される電気的信号は、確実にスイッチング素子に送受信されることになる。つまり、良好な電気的接続を維持できるようになる。
【0028】
なお、上記の段差部は、深度が高くなるにつれ、先細りしていることが好ましい。このようにしておけば、さらに一層、良好なカバレッジを確保できるためである。
【0029】
また、上記の被覆層露光工程では、露光量の異なる複数の段階的露光工程から構成されている。これは、感光性を有する平坦化膜に、露光量の低い工程ほど深度の低い部分開孔が形成され、露光量の高い工程ほど深度の高い部分開孔が形成されるためである。
【0030】
そこで、上記の被覆層露光工程における複数の段階的露光工程は、露光量の低い工程ほど、露光量の高い工程に比べて、光照射範囲を広くするようになっている。すると、上記の部分開孔は、深度が高くなるにつれ、先細りするようになる。
【0031】
また、特に、上記被覆層現像工程後に、現像による被覆層の溶解により発生する上記表出開孔を焼成させる焼成工程が行うようにすると、現像工程の完了直後における段差部の傾斜角度に比べて、焼成工程後の段差部における傾斜角のほうが、緩やかな傾斜を有するようになる。
【0032】
これは、平坦化膜から成る段差部の一部が熱によって溶融するためである。そのため、上述したように、上記の段差部は、深度が高くなるにつれ、先細りするようになる。
【0033】
また、本発明の液晶表示パネルが、例えば半透過型、または反射型の液晶表示パネルである場合、上記被覆層上の一部には、凹凸領域が設けられるようになっている。
【0034】
そして、特に、上記の複数の段階的露光工程における少なくとも1つの段階的露光工程が、上記被覆層の一部に、凹凸領域を設けるために行われる凹凸露光工程を兼ねていることが好ましい。
【0035】
例えば、凹凸領域上に、外光を反射させる光反射膜を設けるようにすれば、凹凸形状による拡散反射効果(散乱反射効果)により、本発明の液晶表示パネルは、輝度を十分に確保できる。したがって、このような本発明の液晶表示パネルを備えた液晶表示装置であれば、液晶表示パネルに対して光を照射させるバックライト装置等の消費電力を抑制させることができる。
【0036】
また、段階的露光工程が、凹凸露光工程を兼ねている。すなわち、半透過型、または反射型等の液晶表示パネルを製造する過程において、凹凸領域を被覆層上に設けようとすれば、同時に表出開孔を構成する部分開孔形成のための露光までも行えるようになる。したがって、製造工程の増加を抑えながら、表出開孔を形成させることができる。
【0037】
なお、この凹凸領域における凹部分の深さは、上記被覆層の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなっていることが好ましい。
【0038】
つまり、上記の凹凸領域を設けるためになされている凹凸露光工程では、上記凹凸領域における凹部分の深さが、上記被覆層の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなる露光量となっていることが好ましい。
【0039】
このような、凹部分の深さにしておくと、電気的干渉(電気的リーク等)を抑制しつつも、拡散反射効果(散乱反射効果)を維持できるようになる。その結果、本発明の液晶表示パネル、液晶表示装置は、高品質な画像表示を行うことができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、被覆層に設けられた表出開孔の内壁面に、複数の段差部が発生するようになり、単独の開孔のみからなる表出開孔の内壁面に比べて、緩和された傾斜角を備えるようになる。そのため、表出開孔内に、例えば導電性を有する光反射膜を積層させた場合、表出開孔の内壁面全面に、光反射膜が被覆するようになり、良好なカバレッジを得ることができる。
【0041】
その結果、この表出開孔に設けられた光反射膜等をつたって送受信される電気的記信号は、確実にスイッチング素子に送受信されることになり、良好な電気的接続を維持できる液晶表示パネルや液晶表示装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
[実施の形態1]
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0043】
〔液晶表示パネルの概略構成について〕
図2は、液晶表示装置90における液晶表示パネル89の概略平面図であり、図3は、図2における矢視A−A’線での概略断面図である。
【0044】
そして、図4は、図2における領域αの拡大平面図であり、図5は、図4の詳細な平面構成図である。また、図6は、図3のアクティブマトリックス基板31を模式的に示した概略断面図である。
【0045】
図3に示すように、液晶表示パネル89は、スイッチング素子(TFT;図2・図3では不図示)を備えたアクティブマトリックス基板(AM基板)31と、このAM基板31に対向する対向基板51とをシール材61で貼り合わせ、これらの隙間に液晶62を注入して形成されるようになっている。
【0046】
なお、この液晶表示パネル89に、バックライト等の他の部品が組み込まれている場合、液晶表示装置と表現する。
【0047】
そして、図2に示すように、この液晶表示パネル89には、少なくとも、液晶62による表示を制御するソースドライバー71・ゲートドライバー72と接続端子部24とを含むように構成されている。
【0048】
ソースドライバー71は、後述するTFT29のソース電極22に対して供給される画像信号(ソース信号)を制御するものである。
【0049】
ゲートドライバー72は、TFT29のゲート電極21に対して供給される走査信号(ゲート信号)を制御するものである。
【0050】
接続端子部(実装端子部)24は、TFT29のソース電極22につながった端子部であり、液晶表示パネル89(ひいては液晶表示装置90)を駆動させるためのドライバーICや、入出力信号をアプリケーションへと送受信させるためのものである。
【0051】
そして、液晶62を含む領域(表示領域P;図2参照)には、複数の画素がマトリックス状に配設されており、さらに、各画素には、上記のTFT29が設けられるようになっている。
【0052】
〈アクティブマトリックス基板について〉
ここで、図4〜図6を用いて、AM基板31について詳説する。
【0053】
AM基板(挟持基板、第1基板)31は、少なくとも、ガラス基板(AM用ガラス基板)11、ベースコート膜(下地保護膜)12、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)29、層間絶縁膜13、平坦化膜(被覆層)14、画素電極15、および光反射膜16を含む構成となっている。
【0054】
AM用ガラス基板11は、AM基板31のベース(ベース基板)となるガラス基板である。
【0055】
ベースコート膜12は、AM基板31を保護する膜であり、例えばSiO2(酸化シリコン)、またはSiN(窒化シリコン)から成る膜で構成されている。なお、このベースコート膜12は、およそ300〜500nm程度の膜厚となっている。また、図6では、単層構造であるが、これに限定されるものではなく、多層構造であっても構わない。
【0056】
TFT29は、液晶駆動用のスイッチング素子(アクティブ素子)であり、ゲート電極21・ソース電極22・ドレイン電極23等からなる3端子スイッチとなっている(詳細については後述)。なお、このTFT29は、AM用ガラス基板11上で、対向基板51側へ向く方向に積層されるようになっている(設けられている)。
【0057】
層間絶縁膜13は、TFT29周囲を埋める膜であり、例えばSiO2、SiN等の膜で構成されている。なお、この層間絶縁膜13の膜厚は、およそ300〜800nm程度となっている。また、図6では、層間絶縁膜13は、単層構造であるが、これに限定されるものではなく、多層構造であっても構わない。
【0058】
平坦化膜(オーバーコート)14は、層間絶縁膜13・TFT29上に積層された平坦な膜であり、液晶分子の配向を整えるものである。なお、この平坦化膜14は、例えば感光性のアクリル樹脂等から構成されており、膜厚は、およそ1〜5μm程度となっている。
【0059】
画素電極15は、TFT29から加えられる電圧で、液晶62の配向を変化させる電極であり、平坦化膜14上に積層されるようにして設けられている。そして、この画素電極15は、透明な化合物であるITO(Indium Tin Oxide)や、IZO(Indium Zinc Oxide)によって形成されていることが好ましい。
【0060】
なお、この画素電極15は、およそ50〜200nm程度の膜厚となっている。また、この画素電極15は、平坦化膜14に形成されたスルーホール(表出開孔)1を介してTFT29のドレイン電極23等に電気的に接続するようになっている。
【0061】
そして、このスルーホール1は、図1に示すように、異なる口径サイズ(例えば口径サイズX・Y等)を有する複数の開孔(部分開孔)1a・1bが連なって構成されるようになっている。
【0062】
なお、連なっている部分開孔1a・1bでは、深度(深さの度合い)が高くなるにつれ、口径サイズは小さくなっている(幅X>幅Y)。すなわち、TFT29に近い方の部分開孔1bの口径サイズ(幅Y)が、離れた部分開孔1aの口径サイズ(幅X)よりも、小さくなっている。
【0063】
また、各々の部分開孔1a・1bは、深度が高まるにつれ、徐々に先細りするようになっている(別表現すると、各々の部分開孔1a・1bの内壁面2は、傾斜するようになっている)。
【0064】
その上、連なった部分開孔1a・1bの繋ぎ目である段差部3も、深度が高まるにつれ、徐々に先細りしている。つまり、段差部3、ひいては内壁面2の傾斜が、緩斜(緩和)するようになっている(詳細については後述)。
【0065】
また、図6に示すように、光反射膜16は、画素電極15上に積層される膜であり、外光を液晶表示パネル89の外部に向けて反射させるものである。なお、この光反射膜16は、例えば、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、または銀(Ag)等を含む合金から構成されている。そして、この光反射膜16の膜厚は、およそ100〜500nm程度となっている。
【0066】
また、特に、半透過型の液晶表示パネル89や反射型の液晶表示パネル89の場合、外光を効率よく拡散反射させるべく、光反射膜16は凹凸形状となっている。具体的には、上記の平坦化膜14上の一部(後述する光拡散領域E)に凹凸形状を形成させることで、この凹凸状に位置する画素電極15・光反射膜16も凹凸形状にさせている(詳細については後述)。
【0067】
なお、AM基板31には、ソース電極22につながった接続端子部24が、層間絶縁膜13上に設けられるようになっており、この接続端子部24と、TFT29のドレイン電極23とが画素電極15を介して電気的に接続するようになっている。
【0068】
具体的には、上述したスルーホール1を接続端子部24上の平坦化膜14に設けるようにして、表出した接続端子部24と表出したドレイン電極23等とを、画素電極15を介して電気的に接続するようになっている。
【0069】
〈対向基板について〉
なお、対向基板(挟持基板)51は、図3に示すように、対向基板51のベースとなるガラス基板である対向ガラス基板41と、画素電極15同様、ITO等から構成された対向電極(透明電極)42とを含むようになっている。
【0070】
なお、対向電極42は、この対向電極42と画素電極15との間に配設されている液晶62の配向を変化させるものである。また、図3では図示していないが、適宜、カラーフィルターや配向膜等を設けるようにしても構わない。
【0071】
〔液晶表示パネルの製造方法について〕
ここで、液晶表示パネル89の製造方法(製造工程)について、図7・図8・図11を用いて説明する。まず、製造工程において使用する方法(使用方法)を説明する。
【0072】
〈使用方法〉
《成膜方法》
○スパッタリング法…イオン粒子を加速させて、ターゲットという薄膜形成材料の固体表面に衝突させ、飛び出してきた薄膜形成材料がガラス基板上に堆積する方法。
○プラズマCVD法…薄膜形成材料の原料ガスが、プラズマ中の高エネルギー電子と衝突することで分解・解離し、イオン等が生成する。そして、このイオン等が空間を拡散してガラス基板上に堆積する方法。
【0073】
《パターン形成方法;パターニング》
○フォトリソ法…ガラス基板の薄膜上にフォトレジスト(紫外線感光性樹脂)に塗布した後に、予備乾燥(プリベーク)を行う。そして、所望の空隙を有するマスク(フォトマスク)を通して露光を行った後、フォトレジストの一部を溶解させる現像(現像液による溶解除去)を行い、本乾燥(ポストベーク)を行う。さらに、残ったフォトレジストにより保護されていない薄膜を除去するエッチングを行い、最後に残ったフォトレジストを除去する。その結果、所望のパターンとなった薄膜を得ることのできる方法。なお、フォトレジストは、光可溶化するポジレジストや、光硬化するネガレジストのどちらであってもよい。
【0074】
《エッチング》
○ウエットエッチング…エッチング溶液により、薄膜を溶解除去する方法。
○ドライエッチング…減圧下でのガス放電により薄膜と反応させ、その薄膜をガス状にして、溶解除去する方法。
【0075】
〈AM基板の製造工程〉
《TFT(TFTアレイ)の製造工程》
AM基板31の製造方法について、図7を用いて説明する。特にTFT29の製造方法について詳説する。
【0076】
まず、ガラス基板(AM用ガラス基板11)を洗浄する。そして、この洗浄されたAM用ガラス基板11上に、スパッタリング法等で、SiO2またはSiNを成膜させて、ベースコート膜12を形成させる。
【0077】
次に、このベースコート膜12上に、TFT29を構成する半導体層25を成膜させる。具体的には、アモルファスのシリコン(a−Si)をプラズマCVD法によって、ベースコート膜12に成膜させる。
【0078】
そして、このa−Siから成る成膜に対して、熱アニール、レーザーアニール、またはランプアニール等を施すことで、成膜を一旦溶融させる。その後、一旦溶融した成膜を冷却固化させることで結晶化(多結晶化)させ、ポリシリコン(p−Si)から成る半導体層25とする。
【0079】
なお、形成された半導体層25の膜厚は、およそ30〜100nm程度となっている。
【0080】
そして、図7(a)に示すように、形成された半導体層25に対して、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、所望のパターンを形成させる。(例えば、ベースコート膜12状において、散点状(島状)のパターンに形成させる)。
【0081】
続いて、図7(b)に示すように、ベースコート膜12・半導体層25上に、スパッタリング法またはプラズマCVD法等を用いて、SiO2、またはSiN等から成るゲート絶縁膜26を所望の形状に成膜させる。
【0082】
なお、このゲート絶縁膜26の膜厚は、およそ30〜150nm程度となっている。
【0083】
そして、このゲート絶縁膜26上に、スパッタリング法等を用いて、Ta、Mo、Ti、またはAl等を含む合金から成る金属膜(膜厚は、およそ100〜800nm程度)を成膜させる。
【0084】
その後、図7(c)に示すように、この成膜に対して、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等を行い、所望のパターンにパターニングして、ゲート電極21を形成させる。
【0085】
なお、上記のゲート電極21やゲート絶縁膜26は、単層であっても多層であっても構わない。
【0086】
そして、このゲート電極21形成後、イオンドーピングを用いて、半導体層25に、高濃度ソース領域S、および高濃度ドレイン領域Dを形成させる。また、熱アニール、レーザーアニール、またはランプアニール等を施すことでドーピングイオンの活性化を図ってもよい。
【0087】
なお、信頼性特性の向上のために低濃度ソース領域、および低濃度ドレイン領域(LDD領域;ライトリー・ドープト・ドレイン領域)を形成させるようにしてもよい。
【0088】
次に、図7(d)に示すように、ゲート絶縁膜26・ゲート電極21上に、スパッタリング法またはプラズマCVD法等を用いて、SiO2等から成る層間絶縁膜13を形成させる。
【0089】
その後、図7(e)に示すように、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、半導体層25上(具体的には高濃度ソース領域S、および高濃度ドレイン領域D上)の層間絶縁膜13に、開孔(コンタクトホールC)を形成させる。
【0090】
そして、このコンタクトホールCの形成された層間絶縁膜13上に、スパッタリング法を用いて、Ta、Mo、Ti、またはAl等を含む合金から成る金属膜(膜厚は、およそ100〜800nm程度)を成膜させる。
【0091】
その後、図7(f)に示すように、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、所望のパターンにパターニングして、ドレイン電極23・ソース電極22(接続端子部24を含む)を形成させる。
【0092】
なお、ドレイン電極23・ソース電極22は単層構造であっても多層構造であっても構わない。
【0093】
以上のような、製造工程を経て、AM用ガラス基板11上にTFT29を設けることができる。
【0094】
《平坦化膜の製造工程》
続いて、図8(a)に示すように、TFT29の形成された基板上に、例えばポジティブタイプの感光性のアクリル樹脂等をスピンコートさせて、平滑な膜(平坦化膜14)を成膜させる。
【0095】
《スルーホールの製造工程(スルーホール形成工程;表出開孔形成工程)》
次に、フォトマスク65aを介して、平坦化膜14を選択的に露光する(被覆層露光工程)。
【0096】
具体的には、例えば2段階に分けた選択露光(段階的露光工程)を行う。例えば、図8(b)に示すように、ドレイン電極23上の平坦化膜14、接続端子部24上の平坦化膜14、および光反射膜16の配設位置とするべき平坦化膜14(以降、この部分を光拡散領域Eと表現する)に対して、第1段階の露光(ハーフ露光工程;段階的露光工程)を行う(なお、露光された領域は点線表示)。
【0097】
なお、このハーフ露光工程での露光量は、後述する露光(全露光)に比べて低い露光量とする。具体的には、平坦化膜14の厚さ方向の途中位置まで露光させるために、必要な露光量となっている。
【0098】
また、このハーフ露光工程での光照射範囲は、図1に示す幅Xを有する範囲となっている。つまり、このハーフ露光工程は、部分開孔1aを形成するために、必要な露光といえる。
【0099】
また、光拡散領域E、すなわち、凹凸状の平坦化膜14の領域(凹凸領域E)を形成させるために行うハーフ露光工程は、凹凸状を形成させるためのものであるから、凹凸露光工程と表現してもよい。つまり、ハーフ露光工程は、平坦化膜14の一部に、凹凸領域Eを設けるために行われる凹凸露光工程を兼ねているといえる。
【0100】
次に、図8(c)に示すように、フォトマスク65bを介して(フォトマスク65aを取り替えて)、ドレイン電極23上の平坦化膜14、および接続端子部24上の平坦化膜14にハーフ露光された部分(凹状の部分)を、さらに選択的に露光する第2段階の露光(全露光工程;段階的露光工程)を行う(なお、露光された領域は点線表示)。
【0101】
なお、この全露光工程での露光量は、ハーフ露光に比べて高い露光量とする。具体的には、平坦化膜14を完全に除去して、ドレイン電極23・接続端子部24が表出(露出)させるために、必要な露光量となっている。
【0102】
また、この全露光工程での光照射範囲は、図1に示す幅Yを有する範囲となっている。つまり、この全露光工程は、部分開孔1bを形成するために、必要な露光といえる。
【0103】
そして、この全露光工程後に、現像工程(被覆層現像工程)を行い、露光された部分を除去(溶解)させる。さらに、本乾燥工程(ポストベーク;焼成工程)を行う。
【0104】
すると、図8(d)のように、ハーフ露光工程によって形成されたドレイン電極23上と、接続端子部24上との平坦化膜14に、段差部3(図1参照)を有するスルーホール1が形成されるようになる。また、平坦化膜14の光拡散領域Eは、凹凸領域Eとなる。
【0105】
なお、図10に示すように、現像工程の完了直後における段差部3の傾斜角度(θ1;図9参照)と、ポストベークを行った後の段差部3の傾斜角度(θ2;図10参照)とは、異なるようになっている。
【0106】
具体的には、ポストベークを行った後の段差部3の傾斜角度(θ2)は、現像工程の完了直後における段差部3の傾斜角度(θ1)に比べて、緩やかな傾斜を有するようになっている。これは、平坦化膜14から成る段差部3の一部がポストベークのために溶融した結果、発生するようになっている。
【0107】
《画素電極の製造工程》
続いて、図11(a)に示すように、スルーホール1の形成された平坦化膜14上に、スパッタリング法を用いて、ITO等の透明金属膜を成膜させた後、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、所望の画素電極15のパターンを形成させる。
【0108】
《光反射膜の製造工程》
その後、スパッタリング法を用いて、Ta、Mo、Ti、またはAl等を含む合金から成る金属膜を成膜させる。そして、フォトリソ法、ドライエッチング、またはウエットエッチング等により、所望のパターン、具体的には、図11(b)に示すように、平坦化膜14の光拡散領域E上に位置する画素電極15上に、パターニングして、光反射膜16を形成させる。
【0109】
以上のような、製造工程を経て、TFT29から加えられる電圧で、液晶62の配向を変化させる画素電極を有したAM基板31が完成する。
【0110】
なお、上記の製造工程は、一例であって、これに限定されるものではない。要するに、AM用ガラス基板11上に、少なくともTFT29・画素電極15を設けることのできる製造工程であればよい。
【0111】
〈対向基板の製造工程〉
なお、対向基板51は、フォトリソ法等を用いて製造される。具体的には、最初に、ガラス基板(対向用ガラス基板41)を洗浄する。そして、対向電極42をスパッタリング法・フォトリソ法により所望の形状にして形成させる。すると、対向電極42を有する対向基板51が形成される。
【0112】
〈液晶表示パネルの製造工程〉
そして、上述の工程により製造されたAM基板31と対向基板51(図3参照)とをシール材61により貼り合わせる(貼り合わせ基板を作製する)。そして、この貼り合わせ基板を切断(分断)することで、液晶表示パネル89を複数製造する多面取りを行う〔スクライブ・ブレイク工程〕。
【0113】
その後、これらの隙間(AM基板31と対向基板51との隙間)に液晶62を注入し、液晶注入口(不図示)を紫外線硬化樹脂等で封止することで、液晶表示パネル89が完成する〔セル工程〕。
【0114】
なお、多面取りされた1枚の液晶表示パネル89に、偏光板、駆動回路、バックライト等を取り付ければ、液晶表示装置が完成するようになっている〔モジュール工程〕。
【0115】
〔本発明の種々の特徴について〕
以上のように、本発明は、液晶62を挟持するAM基板31・対向基板51を有する液晶表示パネル89となっている。そして、AM基板31上には、スイッチング素子であるTFT29と、このTFT29を被覆するように平坦化膜14とが設けられるようになっている。
【0116】
特に、この平坦化膜14上には、TFT29(具体的には、ドレイン電極23やソース電極22等)を表出させるスルーホール1が設けられており、このスルーホール1は、異なる口径サイズ(例えば、図1の幅X・幅Y;幅X>幅Y)の有した複数の部分開孔1a・1bが、平坦化膜14の厚み方向に沿って、連なって構成されている。
【0117】
このような、本発明の液晶表示パネル89であれば、スルーホール1は、口径サイズの異なる部分開孔1a・1bから構成される。そのため、スルーホール1の内壁面2には、複数の段差部3(図1参照)が発生するようになる(なお、上述の説明では、2つの部分開孔1a・1bを用いた説明であるため、段差部3は1つである)。
【0118】
そのため、単独の開孔のみからなるスルーホール1の内壁面2に比べて、本発明での段差部3(内壁面2)を有するスルーホール1は、緩和された傾斜角を備えるようになる(緩和された内壁面2を有するようになる)。
【0119】
したがって、このスルーホール1内に、例えば画素電極15(または光反射膜16等)を積層させた場合、スルーホール1の内壁面2全面に、画素電極15が被覆するようになる。つまり、良好なカバレッジを得ることができる。
【0120】
具体的には、図1に示すように、段切れを起こしやすかったスルーホール1の底部を構成する隅部分4、およびスルーホール1の入口部分5が、完全に画素電極15で覆われるようになる。
【0121】
その結果、このスルーホール1の設けられた画素電極15等をつたって送受信される電気的記信号は、確実にTFT29に送受信されることになる。特に、TFT29のソース電極22等につながる接続端子部24と、スルーホール1内のドレイン電極23等とを画素電極15等を介してつなげると、良好な電気的接続を維持できるようになる。
【0122】
また、本発明の液晶表示パネル89において、各々の部分開孔1a(または1b)では、深度が高くなるにつれ(TFT29に近づくにつれ)、先細りしている。つまり、スルーホール1を構成する内壁面2は、緩やかな傾斜面となっている。そのため、段差部3の存在と相まって、良好なカバレッジを確保することができる。
【0123】
その上、本発明の液晶表示パネル89では、連なった部分開孔1a・1bの繋ぎ目である段差部3も、深度が高くなるにつれ、先細りしているので、さらに一層、良好なカバレッジを確保できるようになっている。
【0124】
なお、本発明の液晶表示パネル89が、例えば半透過型の液晶表示パネル89である場合、外光を効率よく拡散させるための光反射膜16を設けるようになっている。そして、特に、本発明では、この光反射膜16の下層に位置する平坦化膜14の領域(光拡散領域E)を凹凸状にしている。
【0125】
具体的には、凹凸領域Eにおける凹部分の深さは、平坦化膜14の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなるようにしている。つまり、凹凸領域Eを設けるためになされているハーフ露光(凹凸露光工程)では、凹凸領域における凹部分の深さが、平坦化膜14の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとするために必要な露光量で光照射(露光)するようになっている。
【0126】
なぜなら、30%以下の平坦化膜14の膜厚であれば、下層との電気的干渉(電気的リーク等)が生じてしまうおそれがあるためである。一方、70%以上の平坦化膜14の膜厚であれば、凹凸形状を構成したことによる光反射膜16の拡散反射効果(散乱反射効果)が低減してしまうためである。
【0127】
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、上述の説明では、スルーホール1は、ドレイン電極23・接続端子部24上の平坦化膜14に設けられているが、これに限定されるものではない。
【0128】
例えば、外部回路等と接続するため、ゲート電極21やソース電極22上の平坦化膜14に、スルーホール1を設けても構わない。
【0129】
また、TFT29は、トップゲート型でもボトムゲート型でも構わない。
【0130】
なお、上述の説明では、平坦化膜14上に、画素電極15・光反射膜16が、この順で積層されている液晶表示パネル89を用いて説明してきたが、これに限定されるものではない。
【0131】
例えば、平坦化膜14上に、光反射膜16・画素電極15が、この順で積層されている液晶表示パネルであっても構わない。
【0132】
また、スルーホール1の開孔の形状は、特に限定されるものではなく、円状でも、図5に示すような四角形状等であっても構わない。要は、電気的な接続を確保できるような開孔であればよい。
【0133】
また、上述の説明では、スルーホール1は、TFT29の積層された基板上を平坦化するための平坦化膜14上に設けられているが、これに限定されるものではない。要は、TFT29等に対する電気的信号の送受信の障害となる膜(被覆層)上に設けられるようになっていればよい。
【0134】
また、上述の説明では、ハーフ露光工程、全露光工程の2段階の露光工程を行っているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の露光工程を行って、複数の(3個以上の)段差部3をスルーホール1の内部に形成させるようにしても構わない。
【0135】
そして、この段差部3を含めたスルーホール1の内壁面2の表現は、種々存在するが、要は、スルーホール1の天部(入口部分5)から底部(隅部分4)に至るまでの内壁面2の傾斜が、段切れを起こさないように緩和していればよい。したがって、内壁面2が、波打つよう形成されている場合でも構わない。
【0136】
また、本発明の液晶表示パネル89の製造方法では、平坦化膜14上に、TFT29のドレイン電極23等を表出させるスルーホール1を設けるため、少なくとも、ハーフ露光工程・全露光工程等を含む被覆層露光工程、および被覆層現像工程から構成されるスルーホール形成工程が行われるようになっている。
【0137】
そして、上述では、ハーフ露光工程、全露光工程の順で行われる場合について説明している。しかしながら、これに限定されるものではなく、全露光工程、ハーフ露光工程の順で行わるようになっていても構わない。
【0138】
なお、本発明は、下記のように表現することもできる。
【0139】
本発明の液晶表示パネル(液晶ディスプレイ)では、平坦化膜の段差部が、例えば2段構成(複数段構成)となっていることを特徴としている。
【0140】
また、本発明の液晶表示パネルの製造方法では、平坦化膜の段差部にハーフ露光を行うことにより、急峻な段差を緩和することを特徴としている。
【0141】
また、本発明の液晶表示パネルの製造方法では、急峻な段差を緩和するためのハーフ露光は、光反射膜の形成のために、平坦化膜に凹凸領域を形成する工程において、同時に処理されることを特徴としている。
【0142】
また、本発明の液晶表示パネルの製造方法では、急峻な段差を緩和するためのハーフ露光は、光反射膜の形成のために、平坦化膜に凹凸領域を形成する工程において、形成された平坦化膜を厚さ方向において、30%を超え70%未満の範囲で残存させるような露光量にて行われることを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、半透過型の液晶表示パネルや反射型の液晶表示パネルにおいて、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】図6におけるスルーホールの拡大図である。
【図2】本発明の液晶表示装置における液晶表示パネルの概略平面図である。
【図3】図2における矢視A−A’線での概略断面図である。
【図4】図2における領域αの拡大平面図である。
【図5】図4の詳細な平面構成図である。
【図6】図5に示されるアクティブマトリックス基板を模式的に示した概略断面図である。
【図7】TFT(TFTアレイ)は製造する工程を説明する説明図であり、(a)は形成された半導体層をパターニングしている工程を説明した説明図であり、(b)はベースコート膜・半導体層上にゲート絶縁膜を形成させている工程を説明した説明図であり、(c)は金属膜をパターニングしてゲート電極を形成させている工程を説明した説明図であり、(d)はゲート絶縁膜・ゲート電極上に、層間絶縁膜を形成させている工程を説明した説明図であり、(e)は半導体層上の層間絶縁膜にコンタクトホールを形成させている工程を説明した説明図であり、(f)はパターニングすることでドレイン電極・ソース電極等を形成させている工程を説明した説明図である。
【図8】(a)はTFTの形成された基板上に、平坦化膜を成膜させる工程を説明した説明図であり、(b)は平坦化膜に対してハーフ露光を行っている工程(ハーフ露光工程)を説明した説明図であり、(c)は平坦化膜に対して全露光を行っている工程(全露光工程)を説明した説明図であり、(d)はハーフ露光工程・全露光工程後に、現像工程・本乾燥工程を行っている工程を説明した説明図である。
【図9】現像工程後のスルーホールを示す概略構成図である。
【図10】本乾燥工程後のスルーホールを示す概略構成図である。
【図11】(a)はスルーホール形成された平坦化膜上に、画像電極を形成させる工程を説明した説明図であり、(b)は平坦化膜の光拡散領域上に位置する画素電極上に、パターニングして、光反射膜を形成させる工程を説明した説明図である。
【図12】従来の液晶表示パネルの概略構成図である。
【図13】図12の詳細な液晶表示パネルの概略構成図である。
【図14】図12・図13でのスルーホールを示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0145】
1 スルーホール(表出開孔)
1a 部分開孔
1b 部分開孔
2 内壁面
3 段差部
4 隅部分
5 入口部分
14 平坦化膜(被覆層)
15 画素電極
16 光反射膜
21 ゲート電極
22 ソース電極
23 ドレイン電極
24 接続端子部
29 TFT(スイッチィング素子)
31 アクティブマトリックス基板(挟持基板、第1基板)
51 対向基板(挟持基板)
62 液晶
89 液晶表示パネル
90 液晶表示装置
C コンタクトホール
E 光拡散領域(凹凸領域)
X 幅(光照射範囲)
Y 幅(光照射範囲)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶を挟持する挟持基板を有する液晶表示パネルにおいて、
上記挟持基板の1つである第1基板上には、スイッチング素子と、このスイッチング素子を被覆する被覆層とが設けられる一方、
この被覆層上には、上記スイッチング素子を表出させる表出開孔が設けられており、
この表出開孔は、異なる口径サイズの有した複数の部分開孔が上記被覆層の厚み方向に沿って、連なって構成されていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
上記の連なった部分開孔は、深度が高くなるにつれ、口径サイズが小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
上記の各々の部分開孔では、深度が高くなるにつれ、先細りしていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】
上記の連なった部分開孔の繋ぎ目である段差部は、深度が高くなるにつれ、先細りしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項5】
上記被覆層上には、凹凸領域が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項6】
上記の凹凸領域における凹部分の深さは、上記被覆層の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなっていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】
少なくとも、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示パネルを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
液晶を挟持する挟持基板を有する液晶表示パネルの製造方法において、
上記挟持基板の1つである第1基板上に、スイッチング素子と、このスイッチング素子を被覆する感光性の被覆層とを設ける一方、
この被覆層上に、上記スイッチング素子を表出させる表出開孔を設けるため、少なくとも、被覆層露光工程および被覆層現像工程を含む表出開孔形成工程が行われるようになっており、
上記の被覆層露光工程は、露光量の異なる複数の段階的露光工程から構成されており、さらに、これらの複数の段階的露光工程は、露光量の低い工程ほど、露光量の高い工程に比べて、光照射範囲を広くしていることを特徴としている液晶表示パネルの製造方法。
【請求項9】
上記被覆層現像工程後には、現像による被覆層の溶解により発生する上記表出開孔を焼成させる焼成工程が行われることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項10】
上記の複数の段階的露光工程における少なくとも1つの段階的露光工程は、
上記被覆層に、凹凸領域を設けるために行われる凹凸露光工程を兼ねていることを特徴とする請求項8または9に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項11】
上記の凹凸領域を設けるために行われる凹凸露光工程では、
上記凹凸領域における凹部分の深さが、上記被覆層の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなる露光量となっていることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示パネル。
【請求項1】
液晶を挟持する挟持基板を有する液晶表示パネルにおいて、
上記挟持基板の1つである第1基板上には、スイッチング素子と、このスイッチング素子を被覆する被覆層とが設けられる一方、
この被覆層上には、上記スイッチング素子を表出させる表出開孔が設けられており、
この表出開孔は、異なる口径サイズの有した複数の部分開孔が上記被覆層の厚み方向に沿って、連なって構成されていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
上記の連なった部分開孔は、深度が高くなるにつれ、口径サイズが小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
上記の各々の部分開孔では、深度が高くなるにつれ、先細りしていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】
上記の連なった部分開孔の繋ぎ目である段差部は、深度が高くなるにつれ、先細りしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項5】
上記被覆層上には、凹凸領域が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項6】
上記の凹凸領域における凹部分の深さは、上記被覆層の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなっていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】
少なくとも、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示パネルを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
液晶を挟持する挟持基板を有する液晶表示パネルの製造方法において、
上記挟持基板の1つである第1基板上に、スイッチング素子と、このスイッチング素子を被覆する感光性の被覆層とを設ける一方、
この被覆層上に、上記スイッチング素子を表出させる表出開孔を設けるため、少なくとも、被覆層露光工程および被覆層現像工程を含む表出開孔形成工程が行われるようになっており、
上記の被覆層露光工程は、露光量の異なる複数の段階的露光工程から構成されており、さらに、これらの複数の段階的露光工程は、露光量の低い工程ほど、露光量の高い工程に比べて、光照射範囲を広くしていることを特徴としている液晶表示パネルの製造方法。
【請求項9】
上記被覆層現像工程後には、現像による被覆層の溶解により発生する上記表出開孔を焼成させる焼成工程が行われることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項10】
上記の複数の段階的露光工程における少なくとも1つの段階的露光工程は、
上記被覆層に、凹凸領域を設けるために行われる凹凸露光工程を兼ねていることを特徴とする請求項8または9に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項11】
上記の凹凸領域を設けるために行われる凹凸露光工程では、
上記凹凸領域における凹部分の深さが、上記被覆層の膜厚に対して30%を超える一方、70%未満の深さとなる露光量となっていることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−215062(P2006−215062A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24821(P2005−24821)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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