窒化物半導体装置
【課題】定電流動作が可能な窒化物半導体装置を提供する。
【解決手段】窒化物半導体を含む半導体層30と、ソース電極40と、ドレイ電極50と、第1ゲート電極10と、第2ゲート電極20と、を備えた窒化物半導体装置111が提供される。ソース電極40とドレイン電極50は、主面上に設けられ、半導体層とオーミック性接触を形成し、互いに離間する。第1ゲート電極10は、主面上においてソース電極40とドレイン電極50との間に設けられる。第2ゲート電極20は、主面上においてソース電極40と第1ゲート電極10との間に設けられる。ソース電極40と第1ゲート電極10との間の電位差が0ボルトのときに、半導体層30のうちの第1ゲート電極に対向する部分は導通する。第1ゲート電極10は、第2ゲート電極20に印加される電圧に応じた定電流をスイッチングする。
【解決手段】窒化物半導体を含む半導体層30と、ソース電極40と、ドレイ電極50と、第1ゲート電極10と、第2ゲート電極20と、を備えた窒化物半導体装置111が提供される。ソース電極40とドレイン電極50は、主面上に設けられ、半導体層とオーミック性接触を形成し、互いに離間する。第1ゲート電極10は、主面上においてソース電極40とドレイン電極50との間に設けられる。第2ゲート電極20は、主面上においてソース電極40と第1ゲート電極10との間に設けられる。ソース電極40と第1ゲート電極10との間の電位差が0ボルトのときに、半導体層30のうちの第1ゲート電極に対向する部分は導通する。第1ゲート電極10は、第2ゲート電極20に印加される電圧に応じた定電流をスイッチングする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、高出力、高耐圧、低オン抵抗を実現するには高い臨界電界を有する材料を用いるのが有効である。窒化物半導体は高い臨界電界強度を有することから、窒化物半導体を用いることにより、高出力、高耐圧、低オン抵抗を実現する半導体装置が得られる。窒化物半導体装置において、定電流動作を実用化することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−530862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、定電流動作が可能な窒化物半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、窒化物半導体を含む半導体層と、ソース電極と、ドレイ電極と、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、を備えた窒化物半導体装置が提供される。前記ソース電極は、前記半導体層の主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成する。前記ドレイン電極は、前記主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成し、前記ソース電極と離間する。前記第1ゲート電極は、前記主面上において前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられる。前記第2ゲート電極は、前記主面上において前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間に設けられる。前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間の電位差が0ボルトのときに、前記半導体層のうちの前記第1ゲート電極に対向する部分は導通する。前記第1ゲート電極は、前記第2ゲート電極に印加される電圧に応じた定電流をスイッチングする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の動作を示すグラフ図である。
【図3】図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の特性を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の動作を示す模式的断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図6】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図7】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図8】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図9】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図10】第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の特性を示すグラフ図である。
【図11】第2の実施形態に係る窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111は、窒化物半導体を含む半導体層30と、ソース電極40と、ドレイン電極50と、第1ゲート電極10と、第2ゲート電極20と、を備える。
【0009】
半導体層30は、例えば、キャリア走行層31と、キャリア供給層32と、を含む。キャリア供給層32は、キャリア走行層31の上に設けられる。キャリア走行層31は、例えば、GaNを含む。キャリア走行層31は、図示しない基板上に設けられたバッファ層の上に設けられる。
【0010】
キャリア供給層32は、キャリア走行層31にキャリアを供給する。キャリア供給層32には、例えば、AlxGa1−xN(0<x≦1)などが用いられる。キャリア供給層32の格子定数は、キャリア走行層31の格子定数よりも小さい。
【0011】
これにより、キャリア供給層32において、歪みが生じる。キャリア供給層32に伴うピエゾ分極と自発分極とにより、キャリア走行層31とキャリア供給層32との界面に2次元電子系33が発生する。窒化物半導体装置111においては、この2次元電子系33がチャネルとして用いられる。
【0012】
ソース電極40は、半導体層30の主面30a上に設けられる。主面30aは、キャリア供給層32のキャリア走行層31とは反対側の面である。ソース電極40は、半導体層30とオーミック性接触を形成する。
【0013】
ドレイン電極50は、半導体層30の主面30a上に設けられる。ドレイン電極50は、半導体層30とオーミック性接触を形成する。ドレイン電極50は、ソース電極40と離間している。
【0014】
第1ゲート電極10は、半導体層30の主面30a上において、ソース電極40とドレイン電極50との間に設けられる。
【0015】
第2ゲート電極20は、半導体層30の主面30a上において、ソース電極40と第1ゲート電極10との間に設けられる。
【0016】
窒化物半導体装置111は、半導体層30と第1ゲート電極10との間に設けられた第1絶縁層61をさらに備える。絶縁層61には、例えば、SiN、SiO2、Al2O3及びTa2O5などが用いられる。この例では、第1絶縁層61は、第2ゲート電極20と半導体層30との間に延在している。
【0017】
半導体層30とオーミック性接触を形成するソース電極40及びドレイン電極50には、例えば、Ti、Al及びTaなどが用いられる。
【0018】
第1ゲート電極10は、ノーマリオン型で動作する。すなわち、第1ゲート電極10に与えられるゲート電圧(第1ゲート電圧)が0ボルト(V)のとき、2次元電子系33が存在する。すなわち、ソース電極40と第1ゲート電極10との間の電位差が0Vのときに、半導体層30のうちの第1ゲート電極10に対向する部分は導通する。第1ゲート電圧が0Vのとき、ソース電極40とドレイン電極50との間に導通がある。この導通を遮断するしきい値電圧は、例えば、−1V〜−20V程度である。なお、この例では、第2ゲート電極20もノーマリオン型で動作する。
【0019】
ノーマリオン動作する第1ゲート電極10に、1kHz〜100MHz程度のAC制御電圧(第1ゲート電圧)を印加する。そして、第2ゲート電極20に、第2ゲート電圧としてDCゲート電圧を印加する。第2ゲート電極20に印加する第2ゲート電圧は、必ずしも厳密な直流でなくても良い。すなわち、第2ゲート電圧の時間に対する変動は、第1ゲート電圧の時間に対する変動よりも小さい。第2ゲート電圧は、窒化物半導体装置111によって得ようとしている定電流値の変化に応じて、変化させても良い。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の動作を例示するグラフ図である。
同図は、窒化物半導体装置111において、第2ゲート電極20に与えるゲート電圧(第2ゲート電圧Vg2)を変えたときの、ドレイン電圧−ドレイン電流特性を示している。横軸は、ドレイン電流Idであり、縦軸はドレイン電圧Vdである。
【0021】
図2に表したように、ドレイン電流Idを増大すると、ある電流値において、ドレイン電圧Vdが急激に上昇する。そのドレイン電圧Vdが上昇する電流値は、第2ゲート電圧Vg2により制御可能である。
【0022】
これは、例えば、ゲート電極の下の2次元電子系33がピンチオフし(すなわち、空乏化が生じ)、ある値以上の電流値が流れることができなくなり、これにより、ドレイン電圧が上昇したことに対応すると考えられる。すなわち、ある電流値において第2ゲート電極20で発生した電圧が、ドレイン電極50に伝わる。
【0023】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111によれば、定電流動作が可能な窒化物半導体装置が提供できる。窒化物半導体装置111は、これに加え、高電圧で高速のスイッチングが可能である。
【0024】
以下、実施形態に係る窒化物半導体装置111の特性に関して、発明者が実施した実験について説明する。
【0025】
図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の特性を例示する図である。
図3(a)は、測定結果を示す。図3(b)は、実験に用いた試料の構成を示す。
図3(b)に表したように、この実験の試料111aにおいては、キャリア走行層31と、キャリア走行層31の上に形成されたキャリア供給層32と、を有する半導体層30が用いられた。キャリア走行層31は、GaN層である。キャリア供給層32は、ノンドープのAl0.25Ga0.75N層である。
【0026】
このような半導体層30の上に、ソース電極40と、ドレイン電極50と、第2ゲート電極20が設けられている。そして、第1ゲート電極10に対応する2つのゲート電極(第1テストゲート電極10a及び第2テストゲート電極10b)を設けた。第1テストゲート電極10aは、第2ゲート電極20とドレイン電極50との間に設けられる。第2テストゲート電極10bは、第1テストゲート電極10aとドレイン電極50との間に設けられる。この例では、第2ゲート電極20と第1テストゲート電極10aとの間の距離は3マイクロメートル(μm)である。第1テストゲート電極10aと第2テストゲート電極10bとの間の距離は6μmである。第2テストゲート電極10bとドレイン電極50との間に距離は3μmである。
【0027】
このような構成を有する試料111aにおいて、第2ゲート電極20がオフ状態となるように第2ゲート電極20に電圧を印加した。この状態で、ドレイン電圧Vdを変化させながら、第1テストゲート電極10aにおける電圧(電圧Vt1)及び第2テストゲート電極10bにおける電圧(電圧Vt2)を測定した。
【0028】
図3(a)は、測定された電圧を示している。横軸はドレイン電圧Vdであり、縦軸は、電圧Vt1及び電圧Vt2である。
図3(a)に表したように、あるドレイン電圧Vdで、ゲート電極の電圧(電圧Vt1及び電圧Vt2)は、ほぼ一定となる。これは、そのドレイン電圧Vdで空乏層が、そのゲート電極に到達したことによる。
【0029】
すなわち、電圧Vt1がほぼ一定となるときに、空乏層が、第2ゲート電極20から第1テストゲート電極10aに到達する。そして、電圧Vt2がほぼ一定となるときに、空乏層が、第2ゲート電極20から第2テストゲート電極10bに到達する。
【0030】
図4は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の動作を例示する模式的断面図である。
図4に表したように、実施形態に係る窒化物半導体装置111においては、ドレイン電圧Vdの上昇と共に、空乏層30dが、第2ゲート電極20のドレイン側の端から広がる。そして、ドレイン電圧Vdが高くなり、ある値のときに、空乏層30dは、第1ゲート電極10のソース側の端に到達する。
【0031】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111においては、第2ゲート電極20にDCゲート電圧を印加することにより、ある一定のドレイン電流値に達すると、第2ゲート電極の下の2次元電子系33が空乏化する。そして、第2ゲート電極20のドレイン側の端から空乏層30dが広がり、やがて第1ゲート電極10に達する。
【0032】
ある一定の電流値で第2ゲート電極20のドレイン側に発生した電圧が、空乏層30dの広がりにより、第1ゲート電極10に伝わる。第1ゲート電極10は、ノーマリオン動作のゲートである。第1ゲート電極10に加わるゲート電圧が0Vのときは2次元電子系33が存在するが、伝わってきた電圧により第1ゲート電極10の下の2次元電子系33の電位は上昇する。このため、2次元電子系33に対して、第1ゲート電極10の電位は、負になる。このときに発生する電圧の絶対値は、20Vを超える。すなわち、第1ゲート電極10のしきい値電圧以上の絶対値の電圧が発生する。これにより、第1ゲート電極10の下の導通は、遮断される。
【0033】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111においては、ある一定電流値以上では、第1ゲート電極10の下の導通が遮断されるために、定電流値でスイッチングを行うことができる。
【0034】
窒化物半導体は高い臨界電界強度を有するため、ゲート長が小さくても、そして、ゲート電極とドレイン電極50との間の距離が短くても大きな耐圧を得ることができる。このため、小さなゲート容量、及び、小さなゲート−ドレイン間容量で、高速・高電圧のスイッチングが可能である。
【0035】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111によれば、定電流動作が可能な窒化物半導体装置が提供できる。窒化物半導体装置111は、これに加え、高電圧で高速のスイッチングが可能である。
【0036】
従来の窒化物半導体装置で定電流制御を行おうとすると、電流値を読み取り、ゲート電圧を制御しなければならない。このため、制御ICや制御回路に高速性が必要となり、現実的ではない。また、ノーマリオフ型トランジスタとノーマリオン型トランジスタの併合カスコードトランジスタを形成する構成がある。しかしながら、この構成においても、電流制御を行うことはできない。このように、従来の窒化物半導体装置においては定電流制御を実現することは困難である。
【0037】
これに対し、上記のように、本実施形態に係る窒化物半導体装置によれば、定電流動作が可能になり、さらに、高電圧の高速スイッチングが可能である。
【0038】
以下、実施形態に係る窒化物半導体装置111において、適正な動作が得られる構成の例について説明する。
図4に関して説明したように、実施形態においては、空乏層30dが第2ゲート電極20から第1ゲート電極10へ早く広がるように設計される。
【0039】
空乏層30dの広がる速さは、空乏層30dの容量に反比例し、第2ゲート電極20と第1ゲート電極10との間の領域におけるドーピング濃度に反比例する。第2ゲート電極20と第1ゲート電極10との間の2次元電子系33のキャリア濃度を下げることは、オン抵抗の劣化を招き、スイッチングの効率が低下する可能性がある。
【0040】
そこで、例えば、分極によるキャリア濃度をドーピング濃度より高く設定する。これにより、空乏層の広がりが早く、且つ、オン抵抗の低い半導体装置が実現できる。すなわち、効率の高い定電流スイッチングが実現できる。
【0041】
すなわち、定電流で高速・高電圧スイッチングのために、キャリア供給層32においては、ドーピング量よりも分極電電荷量の方が大きく設定される。
【0042】
例えば、図3(a)及び図3(b)に関して説明した実験では、ドレイン電圧Vdが約5Vのときに空乏層30dの広がりの距離は3μmであると考えられる。そして、ドレイン電圧Vdが約30Vのときには、空乏層30dの広がりの距離は12μmであると考えられる。
【0043】
この例では、キャリア供給層32(ノンドープのAl0.25Ga0.75N層)の実効的な残留ドーピング濃度は、約5×1014cm−3であると見積もられる。そして、この例においては、キャリア供給層32の膜厚が30ナノメートル(nm)である。このことから、実効的な残留ドーピング濃度は、約1.5×109cm−2となる。
【0044】
一方、AlxGaN1−xNにおける分極電荷量は、x×5×1013cm−2程度である。これによると、Al0.25Ga0.75Nにおける分極電荷量の場合は、1.25×1013cm−2である。
【0045】
このように、この例(試料111a)において、分極電荷量はドーピング量よりも大きい。これにより、適正な定電流動作が実現できる。
【0046】
このように、実施形態に係る窒化物半導体装置111においては、キャリア供給層32の分極電荷量は、キャリア供給層32におけるドーピング量よりも多く設定される。これにより、定電流で高速・高電圧スイッチングが可能になる。
【0047】
この構成を得るために、実施形態においては、半導体層として窒化物半導体を用いる。さらに、キャリア供給層32には分極の大きなAlGaN層やInAlN層を用いることが望ましい。キャリア供給層32はドーピング量よりも分極電荷量の方が大きければ良く。その構成は任意である。
【0048】
キャリア供給層32には、例えば、ノンドープまたはn形のAlx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の第1層を用いることができる。キャリア供給層32には、ノンドープまたはn形のIny1Al1−y1N(0<y1≦1)の第2層を用いることができる。キャリア供給層32には、ノンドープまたはn形のAlx2Iny2Ga1−x2−y2N(0<x2<1、0<y2<1)の第3層を用いることができる。さらに、キャリア供給層32には、上記の第1層、第2層及び第3層の少なくとも2つを含む積層体を用いることができる。さらに、キャリア供給層32には、上記の第1層、第2層及び第3層の少なくともいずれかと、ノンドープまたはn形のGaN層と、を含む積層体を用いることができる。さらに、これらの少なくともいずれかを含むことができる。
【0049】
キャリア走行層31には、GaN単層だけでなく、ダブルへテロ構造、超格子構造、組成比を変化させた層構造を用いてもよい。
【0050】
本実施形態に係る窒化物半導体装置111の構成の例についてさらに説明する。
上記の説明のように、窒化物半導体装置111においては、定電流動作を得るために、一定の電流値に達したら、素早く電圧を発生させて、第1ゲート電極10の導通を遮断する構成が適用される。
【0051】
例えば、第1ゲート電極10の動作よりも、電圧を発生させる第2ゲート電極20の動作の方が高速であることが望ましい。
【0052】
そのために、図1に例示したように、第2ゲート電極10のゲート長Lg2は、第1ゲート電極10のゲート長Lg1以下であることが望ましい。
【0053】
第2ゲート電極20を高速に動作させるために、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを上げることが有効である。すなわち、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスは、第1ゲート電極10の相互コンダクタンス以上であることが望ましい。第2ゲート電極20の相互コンダクタンスが向上することにより、キャリア密度の制御性が上がり、高速に動作させることができる。上記の相互コンダクタンスは、ソース電極40を接地し、ドレイン電極50に一定の電圧を印加した状態で、第1ゲート電極10または第2ゲート電極20に印加する電圧を変化させたときのドレイン電流Idの変化率を測定することで計測できる。
【0054】
本実施形態に係る窒化物導体装置においては、第1ゲート電極10とドレイン電極50との間には高耐圧性をもたせる。一方、第2ゲート電極20には高速性が求められるが、必ずしも高耐圧性でなくても良い。
【0055】
図1に例示したように、例えば、第1ゲート電極10と第2ゲート電極20との間の距離(第2距離L2)は、ドレイン電極50と第1ゲート電極10との間の距離(第1距離L1)よりも短い。これにより、第2ゲート電極20に高速性を付与することができる。これにより、第1ゲート電極10とドレイン電極50の間の高耐圧性を得つつ、第2ゲート電極20の高速性を得ることができる。これにより、定電流・高電圧・高速スイッチングが可能となる。
【0056】
図5は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図5に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置112においては、第2ゲート電極20と半導体層30との間の絶縁層(第2絶縁層62)の厚さが、第1ゲート電極10と半導体層30との間の絶縁層(第1絶縁層61)の厚さとは異なる。具体的には、第2絶縁層62の厚さは、第1絶縁層61の厚さよりも薄い。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0057】
第2絶縁層62の厚さを第1絶縁層61の厚さよりも薄くすることで、例えば、第2ゲート電極20のキャリア密度制御性が向上する。そして、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを第1ゲート電極10の相互コンダクタンスよりも大きくすることができる。
【0058】
また、第2絶縁層62の材料を第1絶縁層61の材料と変えて、絶縁層の誘電率を変えても良い。例えば、第2絶縁層62の比誘電率は、第1絶縁層61の比誘電率よりも大きく設定することができる。これにより、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを第1ゲート電極10の相互コンダクタンスより大きくすることができる。
【0059】
図6は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図6に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置113においては、第2ゲート電極20と半導体層30との間に絶縁層が設けられていない。第2ゲート電極20は、半導体層30とショットキー性接続を形成している。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0060】
第2ゲート電極20には、Ni、Pt及びPdなどが用いられる。これにより、第2ゲート電極20は、半導体層30とショットキー性接続する。
【0061】
第2ゲート電極20には、高速性が求められるが、必ずしも高耐圧でなくても良い。このため、第2ゲート電極20と半導体層30との間の絶縁層を省略しても良い。これにより、第2ゲート電極20の制御性を向上させることができる。これにより、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを大きくすることができる。
【0062】
図7は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図7に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置114においては、半導体層30に凹部35が設けられている。この凹部35の中に、第2ゲート電極20の一部(少なくとも一部)が埋め込まれている。第2ゲート電極20と半導体層30との間には、第1絶縁層61が延在している。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0063】
この例では、第2ゲート電極20と半導体層30との間に延在する第1絶縁層61は、半導体層30の凹部35と第2ゲート電極20との間に設けられる第2絶縁層に相当する。
【0064】
凹部35の中に、第2ゲート電極20の一部(少なくとも一部)を埋め込む構成により、第2ゲート電極20のキャリア密度制御性を向上させることができる。これにより、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを大きくすることができる。
【0065】
図1に例示した窒化物半導体装置111においては、第1ゲート電極10と半導体層30との間の構造は、第2ゲート電極20と半導体層30との間の構造と同じである。このため、第1ゲート電極10がノーマリオン型で動作するのと同様に、第2ゲート電極20もノーマリオン型で動作する。このように、第1ゲート電極10と第2ゲート電極20とをノーマリオン型で動作させることにより、構造が単純になり、作製が容易になる。また、第2ゲート電極20の下の2次元電子系33におけるキャリアの濃度が他の場所と変わらないため、電流駆動能力が高い。そして、オン抵抗が低くなる。これにより、効率的なスイッチングが可能となる。また、第2ゲート電極20に印加するDCゲート電圧のための正バイアスを用意しなくても良い。ただし、実施形態はこれに限らず、第2ゲート電極20は、ノーマリオフ型で動作しても良い。
【0066】
図8は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図8に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置115においては、半導体層30に凹部35が設けられている。この凹部35は、キャリア供給層32を貫通しキャリア走行層31に達している。この凹部35の中に、第2ゲート電極20の一部(少なくとも一部)が埋め込まれている。第2ゲート電極20と半導体層30との間には、第1絶縁層61が延在している。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0067】
このように、第2ゲート電極20の下のキャリア供給層32に凹部35が設けられ、この凹部35が、キャリア供給層32を貫通し、キャリア走行層31に達している。これにより、第2ゲート電極20の下の(近傍の)2次元電子系33は空乏化する。これにより、第2ゲート電極20はノーマリオフ型で動作する。これにより、第2ゲート電極20に印加するDCゲート電圧を加えるための負バイアスを発生する電源を用意しなくて良い。
【0068】
図9は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図9に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置116においては、半導体層30のキャリア供給層32が積層構造を有している。そして、半導体層30に凹部35が設けられている。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0069】
この例では、キャリア供給層32は、第1供給層32aと、第2供給層32bと、第3供給層32cと、を有している。第2供給層32aは、第1供給層32aとキャリア走行層31との間に設けられる。第3供給層32cは、第2供給層32bとキャリア走行層31との間に設けられる。第1供給層32aには、例えば、AlGaN層が用いられる。第2供給層32bには、例えばGaN層が用いられる。第3供給層32cには、例えばAlGaN層が用いられる。
【0070】
キャリア走行層31と第3供給層32cと間の界面に2次元電子系33aが形成される。第2供給層32bと第1供給層32aとの間の界面に2次元電子系33bが形成される。
【0071】
凹部35の底部は、第2供給層32bに到達し、第3供給層32cには到達していない。このため。第2ゲート電極20の下には2次元電子系は存在していない。これにより、第2ゲート電極20において、ノーマリオフ型の動作を実現しながら、第2ゲート電極20の下の部分のオン抵抗を低減できる。
【0072】
また、この構成により、第2ゲート電極20の下のリセス深さの変動に対する、第2ゲート電極20の下の部分における導通を遮断するためのしきい値電圧の変動の比率を小さくすることができる。すなわち、第2ゲート電極20の下のリセス深さの加工精度が緩和できる。これにより、第2ゲート電極20の下の部分において、オン抵抗が低く、そして、ノーマリオフ型の動作が行われる。そして、第2ゲート電極20に印加するDCゲート電圧を加えるための負バイアスを発生する電源を用意しなくても良い。
【0073】
実施形態において、第2ゲート電極20と半導体層30との間の絶縁層(第2絶縁層62)にフッ素を導入することにより、ノーマリオフ型の動作を得ることもできる。
【0074】
第2ゲート電極20をノーマリオフ型で動作させることにより、第2ゲート電極20に印加するDCゲート電圧として、負バイアスを発生する電源を用意しなくても良くなる。実施形態において、第2ゲート電極20をノーマリオフ型で動作させるために、上記に挙げた方法の他にも種々の方法を用いることができる。
【0075】
図10は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の特性を例示するグラフ図である。 同図は、図1に例示した窒化物半導体装置111において、ソース電極40を接地し、第2ゲート電圧Vg2を変化させたときのドレイン電圧Vd−ドレイン電流Id特性を測定した結果の例を示している。
【0076】
図10に示したように、ドレイン電圧Vdを増加させたときにドレイン電流Idが減少する負性微分抵抗を示す領域がある。このような負性微分抵抗特性を有するトランジスタの構成を第2ゲート電極20に採用すると、定電流特性がさらに安定する。
【0077】
すなわち、第2ゲート電極20に、ある一定のDC電圧を印加した状態で、ある電流値に達すると、ドレイン電圧Vdが上昇する。このとき、第2ゲート電極20が負性微分抵抗特性を有する場合、ドレイン電圧Vdが上昇するとドレイン電流Idが減少する。このため、第1ゲート電極10における導通を遮断する高速性がさらに向上する。これにより、より高い効率のスイッチングが可能となる。
【0078】
負性微分抵抗を示すかどうかは、ソース電極40を接地して、第2ゲート電極20に一定のDC電圧を印加し、ドレイン電圧−ドレイン電流特性を測定することにより判定できる。
【0079】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図11に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体装置121は、半導体層30、ソース電極40、ドレイン電極50、第1ゲート電極10及び第2ゲート電極20に加え、ダイオード70をさらに備える。このダイオード70は、ソース電極40及びドレイン電極50のいずれかと電気的に接続される。この例では、ダイオード70は、ソース電極40と接続されている。
【0080】
このダイオード70は、半導体層30の一部を含んでいる。すなわち、ダイオード70は、窒化物ダイオードである。
【0081】
例えば、ダイオード70は、第1ダイオード電極71と、第2ダイオード電極72と、を含む。第1ダイオード電極71及び第2ダイオード電極72は、半導体層30(具体的にはキャリア供給層32)の上に設けられる。この例では、第1ダイオード電極71は、ソース電極40に接している。
【0082】
例えば、第1ダイオード電極71は、半導体層30(具体的にはキャリア供給層32)とシャットキー性接触を形成する。第1ダイオード電極71には、Ni、Pt及びPdなどが用いられる。これにより、ショットキー性接触が形成される。
【0083】
すなわち、ダイオード70は、半導体層30の主面30a上に設けられ、ソース電極40及びドレイン電極50のいずれかと電気的に接続された第1ダイオード電極71と、主面30a上に設けられた第2ダイオード電極72と、を含む。そして、第1ダイオード電極71及び第2ダイオード電極72のいずれかは、半導体層30とショットキー性接触を形成する。このように、窒化物半導体装置121においては、窒化物半導体を含む半導体層30により形成された窒化物ダイオードが、ソース電極40及びドレイン電極50が設けられる基板(半導体層30)の上に形成される。
【0084】
窒化物半導体装置121においては、定電流動作が可能なスイッチング部と、整流特性を付与する窒化物ダイオードと、を同一基板上に作製でき、定電流かつ高速スイッチングが可能な電力変換機能を有する窒化物半導体装置が提供できる。
【0085】
実施形態によれば、定電流動作が可能な窒化物半導体装置が提供される。
【0086】
以上、具体例を参照しつつ、本発明のいくつかの実施形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、窒化物半導体装置に含まれる窒化物半導体層、電極及び絶縁層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0087】
その他、本発明の実施の形態として上述した窒化物半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての窒化物半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0088】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10…第1ゲート電極、 10a…第1ゲートテスト電極、 10b…第2ゲートテスト電極、 20…第2ゲート電極、 30…半導体層、 30a…主面、 30d…空乏層、 31…キャリア走行層、 32…キャリア供給層、 32a…第1供給層、 32b…第2供給層、 32c…第3供給層、 33、33a、33b…2次元電子系、 35…凹部、 40…ソース電極、 50…ドレイン電極、 61、62…第1及び第2絶縁層、 70…ダイオード、 71、72…第1及び第2ダイオード電極、 111、112、113、114、115、116、121…窒化物半導体装置、 111a…試料、 Id…ドレイン電流、 L1、L2…第1及び第2距離、 Lg1、Lg2…第1及び第2ゲート長、 Vd…ドレイン電圧、 Vg2…第2ゲート電圧、 Vt1、Vt2…電圧
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、高出力、高耐圧、低オン抵抗を実現するには高い臨界電界を有する材料を用いるのが有効である。窒化物半導体は高い臨界電界強度を有することから、窒化物半導体を用いることにより、高出力、高耐圧、低オン抵抗を実現する半導体装置が得られる。窒化物半導体装置において、定電流動作を実用化することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−530862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、定電流動作が可能な窒化物半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、窒化物半導体を含む半導体層と、ソース電極と、ドレイ電極と、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、を備えた窒化物半導体装置が提供される。前記ソース電極は、前記半導体層の主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成する。前記ドレイン電極は、前記主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成し、前記ソース電極と離間する。前記第1ゲート電極は、前記主面上において前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられる。前記第2ゲート電極は、前記主面上において前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間に設けられる。前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間の電位差が0ボルトのときに、前記半導体層のうちの前記第1ゲート電極に対向する部分は導通する。前記第1ゲート電極は、前記第2ゲート電極に印加される電圧に応じた定電流をスイッチングする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の動作を示すグラフ図である。
【図3】図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の特性を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の動作を示す模式的断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図6】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図7】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図8】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図9】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【図10】第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の特性を示すグラフ図である。
【図11】第2の実施形態に係る窒化物半導体装置を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111は、窒化物半導体を含む半導体層30と、ソース電極40と、ドレイン電極50と、第1ゲート電極10と、第2ゲート電極20と、を備える。
【0009】
半導体層30は、例えば、キャリア走行層31と、キャリア供給層32と、を含む。キャリア供給層32は、キャリア走行層31の上に設けられる。キャリア走行層31は、例えば、GaNを含む。キャリア走行層31は、図示しない基板上に設けられたバッファ層の上に設けられる。
【0010】
キャリア供給層32は、キャリア走行層31にキャリアを供給する。キャリア供給層32には、例えば、AlxGa1−xN(0<x≦1)などが用いられる。キャリア供給層32の格子定数は、キャリア走行層31の格子定数よりも小さい。
【0011】
これにより、キャリア供給層32において、歪みが生じる。キャリア供給層32に伴うピエゾ分極と自発分極とにより、キャリア走行層31とキャリア供給層32との界面に2次元電子系33が発生する。窒化物半導体装置111においては、この2次元電子系33がチャネルとして用いられる。
【0012】
ソース電極40は、半導体層30の主面30a上に設けられる。主面30aは、キャリア供給層32のキャリア走行層31とは反対側の面である。ソース電極40は、半導体層30とオーミック性接触を形成する。
【0013】
ドレイン電極50は、半導体層30の主面30a上に設けられる。ドレイン電極50は、半導体層30とオーミック性接触を形成する。ドレイン電極50は、ソース電極40と離間している。
【0014】
第1ゲート電極10は、半導体層30の主面30a上において、ソース電極40とドレイン電極50との間に設けられる。
【0015】
第2ゲート電極20は、半導体層30の主面30a上において、ソース電極40と第1ゲート電極10との間に設けられる。
【0016】
窒化物半導体装置111は、半導体層30と第1ゲート電極10との間に設けられた第1絶縁層61をさらに備える。絶縁層61には、例えば、SiN、SiO2、Al2O3及びTa2O5などが用いられる。この例では、第1絶縁層61は、第2ゲート電極20と半導体層30との間に延在している。
【0017】
半導体層30とオーミック性接触を形成するソース電極40及びドレイン電極50には、例えば、Ti、Al及びTaなどが用いられる。
【0018】
第1ゲート電極10は、ノーマリオン型で動作する。すなわち、第1ゲート電極10に与えられるゲート電圧(第1ゲート電圧)が0ボルト(V)のとき、2次元電子系33が存在する。すなわち、ソース電極40と第1ゲート電極10との間の電位差が0Vのときに、半導体層30のうちの第1ゲート電極10に対向する部分は導通する。第1ゲート電圧が0Vのとき、ソース電極40とドレイン電極50との間に導通がある。この導通を遮断するしきい値電圧は、例えば、−1V〜−20V程度である。なお、この例では、第2ゲート電極20もノーマリオン型で動作する。
【0019】
ノーマリオン動作する第1ゲート電極10に、1kHz〜100MHz程度のAC制御電圧(第1ゲート電圧)を印加する。そして、第2ゲート電極20に、第2ゲート電圧としてDCゲート電圧を印加する。第2ゲート電極20に印加する第2ゲート電圧は、必ずしも厳密な直流でなくても良い。すなわち、第2ゲート電圧の時間に対する変動は、第1ゲート電圧の時間に対する変動よりも小さい。第2ゲート電圧は、窒化物半導体装置111によって得ようとしている定電流値の変化に応じて、変化させても良い。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の動作を例示するグラフ図である。
同図は、窒化物半導体装置111において、第2ゲート電極20に与えるゲート電圧(第2ゲート電圧Vg2)を変えたときの、ドレイン電圧−ドレイン電流特性を示している。横軸は、ドレイン電流Idであり、縦軸はドレイン電圧Vdである。
【0021】
図2に表したように、ドレイン電流Idを増大すると、ある電流値において、ドレイン電圧Vdが急激に上昇する。そのドレイン電圧Vdが上昇する電流値は、第2ゲート電圧Vg2により制御可能である。
【0022】
これは、例えば、ゲート電極の下の2次元電子系33がピンチオフし(すなわち、空乏化が生じ)、ある値以上の電流値が流れることができなくなり、これにより、ドレイン電圧が上昇したことに対応すると考えられる。すなわち、ある電流値において第2ゲート電極20で発生した電圧が、ドレイン電極50に伝わる。
【0023】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111によれば、定電流動作が可能な窒化物半導体装置が提供できる。窒化物半導体装置111は、これに加え、高電圧で高速のスイッチングが可能である。
【0024】
以下、実施形態に係る窒化物半導体装置111の特性に関して、発明者が実施した実験について説明する。
【0025】
図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の特性を例示する図である。
図3(a)は、測定結果を示す。図3(b)は、実験に用いた試料の構成を示す。
図3(b)に表したように、この実験の試料111aにおいては、キャリア走行層31と、キャリア走行層31の上に形成されたキャリア供給層32と、を有する半導体層30が用いられた。キャリア走行層31は、GaN層である。キャリア供給層32は、ノンドープのAl0.25Ga0.75N層である。
【0026】
このような半導体層30の上に、ソース電極40と、ドレイン電極50と、第2ゲート電極20が設けられている。そして、第1ゲート電極10に対応する2つのゲート電極(第1テストゲート電極10a及び第2テストゲート電極10b)を設けた。第1テストゲート電極10aは、第2ゲート電極20とドレイン電極50との間に設けられる。第2テストゲート電極10bは、第1テストゲート電極10aとドレイン電極50との間に設けられる。この例では、第2ゲート電極20と第1テストゲート電極10aとの間の距離は3マイクロメートル(μm)である。第1テストゲート電極10aと第2テストゲート電極10bとの間の距離は6μmである。第2テストゲート電極10bとドレイン電極50との間に距離は3μmである。
【0027】
このような構成を有する試料111aにおいて、第2ゲート電極20がオフ状態となるように第2ゲート電極20に電圧を印加した。この状態で、ドレイン電圧Vdを変化させながら、第1テストゲート電極10aにおける電圧(電圧Vt1)及び第2テストゲート電極10bにおける電圧(電圧Vt2)を測定した。
【0028】
図3(a)は、測定された電圧を示している。横軸はドレイン電圧Vdであり、縦軸は、電圧Vt1及び電圧Vt2である。
図3(a)に表したように、あるドレイン電圧Vdで、ゲート電極の電圧(電圧Vt1及び電圧Vt2)は、ほぼ一定となる。これは、そのドレイン電圧Vdで空乏層が、そのゲート電極に到達したことによる。
【0029】
すなわち、電圧Vt1がほぼ一定となるときに、空乏層が、第2ゲート電極20から第1テストゲート電極10aに到達する。そして、電圧Vt2がほぼ一定となるときに、空乏層が、第2ゲート電極20から第2テストゲート電極10bに到達する。
【0030】
図4は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の動作を例示する模式的断面図である。
図4に表したように、実施形態に係る窒化物半導体装置111においては、ドレイン電圧Vdの上昇と共に、空乏層30dが、第2ゲート電極20のドレイン側の端から広がる。そして、ドレイン電圧Vdが高くなり、ある値のときに、空乏層30dは、第1ゲート電極10のソース側の端に到達する。
【0031】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111においては、第2ゲート電極20にDCゲート電圧を印加することにより、ある一定のドレイン電流値に達すると、第2ゲート電極の下の2次元電子系33が空乏化する。そして、第2ゲート電極20のドレイン側の端から空乏層30dが広がり、やがて第1ゲート電極10に達する。
【0032】
ある一定の電流値で第2ゲート電極20のドレイン側に発生した電圧が、空乏層30dの広がりにより、第1ゲート電極10に伝わる。第1ゲート電極10は、ノーマリオン動作のゲートである。第1ゲート電極10に加わるゲート電圧が0Vのときは2次元電子系33が存在するが、伝わってきた電圧により第1ゲート電極10の下の2次元電子系33の電位は上昇する。このため、2次元電子系33に対して、第1ゲート電極10の電位は、負になる。このときに発生する電圧の絶対値は、20Vを超える。すなわち、第1ゲート電極10のしきい値電圧以上の絶対値の電圧が発生する。これにより、第1ゲート電極10の下の導通は、遮断される。
【0033】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111においては、ある一定電流値以上では、第1ゲート電極10の下の導通が遮断されるために、定電流値でスイッチングを行うことができる。
【0034】
窒化物半導体は高い臨界電界強度を有するため、ゲート長が小さくても、そして、ゲート電極とドレイン電極50との間の距離が短くても大きな耐圧を得ることができる。このため、小さなゲート容量、及び、小さなゲート−ドレイン間容量で、高速・高電圧のスイッチングが可能である。
【0035】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体装置111によれば、定電流動作が可能な窒化物半導体装置が提供できる。窒化物半導体装置111は、これに加え、高電圧で高速のスイッチングが可能である。
【0036】
従来の窒化物半導体装置で定電流制御を行おうとすると、電流値を読み取り、ゲート電圧を制御しなければならない。このため、制御ICや制御回路に高速性が必要となり、現実的ではない。また、ノーマリオフ型トランジスタとノーマリオン型トランジスタの併合カスコードトランジスタを形成する構成がある。しかしながら、この構成においても、電流制御を行うことはできない。このように、従来の窒化物半導体装置においては定電流制御を実現することは困難である。
【0037】
これに対し、上記のように、本実施形態に係る窒化物半導体装置によれば、定電流動作が可能になり、さらに、高電圧の高速スイッチングが可能である。
【0038】
以下、実施形態に係る窒化物半導体装置111において、適正な動作が得られる構成の例について説明する。
図4に関して説明したように、実施形態においては、空乏層30dが第2ゲート電極20から第1ゲート電極10へ早く広がるように設計される。
【0039】
空乏層30dの広がる速さは、空乏層30dの容量に反比例し、第2ゲート電極20と第1ゲート電極10との間の領域におけるドーピング濃度に反比例する。第2ゲート電極20と第1ゲート電極10との間の2次元電子系33のキャリア濃度を下げることは、オン抵抗の劣化を招き、スイッチングの効率が低下する可能性がある。
【0040】
そこで、例えば、分極によるキャリア濃度をドーピング濃度より高く設定する。これにより、空乏層の広がりが早く、且つ、オン抵抗の低い半導体装置が実現できる。すなわち、効率の高い定電流スイッチングが実現できる。
【0041】
すなわち、定電流で高速・高電圧スイッチングのために、キャリア供給層32においては、ドーピング量よりも分極電電荷量の方が大きく設定される。
【0042】
例えば、図3(a)及び図3(b)に関して説明した実験では、ドレイン電圧Vdが約5Vのときに空乏層30dの広がりの距離は3μmであると考えられる。そして、ドレイン電圧Vdが約30Vのときには、空乏層30dの広がりの距離は12μmであると考えられる。
【0043】
この例では、キャリア供給層32(ノンドープのAl0.25Ga0.75N層)の実効的な残留ドーピング濃度は、約5×1014cm−3であると見積もられる。そして、この例においては、キャリア供給層32の膜厚が30ナノメートル(nm)である。このことから、実効的な残留ドーピング濃度は、約1.5×109cm−2となる。
【0044】
一方、AlxGaN1−xNにおける分極電荷量は、x×5×1013cm−2程度である。これによると、Al0.25Ga0.75Nにおける分極電荷量の場合は、1.25×1013cm−2である。
【0045】
このように、この例(試料111a)において、分極電荷量はドーピング量よりも大きい。これにより、適正な定電流動作が実現できる。
【0046】
このように、実施形態に係る窒化物半導体装置111においては、キャリア供給層32の分極電荷量は、キャリア供給層32におけるドーピング量よりも多く設定される。これにより、定電流で高速・高電圧スイッチングが可能になる。
【0047】
この構成を得るために、実施形態においては、半導体層として窒化物半導体を用いる。さらに、キャリア供給層32には分極の大きなAlGaN層やInAlN層を用いることが望ましい。キャリア供給層32はドーピング量よりも分極電荷量の方が大きければ良く。その構成は任意である。
【0048】
キャリア供給層32には、例えば、ノンドープまたはn形のAlx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の第1層を用いることができる。キャリア供給層32には、ノンドープまたはn形のIny1Al1−y1N(0<y1≦1)の第2層を用いることができる。キャリア供給層32には、ノンドープまたはn形のAlx2Iny2Ga1−x2−y2N(0<x2<1、0<y2<1)の第3層を用いることができる。さらに、キャリア供給層32には、上記の第1層、第2層及び第3層の少なくとも2つを含む積層体を用いることができる。さらに、キャリア供給層32には、上記の第1層、第2層及び第3層の少なくともいずれかと、ノンドープまたはn形のGaN層と、を含む積層体を用いることができる。さらに、これらの少なくともいずれかを含むことができる。
【0049】
キャリア走行層31には、GaN単層だけでなく、ダブルへテロ構造、超格子構造、組成比を変化させた層構造を用いてもよい。
【0050】
本実施形態に係る窒化物半導体装置111の構成の例についてさらに説明する。
上記の説明のように、窒化物半導体装置111においては、定電流動作を得るために、一定の電流値に達したら、素早く電圧を発生させて、第1ゲート電極10の導通を遮断する構成が適用される。
【0051】
例えば、第1ゲート電極10の動作よりも、電圧を発生させる第2ゲート電極20の動作の方が高速であることが望ましい。
【0052】
そのために、図1に例示したように、第2ゲート電極10のゲート長Lg2は、第1ゲート電極10のゲート長Lg1以下であることが望ましい。
【0053】
第2ゲート電極20を高速に動作させるために、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを上げることが有効である。すなわち、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスは、第1ゲート電極10の相互コンダクタンス以上であることが望ましい。第2ゲート電極20の相互コンダクタンスが向上することにより、キャリア密度の制御性が上がり、高速に動作させることができる。上記の相互コンダクタンスは、ソース電極40を接地し、ドレイン電極50に一定の電圧を印加した状態で、第1ゲート電極10または第2ゲート電極20に印加する電圧を変化させたときのドレイン電流Idの変化率を測定することで計測できる。
【0054】
本実施形態に係る窒化物導体装置においては、第1ゲート電極10とドレイン電極50との間には高耐圧性をもたせる。一方、第2ゲート電極20には高速性が求められるが、必ずしも高耐圧性でなくても良い。
【0055】
図1に例示したように、例えば、第1ゲート電極10と第2ゲート電極20との間の距離(第2距離L2)は、ドレイン電極50と第1ゲート電極10との間の距離(第1距離L1)よりも短い。これにより、第2ゲート電極20に高速性を付与することができる。これにより、第1ゲート電極10とドレイン電極50の間の高耐圧性を得つつ、第2ゲート電極20の高速性を得ることができる。これにより、定電流・高電圧・高速スイッチングが可能となる。
【0056】
図5は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図5に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置112においては、第2ゲート電極20と半導体層30との間の絶縁層(第2絶縁層62)の厚さが、第1ゲート電極10と半導体層30との間の絶縁層(第1絶縁層61)の厚さとは異なる。具体的には、第2絶縁層62の厚さは、第1絶縁層61の厚さよりも薄い。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0057】
第2絶縁層62の厚さを第1絶縁層61の厚さよりも薄くすることで、例えば、第2ゲート電極20のキャリア密度制御性が向上する。そして、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを第1ゲート電極10の相互コンダクタンスよりも大きくすることができる。
【0058】
また、第2絶縁層62の材料を第1絶縁層61の材料と変えて、絶縁層の誘電率を変えても良い。例えば、第2絶縁層62の比誘電率は、第1絶縁層61の比誘電率よりも大きく設定することができる。これにより、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを第1ゲート電極10の相互コンダクタンスより大きくすることができる。
【0059】
図6は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図6に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置113においては、第2ゲート電極20と半導体層30との間に絶縁層が設けられていない。第2ゲート電極20は、半導体層30とショットキー性接続を形成している。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0060】
第2ゲート電極20には、Ni、Pt及びPdなどが用いられる。これにより、第2ゲート電極20は、半導体層30とショットキー性接続する。
【0061】
第2ゲート電極20には、高速性が求められるが、必ずしも高耐圧でなくても良い。このため、第2ゲート電極20と半導体層30との間の絶縁層を省略しても良い。これにより、第2ゲート電極20の制御性を向上させることができる。これにより、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを大きくすることができる。
【0062】
図7は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図7に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置114においては、半導体層30に凹部35が設けられている。この凹部35の中に、第2ゲート電極20の一部(少なくとも一部)が埋め込まれている。第2ゲート電極20と半導体層30との間には、第1絶縁層61が延在している。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0063】
この例では、第2ゲート電極20と半導体層30との間に延在する第1絶縁層61は、半導体層30の凹部35と第2ゲート電極20との間に設けられる第2絶縁層に相当する。
【0064】
凹部35の中に、第2ゲート電極20の一部(少なくとも一部)を埋め込む構成により、第2ゲート電極20のキャリア密度制御性を向上させることができる。これにより、第2ゲート電極20の相互コンダクタンスを大きくすることができる。
【0065】
図1に例示した窒化物半導体装置111においては、第1ゲート電極10と半導体層30との間の構造は、第2ゲート電極20と半導体層30との間の構造と同じである。このため、第1ゲート電極10がノーマリオン型で動作するのと同様に、第2ゲート電極20もノーマリオン型で動作する。このように、第1ゲート電極10と第2ゲート電極20とをノーマリオン型で動作させることにより、構造が単純になり、作製が容易になる。また、第2ゲート電極20の下の2次元電子系33におけるキャリアの濃度が他の場所と変わらないため、電流駆動能力が高い。そして、オン抵抗が低くなる。これにより、効率的なスイッチングが可能となる。また、第2ゲート電極20に印加するDCゲート電圧のための正バイアスを用意しなくても良い。ただし、実施形態はこれに限らず、第2ゲート電極20は、ノーマリオフ型で動作しても良い。
【0066】
図8は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図8に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置115においては、半導体層30に凹部35が設けられている。この凹部35は、キャリア供給層32を貫通しキャリア走行層31に達している。この凹部35の中に、第2ゲート電極20の一部(少なくとも一部)が埋め込まれている。第2ゲート電極20と半導体層30との間には、第1絶縁層61が延在している。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0067】
このように、第2ゲート電極20の下のキャリア供給層32に凹部35が設けられ、この凹部35が、キャリア供給層32を貫通し、キャリア走行層31に達している。これにより、第2ゲート電極20の下の(近傍の)2次元電子系33は空乏化する。これにより、第2ゲート電極20はノーマリオフ型で動作する。これにより、第2ゲート電極20に印加するDCゲート電圧を加えるための負バイアスを発生する電源を用意しなくて良い。
【0068】
図9は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図9に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体装置116においては、半導体層30のキャリア供給層32が積層構造を有している。そして、半導体層30に凹部35が設けられている。これ以外は、窒化物半導体装置111と同様なので説明を省略する。
【0069】
この例では、キャリア供給層32は、第1供給層32aと、第2供給層32bと、第3供給層32cと、を有している。第2供給層32aは、第1供給層32aとキャリア走行層31との間に設けられる。第3供給層32cは、第2供給層32bとキャリア走行層31との間に設けられる。第1供給層32aには、例えば、AlGaN層が用いられる。第2供給層32bには、例えばGaN層が用いられる。第3供給層32cには、例えばAlGaN層が用いられる。
【0070】
キャリア走行層31と第3供給層32cと間の界面に2次元電子系33aが形成される。第2供給層32bと第1供給層32aとの間の界面に2次元電子系33bが形成される。
【0071】
凹部35の底部は、第2供給層32bに到達し、第3供給層32cには到達していない。このため。第2ゲート電極20の下には2次元電子系は存在していない。これにより、第2ゲート電極20において、ノーマリオフ型の動作を実現しながら、第2ゲート電極20の下の部分のオン抵抗を低減できる。
【0072】
また、この構成により、第2ゲート電極20の下のリセス深さの変動に対する、第2ゲート電極20の下の部分における導通を遮断するためのしきい値電圧の変動の比率を小さくすることができる。すなわち、第2ゲート電極20の下のリセス深さの加工精度が緩和できる。これにより、第2ゲート電極20の下の部分において、オン抵抗が低く、そして、ノーマリオフ型の動作が行われる。そして、第2ゲート電極20に印加するDCゲート電圧を加えるための負バイアスを発生する電源を用意しなくても良い。
【0073】
実施形態において、第2ゲート電極20と半導体層30との間の絶縁層(第2絶縁層62)にフッ素を導入することにより、ノーマリオフ型の動作を得ることもできる。
【0074】
第2ゲート電極20をノーマリオフ型で動作させることにより、第2ゲート電極20に印加するDCゲート電圧として、負バイアスを発生する電源を用意しなくても良くなる。実施形態において、第2ゲート電極20をノーマリオフ型で動作させるために、上記に挙げた方法の他にも種々の方法を用いることができる。
【0075】
図10は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の特性を例示するグラフ図である。 同図は、図1に例示した窒化物半導体装置111において、ソース電極40を接地し、第2ゲート電圧Vg2を変化させたときのドレイン電圧Vd−ドレイン電流Id特性を測定した結果の例を示している。
【0076】
図10に示したように、ドレイン電圧Vdを増加させたときにドレイン電流Idが減少する負性微分抵抗を示す領域がある。このような負性微分抵抗特性を有するトランジスタの構成を第2ゲート電極20に採用すると、定電流特性がさらに安定する。
【0077】
すなわち、第2ゲート電極20に、ある一定のDC電圧を印加した状態で、ある電流値に達すると、ドレイン電圧Vdが上昇する。このとき、第2ゲート電極20が負性微分抵抗特性を有する場合、ドレイン電圧Vdが上昇するとドレイン電流Idが減少する。このため、第1ゲート電極10における導通を遮断する高速性がさらに向上する。これにより、より高い効率のスイッチングが可能となる。
【0078】
負性微分抵抗を示すかどうかは、ソース電極40を接地して、第2ゲート電極20に一定のDC電圧を印加し、ドレイン電圧−ドレイン電流特性を測定することにより判定できる。
【0079】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を例示する模式的断面図である。
図11に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体装置121は、半導体層30、ソース電極40、ドレイン電極50、第1ゲート電極10及び第2ゲート電極20に加え、ダイオード70をさらに備える。このダイオード70は、ソース電極40及びドレイン電極50のいずれかと電気的に接続される。この例では、ダイオード70は、ソース電極40と接続されている。
【0080】
このダイオード70は、半導体層30の一部を含んでいる。すなわち、ダイオード70は、窒化物ダイオードである。
【0081】
例えば、ダイオード70は、第1ダイオード電極71と、第2ダイオード電極72と、を含む。第1ダイオード電極71及び第2ダイオード電極72は、半導体層30(具体的にはキャリア供給層32)の上に設けられる。この例では、第1ダイオード電極71は、ソース電極40に接している。
【0082】
例えば、第1ダイオード電極71は、半導体層30(具体的にはキャリア供給層32)とシャットキー性接触を形成する。第1ダイオード電極71には、Ni、Pt及びPdなどが用いられる。これにより、ショットキー性接触が形成される。
【0083】
すなわち、ダイオード70は、半導体層30の主面30a上に設けられ、ソース電極40及びドレイン電極50のいずれかと電気的に接続された第1ダイオード電極71と、主面30a上に設けられた第2ダイオード電極72と、を含む。そして、第1ダイオード電極71及び第2ダイオード電極72のいずれかは、半導体層30とショットキー性接触を形成する。このように、窒化物半導体装置121においては、窒化物半導体を含む半導体層30により形成された窒化物ダイオードが、ソース電極40及びドレイン電極50が設けられる基板(半導体層30)の上に形成される。
【0084】
窒化物半導体装置121においては、定電流動作が可能なスイッチング部と、整流特性を付与する窒化物ダイオードと、を同一基板上に作製でき、定電流かつ高速スイッチングが可能な電力変換機能を有する窒化物半導体装置が提供できる。
【0085】
実施形態によれば、定電流動作が可能な窒化物半導体装置が提供される。
【0086】
以上、具体例を参照しつつ、本発明のいくつかの実施形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、窒化物半導体装置に含まれる窒化物半導体層、電極及び絶縁層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0087】
その他、本発明の実施の形態として上述した窒化物半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての窒化物半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0088】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10…第1ゲート電極、 10a…第1ゲートテスト電極、 10b…第2ゲートテスト電極、 20…第2ゲート電極、 30…半導体層、 30a…主面、 30d…空乏層、 31…キャリア走行層、 32…キャリア供給層、 32a…第1供給層、 32b…第2供給層、 32c…第3供給層、 33、33a、33b…2次元電子系、 35…凹部、 40…ソース電極、 50…ドレイン電極、 61、62…第1及び第2絶縁層、 70…ダイオード、 71、72…第1及び第2ダイオード電極、 111、112、113、114、115、116、121…窒化物半導体装置、 111a…試料、 Id…ドレイン電流、 L1、L2…第1及び第2距離、 Lg1、Lg2…第1及び第2ゲート長、 Vd…ドレイン電圧、 Vg2…第2ゲート電圧、 Vt1、Vt2…電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体を含む半導体層と、
前記半導体層の主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成するソース電極と、
前記主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成し、前記ソース電極と離間するドレイン電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられた第1ゲート電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間に設けられた第2ゲート電極と、
を備え、
前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間の電位差が0ボルトのときに、前記半導体層のうちの前記第1ゲート電極に対向する部分は導通し、
前記第1ゲート電極は、前記第2ゲート電極に印加される電圧に応じた定電流をスイッチングすることを特徴とする窒化物半導体装置。
【請求項2】
窒化物半導体を含む半導体層と、
前記半導体層の主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成するソース電極と、
前記主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成し、前記ソース電極と離間するドレイン電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられ、ACバイアス電圧が入力され、ノーマリオン型で動作する第1ゲート電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間に設けられた第2ゲート電極と、
を備えたことを特徴とする窒化物半導体装置。
【請求項3】
半導体層と、
前記半導体層の主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成するソース電極と、
前記主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成し、前記ソース電極と離間するドレイン電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられ、ACバイアス電圧が入力され、ノーマリオン型で動作する第1ゲート電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間に設けられた第2ゲート電極と、
を備え、
前記半導体層は、
キャリア走行層と、
前記キャリア走行層の上に設けられ前記キャリア走行層にキャリアを供給するキャリア供給層と、
を含み、
前記キャリア供給層の分極電荷量は、前記キャリア供給層におけるドーピング量よりも多く、
前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記キャリア供給層の上に設けられていることを特徴とする窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層は、
GaNを含むキャリア走行層と、
前記キャリア走行層の上に設けられたキャリア供給層と、
を含み、
前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記キャリア供給層の上に設けられ、
前記キャリア供給層は、
ノンドープまたはn形のAlx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の第1層、
ノンドープまたはn形のIny1Al1−y1N(0<y1≦1)の第2層、
ノンドープまたはn形のAlx2Iny2Ga1−x2−y2N(0<x2<1、0<y2<1)の第3層、
前記第1層、前記第2層及び前記第3層の少なくとも2つを含む積層体、及び、
前記第1層、前記第2層及び前記第3層の少なくともいずれかと、ノンドープまたはn形のGaN層と、を含む積層体、
の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記第2ゲート電極のゲート長は、前記第1ゲート電極のゲート長以下であり、
前記第2ゲート電極の相互コンダクタンスは、前記第1ゲート電極の相互コンダクタンス以上であり、
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間の距離は、前記ドレイン電極と前記第1ゲート電極との間の距離よりも短いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記第2ゲート電極にDCゲートバイアスを印加したときに、ドレイン電流は負性微分抵抗を示すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
前記半導体層の一部を含み、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれかと電気的に接続されるダイオードをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記ダイオードは、
前記主面上に設けられ、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の前記いずれかと電気的に接続された第1ダイオード電極と、
前記主面上に設けられた第2ダイオード電極と、
を含み、
前記第1ダイオード電極及び前記第2ダイオード電極のいずれかは、前記半導体層とショットキー性接触を形成することを特徴とする請求項7記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
前記半導体層の前記主面と前記第1ゲート電極との間に設けられた第1絶縁層をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項10】
前記半導体層の主面上に凹部が設けられ、
前記第2ゲート電極の少なくとも一部は前記凹部に埋め込まれ、
前記半導体層の凹部と前記第2ゲート電極との間に設けられた第2絶縁層をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項11】
前記半導体層は、
GaNを含むキャリア走行層と、
前記キャリア走行層の上に設けられたキャリア供給層と、
を含み、
前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記キャリア供給層の上に設けられ、
前記凹部は、前記キャリア供給層を貫通し前記キャリア走行層に到達していることを特徴とする請求項10記載の窒化物半導体装置。
【請求項1】
窒化物半導体を含む半導体層と、
前記半導体層の主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成するソース電極と、
前記主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成し、前記ソース電極と離間するドレイン電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられた第1ゲート電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間に設けられた第2ゲート電極と、
を備え、
前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間の電位差が0ボルトのときに、前記半導体層のうちの前記第1ゲート電極に対向する部分は導通し、
前記第1ゲート電極は、前記第2ゲート電極に印加される電圧に応じた定電流をスイッチングすることを特徴とする窒化物半導体装置。
【請求項2】
窒化物半導体を含む半導体層と、
前記半導体層の主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成するソース電極と、
前記主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成し、前記ソース電極と離間するドレイン電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられ、ACバイアス電圧が入力され、ノーマリオン型で動作する第1ゲート電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間に設けられた第2ゲート電極と、
を備えたことを特徴とする窒化物半導体装置。
【請求項3】
半導体層と、
前記半導体層の主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成するソース電極と、
前記主面上に設けられ、前記半導体層とオーミック性接触を形成し、前記ソース電極と離間するドレイン電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられ、ACバイアス電圧が入力され、ノーマリオン型で動作する第1ゲート電極と、
前記主面上において前記ソース電極と前記第1ゲート電極との間に設けられた第2ゲート電極と、
を備え、
前記半導体層は、
キャリア走行層と、
前記キャリア走行層の上に設けられ前記キャリア走行層にキャリアを供給するキャリア供給層と、
を含み、
前記キャリア供給層の分極電荷量は、前記キャリア供給層におけるドーピング量よりも多く、
前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記キャリア供給層の上に設けられていることを特徴とする窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層は、
GaNを含むキャリア走行層と、
前記キャリア走行層の上に設けられたキャリア供給層と、
を含み、
前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記キャリア供給層の上に設けられ、
前記キャリア供給層は、
ノンドープまたはn形のAlx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の第1層、
ノンドープまたはn形のIny1Al1−y1N(0<y1≦1)の第2層、
ノンドープまたはn形のAlx2Iny2Ga1−x2−y2N(0<x2<1、0<y2<1)の第3層、
前記第1層、前記第2層及び前記第3層の少なくとも2つを含む積層体、及び、
前記第1層、前記第2層及び前記第3層の少なくともいずれかと、ノンドープまたはn形のGaN層と、を含む積層体、
の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記第2ゲート電極のゲート長は、前記第1ゲート電極のゲート長以下であり、
前記第2ゲート電極の相互コンダクタンスは、前記第1ゲート電極の相互コンダクタンス以上であり、
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間の距離は、前記ドレイン電極と前記第1ゲート電極との間の距離よりも短いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記第2ゲート電極にDCゲートバイアスを印加したときに、ドレイン電流は負性微分抵抗を示すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
前記半導体層の一部を含み、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれかと電気的に接続されるダイオードをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記ダイオードは、
前記主面上に設けられ、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の前記いずれかと電気的に接続された第1ダイオード電極と、
前記主面上に設けられた第2ダイオード電極と、
を含み、
前記第1ダイオード電極及び前記第2ダイオード電極のいずれかは、前記半導体層とショットキー性接触を形成することを特徴とする請求項7記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
前記半導体層の前記主面と前記第1ゲート電極との間に設けられた第1絶縁層をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項10】
前記半導体層の主面上に凹部が設けられ、
前記第2ゲート電極の少なくとも一部は前記凹部に埋め込まれ、
前記半導体層の凹部と前記第2ゲート電極との間に設けられた第2絶縁層をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
【請求項11】
前記半導体層は、
GaNを含むキャリア走行層と、
前記キャリア走行層の上に設けられたキャリア供給層と、
を含み、
前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記キャリア供給層の上に設けられ、
前記凹部は、前記キャリア供給層を貫通し前記キャリア走行層に到達していることを特徴とする請求項10記載の窒化物半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−195506(P2012−195506A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59547(P2011−59547)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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