説明

超臨界CO2を用いた誘電体層の処理法

シリル化剤を含む超臨界二酸化炭素不動態化溶液を用いたシリコンオキサイドベースの低k材料の不動態化の方法が開示されている。シリル化剤は、好ましくはヘキサメチルジシラザン(HMDS)、クロロトリメチルシラン(TMCS)、トリクロロメチルシラン(TCMS)およびそれらの組み合わせなど、5炭素原子を含む有機基を含む有機シリコン化合物である。本発明の更なる実施態様によれば、誘電体を含むポストアッシュ基材は超臨界二酸化炭素洗浄溶液を用いて同時に洗浄および不動態化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国仮出願、出願日2002年3月4日、シリアル番号60/361,917、発明の名称「多孔質低k誘電体フィルムの不動態化方法」および米国仮出願、シリアル番号60/369,052、出願日2002年3月29日、発明の名称「ULK誘電体の集積と形成への超臨界CO処理の使用」へUSC119(e)に基づく優先権主張をしている継続中の米国特許出願、シリアル番号10/379,984、出願日2003年5月4日、発明の名称「多孔質低k誘電体フィルムの不動態化方法」の部分継続出願(CIP)である。継続中の米国特許出願、シリアル番号10/379,984、出願日2003年5月4日、発明の名称「多孔質低k誘電体フィルムの不動態化方法」、米国仮出願、出願日2002年3月4日、シリアル番号60/361,917、発明の名称「多孔質低k誘電体フィルムの不動態化方法」、および米国仮出願、シリアル番号60/369,052、出願日2002年3月29日、発明の名称「ULK誘電体の集積と形成への超臨界CO処理の使用」はすべて参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に半導体ウエハー処理の分野に関する。より詳しくは、本発明は様々な誘電率を有する損傷を受けた多孔質のまたは多孔質でない誘電体の超臨界処理溶液による不動態化または修復に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造は一般にエッチングや他の処理工程においてフォトレジストを用いている。エッチング工程において、フォトレジストはエッチングされない半導体基板の領域をマスクする。他の処理工程の例はイオン注入工程において半導体基板の領域をマスクするためのフォトレジストの使用、または処理ウエハーの全面的な保護的コーティングとしてのフォトレジストの使用、またはMEMS(微小電子機械システム)装置の全面的な保護的コーティングとしてのフォトレジストを含んでいる。
【0004】
最先端の集積回路は6百万のトランジスタと800メーターの配線を含むことができる。ウエハーベースの集積回路上のトランジスタの数を増加させるという絶え間ない圧力が存在している。トランジスタの数が増加すると、高性能の要求を維持するためには接近して詰め込まれた配線間のクロストークを低減する必要がある。半導体産業はウエハーベースの集積回路の性能を改善することを助ける新しいプロセスと新しい材料を継続的に探している。
【0005】
3.5〜2.5の低誘電率を示す材料は一般に低k材料と呼ばれており、また2.5以下の誘電率の多孔質材料は一般に超低k(ULK)材料と呼ばれている。本出願では低kと超低k材料の両方を低k材料と呼ぶ。低k材料はクロストークを低減し、またより小さい集積回路配置の製造の機会を与えることが示されてきた。低k材料はまた低温処理に有用であることが証明されている。例えば、スピンオングラス材料(SOG)とポリマーは、多孔質のシリコンオキサイドベースの低k層を作るために、比較的低温で基板上に塗布しまた処理またはキュアすることができる。本明細書中の「シリコンオキサイドベースの」は、厳密にシリコンオキサイド材料を指しているのではない。実際に、その式がSiOxCyHzであり、シリコンオキサイドおよび炭化水素成分および/または炭素を有し、ここではハイブリッド材料と呼ばれ、またMSQ材料と称される多くの低k材料がある。しかしながら、MSQはしばしば上記のハイブリッド低k材料の例であるメチルシルセスキオサンを意味するために指定されることに留意しなければならない。炭素ドープオキサイド(COD)またはフッ素添加シリコンガラス(FSG)のような、いくつかの低k材料は、化学気相蒸着技術を用いて形成され、一方でMSQ、多孔質MSQ、および多孔質シリカのような他の低k材料はスピンオンプロセスを用いて形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低k材料は進歩したマイクロ回路の製造のために前途有望な材料であるが、これらはまたいくつかの課題をも与える。これらは従来の誘電体層材料よりも、より堅牢でない傾向にあり、特に上記のようなハイブリッド低k材料の場合は、ウエハー処理で誘電体層のパターニングに一般に用いられているエッチングやプラズマアッシング工程により損傷を受ける可能性がある。更に、シリコンオキサイドベースの低k材料はパターニング工程の後に高度に敏感になる傾向にある。シリコンオキサイドベースの低k材料の親水性表面は容易に水を吸収し、また/あるいは他の蒸気および/もしくは誘電体層自身の電気特性を変える可能性がある工程の汚染物と反応し、また/あるいはウエハーを更に処理する能力を損なう可能性がある。
【0007】
必要とされているのは、特にパターニング工程の後で低k材料を不動態化する装置および方法である。好ましくは、低k材料の不動態化方法は、パターニング工程の後に汚染物質および/またはポストエッチ残渣を除去する工程他のウエハー処理工程と共生できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は超臨界不動態化溶液を用いたシリコンベースの低k材料の不動態化に向けられている。低k材料は通例多孔質のオキサイドベースの材料であり有機物のまたは炭化水素の成分を含有することが可能である。低k材料の例は、これらに限定されないが、炭素ドープオキサイド(COD)、スピンオングラス(SOG)およびフッ素添加シリコンガラス(FSG)材料を含んでいる。
【0009】
本発明の実施態様によれば、超臨界不動態化溶液は超臨界二酸化炭素および不動態化剤、好ましくはシリル化剤を含んでいる。1つの実施態様においては、シリル化剤は超臨界二酸化炭素中に直接導入することができる。他の実施態様では、シリル化剤はN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルピペリドン、プロピレンカーボネート、およびアルコール(メタノール、エタノール、および1−プロパノールなどの)などの担体溶媒(共溶媒)とともに超臨界二酸化炭素中に導入することができる。
【0010】
本発明の好ましい実施態様によれば、シリル化剤は有機シリコン化合物であり、シリル基(Si(CR3)3)はシリコンオキサイドベースの低k誘電材料の表面および/またはシリコンオキサイドベースの低k誘電材料の全体の中のシラノール(Si−OH)基を攻撃し、不動態化工程の間に表面が被覆された有機−シリル基を形成する。
【0011】
本発明の更なる実施態様によればシリコンオキサイドベースの低k材料は、超臨界二酸化炭素および有機基を含んだ有機シリコン化合物を含有する超臨界不動態化溶液で不動態化される。本発明の1つの実施態様によれば、有機基またはその一部はメチル基である。例えば、本発明においてシリル化剤として有用で適切な有機シリコン化合物は、これらに限定されるものではないが、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、クロロトリメチルシラン(TMCS)、トリクロロメチルシラン(TCMS)、ジメチルシリルジエチルアミン(DMSDEA)、テトラメチルジシラザン(TMDS)、トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、ジメチルシリルジメチルアミン(DMSDMA)、トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)、ビストリメチルシリル尿素(BTSU)、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(B[DMA]MS)、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン(B[DMA]DS)、ジメチルアミノペンタメチルジシラン(DMAPMDS)、ジメチルアミノジメチルジシラン(DMADMDS)、ジシラ−アザ−シクロペンタン(TDACP)、ジシラ−オザ−シクロペンタン(TDOCP)、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、ビニルトリメトキシシラン(VTMOS)、またはトリメチルシリルイミダソール(TMSI)を含んでいる。
【0012】
本発明の実施態様によれば、超臨界不動態化工程の間、シリコンオキサイドベースの低k材料は40から200℃の範囲、好ましくは約50℃と約150℃の間の温度、および1,070から9,000psiの範囲の圧力、好ましくは約1,500psiと約3,500psiの間の圧力に保持され、ここに記載されたような超臨界溶液はシリコンオキサイドベースの低k材料の表面上に循環される。
【0013】
本発明のさらなる実施態様によれば、シリコンオキサイドベースの低k材料は不動態化処理工程に先立って乾燥または再処理される。本発明のこの実施態様によれば、シリコンオキサイドベースの低k材料は乾燥されるか、または低k材料を超臨界二酸化炭素の、またはこれらには限定されないが、エタノール、メタノール、n−ブタノールおよびこれらの組み合わせを含む溶媒の1つまたはそれ以上と超臨界二酸化炭素の超臨界溶液に暴露することで再処理される。メタノールおよびエタノールを含む超臨界処理溶液は低k材料から水分を除去するのに使用することができる。加えて、1つまたはそれ以上のアルコールを含む超臨界処理溶液は、多孔質のインターレベルまたは層間誘電体(ILD)から低分子量化合物を除去するのに使用することができる。
【0014】
本発明の更なる実施態様によれば、誘電体表面は洗浄処理工程の間に不動態化され、ポストエッチ残渣は誘電体表面から、ここに記載されたような不動態化剤を含有する超臨界洗浄溶液を用いて同時に除去される。ポストエッチ残渣はフォトレジストポリマーまたは反射防止染料および/もしくは反射防止層を含有するフォトレジストポリマーを含んでもよい。
【0015】
本発明の方法によれば、低k誘電体パターン層は、基材または他の表面上に低k誘電材料の連続した層を蒸着し、低k材料にパターンをエッチングし、そしてパターン層を不動態化することにより形成される。
【0016】
低k材料をエッチングおよび/またはアッシング工程で処理することによって低k材料がパターン形成された後に、材料の変性および/または有機成分の一部の除去の結果として低k材料はk−値の著しい増加を示し、k−値の1.0を超える増加が観測されている。本発明による不動態化の方法は、パターニング工程におけるk−値の損失の一部を修復または回復する能力を有している。事実、本発明の実施態様により不動態化された低k材料は最初のパターン形成されていない材料のk−値に近い、または、そのk−値を示すように修復され得ることが観察されている。
【0017】
本発明の様々な実施態様のより完全な理解とそれに付随する多くの利点が、以下の詳細な記載、特に添付の図面と併せて考慮すれば容易に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
半導体の製造においては、誘電体層は1つまたはそれ以上のエッチングおよびアッシング工程において一般にフォトレジストマスクを使用してパターン形成される。一般に、高解像度のライン幅および高フィーチュアアスペクト比を得るためには、反射防止コーティングが要求される。初期の製法では、窒化チタン(TiN)の反射防止コーティング(ARC)が誘電体層に蒸着され、TiN反射防止コーティングはパターニング後も除去されず、むしろ製造されたデバイスの一部に残存していた。新しい分類の低誘電率層では非常に薄く作ることが出来るので、TiN反射防止コーティングは、反射防止コーティングが誘電体層の電気的性質を支配する可能性があるために好まれない。従って、パターニング工程の後で除去することが可能な、反射防止染料を含むポリマーのスピンオン反射防止コーティングが好まれる。パターニング工程で用いられる材料にかかわらず、誘電体層のパターン形成の後で、これらの材料はパターニング工程が完了した後に誘電体層から除去されることが好ましい。
【0019】
多孔質の低k材料は最も一般的にはシリコンオキサイドベースの、上記のようにシラノール(SiOH)基および/または有機成分を含むものである。これらの低k材料は活性化および/または損傷を与えられ得るし、このことは一つにはエッチングおよび/またはアッシング工程中の有機成分の消耗に因ると信じられている。活性化および/または損傷のいずれの場合においても、更なるシラノール基が露出されると、それらは他の処理工程中に存在する水および/または汚染物および/または化学物質を直ちに吸収する可能性がある。従って、特にパターニング工程の後では、露出された低k誘電体層を含む部分的なデバイス構造は取り扱いおよび汚染物フリーに維持することが難しい。更に、バルクの低k材料の活性化および/または損傷はk−値の1.0またはそれ以上の増加を示す可能性がある。
【0020】
本発明は多孔質の低k誘電体材料の不動態化の方法およびシステムに向けられている。本発明の方法は、好ましくはパターン形成された低k層をその表面および/または低k材料全体のシラノール基を末端封鎖することにより不動態化し、より疎水性の、親水性の汚染物に対してより抵抗力のある、そして/またはより反応性の低いパターン形成された低k材料を産出する。本発明の実施態様によれば、不動態化処理工程は超臨界ポストエッチ洗浄処理とは別に行われるか、あるいは、超臨界ポストエッチ洗浄処理と同時に行われる。
【0021】
FIG.1Aを参照すると、本発明の実施態様に従って、超臨界不動態化溶液は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)の場合における、または1〜4のいずれの位置にも付く有機およびハライド基(F、Cl、Brおよびその他)の組み合わせのような、すべての有機基を有することができるシラン構造10を含有する。
【0022】
FIG.1Bを参照すると、本発明の更なる実施態様に従って、超臨界不動態化溶液は、シリコン原子が三角両錐形(tiganolbipyramidal)の立体配置中の1、2、3、4および5の位置で、5つの配位子に配位している5価の有機シリコン化合物20を有している。典型的には、このような化合物20は、ジフルオロトリメチルケイ酸塩アニオンの場合のように、1〜5の1つまたはそれ以上の位置にハライド原子が配位したアニオンである。構造20がアニオンのときは、化合物20はナトリウム、カルシウムまたは他のいずれかの無機もしくは有機カチオン(示されてはいない)などの適当なカチオンをも含む。
【0023】
FIG.1Cを参照すると、本発明の更なる実施態様に従って、超臨界不動態化溶液は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)の場合における、または1〜6のいずれの位置にも付く有機基とハライド基(F、Cl、Br、その他)の組み合わせのような、アミンの窒素に配位した2つの有機シリル基を含むアミノ構造と表現することができるシラザン構造30を含有する。
【0024】
FIG.1Dはヘキサメチルジシラザン(HMDS)が低k材料の表面のシラノール基と反応する反応順序(1)の略図を示している。例えば、トリメチルアミンは反応順序(1)で製造することができ、それはさらに低k材料の表面のシラノール基と反応順序(2)に従って反応することができる。それ故に、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)は、本発明の方法に従って使用できる卓越したシリル化剤を提供する。
【0025】
FIG.1Eは低k材料の表面51におけるシラノ基53とシリル基55との立体障害を図解している。シリル基55は極めて大きく、実質的にシラノール基53への防護壁を与えることに注目しなければならない。従って、低k材料の表面や全体のすべてを完全にシリル化することは一般に可能ではない。
【0026】
いずれかの数のシリル化剤およびシリル化剤の組み合わせを含む超臨界不動態化溶液は本発明の範囲に含まれることは当業者には明らかであろう。更に、超臨界不動態化溶液を作り出すために、使用されるシリル化剤は、超臨界二酸化炭素に単体で、またはN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルピペリドン、プロピレンカーボネート、アルカンまたはこれらの組み合わせなどの担体溶媒とともに導入することができる。
加えて、本発明で用いられる洗浄および/またはリンス剤は超臨界洗浄またはリンス処理において、パターン形成された低k材料から後処理残渣を取り除くために使用することが出来る。
【0027】
本発明は、同時にシリコンオキサイドベースの層を不動態化するとともに、ウエハー材料からポストエッチ感光性樹脂を除去するのに特に適合し、低kシリコンオキサイドベースの層、多孔質MSQおよび多孔質SiO2(例えば、HoneywellのNANOGLASS(登録商標))から形成される低k層を含む、からポストエッチ感光性樹脂および/またはポリマー反射防止コーティング層を除去するのに更によく適合している。
【0028】
FIG.2は、本発明の実施態様による処理システムの例となるブロックダイヤグラムを示す。図解された実施態様において、処理システム200は、処理モジュール210、再循環システム220、処理化学物質供給システム230、高圧流体供給システム240、圧力コントロールシステム250、排出コントロールシステム260、およびコントローラー280を含んでいる。処理システム200は1,000psiから10,000psiの範囲をとり得る圧力で運転することができる。加えて、処理システム200は40から300℃の範囲をとり得る温度で運転することができる。
【0029】
処理チャンバーの1例に関する詳細が、共同所有され、継続中の米国出願、シリアル番号09/912,844、発明の名称「半導体基材のための高圧処理チャンバー」、出願日2001年7月24日、シリアル番号09/970,309、発明の名称「複合半導体基材のための高圧処理チャンバー」、出願日2001年10月3日、シリアル番号10/121,791、発明の名称「フロー増強機能を含む半導体基材のための高圧処理チャンバー」、出願日2002年4月10日、およびシリアル番号10/364,284、発明の名称「半導体ウエハーのための高圧処理チャンバー」、出願日2003年2月10日に開示されており、これらは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0030】
コントローラー280は処理モジュール210、再循環システム220、処理化学物質供給システム230、高圧流体供給システム240、圧力コントロールシステム250、および排出コントロールシステム260と連結することができる。また、コントローラー280は1つまたはそれ以上の追加されたコントローラー/コンピュータ(示されていない)と連結することができ、コントローラー280は追加されたコントローラー/コンピュータから設定および/または構成情報を得ることができる。
【0031】
FIG.2には単一の処理エレメント(210、220、230、240、250、260および280)が示されている、しかしながらこれは本発明に必須ではない。半導体処理システム200は、独立した処理エレメントに加えて、関連付けられているいかなる数のコントローラーを有するいかなる数の処理エレメントを含んでいてもよい。
【0032】
コントローラー280は、いかなる数の処理エレメント(210、220、230、240、250および260)をも構成するために使用することができ、コントローラー280は処理エレメントからのデータを集積し、提供し、処理し、格納し、また表示することができる。コントローラー280は1つまたはそれ以上の処理エレメントを制御するためにいくつものアプリケーションを含んでいてもよい。例えば、コントローラー280は、ユーザーが1つまたはそれ以上の処理エレメントを監視および/または制御することを可能にする使い勝手のよいインターフェースを提供することができるGUIコンポーネント(示されてはいない)を含むことができる。
【0033】
処理モジュール210は上部アッセンブリ212と下部アッセンブリ216を含むことができ、上部アッセンブリ212は底部アッセンブリ216と連結することができて処理チャンバー208を形成する。他の実施態様として、フレームおよびまたは注入リングも含まれてよく、上部アッセンブリ212と下部アッセンブリ216に結合されていてもよい。上部アッセンブリ212は、処理チャンバー208、処理チャンバー208中に収容されている基材205、または処理流体、またはそれらの2またはそれ以上の組み合わせを加熱するヒーター(示されていない)を含んでいてもよい。あるいは、ヒーターは上部アッセンブリ212には必須ではない。他の実施態様では、下部アッセンブリ216は、処理チャンバー208、基材205、または処理流体、またはそれらの2またはそれ以上の組み合わせを加熱するヒーター(示されていない)を含んでいてもよい。処理モジュール210は、処理流体を処理チャンバー208を通して流すための手段を含むことができる。1つの例として、循環のフローパターンを構築することができるし、他の例としては、実質的に線形のフローパターンを構築することもできる。あるいは、流すための手段はこれらとは別に構成することもできる。下部のアッセンブリ216はホルダーまたはチャック218および/もしくは基材105を動かすための1つまたはそれ以上のリフター(示されていない)を含むことができる。あるいは、リフターは要求されない。
【0034】
1つの実施態様では、処理モジュール210は、基材205の処理の間に基材205を支持および保持するために、ホルダーまたはチャック218を含むことができる。ホルダーまたはチャック218は、基材205の処理の前、間、および/または後に基材205を加熱または冷却するように構成することもできる。あるいは、処理モジュール210は、基材205の処理の間に基材205を支持および保持するために取り付け盤を含むこともできる。
【0035】
移送システム(示されてはいない)を基材(例えば205)をスロット(示されてはいない)を通して処理チャンバーの中に、また外に移動するために用いることができる。1つの例では、スロットはチャックを動かすことにより開けたり閉めたりすることができ、他の例では、スロットはゲイトバルブを用いて調整できる。
【0036】
基材は半導体材料、金属材料、誘電体材料、セラミック材料、またはポリマー材料、またはこれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせを含むことができる。半導体材料は、Si、Ge、Si/Ge、またはGaAsを含むことができる。金属材料は、Cu、Al、Ni、Pb、Ti、またはW、またはこれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせを含むことができる。誘電体材料は、Si、O、N、またはC、またはこれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせを含むことができる。セラミック材料は、Al、N、Si、C、またはO、またはこれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせを含むことができる。
【0037】
再循環システム220は、1つまたはそれ以上の注入ライン222および1つまたはそれ以上の排出ライン224を用いて処理モジュール210と連結することができる。1つの実施態様においては、再循環ループ215は、再循環システム220の一部、処理モジュール210の一部、1つまたはそれ以上の注入ライン222および1つまたはそれ以上の排出ライン224を含むように構成することができる。
【0038】
再循環システム220は、再循環ループ215における処理チャンバー208と他のエレメントを通した超臨界処理溶液の流れを調整するために用いることができる1つまたはそれ以上のポンプ(示されてはいない)を含むことができる。流速は、約0.01リットル/分から約100リットル/分まで変化させることができる。
【0039】
再循環システム220は、再循環システムおよび処理モジュール210を通して超臨界処理溶液の流れを調整するために1つまたはそれ以上のバルブを含むことができる。再循環システム220は、処理モジュール210において、超臨界処理溶液を維持し、また再循環システム220および処理チャンバー208を通して超臨界処理溶液を流すために、いずれかの数のバックフローバルブ、フィルタ、ポンプ、および/またはヒーター(示されてはいない)を含むことができる。
【0040】
処理システム200は、処理化学物質供給システム230を含むことができる。図解された実施態様において、処理化学物質供給システム230は、1つまたはそれ以上のライン235を用いて再循環システム220と連結することができるが、しかしながらこのことは本発明に必須ではない。他の実施態様においては、処理化学物質供給システム230は、処理システム200において、これとは異なるように構成することもできるし、他のエレメントと連結することもできる。例えば、処理化学物質供給システム230は、処理モジュール210に直接連結することもできる。
【0041】
処理化学物質は、処理化学物質供給システム230により、基材の性質、使われる化学物質、および処理チャンバー中で行われる処理に応じて変わる比率で、高圧流体供給システム240によって導入される流体中に導入される。比率は約0.001から約15体積%まで変えることができる。例えば、再循環ループ215が約1リットルの体積からなる場合には、処理化学物質の体積は約10マイクロリットルから約150ミリリットルの範囲とすることができる。他の実施態様では、体積および/または比率はより高いかまたは低くてもよい。
【0042】
処理化学物質供給システム230は、処理チャンバー208中に超臨界洗浄溶液を作り出すために洗浄化学物質を供給するための洗浄化学物質アッセンブリ(示されてはいない)を含んでいてもよい。洗浄化学物質はパーオキサイドおよびフッ化物源を含んでいてもよい。フッ化物源およびフッ化物源を含む超臨界処理溶液の生成方法のさらなる詳細は、米国特許出願、シリアル番号10/442,557、出願日2003年5月20日、発明の名称「フォトレジストおよび残渣の除去のためのテトラ−オーガニックアンモニウムフルオダイドおよび超臨界流体」、および米国出願、シリアル番号10/321,341、出願日2002年12月26日、発明の名称「フォトレジストポリマーおよび残渣除去のための超臨界流体中のフッ化物」の中に記載されており、ともに参照によって本明細書に組み込まれる。
【0043】
加えて、洗浄化学物質はキレート剤、錯化剤、酸化剤、有機酸、および無機酸を含むことができ、これらは超臨界二酸化炭素中に、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルピペリドン、プロピレンカーボネート、およびアルコール(メタノール、エタノール、2−プロパノールなどの)などの1つまたはそれ以上の担体溶媒とともに導入することができる。
【0044】
処理化学物質供給システム230は、処理チャンバー208中に超臨界リンス溶液を作り出すためにリンス化学物質を供給するためのリンス化学物質アッセンブリ(示されてはいない)を含むことができる。リンス化学物質は、これらには限定されないが、アルコールおよびケトンを含む1つまたはそれ以上の有機溶媒を含むことができる。例えば、リンス化学物質は、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルピペリドン、プロピレンカーボネート、およびアルコール(メタノール、エタノール、2−プロパノールなどの)などの溶媒を含むことができる。
【0045】
更に、処理化学物質供給システム230は、キュアリング、洗浄、ヒーリング(または低k材料の誘電率を回復させる)、またはシーリングのための処理化学物質、またはいずれかの組み合わせの低誘電率フィルム(多孔質または非多孔質)を導入するように構成することができる。化学物質は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、クロロトリメチルシラン(TMCS)、トリクロロメチルシラン(TCMS)、ジメチルシリルジエチルアミン(DMSDEA)、テトラメチルジシラザン(TMDS)、トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、ジメチルシリルジメチルアミン(DMSDMA)、トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)、ビストリメチルシリル尿素(BTSU)、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(B[DMA]MS)、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン(B[DMA]DS)、HMCTS、ジメチルアミノペンタメチルジシラン(DMAPMDS)、ジメチルアミノジメチルジシラン(DMADMDS)、ジシラ−アザ−シクロペンタン(TDACP)、ジシラ−オザ−シクロペンタン(TDOCP)、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、ビニルトリメトキシシラン(VTMOS)、またはトリメチルシリルイミダゾール(TMSI)を含むことができる。加えて、化学物質は、N−ターシャリ−ブチル−1,1−(2,3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)シランアミン、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、またはターシャリ−ブチルシクロジフェニルシランを含んでもよい。更なる詳細については、米国出願、シリアル番号10/682,196、出願日2003年10月10日、発明の名称「誘電体フィルムの処理の方法およびシステム」、および米国出願、シリアル番号10/379,984、出願日2003年3月4日、発明の名称「ウエハー処理における低誘電率材料の不動態化方法」を参照することができ、この両方を参照により本明細書に取り込む。
【0046】
処理システム200は高圧流体供給システム240を含むことができる。FIG.2に示されるように、高圧流体供給システム240は、1つまたはそれ以上のライン245を用いて再循環システム220と連結することができるが、これは必須ではない。注入ライン245は、高圧流体供給システム240からの流体の流れを調整するために、1つまたはそれ以上のバックフローバルブおよび/またはヒーター(示されてはいない)を装備することができる。他の実施態様では、高圧流体供給システム240は、これとは異なるように構成され、また異なるように連結することができる。例えば、高圧流体供給システム240は、処理モジュール210または再循環システム220またはその両方と連結することができる。
【0047】
高圧流体供給システム240は、超臨界流体を作り出すために二酸化炭素源(示されてはいない)および多くの流動調整エレメント(示されてはいない)を含むことができる。例えば、二酸化炭素源は、COフィードシステムを含むことができ、また流量調整エレメントは供給ライン、バルブ、フィルタ、ポンプ、およびヒーターを含むことができる。高圧流体供給システム240は、超臨界二酸化炭素の流れが処理チャンバー208へ流入することを防ぐまたは可能にするために開閉するように構成された注入バルブ(示されてはいない)を含むことができる。例えば、コントローラー280は、圧力、温度、処理時間、および流速などの流体パラメーターを決めるのに使用することができる。
【0048】
処理システム200は、また圧力調整システム250を含むことができる。FIG.2に示されるように、1つまたはそれ以上のライン255を用いて処理モジュール210と連結することができるが、これは必須ではない。ライン255は、圧力調整システム250への流体の流れを調整するために1つまたはそれ以上のバックフローバルブ、ポンプ、および/またはヒーター(示されてはいない)を装備することができる。他の実施態様では、圧力調整システム250は、これとは異なるように構成され、また異なるように連結することができる。例えば、圧力調整システム250は、1つまたはそれ以上のポンプ、および処理チャンバー208のシーリングのためのシーリング手段(示されてはいない)を含むことができる。加えて、圧力調整システム250は、基材205および/またはチャック218を上昇させ、下降させる手段を含むことができる。圧力調整システム250は、処理チャンバー208を排気するための、および/または処理チャンバーなかの圧力を調整するための1つまたはそれ以上の圧力バルブ(示されてはいない)を含むことができる。あるいは、圧力調整システム250は1つまたはそれ以上のポンプ(示されてはいない)を含むことができる。
【0049】
更に、処理システム200は排出調整システム260を含むことができる。FIG.2に示されるように、排出調整システム260は1つまたはそれ以上のライン265を用いて処理モジュール210と連結することができるが、これは必須ではない。ライン255は、排出調整システム260への流体流れをコントロールするためにバックフローバルブおよび/またはヒーター(示されてはいない)を装備することができる。他の実施態様では、排出調整システム260は、これとは異なるように構成し、また異なるように連結することができる。排出調整システム260は、排出ガス回収容器(示されてはいない)を含むことができ、また処理流体から汚染物を除去するのに使用することができる。あるいは、排出調整システム260は処理流体をリサイクルするために使用することもできる。
【0050】
1つの実施態様として、コントローラー280はプロセッサー282およびメモリー284を含むことができる。メモリー284は、プロセッサー282と連結することができ、プロセッサー282により実行されるための情報や命令の格納に使用することができる。あるいは、別のコントローラー構成が使用できる。加えて、コントローラー280は処理システム200を他のシステム(示されてはいない)に連結するために用いることができる。更に、コントローラー280はインプットおよび/またはアウトプットデバイス(示されてはいない)を含むことができる。
【0051】
加えて、1つまたは他の処理エレメント(210、220、230、240、250、260、および280)は、処理の間に実行されるための情報および命令を格納するメモリー(示されてはいない)および情報を処理するおよび/または命令を実行するプロセッサーを含んでもよい。例えば、メモリー284は、システム中の各種のプロセッサーによる命令の実行の間の一時的な変量または他の中間の情報の格納のために使用できる。1つまたはそれ以上の処理エレメントは、コンピュータが読み取り可能な媒体からデータおよび/または命令を読み取る方法を含むことができる。加えて、1つまたはそれ以上の処理エレメントは、コンピュータが読み取り可能な媒体にデータおよび/または命令を書き込む方法を含むことができる。
【0052】
メモリーデバイスは、本発明の教えに従ってプログラムされた、コンピュータが実行可能な命令を保持し、またデータ構造、表、記録、または他のここに記載された他のデータを収容するために、少なくとも1つのコンピュータが読み取り可能な媒体またはメモリーを含むことができる。
【0053】
処理システム200は、メモリー284に保持された1つまたはそれ以上のコンピュータが実行可能な命令の1つまたはそれ以上のシーケンスを実行するコントローラー280に答えて、本発明の処理工程の一部または全部を実行することができる。このような命令は、他のコンピュータ、コンピュータが読み取り可能な媒体、またはネットワーク接続からコントローラー280によって受け取ることができる。
【0054】
本発明は、コンピュータが読み取り可能な媒体の1つまたはその組み合わせ上に格納して、処理システム200を制御するための、本発明を実行するためにデバイスを駆動するための、また処理システム200が人間のユーザーおよび/または工場システムのような他のシステムと交信するための、ソフトウエアを含むことができる。このようなソフトウエアは、それに限定されないが、デバイスドライバ、処理システム、開発ツール、およびアプリケーションソフトウエアを含むことができる。このようなコンピュータが読み取り可能な媒体は、更に、発明を実行する中で遂行される処理のすべてまたは一部(もしも処理が分配されるのであれば)を実行するための本発明のコンピュータプログラム産物を含む。
【0055】
ここで用いられる「コンピュータが読み取り可能な媒体」という用語は、プロセッサーに実行のための命令を提供することに加わる、および/または命令を実行する前に、間に、および/もしくは後に情報を格納することに加わる媒体のいずれかを指している。コンピュータが読み取り可能な媒体は、これらには限定されないが、不揮発媒体、揮発媒体、および伝送媒体を含む多くの形式をとることができる。ここで用いられる「コンピュータが実施可能な命令」という用語は、プロセッサーによって実行されることが可能な、プロセッサーに実行するための命令を提供する、および/または命令を実行する前に、間に、および/もしくは後に情報を格納することに加わるコンピュータコードのいずれか指している。
【0056】
コントローラー280、プロセッサー282、メモリー284および他のシステムエレメントの中のメモリーは、これまで記載されてきたように、以下で違うように表されていない限り、技術的に知られた要素により構成するか、または技術的に知られた原理に従って構成することができる。コンピュータが読み取り可能な媒体およびコンピュータが実行可能な命令はまた、以下で違うように表されていない限り、技術的に知られた要素により構成するか、または技術的に知られた原理に従って構成することができる。
【0057】
コントローラー280は、コンピュータコードおよび/または工場システムのような他のシステム(示されてはいない)からのソフトウエアを得るためにポート285を使うことができる。コンピュータコードおよび/またはソフトウエアはコントロール階層を確立するために使用することができる。例えば、処理システム200は独立して動作することができ、またはある程度までより高いレベルのシステム(示されてはいない)によって制御されてもよい。
【0058】
コントローラー280はシステム200の他の部分からデータを受け取ること、および/または他の部分へデータを送ることができる。コントローラー280は前処理データ、処理データ、および後処理データを用いることができる。例えば、前処理データは入ってくる基材と関連付けることができる。この前処理データはロットデータ、バッチデータ、ランデータ、コンポジッションデータ、およびヒストリーデータを含むことができる。前処理データはウエハーの投入状態を確立するために用いることができる。処理データはプロセスパラメータを含むことができる。後処理データは処理された基材と関連付けることができる。
【0059】
コントローラー280は、基材205を処理するのに用いる一連のプロセスパラメータを予測し、選択し、または計算するために、前処理データを用いることができる。例えば、この予測された一連のプロセスパラメータはプロセスレシピの最初の推定値とすることができる。プロセスモデルは、1つまたはそれ以上のプロセスレシピパラメータもしくは設定点、および1つまたはそれ以上の処理結果との間の関係を提供することができる。プロセスレシピは、一連の処理モジュールを含む多段階工程を含むことができる。後処理データは基材が処理されたあとのいくつかのポイントにおいて得ることができる。例えば、後処理データは、分から日まで変わる時間遅れの後に得ることができる。コントローラー280は、前処理データ、プロセス特性、およびプロセスモデルを基に基材205の予測された状態を計算することができる。例えば、洗浄速度モデルは、予測された洗浄時間を計算するために、汚染物質レベルとともに用いることができる。あるいは、リンス速度モデルは、リンスプロセスの処理時間を計算するために、汚染物質レベルとともに用いることができる。
【0060】
当然のことながら、コントローラー280は、ここで議論されたものに加えて他の機能を実行することができる。コントローラー280は、処理システム200と関連して圧力、温度、流量、または他の変量を監視することができ、そしてこれらの値を基にアクションをとることができる。例えば、コントローラー280は測定されたデータを処理し、データおよび/または結果をGUIスクリーンに表示し、故障状態を決定し、故障状態への対応を決定し、またオペレータへ警告を出すことができる。コントローラー280は、入力および出力データを格納するためのデータベース要素(示されてはいない)を含むことができる。
【0061】
超臨界洗浄/リンス工程では、目的とする処理結果は、走査型電子顕微鏡(SEM)および/または透過型電子顕微鏡(TEM)などの光学的測定デバイスを用いて測定可能な処理結果であることができる。例えば、目的とする処理結果は、予め定められた閾値より下回るビアの中のまたは基材表面上の残渣および/もしくは汚染物質の量であることができる。1つまたはそれ以上の洗浄プロセスが実行された後で、目的とされるプロセスを測定することができる。他の場合には目的とされる処理結果は目的とされた誘電率であることもできる。
【0062】
FIG.3は本発明の実施態様に従った超臨界プロセスの圧力対時間のグラフ300を図示している。図示された実施態様において、圧力対時間のグラフ300が示されており、またグラフ300は、超臨界洗浄処理工程、超臨界リンス処理工程、または超臨界キュアリング工程、またはそれらの組み合わせを説明するのに用いることができる。あるいは、異なる工程に対して、異なる圧力、異なるタイミング、および異なるシーケンスが使われてもよい。
【0063】
ここでFIG.2と3の両方を参照すると、最初の時間Tの前に、処理される基材205を処理チャンバー208の中に置くことができ、そして処理チャンバー208をシールすることができる。例えば、洗浄および/またはリンス処理の間に、基材はポストエッチおよび/またはポストアッシュ残渣をその上に有していてもよい。基材205、処理チャンバー208、および再循環ループ215の中の他のエレメント(FIG.2)は運転温度に加熱できる。例えば、処理チャンバー208、再循環システム220、および再循環システム220を処理チャンバー208に連結するパイプは再循環ループ215を形成することができる。
【0064】
最初の時間Tから最初の持続時間Tまで、再循環ループ215中のエレメントは加圧されていてよい。FIG.3に示されている実施態様に図示されているように、時間Tから最初の継続時間Tの間、圧力はPからPまで増大される。時間Tの最初の部分の間に、温度を制御された流体が再循環ループ215(FIG.2)中に供給されてよい。1つの実施態様では、高圧流体供給システム240が加圧処理の間運転されていてよく、そして温度を制御された流体で再循環ループ215を満たすために使うことができる。高圧流体供給システム240は再循環ループ215を温度が制御された流体で満たす方法を含むことができ、また温度が制御された液体の温度変動は加圧処理の間、約10℃未満に制御することができる。あるいは、温度が制御された液体の温度変動は加圧処理の間、約5℃未満に制御することができる。別の実施態様では、高圧流体供給システム240および/または圧力制御システム250は加圧処理の間運転することができ、そして温度を制御された流体で再循環ループ215を満たすために使うことができる。
【0065】
例えば、超臨界純COなどの超臨界流体は、再循環ループ215(FIG.2)においてエレメントを加圧するために使うことができる。時間Tの間、再循環システム220(FIG.2)中のポンプ(示されてはいない)は、起動され、そして温度が制御された流体が処理チャンバー208および再循環ループ中の他のエレメントを通って循環するように使用することができる。
【0066】
1つの実施態様では、処理チャンバー208の圧力が運転圧力P(約2,500psi)に到達したときに、処理化学物質供給システム230を使って、処理化学物質を処理チャンバー208に注入することができる。別の実施態様では、処理化学物質は、処理チャンバー208の圧力が1,070psiなどの臨界圧力を超えたときに、処理化学物質供給システム230を使用して、処理チャンバーに注入することができる。他の実施態様では、処理化学物質は、圧力が臨界圧力を超える前に処理化学物質供給システム230を使って処理チャンバー208に注入してもよい。他の実施態様では、処理化学物質はTの期間の間は注入されない。
【0067】
1つの実施態様では、処理化学物質は線形の方法で注入される(すなわち、規則的な時間間隔で、一定の速度で、着実に増加する速度で、など)、そして注入時間は再循環時間に基づくことができる。例えば、再循環時間は、再循環パスの長さと流速を基に決定することができる。他の実施態様では、処理化学物質は非線形の方法で(例えば、規則的でない時間間隔でまたは速度を変えながら)注入されてもよい。例えば、処理化学物質は1つまたはそれ以上の工程で注入されてもよい。
【0068】
処理化学物質は、超臨界流体に注入される洗浄剤、リンス剤、またはキュアリング剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。処理化学物質の1またはそれ以上の注入は、目的とする化学物質濃度の超臨界処理溶液を作り出すために、継続時間Tを超えて実行されてもよい。処理化学物質は、本発明の実施態様に従って、1つまたはそれ以上の担体溶媒を含んでいてもよい。
【0069】
誘電体が処理されるときは、処理化学物質は超臨界流体中に注入される不動態化剤および溶媒を含んでいてもよい。処理化学物質は、好ましくはヘキサメチルジシラザン(HMDS)、クロロトリメチルシラン(TMCS)、トリクロロメチルシラン(TMCS)およびそれらの組み合わせを含む。
【0070】
更にFIG.2と3の両方を参照すると、第二の時間Tの間、超臨界処理溶液は、上記したように、超臨界処理溶液は、再循環システム220を用いて、基材205を越えて、また処理チャンバー208を通して再循環されてよい。1つの実施態様では、処理化学物質供給システム230はスイッチを切られ、そして第二の時間Tの間、処理化学物質は再循環ループ215中に注入されないこともできる。あるいは、処理化学物質供給システム230は、Tの間に1またはそれ以上の回数スイッチを入れられ、そして処理化学物質は、第二の時間Tの間、または第二の時間Tの後に、処理チャンバー208中に注入されてもよい。
【0071】
処理チャンバー208は、第二の時間Tの間、1,500psi超の圧力で運転することができる。例えば、圧力は約2,500psiから約3,100まで変動することができるが、しかしながら運転圧力が超臨界条件を維持するのに十分である限り、いかなる値でもよい。FIG.3の実施態様に図示されているように、第二の時間Tの間、圧力は約Pに維持されている。超臨界処理溶液は、上記したように、超臨界処理溶液は、再循環システム220を用いて、基材205を越えて、また処理チャンバー208を通して再循環されてよい。処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメント中の超臨界条件は、第二の時間Tの間維持され、そして超臨界処理溶液は、基材205を超えて、また処理チャンバー208と再循環ループ215(FIG.2)中の他のエレメントを通して循環し続ける。再循環システム220(FIG.2)は、超臨界処理溶液の処理チャンバー208と再循環ループ215(FIG.2)中の他のエレメントを通した流れを制御するために用いられる。
【0072】
更にFIG.2と3を参照すると、第三の時間Tの間、1つまたはそれ以上のプッシュスルー処理が実行されてよい。1つの実施態様では、高圧流体供給システム240はプッシュスルー処理の間運転されていてよく、また再循環ループ215を温度の制御された流体で満たすために用いられる。高圧流体供給システム240はプッシュスルー処理の間温度の制御された流体の最初の体積を供給する方法を含むことができ、または最初の体積は再循環ループ215の体積よりも大きくてよい。あるいは、最初の体積は再循環ループ215よりも小さいか、または概ね等しくてもよい。加えて、プッシュスルー処理の間、温度を制御された流体の最初の体積の中の温度差異は、約10℃未満であるように制御することができる。あるいは、温度を制御された流体の温度変動は、プッシュスルー処理の間、約5℃未満に制御することができる。
【0073】
他の実施態様では、高圧流体供給システム240は、プッシュスルー処理の間、1つまたはそれ以上の体積の、温度を制御された流体を供給する方法を含むことができ、それぞれの体積は処理チャンバー208の体積または再循環ループ215の体積よりも大きくてもよく、それぞれの体積に関連した温度変動は、10℃未満に制御することができる。
【0074】
例えば、第三の時間Tの間、1つまたはそれ以上の体積の温度を制御された超臨界二酸化炭素が高圧流体供給システム240から処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメント中へフィードすることができ、そして超臨界洗浄溶液はその中に浮遊しているかまたは溶解しているプロセス残者といっしょに処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントから、排出制御システム260を通して移動させることができる。別の実施態様では、超臨界二酸化炭素は高圧流体供給システム240から再循環システム220の中へフィードすることができ、そしてこの超臨界洗浄溶液もまた、その中に浮遊しているかまたは溶解しているプロセス残渣といっしょに処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントから、排出制御システム260を通して移動させることができる。
【0075】
プッシュスルー処理の間、温度を制御された流体を供給することは、処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントから移動している流体の中に浮遊しているかまたは溶解しているプロセス残渣が、処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントにドロップアウトすることおよび/または付着することを防ぐ。加えて、第三の時間Tの間、高圧流体供給システム240により供給される流体の温度は、第二の時間Tの間に用いられる範囲よりも広い温度範囲で変化することができる。
【0076】
FIG.3に示される図示された実施態様では、単独の第二の時間Tが単独の第三の時間Tに追随されているが、しかしながら、これは必須ではない。別の実施態様によれば、他の時間シーケンスが基材を処理するのに用いられる。
【0077】
プッシュスルー処理が完結した後で、圧力サイクルプロセスが実行される。あるいは、1つまたはそれ以上の圧力サイクルがプッシュスルー処理の間、存在してもよい。他の実施態様では、圧力サイクルプロセスは要求されない。第四の時間Tの間、処理チャバー208は複数の減圧および加圧サイクルのサイクルをとることができる。圧力は最初の圧力Pと第二の圧力Pの間で1またはそれ以上の回数のサイクルをとることができる。別の実施態様では、最初の圧力Pと第二の圧力Pは変えることができる。1つの実施態様では、排出制御システム260を通して放出することにより、圧力を下げることができる。例えば、このことは圧力を約1,500psi未満に下げ、また圧力を約2.500psiを超えて上げることにより達成することができる。高圧流体をさらに供給するために、高圧流体供給システム240および/または圧力調整システム250を用いて圧力を増大させることができる。
【0078】
高圧流体供給システム240および/または圧力制御システム250は加圧サイクルの間、温度を制御された流体の最初の体積を供給する手段を含むことができ、最初の体積は、再循環ループ215よりも大きくてよい。あるいは、最初の体積は再循環ループ215よりも小さいかまたは概ね等しくともよい。加えて、加圧サイクルの間、温度を制御された流体の最初の体積の中の温度差異は、約10℃未満であるように制御することができる。あるいは、温度を制御された流体の温度変動は、加圧サイクルの間、約5℃未満に制御することができる。
【0079】
加えて、高圧流体供給システム240および/または圧力制御システム250は、減圧サイクルの間、温度を制御された流体の第二の体積を供給する方法を含むことができ、第二の体積は再循環ループ215の体積よりも大きくてよい。あるいは、第二の体積は、再循環ループ215の体積よりも小さいかまたは概ね等しくてもよい。加えて、減圧サイクルの間、温度を制御された流体の第二の体積の中の温度差異は、約10℃未満であるように制御することができる。あるいは、温度を制御された流体の温度変動は、減圧サイクルの間、約5℃未満に制御することができる。
【0080】
他の実施態様では、高圧流体供給システム240および/または圧力制御システム250は、加圧サイクルおよび/または減圧サイクルの間、温度を制御された流体の1つまたはそれ以上の体積を供給する方法を含むことができ、それぞれの体積は処理チャンバー208の体積または再循環ループ215の体積よりも大きくてもよく、それぞれの体積に関連した温度変動は、10℃未満に制御することができ、また温度変動は、さらなるサイクルが実行されたら増大することが許される。
【0081】
更に、第四の時間Tの間、1またはそれ以上の体積の温度を制御された超臨界二酸化炭素は処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントの中にフィードすることができ、また超臨界洗浄溶液は、その中に浮遊しているかまたは溶解しているプロセス残渣といっしょに処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントから、排出制御システム260を通して移動させることができる。別の実施態様では、超臨界二酸化炭素は再循環システム220中へフィードすることができ、そしてこの超臨界洗浄溶液もまた、その中に浮遊しているかまたは溶解しているプロセス残渣といっしょに処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントから、排出制御システム260を通して移動させることができる。
【0082】
圧力サイクル処理の間、温度を制御された流体を供給することは、処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントから移動している流体の中に浮遊しているかまたは溶解しているプロセス残渣が、処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントにドロップアウトすることおよび/または付着することを防ぐ。加えて、第四の時間Tの間、高圧流体供給システム240により供給される流体の温度は、第二の時間Tの間に用いられる範囲よりも広い温度範囲で変化することができる。
【0083】
FIG.3に示される図示された実施態様では、単独の第三の時間Tが単独の第四の時間Tに追随されているが、しかしながら、これは必須ではない。別の実施態様によれば、他の時間シーケンスが基材を処理するのに用いられる。
【0084】
別の実施態様では、排出制御システム260は、第四の時間Tの間、スイッチを切ることができる。例えば、排出制御システム260は、加圧サイクルの間、スイッチを切ることができる。
【0085】
第五の時間Tの間、処理チャンバー208はより低い圧力に戻すことができる。例えば、圧力サイクル処理が完了した後で、処理チャンバー208は、放出または排出して大気圧にすることができる。
【0086】
高圧流体供給システム240および/または圧力制御システム250は、放出処理の間、温度を制御された流体の一定の体積を供給する方法を含むことができ、この体積は再循環ループ215の体積よりも大きくてよい。あるいは、この体積は、再循環ループ215の体積よりも小さいかまたは概ね等しくてもよい。加えて、放出処理の間、温度を制御された流体のこの体積の中の温度差異は、約20℃未満であるように制御することができる。あるいは、温度を制御された流体の温度変動は、減圧サイクルの間、約15℃未満に制御することができる。
【0087】
他の実施態様では、高圧流体供給システム240および/または圧力制御システム250は、放出処理の間、温度を制御された流体の1つまたはそれ以上の体積を供給する方法を含むことができ、それぞれの体積は処理チャンバー208の体積または再循環ループ215の体積よりも大きくてもよく、それぞれの体積に関連した温度変動は、20℃未満に制御することができ、また温度変動は、圧力が最後の処理圧力に近づいたら増大することが許される。
【0088】
更に、第五の時間Tの間、1またはそれ以上の体積の温度を制御された超臨界二酸化炭素は再循環ループ215中にフィードすることができ、また残存する超臨界洗浄溶液は、その中に浮遊しているかまたは溶解しているプロセス残渣といっしょに処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントから、排出制御システム260を通して移動させることができる。別の実施態様では、超臨界二酸化炭素は処理チャンバー208および/または再循環システム220中へフィードすることができ、そしてこの残存する超臨界洗浄溶液もまた、その中に浮遊しているかまたは溶解しているプロセス残渣といっしょに処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントから、排出制御システム260を通して移動させることができる。
【0089】
放出工程の間、温度を制御された流体を供給することは、処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントから移動している流体の中に浮遊しているかまたは溶解しているプロセス残渣が、処理チャンバー208および再循環ループ215中の他のエレメントにドロップアウトすることおよび/または付着することを防ぐ。
【0090】
FIG.3に示される図示された実施態様では、単独の第四の時間Tが単独の第五の時間Tに追随されているが、しかしながら、これは必須ではない。別の実施態様によれば、他の時間シーケンスが基材を処理するのに用いられる。
【0091】
1つの実施態様では、第五の時間Tの一部の間、再循環ポンプ(示されてはいない)はスイッチを切ることができる。加えて、高圧流体供給システム240により供給される流体の温度は、第二の時間Tの間に用いられる範囲よりも広い温度範囲で変化することができる。例えば、温度は超臨界処理に要求される温度よりも低い範囲に及ぶことができる。
【0092】
基材の処理では、チャンバー圧力は処理チャンバー208に連結する移送チャンバー(示されてはいない)の内部圧力と実質的に同じとすることができる。1つの実施態様では、基材は処理チャンバー208から移送チャンバーの中へ移動すること、また処理を続けるために第二の処理装置またはモジュールへ移動することができる。
【0093】
FIG.3に示される図示された実施態様では、第五の時間Tの最後には、圧力は最初の圧力Pに戻るが、しかしながら、このことは本発明で必須ではない。別の実施態様では、圧力はPに戻る必要はなく、そして処理シーケンスは時間ステップT、T、T、T、またはTで示されたような更なる時間ステップで継続することができる。
【0094】
グラフ300は例示の目的のためだけに提供されている。例えば、低k層は、上記のように各ステップが約3分間未満を要する1から10の不動態化ステップを用いて処理することができる。超臨界処理ステップが、本発明の範囲から離れることなく、異なる時間/圧力または温度のいかなるプロファイルをもとり得ることは当業者には理解されるであろう。更に、各ステップがいずれかの数の加圧および減圧サイクルを有する、いずれかの数の洗浄、リンスおよび/またはキュアのプロセスシーケンスを考慮することができる。加えて、前述したように、超臨界処理溶液中の種々の化学物質および種の濃度は、手元の用途に応じて容易に調整することができ、またいつでも超臨界処理ステップの中で変更することができる。
【0095】
FIG.4は、本発明の実施態様に従ったシリコンオキサイドベースの低k層の処理のステップを概説する簡略化したフローダイヤグラムを示している。図示された実施態様において、方法400は、パターン形成された低k層およびその上のポストエッチ残渣を含む基材構造の、超臨界洗浄および不動態化溶液を用いた処理として示されている。
【0096】
ステップ402では、誘電体層およびポストエッチ残渣を含む基材構造は、処理チャンバーの中に置かれ、それはシールされる。
【0097】
ステップ404では、処理チャンバーは超臨界COで加圧され、そして不動態化溶液を作り出すために、不動態化化学物質が超臨界COへ加えられる。1つの実施態様では、洗浄および不動態化化学物質は、少なくとも1つの有機シリコン化合物を含有する。
【0098】
ステップ406では、基材構造は、少なくとも残渣の一部が基材構造から除去され、また残渣が除去された後に露出された表面を不動態化するのに十分な時間、超臨界処理溶液の中に維持される。加えて、超臨界洗浄および不動態化溶液は、処理チャンバーを通して循環、および/または、さもなければ基材構造の表面上に超臨界洗浄および不動態化溶液が動くように流される。
【0099】
さらにFIG.4を参照すると、基材構造から残渣の少なくとも一部が除去された後に、ステップ408で、処理チャンバーは部分的に放出される。ステップ404および406を含む洗浄工程は、ステップ408と404を結ぶ矢印で示されているように、何回でも繰り返してよく、基材構造から残渣を除去し、また露出された表面を不動態化処理することが求められる。ステップ404および406を含む工程は、本発明の実施態様に従って、新鮮な超臨界二酸化炭素、新鮮な化学物質、またはその両方を用いる。あるいは、洗浄化学物質の濃度は、処理チャンバーを超臨界二酸化炭素で希釈することにより、洗浄化学物質の追加の量の追加により、またはそれらの組み合わせにより調整される。
【0100】
更にFIG.4を参照すると、処理ステップ404、406および408が完了した後に、基材構造はステップ410で、好ましくは超臨界洗浄および/またはリンス溶液で処理される。超臨界洗浄および/またはリンス溶液は、好ましくは超臨界COおよび1つまたはそれ以上の有機溶媒を含有するが、しかしながら純超臨界COでもよい。
【0101】
基材構造がステップ404、406および408で洗浄され、またステップ410、ステップ412でリンスされた後に、処理チャンバーは減圧され、そして基材構造は処理チャンバーから移動される。あるいは、基材構造は、ステップ410と404を結ぶ矢印で示されるように、ステップ404、406、408および410を含む1つまたはそれ以上の追加の洗浄/リンス工程を通して反復処理することができる。あるいは、または、基材構造を1つまたはそれ以上の洗浄/リンスサイクルを通して反復処理するのに加えて、基材構造は、ステップ410と408を結ぶ矢印で示されるように、ステップ412で基材構造を処理チャンバーから移動する前に、何回かのリンスサイクルで処理される。
【0102】
前述したように、超臨界二酸化炭素および、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、および/またはそれらの組み合わせなどの1つまたはそれ以上の溶媒を含む超臨界溶液を用いて低k層を不動態化する前に、基材構造は乾燥および/または前処理を施すことができる。加えて、ポストエッチ残渣および/またはパターン形成された低k誘電体層を含む基材が、いずれの数の洗浄および不動態化ステップおよび/またはシーケンスで処理されてもよいことは当業者には明らかである。
【0103】
低k材料の不動態化方法は、ここでは主としてポストエッチ処理および/またはポストエッチ洗浄処理と関連付けて述べられてきたが、本発明の方法は低k材料を直接的に不動態化するのに用いることができることは、当業者には理解されるであろう。更に、当然のことながら、低k材料を本発明の方法に従って処理する場合、超臨界リンスステップは必ずしも必要ではなく、超臨界不動態化溶液で低k材料を処理する前に低k材料を単純に乾燥することは使用目的によっては適切であることもある。
【0104】
本発明は低k表面を不動態化する能力があり、また超臨界処理環境の中でパターン形成された低k層のポストエッチ残渣(これらには限定されないが、スピン−オンされたポリマー反射防止コーティング層および感光性ポリマーを含む)を除去するなどの他の処理ステップと両立することができるという利点を有している。本発明はまたは、パターニングステップの後に、材料の失われたk−値を回復または部分的に回復することが観測されており、また長期間に亘り安定な低k層を産み出すことが示されている。
【0105】
本発明は、本発明の構成および運転の本質を理解することを容易にするために、詳細を盛り込んだ特定の実施態様に関して記載されているが、ここでのこのような特定の実施態様およびその詳細への言及は、ここに添えられている請求項の範囲を限定しようとするものではない。本発明の精神および範囲から離れずに、説明のために選択された実施態様に修正を加えることができることは、当業者には明らかであろう。特に、超臨界COは、洗浄および/または不動態化のための好ましい媒体であるが、他の超臨界媒体もまた単独でまたは超臨界COと組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1A】FIG.1A−Cは、本発明の実施態様による超臨界処理工程においてシリル化剤として使用される有機シリコンの構造の略図である。
【図1B】FIG.1A−Cは、本発明の実施態様による超臨界処理工程においてシリル化剤として使用される有機シリコンの構造の略図である。
【図1C】FIG.1A−Cは、本発明の実施態様による超臨界処理工程においてシリル化剤として使用される有機シリコンの構造の略図である。
【図1D】FIG.1Dは本発明の実施態様による低k材料中のシラノール基と反応するシリル化剤の略図である。
【図1E】FIG.1Eは低k材料の表面におけるシラノール基とシリル基間の立体障害を図解している。
【図2】FIG.2は、本発明の実施態様による処理システムの例となるブロックダイヤグラムを示す。
【図3】FIG.3は、本発明の実施態様による超臨界処理の圧力対時間の図の例を示す。
【図4】FIG.4は、本発明の実施態様によるシリコンオキサイドベースの低k層を処理する工程を概説する簡略化されたフローダイヤグラムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機基を含むある量のシリル化剤を含む不動態化溶液で誘電体中の複数のフィーチャー(features)を処理し、そして不動態化溶液を取り除くことを含み、複数のフィーチャー(features)の少なくとも1つが少なくとも部分的に有機基で不動態化される、低k表面の処理方法。
【請求項2】
誘電体が低k材料を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
誘電体が超低k材料を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
不動態化溶液が超臨界流体を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
超臨界流体がCOを含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
有機基がアルキル基を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
有機基が6未満の炭素原子を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
有機基が有機シリコン化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
有機シリコン化合物が、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、クロロトリメチルシラン(TMCS)、トリクロロメチルシラン(TCMS)、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
不動態化溶液が更に担体溶媒を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
担体溶媒がN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルピペリドン、プロピレンカーボネート、アルカンおよびこれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
誘電体が約40℃から約250℃までの範囲の温度に維持されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
不動態化溶液が約40℃から約250℃までの範囲の温度に維持されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
不動態化溶液での誘電体中の複数のフィーチャー(features)の処理が、更に不動態化溶液を低k表面上に循環することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
不動態化溶液が約1,000psiから約9,000psiまでの範囲の圧力に維持されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
さらに、複数のフィーチャーを処理する前に誘電体の少なくとも1つの表面を乾燥することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの表面を乾燥するのが、少なくとも1つの表面を、超臨界二酸化炭素を含む超臨界乾燥溶液で処理することを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
誘電体がシリコンオキサイドを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項19】
誘電体が炭素ドープオキサイド(COD)、スピンオングラス(SOG)、フッ素添加シリコンガラス(FSG)、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項20】
誘電体表面から超臨界洗浄溶液でポストアッシュ残渣を除去し、そして誘電体表面を超臨界洗浄溶液中の不動態化剤で処理して不動態化誘電体表面を形成することを含む誘電体表面の処理方法。
【請求項21】
ポストアッシュ残渣がポリマーを含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
ポリマーがフォトレジストポリマーであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
フォトレジストポリマーが反射防止染料を含むことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
誘電体表面が低k材料を含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項25】
誘電体表面が超低k材料を含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項26】
ポストアッシュ残渣が反射防止コーティングを含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項27】
反射防止コーティングが有機スピンオン反射防止材料を含むことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
不動態化剤が有機シリコン化合物を含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項29】
有機シリコン化合物がヘキサメチルジシラザン(HMDS)、クロロトリメチルシラン(TMCS)、トリクロロメチルシラン(TCMS)およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
パターン形成された誘電体層を作る方法であって、誘電体の連続層を堆積し、誘電体の連続層を覆うフォトレジストマスクを形成し、フォトレジストマスクを通して誘電体の連続層にパターンを形成し、フォトレジストマスクを除去し、その結果、ポストアッシュ残渣を形成し、そして超臨界二酸化炭素およびシリコンベースの不動態化剤を含む超臨界溶液を用いてポストアッシュ残渣を除去することを含む方法。
【請求項31】
超臨界処理溶液が超臨界二酸化炭素を含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
シリコンベースの不動態化剤が有機シリコン化合物を含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項33】
超臨界溶液が、さらに担体溶媒を含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項34】
担体溶媒がN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルピペリドン、プロピレンカーボネート、アルカンおよびこれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
誘電体が低k材料を含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項36】
誘電体が超低k材料を含むことを特徴とする請求項30記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−535249(P2008−535249A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504078(P2008−504078)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/008733
【国際公開番号】WO2006/104670
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】