説明

車両駆動装置

【課題】モータ、減速部、及び差動部を有する構成において車両搭載性を向上させることができる車両駆動装置を提供すること。
【解決手段】回転動力を出力するモータ21と、モータ21からの回転動力を減速して出力する減速部22と、減速部22からの回転動力を一対の車輪14、15に向けて分配して出力する差動部24と、モータ21と車輪14、15との間の動力伝達経路を断接する動力伝達機構23と、を備え、モータ21、減速部22、差動部24、及び動力伝達機構23は、車輪14、15の車軸方向の一軸上に並べて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの駆動力により減速機構、差動機構を介して車軸を駆動する車両駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータを動力源とする車両においては、電動モータと車軸との間の動力伝達経路において減速機構、差動機構を有する車両駆動装置を備えるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、電動機(40)の回転軸上において、電動機(40)の一方に第1変速部(78)が配置され、電動機(40)の他方に第2変速部(104)、差動部(110)が配置された電気車両駆動装置が開示されている。この電気車両駆動装置では、電動機(40)からの出力を第1変速部(78)へ入力し、シフトクラッチ(94、96)の切替により減速比を変化させ、電動機(40)のロータ(44)の内側に配された中空軸(100)を介して第2変速部(104)におけるプラネタリのサンギヤ(108)に入力され減速してキャリヤ(112)から差動部(110)におけるダブルピニオンプラネタリのリングギヤへ入力され、サンギヤ(116)の動力が、中空軸(100)の内側に配された軸を介して左側の出力軸(52)に伝達され、キャリヤ(114)の動力が右側の出力軸(54)に伝達される。
【0004】
また、特許文献2では、誘導モ一タ(114)の内側に、遊星歯車減速組立体(130)、差動装置組立体(160)が一軸上に配置された補助電気駆動組立体が開示されている。この補助電気駆動組立体では、誘導モ一タ(114)からの出力は、平坦ディスク(126)によって遊星歯車減速組立体(130)のサンギヤへ入力されて、スプラインセット(154)を介して差動装置組立体(160)へ入力され、左側出力軸(172)に伝達されるとともに、スプラインセット(154)の内側に配された右側出力軸(184)に伝達される。
【0005】
さらに、特許文献3では、電動モータ(23)の第1軸(3)と、減速機構(21)の第2軸(5)と、ディファレンシャル装置(25)の第3軸(7)とを有する動力伝達装置が開示されている。この動力伝達装置では、ディファレンシャル装置(25)においてクラッチ機構(49)を有し、クラッチ機構(49)により電動モータ(23)からの動力を断接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0211824号明細書
【特許文献2】特表2009−502628号公報
【特許文献3】特開2007−83842号公報
【特許文献4】特開2006−176120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の第1変速部(78)では、シフトクラッチ(94、96)の切替えにより減速比を変化させるために、カウンタシャフト(80)と電動機(40)の出力軸(72)との二軸構成となっているため、車軸(16)の径方向に対して大きくなり、車両搭載性に劣る。また、特許文献1の電動機(40)の出力軸(72)の内側には、第1変速部(78)から第2変速部(104)に動力を伝達する中空軸(100)が通り、中空軸(100)の内側には、差動部(110)から左側の出力軸(52)に動力を伝達する軸が通るため、車軸(16)の径方向に対して、大きくなり車両搭載性に劣る。
【0008】
また、特許文献2の補助電気駆動組立体では、誘導モ一タ(114)の内側に減遊星歯車減速組立体(130)、差動装置組立体(160)が一軸上に配置されているため、車軸径方向に対して大きくなり、車両搭載性に劣る。
【0009】
また、特許文献3の動力伝達装置では、電動モータ(23)の第1軸(3)と、減速機構(21)の第2軸(5)と、ディファレンシャル装置(25)の第3軸(7)との3軸配置となっているため、体格が大きくなり車両搭載性に劣る。
【0010】
本発明の主な課題は、モータ、減速部、及び差動部を有する構成において車両搭載性を向上させることができる車両駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一視点においては、車両駆動装置において、回転動力を出力するモータと、前記モータからの回転動力を減速して出力する減速部と、前記減速部からの回転動力を一対の車輪に向けて分配して出力する差動部と、前記モータと前記車輪との間の動力伝達経路を断接する動力伝達機構と、を備え、前記モータ、前記減速部、前記差動部、及び前記動力伝達機構は、前記車輪の車軸方向の一軸上に並べて配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明の前記車両駆動装置において、前記減速部と前記差動部との間の動力伝達経路は、前記モータの内側以外に設けられることが好ましい。
【0013】
本発明の前記車両駆動装置において、前記減速部は、前記モータの回転動力が入力される第1プラネタリ機構と、前記第1プラネタリ機構の回転動力が入力されるとともに前記差動部に向けて回転動力を出力する第2プラネタリ機構と、を備えることが好ましい。
【0014】
本発明の前記車両駆動装置において、前記第1プラネタリ機構は、前記モータの回転動力が入力される第1サンギヤと、前記第1サンギヤに対して公転可能に噛み合う第1ピニオンギヤと、前記第1ピニオンギヤと噛み合うとともに回転不能に固定された第1リングギヤと、前記第1ピニオンギヤを回転可能に支持する第1キャリヤと、を備え、前記第2プラネタリ機構は、前記第1キャリヤの回転動力が入力される第2サンギヤと、前記第2サンギヤに対して公転可能に噛み合う第2ピニオンギヤと、前記第2ピニオンギヤと噛み合う第2リングギヤと、前記第2ピニオンギヤを回転可能に支持するとともに前記差動部に向けて回転動力を出力する第2キャリヤと、を備えることが好ましい。
【0015】
本発明の前記車両駆動装置において、前記モータは、環状をなし、前記モータの径方向における前記第2リングギヤの大きさは、同方向における前記モータの大きさよりも小さいことが好ましい。
【0016】
本発明の前記車両駆動装置において、前記動力伝達機構は、前記第2リングギヤと一体に回転する内輪と、回転不能に固定された外輪と、を備えるとともに、前記外輪に対して前記内輪を一方向にのみ回転を許容する状態と、前記外輪に対して前記内輪を他方向にのみ回転を許容する状態と、前記外輪に対して前記内輪を両方向に回転を許容する状態と、に切替可能なツーウェイクラッチと、前記ツーウェイクラッチの作動状態を切り替えるアクチュエータと、を備えることが好ましい。
【0017】
本発明の前記車両駆動装置において、前記モータは、環状をなし、前記モータの径方向における前記ツーウェイクラッチの大きさは、同方向における前記モータの大きさよりも小さいことが好ましい。
【0018】
本発明の前記車両駆動装置において、前記第2リングギヤは、回転不能に固定され、前記差動部は、前記第2キャリヤと一体に回転するケースと、前記ケースに回転可能に支持された第3ピニオンギヤと、前記ケースに回転可能に支持されるとともに、前記第3ピニオンギヤと噛み合い、かつ、前記一対の車輪の一方と一体に回転する第1サイドギヤと、前記ケースに回転可能に支持されるとともに、前記第3ピニオンギヤと噛み合う第2サイドギヤと、を備え、前記動力伝達機構は、前記第2サイドギヤと一体に回転する外歯の第1スプラインと、前記一対の車輪の他方と一体に回転する外歯の第2スプラインと、前記第1スプライン及び前記第2スプラインの両方とスプライン係合した状態、及び、前記第1スプライン及び前記第2スプラインの一方のみとスプライン係合した状態に切替可能にスライドするスリーブと、前記スリーブのスライド位置を切り替えるアクチュエータと、を備えることが好ましい。
【0019】
本発明の前記車両駆動装置において、前記モータは、発電可能なモータジェネレータであり、放電及び蓄電可能なバッテリと、前記モータの動作を制御するインバータと、前記バッテリの電力を昇圧して前記インバータを介して前記モータに供給する機能と、前記モータで発電した電力を前記インバータを介して降圧して前記バッテリに供給する機能とを有する昇降圧コンバータと、を備えることが好ましい。
【0020】
本発明の前記車両駆動装置において、前記モータ及び前記減速部を制御する電子制御装置を備えることが好ましい。
【0021】
本発明の前記車両駆動装置において、前記一対の車輪は、前輪及び後輪の一方の車輪であり、回転動力を出力する1又は複数の動力源と、前記動力源からの回転動力を変速して出力する変速機と、前記変速機からの回転動力を前記前輪及び前記後輪の他方の一対の車輪に向けて分配して出力する差動装置と、を備え、前記電子制御装置は、前記動力源の動作も制御することが好ましい。
【0022】
本発明の前記車両駆動装置において、前記電子制御装置は、加速時において車速が第1閾値未満である低速域のときに、前記動力伝達機構を接状態、及び、前記モータを駆動として、4輪駆動走行となるように制御し、加速時において車速が前記第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である中速域のときに、前記動力伝達機構を接状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行とし、所定の条件が満たされたときのみ、前記動力伝達機構を接状態、及び、前記モータを駆動として、4輪駆動走行となるように制御し、加速時において車速が前記第2閾値以上である高速域のときに、前記動力伝達機構を断状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御することが好ましい。
【0023】
本発明の前記車両駆動装置において、前記電子制御装置は、減速時において車速が、前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2閾値よりも小さい第3閾値以上のときに、前記動力伝達機構を断状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御し、減速時において車速が前記第3閾値未満のときに、前記動力伝達機構を接状態、及び、前記モータを回生とするように制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、車両駆動装置においてモータ、減速部、断接部、及び差動部が一対の車輪の車軸方向に並べて配置(一軸配置)されているので、一対の車輪の回転軸の径方向に対して小型化が可能となり、車両搭載性が向上し、車両室内空間を確保することができる。また、一対の車輪の回転軸の径方向に対して小型化が可能となるため、最低地上高が低い低床用のハイブリッド車両、電気自動車に搭載することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1に係る車両駆動装置の構成を模式的に示した概略図である。
【図2】本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示した断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る車両駆動装置の走行パターンを模式的に示した表である。
【図4】本発明の実施例1に係る車両駆動装置における電子制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1に係る車両駆動装置の動作の一例を模式的に示したタイムチャートである。
【図6】本発明の実施例2に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る車両駆動装置では、回転動力を出力するモータ(図1の21)と、前記モータからの回転動力を減速して出力する減速部(図1の22)と、前記減速部からの回転動力を一対の車輪(図1の14、15)に向けて分配して出力する差動部(図2の24)と、前記モータと前記車輪との間の動力伝達経路を断接する動力伝達機構(図2の23)と、を備え、前記モータ、前記減速部、前記差動部、及び前記動力伝達機構は、前記車輪の車軸方向の一軸上に並べて配置される。
【0027】
なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0028】
本発明の実施例1に係る車両駆動装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の構成を模式的に示した概略図である。
【0029】
図1を参照すると、車両駆動装置1は、車両を駆動する装置である。車両駆動装置1は、複数の動力源(エンジン2、モータジェネレータ3、4、21)を有するハイブリッド車両(エンジン2を除けば、電気自動車でも可)に搭載される。車両駆動装置1は、主な構成部として、エンジン2と、モータジェネレータ3、4と、変速機5と、差動装置6と、インバータ7、8、9と、昇降圧コンバータ10と、バッテリ11と、前輪12、13と、後輪14、15と、センサ16と、後輪駆動装置20と、電子制御装置30と、を有する。
【0030】
エンジン2は、例えば、燃料(例えば、ガソリン、軽油などの炭化水素系)の燃焼により回転動力を出力する内燃機関である。エンジン2の回転動力は、変速機5に伝達される。エンジン2は、各種センサ、アクチュエータを有し、各種センサ、アクチュエータがエンジンコントローラ32に通信可能に接続されており、エンジンコントローラ32によって制御される。
【0031】
モータジェネレータ3は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機である。モータジェネレータ3の回転動力は、変速機5に伝達される。モータジェネレータ3は、インバータ7及び昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ3は、変速機5からの回転動力を用いて回生してバッテリ11を充電したり、バッテリ11からの電力を用いて回転動力を変速機5に出力できる。
【0032】
モータジェネレータ4は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機である。モータジェネレータ4の回転動力は、変速機5に伝達される。モータジェネレータ4は、インバータ8及び昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ4は、変速機5からの回転動力を用いて回生してバッテリ11を充電したり、バッテリ11からの電力を用いて回転動力を変速機5に出力できる。
【0033】
変速機5は、エンジン2及びモータジェネレータ3、4のいずれかから出力された回転動力を変速して差動装置6に伝達する機構である。変速機5は、例えば、エンジン2及びモータジェネレータ3、4のいずれかから出力された回転動力が、トルクコンバータ(図示せず)を介して遊星歯車機構(複数の遊星歯車機構が組み合わさったもの)に入力され、当該遊星歯車機構で変速されて差動装置6に出力される。変速機5は、遊星歯車機構における所定の回転要素間を断接可能に係合させるクラッチや、所定の回転要素の回転を止めるブレーキを有し、当該クラッチや当該ブレーキを油圧操作する油圧回路を有し、当該油圧回路においてソレノイドを有する。変速機5は、当該ソレノイドが変速機コントローラ(図示せず)に通信可能に接続されており、変速機コントローラによって制御される。
【0034】
差動装置6は、変速機5からの回転動力により前輪12、13を差動可能に駆動する装置である。
【0035】
インバータ7は、モータジェネレータコントローラ33からの制御信号に応じて、モータジェネレータ3の動作(駆動動作、発電動作、回生動作)を制御する。インバータ7は、昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電気的に接続されている。
【0036】
インバータ8は、モータジェネレータコントローラ33からの制御信号に応じて、モータジェネレータ4の動作(駆動動作、発電動作、回生動作)を制御する。インバータ8は、昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電気的に接続されている。
【0037】
インバータ9は、モータジェネレータコントローラ33からの制御信号に応じて、モータジェネレータ21の動作(駆動動作、発電動作、回生動作)を制御する。インバータ9は、昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電気的に接続されている。
【0038】
昇降圧コンバータ10は、運転条件に応じて、バッテリ11の電力を昇圧してモータジェネレータ3、4、21に供給する機能と、モータジェネレータ3、4、21で発電した電力を降圧してバッテリ11に供給する機能とを有する装置である。なお、昇降圧コンバータ10は、モータジェネレータ3、4、21に対して共通に使用される。なお、昇降圧コンバータ10は、バッテリ11、及びモータジェネレータ3、4、21の仕様電圧が対応していれば、なくてもよい。
【0039】
バッテリ11は、放電及び蓄電可能な2次電池である。バッテリ11は、昇降圧コンバータ10と電気的に接続されている。
【0040】
前輪12は、車両の前方左側の車輪であり、差動装置6からの回転動力が伝達される。前輪13は、車両の前方右側の車輪であり、差動装置6からの回転動力が伝達される。後輪14は、車両の後方左側の車輪であり、差動部24からの回転動力が伝達される。後輪15は、車両の後方右側の車輪であり、差動部24からの回転動力が伝達される。
【0041】
センサ16は、車両の所定の状態を検出する装置である。センサ16には、例えば、車速、アクセル開度、ブレーキ信号、車輪回転数等の車両の所定の状態を検出するセンサを用いることができる。センサ16は、図2では、モータジェネレータ21の回転速度を検出するセンサを用いている。
【0042】
後輪駆動装置20は、後輪14、15を駆動する装置である。後輪駆動装置20は、主な構成部として、モータジェネレータ21と、減速部22と、断接部23と、差動部24と、を有する。後輪駆動装置20は、モータジェネレータ21、減速部22、断接部23、及び差動部24が車軸方向に並べて配置(一軸配置)されており、減速部22と差動部24との間の動力伝達経路がモータジェネレータ21の内側を通っていない。
【0043】
モータジェネレータ21は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機(誘導型でも可)である。モータジェネレータ21は、環状をなす。モータジェネレータ21の回転動力は、減速部22に伝達される。モータジェネレータ21は、インバータ9及び昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ21は、減速部22からの回転動力を用いて回生してバッテリ11を充電したり、バッテリ11からの電力を用いて回転動力を減速部22に出力できる。
【0044】
減速部22は、モータジェネレータ21からの回転動力を減速して出力する機構部である。
【0045】
断接部23は、モータジェネレータ21と後輪14、15との間の動力伝達経路を断接する動力伝達機構である。断接部23は、実施例1では、減速部22に設けられている。断接部23は、断接状態を切り替えるモータ式アクチュエータ(図2の78に相当)を有する。断接部23は、アクチュエータコントローラ34と通信可能に接続されており、アクチュエータコントローラ34によって動作が制御される。断接部23は、減速部22に配置されている。
【0046】
差動部24は、減速部22からの回転動力を後輪14、15に分配して出力(差動可能に駆動)する装置である。差動部24は、傘歯車を用いたものでも、ダブルピニオンプラネタリ機構を用いたものでもよい。
【0047】
なお、後輪駆動装置20の詳細な構成については、後述する(図2参照)。
【0048】
電子制御装置30は、エンジン2、モータジェネレータ3、4、21、及びアクチュエータ(図2の78)の動作を制御する装置である。電子制御装置30は、メインコントローラ31と、エンジンコントローラ32と、モータジェネレータコントローラ33と、アクチュエータコントローラ34と、を有する。
【0049】
メインコントローラ31は、エンジンコントローラ32、モータジェネレータコントローラ33、及びアクチュエータコントローラ34を介してエンジン2、モータジェネレータ3、4、21、及びアクチュエータ(図2の78)の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。メインコントローラ31は、各種センサ16(車速、アクセル関度、ブレーキ信号、車輪回転数等)からの入力信号(車両の所定の状態)に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。メインコントローラ31は、各種センサ16からの入力信号に基づいて、走行パターン(図3参照)を決定し、決定した走行パターンに応じて、エンジンコントローラ32、モータジェネレータコントローラ33、及びアクチュエータコントローラ34に対して制御信号を出力する。
【0050】
エンジンコントローラ32は、エンジン2の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。エンジンコントローラ32は、エンジン2に内蔵された各種アクチュエータ(図示せず;例えば、スロットルバルブ、インジェクタ等を駆動するアクチュエータ)、各種センサ(図示せず;例えば、アクセル開度センサ、回転センサ等)、及びメインコントローラ31と通信可能に接続されている。エンジンコントローラ32は、メインコントローラ31からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0051】
モータジェネレータコントローラ33は、インバータ7、8、9を介してモータジェネレータ3、4、21の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。モータジェネレータコントローラ33は、インバータ7、8、9、各種センサ(図示せず;例えば、回転センサ等)、及びメインコントローラ31と通信可能に接続されている。モータジェネレータコントローラ33は、メインコントローラ31からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0052】
アクチュエータコントローラ34は、差動部24におけるアクチュエータ(図2の78)の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。アクチュエータコントローラ34は、アクチュエータ(図2の78)及びメインコントローラ31と通信可能に接続されている。アクチュエータコントローラ34は、メインコントローラ31からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0053】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の詳細な構成について図面を用いて説明する。図2は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示した断面図である。
【0054】
後輪駆動装置20は、主な構成部として、ハウジング41、42、43、44と、ボルト45、46と、ステータ47と、ホルダ48と、ボルト49と、ロータ50と、出力軸51と、ボールベアリング52、53と、ピニオンギヤ54と、リングギヤ55と、キャリヤ56、57と、ピニオンギヤ58と、リングギヤ59と、ツーウェイクラッチ60と、切替機構プレート61と、出力シャフト62と、キャリヤ63と、ケース64と、ピニオンギヤ65と、サイドギヤ66と、サイドギヤ67と、ボールベアリング68と、出力シャフト69と、ボールベアリング70と、シール71と、出力シャフト72と、ボールベアリング73と、シール74と、固定子75と、ボルト76と、回転子77と、アクチュエータ78と、を有する。
【0055】
ハウジング41、42、43、44は、後輪駆動装置20におけるモータジェネレータ21、減速部22、断接部23、差動部24、及びセンサ16を収容する組立可能なハウジングである。
【0056】
ハウジング41は、ボルト45によってハウジング42に組み付けられた蓋状の部材である。ハウジング41は、センサ16と外部とを仕切る役目のハウジングである。ハウジング41は、出力シャフト69が挿通される穴部を有し、ボールベアリング70を介して出力シャフト69を回転可能に支持する。ハウジング41は、当該穴部における出力シャフト69との隙間をシールするシール71を支持(保持)する。
【0057】
ハウジング42は、ハウジング43に組み付けられた筒状の部材である。ハウジング42は、モータジェネレータ21とセンサ16とを仕切る役目のハウジングである。ハウジング42には、ボルト45によってハウジング41が組み付けられている。ハウジング42は、モータジェネレータ21とセンサ16との間の内側の面から内側に突出した環状の突出部を有し、当該突出部の先端部にてボールベアリング52を介して出力軸51を回転可能に支持する。ハウジング42には、ボルト76によってセンサ16の固定子75が固定されている。
【0058】
ハウジング43は、ハウジング42に組み付けられた筒状の部材である。ハウジング43は、モータジェネレータ21と減速部22とを仕切る役目のハウジングである。ハウジング43には、ボルト46によってハウジング44が組み付けられている。ハウジング43は、モータジェネレータ21と減速部22との間の内側の面から内側に突出した環状の突出部を有し、当該突出部の先端部にてボールベアリング53を介して出力軸51を回転可能に支持する。ハウジング43は、モータジェネレータ21の外周を覆っている。ハウジング43には、モータジェネレータ21のステータ47を保持するホルダ48がボルト49によって固定されている。ハウジング43は、減速部22の外周を覆っている。ハウジング43には、減速部22のリングギヤ55が回転不能かつ軸方向移動不能に係合している。ハウジング43には、断接部23のツーウェイクラッチ60(外輪)が回転不能かつ軸方向移動不能に係合している。
【0059】
ハウジング44は、ボルト46によってハウジング43に組み付けられた筒状の部材である。ハウジング44は、減速部22及び差動部24と外部とを仕切る役目のハウジングである。ハウジング44は、出力シャフト72が挿通される穴部を有し、ボールベアリング73を介して出力シャフト72を回転可能に支持する。ハウジング44は、当該穴部における出力シャフト72との隙間をシールするシール74を支持(保持)する。ハウジング44は、差動部24の外周を覆っており、ボールベアリング68を介して差動部24のケース64を回転可能に支持する。ハウジング44には、アクチュエータ78が固定されており、アクチュエータ78によって回転駆動する出力シャフト62を挿通するための貫通穴を有する。
【0060】
ボルト45は、ハウジング41をハウジング42に締結固定するための部材である。
【0061】
ボルト46は、ハウジング44をハウジング43に締結固定するための部材である。
【0062】
ステータ47は、モータジェネレータ21の固定子である。ステータ47は、ホルダ48の内周側に嵌入固定されている。ステータ47は、環状(分割されたピースが並んで環状になっていてもよい)に形成されており、内周側に延在したティース部を有し、当該ティース部にコイル(モータジェネレータ21が三相モータである場合、U相コイル、V相コイル、W相コイル)が巻回されている。
【0063】
ホルダ48は、ステータ47を支持するホルダである。ホルダ48は、環状の部材であり、その内周側においてステータ47が嵌入されている。ホルダ48は、ハウジング43の内側に配されており、ボルト49によってハウジング43に固定されている。
【0064】
ボルト49は、ホルダ48をハウジング43に固定するための部材である。
【0065】
ロータ50は、モータジェネレータ21の回転子である。ロータ50は、ステータ47の内周側にて、回転可能に配置されている。ロータ50は、環状に構成され、その内周側にて筒状の出力軸51が装着固定されている。
【0066】
出力軸51は、モータジェネレータ21の回転軸である。出力軸51は、円筒状に形成されている。出力軸51は、ロータ50の内周側にてロータ50に装着固定されている。出力軸51は、ボールベアリング52を介してハウジング42に回転可能に支持されるとともに、ボールベアリング53を介してハウジング43に回転可能に支持されている。出力軸51は、センサ16の固定子75の内周に延在した延在部を有し、当該延在部の外周面にセンサ16の回転子77が固定されている。出力軸51は、減速部22のピニオンギヤ54の内周に延在したサンギヤ部51aを有する。サンギヤ部51aは、減速部22の第1段目にあるシングルピニオンプラネタリの構成部分であり、ピニオンギヤ54と噛み合っている。出力軸51は、ブッシュを介して出力シャフト69を回転可能に支持する。
【0067】
ボールベアリング52は、ハウジング42に対して出力軸51を回転可能に軸受けするための部材である。
【0068】
ボールベアリング53は、ハウジング43に対して出力軸51を回転可能に軸受けするための部材である。
【0069】
ピニオンギヤ54は、減速部22の第1段目にあるシングルピニオンプラネタリの構成部材である。ピニオンギヤ54は、出力軸51の回転軸を中心とする円周方向に所定の間隔をおいて複数個配されており、キャリヤ56とキャリヤ57との間においてキャリヤ56及びキャリヤ57に回転可能に保持されている。ピニオンギヤ54は、出力軸51のサンギヤ部51aの外周にて、サンギヤ部51aに対して公転可能に噛み合っている。ピニオンギヤ54は、出力軸51の回転軸の中心から離れた側にて、リングギヤ55と噛み合っている。
【0070】
リングギヤ55は、減速部22の第1段目にあるシングルピニオンプラネタリの構成部材である。リングギヤ55は、環状の部材であり、内周面にてピニオンギヤ54と噛み合うギヤを有する。リングギヤ55は、外周面にてハウジング43と回転不能かつ軸方向移動不能に係合している。リングギヤ55は、モータジェネレータ21の径以上にならないように設定されている。
【0071】
キャリヤ56は、減速部22の第1段目にあるシングルピニオンプラネタリの構成部材である。キャリヤ56は、ピニオンギヤ54を回転可能に支持する。キャリヤ56は、ブッシュを介してハウジング43に回転可能に支持されている。
【0072】
キャリヤ57は、減速部22の第1段目にあるシングルピニオンプラネタリから第2段目にあるシングルピニオンプラネタリに回転動力を伝達する部材である。キャリヤ57は、ピニオンギヤ54を回転可能に支持する。キャリヤ57は、ブッシュを介してキャリヤ63を回転可能に支持している。キャリヤ57は、減速部22のピニオンギヤ58の内周に延在したサンギヤ部57aを有する。サンギヤ部57aは、減速部22の第2段目にあるシングルピニオンプラネタリの構成部分であり、ピニオンギヤ58と噛み合っている。キャリヤ57は、ブッシュを介して差動部24のケース64に回転可能に支持されている。
【0073】
ピニオンギヤ58は、減速部22の第2段目にあるシングルピニオンプラネタリの構成部材である。ピニオンギヤ58は、出力軸51の回転軸を中心とする円周方向に所定の間隔をおいて複数個配されており、キャリヤ63とキャリヤ部64aとの間においてキャリヤ63及びキャリヤ部64aに回転可能に保持されている。ピニオンギヤ58は、キャリヤ57のサンギヤ部57aの外周にて、サンギヤ部57aに対して公転可能に噛み合っている。ピニオンギヤ58は、出力軸51の回転軸の中心から離れた側にて、リングギヤ59と噛み合っている。
【0074】
リングギヤ59は、減速部22の第2段目にあるシングルピニオンプラネタリの構成部材である。リングギヤ59は、環状の部材であり、内周面にてピニオンギヤ58と噛み合うギヤを有する。リングギヤ59は、外周面にてツーウェイクラッチ60の内輪に固定されている。リングギヤ59は、モータジェネレータ21の径以上にならないように設定されている。
【0075】
ツーウェイクラッチ60は、外輪に対して内輪を一方向にのみ回転を許容する状態(前進噛み合い状態、前進接状態)と、外輪に対して内輪を他方向にのみ回転を許容する状態(後進噛み合い状態、後進接状態)と、外輪に対して内輪を両方向に回転を許容する状態(ニュートラル状態、断状態)と、に切替可能な装置である。ツーウェイクラッチ60において、前進接状態及び後進接状態ではモータジェネレータ21からの回転動力が減速部22及び差動部24を介して車軸69、72に伝達されて4WD走行となり、断状態では車軸69、72からの回転動力を遮断してモータジェネレータ21の連れ回りを防止した2WD走行となる。モータジェネレータ21の連れ回りを防止しているのは、減速部22の高減速比により、後輪駆動装置20を作動させない(モータ通電なし)状態で走る(2WD走行)場合、出力軸51の連れ回りによりモータジェネレータ21が高回転(減速部22により増速される)となり、モータジェネレータ21の耐久性が問題となるからである。ツーウェイクラッチ60は、断接部23の構成部材であり、動力の伝達の断接を行う。ツーウェイクラッチ60は、上記3つの状態を切替可能にする切替機構を有する。ツーウェイクラッチ60には、例えば、クラッチ係合方向を切替可能なメカ式ツーウェイクラッチ、摩擦切替式ツーウェイクラッチを用いることができる。ツーウェイクラッチ60は、アクチュエータ78の出力シャフト62により切替機構プレート61を作動(回転作動)させることで、内輪と外輪との回転方向を切り替えることが可能となる。ツーウェイクラッチ60の外輪は、ハウジング43に固定されている。ツーウェイクラッチ60の内輪は、第2段目にあるシングルピニオンプラネタリのリングギヤ59の外周面に固定されている。ツーウェイクラッチ60は、モータジェネレータ21の径以上にならないように設定されている。なお、ここでは、車両前進・後進に対応するため、ツーウェイクラッチ60を用いているが、前進のみの場合には、ツーウェイクラッチ60の代わりにワンウェイクラッチを用いてもよい。
【0076】
切替機構プレート61は、ツーウェイクラッチ60の内輪と外輪との回転方向を切り替えるためのプレートである。切替機構プレート61は、ツーウェイクラッチ60に回転可能に取り付けられており、アクチュエータ78の出力シャフト62の回転作動に連動して回転するように出力シャフト62と係合している。
【0077】
出力シャフト62は、アクチュエータ78の作動により回転するシャフトである。出力シャフト62は、ハウジング44に回転可能に支持されている。出力シャフト62は、回転することにより連動して切替機構プレート61を回転させるように、切替機構プレート61と係合している。
【0078】
キャリヤ63は、減速部22の第2段目にあるシングルピニオンプラネタリの構成部材である。キャリヤ63は、ピニオンギヤ58を回転可能に支持する。キャリヤ63は、ブッシュを介してキャリヤ57に回転可能に支持されている。
【0079】
ケース64は、差動部24のギヤ65、66、67を収容するケースである。ケース64は、内側において出力シャフト69、72の回転軸に対して直角方向に回転軸を有するピニオンギヤ65を回転可能に保持する。ケース64は、内側において出力シャフト69の回転軸と同じ方向に回転軸を有するサイドギヤ66を回転可能に支持する。ケース64は、サイドギヤ66と対向する位置にて、内側において出力シャフト72の回転軸と同じ方向に回転軸を有するサイドギヤ66を回転可能に支持する。ケース64は、ボールベアリング68を介してハウジング44に回転可能に支持されている。ケース64は、ブッシュを介して出力シャフト69に回転可能に支持されている。ケース64は、ブッシュを介してキャリヤ57を回転可能に支持する。ケース64は、減速部22の第2段目にあるシングルピニオンプラネタリから差動部24に回転動力を伝達するためのキャリヤ部64aを有する。キャリヤ部64aは、ピニオンギヤ58を回転可能に支持する。なお、ケース64は、図2では、キャリヤ部64aと一体になった構成となっているが、必ずしも一体となっている必要はなく、分割して互いに相対回転不能に係合していてもよい。
【0080】
ピニオンギヤ65は、サイドギヤ66、67の回転軸に対して直角方向に回転軸を有するかさ歯車である。ピニオンギヤ65は、ケース64に回転可能に保持されている。ピニオンギヤ65は、出力シャフト69側にてサイドギヤ66と噛み合っている。ピニオンギヤ65は、出力シャフト72側にてサイドギヤ67と噛み合っている。
【0081】
サイドギヤ66は、ピニオンギヤ65の回転軸に対して直角方向に回転軸を有するかさ歯車である。サイドギヤ66の回転軸は、サイドギヤ67の回転軸と同軸である。サイドギヤ66は、ケース64に回転可能に支持されており、出力シャフト69に対して回転不能にスプライン係合している。サイドギヤ66は、ピニオンギヤ65と噛み合っている。
【0082】
サイドギヤ67は、ピニオンギヤ65の回転軸に対して直角方向に回転軸を有するかさ歯車である。サイドギヤ67の回転軸は、サイドギヤ66の回転軸と同軸である。サイドギヤ67は、ケース64に回転可能に支持されており、出力シャフト72に対して回転不能にスプライン係合している。サイドギヤ67は、ピニオンギヤ65と噛み合っている。
【0083】
ボールベアリング68は、ハウジング44に対して差動部24のケース64を回転可能に軸受けするための部材である。
【0084】
出力シャフト69は、差動部24からの回転動力を後輪(図1の14)に伝達するシャフト(車軸)である。出力シャフト69は、差動部24のサイドギヤ66に対して回転不能にスプライン係合している。出力シャフト69は、ケース64に形成された筒状部の内側に挿入されており、ブッシュを介して差動部24のケース64の筒状部を回転可能に支持する。出力シャフト69は、筒状の出力軸51の内側を挿通しており、ブッシュを介して出力軸51に回転可能に支持されている。出力シャフト69は、ボールベアリング70を介してハウジング41に回転可能に支持されている。出力シャフト69は、シール71と圧接している。
【0085】
ボールベアリング70は、ハウジング41に対して出力シャフト69を回転可能に軸受けするための部材である。
【0086】
シール71は、ハウジング41の穴部と出力シャフト69との間の隙間をシールする部材である。
【0087】
出力シャフト72は、差動部24からの回転動力を後輪(図1の15)に伝達するシャフト(車軸)である。出力シャフト72は、差動部24のサイドギヤ67に対して回転不能にスプライン係合している。出力シャフト72は、ボールベアリング73を介してハウジング44に回転可能に支持されている。出力シャフト72は、シール74と圧接している。
【0088】
ボールベアリング73は、ハウジング44に対して出力シャフト72を回転可能に軸受けするための部材である。
【0089】
シール74は、ハウジング44の穴部と出力シャフト72との間の隙間をシールする部材である。
【0090】
固定子75は、モータジェネレータ21の出力軸51の回転速度を検出するセンサ16の構成部である。固定子75は、ボルト76によってハウジング42に固定されている。固定子75は、モータジェネレータ21の出力軸51に固定された回転子77の回転速度を検出する。固定子75は、メインコントローラ(図1の31)と通信可能に接続されている。
【0091】
ボルト76は、固定子75をハウジング42に固定するための部材である。
【0092】
回転子77は、モータジェネレータ21の出力軸51と一体に回転する部材である。回転子77は、固定子75の内側に配されている。
【0093】
アクチュエータ78は、ツーウェイクラッチ60の作動状態を切り替える装置である。アクチュエータ78は、ハウジング44に固定されている。アクチュエータ78は、アクチュエータコントローラ(図1の34)と通信可能に接続されており、アクチュエータコントローラ(図1の34)によって回転動作が制御される。アクチュエータ78は、アクチュエータコントローラ(図1の34)の制御に応じて、出力シャフト62を回転させ、出力シャフト62と係合する切替機構プレート61を回転させることで、ツーウェイクラッチ60の作動状態(断接状態、回転許容方向)を切り替える。アクチュエータ78には、モータ式のアクチュエータを用いることができる。
【0094】
後輪駆動装置20の動力伝達経路では、モータジェネレータ21から出力された回転動力が減速部22におけるサンギヤ部51aに入力され、減速部22において回転動力が減速されて(リングギヤ55、59が固定)キャリヤ部64aから回転動力を出力し、キャリヤ部64aから出力された回転動力が差動部24におけるケース64に入力され、差動部24において左右回転数を配分して出力シャフト69、72へ回転動力を伝達する。
【0095】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の走行パターンについて図面を用いて説明する。図3は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の走行パターンを模式的に示した表である。
【0096】
実施例1に係る車両駆動装置(図1の1)では、車両の4WD性能を確保し、引き摺りトルクを低減し、かつ、モータの電力消費量を低減するために、低速域では常時4WD走行となり、中速域では原則的には2WD走行となるがスリップ、加速アシスト、旋回等の所定の条件でのみ4WD走行となり、高速域では2WD走行となるように、モータジェネレータ(図1の21)及び断接部(図1の23)を制御することで、走行パターン(図3参照)を制御する。走行パターンの詳細は、以下の通りである。
【0097】
[走行パターン1]
走行パターン1では、加速時において車速がV1未満(停止〜V1)の低速域のときに、断接部(図1の23)をON(前進接状態)、モータジェネレータ(図1の21)をON(前進駆動)とし、常時4WD走行とする。
【0098】
[走行パターン2]
走行パターン2では、加速時において車速がV1以上かつV2未満の中速域のときに、断接部(図1の23)をON(前進接状態)、モータジェネレータ(図1の21)をOFF(非駆動)とし、原則的には2WD走行とするが、スリップ、加速アシスト、旋回等の所定の条件を検出したときのみ、モータジェネレータ(図1の21)をON(前進駆動)として4WD走行とする。ここで、走行パターン2において断接部(図1の23)をONにしているのは、スリップ等の所定の条件を検出した時に4WDの応答性の遅れがないようにする(モータジェネレータ21を通電するだけで4WD走行とする)ためであり、4WDにする必要がないときにはモータジェネレータ(図1の21)の消費電力を低減させるためである。なお、V2はV1よりも大きい値である。
【0099】
[走行パターン3]
走行パターン3では、加速時において車速がV2以上の高速域のときに、断接部(図1の23)をOFF(断状態)、モータジェネレータ(図1の21)をOFF(非駆動)とし、常時2WD走行とする。ここで、断接部(図1の23)をOFF(断状態)としているのは、モータジェネレータ(図1の21)の引き摺りトルクを低減させるためである。
【0100】
[走行パターン4]
走行パターン4では、減速時において車速がV3以上(V2>V3>V1)のときに、断接部(図1の23)をOFF(断状態)、モータジェネレータ(図1の21)をOFF(非駆動)とし、常時2WD走行とする。なお、V3は、V2近傍での走行による頻繁な動力の断接(ON/OFF)を防ぐために、V2より低く設定する。
【0101】
[走行パターン5]
走行パターン5では、減速時において車速がV3未満(V3〜停止)のときに、断接部(図1の23)をON(前進接状態)、モータジェネレータ(図1の21)をON(回生)とする。
【0102】
なお、比較例1として、閾値が0個で常時4WD走行の場合、高速域でのモータジェネレータの高回転化により、モータジェネレータの大型化につながる。また、比較例2として、閾値が1個で中速域を設けない場合、閾値の設定により4WD走行範聞が狭くなるか、モータ消費電力が多くなる。さらに、比較例3として、閾値が2個で高速域近傍で走行した場合に、頻繁な断接部での断接を行う可能性があり、断接部の耐久性が問題となる。
【0103】
比較例4として、特許文献4のように、モータ駆動専用のバッテリを持たないエンジン・モータ複合型の四輪駆動装置(モータ駆動用バッテリを持つ四輪駆動装置:特許文献1)2WDと4WDとの間の切替スイッチを持ち、切替スイッチON時は必要に応じて(発進・登坂走行時のように走行負荷の大きい場合)モータを制御し四輪駆動とし、表1のように9パターンの走行モードをもつものでは、4WDスリップ走行制御モードが走行パターンNo.1〜4までの間でのみ対応となっており(その他の走行パターンだとクラッチOFFとなっておりスリップ検出後にすぐにトルク伝達ができない)、車速V1の閾値が小さいと4WD走行範囲が狭くなり低速、中速域で4WD走行ができない(特許文献4の[0047]に『発進後、通常の低中速走行では、モータは駆動させず』と記載有)。逆に車速V1の閾値を大きくするとモータ消費電力が多くなる。
【0104】
[表1]

【0105】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における電子制御装置の動作について図面を用いて説明する。図4は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における電子制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。
【0106】
まず、電子制御装置(図1の30)は、車両が加速中であるか否かを判定する(ステップA1)。なお、加速中か否かの判定は、例えば、車速センサで検出された車速の所定時間当たりの変化量がプラスか否かにより判定することができる。加速中でない場合(ステップA1のNO)、ステップA8に進む。
【0107】
加速中である場合(ステップA1のYES)、電子制御装置(図1の30)は、車速がV1より小さいか否かを判定する(ステップA2)。車速がV1より小さくない場合(ステップA2のNO)、ステップA4に進む。
【0108】
車速がV1より小さい場合(ステップA2のYES)、又は、所定の状態を検出した場合(ステップA5のYES)、電子制御装置(図1の30)は、断接部(図1の23)をON(前進接状態)、モータジェネレータ(図1の21)をON(前進駆動)とし、4WD駆動とし(ステップA3;図3の走行パターン1又は2)、その後、スタートに戻る。
【0109】
車速がV1より小さくない場合(ステップA2のNO)、電子制御装置(図1の30)は、車速がV2より小さいか否かを判定する(ステップA4)。車速がV2より小さくない場合(ステップA4のNO)、ステップA7に進む。
【0110】
車速がV2より小さい場合(ステップA4のYES)、電子制御装置(図1の30)は、所定の状態(スリップ、加速アシスト、旋回等)を検出したか否かを判定する(ステップA5)。なお、所定の状態は、例えば、スリップであればモータジェネレータ(図2の21)の出力軸(図2の51)の回転速度を検出するセンサ(図2の16)の検出値の変化が所定値以上のときにスリップと判定し、加速アシストであれば路面勾配を検出するセンサの検出値が所定値以上のときに加速アシストが必要であると判定し、旋回であればハンドルの位置を検出する位置が所定値以上のときに旋回と判定する。所定の状態を検出した場合(ステップA5のYES)、ステップA3に進む。
【0111】
所定の状態を検出しない場合(ステップA5のNO)、電子制御装置(図1の30)は、断接部(図1の23)をON(前進接状態)、モータジェネレータ(図1の21)をOFF(非駆動)とし、2WDとし(ステップA6;図3の走行パターン2)、その後、スタートに戻る。
【0112】
車速がV2より小さくない場合(ステップA4のNO)、電子制御装置(図1の30)は、断接部(図1の23)をOFF(断状態)、モータジェネレータ(図1の21)をOFF(非駆動)とし、常時2WD走行とし(ステップA7;図3の走行パターン3)、その後、スタートに戻る。
【0113】
加速中でない場合(ステップA1のNO)、電子制御装置(図1の30)は、車速がV3以上であるか否かを判定する(ステップA8)。車速がV3以上でない場合(ステップA8のNO)、ステップA10に進む。
【0114】
車速がV3以上である場合(ステップA8のYES)、電子制御装置(図1の30)は、断接部(図1の23)をOFF(断状態)、モータジェネレータ(図1の21)をOFF(非駆動)とし、常時2WD走行とし(ステップA9;図3の走行パターン4)とし、その後、スタートに戻る。
【0115】
車速がV3以上でない場合(ステップA8のNO)、電子制御装置(図1の30)は、断接部(図1の23)をON(前進接状態)、モータジェネレータ(図1の21)をON(回生)とし、4WD回生走行とし(ステップA10;図3の走行パターン5)、その後、スタートに戻る。
【0116】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の動作の一例について図面を用いて説明する。図5は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の動作の一例を模式的に示したタイムチャートである。
【0117】
図5の車速の変化に対して、MG3(モータジェネレータ21)の回転速度、MG3のON/OFF、ACT(アクチュエータ78)のON/OFF、断接部(図1の23)の断接状態、走行パターン(図3参照)の選択状態の変化は、図5で示した通りとなる。
【0118】
実施例1によれば、後輪駆動装置20において出力シャフト69、72に対しモータジェネレータ21、減速部22、断接部23、差動部24が軸方向に並べて配置(一軸配置)されているので、後輪駆動装置20の出力シャフト69、72の回転軸の径方向に対して小型化が可能となり、車両搭載性が向上し、車両室内空間を確保することができる。また、後輪駆動装置20の出力シャフト69、72の回転軸の径方向に対して小型化が可能となるため、最低地上高が低い低床用のハイブリッド車両、電気自動車に搭載することが可能となる。また、径方向で一番サイズの大きくなる要因であるモータジェネレータ21を小型化するため出力トルクを小さいものを選択し、減速部22(サンギヤ入力、リングギヤ固定、キャリヤ出力)を二段持ちの高減速比とすることで、小型化しても駆動トルクを稼ぐことができる。
【0119】
また、実施例1によれば、速度域に応じて走行パターンを制御(モータジェネレータ21及び断接部23を制御)するため、4WD性能を確保しつつ、引き摺りトルク低減(断接部23の制御による)、モータ消費電力低減(モータジェネレータ21の制御による)が可能となり、燃費を向上させることができる。車速を3つの閾値を用いて、モータジェネレータ21、断接部23を制御しており、発進時から低速時(モータジェネレータ21をON、断接部23を接)には常時4WD走行となり、中速域(モータジェネレータ21を原則OFF、断接部23を接)ではスリップ、加速アシスト、旋回等の所定の条件でのみ4WD走行とし、高速域(モータジェネレータ21をOFF、断接部23を断)では2WD走行とすることで、走行性能を向上させることができる。
【実施例2】
【0120】
本発明の実施例2に係る車両駆動装置について図面を用いて説明する。図6は、本発明の実施例2に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示した断面図である。
【0121】
実施例2は、実施例1の変形例であり、断接部23を減速部22に設けるのを止めるとともに、サイドギヤ67と出力シャフト72とをスプライン係合させるのを止めて、断接部23を差動部24におけるサイドギヤ67と出力シャフト72との間の動力伝達経路上に設けたものである。これに伴い、ツーウェイクラッチ(図2の60)、切替機構プレート(図2の61)、出力シャフト(図2の62)、及びアクチュエータ(図2の78)がなくなり、リングギヤ59が外周面にてハウジング43に固定され、サイドギヤ67が出力シャフト72の外周にて出力シャフト72に対して回転可能に配されている。差動部24では、サイドギヤ67に形成されたスプライン部67aと、スプライン部材81と、スリーブ82と、ボールベアリング83と、フォーク84と、アクチュエータ85と、を有する。
【0122】
スプライン部67aは、サイドギヤ67の本体から図6の右側に延在した筒状部分の外周面に外スプラインが形成された部分である。スプライン部67aは、スリーブ82が図6の左側にスライドすることで、スリーブ82における内スプラインとスプライン係合が可能である。
【0123】
スプライン部材81は、外周面に外スプラインが形成された筒状部材である。スプライン部材81は、出力シャフト72の外周に配されており、内周面にて出力シャフト72と相対回転不能かつ軸方向移動不能にスプライン係合している。スプライン部材81は、スリーブ82の内スプラインとスプライン係合しており、スリーブ82が図6の左側にスライドしてサイドギヤ67のスプライン部67aとスプライン係合することによりサイドギヤ67からの回転動力が入力され、入力された回転動力を出力シャフト72に向けて出力する。スプライン部材81は、ボールベアリング83を介してハウジング44に回転可能に支持されている。
【0124】
スリーブ82は、内周面に内スプラインが形成された筒状部材である。スリーブ82は、スプライン部材81の外周に配されており、スプライン部材81の少なくとも一部とスプライン係合している。スリーブ82は、図6の左側にスライドすることで、スプライン部材81とスプライン係合したままサイドギヤ67のスプライン部67aとスプライン係合可能であり、図6の右側にスライドすることで、サイドギヤ67のスプライン部67aとのスプライン係合が解除される。スリーブ82は、外周面において、アクチュエータ85の作動によってスライドするフォーク84と係合しており、フォーク84のスライドに連動してスライドする。
【0125】
ボールベアリング83は、ハウジング44に対してスプライン部材81を回転可能に軸受けするための部材である。
【0126】
フォーク84は、出力シャフト69、72の回転軸の方向にスリーブ82をスライドさせるための部材である。フォーク84は、ハウジング44に形成された開口部において、アクチュエータ85の作動によって出力シャフト69、72の回転軸の方向にスライド可能である。
【0127】
アクチュエータ85は、スリーブ82のスライド位置を切り替える装置である。アクチュエータ85は、ハウジング44に固定されている。アクチュエータ85は、アクチュエータコントローラ(図1の34に相当)と通信可能に接続されており、アクチュエータコントローラ(図1の34に相当)によって回転動作が制御される。アクチュエータ85は、アクチュエータコントローラ(図1の34に相当)の制御に応じて、フォーク84をスライドさせ、フォーク84と係合するスリーブ82をスライドさせることで、スリーブ82とサイドギヤ67のスプライン部67aとの係合状態(断接状態)を切り替える。アクチュエータ85には、モータ式のアクチュエータを用いることができる。アクチュエータ85は、モータジェネレータ21の径以上にならないように設定されている。
【0128】
図6の後輪駆動装置20を含む車両駆動装置では、サイドギヤ67とスリーブ82が係合時は、4WD走行となり、サイドギヤ67とスリーブ82が係合解除時はモータジェネレータ21の連れ回りを防止した2WD走行となる。モータジェネレータ21の連れ回りを防止しているのは、減速部22の高減速比により、後輪駆動装置20を作動させない(モータ通電なし)状態で走る(2WD走行)場合、出力軸51の連れ回りによりモータジェネレータ21が高回転(減速部22により増速される)となり、モータジェネレータ21の耐久性が問題となるからである。
【0129】
その他の構成、動作については、実施例1と同様である。
【0130】
実施例2によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、断接部23が差動部24にあるため、2WD走行持(非嵌合時)に連れまわる部位が、出力シャフト69、72のみとなり、より引き摺り低減できる。
【0131】
なお、本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0132】
1 車両駆動装置
2 エンジン(動力源)
3、4 モータジェネレータ(動力源)
5 変速機
6 差動装置
7、8、9 インバータ
10 昇降圧コンバータ
11 バッテリ
12、13 前輪(他方の一対の車輪)
14、15 後輪(一対の車輪)
16 センサ
20 後輪駆動装置
21 モータジェネレータ(モータ)
22 減速部
23 断接部(動力伝達機構)
24 差動部
30 電子制御装置
31 メインコントローラ
32 エンジンコントローラ
33 モータジェネレータコントローラ
34 アクチュエータコントローラ
41、42、43、44 ハウジング
45、46 ボルト
47 ステータ
48 ホルダ
49 ボルト
50 ロータ
51 出力軸
51a サンギヤ部(第1サンギヤ)
52、53 ボールベアリング
54 ピニオンギヤ(第1ピニオンギヤ)
55 リングギヤ(第1リングギヤ)
56 キャリヤ
57 キャリヤ(第1キャリヤ)
57a サンギヤ部(第2サンギヤ)
58 ピニオンギヤ(第2ピニオンギヤ)
59 リングギヤ(第2リングギヤ)
60 ツーウェイクラッチ
61 切替機構プレート
62 出力シャフト
63 キャリヤ
64 ケース
64a キャリヤ部(第2キャリア)
65 ピニオンギヤ(第3ピニオンギヤ)
66 サイドギヤ(第1サイドギヤ)
67 サイドギヤ(第2サイドギヤ)
67a スプライン部(第1スプライン)
68 ボールベアリング
69 出力シャフト(車軸)
70 ボールベアリング
71 シール
72 出力シャフト(車軸)
73 ボールベアリング
74 シール
75 固定子
76 ボルト
77 回転子
78 アクチュエータ
81 スプライン部材(第2スプライン)
82 スリーブ
83 ボールベアリング
84 フォーク
85 アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動力を出力するモータと、
前記モータからの回転動力を減速して出力する減速部と、
前記減速部からの回転動力を一対の車輪に向けて分配して出力する差動部と、
前記モータと前記車輪との間の動力伝達経路を断接する動力伝達機構と、
を備え、
前記モータ、前記減速部、前記差動部、及び前記動力伝達機構は、前記車輪の車軸方向の一軸上に並べて配置されることを特徴とする車両駆動装置。
【請求項2】
前記減速部と前記差動部との間の動力伝達経路は、前記モータの内側以外に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両駆動装置。
【請求項3】
前記減速部は、前記モータの回転動力が入力される第1プラネタリ機構と、前記第1プラネタリ機構の回転動力が入力されるとともに前記差動部に向けて回転動力を出力する第2プラネタリ機構と、を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の車両駆動装置。
【請求項4】
前記第1プラネタリ機構は、前記モータの回転動力が入力される第1サンギヤと、前記第1サンギヤに対して公転可能に噛み合う第1ピニオンギヤと、前記第1ピニオンギヤと噛み合うとともに回転不能に固定された第1リングギヤと、前記第1ピニオンギヤを回転可能に支持する第1キャリヤと、を備え、
前記第2プラネタリ機構は、前記第1キャリヤの回転動力が入力される第2サンギヤと、前記第2サンギヤに対して公転可能に噛み合う第2ピニオンギヤと、前記第2ピニオンギヤと噛み合う第2リングギヤと、前記第2ピニオンギヤを回転可能に支持するとともに前記差動部に向けて回転動力を出力する第2キャリヤと、を備えることを特徴とする請求項3記載の車両駆動装置。
【請求項5】
前記モータは、環状をなし、
前記モータの径方向における前記第2リングギヤの大きさは、同方向における前記モータの大きさよりも小さいことを特徴とする請求項4記載の車両駆動装置。
【請求項6】
前記動力伝達機構は、
前記第2リングギヤと一体に回転する内輪と、回転不能に固定された外輪と、を備えるとともに、前記外輪に対して前記内輪を一方向にのみ回転を許容する状態と、前記外輪に対して前記内輪を他方向にのみ回転を許容する状態と、前記外輪に対して前記内輪を両方向に回転を許容する状態と、に切替可能なツーウェイクラッチと、
前記ツーウェイクラッチの作動状態を切り替えるアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項4又は5記載の車両駆動装置。
【請求項7】
前記モータは、環状をなし、
前記モータの径方向における前記ツーウェイクラッチの大きさは、同方向における前記モータの大きさよりも小さいことを特徴とする請求項6記載の車両駆動装置。
【請求項8】
前記第2リングギヤは、回転不能に固定され、
前記差動部は、
前記第2キャリヤと一体に回転するケースと、
前記ケースに回転可能に支持された第3ピニオンギヤと、
前記ケースに回転可能に支持されるとともに、前記第3ピニオンギヤと噛み合い、かつ、前記一対の車輪の一方と一体に回転する第1サイドギヤと、
前記ケースに回転可能に支持されるとともに、前記第3ピニオンギヤと噛み合う第2サイドギヤと、
を備え、
前記動力伝達機構は、
前記第2サイドギヤと一体に回転する外歯の第1スプラインと、
前記一対の車輪の他方と一体に回転する外歯の第2スプラインと、
前記第1スプライン及び前記第2スプラインの両方とスプライン係合した状態、及び、前記第1スプライン及び前記第2スプラインの一方のみとスプライン係合した状態に切替可能にスライドするスリーブと、
前記スリーブのスライド位置を切り替えるアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項4又は5記載の車両駆動装置。
【請求項9】
前記モータは、発電可能なモータジェネレータであり、
放電及び蓄電可能なバッテリと、
前記モータの動作を制御するインバータと、
前記バッテリの電力を昇圧して前記インバータを介して前記モータに供給する機能と、前記モータで発電した電力を前記インバータを介して降圧して前記バッテリに供給する機能とを有する昇降圧コンバータと、
を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の車両駆動装置。
【請求項10】
前記モータ及び前記減速部を制御する電子制御装置を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の車両駆動装置。
【請求項11】
前記一対の車輪は、前輪及び後輪の一方の車輪であり、
回転動力を出力する1又は複数の動力源と、
前記動力源からの回転動力を変速して出力する変速機と、
前記変速機からの回転動力を前記前輪及び前記後輪の他方の一対の車輪に向けて分配して出力する差動装置と、
を備え、
前記電子制御装置は、前記動力源の動作も制御することを特徴とする請求項10記載の車両駆動装置。
【請求項12】
前記電子制御装置は、
加速時において車速が第1閾値未満である低速域のときに、前記動力伝達機構を接状態、及び、前記モータを駆動として、4輪駆動走行となるように制御し、
加速時において車速が前記第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である中速域のときに、前記動力伝達機構を接状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行とし、所定の条件が満たされたときのみ、前記動力伝達機構を接状態、及び、前記モータを駆動として、4輪駆動走行となるように制御し、
加速時において車速が前記第2閾値以上である高速域のときに、前記動力伝達機構を断状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御することを特徴とする請求項11記載の車両駆動装置。
【請求項13】
前記電子制御装置は、
減速時において車速が、前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2閾値よりも小さい第3閾値以上のときに、前記動力伝達機構を断状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御し、
減速時において車速が前記第3閾値未満のときに、前記動力伝達機構を接状態、及び、前記モータを回生とするように制御することを特徴とする請求項11又は12記載の車両駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−91759(P2012−91759A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243075(P2010−243075)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】