説明

過給機付き内燃機関

【課題】本発明は、コストを抑えて排気ガスを効果的に浄化できる過給機付き内燃機関を提供する。
【解決手段】エンジン10は、第一過給機としての電動過給機24と、第二過給機としての排気タービン過給機40と、2次空気供給手段50と、触媒33とを備える。電動過給機24は、燃焼室12に連通する吸気通路21に設けられ、吸入した空気を燃焼室12へ過給する。排気タービン過給機40は、吸気通路21において、電動過給機24に対し直列に設けられ、吸入した空気を燃焼室12へ過給する。2次空気供給手段50は、電動過給機24によって圧縮された空気を、燃焼室12に連通する排気通路31に供給する。触媒33は、排気通路31に設けられ、排気ガスを浄化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの過給機を備える内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
空気の充填率を向上するために、排気タービン過給機を備えるエンジンがある。排気タービン過給機は、排気通路内に設けられるタービンと、吸気通路内に設けられ、タービンと連動して駆動し、吸入した空気を燃焼室内に過給するコンプレッサと、を備えている。
【0003】
この種のエンジンでは、排気通路内を流動する排気ガスによってタービンが回転駆動する。そして、タービンと連動してコンプレッサが駆動することによって、吸入した空気が燃焼室内へ過給される。これにより、空気の充填率が向上する。
【0004】
しかし、排気タービン過給機は、エンジンの回転数が所定の回転域のとき、例えば高回転のときに過給できるように設定されている。それゆえ、排気タービン過給機は、エンジンの回転数が有効回転域以外のときには、効果が得られない。
【0005】
このような排気タービン過給機による不具合を補い、エンジンの回転数が有効回転域以外のときにも充填率を向上するために、排気タービン過給機と電動過給機とを備えるエンジンが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
電動過給機は、吸気通路中に設けられるコンプレッサと、コンプレッサを駆動する電動機とを備えている。このため、電動過給機は、エンジンの回転数に関わらずに吸入した空気を燃焼室内に過給することができる。
【0007】
この種のエンジンは、エンジンの回転数が低回転のときには、電動過給機によって空気の充填率を向上し、エンジンの回転が高回転のときには、排気タービン過給機によって空気の充填率を向上している。
【特許文献1】特開2004−76659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、排気ガスを浄化するために、排気通路内に触媒を設置するエンジンがある。この触媒は、排気ガスによって活性温度まで昇温されると、排気ガスを浄化する。
【0009】
しかし、エンジンの始動時では、触媒が暖まっておらず、触媒が活性温度に達するまでの間、排気ガスが浄化されずに外部に排出されてしまう。
【0010】
特に、特許文献1に開示されているエンジンのように、排気通路内に排気タービン過給機のタービンが設置されていると、排気ガスは、タービンも昇温しなければならない。つまり、排気系の熱容量が増大する。このため、触媒が活性温度に達するまでの時間が長くなり、浄化されない排気ガスが多く排出される傾向にある。
【0011】
このため、排気通路に2次空気を供給し、排気通路内で排気ガス中の未燃燃料を燃焼し、排気系を昇温する2次空気供給システムが提案されている。2次空気供給システムは、排気通路内に圧縮空気を供給するために、別途に圧縮機を備える構成がある。しかし、圧縮機を別途に用意する構成の場合、コストが高くなる。
【0012】
したがって、本発明の目的は、コストを抑えて排気ガスを効果的に浄化できる過給機付き内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の観点に基づく本発明の過給機付き内燃機関は、第一過給機と、第二過給機と、2次空気供給手段と、触媒とを備える。第一過給機は、燃焼室に連通する吸気通路に設けられ、吸入した空気を燃焼室へ過給する。第二過給機は、吸気通路に設けられ、吸入した空気を燃焼室に過給する。2次空気供給手段は、第一過給機によって圧縮された2次空気を、燃焼室に連通する排気通路に供給する。触媒は、排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する。
【0014】
第一過給機は、好ましくは、主に、内燃機関の回転数が、低回転から中回転のときに有効に過給するように設定されている。第二過給機は、好ましくは、主に、内燃機関の回転数が高回転のときに有効に過給するように設定されている。
【0015】
このように構成される過給機付き内燃機関では、例えば、内燃機関の冷態始動時など触媒の温度が低いために排気通路に2次空気を供給するときには、第一過給機によって充分に圧縮された2次空気が排気通路に供給されるようになる。
【0016】
つまり、例えば内燃機関の冷態始動時であっても、第一過給機を利用して2次空気を圧縮することによって排気通路内で充分な燃焼がおこり、触媒が早期に活性温度まで昇温されるようになる。さらに、排気通路に2次空気を供給する際に、2次空気を圧縮する圧縮機を別途に用意することがない。
【0017】
この場合、排気通路に圧縮空気を効率よく供給するために、過給機付き内燃機関は、さらに、抑制手段を備える。抑制手段は、第一過給機によって圧縮された空気が第二過給機に進入することを抑制する。
【0018】
このように構成される過給機付き内燃機関では、例えば第一過給機によって圧縮された2次空気を排気通路に供給するときには、第二過給機に2次空気が進入することが抑制される。
【0019】
第2の観点に基づく本発明の過給機付き内燃機関は、内燃機関本体と、吸気通路と、排気通路と、電動過給機と、排気タービン過給機と、2次吸気供給通路と、2次空気弁と、触媒と、制御部とを備える。内燃機関本体は、燃焼室を備える。吸気通路は、燃焼室に連通する。排気通路は、燃焼室に連通する。電動過給機は、駆動用の電動機を備えて吸気通路に設けられ、吸入した空気を燃焼室へ過給する。排気タービン過給機は、吸気通路において電動過給機の下流に設けられ、排気ガスによって駆動する。2次空気供給通路は、吸気通路において電動過給機と排気タービン過給機との間の2次空気供給通路分岐部から分岐し、排気通路に合流する。2次空気弁は、2次空気供給通路に設けられ、2次空気供給通路を開閉する。触媒は、排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する。制御部は、内燃機関本体の運転状態をみて2次空気弁の開閉と電動過給機の駆動を制御する。
【0020】
電動過給機は、好ましくは、主に、内燃機関の回転数が低回転から中回転のときに有効に過給するように設定されている。電動過給機は、内燃機関本体の運転状態に依存しない。排気タービン過給機は、好ましくは、主に、内燃機関の回転数が高回転のときに有効に過給するように設定されている。
【0021】
このように構成される過給機付き内燃機関では、2次空気を排気通路に供給するときに、制御装置は、電動過給機バイパス弁を閉じ、かつ電動過給機を駆動する。これにより、例えば内燃機関の冷態始動時など触媒の温度が低いために排気通路に2次空気を供給するときには、電動過給機によって充分に圧縮された2次空気が2次空気供給通路を通って排気通路に供給されるようになる。供給された2次空気によって、排気ガス中の未燃燃料が燃焼する。
【0022】
これにより、例えば内燃機関の冷態始動時であっても、電動過給機を利用して2次空気を圧縮することによって排気通路内に充分な燃焼がおこり、触媒が早期に活性温度まで昇温されるようになる。さらに、電動過給機を利用することによって、2次空気を圧縮する圧縮機を別途に用意することがない。
【0023】
2次空気を排気通路に供給するときに、電動過給機によって圧縮された空気の一部を燃焼室に効率よく過給するために、過給機付き内燃機関は、排気タービン過給機バイパス通路と、排気タービン過給機バイパス弁とを備える。排気タービン過給機バイパス通路は、吸気通路において電動過給機と排気タービン過給機との間の第1の分岐部から分岐し、吸気通路において排気タービン過給機の下流の第1の合流部に合流する。排気タービン過給機バイパス弁は、排気タービン過給機バイパス通路に設けられ、制御部によって排気タービン過給機バイパス通路を開閉する。制御部は、排気通路に2次空気を供給するときに、排気タービン過給機バイパス弁を開く。
【0024】
このように構成される過給機付き内燃機関では、例えば内燃機関の冷態始動時など、内燃機関の回転数が低いときには、排気タービン過給機バイパス弁を開くことによって、空気は、主に排気タービン過給機バイパス通路を通って燃焼室に供給されるようになる。これにより、排気タービン過給機が流れの抵抗になり、燃焼室に空気が供給されにくくなるということがない。
【0025】
排気通路に2次空気を供給するときおよび内燃機関本体の低回転時で中負荷時に、燃焼室に効率よく空気を過給するとともに、排気通路に2次空気を効率よく供給するために、過給機付き内燃機関は、進入防止弁を備える。進入防止弁は、吸気通路において第1の分岐部および2次空気供給通路分岐部の下流であって排気タービン過給機の上流に設けられ、制御部によって吸気通路を開閉する。制御部は、排気通路に2次空気を供給するときおよび内燃機関本体の低回転運転時で中負荷時に、進入防止弁を閉じる。
【0026】
このように構成される過給機付き内燃機関では、排気通路に2次空気を供給するときおよび内燃機関本体の低回転時で中負荷時では、進入防止弁が閉められることによって、排気タービン過給機に空気が流入することが防止される。
【0027】
これにより、排気通路に2次空気を供給するときには、電動過給機によって圧縮された空気は、排気タービン過給機を通ることなく排気タービン過給機バイパス通路を通って燃焼室に過給されるとともに、2次空気供給を通って排気通路に供給されるようになる。これにより、吸気圧損が抑制されるとともに吸気容積が減少する。
【0028】
または、過給機付き内燃機関は、逆流防止弁を備える。逆流防止弁は、吸気通路において第1の合流部と排気タービン過給機との間に設けられ、制御部によって吸気通路を開閉する。制御部は、排気通路に2次空気を供給するときおよび内燃機関本体の低回転運転時で中負荷時に、逆流防止弁を閉じる。
【0029】
このように構成される過給機付き内燃機関では、排気通路に2次空気を供給するときおよび内燃機関本体の低回転時で高負荷時では、逆流防止弁とが閉められることによって、第2の合流部から排気タービン過給機に空気が逆流することが防止される。これにより、吸気圧損が抑制されるとともに吸気容積が減少する。
【0030】
また、電動過給機の非作動時に、燃焼室に空気を効率よく供給するために、過給機付き内燃機関は、さらに、電動過給機バイパス通路と、電動過給機バイパス弁とを備える。電動過給機バイパス通路は、吸気通路において電動過給機の上流の第2の分岐部から分岐し、吸気通路において電動過給機と排気タービン過給機との間の第2の合流部に合流する。電動過給機バイパス弁は、電動過給機バイパス通路に設けられ、制御部によって電動過給機バイパス通路を開閉する。制御部は、電動過給機の非作動時には、電動過給機バイパス弁を開く。
【0031】
このように構成される過給気付き内燃機関では、電動過給機の非作動時には、電動過給機バイパス弁を開くことによって、空気は、主に電動過給機バイパス通路を通って燃焼室に供給されるようになる。これにより、電動過給機を通ることによって生じる吸気圧損が抑制される。
【発明の効果】
【0032】
本発明の過給機付き内燃機関によれば、例えば内燃機関の冷態始動時など、触媒の温度が活性温度に達していないために排気通路に2次空気を供給するときには、第一過給機を利用して排気通路に2次空気が圧縮されて供給される。
【0033】
それゆえ、例えば内燃機関の始動時など低回転時であっても、排気通路内に充分な2次空気を供給することによって排気通路内で燃焼を発生し、触媒の温度を活性温度まで早期に昇温することができる。このため、排気ガスが効果的に浄化される。
【0034】
したがって、本発明の過給機付き内燃機関は、第一過給機を利用することによって、コストを抑えて排気ガスを効果的に浄化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の第1の実施形態に係る過給機付き内燃機関について、自動車用のエンジン10を一例に図1を参照して説明する。エンジン10は、例えば水冷式のレシプロエンジンである。
【0036】
図1は、エンジン10を模式的に示している。図1に示すように、エンジン10は、エンジン本体11と、吸気系20と、排気系30と、第一過給機としての電動過給機24と、第二過給機としての排気タービン過給機40と、2次空気供給手段50と、運転状態検出手段と、ECU80とを備えている。
【0037】
エンジン本体11は、複数の燃焼室12を備えている。各燃焼室12には、例えば一対の吸気弁13と、一対の排気弁14と、点火プラグ15と、が設置されている。
【0038】
吸気系20は、吸気通路21と、電動過給機バイパス部28と、排気タービン過給機バイパス部29と、を備えている。吸気通路21は、外部から各燃焼室12内へ空気が流動する通路であって、吸気通路21は、エアクリーナ22と、電動過給機24と、インタークーラ25と、スロットル弁26と、吸気マニホールド27などから構成されている。
【0039】
エアクリーナ22は、吸気通路21の上流端に設置されている。電動過給機24は、電動機24aと、第1のコンプレッサ24bとを備えている。第1のコンプレッサ24bは、電動機24aによって駆動する。第1のコンプレッサ24bは、ハウジング24cと、ハウジング24c内に収容される第1のコンプレッサホイール24dとなどから構成されている。第1のコンプレッサ24bは、エアクリーナ22の下流側に設置されている。
【0040】
電動過給機24は、電動機24aによって駆動するので、エンジン10の運転状態に関わらずに吸入した空気を各燃焼室12内へ過給することができる。電動過給機24は、低容量過給機であって、エンジン本体11の回転数が低回転から中回転のときに各燃焼室12内に有効に過給できるように設定されている。つまり、電動過給機24は、エンジン10の始動時など、エンジン10の回転数が低いときであっても、吸入した空気を各燃焼室12内へ過給することができる。
【0041】
このため、電動過給機24は、大型のものでなくてもよい。要するに、電動過給機24は、エンジン10が低から中回転のときでも、充填率を向上させられるだけの容量と機能を有していればよい。したがって、第一過給機を低容量過給機とすることにより、第一過給機の駆動負荷の低減、コンパクト化が図れる。
【0042】
インタークーラ25は、第1のコンプレッサ24bの下流側に設置されている。スロットル弁26は、インタークーラ25の下流側に設置されている。スロットル弁26は、図示しないアクセルペダルによって操作され、吸気通路21を開閉する。
【0043】
吸気通路21の下流端には、吸気マニホールド27が設置されている。吸気マニホールド27は、燃焼室12の数に対応した複数の枝管部27bを有している。各枝管部27bは、各燃焼室12に対応してエンジン本体11に形成される吸気ポートに連通している。各吸気ポートの近傍には、燃料供給手段として、インジェクタ5が設置されている。
【0044】
吸気通路21は、前記した通り、エアクリーナ22と、第1のコンプレッサ24bと、インタークーラ25と、スロットル弁26と、吸気マニホールド27と、を順に通じて各燃焼室12内に空気を導いている。
【0045】
排気系30は、排気通路31を備えている。排気通路31は、排気マニホールド32と、触媒33と、を備えている。排気マニホールド32は、燃焼室12の数に対応した複数の枝管部32bを備えている。各枝管部32bは、各燃焼室12に対応してエンジン本体11に形成される排気ポートに連通している。触媒33は、排気マニホールド32の下流側に設置されている。触媒33は、排気ガス中のNOxや未燃燃料などの有害物質を浄化する。
【0046】
触媒33の近傍には、温度検出手段として、例えば、触媒温度センサ62が設置されている。触媒温度センサ62は、触媒33の温度を検出する。排気通路31は、前記したとおりに、排気マニホールド32、触媒33を順に通じて排気ガスを外部へ導いている。
【0047】
排気タービン過給機40は、タービン41と、第2のコンプレッサ42と、を備えている。タービン41は、排気通路31において、例えば触媒33の上流側に設置されている。タービン41は、ハウジング41aと、ハウジング41a内に収容されるタービンホイール41bと、を備えている。タービンホイール41bは、排気ガスのエネルギで回転する。
【0048】
第2のコンプレッサ42は、ハウジング42aと、ハウジング42a内に収容される第2のコンプレッサホイール42bと、を備えている。
【0049】
第2のコンプレッサ42は、吸気通路21において、第1のコンプレッサ24bとインタークーラ25との間に設置されている。第2のコンプレッサホイール42bは、シャフト43によって、タービンホイール41bの同軸上に設置されている。第2のコンプレッサホイール42bは、タービンホイール41bの回転に連動して回転する。
【0050】
排気タービン過給機40は、高容量過給機であって、エンジン10の回転数が高回転のときに有効に過給するように設定されている。
【0051】
2次空気供給手段50は、2次空気供給通路51と、2次空気弁52と、を備えている。2次空気供給通路51は、例えば管部材などから構成されており、吸気通路21と排気通路31とに連通している。
【0052】
具体的に説明すると、2次空気供給通路51は、吸気通路21において、第1のコンプレッサ24bと第2のコンプレッサ42との間の2次空気供給通路分岐部21eから分岐している。そして、排気通路31において、排気マニホールド32の下流側の2次空気供給通路合流部31aに連通している。
【0053】
2次空気弁52は、例えば電磁弁であって、2次空気供給通路51内に設けられており、2次空気供給通路51を開閉する。
【0054】
ここで、吸気系20の説明に戻る。排気タービン過給機バイパス部29は、排気タービン過給機バイパス通路29aと、排気タービン過給機バイパス弁29bと、を備えている。排気タービン過給機バイパス通路29aは、例えば管部材などによって構成されており、第2のコンプレッサ42をバイパスしている。
【0055】
具体的に説明すると、排気タービン過給機バイパス通路29aは、吸気通路21において、2次空気供給通路分岐部21eと第2のコンプレッサ42との間の第1の分岐部21cから分岐している。そして、排気タービン過給機バイパス通路29aは、第2のコンプレッサ42をバイパスし、吸気通路21において、スロットル弁26とインタークーラ25との間の第1の合流部21dに合流している。
【0056】
排気タービン過給機バイパス弁29bは、例えば電磁弁であって、排気タービン過給機バイパス通路29a内に設けられており、排気タービン過給機バイパス通路29aを開閉する。
【0057】
電動過給機バイパス部28は、電動過給機バイパス通路28aと、電動過給機バイパス弁28bと、を備えている。電動過給機バイパス通路28aは、例えば、管部材などによって構成されており、第1のコンプレッサ24bをバイパスしている。
【0058】
具体的に説明すると、電動過給機バイパス通路28aは、吸気通路21において、エアクリーナ22と第1のコンプレッサ24bとの間の第2の分岐部21aから分岐している。そして、電動過給機バイパス通路28aは、第1のコンプレッサ24bをバイパスして、吸気通路21において、2次空気供給通路分岐部21eと第1の分岐部21cとの間の第2の合流部21bに合流している。
【0059】
電動過給機バイパス弁28bは、例えば電磁弁であって、電動過給機バイパス通路28a内に設けられている。電動過給機バイパス弁28bは、電動過給機バイパス通路28aを開閉する。
【0060】
運転状態検出手段は、一例として、触媒温度センサ62と、冷却水温度センサ63と、アクセルペダル開度センサ64と、回転数センサ65とを備えている。
【0061】
触媒温度センサ62は、触媒33の近傍に設けられており、触媒33の温度を検出する。冷却水温度センサ63は、エンジン本体11に設けられており、冷却水の温度を検出する。アクセルペダル開度センサ64は、アクセルペダルの踏み込み量を検出する。回転数センサ65は、エンジン本体11に設けられており、エンジン本体11の図示しないクランクシャフトの回転数を検出する。
【0062】
ECU80は、触媒温度センサ62と、冷却水温度センサ63と、アクセルペダル開度センサ64と、回転数センサ65とに電気的に接続されており、各センサから送られる情報に基づいてエンジン本体11の運転状態を検出する。
【0063】
また、ECU80は、電動機24aと、各インジェクタ5と、排気タービン過給機バイパス弁29bと、電動過給機バイパス弁28bと、2次空気弁52とに電気的に接続されている。
【0064】
ECU80は、エンジン本体11の運転状態によって、電動機24aの駆動を制御する。ECU80は、エンジン10の運転状態によって、各インジェクタ5から噴霧される燃料の量を調整する。ECU80は、エンジン10の運転状態によって、排気タービン過給機バイパス弁29bの開閉と、電動過給機バイパス弁28bの開閉と、2次空気弁52の開閉とを制御する。
【0065】
つぎに、エンジン10の動作を説明する。
【0066】
運転者が乗車してエンジン10を始動すると、エンジン10はアイドル運転状態になる。ECU80は、冷却水温度センサ63と触媒温度センサ62との情報から冷態時であると判断すると、電動過給機バイパス弁28bを閉じ、排気タービン過給機バイパス弁29bと、2次空気弁52とを開く。このようにすることによって、電動過給機バイパス通路28aは、遮断される。さらに、ECU80は、電動過給機24を駆動し、各インジェクタ5から噴霧される燃料の量を増量させる。
【0067】
エアクリーナ22を通過した空気は、第1のコンプレッサ24bに達する。ついで、第1のコンプレッサ24bに吸入された空気は、圧縮される。この圧縮空気の一部は、排気タービン過給機バイパス通路29aを通って、各燃焼室12内に過給される。
【0068】
これは、エンジン10の回転数が低い状態では、排気ガスの排出圧力が充分ではないために、第2のコンプレッサ42が空気の流れの抵抗になるためである。
【0069】
言い換えると、排気タービン過給機バイパス弁29bが開くことによって、圧縮空気の一部は、第2のコンプレッサ42通らずに排気タービン過給機バイパス通路29aを通って各燃焼室12内に過給されるようになる。これにより、各燃焼室12に過給される圧縮空気が第2のコンプレッサ42を通ることによって生じる吸気圧力の低減が抑制される。
【0070】
このように、排気タービン過給機バイパス部29とECU80とは、電動過給機24によって圧縮された空気が第2のコンプレッサ42内に進入することを抑制している。つまり、排気タービン過給機バイパス部29とECU80とは、本発明で言う、抑制手段の一例を構成している。
【0071】
各燃焼室12に供給される燃料は、ECU80の制御によって、増量される。このため、排気ガス中に含まれる未燃燃料の量が増加する。また、第1のコンプレッサ24bで圧縮された空気の一部は、2次空気供給通路51を通って、排気通路31に供給される。
【0072】
これにより、排気通路31内では、供給された圧縮空気によって、未燃燃料が燃焼される。この燃焼熱によって、排気通路31が早期に昇温される。つまり、触媒33が早期に活性温度にまで昇温されるようになる。
【0073】
エンジン10の始動後しばらくすると、触媒33が活性温度にまで昇温される。触媒33が活性温度にまで昇温されることによって、排気ガス中の未燃燃料やNOxなどの有害物質が触媒33によって浄化される。
【0074】
触媒33の温度が活性温度まで昇温されると、排気通路31に電動過給機24を介して2次空気を供給する必要がなくなる。このため、触媒33の温度が活性温度まで昇温されたことが触媒温度センサ62によって検出すると、ECU80は、2次空気弁52を閉じるとともに電動過給機24の駆動を停止する。これにより、排気通路31内への圧縮空気の供給が停止される。
【0075】
また、ECU80は、電動過給機バイパス弁28bを開く。つまり、この状態では、排気タービン過給機バイパス弁29bと、電動過給機バイパス弁28bが開いており、2次空気弁52が閉じている。エアクリーナ22を通過した空気は、電動過給機バイパス通路28aを通る。これは、駆動が停止された第1のコンプレッサ24bが空気の流れの抵抗になるためである。電動過給機バイパス通路28aを通過した空気は、吸気通路21に合流した後に、排気タービン過給機バイパス通路29aを通って、各燃焼室12内に供給される。
【0076】
このように、空気は、第1,2のコンプレッサ24b,42と、インタークーラ25とをバイパスする。このため、第1,2のコンプレッサ24b,42とインタークーラ25とに空気が供給されることが抑制されるので、吸気容積が減少するとともに、吸気圧損が抑制される。なお、吸気容積とは、吸気系20内において、空気が流動する容積である。
【0077】
ついで、運転者は、発進準備が整うと、自動車を発進させる。この状態では、エンジン10は、低回転状態である。運転者は、アクセルペダルを踏み込で自動車を加速する。
【0078】
低から中速状態の自動車を所定の速度まで短時間のうちに加速する場合、つまり、回転数センサ65とアクセルペダル開度センサ64との情報によって、エンジン10が低から中回転で中負荷状態なったことをECU80が検出すると、ECU80は、電動過給機バイパス弁28bと2次空気弁52とを閉じ、排気タービン過給機バイパス弁29bを開き、かつ電動過給機24を駆動する。
【0079】
このようにすることによって、エアクリーナ22を通過した空気は、電動過給機バイパス通路28aを通らずに、第1のコンプレッサ24bに達する。第1のコンプレッサ24bに吸入された空気は、主に、排気タービン過給機バイパス通路29aを通って各燃焼室12内に過給される。
【0080】
これは、第2のコンプレッサ42が空気の流れの抵抗になるためである。具体的に説明すると、タービン41のタービンホイール41bは、エンジン10が低から中回転状態では有効に回転しない。このため、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から所定時間は、排気ガスの圧力が充分に高まらないのでタービンホイール41bがそれほど回転しない状態となる。
【0081】
それゆえ、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から所定時間は、第2のコンプレッサホイール42bが空気の流れの抵抗になることによって、圧縮空気が第2のコンプレッサ42に進入することが抑制される。これにより、吸気抵抗が減少する。
【0082】
しかし、電動過給機24は、その駆動がエンジン10の回転数に依存しないので、アクセルペダルの踏み込みに対して空気を充分に各燃焼室12内に過給することができる。これにより、排気ガスの圧力が排気タービン過給機40にとって有効な値になるまでの期間も、自動車がアクセルペダルの踏み込みに対してレスポンスよく加速される。
【0083】
また、例えば自動車が長い坂道を登る状態など、アクセルペダル開度センサ64と回転数センサ65とからの情報によって、エンジン本体11が低から中回転状態であってかつ高負荷状態であることをECU80が検出すると、ECU80は、排気タービン過給機バイパス弁29bと、電動過給機バイパス弁28bと、2次空気弁52とを閉めるとともに、電動過給機24を駆動する。
【0084】
このようにすることによって、電動過給機バイパス通路28aと、排気タービン過給機バイパス通路29aと、2次空気供給通路51とは、遮断される。電動過給機24で圧縮された空気は、排気ガスの圧力が排気タービン過給機40にとって有効な値になるまでの期間は、第2のコンプレッサ42が抵抗になることによって、主に排気タービン過給機バイパス通路29aを通って各燃焼室12内に過給される。
【0085】
その後、過給されることによってタービンホイール41bが有効に回転するようになると、第2のコンプレッサ42が流れの抵抗にならなくなるため、電動過給機24で圧縮された空気は、第2のコンプレッサ42に吸入されて再び圧縮された後、各燃焼室12内に過給される。
【0086】
これにより、エンジン本体11が低から中回転状態で高負荷時では、空気は、電動過給機24と排気タービン過給機40とによって2段階圧縮されて、各燃焼室12に過給される。このため、エンジン10は、高出力を得ることができるようになる。
【0087】
また、例えば自動車が高速道路を走行する場合など、アクセルペダル開度センサ64と回転数センサ65とからの情報によって、エンジン本体11が高速回転状態でかつ高負荷状態であることをECU80が検出すると、ECU80は、電動過給機バイパス弁28bを開き、排気タービン過給機バイパス弁29bと2次空気弁52とを閉じるとともに、電動過給機24の駆動を停止する。これは、電動過給機24は、エンジン10が低から中回転のときに有効に動作するように設定されており、エンジン10の高回転時には、空気の流れの抵抗になるためである。
【0088】
このようにすることによって、エアクリーナ22を通過した空気は、第1のコンプレッサ24bをバイパスして第2のコンプレッサ42に達し、第2のコンプレッサ42によって各燃焼室12内に過給されるようになる。このため、エンジンは、高回転時であって高負荷時でも、更に高出力を得ることができるようになる。
【0089】
このように構成されるエンジン10では、エンジン10の始動時には、2次空気は、電動過給機24によって圧縮されて2次空気供給通路51を通って排気通路31内に供給される。
【0090】
つまり、エンジン10の低中回転用過給機としての電動過給機24を、2次空気供給のための圧縮機として利用することによって、エンジン10の始動時など、エンジン本体11の回転数が低回転であっても、触媒33の温度を早期に活性温度まで昇温することができる。これにより、エンジン10の始動時であっても、早期に排気ガスが浄化されるようになる。つまり、排気ガス中の有害物質の流出が抑制される。
【0091】
さらに、2次空気供給用の圧縮機を別途に設置することがないので、コストの増加を抑えることができる。また、電動過給機24を大型化することによって排気タービン過給機40を用いない構成と比べても、電動過給機24のコストを抑えることができるとともに、電動過給機24の消費電力も抑えることができるので、全体的にエンジン10のコストは、抑えられる。つまり、エンジン10は、コストを抑えて、効果的に排気ガスを浄化することができる。
【0092】
また、電動過給機24と排気タービン過給機40とが直列に配置されている。具体的に説明すると、電動過給機24の第1のコンプレッサ24bと、排気タービン過給機40の第2のコンプレッサ42とが直列に配置されている。このため、第1のコンプレッサ24bと第2のコンプレッサ42とをそれぞれ配置する通路を並列にすることに起因するエンジン10の構造の複雑化がないので、エンジン10の構造を簡単にすることができる。
【0093】
また、低容量過給機として電動過給機24を採用することによって、エンジン本体11の回転数に関係なくエンジン10の始動時であっても安定して2次空気を排気通路31内に供給することができるようになるとともに、安定して各燃焼室12内に過給することができるようになる。
【0094】
また、排気通路31に2次空気を供給するときには、排気タービン過給機バイパス弁29bが開かれる。これにより、電動過給機24によって圧縮された空気は、主に排気タービン過給機バイパス通路29aを通り、第2のコンプレッサ42とインタークーラ25とに進入することが抑制される。
【0095】
これにより、第2のコンプレッサ42とインタークーラ25とを通ることによって生じる吸気圧力損失が抑制される。つまり、2次空気供給時に、排気通路31内へ効率よく空気を供給するとともに、各燃焼室12内へ効率よく過給することができる。
【0096】
また、エンジン本体11が低中回転状態であって中負荷状態では、排気タービン過給機バイパス弁29bが開かれることによって、電動過給機24によって圧縮された空気は、第2のコンプレッサ42とインタークーラ25とに進入することが抑制される。
【0097】
これにより、吸気抵抗が減少するので、電動過給機24によって圧縮された空気は、アクセルペダルの踏み込みに対してレスポンスよく各燃焼室12内に過給される。それゆえ、自動車は、アクセルペダルの踏み込みに対してレスポンスよく加速される。
【0098】
また、電動過給機24の非作動時には、電動過給機バイパス弁28bを開かれることによって、空気が第1のコンプレッサ24bに進入することが抑制されている。これにより、第1のコンプレッサ24bを通ることによって生じる吸気圧損が抑制されるので、各燃焼室12内へ空気が効率よく供給される。
【0099】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る過給機付き内燃機関について、第1の実施形態と同様にエンジン10を一例に説明する。なお、第1の実施形態と同様な効果を有する構成については、同一の符号を付して説明を諸略する。
【0100】
第2の実施形態では、エンジン10は、さらに、進入防止弁71と、逆流防止弁72と、を備える。進入防止弁71は、吸気通路21において、第1の分岐部21cと第2のコンプレッサ42との間に設けられている。進入防止弁71は、例えば電磁弁であって、吸気通路21を開閉する。進入防止弁71は、ECU80に電気的に接続されている。
【0101】
逆流防止弁72は、吸気通路21において、第1の合流部21dとインタークーラ25との間に設けられている。逆流防止弁72は、例えば電磁弁であって、吸気通路21を開閉する。逆流防止弁72は、ECU80に電気的に接続されている。
【0102】
つぎに、第2の実施形態におけるエンジン10の動作を説明する。
【0103】
ECU80は、エンジン10の始動時に、触媒温度センサ62と冷却水温度センサ63とからの情報によってエンジン本体11が冷態状態であることを検出すると、電動過給機バイパス弁28bと、進入防止弁71と、逆流防止弁72とを閉じる。排気タービン過給機バイパス弁29bと、2次空気弁52とを開く。電動過給機24を駆動し、各インジェクタ5から噴霧される燃料の量を増量させる。
【0104】
このようにすることによって、電動過給機バイパス通路28aは、遮断される。そして、進入防止弁71によって、電動過給機24によって圧縮された空気が第2のコンプレッサ42に進入することが防止される。さらに、逆流防止弁72によって、第1の合流部21dを通過した空気がインタークーラ25に逆流することが防止されるとともに、吸気系容積が減少する。進入防止弁71と逆流防止弁72とは、本発明で言う、抑制手段の一例を構成している。
【0105】
これにより、第1のコンプレッサ24bによって圧縮された空気の一部は、排気タービン過給機バイパス通路29aを通って、各燃焼室12内に効率よく過給される。
【0106】
各燃焼室12に供給される燃料は、ECU80の制御によって、増量される。このため、排気ガス中に含まれる未燃燃料の量が増加する。また、第1のコンプレッサ24bで圧縮された空気の一部は、2次空気供給通路51を通って、排気通路31に供給される。
【0107】
これにより、排気通路31内では、供給された圧縮空気によって、未燃燃料が燃焼される。この燃焼熱によって、排気通路31が早期に昇温される。つまり、触媒33が早期に活性温度にまで昇温されるようになる。触媒33が活性温度まで昇温されることによって、排気ガス中の未燃燃料やNOxなどの有害物質が触媒33によって浄化される。
【0108】
触媒33の温度が活性温度まで昇温されると、排気通路31に電動過給機24を介して2次空気を供給する必要がなくなる。このため、触媒温度センサ62が、触媒33の温度が活性温度まで昇温されたことを検出すると、ECU80は、2次空気弁52を閉じるとともに、電動過給機24の駆動を停止する。これにより、排気通路31内への圧縮空気の供給が停止される。
【0109】
また、ECU80は、電動過給機バイパス弁28bと、排気タービン過給機バイパス弁29bと、進入防止弁71と、逆流防止弁72とを開く。これにより、エアクリーナ22を通過した空気は、電動過給機バイパス通路28aと、排気タービン過給機バイパス弁29bとを通り、一方、第1,2のコンプレッサ24b,42への進入は抑制される。これは、第2のコンプレッサ42と、駆動が停止された第1のコンプレッサ24bとが空気の流れの抵抗になるためである。この状態では、空気は、第1,2のコンプレッサ24b,42bと、インタークーラ25とに進入することが抑制されるので、吸気圧損が抑制される。
【0110】
なお、進入防止弁71と逆流防止弁72とが開かれるのは、タービンホイール41bの回転が減衰することを抑制するためである。具体的に説明すると、タービンホイール41bは、エンジン10の回転数が低回転時であっても、排気ガスのエネルギを受けて回転している。このタービンホイール41bに連動して、第2のコンプレッサ42内の第2のコンプレッサホイール42bも回転している。これにより、第2のコンプレッサ42内の空気は、第2のコンプレッサ42の下流へ排出される。
【0111】
このとき、進入防止弁71が閉じられていると、第2のコンプレッサ42内に空気が供給されなくなり、第2のコンプレッサ内に負圧が生じる。この負圧は、第2のコンプレッサホイール42bの回転を減衰する作用を有する。それゆえ、第2のコンプレッサホイール42bに連動してタービンホイール41bの回転も減衰することになる。このため、進入防止弁71と逆流防止弁72とは、開けられている。
【0112】
ついで、運転者は、発進準備が整うと、自動車を発進させる。この状態では、エンジン10は、低回転状態である。運転者は、アクセルペダルを踏み込んで自動車を加速する。
【0113】
低から中速状態の自動車を所定の速度まで短時間のうちに加速する場合、つまり、回転数センサ65とアクセルペダル開度センサ64との情報によって、エンジン10が低から中回転で中負荷状態なったことをECU80が検出すると、ECU80は、排気タービン過給機バイパス弁29bを開き、電動過給機バイパス弁28bと,進入防止弁71と、逆流防止弁72と、2次空気弁52とを閉じるとともに、電動過給機24を駆動する。これにより、電動過給機バイパス通路28aと2次空気供給通路51とが遮断される。
【0114】
このようにすることによって、エアクリーナ22を通過した空気は、電動過給機バイパス通路28aを通らずに、第1のコンプレッサ24bに達する。第1のコンプレッサ24bに吸入された空気は、電動過給機24によって、排気タービン過給機バイパス通路29aを通って各燃焼室12内に過給される。
【0115】
このとき、第2のコンプレッサ42とインタークーラ25とがバイパスされることによって吸気容積が減少するので、圧縮された空気は、効率よく各燃焼室12内に過給されるようになる。つまり、自動車は、アクセルペダルの踏み込み量に対してレスポスよく加速される。
【0116】
また、例えば自動車が坂道を登る状態など、アクセルペダル開度センサ64と回転数センサ65とからの情報によって、エンジン本体11が低から中回転状態であってかつ高負荷状態であることをECU80が検出すると、ECU80は、電動過給機バイパス弁28bと、排気タービン過給機バイパス弁29bと、2次空気弁52とを閉め、進入防止弁71と、逆流防止弁72とを開くとともに、電動過給機24を駆動する。
【0117】
これにより、電動過給機バイパス通路28aと、排気タービン過給機バイパス通路29aと、2次空気供給通路51とは、遮断される。このため、エアクリーナ22を通過した空気は、電動過給機24と、排気タービン過給機40とによって、2段階圧縮されて各燃焼室12内に過給される。これにより、エンジン10は、高い出力を得られるようになる。
【0118】
また、例えば自動車が高速道路を走行する場合など、アクセルペダル開度センサ64と回転数センサ65とからの情報によって、エンジン本体11が高速回転状態でかつ高負荷状態であることをECU80が検出すると、ECU80は、電動過給機バイパス弁28bと、進入防止弁71と、逆流防止弁72とを開き、排気タービン過給機バイパス弁29bと、2次空気弁52とを閉じるとともに、電動過給機24の駆動を停止する。
【0119】
これは、電動過給機24は、エンジン10が低から中回転のときに有効に動作するように設定されており、エンジン10の高回転時には、空気の流れの抵抗になるためである。
【0120】
このようにすることによって、エアクリーナ22を通過した空気は、第1のコンプレッサ24bをバイパスして第2のコンプレッサ42に達し、排気タービン過給機40によって各燃焼室12内に過給されるようになる。このため、エンジンは、高回転時であって高負荷時でも、更に高出力を得ることができるようになる。
【0121】
第2の実施形態のエンジン10は、さらに、進入防止弁71を備えている。エンジン10の冷態始動時など、排気通路31内に2次空気を供給するときには、進入防止弁71と閉じられることによって、第2のコンプレッサ42側に圧縮空気が進入することが防止される。
【0122】
このようにすることによって、吸気系20において吸気容積が減少するので、空気が効率よく各燃焼室12内に過給されるとともに、排気通路31に圧縮空気が効率よく供給されるようになる。
【0123】
このため、第1の実施形態の効果に加えて、触媒33をより早く活性温度まで昇温することができるようになるので、排気ガス中の未燃燃料など有害物質の外部への排出がより一層抑制される。
【0124】
さらに、自動車の中低速状態での加速時など、エンジン本体11が低中回転状態で中負荷時では、進入防止弁71が閉じられることによって、第2のコンプレッサ42側に圧縮空気が進入することが防止されるので、吸気容積が減少する。このため、圧縮された空気が効率よく各燃焼室12内に過給されるようになるので、第1の実施形態の効果に加えて、アクセルペダルの踏み込みに対して自動車がより一層レスポンスよく加速されるようになる。
【0125】
また、第2の実施形態のエンジン10は、進入防止弁71と逆流防止弁72とを備えている。エンジン10の冷態始動時など、排気通路31内に2次空気を供給するときには、進入防止弁71と逆流防止弁72とが閉じられることによって、第2のコンプレッサ42側に圧縮空気が逆流することが防止される。
【0126】
このようにすることによって、吸気系20において吸気容積が減少するので、空気が効率よく各燃焼室12内に過給されるとともに、排気通路31に圧縮空気が効率よく供給されるようになる。
【0127】
このため、第1の実施形態の効果に加えて、触媒33をより早く活性温度まで昇温することができるようになるので、排気ガス中の未燃燃料など有害物質の外部への排出がより一層抑制される。
【0128】
さらに、自動車の中低速状態での加速時など、エンジン本体11が低中回転状態で中負荷時では、進入防止弁71と逆流防止弁72とが閉じられることによって、第2のコンプレッサ42側に圧縮空気が逆流することが防止されるので、吸気容積が減少する。このため、圧縮された空気が効率よく各燃焼室12内に過給されるようになるので、第1の実施形態の効果に加えて、アクセルペダルの踏み込みに対して自動車がより一層レスポンスよく加速されるようになる。
【0129】
また、進入防止弁71と逆流防止弁72とが設けられることによって、前記したように進入防止弁71と逆流防止弁72とが閉められる状態では、第2のコンプレッサ42とインタークーラ25とに空気が進入することが防止されるので、吸気容積が減少する。
【0130】
なお、第1,2の実施形態では、運転状態検出手段は、一例として触媒温度センサ62と、冷却水温度センサ63と、アクセルペダル開度センサ64と、回転数センサ65とを備える構成であるが、これに限定されるものではない。要するに、運転状態検出手段は、エンジン10の運転状態が分かるように構成されていればよい。また、エンジン10の始動時以外であっても、触媒33が活性温度に達していないときには、2次空気弁52を開けて圧縮空気を排気通路31内に供給するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエンジンの概略図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るエンジンの概略図。
【符号の説明】
【0132】
10…エンジン(内燃機関)、11…エンジン本体(内燃機関本体)、12…燃焼室、21…吸気通路、21a…第2の分岐部、21b…第2の合流部、21c…第1の分岐部、21d…第1の合流部、21e…2次空気供給通路分岐部、24…電動過給機(第一過給機)、24a…電動機、28a…電動過給機バイパス通路、28b…電動過給機バイパス弁、29…排気タービン過給機バイパス部(抑制手段)、29a…排気タービン過給機バイパス通路、29b…排気タービン過給機バイパス弁、31…排気通路、33…触媒、40…排気タービン過給機(第二過給機)、50…2次空気供給手段、51…2次空気供給通路、52…2次空気弁、71…進入防止弁(抑制手段)、72…逆流防止弁(抑制手段)、80…ECU(抑制手段、制御部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室に連通する吸気通路に設けられ、吸入した空気を前記燃焼室に過給する第一過給機と、
前記吸気通路において前記第一過給機に対し直列に設けられ、吸入した空気を前記燃焼室に過給する第二過給機と、
前記第一過給機によって圧縮された2次空気を、前記燃焼室に連通する排気通路に供給する2次空気供給手段と、
前記排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する触媒と、
を具備することを特徴とする過給機付き内燃機関。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記第一過給機によって圧縮された空気が前記第二過給機に進入することを抑制する抑制手段を具備する請求項1に記載の過給機付き内燃機関。
【請求項3】
燃焼室を備える内燃機関本体と、
前記燃焼室に連通する吸気通路と、
前記燃焼室に連通する排気通路と、
駆動用の電動機を備えて前記吸気通路に設けられ、吸入した空気を前記燃焼室へ過給する電動過給機と、
前記吸気通路において前記電動過給機の下流に設けられ、排気ガスによって駆動する排気タービン過給機と、
前記吸気通路において前記電動過給機と前記排気タービン過給機との間の2次空気供給通路分岐部から分岐し、前記排気通路に合流する2次空気供給通路と、
前記2次空気供給通路に設けられ、前記2次空気供給通路を開閉する2次空気弁と、
前記排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する触媒と、
前記内燃機関本体の運転状態をみて前記2次空気弁の開閉と前記電動過給機の駆動とを制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記排気通路に2次空気を供給するときには、前記2次空気弁を開き、かつ前記電動過給機を駆動することを特徴とする過給機付き内燃機関。
【請求項4】
請求項3の記載において、
前記吸気通路において前記電動過給機と前記排気タービン過給機との間の第1の分岐部から分岐し、前記吸気通路において前記排気タービン過給機の下流の第1の合流部に合流する排気タービン過給機バイパス通路と、
前記排気タービン過給機バイパス通路に設けられ、前記制御部によって前記排気タービン過給機バイパス通路を開閉する排気タービン過給機バイパス弁と、
を具備し、
前記制御部は、前記排気通路に2次空気を供給するときには、前記排気タービン過給機バイパス弁を開くことすることを特徴とする過給機付き内燃機関。
【請求項5】
請求項4の記載において、
前記吸気通路において前記2次空気供給通路分岐部および前記第1の分岐部の下流であって前記排気タービン過給機の上流に設けられ、前記制御部によって前記吸気通路を開閉する進入防止弁を具備し、
前記制御部は、前記排気通路に2次空気を供給するときおよび前記内燃機関本体の低回転運転時で中負荷時に、前記進入防止弁を閉じることを特徴とする過給機付き内燃機関。
【請求項6】
請求項4または請求項5の記載において、
吸気通路において前記第1の合流部と前記排気タービン過給機との間に設けられ、前記制御部によって前記吸気通路を開閉する逆流防止弁と、
を具備し、
前記制御部は、前記排気通路に2次空気を供給するときおよび前記内燃機関本体の低回転運転時で中負荷時に、前記逆流防止弁を閉じることを特徴とする過給機付き内燃機関。
【請求項7】
請求項3から請求項6のうちのいずれか1項の記載において、
前記吸気通路において前記電動過給機の上流の第2の分岐部から分岐し、前記吸気通路において前記電動過給機と前記排気タービン過給機との間の第2の合流部に合流する電動過給機バイパス通路と、
前記電動過給機バイパス通路に設けられ、前記制御部によって前記電動過給機バイパス通路を開閉する電動過給機バイパス弁と、
を具備し、
前記制御部は、前記電動過給機の非作動時には、前記電動過給機バイパス弁を開くことを特徴とする過給機付き内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−97591(P2006−97591A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285472(P2004−285472)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】