説明

電動車両駆動制御システム及び電動車両駆動制御方法

【課題】充電予定地において電力を使い切る前に確実に充電を開始することができるようにする。
【解決手段】自車位置を算出する自車位置算出処理手段と、施設の施設情報及び混雑情報を取得し、施設情報及び混雑情報に基づいて施設の充電施設に依存する充電コストを設定する施設コスト設定処理手段と、自車位置から施設までの経路を探索する探索処理手段と、探索された施設までの経路に沿った充電スケジュールを充電コストに基づいて設定するエネルギー制御判定処理手段と、充電スケジュールに基づいて、電動駆動装置11を駆動する駆動制御処理手段とを有する。施設の充電施設に依存する充電コストが設定され、自車位置から施設までの経路が探索されるので、充電を開始する前に電力を使い切ってしまうことがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両駆動制御システム及び電動車両駆動制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、ハイブリッド型車両等の電動車両、例えば、ハイブリッド型車両には、エンジンのトルクであるエンジントルクの一部を発電機(発電機モータ)に、残りを駆動輪に伝達するようにした車両駆動装置が搭載され、該車両駆動装置においては、サンギヤ、リングギヤ及びキャリヤを備えた差動回転装置としてのプラネタリギヤユニットを有し、前記サンギヤと発電機とを連結し、リングギヤと駆動モータ及び駆動輪とを連結し、キャリヤとエンジンとを連結し、前記リングギヤ及び駆動モータから出力された回転を駆動輪に伝達して駆動力を発生させるようにしている。
【0003】
そして、前記車両駆動装置の制御を行うために電動車両駆動制御システムにおいては、ハイブリッド型車両を走行させる条件に応じて、エンジン及び発電機を停止させ、駆動モータだけを駆動するEV走行モード(モータ駆動モード)、又はエンジン及び駆動モータを駆動し、発電機を補助的に駆動するHV走行モード(エンジン・モータ駆動モード)が自動的に選択され、選択された走行モードに従ってハイブリッド型車両が走行させられるようになっている。
【0004】
ところで、前記駆動モータはバッテリから供給された電流に基づいて駆動されるようになっている。この場合、公害、省エネルギー等の観点から、バッテリに充電された電力は、次回の充電までに使い切ることが望ましい。ところが、ハイブリッド型車両を走行させている間に電力を使い切ると、エンジンだけを駆動してハイブリッド型車両を走行させることになり、公害、省エネルギー等の観点から好ましくないだけでなく、ハイブリッド型車両を走行させるために必要な車両要求トルクを十分に発生させることができなくなってしまう。
【0005】
そこで、ナビゲーションシステムを使用し、充電が可能な出発地から、充電が可能な目的地までの間の各地点において目標となるバッテリ残量を表す目標バッテリ残量を算出し、該目標バッテリ残量に基づいて、EV走行モード又はHV走行モードを選択し、設定してハイブリッド型車両を走行させるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
そして、充電設備を備えた駐車場が充電が可能な目的地として設定された場合、ナビゲーションシステムによって前記駐車場までの経路が案内されるとともに、出発地から駐車場までの経路に沿って、各地点のバッテリ残量が設定される。
【特許文献1】特開2004−7969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の電動車両駆動制御システムにおいては、駐車場に到着しても、実際に充電するための駐車スペースにハイブリッド型車両を移動させるのに時間がかかったり、充電設備が混雑していて、直ちに充電を開始することができなかったりすることがあり、充電を開始する前に電力を使い切ってしまうことがある。
【0008】
本発明は、前記従来の電動車両駆動制御システムの問題点を解決して、充電予定地において電力を使い切る前に確実に充電を開始することができる電動車両駆動制御システム及び電動車両駆動制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明の電動車両駆動制御システムにおいては、電動車両の自車位置を算出する自車位置算出処理手段と、施設の施設情報及び混雑情報を取得し、該施設情報及び混雑情報に基づいて施設の充電施設に依存する充電コストを設定する施設コスト設定処理手段と、前記自車位置から前記施設までの経路を探索する探索処理手段と、前記探索された施設までの経路に沿った充電スケジュールを前記充電コストに基づいて設定するエネルギー制御判定処理手段と、前記充電スケジュールに基づいて電動駆動装置を駆動する駆動制御処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、施設情報及び混雑情報に基づいて施設の充電施設に依存する充電コストが設定され、自車位置から施設までの経路が探索され、探索された経路に沿った充電スケジュールが充電コストに基づいて設定されるので、充電を開始する前に電力を使い切ってしまうことがなくなる。
【0011】
したがって、充電予定地において電力を使い切る前に確実に充電を開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、電動車両としてのハイブリッド型車両を走行させるための電動車両駆動制御システムについて説明する。
【0013】
図1は本発明の実施の形態における電動車両駆動制御システムを示す図である。
【0014】
図において、10は電動車両駆動制御装置、11はハイブリッド型車両を走行させるための駆動装置を構成する電動駆動装置、14は情報端末、例えば、ハイブリッド型車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、前記ナビゲーション装置14、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成され、該ナビゲーションシステム、電動車両駆動制御装置10、電動駆動装置11等によって電動車両駆動制御システムが構成される。
【0015】
前記電動駆動装置11において、21は第1の駆動源としてのエンジン(E)、23は、該エンジン21から伝達された回転に対して変速を行うとともに、トルクの分配を行う差動回転装置としてのプラネタリギヤユニット、25は、該プラネタリギヤユニット23における分配後のトルクが出力される出力ギヤ、26は、前記プラネタリギヤユニット23と連結された第2の駆動源としての、かつ、第1の電動機械としての発電機(G)である。
【0016】
前記プラネタリギヤユニット23は、少なくとも、第1の差動要素としてのサンギヤS、該サンギヤSと噛(し)合するピニオンP、該ピニオンPと噛合する第2の差動要素としてのリングギヤR、及び前記ピニオンPを回転自在に支持する第3の差動要素としてのキャリヤCRを備え、前記サンギヤSは発電機26と、リングギヤRは、第3の駆動源としての、かつ、第2の電動機械としての駆動モータ(M)27及び駆動輪28と、キャリヤCRはエンジン21と連結される。そして、前記エンジン21、発電機26及び駆動モータ27は、プラネタリギヤユニット23を介して差動回転自在に、かつ、機械的に連結されるとともに、駆動輪28と機械的に連結される。
【0017】
なお、前記キャリヤCRと電動車両駆動制御装置10の図示されないケースとの間に図示されないワンウェイクラッチが配設され、該ワンウェイクラッチは、逆方向の回転がエンジン21に伝達されないようにする。
【0018】
前記発電機26は、プラネタリギヤユニット23から伝達される回転によって電力を発生させる。そのために、前記発電機26は、充電要素としてのバッテリ18に接続され、該バッテリ18に直流の電流を供給する。また、前記発電機26において、図示されないロータと前記ケースとの間に図示されない発電機ブレーキが配設され、該発電機ブレーキを係合させることによってロータを固定し、発電機26の回転を機械的に停止させることができる。
【0019】
なお、本実施の形態においては、自宅等のように商用電源を利用することができ、所定の充電設備19を備えた施設(地点)で、深夜電力等によってバッテリ18を充電することができるようになっている。そのために、充電設備19に図示されないコンセントが、ハイブリッド型車両に図示されないプラグが配設され、該プラグをコンセントに差し込むことによって、充電設備19とバッテリ18とが接続される。なお、本実施の形態においては、バッテリ18を充電するようになっているが、バッテリ18だけでなく、充電要素としてのキャパシタ等を充電することができる。
【0020】
また、前記発電機26は、図示されない発電機用インバータを介してバッテリ18に接続され、前記発電機用インバータは、バッテリ18から供給された直流の電流を交流の電流であるU相、V相及びW相の電流に変換し、発電機26に送る。それに伴って、発電機26が駆動され、発電機26のトルクである発電機トルクが発生させられる。
【0021】
そして、前記駆動モータ27は、図示されない駆動モータ用インバータを介してバッテリ18に接続され、前記駆動モータ用インバータは、バッテリ18から供給された直流の電流を交流の電流であるU相、V相及びW相の電流に変換し、駆動モータ27に送る。それに伴って、駆動モータ27が駆動され、駆動モータ27のトルクである駆動モータトルクが発生させられる。なお、ハイブリッド型車両を制動する場合等に駆動モータ27によって回生した電力をバッテリ18に充電することができる。
【0022】
次に、前記電動駆動装置11の制御を行うための電動車両駆動制御装置10について説明する。
【0023】
該電動車両駆動制御装置10において、41はハイブリッド型車両の全体の制御を行うための車両制御装置であり、該車両制御装置41には、エンジン21の制御を行うためのエンジン制御装置46、発電機26の制御を行うための発電機制御装置47、及び駆動モータ27の制御を行うための駆動モータ制御装置49が接続されるとともに、ナビゲーション装置14のナビゲーション処理部17が接続される。
【0024】
前記車両制御装置41は、CPU61、該CPU61が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM62、制御用のプログラムが記録されたROM64等を備える。また、前記エンジン制御装置46、発電機制御装置47及び駆動モータ制御装置49は、図示されないCPU、RAM、ROM等から成り、それぞれ、エンジン21、発電機26及び駆動モータ27の制御を行う。
【0025】
なお、前記エンジン制御装置46、発電機制御装置47、駆動モータ制御装置49及びナビゲーション処理部17によって車両制御装置41より下位の第1の制御装置が、前記車両制御装置41によって、エンジン制御装置46、発電機制御装置47、駆動モータ制御装置49及びナビゲーション処理部17より上位の第2の制御装置が構成される。
【0026】
前記ナビゲーション装置14は、ハイブリッド型車両の現在地を自車位置として、ハイブリッド型車両の方位を自車方位として検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、図示されない地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、運転者が音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声出力を行い、各種の情報を運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。そして、前記GPSセンサ15は、自車位置及び自車方位のほかに時刻を検出する。なお、GPSセンサ15とは別体に方位センサを配設することによって自車方位を検出することができる。
【0027】
前記データ記録部16は、地図データファイルから成る地図データベースを備え、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点(分岐点)に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれるほか、道路上の地物に関する地物データが含まれる。
【0028】
さらに、前記データ記録部16には、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等が形成され、前記統計データファイルに統計データが、前記走行履歴データファイルに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【0029】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。また、前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。なお、前記各ディスク、メモリカード等によって外部記憶装置が構成される。
【0030】
本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等が配設されるようになっているが、情報センタ51において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を配設することもできる。
【0031】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。
【0032】
前記操作部34として、表示部35とは別体に配設された図示されないキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0033】
前記表示部35としてディスプレイが使用され、表示部35に形成された各種の画面に、自車位置、自車方位等を表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができる。
【0034】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、前記探索経路の経路案内を音声出力によって行う。
【0035】
前記通信部38は、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を受信するための図示されないビーコンレシーバ、FM放送局を介してFM多重放送として受信するための図示されないFM受信機等を備える。そして、通信部38は、前記情報センタ51から、交通情報、一般情報等の情報のほかに、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等のデータをネットワーク63を介して受信することができる。
【0036】
そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、通信部57、情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53はCPU54、RAM55、ROM56等を備える。前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータが記録される。
【0037】
なお、前記電動車両駆動制御システム、電動車両駆動制御装置10、エンジン制御装置46、発電機制御装置47、駆動モータ制御装置49、ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、サーバ53、CPU31、54、61等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。
【0038】
前記データ記録部16、RAM32、55、62、ROM33、56、64、フラッシュメモリ等によって記録装置及び記録媒体が構成される。また、CPU31、54、61等によって演算装置が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54、61に代えてMPU等を使用することもできる。
【0039】
次に、前記ナビゲーション装置14の基本動作について説明する。
【0040】
まず、運転者によって操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されない現在地読込処理手段は、現在地読込処理を行い、GPSセンサ15によって検出された自車位置を読み込む。次に、前記CPU31の図示されない自車位置算出処理手段は、自車位置算出処理(マッチング処理)を行い、読み込まれた自車位置の軌跡、及び自車位置の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、自車位置がいずれの道路リンク上に位置するかを判定することによって、自車位置を算出し、特定する。
【0041】
続いて、CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又は通信部38を介して情報センタ51等から受信して取得する。なお、地図データを情報センタ51等から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリにダウンロードする。
【0042】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の地図表示処理手段は、地図表示処理を行い、表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に周囲の地図を表示するとともに、自車位置及び自車方位を表示する。
【0043】
したがって、運転者は、前記地図、自車位置及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0044】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、本実施の形態においては、操作部34を操作して目的地を入力する代わりに、電子手帳、パソコン等の図示されない端末装置において、運転者がハイブリッド型車両を走行させる予定を表す行動スケジュールを入力するようになっている。そのために、ナビゲーション装置14は、電子手帳を接続するための図示されないコネクタ、パソコンとの間でデータの送受信を行うための通信部38等を備える。
【0045】
前記行動スケジュールは、各日付における、出発地、目的地、出発地における出発予定時間、目的地における到着予定時間等から成る。
【0046】
続いて、前記ナビゲーション装置14において、前記CPU31の図示されない行動スケジュール取得処理手段は、行動スケジュール取得処理を行い、ハイブリッド型車両が走行を開始する前に、前記端末装置から入力された行動スケジュールを読み込むことによって取得し、最初の出発地である自宅から出発し、各目的地に立ち寄り、最後の目的地である自宅に帰るまでの行動スケジュールを目的地スケジュールとして設定する。
【0047】
このようにして、目的地スケジュール等が設定され、必要に応じて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない探索処理手段は、探索処理を行い、前記自車位置、目的地スケジュール等を読み込むとともに、データ記録部16から探索データ、施設データのうちの充電設備を備えた駐車場、電気ステーション等の充電施設のデータ(以下「充電施設データ」という。)等を読み出し、自車位置、目的地、探索データ、充電施設データ等に基づいて、目的地スケジュールにおける最初の出発地から最後の目的地までの探索経路を前記探索条件で探索して、経路データを出力する。
【0048】
なお、前記探索経路は、目的地スケジュールにおける各出発地から各目的地までの経路の集まりから成る。また、経路データは、探索経路を表すデータのほかに、探索経路上の探索された充電施設を表すデータから成る。そして、前記探索処理においては、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索される。
【0049】
本実施の形態においては、CPU31において探索処理手段が探索処理を行うようになっているが、前記情報センタ51において探索処理を行うことができる。
【0050】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。
【0051】
ところで、前記発電機26及び駆動モータ27は、バッテリ18から供給された電流に基づいて駆動されるようになっている。この場合、公害、省エネルギー等の観点から、バッテリ18に充電された電力は、次回の充電までに使い切ることが望ましい。ところが、ハイブリッド型車両を走行させている間に電力を使い切ると、HV走行モードであるにもかかわらず、エンジン21だけを駆動してハイブリッド型車両を走行させることになり、公害、省エネルギー等の観点から好ましくないだけでなく、ハイブリッド型車両を走行させるために必要な車両要求トルクを十分に発生させることができなくなってしまう。
【0052】
そこで、本実施の形態においては、ナビゲーション装置14において、前記探索データに基づいて、前記充電施設を充電予定地とし、充電が可能な各出発地から、充電予定地までの間の経路上の各地点における望ましいバッテリ残量SOCをバッテリ残量SOCの目標値、すなわち、目標充電容量としての目標バッテリ残量SOC* を算出するようにしている。
【0053】
そのために、CPU31の図示されない充電スケジュール設定処理手段としてのエネルギー制御判定処理手段は、充電スケジュール設定処理としてのエネルギー制御判定処理を行い、最初の出発地における充電容量としてのバッテリ残量SOC、充電が可能な出発地から充電予定地までの距離、各充電予定地において再び出発するまでの、充電に費やすことができる時間、すなわち、充電充当時間、バッテリ18を満充電するのに必要な時間、すなわち、充電所要時間等の充電条件を読み込み、該充電条件に基づいて、充電が可能な出発地を出発してからの走行距離を算出し、次の充電予定地に到着したときのバッテリ残量SOCが0〔%〕になるように、各地点における目標バッテリ残量SOC* を算出し、各地点ごとの目標バッテリ残量SOC* から成る充電スケジュールを設定する。
【0054】
なお、前記バッテリ残量SOCは、バッテリ18の容量に対するバッテリ18に充電されている電荷量の割合を表す値であり、充電残量を構成する。バッテリ残量SOCを算出するために、バッテリ18には、バッテリ電圧を検出する図示されない電圧検出部としてのバッテリ電圧センサ、及びバッテリ電流を検出する図示されない電流検出部としてのバッテリ電流センサが配設され、前記バッテリ電圧センサのセンサ出力及びバッテリ電流センサのセンサ出力が車両制御装置41に供給されるようになっている。そして、該車両制御装置41の図示されない充電残量算出処理手段としてのバッテリ残量算出処理手段は、充電残量算出処理としてのバッテリ残量算出処理を行い、バッテリ残量SOCを算出する。
【0055】
この場合、最初の出発地及び最終の目的地は自宅とし、自宅を出発する際のバッテリ18は、満充電されていて、バッテリ残量SOCは100〔%〕であるとし、自宅に到着したときのバッテリ残量SOCは0〔%〕であるとする。そして、各充電予定地に到着したときのバッテリ残量SOCも、ほぼ0〔%〕とし、前記各充電予定地で充電を行うものとする。また、各充電予定地における充電充当時間が充電所要時間より短い場合、各充電予定地に到着したときに充電を開始し、出発するときに充電を終了するものとする。この場合、バッテリ残量SOCは100〔%〕にならないまま、次の目的地に向かうことになる。
【0056】
なお、前記バッテリ残量SOCは、物理的に100〔%〕になったり、0〔%〕になったりするものではなく、バッテリ18を繰り返し経済的に使用し得る最も高いバッテリ残量を100〔%〕とし、最も低いバッテリ残量を0〔%〕とする。また、バッテリ残量SOCは、バッテリ18の性能、材質等によって異なり、例えば、アルカリ電池の場合には、きわめて低い値になるまで使用することができるが、鉛電池の場合には、過剰に低い値まで使用すると寿命を短くするので、所定の容量を残した状態をバッテリ残量SOCが0〔%〕であるとする。
【0057】
前述されたように、充電スケジュールが設定されると、CPU31の図示されない駆動制御指示処理手段は、駆動制御指示処理を行い、前記エネルギー制御判定処理における判定結果である充電スケジュールを電動車両駆動制御装置10に通知し、電動駆動装置11の駆動を指示する。
【0058】
続いて、電動車両駆動制御装置10において、CPU61の図示されない駆動制御処理手段は、駆動制御処理を行い、前記充電スケジュールに基づいて電動駆動装置11を駆動する。
【0059】
次に、前記駆動制御処理手段の動作について説明する。
【0060】
まず、前記駆動制御処理手段の駆動条件取得処理手段は、駆動条件取得処理を行い、図示されないアクセルペダルに配設されたアクセルスイッチからアクセルペダル位置を、図示されないブレーキペダルに配設されたブレーキスイッチからブレーキペダル位置を読み込むとともに、前記駆動モータ27に配設された位置検出部としての図示されないロータ位置センサ(レゾルバ等)からロータ位置を読み込み、該ロータ位置に基づいて走行条件としての車速を算出する。この場合、アクセルスイッチ及びブレーキスイッチは、運転操作量検出部として機能し、レゾルバは車速検出部として機能する。なお、前記車速は、出力ギヤ25に車速検出部としての速度センサを配設し、該速度センサによって検出することもできる。
【0061】
続いて、前記駆動制御処理手段の車両要求トルク算出処理手段は、車両要求トルク算出処理を行い、前記アクセルペダル位置、ブレーキペダル位置及び車速に基づいて、ハイブリッド型車両を走行させるのに必要な車両要求トルクTO* を算出する。
【0062】
次に、前記駆動制御処理手段の車両要求トルク判定処理手段は、車両要求トルク判定処理を行い、前記車両要求トルクTO* が駆動モータ27の定格としてあらかじめ設定されている最大の駆動モータトルク、すなわち、駆動モータ最大トルクより大きいかどうかを判断する。そして、車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクより大きい場合、前記駆動制御処理手段の急加速制御処理手段は、急加速制御処理を行い、前記エンジン21が停止中であるかどうかを判断し、エンジン21が停止中である場合、発電機26及び駆動モータ27を駆動してハイブリッド型車両をEV走行モードで走行させる。
【0063】
また、車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルク以下である場合、及び車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクより大きく、かつ、エンジン21が停止中でない場合、前記駆動制御処理手段の運転者要求出力算出処理手段は、運転者要求出力算出処理を行い、前記車両要求トルクTO* と車速とを乗算することによって、運転者要求出力PDを算出する。そして、前記駆動制御処理手段のバッテリ充放電要求出力算出処理手段は、バッテリ充放電要求出力算出処理を行い、ナビゲーション装置14から充電スケジュールを読み込むとともに、前記バッテリ残量SOCを読み込み、現在のバッテリ残量SOCを前記充電スケジュールの目標バッテリ残量SOC* に近づけるように充放電要求出力としてのバッテリ充放電要求出力LSOCを算出する。続いて、前記駆動制御処理手段の車両要求出力算出処理手段は、車両要求出力算出処理を行い、前記運転者要求出力PDとバッテリ充放電要求出力LSOCとを加算することによって、車両要求出力POを算出する。
【0064】
次に、前記駆動制御処理手段のエンジン目標運転状態設定処理手段は、エンジン目標運転状態設定処理を行い、前記ROM64に記録されたエンジン目標運転状態マップを参照し、前記車両要求出力PO、アクセルペダル位置等に基づいて、エンジン21の効率が最も高くなる最適燃費曲線上の運転ポイントを決定し、該運転ポイントにおけるエンジン21のトルク、すなわち、エンジントルクTEを、エンジントルクTEの目標値を表すエンジン目標トルクTE* として決定し、前記運転ポイントにおけるエンジンの回転速度、すなわち、エンジン回転速度NEをエンジン目標回転速度NE* として決定し、該エンジン目標回転速度NE* をエンジン制御装置46に送る。
【0065】
該エンジン制御装置46は、エンジン制御装置46の記録装置としてのROMに記録されたエンジン駆動領域マップを参照して、車速、バッテリ残量SOC及び車両要求トルクTO* に基づいて、電動駆動装置11がエンジン21を駆動するための駆動領域に置かれているかどうかを判断する。この場合、バッテリ残量SOCが大きいほど駆動領域が狭くされ、バッテリ残量SOCが小さいほど駆動領域が広くされる。
【0066】
そして、エンジン21が駆動領域に置かれているにもかかわらず、エンジン21が駆動されていない場合、エンジン制御装置46の図示されないエンジン制御処理手段は、エンジン制御処理を行い、エンジン21を始動させ、ハイブリッド型車両をHV走行モードで走行させる。また、エンジン21が駆動領域に置かれていないにもかかわらず、エンジン21が駆動されている場合、前記エンジン制御処理手段は、エンジン21の駆動を停止させ、ハイブリッド型車両をEV走行モードで走行させる。
【0067】
そして、エンジン21が駆動領域に置かれておらず、かつ、エンジン21が駆動されていない場合、前記駆動制御処理手段の駆動モータ目標トルク算出処理手段は、駆動モータ目標トルク算出処理を行い、前記車両要求トルクTO* を、目標となる駆動モータトルクTM、すなわち、駆動モータ目標トルクTM* として算出し、該駆動モータ目標トルクTM* を駆動モータ制御装置49に送る。該駆動モータ制御装置49の図示されない電動機械制御処理手段としての駆動モータ制御処理手段は、電動機械制御処理手段としての駆動モータ制御処理を行い、駆動モータ27のトルク制御を行う。
【0068】
また、エンジン21が駆動領域に置かれていて、かつ、エンジン21が駆動されている場合、前記エンジン制御処理手段は、所定の方法でエンジン21の制御を行う。
【0069】
次に、発電機制御装置47の図示されない発電機目標回転速度算出処理手段は、発電機目標回転速度算出処理を行い、具体的には、前記ロータ位置センサからロータ位置を読み込み、該ロータ位置に基づいてリングギヤRの回転速度を算出するとともに、エンジン目標回転速度NE* を読み込み、リングギヤRの回転速度及びエンジン目標回転速度NE* に基づいて、前記プラネタリギヤユニット23におけるサンギヤS、ピニオンP及びリングギヤRの歯数比で表される回転速度関係式によって、エンジン目標回転速度NE* に対応する発電機目標回転速度NG* を算出する。
【0070】
ところで、前記構成のハイブリッド型車両をエンジン21及び駆動モータ27を駆動し、ハイブリッド型車両をHV走行モードで走行させているときに、発電機26の回転速度、すなわち、発電機回転速度NGが低い場合、消費電力が大きくなり、発電機26の発電効率が低くなるとともに、ハイブリッド型車両の燃費がその分悪くなってしまう。そこで、発電機回転速度NGが低い場合、発電機ブレーキを係合させ、発電機26を機械的に停止させ、燃費を良くするようにしている。
【0071】
そして、目標となる発電機トルクTG、すなわち、発電機目標トルクTG* が決定され、発電機制御装置47において前記発電機目標トルクTG* に基づいて発電機26のトルク制御が行われ、所定の発電機トルクTGが発生させられると、エンジントルクTE、リングギヤRのトルク、すなわち、リングギヤトルク及び発電機トルクTGは互いに反力を受け合うので、発電機トルクTGがリングギヤトルクに変換されてリングギヤRから出力される。そして、リングギヤトルクがリングギヤRから出力されるのに伴って、発電機回転速度NGが変動し、前記リングギヤトルクが変動すると、変動したリングギヤトルクが駆動輪28に伝達され、ハイブリッド型車両の走行フィーリングが低下してしまう。
【0072】
そこで、前記駆動モータ目標トルク算出処理手段は、発電機回転速度NGの変動に伴う発電機26のイナーシャ分のトルクを見込んでリングギヤトルクを算出し、該リングギヤトルクに基づいて駆動モータ27の出力軸におけるトルク、すなわち、駆動軸トルクを推定し、前記車両要求トルクTO* から駆動軸トルクを減算することによって、駆動軸トルクでは過不足する分を前記駆動モータ目標トルクTM* として算出する。
【0073】
このように、前記充電スケジュール、アクセルペダル位置、ブレーキペダル位置、車速、バッテリ残量SOC等の駆動条件に応じて、エンジン21を停止させ、発電機26及び駆動モータ27を駆動するか、エンジン21及び発電機26を停止させ、駆動モータ27だけを駆動してハイブリッド型車両をEV走行モードで走行させたり、エンジン21及び駆動モータ27を駆動し、発電機26を反力を受けるために駆動するか、エンジン21及び駆動モータ27を駆動し、発電機26を機械的に停止させるかして、ハイブリッド型車両をHV走行モードで走行させたりするようになっている。
【0074】
ところで、例えば、充電設備を備えた駐車場が充電予定地として設定された場合、ナビゲーションシステムによって前記駐車場までの探索経路が探索され、出発地から駐車場までの探索経路に沿って、充電スケジュールが設定される。
【0075】
ところが、駐車場に到着しても、実際に充電を行うための充電スペースにハイブリッド型車両を移動させるのに時間がかかったり、充電施設が混雑していて、直ちに充電を開始することができない場合、充電を開始する前に電力を使い切ってしまうことがある。
【0076】
そこで、本実施の形態においては、前記探索処理において、直ちに充電を開始することができない可能性がある駐車場については、充電設備がある施設として探索されにくくされる。
【0077】
図2は本発明の実施の形態における駐車場コスト設定処理のサブルーチンを示す図、図3は本発明の実施の形態における探索処理のサブルーチンを示す図、図4は本発明の実施の形態における駐車場の状態の例を示す第1の図、図5は本発明の実施の形態における駐車場の状態の例を示す第2の図、図6は本発明の実施の形態における駐車場の状態の例を示す第3の図、図7は本発明の実施の形態における駐車場の状態の例を示す第4の図である。
【0078】
この場合、CPU31の図示されない施設コスト設定処理手段としての駐車場コスト設定処理手段は、施設コスト設定処理としての駐車場コスト設定処理を行い、充電設備を備えた施設、本実施の形態においては、駐車場のコストを設定する。なお、本実施の形態において、前記コストは、駐車場の充電施設に依存し、充電コストを構成する。
【0079】
そのために、前記情報センタ51(図1)において、データベース58に駐車場の施設情報及び混雑情報が記録され、サーバ53のCPU54は、充電施設情報としての駐車場の施設情報、及び駐車場における混雑情報を通信部57を介して配信する。前記駐車場の施設情報は、駐車場の位置、駐車場の種別、駐車場内の充電スペースの有無、充電設備の混雑状況、使用可能な充電スペースの位置等のうちの少なくとも一つから成り、前記データベース58にあらかじめ記録される。また、駐車場の種別には、図4及び5に示されるような平面式の駐車場、図6に示されるような立体式の駐車場、図7に示されるようなタワー式の駐車場がある。また、駐車場における混雑情報は、道路交通情報センタから交通情報として送信され、駐車場の混雑の程度を表す混雑度として記録される。なお、該混雑度は、現在の混雑度だけでなく、過去の混雑度が統計情報として前記データベース58に記録される。また、前記統計情報を加工することによって、将来の予測される混雑度が予測情報として設定され、データベース58に記録される。
【0080】
なお、図において、AR1〜AR6、AR11〜AR15は駐車スペースのうちの充電スペースを、f1〜f4は駐車場の階層を表す。
【0081】
まず、前記駐車場コスト設定処理手段は、情報センタ51から各駐車場の混雑情報を取得する。続いて、前記駐車場コスト設定処理手段の施設情報取得処理手段は、施設情報取得処理を行い、各駐車場の施設情報を取得する。
【0082】
そして、前記駐車場コスト設定処理手段のコスト算出処理手段は、コスト算出処理を行い、駐車場に充電スペースがあるかどうかを判断し、充電スペースがある場合、駐車場の混雑度、充電設備の混雑状況、使用可能な充電スペースの位置等に基づいて、駐車場のコストを算出する。この場合、駐車場の混雑度が高いほどコストが高く、混雑度が低いほどコストが低くされる。また、図4に示されるように、空きの充電スペースが多い場合はコストが低く、図5に示されるように、充電設備が混雑していて、空きの充電スペースが少ない場合はコストが高くされる。さらに、充電スペースが駐車場の入り口に近い場合はコストが低く、充電スペースが駐車場の入り口から離れている場合はコストが高くされる。
【0083】
そして、図6に示されるように、空きの充電スペースがあっても、地上から離れた上階、例えば、4階にある場合はコストが高くされる。なお、図7に示されるように、タワー式の駐車場においては、充電スペースの位置に関係なく、コストは等しくされる。
【0084】
このようにして、コストが算出されると、前記駐車場コスト設定処理手段のコスト設定処理手段は、コスト設定処理を行い、算出されたコストを駐車場に設定する。
【0085】
続いて、前記探索処理手段は、自車位置、目的地、探索データ、充電施設データ等の探索用のデータを取得し、該探索用のデータに基づいて、目的地があるかどうかを判断する。目的地がある場合、前記探索処理手段の充電設備判定処理手段は、充電設備判定処理を行い、目的地又はその周辺の施設の駐車場に充電設備があるかどうかを判断する。
【0086】
次に、前記探索処理手段のコスト取得処理手段は、コスト取得処理を行い、目的地又はその周辺の施設の駐車場に充電設備がない場合、駐車場のコストを無効にし、目的地又はその周辺の施設の駐車場に充電設備がある場合、駐車場が充電予定地として設定されているかどうかを判断する。前記駐車場が充電予定地として設定されていない場合、前記探索処理手段の駐車場設定処理手段は、駐車場設定処理を行い、所定の駐車場を充電予定地として設定する。続いて、前記コスト取得処理手段は充電予定地として設定された駐車場についてコストを取得する。
【0087】
このようにして、駐車場についてコストが取得されると、前記探索処理手段は、初期探索又は再探索が必要かどうかを判断し、初期探索又は再探索が必要な場合、前記探索処理手段のルート探索処理手段は、ルート探索処理を行い、前記リンクコストに基づいて目的地スケジュールにおける各出発地から各目的地までの経路を探索する。
【0088】
ところで、駐車場のコストが高い場合、充電設備がある駐車場に到着してから充電を開始することができるまでの時間が長くなるので、その間にバッテリ18の電力が消費され、バッテリ残量SOCがその間も小さくなる。そこで、前記ルート探索処理手段は、まず、目的地スケジュールにおける各出発地から各目的地までの経路をそれぞれ複数ずつ探索する。次に、前記探索処理手段の充電残量設定処理手段は、充電残量設定処理を行い、駐車場に到着した後にバッテリ残量SOCが低下すると想定される分だけ、駐車場に到着したとき、すなわち、目的地に到着したときのバッテリ残量SOCを大きく設定する。例えば、駐車場に到着した後にバッテリ残量SOCが20〔%〕低下すると想定される場合は、目的地に到着したときのバッテリ残量SOCを20〔%〕に設定する。
【0089】
続いて、前記探索処理手段の探索結果設定処理手段は、探索結果設定処理を行い、各出発地から各目的地までの複数の経路に基づいて、最初の出発地から最後の目的地までの間の各出発地から各目的地までの各経路を探索結果として設定する。
【0090】
一方、前記エネルギー制御判定処理手段は、前記探索処理の探索結果を取得し、探索された複数の経路に対してそれぞれ充電スケジュールを設定する。例えば、目的地に到着したときのバッテリ残量SOCが20〔%〕に設定されている場合、目的地に到着したときにバッテリ残量SOCが20〔%〕になるように充電スケジュールを設定する。
【0091】
次に、前記探索処理手段の探索経路決定処理手段は、探索経路決定処理を行い、前記エネルギー制御判定処理手段によって設定された複数の経路における各充電スケジュールを取得し、複数の経路のうちの最適な経路を各出発地から各目的地までのそれぞれにおいて決定し、各最適な経路を連結することによって、最初の出発地から最後の目的地までの探索経路を決定する。
【0092】
なお、前記最適な経路は、経路をHV走行モードで走行する場合において、バッテリ残量SOCが前記設定された目的地に到着したときのバッテリ残量SOCとなり、かつ、エンジン21を駆動するための燃料、本実施の形態においては、ガソリンの消費量が最も少なくなるような経路を表す。また、該ガソリンの消費量が最も少なくなるような経路は、道路リンクの勾配、渋滞度等のガソリンの消費量に影響を与える変量に基づいて算出される。
【0093】
そして、前記駆動制御指示処理手段の判定結果通知処理手段は、判定結果通知処理を行い、前記探索経路決定処理手段によって決定された探索経路を取得し、決定された探索経路における充電スケジュールを読み込み、電動車両駆動制御装置10に通知する。
【0094】
ところで、初期探索において決定された経路において、充電予定地として設定された駐車場に向けてハイブリッド型車両を走行させている間に、駐車場のコストが変化することがある。そこで、前記探索処理手段は、駐車場に到着するまでの間、所定の周期で駐車場のコストを取得し、コストが変化したかどうかを判断し、コストが変化したときに、経路を再探索する。そして、前記初期探索処理と同様に、駐車場のコストが変化したときのハイブリッド型車両の自車位置からコストが変化した駐車場までの経路を複数探索し、目的地に到着したときのバッテリ残量SOCが、変化した駐車場のコストになるように充電スケジュールを設定し、設定された充電スケジュールに基づいて再探索された複数の経路から最適な経路を決定する。
【0095】
また、駐車場のコストを算出するに当たり、駐車場に到着するときの混雑度を予測情報から取得することができる。その場合、探索処理の精度を高くすることができ、目的地に到着したときのバッテリ残量SOCの設定の精度を高くすることができる。したがって、適正な充電スケジュールを設定することができる。
【0096】
次に、前記駆動制御指示処理手段は、前記探索処理の探索結果を取得し、探索経路がある場合、前記エネルギー制御判定処理手段は前記充電スケジュールを設定する。続いて、前記駆動制御指示処理手段の判定結果通知処理手段は、判定結果通知処理を行い、充電スケジュールを読み込み、電動車両駆動制御装置10に通知する。
【0097】
このように、本実施の形態においては、自車位置から駐車場までの経路が探索され、探索された経路に沿った充電スケジュールが充電コストに基づいて設定され、駐車場に到着しても、実際に充電するための駐車スペースにハイブリッド型車両を移動させるのに時間がかかったり、充電設備が混雑していて、直ちに充電を開始することができない場合、駐車場のコストが高くされるので、探索処理において、直ちに充電を開始することができる駐車場を充電予定地にすることができる。したがって、充電を開始する前に電力を使い切ってしまうことがなくなる。
【0098】
次に、図2のサブルーチンについて説明する。
ステップS1 混雑情報を取得する。
ステップS2 施設情報取得処理を行う。
ステップS3 充電スペースがあるかどうかを判断する。充電スペースがある場合はステップS4に進み、ない場合はリターンする。
ステップS4 コストを算出する。
ステップS5 コスト設定処理を行い、リターンする。
【0099】
次に、図3のサブルーチンについて説明する。
ステップS11 探索用のデータを取得する。
ステップS12 目的地があるかどうかを判断する。目的地がある場合はステップS13に進み、ない場合はリターンする。
ステップS13 駐車場に充電設備があるかどうかを判断する。駐車場に充電設備がある場合はステップS14に、駐車場に充電設備がない場合はステップS15に進む。
ステップS14 駐車場が設定されているかどうかを判断する。駐車場が設定されている場合はステップS17に進み、設定されていない場合はステップS16に進む。
ステップS15 駐車場のコストを無効にする。
ステップS16 駐車場設定処理を行う。
ステップS17 コストを取得する。
ステップS18 初期探索又は再探索が必要であるかどうかを判断する。初期探索又は再探索が必要である場合はステップS19に進み、必要でない場合はリターンする。
ステップS19 ルート探索処理を行う。
ステップS20 探索結果設定処理を行う。
ステップS21 探索経路決定処理を行い、リターンする。
【0100】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態における電動車両駆動制御システムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における駐車場コスト設定処理のサブルーチンを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における探索処理のサブルーチンを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における駐車場の状態の例を示す第1の図である。
【図5】本発明の実施の形態における駐車場の状態の例を示す第2の図である。
【図6】本発明の実施の形態における駐車場の状態の例を示す第3の図である。
【図7】本発明の実施の形態における駐車場の状態の例を示す第4の図である。
【符号の説明】
【0102】
10 電動車両駆動制御装置
11 電動駆動装置
14 ナビゲーション装置
51 情報センタ
63 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の自車位置を算出する自車位置算出処理手段と、施設の施設情報及び混雑情報を取得し、該施設情報及び混雑情報に基づいて施設の充電施設に依存する充電コストを設定する施設コスト設定処理手段と、前記自車位置から前記施設までの経路を探索する探索処理手段と、前記探索された施設までの経路に沿った充電スケジュールを前記充電コストに基づいて設定するエネルギー制御判定処理手段と、前記充電スケジュールに基づいて電動駆動装置を駆動する駆動制御処理手段とを有することを特徴とする電動車両駆動制御システム。
【請求項2】
前記施設情報及び混雑情報は情報センタによって配信される請求項1に記載の電動車両駆動制御システム。
【請求項3】
前記施設情報は、施設の種別、施設内の充電スペースの有無、充電設備の混雑状況、及び使用可能な充電スペースの位置のうちの少なくとも一つである請求項1に記載の電動車両駆動制御システム。
【請求項4】
前記探索処理手段は、目的地に到着するまでに充電コストが変化したときに経路を再探索する請求項1に記載の電動車両駆動制御システム。
【請求項5】
前記施設コスト設定処理手段は、統計情報を加工して設定された予測情報に基づいて、目的地に到着するときの充電コストを設定する請求項1に記載の電動車両駆動制御システム。
【請求項6】
電動車両の自車位置を算出し、施設の施設情報及び混雑情報を取得し、該施設情報及び混雑情報に基づいて施設の充電施設に依存する充電コストを設定し、前記自車位置から前記施設までの経路を探索し、該探索された施設までの経路に沿った充電スケジュールを前記充電コストに基づいて設定し、前記充電スケジュールに基づいて電動駆動装置を駆動することを特徴とする電動車両駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−249503(P2008−249503A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91424(P2007−91424)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】