説明

電気自動車の車体構造

【課題】モータの反力や振動、サスペンションの反力を、それぞれ別個に処理することができ、車両組立て時にも有利となる電気自動車の車体構造の提供を目的とする。
【解決手段】左右のモータ35,35を、該モータ35の相対的位置関係を固定するよう一体に支持するクレードルフレーム45を設け、クレードルフレーム45がブッシュマウント63,67を介して車体下面部に取付けられる一方、左右の後輪27,27を支持するサスペンションアーム類28の車体側取付け部を成して車体底部に取付けられるサブフレーム26を設け、サブフレーム26とクレードルフレーム45とをそれぞれ別体で構成し、これら両者26,45を車体に別々に支持させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体後部の車幅方向中央部に、回転軸がそれぞれ略車幅方向を指向して略一致する左右一対のモータが配置され、これら各モータと、車幅方向に略一致する左右の後輪と、がそれぞれドライブシャフトで連結され、上記モータが該ドライブシャフトを介して左右の後輪を駆動して走行するような電気自動車の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述例の電気自動車の車体構造としては特許文献1に開示された構造がある。
すなわち、左右の前輪を左右独立して駆動するインボードタイプの左右一対のモータを設け、これら各モータをその回転軸がそれぞれ略車幅方向を指向して略一致するように配置し、これらの各モータに対して車幅方向に略一致する左右の前輪を、上記モータで駆動して走行するものであって、左モータと右モータとをそれぞれモータ支持部材を介して、平面視方形枠状のサブフレーム(つまり、サスペンションメンバ)に支持すると共に、左右の前輪を独立懸架するサスペンションアームの基部を、上記サブフレームに支持させ、さらに、該サブフレームを車体サイドメンバに取付けた電動車両のモータマウント構造である。
つまり、左右一対のモータと、サスペンションアームの基部とを同一のサブフレームに支持させた構造である。
【0003】
このように、同一のサブフレームに対して、モータとサスペンションアーム基部とを支持させると、該サブフレーム下の質量が過大となり、またモータの駆動反力や車輪入力などの複雑な力、異なる周波数の振動が同一のサブフレームに作用するので、モータ反力、振動と、サスペンション反力の処理が不可能となる問題点があった。
【特許文献1】特開2007−22276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は、後輪を駆動する左右のモータを、その相対的位置関係を固定して一体に支持するクレードルフレームを設け、該クレードルフレームをブッシュマウントを介して車体下面部に取付ける一方、左右の後輪を支持するサスペンションアーム類の車体側取付け部を成して車体底部に取付けられるサブフレームを設け、該サブフレームとクレードルフレームとをそれぞれ別体で構成し、これら両者を車体に別々に支持させることで、モータの反力や振動、サスペンションの反力を、それぞれ別個に処理することができ、車両組立て時にも有利となる電気自動車の車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明による電気自動車の車体構造は、車体後部の車幅方向中央部に、回転軸がそれぞれ略車幅方向を指向して略一致する左右一対のモータが配置され、これら各モータと、車幅方向に略一致する左右の後輪と、がそれぞれドライブシャフトで連結され、上記モータが該ドライブシャフトを介して左右の後輪を駆動して走行する電気自動車の車体構造であって、上記左右のモータを、該モータの相対的位置関係を固定するよう一体に支持するクレードルフレームを設け、上記クレードルフレームがブッシュマウントを介して車体下面部に取付けられる一方、上記左右の後輪を支持するサスペンションアーム類の車体側取付け部を成して車体底部に取付けられるサブフレームを設け、上記サブフレームと上記クレードルフレームとをそれぞれ別体で構成し、これら両者を車体に別々に支持させたものである。
上記構成によれば、上述のクレードルフレームとサブフレームとをそれぞれ別体で構成し、これら両者を車体に別々に支持させたので、モータの反力や振動、サスペンションの反力を、それぞれ別個に処理することができ、また、車両組立て時にも有利となる。
【0006】
この発明の一実施態様においては、上記クレードルフレームは、上記左右一対のモータを保持して、該モータの前後方向の両位置でそれぞれブッシュマウントを介して車体に取付けられ、上記ブッシュマウントは、車両側面視で前後のブッシュマウントを結ぶ仮想線上に、上記モータの回転軸が略一致するよう配置されたものである。
上記構成によれば、サブフレームとクレードルフレームとがそれぞれ別体であるうえ、前後のブッシュマウントを結ぶ仮想線上に、上記モータの回転軸(換言すれば、質量の中心)が略一致するので、モータの振動反力を受けてクレードルフレームが振動する時、該クレードルフレームにねじりが生ずることなく、前後のブッシュマウントにより振動を適切に吸収することができる。
【0007】
この発明の一実施態様においては、上記クレードルフレームは、上記モータの前方に発電機を保持したものである。
上記構成によれば、クレードルフレームの前後方向の長さ(つまり、前後長)が拡大されるので、長いスパンによりモータおよび発電機を安定して支持することができる。
【0008】
この発明の一実施態様においては、上記ブッシュマウントは、後部のブッシュマウントが前部のブッシュマウントより高位置となるよう配置されたものである。
上記構成によれば、クレードルフレームのピッチング(pitching:前後が反対に上下する振動)方向の慣性主軸支持に好適なマウント配置となり、また、ボディ構造に対応した取付けを行なうことができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記クレードルフレームの後部には、該クレードルフレームから後部のブッシュマウント位置まで上方に延びる複数の突出部材が設けられ、該突出部材が後部のブッシュマウントを介して車体に取付けられたものである。
上記構成によれば、クレードルフレームと突出部材とをそれぞれ別々に形成することができるので、クレードルフレームの加工、形成が容易となる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、後輪を駆動する左右のモータを、その相対的位置関係を固定して一体に支持するクレードルフレームを設け、該クレードルフレームをブッシュマウントを介して車体下面部に取付けられる一方、左右の後輪を支持するサスペンションアーム類の車体側取付け部を成して車体底部に取付けられるサブフレームを設け、該サブフレームとクレードルフレームとをそれぞれ別体で構成し、これら両者を車体に別々に支持させたので、モータの反力や振動、サスペンションの反力を、それぞれ別個に処理することができ、車両組立て時にも有利となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
モータの反力や振動、サスペンションの反力を、それぞれ別個に処理することができ、また車両組立て時にも有利になるという目的を、車体後部の車幅方向中央部に、回転軸がそれぞれ略車幅方向を指向して略一致する左右一対のモータが配置され、これら各モータと、車幅方向に略一致する左右の後輪と、がそれぞれドライブシャフトで連結され、上記モータが該ドライブシャフトを介して左右の後輪を駆動して走行する電気自動車の車体構造において、上記左右のモータを、該モータの相対的位置関係を固定するよう一体に支持するクレードルフレームを設け、上記クレードルフレームがブッシュマウントを介して車体下面部に取付けられる一方、上記左右の後輪を支持するサスペンションアーム類の車体側取付け部を成して車体底部に取付けられるサブフレームを設け、上記サブフレームと上記クレードルフレームとをそれぞれ別体で構成し、これら両者を車体に別々に支持させるという構成にて実現した。
【実施例】
【0012】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は電気自動車の車体構造を示し、図1は全体構造を示す側面図、図2は同平面図、図3は図1の要部拡大側面図、図4は図2の要部拡大平面図、図5は要部の底面図である。
【0013】
図1〜図5において、エンジンルーム1と車室2とを前後方向に仕切るダッシュパネルとしてのダッシュロアパネル3を設け、車室2に対してダッシュロアパネル3で隔てられたその前方をエンジンルーム1に設定している。
上述のダッシュロアパネル3の下部には、後方に向けて略水平に延びるフロアパネル4を連設している。該フロアパネル4は車室2の底面を形成するものであって、このフロアパネル4の後部には、上方に立上がるキックアップ部5を介して、リヤフロア6を一体または一体的に連設している。このリヤフロア6は略水平に形成されている。
【0014】
また、車体の底部中央部を車両の前後方向に延びる上凸形状(上方へ突出する形状)のフロアトンネル7(以下、トンネル部と称す)を設けている。このトンネル部7は車体剛性の中心となるもので、ダッシュロアパネル3とキックアップ部5との間にわたって、上述のフロアパネル4に一体形成されたものである。
【0015】
図2は、図示の便宜上、フロアパネル4、キックアップ部5、リヤフロア6を省略して示す平面図であるが、図1、図2に示すように、車室2内におけるトンネル部7の左右には、車幅方向に略一致して、運転席シート8と助手席シート9とを設けている。
【0016】
上述の運転席シート8は、シートクッション8Cと、シートバック8Bとを備えており、同様に、上述の助手席シート9も、シートクッション9Cと、シートバック9Bとを備えている。なお、この実施例では右ハンドル車両を例示しているので、ステアリングホイール10の位置と対応して車両右側に運転席シート8を配設したが、左ハンドル車両に対応して車両左側に運転席シートを配設すべく構成してもよい。
【0017】
図1、図2に示すように、上述のエンジンルーム1にはダッシュロアパネル3から車両の前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム11,11(車体剛性部材)を設け、これら一対のフロントサイドフレーム11,11の前端には衝撃エネルギ吸収部材としてのクラッシュカン12,12を取付け、左右のクラッシュカン12,12相互間には、車幅方向に延びるフロントバンパレインフォースメント13を横架している。
【0018】
また、上述のダッシュロアパネル3の車幅方向中央部には、車室2側へ凹入する凹入部3aを一体形成し、この凹入部3aと対応して、エンジンルーム1の車幅方向中央部には内燃機関としてのエンジン14を配置(縦置き配置)している。
このエンジン14は車両前後方向の後ろ向きに指向するエンジン出力軸15を有すると共に、シリンダヘッドの吸気ポートに連通する吸気マニホルド16と、シリンダヘッドの排気ポートに連通する排気マニホルド17と、を備えている。なお、図面では、エンジン14としてレシプロエンジンを例示しているが、レシプロエンジンに代えて、ロータリエンジンを用いてもよい。
【0019】
上述のエンジン14の前方には、エンジン冷却水(但し、クーラントを含む)を、走行風を利用して空冷する熱交換器としてのラジエータユニット18を前高後低状に傾斜させて配置している。このラジエータユニット18は、ラジエータ本体と、その後部に設けられたクーリングファンとを一体化したものである。
【0020】
図2、図5に示すように、フロアパネル4の左右両サイドには、サイドシル19を接合固定している。このサイドシル19は、サイドシルインナとサイドシルアウタとを接合して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えた車体剛性部材である。なお。必要に応じてサイドシルインナとサイドシルアウタとの間には、サイドシルレインフォースメントを介設してもよい。
【0021】
また、図5に示すように、トンネル部7とサイドシル19との車幅方向の中間部において上述のフロアパネル4の下面には、左右一対のフロアフレーム20,20を取付けている。このフロアフレーム20は逆ハット形の断面形状に形成されていて、このフロアフレーム20とフロアパネル4下面との間には車両の前後方向に延びる閉断面を形成している。また、このフロアフレーム20は、平面視または底面視において左右一対のフロントサイドフレーム11,11と車両の前後方向に連続する車体剛性部材である。
【0022】
さらに、図5に示すように、トンネル部7の前後方向の後部において、該トンネル部7の下部とフロアパネル4との間には、車両の前後方向に延びる左右一対のトンネルブレース21,21を接合固定して、これらの各トンネルブレース21,21と、トンネル部7下部およびフロアパネル4と、の間には車両の前後方向に延びる閉断面22,22(図10参照)をそれぞれ形成し、トンネル剛性の向上を図るように構成している。
【0023】
図1、図2、図5に示すように、上述のリヤフロア6の下部両サイドには、車両の前後方向に延びる断面逆ハット形状のリヤサイドフレーム23,23(車体剛性部材)を設け、このリヤサイドフレーム23とリヤフロア6との間には、車両の前後方向に延びる閉断面を形成している。また、これら左右の各リヤサイドフレーム23,23の前部は、左右のサイドシル19,19と車両の前後方向にオーバラップする位置まで前方に延出されている。
【0024】
図2、図3に示すように、左右一対のリヤサイドフレーム23,23間には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ24(いわゆるNo.4クロスメンバ)を設けており、断面逆ハット形状に形成されたこのリヤクロスメンバ24とリヤフロア6との間には、車幅方向に延びる閉断面25を形成して、後部車体剛性の向上を図っている。
【0025】
また、図5に底面図で示すように、左右一対のリヤサイドフレーム23,23の下部には、サスペンションクロスメンバ26を取付けている。このサスペンションクロスメンバ26は、車幅方向に延びる前部クロスメンバ26Fと、車幅方向に延びる後部クロスメンバ26Rと、車両の前後方向に延びる左右の側部クロスメンバ26S,26Sと、を底面視で略方形枠状に組合せたサブフレームであって、このサスペンションクロスメンバ26には複数のサスペンションアーム類を介して、左右の後輪27,27を独立懸架している。
実際にはマルチリンク式のサスペンションであるが、図面では図示の便宜上、前後のロアアーム28のみを示し、アッパアームおよびトー・コントロール・リンク等の他の要素の図示を省略している。
【0026】
上述のサスペンションクロスメンバ26(サブフレーム)は、左右の後輪27,27を支持するサスペンションアーム類としてのロアアーム28,28の車体側取付け部を成して、車体底部、詳しくは左右のリヤサイドフレーム23,23の底部にラバーマウントを介して取付けられたものである。
【0027】
ところで、図1〜図5に示すように、運転席シート8および助手席シート9の後方で、かつ、上述の後輪27の前方位置であって、車室2底部の下方外部(つまり、リヤフロア6の車外側)の車幅方向中央部には、発電機30を配置している。
【0028】
この発電機30は、図1、図2に示すエンジン出力軸15にユニバーサルジョイント31、トランスファシャフト32、ユニバーサルジョイント33、カップリング34を介して、該発電機30内の回転子側の主軸が回転連結されており、トランスファシャフト32はトンネル部7内に車両の前後方向に延びて配置されている。
つまり、上述の発電機30はエンジン14により駆動されて、発電を行なうものである。
【0029】
また、上述の発電機30の出力する電力により回転するモータ35,35を、車体後部の車幅方向中央部に配置している。図3〜図5に示すように、この実施例では、上記モータ35,35は車室2底部の下方外部(リヤフロア6の車外側)の車幅方向中央部であって上記発電機30に接近するその後方位置で、かつ側面視において上述の後輪27,27と略一致する位置に配置されると共に、該モータ35は、図4、図5に示すように、車幅方向の仮想同軸上において左右に配設された合計2台の独立モータである。
すなわち、左右一対のモータ35,35は、その回転軸35c(図3参照)がそれぞれ略車幅方向を指向して略一致するように配置されている。
【0030】
要するに、独立モータからなる合計2台のモータ35,35は、リヤフロア6の車外側で、かつ上述の発電機30の後方において、後輪27,27と略一致するように左右に並設されたものであり、車幅方向の仮想同軸上に左右の各モータ35,35の回転軸35c(図3参照)が略一致するように配置されている。
【0031】
そして、上述の左右の各モータ35,35の車幅方向外方には、サンギヤとキャリアとリングギヤとから成る遊星歯車機構が内蔵された減速用のギヤユニット36,36を一体的に取付けている。
上述のモータ35と後輪27、詳しくは、ギヤユニット36内のリングギヤ(図示せず)と後輪27とを、車幅方向に延びる左右一対のドライブシャフト37,37により連結し、左右の後輪27,27を、左右のモータ35,35の回転力にて駆動すべく構成している。
【0032】
つまり、左右の各モータ35,35と、車幅方向に略一致する左右の後輪27,27と、がそれぞれドライブシャフト37,37で連結され、上述のモータ35,35が該ドライブシャフト37,37を介して左右の後輪27,27を駆動して走行するように構成したものである。
【0033】
図6の(a)は図4の構成を概略的に示す本実施例の平面図、図6の(b),(c)は比較例であって、図6の(b)においては発電機とモータとを車両の前後方向に一直線状に向けて連結し、リヤディファレンシャル装置38を介して、左右のドライブシャフト37,37に差動出力を行なうものである。図6の(c)においては発電機の後方にリヤディファレンシャル装置38を配設し、さらに、その後方にモータを横向き配置したもので、リヤディファレンシャル装置38を介して、左右のドライブシャフト37,37に差動出力を行なうものである。
【0034】
図6の(b)で示す比較例においては、発電機の前端とリヤディファレンシャル装置38の後端までの車両前後方向の長さL3(いわゆる前後長)が長くなるという欠点がある。
【0035】
図6の(c)で示す比較例においては、発電機の前端とモータの後端までの車両前後方向の長さL2(いわゆる前後長)が若干短くなるものの、左右非対称となって、重量バランスが左右不均等となるので好ましくない。
【0036】
これに対して、図6の(a)で示す実施例においては、左右の独立のモータ35,35を車幅方向の仮想同軸上に配設したので、左右独立モータ35,35および機構(発電機30とモータ35,35とを含む機構)の車両前後方向の長さL1(いわゆる前後長)を最小限に設定することができ、また、重量物としての発電機30および左右のモータ35,35を接近配置することができるうえ、同図に示すように、重量物を左右対称に配置することができるので効果的であって、さらには、ドライブシャフト37の車幅方向の長さも最短に設定することができる。加えて、仮想同軸上に配置した左右の独立のモータ35,35を車幅方向の広い幅Wにて安定して支持することもできる。
【0037】
一方、図3、図4に示すように、発電機30の電力をモータ駆動用に変換するインバータユニット40(パワーコントロールユニット、PCUと同意)を設けている。このインバータユニット40は図12に示すように制御部41と、パワーモジュール42と、電圧平滑用のコンデンサ43,43を備えており、このインバータユニット40は図3、図4、図12に示すように、左右の独立のモータ35,35の前方と発電機30の上側左右とのデッドスペースに鞍形に配設されている。この構造により充分なコンデンサ43容量(つまり静電容量)を確保すべく構成したものである。なお、上述のインバータユニット40の冷却は水冷式である。
【0038】
また、図1、図2、図3、図5に示すように、左右の独立のモータ35,35の前方において上述の発電機30の左右には、燃料タンク44が配設されている。この燃料タンク44は図5に底面図で示すように、左側のタンク部44aと、右側タンク部44bと、これら両タンク部44a,44bの上部相互間を車幅方向に連通させる連通部44cとを備えており、上記発電機30の上側、右側、左側のデッドスペースを有効利用して配設すると共に、その重量バランスの左右均等化を図るように構成している。
さらに、図5に示すように、燃料タンク44の左右の各タンク部44a,44bの車外側には、車体剛性部材としてのリヤサイドフレーム23,23が位置しているので、該燃料タンク44は側突に対しても有効となる。
【0039】
ところで、上述の発電機30、インバータユニット40、左右のモータ35,35は、図4に平面図で示すように平面視において略方形枠状のクレードルフレーム45で一体的に支持されているので、該クレードルフレーム45による各要素30,40,35の支持構造を、以下に詳述する。
【0040】
図7はクレードルフレーム45の斜視図、図8は図3の要部拡大図、図9は図4の要部拡大図であって、このクレードルフレーム45は図4、図7〜図9に示すように、前部において車幅方向に延びる前辺部45aと、後部において車幅方向に延びる後辺部45bと、左側部において車両の略前後方向に延びる側辺部45cと、右側部において車両の前後方向に延びる側辺部45dとを、金属丸パイプ(剛性パイプ)を加工して、平面視で略方形枠状に形成したものである。
【0041】
また、図10は図4のA−A線矢視断面図、図11は図4のB−B線矢視断面図、図12、図13、図14は図4のC−C線矢視断面図(但し、図13、図14はインバータユニット支持構造の他の実施例を示す)、図15は図4のD−D線矢視断面図である。
【0042】
まず、図3、図8、図9、図11を参照して、発電機30の支持構造について説明する。
発電機30の左右両部には取付けフランジ30a,30aを一体形成し、これら左右の取付けフランジ30a,30aと対応して、クレードルフレーム45の左右の側辺部45c,45d車外側には溶接手段等によりフランジ46,46を一体的に形成している。
【0043】
そして、上述のクレードルフレーム45のフランジ46,46上部に発電機30の取付けフランジ30a,30aを上載し、複数のボルト、ナットなどの取付け部材47を用いて、両フランジ46,30aを締結して、クレードルフレーム45に発電機30を取付けたものであり、この場合、発電機30の下端側を、クレードルフレーム45の左右の側辺部45c,45d間に位置させることで、スペース効率の向上を図っている。
【0044】
次に、図3、図12を参照して、インバータユニット40の支持構造について説明する。
鞍形に形成されたインバータユニット40の左右の両脚部40a,40bに対応して、クレードルフレーム45の左右の側辺部45c,45dには、上方に延びる逆L字状の取付けブラケット48,48をそれぞれ一体的に設け、これらの両取付けブラケット48,48にボルトなどの取付け部材49,49を用いて、インバータユニット40の左右の両脚部40a,40bを締結固定している。
【0045】
また、上述の取付けブラケット48,48は補強用のリブ48a,48aを有するものであって、この構造によりインバータユニット40をクレードルフレーム45に安定して支持させることができる。
【0046】
図12に示すインバータユニット支持構造に代えて、図13または図14に示す支持構造を採用してもよい。
【0047】
図13に示すインバータユニット40の支持構造は、図12の構成に加えて、左右の取付けブラケット48,48と、インバータユニット40の両脚部40a,40bの底面との間に、車幅方向に延びて左右の取付けブラケット48,48を連結する剛性板部材50(いわゆるプレート)を設け、取付け部材49により、取付けブラケット48および剛性板部材50をインバータユニット40の左右の両脚部40a,40b底面に対して、共締め固定したものである。
このように構成すると、インバータユニット40の支持剛性の向上を図ることができる。
【0048】
図14に示すインバータユニット40の支持構造は、該インバータユニット40の左右の両脚部40a,40bに対応して、クレードルフレーム45の左右の側辺部45c,45dに、ブラケット51,51を一体的に突設したものである。
上述のブラケット51は、クレードルフレーム45の側辺部45c,45dに溶接固定する断面円弧状の取付け座51aと、この取付け座51aからインバータユニット40の両脚部40a,40b底面に向けて上方に延び、かつ連続したコ字状断面を有するホーン(horn)形状の突出部材51bと、から構成されている。
【0049】
そして、これら左右一対のブラケット51,51における突出部材51b,51bの上部を、ボルトなどの取付け部材49,49を用いて、インバータユニット40の左右の両脚部40a,40bに固定することで、該インバータユニット40をクレードルフレーム45に対して安定支持させたものである。
【0050】
次に、図3、図7〜図9、図15を参照して、左右一対のモータ35,35の支持構造について説明する。
上述のクレードルフレーム45は、左右一対のモータ35,35を、これらモータ35,35の相対的位置関係を固定するように一体に支持するものであって、
図3、図8、図9、図15に示すように、左右の各モータ35,35の下部前後両位置には、フランジ35a,35aをそれぞれ一体形成している。一方、図7、図15に示すように、クレードルフレーム45の左側の側辺部45cの前後両箇所には、該側辺部45cを保持する略U字状の保持部52aと、取付け座52b,52cとを備えた前後の取付けブラケット52,52を設けている。
【0051】
また、図7、図15に示すように、クレードルフレーム45の右側の側辺部45dの前後両箇所には、該側辺部45dを保持する略U字状の保持部53aと、取付け座53b,53cとを備えた前後の取付けブラケット53,53を設けている。
そして、図15に示すように、一方左側かつ前後両位置の取付けブラケット52の保持部52aでクレードルフレーム45の側辺部45cを下方から保持した状態において、該取付けブラケット52の取付け座52b,52cを、複数のボルト(締結部材)54を用いて、左側のモータ35のフランジ35aに締結固定している。
【0052】
また、他方右側、かつ前後両位置の取付けブラケット53の保持部53aでクレードルフレーム45の右側の側辺部45dを下方から保持した状態において、該取付けブラケット53の取付け座53bを、ボルト(締結部材)55,55を用いて、右側のモータ35のフランジ35aと左側のモータ35のフランジ35aとに跨がるように締結固定している。
このように、合計4個の取付けブラケット52,52,53,53を用いて、クレードルフレーム45に左右一対かつ独立のモータ35,35を、これらモータ35,35の相対的位置関を固定するよう一体に支持させている。ここで、左右の取付けブラケット52,53を一体形成し、前後両位置の合計2個のブラケットにより、左右一対のモータ35,35をクレードルフレーム45に一体的に取付け支持するように構成してもよい。
【0053】
また、図15に正面図で示すように、車両右側のモータ35のフランジ35aは、該モータ35の右端から車幅方向の距離L0を残して、その他の部位に形成したものであり、この距離L0に相当して、右側のモータ35の下部には排気管配設スペース56を形成している。
【0054】
さらに、図3、図8に側面図で、図7に斜視図でそれぞれ示すように、前後の取付けブラケット52,52間、53,53間におけるクレードルフレーム45の側辺部45c,45dは、モータ35の下部形状に対応すべく下方へ突出するような湾曲形状に形成している。
このようにして、上述のクレードルフレーム45上には、発電機30と、インバータユニット40と、左右の独立のモータ35,35と、が一体的に取付け支持されている。
【0055】
次に、これら各要素30,40,35,35がアセンブリされたクレードルフレーム45を、車体に取付け支持する構造について説明する。
図7、図8、図9に示すように、クレードルフレーム45の前側のコーナ部には、該コーナ部から前方に延びる左右一対のブラケット57,57を取付け、これらの各ブラケット57,57には前方に突出する支軸としてのボルト58,58を一体的に設けている。
【0056】
また、図7〜図9、図15に示すように、クレードルフレーム45の後側のコーナ部には、該コーナ部から後述するブッシュマウント67位置まで上方に延びる左右一対の突出部材59,59(いわゆる角部)を取付け、これらの各突出部材59,59には後方に突出する支軸としてのボルト60,60を一体的に設けている。上述の突出部材59は図7に点線で示すようなコ字状断面をもった剛性部材で構成されている。
【0057】
一方、図3〜図5に示すように、左右一対のトンネルブレース21,21の下面には、これら左右一対のトンネルブレース21,21間を車幅方向に連結するトンネルクロスメンバ61(いわゆる、マウントメンバ)を設けている。
このトンネルクロスメンバ61は、図10にも示すように、ボルト、ナット等の取付け部材62を用いて、左右一対のトンネルブレース21,21間に車幅方向に向けて張架されたもので、上述のクレードルフレーム45の前側は図3〜図5、図8〜図10に示すように複数のブッシュマウント63,63を介してトンネルクロスメンバ61に弾性支持されている。
【0058】
ここで、上述のブッシュマウント63は、図8、図9、図16に示すように、外筒63aと、スリーブ63bと、これら両者63a,63b間に介設したゴム部材63cとを備えており、クレードルフレーム45の前側にブラケット57を介して設けたボルト58を、上記ブッシュマウント63のスリーブ63bに貫通し、該スリーブ63bから前方に突出したボルト58のネジ部にナット64を締付けることで、クレードルフレーム45の前側を、複数のブッシュマウント63,63を介してトンネルクロスメンバ61に支持させたものである。
【0059】
また、図3〜図5、図15に示すように、リヤクロスメンバ24(いわゆるNo.4クロスメンバ)の下面には、ボルト、ナット等の取付け部材65を用いて、ブラケット66(いわゆる、マウントメンバ)を取付け、このブラケット66には図15にも示すように左右一対のブッシュマウント67,67を取付けている。これらのブッシュマウント67,67はトンネルクロスメンバ61側のブッシュマウント63と同様に、外筒67a、スリーブ67b、ゴム部材67cを有する構造に構成されており、クレードルフレーム45の後側に突出部材59を介して設けたボルト60を、上記ブッシュマウント67のスリーブ67bに貫通し、該スリーブ67bから後方に突出したボルト60のネジ部にナット64を締付けることで、クレードルフレーム45の後側を、複数のブッシュマウント67,67を介してリヤクロスメンバ24に支持させたものである。
つまり、発電機30と、インバータユニット40と、左右の各モータ35,35とをアセンブリしたクレードルフレーム45は、前後各複数のブッシュマウント63,63,67,67を介して車体下面部に取付けられている。
【0060】
しかも、図5に底面図で示すように、サスペンションクロスメンバ26と、上述のクレードルフレーム45とはそれぞれ別体で構成されており、これらの両者26,45は車体に対して別々に支持されている。
すなわち、サスペンションクロスメンバ26は、リヤサイドフレーム23の底部に支持される一方、クレードルフレーム45は、複数のブッシュマウント63,63,67,67を介して、車体下面部としてのトンネルクロスメンバ61とリヤクロスメンバ24とに支持されている。
【0061】
このように構成することで、モータ35,35を支持したクレードルフレーム45と、サスペンションアームの車体側取付け部を構成するサスペンションクロスメンバ26(サブフレーム)とには、モータ35の反力や振動、サスペンションの反力がそれぞれ入力されるが、これら反力や振動を別個に処理することができる。
【0062】
また、図8、図9に示すように、上述のクレードルフレーム45は、左右一対のモータ35,35を保持して、該モータ35の前後方向の両位置でそれぞれブッシュマウント63,63、67,67を介して車体に取付けられており、図8に示すように、該ブッシュマウント63,67は、車両側面視で前側のブッシュマウント63,63と後側のブッシュマウント67,67とを結ぶ仮想線α上に、上述のモータ35の回転軸35cが略一致するように配置されている。この構成により、モータ35の振動反力を受けてクレードルフレーム45が揺動する時、該クレードルフレーム45にねじりが生ずることなく、前後のブッシュマウント63,67により振動を適切に吸収することができる。
【0063】
図17は、図8で示した実施例の構成(図17のa参照)と、比較例の構成(図17のb参照)とについて、車体に対する支持点X,Yを結ぶ仮想線αと質量(モータ35に相当)の中心との間にオフセット量がない場合(図17のa)と、オフセット量が存在する場合(図17のb)との支持点X,Yに作用する力の差異を示す説明図である。
【0064】
図17の(b)に示すように、オフセット量が存在する場合には、駆動反力Tにより支持点X,Yには実線矢印で示す上下方向の力に加えて、点線矢印で示す前後方向の力が作用するが、図17の(a)に示すように、オフセット量がゼロの場合には、駆動反力Tにより支持点X,Yに作用する力は、実線矢印で示す上下方向の力のみとなる。
このため、図8に示すように、上述の仮想線α上にモータ35の回転軸35cが略一致していると、モータ35の駆動反力を前後のブッシュマウント63,67により適切に吸収することができるものである。
【0065】
さらに、上述のクレードルフレーム45は、図8、図9に示すように、左右一対のモータ35,35の前方に発電機30を保持しているため、該クレードルフレーム45はこれら両者35,30を一体的に保持するのに必要な前後長に設定され、これにより、該クレードルフレーム45の前後方向の長さが拡大されて、長いスパンにより上記モータ35および発電機30を安定して支持することができる。なお、一対のモータ35,35と発電機30とは図9に示すように平面視で略T字状に配設されている。
加えて、図3、図8に示すように、上述のブッシュマウント63,67は、後部のブッシュマウント67が前部のブッシュマウント63より高位置となるように配置されており、これにより、クレードルフレーム45のピッチング方向の慣性主軸β(図9参照)支持に好適なマウント配置を確保すべく構成している。
【0066】
また、前後の各ブッシュマウント63,67の高さ位置を上述の如く異ならせているので、ボディ構造に対応した適切な取付けを行なうことができる。すなわち、前部のブッシュマウント63が配置されるトンネルブレース21下部に対して、後部のブッシュマウント67が配置されるリヤフロア6下部のリヤクロスメンバ24底部は、キックアップ部5の上下方向の高さと概ね等しい高さ分だけ高位置に設定されており、このようなボディ構造に対して適切な取付けを行なうことができる。
【0067】
さらに、図7に示すように、上述のクレードルフレーム45の後部には、該クレードルフレーム45から後部のブッシュマウント67,67位置まで上方に延びる複数の突出部材59,59(左右一対の突出部材59,59)が設けられており、これら複数の突出部材59,59が後部のブッシュマウント67,67を介して車体に取付けられている。このように構成すると、クレードルフレーム45と突出部材59とをそれぞれ別々に形成することができるので、クレードルフレーム45の加工および形成が容易となる。
【0068】
図7に示す構造に代えて、図18に示す構造を採用してもよい。すなわち、図18に示すものは、図7の構成に加えて、左右一対の突出部材59,59の上下方向中間位置において、これら両者59,59を車幅方向に連結するクロスメンバ59Aを設けたものであって、これにより、突出部材59を含むクレードルフレーム45全体の剛性向上を図ったものである。なお、図18において図7と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略している。
【0069】
次に、排気系の配設構造について説明する。
図2に平面図で示すように、エンジン14の排気ポートに連通接続した排気マニホルド17の排気集合部の下流部にはフロントエキゾーストパイプ70を接続し、このフロントエキゾーストパイプ70の下流端には、図1、図2に示すように排気ガス浄化用のキャタリスト71を接続している。
【0070】
図1、図2に示すように上述のキャタリスト71は、トンネル部7内のトランスファシャフト32に隣接して配設されたもので、このキャタリスト71をエンジン14に可及的近い上流側に配設している。
上述のキャタリスト71の下流には排気管72を接続している。この排気管72は図1〜図5、図10に示すように、トンネル部7内を通って車両後方に延びると共に、左右のモータ35,35の配設部位においては、図15に示すように、右側のモータ35の下部に形成された排気管配設スペース56を通って、さらに車両後方に延びて、排気管72の下流端には接合フランジ73を介してメインサイレンサ74を接続し、このメインサイレンサ74の左右両サイド部にはテールパイプ75,75を接続している。
【0071】
次に、図19を参照してハーネスの配設構造について説明する。
図19は図4の要部拡大平面図であって、発電機30、インバータユニット40、左右のモータ35,35にはそれぞれコネクタ80,81,82,83,84が設けられており、発電機30に設けられたコネクタ80にはハーネス85を接続し、このハーネス85を用いて発電機出力電力をインバータユニット40に入力すべく構成している。
【0072】
また、インバータユニット40側の左右のコネクタ81,82と、左右のモータ35,35のコネクタ83,84との間を、ハーネス86,87で接続し、インバータユニット40でモータ駆動用に変換された電力を左右の各モータ35,35に供給すべく構成している。
【0073】
なお、図1、図2において、90は前輪、91はボンネット、92はフロントウインドガラス、93はルーフ部、94はリヤウインドガラス、95はトランクリッド、96はインストルメントパネル、97はヒンジピラーであり、また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
【0074】
このように構成した電気自動車にあっては、エンジン14の回転力が、図示しないフライホイールの慣性力により回転むらが低減された後に、エンジン出力軸15を介してトランスファシャフト32に伝達され、このトランスファシャフト32で発電機30が駆動されるので、発電機30は発電を行ない、その電力はインバータユニット40にてモータ駆動用に変換された後に、ハーネス86,87を介して左右のモータ35,35に供給される。
【0075】
左右のモータ35,35が回転すると、モータ回転軸35cの出力がギヤユニット36内の図示しないサンギヤに入力された後に、遊星歯車機構にて回転数が約1/7に減速され、ギヤユニット36内のリングギヤから出力されるので、左右のドライブシャフト37,37を介して左右の各後輪27,27に駆動力が伝達される。
【0076】
以上要するに、上記構成の電気自動車の車体構造は、車体後部の車幅方向中央部に、回転軸35cがそれぞれ略車幅方向を指向して略一致する左右一対のモータ35,35が配置され、これら各モータと、車幅方向に略一致する左右の後輪
27,27と、がそれぞれドライブシャフト37,37で連結され、上記モータ35,35が該ドライブシャフト37,37を介して左右の後輪27,27を駆動して走行する電気自動車の車体構造であって、上記左右のモータ35,35を、該モータ35,35の相対的位置関係を固定するよう一体に支持するクレードルフレーム45を設け、上記クレードルフレーム45がブッシュマウント63,67を介して車体下面部に取付けられる一方、上記左右の後輪27,27を支持するサスペンションアーム類(ロアアーム28参照)の車体側取付け部を成して車体底部に取付けられるサブフレーム(サスペンションクロスメンバ26参照)を設け、上記サブフレーム(サスペンションクロスメンバ26参照)と上記クレードルフレーム45とをそれぞれ別体で構成し、これら両者26,45を車体に別々に支持させたものである(図2、図5参照)。
【0077】
この構成によれば、上述のクレードルフレーム45とサブフレーム(サスペンションクロスメンバ26参照)とをそれぞれ別体で構成し、これら両者26,45を車体に別々に支持させたので、モータ35の反力や振動、サスペンションの反力を、それぞれ別個に処理することができ、また、車両組立て時にも有利となる。
【0078】
さらに、上記クレードルフレーム45は、上記左右一対のモータ35,35を保持して、該モータ35,35の前後方向の両位置でそれぞれブッシュマウント63,67を介して車体に取付けられ、上記ブッシュマウント63,67は、車両側面視で前後のブッシュマウント63,67を結ぶ仮想線α(図8参照)上に、上記モータ35の回転軸35cが略一致するよう配置されたものである(図8参照)。
この構成によれば、サブフレーム(サスペンションクロスメンバ26参照)とクレードルフレーム45とがそれぞれ別体であるうえ、前後のブッシュマウント63,67を結ぶ仮想線α上に、上記モータ35の回転軸35c(換言すれば、質量の中心)が略一致するので、モータ35の振動反力を受けてクレードルフレーム45が振動する時、該クレードルフレーム45にねじりが生ずることなく、前後のブッシュマウント63,67により振動を適切に吸収することができる。
【0079】
また、上記クレードルフレーム45は、上記モータ35,35の前方に発電機30を保持したものである(図9参照)。
この構成によれば、クレードルフレーム45の前後方向の長さ(つまり、前後長)が拡大されるので、長いスパンによりモータ35および発電機30を安定して支持することができる。
【0080】
加えて、上記ブッシュマウント63,67は、後部のブッシュマウント67が前部のブッシュマウント63より高位置となるよう配置されたものである(図3、図8参照)。
この構成によれば、クレードルフレーム45のピッチング(pitching:前後が反対に上下する振動)方向の慣性主軸β(図9参照)支持に好適なマウント配置となり、また、ボディ構造に対応した取付けを行なうことができる。
【0081】
さらに、上記クレードルフレーム45の後部には、該クレードルフレーム45から後部のブッシュマウント67位置まで上方に延びる複数の突出部材59,59が設けられ、該突出部材59,59が後部のブッシュマウント67,67を介して車体(リヤクロスメンバ24参照)に取付けられたものである(図3、図7参照)。
この構成によれば、クレードルフレーム45と突出部材59,59とをそれぞれ別々に形成することができるので、クレードルフレーム45の加工、形成が容易となる。
【0082】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のサスペンションアーム類は、実施例のロアアーム28に対応し、
以下同様に、
サブフレームは、サスペンションクロスメンバ26に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の電気自動車の車体構造を示す側面図
【図2】電気自動車の車体構造を示す平面図
【図3】図1の要部拡大側面図
【図4】図2の要部拡大平面図
【図5】電気自動車の車体構造を示す底面図
【図6】発電機およびモータの配設構造を示す概略図で、(a)は本実施例の平面図、(b)(c)は比較例の平面図
【図7】クレードルフレームの斜視図
【図8】図3の要部拡大側面図
【図9】図4の要部拡大平面図
【図10】図4のA−A線矢視断面図
【図11】図4のB−B線矢視断面図
【図12】図4のC−C線矢視断面図
【図13】インバータユニットの支持構造の他の実施例を示す正面図
【図14】インバータユニットの支持構造のさらに他の実施例を示す正面図
【図15】図4のD−D線矢視断面図
【図16】ブッシュマウントによる支持構造を示す分解斜視図
【図17】(a)(b)はオフセット量の有無により支持点への作用力の差異を示す説明図
【図18】クレードルフレーム周辺構造の他の実施例を示す斜視図
【図19】ハーネスの配設構造を示す部分拡大平面図
【符号の説明】
【0084】
26…サスペンションクロスメンバ(サブフレーム)
27…後輪
28…ロアアーム(サスペンションアーム類)
30…発電機
35…モータ
35c…回転軸
37…ドライブシャフト
45…クレードルフレーム
59…突出部材
63,67…ブッシュマウント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部の車幅方向中央部に、回転軸がそれぞれ略車幅方向を指向して略一致する左右一対のモータが配置され、
これら各モータと、車幅方向に略一致する左右の後輪と、がそれぞれドライブシャフトで連結され、
上記モータが該ドライブシャフトを介して左右の後輪を駆動して走行する電気自動車の車体構造であって、
上記左右のモータを、該モータの相対的位置関係を固定するよう一体に支持するクレードルフレームを設け、
上記クレードルフレームがブッシュマウントを介して車体下面部に取付けられる一方、
上記左右の後輪を支持するサスペンションアーム類の車体側取付け部を成して車体底部に取付けられるサブフレームを設け、
上記サブフレームと上記クレードルフレームとをそれぞれ別体で構成し、これら両者を車体に別々に支持させたことを特徴とする
電気自動車の車体構造。
【請求項2】
上記クレードルフレームは、上記左右一対のモータを保持して、該モータの前後方向の両位置でそれぞれブッシュマウントを介して車体に取付けられ、
上記ブッシュマウントは、車両側面視で前後のブッシュマウントを結ぶ仮想線上に、上記モータの回転軸が略一致するよう配置された
請求項1記載の電気自動車の車体構造。
【請求項3】
上記クレードルフレームは、上記モータの前方に発電機を保持した
請求項2記載の電気自動車の車体構造。
【請求項4】
上記ブッシュマウントは、後部のブッシュマウントが前部のブッシュマウントより高位置となるよう配置された
請求項3記載の電気自動車の車体構造。
【請求項5】
上記クレードルフレームの後部には、該クレードルフレームから後部のブッシュマウント位置まで上方に延びる複数の突出部材が設けられ、
該突出部材が後部のブッシュマウントを介して車体に取付けられた
請求項4記載の電気自動車の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−286303(P2009−286303A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142145(P2008−142145)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】