説明

MEMSセンサおよびその製造方法、ならびにMEMSパッケージ

【課題】互いに噛み合う櫛歯状の第1電極および第2電極の大きさのばらつきを少なくでき、センサの検出精度を向上できるMEMSセンサおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ベース基板7をエッチングすることにより、柱状部29およびベース部30を形成する。次に、当該柱状部29およびベース部30を熱酸化することにより、これらを絶縁膜に変質させる。これにより、柱状部29からなる絶縁層85およびベース部30の表層部からなるベース絶縁層21を形成する。次に、ベース絶縁層21上にポリシリコン層22を形成し、当該ポリシリコン層22およびベース絶縁層21の積層構造をエッチングして、Z固定電極71およびZ可動電極72の形状に成形する。同時に、それらの間にトレンチ50を形成する。そして、当該トレンチ50の底部を等方性エッチングすることにより、ベース絶縁層21直下に凹部20(空洞23)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSセンサの製造方法および当該製造方法により製造されたMEMSセンサ、ならびに当該MEMSセンサを備えるMEMSパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量型加速度センサは、互いに対向する電極間(固定電極−可動電極間)の静電容量の変化量を検出することにより、加速度を検出する。
特許文献1の図1a〜図1gに開示された加速度センサ(100)は、たとえば、絶縁層(132)を介して順に積層されたSi電極(112)およびメタル電極(122)の2層からなる固定部(400)と、固定部(400)のSi電極(112)と同一形状をなし、基準姿勢(特許文献1の図1d)において当該Si電極(112)に完全に向かい合うSi電極(116)の単層からなる可動部(300)とを備えている。加速度センサ(100)は、加速度の作用により上下に振動する可動部(300)のSi電極(116)と、固定部(400)のSi電極(112)との間の静電容量の変化量を検出することにより、Z軸方向の加速度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6792804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、可動部(300)を形成する複数のSi電極(116)は、Si基板に複数のトレンチを形成し、等方性エッチングにより当該トレンチの下方部を互いに連続させることにより形成される(特許文献1の図6a〜図6g)。
しかしながら、Si電極(116)として残すべき部分の材料と、エッチングにより除去すべき部分の材料とが、ともにSiである。そのため、空洞(640)を形成する際に、Si電極(116)の下部が、エッチング媒体により侵食される(特許文献1の図6g)。その結果、可動部(300)を形成する複数のSi電極(116)の大きさのばらつきが大きく、可動部(300)が設計通りに振動しないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、互いに噛み合う櫛歯状の第1電極および第2電極の大きさのばらつきを少なくでき、センサの検出精度を向上させることができるMEMSセンサおよびその製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、検出精度に優れるMEMSセンサを備えるMEMSパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、Si基板上に、Siに対してエッチング選択比を有する材料からなるベース膜を形成する工程と、前記ベース膜上に、ポリシリコン層を形成する工程と、前記ポリシリコン層および前記ベース膜を選択的にエッチングすることにより、前記ポリシリコン層の表面から前記Si基板の表面に至るトレンチを形成し、同時に、前記ベース膜と前記ポリシリコン層との積層構造を有し、互いに前記トレンチを隔てて噛み合う櫛歯状の第1電極および第2電極を形成する工程と、前記トレンチへエッチング媒体を供給する等方性エッチングにより、前記Si基板における前記ベース膜直下の部分をエッチングして、前記ベース膜直下に空洞を形成する工程とを含む、MEMSセンサの製造方法である。
【0007】
この方法によれば、第1電極および第2電極の最下層が、Siに対してエッチング選択比を有するベース膜からなる。そのため、Si基板の等方性エッチングにより空洞を形成する際、エッチング媒体が第1電極および第2電極に接触しても、第1電極および第2電極の侵食を低減することができる。その結果、大きさのばらつきが少ない第1電極および第2電極を有するMEMSセンサを製造することができる。
【0008】
このようなMEMSセンサは、たとえば、請求項6記載のように、凹部が形成された表層部を有するSi基板と、前記Si基板の前記凹部の直上に配置され、前記凹部に近い側から順に積層された絶縁材料からなるベース膜とポリシリコン層との積層構造を有し、互いに間隔を隔てて噛み合う櫛歯状の第1電極および第2電極とを含む。
この構成によれば、互いに噛み合う櫛歯状の第1電極および第2電極の大きさのばらつきが少ないので、センサの検出精度を向上させることができる。
【0009】
なお、Siに対してエッチング選択比を有する材料(この段落においては、材料Aと定義する。)とは、たとえば、或るエッチング媒体に対するSiのエッチングレートと、当該エッチング媒体に対する材料Aのエッチングレートとの比(エッチング選択比)=(材料Aのエッチングレート/Siのエッチングレート)≠1を満たす材料のことである。材料Aは、とりわけ、エッチング選択比を0(ゼロ)近づけることができる材料(エッチング選択比≒0)であることが好ましく、具体的には、請求項13記載のように、SiOであることが好ましい。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記ベース膜を形成する工程は、前記Si基板を選択的にエッチングすることにより、当該Si基板を、板状のベース部と、当該ベース部の表面に立設された柱状部とに加工する工程と、前記ベース部の前記表面および前記柱状部を熱酸化することにより、前記ベース部の前記表面および前記柱状部を絶縁膜に変質させる工程とを含み、前記ポリシリコン層および前記ベース膜を選択的にエッチングする工程は、前記第1電極および/または前記第2電極が、前記絶縁膜に変質した前記柱状部により前記ポリシリコン層の他の部分からそれぞれ絶縁されるようにエッチングする工程を含む、請求項1に記載のMEMSセンサの製造方法である。
【0011】
この方法により、請求項7記載のMEMSセンサ、すなわち、前記ポリシリコン層を貫通して前記ベース膜に達するように前記第1電極に埋め込まれ、前記第1電極の或る部分を選択的に前記ポリシリコン層の他の部分から絶縁する第1絶縁層をさらに含む、請求項6に記載のMEMSセンサを製造することができる。また、請求項8記載のMEMSセンサ、すなわち、前記ポリシリコン層を貫通して前記ベース膜に達するように前記第2電極に埋め込まれ、前記第2電極の或る部分を選択的に前記ポリシリコン層の他の部分から絶縁する第1絶縁層をさらに含む、請求項6または7に記載のMEMSセンサを製造することができる。
【0012】
ところで、特許文献1の発明では、Si基板における電気的に絶縁すべき複数部分を、分離ジョイント(Isolation joint 160,360・・・)により分離している。当該分離ジョイントは、特許文献1の図6aに示されるように、Si基板にトレンチを形成し、当該トレンチの内壁(側壁および底壁)を熱酸化することにより形成される。トレンチの内壁を熱酸化すると、各側壁および底壁からトレンチの内側へ向かってSiOが成長し、各壁から成長したSiO同士がいずれ一体化する。この一体化により、トレンチに埋め込まれた状態の分離ジョイント(図6aでは、612)が得られる。しかしながら、このようにして得られる分離ジョイントは、元々空虚であったトレンチ内部に複数のSiOを成長させ、それらを一体化させることにより形成される膜であるため、その強度があまり高くなく、形成に時間がかかる。
【0013】
そこで、請求項2記載の発明では、請求項7記載の第1絶縁層および請求項8記載の第2絶縁層の形状を、結晶構造の整ったSi基板のエッチングにより柱状部として形成する。次に、当該柱状部を熱酸化することにより、絶縁膜に変質させる。次に、当該絶縁膜の周囲にポリシリコン層を形成し、ポリシリコン層を第1電極および第2電極の形状にエッチングする。すなわち、請求項2記載の発明では、第1絶縁層および第2絶縁層の形状が、Siのエッチングにより形成されるため、特許文献1の分離ジョイントの形成方法に比べて、短時間で高い強度を有する絶縁層として形成することができる。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、前記ポリシリコン層を形成する工程は、前記ベース部上に、前記柱状部の頂部よりも高い位置までポリシリコン材料を堆積させる工程と、堆積された前記ポリシリコン材料の表面が、前記柱状部の前記頂部の高さ位置になるまで前記ポリシリコン材料を研削する工程とを含む、請求項2に記載のMEMSセンサの製造方法である。
【0015】
この方法により、柱状部からなる絶縁膜の高さと同じ厚さを有するポリシリコン層を形成することができる。そのため、第1電極および第2電極の或る部分を、ポリシリコン層の他の部分から確実に絶縁することができる。
また、請求項4記載の発明は、前記第1電極および前記第2電極の側壁を覆うように、ポリシリコンに対してエッチング選択比を有する保護膜を形成する工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のMEMSセンサの製造方法である。
【0016】
この方法によれば、第1電極および第2電極の側壁が、Siに対してエッチング選択比を有する保護膜で覆われる。そのため、Si基板の等方性エッチングにより空洞を形成する際、エッチング媒体が第1電極および第2電極の各側壁に接触しても、第1電極および第2電極の侵食を低減することができる。その結果、第1電極および第2電極の大きさのばらつきを一層少なくすることができる。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、前記トレンチの形成に先立って、前記ポリシリコン層上に選択的に配線を形成する工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のMEMSセンサの製造方法である。
この方法によれば、複雑な櫛歯状の第1電極および第2電極に成形される前のポリシリコン層上に配線を形成するので、第1電極および第2電極にコンタクトするための配線を簡単に形成することができる。
【0018】
また、上述したMEMSセンサにおいて、前記第1電極および前記第2電極は、請求項9記載のように、前記第1電極が可動電極であり、前記第2電極が固定電極であってもよい。また、請求項10記載のように、前記第1電極が固定電極であり、前記第2電極が可動電極であってもよい。
また、上述したMEMSセンサは、請求項11記載のように、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量の変化を検出することにより、前記MEMSセンサに作用した加速度を検出する加速度センサを含んでいてもよい。
【0019】
この構成では、大きさのばらつきが少ない第1電極と第2電極とで構成されるキャパシタにより加速度を検出することができる。そのため、センサに作用する加速度を精度よく検出することができる。
また、上述したMEMSセンサは、請求項12記載のように、前記第1電極を前記凹部に近づく方向および離れる方向に駆動させ、その駆動時に前記MEMSセンサに作用する角速度を、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量の変化を検出することにより検出する角速度センサを含んでいてもよい。
【0020】
この構成では、第1電極の大きさのばらつきが少ないので、第1電極を設計通りに駆動させることができる。そのため、センサに作用する角速度を精度よく検出することができる。
また、請求項14記載のように、前記ベース膜の厚さが、2μm〜10μmであってもよい。また、請求項15記載のように、前記ポリシリコン層の厚さが、5μm〜20μmであってもよい。
【0021】
また、請求項16記載の発明は、請求項6〜15のいずれか一項に記載のMEMSセンサと、前記MEMSセンサを覆うように形成された樹脂パッケージとを含む、MEMSパッケージである。
この構成によれば、本発明のMEMSセンサが用いられている。そのため、当該MEMSセンサにおいて、互いに噛み合う櫛歯状の第1電極および第2電極の大きさのばらつきを少なくできるので、センサの検出精度を向上させることができる。その結果、検出精度に優れるMEMSセンサを備えるMEMSパッケージを提供することができる。
【0022】
また、上述したMEMSパッケージは、請求項17記載のように、前記MEMSセンサに電気的に接続され、前記MEMSセンサとともに同一の前記樹脂パッケージに覆われた集積回路をさらに含んでいてもよい。また、請求項18記載のように、表面および裏面を有し、当該表面において前記MEMSセンサを支持する基板をさらに含む場合、前記樹脂パッケージは、前記基板の前記表面を覆うように、かつ前記基板の前記裏面を露出させるように前記MEMSセンサを封止していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るMEMSパッケージの模式的な斜視図である。
【図2】図1に示す角速度センサの模式的な平面図である。
【図3】図2に示すX軸センサの要部平面図である。
【図4】図2に示すX軸センサの要部断面図であって、図3の切断面A−Aにおける断面を示す。
【図5】図2に示すZ軸センサの要部平面図である。
【図6】図2に示すZ軸センサの要部断面図であって、図5の切断面B−Bにおける断面を示す。
【図7A】図2に示すZ軸センサの製造工程の一部を示す断面図であって、図6と同じ位置での切断面を示す。
【図7B】図7Aの次の工程を示す図である。
【図7C】図7Bの次の工程を示す図である。
【図7D】図7Cの次の工程を示す図である。
【図7E】図7Dの次の工程を示す図である。
【図7F】図7Eの次の工程を示す図である。
【図7G】図7Fの次の工程を示す図である。
【図7H】図7Gの次の工程を示す図である。
【図7I】図7Hの次の工程を示す図である。
【図7J】図7Iの次の工程を示す図である。
【図7K】図7Jの次の工程を示す図である。
【図8】図5に示すZ軸センサを、加速度センサに利用する場合の形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<MEMSパッケージの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るMEMSパッケージの模式的な斜視図である。
MEMSパッケージ1は、たとえば、ビデオカメラやスチルカメラの手ぶれ補正、カーナビの位置検出、ロボットやゲーム機のモーション検出などの用途に用いられる。
【0025】
MEMSパッケージ1は、基板2と、MEMSセンサとしての角速度センサ3と、外部端子4と、集積回路5(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)と、樹脂パッケージ6とを含んでいる。
基板2は、表面および裏面を有する長方形板状に形成されている。
角速度センサ3は、基板2の表面側における長手方向一端部に配置されている。角速度センサ3は、正方形板状のSi基板からなるベース基板7と、ベース基板7の中央部に設けられたセンサ部8と、ベース基板7におけるセンサ部8の側方に配置され、センサ部8に電圧を供給するための電極パッド9とを含んでいる。
【0026】
センサ部8は、三次元空間において直交する3つの軸まわりの角速度をそれぞれ検出するセンサとして、X軸センサ10、Y軸センサ11およびZ軸センサ12を有している。これら3つのセンサ10〜12は、たとえばSi基板からなる蓋基板13がベース基板7に接合されることにより、蓋基板13により覆われて密閉されている。
X軸センサ10は、X軸方向の振動Uxを利用して、MEMSパッケージ1が傾いた際にZ軸方向にコリオリ力Fzを発生させ、当該コリオリ力による静電容量の変化を検出することにより、Y軸まわりに作用する角速度ωyを検出する。また、Y軸センサ11は、Y軸方向の振動Uyを利用して、MEMSパッケージ1が傾いた際にX軸方向にコリオリ力Fxを発生させ、当該コリオリ力による静電容量の変化を検出することにより、Z軸まわりに作用する角速度ωzを検出する。また、Z軸センサ12は、Z軸方向の振動Uzを利用して、MEMSパッケージ1が傾いた際にY軸方向にコリオリ力Fyを発生させ、当該コリオリ力による静電容量の変化を検出することにより、X軸まわりに作用する角速度ωxを検出する。
【0027】
電極パッド9は、基板2の長手方向に直交する幅方向に沿って、互いに等しい間隔を空けて複数(図1では、7個)設けられている。
外部端子4は、基板2の長手方向他端部(角速度センサ3とは反対側の端部)において、基板2の幅方向に沿って互いに等しい間隔を空けて複数(図1では、12個)設けられている。各外部端子4は、基板2を厚さ方向に貫通して形成されており、基板2の表面に内部パッド14として、基板2の裏面に外部パッド15として露出している。
【0028】
集積回路5は、基板2の表面側において、角速度センサ3と外部端子4(内部パッド14)との間に配置されている。集積回路5は、たとえば、基板2の幅方向に長手な長方形板状のSi基板からなる。当該Si基板の内部には、各センサ10〜12から出力された電気信号を増幅するチャージアンプ、当該電気信号の特定の周波数成分を取り出すフィルタ回路(ローパスフィルタ:LPFなど)、フィルタリング後の電気信号を論理演算する論理回路等が形成されている。これらの回路は、たとえば、CMOSデバイスにより構成されている。また、集積回路5は、第1電極パッド16と、第2電極パッド17とを有している。
【0029】
第1電極パッド16は、基板2の長手方向における角速度センサ3に近い側の端部において、基板2の幅方向に沿って互いに等しい間隔を空けて複数(図1では、7個)設けられている。第1電極パッド16は、ボンディングワイヤ18により、角速度センサ3の電極パッド9と1対1で接続されている。
第2電極パッド17は、基板2の長手方向における外部端子4に近い側の端部において、基板2の幅方向に沿って互いに等しい間隔を空けて複数(図1では、12個)設けられている。第2電極パッド17は、ボンディングワイヤ19により、外部端子4の内部パッド14と1対1で接続されている。
【0030】
樹脂パッケージ6は、基板2と協働してMEMSパッケージ1の外形をなし、略直方体状に形成されている。樹脂パッケージ6は、たとえば、エポキシ樹脂など公知のモールド樹脂からなり、角速度センサ3および集積回路5とともにボンディングワイヤ18,19および内部パッド14を覆い、外部パッド15を露出させるように、角速度センサ3および集積回路5を封止している。
<X軸センサおよびY軸センサの構成>
次に、図2〜図4を参照して、X軸センサおよびY軸センサの構成を説明する。
【0031】
図2は、図1に示す角速度センサの模式的な平面図である。図3は、図2に示すX軸センサの要部平面図である。図4は、図2に示すX軸センサの要部断面図であって、図3の切断面A−Aにおける断面を示す。
角速度センサ3は、前述のように、Si基板からなるベース基板7を備えている。ベース基板7の表層部(ベース基板7における蓋基板13に向かい合う部分)には、平面視長方形状の凹部20が形成されている。
【0032】
ベース基板7上には、当該凹部20を覆うように、ベース膜としてのベース絶縁層21(たとえば、2μm〜10μm厚)およびポリシリコン層22(たとえば、5μm〜20μm厚)が順に積層されている。これにより、角速度センサ3が有するベース基板7、ベース絶縁層21およびポリシリコン層22からなる積層構造の内部には、ベース絶縁層21およびベース基板7により区画された空洞23が形成されている。
【0033】
X軸センサ10、Y軸センサ11およびZ軸センサ12は、ベース絶縁層21およびポリシリコン層22の積層構造からなり、空洞23の直上に配置されている。すなわち、X軸センサ10、Y軸センサ11およびZ軸センサ12は、空洞23を裏面側から区画する底面を形成するベース基板7の底壁24に対して浮いた状態で設けられている。
X軸センサ10およびY軸センサ11は、間隔を空けて互いに隣接して配置されている。これらX軸センサ10およびY軸センサ11のそれぞれを取り囲むようにZ軸センサ12が配置されている。
【0034】
この実施形態では、Y軸センサ11は、X軸センサ10を平面視で90°回転させたものとほぼ同様の構成を有している。したがって、以下では、Y軸センサ11の構成については、X軸センサ10の各部の説明の際に、当該各部に対応する部分を括弧書きで併記して、具体的な説明に代える。
X軸センサ10とZ軸センサ12との間およびY軸センサ11とZ軸センサ12との間には、これらを浮いた状態で支持するための支持部25が形成されている。
【0035】
支持部25は、ベース基板7、ベース絶縁層21およびポリシリコン層22の積層構造からなり、直線部26と、環状部27とを一体的に含んでいる。
支持部25の直線部26は、空洞23を横側から区画する側面を形成する当該積層構造の一側壁28から、Z軸センサ12を横切ってX軸センサ10およびY軸センサ11へ向かって延びている。また、支持部25の環状部27は、X軸センサ10およびY軸センサ11を取り囲んでいる。
【0036】
X軸センサ10およびY軸センサ11は、各環状部27の内側に配置され、環状部27の内側壁における相対する2箇所において両持ち支持されている。Z軸センサ12は、直線部26の両側壁において両持ち支持されている。
X軸センサ10(Y軸センサ11)は、互いに同じ厚さで形成されたX固定電極31(Y固定電極51)およびX可動電極32(Y可動電極52)を有している。
【0037】
X固定電極31(Y固定電極51)は、空洞23内に設けられた支持部25に固定されている。
また、X固定電極31(Y固定電極51)は、支持部25に固定された平面視四角環状の第1ベース部33(Y固定電極51の第1ベース部53)と、第1ベース部33の内壁に沿って等しい間隔を空けて櫛歯状に配列された複数組の第1櫛歯部34(Y固定電極51の第1櫛歯部54)とを含んでいる。
【0038】
X固定電極31の第1ベース部33は、互いに平行に延びる直線状の主フレームと、当該主フレームに沿って三角形の空間が繰り返されるように、主フレームに対して組み合わされた補強フレームとを有するトラス状の骨組み構造を有している。
X固定電極31の第1櫛歯部34は、各基端部が第1ベース部33に接続され、それらの先端部が互いに対向する平面視直線状の2つの電極部を1組として、それらが等しい間隔を空けて複数設けられている。各第1櫛歯部34は、互いに平行に延びる直線状の主フレームと、当該主フレーム間に架設された複数の横フレームとを含む平面視梯子状の骨組み構造を有している。
【0039】
X可動電極32(Y可動電極52)は、X固定電極31に対して振動可能に保持されている。
また、X可動電極32(Y可動電極52)は、第2ベース部35(Y可動電極52の第2ベース部55)と、第2櫛歯部36(Y可動電極52の第2櫛歯部56)とを含んでいる。
【0040】
X可動電極32の第2ベース部35は、X固定電極31の第1櫛歯部34を横切る方向に沿って、互いに平行に延びる複数(この実施形態では、6本)の直線状のフレームからなる。各第2ベース部35の両端は、第1櫛歯部34を横切る方向に沿って伸縮自在なビーム部37(Y軸センサ11のビーム部57)に接続されている。
ビーム部37は、X可動電極32の第2ベース部35の両端に2つずつ設けられている。
【0041】
X可動電極32の第2櫛歯部36は、当該第2ベース部35から、互いに隣接するX固定電極31の第1櫛歯部34間に向かって両側に延び、X固定電極31の第1櫛歯部34に接触しないように噛み合う櫛歯状に配列されている。また、第2櫛歯部36は、第2ベース部35の各フレームを横切って互いに平行に延びる直線状の主フレームと、当該主フレーム間に架設された複数の横フレームとを含む平面視梯子状の骨組み構造を有している。
【0042】
X可動電極32では、各第2櫛歯部36を振動方向Uxに直交する方向に沿って2分割するライン上に、ポリシリコン層22の表面からベース絶縁層21に至るまで、横フレームを横切る絶縁層38が埋め込まれている。
絶縁層38は、SiO(酸化シリコン)からなり、ベース絶縁層21と一体的に形成されている。各第2櫛歯部36は、絶縁層38により、振動方向Uxに沿って一方側および他方側の2つに絶縁分離されている。これにより、分離されたX可動電極32の第2櫛歯部36が、X可動電極32において、それぞれ独立した電極として機能する。
【0043】
ポリシリコン層22上には、SiOからなる第1絶縁膜42および第2絶縁膜43が順に積層されている。第2絶縁膜43上には、X第1駆動/検出配線39(Y第1駆動/検出配線59)およびX第2駆動/検出配線40(Y第2駆動/検出配線60)が形成されている。
X第1駆動/検出配線39は、2つに絶縁分離された各第2櫛歯部36の一方側(この実施形態では、図3の紙面左側)に駆動電圧を供給するとともに、当該第2櫛歯部36から静電容量の変化に伴う電圧の変化を検出する。
【0044】
X第2駆動/検出配線40は、2つに絶縁分離された各第2櫛歯部36の他方側(この実施形態では、図3の紙面右側)に駆動電圧を供給するとともに、当該第2櫛歯部36から静電容量の変化に伴う電圧の変化を検出する。
X第1駆動/検出配線39およびX第2駆動/検出配線40は、この実施形態では、Al(アルミニウム)からなる。X第1駆動/検出配線39およびX第2駆動/検出配線40は、第1絶縁膜42および第2絶縁膜42を貫通して各第2櫛歯部36に電気的に接続されている。
【0045】
また、X第1駆動/検出配線39およびX第2駆動/検出配線40は、X可動電極32のビーム部37、X固定電極31の第1ベース部33を介して支持部25上に引き回され、その一部が電極パッド9として露出している。
なお、X第1駆動/検出配線39およびX第2駆動/検出配線40は、それぞれX可動電極32のビーム部37を通過する区間においては、導電性のポリシリコン層22の一部からなるビーム部37自体を電流路として利用している。ビーム部37上にAl配線を設けなくて済むので、ビーム部37の伸縮性を保持することができる。
【0046】
また、支持部25には、X固定電極31の第1櫛歯部34から静電容量の変化に伴う電圧の変化を検出するX第3駆動/検出配線41が引き回されている。当該X第3駆動/検出配線41も他の配線39,40と同様に、その一部が電極パッド9として露出している(図示せず)。
X固定電極31およびX可動電極32の上面および側面は、第1絶縁膜42および第2絶縁膜43を覆うように、SiOからなる保護薄膜44で被覆されている。
【0047】
また、ポリシリコン層22上には、空洞23外の部分において、第2絶縁膜43上に、第3絶縁膜45、第4絶縁膜46、第5絶縁膜47および表面保護膜48が順に積層されている。
上記の構造のX軸センサ10では、X第1〜X第3駆動/検出配線39〜41を介して、X固定電極31とX可動電極32との間に、同極性/異極性の駆動電圧が交互に与えられる。これにより、X固定電極31の第1櫛歯部34−X可動電極32の第2櫛歯部36間にクーロン斥力/クーロン引力が交互に発生する。
【0048】
その結果、櫛歯状のX可動電極32が、同じく櫛歯状のX固定電極31に対してX軸方向に沿って左右に振動(振動Ux)する。
この状態において、X可動電極32がY軸を中心軸として回転すると、Z軸方向にコリオリ力Fzが生じることになる。このコリオリ力Fzにより、互いに隣接するX固定電極31の第1櫛歯部34と、X可動電極32の第2櫛歯部36との対向面積および/または距離が変化する。
【0049】
そして、当該対向面積および/または距離の変化に起因するX可動電極32−X固定電極31間の静電容量の変化を検出することによって、Y軸まわりの角速度ωyが検出される。
なお、この実施形態では、Y軸まわりの角速度ωyは、絶縁分離されたX可動電極32の一方および他方それぞれの電極部の検出値の差分をとることにより求められる。
【0050】
また、Y軸センサ11では、Y第1〜Y第3駆動/検出配線59〜61を介して、Y固定電極51とY可動電極52との間に、同極性/異極性の駆動電圧が交互に与えられる。これにより、Y固定電極51の第1櫛歯部54−Y可動電極52の第2櫛歯部56間にクーロン斥力/クーロン引力が交互に発生する。
その結果、櫛歯状のY可動電極52が、同じく櫛歯状のY固定電極51に対してY軸方向に沿って左右に振動(振動Uy)する。
【0051】
この状態において、Y可動電極52がY軸を中心軸として回転すると、X軸方向にコリオリ力Fxが生じることになる。このコリオリ力Fxにより、互いに隣接するY固定電極51の第1櫛歯部54と、Y可動電極52の第2櫛歯部56との対向面積および/または距離が変化する。
そして、当該対向面積および/または距離の変化に起因するY可動電極52−Y固定電極51間の静電容量の変化を検出することによって、Z軸まわりの角速度ωzが検出される。
<Z軸センサの構成>
次に、図2および図5〜図6を参照して、Z軸センサの構成を説明する。
【0052】
図5は、図2に示すZ軸センサの要部平面図である。図6は、図2に示すZ軸センサの要部断面図であって、図5の切断面B−Bにおける断面を示す。
Z軸センサ12は、上述のように、空洞23の直上において、X軸センサ10およびY軸センサ11のそれぞれを取り囲むように配置されている。
Z軸センサ12は、互いに同じ厚さおよび幅で形成されたZ固定電極71およびZ可動電極72を有している。図5および図6において、Z固定電極71の厚さおよび幅が、それぞれ厚さTおよび幅Wであり、Z可動電極72の厚さおよび幅が、それぞれ厚さTおよびWである。
【0053】
Z固定電極71は、空洞23内に設けられた支持部25(直線部26)に固定されている。
Z可動電極72は、Z固定電極71に対して振動可能に保持されている。
この実施形態において、2つのZ軸センサ12のうち一方のZ軸センサ12では、Z可動電極72が環状部27を取り囲むように配置されており、当該Z可動電極72を取り囲むように、Z固定電極71が配置されている。
【0054】
他方のZ軸センサ12では、Z固定電極71が環状部27を取り囲むように配置されており、当該Z固定電極71を取り囲むように、Z可動電極72が配置されている。
各Z軸センサ12において、Z固定電極71は、第1ベース部73と、複数の第1櫛歯部74とを含んでいる。
Z固定電極71の第1ベース部73は、支持部25に固定された平面視四角環状に形成されている。また、第1ベース部73は、互いに平行に延びる直線状の主フレームと、当該主フレームに沿って三角形の空間が繰り返されるように、主フレームに対して組み合わされた補強フレームとを有するトラス状の骨組み構造を有している。
【0055】
第1ベース部73における、各第2櫛歯部79の先端部82(後述)に対向する部分(対向部75)の両側には、ポリシリコン層22の表面から空洞23に至るまで、トラス構造の主フレームを幅方向に横切る絶縁層76が埋め込まれている。
絶縁層76は、SiOからなり、ベース絶縁層21と一体的に形成されている。これにより、絶縁層76およびトラス構造の三角形の空間で囲まれる対向部75は、Z固定電極71の第1ベース部73の他の部分から絶縁されている。
【0056】
Z固定電極71の第1櫛歯部74は、第1ベース部73における、X軸センサ10(Y軸センサ11)に対して直線部26とは反対側の部分において、第1ベース部73の内壁に沿って等しい間隔を空けて櫛歯状に配列されている。
各第1櫛歯部74は、基端部がZ固定電極71の第1ベース部73に接続され、先端部がZ可動電極72へ向かって延びている。また、各第1櫛歯部74の基端部寄りの部分には、ポリシリコン層22の表面から空洞23に至るまで、第1櫛歯部74を幅方向に横切る絶縁層77が埋め込まれている。
【0057】
絶縁層77は、SiOからなり、ベース絶縁層21と一体的に形成されている。各第1櫛歯部74は、絶縁層77により、Z固定電極71の他の部分から絶縁されている。
また、各Z軸センサ12において、Z可動電極72は、第2ベース部78と、第2櫛歯部79とを含んでいる。
Z可動電極72の第2ベース部78は、平面視四角環状に形成されている。また、第2ベース部78は、互いに平行に延びる直線状の主フレームと、当該主フレームに沿って三角形の空間が繰り返されるように、主フレームに対して組み合わされた補強フレームとを有するトラス状の骨組み構造を有している。
【0058】
当該骨組み構造の第2ベース部78は、第2櫛歯部79が配置される側とは反対側の部分において、補強フレームが省略されている区間を有している。当該省略区間の主フレームが、Z可動電極72を上下動可能にするためのビーム部80として機能する。
Z可動電極72の第2櫛歯部79は、第2ベース部78から、互いに隣接するZ固定電極71の第1櫛歯部74の各間に向かって延び、第1櫛歯部74に接触しないように噛み合う櫛歯状に配列されている。
【0059】
各第2櫛歯部79は、基端部81がZ可動電極72の第2ベース部78に接続され、先端部82がZ固定電極71の第1櫛歯部74の各間へ向かって延びている。
各第2櫛歯部79の先端部82寄りの部分には、ポリシリコン層22の表面から空洞23に至るまで、第2櫛歯部79を幅方向に横切る絶縁層84が埋め込まれている。また、各第2櫛歯部79の基端部81寄りの部分には、ポリシリコン層22の表面から空洞23に至るまで、第2櫛歯部79を幅方向に横切る絶縁層85が埋め込まれている。
【0060】
絶縁層84,85は、SiOからなり、ベース絶縁層21と一体的に形成されている。絶縁層84,85により、各第2櫛歯部79は、他の部分から絶縁された3つの部分(先端部82、基端部81、および先端部82と基端部81との間の中間部83)を有している。
ポリシリコン層22上には、上述したように、SiOからなる第1絶縁膜42および第2絶縁膜43が順に積層されている。第2絶縁膜43上には、Z第1検出配線86、Z第1駆動配線87、Z第2検出配線88およびZ第2駆動配線89が形成されている。
【0061】
Z第1検出配線86およびZ第2検出配線88は、互いに隣接するZ固定電極71の第1櫛歯部74およびZ可動電極72の中間部83にそれぞれ接続されている。すなわち、Z軸センサ12では、Z固定電極71の第1櫛歯部74とZ可動電極72の中間部83とが、互いに電極間距離dを隔てて対向し、これらの間に一定電圧が印加され、その電極間距離dおよび/または対向面積の変化により静電容量が変化する容量素子(検出部)の電極を構成している。
【0062】
具体的には、Z第1検出配線86は、第1ベース部73に沿って形成され、各第1櫛歯部74の絶縁層77を跨って第1櫛歯部74の先端部へ向かって分岐するAl配線を含んでいる。
分岐されたAl配線は、各第1櫛歯部74における絶縁層77よりも先端側において、第1絶縁膜42および第2絶縁膜43を貫通して電気的に接続されている。
【0063】
また、図2に示すように、Z第1検出配線86は、第1ベース部73を介して支持部25上に引き回され、その一部が電極パッド9として露出している。
Z第2検出配線88は、Z可動電極72の第2櫛歯部79から、静電容量の変化に伴う電圧の変化を検出する。Z第2検出配線88は、第2ベース部78に沿って形成され、各第2櫛歯部79の基端部81寄りの絶縁層85を跨って中間部83へ向かって分岐するAl配線を含んでいる。
【0064】
分岐されたAl配線は、各第2櫛歯部79の中間部83において、第1絶縁膜42および第2絶縁膜43を貫通して電気的に接続されている。
また、図2に示すように、Z第2検出配線88は、Z可動電極72の第2ベース部78を介して支持部25上に引き回され、その一部が電極パッド9として露出している。
Z第1駆動配線87およびZ第2駆動配線89は、容量素子を構成する電極の対向方向に直交する方向に向き合う対向部75および先端部82にそれぞれ接続されている。すなわち、Z軸センサ12では、互いに間隔を空けて対向するZ固定電極71の対向部75およびZ可動電極72の先端部82が、これらの間に駆動電圧が印加され、当該駆動電圧の電圧変化により発生するクーロン力によりZ可動電極72を振動させる駆動部を構成している。
【0065】
具体的には、Z第1駆動配線87は、Z固定電極71の対向部75に駆動電圧を供給する。Z第1駆動配線87は、第2絶縁膜43の表面を利用して絶縁層76の両側に跨るAl配線を含んでいる。当該Z第1駆動配線87は、対向部75および第1ベース部73の対向部75を除く部分において、第1絶縁膜42および第2絶縁膜43を貫通して電気的に接続されている。なお、Z第1駆動配線87のAl配線を除く残りの部分は、導電性のポリシリコン層22からなる第1ベース部73を利用して構成されている。
【0066】
また、図2に示すように、Z第1駆動配線87は、支持部25上に引き回され、その一部が電極パッド9として露出している。
Z第2駆動配線89は、Z可動電極72の先端部82に駆動電圧を供給する。Z第2駆動配線89は、第2絶縁膜43の表面を利用して第2櫛歯部79の先端部82と基端部81との間に跨るAl配線を含んでいる。当該Z第2駆動配線89は、先端部82および基端部81において、第1絶縁膜42および第2絶縁膜43を貫通して電気的に接続されている。なお、Z第2駆動配線89のAl配線を除く残りの部分は、導電性のポリシリコン層22からなる第2ベース部78を利用して構成されている。
【0067】
また、図2に示すように、Z第2駆動配線89は、支持部25上に引き回され、その一部が電極パッド9として露出している。
Z固定電極71およびZ可動電極72の上面および側面は、第1絶縁膜42および第2絶縁膜43を覆うように、SiOからなる保護薄膜44で被覆されている。
上記の構造のZ軸センサ12では、Z第1駆動配線87およびZ第2駆動配線89を介して、Z固定電極71の対向部75とZ可動電極72の先端部82との間に、同極性/異極性の駆動電圧が交互に与えられる。これにより、対向部75と先端部82と間にクーロン斥力/クーロン引力が交互に発生する。
【0068】
その結果、櫛歯状のZ可動電極72が振り子であるかのように、同じく櫛歯状のZ固定電極71を振動の中心として、Z固定電極71に対してZ軸方向に沿って上下に振動(振動Uz)する。
この状態において、Z可動電極72がX軸を中心軸として回転すると、Y軸方向にコリオリ力Fyが生じることになる。このコリオリ力Fyにより、互いに隣接する第1櫛歯部74と、第2櫛歯部79の中間部83との対向面積および/または電極間距離dが変化する。
【0069】
そして、当該対向面積および/または電極間距離dの変化に起因するZ可動電極72−Z固定電極71間の静電容量Cの変化を検出することによって、X軸まわりの角速度ωxが検出される。
なお、この実施形態では、X軸まわりの角速度ωxは、X軸センサ10を取り囲むZ軸センサ12の検出値と、Y軸センサ11を取り囲むZ軸センサ12の検出値との差分をとることにより求められる。
【0070】
差分は、たとえば、図2に示すように、X軸センサ10を取り囲むZ軸センサ12の固定電極および可動電極と、Y軸センサ11を取り囲むZ軸センサ12の固定電極および可動電極との位置関係を反対にすることによって得ることができる。これにより、1対のZ軸センサ12間において、Z可動電極72の揺れ方が異なるので、差分が生じることとなる。
<角速度センサの製造方法>
次に、図7A〜図7Kを参照して、上述した角速度センサの製造工程を工程順に説明する。なお、この項では、Z軸センサの製造工程のみを図示し、X軸センサおよびY軸センサの製造工程は省略するが、X軸センサおよびY軸センサの製造工程は、Z軸センサの製造工程と同様にして、Z軸センサの製造工程と並行して実行される。
【0071】
図7A〜図7Kは、図2に示すZ軸センサの製造工程の一部を工程順に示す模式的な断面図であって、図6と同じ位置での切断面を示す。
Z軸センサ12を製造するには、導電性シリコンからなるベース基板7の表面が熱酸化(たとえば、温度1000℃〜1200℃)される。これにより、ベース基板7の表面に、SiOからなるマスク(図示せず)が形成される。次に、公知のパターニング技術により、当該マスクがパターニングされ、絶縁層76,77,84,85を形成すべき領域以外の領域を覆う部分に開口が形成される。
【0072】
次に、当該マスクをハードマスクとする異方性のディープRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)により、具体的にはボッシュプロセスにより、ベース基板7に選択的にトレンチ(たとえば、深さが10μm程度)が形成される。ボッシュプロセスでは、SF(六フッ化硫黄)を使用してベース基板7をエッチングする工程と、C(パーフルオロシクロブタン)を使用してエッチング面に保護膜を形成する工程とが交互に繰り返される。これにより、高いアスペクト比でベース基板7をエッチングすることができるが、エッチング面(トレンチの内周面)にスキャロップと呼ばれる波状の凹凸が形成される。
【0073】
これにより、図7Aに示すように、ベース基板7においてトレンチが形成されずに残存した柱状の部分が、絶縁層76,77,84,85と同一形状の柱状部29として形成され、また、当該柱状部29の底部を一体的に支持する板状のベース部30が同時に形成される。
次に、図7Bに示すように、ベース基板7の柱状部29およびベース部30が熱酸化(たとえば、温度1000℃〜1200℃)される。これにより、柱状部29全体およびベース部30の表層部がSiOからなる絶縁膜に変質する。変質した絶縁膜はそれぞれ、柱状部29が絶縁層76,77,84,85となり、ベース部30の表層部がベース絶縁層21となる。
【0074】
次に、絶縁層76,77,84,85およびベース絶縁層21の表面に、ポリシリコンからなるシード膜が形成される。続いて、当該シード膜からポリシリコンがエピタキシャル成長される。このエピタキシャル成長は、図7Cに示すように、成長するポリシリコン層22の高さが、絶縁層76,77,84,85に変質した柱状部29の頂部(図7Cでは、絶縁層85の頂部49のみを示す)よりも高くなるまで続けられる。
【0075】
次に、図7Dに示すように、ポリシリコン層22の表面がCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)処理されることにより、ポリシリコン層22の表面と柱状部29(絶縁層85)の頂部49とを面一にする。柱状部29の頂部49は、ポリシリコン層22の表面に露出することとなる。
次に、図7Eに示すように、CVD法により、ポリシリコン層22上に、SiOからなる第1絶縁膜42が積層される。
【0076】
次に、図7Fに示すように、第1絶縁膜42上に第2絶縁膜43が積層される。続いて、第2絶縁膜43および第1絶縁膜42が連続してエッチングされる。これにより、第2絶縁膜43および第1絶縁膜42にコンタクトホールが形成される。続いて、当該コンタクトホールを埋め尽くすコンタクトプラグが形成された後、スパッタ法により、第2絶縁膜43上にAlが堆積(たとえば、7000Å)され、そのAl堆積層がパターニングされる。これにより、第2絶縁膜43上に、配線86〜89が形成される。
【0077】
次に、図7Gに示すように、CVD法により、第2絶縁膜43上に、第3絶縁膜45、第4絶縁膜46、第5絶縁膜47および表面保護膜48が順に積層される。次に、ベース基板7の凹部20を形成すべき領域上の第3〜第5絶縁膜45〜47および表面保護膜48が、エッチングにより除去される。
次に、図7Hに示すように、Z固定電極71およびZ可動電極72を形成すべき領域以外の領域に開口を有するレジストが、第2絶縁膜43上に形成される。続いて、当該レジストをマスクとする異方性のディープRIEにより、具体的にはボッシュプロセスにより、ポリシリコン層22およびベース絶縁層21が順に掘り下げられる。これにより、ベース絶縁層21およびポリシリコン層22の積層構造が、第1電極または第2電極としてのZ固定電極71、および第1電極または第2電極としてのZ可動電極72の形状に成形されるとともに、それらの間にトレンチ50が形成される。トレンチ50の底面にはベース基板7の表面が露出することとなる。
【0078】
次に、図7Iに示すように、熱酸化法またはPECVD法により、Z固定電極71、Z可動電極72の表面全域およびトレンチ50の内面全域(つまり、トレンチ50を区画する側面および底面)に、SiOからなる保護薄膜44が形成される。
次に、図7Jに示すように、エッチバックにより、保護薄膜44におけるトレンチ50の底面上の部分が除去される。これにより、トレンチ50の底面が露出した状態となる。
【0079】
次に、図7Kに示すように、表面保護膜48をマスクとする異方性のディープRIEにより、トレンチ50の底面(すなわち、ベース基板7の表面)がさらに掘り下げられる。これにより、トレンチ50の底部(ベース基板7の表層部)に、ベース基板7の結晶面が露出した露出空間58が形成される。
この異方性のディープRIEに引き続いて、等方性のRIEにより、トレンチ50の露出空間58に、エッチング媒体としての反応性イオンおよびエッチングガスが供給される。そして、その反応性イオンなどの作用により、ベース基板7が、各露出空間58を起点にベース基板7の厚さ方向にエッチングされつつ、ベース基板7の表面に平行な方向にエッチングされる。これにより、互いに隣接する全ての露出空間58が一体化して、ベース基板7の表層部に凹部20(空洞23)が形成されるとともに、凹部20の直上において、Z固定電極71およびZ可動電極72が浮いた状態となる。
【0080】
以上の工程を経て、図2に示すZ軸センサ12が得られる。
以上の方法によれば、Z固定電極71およびZ可動電極72の最下部が、Siに対してエッチング選択比を有するSiOからなるベース絶縁層21で構成されている。さらに、Z固定電極71およびZ可動電極72の側面も同様に、SiOからなる保護薄膜44で覆われる。
【0081】
そのため、図7Kに示す工程において、露出空間58に反応性イオンおよびエッチングガスを供給してベース基板7を等方性エッチングする際、エッチングガス等がZ固定電極71およびZ可動電極72に接触しても、エッチングガスによるZ固定電極71およびZ可動電極72の侵食を防止することができる。その結果、Z固定電極71およびZ可動電極72の大きさ(厚さT,Tおよび幅W,W)のばらつきを少なくすることができる。
【0082】
よって、Z軸センサ12において、Z固定電極71およびZ可動電極72の厚さT,Tに応じた第1櫛歯部74と第2櫛歯部79の中間部83との対向面積、ならびにZ固定電極71およびZ可動電極72の幅W,Wに応じた電極間距離dを一定に保持することができる。したがって、当該対向面積および/または電極間距離dの変化に起因するZ可動電極72−Z固定電極71間の静電容量の変化を精度よく検出することができる。
【0083】
また、Z固定電極71およびZ可動電極72の幅W,Wのばらつきが少ないので、対向部75と先端部82との各間に対して、それぞれほぼ同じ大きさのクーロン斥力/クーロン引力を発生させることができる。その結果、Z可動電極72を設計通りに駆動させることができる。
ところで、特許文献1の発明では、Si基板における電気的に絶縁すべき複数部分を、分離ジョイント(Isolation joint 160,360・・・)により分離している。当該分離ジョイントは、特許文献1の図6aに示されるように、Si基板にトレンチを形成し、当該トレンチの内壁(側壁および底壁)を熱酸化することにより形成される。トレンチの内壁を熱酸化すると、各側壁および底壁からトレンチの内側へ向かってSiOが成長し、各壁から成長したSiO同士がいずれ一体化する。この一体化により、トレンチに埋め込まれた状態の分離ジョイント(図6aでは、612)が得られる。しかしながら、このようにして得られる分離ジョイントは、元々空虚であったトレンチ内部に複数のSiOを成長させ、それらを一体化させることにより形成される膜であるため、その強度があまり高くなく、形成に時間がかかる(たとえば、エッチングレートが2μm/h程度)。
【0084】
そこで、この実施形態では、Z固定電極71およびZ可動電極72の各部を、他の部分から絶縁分離するための絶縁層76,77,84,85の形状を、結晶構造の整ったベース基板7のエッチングにより、柱状部29として形成する(図7Aの工程)。次に、当該柱状部29を熱酸化することにより、絶縁膜に変質させる(図7Bの工程)。次に、当該絶縁膜の周囲にポリシリコン層22を形成し(図7C〜図7Dの工程)、ポリシリコン層22をZ固定電極71およびZ可動電極72の形状にエッチングする(図7Hの工程)。すなわち、絶縁層76,77,84,85の形状が、ベース基板7のエッチングにより形成されるため、特許文献1の分離ジョイントの形成方法に比べて、短時間(たとえば、エッチングレートが5μm〜10μm/min)で高い強度を有する絶縁層として形成することができる。
【0085】
また、図7Cに示すように、絶縁層76,77,84,85を完全に覆うようにポリシリコンをエピタキシャル成長させた後、成長後のポリシリコンをCMP処理することによってポリシリコン層22の厚さを調節している。したがって、シード膜から成長するポリシリコンの成長時間等を考慮してポリシリコン層22の厚さを調節する場合に比べて、柱状部29からなる絶縁膜の高さと同じ厚さを有するポリシリコン層22を簡単に形成することができる。これにより、Z固定電極71の第1櫛歯部74および対向部75、Z可動電極72の基端部81、先端部82および中間部83それぞれを、ポリシリコン層22の他の部分から確実に絶縁することができる。
【0086】
また、図7Fに示すように、ポリシリコン層22がZ固定電極71およびZ可動電極72に成形される工程(図7Hの工程)に先立って、ポリシリコン層22上に配線86〜89が形成される。電極71,72の成形前であれば、ポリシリコン層22上のスペースを有効に使用できる。また、配線86〜89の実際の形成パターンと設計仕様の形成パターンとの間に多少誤差が生じても、電極71,72の成形パターンを、当該誤差を考慮して修正すれば、最終的に設計通りのセンサを作製することができる。
【0087】
なお、X軸センサ10およびY軸センサ11の作用効果については記載を省略するが、この実施形態のX軸センサ10およびY軸センサ11は、図2〜図4に示した構成を備えることにより、上述したZ軸センサ12と同様の作用効果を発現することができる。
そして、この実施形態のMEMSパッケージ1は、X軸センサ10、Y軸センサ11およびZ軸センサ12を備えているので、三次元空間において直交する3つの軸(X軸、Y軸およびZ軸)まわりに作用する角速度を精度よく検出することができる。
【0088】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、MEMSパッケージ1は、角速度センサ3に代えて、または角速度センサ3とともに加速度センサを備えていてもよい。当該加速度センサは、たとえば、図2〜図6に示した各センサ10〜12における駆動部を省略することによって作製することができる。たとえば、Z軸方向に作用する加速度を検出するZ軸加速度センサ90は、図8に示すように、図5に示すZ軸センサ12において、駆動部として機能するZ固定電極71の対向部75およびZ可動電極72の先端部82と、これに接続された配線87,89を省略することにより作製することができる。
【0089】
Z軸加速度センサ90では、Z固定電極71およびZ可動電極72の大きさ(厚さT,Tおよび幅W,W)のばらつきを少なくすることができる。
よって、Z軸加速度センサ90において、Z固定電極71およびZ可動電極72の厚さT,Tに応じた第1櫛歯部74と第2櫛歯部79の中間部83との対向面積、ならびにZ固定電極71およびZ可動電極72の幅W,Wに応じた電極間距離dを一定に保持することができる。したがって、当該対向面積および/または電極間距離dの変化に起因するZ可動電極72−Z固定電極71間の静電容量の変化を精度よく検出することができる。その結果、当該静電容量の変化量に基づいて、加速度を精度よく検出することができる。
【0090】
また、ベース絶縁層21は、SiOに限らず、Siに対してエッチング選択比を有する他の材料(たとえば、SiNなど)であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 MEMSパッケージ
2 基板
3 角速度センサ
5 集積回路
6 樹脂パッケージ
7 ベース基板
10 X軸センサ
11 Y軸センサ
12 Z軸センサ
20 凹部
21 ベース絶縁層
22 ポリシリコン層
23 空洞
29 柱状部
30 ベース部
31 X固定電極
32 X可動電極
34 第1櫛歯部(X固定電極)
36 第2櫛歯部(X可動電極)
38 絶縁層
39 X第1駆動/検出配線
40 X第2駆動/検出配線
41 X第3駆動/検出配線
44 保護薄膜
49 頂部
50 トレンチ
51 Y固定電極
52 Y可動電極
54 第1櫛歯部(Y固定電極)
56 第2櫛歯部(Y可動電極)
59 Y第1駆動/検出配線
60 Y第2駆動/検出配線
61 Y第3駆動/検出配線
71 Z固定電極
72 Z可動電極
74 第1櫛歯部(Z固定電極)
75 対向部
76 絶縁層
77 絶縁層
79 第2櫛歯部(Z可動電極)
81 基端部
82 先端部
83 中間部
84 絶縁層
85 絶縁層
86 Z第1検出配線
87 Z第1駆動配線
88 Z第2検出配線
89 Z第2駆動配線
90 Z軸加速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si基板上に、Siに対してエッチング選択比を有する材料からなるベース膜を形成する工程と、
前記ベース膜上に、ポリシリコン層を形成する工程と、
前記ポリシリコン層および前記ベース膜を選択的にエッチングすることにより、前記ポリシリコン層の表面から前記Si基板の表面に至るトレンチを形成し、同時に、前記ベース膜と前記ポリシリコン層との積層構造を有し、互いに前記トレンチを隔てて噛み合う櫛歯状の第1電極および第2電極を形成する工程と、
前記トレンチへエッチング媒体を供給する等方性エッチングにより、前記Si基板における前記ベース膜直下の部分をエッチングして、前記ベース膜直下に空洞を形成する工程とを含む、MEMSセンサの製造方法。
【請求項2】
前記ベース膜を形成する工程は、
前記Si基板を選択的にエッチングすることにより、当該Si基板を、板状のベース部と、当該ベース部の表面に立設された柱状部とに加工する工程と、
前記ベース部の前記表面および前記柱状部を熱酸化することにより、前記ベース部の前記表面および前記柱状部を絶縁膜に変質させる工程とを含み、
前記ポリシリコン層および前記ベース膜を選択的にエッチングする工程は、
前記第1電極および/または前記第2電極が、前記絶縁膜に変質した前記柱状部により前記ポリシリコン層の他の部分からそれぞれ絶縁されるようにエッチングする工程を含む、請求項1に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項3】
前記ポリシリコン層を形成する工程は、
前記ベース部上に、前記柱状部の頂部よりも高い位置までポリシリコン材料を堆積させる工程と、
堆積された前記ポリシリコン材料の表面が、前記柱状部の前記頂部の高さ位置になるまで前記ポリシリコン材料を研削する工程とを含む、請求項2に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項4】
前記第1電極および前記第2電極の側壁を覆うように、ポリシリコンに対してエッチング選択比を有する保護膜を形成する工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項5】
前記トレンチの形成に先立って、前記ポリシリコン層上に選択的に配線を形成する工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項6】
凹部が形成された表層部を有するSi基板と、
前記Si基板の前記凹部の直上に配置され、前記凹部に近い側から順に積層された絶縁材料からなるベース膜とポリシリコン層との積層構造を有し、互いに間隔を隔てて噛み合う櫛歯状の第1電極および第2電極とを含む、MEMSセンサ。
【請求項7】
前記ポリシリコン層を貫通して前記ベース膜に達するように前記第1電極に埋め込まれ、前記第1電極の或る部分を選択的に前記ポリシリコン層の他の部分から絶縁する第1絶縁層をさらに含む、請求項6に記載のMEMSセンサ。
【請求項8】
前記ポリシリコン層を貫通して前記ベース膜に達するように前記第2電極に埋め込まれ、前記第2電極の或る部分を選択的に前記ポリシリコン層の他の部分から絶縁する第1絶縁層をさらに含む、請求項6または7に記載のMEMSセンサ。
【請求項9】
前記第1電極が可動電極であり、前記第2電極が固定電極である、請求項6〜8のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項10】
前記第1電極が固定電極であり、前記第2電極が可動電極である、請求項6〜8のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項11】
前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量の変化を検出することにより、前記MEMSセンサに作用した加速度を検出する加速度センサを含む、請求項6〜10のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項12】
前記第1電極を前記凹部に近づく方向および離れる方向に駆動させ、その駆動時に前記MEMSセンサに作用する角速度を、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量の変化を検出することにより検出する角速度センサを含む、請求項6〜11のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項13】
前記ベース膜が、SiOからなる、請求項6〜12のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項14】
前記ベース膜の厚さが、2μm〜5μmである、請求項6〜13のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項15】
前記ポリシリコン層の厚さが、5μm〜20μmである、請求項6〜14のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項16】
請求項6〜15のいずれか一項に記載のMEMSセンサと、
前記MEMSセンサを覆うように形成された樹脂パッケージとを含む、MEMSパッケージ。
【請求項17】
前記MEMSセンサに電気的に接続され、前記MEMSセンサとともに同一の前記樹脂パッケージに覆われた集積回路をさらに含む、請求項16に記載のMEMSパッケージ。
【請求項18】
表面および裏面を有し、当該表面において前記MEMSセンサを支持する基板をさらに含み、
前記樹脂パッケージは、前記基板の前記表面を覆うように、かつ前記基板の前記裏面を露出させるように前記MEMSセンサを封止している、請求項16または17に記載のMEMSパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図7J】
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【図7K】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−127692(P2012−127692A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277214(P2010−277214)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】