説明

エンジンの制御装置

【課題】排気浄化装置の不活性状態において、排気浄化装置の早期昇温及び吹き抜けHCの低減を実現する。
【解決手段】エンジン10の吸気弁14及び排気弁15の少なくとも一方の開閉時期を変更する可変動弁機構6と、吸気ポート11に燃料噴射する燃料噴射弁18と、吸気量を調節するスロットルバルブ24と、排気通路39に設けられ排気を浄化する排気浄化装置32とを備えたエンジンの制御装置1において、可変動弁機構6を制御する手段1dと、燃料噴射弁18からの燃料噴射時期を制御する手段1eと、スロットルバルブ24の開度を制御する手段1bとを備え、排気浄化装置32の不活性状態において、手段1dは吸気弁14及び排気弁15がともに開弁状態となる重複期間を設け、手段1eは燃料噴射時期をエンジン10の吸気行程中に実施し、エンジン10の気筒19内の空燃比をストイキよりもリッチとする昇温制御を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気系に設けられる排気浄化用の触媒等を備えたポート噴射式のエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの排気系には、排気浄化用の触媒(酸化触媒や三元触媒等)やフィルタ等を備える排気浄化装置が設けられる。このうち、触媒は、温度が低い状態では十分に排気浄化性能を発揮することができないため、このような温度状況下では、排気浄化性能が低下してしまうおそれがある。そのため、エンジンの冷態始動直後等の排気浄化装置の温度が低い不活性状態では、早期に排気浄化装置の温度を上げて触媒を昇温させ、適切な排気浄化性能を得られるようにすることが望まれており、これに関する技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、排気通路に触媒が設けられた筒内噴射式エンジンにおいて、アイドル状態で触媒が不活性状態にある場合に、吸気弁及び排気弁をともに開弁状態とし(すなわち、バルブオーバラップさせ)、燃料室からの熱をもらって昇温した吸入空気を排気ポートに送る構成が記載されている。この装置によれば、燃焼室で燃え残ったHCを排気ポートで効率よく後燃えさせて触媒を早期に昇温させることができ、同時に排気未燃HCの濃度を減少させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−112296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の装置は、圧縮行程噴射による成層燃焼を前提としているので、燃焼室内の平均空燃比は理論空燃比(ストイキ)からややリーン程度であると考えられる。そのため、燃焼室内で燃え残るHC量が少なく、排気ポートでの未燃HCと空気との反応によって得られる後燃え効果が十分ではないおそれがある。このため、触媒が速やかに昇温されず、上記したように排気浄化性能の低下を招き、昇温に時間がかかることは燃費の悪化にもつながる。また、特許文献1は圧縮行程又は膨張行程で燃料噴射を行って強成層燃焼させるものであるため、燃料の気化が悪く、スモークや粒子状物質(PM)の発生を招くおそれがある。そのため、これらの対策用フィルタ等を排気通路に余計に設ける必要がある。
【0006】
本件はこのような課題に鑑み案出されたもので、排気浄化装置の不活性状態において、効率的に排気浄化装置の触媒を昇温させるとともに、吹き抜けHCを低減することができるようにした、エンジンの制御装置を提供することを目的の一つとする。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)ここで開示するエンジンの制御装置は、エンジンの吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉時期を変更可能な可変動弁機構と、前記エンジンの吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記エンジン内部に流入する吸気量を調節するスロットルバルブと、前記エンジンの排気通路に設けられ排気を浄化する排気浄化装置とを備えたエンジンの制御装置において、前記可変動弁機構を制御する開閉制御手段と、前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を制御する燃料噴射制御手段と、前記スロットルバルブの開度を制御するスロットル開度制御手段と、を備える。
そして、前記排気浄化装置の不活性状態において、前記開閉制御手段は前記吸気弁及び前記排気弁がともに開弁状態となる重複期間を設け、前記燃料噴射制御手段は前記燃料噴射時期を前記エンジンの吸気行程中に実施して、前記エンジンの気筒内の空燃比を理論空燃比よりもリッチとする昇温制御を実施することを特徴としている。
【0008】
(2)前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射弁から噴射された燃料が少なくとも前記重複期間の発生した後に燃焼室に到達するように前記燃料噴射時期を設定することが好ましい。
(3)前記エンジンの点火時期を制御する点火制御手段を備え、前記点火制御手段は、前記昇温制御において前記エンジンの点火時期をリタードすることが好ましい。
【0009】
(4)前記スロットル開度制御手段は、少なくとも前記点火時期のリタードに基づいて前記スロットルバルブの開度を増大させることが好ましい。
(5)前記スロットル開度制御手段は、前記昇温制御において前記重複期間中の前記吸気ポートの圧力が排気ポートの圧力よりも高くなるように前記スロットルバルブの開度を増大させることが好ましい。
【0010】
(6)前記吸気を圧縮する過給機を備え、前記過給機により前記昇温制御において前記重複期間中の前記吸気ポートの圧力を排気ポートの圧力よりも高くすることが好ましい。
(7)前記排気浄化装置の温度が所定温度以上であるか否かを判定する温度判定手段を備え、前記温度判定手段により前記排気浄化装置の温度が前記所定温度以上であると判定されたら、前記スロットルバルブの開度と前記燃料噴射時期と前記吸気弁及び前記排気弁の前記重複期間とを、前記エンジンへの出力要求に応じた通常の制御とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
開示のエンジンの制御装置によれば、排気通路において、吹き抜けた吸気中の酸素(O2)と燃焼によって多く生成された一酸化炭素(CO)とが反応するときの反応熱によって排気温度が上昇する。また、吹き抜けた吸気中の酸素は、排気通路において未燃HCとも反応してさらに排気の温度が上昇する。つまり、排気浄化装置の不活性状態において、排気の温度を急速に効率よく上げることができる。これにより、排気通路に設けられた排気浄化装置の触媒を速やかに昇温させることができる。一方、排気通路においてCO及びHCがそれぞれO2と反応してCO2及びH2Oとなるため、有害なCO及びHCの排出を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係るエンジンの制御装置を例示する構成図である。
【図2】一実施形態に係るエンジンの制御装置による昇温制御の内容を説明する図であり、(a)は排気弁のみ開弁状態、(b)はバルブオーバーラップしている状態、(c)は吸気弁のみ開弁状態を示す。
【図3】一実施形態に係るエンジンの制御装置による制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して制御装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
【0014】
[1.装置構成]
[1−1.エンジン構造]
本実施形態のエンジンの制御装置は、図1に示すポート噴射式のエンジン10に適用される。ここでは、多気筒のエンジン10に設けられた複数のシリンダ(気筒)19のうちの一つを示す。シリンダ19内を往復摺動するピストン16は、コネクティングロッドを介してクランクシャフト17に接続される。
【0015】
このシリンダ19の燃焼室形状はペントルーフ型であり、シリンダ19の縦断面で燃焼室の上部が三角屋根状に形成されている。三角屋根の一方の斜面には吸気ポート11が設けられ、他方の斜面には排気ポート12が設けられる。また、シリンダ19頂面の中央部には、点火プラグ13がその先端を燃焼室側に突出させた状態で設けられ、図示しないイグニッションコイルから供給される高圧電流により燃焼室内で火花を発生させ、燃焼室内の混合気に点火する。この点火プラグ13による点火時期は、後述のエンジン制御装置1の点火制御部1eにより電子制御される。
また、吸気ポート11には吸気弁14が設けられ、排気ポート12には排気弁15が設けられる。吸気弁14の開閉駆動により吸気ポート11と燃焼室とが連通又は遮断され、排気弁15の開閉駆動により排気ポート12と燃焼室とが連通又は遮断される。
【0016】
吸気弁14及び排気弁15の上端部はそれぞれ、ロッカアーム35,37の一端に接続される。ロッカアーム35,37はロッカシャフトに軸支された揺動部材であり、それぞれのロッカアーム35,37の揺動により吸気弁14及び排気弁15が上下方向に往復駆動される。また、ロッカアーム35,37の他端には、カムシャフトに軸支されたカム36,38が設けられる。これにより、ロッカアーム35,37の揺動パターンはカム36,38の形状(カムプロファイル)に応じたものとなる。
シリンダ19の周囲には、その内部を冷却水が流通するウォータージャケット40が設けられる。冷却水はエンジン10を冷却するための冷媒であり、ウォータージャケット40とラジエータとの間を環状に接続する冷却水循環路内を流通している。
【0017】
[1−2.動弁系]
本エンジン10には、ロッカアーム35,37又はカム36,38の動作を制御する可変動弁機構6が設けられる。可変動弁機構6は、吸気弁14及び排気弁15のそれぞれについて、最大バルブリフト量及びバルブタイミングを個別に、又は、連動させつつ変更する機構である。可変動弁機構6は、ロッカアーム35,37の揺動量及び揺動のタイミングを変更する機構として、可変バルブリフト機構6aと可変バルブタイミング機構6bとを備える。
【0018】
可変バルブリフト機構6aは、吸気弁14や排気弁15の最大バルブリフト量を連続的に変更する機構である。
また、可変バルブタイミング機構6bは、吸気弁14や排気弁15の開閉時期(開閉のタイミング,バルブタイミングともいう)を変更する機構である。この可変バルブタイミング機構6bは、ロッカアーム35,37に揺動を生じさせるカム36,38又はカムシャフトの回転位相を変更する機能を有する。カム36,38又はカムシャフトの回転位相を変更することで、クランクシャフト17の回転位相に対するロッカアーム35,37の揺動のタイミングを連続的にずらすことが可能となる。
【0019】
[1−3.吸排気系]
吸気ポート11内には、燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)18が設けられる。図1に示すように、インジェクタ18よりも吸気流の上流側には、インテークマニホールド(以下、インマニという)20が設けられる。このインマニ20には、吸気ポート11側へと流れる空気を一時的に溜めるためのサージタンク21が設けられる。サージタンク21よりも下流側のインマニ20は、複数のシリンダ19に向かって分岐するように形成され、その分岐点にサージタンク21が位置する。サージタンク21は、各々のシリンダ19で発生する吸気脈動や吸気干渉を緩和するように機能する。
【0020】
インマニ20の上流端には、スロットルボディ23が接続される。スロットルボディ23の内部には電子制御式のスロットルバルブ24が内蔵され、インマニ20側へと流通する空気量がスロットルバルブ24の開度(スロットル開度)に応じて調節される。スロットル開度は、エンジン制御装置1のスロットル開度制御部1bによって電子制御される。
スロットルボディ23のさらに上流側には、吸気通路25が接続される。また、吸気通路25のさらに上流側にはエアフィルタ28が介装される。これにより、エアフィルタ28で濾過された新気が吸気通路25及びインマニ20を介してエンジン10のシリンダ19に供給される。
【0021】
一方、排気ポート12よりも排気流の下流側には、エキゾーストマニホールド(以下、エキマニという)30,排気浄化装置32及び排気通路39が設けられる。エキマニ30は複数のシリンダ19から合流するように形成され、その下流側の排気通路39に接続される。また、排気浄化装置32は、排気通路39上に介装された触媒装置であって、排気中に含まれる炭化水素(HC)成分や一酸化炭素(CO),窒素酸化物(NOx)等を浄化する機能を持ち、例えば酸化触媒や三元触媒を備える。エンジン10の燃焼室から排出された排気中のHCは排気浄化装置32の触媒の働きにより酸化除去される。
【0022】
また、このエンジン10の吸排気系には、排気圧を利用してシリンダ19内に吸気を過給するターボチャージャー(過給機)31が設けられる。ターボチャージャー31は、吸気通路25と排気通路39との両方にまたがって介装された過給機である。ターボチャージャー31は、排気通路39内の排気圧でタービン27を回転させ、その回転力を利用してコンプレッサ26を駆動することにより、吸気通路25側の吸気を圧縮してエンジン10への過給を行う。なお、吸気通路25上におけるコンプレッサ26よりも吸気流の下流側にはインタクーラー29が設けられ、圧縮された空気が冷却されている。
【0023】
[1−4.検出系]
クランクシャフト17には、その回転角θCRを検出するクランク角センサ33が設けられる。回転角θCRの単位時間あたりの変化量はエンジン10の実回転数Neに比例する。したがって、クランク角センサ33はエンジン10の実回転数Neを検出する機能を持つものといえる。ここで検出(または演算)された実回転数Neの情報は、エンジン制御装置1に伝達される。なお、クランク角センサ33で検出された回転角θCRに基づき、エンジン制御装置1で実回転数Neを演算する構成としてもよい。以下、エンジン10の実回転数Neのことを単にエンジン回転数Neとも呼ぶ。
【0024】
スロットルバルブ24の下流側には、吸気圧力PINを検出するインマニ圧センサ22が設けられる。インマニ圧センサ22は、サージタンク21内の圧力(吸気ポート11内の圧力に対応する圧力)を検出するセンサである。なお、各シリンダ19の吸気ポート11内にインマニ圧センサ22を配置してもよい。ここで検出された吸気圧力PINの情報は、エンジン制御装置1に伝達される。
【0025】
エンジン10のウォータジャケット40近傍の冷却水循環路上には、エンジン10の冷却水の温度(冷却水温WT)を検出する冷却水温センサ41が設けられる。また、排気浄化装置32の上流側には、排気温度Tを検出する排気温度センサ42が設けられる。排気温度センサ42は、排気通路39を流通する排気の温度(排気浄化装置32の温度に対応する温度)を検出するセンサである。なお、排気浄化装置32の触媒の温度を直接検出するようにしてもよい。ここで検出された冷却水温WT及び排気温度Tの情報は、エンジン制御装置1に伝達される。
【0026】
車両には、アクセルペダルの踏み込み量に対応する操作量θACを検出するアクセルペダルセンサ34が設けられる。アクセルペダルの踏み込み操作量θACは、運転者の加速要求に対応するパラメータであり、すなわちエンジン10への出力要求に対応する。ここで検出された操作量θACの情報は、エンジン制御装置1に伝達される。
【0027】
[1−5.制御系]
この車両には電子制御装置として、エンジン制御装置(Engine Electronic Control Unit)1が設けられる。エンジン制御装置1は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられた車載ネットワーク網の通信ラインを介して他の電子制御装置や可変動弁機構6,各種センサ類と接続される。
【0028】
このエンジン制御装置1は、エンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広汎なシステムを制御する電子制御装置である。エンジン制御装置1の具体的な制御対象としては、インジェクタ18から噴射される燃料量や噴射時期,点火プラグ13での点火時期,吸気弁14及び排気弁15のバルブリフト量及びバルブタイミング,スロットルバルブ24の開度などが挙げられる。本実施形態では、エンジン10の冷態始動が完了した直後(すなわち、排気浄化装置32が不活性状態のとき)に、排気浄化装置を早期に昇温させる昇温制御について詳述する。
【0029】
[2.制御構成]
エンジン制御装置1には、上記の昇温制御を実施するための機能要素として、エンジン状態判定部1a,スロットル開度制御部1b,バルブタイミング制御部1c,燃料噴射制御部1d,点火制御部1e及び温度判定部1fが設けられる。
【0030】
エンジン状態判定部1aは、エンジン10が冷態であるか否かの判定と、エンジン10の始動が完了したか否かの判定を実施するものである。まず、エンジン状態判定部1aは、冷却水温センサ41で検出した冷却水温WTと所定の閾値とを比較し、冷却水温WTがこの閾値未満の場合はエンジン10が冷態であると判定し、冷却水温WTがこの閾値以上の場合はエンジン10が温態であると判定する。また、エンジン状態判定部1aは、エンジン10が冷態であると判定されたらエンジン10の始動状態を判定する。エンジン状態判定部1aは、図示しないスタータモータによりエンジン10のクランキングが実行されているときはエンジン10の始動中であると判定し、エンジン10の回転数が所定の回転数以上であればエンジン10が自発的に運転している(すなわち、エンジン10が完爆した)と判定し、エンジン10の始動が完了したと判定する。
【0031】
エンジン状態判定部1aでの判定は、排気浄化装置32に対する昇温制御が必要であるか否かの判定である。すなわち、このエンジン状態判定部1aにおいて、エンジン10が冷態であり且つ始動が完了したと判定されたら、排気温度が低温であるため排気通路39に設けられた排気浄化装置32の触媒も活性温度まで昇温されていないので(すなわち、排気浄化装置32が不活性状態であるため)、排気浄化装置32を早期に昇温させる(つまり、触媒を早期に昇温させる)必要がある。したがって、エンジン状態判定部1aにおいて昇温制御が必要であると判定された場合は、以下のスロットル開度制御部1b,バルブタイミング制御部1c,燃料噴射制御部1d及び点火制御部1eによって昇温制御が実施される。
【0032】
スロットル開度制御部(スロットル開度制御手段)1bは、エンジン回転数Ne及びエンジン負荷に応じてスロットルバルブ24に制御信号を出力し、スロットル開度を制御するものである。ここでは、例えばアクセルペダルの踏み込み操作量θACに基づいてエンジン負荷が判断される。具体的なスロットル開度の制御内容については任意である。
【0033】
本実施形態では、スロットル開度制御部1bは、エンジン状態判定部1aによって昇温制御が必要であると判定された場合に、スロットル開度を開放方向に制御する(すなわち、スロットル開度を増大させる)。これにより、吸気ポート11の圧力(吸気圧力)PINを排気ポート12の圧力よりも高くする。言い換えると、スロットル開度制御部1bは、吸気ポート11の圧力が排気ポート12の圧力よりも高くなる程度にスロットル開度を増大させるようにスロットルバルブ24を制御する。
【0034】
また、スロットル開度の増大によりエンジン出力(トルク)を増大させることができる。トルクが過大となりすぎる場合は、後述する点火制御部1eのによって点火時期がリタードされることにより解消される。また、スロットル開度制御部1bは、昇温制御が終了されると、エンジン10への出力要求に応じたスロットル開度に制御される(すなわち、通常の制御に切り替えられる)。
また、本実施形態では、排気圧を利用してシリンダ19内に吸気を過給するターボチャージャー31が設けられるため、スロットル開度の増大に加え、ターボチャージャー31を利用することにより容易に吸気ポート11の圧力が排気ポート12の圧力よりも高くされる。
【0035】
バルブタイミング制御部(開閉制御手段)1cは、エンジン回転数Ne及びエンジン負荷に応じて可変バルブタイミング機構6bに信号を出力し、吸気弁14及び排気弁15のそれぞれの開閉、すなわちバルブタイミング(開弁及び閉弁のタイミング)を制御するものである。このバルブタイミング制御部1cの吸気弁14及び排気弁15の開閉制御によって、バルブオーバーラップ(吸気弁14と排気弁15とがともに開弁状態となる重複期間)が設けられ、その期間の増減が制御される。ここでは、例えば吸気圧力PINに基づいてエンジン負荷が判断される。
【0036】
具体的なバルブタイミングを制御するための機械的構成については特に限定されない。例えば、エンジン回転数Neが上昇するに連れてバルブオーバーラップが増大するようにバルブタイミングが制御される。一方、バルブオーバーラップが過剰に増加するとかえって充填効率が低下するため、エンジン回転数がある程度高い場合には、バルブオーバーラップが減少するようになっている。
【0037】
本実施形態では、バルブタイミング制御部1cは、エンジン状態判定部1aによって昇温制御が必要であると判定された場合に、吸気弁14の開弁時期を進角する制御を行うか、排気弁15の閉弁時期を遅角する制御を行うか、或いは、この両方の制御を行ってバルブオーバーラップを設ける。通常、エンジン10の始動完了直後はバルブオーバーラップを設けないが、ここではあえてバルブオーバーラップを設ける。なお、このバルブオーバーラップの大きさは、吸気ポート11から排気ポート12へ直接吸気が吹き抜ける程度のものとする。これにより、吸気の吹き抜けを生じさせる。また、バルブタイミング制御部1cは、昇温制御が終了されると、エンジン10への出力要求に応じた通常の制御に切り替えられる。
【0038】
燃料噴射制御部(燃料噴射制御手段)1dは、エンジン回転数Ne及びエンジン負荷に応じてインジェクタ18に信号を出力し、インジェクタ18から吸気ポート11へ向けて噴射される燃料量や燃料噴射時期を制御するものである。
本実施形態では、燃料噴射制御部1dは、エンジン状態判定部1aによって昇温制御が必要であると判定された場合に、燃料噴射を吸気行程中に行うように制御する(すなわち、燃料噴射時期を吸気行程中とする)。また、燃料噴射制御部1dは、インジェクタ18から噴射された燃料が少なくともバルブオーバラップの発生した後に燃焼室に到達するように燃料噴射時期を制御する。ここでは、バルブオーバラップの終了後(すなわち、すでに排気弁15は閉弁状態となっているとき)に、インジェクタ18から噴射された燃料が燃焼室に到達するように制御される。
【0039】
つまり、上記のオーバーラップによって排気ポート12へ吹き抜けさせるのは酸素を含んだ吸気(新気)のみであって、燃料は吹き抜けないように制御される。これにより、エキマニ30や排気通路39内の空燃比(排気空燃比)が理論空燃比(ストイキ)であっても、シリンダ19内(筒内)の空燃比は理論空燃比よりもリッチとなる。また、燃料噴射制御部1dは、昇温制御が終了されると、エンジン10への出力要求に応じた燃料量及び燃料噴射時期に制御される(すなわち、通常の制御に切り替えられる)。
【0040】
点火制御部(点火制御手段)1eは、エンジン回転数Ne及びエンジン負荷に応じて点火プラグ13に信号を出力し、点火プラグ13による点火時期を制御するものである。
本実施形態では、点火制御部1eは、エンジン状態判定部1aによって昇温制御が必要であると判定された場合に、点火時期をリタード(遅角)させるように制御する。ここでは、点火時期の遅角量は比較的大きく(例えば上死点後10度以上)に設定される。これにより、排気温度を上昇させる。なお、上記したスロットル開度制御部1bは、少なくともこの点火制御部1eによる点火時期のリタードに基づいてスロットルバルブ24の開度を増大させることにより、点火時期のリタードに伴うトルクの低下を抑制する。また、点火制御部1eは、昇温制御が終了されると、エンジン10への出力要求に応じた点火時期に制御される(すなわち、通常の制御に切り替えられる)。
【0041】
上記の内容をまとめると、エンジン状態判定部1aによって排気浄化装置32に対する昇温制御が必要であると判定された場合は、スロットル開度制御部1bがスロットルバルブ24のスロットル開度を増大し、バルブタイミング制御部1cがバルブオーバーラップを設ける。そして、燃料噴射制御部1dが燃料噴射時期を吸気行程中とし、さらに点火制御部1eが点火時期をリタードする。これらによって昇温制御が実施される。この昇温制御は、以下の温度判定部1fによる判定によって終了される。
【0042】
温度判定部(温度判定手段)1fは、昇温制御により排気浄化装置32が所定温度まで昇温されたか否かを判定するものである。ここでは、排気通路39に設けられた温度センサ42で検出された排気温度Tが排気浄化装置32の温度と対応するものとする。温度判定部1fは、検出された排気温度Tと、予め設定された排気浄化装置32の触媒の活性温度(すなわち、所定温度)TTHとを比較する。そして、排気温度Tが活性温度TTH以上であると判定したときは、排気浄化装置32は昇温されたものと判定する。一方、排気温度Tが活性温度TTH未満のときは排気浄化装置32の昇温がまだ完了していない(すなわち、排気浄化装置32は未だ不活性状態である)と判定する。
【0043】
温度判定部1fによって排気浄化装置32が昇温されたと判定された場合は、上記の昇温制御が終了され、通常の制御に切り替えられる。一方、温度判定部1fによって排気浄化装置32の昇温がまだ完了していないと判定された場合は、昇温されたと判定されるまで上記の昇温制御が継続される。
【0044】
[3.作用]
本実施形態に係るエンジン制御装置1は上述のように構成されているので、昇温制御は例えば以下のように行われる。以下の説明では、昇温制御による作用を示した図2(a)〜(c)を用いる。図2(a)は排気行程において排気弁15のみが開弁状態であるときを示し、図2(b)は排気行程又は吸気行程において吸気弁14及び排気弁15がバルブオーバーラップしている状態を示し、図2(c)は吸気行程において吸気弁14のみが開弁状態であるときを示す。
【0045】
エンジン状態判定部1aによって排気浄化装置32の昇温制御が必要であると判定されると、図2(a)に示すように、スロットル開度制御部1bによってスロットルバルブ24の開度が増大される。このとき、吸気弁14は閉弁状態とされているため、吸気ポート11の吸気圧力PINが高まる。また、インジェクタ18からの燃料噴射は実施されていないので、吸気ポート11内には酸素を含んだ空気のみが充填される。なお、排気弁15は開弁されているため、シリンダ19内で燃焼し終えた排気は排気ポート12へ排出される。
【0046】
次に、図2(b)に示すように、バルブタイミング制御部1cによって、排気弁15が完全に閉弁される前に吸気弁14が開弁され、バルブオーバーラップが設けられる。このとき、吸気ポート11の圧力が高められているので、吸気ポート11に溜まった吸気は吸気ポート11から勢いよくシリンダ19内に流れ込む。そして、その吸気の一部は、シリンダ19内にとどまらずに排気ポート12へと流れる。これがいわゆる吹き抜けである。この吹き抜ける吸気には、酸素は含まれているが燃料は含まれていない。つまり、排気ポート12には、シリンダ19内で燃焼し終えた排気に加え、吸気ポート11から直接酸素を含んだ吸気が流れ込む。
【0047】
次に、図2(c)に示すように、排気弁15は完全に閉弁されてシリンダ19内には吸気が流れ込む。このとき、燃料噴射制御部1dによってインジェクタ18から吸気ポート11へ燃料が噴射される。つまり、シリンダ19内には燃料と混合された吸気(混合気)が流れ込む。ここで、燃料を含まない吸気の一部は排気ポート12へ吹き抜けたため、エキマニ30や排気通路39内の空燃比が理論空燃比(ストイキ)であっても、シリンダ19内の空燃比は理論空燃比よりもリッチとなる(すなわち、空燃比が小さくなる)。この状態で、圧縮行程を経た後爆発行程(燃焼行程)において点火プラグ13によって点火される。なお、このとき、点火制御部1eによって点火時期がリタードされる。
【0048】
爆発行程においてシリンダ19内で燃焼された排気は、排気行程において排気ポート12へ排出される。ここで、シリンダ19内の空燃比は吸気行程においてストイキよりもリッチとなっているので、燃焼により多くのCOが生成される。このCOは、爆発行程において燃焼しきれなかった未燃状態の燃料(すなわち、未燃HC)とともに、排気行程において排気ポート12へ排出される。そして、このCO及び未燃HCは、排気ポート12へ吹き抜けていた吸気(酸素)と排気通路39において反応し、CO2及びH2Oに酸化される。このときの酸化熱によって排気温度が上昇し、排気通路39に設けられた排気浄化装置32の温度も上昇する。つまり、排気浄化装置32の触媒が昇温される。
【0049】
[4.フローチャート]
図3はエンジン制御装置1で実行される制御手順を例示するフローチャートである。このフローは、エンジン制御装置1の内部において所定の周期で繰り返し実施される。また、下記の各ステップは、コンピュータのハードウェアに割り当てられた各機能(手段)が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することによって実施される。
【0050】
ドライバによる車両のイグニッションスイッチのオン操作が行われると、本制御装置は以下の制御フローをスタートする。
図3に示すように、まず、ステップS10において、フラグF=0であるか否かを判定する。ここで、フラグFとは、上記した昇温制御が実施されているか否かをチェックするための変数であり、制御開始時はフラグF=0と設定されている。そのため、制御開始時はステップS10においてYESルートとなり、ステップS20へ進む。ステップS20において、冷却水温センサ41で冷却水の温度WTを検出する。次いで、ステップS30において、この冷却水温WTと所定の閾値とが比較され、エンジン10が冷態か否かが判定される。
【0051】
ステップS30において冷却水温WTが所定の閾値よりも低い場合はエンジン10が冷態であると判定され、YESルートからステップS40へ進む。一方、冷却水温WTが所定の閾値以上の場合はエンジン10が冷態ではない(すなわち、温態である)と判定され、NOルートへ進んでこの制御フローを終了する。すなわち、エンジン10が冷態でない場合は、排気浄化装置32の昇温制御は不要であるとみなされる。
【0052】
ステップS40では、エンジン10の始動が完了したか否かが判定される。エンジン10が未だ始動中の場合は、NOルートからリターンする。一方、エンジン10の始動が完了したらYESルートからステップS50へ進む。なお、ステップS30及びステップS40の判定は、いずれもエンジン状態判定部1aで行われる。ステップS50では、フラグFがF=1に設定され、次いで、ステップS60において上記した昇温制御が実施され、排気浄化装置32が昇温される。
【0053】
ステップS70では、排気浄化装置32の昇温が完了したか否かが判定される。この判定は温度判定部1fで行われる。排気浄化装置32の昇温が完了した(すなわち、触媒が活性温度まで温度上昇した)と判定されたら、YESルートへ進みこの制御フローを終了して通常の制御に切り替えられる。また、排気浄化装置32の昇温が完了していない場合は、NOルートへ進んでリターンする。このとき、フラグFはF=1に設定されているため、ステップS10の判定でNOルートからステップS60へ進み、昇温制御が実施される。そして、ステップS70の判定で昇温が完了したと判定されるまで制御フローが繰り返される。
【0054】
[5.効果]
したがって、本制御装置によれば、排気通路39において、吹き抜けた吸気中の酸素(O2)と燃焼によって多く生成された一酸化炭素(CO)とが反応するときの反応熱によって排気温度が上昇する。また、吹き抜けた吸気中の酸素(O2)は、排気通路39において未燃HCとも反応してさらに排気の温度が上昇する。つまり、エンジン10の冷態始動直後等の排気浄化装置32の不活性状態において排気の温度を急速に効率よく上げることができる。これにより、排気通路39に設けられた排気浄化装置32の触媒を速やかに昇温させることができる。一方、排気通路39においてCO及びHCがそれぞれO2と反応してCO2及びH2Oとなるため、有害なCO及びHCの排出を低減させることができる。
【0055】
また、インジェクタ18から噴射された燃料がバルブオーバラップの終了後(すなわち、すでに排気弁15は閉弁状態となっているとき)に燃焼室に到達するように点火時期が制御されるため、燃料を含まない吸気の一部を排気ポート12へ吹き抜けさせることができるとともに、シリンダ19内をリッチとすることができる。これにより、排気通路39での反応熱をより得ることができ、排気浄化装置32の触媒を速やかに昇温させることができる。
【0056】
また、点火時期をリタードさせることによって、排気温度をさらに高温にすることができ、排気浄化装置32の昇温を促進させることができる。
また、スロットルバルブ24の開度が、点火時期をリタードに基づいて増大されることで、点火時期のリタードによる出力(トルク)低下を抑制することができる。
【0057】
また、吸気ポート11の圧力を排気ポート12の圧力よりも高めることによって、吸気ポート11から排気ポート12への新気の吹き抜けを促進することができ、より多くの酸素を排気通路39へ送ることができるため、排気通路39での酸化反応による熱を得ることができる。これにより、排気温度がさらに上昇し、排気浄化装置32の昇温を促進することができる。
なお、スロットルバルブ24によって吸気ポート11の圧力を排気ポート12の圧力よりも高める場合は、構成を簡素化することができる。また、ターボチャージャー31によって吸気ポート11の圧力を排気ポート12の圧力よりも高める場合は、容易に圧力差を作ることができる。
【0058】
さらに、従来は、ターボチャージャー31を備えたエンジンでは排気系の熱容量が大きくなってしまい、排気浄化装置32の早期昇温が困難であったが、本制御装置による昇温制御を実施すれば、ターボチャージャー31が設けられていても、排気浄化装置32を早期に昇温させることができる。
また、排気浄化装置32が昇温されたと判定されたら通常の制御に切り替えられるため、エンジンへの出力要求に応えることができ、効率よく出力を確保することができる。
【0059】
[6.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上記実施形態では、吸気弁14及び排気弁15のそれぞれについて、可変バルブリフト機構6aと可変バルブタイミング機構6bとを備えた可変動弁機構6が設けられているが、少なくとも吸気弁14及び排気弁15の一方に可変バルブタイミング機構6bを備えた可変動弁機構が設けれていればよい。
【0060】
また、上記実施形態では、インジェクタ18から噴射された燃料がバルブオーバラップの終了後(すなわち、すでに排気弁15は閉弁状態となっているとき)に燃焼室に到達するように点火時期が制御されているが、インジェクタ18から噴射された燃料が少なくともバルブオーバラップの発生した後に燃焼室に到達するように噴射時期が制御されていればよい。
【0061】
また、点火制御部1eによって点火時期がリタードされなくてもよい。この場合、スロットルバルブ24の開度を増大することによる出力の増大は、例えば補機等を駆動することにより抑制することができる。
また、上記の実施形態では、スロットルバルブ24及びターボチャージャー31の双方を用いて吸気ポート11側の圧力(吸気圧力)PINが排気ポート12側の圧力よりも高くなるようにしているが、スロットルバルブ24のみでも吸気を排気ポート12へ吹き抜けさせることができるため、ターボチャージャー31が設けられていないエンジンにも適用することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、温度判定部1fは、排気浄化装置32が昇温されたか否かの判定を温度センサ42で検出した排気温度Tを用いて行っているが、昇温されたか否かの判定はこれに限られない。例えば、検出した排気温度Tから判定するのではなく、エンジン10の昇温制御を開始してから所定の時間が経過したら、排気浄化装置32が昇温されたものと推定するように構成してもよい。つまり、エンジン状態判定部1aによりエンジン10の冷態始動が完了したと判定されたら、昇温制御を開始と同時にエンジン制御装置1に内蔵されたタイマーをスタートさせる。そして、予め実験等により昇温制御によって排気浄化装置32が昇温されるまでの時間を求めておいて、時間によって昇温されたか否かを判定するように構成してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、燃料噴射制御部1dによる燃料噴射時にはすでに排気弁15は閉弁状態となっていたが、インジェクタ18から排気ポート12の入口までは距離があるため、燃料噴射時に排気弁15が完全に閉弁状態となっていなくてもよく、燃料が排気ポート12の入口に到達するときに閉弁されていればよい。つまり、この場合もオーバーラップによって排気ポート12へ吹き抜けさせるのは酸素を含んだ吸気のみであって、燃料は吹き抜けないように制御される。
【符号の説明】
【0064】
1 エンジン制御装置
1a エンジン状態判定部
1b スロットル開度制御部(スロットル開度制御手段)
1c バルブタイミング制御部(開閉制御手段)
1d 燃料噴射制御部(燃料噴射制御手段)
1e 点火制御部(点火制御手段)
1f 温度判定部(温度判定手段)
6 可変動弁機構
10 エンジン
11 吸気ポート
12 排気ポート
13 点火プラグ
14 吸気弁
15 排気弁
18 インジェクタ(燃料噴射弁)
19 シリンダ(気筒)
24 スロットルバルブ
25 吸気通路
31 ターボチャージャー(過給機)
32 排気浄化装置
39 排気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉時期を変更可能な可変動弁機構と、前記エンジンの吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記エンジン内部に流入する吸気量を調節するスロットルバルブと、前記エンジンの排気通路に設けられ排気を浄化する排気浄化装置とを備えたエンジンの制御装置において、
前記可変動弁機構を制御する開閉制御手段と、
前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を制御する燃料噴射制御手段と、
前記スロットルバルブの開度を制御するスロットル開度制御手段と、を備え、
前記排気浄化装置の不活性状態において、前記開閉制御手段は前記吸気弁及び前記排気弁がともに開弁状態となる重複期間を設け、前記燃料噴射制御手段は前記燃料噴射時期を前記エンジンの吸気行程中に実施して、前記エンジンの気筒内の空燃比を理論空燃比よりもリッチとする昇温制御を実施する
ことを特徴とする、エンジンの制御装置。
【請求項2】
前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射弁から噴射された燃料が少なくとも前記重複期間の発生した後に燃焼室に到達するように前記燃料噴射時期を設定する
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置。
【請求項3】
前記エンジンの点火時期を制御する点火制御手段を備え、
前記点火制御手段は、前記エンジンの冷態始動直後において前記エンジンの点火時期をリタードする
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジンの制御装置。
【請求項4】
前記スロットル開度制御手段は、少なくとも前記点火時期のリタードに基づいて前記スロットルバルブの開度を増大させる
ことを特徴とする、請求項3記載のエンジンの制御装置。
【請求項5】
前記スロットル開度制御手段は、前記昇温制御において前記重複期間中の前記吸気ポートの圧力が排気ポートの圧力よりも高くなるように前記スロットルバルブの開度を増大させる
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項6】
前記吸気を圧縮する過給機を備え、
前記過給機により前記昇温制御において前記重複期間中の前記吸気ポートの圧力を排気ポートの圧力よりも高くする
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項7】
前記排気浄化装置の温度が所定温度以上であるか否かを判定する温度判定手段を備え、
前記温度判定手段により前記排気浄化装置の温度が前記所定温度以上であると判定されたら、前記スロットルバルブの開度と前記燃料噴射時期と前記吸気弁及び前記排気弁の前記重複期間とを、前記エンジンへの出力要求に応じた通常の制御とする
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−68094(P2013−68094A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205290(P2011−205290)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】