説明

ガスディフューザのホールデザインによるプラズマ均一性制御

【課題】膜厚及び膜特性の均一性を改善するガスディフューザを提供する。
【解決手段】ガス分散プレートは、ディフューザプレートの上流側と下流側との間の複数のガス流路とを含み、ガス流路は、上流面に第1の径を有し、第1の径よりも大きい第2の径を下流面に有する。プラズマのイオン化を強めるために、下流側に第2の径を有する中空カソードキャビティを含む。下流端部まで伸びるガス流路の中空カソードキャビティ(円錐体形状の孔)の深さ、径、表面積及び密度はディフューザプレートの中心部から縁部に向かって徐々に増加させて、基板全域での膜厚及び特性の均一性を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般に、ガス分散プレートアセンブリ及び処理チャンバ内にガスを分散させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の説明
[0002]液晶ディスプレイあるいはフラットパネルは、一般に、コンピュータやテレビジョンモニタ等のアクティブマトリックスディスプレイに用いられている。プラズマCVD(plasma enhanced chemical vapor deposition;PECVD)は、一般に、フラットパネルディスプレイまたは半導体ウェーハのための透明基板等の基板上に薄膜を堆積させるのに用いられる。PECVDは、通常、前駆物質ガスまたはガス混合物を、基板を含む真空チャンバ内に導入することによって実現される。該前駆物質ガスまたはガス混合物は、一般に、該チャンバの上部近傍に配置された分散プレートを通して下方に向けられる。該チャンバ内の該前駆物質ガスまたはガス混合物は、該チャンバに結合された1つまたはそれ以上の高周波電源から該チャンバに高周波(radio frequency;RF)電力を印加することにより、エネルギーを与えられて(例えば、励起されて)プラズマにされる。該励起されたガスまたはガス混合物は、反応して、温度制御された基板支持体上に配置されている基板の表面に材料層を形成する。該反応中に生成された揮発性副生成物は、該チャンバから排気装置を介して排出される。
【0003】
[0003]PECVD技術によって処理されたフラットパネルは、一般的には大きく、通常370mm×470mmを超える。4平方メートル近い及び4平方メートルを超える大面積基板は、近い将来構想される。フラットパネル上に均一なプロセスガスフローを供給するのに用いられるガス分散プレート(またはガスディフューザプレート)は、特に、200mm及び300mmの半導体ウェーハ処理に用いられるガス分散プレートと比較して、サイズが比較的大きい。
【0004】
[0004]TFT−LCD業界において、基板のサイズが大きくなると、PECVDの場合に、膜厚及び膜の均一特性制御が問題になる。TFTは、フラットパネルディスプレイの一種である。例えば、基板の中心部と縁部との間の膜歪みのような堆積速度および/または膜特性の違いが重要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]従って膜の堆積厚及び膜特性の均一性を改善する改良されたガス分散プレートアセンブリに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]ガスを処理チャンバ内に分散させるガス分散プレートの実施形態が提供される。一実施形態においては、プラズマ処理チャンバのためのガス分散プレートアセンブリは、上流側及び下流側を有するディフューザプレートと、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通り、かつ該下流側に中空カソードキャビティを備える内側及び外側ガス流路とを備え、該内側ガス流路の中空カソードキャビティ容積密度は、該外側ガス流路の中空カソードキャビティ容積密度よりも小さい。
【0007】
[0007]他の実施形態においては、プラズマ処理チャンバのためのガス分散プレートアセンブリは、上流側及び下流側を有するディフューザプレートと、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通り、かつ該下流側に中空カソードキャビティを備える内側及び外側ガス流路とを備え、該内側ガス流路の中空カソードキャビティの表面積密度は、該外側ガス流路の中空カソードキャビティの表面積密度よりも小さい。
【0008】
[0008]別の実施形態においては、プラズマ処理チャンバのためのガス分散プレートアセンブリは、上流側及び下流側を有するディフューザプレートと、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通る複数のガス流路とを備え、中空カソードキャビティの密度が、該ディフューザプレートの中心から縁部に向かって徐々に増加する。
【0009】
[0009]他の実施形態においては、プラズマ処理チャンバは、上流側及び下流側を有するディフューザプレートと、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通り、かつ該下流側に中空カソードキャビティを備える内側及び外側ガス流路であって、該内側ガス流路の中空カソードキャビティ容積密度が、該外側ガス流路の中空カソードキャビティ容積密度よりも小さい、内側及び外側ガス流路と、該ディフューザプレートの下流側近傍の基板支持体とを備える。
【0010】
[0010]別の実施形態においては、プラズマ処理チャンバは、上流側及び下流側を有するディフューザプレートと、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通り、かつ該下流側に中空カソードキャビティを備える内側及び外側ガス流路であって、該内側ガス流路の中空カソードキャビティの表面積密度が、該外側ガス流路の中空カソードキャビティの表面積密度よりも小さい、内側及び外側ガス流路と、該ディフューザプレートの下流側近傍の基板支持体とを備える。
【0011】
[0011]他の実施形態においては、プラズマ処理チャンバは、上流側及び下流側を有するディフューザプレートと、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通る複数のガス流路であって、中空カソードキャビティの密度が、該ディフューザプレートの中心から縁部に向かって徐々に増加する、複数のガス流路と、該ディフューザプレートの下流側近傍の基板支持体とを備える。
【0012】
[0012]別の実施形態においては、プラズマ処理チャンバのためのガス分散プレートアセンブリは、上流側及び下流側を有し、かつ多数の同心ゾーンに分割されているディフューザプレートと、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通る複数のガス流路とを備え、各ゾーンにおけるガス流路は同一であり、中空カソードキャビティの密度、容積または表面積は、該ディフューザプレートの中心から縁部に向かって徐々に増加する。
【0013】
[0013]他の実施形態においては、プラズマ処理チャンバのためのガスディフューザプレートを形成する方法は、上流側及び下流側と、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通る複数のガス流路とを有するようにガスディフューザプレートを形成するステップと、該ディフューザプレートを湾曲させて、下流側に向けて滑らかな凸状に形成するステップと、該凸状面を適合させて下流側面を平坦化するステップとを含む。
【0014】
[0014]別の実施形態においては、プラズマ処理チャンバのためのガスディフューザプレートを形成する方法は、上流側及び下流側と、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通る複数のガス流路とを有するようにガスディフューザを適合させることであって、該ディフューザプレートの中空カソードキャビティの密度、容積または表面積が、該ディフューザプレートの中心から縁部に向かって徐々に増加するステップを含む。
【0015】
[0015]他の実施形態においては、基板上に薄膜を堆積する方法は、プロセスチャンバ内の基板に、上流側及び下流側を有するガスディフューザプレートと、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通り、かつ該下流側に中空カソードキャビティを備える内側及び外側ガス流路であって、該内側ガス流路の中空カソードキャビティの容積密度、または該中空カソードキャビティの表面積密度、あるいは、該中空カソードキャビティ密度が、該外側ガス流路の同じパラメータよりも小さい、内側及び外側ガス流路とを配置するステップと、ディフューザプレートを介して、基板支持体上に支持された基板の方へプロセスガスを流すステップと、該ディフューザプレートと該基板との間にプラズマを生成するステップと、該プロセスチャンバ内の基板上に薄膜を堆積するステップとを含む。
【0016】
[0016]別の実施形態においては、ディフューザプレートは、上面及び底面を有するボディと、該底面の上面と底面の間の複数のガス流路と、外側領域及び内側領域とを備え、該外側領域の上部と底部の間の該ボディが、該内側領域の上部と底部の間の該ボディよりも厚い。
【0017】
[0017]他の実施形態においては、プラズマ処理チャンバのためのガスディフューザプレートを形成する方法は、上流側及び下流側と、該ディフューザプレートの上流側と下流側の間を通る複数のガス流路とを有するようにガスディフューザプレートを形成するステップと、該下流面を適合させて、該下流面を凸状に形成するステップとを含む。
【0018】
[0018]また別の実施形態においては、プラズマ処理チャンバのためのガスディフューザプレートを形成する方法は、上流側及び下流側を有するディフューザプレートを湾曲させて、該下流面を凹状に、かつ上流面を凸状に形成するステップと、中空カソードキャビティを、仮想の平坦下流面から同じ深さに形成することにより、該ディフューザプレートの上流と下流の間を通過する複数のガス流路を形成するステップと、該中空カソードキャビティに接続される同じサイズのオリフィス穴を有するように、全てのガス流路を形成するステップとを含む。
【0019】
[0019]本発明の教示は、添付図面と共に、以下の詳細な説明を考究することにより、容易に理解することができる。
【0020】
[0059]理解を容易にするために、可能な場合、図面に共通する同一の構成要素を表わすために、同一の参照符号を用いている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】底部ゲート薄膜トランジスタの断面該略図を示す。
【図2】本発明のガス分散プレートアセンブリの一実施形態を有する例示的な処理チャンバの概略断面図である。
【図3】ガスディフューザプレートの断面該略図である。
【図4A】ディフューザプレートによって、プロセスチャンバ内の基板上に薄膜を堆積するプロセスフローを示す。
【図4B】均等なディフューザホール径及び深さを有するディフューザプレートを用いた堆積から集めた、1500mm×1800mmの基板に対する堆積速度測定値を示す。
【図5】ポンピングチャネルを閉じた状態の側部に近い基板の2辺(501及び502)と、基板上の5つの測定場所とを示す。
【図6A】中空カソード効果の概念を示す(従来技術)。
【図6B】中空カソードキャビティのデザインを示す。
【図6C】中空カソードキャビティのデザインを示す。
【図6D】中空カソードキャビティのデザインを示す。
【図6E】中空カソードキャビティのデザインを示す。
【図6F】中空カソードキャビティのデザインを示す。
【図6G】中空カソードキャビティのデザインを示す。
【図7A】ガス流路の下流端部に拡がる孔の径「D」、深さ「d」及びフレア角度「α」の定義を示す。
【図7B】ガス流路の寸法を示す。
【図7C】ガス流路の寸法を示す。
【図7D】ガス流路の寸法を示す。
【図7E】ディフューザプレート全域のガス流路の配置を示す。
【図8】図7Eに示すようなディフューザプレート全域のガス流路の配置を有するディフューザプレートを用いた堆積から集めた、1500mm×1800mmの基板に対する堆積速度測定値を示す。
【図9A】ディフューザプレート形成のプロセスフローを示す。
【図9B】湾曲したディフューザプレートを示す。
【図9C】すでに湾曲され、下流側に面している側が平坦に加工されているディフューザプレートを示す。
【図9D】1500mm×1850mmの基板を処理するのに使用されるディフューザプレートのガス流路の下流端部に拡がるディフューザ穴の深さの分布を示す。
【図9E】1500mm×1850mmの基板に対する堆積速度の測定値を示す。
【図9F】1870mm×2200mmの基板を処理するのに使用されるディフューザプレートのガス流路の下流端部に拡がるディフューザ穴の深さの分布を示す。
【図9G】1870mm×2200mmの基板に対する堆積速度の測定値を示す。
【図10A】熱プロセスによってディフューザプレートを湾曲させるプロセスフローを示す。
【図10B】ディフューザプレートを湾曲させるのに用いることができる熱環境中の支持体上のディフューザプレートを示す。
【図10C】熱環境中の支持体上の凸状ディフューザプレートを示す。
【図11A】真空プロセスによってディフューザプレートを湾曲させるプロセスフローを示す。
【図11B】真空アセンブリ上のディフューザプレートを示す。
【図11C】真空アセンブリ上の凸状ディフューザプレートを示す。
【図12A】ディフューザプレートの下流側に拡がる孔の異なる径及び深さを有するディフューザプレートを形成するプロセスフローを示す。
【図12B】ディフューザプレートの下流側に拡がる孔の異なる径及び深さを有するディフューザプレートの断面を示す。
【図12C】ディフューザプレートの中心から縁部に、実質的に等しいディフューザ穴を有するディフューザプレートを示す。
【図12D】底面が凹状に加工された後の図12Cのディフューザプレートを示す。
【図12E】底面が実質的に平坦に引き上げられた後の図12Dのディフューザプレートを示す。
【図12F】凹状(底面)形状に湾曲されていない、ディフューザ穴がないディフューザプレートを示す。
【図12G】ディフューザ穴を有する図12Fのディフューザプレートを示す。
【図12H】その底面が実質的に平坦に引き上げられた後の図12Gのディフューザプレートを示す。
【図12I】多数のゾーンにディフューザ穴を有するディフューザプレートを示す。
【図12J】混成中空カソードキャビティ径を有し、内側領域中空カソードキャビティ容積および/または表面積密度が、外側領域中空カソードキャビティ容積および/または表面積密度よりも大きいディフューザプレートを示す。
【図12K】ほとんどの中空カソードキャビティが同じで、ディフューザプレートの縁部近くにより大きな中空カソードキャビティが少し存在するディフューザプレートを示す。
【図13】異なるディフューザ穴密度を有するディフューザプレートの下流側の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0060]本発明は、一般に、処理チャンバ内にガス供給を実行できるガス分散アセンブリを提供する。以下、本発明を、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社の一事業部であるAKTから入手可能なプラズマCVD装置等の、大面積基板を処理するように構成されたPECVD装置に関して具体的に説明する。しかし、本発明が、エッチ装置、他の化学気相堆積装置および、丸い基板を処理するように構成された装置を含む、ガスをプロセスチャンバ内に分散させることが必要な他の装置等のその他の装置構成において有用性を有することを理解すべきである。
【0023】
[0061]図1は、薄膜トランジスタ構造の断面該略図を示す。共通TFT構造は、図1に示すバックチャネルエッチ(back channel etch;BCE)インバーテッドスタガ(またはボトムゲート)TFT構造である。BCEプロセスは、ゲート絶縁膜(SiN)や真性及びn+ドープアモルファスシリコン膜を同じPECVDポンプダウン動作で堆積することができるため、好ましい。ここで示したBCEプロセスは、5つのみのパターニングマスクを必要とする。基板101は、例えば、ガラスや透明プラスチック等の、可視スペクトルにおいて本質的に光学的に透明な材料を含んでもよい。該基板は、異なる形状または寸法からなっていてもよい。一般に、TFT用途の場合、該基板は、約500mm以上の表面積を有するガラス基板である。ゲート電極層102は、基板101上に形成されている。ゲート電極層102は、TFT内の荷電キャリアの動きを制御する導電層を備える。ゲート電極層102は、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)またはそれらを組み合わせたもの等の金属を含んでもよい。ゲート電極層102は、従来の堆積、リソグラフィ及びエッチング技術を用いて形成してもよい。基板101とゲート電極層102との間には、例えば、本発明に記載したPECVD装置の実施形態を用いて形成することもできる、二酸化シリコン(SiO)または窒化シリコン(SiN)等の任意の絶縁材料があってもよい。ゲート電極層102は、該ゲート電極を画成する従来の技術を用いて、蝕刻技術でパターン化される。
【0024】
[0062]ゲート絶縁層103は、ゲート電極層102上に形成されている。ゲート絶縁層103は、本発明に記載したPECVD装置の実施形態を用いて堆積したシリコン酸化膜(SiO)、シリコン酸窒化膜(SiON)または窒化シリコン膜(SiN)であってもよい。ゲート絶縁層103は、約100Å〜約6000Åの厚さに形成することができる。
【0025】
[0063]バルク半導体層104は、ゲート絶縁層103上に形成されている。バルク半導体層104は、本発明に記載したPECVD装置の実施形態または他の公知の従来の方法を用いて堆積することができる、多結晶シリコン(ポリシリコン)あるいはアモルファスシリコン(α−Si)を含んでもよい。バルク半導体層104は、約100Å〜約3000Åの厚さに堆積することができる。ドープされた半導体層105は、半導体層104の上部に形成されている。ドープされた半導体層105は、本発明に記載したPECVD装置の実施形態または他の公知の従来の方法を用いて堆積することができる、n型(n+)またはp型(p+)多結晶シリコン(ポリシリコン)あるいはアモルファスシリコン(α−Si)を含んでもよい。ドープされた半導体層105は、約100Å〜約3000Åの厚さに堆積することができる。ドープされた半導体層105の実施例は、n+のドープされたα−Si膜である。バルク半導体層104及びドープされた半導体層105は、蓄積キャパシタ絶縁体としても作用する、ゲート絶縁膜上にそれら2つの膜のメサを画成する従来の技術を用いて、蝕刻的にパターン化される。ドープされた半導体層105は、バルク半導体層104の一部に直接接触して、半導体接合を形成する。
【0026】
[0064]そして、導電層106は、露出面上に堆積される。導電層106は、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)またはそれらを組み合わせたもの等の金属を含んでもよい。導電層106は、従来の堆積技術を用いて形成することができる。導電層106及びドープされた半導体層105は、TFTのソース及びドレインを画成するために、蝕刻的にパターン化することができる。その後、パッシベーション層107を堆積してもよい。パッシベーション層107は、露出面を絶縁被覆する。パッシベーション層107は、一般に絶縁体であり、例えば、二酸化シリコン(SiO)または窒化シリコン(SiN)を含んでもよい。パッシベーション層107は、例えば、PECVDまたは他の公知の従来の方法を用いて形成することができる。パッシベーション層107は、約1000Å〜約5000Åの厚さに堆積することができる。パッシベーション層107は、該パッシベーション層にコンタクトホールを開けるための従来技術を用いて、蝕刻的にパターン化されてエッチングされる。
【0027】
[0065]透明導体層108が堆積されて、導電層106と接触するようにパターン化される。透明導体層108は、可視スペクトルにおいて本質的に光学的に透明で、かつ導電性の材料を含む。透明導体層108は、例えば、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide;ITO)または酸化亜鉛を含んでもよい。透明導電層108のパターニングは、従来のリソグラフィ技術及びエッチング技術によって実施される。
【0028】
[0066]液晶ディスプレイ(またはフラットパネル)に用いるドープされたまたは無ドープ(真性)アモルファスシリコン(α−Si)膜、二酸化シリコン膜(SiO)、シリコン酸窒化膜(SiON)及び窒化シリコン膜(SiN)は、全て、本発明に記載したPECVDの実施形態を用いて堆積することができる。本願明細書に記載したTFT構造は、単に実施例として用いられる。本発明は、適用可能ないかなるデバイスの製造にも適用される。
【0029】
[0067]図2は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社の一事業部であるAKTから入手可能なプラズマCVD装置200の一実施形態の概略断面図である。装置200は、一般に、ガスソース204に結合された処理チャンバ202を含む。処理チャンバ202は、プロセス容積212を一部画成する壁部206及び底部208を有する。プロセス容積212は、通常、基板240の処理チャンバ202内への移動及び該基板の該チャンバ外への移動を容易にする、壁部206のポート(図示せず)を介してアクセスされる。壁部206及び底部208は、一般に、アルミニウムからなる一体ブロックまたは処理と適合性のある他の材質で形成される。壁部206は、プロセス容積212を(図示しない様々なポンピング要素を含む)排気ポートに結合するポンピングプレナム214を含むふたアセンブリ210を支持する。
【0030】
[0068]温度制御された基板支持体アセンブリ238は、処理チャンバ202内の中央に配置されている。支持体アセンブリ238は、処理中に、ガラス基板240を支持する。一実施形態においては、基板支持体アセンブリ238は、少なくとも1つの埋込み型ヒータ232を含むアルミニウムボディ224を備える。支持体アセンブリ238内に配置された、抵抗体等のヒータ232は、任意の電源274に結合され、かつ支持体アセンブリ238及び該アセンブリ上に配置されたガラス基板240を、所定の温度まで制御可能に加熱する。一般に、CVDプロセスにおいては、ヒータ232は、堆積する材料の堆積処理パラメータにより、約150℃〜少なくとも約460℃の均一な温度にガラス基板240を維持する。
【0031】
[0069]一般に、支持体アセンブリ238は、下方側226と上方側234とを有する。上方側234は、ガラス基板240を支持する。下方側226は、該下方側に結合されたステム242を有する。ステム242は、支持体アセンブリ238を、処理チャンバ202への基板移送及び該処理チャンバからの基板移送を容易にする、(図示したような)上昇位置と低下位置との間で支持体アセンブリ238を動かすリフト装置(図示せず)に結合する。また、ステム242は、支持体アセンブリ238と、装置200の他の構成要素との間の電気的及び熱結合リードのための導管を形成する。
【0032】
[0070]べローズ246は、支持体アセンブリ238(またはステム242)と、処理チャンバ202の底部208との間に結合されている。べローズ246は、チャンバ容積212と、処理チャンバ202の外部の大気との間に真空シールを形成するとともに、支持体アセンブリ238の垂直動を容易にする。
【0033】
[0071]支持体アセンブリ238は、一般に、電源222によって、蓋アセンブリ210と基板支持体アセンブリ238との間に配置されたガス分散プレートアセンブリ218(または上記チャンバの蓋アセンブリ内または近傍に配置された他の電極)に供給される高周波電力が、支持体アセンブリ238と分散プレートアセンブリ218との間のプロセス容積212内にあるガスを励起させるように接地される。電源222からの高周波電力は、通常、化学気相成長プロセスを駆動するために、上記基板のサイズに見合って選択される。
【0034】
[0072]また、支持体アセンブリ238は、境界保護フレーム248を支持する。一般に、保護フレーム248は、基板が支持体アセンブリ238に付着しないように、ガラス基板240の縁部及び支持体アセンブリ238における堆積を防ぐ。支持体アセンブリ238は、複数のリフトピン250を収容する、該アセンブリを貫通して配置された複数の孔228を有する。リフトピン250は、通常、セラミックまたは陽極酸化したアルミニウムから構成される。リフトピン250は、支持面230から突出するように、任意のリフトプレート254によって、支持体アセンブリ238に対して動かし、それにより、支持体アセンブリ238に対して離間して上記基板を配置してもよい。
【0035】
[0073]蓋アセンブリ210は、プロセス容積212に対する上方境界を形成する。蓋アセンブリ210は、一般に、処理チャンバ202をメンテナンスするために取り除いたり開いたりすることができる。一実施形態において、蓋アセンブリ210は、アルミニウム(Al)で形成されている。蓋アセンブリ210は、該アセンブリ内に形成され、外部のポンピング装置(図示せず)に結合されているポンピングプレナム214を含む。ポンピングプレナム214は、プロセス容積212から及び処理チャンバ202の外へ、ガス及び処理副生成物を一様に流すのに用いられる。
【0036】
[0074]蓋アセンブリ210は、通常、ガスソース204によって供給されるプロセスガスが、それを通って処理チャンバ202内に導入されるエントリポート280を含む。また、エントリポート280は、クリーニングソース282に結合されている。クリーニングソース282は、一般に、処理チャンバ202内に導入されて、堆積副生成物及び膜を、ガス分散プレートアセンブリ218を含む処理チャンバハードウェアから除去する、解離フッ素等のクリーニング薬剤を供給する。
【0037】
[0075]ガス分散プレートアセンブリ218は、蓋アセンブリ210の内側220に結合されている。ガス分散プレートアセンブリ218は、一般に、例えば、大面積フラットパネル基板の場合には多角形で、ウェーハの場合には円形のように、ガラス基板240の輪郭に実質的に追従するように構成されている。ガス分散プレートアセンブリ218は、ガスソース204から供給されるプロセスガスや他のガスが、それを通ってプロセス容積212内に供給される穿孔領域216を含む。ガス分散プレートアセンブリ218の穿孔領域216は、ガスのガス分散プレートアセンブリ218を介した処理チャンバ202内への一様な分散を実行できるように構成されている。本発明によって恩恵を受けるように適合しているガス分散プレートは、2001年8月8日に出願された、Keller等による共同で譲渡された米国特許出願第09/922,219号明細書、2002年5月6日に出願された、Yim等による米国特許出願第10/140,324号明細書、2003年1月7日に出願された、Blonigan等による同第10/337,483号明細書、2002年11月12日にWhite等に対して発行された米国特許第6,477,980号明細書、2003年4月16日に出願されたChoi等による米国特許出願第10/417,592号明細書、および2004年4月12日に出願されたChoi等による米国特許出願第10/823,347号明細書に記載されており、これら全体を本願明細書に組み入れる。
【0038】
[0076]ガス分散プレートアセンブリ218は、一般に、ハンガープレート260から吊り下げられたディフューザプレート(または分散プレート)258を含む。ディフューザプレート258及びハンガープレート260は、代替的に、単一の一体部材を備えてもよい。複数のガス流路262は、ガス分散プレートアセンブリ218を介したプロセス容積212内へのガスの所定の分散を可能にするように、ディフューザプレート258を貫通して形成されている。ハンガープレート260は、ディフューザプレート258と、蓋アセンブリ210の内面220とを離間関係で維持し、それによって、それらの間にプレナム264を画成する。プレナム264は、ガスが、中央の穿孔領域216上に一様に供給されて、均一な配分でガス流路262を流れるように、蓋アセンブリ210を介して流れるガスをディフューザプレート258の全幅にわたって一様に分散させる。
【0039】
[0077]ディフューザプレート258は、通常、ステンレス鋼、アルミニウム(Al)、陽極酸化したアルミニウム、ニッケル(Ni)または高周波導電性材料によって形成される。ディフューザプレート258は、鋳造、ろう付け、鍛造、熱平衡圧着または焼結することができる。ディフューザプレート258は、基板処理に有害な影響を及ぼさないように、開口266全域にわたって十分な平坦性を維持する厚さで構成されている。ディフューザプレート258の厚さは、約0.8インチ〜約2.0インチである。ディフューザプレート258は、半導体ウェーハの製造の場合には円形に、フラットパネルディスプレイの製造の場合には、長方形等の多角形とすることができる。
【0040】
[0078]図3は、2003年4月16日に出願された、「大面積プラズマCVDのためのガス分散プレートアセンブリ」というタイトルの共同で譲渡された米国特許出願第10/417,592号明細書に記載されている例示的なディフューザプレート258の部分断面図である。ディフューザプレート258は、蓋アセンブリ210に面した第1のまたは上流側302と、支持体アセンブリ238に面した対向する第2のまたは下流側とを含む。各ガス流路262は、組合わせて分散プレート258を貫通する流体経路を形成する第2の孔312に、オリフィス穴314によって結合された第1の孔310によって画成されている。第1の孔310は、第1の深さ330だけガス分散プレート258の上流側302から底部318まで及んでいる。第1の孔310の底部318は、ガスが、該第1の孔からオリフィス穴314内に流れたときの流れの限定を最少化するために、先細りにする、傾斜させる、面取りする、または丸みをつけてもよい。第1の孔310は、通常、約0.093〜約0.218インチの径を有し、一実施形態においては、約0.156インチである。
【0041】
[0079]第2の孔312は、ディフューザプレート258に形成され、下流側(または端部)304から、約0.10〜約2.0インチの深さ332まで及んでいる。好ましくは、深さ332は、約0.1インチ〜約1.0インチである。第2の孔312の径336は、通常、約0.1インチ〜約1.0インチであり、約10°〜約50°の角度316でじょうご状に開いていてもよい。好ましくは、径336は、約0.1インチ〜約0.5インチであり、フレア角度316は、20°〜約40°である。第2の孔312の表面は、約0.05(インチ)〜約10(インチ)であり、好ましくは約0.05(インチ)〜約5(インチ)である。第2の孔312の径は、下流面304と相交わる径を指す。1500mm×1850mmの基板を処理するのに用いられるディフューザプレートの実施例は、0.250インチの径で、および約22°のフレア角度316で第2の孔312を有する。隣接する第2の孔312の縁382の間の距離380は、約0インチ〜約0.6インチであり、好ましくは、約0インチ〜約0.4インチである。第1の孔310の径は、限定するものではないが、一般に、第2の孔312の径に少なくとも等しいか、またはより小さい。第2の孔312の底部320は、オリフィス穴314から出て第2の孔312に流れるガスの圧力損を最少化するために、先細りにする、傾斜させる、面取りする、または丸みをつけてもよい。また、オリフィス穴314の下流側304への近接は、第2の孔312および上記基板に面する下流側304の露出した表面積を最少化するように作用するため、チャンバクリーニング中に供給されるフッ素にさらされるディフューザプレート258の下流側面積が低減され、それにより、堆積した膜のフッ素汚染の発生が低減される。
【0042】
[0080]オリフィス穴314は、一般に、第1の孔310の底部318と、第2の孔312の底部320とを結合する。オリフィス穴314は、一般に、約0.01インチ〜約0.3インチ、好ましくは、約0.01インチ〜約0.1インチの径を有し、かつ典型的には、約0.02インチ〜約1.0インチ、好ましくは、約0.02インチ〜約0.5インチの長さ334を有する。オリフィス穴314の長さ334及び径(または他の幾何学的属性)は、ガス分散プレート258の上流側302の全域のガスの一様な分散を促進する、プレナム264内の背圧の主要な源である。オリフィス穴314は、通常、複数のガス流路262の間に均等に形成されているが、オリフィス穴314を介した制限は、ガス分散プレート258の1つの領域を流れるガス流量を他の領域に対してより多く促進するために、ガス流路262の中で異ならせて形成してもよい。例えば、オリフィス穴314は、より多くのガスが穿孔領域216の縁部を流れて、ガラス基板の周囲における堆積速度を増加させるように、処理チャンバ202の壁部206の近くで、ガス分散プレート258のガス流路262のより大きな径および/またはより短い長さ334を有してもよい。上記ディフューザプレートの厚さは、約0.8インチ〜約3.0インチ、好ましくは、約0.8インチ〜約2.0インチである。
【0043】
[0081]TFT−LCD業界においては、基板のサイズが増加し続けているため、特に、基板サイズが、少なくとも1000mm×1200mm程度(または約1,200,000mmの場合、大面積PECVDの場合の厚さ及び特性の均一性は、より問題になる。注目すべき均一性問題の実例は、高堆積速度の窒化シリコン膜の場合の、大口径基板の中央領域における高速の堆積速度及びより圧縮性の膜を含む。該基板全域での厚さ均一性は、縁部領域よりも中心領域がより厚い膜を有する「ドーム形状」を呈する。該縁部領域におけるより小さな圧縮性膜は、より高いSi−H含有量を有する。TFT−LCDに対する製造要求は、例えば、15原子%以下の低Si−H含有量、例えば、1500Å/分の高堆積速度、および、例えば、15%以下の基板全面における低い厚さ不均一性を含む。Si−H含有量は、フーリエ変換赤外線(Fourier Transform Infra−Red;FTIR)測定によって計算される。より大きな基板は、悪い「ドーム形状」問題を有する。該問題は、全ての要求を満たすように、プロセス方法の変更によって排除することができない。そのため、該問題は、ガスおよび/またはプラズマの分散を変更することによって扱う必要がある。
【0044】
[0082]プロセスチャンバ内で、薄膜を堆積するプロセスを図4Aに示す。該プロセスは、ステップ401において、基板を、ディフューザプレートを有するプロセスチャンバ内に配置することによってスタートする。次に、ステップ402において、ディフューザプレートを介して、プロセスガスを、基板支持体上に支持された基板に向かって流す。次いで、ステップ403において、該ディフューザプレートと該基板支持体との間にプラズマを生成する。ステップ404において、上記プロセスチャンバ内の基板上に薄膜を堆積させる。図4Bは、ガラス基板上の窒化シリコン膜の厚さ特性を示す。該基板のサイズは、1500mm×1800mmである。上記ディフューザプレートは、図3に示すデザインを有するディフューザ穴を有する。第1の孔310の径は、0.156インチである。第1の孔310の長さ330は、1.049インチである。第2の孔312の径336は、0.250インチである。第2の孔312のフレア角度316は22°である。第2の孔312の長さ332は、0.243インチである。オリフィス穴314の径は0.016インチであり、オリフィス穴314の長さ334は、0.046インチである。SiN膜は、1.5Torr及び15000W電源の下で、2800sccmのSiH、9600sccmのNH及び28000sccmのNを用いて堆積される。上記ディフューザプレートと上記支持体アセンブリとの間の間隔は、1.05インチである。プロセス温度は、約355℃に維持される。堆積速度は、2444Å/分になるように平均化され、厚さ均一性(15mmの縁部を除く)は、25.1%であり、これは、製造仕様(<15%)よりも高い。上記厚さ特性は、中心厚さ特性、または「ドーム形状」特性を示す。表1は、上記膜のために上記ガラス基板上に配置されたウェーハから測定した膜特性を示す。
【0045】
【表1】

【0046】
[0083]縁部I及び縁部IIは、1800mmの幅を有する基板の2つの端部を示す。屈折率(refractive index;RI)、膜歪み、Si−H濃度データ及びウェットエッチレート(wet etch rate;WER)データは、上記縁部領域と比較して、より圧縮性の上記中心領域近傍の膜を示す。該基板縁部におけるSi−H濃度は、15%の製造限界に近づいている。ウェットエッチレートは、サンプルをBOE(buffered oxide etch)6:1溶液に浸漬することによって測定される。
【0047】
[0084]上記中心と縁部の不均一性問題の原因に対する1つのセオリーは、有効に除去することができない、ディフューザプレートと基板との間の、および上記基板の中心領域における過剰な残留ガスであり、これは、高堆積速度や該基板の中心領域におけるより圧縮性の膜を生じる可能性がある。このセオリーが有効であるかを確かめるために、簡単な検査が考えられている。図5に示すように、PECVDプロセスチャンバ内の基板の左側501及び側部502において、(図2に示す)ポンピングチャネル214を遮断するために、熱抵抗性テープが使用される。他の2辺近傍のポンピングチャネル214は、開いたままである。これにより、非対称性のガスポンピング状態が生成された。「ドーム形状」問題の原因が、上記基板の縁部において除去することができない過剰な残留ガスによるものである場合、上記熱抵抗性テープを、該基板の2つの縁部近傍に使用すると、上記均一性問題を悪化させ、該基板全域で均一性を悪くする。しかし、2つのポンピングチャネルを遮断した状態で行った堆積と、全てのポンピングチャネルを開いた状態での堆積の堆積結果を比較すると、わずかな変化が見られる(表2参照)。ここで使用したディフューザプレートは、図4B及び表1で使用したものと同じデザイン及び寸法を有する。表2におけるSiN膜は、1.5Torrおよび11000W電源の下で、3300sccmのSiH、2800sccmのNH及び18000sccmのNを用いて堆積される。該ディフューザプレートと上記支持体アセンブリとの間の間隔は、0.6インチである。プロセス温度は、約355℃に維持される。膜厚及び特性は、(図5に示すように)上記基板上の場所1、2、3、4及び5で測定される。表2に示すSiH含有量は、原子%で測定される。
【0048】
【表2】

【0049】
[0085]表2の結果は、2つのポンピングチャネルを遮断して行った堆積と、全てのポンピングチャネルを開いた状態で行った堆積とのわずかな違いを示している。また、場所1と場所5で集めた測定値の間には、わずかな差があり、これは、残留ガスが上記問題の原因である場合に異なる。したがって、有効に除去されない、ディフューザと基板の間の、および上記基板の中心領域の過剰な残留ガスのセオリーは、除外される。
【0050】
[0086]上記中心と縁部の不均一性に対する他の考えられる原因は、プラズマの不均一性である。PECVDによる膜の堆積は、アクティブプラズマのソースに実質的に依存する。高密度の化学反応プラズマは、中空カソード効果によって生成することができる。中空カソード放電の高周波生成における駆動力は、高周波電極における空間荷電シースの両端における周波数変調された直流電圧Vs(自己バイアス電圧)である。RF中空カソードと、対向するシースの反発する電界Esの間の電極の振動とを図6Aに示す。プロセス容積212に近い反応性ガス流路の壁部とすることができる該カソードの壁部から放射された電子は、壁部シース「δ」にわたる電界Esによって加速される。該電子は、対向する壁部シースの反発する電界により、上記電極の壁部の間の内部空間全域で振動する。該電子は、ガスとの衝突によってエネルギーを失い、イオンを生成する。生成されたイオンは、上記カソード壁に対して加速することができ、それによって追加のイオンを生成することができる二次電子の放射が強まる。全体的にみて、該カソード壁の間のキャビティは、電子の放射及びガスのイオン化を強める。ガスアウトレット径よりも小さなガスインレット径を有するじょうご状に開いた円錐体状のカソード壁は、円筒形の壁部よりも、ガスをイオン化する際により有効である。電位Ezは、該ガスインレットとガスアウトレットのイオン化効率の差により生じる。
【0051】
[0087]上記基板と対向し、プロセス容積212に近い上記ガスディフューザ穴(または流路)の下流端部にある、上記中空カソードキャビティの壁部、および該中空カソードキャビティの配置(または密度)のデザインを変えることにより、ガスのイオン化を変更して膜厚及び特性の均一性を制御することができる。プロセス容積212に近い該中空カソードキャビティの壁部の実施例は、図3の第2の孔312である。中空カソード効果は、主に、プロセス容積212に面するじょうご状に開いた円錐体312内で生じる。図3のデザインは、単に実施例として用いられる。本発明は、他のタイプの中空カソードキャビティデザインにも適用することができる。中空カソードキャビティデザインの他の実施例は、限定するものではないが、図6B〜図6Gに示すデザインを含む。上記中空カソードキャビティの容積および/または表面積を変えることにより、プラズマのイオン化速度を変えることができる。
【0052】
[0088]図3のデザインを実施例として用いると、径「D」(または図3の径336)、深さ「d」(または図3の長さ332)及びフレア角度「α」(または図3のフレア角度316)を変えることにより、図7Aに示すように、第2の孔(または中空カソードキャビティ)の容積を変えることができる。上記径、深さおよび/またはフレア角度を変えると、孔312の表面積も変わる可能性がある。上記基板の中心は、より高い堆積速度を有し、かつより圧縮性であるため、より高いプラズマ密度がありそうな原因である。上記ディフューザプレートの縁部から中心部まで、該孔の深さ、径、フレア角度またはこれら3つのパラメータの組み合わせを低減することにより、プラズマ密度を、該基板の中心領域において低減して、膜厚及び膜特性の不均一性を改善することができる。また、上記円錐体(または孔)の深さ、円錐体の径、フレア角度を低減しても、孔312の表面積が減る。図7B、図7C及び図7Dは、図7Eに示すディフューザプレートに設けられる3つのディフューザ流路(またはディフューザ穴)のデザインを示す。図7B、図7C、図7Dのデザインは、同じ円錐体(または孔)径を有するが、該円錐体(または孔)の深さ及び円錐体(孔)の総表面積は、図7Bの場合が最も大きく、図7Dの場合が最も小さい。該円錐体のフレア角度は、最終的な円錐体の径に合うように変化している。図7Bの場合の円錐体の深さは、0.7インチである。図7Cの場合の円錐体の深さは0.5インチであり、図7Dの場合の円錐体の深さは0.325インチである。図7Eの最も小さい長方形710は、500mm×600mmであり、上記ディフューザ穴は、0.325インチの円錐体深さと、0.302インチの円錐体径と、45°のフレア角度とを有する(図7D参照)。図7Eの中間の長方形は、1000mm×1200mmである。該中間の長方形と上記最も小さい長方形の間の領域720内のディフューザ穴は、0.5インチの円錐体深さと、0.302インチの円錐体径と、30°のフレア角度とを有する(図7C参照)。図における最も大きな長方形は、1500mm×1800mmである。該最も大きな長方形と上記中間の長方形の間の領域730内のディフューザ穴は、0.7インチの円錐体深さと、0.302インチの円錐体径と、22°のフレア角度とを有する(図7B参照)。図7B、図7C及び7Dの場合、上記オリフィス穴の径は、全て0.03インチであり、孔の深さは、全て0.2インチである。上記3つのディフューザプレートの厚さは、全て1.44インチである。図7B、7C及び7D第1の孔310の径は、全て0.156インチであり、深さは、それぞれ、0.54インチ(図7B)、0.74インチ(図7C)及び0.915インチ(図7C)である。
【0053】
[0089]図8は、上記基板全域での堆積速度を示す。領域Iは、「深さ0.325インチ」未満の円錐体に対応し、領域II及びIIIは、それぞれ「深さ0.5インチ」(領域II)及び「深さ0.7インチ」(領域III)に対応する。表3は、上記基板全域の膜厚及び特性の測定値を示す。表3のSiN膜は、1.3Torr及び11000W電源の下で、3300sccmのSiH、2800sccmのNH及び18000sccmのNを用いて堆積される。上記ディフューザプレートと上記支持体アセンブリとの間の間隔は、0.6インチである。プロセス温度は、約355℃に維持される。場所1、2、3、4及び5は、図4に示す場所と同じである。
【0054】
【表3】

【0055】
[0090]上記結果は、上記円錐体の深さ及び円錐体の表面積を低減すると、堆積速度が低減されることを示している。また、該結果は、中空カソードキャビティの容積および/または表面積を低減すると、堆積速度が低減されることを示している。プラズマ堆積速度の低減は、プラズマイオン化速度の低減を反映する。領域Iから領域II、領域IIIへの円錐体深さ及び円錐体の総表面積の変化は滑らかではないため、上記基板全域での堆積速度は、3つの領域を示す。上記基板上の領域I、II及びIIIは、ディフューザ穴領域710、720及び730に一致する。このことは、中空カソードキャビティのデザインを変えると、プラズマイオン化速度や該変化を滑らかかつ緩やかにするという重要性を変化させることができることを示している。
【0056】
[0091]上記ディフューザプレートの内側領域から該ディフューザプレートの外側領域へ中空カソードキャビティを緩やかに変えてプラズマ均一性を改善するのには、多くの方法がある。1つの方法は、まず、上記ディフューザプレート全域に同一のガス拡散流路を有する該ディフューザプレートを所定の曲率まで曲げた後、該湾曲を機械加工して該表面を平坦のままにすることである。図9Aは、この概念のプロセスの流れを示す。該プロセスは、ステップ901において、該ディフューザプレートを湾曲させて凸状にすることによってスタートし、続いて、ステップ902において、該凸状のディフューザプレートの湾曲を機械加工して該ディフューザプレート表面を平坦にする。図9Bは、縁部(及び外側領域)に例示的なディフューザ穴(またはガス流路)911を、中心(及び内側領域)に例示的なディフューザ穴912をディフューザ穴として有する凸状のディフューザプレートの概略図を示す。ディフューザ穴911及び912は、上記湾曲プロセスの前には同一であり、図3及び図7Aに示すようなディフューザ穴の図を単純化している。しかし、本発明は、どのようなディフューザ穴のデザインにも用いることができる。図3のデザインは、単に実施例として用いる。ディフューザプレートの下流面304は、プロセス容積212に面している。面913と(点線で示す)平坦面914との間の緩やかに変化する距離は湾曲を示す。縁部のディフューザ円錐体915と中心部のディフューザ円錐体916は、上記湾曲プロセスの前は、サイズ及び形状が同じである。図9Cは、湾曲が機械加工された後のディフューザプレートの概略図を示す。プロセス容積212に面する面は、平坦面914に機械加工され、中心部の円錐体918は、縁部の円錐体917よりもかなり短くする。該円錐体のサイズ(容積および/または表面積)の変化は、上記ディフューザプレートを湾曲させた後、該湾曲を機械加工することによって生じるため、該円錐体のサイズ(容積および/または表面積)の中心部から縁部への変化は緩やかである。中心部の円錐体918は、縁部の円錐体917よりも小さい径「D」及び深さ「d」を有する。円錐体の径「D」及び円錐体の深さ「d」の定義は、図7Aを見れば分かる。
【0057】
[0092]図9Dは、1500mm×1850mmの基板を処理するのに用いられる例示的なディフューザプレートの下流側まで伸びる孔312(または円錐体)の深さ「d」を示す。該ディフューザプレートは、図7Aに示すデザインを有するディフューザ穴を有する。第1の孔310の径は、0.156インチである。第1の孔310の長さ330は、1.049インチである。第2の孔312の径336は、0.250インチである。第2の孔312のフレア角度は、22°である。第2の孔(bore)312の長さ332は、0.243インチである。オリフィス穴(hole)314の径は0.016インチであり、オリフィス穴314の長さは0.046インチである。図9Dにおいて、該第2の孔の深さの測定は、上記ディフューザプレートの中心から該ディフューザプレートの縁部までの孔の深さ332(または図7Aの「d」)の緩やかな増加を示している。上記湾曲及び機械加工プロセスにより、孔312の径336(または図7Aの「D」)も該ディフューザプレートの中心から該ディフューザプレートの縁部まで緩やかに増加する。
【0058】
[0093]図9Eは、図9B、図9C、図9Dに記載したデザインを有するディフューザプレートの下で、SiN膜によって堆積された基板全域の厚さ分布を示す。該基板のサイズは、1500mm×1850mmであり、これは、図4B及び表1における基板のサイズ(1500mm×1800mm)よりもわずかに大きい。一般的に、該ディフューザプレートのサイズは、該基板のサイズに合わせてデザインされる。1500mm×1850mmの基板を処理するのに用いられるディフューザプレートは、約1530mm×1860mmであり、これは、1500mm×1800mmの基板を処理するのに用いられるディフューザプレート(約1530mm×1829mmのディフューザプレート)よりもわずかに大きい。厚さの均一性は、5.0%に改善され、これは、図4Bの膜の場合の25.1%よりもかなり小さい。表4は、上記基板全域の膜特性分布を示す。該ディフューザプレートは、図7Aに示すデザインを有するディフューザ穴を有する。第1の孔310の径は、0.156インチである。第1の孔310の長さ330は、1.049インチである。第2の孔312の径336は、0.250インチである。第1の孔312のフレア角度は、22°である。第2の孔312の長さ332は、0.243インチである。オリフィス穴314の径は0.016インチであり、オリフィス穴314の長さ334は0.046インチである。図9E及び表4におけるSiN膜は、1.5Torr及び15000W電源の下で、2800sccmのSiH、9600sccmのNH及び28000sccmのNを用いて堆積される。上記ディフューザプレートと上記支持体アセンブリとの間の間隔は、1.05インチである。プロセス温度は、約355℃に維持される。縁部I及び縁部IIは、表1の測定値に示すように、上記基板の2つの端部を示す。表4の膜厚及び特性データは、表1のデータと比較して、中心部から縁部へのかなり小さな変化を示している。
【0059】
【表4】

【0060】
[0094]表4のデータと、上記ディフューザプレート全域に同じ孔312の径及び深さを有するディフューザプレートを用いた堆積から集められた表1のデータとを比較すると、厚さ、歪み、Si−H含有量及びウェットエッチレート(WER)の変化は、上記ディフューザプレートの中心部から縁部へ緩やかに増加する孔312の径及び深さを有するディフューザプレートを用いた堆積から集められた表4のデータの場合よりも、全てかなり小さい。この結果は、中心部から縁部へ該ディフューザプレートの下流側へ伸びる該孔の径及び深さを緩やかに増加させることにより、厚さの均一性及び膜特性を大幅に改善することができることを示している。これらの表におけるウェットエッチレートは、サンプルをBOE6:1溶液に浸漬することによって測定される。
【0061】
[0095]図9Fは、1870mm×2200mmの基板を処理するのに用いられる例示的なディフューザプレート全域の孔312の深さ「d」の測定値を示す。曲線960は、該ディフューザプレートの理想の孔の深さの分布の実施例を示す。図9Fにおける上記孔の深さの測定値は、該ディフューザプレートの中心部から該ディフューザプレートの縁部までの孔の深さの緩やかな増加を示している。また、下流の孔の径も、該ディフューザプレートの中心部から該ディフューザプレートの縁部まで緩やかに増加する。
【0062】
[0096]図9Gは、図9B、図9C、図9Fに記載したものと同様のデザインを有するディフューザプレートの下で、SiN膜によって堆積された基板全域の厚さ分布を示す。該基板のサイズは、1870mm×2200mmである。表5は、該基板全域の膜特性分布を示す。該ディフューザプレートは、図7Aに示すデザインを有するディフューザ穴を有する。第1の孔310の径は、0.156インチである。第1の孔310の長さ330は、0.915インチである。第2の孔312の径336は、0.302インチである。第2の孔312のフレア角度316は22°である。第2の孔312の長さ332は、0.377インチである。オリフィス穴314の径は0.018インチであり、オリフィス穴314の長さ334は、0.046インチである。表5におけるSiN膜は、1.5Torr及び19000W電源の下で、5550sccmのSiH、24700sccmのNH及び61700sccmのNを用いて堆積される。上記ディフューザプレートと上記支持体アセンブリとの間の間隔は、1.0インチである。プロセス温度は、約350℃に維持される。縁部I及び縁部IIは、表1の測定値に示すように、上記基板の2つの端部を示す。表5の膜厚及び特性データは、表1のデータと比較して、中心部から縁部へのかなり小さな変化を示している。膜の均一性は9.9%であり、これは、図4Bにおける膜の場合の25.1%よりもかなりよい。図4B及び表1に示すデータは、図9G及び表5のデータの場合の基板(1870mm×2200mm)と比較してより小さい基板(1500mm×1800mm)に対する膜厚及び特性のデータである。厚さ及び特性の均一性は、より大きな基板の場合、悪くなると予想される。9.9%の均一性及び新たなデザインによる表5における改善された膜特性データは、該ディフューザプレートの下流側まで伸びるディフューザ穴の緩やかに増加する径及び深さを有する該新たなデザインが、プラズマ均一性及びプロセス均一性を大幅に改善することを示している。
【0063】
【表5】

【0064】
[0097]ここで説明した例示的なディフューザプレートは長方形であるが、本発明は、他の形状及びサイズのディフューザプレートにも適用できる。注意すべき一つのことは、上記凸状の下流面は、全面にわたって完全に平坦に機械加工する必要はないということである。上記孔の径及び深さが、該ディフューザプレートの中心部から縁部へ緩やかに増加する限り、該ディフューザプレートの縁部は、平坦化しないままとすることができる。
【0065】
[0098]また、上記ディフューザプレートの湾曲を形成する多くの方法がある。一つの方法は、該ディフューザプレートの縁部のみを支持することにより一定期間、例えば、アルミニウムの場合400℃以上の、該ディフューザプレートが柔らかくなる温度で、該ディフューザプレートを熱処理することである。該金属性ディフューザプレートが、高温処理下で柔らかくなると、重力が、該ディフューザプレートを下に引っ張り、該ディフューザプレートが湾曲する。図10Aは、このような熱処理のプロセスの流れ1000を示す。まず、ステップ1001において、すでにディフューザ穴を有するディフューザプレートを、熱制御することができる環境1005またはチャンバ内に配置し、ディフューザプレート1010を、該ディフューザプレートの縁部のみを支持する支持体1020上に配置する(図10B)。下に向いている該ディフューザプレートは、該ディフューザプレートの下流面304である。次に、ステップ1002において、上記環境の温度を上げ、該ディフューザプレートを、熱条件で、該ディフューザプレートが柔らかくなる温度で処理する。一つの実施形態は、一定の処理温度に達した後、該熱環境を一定の処理温度(等温)に保つことである。該ディフューザプレートの湾曲が所望の湾曲に達した後、ステップ1003において、該熱処理プロセスを停止する。上記熱環境において、任意のディフューザ支持体1030を、ディフューザプレート1010の下で、支持体1020の支持体高さ1025よりも低い支持体高さ1035で、かつ支持体1020の支持体間隔1027よりも短い支持体間隔1037で配置することができることに注意する。任意の支持体1030は、上記ディフューザ湾曲を決めるのを補助することができ、かつ400℃以上の温度(熱調整温度と同じ温度)に耐えることができる弾性材料で形成することができ、該ディフューザプレートの表面にダメージを与えない。図10Cは、上記湾曲プロセス後、ディフューザプレート支持体1020及び1030上に載っている湾曲したディフューザプレート1010を示す。
【0066】
[0099]湾曲を形成する他の方法は、真空を利用して、該ディフューザプレートを凸状形状に滑らかに湾曲させることである。図11Aは、真空プロセスによるそのような湾曲のプロセスの流れ1100を示す。まず、ステップ1101において、すでにディフューザ穴及び下に向く下流側304を有するディフューザプレートを、真空アセンブリ1105上に配置し、カバーを有するディフューザプレートの上流端部302をシールする。該ディフューザプレートの上流端部をカバー(またはシール)するのに使用する材料は、真空下で、その完全性を保つのに十分強固でなければならない。上記真空アセンブリは、ディフューザプレートホルダ1120によって、該ディフューザプレートをその縁部で支持するのみである(図11B参照)。真空アセンブリ1105は、該ディフューザプレートの上流端部がカバーされたときに、該ディフューザプレートと真空アセンブリ1105との間のボリューム1115内で真空を引くポンプチャネル1150を有するように構成されている。図11B及び図11Cのポンピングチャネル1150は、単に該コンセプトを説明するのに用いられる。真空アセンブリ1105の異なる場所には、1つ以上のポンピングチャネルを設けることができる。その後、ステップ1102において、上記ディフューザプレートとディフューザホルダとの間のボリューム1115で真空を引く。該ディフューザプレートの湾曲が所望の湾曲に達したら、ステップ1103において、真空プロセスを停止し、周囲環境1140に等しい、該ディフューザプレートと真空アセンブリとの間のボリューム1115の圧力を元に戻す。上記真空アセンブリにおいて、任意のディフューザ支持体1030を、ディフューザプレート1110の下で、ディフューザプレート支持体1120の支持体高さ1125よりも低い支持体高さ1135で、かつ支持体1120の支持体間隔1127よりも短い支持体間隔1137で配置することができることに注意する。該任意の支持体は、上記ディフューザ湾曲を決めるのを補助することができ、該ディフューザプレートの表面にダメージを与えない、ゴム等の材料で形成することができる。図11Cは、上記湾曲プロセス後、ディフューザプレート支持体1120及び1130上に載っている湾曲したディフューザプレート1110を示す。
【0067】
[0100]下流の円錐体(図3の符号312)の深さ、円錐体の径、円錐体のフレア角度またはそれら3つのパラメータの組み合わせを変える他の方法は、上記ディフューザプレートの中心部から該ディフューザプレートの縁部まで、円錐体の深さ、円錐体の径または円錐体のフレア角度を変えて、該ディフューザ穴を穿孔することである。該穿孔は、コンピュータ数値制御(CNC)マシニングによって実現できる。図12Aは、このようなプロセス1200のプロセスの流れを示す。プロセス1200は、ステップ1230において、該ディフューザプレートの中心部から縁部まで、孔の深さおよび/または孔の径を徐々に増加させながら、ディフューザプレートの下流側まで伸びる孔を形成することによってスタートする。上記フレア角度も、該ディフューザプレートの中心部から縁部に向かって変えることができる。次に、ステップ1240において、該プロセスは、該ディフューザプレートのガス流路の残りの部分を形成することによって完了する。上記下流側の円錐体は、ドリル工具を使用して形成することができる。同じフレア角度を有するドリル工具を、該ディフューザプレートの全域で使用する場合、上記円錐体のフレア角度は一定となり、円錐体の深さ及び円錐体の径は変化する。円錐体の径は、該フレア角度及び円錐体の深さによって決まる。重要なことは、該円錐体の深さを滑らかかつ徐々に変えて、上記基板全域で、円滑な堆積厚及び膜特性変化を確実にすることである。図12Bは、種々の円錐体深さ及び円錐体径の実施例を示す。ディフューザ穴1201は、上記ディフューザプレートの中心近くにあり、最少の円錐体深さ1211及び円錐体径1221を有する。ディフューザ穴1202は、該ディフューザプレートの中心部と縁部との間にあり、中間の円錐体深さ1212及び円錐体径1222を有する。ディフューザ穴1203は、上記ディフューザプレートの縁部近くにあり、最大の円錐体深さ1213及び円錐体径1223を有する。全てのディフューザ穴の円錐体のフレア角度は、図12Bのデザインの場合、同じである。しかし、該円錐体の径、円錐体の深さ及びフレア角度を変えることにより、上記ディフューザプレートの全域で該円錐体のデザインを変えることによって、堆積均一性を最適化することが可能である。円錐体の深さ、円錐体の径及び円錐体のフレア角度を変えることは、上記中空カソード効果にも影響を及ぼす該円錐体の総表面積に影響を及ぼす。より小さな円錐体表面積は、プラズマイオン化効率を低くする。
【0068】
[0101]上記下流の孔(図3の符号312)の深さ(「d」)及び孔の径(「D」)を変えるまた別の方法は、該ディフューザプレートの全域に同一のディフューザ穴を穿孔することである(図12を参照のこと)。図12Cにおいて、上記ディフューザプレートの縁部(外側領域)のガスディフューザ穴1251は、該ディフューザプレートの中心部(内側領域)のガスディフューザ穴1252と同一である。また、下流の孔1255は、下流の孔1256と同一である。ガスディフューザプレートの下流面1254は、最初は平坦である。その後、該ディフューザプレートの下流側を機械加工して、縁部より薄い中心部を有する凹状に形成する。該機械加工は、該機械加工プロセスを繰り返し可能にするコンピュータ数値制御機械加工または他の種類の制御機械加工によって実現することができる。下流面1254を凹状形状(面1259)に機械加工した後、上記ディフューザプレートの中心部(内側領域)の下流孔1258は、該ディフューザプレートの縁部(外側領域)の下流孔1257よりも小さい径(「D」)及び小さい長さ(「d」)を有する。該ディフューザプレートは、図12Dのようにそのままにすることができ、あるいは、下流面1259は、図12Eに示すように、引っ張って平坦に、または所望の膜を実現するプロセスチャンバに用いられる他の湾曲(図示せず)にすることができる。
【0069】
[0102]上記下流の孔(図3の符号312)の深さ(「d」)及び孔の径(「D」)を変えるまた他の方法は、どのディフューザ穴も凸状にすることなく、該ディフューザプレートを湾曲させることである(図12F参照)。図12Fにおいて、下流面は、面1269である。同じ種類のドリルを使用して、仮想平坦面1264から同じ深さに下流孔を穿孔する(12G参照)。上記ディフューザプレートの中心部の下流孔1268は、仮想面1264から下流孔1267と同じ深さに穿孔されるが、下流孔1268の径及び長さは、下流孔1267の径及び長さよりも小さい。オリフィス穴1265、上流孔1263及び接続底部を含む該ディフューザ穴の残りは、該ディフューザ穴を完成させるように機械加工される。全てのオリフィス穴及び上流孔は、必要ではないが、同一の径を有するべきである。該オリフィス穴の径及び長さは、(図12Gに示すように)該ディフューザプレートの全域で同じに保つべきである。該オリフィス穴は、背圧を制御する。該オリフィス穴の径及び長さを、該ディフューザプレートの全域で同じに保つことにより、ガスフローに影響を及ぼす該背圧を、該ディフューザプレートの全域で同じに保つことができる。該ディフューザプレートは、図12Gのようにそのままにすることができ、あるいは、下流面1269は、図12Hに示すように、引っ張って平坦に、または所望の膜を実現するプロセスチャンバに用いられる他の湾曲(図示せず)にすることができる。
【0070】
[0103]上記中空カソードキャビティの径および/または長さの変化が円滑かつ緩やかである限り、該変化は、上記ディフューザプレートの中心部から該ディフューザプレートの縁部に向かって完全に連続的である必要はない。これは、領域間の該変化が十分小さい限りは、同軸パターンに配置された多数の均一なゾーンによって実現することができる。しかし、該ディフューザプレートの中心部から該ディフューザプレートの縁部までは、中空カソードキャビティのサイズ(容積および/または表面積)は、全般的に増加する必要がある。図12Iは、該ディフューザプレートの(下流側からみた)底部の概略プロットを示す。該ディフューザプレートは、N個の同心ゾーンに分割される。同心ゾーンは、内側及び外側の境界の間の領域として定義され、両領域とも、該ディフューザプレートの全体形状として同じ幾何学形状を有する。各ゾーン内において、該ディフューザ穴は同一である。ゾーン1からゾーンNまで、上記中空カソードキャビティは、サイズ(容積および/または表面積)が徐々に増加する。この増加は、中空カソードキャビティの径、長さ、フレア角度、またはそれらのパラメータの組み合わせの増加によって実現することができる。
【0071】
[0104]上記ディフューザプレートの中心部から縁部までの中空カソードキャビティの径および/または長さの増加は、該中空カソードキャビティの下流のディフューザプレートの表面積ごとの中空カソードキャビティのサイズ(容積および/または表面積)が全体的に増加する限り、全てのディフューザ穴に適用すべきではない。例えば、いくつかのディフューザ穴は、該ディフューザプレートの全域で同じに保つことができ、残りのディフューザプレートは、徐々に増加するサイズ(容積および/または表面積)の上記中空カソードキャビティを有する。別の実施例においては、該ディフューザ穴は、図12Jに示すように、徐々に増加するサイズ(容積および/または表面積)の中空カソードキャビティを有し、該ディフューザプレートの縁部に、いくつかの小さな中空カソードキャビティがある。また別の実施形態においては、図12Kに示すように、ほとんどの中空カソードキャビティが、該ディフューザプレートの全域で均一であり、該ディフューザプレートの縁部の方に、より大きな中空カソードキャビティが少し存在する。
【0072】
[0105]上記中空カソードキャビティの容積密度は、該中空カソードキャビティの下流のディフューザプレート表面積毎の該中空カソードキャビティの容積として定義することができる。同様に、該中空カソードキャビティの中空カソードキャビティ表面積密度は、該中空カソードキャビティの下流のディフューザプレート表面積毎の該中空カソードキャビティの全表面積として定義することができる。上記の結果は、プラズマ及びプロセスの均一性を、該ディフューザプレートの内側領域から外側領域への、または該ディフューザプレートの中心部から縁部への、該中空カソードキャビティの容積密度あるいは該中空カソードキャビティの表面積密度のいずれかの緩やかな増加によって改善することができることを示している。
【0073】
[0106]膜の堆積厚及び特性の均一性を変える他の方法は、上記ディフューザプレートの全域のディフューザ穴密度を変えると共に、該ディフューザ穴を同一に保つことである。該ディフューザ穴の密度は、下流側304と交わる孔312の孔の総面積を、測定領域における該ディフューザプレートの下流側304の総面積で割ることによって算出される。ディフューザ穴の密度は、約10%〜約100%まで、好ましくは、30%〜約100%まで変化させることができる。「ドーム形状」問題を低減するため、該ディフューザ穴密度は、上記内側領域におけるプラズマ密度を低減するために、上記外側領域と比べて、該内側領域において低くするべきである。該内側領域から外側領域への密度の変化は、均一かつ円滑な堆積及び膜特性プロファイルを確実にするために、緩やかかつ滑らかにすべきである。図13は、上記中心部(領域A)における低いディフューザ穴密度から上記縁部(領域B)における高いディフューザ穴密度への緩やかな変化を示す。該中心領域におけるディフューザ穴の低い密度は、該中心領域におけるプラズマ密度を低減し、かつ「ドーム形状」問題を低減する。図13における該ディフューザ穴の配置は、単に、中心部から縁部に向かってディフューザ穴の密度が増加することを説明するために用いられる。本発明は、どのようなディフューザ穴の配置及びパターンにも適用できる。該密度の変化というコンセプトは、該ディフューザ穴のデザインの変形とも組み合わせて、中心部から縁部への均一性を改善することができる。プラズマの均一性を実現するために、上記ガス流路の密度を変える場合、上記下流端部における上記中空カソードキャビティの間隔は、0.6インチを超えることが可能である。
【0074】
[0107]上記ディフューザプレートの中心部から該ディフューザプレートの縁部への中空カソードキャビティのサイズ(容積および/または表面積)の緩やかな増加という本発明のコンセプトは、該ディフューザ穴の密度変化を伴うまたは伴わない、該中空カソードキャビティのサイズ(容積および/または表面積)と形状の変化のうちの一方と、一つのディフューザプレートの湾曲方法と、適用可能な一つの中空カソードキャビティの機械加工方法との組み合わせによって実現することができる。例えば、該ディフューザプレートの中心部から縁部へのディフューザ穴の増加する密度というコンセプトは、該ディフューザプレートの中心部から縁部への該中空カソードキャビティ(または下流の孔)の径を増加させることを利用することができる。該ディフューザプレートは、平坦に保つことができ、また該ディフューザ穴は、CNC方法で穿孔される。上記組み合わせは多数ある。そのため、上記コンセプトは、膜厚及び特性の均一性の要求を満たすことが可能である。
【0075】
[0108]ここまで、ディフューザプレートの中心部から該ディフューザプレートの縁部へ向かって、中空カソードキャビティの径及び長さを増加させて、基板全域でのプラズマの均一性を改善する本発明の様々な実施形態を主に説明した。該ディフューザプレートの中心部から該ディフューザプレートの縁部へ向かって、中空カソードキャビティの径及び長さを減らすことを要求する状況がある。例えば、上記電源は、上記基板の中心部近傍でより低くする可能性があり、上記中空カソードキャビティは、該低い電源を補正するために、より大きくする必要がある。したがって、本発明のコンセプトは、ディフューザプレートの中心部から該ディフューザプレートの縁部へ向かって、中空カソードキャビティのサイズ(容積および/または表面積)を減らすことに適用できる。
【0076】
[0109]本発明のコンセプトは、任意の中空カソードキャビティデザインを含むどのようなデザインのガスディフューザ穴、およびどのような形状/サイズのガスディフューザプレートにも適用できる。本発明のコンセプトは、中空カソードキャビティの多数のデザインを含む、ガスディフューザ穴の多数のデザインを利用するディフューザプレートに適用できる。本発明のコンセプトは、例えば、鋳造、ろう付け、鍛造、熱平衡圧着または焼結等のどのような方法によっても、任意の湾曲からなるディフューザプレート、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)またはそれらを組み合わせたあらゆる物質からなるディフューザプレートにも適用できる。また、本発明のコンセプトは、一緒に圧着または付着される材料からなる多数の層で形成されたディフューザプレートにも適用できる。また、本発明のコンセプトは、クラスタシステム、独立型システム、インラインシステムあるいは適用可能などのようなシステムにも設けることができるチャンバに用いることができる。
【0077】
[0110]本発明の教示を含むいくつかの好適な実施形態を詳細に示しかつ説明してきたが、当業者は、該教示を含む他の多くの変形実施例を容易に案出することができる。
【符号の説明】
【0078】
200…プラズマCVD装置、202…処理チャンバ、210…蓋アセンブリ、216…穿孔領域、218…ガス分散プレートアセンブリ、238…支持体アセンブリ、240…ガラス基板、258…ディフューザプレート、262…ガス流路、310…第1の孔、312…第2の孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ本体と、
前記チャンバ本体内に配置された基板支持体と、
前記チャンバ本体内に配置され、前記基板支持体に対向するガス分散プレートと、
を備え、
前記ガス分散プレートが、前記基板支持体に面した凹状の下流面と、前記下流面に対向する上流面とを有し、前記ガス分散プレートが、前記上流面と前記下流面との間に延びる複数のガス流路を有し、各ガス流路が、前記上流面に第1の径を有し、前記第1の径よりも大きい第2の径を前記下流面に有し、前記第1の径が全ガス流路について実質的に同一であり、前記ガス流路の前記第2の径が、前記ガス分散プレートの中心部から前記ガス分散プレートの縁部に向かって徐々に増加している、装置。
【請求項2】
各ガス流路が、
オリフィス穴と、
前記上流面から前記オリフィス穴に延びる第1の孔であって、前記オリフィス穴との界面に、先細り、傾斜、面取り、または丸みをつけられた底部を有する、前記第1の孔と、
前記オリフィス穴から前記下流面に延びると共に、先細り、傾斜、面取り、または丸みをつけられ、前記オリフィス穴に結合された面を有する、中空カソードキャビティと、
を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記オリフィス穴が、前記ガス分散プレートにわたって一様に形成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
各ガス流路が、実質的に同一のフレア角度を有する円錐体形状の部分を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記フレア角度が、10°〜50°である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ガス流路が、複数の同心ゾーン状に配置され、個々のゾーン内の前記ガス流路が、実質的に同一である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
チャンバ本体と、
前記チャンバ本体内に配置された基板支持体と、
前記チャンバ本体内に配置され、前記基板支持体に対向するガス分散プレートと、
を備え、
前記ガス分散プレートが、前記基板支持体に面した凹状の下流面と、前記下流面に対向する上流面とを有し、前記ガス分散プレートが、前記上流面と前記下流面との間に延びる複数のガス流路を有し、各ガス流路が、表面積を有する円錐体形状の部分を有し、前記ガス流路の前記円錐体形状の部分の前記表面積が、前記ガス分散プレートの中心部から前記ガス分散プレートの縁部に向かって増加している、装置。
【請求項8】
各ガス流路が、前記上流面に第1の径を有し、前記第1の径が全ガス流路について実質的に同一である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ガス流路が、複数の同心ゾーン状に配置され、個々のゾーン内の前記ガス流路が、実質的に同一である、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
チャンバ本体と、
前記チャンバ本体内に配置された基板支持体と、
前記チャンバ本体内に配置され、前記基板支持体に対向するガス分散プレートと、
を備え、
前記ガス分散プレートが、前記基板支持体に面した凹状の下流面と、前記下流面に対向する上流面とを有し、前記ガス分散プレートが、前記上流面と前記下流面との間に延びる複数のガス流路を有し、各ガス流路が、前記上流面に第1の径を有し、前記下流面と交わる中空カソードキャビティ部分を有し、前記中空カソードキャビティ部分が、前記ガス分散プレートの中心部から前記ガス分散プレートの縁部に向かって徐々に増加する表面積を有する、装置。
【請求項11】
前記第1の径が全ガス流路について実質的に同一である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
各ガス流路が、
前記中空カソードキャビティ部分に結合されたオリフィス穴と、
前記上流面から前記オリフィス穴に延びる第1の孔であって、前記オリフィス穴との界面に、先細り、傾斜、面取り、または丸みをつけられた底部を有する、前記第1の孔と、
を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記オリフィス穴が、前記ガス分散プレートにわたって一様に形成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
各中空カソードキャビティ部分が、実質的に同一のフレア角度を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記フレア角度が、10°〜50°である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ガス流路が、複数の同心ゾーン状に配置され、個々のゾーン内の前記ガス流路が、実質的に同一である、請求項10に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図7E】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図9F】
image rotate

【図9G】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図12C】
image rotate

【図12D】
image rotate

【図12E】
image rotate

【図12F】
image rotate

【図12G】
image rotate

【図12H】
image rotate

【図12I】
image rotate

【図12J】
image rotate

【図12K】
image rotate

【図13】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図6E】
image rotate

【図6F】
image rotate

【図6G】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate


【公開番号】特開2010−50466(P2010−50466A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−212123(P2009−212123)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【分割の表示】特願2004−353175(P2004−353175)の分割
【原出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】