説明

シンナミルアルコール誘導体化合物およびその化合物を有効成分として含有する薬剤

一般式(I)


(式中、すべての記号は明細書に記載の通り)で示される化合物またはその塩。
一般式(I)で示される化合物またはその塩は、ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体を制御する活性を有しており、血糖降下薬、脂質降下薬、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高コレステロール血症、高リポ蛋白血症等の代謝異常疾患、高脂血症、動脈硬化症、高血圧、循環器系疾患、過食症、虚血性心疾患等の予防および/または治療剤、HDLコレステロール上昇剤、LDLコレステロールおよび/またはVLDLコレステロールの減少薬、糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクファクター軽減薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、シンナミルアルコール誘導体化合物に関する。
さらに詳しくは、本発明は
(1)一般式(I)

(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ、
(2)それらの製造方法、および
(3)それらを有効成分として含有する薬剤に関する。
【背景技術】
最近、脂肪細胞分化マーカー遺伝子の発現誘導にかかわる転写因子の研究において、核内受容体であるペルオキシソーム増殖薬活性化受容体(eroxisome roliferator ctivated eceptor;以下、PPARと略記する。)が注目されている。PPARは、さまざまな動物種からcDNAがクローニングされ、複数のアイソフォーム遺伝子が見出され、哺乳類ではα、δ、γの3種類が知られている(J.Steroid Biochem.Molec.Biol.,51,157(1994);Gene Expression.,,281(1995);Biochem Biophys.Res.Commun.,224,431(1996);Mol.Endocrinology.,,1634(1992)参照)。さらに、γ型は主に脂肪組織、免疫細胞、副腎、脾臓、小腸で、α型は主に脂肪組織、肝臓、網膜で発現し、δ型は特に組織特異性が見られず普遍的に発現していることが知られている(Endocrinology.,137,354(1996)参照)。
ところで、塩酸ピオグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン等のチアゾリジン誘導体は、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)に対する治療剤として知られており、糖尿病患者の高血糖を是正するために用いられる血糖降下剤である。また、高インスリン血症の是正または改善、耐糖能の改善、また血清脂質の降下に効果を示し、インスリン抵抗性改善薬としてきわめて有望な化合物である。
また、これらのチアゾリジン誘導体の細胞内標的蛋白質の一つがPPARγであり、PPARγの転写活性を増大させることが判明している(Endocrinology.,137,4189(1996);Cell.,83,803(1995);Cell.,83,813(1995);J.Biol.Chem.,270,12953(1995)参照)。従って、PPARγの転写活性を増大させるPPARγ活性化剤(アゴニスト)は、血糖降下剤および/または脂質降下剤として有望であると考えられる。また、PPARγアゴニストはPPARγ蛋白自身の発現を亢進することが知られている(Genes & Development.,10,974(1996))ことから、PPARγを活性化するのみならずPPARγ蛋白自身の発現を増加させる薬剤も臨床的に有用と考えられる。
核内受容体PPARγは脂肪細胞分化に関わっており(J.Biol.Chem.,272,5637(1997)およびCell.,83,803(1995)参照)、これを活性化できるチアゾリジン誘導体は脂肪細胞分化を促進することが知られている。最近、ヒトにおいて、チアゾリジン誘導体が体脂肪を増生させ、体重増加、肥満を惹起するとの報告がなされた(Lancet.,349,952(1997)参照)。従って、PPARγ活性を抑制する拮抗薬(アンタゴニスト)やPPARγ蛋白自身の発現を減少したりできる薬剤も臨床的に有用であると考えられる。ところで、Science.,274,2100(1996)には、PPARγをリン酸化することによってその活性を抑制できる化合物が紹介されており、そのことからPPARγ蛋白には結合しないものの、その活性を抑制する薬剤もまた臨床的に有用であると考えられる。
これらのことからPPARγの活性化薬(アゴニスト)、また蛋白自身の発現を増加できるPPARγ蛋白発現制御薬は血糖降下薬、脂質降下薬として、また糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高コレステロール血症、高リポ蛋白血症等の代謝異常疾患、高脂血症、動脈硬化症、高血圧、循環器系疾患、過食症等の予防および/または治療剤として有用であることが期待される。
一方、PPARγの転写活性を抑制するアンタゴニスト、あるいは蛋白自身の発現を抑制できるPPARγ蛋白発現制御薬は、血糖降下薬、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム等の代謝異常疾患、高脂血症、動脈硬化症、高血圧、過食症等の予防および/または治療剤として有用であることが期待される。
また、フィブラート系化合物、例えばクロフィブラートは脂質降下薬として知られているが、フィブラート系化合物の細胞内標的蛋白質の一つがPPARαであることも判明している(Nature.,347,645(1990);J.Steroid Biochem.Molec.Biol.,51,157(1994);Biochemistry.,32,5598(1993)参照)。これらのことから、フィブラート系化合物が活性化しうるPPARαの制御薬は、脂質降下作用を有していると考えられ、高脂血症等の予防および/または治療剤として有用であることが期待される。
これ以外にも、PPARαが関与する生物活性として、WO97/36579号明細書には抗肥満作用を有していることが報告された。また、J.Lipid Res.,39,17(1998)にはPPARαの活性化によって高密度リポ蛋白(HDL)コレステロール上昇作用、そして、低密度リポ蛋白(LDL)コレステロールや超低密度リポ蛋白(VLDL)コレステロール、さらにはトリグリセリドの降下作用を有していることが報告されている。Diabetes.,46,348(1997)にはフィブラート系化合物の一つ、ベザフィブラートによって血中脂肪酸組成や高血圧の改善、インスリン抵抗性の改善が認められたと報告されている。従ってPPARαを活性化するアゴニストやPPARα蛋白自身の発現を亢進するPPARα制御薬は脂質降下薬、高脂血症治療剤として有用であるばかりでなく、HDLコレステロール上昇作用、LDLコレステロールおよび/またはVLDLコレステロールの減少作用、そして動脈硬化進展抑制やその治療、また肥満抑制効果が期待され、血糖降下薬として糖尿病の治療や予防、高血圧の改善、メタボリックシンドロームのリスクファクター軽減や虚血性心疾患の発症予防にも有望であると考えられる。
一方、PPARδを有意に活性化したリガンドやPPARδが関与する生物活性の報告は少ない。
PPARδは、ときにPPARβ、あるいはヒトの場合にはNUC1とも称されている。これまでにPPARδの生物活性として、WO96/01430号明細書にはhNUC1B(ヒトNUC1と1アミノ酸異なるPPARサブタイプ)がヒトPPARαや甲状腺ホルモンレセプターの転写活性を抑制できることが示されている。また、最近ではWO97/28149号明細書において、PPARδ蛋白質に高い親和性を有し、PPARδを有意に活性化する化合物(アゴニスト)が見出され、さらにそれらの化合物がHDL(高密度リポ蛋白)コレステロール上昇作用を有していることが報告された。従って、PPARδを活性化できるアゴニストには、HDLコレステロール上昇作用、それによる動脈硬化進展抑制やその治療、脂質降下薬や血糖降下薬としての応用が期待され、さらには高脂血症の治療、血糖降下薬、糖尿病の治療やメタボリックシンドロームのリスクファクターの軽減や虚血性心疾患の発症予防にも有用であると考えられる。
WO02/098840号には一般式(A)

(式中、L、M、T、Xは単結合などを;Wはカルボキシ基を;Yは芳香族基、脂環式炭化水素基を;Z、Uは芳香族基を表わす。)で示されるカルボン酸誘導体がPPARアゴニスト作用を有し、インスリン抵抗性改善薬として有用であることが知られている。
【発明の開示】
従って、高脂血症等の予防・治療剤などとして有用であり、経口吸収性に優れ、かつ安全なPPAR制御薬の開発が切望されている。
本発明者らは、PPAR制御作用を有する化合物を見出すべく鋭意研究を行なった結果、一般式(I)で示される本発明化合物が目的を達することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、
1.一般式(I)

(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい環状基を表わし、環Aおよび環Bはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状基を表わし、

0または1を表わす。ただし、mおよびnの和は1または2である。)で示される化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ、

溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ、
3.環Bが有する置換基のうち少なくとも一つが

(式中、rは1〜6の整数を表わし、Qは酸性基を表わす。)である前記1記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ、
4.rが1〜4の整数であり、Qがエステル化されていてもよいカルボキシである前記3記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ、
5.rが1であり、Qがカルボキシである前記3記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ、
6.(1)[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(2){2−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}酢酸、
(3)[2−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(4)[6−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(5)[3’−({(2E)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(6)[5−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(7)(3’−{[6−(トリフルオロメチル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]メトキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸、
(8)[2−クロロ−6−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(9)[4−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(10)[2−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(11)[2−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、および
(12)[2−フルオロ−3’−({(2E)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−エン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸 ナトリウム塩から選択される前記1記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ、
7.前記1記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬組成物、
8.PPARδに起因する疾患の予防および/または治療剤である前記7記載の医薬組成物、
9.PPARδに起因する疾患が高脂血症または肥満症である前記8記載の医薬組成物、
10.一般式(I)

(式中、すべての記号は前記1と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、溶媒和物、N−オキシド体またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする該哺乳動物におけるPPARδに起因する疾患の予防および/または治療方法、
11.PPARδに起因する疾患が高脂血症または肥満症である前記10記載の予防および/または治療方法、
12.PPARδに起因する疾患の予防および/または治療剤を製造するための一般式(I)

(式中、すべての記号は前記1と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの使用、
13.PPARδに起因する疾患が高脂血症または肥満症である前記12記載の化合物、その塩、溶媒和物、N−オキシド体またはそれらのプロドラッグの使用、
14.前記1記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグとさらに抗肥満薬、糖尿病治療剤および脂質改善薬から選択される1種または2種以上とを組み合わせてなる医薬、および
15.脂質改善薬がACAT阻害薬、MTP阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬またはコレステロール吸収阻害薬である前記14記載の医薬に関する。
本明細書中、各基の定義は以下の通りである。
、R、RおよびRが表わす「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、例えば、アルキル、アルケニルまたはアルキニル等が挙げられる。
アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖状または分岐状のC1〜8アルキル等が挙げられる。
アルケニルとしては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル等の直鎖状または分岐状のC2〜8アルケニル等が挙げられる。
アルキニルとしては、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル等の直鎖状または分岐状のC2〜8アルキニル等が挙げられる。
、R、RおよびRが表わす「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」としては、例えば、水酸基、C1〜8アルコキシ、C2〜8アシル、アミノ、モノ(C1〜8アルキル)アミノ、ジ(C1〜8アルキル)アミノ、C1〜8アシルオキシ、メルカプト、C1〜8アルキルチオ、ハロゲン原子、(C1〜8アルキル)スルホニル、(C1〜8アルキル)スルホニルアミノ、C2〜8アシルアミノ、オキソ、シアノ、ニトロ、カルバモイル、酸性基、炭素環基および複素環基から選択される1〜5個の基が挙げられる。
「置換基」におけるC1〜8アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ基等の直鎖状または分岐状のC1〜8アルコキシ等が挙げられる。
「置換基」におけるC2〜8アシルとしては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイルおよびその異性体等が挙げられる。
「置換基」におけるモノ(C1〜8アルキル)アミノとしては、1つのC1〜8アルキル基によって置換されたアミノ基を表わし、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ヘプチルアミノ、オクチルアミノおよびその異性体等が挙げられる。
「置換基」におけるジ(C1〜8アルキル)アミノとしては、2つの独立したC1〜8アルキル基によって置換されたアミノ基を表わし、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、ジヘプチルアミノ、ジオクチルアミノ、エチルメチルアミノ、メチルプロピルアミノ、エチルプロピルアミノおよびその異性体等が挙げられる。
「置換基」におけるC1〜8アシルオキシとしては、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオキシ、オクタノイルオキシおよびその異性体等が挙げられる。
「置換基」におけるC1〜8アルキルチオとしては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオおよびその異性体等が挙げられる。
「置換基」におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
「置換基」における(C1〜8アルキル)スルホニルとしては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニルおよびその異性体等が挙げられる。
「置換基」における(C1〜8アルキル)スルホニルアミノとしては、例えば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、プロピルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、ペンチルスルホニルアミノ、ヘキシルスルホニルアミノ、ヘプチルスルホニルアミノ、オクチルスルホニルアミノおよびその異性体等が挙げられる。
「置換基」におけるC2〜8アシルアミノとしては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、バレリルアミノ、ヘキサノイルアミノ、ヘプタノイルアミノ、オクタノイルアミノおよびその異性体等が挙げられる。
「置換基」における酸性基としては、例えばエステル化されていてもよいカルボキシ(エステル化されていてもよいカルボキシとしては、例えば、合成中間体として用いられるもの、薬理学的に享受しうるもの、あるいは生体内においてはじめて薬理学的に享受しうるもの、あるいは生体内においてはじめて薬理学的に享受しうるものに変化するもの等が用いられ、例えば、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル等のC1〜6アルキル)、ニトロおよびC1〜6アルコキシ等から選ばれた1〜3個の置換基を有していてもよいベンジル(例えば、ベンジル、ニトロベンジル、メトキシベンジル等)、ニトロおよび炭素数1〜6のアルコキシ等から選ばれた1〜3個の置換基を有していてもよいフェニル(例えば、フェニル、ニトロフェニル、メトキシフェニル等)等が挙げられる。)、スルホ、−SONHR(Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。)、−NHSO(Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。)、カルバモイル、ホスホノ、フェノール、シアノ、−CONHSO(Rは前記と同じ意味を表わす。)または脱プロトン化しうる水素原子を有する含窒素環残基等の各種ブレンステッド酸を表わす。「ブレンステッド酸」とは、他の物質に水素イオンを与える物質のことを示す。「脱プロトン化しうる水素原子を有する含窒素環残基」としては、例えば

等が挙げられる。
「置換基」における「炭素環基」としては、例えば一部または全部が飽和されていてもよいC3〜15の単環、二環または三環式芳香族炭素環等が挙げられる。
一部または全部が飽和されていてもよいC3〜15の単環、二環または三環式芳香族炭素環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロトリドデカン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ベンゼン、ペンタレン、パーヒドロペンタレン、アズレン、パーヒドロアズレン、インデン、パーヒドロインデン、インダン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、パーヒドロナフタレン、ヘプタレン、パーヒドロヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、アセナフテン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン環等が挙げられる。
また、一部または全部が飽和されていてもよいC3〜15の単環、二環または三環式芳香族炭素環にはスピロ結合した二環式炭素環、および架橋した二環式炭素環も含まれ、例えば、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン、アダマンタン、ノルアダマンタン環等が挙げられる。
「置換基」における「複素環基」としては、例えば酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和されていてもよい3〜15員の単環、二環または三環式芳香族複素環等が挙げられる。
酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和されていてもよい3〜15員の単環、二環または三環式芳香族複素環のうち、酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、3〜15員の単環、二環または三環式複素環としては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾオキセピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾオキサジアゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、ベンゾチアジアゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、チアンスレン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン環等が挙げられる。
酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和されていてもよい3〜15員の単環、二環または三環式芳香族複素環のうち、酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和された3〜15員の単環、二環または三環式芳香族複素環としては、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ベンゾジオキセパン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、パーヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン、パーヒドロアクリジン、ジヒドロジベンゾフラン、ジヒドロジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾフラン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、パーヒドロジベンゾフラン、パーヒドロジベンゾチオフェン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン環等が挙げられる。
、R、RおよびRが表わすハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
、R、R、R、環Aおよび環Bが表わす「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」としては、前記の「置換基を有していてもよい炭化水素基」中の「置換基」における炭素環および複素環等が挙げられる。
本明細書中、R、R、R、R、環Aおよび環Bが表わす「置換基を有していてもよい環状基」における「置換基」としては、例えば(1)置換基を有していてもよい炭化水素基、(2)水酸基、(3)置換基を有していてもよいアルコキシ、(4)メルカプト、(5)置換基を有していてもよいアルキルチオ、(6)置換基を有していてもよいアミノ、(7)ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、(8)シアノ、(9)ニトロ、(10)酸性基、(11)置換基を有していてもよい炭素環基、(12)置換基を有していてもよい複素環基等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1〜5個置換していてもよい。
置換基としての(1)「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル(ここで、アルキル、アルケニル、アルキニルは前記と同じ意味を表わす。)等が挙げられる。ここで、炭化水素基の置換基としては水酸基、アミノ、エステル化されていてもよいカルボキシ(エステル化されていてもよいカルボキシは、前記と同じ意味を表わす。)、ニトロ、モノ−またはジ−C1〜6アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、C1〜6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1〜4個置換していてもよい。
置換基としての(3)「置換基を有していてもよいアルコキシ」は、前記「C1〜8アルコキシ」と同じ意味を表わす。ここでアルコキシ基の置換基としては、前記(1)「置換基を有していてもよい炭化水素基」における置換基と同じ意味を表わす。
置換基としての(5)「置換基を有していてもよいアルキルチオ」におけるアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ基等の直鎖状または分岐状のC1〜8アルキルチオ基等が挙げられる。ここでアルキルチオ基の置換基としては、前記「置換基を有していてもよい炭化水素基」における置換基と同じ意味を表わす。
置換基としての(6)「置換基を有していてもよいアミノ」における置換基としては、アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基等の直鎖状または分岐状のC1〜4アルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル、4−メチルフェニル等)、アラルキル(例えば、ベンジル、フェネチル等)、アシル基(C1〜6アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ピバロイル等)、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル等)等)、アルコキシカルボニル(例えば、t−ブトキシカルボニル等)、アラルキルオキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル等)等が挙げられる。また、2個のアミノ基の置換基が一緒になって環状アミノ(例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)で置換されていてもよいピペラジン、アゼパン、モルホリン等)を形成してもよい。
置換基としての(10)「酸性基」は、前記のR、R、R、R、環Aおよび環Bが表わす「置換基を有していてもよい炭化水素基」における置換基が表わす「酸性基」と同じ意味を表わす。
置換基としての(11)「置換基を有していてもよい炭素環基」における炭素環基としては、前記のR、R、R、R、環Aおよび環Bが表わす「置換基を有していてもよい炭化水素基」における置換基が表わす「炭素環基」と同じ意味を表わす。
置換基としての(12)「置換基を有していてもよい複素環基」における複素環基としては、前記のR、R、R、R、環Aおよび環Bが表わす「置換基を有していてもよい環状基」における置換基が表わす「複素環基」と同じ意味を表わす。
該炭素環基および複素環基の置換基としては例えば置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ、メルカプト、置換基を有していてもよいアルキルチオ、置換基を有していてもよいアミノ、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ、ニトロ、エステル化されていてもよいカルボキシ基、炭素環基、複素環基等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1〜4個置換していてもよい。
ここで、「置換基を有していてもよい炭化水素基」は、前記R、R、RおよびRが表わす「置換基を有していてもよい炭化水素基」と同じ意味を表わす。
「置換基を有していてもよいアルコキシ」、「置換基を有していてもよいアルキルチオ」、「置換基を有していてもよいアミノ」、「エステル化されていてもよいカルボキシ」、「炭素環」および「複素環」は、R、R、R、R、環Aおよび環Bが表わす「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」中のものと同じ意味を表わす。
およびRが表わす「置換基を有していてもよい炭化水素基」は、前記R、R、RおよびRが表わす「置換基を有していてもよい炭化水素基」と同じ意味を表わす。
環Aで示される炭素環として好ましくは、置換基を有していてもよい、一部または全部が飽和されていてもよいC5〜10の単環または二環式芳香族炭素環であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいC5〜10の単環式芳香族炭素環であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいベンゼンである。
環Aで示される複素環として好ましくは、置換基を有していてもよい、酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和されていてもよい5〜10員の単環または二環式複素環であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよい1,3−オキサゾール、1,3−チアゾール、ピペリジン、ピリジン、1,3−ベンゾチアゾールおよび1,3−ベンゾジオキソールである。
環Aの置換基として好ましくは炭化水素基、ハロゲン原子、トリハロメチル、トリハロメチルオキシ、トリハロメチルチオ、置換基を有していてもよい炭素環、置換基を有していてもよい複素環であり、さらに好ましくはフッ素原子、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルチオ、置換基を有していてもよいフェニル、ピリジル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノである。
環Bとして好ましくは置換基を有していてもよい、一部または全部が飽和されていてもよいC5〜10の単環または二環式芳香族炭素環であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいC5〜10の単環式芳香族炭素環であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいベンゼンである。
環Bの置換基として好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ、置換基を有していてもよい炭素環、または置換基を有していてもよい複素環から任意に選択される1〜2個の置換基であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよい炭素環、または置換基を有していてもよい複素環である。
環Bの置換基である「置換基を有していてもよい炭素環」の炭素環として好ましくは、置換基を有していてもよい、一部または全部が飽和されていてもよいC5〜10の単環または二環式芳香族炭素環であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいC5〜10の単環式芳香族炭素環であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいベンゼンである。
環Bの置換基である「置換基を有していてもよい複素環」の「複素環」として好ましくは、置換基を有していてもよい、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和されていてもよい5〜10員の単環または二環式複素環アリールであり、さらに好ましくは、置換基を有していてもよい、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5〜10員の単環式複素環アリールであり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいチオフェン、ピリジン、フラン、チアゾール、オキサゾールである。ここで環Bの置換基である「置換基を有していてもよい炭素環」および「置換基を有していてもよい複素環」中の「置換基」として好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルコキシ、ハロゲン原子および酸性基から選択される1〜3個の置換基であり、更に好ましくは酸性基および置換基を有していてもよいアルキル基である。ここで、「置換基を有していてもよいアルキル」として好ましくは、酸性基で置換されたメチル、エチルまたはプロピルであり、さらに好ましくは酸性基で置換されたメチルである。酸性基として好ましくは、エステル化されていてもよいカルボキシであり、エステル化されていてもよいカルボキシとして好ましくはカルボキシである。
環Bが有する置換基のうち少なくとも一つは好ましくは、

(式中、rは1〜6の整数を表わし、Qは酸性基を表わす。)である。そのうちrとして好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1または2の整数であり、特に好ましくは1である。Qとして好ましくはエステル化されていてもよいカルボキシであり、さらに好ましくはカルボキシである。
mおよびnとして好ましくは、mが1でありかつnが1であるか、またはmが0でありかつnが1であり、さらに好ましくはmが1でありかつnが1である。

本発明の化合物はいずれも好ましいが、特に好ましい化合物は一般式(I−A)

(式中、Gは環Bの置換基を表わし、yは0または1〜4の整数を表わし、Tは環Bの置換基である「置換基を有していてもよい環状基」における「置換基」と同じ意味を表わし、Uは環Aの置換基を表わし、vは0または1〜5の整数を表わし、wは0または1〜4の整数を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物またはその塩、一般式(I−B)

で示される化合物またはその塩である。
一般式(I−A)および(I−B)で示される化合物のうち、

は結合するベンゼン環において3位に位置するのが好ましい。
また、具体的に好ましい化合物としては、
(1)[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(2){2−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}酢酸、
(3)[2−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(4)[6−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(5)[3’−({(2E)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(6)[5−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(7)(3’−{[6−(トリフルオロメチル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]メトキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸、
(8)[2−クロロ−6−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(9)[4−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(10)[2−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(11)[2−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、および
(12)[2−フルオロ−3’−({(2E)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−エン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸 ナトリウム塩である。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンには直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物はすべて本発明に含まれる。
本発明においては、特に断わらない限り、当業者にとって明らかなように

α配置とβ配置の任意の割合の混合物であることを表わす。
[塩、N−オキシド体および溶媒和物]
一般式(I)で示される化合物の塩には薬理学的に許容されるものすべてが含まれる。薬理学的に許容される塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。適当な塩として、例えばアルカリ金属(カリウム、ナトリウム、リチウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等)、有機アミン(トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩、酸付加物塩(無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等)が挙げられる。また、N−オキシド体とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が酸化されたものを表わす。本発明化合物は任意の方法でN−オキシド体にすることができる。本発明化合物の塩およびN−オキシド体には、溶媒和物、または上記本発明化合物のアルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩の溶媒和物も含まれる。溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系溶媒(エタノール等)等の溶媒和物が挙げられる。本発明化合物は公知の方法で薬理学的に許容される塩に変換される。
[プロドラッグ]
また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとは、生体内において酵素や胃酸等による反応により一般式(I)で示される化合物に変換される化合物をいう。一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとしては、一般式(I)で示される化合物がアミノ基を有する場合、該アミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例、一般式(I)で示される化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、アセトキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物が水酸基を有する場合、該水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例、一般式(I)で示される化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物がカルボキシル基を有する場合、該カルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、一般式(I)で示される化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等)等が挙げられる。これらの化合物はそれ自体の公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。
本発明において、PPAR制御薬とは、PPARα型、γ型、δ型、α+γ型、α+δ型、γ+δ型およびα+γ+δ型制御薬のすべてを包含する。また、本発明の好ましい制御様式は、PPARδ型制御薬、またはPPARδ+α型制御薬である。
また、本発明のPPAR制御薬には、PPARアゴニストおよびPPARアンタゴニストも含まれる。好ましくは、PPARアゴニストであり、より好ましくはPPARδ型アゴニスト、またはPPARδ+α型アゴニストである。
[本発明化合物の製造方法]
一般式(I)で示される本発明化合物は、公知の方法、例えばコンプレヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations、第2版)(Richard C.Larock著、John Wiley & Sons Inc、1999)に記載された方法等を適宜改良した、例えば以下に示す方法、または実施例に示す方法を組み合わせることによって製造することができる。なお、以下各製造方法において、原料化合物は塩として用いてもよい。このような塩としては、前記した一般式(I)の薬学的に許容される塩として記載されたものを用いることができる。
一般式(I)で示される化合物は、一般式(II)

(式中、Rは脱離基(ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、メシルオキシ基、トシルオキシ基等)を表わし、環A’は環Aと同じ意味を表わすが、環A’によって表わされる基に含まれるカルボキシ基、水酸基、アミノ基およびメルカプト基は保護が必要な場合には保護されているものとする。その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物と一般式(III)

(式中、環B’は環Bと同じ意味を表わすが、環B’によって表わされる基に含まれるカルボキシ基、水酸基、アミノ基およびメルカプト基は保護が必要な場合には保護されているものとする。)で示される化合物を反応させ、さらに必要に応じて保護基の脱保護反応に付すことにより製造することができる。
上記反応は公知であり、例えば、有機溶媒(テトロヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスファアミド(HMPA)、アセトニトリル等)中、塩基(水素化ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、ヨウ化ナトリウム、炭酸セシウム等)の存在下、0〜100℃で行なわれる。
保護基の脱保護反応は以下の方法によって行なうことができる。
カルボキシ基、水酸基、アミノ基またはメルカプト基の保護基の脱保護反応は、よく知られており、例えば、(1)アルカリ加水分解、(2)酸性条件下における脱保護反応、(3)加水素分解による脱保護反応、(4)シリル基の脱保護反応、(5)金属を用いる脱保護反応、(6)金属錯体を用いる脱保護反応等が挙げられる。
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)アルカリ加水分解による脱保護反応は、例えば、有機溶媒(メタノール、THF、ジオキサン等)中、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
(2)酸条件下での脱保護反応は、例えば、有機溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、アニソール等)中、有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トシル酸等)、または無機酸(塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(臭化水素/酢酸等)中、0〜100℃の温度で行なわれる。
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば、溶媒(エーテル系(THF、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジエチルエーテル等)、アルコール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、アミド系(DMF等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃の温度で行なわれる。
(4)シリル基の脱保護反応は、例えば、水と混和しうる有機溶媒(THF、アセトニトリル等)中、テトラブチルアンモニウムフルオライドを用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
(5)金属を用いる脱保護反応は、例えば、酸性溶媒(酢酸、pH4.2〜7.2の緩衝液またはそれらの溶液とテトラヒドロフラン等の有機溶媒との混合液)中、粉末亜鉛の存在下、必要であれば超音波をかけながら、0〜40℃の温度で行なわれる。
(6)金属錯体を用いる脱保護反応は、例えば、有機溶媒(ジクロロメタン、DMF、THF、酢酸エチル、アセトニトリル、ジオキサン、エタノール等)、水またはそれらの混合溶媒中、トラップ試薬(水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、ジメドン、モルホリン、ジエチルアミン、ピロリジン等)、有機酸(酢酸、ギ酸、2−エチルヘキサン酸等)および/または有機酸塩(2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等)の存在下、ホスフィン系試薬(トリフェニルホスフィン等)の存在下または非存在下、金属錯体(テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(O)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)等)を用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
また、上記以外にも、例えば、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley,New York,1999に記載された方法によって、脱保護反応を行なうことができる。当業者には容易に理解できることではあるが、これらの脱保護反応を使い分けることにより、目的とする本発明化合物が容易に製造することができる。
カルボキシ基の保護基としては、例えばメチル基、エチル基、アリル基、t−ブチル基、トリクロロエチル基、ベンジル(Bn)基、フェナシル基等が挙げられる。
水酸基の保護基としては、例えば、メチル基、トリチル基、メトキシメチル(MOM)基、1−エトキシエチル(EE)基、メトキシエトキシメチル(MEM)基、2−テトラヒドロピラニル(THP)基、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、アセチル(Ac)基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)基等が挙げられる。
アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エトキシカルボニル(Bpoc)基、トリフルオロアセチル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル基、ベンジルオキシメチル(BOM)基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)基等が挙げられる。
メルカプト基の保護基としては、例えばベンジル基、メトキシベンジル基、メトキシメチル(MOM)基、2−テトラヒドロピラニル(THP)基、ジフェニルメチル基、アセチル(Ac)基が挙げられる。
カルボキシ基、水酸基、アミノ基またはメルカプト基の保護基としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley,New York,1999に記載されたものが用いられる。
また、一般式(I)で示される化合物は、一般式(IV)

(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物と前記一般式(III)で示される化合物を反応させ、さらに必要に応じて保護基の脱保護反応に付すことにより製造することができる。
上記反応は公知であり、例えば、有機溶媒(塩化メチレン、ジエチルエーテル、THF、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等)中、アゾ化合物(アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン、1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)等)およびホスフィン化合物(トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン等)の存在下、相当するアルコール化合物と0〜60℃で反応させることにより行なわれる。
保護基の脱保護反応は前記と同様の方法により行なうことができる。

すなわち一般式(IA)

(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物は、一般式(V)

(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物を還元反応に付すことにより製造することもできる。
上記還元反応は公知であり、例えば、溶媒(エーテル系(THF、ジオキサン、DME、ジエチルエーテル等)、アルコール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、アミド系(DMF等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃の温度で行なわれる。
一般式(II)、(III)および(IV)で示される化合物は公知化合物であるか、または公知の方法、または実施例記載の方法に準じて製造することができる。
例えば、一般式(IV)で示される化合物のうち、2−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イル)エタノールは、J.Med.Chem.,35,1853−1864(1992)記載の方法に従って製造することができる。
本明細書中の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶等の方法により精製することができる。精製は各反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
[薬理活性]
実施例記載以外の薬理試験、特に動物を用いたインビボ測定実験として、例えば、以下に示す方法がある。以下に示す方法により本発明化合物の血糖および血中脂質の降下作用を測定することができる。
血糖および血中脂質の降下作用:
雄性KKAy/TaJclマウス(1群5匹)を8週齢で入荷後、個別ケージにて約1週間の予備飼育を行なう。予備飼育期間中は、固形飼料及び上水道水を給水瓶から自由摂取させる。次に3日間、粉末飼料に切り替えて馴化飼育を行ない、実験を開始する。実験開始当日(0日)、体重を測定し、尾静脈からマイクロキャピラリーを用いて採血後、血糖値を測定する。血糖値を指標に層別無作為化法による群分けを行ない、1群5匹を割り付ける。翌日、午前に体重を測定し、以降6日間、本発明化合物を0.03%(w/w)あるいは0.01%(w/w)、0.003%(w/w)含む飼料、もしくは粉末飼料を与えて飼育する。投与開始4日目、及び7日目午前に体重と摂餌量を測定し、平均摂餌量から投与用量を換算する。投与開始後6日目に尾静脈採血を行ない、血糖値、血漿中トリグリセリド(TG)値を測定する(飽食時血糖、TG値)。投与開始7日目の体重測定後、エーテル麻酔下で腹部大静脈から採血し、血中インスリン・遊離脂肪酸(NEFA)、及びGOT、GPTを市販のキットを用いて測定する。また、肝臓を摘出し、湿重量を測定する。外側左葉の一部から総RNAを抽出し、Northern Blot法によって二頭酵素の遺伝子発現レベルを測定する。なお、摂餌量はコントロール群(粉末飼料のみ)、本発明化合物群(化合物を0.03%あるいは0.01%、0.003%含む粉末飼料)両者で有意な違いは認めず、平均摂時量から換算した投与量は0.03%含有飼料投与群で約40mg/kg/dayとなる。
KKAy/Taマウスにおける飽食時の血糖、血中インスリン、NEFA値あるいは血漿中TG値の降下作用は糖尿病、高脂血症、動脈硬化症等の予防および/または治療剤としての可能性を示唆するものである。また、この作用はPPARγの生体における活性化に由来している。一方、肝重量増加や肝の二頭酵素の発現量の増大はPPARαの生体における活性化を反映していることが示唆される。
血糖および血中脂質の降下作用:
雄性Zucker fa/faラット(系統名 Crj−[ZUC]−fa/fa)、及び正常対照動物leanラット(系統名 Crj−[ZUC]−lean)を8週齢で購入後、個別ケージにて約2週間の予備飼育を行なう。予備飼育期間中は、固形飼料及び上水道水を自動給水装置から自由摂取させる。また、投与開始5日前より経口ゾンデを用いて擬似投与を行ない、実験を開始する。この間、一般状態観察を実施し、特に異常の認められなかった10週齢の動物を試験に供する。実験開始日の午前中に体重測定を行ない、尾静脈からマイクロキャピラリーを用いて採血後、血糖・遊離脂肪酸(NEFA)・TG、並びにHbAlc濃度を測定する。この中でHbAlc値及び体重を指標にして層別無作為化法により1群5匹を割り付ける。加えて、他のパラメーターの平均値に偏りが生じないように任意に入れ替える。群分け翌日以降、午前中に体重を測定した後、この体重に基いて本発明化合物を13日間連続で経口ゾンデを用いて強制経口投与する。なお、対照群及び正常対照群(leanラット)については媒体である0.5%MCを投与する。
投与開始1、4、7、10及び13日目の午前中に摂餌量を測定し、平均摂餌量を算出する。投与開始7日目に尾静脈からマイクロキャピラリーを用いて採血後、血糖・NEFA・TG、並びにHbAlc濃度を測定する。また、投与開始14日目に経口糖負荷試験(OGTT)を実施し、耐糖能改善作用を評価する。OGTTは、その前日(投与開始後13日目)より絶食とし、翌日(投与開始後14日目)より採血を実施した後、40%グルコース液を2g/5mL/kg用量で経口投与する。糖負荷後、60分及び120分後に尾静脈からマイクロキャピラリーを用いて採血後、血糖値を測定する。
OGTT終了後、給餌を再開し、投与開始15日目にも本発明化合物を投与する。投与開始16日目の午前中に体重を測定し、ラットをエーテル麻酔下で腹部大静脈から採血し、血糖・血中インスリン・NEFA・TG、及びGOT、GPTを市販のキットを用いて測定する。また、肝臓を摘出し、湿重量を測定する。
Zucker fa/faラットにおける飽食時の血糖、血中インスリン、NEFA、HbAlc値あるいは血漿中TG値の降下作用は糖尿病や高脂血症や動脈硬化症等の予防および/または治療剤としての可能性を示唆するものである。また、OGTTにおける空腹時血糖値の降下や耐糖能改善作用は糖尿病の予防および/または治療剤としての可能性を示唆する。これらの作用はPPARγの生体における活性化に由来している。一方、肝重量増加はPPARαの生体における活性化を反映していることが示唆される。
[毒性]
一般式(I)で示される本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全である。
【産業上の利用可能性】
[医薬品への適用]
一般式(I)で示される本発明化合物またはその塩は、PPAR制御作用を有しており、血糖降下薬、脂質降下薬、糖尿病、肥満症、メタボリックシンドローム、高コレステロール血症、高リポ蛋白血症等の代謝異常疾患、高脂血症、動脈硬化症、高血圧、循環器系疾患、過食症、虚血性心疾患等の予防および/または治療剤、HDLコレステロール上昇薬、LDLコレステロールおよび/またはVLDLコレステロールの減少薬、糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクファクター軽減薬としての応用が期待される。
また、一般式(I)で示される化合物またはその塩は特にPPARδアゴニスト作用を有しているため、HDLコレステロール上昇薬、動脈硬化進展抑制・治療薬、脂質降下薬や血糖降下薬、高脂血症治療剤、糖尿病治療剤として有用であると考えられ、またメタボリックシンドロームのリスクファクターの軽減や虚血性心疾患の発症予防にも有用であると考えられる。
一般式(I)で示される化合物またはその塩は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、
および/または
3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
一般式(I)で示される化合物またはその塩と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、一般式(I)で示される化合物またはその塩を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、一般式(I)で示される化合物またはその塩を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、一般式(I)で示される化合物またはその塩の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
例えば、一般式(I)で示される化合物またはその塩の脂質降下作用の補完および/または増強のための他の薬剤、すなわち脂質改善薬としては、例えば、MTP(Microsomal Triglyceride Transfer Protein)阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、スクアレンシンセターゼ阻害薬、フィブラート系製剤(フィブリン酸誘導体)、ACAT(アシルCoA:コレステロール O−アシルトランスフェラーゼ)阻害薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、回腸Na/胆汁酸共輸送体(ileal Na/bile acid transporter;IBAT)阻害薬、LDL受容体活性化薬/発現増強薬、リパーゼ阻害薬、プロブコール製剤、ニコチン酸製剤、その他の抗高コレステロール血症治療剤等が挙げられる。
MTP阻害薬としては、BMS−201038、BMS−212122、BMS−200150、GW−328713、R−103757等が挙げられる。HMG−CoA還元酵素阻害薬としては、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン等が挙げられる。ACAT阻害薬としては、F−12511、F−1394、CI−1011、メリナミド等が挙げられる。スクアレンシンセターゼ阻害薬としては、TAK−475等が挙げられる。フィブラート系製剤としては、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート等が挙げられる。ACAT阻害薬としては、Cl−1011、FCE27677、RP73163等が挙げられる。コレステロール吸収阻害薬としては、SCH48461等が挙げられる。胆汁酸吸収阻害薬として、コレスチラミン、コレセベラム等が挙げられる。LDL受容体活性化薬/発現増強薬としては、MD−700、LY295427等が挙げられる。リパーゼ阻害薬としては、オーリスタット等が挙げられる。フィブラート系製剤とHMG−CoA還元酵素阻害薬を併用した場合に、時折、横紋筋融解症が伴うことが知られており、腎不全患者や腎機能の降下した患者には禁忌となっている。上述の併用の中には、横紋筋融解症が発生することなく脂質代謝異常を是正できる可能性がある。
併用剤として好ましくは、HMG−CoA還元酵素阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、膵リパーゼ阻害薬である。
一般式(I)で示される化合物の血糖降下作用の補完および/または増強、そして糖尿病合併症治療の効果増強の為の他の薬剤、すなわち糖尿病治療剤としては、例えば、スルフォニル尿素系血糖降下薬、ビグアナイド系製剤、α−グルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、インスリン製剤、DP(ジペプチジルペプチダーゼ)4阻害薬、βアドレナリン受容体作動薬、PPAR作動薬、その他の糖尿病治療剤、糖尿病合併症治療剤等と併用することが考えられる。
スルフォニル尿素系血糖降下薬としては、アセトヘキサミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリメピリド等が挙げられる。ビグアナイド系製剤としては、塩酸ブフォルミン、塩酸メトフォルミン等が挙げられる。α−グルコシダーゼ阻害薬としては、アカルボース、ボグリボース等が挙げられる。速効型インスリン分泌促進薬としては、ナテグリニド、レパグリニド等が挙げられる。DP4阻害薬としては、NVP−DPP728A等が挙げられる。βアドレナリン受容体作動薬としては、AJ−9677、BMS−210285、CP−331679、KUL−1248、LY−362884、L−750335、CP−331648等が挙げられる。PPAR作動薬としては、テサグリタザール(AZ−242)、ムラグリタザール(BMS−298585)、TAK−559、LY−510929、ONO−5129、ネトグリタゾン(イサグリタゾン)、GW−501516、LY−465608、GW−590735、RO−205−2349、GW−409544、塩酸ピオグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾンなどが挙げられる。
糖尿病合併症治療剤としては、例えば、アルドース還元酵素阻害薬(エパルレスタット、フィダレスタット、ゼナレスタット等)等が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物の抗肥満作用の補完および/または増強の効果増強の為の他の薬剤、すなわち抗肥満薬としては、例えば、食欲抑制薬、膵リパーゼ阻害薬、βアドレナリン受容体作動薬、セロトニン・ノルエピネフリン・ドパミン再取込阻害薬等と併用することが考えられる。食欲抑制薬としては、レプチン、マジンドール、アンフェタミン、メタンフェタミン等が挙げられる。膵リパーゼ阻害薬としては、オーリスタット等が挙げられる。βアドレナリン受容体作動薬としては、AJ−9677、BMS−210285、CP−331679、KUL−1248、LY−362884、L−750335、CP−331648等が挙げられる。セロトニン・ノルエピネフリン・ドパミン再取込阻害薬としては、シブトラミン等が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物またはその塩と他の薬剤の重量比は特に限定されない。
他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
また、一般式(I)で示される化合物またはその塩の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
一般式(I)で示される本発明化合物またはその塩、または一般式(I)で示される化合物またはその塩と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1mgから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、1mgから100mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
一般式(I)で示される本発明化合物またはその塩、または一般式(I)で示される化合物またはその塩と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与の中で、外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、エアゾル剤、点眼剤、および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造される。
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて製造される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて製造される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて製造される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤または吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例および参考例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
クロマトグラフィーによる分離の箇所、TLCに示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。NMRの箇所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した溶媒を示している。
本明細書中に用いた化合物は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、ACD/Name(登録商標、Advanced Chemistry Development Inc.社製)またはACD/Nameバッチ(登録商標、Advanced Chemistry Development Inc.社製)を用いるか、またはIUPAC命名法に準じて命名したものである。
参考例1:1−ブロモ−3−(メトキシメトキシ)ベンゼン
水素化ナトリウム(24.2g)をヘキサンで洗浄後、N,N−ジメチルホルムアミド(500mL;DMF)を加えて、氷冷後3−ブロモフェノール(99.6g)を滴下し、室温で30分間撹拌した。反応混合物を氷冷後、クロロメチルメチルエーテル(46mL)を滴下し、室温で30分間撹拌した。反応混合物を氷水(2000mL)に注ぎ、混合溶媒(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、下記物性値を有する標題化合物(32.6g)を得た。
TLC:Rf 0.80(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。
参考例2:[3−(メトキシメトキシ)フェニル]ボロン酸
参考例1で製造した化合物(32.6g)のテトラヒドロフラン(600mL;THF)溶液を−78℃に冷却し、1.5M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(110mL)を−60℃以下で滴下後、−78℃で1時間撹拌した。反応混合物にホウ酸トリメチル(50mL)を−60℃以下で滴下し、−78℃から−40℃まで昇温しながら1.5時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(150mL)を加え、−10℃から10℃まで昇温しながら1時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を1N塩酸、水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣に混合溶媒(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)を加えて結晶をろ取した。ろ液を濃縮した。得られた残渣をカラム精製して得た固体と先で得られた結晶を合わせて、下記物性値を有する標題化合物(12g)を得た。
TLC:Rf 0.47(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)。
参考例3:メチル [3’−(メトキシメトキシ)ビフェニル−3−イル]アセテート
参考例2で製造した化合物(11.9g)のトルエン(260mL)溶液に3−ブロモフェニル酢酸メチル(15.0g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.8g)および2M炭酸ナトリウム水溶液(98mL)を加えて、90℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、不溶物をろ去した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する標題化合物(16.6g)を得た。
TLC:Rf 0.60(ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR(CDCl):δ 3.51(s,3H),3.69(s,2H),3.71(s,3H),5.23(s,2H),7.03(m,1H),7.25(m,3H),7.37(m,2H),7.49(m,2H)。
参考例4:メチル (3’−ヒドロキシビフェニル−3−イル)アセテート
参考例3で製造した化合物(16.6g)のメタノール(140mL)溶液を氷冷後、4N塩化水素−1,4−ジオキサン溶液(35mL)を加えて、室温で1時間撹拌した。不溶物をろ去後、ろ液を濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する標題化合物(12.7g)を得た。
TLC:Rf 0.46(ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR(CDCl):δ 3.69(s,2H),3.72(s,3H),5.12(s,1H),6.82(m,1H),7.05(dd,1H),7.15(m,1H),7.28(m,2H),7.38(m,1H),7.47(m,2H)。
実施例1:メチル [3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]アセテート

参考例4で製造した化合物(12.7g)のDMF(150mL)溶液に1−[(1E)−3−ブロモ−1−プロペン−1−イル]−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(16.7g)および炭酸カリウム(8.7g)を加えて、室温で終夜撹拌した。反応混合物を水(600mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を希塩酸、水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する本発明化合物(19.0g)を得た。
TLC:Rf 0.43(ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
NMR(CDCl):δ 3.69(s,2H),3.71(s,3H),4.79(dd,2H),6.54(dt,1H),6.81(d,1H),6.95(m,1H),7.20(m,2H),7.28(m,1H),7.39(m,2H),7.50(m,4H),7.59(d,2H)。
実施例2:[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸

実施例1で製造した化合物(19.0g)のTHF(70mL)およびメタノール(70mL)の混合溶液に2N水酸化ナトリウム水溶液(70mL)を加えて、室温で1時間撹拌した。反応混合物に2N塩酸(70mL)を加えて酸性にし水(70mL)を加えて、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。残渣を混合溶媒(75mL;ヘキサン:酢酸エチル=5:8)で再結晶し、下記物性値を有する本発明化合物(14.1g)を得た。
TLC:Rf 0.41(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 7.58(d,2H),7.51(m,4H),7.40(dd,1H),7.36(dd,1H),7.28(m,1H),7.19(m,2H),6.94(ddd,1H),6.80(d,1H),6.52(dt,1H),4.78(dd,2H),3.71(s,2H)。
実施例3(1)〜実施例3(48)
参考例4で製造した化合物またはその代わりに相当するアルコール誘導体、および1−[(1E)−3−ブロモ−1−プロペン−1−イル]−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンまたはその代わりに相当するハロゲン化物を用いて、実施例1→実施例2と同様の目的の操作に付し、更に必要に応じて公知の方法で相当する塩に変換することにより、以下に示す本発明化合物を得た。なお、下記本発明化合物のNMRデータは特徴的なピークを記載した。
実施例3(1):(3’−{[(2E)−3−フェニル−2−プロペン−1−イル]オキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸
TLC:Rf 0.53(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.44(dt,1H),3.71(s,2H)。
実施例3(2):(2’−{[(2E)−3−ビフェニル−4−イル−2−プロペン−1−イル]オキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸
TLC:Rf 0.45(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.50(dt,1H),3.52(s,2H)。
実施例3(3):[3’−({4−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}メトキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.69(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 5.25(s,2H),3.71(s,2H),2.53(s,3H)。
実施例3(4):[3’−({(2E)−3−[4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.29(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.50(dt,1H),3.71(s,2H)。
実施例3(5):[3’−({(2E)−3−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.41(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.49(dt,1H),3.71(s,2H)。
実施例3(6):[3’−({(2E)−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.50(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl);δ 6.51(dt,1H),3.71(s,2H)。
実施例3(7):[3’−({(2E)−3−[3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.38(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.46(dt,1H),3.71(s,2H)。
実施例3(8):[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.44(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.41(dt,1H),3.71(s,2H)。
実施例3(9):[3’−({(2E)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.37(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.59(dt,1H),3.72(s,2H)。
実施例3(10):{3’−[((2E)−3−{4−[(トリフルオロメチル)チオ]フェニル}−2−プロペン−1−イル)オキシ]ビフェニル−3−イル}酢酸
TLC:Rf 0.38(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.73(d,1H),3.61(s,2H)。
実施例3(11):(3’−{[(2E)−3−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−プロペン−1−イル]オキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸
TLC:Rf 0.50(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.32(dt,1H),3.61(s,2H)。
実施例3(12):{2−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}酢酸
TLC:Rf 0.41(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 6.51(dt,1H),3.76(d,2H)。
実施例3(13):{5−メチル−2−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}酢酸
TLC:Rf 0.40(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.70(dt,1H),3.51(s,2H),2.34(s,3H)。
実施例3(14):3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−カルボン酸
TLC:Rf 0.28(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.71(dt,1H),4.86(d,2H)。
実施例3(15):[2’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.29(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.63(dt,1H),3.62(s,2H)。
実施例3(16):{2−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}酢酸
TLC:Rf 0.35(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.70(dt,1H),3.79(s,2H)。
実施例3(17):{5−メチル−2−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}酢酸
TLC:Rf 0.43(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.69(dt,1H),3.71(s,2H),2.40(s,3H)。
実施例3(18):{5−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]ピリジン−3−イル}酢酸
TLC:Rf 0.23(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.36(dt,1H),3.47(s,2H)。
実施例3(19):(3’−{[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸
TLC:Rf 0.47(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 5.17(s,2H),3.71(s,2H)。
実施例3(20):{6−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}酢酸
TLC:Rf 0.21(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.54(dt,1H),3.98(s,2H)。
実施例3(21):[3’−({(2E)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.53(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 6.61(dt,1H),3.72(s,2H)。
実施例3(22):[6−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.45(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.51(d,5.4Hz,1H),3.63(s,2H),2.24(s,3H)。
実施例3(23):[2’−ヒドロキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.27(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 8.54(brs,1H),6.70(dt,1H),3.58(s,2H)。
実施例3(24):[5−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.53(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.71(dt,1H),3.79(s,3H),3.60(s,2H)。
実施例3(25):[2’−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.53(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.73(dt,1H),3.61(s,3H),3.60(s,2H)。
実施例3(26):{3−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]−2−チエニル}酢酸
TLC:Rf 0.30(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.46(dt,1H),3.85(s,2H)。
実施例3(27):[3’−メトキシ−2’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.50(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.29(dt,1H),3.84(s,3H),3.58(s,2H)。
実施例3(28):{4−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]−2−チエニル}酢酸
TLC:Rf 0.41(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.52(dt,1H),3.91(s,2H)。
実施例3(29):[2−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.58(塩化メチレン:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.69(dt,1H),3.60(s,2H),3.24(s,3H)。
実施例3(30):[6−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.55(塩化メチレン:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.53(dt,1H),3.77(s,3H),3.62(s,2H)。
実施例3(31):[3’−ヒドロキシ−2’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.42(塩化メチレン:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.20(dt,1H),5.94(brs,1H),3.67(s,2H)。
実施例3(32):[4−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.42(ヘキサン:酢酸エチル=3:7);
NMR(DMSO−d):δ 6.70(dt,1H),3.78(s,3H),3.56(s,2H)。
実施例3(33):(3’−{[5−(トリフルオロメチル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]メトキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸
TLC:Rf 0.42(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(DMSO−d):δ 5.75(s,2H),3.64(s,2H)。
実施例3(34):[4−クロロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.48(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.51(dt,1H),3.65(s,2H)。
実施例3(35):[6−クロロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.41(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.52(dt,1H),3.88(s,2H)。
実施例3(36):[5−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.43(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.52(dt,1H),3.67(s,2H),2.40(s,3H)。
実施例3(37):[3’−({(2E)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.43(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 6.63(dt,1H),3.72(s,2H)。
実施例3(38):[3’−({(2E)−3−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸・ナトリウム塩
TLC:Rf 0.50(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(DMSO−d):δ 6.81(dt,1H),3.27(s,2H)。
実施例3(39):[5−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.35(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.52(dt,1H),3.70(s,2H)。
実施例3(40):(3’−{[6−(トリフルオロメチル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]メトキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸
TLC:Rf 0.42(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 5.55(s,2H),3.71(s,2H)。
実施例3(41):[2−クロロ−6−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.57(メタノール:塩化メチレン=1:9);
NMR(CDCl):δ 6.51(dt,1H),3.84(s,2H),2.06(s,3H)。
実施例3(42):[6−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.56(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.51(dt,1H),3.66(s,2H)。
実施例3(43):[4−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.55(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.52(dt,1H),3.76(s,2H)。
実施例3(44):[2−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.67(メタノール:塩化メチレン=1:9);
NMR(CDCl):δ 6.51(dt,1H),3.75(s,2H),2.20(s,3H)。
実施例3(45):[4,6−ジメチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.58(メタノール:塩化メチレン=1:10);
NMR(CDCl):δ 6.51(dt,1H),3.65(s,2H),2.32(s,3H),2.22(s,3H)。
実施例3(46):[4,6−ジメトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.50(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.52(dt,1H),3.89(s,3H)3.80(s,3H),3.64(s,2H)。
実施例3(47):[4,5−ジメトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.43(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 6.51(dt,1H),3.90(s,3H),3.63(s,2H),3.56(s,3H)。
実施例3(48):[2−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.47(メタノール:塩化メチレン=1:10);
NMR(CDCl):δ 6.51(dt,1H),3.77(s,2H)。
実施例4:メチル(3’−{[(2E)−3−ビフェニル−4−イル−2−プロペン−1−イル]オキシ}ビフェニル−3−イル)アセテート

参考例4で製造した化合物(12.1g)、(2E)−3−ビフェニル−4−イル−2−プロペン−1−オール(13.6g)、トリフェニルホスフィン(19.6g)の塩化メチレン(200mL)溶液にアルゴンガス気流下、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(18.9g)を加え18時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、ジイソプロピルエーテルで希釈し、ろ過後、濃縮した。得られた残渣をカラム精製し、下記物性値を有する本発明化合物(10.7g)を得た。
TLC:Rf 0.40(ヘキサン:酢酸エチル=5:1);
NMR(CDCl):δ 7.62−7.20(m,16H),7.00(m,1H),6.82(d,1H),6.49(dt,1H),4.78(dd,2H),3.70(s,3H),3.69(s,2H)。
実施例5:(3’−{[(2E)−3−ビフェニル−4−イル−2−プロペン−1−イル]オキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸

実施例4で製造した化合物(2.6g)のメタノール(5mL)およびTHF(5mL)の混合溶液に2N水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)を加えて室温で3時間撹拌した。反応混合物を2N塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣を混合溶媒(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で再結晶し、下記物性値を有する本発明化合物(2.0g)を得た。
TLC:Rf 0.63(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 7.64−7.27(m,14H),7.22−7.16(m,2H),7.00−6.92(m,1H),6.80(brd,1H),6.48(dt,1H),4.78(dd,2H),3.71(s,2H)。
実施例6(1)〜実施例6(19)
参考例4で製造した化合物またはその代わりに相当するアルコール誘導体、および(2E)−3−ビフェニル−4−イル−2−プロペン−1−オールの代わりに相当するアルコール誘導体を用いて、実施例4→実施例5と同様の目的の操作に付し、更に必要に応じて公知の方法で相当する塩に変換することにより、以下に示す本発明化合物を得た。なお、下記本発明化合物のNMRデータは特徴的なピークを記載した。
実施例6(1):{3’−[2−(5−メチル−2−フェニル−1,3−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ビフェニル−2−イル}酢酸
TLC:Rf 0.37(クロロホルム:メタノール=15:1);
NMR(CDCl):δ 3.60(s,2H),2.38(s,3H)。
実施例6(2):3’−[3−(5−メチル−2−フェニル−1,3−オキサゾール−4−イル)プロポキシ]ビフェニル−3−カルボン酸
TLC:Rf 0.56(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 4.07(t,2H),2.31(s,3H)。
実施例6(3):(3’−{2−[2−(4−シクロヘキシルフェニル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}ビフェニル−2−イル)酢酸
TLC:Rf 0.57(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 3.59(s,2H),2.36(s,3H)。
実施例6(4):{4’−メトキシ−3’−[2−(5−メチル−2−フェニル−1,3−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ビフェニル−2−イル}酢酸
TLC:Rf 0.48(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 3.93(s,3H),3.62(s,2H),2.36(s,3H)。
実施例6(5):(3’−{2−[2−(4−イソプロピルフェニル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}ビフェニル−2−イル)酢酸
TLC:Rf 0.56(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 3.59(s,2H),2.36(s,3H),1.26(d,6H)。
実施例6(6):{3’−[2−(2−イソプロピル−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ビフェニル−2−イル}酢酸・ナトリウム塩
TLC:Rf 0.36(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 3.26(s,2H),2.85(sept,1H),2.15(s,3H)。
実施例6(7):(3’−{2−[5−メチル−2−(6−ピペリジン−1−イルピリジン−3−イル)−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}ビフェニル−2−イル)酢酸
TLC:Rf 0.53(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 3.58(s,2H),2.34(s,3H),1.66(br,6H)。
実施例6(8):(3’−{2−[5−メチル−2−(6−モルホリン−4−イルピリジン−3−イル)−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}ビフェニル−2−イル)酢酸
TLC:Rf 0.58(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 3.58(s,2H),2.35(s,3H)。
実施例6(9):{3’−[2−(5−メチル−2−ピペリジン−1−イル−1,3−チアゾール−4−イル)エトキシ]ビフェニル−2−イル}酢酸
TLC:Rf 0.61(クロロホルム:メタノール=8:1);
NMR(CDCl):δ 3.54(s,2H),2.24(s,3H)。
実施例6(10):(3’−{2−[5−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}ビフェニル−2−イル)酢酸
TLC:Rf 0.35(クロロホルム:メタノール=5:1);
NMR(CDCl):δ 3.55(s,2H),2.34,(s,3H),2.25(s,3H)。
実施例6(11):{3’−[2−(5−メチル−2−モルホリン−4−イル−1,3−チアゾール−4−イル)エトキシ]ビフェニル−2−イル}酢酸・塩酸塩
TLC:Rf 0.54(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 3.49(s,2H),2.20(s,3H)。
実施例6(12):[3’−(2−{5−メチル−2−[4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)ビフェニル−2−イル]酢酸・1/2カルシウム塩
TLC:Rf 0.53(クロロホルム:メタノール=8:1);
NMR(DMSO−d):δ 4.00−3.84(m,2H),2.30(s,3H)。
実施例6(13):(3’−{2−[5−メチル−2−(4−モルホリン−4−イルフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}ビフェニル−2−イル)酢酸
TLC:Rf 0.50(塩化メチレン:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 3.59(s,2H),2.35(s,3H)。
実施例6(14):{3’−[2−(5−メチル−2−チオモルホリン−4−イル−1,3−チアゾール−4−イル)エトキシ]ビフェニル−2−イル}酢酸
TLC:Rf 0.25(クロロホルム:メタノール=19:1);
NMR(DMSO−d):δ 3.49(s,2H),2.19(s,3H)。
実施例6(15):[3’−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)ビフェニル−2−イル]酢酸
TLC:Rf 0.33(クロロホルム:メタノール=19:1);
NMR(CDCl):δ 3.60(s,2H),2.38(s,3H)。
実施例6(16):(3’−{2−[5−メチル−2−(6−メチルピリジン−3−イル)−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}ビフェニル−2−イル)酢酸
TLC:Rf 0.51(クロロホルム:メタノール=19:1);
NMR(CDCl):δ 3.60(s,2H),2.60(s,3H),2.38(s,3H)。
実施例6(17):[3’−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸
TLC:Rf 0.67(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 3.70(s,2H),2.40(s,3H)。
実施例6(18):(3’−{3−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]プロポキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸・塩酸塩
TLC:Rf 0.69(クロロホルム:メタノール=4:1);
NMR(DMSO−d):δ 3.64(s,2H),3.21(m,2H),2.65(m,1H)。
実施例6(19):3’−(3−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}プロポキシ)ビフェニル−3−カルボン酸
TLC:Rf 0.37(クロロホルム:メタノール=9:1);
NMR(DMSO−d):δ 2.32(s,3H),2.07(quintet,2H)。
実施例7:(3’−{3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロポキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸

実施例2で製造した化合物(55mg)のエタノール(1.5mL)溶液に10%パラジウム−炭素(10mg)を加えて、水素雰囲気下で6時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。残渣に酢酸エチルを加えてメンブランフィルターでろ過した。ろ液を濃縮し、得られた結晶をヘキサンで洗浄後乾燥し、下記物性値を有する本発明化合物(47mg)を得た。
TLC:Rf 0.52(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl):δ 2.13(m,2H),2.89(t,2H),3.70(s,2H),4.01(t,2H),5.48(s,1H),6.87(dd,1H),7.09(m,1H),7.16(d,1H),7.33(m,5H),7.52(m,4H)。
実施例8:[2−フルオロ−3’−({(2E)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−エン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸 ナトリウム塩

参考例4で製造した化合物の代わりにメチル (2−フルオロ−3’−ヒドロキシビフェニル−3−イル)アセタートおよび1−[(1E)−3−ブロモ−1−プロペン−1−イル]−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンの代わりに1−[(1E)−3−プロモ−1−プロペン−1−イル]−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いて実施例1→実施例2と同様の目的の操作に付し、さらに公知の方法でナトリウム塩に変換して、下記物性値を有する本発明化合物を得た。
TLC:Rf 0.51(塩化メチレン:メタノール=10:1);
NMR(DMSO−d):δ 7.91(t,1H),7.66(d,1H),7.55(d,1H),7.38(t,1H),7.31−7.20(m,2H),7.15−7.05(m,3H),7.02(d,1H),6.93(d,1H),6.83(dt,1H),4.85(d,2H),3.40(s,2H)。
実施例9:2−[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]アセタミド

アルゴン雰囲気下、実施例2で製造した化合物(2.06g)の塩化メチレン(20mL)溶液に0℃でオキザリルクロリド(0.65mL)および触媒量のDMFを加えて、混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、アルゴン雰囲気下、塩化メチレン(20mL)に溶解し、0℃で28%アンモニア水を滴下し、10分間放置した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮し、下記物性値を有する本発明化合物(2.06g)を得た。
TLC:Rf 0.44(塩化メチレン:メタノール=10:1)。
実施例10:[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]アセトニトリル

アルゴン雰囲気下、実施例9で製造した化合物(1.80g)の塩化メチレン(20mL)に0℃でピリジン(2.1mL)およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.47ml)を加えて混合物を30分間撹拌した。反応混合物に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄後乾燥し、濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する本発明化合物(2.0g)を得た。
TLC:Rf 0.37(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)。
実施例11:5−{[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]メチル−1H−テトラゾール

実施例10で製造した化合物(350mg)のトルエン(3.5mL)溶液にトリメチルチンアジド(227mg)を加えて、21時間還流下撹拌した。反応混合物にメタノール(9mL)および2N塩酸(6mL)を加えて20分間撹拌した。反応混合物に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸、水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をヘキサンおよび酢酸エチルの混合溶媒で洗浄し、以下の物性値を有する本発明化合物(207mg)を得た。
TLC:Rf 0.53(塩化メチレン:メタノール=10:1);
NMR(DMSO−d):δ 4.36(s,2H),4.84(d,1H),6.72(dt,1H),6.89(d,1H),7.02(dd,1H),7.23−7.21(m,3H),7.38(d,1H),7.43(d,1H),7.57(d,1H),7.62(m,1H),7.75−7.66(m,4H),16.18(m,1H)。
実施例12:N−(メチルスルホニル)−2−[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]アセタミド

実施例2で製造した化合物(206mg)のDMF(2mL)溶液にメチルスルホンアミド(57mg)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(73mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(115mg)を加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物に水、ヘキサン、酢酸エチルおよびメタノールを加えた。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する本発明化合物(53mg)を得た。
TLC:Rf 0.89(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
NMR(CDCl):δ 3.27(s,3H),3.76(s,2H),4.79(d,2H),6.54(dt,1H),6.81(d,1H),6.98(m,1H),7.25−7.15(m,3H),7.39(t,1H),7.62−7.43(m,8H)。
参考例5:[3’−(メトキシメトキシ)ビフェニル−3−イル]アセトニトリル
3−ブロモフェニルアセトニトリル(3.0g)および[3−(メトキシメトキシ)フェニル]ボロン酸(2.0g)のトルエン(50mL)溶液にアルゴン雰囲気下、2M炭酸ナトリウム水溶液(15mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(580mg)を加え、混合物を100℃で150分間撹拌した。反応混合物を冷却し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する標題化合物の粗精製物(3.2g)を得た。
TLC:Rf 0.36(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)。
参考例6:(1Z)−N’−ヒドロキシ−2−[3’−(メトキシメトキシ)ビフェニル−3−イル]エタンイミドアミド
参考例5で製造した化合物(3.2g)のエタノール(40mL)溶液にヒドロキシルアミン・塩酸塩(1.74g)およびトリエチルアミン(3.5mL)を加え、混合物を3時間還流した。反応混合物を冷却し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する標題化合物を得た。
TLC:Rf 0.69(塩化メチレン:メタノール=9:1)。
参考例7:4−{[3’−(メトキシメトキシ)ビフェニル−3−イル]メチル}−3H−1,2,3,5−オキサチアジアゾール 2−オキシド
参考例6で製造した化合物(421mg)のテトラヒドロフラン(6mL)溶液にアルゴン雰囲気下、ピリジン(0.24mL)を加えて0℃でチオニルクロリド(0.11mL)を滴下し、混合物を90分間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する標題化合物の粗精製物(204mg)を得た。
TLC:Rf 0.61(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)。
参考例8:3’−[(2−オキシド−3H−1,2,3,5−オキサチアジアゾール−4−イル)メチル]ビフェニル−3−オール)
参考例7で製造した化合物(200mg)を4N塩化水素−ジオキサン溶液(5ml)に溶解し、室温で3時間撹拌した。溶媒を濃縮し、下記物性値を有する標題化合物を得た。
TLC:Rf 0.27(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。
実施例13:4−{[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]メチル}−3H−1,2,3,5−オキサチアジアゾール 2−オキシド

参考例8で製造した化合物および1−[(1E)−3−ブロモ−1−プロペン−1−イル]−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(159mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)溶液にイソプロピルエチルアミン(97μL)および炭酸カリウム(91mg)を加え、混合物を終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、ヘキサン:酢酸エチル=1:2の混合溶媒で抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄後乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで精製し、下記物性値を有する本発明化合物(50mg)を得た。
TLC:Rf 0.51(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR(DMSO−d):δ 4.53(d,2H),5.81(s,2H),6.56(dt,1H),6.78−6.65(m,2H),7.05−6.97(m,2H),7.21(t,1H),7.27(d,1H),7.33(t,1H),7.42(d,1H),7.54(s,1H),7.59(d,2H),7.64(d,2H),9.51(s,1H)。
参考例9:3−{[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−チオン
参考例6で製造した化合物(160mg)のアセトニトリル(5mL)溶液にチオカルボニルジイミダゾール(150mg)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(0.33mL)を加えてアルゴン雰囲気下、室温で90分間撹拌した。反応混合物に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで精製し、下記物性値を有する標題化合物(118mg)を得た。
実施例14:3−{[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−チオン

参考例7で製造した化合物の代わりに参考例9で製造した化合物を用いて参考例8→実施例13で示される方法と同様に操作して、下記物性値を有する本発明化合物を得た。
TLC:Rf 0.73(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
NMR(DMSO−d):δ 4.137(s,2H),4.14(d,2H),6.54(dt,1H),6.79−6.71(m,2H),7.05−6.97(m,2H),7.22(t,1H),7.26(d,1H),7.36(t,1H),7.48(d,1H),7.57−7.51(m,3H),7.62(d,2H),9.52(s,1H)。
参考例10:3−{[3’−(メトキシメトキシ)ビフェニル−3−イル]メチル}−1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン
参考例6で製造した化合物(175mg)のTHF(3mL)溶液にアルゴン雰囲気下、チオカルボニルジイミダゾール(131mg)を加え、混合物を室温で150分間撹拌した。水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をTHF(3mL)に溶解しアルゴン雰囲気下、トリフルオロボロン・ジエチルエーテル錯体(0.39mL)を加えて混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する標題化合物(95mg)を得た。
TLC:Rf 0.61(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)。
実施例15:3−{[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]メチル}−1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン

参考例7で製造した化合物の代わりに参考例10で製造した化合物を用いて参考例8→実施例13で示される方法と同様に操作して、下記物性値を有する本発明化合物を得た。
TLC:Rf 0.65(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
NMR(DMSO−d):δ 4.21(s,2H),4.58(d,2H),6.24(dt,1H),6.48(d,1H),6.75(m,1H),6.99−6.93(m,2H),7.21(t,1H),7.27(d,1H),7.39(t,1H),7.46(d,1H),7.55−7.47(m,3H),7.62(d,2H),9.50(s,1H)。
参考例11:3−{[3’−(メトキシメトキシ)ビフェニル−3−イル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン
参考例6で製造した化合物(200mg)のDMF(1.5mL)溶液にピリジン(62μL)を加え、アルゴン雰囲気下0℃で2−エチルヘキシルクロロホルマート(0.14mL)を滴下し、混合物を室温で90分間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層にヘキサンを加え、水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣にメタキシレン(7mL)を加えて130℃で5時間撹拌した。反応混合物を冷却し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後濃縮した。残渣をカラム精製し、下記物性値を有する標題化合物(73mg)を得た。
TLC:Rf 0.47(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)。
実施例16:3−{[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン

参考例7で製造した化合物の代わりに参考例11で製造した化合物を用いて参考例8→実施例13で示される方法と同様に操作して、下記物性値を有する本発明化合物を得た。
TLC:Rf 0.51(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
NMR(DMSO−d):δ 4.17(s,2H),4.37(d,2H),6.13(dt,1H),6.45(d,1H),6.74(m,1H),7.00−6.93(m,2H),7.21(t,1H),7.31(d,1H),7.48−7.35(m,4H),7.64−7.55(m,3H),9.51(s,1H)。
生物学的実施例
一般式(I)で示される本発明化合物が、PPAR制御活性を有することは以下の実験で証明された。
PPARアゴニスト活性の測定:
(1)ヒトPPARを用いたルシフェラーゼアッセイの材料の調製
全体の操作は、基本的な遺伝子工学的手法に基づき、また酵母One−ハイブリッド、またはTwo−ハイブリッドシステムで常法となっている手法を活用した。本発明の測定法は以下の如く本発明化合物を評価するために測定精度の向上および測定感度の改良を加えたものである。
すなわち、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター支配下のルシフェラーゼ遺伝子発現ベクターとして、PicaGene Basic Vector 2(商品名、東洋インキ社、カタログNo.309−04821)からルシフェラーゼ構造遺伝子を切り出し、TKプロモーターをもつpTKβ(クロンテック社、カタログNo.6179−1)から、必要最小のプロモーター活性として、TKプロモーター(−105/+51)支配下のルシフェラーゼ遺伝子発現ベクターpTK−Luc.を作成した。TKプロモーター上流に、酵母の基本転写因子であるGal4蛋白の応答配列、UASを4回繰り返したエンハンサー配列を挿入し、4xUAS−TK−Luc.を構築し、レポーター遺伝子とした。以下に用いたエンハンサー配列(配列番号1)を示す。
配列番号1:Gal4蛋白応答配列を繰り返したエンハンサー配列

酵母Gal4蛋白のDNA結合領域のカルボキシル末端に、核内受容体ヒトPPARα、γまたはδのリガンド結合領域を融合させた、キメラ受容体蛋白を発現するベクターを以下のように作成した。すなわち、PicaGene Basic Vector 2(商品名、東洋インキ社、カタログNo.309−04821)を基本発現ベクターとして、プロモーター・エンハンサー領域はそのままに、構造遺伝子をキメラ受容体蛋白のそれに交換した。
Gal4蛋白のDNA結合領域、1番目から147番目までのアミノ酸配列をコードするDNA下流に、ヒトPPARα、γまたはδのリガンド結合領域をコードするDNAが、フレームが合うように融合して、PicaGene Basic Vector 2のプロモーター・エンハンサー領域下流に挿入した。この際、発現したキメラ蛋白が核内に局在すべく、ヒトPPARα、γまたはδのリガンド結合領域のアミノ末端には、SV40 T−antigen由来の核移行シグナル、Ala Pro Lys Lys Lys Arg Lys Val Gly(配列番号2)を配し、一方、カルボキシ末端には発現蛋白質の検出用にエピトープタグシークエンスとして、インフルエンザのヘマグルチニンエピトープ、Tyr Pro Tyr Asp Val Pro Asp Tyr Ala(配列番号3)と翻訳停止コドンを順に配するようなDNA配列とした。
ヒトPPARα、γまたはδのリガンド結合領域として用いた構造遺伝子部分は、R.Mukherjeeら(J.Steroid Biochem.Molec.Biol.,51,157(1994)参照)、M.E.Greenら(Gene Expression.,,281(1995)参照)、A.Elbrechtら(Biochem Biophys.Res.Commun.,224,431(1996)参照またはA.Schmidtら(Mol.Endocrinology.,,1634(1992)参照)に記載された、ヒトPPARの構造比較から、
ヒトPPARαリガンド結合領域:Ser167−Tyr468
ヒトPPARγリガンド結合領域:Ser176−Tyr478
ヒトPPARδリガンド結合領域:Ser139−Tyr441
(ヒトPPARγ1、ヒトPPARγ2ではSer204−Tyr506に相当し、全く同じ塩基配列である。)をコードするDNAを使用した。また、基本転写に対する影響をモニターすべく、PPARリガンド結合領域を欠失したGal4蛋白のDNA結合領域、1番目から147番目までのアミノ酸配列のみをコードするDNAを有する発現ベクターも併せて調整した。
(2)ヒトPPARα、γまたはδを用いたルシフェラーゼアッセイ
宿主細胞として用いたCV−1細胞は常法に従って培養した。すなわち、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に牛胎児血清(GIBCO BRL社、カタログNo.26140−061)を終濃度10%になるように添加し、さらに終濃度50U/mlのペニシリンGと50μg/mlの硫酸ストレプトマイシンを加えた培地にて、5%炭酸ガス中、37℃で培養した。
レポーター遺伝子、Gal4−PPAR発現ベクターの両DNAを、宿主細胞内へ導入するトランスフェクションに際し、細胞を予め10cm dishに2×10cells播種しておき、血清を含まない培地で一回洗浄操作を施した後、同培地10mlを加えた。レポーター遺伝子10μg、Gal4−PPAR発現ベクター0.5μgとLipofectAMINE(商品名、GIBCO BRL社、カタログNo.18324−012)50μlをよく混和し、上記培養dishに添加した。37℃で培養を5〜6時間続け、10mlの透析牛胎児血清(GIBCO BRL社、カタログNo.26300−061)20%を含む培地を加えた。37℃で一晩培養した後、細胞をトリプシン処理によって分散させ、8000cells/100μlDMEM−10%透析血清/wellの細胞密度で96穴プレートに再播種し、数時間培養し細胞が付着したとき、検定濃度の2倍濃度を含む本発明化合物のDMEM−10%透析血清溶液100μlを添加した。37℃で42時間培養し、細胞を溶解させ、常法に従ってルシフェラーゼ活性を測定した。
なお、本実験で、PPARαに対して有意にルシフェラーゼ遺伝子の転写を活性化できる陽性対照化合物カルバサイクリン(Eur.J.Biochem,233,242(1996);Genes & Development.,10,974(1996)参照)10μM添加時のルシフェラーゼ活性を1.0としたときの、本発明化合物10μM添加時の相対活性を測定した。
また、PPARγに対して有意にルシフェラーゼ遺伝子の転写を活性化できる、すでに血糖降下剤として上市されている、陽性対照化合物トログリタゾン(Cell.,83,863(1995)、Endocrinology.,137,4189(1996)およびJ.Med.Chem.,39,665(1996)参照)10μM添加時のルシフェラーゼ活性を1.0としたときの、本発明化合物10μM添加時の相対活性を測定した。
PPARδアゴニスト活性に関しては、化合物を含まない溶媒のみを添加したときのルシフェラーゼ活性値を1.0として、発明化合物の相対活性を測定した。
その結果、本発明化合物は特にPPARδに対して優れたアゴニスト活性を示した。
血中コレステロールおよび血中脂質降下作用(1):
雄性SDラット(1群5匹)を6週齢で入荷後、シングルケージにて、1週間、固形飼料(CRF−1、オリエンタルバイオサービス)および上水道を自由摂取させ、馴化させた。次いで、一週間高コレステロール飼料(5.5%ピーナツ油、1.5%コレステロール、0.5%コール酸を混合したCRF−1固形飼料、オリエンタルバイオサービス)の負荷を開始した。
一週間の負荷後、群分け当日(0日)午前(9:00〜11:00)に絶食下ラットの体重を測定し、次いで尾静脈から採血し、血漿中の各種パラメーター濃度を測定した。測定項目は、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、中性脂質(トリグリセリド(TG)値)、遊離脂肪酸(NEFA)、総コレステロール(TC)値。HDL濃度に基づく群分けを行ない、1群5匹を割り付けた。群分け翌日(1日)午前に体重を測定し、6日間連続で毎日一回化合物を強制経口投与するとともに高コレステロール飼料の負荷を継続した。投与液は本発明化合物を0.5%メチルセルロース(MC)水溶液にて溶解後、経口投与した。
投与開始1日目、4日目、および最終投与終了日の翌日の午前に摂餌量を測定し、平均摂餌量を算出した。また、最終投与終了後翌日に尾静脈採血を行ない、本発明化合物投与後の血中脂質(TG、HDL、LDL、NEFA、TC値)を測定した。また、摂餌量はコントロール群(0.5%MCのみ投与)および本発明化合物投与群両者で有意な違いは認められなかった。
その結果、本発明化合物は用量に応じてHDLを上昇させ、またLDLを低下させたので、高脂血症治療剤として有用である。
血糖および血中脂質の降下作用(2):
入荷時年齢3〜4歳、平均体重約3kgの雄性カニクイザルを購入し、法定検疫を実施した全ての動物を試験実施施設にてさらに約1ヶ月以上の期間、施設検疫及び馴化した。動物は、サルケージに個別収容し、市販固形飼料約100gを1日1回給餌した。馴化が進むと動物は毎日ほぼ1時間以内に飼料を食べ終わるようになった。また、上水道水を自動給水装置から自由摂取させた。次に、14日間の予備飼育を行ない、試験開始前2週、及び1週に体重測定を実施後、後肢伏在静脈から採血し、血液学的検査(赤血球数・ヘマトクリット・血色素量・血小板数・白血球数の測定)及び血液化学的検査(GOT、GPT、アルカリフォスファターゼ、総蛋白質、尿中窒素、クレアチニン、クレアチニンキナーゼ、総ビリルビン、血糖、総コレステロール、HDL、LDLおよびTGの測定)を実施した。加えて、一般状態を観察し、馴化及び予備飼育期間中順調に発育した個体を選別して使用した。また、予備飼育期間を含めて全動物の摂時量を毎日測定した。
各動物を順化期間終了日の体重に基いて層別無作為化法による群分けを行ない、1群3頭を割り付けた。投与開始1、3、7、10、14日目午前に体重を測定し、最も新しい体重に基いて本発明化合物を投与した。希釈液あるいは本発明化合物3〜100mg/kg/dayを含む薬液を栄養カテーテル及び注射筒を用いて1日1回、14日間反復経鼻胃内投与した。投与開始後、1、7、14日目の本発明化合物投与前に採血し、上述の血液学的検査及び血液化学的検査を実施し、本発明化合物は随時血糖値には影響しないことを確かめた。また、投与開始前3週、及び投与後14日目の投与後、1、2、4時間及び給餌(1時間の摂取時間)後1、2、3時間に後肢伏在静脈あるいは前腕皮静脈から採血し、血糖、総コレステロール、HDL、LDLおよびTGを測定した。
その結果、本発明化合物は空腹時血漿TG値、TC値ならびにLDL値の低下作用を示した。さらに、食餌付加後のTG上昇抑制作用を示したことから、高脂血症治療剤として有用である。
正常カニクイザルにおける空腹時血漿TG値、TC値ならびにLDL値の低下作用は高脂血症や動脈硬化症等の予防および/または治療剤としての可能性を示唆するものである。同様に、食餌負荷後のTG上昇を抑制する点においてもこれは確認される。加えて、他の血液生化学的なパラメーターから毒性変化の有無が併せて評価できる。
製剤例1:
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸・・・100g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・・・4g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・・・2g
・微結晶セルロース ・・・・94g
製剤例2:
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸・・・200g
・マンニトール ・・・・2kg
・蒸留水 ・・・・50L
【配列表】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)

(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい環状基を表わし、環Aおよび環Bはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状基を表わし、

0または1を表わす。ただし、mおよびnの和は1または2である。)で示される化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ。
【請求項2】

その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ。
【請求項3】
環Bが有する置換基のうち少なくとも一つが

(式中、rは1〜6の整数を表わし、Qは酸性基を表わす。)である請求の範囲1記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ。
【請求項4】
rが1〜4の整数であり、Qがエステル化されていてもよいカルボキシである請求の範囲3記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ。
【請求項5】
rが1であり、Qがカルボキシである請求の範囲3記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ。
【請求項6】
(1)[3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(2){2−[3−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}酢酸、
(3)[2−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(4)[6−メトキシ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(5)[3’−({(2E)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(6)[5−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(7)(3’−{[6−(トリフルオロメチル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]メトキシ}ビフェニル−3−イル)酢酸、
(8)[2−クロロ−6−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(9)[4−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(10)[2−メチル−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、
(11)[2−フルオロ−3’−({(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−プロペン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸、および
(12)[2−フルオロ−3’−({(2E)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−エン−1−イル}オキシ)ビフェニル−3−イル]酢酸 ナトリウム塩から選択される請求の範囲1記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ。
【請求項7】
請求の範囲1記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬組成物。
【請求項8】
PPARδに起因する疾患の予防および/または治療剤である請求の範囲7記載の医薬組成物。
【請求項9】
PPARδに起因する疾患が高脂血症または肥満症である請求の範囲8記載の医薬組成物。
【請求項10】
一般式(I)

(式中、すべての記号は請求の範囲1と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、溶媒和物、N−オキシド体またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする該哺乳動物におけるPPARδに起因する疾患の予防および/または治療方法。
【請求項11】
PPARδに起因する疾患が高脂血症または肥満症である請求の範囲10記載の予防および/または治療方法。
【請求項12】
PPARδに起因する疾患の予防および/または治療剤を製造するための一般式(I)

(式中、すべての記号は請求の範囲1と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの使用。
【請求項13】
PPARδに起因する疾患が高脂血症または肥満症である請求の範囲12記載の化合物、その塩、溶媒和物、N−オキシド体またはそれらのプロドラッグの使用。
【請求項14】
請求の範囲1記載の化合物、その塩、溶媒和物もしくはN−オキシド体またはそれらのプロドラッグとさらに抗肥満薬、糖尿病治療剤および脂質改善薬から選択される1種または2種以上とを組み合わせてなる医薬。
【請求項15】
脂質改善薬がACAT阻害薬、MTP阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬またはコレステロール吸収阻害薬である請求の範囲14記載の医薬。

【国際公開番号】WO2004/080943
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503546(P2005−503546)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003112
【国際出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】