説明

トランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法

【課題】HEMTの移動度の低下を抑制することが可能なトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法を提供する。
【解決手段】高電子移動度トランジスタ構造層3を、気相成長法により成長温度600℃以上750℃以下、V/III比150以下の条件で成長し、バイポーラトランジスタ構造層4を、気相成長法により成長温度400℃以上600℃以下、V/III比75以下の条件で成長し、さらにノンアロイ層18を、380℃以上450℃以下の成長温度で成長する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に高電子移動度トランジスタ構造層を形成する工程と、高電子移動度トランジスタ構造層上にバイポーラトランジスタ構造層を形成する工程と、を有するトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信端末機器用のパワー増幅器等では、化合物半導体を用いて形成されるヘテロバイポーラトランジスタ(Hetero Bipolar Transistor;以下、HBTという)や高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;以下、HEMTという)が用いられている。
【0003】
まず、ヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)について説明する。
【0004】
HBTの動作は、基本的には通常のバイポーラトランジスタ(Bipolar Junction Transistor;以下、BJTという)と同様である。npn型BJTでは、エミッタからコレクタに向かって流れる電子量をベース電流(ホール電流)により制御することで、トランジスタとしての動作をさせている。すなわち、ホール電流を増やすことにより、コレクタ電流が増大する。しかし、ホール電流をさらに増やすと、ベースからエミッタに向かってホールが漏れだし、トランジスタの電流増幅率が低下する。
【0005】
これに対し、エミッタにバンドギャップの大きな半導体材料を用いて構成されるnpn型HBTでは、ベース・エミッタ界面に障壁ができ、ホールがエミッタに漏れるのを抑えることができる。これによりHBTでは、電流増幅率を低下させずにコレクタ電流を大きくできる利点を有する。
【0006】
HBTの代表的な構造を図3に示す。図3に示すように、HBT31は、半絶縁性GaAs基板32上に、サブコレクタ層33となるn型GaAs層を500nm、コレクタ層34となるn型GaAs層を700nm、ベース層35となるp型GaAs層を80nm、エミッタ層36となるn型InxGa1-xP層(x=0.48)を40nm、エミッタコンタクト層37となるn型GaAs層を100nm、グレーデッドノンアロイ層38となるn型InxGa1-xAs層(x=0→0.5)を50nm、均一組成ノンアロイ層39となるn型InxGa1-xAs層(x=0.5)を50nm順に積層したものである。
【0007】
次に、高電子移動度トランジスタ(HEMT)について説明する。
【0008】
HEMTは、InGaAs層をチャネル層とし、チャネル層の両側又は片側に電子供給層を有する。ヘテロ接合HEMTは、電子が高速移動する利点を活かして高速動作が可能なだけでなく、マイクロ波帯等の超高周波帯における高出力かつ高効率動作が可能である。
【0009】
HEMTの代表的な構造を図4に示す。図4に示すように、HEMT41は、半絶縁性GaAs基板42上に、バッファ層43となるアンドープGaAs層、電子供給層44となるn型AlxGa1-xAs層、スペーサ層45となるアンドープAlxGa1-xAs層、チャネル層46となるアンドープInxGa1-xAs層、スペーサ層47となるアンドープAlxGa1-xAs層、電子供給層48となるn型AlxGa1-xAs層、キャップ層49となるn型GaAs層、を順に積層したものである。
【0010】
なお、図3において、キャリア濃度を示す表記として、n+、n、n-が使用されているが、これらはキャリア濃度の一例を示すものであり、+が付いたものは高キャリア濃度で1018以上、無印が1017台、−が付いたものは低キャリア濃度で1014以上1017未満を表す。また、図3,4におけるn−はn型、p−はp型、un−はアンドープであることを意味する。
【0011】
これらトランジスタは、主に携帯端末の送受信用パワー増幅器に用いられてきたが、近年、音声やテキストデータだけでなく、動画像などの大容量かつ多様な情報を高速で送受信する必要がでてきた。このため、携帯端末の中で最も電力消費が大きい部品である送受信用パワー増幅器にも高性能化が求められ、低電圧で動作し、かつ消費電力を少なくすることが要求されている。これらの要求は、パワー増幅器の効率を上げることにより対応できるが、一般に、増幅器を高効率で動作させた場合には、出力信号の歪が大きくなるという問題がある。出力信号の歪が大きくなると、歪により隣接する通信チャネルへ電波が漏れ出して信号同士が干渉し、送信データが異なった値となってしまう問題が生じる。
【0012】
そこで、電流駆動能力の高いHBTと、低消費電力かつ高周波雑音特性のよいHEMTを1つのパワー増幅器モジュールに複数用いることで、出力信号の歪みを抑えると共に消費電力の低減を図り、高い振幅を持つ出力信号が得られるパワー増幅器モジュールとすることが行われている。例えば、図5に示すパワー増幅器モジュール51では、入力信号を駆動用HBT52により増幅し、その増幅信号を後段の出力用HEMT53でさらに増幅して、出力信号とするように構成されている。
【0013】
しかしながら、図5のパワー増幅器モジュール51のようにHBT52とHEMT53とを配線で接続した場合、配線によるRC遅延、素子の発熱が問題となってしまう。
【0014】
そこで、この配線をなくし、基板上にエピタキシャル成長によりHEMTを設け、HEMTの上にさらにHBTを設けた2段トランジスタ構造(BI−FET構造)のトランジスタが用いられるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−228784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述のようなBI−FET構造のトランジスタ用エピタキシャルウェハを製造する際には、HEMTを構成する複数のエピタキシャル層の上に、HBTを構成する複数のエピタキシャル層を成長させるため、HBTを構成する複数のエピタキシャル層を成長させる際に、HEMTを構成する複数のエピタキシャル層にアニール効果を加えることとなり、HEMTの移動度が低下してしまうという問題があった。
【0017】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、HEMTの移動度の低下を抑制することが可能なトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、基板上に、電子供給層及びチャネル層を有する高電子移動度トランジスタ構造層を形成する工程と、前記高電子移動度トランジスタ構造層上に、コレクタ層、ベース層、エミッタ層及びノンアロイ層を有するバイポーラトランジスタ構造層を形成する工程と、を有するトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法において、前記高電子移動度トランジスタ構造層を、気相成長法により成長温度600℃以上750℃以下、V/III比150以下の条件で成長し、前記バイポーラトランジスタ構造層を、気相成長法により成長温度400℃以上600℃以下、V/III比75以下の条件で成長し、さらに前記ノンアロイ層を、380℃以上450℃以下の成長温度で成長するトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法である。
【0019】
前記ノンアロイ層は、n型不純物としてSe又はTeをドーピングし、成長方向でIn組成を変化させたn型InGaAsからなるグレーデッドノンアロイ層を有し、前記グレーデッドノンアロイ層を、n型不純物濃度が3.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下の範囲となるように成長するとよい。
【0020】
前記ノンアロイ層は、前記グレーデッドノンアロイ層上に、さらにIn組成比が0.3〜0.6で一定であるn型InGaAsからなる均一組成ノンアロイ層を有し、前記均一組成ノンアロイ層を、n型不純物濃度が1.0×1019cm-3以上5.0×1019cm-3以下の範囲となり、移動度が500cm2/V・s以上1500cm2/V・s以下となるように成長するとよい。
【0021】
前記高電子移動度トランジスタ構造層と前記バイポーラトランジスタ構造層との間に、前記高電子移動度トランジスタ構造層の成長温度より低い成長温度で、かつ成長速度1.5nm/sec以下で、As混入濃度を制御したInGaPからなるエッチングストッパ層を形成してもよい。
【0022】
前記高電子移動度トランジスタ構造層の前記電子供給層は、Siδドープ層であるとよい。
【0023】
前記高電子移動度トランジスタ構造層の前記チャネル層の移動度が、5500cm2/V・s以上であるとよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、HEMTの移動度の低下を抑制することが可能なトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態に係るトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法で製造するトランジスタ用エピタキシャルウェハの積層構造図である。
【図2】本発明において、ノンアロイ層の成長温度とHEMTの移動度との関係を示すグラフ図である。
【図3】HBTの積層構造図である。
【図4】HEMTの積層構造図である。
【図5】従来のパワー増幅器モジュールの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態に係るトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法で製造するトランジスタ用エピタキシャルウェハの積層構造図である。
【0028】
図1に示すように、トランジスタ用エピタキシャルウェハ1は、GaAs基板2上に高電子移動度トランジスタ構造層(以下、HEMT構造層という)3が形成され、HEMT構造層3上にバイポーラトランジスタ構造層(以下、HBT構造層という)4が形成された構造(BI−FET構造)となっている。なお、図1におけるi−の表記は、アンドープであることを意味する。
【0029】
トランジスタ用エピタキシャルウェハ1を製造する際には、まず、半絶縁性のGaAs基板2上に、エピタキシャル成長により、バッファ層5となるアンドープAlxGa1-xAs層(x=0.28)を500nm、電子供給層6となるn型AlxGa1-xAs層(x=0.3)を30nm、スペーサ層7となるアンドープAlxGa1-xAs層(x=0.3)を10nm、チャネル層8となるInxGa1-xAs層(x=0.18)を15nm、スペーサ層9となるアンドープAlxGa1-xAs層(x=0.3)を10nm、電子供給層10となるn型InxGa1-xP層(x=0.48)を30nm、ショットキー層11となるアンドープGaAs層を30nm、を順に積層することにより、HEMT構造層3を形成する。本実施の形態では、HEMT構造層3を、気相成長法(MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法)により、成長温度600℃以上750℃以下、V/III比150以下の条件で成長する。なお、本明細書において、成長温度とは、成長時のGaAs基板2の基板温度を意味する。
【0030】
HEMT構造層3の電子供給層6,10は、Siのδドープ層からなる。なお、δドープ層とは局所的にドーパント(ここではSi)が高濃度に含まれた領域であり、図1に示すような縮尺の層として存在していない。つまり、図1では、便宜上各層の縮尺を変更し、トランジスタ用エピタキシャルウェハ1の構造を概略的に示している。
【0031】
HEMT構造層3上(HEMT構造層3とHBT構造層4との間)には、エピタキシャル成長により、n型InxGa1-xP層(x=0.48)を10nm積層してエッチングストッパ層12を形成する。本実施の形態では、HEMT構造層3の成長温度より低い成長温度で、かつ成長速度1.5nm/sec以下で、As混入濃度を制御したInGaPからなるエッチングストッパ層12を形成した。
【0032】
その後、エッチングストッパ層12上に、エピタキシャル成長により、サブコレクタ層13となるn型GaAs層を500nm、コレクタ層14となるn型GaAs層を700nm、ベース層15となるp型GaAs層を120nm、エミッタ層16となるn型InxGa1-xP層(x=0.48)を40nm、バラスト層17となるn型GaAs層を100nm順次積層し、バラスト層17上にノンアロイ層18を積層して、HBT構造層4を形成する。本実施の形態では、HBT構造層4を、気相成長法(MOVPE法)により、成長温度400℃以上600℃以下、V/III比75以下の条件で成長する。
【0033】
ノンアロイ層18は、n型不純物としてSe又はTeをドーピングし、成長方向でIn組成を変化させたn型InxGa1-xAsからなるグレーデッドノンアロイ層19と、グレーデッドノンアロイ層19上に形成され、In組成比が0.3〜0.6で一定であるn型InxGa1-xAsからなる均一組成ノンアロイ層20と、を有している。
【0034】
本実施の形態では、グレーデッドノンアロイ層19を、バラスト層17から離れるにしたがってIn組成が0から0.5に徐々に変化するようにし、また、GaAs基板2の基板温度(成長温度)や、GaAs基板2を加熱するヒータの温度を適宜調整することにより、In組成比の傾斜やオートドーピングされる炭素量を調節して、グレーデッドノンアロイ層19における炭素濃度が3.0×1018cm-3以下となるように、n型不純物濃度が3.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下の範囲となるように、50nmのn型InxGa1-xAs層(x=0→0.5)を成長した。
【0035】
また、本実施の形態では、均一組成ノンアロイ層20を、In組成比が0.5で一定となるようにし、また、グレーデッドノンアロイ層19と同様にオートドーピングされる炭素量を調節して、炭素濃度がSIMS分析下限値(1.0×1016cm-3)以下となるよう、n型不純物濃度が1.0×1019cm-3以上5.0×1019cm-3以下の範囲となるようにし、かつ、Van der Pauw法によるホール測定を行った移動度が500cm2/V・s以上1500cm2/V・s以下となるように、50nmのn型InxGa1-xAs層(x=0.5)を成長した。
【0036】
さて、本実施の形態に係るトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法では、ノンアロイ層18を、380℃以上450℃以下の成長温度で成長する。この理由について説明する。
【0037】
図2は、ノンアロイ層18成長時の基板温度(ノンアロイ層18の成長温度)とHEMT(HEMT構造層3)の移動度(μ)の関係を示すグラフ図である。
【0038】
図2に示すように、ノンアロイ層18の成長温度が450℃より高くなると、HEMTの移動度が急激に低下する。したがって、ノンアロイ層18の成長温度は450℃以下とすることが望ましいといえる。また、図2より、ノンアロイ層18の成長温度を450℃以下とすることにより、HEMTの移動度、すなわちHEMT構造層3のチャネル層8の移動度を5500cm2/V・s以上にできることが分かる。
【0039】
他方、有機金属原料(V族原料)として用いるTEI(トリエチルインジウム)、TMI(トリメチルインジウム)、TEG(トリエチルガリウム)は、基板温度(成長温度)380℃付近でも熱分解が可能であることから、本実施の形態では、ノンアロイ層18の成長温度を380℃以上としている。なお、ノンアロイ層18であるTe又はSeをドーパントしたn型InxGa1-xAs層のドーパント効率を上げるため、通常のGaAs層最適成長基板温度(成長温度)である580℃よりも200℃を超えて下げ、基板温度(成長温度)を350℃以下とした場合は、V族原料が熱分解を起こさないか、あるいは殆ど熱分解を起こさなくなる(成長時間がかかる)ので、適用は困難である。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態に係るトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法では、HEMT構造層3を、気相成長法により成長温度600℃以上750℃以下、V/III比150以下の条件で成長し、HBT構造層4を、気相成長法により成長温度400℃以上600℃以下、V/III比75以下の条件で成長し、さらにノンアロイ層18を、380℃以上450℃以下の成長温度で成長している。
【0041】
HBT構造層4をHEMT構造層3の成長温度よりも低い400℃以上600℃以下の成長温度で成長し、かつ、HBT構造層4のノンアロイ層18を380℃以上450℃以下の成長温度で成長することにより、HEMT構造層3にアニール効果が加わってしまうことを抑制し、HEMT特性への影響を最小限に抑えることが可能になり、HEMTの移動度の低下を抑制できる。その結果、HEMT構造層3のチャネル層8の移動度を5500cm2/V・s以上とすることが可能になる。
【0042】
また、本発明によれば、HEMT構造層3の上にHBT構造層4を成長させる際にHEMT構造層3における移動度が劣化しないため、従来より移動度が高いHEMTが作製可能になる。したがって、本発明によれば、得られたトランジスタ用エピタキシャルウェハ1を素子化することにより、送受信用パワー増幅器として使用する際に、低電圧で動作し、出力信号の歪みを抑え、消費電力を低減でき、かつ、高移動度のトランジスタ素子を実現できる。具体的には、本実施の形態では、ベース抵抗220Ω/sqで電流利得120(1kA/cm2)と増幅し、移動度5600cm2/V・s、シートキャリア濃度2.1×1012cm-2、ピンチオフ電圧−0.5Vと動作するトランジスタ素子を得ることができた。
【0043】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0044】
例えば、上記実施の形態では、HEMT構造層3の電子供給層6,10のドーパントとしてSiを用いたが、ドーパントとしてSe、Teを用いてもよい。
【0045】
さらに、上記実施の形態では、基板として半絶縁性のGaAs基板2を用いたが、Si基板、InP基板に対しても本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 トランジスタ用エピタキシャルウェハ
2 GaAs基板(基板)
3 HEMT構造層(高電子移動度トランジスタ構造層)
4 HBT構造層(ヘテロバイポーラトランジスタ構造層)
5 バッファ層
6,10 電子供給層
7,9 スペーサ層
8 チャネル層
11 ショットキー層
12 エッチングストッパ層
13 サブコレクタ層
14 コレクタ層
15 ベース層
16 エミッタ層
17 バラスト層
18 ノンアロイ層
19 グレーデッドノンアロイ層
20 均一組成ノンアロイ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、電子供給層及びチャネル層を有する高電子移動度トランジスタ構造層を形成する工程と、
前記高電子移動度トランジスタ構造層上に、コレクタ層、ベース層、エミッタ層及びノンアロイ層を有するバイポーラトランジスタ構造層を形成する工程と、
を有するトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法において、
前記高電子移動度トランジスタ構造層を、気相成長法により成長温度600℃以上750℃以下、V/III比150以下の条件で成長し、
前記バイポーラトランジスタ構造層を、気相成長法により成長温度400℃以上600℃以下、V/III比75以下の条件で成長し、さらに前記ノンアロイ層を、380℃以上450℃以下の成長温度で成長する
ことを特徴とするトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項2】
前記ノンアロイ層は、n型不純物としてSe又はTeをドーピングし、成長方向でIn組成を変化させたn型InGaAsからなるグレーデッドノンアロイ層を有し、
前記グレーデッドノンアロイ層を、n型不純物濃度が3.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下の範囲となるように成長する
請求項1記載のトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項3】
前記ノンアロイ層は、前記グレーデッドノンアロイ層上に、さらにIn組成比が0.3〜0.6で一定であるn型InGaAsからなる均一組成ノンアロイ層を有し、
前記均一組成ノンアロイ層を、n型不純物濃度が1.0×1019cm-3以上5.0×1019cm-3以下の範囲となり、移動度が500cm2/V・s以上1500cm2/V・s以下となるように成長する
請求項2記載のトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項4】
前記高電子移動度トランジスタ構造層と前記バイポーラトランジスタ構造層との間に、前記高電子移動度トランジスタ構造層の成長温度より低い成長温度で、かつ成長速度1.5nm/sec以下で、As混入濃度を制御したInGaPからなるエッチングストッパ層を形成した
請求項1〜3いずれかに記載のトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項5】
前記高電子移動度トランジスタ構造層の前記電子供給層は、Siδドープ層である請求項1〜4いずれかに記載のトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項6】
前記高電子移動度トランジスタ構造層の前記チャネル層の移動度が、5500cm2/V・s以上である請求項1〜5いずれかに記載のトランジスタ用エピタキシャルウェハの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−160662(P2012−160662A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21016(P2011−21016)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】