説明

光学式検査装置及びエッジ検査装置

【課題】ウェハエッジ部の幅広い位置変化にも追従することができる光学式検査装置及びエッジ検査装置を提供する。
【解決手段】ウェハ100の表面の欠陥を検査する表面検査装置300と、この表面検査装置300に対するウェハ100の搬送路に設けたウェハステージ210と、このウェハステージ210上のウェハ100のエッジ部を検査するエッジ検査部530と、このエッジ検査部530を当該エッジ検査部530の光軸に沿って移動させる移動装置650とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ウェハの欠陥を検査する光学式検査装置及びエッジ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップは、レジスト塗布、露光、エッチング、レジスト除去等の工程を経て半導体ウェハ(以下「ウェハ」)上に集積回路を形成し製造される。通常これらの工程の間にウェハの欠陥検査を行う。ウェハの欠陥検査の一つにウェハエッジ部の欠陥を検査するエッジ検査がある。
【0003】
従来の欠陥検査は、ウェハの表裏面の異物やクラック、膜むら、膜剥がれ等の検査が主流であり、ウェハエッジ部の検査は重要視されていなかった。しかしながらウェハサイズの大口径化やプロセスノードの微細化に伴い、ウェハエッジ部の欠陥に起因する異物発生による歩留まり低下、またウェハエッジ部のクラックに起因するウェハ割れに伴う装置の停止等といった不具合を招いている。
【0004】
直径300mmウェハの導入当初はウェハに高負荷がかかる熱処理プロセス中にウェハ割れが発生していた。当初は製造装置の不具合が疑われていたが、ウェハエッジ部のキズや異物が原因であることが判明した。ウェハエッジ部の欠陥は、現在では半導体製造工程で用いられている液浸露光技術においても多大な影響を及ぼしている。液浸露光技術とはウェハ及びレンズの間に純水を入れることにより露光分解能を向上させる技術であるが、ウェハエッジ部の欠陥はこの液浸露光技術に用いる純水の汚染要因となりウェハパターンの欠陥を招いている。そして、ウェハエッジ部の欠陥は該ウェハだけでなく処理装置にも影響し、他のウェハへの影響を抑えるために多大な時間を費やして処理装置を洗浄しなければならないことがある。
【0005】
このような背景の下、近年においてはウェハエッジ部の欠陥管理が重要視されつつあり、現在ではウェハエッジの欠陥検査に関する様々な技術が提案されている(特許文献1−6等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−139523号公報
【特許文献2】特開2007−256272号公報
【特許文献3】国際公開第2006/112466号
【特許文献4】特開2006−308360号公報
【特許文献5】特開2006−64975号公報
【特許文献6】特開2006−128440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ウェハエッジ部の欠陥管理では、回転するテーブルにウェハを載せて、検査装置に対してウェハを回転させることでウェハエッジの全周を検査するのが通常である。そのため、テーブルの回転中心とウェハの中心とが正確に一致していないと、ウェハの回転に伴って検査装置とウェハエッジ部との距離は周期的に変動し得る。検査装置とウェハエッジ部との距離が変化する結果、ウェハエッジ部の位置が検査装置の焦点深度から外れてしまうと、適正に欠陥検査が行われなくなり得る。
【0008】
しかしながら、テーブルに対するウェハの一定の位置精度を確保することは必ずしも容易ではなく、また、ウェハの真円度にもウェハの個体差によるばらつきがある。そのため、ウェハの回転に伴う検査装置とウェハエッジ部との距離の変動を抑えることは必ずしも容易ではない。この場合、検査装置とウェハエッジ部との距離の変化に追従して検査装置の光学系の焦点位置を調整することも考えられるが、直径300mmウェハのような大型のウェハのエッジ位置の変動幅は大きく、また将来的には更なるウェハの大型化もあり得るため、光学系の焦点合わせではウェハエッジ部の位置変化に追従しきれないケースも生じ得る。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ウェハエッジ部の幅広い位置変化にも追従することができる光学式検査装置及びエッジ検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、ウェハの表面の欠陥を検査する表面検査装置と、この表面検査装置に対するウェハの搬送路に設けたウェハステージと、このウェハステージ上のウェハのエッジ部を検査するエッジ検査部と、このエッジ検査部を当該エッジ検査部の光軸に沿って移動させる移動装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ウェハエッジ部の幅広い位置変化にも追従することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光学式検査装置の全体構成を模式的に表す図である。
【図2】検査対象であるウェハの断面形状の一例を表す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る光学式検査装置に備えられたエッジ検査装置の概略構成を表す平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る光学式検査装置に備えられたエッジ検査装置の概略構成を表す側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る光学式検査装置に備えられた制御装置の機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る光学式検査装置の処理工程のタイミングチャートを表す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る光学式検査装置に備えられた制御装置によるエッジ検査処理及び表面検査処理の制御手順を表すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態に係る光学式検査装置に備えられた可否判定部740による検査結果の可否判断の類型を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
(1)光学式検査装置の全体構成
図1は本発明の一実施の形態に係る光学式検査装置の全体構成を模式的に表す図である。
【0015】
本実施の形態に係る光学式検査装置は、ウェハの表裏の表面の欠陥を検査する表面検査装置300と、この表面検査装置300に対するウェハ100の搬送路に設けたエッジ検査装置500と、当該光学式検査装置に対してウェハ100を出し入れするための少なくとも1つ(本例では3つ)のロードポート202と、ロードポート202、エッジ検査装置500及び表面検査装置300の間でウェハ100を移送するウェハ搬送装置200と、表面検査装置300、エッジ検査装置500及びウェハ搬送装置200を制御する制御装置700と、操作画面や検査結果等を表示するための表示装置(GUI)330とを備えている。
【0016】
表面検査装置300は、ウェハ100を載せるウェハステージ(不図示)と、ウェハステージ上のウェハ100の表面に検査光351を照射する照射光学系350と、ウェハ100の表面からの散乱光を受光する複数の受光器310と、受光器310からの信号を基にウェハ100上の欠陥の位置や大きさを判定する表面検査処理部730(図5参照)と、これら構成要素を収容する装置本体301とを備えている。
【0017】
ウェハ搬送装置200は、表面検査装置300とロードポート202との間に介在しており、その本体201の内部に搬送アーム220とエッジ検査装置500とを備えている。ウェハ搬送装置200は、表面検査装置300とロードポート202との間に介在している。
【0018】
エッジ検査装置500は、このウェハ搬送装置200の本体201内に設けられている。このエッジ検査装置500は、ウェハ100を把持するウェハステージ210(図5参照)と、このウェハステージ210上のウェハ100のエッジ部を検査するエッジ検査部530と、このエッジ検査部530を移動させる移動装置650とを備えている。また、ウェハ搬送装置200内において、エッジ検査部530はウェハ搬送路を外して設置されている。これは、例えば図1に二点鎖線で表したように搬送路上にエッジ検査部530を設置した際、搬送されるウェハ100との干渉を回避するためエッジ検査部530に退避機構を搭載する必要があり、発塵や検査精度低下の要因となるためである。そのためウェハステージ210(ウェハ100の把持位置)から見て搬送アーム220と反対側の位置、本実施の形態ではエッジ検査装置500の側壁部にエッジ検査部530は設けられている。
【0019】
(3)ウェハ100
図2は検査対象であるウェハ100の断面形状の一例を表す図である。
【0020】
同図に示したウェハ100は、上下(同図中において上下)から見た場合には円形をしている。一方、断面で見た場合、エッジ部(外周端部)の上下の角を斜めに切り欠いたような形状をしており、以下の説明においては、上下に延びるエッジ(外周面)をアペックス152、アペックス152に向かって下る上面側の傾斜部を上面ベベル151、アペックス152に向かって上る下面側の傾斜部を下面ベベル153と適宜記載する。本実施の形態においては、ウェハ100のエッジ部という場合には、これら上面ベベル151、アペックス152及び下面ベベル153の3面を含むものとし、上記エッジ検査装置500は、これら3面を1つの照射検出光学系で検査する。直径300mmウェハの規格(SEMI規格)に倣えば、ウェハ100の直径は300±0.3mm、上面ベベル151及び下面ベベル153の内径側の端部からアペックス152までの水平距離は458μm程度である。なお、本実施の形態では、こうした上下ベベル151,153を有するウェハ100を対象としているが、上下ベベル151,153のないウェハも対象とし得る。
【0021】
(4)エッジ検査装置500の構成
図3はエッジ検査装置500の概略構成を表す平面図である。
【0022】
同図に示すように、エッジ検査部530は、ウェハ100のエッジ部に検査光を照射する照射光学系531と、ウェハ100のエッジ部からの散乱光を検出する検出光学系532とを備えている。
【0023】
照射光学系531は、半導体レーザ(LD)又はレーザ等の検査光を照射する光源510と、検査光を集光して検査対象であるウェハ100のエッジ部に当てる集光レンズ511と、検査光の位相をずらしてスペックルノイズを低減する拡散板512とを備えている。
【0024】
検出光学系532は、ウェハ100のエッジ部からの散乱光が入射する対物レンズ501及びレンズ502,503と、レンズ502,503を通過した散乱光を集光する集光レンズ504と、集光レンズ504で結像された散乱光を受光する検出器としてのラインセンサ550と、レンズ503と集光レンズ504との間に介在させたアパーチャ(絞り)520とを備えている。この検出光学系532は、ウェハ100のエッジ部の欠陥で発生した散乱光を対物レンズ501によって平行光にした後、レンズ502で一旦集光し、レンズ503で再度平行光にする。そして、アパーチャ520を通過した散乱光を集光レンズ504で集光しラインセンサ550の受光面上に結像させる。
【0025】
このとき、アパーチャ520は対物レンズ501の入射瞳521と共役関係にある出射瞳522に配置してある。焦点深度を確保するとともに暗視野像のコントラストの低下を抑制するためである。すなわち、アパーチャ520の開口径は、上面ベベル151、アペックス152及び下面ベベル153が全て焦点深度内に収まる程度に絞られている。したがって、検出光学系532の焦点深度は、本実施の形態では458μm以上が確保される。なお、出射瞳522は、瞳の位置にアパーチャ520を設置するために、レンズ502,503によって図3のようにレンズの外部に作り出したものである。これは、本実施の形態では対物レンズ501の内部に検出光学系532の入射瞳521が存在し、入射瞳521にアパーチャ520を設置することができないためである。しかし、入射瞳521がレンズの外部にある場合には、入射瞳521にアパーチャ520を設置することもできる。
【0026】
図4はエッジ検査装置500の概略構成を表す側面図である。
【0027】
同図から分かる通り、エッジ検査装置500には、上記ウェハステージ210及び移動装置650を備えている。ウェハステージ210は、この種の光学式検査装置に一般に用いられるものであって、ウェハのノッチの検出やウェハの位置決めを行うためのプリアライナのウェハ把持装置で兼用することができる。このウェハステージ210は、表面検査装置300に対するウェハ100の搬送経路上に設けられている。言い換えれば、ウェハ100は、表面検査装置300に搬送される前に、ウェハ搬送装置200によってこのウェハステージ210上に載せられ、ウェハステージ210を介して表面検査装置300に送られる。このウェハステージ210は、例えばウェハ100を吸着して把持するものであり、ウェハ100の把持部をモータで回転させることによって把持したウェハ100を回転させる(図3参照)。
【0028】
移動装置650は、照射検出光学系、すなわちエッジ検査部530をその光軸(この場合、検出光学系532の光軸)に沿って移動させる役割を果たす。この移動装置650は、ベース651と、このベース651に対してスライドする移動台652とを備えている。移動台652上にはエッジ検査部530が搭載されており、移動台652は検出光学系532の光軸に沿ってスライドする。
【0029】
また、エッジ検査装置500には、ウェハステージ210に搭載されたウェハ100の偏心度合いを検出する偏心測定器600が設けられている。この偏心測定器600も、この種の光学式検査装置のプリアライナに使用されているものを兼用することができる。この偏心測定器600は、投光器601から投光レンズを介して投光した検査光のウェハ100による遮光位置を受光器602で検出するものである。具体的には、この偏心測定においては、投光器601から投光レンズを介して照射した検査光(平行光)が、受光器602においてバンドパスフィルタを通過して一次元のCCDイメージセンサによって受光され、ウェハ100が平行光に干渉することによってウェハ100の大きさに応じて生じる影からウェハ100のエッジ位置を測定する。偏心測定器600は、ウェハステージ210によってウェハ100を回転させながら、こうしてウェハ100のエッジ部の位置を検出して、その結果を制御装置700に送信する。
【0030】
(5)制御装置700
図5は制御装置700の機能ブロック図である。
【0031】
制御装置700は、信号の入力部701及び出力部702と、ウェハ100のエッジ検査を実行するエッジ検査処理部710と、ウェハ100の表面検査を実行する上記表面検査処理部730と、表面検査後の処理の着工の可否を判断する可否判定部740とを備えている。また、エッジ検査処理部710は、第1処理部715と、第2処理部720とを備えている。第1処理部715は、ウェハステージ210の回転中心に対するウェハ100の偏心を測定する第1測定部711と、測定した偏心量からウェハ100の補正値を演算する第1補正部712と、これら第1測定部711の測定結果や第2補正部712の演算結果を記憶する第1記憶部713と、搬送アーム220に指示してウェハ100を置き直す位置調整部714とを備えている。第2処理部720は、置き直し後のウェハ100の偏心を再度測定する第2測定部716と、第2測定部716の測定結果から移動装置650の制御シーケンスを作成する動作設定部717と、エッジ検査を実行する検査実行部718と、第2測定部716の測定結果や動作設定部717で設定した制御シーケンス、検査実行部718による検査結果を記憶する第2記憶部719とを備えている。表面検査処理部730は、ウェハ100の表面の欠陥を検査する欠陥判定部731と、この検査結果を記憶する第3記憶部732とを備えている。
【0032】
(6)動作
図6は光学式検査装置の処理工程のタイミングチャートを表す図である。
【0033】
図6に示すように、制御装置700は、まず、ロードポート202に格納されているn枚目のウェハ100を搬送アーム220によってウェハステージ210上に移送し(図6中の項目「ウェハ搬送(1)」)、ウェハ100を回転させつつ偏心測定器600によってウェハの偏心測定を実施する(同図中の項目「ウェハ偏心測定(1)」)。そして、搬送アーム220によって偏心測定後のウェハ100を表面検査装置300に搬送する(同図中の項目「ウェハ搬送(2)」)。表面検査装置300では、表面検査処理部730の指示によってウェハ100の表面の欠陥検査が実行される(同図中の項目「表面検査処理」)。具体的には、ウェハ100を回転させつつ照射光学系350からの検査光351をウェハ100に走査し、受光器310で検出した散乱光情報を基に欠陥判定部731で欠陥の位置や大きさの情報を取得し、第3記憶部732に記憶する。こうして取得した欠陥データは表示装置330に出力して表示することができる。
【0034】
制御装置700は、n+1枚目以降のウェハ100については、表面検査処理に加えて、エッジ検査処理を実行する。
【0035】
図7は制御装置700によるエッジ検査処理及び表面検査処理の制御手順を表すフローチャートである。
【0036】
以下、n+1枚目以降のウェハ100の処理について説明する。
【0037】
n枚目のウェハ100の検査中、n枚目のウェハ100を表面検査装置300に搬送し終えたら、n枚目の表面検査処理の開始とともに、n+1枚目のウェハ100の検査を開始する。すなわち、制御装置700は、ロードポート202に格納されているn+1枚目のウェハ100を搬送アーム220によってウェハステージ210上に移送し(図6中の項目「ウェハ搬送(1)」、図7中のS10)、第1処理部715の第1測定部711によりウェハ100の偏心測定を実施する(図6中の項目「ウェハ偏心測定(1)」、図7中のS20)。このとき、n枚目のウェハ100の表面検査処理がまだ実行中であるため、n枚目のウェハ100の表面検査処理が終了してn枚目のウェハ100が表面検査装置300から搬出されるまで、n+1枚目のウェハ100をウェハステージ210から移動させることができない。すなわち、一定時間の待機時間が生じる(図6参照)。
【0038】
そこで、本実施の形態では、この待機時間を利用して、n+1枚目のウェハ100についてエッジ部の欠陥検査を実行する。具体的には、先に実行したウェハ偏心測定の結果を第1記憶部713から読み出し、第1補正部712によって、ウェハ偏心測定の結果を基に偏心を小さくする補正値を算出し、その補正値を基に位置調整部714から指示を出して搬送アーム220によってウェハステージ210上のウェハ100を置き直す(図7中のS21)。その上で、第2処理部720の第2測定部716により再度ウェハ100の偏心測定を実行し、測定結果を第2記憶部719に記憶する(図6中の項目「ウェハ偏心測定(2)」、図7中のS22)。
【0039】
続いて、動作設定部717において、ウェハ100の偏心情報を基に、回転するウェハ100のエッジ部がエッジ検査装置500の焦点深度から外れないようにするための、移動装置650及びウェハステージ210の動作シーケンスを作成する(図7中のS23)。そして、検査実行部718により、この動作シーケンスに従って移動装置650及びウェハステージ210を制御し、ウェハ100の回転に同期して移動装置650によってエッジ検査部530をウェハ100に対して進退させることによってウェハ100のエッジ部とエッジ検査部530との距離を一定に維持しつつ、ウェハ100のエッジ部からの散乱光を基にエッジ部の欠陥の位置や大きさの情報を取得する(同図中の項目「表面検査処理」、図7のS24)。こうして取得したエッジ部の欠陥データは第2歩西部719に記憶されるとともに、表示装置330に出力して表示することができる。
【0040】
n+1枚目のウェハ100のエッジ検査処理が、n枚目のウェハ100の表面検査処理と同時刻位に終了するので(図6参照)、制御装置700は、搬送アーム220に指示してn枚目のウェハ100を表面検査装置300から取り出すとともに、エッジ検査後のn+1枚目のウェハ100をウェハステージ210から表面検査装置300に搬送する(同図中の項目「ウェハ搬送(2)」、図7中のS30)。表面検査装置300では、表面検査処理部730の指示によってn枚目のウェハ100の表面の欠陥検査が実行される(同図中の項目「表面検査処理」、図7中のS40)。具体的には、ウェハ100を回転させつつ照射光学系350からの検査光351をウェハ100に走査し、受光器310で検出した散乱光情報を基に欠陥判定部731で欠陥の位置や大きさの情報を取得し、第3記憶部732に記憶する。こうして取得した欠陥データは表示装置330に出力して表示することができる。
【0041】
そして、n+1枚目のウェハ100につき、制御装置700は、第2記憶部719から読み出したエッジ検査処理の検査結果、及び第3記憶部732から読み出した表面検査処理の検査結果から、その後の処理を続行することに対する可否判断を可否判定部740で判定する(図7のS50)。この判定は、例えば欠陥の数や大きさ(例えば最大の欠陥の大きさ)をそれぞれ予め設定したしきい値と比較し、欠陥の数又は大きさがしきい値を超えている場合には合格(Yes)、いずれもしきい値未満の場合には不合格(No)とし、図8に示したように、エッジ検査処理及び表面検査処理の双方で合格したものについては後の処理を続行可と判定し(図7のS51)、いずれか1つでも検査結果が不合格であった場合には後の処理を続行不可と判定する(図7のS52)。
【0042】
こうして、n+1枚目、n+2枚目、n+3枚目・・・とウェハ100のエッジ検査処理及び表面検査処理を並行して実行しつつ、各ウェハ100について後続の処理の可否判断をしていく。
【0043】
なお、図6の例では、n枚目のウェハ100のエッジ検査処理を省略する場合を例に挙げて説明したが、n枚目のウェハ100において、表面検査処理の前にエッジ検査処理を実行しても勿論良い。
【0044】
(7)効果
本実施の形態においては、ウェハ100の中心がウェハステージ210の回転中心からずれていて、ウェハの回転に伴うウェハ100のエッジ部の振れ幅がエッジ検査部530の焦点深度を超えるような場合でも、移動装置650によってエッジ検査部530をウェハ100に対して進退させることができるので、ウェハエッジ部の位置がエッジ検査部530の焦点深度から外れることを抑制することができ、エッジ検査処理を適正に実行することができるとともに、エッジ検査の結果の信頼性を確保することができる。そして、エッジ検査部530を移動させることができるので、エッジ部の振れ幅の大きな大型のウェハや、将来的に更に大型化する可能性のあるウェハを対象とした場合であっても、柔軟に焦点合わせを行うことができる。よって、ウェハエッジ部の幅広い位置変化にも追従することができる。
【0045】
また、制御装置700の動作設定部717により、偏心測定器600による偏心測定の結果とウェハステージ210の回転動作の指令値とを関連付けてウェハ100の全周についてエッジ位置がプロファイルする。そして、このプロファイルデータを基に作成された動作シーケンスを基に、移動装置650及びウェハステージ210を制御することによってウェハ100のエッジ部に焦点を容易に追尾させることができる。
【0046】
また、本実施の形態のように上下のベベル151,153を持つウェハ100を対象とした場合でも、エッジ検査部530の検出光学系532にアパーチャ520を設け開口数(NA:Numerical Aperture)を適正に小さくして焦点深度を確保することで、エッジ部を構成する3面を1つの照射検出光学系による暗視野像に鮮明に収めることができる。その結果、例えばアペックス152、上面ベベル151、下面ベベル153のそれぞれに検出光学系を設置する場合と比べて設置面積を抑えることができ、ウェハ搬送装置200内の狭隘なスペースに設置するのにも有利である。また、設備費も抑えられる。また、アパーチャ520は対物レンズ501の共役瞳の位置に配置することで、焦点深度を確保すべくアパーチャ520のNAを小さくすることによる撮像画像のコントラストの低下を抑制することができる。NAを小さくすることによる受光量の低下には、光源510に半導体レーザ(LD)やレーザを使用することで対応可能である。半導体レーザ等の使用に伴うスペックルノイズは拡散板512を用いることで抑制することができる。さらに、本実施の形態の場合、エッジ検査部530に暗視野光学系を用いているので、NAを小さくすることにより生じ得る分解能の低下を高感度化することによって補填することができる。
【0047】
ここで、従来、ウェハのエッジ検査は一般に専用のエッジ検査装置(以下、エッジ検査専用機)で行われてきた。しかしエッジ検査専用機は検査スループットが遅いため、半導体チップの生産性が低下する。また、エッジ検査専用機を表面検査装置と別に用意する必要があるため、設備コストも大幅に増大してしまう。
【0048】
それに対し、本実施の形態において、ウェハ100のエッジ検査処理は、他のウェハ100の表面検査処理の実行中、すなわち本来であれば待機時間となる時間帯に実行するため、表面検査処理のスループットの低下を回避することができる。また、エッジ検査部530を表面検査装置300に付随するウェハ搬送装置200に設置しているので、エッジ検査専用機が不要となり、設備コストの増大を抑制することもできる。
【符号の説明】
【0049】
100 ウェハ
151 上面ベベル(傾斜面)
152 アペックス(外周面)
153 下面ベベル(傾斜面)
200 ウェハ搬送装置
210 ウェハステージ
300 表面検査装置
500 エッジ検査装置
510 光源
512 拡散板
520 アパーチャ(絞り)
521 入射瞳
522 出射瞳
530 エッジ検査部
600 偏心測定器
650 移動装置
700 制御装置
717 動作設定部
718 検査実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハの表面の欠陥を検査する表面検査装置と、
この表面検査装置に対するウェハの搬送路に設けたウェハステージと、
このウェハステージ上のウェハのエッジ部を検査するエッジ検査部と、
このエッジ検査部を当該エッジ検査部の光軸に沿って移動させる移動装置と
を備えたことを特徴とする光学式検査装置。
【請求項2】
請求項1の光学式検査装置において、
前記ウェハステージ上のウェハの偏心を測定する偏心測定器と、
この偏心測定器による測定結果を基に、回転するウェハのエッジ部が前記エッジ検査装置の焦点深度から外れないようにするための前記移動装置及び前記ウェハステージの動作シーケンスを設定する動作設定部と
この動作設定部で設定した動作シーケンスに従って前記移動装置及び前記ウェハステージを制御し、前記ウェハのエッジ部と前記エッジ検査部との距離を一定に維持しつつ前記エッジ検査部によるウェハのエッジ部の欠陥検査を実行する検査実行部と
を備えたことを特徴とする光学式検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2の光学式検査装置において、
前記ウェハのエッジ部は、外周面とこの外周面に向かって傾斜する上下の傾斜面を有していて、
前記エッジ検査部は、その検出光学系の入射瞳又は出射瞳の位置に配置した絞りを備えており、この絞りの開口径は、前記エッジ検査部の焦点深度が、前記外周面及び前記上下の傾斜面からなる前記エッジ部の全体が収まるように設定されている
ことを特徴とする光学式検査装置。
【請求項4】
請求項1−3のいずれかの光学式検査装置において、
前記表面検査装置に前記基板を前記検査装置へ搬送するウェハ搬送装置を有していて、
このウェハ搬送装置に前記エッジ検査部が設置されている
ことを特徴とする光学式検査装置。
【請求項5】
請求項1−4のいずれかの光学式検査装置において、
前記表面検査装置による表面検査処理の実行中に前記エッジ検査部によるエッジ検査処理を並行して実行する制御装置を備えたことを特徴とする光学式検査装置。
【請求項6】
請求項1−5のいずれかの光学式検査装置において、
前記エッジ検査装置は、暗視野検査装置であることを特徴とする光学式検査装置。
【請求項7】
請求項1−6のいずれかの光学式検査装置において、
前記エッジ検査は、検査光としてレーザを照射する光源と、検査光のスペックルノイズを低減する拡散板とを備えていることを特徴とする光学式検査装置。
【請求項8】
ウェハステージと、
このウェハステージ上のウェハのエッジ部を検査するエッジ検査部と、
このエッジ検査部を当該エッジ検査部の光軸に沿って移動させる移動装置と
を備えたことを特徴とするエッジ検査装置。
【請求項9】
請求項8のエッジ検査装置において、
前記ウェハステージ上のウェハの偏心を測定する偏心測定器と、
この偏心測定器による測定結果を基に、回転するウェハのエッジ部が前記エッジ検査装置の焦点深度から外れないようにするための前記移動装置及び前記ウェハステージの動作シーケンスを設定する動作設定部と
この動作設定部で設定した動作シーケンスに従って前記移動装置及び前記ウェハステージを制御し、前記ウェハのエッジ部と前記エッジ検査部との距離を一定に維持しつつ前記エッジ検査部によるウェハのエッジ部の欠陥検査を実行する検査実行部と
を備えたことを特徴とするエッジ検査装置。
【請求項10】
請求項8又は9のエッジ検査装置において、
前記ウェハのエッジ部は、外周面とこの外周面に向かって傾斜する上下の傾斜面を有していて、
前記エッジ検査部は、その検出光学系の入射瞳又は出射瞳の位置に配置した絞りを備えており、この絞りの開口径は、前記エッジ検査部の焦点深度が、前記外周面及び前記上下の傾斜面からなる前記エッジ部の全体が収まるように設定されている
ことを特徴とするエッジ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−93389(P2013−93389A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233438(P2011−233438)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】