説明

半導体装置、光ディスク装置

【課題】電流利得のばらつきを低減することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】第1導電型の半導体基体1と、この半導体基体1の表面の一部に形成された、バイポーラトランジスタの第2導電型のコレクタ層2と、このコレクタ層2の一部に形成された、バイポーラトランジスタの第1導電型のベース層6と、このベース層6の一部に形成された、バイポーラトランジスタの第2導電型のエミッタ層7と、このエミッタ層7の直下の領域を除いた部分の半導体基体1に形成された、第1導電型の半導体層9とを含む半導体装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイポーラトランジスタを有する半導体装置、並びに、この半導体装置を備えた光ディスク装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なバイポーラトランジスタの構造(断面図)を、図6に示す。
この構造では、P型の半導体基板51の表面に、バイポーラトランジスタが形成されている(同様の構造は、例えば、特許文献1を参照)。
P型の半導体基板51の濃度は、1×1015[1/cm]程度とされる。
【0003】
ところで、バイポーラトランジスタにおいて、基板濃度によりデバイス特性が変動するため、ICの用途により、基板濃度を変える必要がある。
例えば、フォトダイオードを形成するPDICプロセスにおいては、空乏層幅を広げ、寄生容量を低減させるために、基板濃度、もしくは、基板上に形成したエピタキシャル層の濃度を低減させる必要がある。また、例えば、インダクタを形成するRFプロセスにおいては、インダクタのQ値を上げるために、基板濃度、もしくは、基板上に形成したエピタキシャル層の濃度を低減させる必要がある。
【0004】
基板濃度を低減したバイポーラトランジスタの構造(断面図)を、図7に示す。
この構造では、P型の低濃度(P)の半導体基板61上に、バイポーラトランジスタが形成されている(同様の構造は、例えば、特許文献2や特許文献3を参照)。
しかし、この構造では、コレクタ層62の下部のP型半導体層(基板61)の濃度が非常に薄いため、コレクタ−コレクタ間のリーク電流が大きくなる問題や、基板電位が持ち上がってしまう問題が発生する。また、リーク電流を低減するために、コレクタ−コレクタ間のアイソレーション幅を広くすると、セルピッチが広くなってしまう。
【0005】
これらの問題は、図8に断面図を示すように、P型の低濃度半導体基板71の上に、より濃度の高いP型半導体層79をウエハ全面に形成することにより、回避することが可能である。
即ち、P型半導体層79を形成することにより、コレクタ−コレクタ間の濃度が高まるため、コレクタ−コレクタ間のリーク電流が低減する。また、コレクタ層72の下部のP型半導体層の濃度が高くなるため、基板電位の上昇を抑えることができる。
【0006】
【特許文献1】特開平5−218314号公報
【特許文献2】特開平5−251679号公報(図1)
【特許文献3】特開平5−299429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6に示した構造を製造する際には、エミッタ領域直下のみに着目すると、コレクタ層52、ベース層56を形成するために、計2回のイオン注入が行われている。
同様に、図7に示した構造を製造する際には、エミッタ領域直下のみに着目すると、コレクタ層62、ベース層66を形成するために、計2回のイオン注入が行われている。
【0008】
一方、図8に示した構造を製造する際には、エミッタ領域直下のみに着目すると、P型半導体層79、コレクタ層72、ベース層76を形成するために、計3回のイオン注入が行われる。即ち、P型半導体層79を設けたことにより、図7や図8に示した構成と比較して、エミッタ領域直下へのイオン注入の回数が1回増えている。
【0009】
バイポーラトランジスタの電流利得は、ベース領域の幅や濃度によって、大きく変動する。また、エミッタ領域へのイオン注入の回数が増えることは、ベース領域の幅や濃度のばらつき要因となり得る。
そのため、エミッタ領域へのイオン注入の回数が増えることにより、電流利得のばらつきが増加する要因が増えてしまう、という問題があった。
【0010】
上述した問題の解決のために、本発明においては、電流利得のばらつきを低減することができる半導体装置及び、この半導体装置を備えた光ディスク装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体装置は、バイポーラトランジスタを有する半導体装置である。そして、第1導電型の半導体基体の表面の一部に形成された第2導電型のコレクタ層と、コレクタ層の一部に形成された第1導電型のベース層と、ベース層の一部に形成された第2導電型のエミッタ層とを含んでバイポーラトランジスタが構成されている。さらに、半導体基体及びバイポーラトランジスタに加えて、エミッタ層の直下の領域を除いた部分の半導体基体に形成された第1導電型の半導体層を含む。
【0012】
上述の本発明の半導体装置の構成によれば、第1導電型の半導体層が、エミッタ層の直下の領域を除いた部分の半導体基体に形成されているので、エミッタ層の直下には第1導電型の半導体層が形成されていない。これにより、第1導電型の半導体層をウエハ全面に形成した構成と比較して、半導体装置を製造する際に、エミッタ層及びその付近のエミッタ領域へのイオン注入の回数を低減することができる。
【0013】
本発明の光ディスク装置は、光ディスクに対して、記録及び/又は再生を行うものでありバイポーラトランジスタとフォトダイオードとを有する半導体装置を含む光ピックアップと、光ディスクを回転駆動させる駆動部とを含む。
光ピックアップの半導体装置は、前記本発明の半導体装置の構成のバイポーラトランジスタを有する。また、第1導電型の半導体基体が半導体層とその上の半導体エピタキシャル層とから構成され、フォトダイオードが半導体エピタキシャル層の表面に形成された第2導電型の半導体層と半導体エピタキシャル層とにより構成されている。さらに、フォトダイオードでは、第1導電型の半導体層が、第2導電型の半導体層の直下を除いた領域の半導体基体に形成されている。
【0014】
上述の本発明の光ディスク装置の構成によれば、光ピックアップの半導体装置が、前記本発明の半導体装置の構成のバイポーラトランジスタを有する。これにより、バイポーラトランジスタのエミッタ層及びその付近のエミッタ領域へのイオン注入の回数を低減することができる。
また、フォトダイオードでは、第1導電型の半導体層が、第2導電型の半導体層の直下を除いた領域の半導体基体に形成されているので、第2導電型の半導体層の直下では第1導電型の半導体層が形成されていない。これにより、第1導電型の半導体層をウエハ全面に形成した構成と比較して、第2導電型の半導体層の直下の層(半導体エピタキシャル層)の濃度を低くして、PINダイオードのI層として機能させることができる。
【発明の効果】
【0015】
上述の本発明の半導体装置によれば、半導体装置を製造する際に、エミッタ層及びその付近のエミッタ領域へのイオン注入の回数を低減することができるので、バイポーラトランジスタの電流利得のばらつきを低減することができる。
従って、信頼性の高い半導体装置を、安定して歩留まり良く製造することが可能になる。
【0016】
上述の本発明の光ディスク装置によれば、光ピックアップの半導体装置において、バイポーラトランジスタの電流利得のばらつきを低減することができる。
また、光ピックアップの半導体装置において、フォトダイオードの部分で、PIN型フォトダイオードを構成することにより、寄生容量を小さくすることや、空乏層を広げて感度を向上することが可能になる。
従って、光ディスク装置において、光ピックアップの動作が安定した信頼性の高い装置を実現すると共に、光ディスクからの信号に対する感度を高くすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の半導体装置の第1の実施の形態
2.本発明の半導体装置の第2の実施の形態
3.本発明の半導体装置の第3の実施の形態
4.本発明の半導体装置の第4の実施の形態
5.本発明の光ディスク装置の実施の形態
【0018】
<1.本発明の半導体装置の第1の実施の形態>
本発明の半導体装置の第1の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図1に示す。
図1に示すように、第1導電型(この場合はP型)の低濃度(P)の半導体基板1の表面付近に、バイポーラトランジスタが形成されて成る。
半導体基板1の表面付近に、バイポーラトランジスタのコレクタとして、第2導電型(この場合はN型)のコレクタ層2が形成されている。
コレクタ層2の上に、バイポーラトランジスタのベースとして、第1導電型(P型)のベース層6が形成されている。また、コレクタ層2の右上に、コレクタ取り出し領域である、第2導電型(N型)のウエル層3が形成されている。
さらに、バイポーラトランジスタのエミッタとして、ベース層6の一部の表面に、第2導電型(N型)のエミッタ層7が形成されている。
エミッタ層7の上には、プラグ層を介して、エミッタ電極8Eが接続されている。
ベース層6の上には、プラグ層を介して、ベース電極8Bが接続されている。
N型のウエル層3の上には、プラグ層を介して、コレクタ電極8Cが接続されている。
それぞれのプラグ層は、図示しない絶縁層を貫通する穴内を導電材料で埋めて形成されている。
バイポーラトランジスタの外側の部分、並びに、ベース層6とN型のウエル層3との間の部分には、半導体基板1の表面に、LOCOS(局所酸化)によって形成された素子分離層5が設けられている。
素子分離層5の下には、第1導電型(P型)のウエル層4が形成されている。
【0019】
本実施の形態の半導体装置においては、図8に示した構成と同様に、N型のコレクタ層2及びP型のウエル層4とPの半導体基板1との間にP型半導体層9を設けているが、図8に示した構成とはP型半導体層9が形成されている領域が異なっている。
即ち、図1と図8とを比較するとわかるように、本実施の形態の半導体装置では、エミッタ領域(エミッタ層7及びその付近)の直下の部分には、P型半導体層9を設けていない構造となっている。そして、エミッタ領域を除いた、ベース層6の直下の部分には、P型半導体層9が形成されている。
このような構成としたことにより、エミッタ領域(エミッタ層7及びその付近)へのイオン注入の回数を、図8に示した構成の3回から2回に減らすことができる。また、エミッタ領域の直下の部分以外のP型層の濃度を高くすることができる。
【0020】
本実施の形態の半導体装置は、次のようにして、製造することができる。
まず、第1導電型(P型)の低濃度(P)の半導体基板1の、エミッタ領域の直下を除いた領域に、P型半導体層9を形成する。P型半導体層9は、コレクタ層2よりも深い位置に形成するため、高エネルギーでのイオン注入により形成する。例えば、ボロンを2[MeV]、2×1011[1/cm]の条件でイオン注入することにより、P型半導体層9を形成する。なお、エミッタ領域の直下における、P型半導体層9のイオン注入を行わない領域は、不純物の側方への拡散を考慮して、エミッタ層7よりも水平方向に拡げる。
次に、例えば、リンを2[MeV]、2×1013[1/cm]の条件でイオン注入することにより、コレクタ層2を形成する。
次に、コレクタ取出し領域に、例えば、リンを1[MeV]、5×1012[1/cm]の条件でイオン注入することにより、N型のウエル層3を形成する。
さらに、素子分離層5を後に形成するアイソレーション領域に、例えば、ボロンを600[keV]、3×1012[1/cm]の条件でイオン注入することにより、P型のウエル層4を形成する。なお、N型のウエル層3及びP型のウエル層4は、MOSトランジスタのウエル層を兼用することが可能である。
続いて、コレクタ層2の表面に、イオン注入によりベース層6を形成する。さらに、ベース層6の一部の表面に、イオン注入によりエミッタ層7を形成する。
次に、N型のウエル層3、ベース層6、エミッタ層7にそれぞれ接続して、プラグ層を形成する。さらに、プラグ層に接続して、コレクタ電極8C、ベース電極8B、エミッタ電極8Eを形成する。
このようにして、図1に示した半導体装置を製造することができる。
【0021】
上述した本実施の形態の半導体装置の構成によれば、P型半導体層9をエミッタ領域の直下を除いた領域に形成しているので、エミッタ領域の直下にはP型半導体層9を形成しない。これにより、エミッタ領域へのイオン注入の回数を減らすことができ、バイポーラトランジスタの電流利得ばらつきを低減させることが可能となる。
また、エミッタ領域の直下を除いた領域では、P型半導体層9を形成していることにより、P型層の濃度を高くして、コレクタ−コレクタ間のリーク電流が発生する問題や基板電位が持ち上がる問題を回避することができる。特に、図1に示すように、エミッタ領域を除いたベース層6の直下の部分にP型半導体層9を形成することにより、コレクタ−コレクタ間のリーク電流を効果的に低減することができる。
【0022】
<2.本発明の半導体装置の第2の実施の形態>
本発明の半導体装置の第2の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図2A及び図2Bに示す。図2Aはバイポーラトランジスタの部分の断面図を示し、図2Bはフォトダイオードの部分の断面図を示している。
即ち、本実施の形態は、基板上にバイポーラトランジスタとフォトダイオードを同時に形成する、いわゆるPDICプロセスを想定している。
【0023】
図2Aに示すように、第1導電型(P型)の高濃度の半導体基板10の上に、第1導電型(P型)の低濃度(P)の半導体エピタキシャル層11が形成され、この半導体エピタキシャル層11の表面付近に、バイポーラトランジスタが形成されて成る。
半導体エピタキシャル層11の表面付近に、バイポーラトランジスタのコレクタとして、第2導電型(N型)のコレクタ層12が形成されている。
コレクタ層12の上に、バイポーラトランジスタのベースとして、第1導電型(P型)のベース層16が形成されている。また、コレクタ層12の右上に、コレクタ取り出し領域である、第2導電型(N型)のウエル層13が形成されている。
さらに、バイポーラトランジスタのエミッタとして、ベース層16の一部の表面に、第2導電型(N型)のエミッタ層17が形成されている。
エミッタ層17の上には、プラグ層を介して、エミッタ電極18Eが接続されている。
ベース層16の上には、プラグ層を介して、ベース電極18Bが接続されている。
N型のウエル層13の上には、プラグ層を介して、コレクタ電極18Cが接続されている。
それぞれのプラグ層は、図示しない絶縁層を貫通する穴内を導電材料で埋めて形成されている。
バイポーラトランジスタの外側の部分、並びに、ベース層16とN型のウエル層13との間の部分には、半導体エピタキシャル層11の表面に、LOCOS(局所酸化)によって形成された素子分離層15が設けられている。
素子分離層15の下には、第1導電型(P型)のウエル層14が形成されている。
【0024】
図2Bに示すように、フォトダイオードの部分では、半導体エピタキシャル層11の表面に、フォトダイオードを構成する第1導電型(N型)のカソード層20が形成されている。
半導体エピタキシャル層11のカソード層20の周囲の部分には、素子分離層15が設けられている。
また、カソード層20の直下の領域を除いて、図2Aと同じP型のウエル層14が形成されている。このP型のウエル層14は、図2Aの左側の部分で、半導体エピタキシャル層11の表面まで形成されている。
半導体エピタキシャル層11の表面まで形成された、P型のウエル層14の上には、プラグ層を介して、アノード電極18Aが接続されている。
カソード層20の上には、プラグ層を介して、カソード電極18Caが接続されている。
【0025】
なお、半導体エピタキシャル層11の濃度は、1×1015[1/cm]以下とすることが好ましい。より好ましくは、半導体エピタキシャル層11の濃度を、1×1014[1/cm]程度の低い濃度とする。
このようにP型の半導体エピタキシャル層11の濃度を低くすることにより、半導体エピタキシャル層11をPIN型フォトダイオードのI層として機能させることができる。
【0026】
そして、バイポーラトランジスタの部分及びフォトダイオードの部分に、それぞれ、P型半導体層19が形成されている。
このP型半導体層19は、バイポーラトランジスタの部分では、第1の実施の形態のP型半導体層9と同様に、エミッタ領域(エミッタ層17及びその付近)の直下の部分には設けられていない。
一方、フォトダイオードの部分では、カソード層20の直下を避けて、P型半導体層19が形成されている。
【0027】
このような構成としたことにより、エミッタ領域へのイオン注入の回数を、図8に示した構成の3回から2回に減らすことができる。また、エミッタ領域の直下の部分以外のP型層の濃度を高くすることができる。
さらに、フォトダイオードの部分でも、P型半導体層19を全面的に形成した場合と比較して、フォトダイオードの下層のP型層の濃度を十分に低くすることができる。
【0028】
本実施の形態の半導体装置は、次のようにして、製造することができる。
まず、第1導電型(P型)の高濃度の半導体基板10の表面に、P型の低濃度(P)の半導体エピタキシャル層11を形成する。P型の低濃度の半導体エピタキシャル層11は、PIN型フォトダイオードのI層としての役割を持つため、充分に低濃度、例えば1×1014[1/cm]程度の濃度に形成する。
次に、エミッタ領域の直下、及び、フォトダイオードの受光部を除いた領域に、P型半導体層19を形成する。P型半導体層19は、コレクタ層12よりも深い位置に形成するため、高エネルギーでのイオン注入により形成する。例えば、ボロンを2[MeV]、2×1011[1/cm]の条件でイオン注入することにより、P型半導体層19を形成する。なお、エミッタ領域の直下における、P型半導体層19のイオン注入を行わない領域は、不純物の側方への拡散を考慮して、エミッタ層17よりも水平方向に拡げる。
次に、例えば、リンを2[MeV]、1×1013[1/cm]の条件でイオン注入することにより、コレクタ層12を形成する。
次に、コレクタ取出し領域に、例えば、リンを1[MeV]、5×1012[1/cm]の条件でイオン注入することにより、N型のウエル層13を形成する。
さらに、素子分離層15を後に形成するアイソレーション領域、並びにアノード電極18Aを接続する領域に、例えば、ボロンを600[keV]、3×1012[1/cm]の条件でイオン注入することにより、P型のウエル層14を形成する。なお、N型のウエル層13及びP型のウエル層14は、MOSトランジスタのウエル層を兼用することが可能である。
続いて、コレクタ層12の表面に、イオン注入によりベース層16を形成する。さらに、ベース層16の一部の表面に、イオン注入によりエミッタ層17を形成する。また、半導体エピタキシャル層11の表面の、フォトダイオードを形成する部分に、第1導電型(N型)のカソード層20を形成する。
次に、N型のウエル層13、ベース層16、エミッタ層17、P型のウエル層14、カソード層20にそれぞれ接続して、プラグ層を形成する。さらに、プラグ層に接続して、コレクタ電極18C、ベース電極18B、エミッタ電極18E、アノード電極18A、カソード電極18Caを形成する。
このようにして、図2A及び図2Bに示した半導体装置を製造することができる。
【0029】
上述した本実施の形態の半導体装置の構成によれば、バイポーラトランジスタの部分では、P型半導体層19をエミッタ領域の直下を除いた領域に形成しているので、エミッタ領域の直下にはP型半導体層19を形成しない。これにより、エミッタ領域へのイオン注入の回数を減らすことができ、バイポーラトランジスタの電流利得ばらつきを低減させることが可能となる。
フォトダイオードの部分では、カソード層20の直下を避けてP型半導体層19を形成しているので、カソード層20の直下にはP型半導体層19を形成しない。これにより、フォトダイオードの下層のP型層の濃度を十分に低くして、PIN型フォトダイオードのI層としての機能を持たせることができる。このようにしてPIN型フォトダイオードを構成することにより、寄生容量を小さくすることや、空乏層を広げて感度を向上することが可能になる。
また、バイポーラトランジスタの部分のエミッタ領域の直下を除いた領域では、P型半導体層19を形成していることにより、P型層の濃度を高くして、コレクタ−コレクタ間のリーク電流が発生する問題や基板電位が持ち上がる問題を回避することができる。
【0030】
なお、P型の高濃度の半導体基板10の代わりに、通常濃度のP型の半導体基板上にP型の高濃度の埋め込み層を形成して、その上にP型の低濃度の半導体エピタキシャル層を形成した構成としても良い。
【0031】
<3.本発明の半導体装置の第3の実施の形態>
本発明の半導体装置の第3の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図3A及び図3Bに示す。図3Aはバイポーラトランジスタの部分の断面図を示し、図3BはMOSトランジスタの部分の断面図を示している。
即ち、本実施の形態は、基板上にバイポーラトランジスタとMOSトランジスタとを同時に形成する、いわゆるBiCMOSプロセスを想定している。
【0032】
図3Aに示すように、第1導電型(P型)の低濃度(P)の半導体基板21の表面付近に、バイポーラトランジスタが形成されて成る。
半導体基板21の表面付近に、バイポーラトランジスタのコレクタとして、第2導電型(N型)のコレクタ層22が形成されている。
コレクタ層22の上に、バイポーラトランジスタのベースとして、第1導電型(P型)のベース層26が形成されている。また、コレクタ層22の右上に、コレクタ取り出し領域である、第2導電型(N型)のウエル層23が形成されている。
さらに、バイポーラトランジスタのエミッタとして、ベース層26の一部の表面に、第2導電型(N型)のエミッタ層27が形成されている。
エミッタ層27の上には、プラグ層を介して、エミッタ電極28Eが接続されている。
ベース層26の上には、プラグ層を介して、ベース電極28Bが接続されている。
N型のウエル層23の上には、プラグ層を介して、コレクタ電極28Cが接続されている。
それぞれのプラグ層は、図示しない絶縁層を貫通する穴内を導電材料で埋めて形成されている。
バイポーラトランジスタの外側の部分、並びに、ベース層26とN型のウエル層23との間の部分には、半導体基板21の表面に、LOCOS(局所酸化)によって形成された素子分離層25が設けられている。
素子分離層25の下には、第1導電型(P型)のウエル層24が形成されている。
即ち、バイポーラトランジスタの部分は、図1に示した第1の実施の形態と同様の構造となっている。
【0033】
図3Bに示すように、MOSトランジスタの部分では、半導体基板21の表面に、第1導電型(P型)のウエル層24と第2導電型(N型)のウエル層23とが形成されている。
P型のウエル層24及びN型のウエル層23の表面のほぼ中央部には、それぞれ、図示しないゲート絶縁膜を介して、ゲート電極28Gが形成されている。
P型のウエル層24の、ゲート電極28Gの周囲には、N型の高濃度(N)のソース・ドレイン領域30Nが形成されている。そして、P型のウエル層24と、その上のゲート電極28Gと、ソース・ドレイン領域30Nとにより、NMOSトランジスタNMOSが構成されている。
N型のウエル層23の、ゲート電極28Gの周囲には、P型の高濃度(P)のソース・ドレイン領域30Pが形成されている。そして、N型のウエル層23と、その上のゲート電極28Gと、ソース・ドレイン領域30Pとにより、PMOSトランジスタPMOSが構成されている。
NMOSトランジスタNMOSと、PMOSトランジスタPMOSとの境界部及び周囲の部分には、素子分離層25が形成されている。
【0034】
そして、バイポーラトランジスタの部分及びMOSトランジスタの部分に、それぞれ、P型半導体層29が形成されている。
このP型半導体層29は、バイポーラトランジスタの部分では、第1の実施の形態のP型半導体層9と同様に、エミッタ領域(エミッタ層27及びその付近)の直下の部分には設けられていない。
一方、MOSトランジスタの部分では、MOSトランジスタNMOS,PMOSのゲート電極28Gの直下を避けて、P型半導体層29が形成されている。
【0035】
このような構成としたことにより、エミッタ領域へのイオン注入の回数を、図8に示した構成の3回から2回に減らすことができる。また、エミッタ領域の直下の部分以外のP型層の濃度を高くすることができる。
さらに、MOSトランジスタの部分でも、P型半導体層29を全面的に形成した場合と比較して、イオン注入の回数を減らすことができる。
【0036】
本実施の形態の半導体装置は、次のようにして、製造することができる。
まず、第1導電型(P型)の低濃度(P)の半導体基板21の、エミッタ領域の直下を除いた領域、及び、ゲート電極28Gの直下を除いた領域に、P型半導体層29を形成する。P型半導体層29は、コレクタ層22よりも深い位置に形成するため、高エネルギーでのイオン注入により形成する。例えば、ボロンを2[MeV]、2×1011[1/cm]の条件でイオン注入することにより、P型半導体層29を形成する。なお、エミッタ領域の直下、及び、ゲート電極28Gの直下における、P型半導体層29のイオン注入を行わない領域は、不純物の側方への拡散を考慮して、エミッタ層27及びゲート電極28Gよりも水平方向に拡げる。
次に、例えば、リンを2[MeV]、1×1013[1/cm]の条件でイオン注入することにより、コレクタ層22を形成する。
次に、コレクタ取出し領域及びPMOSトランジスタPMOSのバックゲート領域に、例えば、リンを1[MeV]、5×1012[1/cm]の条件でイオン注入することにより、N型のウエル層23を形成する。
さらに、素子分離層25を後に形成するアイソレーション領域、並びにNMOSトランジスタNMOSのバックゲート領域に、例えば、ボロンを600[keV]、3×1012[1/cm]の条件でイオン注入することにより、P型のウエル層24を形成する。
続いて、コレクタ層22の表面に、イオン注入によりベース層26を形成する。さらに、ベース層26の一部の表面に、イオン注入によりエミッタ層27を形成する。
次に、N型のウエル層23、ベース層26、エミッタ層27にそれぞれ接続して、プラグ層を形成する。さらに、プラグ層に接続して、コレクタ電極28C、ベース電極28B、エミッタ電極28Eを形成する。
また、MOSトランジスタNMOS,PMOSのゲート電極28G、ソース・ドレイン領域30N,30Pを、それぞれ形成する。
このようにして、図3A及び図3Bに示した半導体装置を製造することができる。
【0037】
上述した本実施の形態の半導体装置の構成によれば、バイポーラトランジスタの部分では、P型半導体層29をエミッタ領域の直下を除いた領域に形成しているので、エミッタ領域の直下にはP型半導体層29を形成しない。これにより、エミッタ領域へのイオン注入の回数を減らすことができ、バイポーラトランジスタの電流利得ばらつきを低減させることが可能となる。
MOSトランジスタの部分では、MOSトランジスタNMOS,PMOSのゲート電極28Gの直下を避けてP型半導体層29を形成しているので、MOSトランジスタNMOS,PMOSのゲート電極28Gの直下にはP型半導体層29を形成しない。これにより、MOSトランジスタNMOS,PMOSのゲート領域へのイオン注入の回数を減らすことができ、MOSトランジスタNMOS,PMOSのVthばらつきを低減させることが可能となる。
また、バイポーラトランジスタの部分のエミッタ領域の直下を除いた領域では、P型半導体層29を形成していることにより、P型層の濃度を高くして、コレクタ−コレクタ間のリーク電流が発生する問題や基板電位が持ち上がる問題を回避することができる。
【0038】
<4.本発明の半導体装置の第4の実施の形態>
本発明の半導体装置の第4の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図4A及び図4Bに示す。図4AはNPNバイポーラトランジスタの部分の断面図を示し、図4BはPNPバイポーラトランジスタの部分の断面図を示している。
即ち、本実施の形態は、基板上にNPNバイポーラトランジスタとPNPバイポーラトランジスタを同時に形成するプロセスを想定している。
【0039】
図4Aに示すように、第1導電型(P型)の低濃度(P)の半導体基板31の表面付近に、NPNバイポーラトランジスタが形成されて成る。
半導体基板31の表面付近に、NPNバイポーラトランジスタのコレクタとして、第2導電型(N型)のコレクタ層32が形成されている。
コレクタ層32の上に、NPNバイポーラトランジスタのベースとして、第1導電型(P型)のベース層36が形成されている。また、コレクタ層32の右上に、コレクタ取り出し領域である、第2導電型(N型)のウエル層33が形成されている。
さらに、NPNバイポーラトランジスタのエミッタとして、ベース層36の一部の表面に、第2導電型(N型)のエミッタ層37が形成されている。
エミッタ層37の上には、プラグ層を介して、エミッタ電極38Eが接続されている。
ベース層36の上には、プラグ層を介して、ベース電極38Bが接続されている。
N型のウエル層33の上には、プラグ層を介して、コレクタ電極38Cが接続されている。
それぞれのプラグ層は、図示しない絶縁層を貫通する穴内を導電材料で埋めて形成されている。
バイポーラトランジスタの外側の部分、並びに、ベース層36とN型のウエル層33との間の部分には、半導体基板31の表面に、LOCOS(局所酸化)によって形成された素子分離層35が設けられている。
素子分離層35の下には、第1導電型(P型)のウエル層34が形成されている。
即ち、NPNバイポーラトランジスタの部分は、図1に示した第1の実施の形態及び図3Aに示した第3の実施の形態と同様の構造となっている。
【0040】
図4Bに示すように、第1導電型(P型)の低濃度(P)の半導体基板31の表面付近に、PNPバイポーラトランジスタが形成されて成る。
半導体基板31の表面付近に、PNPバイポーラトランジスタのコレクタとして、第1導電型(P型)のコレクタ層41が形成されている。
このコレクタ層41の下に、第2導電型(N型)の分離層40が形成されている。
コレクタ層41の上に、PNPバイポーラトランジスタのベースとして、ベース層42が形成されている。また、コレクタ層41の右上に、コレクタ取り出し領域である、第1導電型(P型)のウエル層34が形成されている。
さらに、PNPバイポーラトランジスタのエミッタとして、ベース層42の一部の表面に、エミッタ層43が形成されている。
エミッタ層43の上には、プラグ層を介して、エミッタ電極44Eが接続されている。
ベース層42の上には、プラグ層を介して、ベース電極44Bが接続されている。
P型のウエル層34の上には、プラグ層を介して、コレクタ電極44Cが接続されている。
それぞれのプラグ層は、図示しない絶縁層を貫通する穴内を導電材料で埋めて形成されている。
バイポーラトランジスタの外側の部分、並びに、ベース層42とP型のウエル層34との間の部分には、半導体基板31の表面に、LOCOS(局所酸化)によって形成された素子分離層35が設けられている。
素子分離層35の下には、第1導電型(P型)のウエル層34が形成されている。
【0041】
そして、NPNバイポーラトランジスタの部分及びPNPバイポーラトランジスタの部分に、それぞれ、P型半導体層39が形成されている。
このP型半導体層39は、NPNバイポーラトランジスタの部分では、第1の実施の形態のP型半導体層9と同様に、エミッタ領域(エミッタ層37及びその付近)の直下の部分には設けられていない。
一方、PNPバイポーラトランジスタの部分では、エミッタ領域(エミッタ層43及びその付近)の直下の部分を避けて、より具体的には、N型の分離層40が形成されている領域を避けて、P型半導体層39が形成されている。
【0042】
このような構成としたことにより、NPNバイポーラトランジスタの部分において、エミッタ領域へのイオン注入の回数を、図8に示した構成の3回から2回に減らすことができる。また、エミッタ領域の直下の部分以外のP型層の濃度を高くすることができる。
さらに、PNPバイポーラトランジスタの部分でも、P型半導体層39を全面的に形成した場合と比較して、エミッタ領域へのイオン注入の回数を減らすことができる。また、N型の分離層40の直下のP型層の濃度を低くすることができる。
【0043】
本実施の形態の半導体装置は、次のようにして、製造することができる。
まず、第1導電型(P型)の低濃度(P)の半導体基板31のNPNバイポーラトランジスタのエミッタ領域の直下を除いた領域、及び、PNPバイポーラトランジスタのエミッタ領域の直下を除いた領域に、P型半導体層39を形成する。P型半導体層39は、NPNバイポーラトランジスタのコレクタ層32よりも深い領域に形成するため、高エネルギーでのイオン注入により形成する。例えば、ボロンを2[MeV]、2×1011[1/cm]の条件でイオン注入することにより、P型半導体層39を形成する。なお、各バイポーラトランジスタのエミッタ領域の直下における、P型半導体層39のイオン注入を行わない領域は、不純物の側方への拡散を考慮して、エミッタ層37,43よりも水平方向に拡げる。
次に、例えば、リンを2[MeV]、5×1012[1/cm]の条件でイオン注入することにより、PNPバイポーラトランジスタのN型の分離層40を形成する。
さらに、例えば、ボロンを450[keV]、5×1013[1/cm]の条件でイオン注入することにより、PNPバイポーラトランジスタのコレクタ層41を形成する。
続いて、例えば、リンを2[MeV]、1×1013[1/cm]の条件でイオン注入することにより、NPNバイポーラトランジスタのコレクタ層32を形成する。
続いて、NPNバイポーラトランジスタのコレクタ取出し領域に、例えば、リンを1[MeV]、5×1012[1/cm]の条件でイオン注入することにより、N型のウエル層33を形成する。また、素子分離層35を後に形成するアイソレーション領域、並びにPNPバイポーラトランジスタのコレクタ取出し領域に、ボロンを600[keV]、3×1012[1/cm]の条件でイオン注入することにより、P型のウエル層34を形成する。なお、N型のウエル層33、P型のウエル層34は、MOSトランジスタのウエル層を兼用することが可能である。
続いて、NPNバイポーラトランジスタのコレクタ層32の表面に、イオン注入によりベース層36を形成する。さらに、ベース層36の一部の表面に、イオン注入によりエミッタ層37を形成する。同様に、PNPバイポーラトランジスタのコレクタ層41の表面に、イオン注入によりベース層42を形成する。さらに、ベース層42の一部の表面に、イオン注入によりエミッタ層43を形成する。
次に、N型のウエル層33、NPNバイポーラトランジスタのベース層36及びエミッタ層37にそれぞれ接続して、プラグ層を形成する。さらに、プラグ層に接続して、コレクタ電極38C、ベース電極38B、エミッタ電極38Eを形成する。
また、P型のウエル層34、PNPバイポーラトランジスタのベース層42及びエミッタ層43にそれぞれ接続して、プラグ層を形成する。さらに、プラグ層に接続して、コレクタ電極44C、ベース電極44B、エミッタ電極44Eを形成する。
このようにして、図4A及び図4Bに示した半導体装置を製造することができる。
【0044】
上述した本実施の形態の半導体装置の構成によれば、NPNバイポーラトランジスタ及びPNPバイポーラトランジスタのエミッタ領域の直下には、P型半導体層39を形成しない。これにより、NPNバイポーラトランジスタ及びPNPバイポーラトランジスタにおいて、それぞれのエミッタ領域へのイオン注入の回数を減らすことができるので、電流利得ばらつきを低減させることが可能となる。
【0045】
また、N型の分離層40の下にはP型半導体層39が形成されていないため、分離層40の下層の濃度が低くなり、PNPバイポーラトランジスタの分離層40とP型半導体基板31との間に発生する寄生容量を低減させることが可能となる。
さらに、N型の分離層40を、外部から電位を供給する電極を接続せずにフローティング構造とした場合には、PNPバイポーラトランジスタのコレクタ層41とP型半導体基板31との間に発生する寄生容量を大幅に低減することが可能となる。
【0046】
<5.光ディスク装置の実施の形態>
本発明の光ディスク装置は、上述した本発明に係る半導体装置を備えて、光ディスクに対して、記録及び/又は再生を行う光ディスク装置を構成したものである。
本発明の光ディスク装置の実施の形態を、以下に示す。
【0047】
本発明の光ディスク装置の実施の形態の概略構成図(ブロック図)を、図5に示す。
この光ディスク装置は、スピンドルモータ101、光ピックアップ102、ドライバ103、フォーカス/トラッキングサーボ104、制御マイコン105、操作ボタン・LCD(液晶)表示106、破線で示す信号処理回路部110を備えている。
さらに、信号処理回路部110には、LDドライバ111、記録補償回路112、データ符号化回路113、誤り訂正用符号化回路114を備えている。また、信号処理回路部110には、RFアンプ115、イコライザ116、クロック抽出用PLL回路117、A/D変換器118、PRML信号処理回路119、データ復号化回路120、誤り訂正回路121を備えている。
【0048】
スピンドルモータ101は、光ディスク200を回転駆動させる駆動部を構成し、光ディスク200を中心軸の周囲に回転させる。
光ピックアップ102は、光ディスク200に対してレーザ光を照射して、情報の記録や再生を行う。
フォーカス/トラッキングサーボ104は、光ディスク200のサーボを行う。制御マイコン105は、フォーカス/トラッキングサーボ104や操作ボタン・LCD(液晶)表示106等の制御を行う。
【0049】
外部からのデータ入力の信号は、誤り訂正用符号化回路114、データ符号化回路113、記録補償回路112、LDドライバ111を経て、光ピックアップ102に供給される。
光ピックアップ102で検出した再生信号等は、RFアンプ115を経て、イコライザ116からクロック抽出用PLL回路117及びA/D変換器118に供給される。
クロック抽出用PLL回路117で信号から抽出したクロックと、A/D変換器で変換された信号とが、PRML信号処理回路119に供給されて処理される。その後は、データ復号化回路120と誤り訂正回路121を経て、データ出力として出力される。
【0050】
本実施の形態では、光ピックアップ102内のフォトダイオードを有する受光素子に、例えば図2に示した半導体装置の第2の実施の形態のような、バイポーラトランジスタ及びフォトダイオードを有する、本発明に係る半導体装置を使用する。
このような受光素子としては、例えば、光ディスク200から戻ってくる、信号を含むレーザ光を受光検出する受光素子や、レーザダイオードからのレーザ光出力をモニタする受光素子が、挙げられる。
【0051】
バイポーラトランジスタ及びフォトダイオードを有する本発明に係る半導体装置を、光ピックアップ102内の受光素子に使用することにより、バイポーラトランジスタの電流利得のばらつきを低減することができる。
また、フォトダイオードの部分で、フォトダイオードの下層の濃度を十分に低くして、PIN型フォトダイオードのI層としての機能を持たせることができる。このようにしてPIN型フォトダイオードを構成することにより、寄生容量を小さくすることや、空乏層を広げて感度を向上することが可能になる。
従って、光ディスク装置において、光ピックアップ102の動作が安定した信頼性の高い装置を実現すると共に、光ディスク200からの信号に対する感度を高くすることが可能になる。
【0052】
上述した半導体装置の各実施の形態では、第1導電型をP型、第2導電型をN型、としていたが、これらの導電型が逆である場合にも、同様に本発明を適用することができる。
【0053】
また、上述した半導体装置の第3の実施の形態では、バイポーラトランジスタと同一の半導体基体にNMOSトランジスタNMOSとPMOSトランジスタPMOSとを形成した構成であった。
バイポーラトランジスタと同一の半導体基体に形成するMOSトランジスタを、NMOSトランジスタのみ、又は、PMOSトランジスタのみとした構成にも、同様に本発明を適用することができる。
【0054】
また、上述した半導体装置の第4の実施の形態では、PNPバイポーラトランジスタの分離層40の下には、P型半導体層39を形成していなかった。
本発明では、PNPバイポーラトランジスタの部分においても、NPNバイポーラトランジスタの部分と同様に、エミッタ領域の直下のみを除いて、その周囲の領域にはP型半導体層を設けることも可能である。このような構成としても、PNPバイポーラトランジスタの電流利得のばらつきを低減する効果が得られる。
【0055】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の半導体装置の第1の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図2】A、B 本発明の半導体装置の第2の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図3】A、B 本発明の半導体装置の第3の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図4】A、B 本発明の半導体装置の第4の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図5】本発明の光ディスク装置の実施の形態の概略構成図(ブロック図)である。
【図6】従来の一般的なバイポーラトランジスタの構造の断面図である。
【図7】基板濃度を低減したバイポーラトランジスタの構造の断面図である。
【図8】濃度の高いP型半導体層を形成した構造の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1,21,31 (低濃度の)半導体基板、2,12,22,32,41 コレクタ層、3,13,23,33 N型のウエル層、4,14,24,34 P型のウエル層、5,15,25,35 素子分離層、6,16,26,36,42 ベース層、7,17,27,37,43 エミッタ層、8E,18E,28E,38E,44E エミッタ電極、8B,18B,28B,38B,44B ベース電極、8C,18C,28C,38C,44C コレクタ電極、9,19,29,39 P型の半導体層、10 (高濃度の)半導体基板、11 半導体エピタキシャル層、20 カソード層、101 スピンドルモータ、102 光ピックアップ、110 信号処理回路部、200 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラトランジスタを有する半導体装置であって、
第1導電型の半導体基体と、
前記半導体基体の表面の一部に形成された、前記バイポーラトランジスタの第2導電型のコレクタ層と、
前記第2導電型のコレクタ層の一部に形成された、前記バイポーラトランジスタの第1導電型のベース層と、
前記第1導電型のベース層の一部に形成された、前記バイポーラトランジスタの第2導電型のエミッタ層と、
前記第2導電型のエミッタ層の直下の領域を除いた部分の前記半導体基体に形成された、第1導電型の半導体層とを含む
半導体装置。
【請求項2】
前記バイポーラトランジスタと、フォトダイオードとを有し、
前記半導体基体が、半導体層と、前記半導体層上の半導体エピタキシャル層とから構成され、
前記フォトダイオードが、前記半導体エピタキシャル層の表面に形成された第2導電型の半導体層と、前記半導体エピタキシャル層とにより構成され、
前記第1導電型の半導体層は、前記フォトダイオードの前記第2導電型の半導体層の直下を除いた領域に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記バイポーラトランジスタと、MOSトランジスタとを有し、
前記MOSトランジスタは、前記半導体基体の表面の一部に形成された第1導電型のウエル層と、前記ウエル層の上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ウエル層に形成された第2導電型のソース・ドレイン領域とにより構成され、
前記第1導電型の半導体層は、前記MOSトランジスタの前記ゲート電極の直下の部分を除いて形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記バイポーラトランジスタと、MOSトランジスタとを有し、
前記MOSトランジスタは、前記半導体基体の表面の一部に形成された第2導電型のウエル層と、前記ウエル層の上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ウエル層に形成された第1導電型のソース・ドレイン領域とにより構成され、
前記第1導電型の半導体層は、前記MOSトランジスタの前記ゲート電極の直下の部分を除いて形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記バイポーラトランジスタと、第1のMOSトランジスタと、第2のMOSトランジスタとを有し、
前記第1のMOSトランジスタは、前記半導体基体の表面の一部に形成された第1導電型のウエル層と、前記ウエル層の上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ウエル層に形成された第2導電型のソース・ドレイン領域とにより構成され、
前記第2のMOSトランジスタは、前記半導体基体の表面の一部に形成された第2導電型のウエル層と、前記ウエル層の上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ウエル層に形成された第1導電型のソース・ドレイン領域とにより構成され、
前記第1導電型の半導体層は、前記第1のMOSトランジスタ及び前記第2のMOSトランジスタのそれぞれの前記ゲート電極の直下の部分を除いて形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記バイポーラトランジスタと、第2のバイポーラトランジスタとを有し、
前記第2のバイポーラトランジスタは、前記半導体基体の一部に形成された第2導電型の分離層と、前記分離層の一部に形成された第1導電型のコレクタ層と、前記第1導電型のコレクタ層の一部に形成された第2導電型のベース層と、前記第2導電型のベース層の一部に形成された第1導電型のエミッタ層とから構成され、
前記第1導電型の半導体層は、前記第2のバイポーラトランジスタの部分では、前記第1導電型のエミッタ層の直下の領域を除いた部分の前記半導体基体に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1導電型の半導体層は、前記分離層の下を除いた部分の前記半導体基体に形成されている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記バイポーラトランジスタにおいて、前記エミッタ層の直下の領域以外の、前記ベース層の直下の領域には、前記第1導電型の半導体層が形成されている、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
光ディスクに対して、記録及び/又は再生を行う光ディスク装置であって、
バイポーラトランジスタとフォトダイオードとを有し、半導体層と前記半導体層上の半導体エピタキシャル層とから構成された第1導電型の半導体基体と、前記半導体基体の表面の一部に形成された前記バイポーラトランジスタの第2導電型のコレクタ層と、前記第2導電型のコレクタ層の一部に形成された前記バイポーラトランジスタの第1導電型のベース層と、前記第1導電型のベース層の一部に形成された前記バイポーラトランジスタの第2導電型のエミッタ層と、前記半導体エピタキシャル層の表面に形成された第2導電型の半導体層と前記半導体エピタキシャル層とにより構成されたフォトダイオードと、前記第2導電型のエミッタ層の直下の領域を除いた部分、並びに、前記フォトダイオードの前記第2導電型の半導体層の直下を除いた領域の、前記半導体基体に形成された第1導電型の半導体層とを含む、半導体装置を含み、前記光ディスクに対して記録及び/又は再生を行う光ピックアップと、
前記光ディスクを回転駆動させる駆動部とを含む
光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−140974(P2010−140974A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313699(P2008−313699)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】