説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】ゲート電極に注入された不純物に起因するゲートリークを低減させる。
【解決手段】ゲート電極14が形成されたアクティブ領域による被覆率が50%以上かつその面積が0.02mm以上の領域において、多結晶シリコン膜14´に炭素15を導入してから、多結晶シリコン膜14´にリン16を導入し、多結晶シリコン膜14´をパターニングすることにより、ゲート絶縁膜13上にゲート電極14を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、リンの拡散による局所的なゲートリークの増大を低減する方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に形成される電界効果トランジスタでは、ゲート電極の材料として多結晶シリコンが一般的に用いられている。そして、ゲート電極の導電性を制御するために、リンなどの不純物が多結晶シリコンに注入される。
【0003】
ここで、活性化アニールなどの熱処理を行うと、リンなどの不純物がゲート電極の端部に偏析し、そのリンなどの不純物がゲート絶縁膜にダメージを与えることから、局所的なゲートリークの増大が引き起こされることがある。
【0004】
また、例えば、特許文献1には、ゲートエッジ部でのリーク電流を抑制するために、トンネル膜の残膜を通して不純物を半導体基板にイオン注入した後、トンネル膜の残膜を除去し、熱酸化によりフローティングゲートの側壁に保護膜を形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−294841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ゲート電極に注入された不純物に起因する局所的なゲートリークの増大を低減させることが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極に導入されたリンまたはヒ素を含む不純物と、前記ゲート電極に導入された炭素と、前記ゲート電極の両側に配置されるように前記半導体基板に形成された不純物拡散層とを備え、前記ゲート電極および前記不純物拡散層が形成されたアクティブ領域による被覆率は50%以上かつその面積が0.02mm以上であることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0008】
本発明の一態様によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の中央部よりも端部の方の濃度が低くなるように分布されたリンまたはヒ素を含む不純物と、前記ゲート電極の両側に配置されるように前記半導体基板に形成された不純物拡散層とを備え、前記ゲート電極および前記不純物拡散層が形成されたアクティブ領域による被覆率は50%以上かつその面積が0.02mm以上であることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0009】
本発明の一態様によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して多結晶シリコン膜を成膜する工程と、前記多結晶シリコン膜にリンまたはヒ素を含む不純物を注入する工程と、前記多結晶シリコン膜に炭素を注入する工程と、前記リンまたはヒ素を含む不純物および炭素が注入された多結晶シリコン膜を加工することでゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板に不純物を注入することで、前記ゲート電極の両側に配置されたソース/ドレイン層を前記半導体基板に形成する工程とを備え、前記ゲート電極および前記ソース/ドレイン層が形成されたアクティブ領域による被覆率は50%以上かつその面積が0.02mm以上であることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の一態様によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して多結晶シリコン膜を成膜する工程と、前記多結晶シリコン膜にリンまたはヒ素を含む不純物を注入する工程と、前記リンまたはヒ素を含む不純物が注入された多結晶シリコン膜を加工することでゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の表面を熱酸化することで、前記リンまたはヒ素を含む不純物を前記ゲート電極の端部に偏析させる工程と、前記ゲート電極の端部に偏析された不純物および前記ゲート電極の表面に形成された酸化膜を除去する工程と、前記端部に偏析された不純物が除去されたゲート電極をマスクとして前記半導体基板に不純物を注入することで、前記ゲート電極の両側に配置されたソース/ドレイン層を前記半導体基板に形成する工程とを備え、前記ゲート電極および前記ソース/ドレイン層が形成されたアクティブ領域による被覆率は50%以上かつその面積が0.02mm以上であることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ゲート電極に注入された不純物に起因する局所的なゲートリークの増大を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】図2は、回路ブロックが密に配置されている場合の温度差分布を示す図である。
【図3】図3は、回路ブロックが疎に配置されている場合の温度差分布を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図1(a)において、半導体基板11に素子分離層12を形成する。なお、半導体基板11の材料は、例えば、Si、Ge、SiGe、GaAs、InP、GaP、GaN、SiC、GaInAsPなどを用いることができる。また、素子分離層12としては、STI(Shallow Trench Isolation)を用いるようにしてもよいし、LOCOS(Local Oxidation Of Silicon)を用いるようにしてもよい。また、素子分離絶縁層12の材料は、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。
【0015】
次に、素子分離層12で分離された半導体基板11上にゲート絶縁膜13を形成する。なお、ゲート絶縁膜13の材料は、シリコン酸化膜を用いるようにしてもよいし、PLZTなどの高誘電体膜を用いるようにしてもよい。また、ゲート絶縁膜13の膜厚は、1.4nm以下であることが好ましい。次に、CVDなどの方法を用いることにより、ゲート絶縁膜13上に多結晶シリコン膜14´を成膜する。
【0016】
次に、図1(b)に示すように、多結晶シリコン膜14´に対してイオン注入IP1を行うことにより、多結晶シリコン膜14´に炭素15を導入する。なお、炭素15の濃度は、5E19〜3E20/cmの範囲に設定することが好ましい。例えば、イオン注入IP1の条件は、多結晶シリコン膜14´の膜厚が80nmの場合、加速電圧は4〜8keVの範囲、ドーズ量は1E15〜3E15cm−2の範囲に設定することが好ましい。
【0017】
加速電圧が低すぎると、ゲートリークの低減効果がなくなり、加速電圧が高すぎると、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)が発生する。ドーズ量が低すぎると、ゲートリークの低減効果がなくなり、ドーズ量が高すぎると、ゲートリークが却って増大する。
次に、図1(c)に示すように、多結晶シリコン膜14´に対してイオン注入IP2を行うことにより、多結晶シリコン膜14´にリン16を導入する。なお、リン16に追加してヒ素を用いるようにしてもよい。
【0018】
次に、図1(d)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて多結晶シリコン膜14´をパターニングすることにより、ゲート絶縁膜13上にゲート電極14を形成する。
【0019】
次に、図1(e)に示すように、CVDなどの方法を用いることにより、ゲート電極14が覆われるようにして半導体基板11上にオフセット絶縁膜17を形成する。なお、オフセット絶縁膜17としては、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。また、オフセット絶縁膜17の膜厚は、LDD層19形成後のLDD層19の横方向への拡散分に対応させることができる。
【0020】
次に、オフセット絶縁膜17が側壁に形成されたゲート電極14をマスクとして半導体基板11にイオン注入することにより、半導体基板11にLDD層19を形成する。
【0021】
次に、オフセット絶縁膜17を介してゲート電極14の側壁にサイドウォール18を形成する。そして、サイドウォール18およびゲート電極14をマスクとして半導体基板11にイオン注入することにより、半導体基板11に高濃度不純物拡散層20を形成し、ゲート電極14の両側に配置されたソース/ドレイン層を半導体基板11に形成する。そして、例えば、スパイクランプアニールまたはフラッシュランプアニールなどの方法によって、ソース/ドレイン層の熱処理を行うことにより、ソース/ドレイン層を活性化する。
【0022】
ここで、特定の集積度以上のデバイス領域に対して、フラッシュランプアニールなどの熱処理を行うと、ある特定領域の温度が極端に上昇する。
【0023】
図2は、回路ブロックが密に配置されている場合の温度差分布を示す図である。
図2(a)において、半導体基板1には回路ブロック2が形成され、回路ブロック2は密に配置されているものとする。ここで、回路ブロック2には不純物拡散層3およびゲート電極4が設けられ、これらの不純物拡散層3およびゲート電極4にてアクティブ領域が特定の集積度以上で形成されている。なお、不純物拡散層3は、トランジスタのソース/ドレイン層として用いることができる。
【0024】
このような回路ブロック2が配置された半導体基板1に対して、不純物拡散層3を活性化させる熱処理を行うと、図2(b)に示すように、回路ブロック2の部分の温度がその周囲に比べて温度が高くなり、図2(c)に示すように、温度差分布が発生する。なお、このような温度差分布が発生するのは、パターンサイズや密度に依存した光の回折効果により半導体基板1に与えられる熱エネルギーが代わるためだと考えられる。光の波長に対してパターンのピッチが狭くなるほどそれ以外の領域と比較して温度上昇が激しくなると考えられる。
【0025】
図3は、回路ブロックが疎に配置されている場合の温度差分布を示す図である。
図3(a)において、半導体基板1´には回路ブロック2´が形成され、回路ブロック2´は疎に配置されているものとする。ここで、回路ブロック2´には不純物拡散層3´およびゲート電極4´が設けられ、これらの不純物拡散層3´およびゲート電極4´にてアクティブ領域が特定の集積度以上で形成されている。
【0026】
このような回路ブロック2が配置された半導体基板1´に対して、不純物拡散層3´を活性化させる熱処理を行うと、図3(b)に示すように、回路ブロック2´の部分の温度がその周囲に比べて温度が高くなり、図3(c)に示すように、温度差分布が発生する。ただし、図3の例では、図2の例に比べて回路ブロック2´が疎に配置されているため、温度差は小さくなっている。
【0027】
このように、活性化アニールを行うと、特定の集積度以上のデバイス領域では、それ以外の領域と比較して温度上昇が激しくなる。特定の集積度以上のデバイス領域では、ゲートエッジでのリン16の拡散により、ゲートリークが局所的に増加し、トランジスタ特性が変動する。
【0028】
さらに、特定の集積度以上のデバイス領域では、トランジスタの個数が多いため、局所的なゲートリークの増大の影響を受けるトランジスタの個数も多くなり、ビット不良として検出される確率が高くなる。
【0029】
このため、大容量のSRAMなどのように多数のトランジスタが高集積度で搭載されていると、局所的なゲートリークの増大によってビット不良として検出されるトランジスタが増えるため、歩留まりが悪化する。
【0030】
これに対して、特定の集積度以上のデバイス領域に対して、ゲート電極14に炭素15を導入することにより、ゲート電極14内でリン16が拡散するのを抑制することができる。このため、活性化アニールなどの熱処理を行った場合においても、リン16がゲート電極14の端部に偏析し、リン16がゲート絶縁膜13にダメージを与えるのを抑制することができ、局所的なゲートリークの増大を低減することができる。
【0031】
なお、1個のトランジスタにおいて局所的なゲートリークの増大が発生する確率は低いため、少数のトランジスタが低集積度で搭載されている集積回路では、上述したゲートリーク対策を施さなくても、歩留まりの低下にほとんど影響がない。
これに対して、大容量のSRAMのように多数のトランジスタが高集積度で搭載されている集積回路では、その中のいずれかのトランジスタで局所的なゲートリークの増大が発生する確率が高くなるため、単ビット不良として検出され、歩留まりを落とす要因として大きく寄与する。このため、上述したゲートリーク対策は、大容量のSRAMや大規模なロジック回路のように多数のトランジスタが搭載されている集積回路に適用することが好ましい。具体的には、上述したゲートリーク対策は、ゲート電極が形成されたアクティブ領域による被覆率が50%以上かつその面積が0.02mm以上の領域が配置された集積回路に適用することが好ましい。
【0032】
また、ゲート絶縁膜13の膜厚が1.4nmよりも厚い場合には、ゲートエッジでのリン16の拡散が発生した場合においても、ゲートリークが局所的に増加することはほとんどない。このため、ゲート電極14に炭素15を導入することによるゲートリークを低減効果は、ゲート絶縁膜13の膜厚が1.4nm以下の場合に顕著に現れる。
【0033】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4(a)において、半導体基板21に素子分離層22を形成する。次に、素子分離層22で分離された半導体基板21上にゲート絶縁膜23を形成する。次に、CVDなどの方法を用いることにより、ゲート絶縁膜23上に多結晶シリコン膜24´を成膜する。
【0034】
次に、図4(b)に示すように、多結晶シリコン膜24´に対してイオン注入IP3を行うことにより、多結晶シリコン膜24´にリン26を導入する。なおリン16に追加してヒ素を用いるようにしてもよい。
【0035】
次に、図4(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて多結晶シリコン膜24´をパターニングすることにより、ゲート絶縁膜23上にゲート電極24を形成する。
【0036】
次に、図4(d)に示すように、ゲート電極24の表面を熱酸化することで、ゲート電極24の表面に酸化膜31を形成するとともに、リン26をゲート電極24の端部に偏析させる。
【0037】
次に、図4(e)に示すように、ウェットエッチングまたはプラズマエッチングなどの方法を用いることにより、ゲート電極24の端部に偏析されたリン26およびゲート電極24の表面に形成された酸化膜31を除去する。ここで、ゲート電極24の端部に偏析されたリン26を除去した後のゲート電極24のリン26の濃度分布Nは、ゲート電極24の中央部よりも端部の方の濃度が低くなる。ここで、ゲート電極24の中央部の不純物濃度に対する端部のリン26の濃度の低下率Hは、20%以上であることが好ましい。
【0038】
次に、図4(f)に示すように、ゲート電極24の表面を熱酸化することで、ゲート電極24の表面に酸化膜32を付け直す。
次に、CVDなどの方法を用いることにより、ゲート電極24が覆われるようにして半導体基板21上にオフセット絶縁膜27を形成する。
次に、オフセット絶縁膜27が側壁に形成されたゲート電極24をマスクとして半導体基板21にイオン注入することにより、半導体基板21にLDD層29を形成する。
【0039】
次に、オフセット絶縁膜27を介してゲート電極24の側壁にサイドウォール28を形成する。そして、サイドウォール28およびゲート電極24をマスクとして半導体基板21にイオン注入することにより、半導体基板21に高濃度不純物拡散層30を形成し、ゲート電極24の両側に配置されたソース/ドレイン層を半導体基板21に形成する。そして、例えば、スパイクランプアニールまたはフラッシュランプアニールなどの方法によって、ソース/ドレイン層の熱処理を行うことにより、ソース/ドレイン層を活性化する。
【0040】
ここで、熱酸化にてリン26をゲート電極24の端部に偏析させた後、その偏析されたリン26を除去することにより、その後に活性化アニールなどの熱処理を行った場合においても、ゲートエッジでのリン26の拡散を減少させることができる。このため、リン26がゲート絶縁膜23にダメージを与えるのを抑制することができ、局所的なゲートリークの増大を低減することができる。
【0041】
また、大容量のSRAMのように多数のトランジスタが高集積度で搭載されている集積回路では、その中のいずれかのトランジスタでゲートリークが発生する確率が高くなる。このため、上述したゲートリーク対策は、大容量のSRAMや大規模なロジック回路のように多数のトランジスタが搭載されている集積回路に適用することが好ましい。具体的には、上述したゲートリーク対策は、ゲート電極が形成されたアクティブ領域による被覆率が50%以上かつその面積が0.02mm以上の領域が配置された集積回路に適用することが好ましい。
【0042】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5(a)において、半導体基板41に素子分離層42を形成する。次に、素子分離層42で分離された半導体基板41上にゲート絶縁膜43を形成する。次に、CVDなどの方法を用いることにより、ゲート絶縁膜43上に多結晶シリコン膜44´を成膜する。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、多結晶シリコン膜44´に対してイオン注入IP4を行うことにより、多結晶シリコン膜44´にリン46を導入する。なお、リン46の代わりにヒ素を用いるようにしてもよい。
【0044】
次に、図5(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて多結晶シリコン膜44´をパターニングすることにより、ゲート絶縁膜43上にゲート電極44を形成する。
【0045】
次に、図5(d)に示すように、ゲート電極44の表面を熱酸化することで、ゲート電極44の表面に酸化膜51を形成する。
【0046】
次に、図5(e)に示すように、ゲート電極44の熱処理を行うことにより、リン46をゲート電極44の端部に偏析させる。なお、ゲート電極44の熱処理は、1000℃以上の温度で行うことが好ましい。また、この熱処理として、スパイクRTA(Rapid Thermal Anneal)、MSA(Millisec Anneal)またはフラッシュランプアニールを用いることができる。
【0047】
次に、図5(f)に示すように、ウェットエッチングまたはプラズマエッチングなどの方法を用いることにより、ゲート電極44の端部に偏析されたリン46およびゲート電極44の表面に形成された酸化膜51を除去する。ここで、ゲート電極44の端部に偏析されたリン46を除去した後のゲート電極44のリン46の濃度分布Nは、ゲート電極44の中央部よりも端部の方の濃度が低くなる。ここで、ゲート電極44の中央部のリン46の濃度に対する端部のリン46の濃度の低下率Hは、20%以上であることが好ましい。
【0048】
次に、図5(g)に示すように、CVDなどの方法を用いることにより、ゲート電極44が覆われるようにして半導体基板41上にオフセット絶縁膜47を形成する。
次に、オフセット絶縁膜47が側壁に形成されたゲート電極44をマスクとして半導体基板41にイオン注入することにより、半導体基板41にLDD層49を形成する。
次に、オフセット絶縁膜47を介してゲート電極44の側壁にサイドウォール48を形成する。そして、サイドウォール48およびゲート電極44をマスクとして半導体基板41にイオン注入することにより、半導体基板41に高濃度不純物拡散層50を形成し、ゲート電極44の両側に配置されたソース/ドレイン層を半導体基板41に形成する。そして、例えば、スパイクランプアニールまたはフラッシュランプアニールなどの方法によって、ソース/ドレイン層の熱処理を行うことにより、ソース/ドレイン層を活性化する。
【0049】
ここで、熱処理にてリン46をゲート電極44の端部に偏析させた後、その偏析されたリン46を除去することにより、その後に活性化アニールなどの熱処理を行った場合においても、リン46がゲート絶縁膜43にダメージを与えるのを抑制することができ、局所的なゲートリークの増大を低減することができる。
【0050】
また、大容量のSRAMのように多数のトランジスタが高集積度で搭載されている集積回路では、その中のいずれかのトランジスタでゲートリークが発生する確率が高くなる。このため、上述したゲートリーク対策は、大容量のSRAMや大規模なロジック回路のように多数のトランジスタが搭載されている集積回路に適用することが好ましい。具体的には、上述したゲートリーク対策は、ゲート電極が形成されたアクティブ領域による被覆率が50%以上かつその面積が0.02mm以上の領域が配置された集積回路に適用することが好ましい。
【符号の説明】
【0051】
1、1´、11、21、41 半導体基板、2、2´ 回路ブロック、3、3´ 不純物拡散層、12、22、42 素子分離層、13、23、43 ゲート絶縁膜、4、4´、14、24、44 ゲート電極、15 炭素、16、26、46 リン、17、27、47 オフセット絶縁膜、18、28、48 サイドウォール、19、29、49 LDD層、20、30、50 高濃度不純物拡散層、31、32、51 酸化膜、14´、24´、44´ 多結晶シリコン膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極に導入されたリンまたはヒ素を含む不純物と、
前記ゲート電極に導入された炭素と、
前記ゲート電極の両側に配置されるように前記半導体基板に形成された不純物拡散層とを備え、
前記ゲート電極および前記不純物拡散層が形成されたアクティブ領域による被覆率は50%以上かつその面積が0.02mm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記炭素の濃度は、5E19〜3E20/cmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の中央部よりも端部の方の濃度が低くなるように分布されたリンまたはヒ素を含む不純物と、
前記ゲート電極の両側に配置されるように前記半導体基板に形成された不純物拡散層を備え、
前記ゲート電極および前記不純物拡散層が形成されたアクティブ領域による被覆率は50%以上かつその面積が0.02mm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート電極の端部の不純物濃度は、前記ゲート電極の中央部の不純物濃度よりも20%以上低いことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して多結晶シリコン膜を成膜する工程と、
前記多結晶シリコン膜にリンまたはヒ素を含む不純物を注入する工程と、
前記多結晶シリコン膜に炭素を注入する工程と、
前記リンまたはヒ素を含む不純物および炭素が注入された多結晶シリコン膜を加工することでゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板に不純物を注入することで、前記ゲート電極の両側に配置されたソース/ドレイン層を前記半導体基板に形成する工程とを備え、
前記ゲート電極および前記ソース/ドレイン層が形成されたアクティブ領域による被覆率は50%以上かつその面積が0.02mm以上であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して多結晶シリコン膜を成膜する工程と、
前記多結晶シリコン膜にリンまたはヒ素を含む不純物を注入する工程と、
前記リンまたはヒ素を含む不純物が注入された多結晶シリコン膜を加工することでゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の表面を熱酸化することで、前記リンまたはヒ素を含む不純物を前記ゲート電極の端部に偏析させる工程と、
前記ゲート電極の端部に偏析された不純物および前記ゲート電極の表面に形成された酸化膜を除去する工程と、
前記端部に偏析された不純物が除去されたゲート電極をマスクとして前記半導体基板に不純物を注入することで、前記ゲート電極の両側に配置されたソース/ドレイン層を前記半導体基板に形成する工程とを備え、
前記ゲート電極および前記ソース/ドレイン層が形成されたアクティブ領域による被覆率は50%以上かつその面積が0.02mm以上であることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−187491(P2011−187491A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48123(P2010−48123)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】