説明

半導体装置及び半導体装置の電源制御方法

【課題】1つの回路ブロックに対して設けた複数の電源スイッチを順次オンさせていく構成において、スイッチオンのタイミングを適切に制御可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、内部回路と、内部回路へ電流を供給する複数の並列な経路にそれぞれ設けられ、導通状態又は非導通状態に制御される複数の電源スイッチと、内部回路への電源を遮断する指示又は電源を供給する指示を行なう命令部と、内部回路に電源スイッチを介して供給される電流が定常状態であるか否かを検知して検知結果を出力する変動検知部と、命令部の電源供給指示に応答して、複数の電源スイッチを順次導通状態にして内部回路への電流供給量を増やしていく際に、複数の電源スイッチを導通させるタイミングを検知結果に応じて制御する論理回路とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、一般に半導体装置に関し、詳しくは電源制御機構を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器においては、低消費電力化への要求が強くなっており、電源切断機能を備えたLSI(大規模集積回路)を採用する場合が多くなっている。電源切断機能を備えたLSIでは、内部の複数の回路ブロックのうち不使用状態の回路ブロックの電源を切断することにより、その回路ブロックでのリーク電流の消費を無くして消費電力を削減する。この機能は、特に待機時の電力削減要求が厳しい通信用携帯機器では必須の技術である。
【0003】
図1は、電源切断機能を搭載したLSIにおける問題点を説明するための図である。半導体集積回路10は、HIGH側電源配線11、LOW側電源配線12、電力管理ユニット(PMU)13、回路ブロック14、回路ブロック15、安定化容量16、安定化容量17、パワースイッチであるPMOSトランジスタ18及び19を含む。回路ブロック14に供給する電源電圧のHIGH側とLOW側との間には、回路ブロック14の電源電圧を安定化するための安定化容量16が設けられる。図1の例では、回路ブロック14の電源電圧のHIGH側に、パワースイッチであるPMOSトランジスタ18が設けられている。電力管理ユニット13がPMOSトランジスタ18のゲートに印加するゲート制御信号gaを制御することにより、回路ブロック14への電源供給/停止を切り替えることができる。回路ブロック15についても、回路ブロック14と同様の構成となっている。
【0004】
電源切断機能により、回路ブロック14の電源が切断されている状態を考える。切断状態が続くと、安定化容量16の電荷及び回路ブロック14内部の電荷が全てリーク電流の経路を介して放電され、電圧VDDVAはグランド電圧VSSに近い電圧まで降下する。この状態で、電力管理ユニット13がPMOSトランジスタ18を導通状態にして回路ブロック14への電源供給を開始すると、回路ブロック14内部の容量及び安定化容量16を充電するために大量の突入電流(rush current)が発生する。この突入電流が流れることにより、HIGH側電源配線11に電源ノイズ(Dynamic IR−drop)が発生し、HIGH側電源配線11上を伝搬して半導体集積回路10の各部に悪影響を及ぼす。例えば回路ブロック15や電力管理ユニット13の電源電圧が変動することにより、これらの回路が誤動作してしまう可能性がある。このような電源電圧の変動は、主に、HIGH側電源配線11とLOW側電源配線12との間の電圧値が瞬間的にΔV降下する形で現れる。
【0005】
一般的に、PMOSトランジスタ18のサイズ(ゲート幅)が小さければ、供給電流量が少ないので、突入電流を抑制してΔVを許容可能範囲内に収めることができる。しかしこの場合、回路ブロック14の消費電流(例えばリーク電流)に相当する量の電流を供給できずに、回路ブロック14及び安定化容量16を所望の電圧値まで充電することができない可能性がある。逆に、回路ブロック14の消費電流を賄うに十分なサイズのPMOSトランジスタ18を用いると、突入電流が大きくなり、ΔVが許容可能な範囲を超えてしまう。ところがPMOSトランジスタ18のサイズを更に大きくすると、PMOSトランジスタ18のゲートの入力容量が大きくなりゲート制御信号gaの波形が鈍くなる結果、スイッチング速度が低下して突入電流が少なくなるという現象が生じる。このようにしてゲート制御信号gaの波形を鈍くすることにより、ΔVを許容可能範囲内に収めるように設計することができる。
【0006】
ゲート制御信号の波形を鈍らせる仕組みとして、上記のトランジスタのゲート容量を大きくする手法、大きな設計容量をゲートに付加する手法、ゲート制御信号を駆動するバッファの駆動力を下げる手法等がある。このうち、ゲート容量を大きくする又は大きな設計容量をゲートに付加する手法では、容量がチップ内の面積を占有するために製造コストが上昇する要因となる。またバッファ駆動力を下げる手法では、製造バラツキ等によりバッファが正常動作しないチップが多発し、製造歩留まりが低下し、結果として製造コストが上昇する要因となる。また、電源遮断したい回路の規模が大きくなると、上記の傾向は更に顕著になる。
【0007】
特許文献1には、電源スイッチを小さいサイズの多数の電源スイッチに分割しておき、タイミングをずらしながら各電源スイッチを順次オンさせていく構成が開示されている。最終的には回路の消費電流を供給するのに必要な分の電源スイッチを全てオンさせる。特許文献2には、電源遮断対象の回路を小さい回路ブロックに分割し、タイミングをずらしながら各回路ブロックを順次オンさせていく構成が開示されている。最終的には分割した回路ブロックを全てオンさせる。
【0008】
特許文献2のように電源遮断対象の回路を小さい回路ブロックに分割することは、設計が困難になる等の観点から好ましくない。従って、特許文献1のように1つの電源遮断対象の回路ブロックに対して設けた複数の電源スイッチを順次オンさせていく構成が好ましい。このように1つの回路ブロックに対して設けた複数の電源スイッチを順次オンさせていく構成の場合、必要以上に長い時間をかけることなく且つ確実に電源ノイズを回避できるように、スイッチオンのタイミングを適切に制御することが望まれる。そのためには、固定的に設定した制御とするのではなく、動作状態に応じて動的にスイッチオンのタイミングを制御することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−65732号公報
【特許文献2】特開2007−267162号公報
【特許文献3】特開平11−214978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上を鑑みて、1つの回路ブロックに対して設けた複数の電源スイッチを順次オンさせていく構成において、スイッチオンのタイミングを適切に制御可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
半導体装置は、内部回路と、前記内部回路へ電流を供給する複数の並列な経路にそれぞれ設けられ、導通状態又は非導通状態に制御される複数の電源スイッチと、前記内部回路への電源を遮断する指示又は電源を供給する指示を行なう命令部と、前記内部回路に前記電源スイッチを介して供給される電流が定常状態であるか否かを検知して検知結果を出力する変動検知部と、前記命令部の電源供給指示に応答して、前記複数の電源スイッチを順次導通状態にして前記内部回路への電流供給量を増やしていく際に、前記複数の電源スイッチを導通させるタイミングを前記検知結果に応じて制御する論理回路とを含むことを特徴とする。
【0012】
半導体装置の電源制御方法は、内部回路と、前記内部回路へ電流を供給する複数の並列な経路にそれぞれ設けられる複数の電源スイッチと、前記内部回路への電源を遮断する指示又は電源を供給する指示を行なう命令部とを含み、前記命令部の電源供給指示に応答して前記複数の電源スイッチを導通状態にして前記内部回路を電源遮断状態から電源供給状態へ変化させる半導体装置において、前記複数の電源スイッチのうちの少なくとも1つを非導通状態から導通状態に変化させ、前記少なくとも1つの電源スイッチを導通状態に変化させた後に前記内部回路に供給される電流が定常状態であるか否かを検知し、前記検知の結果が前記電流の定常状態を示す場合に前記複数の電源スイッチのうちの導通状態にある電源スイッチの数を増やす各段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願開示の少なくとも1つの実施例によれば、回路ブロックに対して設けた複数の電源スイッチを順次オンさせていく構成において、供給電流が定常状態であるか否かを検知し、複数の電源スイッチを導通させるタイミングをその検知結果に応じて制御する。これにより、スイッチオンのタイミングを適切に制御し、ノイズを避けながらも迅速に電源供給開始動作を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電源切断機能を搭載したLSIにおける問題点を説明するための図である。
【図2】回路ブロックへの電源供給及び電源遮断を制御する構成を有する半導体装置の一例を示す図である。
【図3】回路ブロックへの電源供給開始動作を示すタイムチャートである。
【図4】変動検知部の構成の一例を示す図である。
【図5】図4の変動検知部の動作を示すタイムチャートである。
【図6】変動検知部の構成の別の一例を示す図である。
【図7】図6の変動検知部の動作を示すタイムチャートである。
【図8】パルス信号の間隔の適正値について説明するための図である。
【図9】変動検知部に対する変形の一例を示す図である。
【図10】図9に示す回路の動作例を示すタイムチャートである。
【図11】変動検知部に対する更なる変形の一例を示す図である。
【図12】図11に示す回路の動作例を示すタイムチャートである。
【図13】変動検知部に対する更なる変形の一例を示す図である。
【図14】図13の回路の動作例を示すタイムチャートである。
【図15】回路ブロックへの電源供給及び電源遮断を制御する構成を有する半導体装置の別の一例を示す図である。
【図16】図15の構成において回路ブロックへの電源供給開始動作を示すタイムチャートである。
【図17】変動検知部の構成の一例を示す図である。
【図18】アンプの構成の一例を示す図である。
【図19】図17の変動検知部の動作を示すタイムチャートである。
【図20】半導体装置の変形例を示す図である。
【図21】切換回路の構成の一例を示す図である。
【図22】図21に示す切換回路の動作及び図20に示す変動検知部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施例を添付の図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図2は、回路ブロックへの電源供給及び電源遮断を制御する構成を有する半導体装置の一例を示す図である。半導体集積回路20は、HIGH側電源配線21、LOW側電源配線22、電力管理ユニット(PMU)23、回路ブロック24、安定化容量25、PMOSトランジスタ26−1乃至26−4、フリップフロップ27−1乃至27−3、及び変動検知部28を含む。PMOSトランジスタ26−1乃至26−4及びフリップフロップ27−1乃至27−3は、回路ブロック24の電源制御のために設けられる回路であり、図示される数だけでなく更に設けられてよい。半導体集積回路20には、回路ブロック24以外の他の回路ブロックが設けられてよく、これら他の回路ブロックについても、回路ブロック24と同様の電源制御のための回路が設けられてよい。
【0017】
回路ブロック24に供給する電源電圧のHIGH側とLOW側との間には、回路ブロック24の電源電圧を安定化するための安定化容量25が設けられる。図2の例では、回路ブロック24の電源電圧のHIGH側に、パワースイッチであるPMOSトランジスタ26−1乃至26−4が設けられている。電力管理ユニット23及びフリップフロップ27−1乃至27−3がPMOSトランジスタ26−1乃至26−4のゲートに印加するゲート制御信号a乃至dを制御することにより、回路ブロック24への電源供給及び停止を切り替える。
【0018】
PMOSトランジスタ26−1乃至26−4は、回路ブロック24へ電流を供給する複数の並列な経路にそれぞれ設けられ、導通状態又は非導通状態に制御される複数の電源スイッチである。電力管理ユニット23は、回路ブロック24への電源を遮断する指示又は電源を供給する指示を行なう命令部である。変動検知部28は、回路ブロック24にPMOSトランジスタ26−1乃至26−4を介して供給される電流が定常状態であるか否かを検知して検知結果を出力する。図2に示す例では、変動検知部28は、回路ブロック24(及び安定化容量25)に充電された電圧VDDVAの時間的な変化率が所定値以下であるか否かに応じた信号を上記の検知結果として出力する。フリップフロップ27−1乃至27−3は、電力管理ユニット23の電源供給指示に応答して、PMOSトランジスタ26−2乃至26−4を順次導通状態にして回路ブロック24への電流供給量を徐々に増やしていく。その際に、PMOSトランジスタ26−2乃至26−4を導通させるタイミングを変動検知部28の出力する検知結果に応じて制御する。
【0019】
電力管理ユニット23が、ゲート制御信号aをLOWにアサートすると、まず最初にPMOSトランジスタ26−1が導通して回路ブロック24に電流を供給する。このときPMOSトランジスタ26−1に流れる電流には、回路ブロック24内の容量及び安定化容量25を充電するための充電電流(突入電流)と、回路ブロック24の消費電流(主にリーク電流)を供給するための定常電流が含まれる。充電電流は、容量の充電が終了すると消滅し、このとき充電電圧VDDVAの変化もなくなる。定常電流は、VDDVAレベルに依存する電流であり、VDDVAが上昇するほど回路ブロック24の消費電流が多くなり、これを供給するための定常電流の電流量も多くなる。充電が終了すると、充電電圧VDDVAの変化がなくなるとともに充電電流がなくなって定常電流のみとなり、PMOSトランジスタ26−1を流れる電流量は定常状態の一定値となる。このようにPMOSトランジスタ26−1を流れる電流が定常状態となると、突入電流による電源ノイズΔVは既に消滅しているので、次のPMOSトランジスタ26−2を導通させてよい。図2の構成例では、変動検知部28は、充電電圧VDDVAの時間的な変化率が所定値以下になると出力信号pulseをアサートする。即ち、充電電圧VDDVAの変化がなくなり定常電流のみとなると、パルス信号pulseが生成される。フリップフロップ27−1は、このパルス信号pulseに応答してD入力のLOWを取り込み、そのQ出力であるゲート制御信号bがLOWとなる。これにより、PMOSトランジスタ26−2が導通される。以降、同様にしてPMOSトランジスタが順次導通されていく。このようにして、フリップフロップ27−1乃至27−3は、変動検知部28の検知結果が電流の非定常状態から定常状態への変化を示す毎に、PMOSトランジスタのうちで導通状態にある電源スイッチの数を増やしていく。増やしていく数は1つずつでよいが、突入電流によるノイズが許容範囲内であれば、例えば2つのPMOSトランジスタを同時に導通状態とすることを妨げるものではない。
【0020】
図3は、回路ブロックへの電源供給開始動作を示すタイムチャートである。回路ブロック24が電源遮断状態である状態において、まず電力管理ユニット(PMU)23がゲート制御信号aをLOWにする。このゲート制御信号aのLOWにより、PMOSトランジスタ26−1が導通状態となり、更にフリップフロップ27−1乃至27−3と変動検知部28とがリセット解除され活性化される。PMOSトランジスタ26−1が導通状態となり流れる電流により、回路ブロック24の供給電位VDDVAが上昇を始める。またこのとき流れる電流により、HIGH側電源配線21とLOW側電源配線22との間の電圧V−ΔVは下降する。この電圧下降は、1つのPMOSトランジスタ26−1が導通して流れる電流に起因するものであり、電流量が小さいために電圧降下幅も小さい。その後、電圧VDDVAは、PMOSトランジスタ26−1で供給する電流と、VDDVA電位時に回路ブロック24が消費する電流とが釣り合う電位に飽和してくる。VDDVA電位上昇が完全に飽和した時、回路ブロック24に流れ込む電流は定常状態の一定値となり、この時の電流は電源ノイズΔVには寄与しない。変動検知部28は、VDDVA電位変動が飽和したこと検知して、すなわちΔVが十分に小さくなったことを検知して、1ショット検知パルス信号pulseを出力する。このパルス信号pulseに応答して、フリップフロップ27−1がゲート制御信号bをLOWとし、次段のPMOSトランジスタ26−2が導通する。これにより回路ブロック24を充電するための新たな突入電流が流れ始めてVDDVAが再上昇する。その後、電圧VDDVAは、PMOSトランジスタ26−1及び26−2で供給する電流と、VDDVA電位時に回路ブロック24が消費する電流とが釣り合う電位に飽和してくる。変動検知部28は、VDDVA電位変動が飽和したこと検知して、すなわちΔVが十分に小さくなったことを検知して、1ショット検知パルス信号pulseを出力する。このパルス信号pulseに応答して、フリップフロップ27−2がゲート制御信号cをLOWとし、次段のPMOSトランジスタ26−3が導通する。この動作を順次繰り返すことによって、最終的に回路ブロック24が消費する電流を供給するのに必要なサイズ分のPMOSトランジスタが導通状態となれば、電源起動が終了となる。
【0021】
なお電源遮断動作時には、電力管理ユニット23が電源遮断指示としてゲート制御信号aをHIGHにする。これによりフリップフロップ27−1乃至27−3はリセットされQ出力がHIGHとなり、PMOSトランジスタ26−1乃至26−4は全て非導通状態とされる。
【0022】
図4は、変動検知部28の構成の一例を示す図である。図4に示す変動検知部28は、コンパレータ31、インバータ32、NMOSトランジスタ33、PMOSトランジスタ34、ワンショットパルス生成器35、容量素子C、及び抵抗素子R1乃至R3を含む。この構成では、電圧VDDVAの時間的な変化率を検知するために、容量素子Cと抵抗素子R1との接続点の電圧vmeasが、容量素子C及び抵抗素子R1の時定数に応じて電圧VDDVAから離れていくことを利用する。抵抗素子R2及びR3により基準電圧vrefを生成し、コンパレータ31により、電圧vmeasと基準電圧vrefとを比較する。ワンショットパルス生成器35は複数のインバータ36とAND回路37とを含み、コンパレータ31の出力信号vdetの立ち上がり遷移に応答して所定の幅のパルス信号を生成する。なおリセット信号reset(図2に示すゲート制御信号a)がLOWになると、NMOSトランジスタ33が導通してコンパレータ31が活性化され、変動検知部28のリセット状態が解除される。
【0023】
図5は、図4の変動検知部28の動作を示すタイムチャートである。電圧VDDVAが時間に対して高い上昇率(変動率)で上昇している間は、図4の容量素子Cと抵抗素子R1との接続点の電圧vmeasが上昇する。電圧vmeasが基準電圧ref以上になったことをコンパレータ31が検知すると、コンパレータ31の出力vdetがLOWになる。その後、電圧VDDVAの上昇率が鈍るとCRの時定数に応じてvmeasが下降し始める。電圧vmeasが基準電圧ref以下になったことをコンパレータ31が検知すると、コンパレータ31の出力vdetがHIGHになる。この信号vdetのHIGHへの遷移を、ワンショットパルス生成器35が検出し、パルス信号pulseを生成する。このパルス信号pulseが、図2に示されるフリップフロップ27−1乃至27−3に供給される。
【0024】
図6は、変動検知部28の構成の別の一例を示す図である。図6に示す変動検知部28は、ADコンバータ41、フリップフロップ42、フリップフロップ43、コンパレータ44、及びワンショットパルス生成器45を含む。これらADコンバータ41、フリップフロップ42、フリップフロップ43、及びコンパレータ44は、基準クロック信号clockに同期して動作する。まずADコンバータ41により、アナログ電圧VDDVAをデジタルデータd0乃至d3に変換する。フリップフロップ42により、デジタルデータd0乃至d3から1クロック遅延したデジタルデータd10乃至d13を生成する。またフリップフロップ43により、デジタルデータd10乃至d13から更に1クロック遅延したデジタルデータd20乃至d23を生成する。コンパレータ44は、互いに1クロックサイクル分時間的に異なるデータであるデジタルデータd10乃至d13とデジタルデータd20乃至d23とを比較する。コンパレータ44の比較結果出力vdetは、例えば、デジタルデータd10乃至d13とデジタルデータd20乃至d23とが一致すればHIGHとなり、一致しなければLOWとなる。ワンショットパルス生成器45は複数のインバータ46とAND回路47とを含み、コンパレータ44の出力信号vdetの立ち上がり遷移に応答して所定の幅のパルス信号を生成する。なおリセット信号reset(図2に示すゲート制御信号a)がLOWになると、ADコンバータ41が活性化され、変動検知部28のリセット状態が解除される。
【0025】
図7は、図6の変動検知部28の動作を示すタイムチャートである。電圧VDDVAが時間に対して高い上昇率(変動率)で上昇している間は、連続する2クロックサイクル間でデジタルデータが異なる値を示すので、コンパレータ44の出力vdetはLOWとなる。その後、電圧VDDVAの上昇率が鈍ると、連続する2クロックサイクル間でデジタルデータが一致するので、コンパレータ44の出力vdetはHIGHとなる。この信号vdetのHIGHへの遷移を、ワンショットパルス生成器45が検出し、パルス信号pulseを生成する。このパルス信号pulseが、図2に示されるフリップフロップ27−1乃至27−3に供給される。
【0026】
図8は、パルス信号pulseの間隔の適正値について説明するための図である。図8に示すタイミングT1でパルス信号pulseを生成して次段のPMOSトランジスタをオンすると、点線51に示す電圧波形のように電圧VDDVAが変化する。即ち、前段のPMOSトランジスタによる電圧VDDVAの上昇の時間的な変化率がまだ十分に小さくなっていない状態で、電圧VDDVAが更なる上昇を始めることになる。即ち、前段の供給電流が十分に定常状態になっていない状態で次段の突入電流が回路ブロック24に流入することになる。この結果、点線52に示す電圧波形のように電源ノイズΔVが許容可能な上限Targetを越えることになる。それに対して、タイミングT2でパルス信号pulseを生成して次段のPMOSトランジスタをオンすると、実線53に示す電圧波形のように電圧VDDVAが変化する。即ち、前段のPMOSトランジスタによる電圧VDDVAの上昇の時間的な変化率が十分に小さくなってから、電圧VDDVAが上昇を始めることになる。即ち、前段の供給電流が十分に定常状態になってから次段の突入電流が回路ブロック24に流入することになる。この結果、実線54に示す電圧波形のように、電源ノイズΔVが許容可能な上限Target以下に留まることになる。また供給電流が定常状態になったら直ちに次段の電源スイッチをオンするので、固定のタイミングで余裕を持たせて制御する構成の場合と比較して、電源スイッチを迅速に順次オンしていくことができる。
【0027】
図9は、変動検知部28に対する変形の一例を示す図である。図9において、例えば図4に示す変動検知部28が、変動検知回路28Aとワンショットパルス生成器28B(35)とに分割して示される。変動検知回路28Aは、図4に示す変動検知部28のうちでワンショットパルス生成器35を除いた部分に相当する。或いは、図9において、例えば図6に示す変動検知部28が、変動検知回路28Aとワンショットパルス生成器28B(45)とに分割して示される。この場合の変動検知回路28Aは、図6に示す変動検知部28のうちでワンショットパルス生成器45を除いた部分に相当する。図9に示す変形例では、変動検知部28に対してAND回路61及びタイマ62を付加している。このAND回路61及びタイマ62は、変動検知回路28Aの検知結果vdetが所定期間以上継続して電流の定常状態を示すと、強制的にパルス信号pulseを生成する仕組みとなっている。
【0028】
図10は、図9に示す回路の動作例を示すタイムチャートである。図10に示す例において、十分な数の電源スイッチ(図2のPMOSトランジスタ26−1乃至26−4)が導通状態となった後に、パルス信号pulseのパルス65が発生したとする。このパルス65に応答して新たな電源スイッチがオンするが、既に十分な数の電源スイッチが導通状態となっているので、新たな電源スイッチのオンによる電源ノイズは発生しない、即ちVDDVAが上昇しない。従って、変動検知回路28Aの出力信号vdetはHIGHに留まる。この場合、図4や図6の変動検知部28のみを用いたのでは、次段以降の電源スイッチがオンしなくなる。VDDVAが上昇しないということは、それ以上の電源スイッチをオンさせる必要が無いとも言えるが、実際には回路ブロック24で消費する電流が増加した場合には追加の供給電流が必要となるので、追加の電源スイッチをオンさせることが好ましい。
【0029】
図9の構成においてパルス信号pulseがタイマ62に印加されると、タイマ62は、図10に示すように時間T遅れて負のパルス信号d_pulseを生成する。AND回路61が、変動検知回路28Aの出力信号vdetと負のパルス信号d_pulseとのANDをとる。従って、パルス信号pulseのパルス発生から時間T以上の期間において信号vdetがHIGHを維持している場合には、AND回路61の出力vdet_aは、一旦LOWに落ちてからHIGHに立ち上がることになる。このHIGHへの立ち上がりに応答して、ワンショットパルス生成器28BがHIGHパルスを生成する。このようにして、変動検知回路28Aの検知結果vdetが所定期間以上継続して電流の定常状態を示す場合に強制的にパルス信号pulseを生成することにより、導通していない全ての電源スイッチを導通させる。
【0030】
図11は、変動検知部28に対する更なる変形の一例を示す図である。図11において、図9と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。図11に示す構成は、図9に示す構成に対して、OR回路63及びワンショットパルス生成器64を追加してある。ワンショットパルス生成器64は、複数のインバータ66とNOR回路67とを含み、リセット信号resetの立ち下がりエッジに応答してHIGHパルスを生成する。ワンショットパルス生成器64が生成したHIGHパルスは、OR回路63を介してタイマ62に印加される。
【0031】
図12は、図11に示す回路の動作例を示すタイムチャートである。図12に示す動作例では、リセット信号resetがLOWになりリセットが解除されても、変動検知回路28Aの出力vdetがLOWに遷移しない。このような状況は、図2において初段のPMOSトランジスタ26−1がオンしても、VDDVAが現在値以上に上昇しない場合に発生する。例えば電源遮断状態の期間が短く、回路ブロック24の内部容量及び安定化容量25に電荷が十分に残っている状態で、電力管理ユニット23が電源供給指令を発行する場合が考えられる。
【0032】
図11の構成において、ワンショットパルス生成器64が、リセット信号resetの立ち下がりエッジに応答してHIGHパルスを生成する。このワンショットパルス生成器64が生成したHIGHパルスは、OR回路63を介してタイマ62に印加される。従って、リセット解除から時間T以上の期間において信号vdetがHIGHを維持している場合には、AND回路61の出力vdet_aは、一旦LOWに落ちてからHIGHに立ち上がることになる。このHIGHへの立ち上がりに応答して、ワンショットパルス生成器28BがHIGHパルスを生成する。このようにして、変動検知回路28Aの検知結果vdetが所定期間以上継続して電流の定常状態を示す場合に強制的にパルス信号pulseを生成することにより、導通していない全ての電源スイッチを導通させる。
【0033】
図13は、変動検知部28に対する更なる変形の一例を示す図である。図13において、図11と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。図13に示す構成は、図11に示す構成に対して、インバータ68及びOR回路69を追加してある。インバータ68は、図2に示すPMOSトランジスタ26−1、26−2、・・・の最終段のゲート制御信号lg(例えば4段目が最終段であるならゲート制御信号d)を入力とする。インバータ68の出力は、OR回路69を介して変動検知回路28Aのリセット入力に印加されると共に、ワンショットパルス生成器64に入力される。
【0034】
図14は、図13の回路の動作例を示すタイムチャートである。図12に示す動作例では、電力管理ユニット23が制御するリセット信号reset(ゲート制御信号a)は、期間P1の間LOWとなり、その間リセット解除状態となっている。例えば図11の回路構成の場合、このリセット解除状態の間は変動検知部28が動作を継続することになり、動作電流が常時消費されることになる。それに対して図13の回路構成の場合、変動検知回路28Aに印加されるリセット信号はOR回路69の出力nresである。このリセット信号nresは、図14に示すように期間P1よりも短い期間P2の間LOWとなり、変動検知回路28Aをリセット解除状態としている。従って、最終段の電源スイッチを確実にオンしながらも、消費電流を削減することができる。
【0035】
図15は、回路ブロックへの電源供給及び電源遮断を制御する構成を有する半導体装置の別の一例を示す図である。図15において、図2と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。図15の構成においては、図2の変動検知部28の代りに変動検知部71が設けられ、また回路ブロック24及び安定化容量25とLOW側電源配線22との間に電流検出用の抵抗素子72が設けられている。変動検知部71は、電流検出抵抗72の両端に生じる電圧差(電流検出抵抗72による降下電圧)を検出し、内部回路(回路ブロック24及び安定化容量25)に流れる電流の時間的な変化率が所定値以下であるか否かに応じた信号を検知結果として出力する。前述のように電源スイッチであるPMOSトランジスタを流れる電流が定常状態となると、突入電流による電源ノイズΔVは既に消滅しているので、次のPMOSトランジスタを導通させてよい。図15の構成例では、変動検知部71は、電流検出抵抗72による降下電圧の時間的な変化率即ち内部回路に流れる電流の時間的な変化率が所定値以下になると出力信号pulseをアサートする。
【0036】
図16は、図15の構成において回路ブロックへの電源供給開始動作を示すタイムチャートである。回路ブロック24が電源遮断状態である状態において、まず電力管理ユニット(PMU)23がゲート制御信号aをLOWにする。このゲート制御信号aのLOWにより、PMOSトランジスタ26−1が導通状態となり、更にフリップフロップ27−1乃至27−3と変動検知部28とがリセット解除され活性化される。PMOSトランジスタ26−1が導通状態となり流れる電流により、電流検出抵抗72の両端の電圧差に相当する電圧VSSRAが上昇する。電圧VSSRAの変化は、PMOSトランジスタ26−1を流れる電流の変化と比例しており、図16に示すように突入電流(充電電流)の寄与分で最初に増大し、その後突入電流(充電電流)が消滅すると定常電流のみとなる。この定常電流は電源ノイズには寄与しない。変動検知部71は、電圧VSSRAの時間的な変化量が所定量以下になったことを検知して、1ショット検知パルス信号pulseを出力する。このパルス信号pulseに応答して、フリップフロップ27−1がゲート制御信号bをLOWとし、次段のPMOSトランジスタ26−2が導通する。これにより回路ブロック24を充電するための新たな突入電流が流れ始める。これにより電圧VSSRAが上昇する。この電圧VSSRAの変化は、PMOSトランジスタ26−1及び26−2を流れる合計電流の変化に比例している。変動検知部71は、電圧VSSRAの時間的な変化量が所定量以下になったことを検知して、1ショット検知パルス信号pulseを出力する。このパルス信号pulseに応答して、フリップフロップ27−2がゲート制御信号cをLOWとし、次段のPMOSトランジスタ26−3が導通する。この動作を繰り返すことによって、最終的に回路ブロック24が消費する電流を供給するのに必要なサイズ分のPMOSトランジスタが導通状態となれば、電源起動が終了となる。
【0037】
図17は、変動検知部71の構成の一例を示す図である。図17に示す変動検知部71は、アンプ80、ADコンバータ81、フリップフロップ82、フリップフロップ83、コンパレータ84、及びワンショットパルス生成器85を含む。これらADコンバータ81、フリップフロップ82、フリップフロップ83、及びコンパレータ84は、基準クロック信号clockに同期して動作する。まずアンプ80により、アナログ電圧VSSRAを増幅する。図16において、回路ブロック24の動作時の電流が電流検出抵抗72に流れても動作上の問題が起こらないようにするためには、電流検出抵抗72の値を数10mΩ程度の小さい抵抗にすることが好ましい。この場合、VSSRAに現れるレベル変動が数10mV程度に小さくなってしまうので、図17に示すアンプ80で例えば20倍に増幅して0〜1V程度のレンジで変動が現れるようにする。
【0038】
ADコンバータ81により、増幅後のアナログ電圧をデジタルデータd0乃至d3に変換する。フリップフロップ82により、デジタルデータd0乃至d3から1クロック遅延したデジタルデータd10乃至d13を生成する。またフリップフロップ83により、デジタルデータd10乃至d13から更に1クロック遅延したデジタルデータd20乃至d23を生成する。コンパレータ84は、互いに1クロックサイクル分時間的に異なるデータであるデジタルデータd10乃至d13とデジタルデータd20乃至d23とを比較する。コンパレータ84の比較結果出力vdetは、例えば、デジタルデータd10乃至d13とデジタルデータd20乃至d23とが一致すればHIGHとなり、一致しなければLOWとなる。ワンショットパルス生成器85は複数のインバータ86とAND回路87とを含み、コンパレータ84の出力信号vdetの立ち上がり遷移に応答して所定の幅のパルス信号を生成する。なおリセット信号reset(図2に示すゲート制御信号a)がLOWになると、アンプ80及びADコンバータ81が活性化され、変動検知部71のリセット状態が解除される。
【0039】
図18は、アンプ80の構成の一例を示す図である。図18のアンプ80は、演算増幅器91、インバータ92、NMOSトランジスタ93、PMOSトランジスタ94、及び抵抗素子95及び96を含む。この例では、抵抗素子96の抵抗値Rに対して、抵抗素子95の抵抗値は19倍の19Rとする。この抵抗素子95及び96の抵抗分割によって、フィードバック電圧VFBの値は、常に増幅後の電圧VSSRA_AMPの値の20分の1になる。演算増幅器91は、フィードバック電圧VFBが入力電圧VSSRAと略等しくになるようにVSSRA_AMPを出力する。その結果、出力電圧VSSRA_AMPは入力電圧VSSRAの約20倍に増幅される。
【0040】
図19は、図17の変動検知部71の動作を示すタイムチャートである。電圧VSSRA_AMPが時間に対して高い変動率で変化している間は、連続する2クロックサイクル間でデジタルデータが異なる値を示すので、コンパレータ84の出力vdetはLOWとなる。その後、電圧VSSRA_AMPの変動率が鈍ると、連続する2クロックサイクル間でデジタルデータが一致するので、コンパレータ84の出力vdetはHIGHとなる。この信号vdetのHIGHへの遷移を、ワンショットパルス生成器85が検出し、パルス信号pulseを生成する。このパルス信号pulseが、図15に示されるフリップフロップ27−1乃至27−3に供給される。
【0041】
なお図17に示す変動検知部71に対して、図9、図11、図13に示したのと同様の変形をしてよい。そのような変形により、図9乃至図14で説明したのと同様の効果を得ることができる。
【0042】
図20は、半導体装置の変形例を示す図である。図20において、図2と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。図20において、回路ユニット20−1乃至20−nの各々が、回路ブロック24、安定化容量25、PMOSトランジスタ26−1乃至26−4、及びフリップフロップ27−1乃至27−3を含む。即ち、複数の回路ブロック24が設けられ、各回路ブロック24毎に電源供給を制御するためのPMOSトランジスタ26−1乃至26−4及びフリップフロップ27−1乃至27−3が設けられている。なお電力管理ユニット23は、全体に対して1つ設けられる。
【0043】
このような構成において、変動検知部28は、大きな回路面積を占有するので、電源制御対象の回路ブロック24毎に1つずつ設けるよりも、複数の回路ブロックに共有させることが好ましい。変動検知部28は、回路を電源遮断状態から電源供給状態に移行するときにしか動作しないこと、また電源遮断している複数の回路ブロックを同時に電源オンすることは電源ノイズ回避のために通常は行なわれないことから、変動検知部28の共有が可能となる。変動検知部28を共有するために、切換回路101が設けられる。なお図20では、変動検知部28を共有する構成を示すが、図17に示す変動検知部71を共有する構成としてもよい。
【0044】
図21は、切換回路101の構成の一例を示す図である。図21に示す切換回路101は、スイッチ回路111、インバータ112乃至114、OR回路115及び116、AND回路117、及びNOR回路118及び119を含む。図21に示す構成は、2つの回路ユニット20−1及び20−2について切換を行なう回路の構成である。回路ユニット20−1について、対応するリセット信号reset_Aと最終段の電源スイッチのゲート制御信号gateAの反転論理とのOR論理nresAを、OR回路115により求める。このOR論理nresAのLOW状態は、回路ユニット20−1が電源遮断状態から電源供給状態へ移行する最中であることを示す。同様に、OR論理nresBのLOW状態は、回路ユニット20−2が電源遮断状態から電源供給状態へ移行する最中であることを示す。これらOR論理nresA及びnresBによりスイッチ回路111を制御することで、回路ユニット20−1のVDDVA又は回路ユニット20−2のVDDVBの何れか一方を選択し、検知対象電圧VDDVとして変動検知部28に供給する。また、OR論理nresAがLOWであれば、変動検知部28が生成するパルス信号pulseを、回路ユニット20−1へパルス信号pulse_Aとして供給する。それに対し、OR論理nresBがLOWであれば、変動検知部28が生成するパルス信号pulseを、回路ユニット20−2へパルス信号pulse_Bとして供給する。
【0045】
図22は、図21に示す切換回路101の動作及び図20に示す変動検知部28の動作を示す図である。信号nresAは、回路ユニット20−1が電源オフから電源オンへ移行する最中はLOWとなり、それ以外の期間はHIGHとなる。また信号nresBは、回路ユニット20−2が電源オフから電源オンへ移行する最中はLOWとなり、それ以外の期間はHIGHとなる。信号nresAとnresBとが同時にLOWになることはない。
【0046】
切換回路101は、信号nresAのLOWに応答して変動検知部28のリセット信号resetをLOWに設定し、変動検知部28を活性化させる。また切換回路101は、電圧VDDVAを検知対象電圧VDDVとして変動検知部28に供給する。その結果、変動検知部28は、電圧VDDVの変化を検知してパルス信号pulseを生成する。このパルス信号pulseは、切換回路101によりパルス信号pulse_Aとして回路ユニット20−1のみに供給される。同様に、切換回路101は、信号nresBのLOWに応答して変動検知部28のリセット信号resetをLOWに設定し、変動検知部28を活性化させる。また切換回路101は、電圧VDDVBを検知対象電圧VDDVとして変動検知部28に供給する。その結果、変動検知部28は、電圧VDDVの変化を検知してパルス信号pulseを生成する。このパルス信号pulseは、切換回路101によりパルス信号pulse_Bとして回路ユニット20−2のみに供給される。このようにして、1つの変動検知部28を用いながら、複数の回路ユニットの回路ブロック24の電源オン動作を管理することが可能となる。
【0047】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で様々な変形が可能である。上記説明では電源スイッチとしてPMOSトランジスタを用いた構成を例として用いたが、回路ブロックとグランド電源線との間にNMOSトランジスタを挿入することにより、このNMOSトランジスタを電源スイッチとして用いてもよい。また順次1つずつ電源スイッチをオンする構成を例として用いたが、電源ノイズが許容範囲に収まるのであれば、順次オンする動作における1回のオン動作において、2つ或いはそれ以上の電源スイッチを同時にオンしてもよい。
【0048】
なお本願発明は以下の内容を含むものである。
(付記1)
内部回路と、
前記内部回路へ電流を供給する複数の並列な経路にそれぞれ設けられ、導通状態又は非導通状態に制御される複数の電源スイッチと、
前記内部回路への電源を遮断する指示又は電源を供給する指示を行なう命令部と、
前記内部回路に前記電源スイッチを介して供給される電流が定常状態であるか否かを検知して検知結果を出力する変動検知部と、
前記命令部の電源供給指示に応答して、前記複数の電源スイッチを順次導通状態にして前記内部回路への電流供給量を増やしていく際に、前記複数の電源スイッチを導通させるタイミングを前記検知結果に応じて制御する論理回路と
を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記命令部は前記複数の電源スイッチのうちの少なくとも1つを最初に導通状態とし、前記論理回路は、前記検知結果が前記電流の非定常状態から定常状態への変化を示す毎に前記複数の電源スイッチのうちで導通状態にある電源スイッチの数を増やしていくことを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記論理回路は、前記命令部の前記電源供給指示に応答して活性化され、活性化後に前記検知結果が所定期間以上継続して前記電流の定常状態を示すと前記複数の電源スイッチのうちで導通状態にある電源スイッチの数を増やすことを特徴とする付記2記載の半導体装置。
(付記4)
前記変動検知部は、前記命令部の前記電源供給指示に応答して活性化されることを特徴とする付記1乃至3何れか一項記載の半導体装置。
(付記5)
前記変動検知部は、前記複数の電源スイッチの全てが導通状態になると非活性化されることを特徴とする付記4記載の半導体装置。
(付記6)
前記複数の電源スイッチは、前記命令部の電源遮断指示に応答して全て非導通状態とされることを特徴とする付記1乃至5何れか一項記載の半導体装置。
(付記7)
前記変動検知部は、前記内部回路に流れる電流の時間的な変化率が所定値以下であるか否かに応じた信号を前記検知結果として出力することを特徴とする付記1乃至6何れか一項記載の半導体装置。
(付記8)
前記内部回路に充電された電圧の時間的な変化率が所定値以下であるか否かに応じた信号を前記検知結果として出力することを特徴とする付記1乃至6何れか一項記載の半導体装置。
(付記9)
前記複数の電源スイッチと前記論理回路とは、複数の内部回路の各々に対して別個に設けられ、前記変動検知部は、前記複数の内部回路により共有されることを特徴とする付記1乃至8何れか一項記載の半導体装置。
(付記10)
内部回路と、前記内部回路へ電流を供給する複数の並列な経路にそれぞれ設けられる複数の電源スイッチと、前記内部回路への電源を遮断する指示又は電源を供給する指示を行なう命令部とを含み、前記命令部の電源供給指示に応答して前記複数の電源スイッチを導通状態にして前記内部回路を電源遮断状態から電源供給状態へ変化させる半導体装置において、
前記複数の電源スイッチのうちの少なくとも1つを非導通状態から導通状態に変化させ、
前記少なくとも1つの電源スイッチを導通状態に変化させた後に前記内部回路に供給される電流が定常状態であるか否かを検知し、
前記検知の結果が前記電流の定常状態を示す場合に前記複数の電源スイッチのうちの導通状態にある電源スイッチの数を増やす
各段階を含むことを特徴とする半導体装置の電源制御方法。
(付記11)
前記命令部の電源供給指示に応答して前記複数の電源スイッチのうちの少なくとも1つを最初に導通状態とし、前記検知の結果が前記電流の非定常状態から定常状態への変化を示す毎に前記複数の電源スイッチのうちの導通状態にある電源スイッチの数を順次増やしていくことを特徴とする付記10記載の半導体装置の電源制御方法。
(付記12)
前記検知の結果が所定期間以上継続して前記電流の定常状態を示すと前記複数の電源スイッチのうちで導通状態にある電源スイッチの数を増やすことを特徴とする付記11記載の半導体装置の電源制御方法。
(付記13)
前記内部回路に流れる電流の時間的な変化率が所定値以下であるか否かに応じた信号を前記検知の結果として生成することを特徴とする付記10乃至12何れか一項記載の半導体装置の電源制御方法。
(付記14)
前記内部回路に充電された電圧の時間的な変化率が所定値以下であるか否かに応じた信号を前記検知の結果として生成することを特徴とする付記10乃至12何れか一項記載の半導体装置の電源制御方法。
【符号の説明】
【0049】
20 半導体集積回路
21 HIGH側電源配線
22 LOW側電源配線
23 電力管理ユニット
24 回路ブロック
25 安定化容量
26−1〜26−4 PMOSトランジスタ
27−1〜27−3 フリップフロップ
28 変動検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部回路と、
前記内部回路へ電流を供給する複数の並列な経路にそれぞれ設けられ、導通状態又は非導通状態に制御される複数の電源スイッチと、
前記内部回路への電源を遮断する指示又は電源を供給する指示を行なう命令部と、
前記内部回路に前記電源スイッチを介して供給される電流が定常状態であるか否かを検知して検知結果を出力する変動検知部と、
前記命令部の電源供給指示に応答して、前記複数の電源スイッチを順次導通状態にして前記内部回路への電流供給量を増やしていく際に、前記複数の電源スイッチを導通させるタイミングを前記検知結果に応じて制御する論理回路と
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記命令部は前記複数の電源スイッチのうちの少なくとも1つを最初に導通状態とし、前記論理回路は、前記検知結果が前記電流の非定常状態から定常状態への変化を示す毎に前記複数の電源スイッチのうちで導通状態にある電源スイッチの数を増やしていくことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記論理回路は、前記命令部の前記電源供給指示に応答して活性化され、活性化後に前記検知結果が所定期間以上継続して前記電流の定常状態を示すと前記複数の電源スイッチのうちで導通状態にある電源スイッチの数を増やすことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記変動検知部は、前記命令部の前記電源供給指示に応答して活性化されることを特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記変動検知部は、前記複数の電源スイッチの全てが導通状態になると非活性化されることを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の電源スイッチは、前記命令部の電源遮断指示に応答して全て非導通状態とされることを特徴とする請求項1乃至5何れか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記変動検知部は、前記内部回路に流れる電流の時間的な変化率が所定値以下であるか否かに応じた信号を前記検知結果として出力することを特徴とする請求項1乃至6何れか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記内部回路に充電された電圧の時間的な変化率が所定値以下であるか否かに応じた信号を前記検知結果として出力することを特徴とする請求項1乃至6何れか一項記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数の電源スイッチと前記論理回路とは、複数の内部回路の各々に対して別個に設けられ、前記変動検知部は、前記複数の内部回路により共有されることを特徴とする請求項1乃至8何れか一項記載の半導体装置。
【請求項10】
内部回路と、前記内部回路へ電流を供給する複数の並列な経路にそれぞれ設けられる複数の電源スイッチと、前記内部回路への電源を遮断する指示又は電源を供給する指示を行なう命令部とを含み、前記命令部の電源供給指示に応答して前記複数の電源スイッチを導通状態にして前記内部回路を電源遮断状態から電源供給状態へ変化させる半導体装置において、
前記複数の電源スイッチのうちの少なくとも1つを非導通状態から導通状態に変化させ、
前記少なくとも1つの電源スイッチを導通状態に変化させた後に前記内部回路に供給される電流が定常状態であるか否かを検知し、
前記検知の結果が前記電流の定常状態を示す場合に前記複数の電源スイッチのうちの導通状態にある電源スイッチの数を増やす
各段階を含むことを特徴とする半導体装置の電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−77814(P2011−77814A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227113(P2009−227113)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】