説明

半導体装置

【課題】入力信号のHレベルまたはLレベルを正しく検知できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、閾値調整信号に基づいて論理閾値電位を調整可能な入力バッファ(入力CMOS回路11)と、入力バッファの入力と出力とが結線されたレプリカ(レプリカ12)と、予め設定された基準電位(ノードNdHの電位)を発生する基準電位発生回路(基準電位発生回路13)と、レプリカ(レプリカ12)の出力電位(ノードNdRの電位)と基準電位(ノードNdHの電位)とを比較し、閾値調整信号(閾値調整信号CTRL)を入力バッファ(入力CMOS回路11)とレプリカ(レプリカ12)とに出力する比較回路(比較回路14)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、論理閾値電位の変動が抑制された入力回路を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CPU(Central Processing Unit)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)のような半導体装置においては、動作電源電圧の低下にともない、外部から入力される入力信号の振幅が小さいものとなってきている。つまり、入力信号の振幅の高電位側をVIH、低電位側をVILとすると、その差(VIH−VIL)が小さくなってきている。この入力信号が入力される入力回路(入力バッファ)は、論理閾値電位を有し、上記VIHが論理閾値電位より高ければ、入力信号がHレベル(論理「1」レベル)と検知し、上記VILが論理閾値電位より低ければ、入力信号がLレベル(論理「0」レベル)と検知する。
【0003】
そのため、入力回路の論理閾値電位は、ほぼVIHとVILの中間の規定値に設定されるように設計されるが、(VIH−VIL)が小さくなり、また、入力回路の論理閾値電位がプロセスバラつき、温度変化などにより規定値からずれてしまうと、正確に入力信号のVIH/VILを検知することができない。
この対策として、特許文献1に開示された半導体装置においては、リングオシレータを用いて、入力信号のレベルに対応して論理閾値電位を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−85652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示された半導体装置においては、オシレータの測定結果を用いて論理閾値電位を調整している。このため、実際に入力回路に生じている特性の変化、例えば、入力回路を構成するトランジスタのプロセスばらつきによる出来上がり特性の変化が必ずしも反映されず、正しい論理閾値電位を得ることが難しいという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の半導体装置においては、オシレータの周波数と外部から入力されるクロック(外部CLK)の周波数とを比較することにより調整を行っているので、使用状況に応じて外部CLKの周波数が変化する半導体装置には使用できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、論理閾値電位を調整可能な入力バッファと、入力バッファと同一構成のバッファであり、入力と出力とが結線されたレプリカと、予め設定された基準電位を発生する基準電位発生回路と、レプリカの出力電位である論理閾値電位と基準電位とを比較し、入力バッファの論理閾値電位を調整する閾値調整信号を入力バッファとレプリカとに出力する比較回路と、を備えることを特徴とする半導体装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、入力バッファと同一構成のバッファであり、入力と出力とが結線されたレプリカは、入力バッファと同様に閾値調整信号に基づいて論理閾値電位が調整されるので、レプリカの出力及び入力の電位は、入力バッファの論理閾値電位と同電位となる。また、比較回路は、予め設定された基準電位と、レプリカの論理閾値電位を比較し、論理閾値調整信号を生成し、入力バッファ及びレプリカの論理閾値電位を調整するので、入力バッファ及びレプリカの論理閾値電位を基準電位と等しい電位とすることができる。これにより、搭載される入力バッファに、プロセスばらつきによる出来上がりの特性の変化等の特性の変化があっても、入力バッファの論理閾値電位は基準電位と同一電位となり、入力信号のHレベルまたはLレベルを正しく検知できる半導体装置を提供できる。
【0009】
また、本発明によれば、論理閾値電位調整に、外部からのクロック等の信号を必要としない構成であるので、使用状況にかかわらず、入力信号のHレベルまたはLレベルを正しく検知できる半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の半導体装置の回路構成図である。
【図2】図1の半導体装置の動作説明に用いる補足説明図である。
【図3】本発明の他の実施形態による半導体装置の回路構成図である。
【図4】図3の半導体装置の動作説明に用いる補足説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態による半導体装置の回路構成図である。
【図6】本発明の他の実施形態による半導体装置の回路構成図である。
【図7】本発明の他の実施形態による半導体装置の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の課題を解決する技術思想の代表的な一例は、以下に示される。但し、本発明の請求内容はこの技術思想に限られず、本発明の請求項に記載の内容であることは言うまでもない。
入力バッファは、電源電位と接地電位の間に、ゲート端子が共通に入力端子に接続されるPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタを直列に接続して構成されるCMOS回路からなる。そして、このCMOS回路は、入力信号がLレベルのとき、電源電位(VDD)を出力し、入力信号がHレベルのとき、接地電位(VSS)を出力する。CMOS回路が、入力信号レベルのHレベルまたはLレベルを検知する際の、規準となる値が論理閾値電位であり、入力信号のレベルがこの電位より高ければ、Hレベルと検知し、低ければLレベルと検知する。
【0012】
また、論理閾値電位は、電源電位と、CMOS回路を構成するPチャネル型MOSトランジスタの閾値電圧(以下Vtp)、Nチャネル型MOSトランジスタの閾値電圧(以下Vtn)、Pチャネル型MOSトランジスタの回路定数(チャネル長(Lp)及びチャネル幅(Wp))、Pチャネル型MOSトランジスタのチャネル領域におけるキャリアの移動度(μp)、Nチャネル型MOSトランジスタの回路定数(チャネル長(Ln)及びチャネル幅(Wn))及びNチャネル型MOSトランジスタのチャネル領域におけるキャリアの移動度(μn)により決定される。
【0013】
一方、半導体装置は、製造工程上、Nチャネル型MOSトランジスタとPチャネル型MOSトランジスタが、同じばらつきを受けるように、すなわちトランジスタの駆動能力が共に上がったり、共に下がったり方向へ特性が変化するように、制御することは困難である。つまり、上記VtnとVtpは互いに独立にばらつき、その値が変動し、温度依存性も異なる。また、上記μp及びμnは値も異なり、その温度依存性も異なる値である。
すなわち、入力バッファを構成するCMOS回路の論理閾値電位は、電源電位依存性、温度依存性を持ち、さらに、プロセスばらつきの影響も受ける。
【0014】
そこで、本発明に係る半導体装置においては、入力バッファを、閾値調整信号に基づいて導通制御されるトランジスタを、入力信号が入力されるトランジスタと直列に電源電位と接地電位の間に設け、入力バッファの論理閾値電位を調整可能な構成とする。また、この入力バッファと同一の回路構成を有し(勿論、回路構成が同じであるので、閾値調整信号も入力され、閾値調整信号により導通制御される)、かつ、更に入力と出力とが結線されたレプリカを設ける。このレプリカは、入力と出力が結線されているので、その出力及び入力の電位は、レプリカの論理閾値電位そのものの電位となる。
【0015】
また、予め設定された基準電位を発生する基準電位発生回路と、レプリカの出力と基準電位とを比較し、上記閾値調整信号を出力する比較回路を設ける。レプリカは、この閾値調整信号により導通制御されるので、レプリカの論理閾値電位は、基準電位と等しくなる。従って、入力バッファの論理閾値電位も基準電位と等しくできるので、プロセスバラつきを受けずに正確に入力信号のレベルを検知することができる半導体装置を提供できる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置100の回路構成図である。図1において、半導体装置100は、入力CMOS回路11(入力バッファ)、レプリカ12(レプリカ)、基準電位発生回路13、比較回路14を備える。また、半導体装置100は、半導体装置と外部との間で信号の授受を行うために用いられる入力端子Dinを備え、出力端子Doutへ入力信号の論理反転信号を出力する。
【0017】
入力CMOS回路11は、例えばアドレス入力回路であり、入力端子Dinを介して、外部アドレス信号が入力され、その論理反転信号を出力する回路である。入力CMOS回路11は、電流経路を形成する電源電位VDDと接地電位VSSの間に、直列に接続される、Pチャネル型MOSトランジスタP1,P2、Nチャネル型MOSトランジスタN1及びN2から構成される。
【0018】
Pチャネル型MOSトランジスタP2のソース端子は、電源電位VDDを供給する電源線へ、ドレイン端子はPチャネル型MOSトランジスタP1のソース端子へ、ゲート端子は後述する比較回路14へ、それぞれ接続される。また、Pチャネル型MOSトランジスタP1のソース端子は、Pチャネル型MOSトランジスタP2のドレイン端子へ、ドレイン端子は出力端子Doutへ、ゲート端子は入力端子Dinへ、それぞれ接続される。
【0019】
Nチャネル型MOSトランジスタN1のドレイン端子は、出力端子Doutへ、ソース端子はNチャネル型MOSトランジスタN2のドレイン端子へ、ゲート端子は入力端子Dinへ、それぞれ接続される。また、Nチャネル型MOSトランジスタN2のドレイン端子は、Nチャネル型MOSトランジスタN1のソース端子へ、ソース端子は接地電位VSSを供給する接地線へ、ゲート端子は後述する比較回路14の出力端子へ、それぞれ接続される。
この入力CMOS回路11の論理閾値電位は、上記各トランジスタの駆動能力により決定されるが、比較回路14の出力がゲート端子へと接続されているPチャネル型MOSトランジスタP2及びNチャネル型MOSトランジスタN2のゲート電位により可変制御される。
【0020】
レプリカ12は、電流経路を形成する電源電位VDDと接地電位VSSの間に直列に接続される、Pチャネル型MOSトランジスタP3,P4、Nチャネル型MOSトランジスタN3及びN4から構成される。また、レプリカ12は、入力と出力が結線されている点を除き、入力CMOS回路11と同一の回路構成である。
【0021】
すなわち、Pチャネル型MOSトランジスタP3のソース端子は、電源電位VDDを供給する電源線へ、ドレイン端子はPチャネル型MOSトランジスタP4のソース端子へ、ゲート端子は後述する比較回路14へ、それぞれ接続される。また、Pチャネル型MOSトランジスタP4のソース端子は、Pチャネル型MOSトランジスタP3のドレイン端子へ、ドレイン端子及びゲート端子は、ノードNdRへ、それぞれ接続される。
【0022】
Nチャネル型MOSトランジスタN4のドレイン端子及びゲート端子は、ノードNdRへ、ソース端子はNチャネル型MOSトランジスタN3のドレイン端子へ、それぞれ接続される。また、Nチャネル型MOSトランジスタN3のドレイン端子は、Nチャネル型MOSトランジスタN4のソース端子へ、ソース端子は接地電位VSSを供給する接地線へ、ゲート端子は後述する比較回路14の出力端子へ、それぞれ接続される。
【0023】
入力CMOS回路11とレプリカ12とにおいて、Pチャネル型MOSトランジスタP3は、Pチャネル型MOSトランジスタP2に対応し、Pチャネル型MOSトランジスタP4は、Pチャネル型MOSトランジスタP1に対応し、Nチャネル型MOSトランジスタN4は、Nチャネル型MOSトランジスタN1に対応し、Nチャネル型MOSトランジスタN3は、Nチャネル型MOSトランジスタN2に対応している。
【0024】
また、本実施形態において、Pチャネル型MOSトランジスタP3と、Pチャネル型MOSトランジスタP2は、チャネル長L及びチャネル幅Wが同一の回路定数であり、Pチャネル型MOSトランジスタP4と、Pチャネル型MOSトランジスタP1は、チャネル長L及びチャネル幅Wが同一の回路定数である。また、Nチャネル型MOSトランジスタN4と、Nチャネル型MOSトランジスタN1は、チャネル長L及びチャネル幅Wが同一の回路定数であり、Nチャネル型MOSトランジスタN3と、Nチャネル型MOSトランジスタN2は、チャネル長L及びチャネル幅Wが同一の回路定数である。
【0025】
このように、レプリカ12は、入力CMOS回路11と、入力と出力が結線されている点を除き、同一の回路構成を有し、同一のトランジスタ定数を有する。また、それのみならず、半導体装置100の製造工程に用いられるレチクル作製用の描画データが同一となるように、レイアウト設計時において同一のレイアウト構成を有するように、レイアウト設計されている。
【0026】
ここで、レプリカ12は、入力及び出力が結線(短絡)されている構成であるので、すなわち、入力電位と出力電位が常に等しいので、ノードNdRの電位はレプリカ12の論理閾値電位そのものである。従って、入力と出力が結線されている点を除き、同一の回路構成を有し、同一のトランジスタ定数を有する入力CMOS回路11の論理閾値電位を、同一の電源電位の下でレプリカ12の論理閾値電位と同じ電位とすることができる。
【0027】
なお、上記説明においては、入力CMOS回路11とレプリカ12のトランジスタ定数を同一としたが、両回路における論理閾値電位を同じ電位とするためには、必ずしも同一定数である必要はなく、両回路における対応するトランジスタの駆動能力の比率が同一であればよい。例えば、レプリカ12を構成する各トランジスタのチャネル幅は、対応する入力CMOS回路11を構成するトランジスタ各々の一定比率倍、例えば0.5倍としてもよい。
【0028】
基準電位発生回路13は、電源電位VDDと接地電位VSSの間に直列に接続される、抵抗素子R1及び抵抗素子R2から構成される分圧回路である。抵抗素子R1の一端は、電源電位VDDを供給する電源線へ、他端はノードNdHへ、それぞれ接続される。また、抵抗素子R2の一端は、ノードNdHへ、他端は接地電位VSSを供給する接地線へ、それぞれ接続される。
【0029】
例えば、抵抗素子R1と抵抗素子R2の抵抗値を等しくすることで、ノードNdHの電位(基準電位)を、電源電位VDD×0.5の電位に設定できる。なお、本実施形態においては、基準電位発生回路を、抵抗素子を用いた分圧回路により構成しているが、バンドギャップ回路等を用いて、電源電位依存性の少ない電位を発生する回路を構成してもよい。
【0030】
比較回路14は、正転入力端子がレプリカ12のノードNdRへ接続され、反転入力端子が基準電位発生回路13のノードNdHへ接続され、出力端子から閾値調整信号CTRLを出力する。比較回路14は、閾値調整信号CTRLにより、レプリカ12のPチャネル型MOSトランジスタP3とNチャネル型MOSトランジスタN3のゲート電位を調整し、レプリカ12のノードNdRの電位が基準電位(ノードNdHの電位)と同電位となるようにする。
【0031】
すなわち、比較回路14は、Pチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタの特性が製造プロセスのばらつきにより駆動能力が異なる特性に出来上がった場合においても、レプリカ12の論理閾値電位を基準電位と同電位とする。また、比較回路14は、閾値調整信号CTRLにより、入力と出力が結線されている点を除き、レプリカ12と同一の回路構成を有する入力CMOS回路11の論理閾値電位を、入力CMOS回路11のPチャネル型MOSトランジスタP2とNチャネル型MOSトランジスタN2のゲート電位を調整することにより、基準電位(ノードNdHの電位)と同電位とする。
【0032】
図2は、以上の構成を備えた半導体装置100の入力端子Din、出力端子Dout、閾値調整信号CTRL及びレプリカ12のノードNdRの電位を示すバンド図である。
また、図2は、電源電位VDDが1.2Vであり、入力端子Dinに入力される入力信号の高電位VIHが電源電位の0.8倍の0.96V、低電位VILが電源電位の0.2倍の0.24Vである場合の各電位を示している。なお、基準電位発生回路13を構成する抵抗素子R1及び抵抗素子R2の抵抗値が等しく、ノードNdHの電位(基準電位)が、0.6Vと設定されている。
【0033】
また、図2においては、Pチャネル型MOSトランジスタの駆動能力及びNチャネル型MOSトランジスタの駆動能力が回路設計通りに出来上がった場合を、図2(a)にP(標準)/N(標準)として示し、製造後にPチャネル型MOSトランジスタの駆動能力がNチャネル型MOSトランジスタの駆動能力に比べて高くなった場合を、図2(b)に、P(強)/N(弱)として示し、製造後にPチャネル型MOSトランジスタの駆動能力がNチャネル型MOSトランジスタの駆動能力に比べて低くなった場合を、図2(c)に、P(弱)/N(強)として示している。
【0034】
半導体装置100は、設計において、入力CMOS回路11の論理閾値電位が動作電位VDDの中央値になるように、構成するトランジスタ各々の回路定数を決定する。このとき、閾値調整信号CTRLの電位は、図2(a)に示すように、基準電位0.6Vと同電位の0.6Vとなる。
【0035】
一方、図2(b)に示すP(強)/N(弱)の場合、入力CMOS回路11及びレプリカ12の論理閾値電位は、0.6Vより高い電位となる。しかし、比較回路14が、閾値調整信号CTRLの電位を、0.6Vより高い電位へとすることで、レプリカ12のPチャネル型MOSトランジスタP3の駆動能力を下げ、また、Nチャネル型MOSトランジスタN3の駆動能力を上げ、ノードNdRの電位を基準電位と同電位の0.6Vとする。また、比較回路14は、閾値調整信号CTRLにより、入力と出力が結線されている点を除き、レプリカ12と同一の回路構成を有する入力CMOS回路11のPチャネル型MOSトランジスタP2の駆動能力を下げ、Nチャネル型MOSトランジスタN2の駆動能力を上げ、入力CMOS回路11の論理閾値電位を、基準電位と同電位の0.6Vとする。
【0036】
逆に、図2(c)に示すP(弱)/N(強)の場合、入力CMOS回路11及びレプリカ12の論理閾値電位は、0.6Vより低い電位となる。しかし、比較回路14が、閾値調整信号CTRLの電位を、0.6Vより低い電位へとすることで、レプリカ12のPチャネル型MOSトランジスタP3の駆動能力を上げ、また、Nチャネル型MOSトランジスタN3の駆動能力を下げ、ノードNdRの電位を基準電位と同電位の0.6Vとする。また、比較回路14は、閾値調整信号CTRLにより、入力と出力が結線されている点を除き、レプリカ12と同一の回路構成を有する入力CMOS回路11のPチャネル型MOSトランジスタP2の駆動能力を上げ、Nチャネル型MOSトランジスタN2の駆動能力を下げ、入力CMOS回路11の論理閾値電位を、基準電位と同電位の0.6Vとする。
【0037】
このようにして、本実施形態の半導体装置100においては、Pチャネル型MOSトランジスタの駆動能力及びNチャネル型MOSトランジスタの駆動能力が、製造後に設計に対してずれて出来上がった場合であっても、入力CMOS回路11とレプリカ12は、同じ閾値調整信号CTRLにより論理閾値電位が調整されるので、その論理閾値電位を、基準電位と同電位の0.6Vとすることができる。
【0038】
このように、本実施形態による半導体装置は、論理閾値電位を調整可能な入力バッファ(入力CMOS回路11)と、入力バッファと同一構成のバッファであり、入力と出力とが結線されたレプリカ(レプリカ12)と、予め設定された基準電位を発生する基準電位発生回路(基準電位発生回路13)と、レプリカの出力電位(ノードNdRの電位)と基準電位(ノードNdHの電位)とを比較し、入力バッファの論理閾値電位を調整する閾値調整信号(閾値調整信号CTRL)を入力バッファとレプリカとに出力する比較回路(比較回路14)と、を備えることを特徴とする半導体装置(半導体装置100)である。
【0039】
この発明によれば、レプリカ(レプリカ12)は、入力バッファ(入力CMOS回路11)と同様に閾値調整信号に基づいて論理閾値電位が調整され、かつ、入力と出力とが結線(短絡)されているので、レプリカの出力及び入力の電位(ノードNdRの電位)は、入力バッファの論理閾値電位(入力CMOS回路11)と同電位となる。また、比較回路(比較回路14)は、予め設定された基準電位(ノードNdHの電位)と、レプリカの論理閾値電位(ノードNdRの電位)を比較し、論理閾値調整信号(閾値調整信号CTRL)を生成し、入力バッファ(入力CMOS回路11)及びレプリカ(レプリカ12)の論理閾値電位を調整するので、入力バッファ(入力CMOS回路11)及びレプリカ(レプリカ12)の論理閾値電位を、基準電位(ノードNdHの電位)と等しい電位とすることができる。これにより、搭載される入力バッファ(入力CMOS回路11)に、プロセスばらつきによる出来上がりの特性の変化等の特性の変化があっても、入力バッファ(入力CMOS回路11)の論理閾値電位は基準電位(ノードNdHの電位)と同一電位となり、入力信号のHレベルまたはLレベルを正しく検知できる半導体装置を提供できる。
【0040】
また、本発明によれば、論理閾値電位調整に、外部からのクロック等の信号を必要としない構成であるので、使用状況に応じて外部CLKの周波数が変化する場合であっても、入力信号のHレベルまたはLレベルを正しく検知できる半導体装置を提供できる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図3は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置300の構成図である。なお、図3において、図1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図3における半導体装置300が、図1における半導体装置100と相違する点は、以下の点である。
【0042】
図3において、入力CMOS回路11aは、電流経路を形成する電源電位VDDと接地電位VSSの間に接続される、Pチャネル型MOSトランジスタP31〜P37及びNチャネル型MOSトランジスタN31から構成される。Pチャネル型MOSトランジスタP32とPチャネル型MOSトランジスタP33、Pチャネル型MOSトランジスタP34とPチャネル型MOSトランジスタP35、Pチャネル型MOSトランジスタP36とPチャネル型MOSトランジスタP37は、それぞれ直列回路を構成し、電源電位と出力端子の間に接続されるとともに、Pチャネル型MOSトランジスタP31と並列に接続される。
【0043】
また、レプリカ12aは、電流経路を形成する電源電位VDDと接地電位VSSの間に接続される、Pチャネル型MOSトランジスタP41〜P47及びNチャネル型MOSトランジスタN41から構成される。レプリカ12aを構成するPチャネル型MOSトランジスタP41〜P47及びNチャネル型MOSトランジスタN41各々は、それぞれ、入力CMOS回路11aを構成するPチャネル型MOSトランジスタP31〜P37及びNチャネル型MOSトランジスタN31に対応する。また、レプリカ12aのPチャネル型MOSトランジスタP41及びNチャネル型MOSトランジスタN41のゲート端子は、ノードNdRと結線(短絡)されている。
【0044】
さらに、本実施形態における半導体装置300においては、レプリカ12aは、制御信号REFがゲート端子に入力されるNチャネル型MOSトランジスタN42とともに、電流経路を形成する電源電位VDDと接地電位VSSの間に接続される。制御信号REFは、たとえば、半導体装置300がDRAMである場合、リフレッシュ動作のように定期的に行われる動作において、論理閾値調整を行う一定期間Hレベルとなる信号である。
【0045】
また、Nチャネル型MOSトランジスタN42のトランジスタ定数は、Nチャネル型MOSトランジスタN41のチャネル幅より大きくチャネル幅が設定される。レプリカ12aの論理閾値電位を下げることのないように、Nチャネル型MOSトランジスタN42のオン抵抗を下げるためである。また、論理閾値調整期間以外は、制御信号REFがLレベルとなることで、Nチャネル型MOSトランジスタN42は、レプリカ12aの電流経路を遮断し、レプリカ12aの消費電流を低減する。
【0046】
基準電位発生回路13aは、電源電位VDDと接地電位VSSの間に直列に接続される、抵抗素子R1及び抵抗素子R2から構成され、制御信号REFがゲート端子に入力されるNチャネル型MOSトランジスタN43とともに、電流経路を形成する電源電位VDDと接地電位VSSの間に接続される。Nチャネル型MOSトランジスタN43のトランジスタ定数も、基準電位を下げることのないように、抵抗素子R1及び抵抗素子R2の抵抗値の合計より小さいオン抵抗となるようにチャネル幅が設定される。また、Nチャネル型MOSトランジスタN43は、Nチャネル型MOSトランジスタN42と同じく、論理閾値調整期間以外は、制御信号REFがLレベルとなり、基準電位発生回路13aの消費電流を低減する。
【0047】
図3において、半導体装置300は、さらに、アップダウンカウンタ31(Up/Dnカウンタ)及び選択信号回路32を備える。
アップダウンカウンタ31は、比較回路14の出力と接続され、比較信号Compが入力され、比較信号CompがHレベルのとき内蔵するカウンタのカウント値をインクリメントする。また、アップダウンカウンタ31は、比較信号CompがLレベルのとき内蔵するカウンタのカウント値をデクリメントする。なお、比較信号Compは、第1実施形態における閾値調整信号CTRLに相当する信号であり、レプリカ12aの論理閾値電位が基準電位より高い場合Hレベルとなり、基準電位より低い場合Lレベルとなる信号である。そのため、アップダウンカウンタ31は、基準電位と比較するコンパレータを内蔵し、基準電位と比較し、内蔵カウンタのインクリメント/デクリメントを行う。
【0048】
選択信号回路32は、アップダウンカウンタ31に接続され、アップダウンカウンタ31の内蔵カウンタのカウント値に基づいて、選択信号SEL1〜SEL3を発生する。選択信号SEL1(LSB)〜SEL3(MSB)は、この順番に最下位から最上位を構成する3ビットの論理信号である。以下、論理レベルに合わせて、最下位から最上位を、(SEL1、SEL2、SEL3)=(L、L、L)〜(H、H、H)と表すこととする。選択信号回路32は、(SEL1、SEL2、SEL3)を発生して、入力CMOS回路11aのPチャネル型MOSトランジスタP33、P35、P37、レプリカ12aのPチャネル型MOSトランジスタP43、P45、P47の導通/非導通の制御を行う。
【0049】
例えば、(L、L、L)を発生するとき、入力CMOS回路11aのPチャネル型MOSトランジスタP33、P35、P37、レプリカ12aのPチャネル型MOSトランジスタP43、P45、P47を導通させ、それぞれの回路の論理閾値電位を最も高い電位とする。また、選択信号回路32は、(H、H、H)を発生するとき、入力CMOS回路11aのPチャネル型MOSトランジスタP33、P35、P37、レプリカ12aのPチャネル型MOSトランジスタP43、P45、P47を非導通にし、それぞれの回路の論理閾値電位を最も低い電位とする。
また、選択信号回路32は、論理閾値調整期間が終了すると(制御信号REFがLレベルとなると)、選択信号SEL1〜SEL3の論理レベルを、次回の論理閾値電位調整までラッチし、入力CMOS回路11a及びレプリカ12aの論理閾値電位を固定する。
【0050】
図4は、以上の構成を備えた半導体装置300のレプリカ12aのノードNdRの電位変化を、選択信号SEL1〜SEL3の論理レベル(H/Lレベル)、比較信号Compの論理レベル(H/Lレベル)とともに示すバンド図である。
また、図4は、図2と同じく、電源電位VDDが1.2Vである場合の各電位を示している。また、図4においては不図示であるが、基準電位発生回路13aを構成する抵抗素子R1及び抵抗素子R2の抵抗値が等しく、ノードNdHの電位(基準電位)は、第1の実施形態と同じく、0.6Vと設定されている。
【0051】
また、図4においては、製造後にPチャネル型MOSトランジスタの駆動能力がNチャネル型MOSトランジスタの駆動能力に比べて高くなった場合を、図4(a)に、P(強)/N(弱)として示し、製造後にPチャネル型MOSトランジスタの駆動能力がNチャネル型MOSトランジスタの駆動能力に比べて低くなった場合を、図4(b)に、P(弱)/N(強)として示している。
【0052】
半導体装置300は、設計において、入力CMOS回路11の論理閾値電位が動作電位VDDの中央値になるように、構成するトランジスタ各々の回路定数を決定する。このとき、論理閾値電位は理想的には図4(a)及び図4(b)に破線で示す0.6Vとなるはずである。
【0053】
しかし、図4(a)に示すP(強)/N(弱)の場合、入力CMOS回路11a及びレプリカ12aの論理閾値電位は、0.6Vより高い電位となる。しかし、比較回路14は、比較信号Compの電位を、0.6Vより高い電位(High)とする。
【0054】
アップダウンカウンタ31は、比較信号Compの電位が0.6Vより高い電位(High)であるので、カウント動作を開始し、入力CMOS回路11a及びレプリカ12aの論理閾値電位が0.6Vを下回るまで、すなわち、比較信号CompがLレベルとなるまでインクリメント動作を続ける。
【0055】
この間、選択信号回路32は、カウント値の増加に基づいて、選択信号SEL1〜SEL3の論理レベルを、順に(L、L、H)、(H、L、H)、(L、H、H)、(H、H、H)とし、入力CMOS回路11a及びレプリカ12aの論理閾値電位を下降させていく。
【0056】
比較回路14は、レプリカ12aの論理閾値電位が0.6Vより下回ると、今度は、比較信号Compの電位を、0.6Vより低い電位(Low)とする。これにより、アップダウンカウンタ31は、比較信号CompがLレベルとなるので、デクリメント動作を1回行い、カウント動作を終了させる。選択信号回路32は、減少したカウント値に基づき、選択信号SEL1〜SEL3の論理レベルを、(H、L、H)とし,入力CMOS回路11a及びレプリカ12aの論理閾値電位を上昇させ、論理閾値電位調整を完了する。これにより、両回路の論理閾値電位は、基準電位とほぼ同電位である0.6Vとなる。
【0057】
一方、図4(b)に示すP(弱)/N(強)の場合、入力CMOS回路11a及びレプリカ12aの論理閾値電位は、0.6Vより低い電位となる。しかし、比較回路14は、比較信号Compの電位を、0.6Vより低い電位(Low)とする。
【0058】
アップダウンカウンタ31は、カウント動作を開始し、入力CMOS回路11a及びレプリカ12aの論理閾値電位が0.6Vを上回るまで、すなわち、比較信号CompがHレベルとなるまでデクリメント動作を続ける。
【0059】
この間、選択信号回路32は、カウント値の減少に基づいて、選択信号SEL1〜SEL3の論理レベルを、順に(L、L、H)、(H、H、L)、(L、H、L)、(H、L、L)とし、入力CMOS回路11a及びレプリカ12aの論理閾値電位を上昇させていく。
【0060】
比較回路14は、レプリカ12aの論理閾値電位が0.6Vを上回ると、比較信号Compの電位を、0.6Vより高い電位(High)とする。これにより、アップダウンカウンタ31は、比較信号CompがHレベルとなるので、インクリメント動作を1回行い、カウント動作を終了させる。選択信号回路32は、増加したカウント値に基づき、選択信号SEL1〜SEL3の論理レベルを、(L、H、L)とし,入力CMOS回路11a及びレプリカ12aの論理閾値電位を下降させ、論理閾値電位調整を完了する。これにより、両回路の論理閾値電位は、基準電位とほぼ同電位である0.6Vとなる。
【0061】
このように、本実施形態による半導体装置は、外部から入力信号が入力される論理反転回路(Pチャネル型MOSトランジスタP31、P32、P34及びP36と、Nチャネル型MOSトランジスタN31からなる論理反転回路)と、電源電位から接地電位への電流経路に、論理反転回路とともに挿入され、閾値調整信号(比較信号Comp)に基づいて導通制御される第1の論理閾値電位制御用トランジスタと、からなる入力バッファ(入力CMOS回路11a)と、論理反転回路と同一構成で入力と出力とが結線されたサブレプリカ(Pチャネル型MOSトランジスタP41、P42、P44及びP46と、Nチャネル型MOSトランジスタN41からなる回路)と、電源電位から接地電位への電流経路にサブレプリカとともに挿入され、閾値調整信号(比較信号Comp)に基づいて導通制御される第2の論理閾値電位制御用トランジスタと、からなり、入力バッファと同一回路定数、または所定倍した回路定数を有するレプリカ(レプリカ12a)と、予め設定された基準電位を発生する基準電位発生回路(基準電位発生回路13a)と、レプリカの出力電位である論理閾値電位と基準電位とを比較し、閾値調整信号を、入力バッファの第1の論理閾値電位制御用トランジスタのゲート、及びレプリカの第2の論理閾値電位制御用トランジスタのゲートへ出力する比較回路(比較回路14)と、を備えることを特徴とする半導体装置(半導体装置300)である。
【0062】
また、第1の論理閾値電位制御用トランジスタは、入力バッファ(入力CMOS回路11a)の電流経路に複数並列に接続され、各々が選択信号(選択信号SEL1〜SEL3)により、それぞれ導通制御されるトランジスタ(Pチャネル型MOSトランジスタP33、P35及びP37)であり、第2の論理閾値電位制御用トランジスタは、レプリカ(レプリカ12a)の電流経路に複数並列に接続され、各々が選択信号により、それぞれ導通制御されるトランジスタ(Pチャネル型MOSトランジスタP43、P45及びP47)であって、閾値調整信号と基準電位との電位比較を行い、比較結果によりカウント値を増減させるアップダウンカウンタ(アップダウンカウンタ31)と、カウント値に基づき、選択信号を発生し、その選択信号の論理レベルを保持する選択信号回路(選択信号回路32)と、を更に備えることを特徴とする。
【0063】
この発明によれば、定期的に、たとえば、DRAMのリフレッシュ動作の場合にレプリカ(レプリカ12a)の電流経路に電流を流して、基準電位(ノードNdHの電位)と、レプリカの論理閾値電位(ノードNdRの電位)との比較により、調整結果(選択信号SEL1〜SEL3の論理レベル)を入力バッファ(入力CMOS回路11a)の論理閾値電位にフィードバックする。そして、調整結果であるデジタル信号(選択信号SEL1〜SEL3)をラッチすることにより、リフレッシュ以降の動作において、入力バッファ(入力CMOS回路11a)を適正な論理閾値電位で動作させることができる。
【0064】
また、互いに独立に駆動能力が変動するPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタの駆動能力の比率を調整できるので、温度変動に対しても入力バッファの論理閾値電位を追随可能とする効果を奏する。
また、レプリカ12a、基準電位発生回路13aの消費電流をオフすることが可能であり、論理閾値電位調整期間外の半導体装置の消費電流を低減できる効果を奏する。
【0065】
(第3実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して電流の対策をした実施形態である。
図5は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置500の構成図である。なお、図5において、図1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図5における半導体装置500が、図1における半導体装置100と相違する点は、以下の点である。
【0066】
図5において、入力CMOS回路は、図1における入力CMOS回路11と同一構成の入力CMOS回路111〜114の4台で構成される。勿論、構成される台数は図に示す4台に限られるものではなく、複数台でよいが、これらの入力CMOS回路は、それぞれ異なる入力端子及び出力端子を備え、比較回路14から共通の論理閾値調整信号CTRLが入力される。
【0067】
また、図1において示したレプリカ12、基準電位発生回路13及び比較回路14各々には、それぞれNチャネル型MOSトランジスタN51、Nチャネル型MOSトランジスタN52及びNチャネル型MOSトランジスタN53が、それぞれの電源電位と接地電位の間に挿入され、Nチャネル型MOSトランジスタ各々のゲート端子には、制御信号CLKEが入力される。Nチャネル型MOSトランジスタN51〜53を含むこれらの回路を、第1の調整信号発生回路51とする。
【0068】
また、図1において示したレプリカ12、基準電位発生回路13及び比較回路14各々には、それぞれNチャネル型MOSトランジスタN54、Nチャネル型MOSトランジスタN55及びNチャネル型MOSトランジスタN56が、それぞれの電源電位と接地電位の間に挿入され、Nチャネル型MOSトランジスタ各々のゲート端子には、制御信号CLKEをインバータ57により論理反転した信号が入力される。Nチャネル型MOSトランジスタN54〜56を含むこれらの回路を、第2の調整信号発生回路52とする。
【0069】
制御信号CLKEは、半導体装置500がDRAMである場合、例えばCKE端子に入力する信号、あるいはCKEと同相信号であり、HレベルからLレベルに変わると半導体装置をスタンバイモード或いはパワーダウンモードへと移行させ、LレベルからHレベルに変わると通常動作モードへ移行させる信号である。従って、スタンバイモードにおいては、上記第1の調整信号発生回路51が非活性化され、上記第2の調整信号発生回路52が活性化される。一方、通常動作モードへ移行すると、上記第1の調整信号発生回路51が活性化され、上記第2の調整信号発生回路52が非活性化される。
【0070】
ここで、比較回路14が駆動する入力CMOS回路は入力CMOS回路111〜114と複数台ある。通常動作においては論理閾値電位調整を高速に行うため、比較回路14は、レプリカ12及び基準電位発生回路13の出力電位の変動に対する応答性を高める必要から、回路定数を大きく設定する必要がある。また、レプリカ12は比較回路14の出力電位変化に対する応答性、基準電位発生回路13は電源電位の変動に対する応答性を高める必要がある。そのため、第1の調整信号発生回路51を構成するトランジスタサイズは大きく、抵抗値は小さく設定する必要がある。従って、通常動作において消費電流が増大してしまう。
そこで、スタンバイにおける消費電流を低減するため、スタンバイ用の閾値調整信号発生回路(第2の調整信号発生回路)は、通常動作用(第1の調整信号発生回路)に比べ、比較回路の能力を半分以下に抑え、レプリカの入力回路も半分以下のサイズで、かつ、基準電位発生回路も通常動作用よりも倍以上の抵抗とし、電流を抑えた構成とする。これによって、本実施形態の半導体装置500において、消費電流を低減できる。
【0071】
(第4実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について説明する。第4実施形態の第1実施形態との違いは、基準電位発生回路の抵抗を調整可能にした点である。
図6は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置600の構成図である。なお、図6において、図1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図6における半導体装置600が、図1における半導体装置100と相違する点は、以下の点である。
【0072】
図6において、基準電位発生回路136は、図1における基準電位発生回路13の抵抗素子R1とノードNdHの間に挿入されたプログラマブル調整抵抗素子R3と、抵抗素子R2とノードNdHの間に挿入されたプログラマブル調整抵抗素子R4と、を更に備える。また、これらのプログラマブル調整抵抗素子R3及びR4は、外部からデータ書き込み可能なプログマブルレジスタ設定回路61に接続され、この設定回路を介して抵抗値を可変とすることができる。
【0073】
例えば、プログラマブル調整抵抗素子R3は、トランジスタと抵抗素子を直列接続した直列回路を複数個、抵抗素子R1とノードNdHの間に並列接続し、トランジスタのゲート電位をプログマブルレジスタ設定回路61により調整することで、抵抗を可変調整することができる。
また、プログマブルレジスタ設定回路61は、テスト動作において、外部から入力されるデータに基づき、抵抗素子に直列接続された上記トランジスタのオンオフを制御し、最適な基準電位を設定し、その情報(どのトランジスタをオンまたはオフさせるかの情報)を、例えば、不揮発性素子(ヒューズ素子等)から構成される内蔵レジスタに記憶させる。最適な基準電位が設定されたあとは、この基準電位と論理閾値電位の間で比較回路により比較が行われ、入力バッファ及びレプリカの論理閾値電位が調整される。
【0074】
つまり、レプリカ12の入力と出力をショートした電位(ノードNdRの電位)は、入力CMOS回路11の論理閾値電位となるが、実際の半導体装置のレイアウト配置、また、比較回路(差動AMP)のレイアウト起因のアンバランスによって、論理閾値電位の特性ずれが生じることがある。そこで、上記説明のように、図1における基準電位発生回路13の抵抗素子の一部をプログラマブルな抵抗素子とする。これにより、半導体装置600のウエハー状態のテストにおいて、外部からのデータにより、プログラマブル抵抗値を変えることで論理閾値電位と基準電位が等しくなるように調整しながら、論理閾値電位測定のテスト(VIH/VILテスト)を行い、基準電位の補正を行う。
【0075】
そのテスト結果(基準電位補正結果)に基づいて、プログマブルレジスタ設定回路61の内臓レジスタにプログラマブル調整抵抗素子の抵抗値データ(上記例では、トランジスタのオンオフ情報)を記憶させ、論理閾値電位調整後において、入力CMOS回路11の論理閾値電位を補正後の基準電位と同電位とする。この構成は、第3の実施形態において、電流制限用トランジスタを使用している第1の調整信号発生回路と第2の調整信号発生回路との間で、基準電位が異なって論理閾値電位調整結果が異なる場合に、特に有効であると考えられる。
【0076】
(第5実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図7は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置700の構成図である。なお、図7において、図1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図7における半導体装置700が、図1における半導体装置100と相違する点は、入力CMOS回路が二段のインバータから構成され、2段目のインバータにおいて、論理閾値電位の調整を行う点である。
【0077】
図7において、入力CMOS回路11bは、インバータ71、インバータ72より構成される。また、レプリカ12bが、入力CMOS回路11bに対応して設けられる。レプリカ12bは、出力と入力が結線された第1レプリカ73と、出力と入力が結線された第2レプリカ74を直列接続して構成される。第1レプリカ73及び第2レプリカ74は、それぞれ、インバータ71及びインバータ72と回路定数が同一、あるいは所定比率倍の回路定数で設計される。その他の構成は、図1と同様である。半導体装置700の論理閾値電位の調整は、2段目のインバータ72により行い、その調整方法は図1及び図2を用いて説計した第1実施形態と同じである。
【0078】
この構成により、入力初段(インバータ71)の入力容量の増大を抑制できる。すなわち、図1における場合は、入力初段部が縦積み構造であるので、入力信号の変換を行う際のスピードを遅くしないためには、入力CMOS回路11を構成する全てのトランジスタサイズを大きくする必要がある。このため、入力端子が接続されるトランジスタのゲート容量分だけ入力端子容量が大きくなってしまう。一方、本実施形態のように、2段目で論理閾値電位の調整する構成にしているので、初段のサイズを大きくする必要はなく、入力端子容量を低減できる効果がある。なお、実施形態2〜実施形態4の各CMOS論理回路においても、本構成のように2段目以降のインバータ回路の論理閾値電位調整を行う構成としてもよい。
【0079】
以上、実施形態について説明してきたが、本願の基本的技術思想は、入力バッファを有する半導体装置、例えば、メモリ、ロジック、CPU、MCU、DSP装置等に適用できる。更に、SIPやPOP(パッケージオンパッケージ)等の半導体装置にも適用できる。また、トランジスタは、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)であれば良く、MOS(Metal Oxide Semiconductor)以外にもMIS(Metal-Insulator Semiconductor)、TFT(Thin Film Transistor)等の様々なFETに適用できる。また、本発明の構成要素の一部にFET以外のトランジスタ(例えばバイポーラ型トランジスタ)を用いることもできる。更に、NMOSトランジスタ(N型チャネルMOSトランジスタ)は、第1導電型のトランジスタ、PMOSトランジスタ(P型チャネルMOSトランジスタ)は、第2導電型のトランジスタの代表例である。
【0080】
また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組合せ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろうと考えられる各種変形、修正を含むことは勿論である。
例えば、実施例の説明では、論理閾値電位を電源電位の1/2の電位としたが、基準電位を変更することで、電源電位の1/2の電位以外に調整することも可能である。
【符号の説明】
【0081】
100,300,500,600,700…半導体装置、11,11a,111,11b…入力CMOS回路、12,12a,12b,73,74…レプリカ、13,13a,136…基準電位発生回路、14…比較回路、31…アップダウンカウンタ、32…選択信号回路、P1,P2,P3,P4,P31,P32,P33,P34,P35,P36,P37,P41,P42,P43,P45,P46,P47…Pチャネル型MOSトランジスタ、N1,N2,N3,N4,N31,N41,N42,N43,N51,N52,N53,N54,N55,N56…Nチャネル型MOSトランジスタ、R1,R2…抵抗素子、R3,R4…プログラマブル調整抵抗素子、NdH,NdR…ノード、51,52…調整信号発生回路、57,71,72…インバータ、61…プログマブルレジスタ設定回路、CTRL…閾値調整信号、Comp…比較信号、SEL1,SEL2,SEL3…選択信号、REF,CLKE…制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理閾値電位を調整可能な入力バッファと、前記入力バッファと同一構成のバッファであり、入力と出力とが結線されたレプリカと、予め設定された基準電位を発生する基準電位発生回路と、前記レプリカの出力電位である論理閾値電位と前記基準電位とを比較し、前記入力バッファの論理閾値電位を調整する閾値調整信号を前記入力バッファと前記レプリカとに出力する比較回路と、を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
外部から入力信号が入力される論理反転回路と、電源電位から接地電位への電流経路に、前記論理反転回路とともに挿入され、閾値調整信号に基づいて導通制御される第1の論理閾値電位制御用トランジスタと、からなる入力バッファと、
前記論理反転回路と同一構成で入力と出力とが結線されたサブレプリカと、電源電位から接地電位への電流経路に前記サブレプリカとともに挿入され、前記閾値調整信号に基づいて導通制御される第2の論理閾値電位制御用トランジスタと、からなり、前記入力バッファと同一回路定数、または所定倍した回路定数を有するレプリカと、
予め設定された基準電位を発生する基準電位発生回路と、
前記レプリカの出力電位である論理閾値電位と前記基準電位とを比較し、前記閾値調整信号を、前記入力バッファの前記第1の論理閾値電位制御用トランジスタのゲート、及び前記レプリカの前記第2の論理閾値電位制御用トランジスタのゲートへ出力する比較回路と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記第1の論理閾値電位制御用トランジスタは、前記入力バッファの電流経路に複数並列に接続され、各々が選択信号により、それぞれ導通制御されるトランジスタであり、
前記第2の論理閾値電位制御用トランジスタは、前記レプリカの電流経路に複数並列に接続され、各々が選択信号により、それぞれ導通制御されるトランジスタであって、
前記閾値調整信号と前記基準電位との電位比較を行い、比較結果によりカウント値を増減させるアップダウンカウンタと、
前記カウント値に基づき、前記選択信号を発生し、その選択信号の論理レベルを保持する選択信号回路と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記アップダウンカウンタのカウント動作は、外部より規定される所定動作モード期間において行われ、当該期間終了後、前記保持された前記選択信号により、前記第1の論理閾値電位制御用トランジスタ、及び前記第2の論理閾値電位制御用トランジスタの導通制御をすることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記レプリカの前記電流経路に前記レプリカに直列に挿入された第1の電流制限用トランジスタと、前記基準電位発生回路の電源電位と接地電位の間に挿入される第2の電流制限用トランジスタと、を更に備え、前記第1及び第2の電流制限用トランジスタは、前記所定動作モード期間であることを示す制御信号により導通制御されることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記閾値調整信号が共通に入力され、入出力が異なる複数の前記入力バッファと、
前記レプリカ、前記基準電位発生回路、前記比較回路、及び電源電位と接地電位の間に挿入され、外部より規定される所定動作モード期間中であることを示す制御信号により導通制御される第1の電流制限用トランジスタからなり、前記閾値調整信号を発生する第1の調整信号発生回路と、
前記レプリカ、前記基準電位発生回路、前記比較回路、及び電源電位と接地電位の間に挿入され、前記制御信号の論理反転信号により導通制御される第2の電流制限用トランジスタからなり、前記閾値調整信号を発生する第2の調整信号発生回路と、備え、
前記制御信号の論理レベルを切り替えることにより、前記第1の調整信号発生回路を通常動作モードにおいて、前記第1の調整信号発生回路をスタンバイモードにおいて動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の調整信号発生回路の回路定数は、前記第1の調整信号発生回路の回路定数を一定比率縮小した定数であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記基準電位発生回路は、2つの抵抗素子、及び外部から抵抗値を調整可能な少なくとも1つのプログラマブル抵抗素子を、電源と接地との間に直列接続して構成され、前記プログラマブル抵抗素子は、前記電源と出力との間、または前記接地と出力との間のいずれか一方または両方に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7いずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−130162(P2011−130162A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286383(P2009−286383)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】