説明

半導体集積回路装置の製造方法

【課題】 アルミニウムを主成分とする導体膜パターンを有する半導体集積回路装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】 アルミニウムを主成分とする導体膜16dを有する第1層配線L1をドライエッチング法によってパターニングした後、その加工側壁の側壁保護膜18およびエッチングマスクとして使用したフォトレジストパターン17aをプラズマアッシング処理によって除去する。続いて、絶縁膜15bおよび第1層配線L1の表面に付着した塩素成分を、酸素ガスとメタノールガスとの混合ガスを用いたプラズマアッシング処理によって除去する。この際、フォトレジストパターン17a等のアッシング除去処理時は、ウエハの主面温度が相対的に低くなるようにし、塩素成分の除去処理時は、ウエハの主面温度が相対的に高くなるようにする。また、それらのプラズマアッシング処理を別々の処理室で行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体集積回路装置の製造技術に関し、特に、レジスト膜をエッチングマスクとしたエッチング処理により、アルミニウム(Al)を主成分とする導体膜をパターニングした後のレジスト膜の除去技術に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、アルミニウムを主成分とする導体膜のエッチング処理後のレジスト膜は、例えば酸素ガス(O2)とフッ素(F)を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理により灰化(アッシング(Ashing))することで除去している。しかし、この方法においては、エッチング処理時に上記導体膜の表面に付着した塩素(Cl)を充分に除去することができないので、エッチング処理後、ウエハを大気中に搬出した際またはウエハを洗浄する際に上記塩素と大気中の水分や洗浄液中の水とが反応することで塩酸を形成し上記導体膜を腐蝕させてしまう、いわゆるコロージョンの問題が発生する。そこで、酸素ガスと水素(H)を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理を施すと、レジスト膜の除去とともに、上記導体膜の表面に付着した塩素を良好に除去することができるので、上記腐蝕の発生を抑制できる。
【0003】なお、アルミニウムを主成分とする導体膜のエッチング処理後のレジスト除去技術については、例えば特開平5−109673号公報に記載があり、ドライエッチング中に形成された側壁保護膜の硬化を防止するために、最初、酸素ガスとCHF3ガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理により100℃以下の低温状態でレジスト膜を除去した後、同じアッシングチャンバ内において酸素ガスとメタノールガス(CH3OH)との混合ガスを用いたプラズマ処理により残留塩素を揮発させる技術が開示されている。
【0004】また、例えば特開平7−254589号公報には、試料台の温度を200℃〜300℃程度の高温にした状態で、酸素ガスと、メタノールガス等のような水素(H)を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理によりレジスト膜を除去する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記レジスト膜の除去技術においては、以下の課題があることを本発明者は見出した。
【0006】すなわち、酸素ガスと水素(H)を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理を施すと腐蝕の発生を抑制することができるが、この場合は処理時のステージ温度をある程度高くしないと塩素成分を効率良く除去することができず生産性の上で問題となるので、ステージ温度を高くした状態で処理を行わざるを得ない。しかし、ステージ温度を高くした状態でレジスト膜の除去処理を行うと、上記導体膜の側壁に形成された側壁保護膜が硬化してしまい除去することが難しくなってしまうという新たな課題が生じる。上記側壁保護膜は、導体膜をエッチングする際に導体膜の側壁に被着したものでそのまま残しておくと、塩素を含むことから導体膜の腐蝕の問題を引き起こしたり、また、アルミニウムを含み導電性を有することから短絡不良を引き起こしたりする等、半導体集積回路装置の信頼性や歩留まりの低下の原因となる。
【0007】本発明の目的は、アルミニウムを主成分とする導体膜パターンを有する半導体集積回路装置の信頼性を向上させることのできる技術を提供することにある。
【0008】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】すなわち、本発明は、レジスト膜および側壁膜の除去を主目的として相対的に低温の状況下において酸素を有するガスを用いたプラズマ処理を施した後、塩素を除去することを主目的として相対的に高温の状況下において酸素ガスと水素を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理を施す工程を有するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本願発明を詳細に説明する前に、本願における用語の意味を説明すると次の通りである。
【0012】1.ウエハとは、集積回路の製造に用いるシリコン単結晶基板(半導体ウエハ;一般にほぼ平面円形状)、サファイア基板、ガラス基板、その他の絶縁、半絶縁または半導体基板等並びにそれらの複合的基板を言う。また、本願において半導体集積回路装置というときは、シリコンウエハやサファイア基板等のような半導体または絶縁体基板上に作られるものだけでなく、特に、そうでない旨明示された場合を除き、TFT(Thin-Film-Transistor)およびSTN(Super-Twisted-Nematic)液晶等のようなガラス等の他の絶縁基板上に作られるもの等も含むものとする。
【0013】2.デバイス面とは、ウエハの主面であって、その面にリソグラフィにより、複数のチップ領域に対応するデバイスパターンが形成される面を言う。
【0014】以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0015】また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0016】さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0017】同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0018】また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】また、本実施の形態においては、電界効果トランジスタを代表するMIS・FET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をMISと略し、pチャネル型のMIS・FETをpMISと略し、nチャネル型のMIS・FETをnMISと略す。
【0020】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】図1は、アルミニウム(Al)を主成分とする配線の腐蝕発生モデルの説明図を示している。絶縁膜50上に形成された配線51は、例えば導電性バリア膜51a上に主導体膜51bを介して導電性バリア膜51cが積層された異種金属積層構造を有している。相対的に薄い導電性バリア膜51a,51cは、例えばチタン(Ti)やチタンタングステン(TiW)等のような高融点金属膜または窒化チタン(TiN)等のような高融点金属窒化膜あるいはそれらの積層膜によって形成されている。相対的に厚い主導体膜51bは、例えばアルミニウム−シリコン(Si)−銅(Cu)合金またはアルミニウム−銅合金等のようなアルミニウムを主成分とする導体膜によって形成されている。ところで、このような配線51は、通常、塩素(Cl)を含むガスを用いたドライエッチング処理によって形成されているため、そのパターン形成後の絶縁膜50や配線51の表面には塩素成分が多量に付着している。このように塩素成分が多量に付着したまま配線51が大気や洗浄液に晒されると大気中の水分や洗浄液中の水が配線51の表面に付着することにより塩酸(HCl)水溶液が形成される結果、配線51中のアルミニウムが塩酸と反応し、アルミニウム腐蝕に起因する異物52が生成される。異物52は水酸化アルミニウム(Al(OH)3)を含み導電性を有する。特に配線51が上記のようにアルミニウムを主成分とする導体膜51bと高融点金属系の導電性バリア膜51a,51cとの積層構造で構成される場合には、異種金属間の接触電位差による電池効果により、腐蝕が加速される。
【0022】次に、図2は、アルミニウムを主成分とする配線の腐蝕発生による不具合の説明図を示している。配線51の外部に湧き出した導電性の異物52は、隣接する配線51に接触し短絡不良が発生する。また、配線51中のアルミニウムが水溶液中に析出し腐蝕するため、配線51中のアルミニウムが無くなる。すなわち、配線51が細くなったところに電流が流れるため、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションを引き起こし、配線51の断線不良が発生する。
【0023】次に、図3および図4は、電池作用による配線の腐蝕発生モデルの説明図を示している。図3はアルミニウム−銅による電池作用を示し、図4はアルミニウム−窒化チタンによる電池作用を示している。符号53は、塩酸水溶液を示している。
【0024】銅または窒化チタンによる陰極反応は、次式で示される。
【0025】すなわち、O2+4e+2H2O→4OH-2H++2e→H2↑である。一方、アルミニウムによる陽極反応は、次式で示される。
【0026】すなわち、Al→Al3++3eAl3++3OH-→Al(OH)3このように陰極で生成されたOH-イオンが、陽極で生成されたアルミニウムイオン(Al3+)と結合されて水酸化アルミニウム(Al(OH)3)等を含む異物を生成する。
【0027】そこで、酸素ガスと水素(H)を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理を施すと、レジスト膜の除去とともに、上記導体膜の表面に付着した塩素を良好に除去することができるので、上記腐蝕の発生を抑制できる。しかし、この場合には、塩素等の除去効率を考慮すると、ステージ温度を150℃程度またはそれ以上の高温とした状態で処理しなければならないが、ステージ温度を高くした状態でレジスト膜の除去処理を行うと、上記導体膜の側壁に形成された側壁保護膜が硬化してしまい除去することが難しくなってしまうという新たな課題が生じる。
【0028】そこで、本実施の形態においては、レジスト膜および側壁膜の除去を主目的として相対的に低温状況下において酸素を有するガスを用いたプラズマ処理をウエハに対して施した後(第1処理工程)、塩素の除去を主目的として相対的に高温状況下において酸素ガスと水素を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理を施すようにする(第2処理工程)。これにより、導体膜のエッチング処理時に導体膜表面に付着した塩素成分を大気や洗浄液に晒される前に良好に除去することができるので、導体膜の腐蝕の発生を抑制または防止できる。また、導体膜のエッチング工程時に導体膜の側壁に形成された側壁膜を除去してしまってから塩素成分の除去処理を行うので、レジスト膜の除去処理後に側壁膜が除去できなくなってしまうといった不具合を回避できる。したがって、半導体集積回路装置の歩留まりおよび信頼性を向上させることが可能となる。
【0029】特に第1処理工程および第2処理工程を異なる処理室で行うようにする。これにより、第1、第2処理工程のウエハ処理温度(ステージ温度またはウエハ表面温度)を短時間で設定することができので、スループットを大幅に向上させることが可能となる。また、第1、第2処理工程でのウエハ処理温度の設定精度を向上させることができるので、狙い通りの処理が可能となり、半導体集積回路装置の歩留まりや信頼性を向上させることが可能となる。
【0030】次に、図5は、本実施の形態の半導体集積回路装置の製造工程で用いた半導体製造装置1の一例を示している。
【0031】この半導体製造装置1は、処理部2,3を有している。処理部2は、導体膜のエッチング処理およびそのエッチング処理時にマスクとして用いたレジスト膜の除去処理等を一貫して行う枚葉式の処理部である。ここには、中央の搬送室2aと、搬送室2aの周囲に設置された複数の処理室2b〜2dと、複数のロードロック室2eとを有する放射状型のマルチチャンバ構造の処理部2が例示されている。
【0032】上記搬送室2aは、例えば搬送アーム等のような搬送手段によってウエハ4を各室に搬入したり、ウエハ4を各室から搬出して目的とする他の場所に移動したりする真空室である。上記処理室2bは、導体膜に対してレジスト膜をエッチングマスクとして用いたエッチング処理を施すための真空処理室であり、例えば2室設置されている。処理室2bを2室設けることにより、エッチング処理能力を向上させることができる。上記処理室2cは、エッチング処理後のレジスト膜等を除去する上記第1処理工程の処理を施すための真空処理室であり、例えば1室設置されている。上記処理室2dは、エッチング処理後の塩素成分を除去する上記第2処理工程の処理を施すための真空処理室であり、例えば2室設置されている。処理室2dを2台設けたのは、処理室2dでの処理時間が処理室2cよりも長いので、その処理時間の差を短縮または無くすためである。これら処理室2c,2dの装置構造としては、例えば平行平板型のプラズマアッシング装置、バレル型のアッシング装置、マイクロ波アッシング装置、誘導結合型プラズマアッシング装置またはヘリコン波プラズマアッシング装置を用いることができる。上記ロードロック室2eは、処理室を大気に開放しないでウエハ4の搬入および搬出を行うことを目的とした真空室である。各ロードロック室2e内には、複数枚のウエハ4を収容する1つのウエハカセットがセッティングされる。
【0033】また、上記処理部3は、上記レジスト膜除去処理後の洗浄処理、乾燥処理およびベーク処理等を一貫して行う処理部であり、処理室3a〜3cを有している。処理室3aは、アルカリ系の洗浄液または酸系の洗浄液を用いた洗浄処理を行うための枚葉式処理カップである。また、処理室3bは、水洗および水洗後の乾燥を行うための洗浄乾燥処理用の枚葉式処理カップである。処理室3cは、ベーク処理用の枚葉式処理室である。なお、処理部3での処理は大気中で行われる。
【0034】次に、本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法の一例を図6〜図14によって説明する。ここでは、例えばCMIS(Complementary MIS)回路を有する半導体集積回路装置の製造方法に本発明の技術思想を適用した場合について説明する。
【0035】図6はその半導体集積回路装置の製造工程中におけるウエハ4の要部断面図、図7は図6の要部拡大断面図をそれぞれ示している。ウエハ4を構成する半導体基板(以下、単に基板という)4Sは、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型のシリコン(Si)単結晶からなり、その主面(デバイス面)には、分離部5が選択的に形成されている。ここには、例えばLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法等によって形成された酸化シリコン(SiO2等)膜からなる分離部5が例示されているが、溝形の分離部(SGI(Shallow Groove Isolation)またはSTI(Shallow Trench Isolation))としても良い。溝型の分離部の場合は、基板4Sの主面に形成された溝内に、例えば酸化シリコン膜が埋め込まれることで形成される。
【0036】また、基板4Sには、その主面から基板4Sの所定の深さに渡ってp型ウエルPWLおよびn型ウエルNWLが選択的に形成されている。p型ウエルPWLには、例えばホウ素が導入され、n型ウエルNWLには、例えばリンが導入されている。そして、このp型ウエルPWLおよびn型ウエルNWLの領域において上記分離部5に囲まれた活性領域には、nMISQnおよびpMISQpが形成されている。
【0037】nMISQnおよびpMISQpのゲート絶縁膜6は、例えば厚さ6nm程度の酸化シリコン膜からなる。ここでいうゲート絶縁膜6の膜厚とは、二酸化シリコン換算膜厚であり、実際の膜厚と一致しない場合もある。ゲート絶縁膜6は、酸化シリコン膜に代えて酸窒化シリコン膜で構成しても良い。すなわち、ゲート絶縁膜6と基板4Sとの界面に窒素を偏析させる構造としても良い。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減したりする効果が高いので、ゲート絶縁膜6のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通し難いので、酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極材料中の不純物が基板4S側に拡散することに起因する、しきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するには、例えば基板4SをNO、NO2またはNH3といった含窒素ガス雰囲気中で熱処理すれば良い。
【0038】nMISQnおよびpMISQpのゲート電極7は、例えば低抵抗多結晶シリコン膜上に、例えば窒化タングステン(WN)膜等のようなバリアメタル膜を介してタングステン(W)膜等のようなメタル膜を積層した構造を有する、いわゆるポリメタルゲート構造とされている。ただし、ゲート電極構造は、これに限定されるものではなく、例えば低抵抗多結晶シリコン膜の単体膜構造としても良し、例えば低抵抗多結晶シリコン膜上に、例えばチタンシリサイド(TiSix)膜またはコバルトシリサイド(CoSix)膜を積層した構造を有する、いわゆるポリサイド構造としても良い。このようなゲート電極7の側面には、例えば酸化シリコン膜からなるサイドウォール8が形成されている。また、ゲート電極7の上面には、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン(Si34等)膜等からなるキャップ膜CPが形成されている。nMISQnおよびpMISQpのチャネルは、ゲート電極7の直下の基板1S部分に形成される。
【0039】nMISQnのソースおよびドレイン用の半導体領域9は、n-型の半導体領域9aおよびn+型の半導体領域9bを有する、いわゆるLDD(Lightly DopedDrain)構造とされている。n-型の半導体領域9aは、上記チャネルに隣接する位置に形成されている。また、n+型の半導体領域9bは、n-型の半導体領域9a分だけチャネルから離れた位置にn-型の半導体領域9aと電気的に接続された状態で形成されている。n-型の半導体領域およびn+型の半導体領域には、共に、例えばリン(P)またはヒ素(As)が導入されているが、n-型の方がn+型よりも不純物濃度が低くされている。このn-型の半導体領域9aの各々の下方には、p型の半導体領域10が形成されている。この半導体領域10は、パンチスルーストッパ領域またはハロー領域とも呼ばれ、短チャネル効果を抑制または防止するための領域であり、例えばホウ素が導入されることで形成されている。
【0040】一方、pMISQpのソースおよびドレイン用の半導体領域11は、p-型の半導体領域11aおよびp+型の半導体領域11bを有する、いわゆるLDD構造とされている。p-型の半導体領域11aは、上記チャネルに隣接する位置に形成され、p+型の半導体領域11bは、そのp-型の半導体領域11a分だけチャネルから離れた位置にp-型の半導体領域11aと電気的に接続された状態で形成されている。p-型の半導体領域11aおよびp+型の半導体領域11bには、共に、例えばホウ素が導入されているが、p-型の方がp+型よりも不純物濃度が低くされている。このp-型の半導体領域11aの各々の下方には、n型の半導体領域12が形成されている。この半導体領域12は、パンチスルーストッパ領域またはハロー領域とも呼ばれ、短チャネル効果を抑制または防止するための領域であり、例えばリンまたはヒ素が導入されることで形成されている。
【0041】このような基板1Sの主面上には、絶縁膜15a,15bが下方から順に堆積されている。相対的に薄い絶縁膜15aは、例えば窒化シリコン膜等からなり、相対的に厚い絶縁膜15bは、例えば酸化シリコン膜等からなる。絶縁膜15aは、絶縁膜15a,15bにコンタクトホールCNTを穿孔する際に、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とのエッチング選択比が大きくなる条件とすることによりエッチングストッパとして機能する。すなわち、コンタクトホールCNTを形成する際に、最初は酸化シリコン膜がエッチングされ易い条件でエッチング処理をし、窒化シリコン膜からなる絶縁膜15aが露出された時点で今度は窒化シリコン膜がエッチングされ易い条件でエッチング処理する。これにより、基板1Sや分離部5を過剰にエッチングしてしまう不具合を抑制または防止できる。
【0042】上記絶縁膜15bの上面は平坦化されている。この絶縁膜15bの材料としてリフロー性の高いBPSG (Boron-doped Phospho Silicate Glass)膜やスピン塗布法により形成されるSOG(Spin On Glass)膜を採用しても良い。これにより、互いに隣接するゲート電極7,7の狭いスペースを埋め込むことができる。上記コンタクトホールCNTの底部からは基板1Sの主面の一部およびゲート電極7の一部が露出されている。そして、この絶縁膜15bの上面およびコンタクトホールCNT内(底面および側面)には、薄い導体膜16aが形成され、コンタクトホールCNT内にはその導体膜16aを介してプラグ16bが埋め込まれている。
【0043】導体膜(第2導体膜)16aは、例えばチタン(Ti)等のような高融点金属膜上に窒化チタン(TiN)等のような高融点金属窒化膜が積層された構造を有しており、その厚さは、例えば100nm程度である。導体膜16aの材料として、チタンタングステン(TiW)等のような高融点金属またはモリブデンシリサイド(MoSix)等のような高融点金属シリサイドを用いても良い。また、プラグ16bは、例えばタングステン(W)等のような高融点金属膜からなる。導体膜16aは、各種金属原子や半導体原子が移動するのを抑制または阻止するためのバリア機能、プラグ16b等と絶縁膜15a,15bおよび基板1Sとの接着性を向上させる機能、プラグ16bのCVD(Chemical Vapor Deposition)成膜時の下地膜としての機能、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション耐性を向上させる機能等のような種々の機能を有している。このような構成は、導体膜16aをスパッタリング法によって堆積した後、その上にプラグ16b形成用の導体膜をCVD法によって堆積し、さらにそのプラグ16b形成用の導体膜を異方性のドライエッチング法によってエッチバックすることにより形成されている。
【0044】この導体膜16a,16b上には、導体膜16c〜16fが、例えばスパッタリング法等によって下層から順に堆積されている。最も薄い導体膜(第2導体膜)16c,16eは、例えば厚さ1〜3nm程度のチタン等のような高融点金属膜からなり、導体膜16a,16b,16fと導体膜16dとの接着性を向上させる機能を有している。最も厚い導体膜(第1導体膜)16dは、例えば厚さ500nm程度のアルミニウム(Al)の単体膜、アルミニウム−シリコン(Si)−銅(Cu)合金膜、アルミニウム−シリコン合金またはアルミニウム−銅合金膜等のようなアルミニウムを主成分とする導体膜からなり、配線の主要導体材料とされている。2番目に薄い導体膜(第2導体膜)16fは、例えば厚さ100nm程度の窒化チタン等のような高融点金属窒化膜からなり、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション耐性を向上させる機能や露光処理時の光の散乱を低減または防止する反射防止機能を有している。導体膜16fの材料として、チタンタングステン(TiW)等のような高融点金属またはモリブデンシリサイド(MoSix)等のような高融点金属シリサイドを用いても良い。
【0045】この導体膜16f上には、配線形成時にエッチングマスクとして使用されるフォトレジストパターン(以下、単にレジストパターンという)17aがフォトリソグラフィ技術(すなわち、露光処理、現像処理およびベーク処理等のような一連の処理)によって形成されている。ここではレジストパターン17aがネガ型のレジスト膜の場合を例示するが、ポジ型のレジスト膜を用いた場合にも本実施の形態を適用できる。また、本実施の形態は、レジストパターン17aが、可視光や紫外線(波長365nmのi線等)露光用のノボラック系のレジスト材料で構成される場合やエキシマレーザ露光(波長248nmのKrF、波長193nmのArF、波長157nmのF2等)用の化学増幅型のレジスト材料で構成される場合のいずれでも適用できる。レジストパターン17aの厚さは、加工する導体膜の厚さ等によって変わるので一概には言えないが、例えば1.3μm〜1.5μm程度である。
【0046】本実施の形態においては、このような構造を有する複数枚のウエハ4をウエハカセットに収容した状態で上記図5に示した半導体製造装置1のロードロック室2eに搬入する。半導体製造装置1では、真空状態に維持された搬送室2a内の搬送アームによってロードロック室2eのウエハカセットからウエハ4を1枚づつ取り出してエッチング処理用の処理室2b内に搬入する。エッチング処理用の処理室2bでは、例えばBCl3、Cl2またはSiCl4等のような塩素系のガスを用いた異方性のドライエッチング処理(例えばRIE;Reactive Ion Etching)をウエハ4に対して施すことにより、上記レジストパターン17aから露出する導体膜16a,16c〜16fをエッチング除去する。このエッチング処理に際しては、導体膜16a,16c〜16f(およびレジストパターン17a)の側壁に側壁保護膜を形成する。ここでは、主としてレジストパターン17aのエッチング生成物が導体膜16a,16c〜16fの加工側壁に重合して吸着し、側壁保護膜を形成する。これにより、エッチング処理中において、導体膜16a,16c〜16fの加工側壁を、中性のエッチング種やわずかなイオン衝撃等から保護することができるので、アンダーカットの発生を抑制または防止することができ、垂直エッチングを達成することができ、導体膜16a,16c〜16fの加工精度を向上させることが可能となる。
【0047】図8は上記エッチング処理後のウエハ4の要部断面図、図9は図8の導体膜16a,16c〜16fの要部拡大断面図をそれぞれ示している。上記エッチング処理により導体膜16a,16c〜16fによって構成される第1層配線L1を形成する。この段階では、図9に示すように、導体膜16a,16c〜16fおよびレジストパターン17aの側壁に上記側壁保護膜(側壁膜)18が形成されている。側壁保護膜18は、後続の絶縁膜の成膜工程で異常成長の原因となったり、側壁保護膜18中に残留した塩素等のようなハロゲンがアルミニウム等を主体とする導体膜16dの腐蝕を引き起こしたり、アルミニウムを含み導電性を有することから短絡不良を引き起こしたりする等、半導体集積回路装置の信頼性や歩留まりの低下の原因となるので、上記エッチング処理後は除去することが好ましい。また、この段階では、この側壁保護膜18、絶縁膜15bおよびレジストパターン17aの表面に、エッチングに寄与した塩素(Cl)が多量に付着している。
【0048】次いで、図5に示した半導体製造装置1では、真空状態に維持された搬送室2a内の搬送アームによってエッチング処理用の処理室2bからウエハ4を取り出し、そのウエハ4を処理室2cに搬入する。処理室2cでは、例えば酸素ガス(O2)とフッ素を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマアッシング処理を1枚のウエハ4に対して施すことにより、レジストパターン17aおよび側壁保護膜18をアッシング除去する(第1処理工程)。この場合のレジスト膜等の除去機構については後述する。
【0049】本実施の形態においては、処理室2cでの処理中においてウエハ4の主面の温度を、後続の塩素除去目的のプラズマ処理時におけるウエハ4の主面の温度よりも低くする。具体的には、ウエハ4の主面の温度を、例えば常温(約20℃)よりは高く、120℃以下、100℃以下または80℃以下あるいは80℃前後とする。このウエハ4の主面の温度を120℃以上にすると、レジストパターン17aや側壁保護膜18が硬化し除去することが難しくなる。また、あまり温度を上げるとフッ素を含むガス中の原子のアタックにより導体膜16fが除去される恐れもある。ウエハ4の主面の温度は、ウエハ4を載置するステージの温度とプラズマから供給される熱とで設定されるが、一般的に、ステージ温度の−5℃〜−10℃程度がウエハ4の主面の温度とされる。
【0050】また、上記フッ素を含むガスとしては、例えばCF4、CHF3、C26、C38、C48またはSF6がある。このフッ素を含むガスを導入すると、フッ素原子がレジスト膜から水素(H)を引き抜くことにより高分子の骨格を不安定にし、反応性に富む状態にする。そして、フッ素原子は酸素原子とレジスト膜との反応の活性化エネルギーを下げる働きをする。また、フッ素が酸素プラズマ中の原子状酸素の割合を増加させる。これらにより、レジストパターン17aや側壁保護膜18等のアッシングレートを向上させることができるので、処理効率を向上させることが可能となる。したがって、スループットを向上させることができ、半導体集積回路装置の生産性を向上させることが可能となる。また、フッ素原子の導入により、ナトリウム(Na)汚染を軽減させることができるので、半導体集積回路装置の歩留まりや信頼性を向上させることができる。さらに、フッ素を含むガスを用いることにより、絶縁膜15bの上面も若干除去されるので、絶縁膜15b上の有機ポリマー残渣等のような異物も除去できる。
【0051】また、処理室2cでの処理時間は、レジストパターン17aの膜厚等によっても変わるので一概には言えないが、例えば30秒程度である。
【0052】図10は上記処理室2cでのレジストパターン17aおよび側壁保護膜18の除去処理(第1処理工程)後の第1層配線L1の要部拡大断面図を示している。レジストパターンおよび側壁保護膜は除去されている。この段階では、配線L1および絶縁膜15bの表面には塩素成分が付着している。
【0053】次いで、図5に示した半導体製造装置1では、処理室2cでの処理が終了したウエハ4を、真空状態に維持された搬送室2a内の搬送アームによって処理室2cから取り出し処理室2dに搬入する。処理室2dでは、例えば酸素ガス(O2)とH+またはOH-またはその両方を解離により生成するガスとの混合ガスを用いたプラズマアッシング処理を1枚のウエハ4に対して施すことにより、塩素成分を除去する(第2処理工程)。この場合の塩素成分除去機構については後述する。
【0054】本実施の形態においては、この処理室2dでの処理中において、塩素成分を効率良く除去するために、ウエハ4の主面の温度を、上記第1処理工程でのウエハ4の主面の温度よりも高くする。具体的には、ウエハ4の主面の温度を、例えば150℃〜350℃程度、好ましくは180℃〜250℃程度、例えば200℃程度とした。上記350℃は、本実施の形態の処理室2dが供給可能な最高温度である。この場合のウエハ4の主面の温度も、ウエハ4を載置するステージの温度とプラズマから供給される熱とで設定され、一般的に、ステージ温度の−5℃〜−10℃程度とされる。このようにウエハ4の主面温度を高温にすることにより、ウエハ4の表面の塩素成分を効率的に除去できるので、スループットを向上させることができ、半導体集積回路装置の生産性を向上させることが可能となる。
【0055】また、仮に1つの処理室で上記第1,第2処理工程の処理を行えば、ステップ毎にステージ温度を変えなければならないので、連続的な処理に時間がかかる。ウエハ4は1枚毎に処理されるので複数枚のウエハ4を処理するとなると膨大な時間がかかるようになり、半導体集積回路装置の生産性(量産性)が著しく低下する。これに対して、本実施の形態においては、処理室2c,2dを分けているので、各々の処理時におけるウエハ4の主面温度の設定時間を短縮できるので、スループットを大幅に向上させることができ、半導体集積回路装置の生産性(量産性)を向上させることが可能となる。
【0056】また、仮に1つの処理室で上記第1,第2処理工程の処理を行えば、ステップ毎にステージ温度を変えなければならないので、各ステップのウエハ4の主面温度が処理されるウエハ4毎に変わってしまう(ばらつきが大きくなる)結果、ウエハ4毎に処理結果が異なる場合が生じる。これに対して、本実施の形態においては、処理室2c,2dを分けているので、各々の処理時におけるウエハ4の主面温度の設定精度を向上させることができるので、狙い通りの処理が可能となり、処理の再現性を向上させることができる結果、半導体集積回路装置の歩留まりや信頼性を向上させることが可能となる。
【0057】上記H+またはOH-またはその両方を解離により生成するガスとしては、例えば水素ガス(H2)、水蒸気(H2O)、メタノール(CH3OH)、エタノール(C25OH)、プロパノール(C37OH、IPA;Isopropylalcohol)、ブタノール(C49OH)またはアセトン(CH3COCH)等がある。本実施の形態では、例えばメタノール(CH3OH)ガスを用いたが、水蒸気(H2O)は、安全性が高く取り扱い易い上、環境面の上でも好ましい。また、プロパノールも半導体集積回路装置の製造工程(例えば蒸気乾燥工程)で用いられ使い慣れていることから取り扱い易い。このようなガスを導入することにより、解離してできたH+やOH-により残留塩素成分を除去する。処理室2dでの処理も、残留レジストパターン、残留側壁保護膜または絶縁膜15b表面の残留有機ポリマー膜を除去する能力を有している。したがって、ウエハ4の表面の残留レジストパターン、残留側壁保護膜または絶縁膜15b表面の残留有機ポリマー膜を処理室2で除去される場合もある。
【0058】処理室2dでの処理時間は、処理室2dでのステージ温度に律則されるので一概には言えないが、塩素成分を良好に除去することを考慮すると上記レジストパターンおよび側壁保護膜の除去を目的とした処理室2cでの処理時間よりも長く、例えば90秒〜120秒程度である。このように本実施の形態においては、処理室2dでの処理時間が処理室2cでの処理時間よりも長いので、処理室2dの数を処理室2cよりも多く設置している。例えば処理室2cが1台なのに対して処理室2dを2台設けている。これにより、処理室2c,2d間の処理時間差を短縮または無くすことができるので、処理室2cの処理から処理室2dへの処理をスムーズに進めることができ、全体的な処理効率を向上させることが可能となっている。したがって、半導体集積回路装置の生産性(量産性)を維持または向上させることが可能となっている。
【0059】図11は上記処理室2dでの塩素成分除去処理(第2処理工程;防蝕処理)後の第1層配線L1の要部拡大断面図を示している。ウエハ4および第1層配線L1の表面の塩素(Cl)成分が大幅に低減されている。このため、第1層配線L1の腐蝕(コロージョン)を抑制または防止することが可能となる。また、既に側壁保護膜18は除去されているので、ウエハ4の主面を高温にしても側壁保護膜18等が硬化する問題は生じない。
【0060】次いで、図5に示した半導体製造装置1では、処理室2dでの処理が終了したウエハ4を、真空状態に維持された搬送室2a内の搬送アームによって処理室2cから取り出し、そのウエハ4をロードロック室2eのウエハカセット内に収容する。ロードロック室2eのウエハカセットは大気中に出され、処理部2から隣の処理部3に搬送される。この処理部3ではウエハ4を1枚ずつ洗浄する。まず、処理室3a内にウエハ4を搬入し、ウエハ4の表面を、例えばアルカリ系の洗浄液(三菱ガス化学(ELMC20等)により洗浄する。アルカリ系の洗浄液に代えて酸性の洗浄液を用いる場合もある。続いて、ウエハ4を処理室3bに移し、ウエハ4の表面を、例えば純水により洗浄する。洗浄処理に際しては超音波洗浄を使用することにより、洗浄効果を向上させることができ、また、洗浄時間を短縮させることができる。その後、処理室3b内においてウエハ4に対して、例えばスピン乾燥処理を施す。その後、乾燥処理後のウエハ4を処理室3cに移し、ベーク処理を施す。
【0061】図12は上記のウエット洗浄処理後のウエハ4の要部断面図、図13は図12の要部拡大断面図をそれぞれ示している。この段階では、第1層配線L1および絶縁膜15bの表面の塩素成分が除去されている。
【0062】また、図14は図12および図13に続く半導体集積回路装置の製造工程中のウエハ4の要部断面図を示している。ここには、第1層配線L1と同様のエッチング処理およびその後の上記処理(第1、第2処理工程を含む)を経て形成された第2層配線L2および第3層配線L3が形成されている。したがって、第2、第3層配線L2,L3においても配線腐蝕を抑制または防止できる。上記側壁保護膜の問題も回避できる。エッチング処理からその後の処理を効率的に進めることができる。第2、第3層配線L2,L3の導体膜16aは、例えば窒化チタンの単体膜で形成されている。第2層配線L2の導体膜16dの厚さは、第1層配線L1の導体膜16dよりも厚く、第3層配線L3の導体膜16dの厚さは、第2層配線L2の導体膜16dよりも厚く形成されている。これ以外の第2、第3層配線L2,L3の構成は、上記第1層配線L1と同じである。
【0063】また、配線層間の絶縁膜15c,15e,15f,15h,15iは、例えばTEOS(Tetraethoxysilane)ガスを用いたプラズマCVD法によって堆積された酸化シリコン膜からなる。隣接配線間の絶縁膜15d,15gは、例えばCVD法で形成された酸化シリコン膜からなり、平坦化のために形成されている。また、表面保護膜を形成する絶縁膜15jは、例えば窒化シリコン膜からなり、その上の表面保護膜を形成する絶縁膜15kは、例えばポリイミド樹脂からなる。
【0064】第2層配線L2は、絶縁膜15c,15eに形成されたスルーホールTH内の導体膜16aおよびプラグ16bを通じて第1層配線L1と電気的に接続されている。第3層配線L3は、絶縁膜15f,15hに形成されたスルーホールTH内の導体膜16aおよびプラグ16bを通じて第2層配線L2と電気的に接続されている。絶縁膜15k,15jの一部には、第3層配線L3の一部が露出されるような開口部19が形成されている。この開口部19から露出される第3層配線L3の一部は、ボンディングパッド(外部端子)部BPを形成している。この第3層配線L3のボンディングパッド部BPの上面では、導体膜16fが除去されており、開口部19からは第3層配線L3の導体膜16dが露出されている。
【0065】次に、図15および図16は、レジスト膜の除去および塩素成分の除去(防蝕処理)のモデルを示している。なお、図15および図16では、上記第1、第2処理工程での作用を一緒に示している。
【0066】図15は、上記第1処理工程の処理ガスとして、例えば酸素ガス(O2)とCF4との混合ガスを用い、上記第2処理工程の処理ガスとして、例えば酸素ガス(O2)とメタノール(CH3OH)ガスとの混合ガスを用いた場合を示している。
【0067】まず、第1処理工程では、酸素ガス(O2)が解離することで生成された酸素ラジカル(O*)と、CF4が解離することで生成されたフッ素ラジカル(F*)とがレジスト膜にアタックすることにより、COx、H2OおよびHFが生成され、レジストパターン17aおよび側壁保護膜18が除去される。これを化学式で示すと、例えば次の通りである。
【0068】O2 →2O*CF4→CFx*+(4−X)F*C,H,O(レジスト)+O*+F* → COx+H2O↑+HF↑続く、第2処理工程では、メタノール(CH3OH)が解離することで生成されたH+と残留する塩素成分(Cl-)とが反応して塩酸(HCl)が生成される。真空中で生成された塩酸(HCl)は、すぐに揮発される。これにより、塩素成分を除去される。これを化学式で示すと、例えば次の通りである。
【0069】
CH3OH → CHx*+(3−X)H++OH-CHx*+(3−X)H++Cl- → CHxCly↑+HCl↑次に、図16は、上記第1処理工程の処理ガスとして、例えば酸素ガス(O2)を用い、上記第2処理工程の処理ガスとして、例えば酸素ガス(O2)と水蒸気(H2O)ガスとの混合ガスを用いた場合を示している。
【0070】まず、第1処理工程では、酸素ガス(O2)が解離することで生成された酸素ラジカル(O*)がレジスト膜にアタックすることにより、COxおよびH2Oが生成され、レジストパターン17aおよび側壁保護膜18が除去される。これを化学式で示すと、例えば次の通りである。
【0071】O2 →2O*C,H,O(レジスト)+O* → COx+H2O↑続く、第2処理工程では、水蒸気(H2O)が解離することで生成されたH+と残留する塩素成分(Cl-)とが反応して塩酸(HCl)が生成される。この塩酸は上記と同様に、すぐに揮発され、塩素成分を除去することができる。これを化学式で示すと、例えば次の通りである。
【0072】H2O → H++OH-++Cl- → HCl↑以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0073】例えば前記実施の形態では放射状型のマルチチャンバ装置を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば中央の搬送室とその両側に処理室を配置する線形型のマルチチャンバ装置を用いても良い。
【0074】また、前記実施の形態では積層構造を有する導体膜のパターニング時に用いたレジストパターンのアッシング技術について説明したが、導体膜がアルミニウムを主成分とする導体膜の単体膜で形成されている場合にも本発明を適用できる。
【0075】以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるCMIS回路を有する半導体集積回路装置の製造方法に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)またはフラッシュメモリ(EEPROM;Electric Erasable Programmable Read Only Memory)等のようなメモリ回路を有する半導体集積回路装置の製造方法、マイクロプロセッサ等のような論理回路を有する半導体集積回路装置の製造方法あるいは上記メモリ回路と論理回路とを同一基板に設けている混載型の半導体集積回路装置の製造方法にも適用できる。また、フラットパネルディスプレイやマイクロマシンの製造方法にも適用できる。本発明は、レジスト膜をエッチングマスクとしてアルミニウムを主成分とする導体膜をパターニング後、エッチングマスクとして用いたレジスト膜をアッシング除去する工程を有する技術に適用できる。
【0076】
【発明の効果】本願によって開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
【0077】すなわち、レジスト膜および側壁膜の除去を主目的として相対的に低温の状況下において酸素を有するガスを用いたプラズマ処理を施した後、塩素を除去することを主目的として相対的に高温の状況下において酸素ガスと水素を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理を施す工程を有することにより、半導体集積回路装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウムを主成分とする配線の腐蝕発生モデルの説明図である。
【図2】アルミニウムを主成分とする配線の腐蝕発生による不具合の説明図である。
【図3】電池作用による配線の腐蝕発生モデルの説明図である。
【図4】電池作用による配線の腐蝕発生モデルの説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造工程で用いた半導体製造装置の一例の説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造工程中におけるウエハの要部断面図である。
【図7】図6の要部拡大断面図である。
【図8】図6および図7に続く半導体集積回路装置の製造工程中におけるウエハの要部断面図である。
【図9】図8の要部拡大断面図である。
【図10】図8および図9に続く半導体集積回路装置の製造工程中におけるウエハ上の配線の要部拡大断面図である。
【図11】図10に続く半導体集積回路装置の製造工程中におけるウエハ上の配線の要部拡大断面図である。
【図12】図11に続く半導体集積回路装置の製造工程中におけるウエハの要部断面図である。
【図13】図12の要部拡大断面図である。
【図14】図12および図13に続く半導体集積回路装置の製造工程中のウエハの要部断面図である。
【図15】H+またはOH-またはその両方を解離により生成するガスを用いたプラズマアッシング処理によるレジスト膜の除去および塩素成分の除去のモデルの説明図である。
【図16】H+またはOH-またはその両方を解離により生成するガスを用いたプラズマアッシング処理によるレジスト膜の除去および塩素成分の除去のモデルの説明図である。
【符号の説明】
1 半導体製造装置
2 処理部
2a 搬送室
2b 処理室
2c 処理室
2d 処理室
2e ロードロック室
3 処理部
3a〜3c 処理室
4 ウエハ
4S 半導体基板
5 分離部
6 ゲート絶縁膜
7 ゲート電極
8 サイドウォール
9 半導体領域
9a 半導体領域
9b 半導体領域
10 半導体領域
11 半導体領域
11a 半導体領域
11b 半導体領域
12 半導体領域
15a〜15k 絶縁膜
16a,16c,16e,16f 導体膜(第2導体膜)
16b プラグ
16d 導体膜(第1導体膜)
17a フォトレジストパターン
18 側壁保護膜(側壁膜)
19 開口部
50 絶縁膜
51 配線
52 異物
53 塩酸水溶液
PWL p型ウエル
NWL n型ウエル
Qp pチャネル型のMIS・FET
Qn nチャネル型のMIS・FET
CP キャップ膜
CNT コンタクトホール
L1 第1層配線
L2 第2層配線
L3 第3層配線
BP ボンディングパッド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下の工程を有することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法:(a)ウエハ上に、アルミニウムを主成分とする導体膜を堆積する工程、(b)前記導体膜上にフォトレジストパターンを形成する工程、(c)前記フォトレジストパターンから露出する前記導体膜を塩素を含むガスを用いたエッチング法によってエッチング除去する工程、(d)前記エッチング処理後のウエハに対して、前記ウエハの主面の温度を第1温度とした状態で、前記導体膜の側壁に形成された側壁膜および前記フォトレジストパターンの除去を主目的として、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理を施す第1処理工程、(e)前記(d)工程後のウエハに対して、前記ウエハの主面の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とした状態で、前記ウエハの主面および導体膜の表面に付着した塩素の除去を主目的として、酸素ガスと水素を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理を施す第2処理工程。
【請求項2】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1処理工程と、前記第2処理工程とで処理室を別々にしたことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項3】 請求項2記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2処理工程の処理室の数を、前記第1処理工程の処理室の数よりも多くしたことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項4】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1温度は120℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項5】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1温度は100℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項6】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1温度は80℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項7】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2温度は150℃〜350℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項8】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2温度は180℃〜250℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項9】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2温度は200℃であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項10】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1温度は120℃以下であり、前記第2温度は150℃〜350℃であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項11】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1処理工程の酸素を含むガスにフッ素を含むガスを添加したことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項12】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2処理工程の水素を含むガスが、メタノールガスであることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項13】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2処理工程の水素を含むガスが、プロパノールガスであることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項14】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2処理工程の水素を含むガスが、水蒸気であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項15】 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記導体膜が、アルミニウム膜に、シリコンまたは銅の一方あるいは両方を添加した合金膜からなることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項16】 以下の工程を有することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法:(a)ウエハ上に、アルミニウムを主成分とする第1導体膜および前記第1導体膜とは異種の第2導体膜の積層構造を有する導体膜を堆積する工程、(b)前記積層構造を有する導体膜上にフォトレジストパターンを形成する工程、(c)前記フォトレジストパターンから露出する前記積層構造を有する導体膜を塩素を含むガスを用いたエッチング法によってエッチング処理する工程、(d)前記エッチング処理後のウエハに対して、前記ウエハの主面の温度を第1温度とした状態で、前記積層構造を有する導体膜の側壁に形成された側壁膜および前記フォトレジストパターンの除去を主目的として、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理を施す第1処理工程、(e)前記(d)工程後のウエハに対して、前記ウエハの主面の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とした状態で、前記ウエハの主面および積層構造を有する導体膜の表面に付着した塩素の除去を主目的として、酸素ガスと水素を含むガスとの混合ガスを用いたプラズマ処理を施す第2処理工程。
【請求項17】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1処理工程と、前記第2処理工程とで処理室を別々にしたことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項18】 請求項17記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2処理工程の処理室の数を、前記第1処理工程の処理室の数よりも多くしたことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項19】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1温度は120℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項20】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1温度は100℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項21】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1温度は80℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項22】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2温度は150℃〜350℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項23】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2温度は180℃〜250℃以下であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項24】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2温度は200℃であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項25】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1温度は120℃以下であり、前記第2温度は150℃〜350℃であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項26】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1処理工程の酸素を含むガスにフッ素を含むガスを添加したことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項27】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2処理工程の水素を含むガスが、メタノールガスであることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項28】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2処理工程の水素を含むガスが、プロパノールガスであることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項29】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2処理工程の水素を含むガスが、水蒸気であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項30】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1導体膜が、アルミニウム膜に、シリコンまたは銅の一方あるいは両方を添加した合金膜からなることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項31】 請求項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2導体膜が高融点金属膜、高融点窒化膜または高融点金属シリサイド膜からなることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2003−179034(P2003−179034A)
【公開日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−378417(P2001−378417)
【出願日】平成13年12月12日(2001.12.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000233594)株式会社北日本セミコンダクタテクノロジ−ズ (34)
【Fターム(参考)】