基板位置検出装置、基板位置検出方法、成膜装置、成膜方法、プログラム及びコンピュータ可読記憶媒体
【課題】基板の撮像に基づく基板位置検出において検出誤差を低減することが可能な基板位置検出装置および基板位置検出方法、並びに基板位置検出装置を含む成膜装置を提供する。
【解決手段】位置検出対象である基板Wを撮像する撮像部104と、撮像部104と基板Wとの間に配置され、基板Wに対する撮像部104の視野を確保する第1の開口部106aを有する光散乱性のパネル部材106と、パネル部材106に光を照射する第1の照明部108と、撮像部104により撮像された基板Wの画像から基板Wの位置を求める処理部104aとを備える基板位置検出装置100が提供される。
【解決手段】位置検出対象である基板Wを撮像する撮像部104と、撮像部104と基板Wとの間に配置され、基板Wに対する撮像部104の視野を確保する第1の開口部106aを有する光散乱性のパネル部材106と、パネル部材106に光を照射する第1の照明部108と、撮像部104により撮像された基板Wの画像から基板Wの位置を求める処理部104aとを備える基板位置検出装置100が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造装置等に収容される基板の位置を検出する基板位置検出装置、基板位置検出方法、基板位置検出装置を備える成膜装置、この成膜装置を用いる成膜方法、上記の基板位置検出装置に基板位置検出方法を実施させるプログラム、このプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体、上記の成膜装置に成膜方法を実施させるプログラム、及びこのプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造工程においては、成膜装置、エッチング装置、および検査装置を始めとする種々の製造装置内に基板が搬送され、それぞれの装置に応じた処理が基板に対して行われる。基板は、フォークやエンドエフェクタを有する搬送アームによって各装置内へ搬入されるが、装置内においては、所定の位置に正確に配置されなければならない。例えば、成膜装置内で所定の位置からずれてしまうと、基板を均一に加熱することができず、膜質および膜厚の均一性が悪化するという問題が生じる。また、所定の位置からずれていると、処理後に、フォークやエンドエフェクタによって基板を取り出すことができないといった問題も生じ得る。
【0003】
さらに、膜厚の制御性及び均一性に優れることから注目を集めている分子層(原子層)成膜装置のなかには、原料ガスの交互供給の代わりに基板を高速で回転することにより原料ガスを基板に対して交互に付着させるものがあるが、このような装置において基板が所定の位置にない場合、回転によって基板がとばされるといった問題が生じる。
【0004】
基板を所定の位置に正確に配置して上記のような問題を解決するため、装置内に複数のレーザセンサ又は光電センサを配置して測定値の変化により位置ずれを検出する方法や(特許文献1参照)、接触式センサを利用して位置ずれを検出する方法がある(特許文献2参照)。
【0005】
しかし、1枚の基板に対して複数のレーザセンサを用いる必要があるため、複数の基板を収容する装置においては相当数のレーザセンサが必要となり、装置のコストが上昇してしまう。また、基板とサセプタの相対位置を把握するため、サセプタの位置を検出するためのレーザセンサも必要となり、更なるコスト上昇を招く。さらに、複数のレーザセンサを用いる場合には、光学系が複雑になるという問題も生じる。一方、接触式センサは、基板を加熱する場合には、使用することができない。
【0006】
これらに対して、基板位置の別の検出方法として、CCDカメラ等を用いて基板を撮像し、得られた画像に基づいて基板の位置を検出する方法がある(特許文献3参照)。この方法によれば、一台のCCDカメラで基板もサセプタも撮影することができるため、コストを上昇させずに済み、光学系を単純化することができ、さらに遠隔検出が可能であるため基板の加熱の有無によらず使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−007009号公報
【特許文献2】特開2007−142086号公報
【特許文献3】特開2001−117064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、本発明の発明者らが検討した結果、カメラにより基板を撮影する際、光の照射によって検出誤差が発生し、基板位置を正確に検出することができない場合があることが分かった。
【0009】
本発明は、このような検討結果から為され、基板の撮像に基づく基板位置検出において検出誤差を低減することが可能な基板位置検出装置、基板位置検出方法、基板位置検出装置を備える成膜装置、この成膜装置を用いる成膜方法、上記の基板位置検出装置に基板位置検出方法を実施させるプログラム、このプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体、上記の成膜装置に成膜方法を実施させるプログラム、及びこのプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、位置検出対象である基板を撮像する撮像部と、撮像部と基板との間に配置され、基板に対する撮像部の視野を確保する第1の開口部を有する光散乱性のパネル部材と、パネル部材に光を照射する第1の照明部と、前記撮像部により前記第1の開口部を通して撮像された画像から前記基板の位置を求める処理部とを備える基板位置検出装置を提供する。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様の基板位置検出装置であって、第1の照明部が、パネル部材の基板に臨む第1の面に光を照射する基板位置検出装置を提供する。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1の態様の基板位置検出装置であって、第1の照明部が、パネル部材の撮像部に臨む第2の面に光を照射する基板位置検出装置を提供する。
【0013】
本発明の第4の態様は、第3の態様の基板位置検出装置であって、基板に光を照射する第2の照明部を更に備える基板位置検出装置を提供する。
【0014】
本発明の第5の態様は、第2の態様の基板位置検出装置であって、第1の面に光を照射する第1の照明部の光放射部の向きが、基板に光を照射するために変更可能である基板位置検出装置を提供する。
【0015】
本発明の第6の態様は、第1から5のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、第1の照明部が白色発光素子を含む基板位置検出装置を提供する。
【0016】
本発明の第7の態様は、第4の態様の基板位置検出装置であって、第2の照明部が白色発光素子を含む基板位置検出装置を提供する。
【0017】
本発明の第8の態様は、第6又は7の態様の基板位置検出装置であって、白色発光素子が白色発光ダイオードである基板位置検出装置を提供する。
【0018】
本発明の第9の態様は、第1から第8のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、パネル部材が光散乱性粒子を含む樹脂により形成される基板位置検出装置を提供する。
【0019】
本発明の第10の態様は、第1から第8のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、パネル部材が、顔料が塗布された透明樹脂板により形成される基板位置検出装置を提供する。
【0020】
本発明の第11の態様は、第1から第8のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、パネル部材がマイクロレンズアレイを含む基板位置検出装置を提供する。
【0021】
本発明の第12の態様は、第1から第8のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、パネル部材の第1の面及び第2の面のいずれか又は双方が粗面化されている基板位置検出装置を提供する。
【0022】
本発明の第13の態様は、第1から第12のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、位置検出対象である基板を臨む開口と、撮像部が収容される収容領域と、収容領域に気体を導入する導入口と、導入口から導入された気体を排気する排気口と、を含む筐体を更に備え、パネル部材が、筐体内において開口と収容領域との間に配置され、パネル部材に、気体が通過可能な第2の開口部が形成される基板位置検出装置を提供する。
【0023】
本発明の第14の態様は、第1から第13のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、撮像部がCCDカメラを含む基板位置検出装置を提供する。
【0024】
本発明の第15の態様は、位置検出対象である基板をサセプタの載置部に載置する工程と、基板の上方に配置される、開口部を有する光散乱性のパネル部材に光を照射する工程と、上記の開口部を通して、光が照射されるパネル部材により照らされる、基板及び載置部を含む領域を撮像する工程と、領域の画像に基づいて載置部の位置を推定する工程と、領域の画像に基づいて基板の位置を推定する工程と、載置部の位置と基板の位置とから、基板が所定の位置にあるかどうかを判定する工程とを含む基板位置検出方法を提供する。
【0025】
本発明の第16の態様は、第15の態様の基板検出方法であって、載置部の位置を推定する工程が、サセプタに設けられる位置検出用マークを検出する工程を含む基板位置検出方法を提供する。
【0026】
本発明の第17の態様は、第15又は第16の態様の基板位置検出方法であって、基板の位置を推定する工程が、載置部に載置された基板の端部を認識する工程を含む基板位置検出方法を提供する。
【0027】
本発明の第18の態様は、容器内にて、互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番に基板に供給するサイクルを実行して反応生成物の層を当該基板上に生成することにより膜を堆積する成膜装置を提供する。この成膜装置は、容器に回転可能に設けられたサセプタと、サセプタの一の面に設けられ、基板が載置される載置部と、載置部に載置される基板の位置を検出する、第1から第14のいずれかの態様の基板位置検出装置と、一の面に第1の反応ガスを供給するよう構成された第1の反応ガス供給部と、サセプタの回転方向に沿って第1の反応ガス供給部から離れた、一の面に第2の反応ガスを供給するよう構成された第2の反応ガス供給部と、回転方向に沿って、第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と第2の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置し、第1の処理領域と第2の処理領域とを分離する分離領域と、第1の処理領域と第2の処理領域とを分離するために、容器のほぼ中央に位置し、一の面に沿って第1の分離ガスを吐出する吐出孔を有する中央領域と、容器を排気するために容器に設けられた排気口と、を備える。分離領域は、第2の分離ガスを供給する分離ガス供給部と、第2の分離ガスが回転方向に対し分離領域から処理領域側へ流れることができる狭隘な空間を、サセプタの一の面に対して形成する天井面とを含んでいる。
【0028】
本発明の第19の態様は、第18の態様の成膜装置を用いて基板上に膜を堆積する成膜方法を提供する。この成膜方法は、容器に回転可能に設けられたサセプタの一の面に設けられ、基板が載置される載置部に基板を載置する工程と、基板の上方に配置される、開口部を有する光散乱性のパネル部材に光を照射する工程と、開口部を通して、光が照射されるパネル部材により照らされる、基板及び載置部を含む領域を撮像する工程と、領域の画像に基づいて載置部の位置を推定する工程と、領域の画像に基づいて基板の位置を推定する工程と、載置部の位置と基板の位置とから、基板が所定の位置にあるかどうかを判定する工程と、基板が所定の位置にあると判定された場合に、基板が載置されたサセプタを回転する工程と、第1の反応ガス供給部からサセプタの一の面へ第1の反応ガスを供給する工程と、サセプタの回転方向に沿って第1の反応ガス供給部から離れた第2の反応ガス供給部からサセプタの一の面へ第2の反応ガスを供給する工程と、第1の反応ガス供給部から第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と第2の反応ガス供給部から第1の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置する分離領域に設けられた分離ガス供給部から、第1の分離ガスを供給し、分離領域の天井面とサセプタとの間に形成される狭隘な空間において回転方向に対し分離領域から処理領域側に第1の分離ガスを流す工程と、容器の中央部に位置する中央部領域に形成される吐出孔から一の面に沿って第2の分離ガスを供給する工程と、容器を排気する工程と、を備える。
【0029】
本発明の第20の態様は、第1から第14のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、位置検出対象である前記基板が載置されるサセプタを回転する回転駆動機構に設けられ、当該サセプタに設けられた位置検出用マークの位置を検出する検出部を更に備え、前記処理部が、前記画像から前記位置検出用マークが所定の範囲にあるか否かを検出する基板位置検出装置を提供する。
【0030】
本発明の第21の態様は、第20の態様の基板位置検出装置であって、前記検出部が、前記回転駆動機構に設けられた固定子と、前記回転駆動機構の回転部に設けられ、前記固定子と協働する回転子とを含む基板位置検出装置を提供する。
【0031】
本発明の第22の態様は、第16の態様の基板位置検出方法であって、前記載置部の位置を推定する工程が、前記画像から前記位置検出用マークが前記画像内の所定の範囲にあるか否かを検出する工程と、前記検出する工程において前記位置検出用マークが所定の範囲に無いと判定された場合に、前記サセプタを回転する回転駆動機構に設けられた検出部の検出結果に基づいて前記位置検出マークが前記所定の範囲内に収まるように前記サセプタの位置を調整する工程と、前記所定の範囲内に収まった前記位置検出マークの位置を検出し、当該検出結果に基づいて前記位置検出マークを所定の位置に位置するように前記サセプタの位置を調整する工程とを含む基板位置検出方法を提供する。
【0032】
本発明の第23の態様は、第22の態様の基板位置検出方法であって、前記検出部が、前記回転駆動機構に設けられた固定子と、前記回転駆動機構の回転部に設けられ、前記固定子と協働する回転子とを含む基板位置検出方法を提供する。
【0033】
本発明の第24の態様は、第1から第14、第20、および第21の態様のいずれかの基板位置検出装置に、第15から第17、第22、および第23の態様のいずれかの基板位置検出方法を実施させるプログラムを提供する。
【0034】
本発明の第25の態様は、第24の態様のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0035】
本発明の第26の態様は、第18の態様の成膜装置に、請求項19の成膜方法を実施させるプログラムを提供する。
【0036】
本発明の第27の態様は、第26の態様のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の実施形態によれば、基板の撮像に基づく基板位置検出において検出誤差を低減することが可能な基板位置検出装置、基板位置検出方法、基板位置検出装置を備える成膜装置、この成膜装置を用いる成膜方法、上記の基板位置検出装置に基板位置検出方法を実施させるプログラム、このプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体、上記の成膜装置に成膜方法を実施させるプログラム、及びこのプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態による基板位置検出装置を示す模式図
【図2】本発明の実施形態による基板位置検出方法を示すフローチャート
【図3】図1の基板位置検出装置が利用される成膜装置におけるウエハの配置を説明する図
【図4】図1の基板位置検出装置を利用して本発明の実施形態による基板位置検出方法に従って撮像された画像(b)を、位置検出方法の比較のために撮像した画像(a)と対比して示す図
【図5】本発明の実施形態による基板位置検出装置及び基板位置検出方法における、ウエハの中心位置の推定を説明する図
【図6】本発明の他の実施形態による基板位置検出装置を模式的に示す図
【図7】図1の基板位置検出装置を備える、本発明の実施形態による成膜装置を示す模式図
【図8】図7の成膜装置の容器本体の内部を示す斜視図
【図9】図7の成膜装置の容器本体の内部を示す上面図
【図10】図7の成膜装置のガス供給ノズル、サセプタ、及び凸状部との位置関係を示す図
【図11】図7の成膜装置の一部断面図
【図12】図7の成膜装置の破断斜視図
【図13】図7の成膜装置におけるパージガスの流れを示す一部断面図
【図14】図7の成膜装置の容器本体内へアクセスする搬送アームを示す斜視図
【図15】図7の成膜装置の容器本体内を流れるガスのフローパターンを示す上面図
【図16】図7の成膜装置内の突出部の形状を説明する図
【図17】図7の成膜装置のガス供給ノズルの変形例を示す図
【図18】図7の成膜装置内の突出部の変形例を示す図
【図19】図7の成膜装置内の突出部とガス供給ノズルの変形例を示す図
【図20】図7の成膜装置内の突出部の他の変形例を示す図
【図21】図7の成膜装置におけるガス供給ノズルの配置位置の変形例を示す図
【図22】図7の成膜装置内の突出部のまた別の変形例を示す図
【図23】図7の成膜装置内において、反応ガス供給ノズルに対して突出部を設けた例を示す図
【図24】図7の成膜装置内の突出部の更に別の変形例を示す図
【図25】図1の基板位置検出装置を備える、本発明の他の実施形態による成膜装置を示す模式図
【図26】図7又は図25の成膜装置を含む基板処理装置を示す模式図
【図27】本発明の他の実施形態による基板位置検出装置を説明するための模式図
【図28】本発明の他の実施形態による基板位置検出方法を示すフローチャート
【図29】本発明の他の実施形態による基板位置検出方法を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきものである。
【0040】
<基板位置検出装置>
図1は、本発明の一実施形態による基板位置検出装置を示す概略図である。図示の通り、本実施形態による基板位置検出装置101は、筐体102と、筐体102内に取り付けられ、位置検出の対象であるウエハWを撮像するカメラ104と、筐体102内においてカメラ104の下方に配置されるパネル106と、パネル106に光を照射する光源108とを有している。
【0041】
筐体102は、本実施形態においては、位置検出の対象であるウエハWが収納される成膜装置200の上に配置される。筐体102は、下部に開口部を有し、この開口部を覆う透明な窓102aを有している。また、筐体102には、上方の側壁において配管102bが接続され、下方の側壁において配管102cが接続されている。図1中に二点鎖線の矢印で示すように、例えば清浄空気を配管102bから流して配管102cから排気することにより、筐体102内に取り付けられたカメラ104を冷却することができる。また、位置検出時にウエハWが加熱されている場合には、輻射熱により窓102aが加熱され、これにより陽炎が生じて画像がぼやけることがある。しかし、上記の清浄空気により窓102aをも冷却することができ、陽炎による画像のぼやけを低減することができる。
【0042】
カメラ104は、撮像素子として電荷結合素子(CCD)を有しており、筐体102の上方部に筐体102の開口部および窓102aを望むように取り付けられている。この構成により、カメラ104は、窓102aと、成膜装置200の天板11に気密に設けられたビューポート201とを通して、成膜装置200内のサセプタ2に載置されるウエハWを撮像することができる。
【0043】
また、カメラ104には制御部104aが電気的に接続されている。制御部104aにより、カメラ104の動作(オン/オフ、焦点合わせ、撮像等)が制御されるとともに、カメラ104により得られた画像データが処理される。この処理には、画像データからウエハWやサセプタ2の位置を求める演算処理が含まれる。また、制御部104aが、所定の入出力装置(図示せず)を通して記憶媒体に記憶されたプログラムをダウンロードし、このプログラムに従って、カメラ104や光源108などの各構成を制御することにより、後述する基板位置検出方法が実施される。
【0044】
パネル106は、本実施形態においては、白色顔料が塗布された乳白色のアクリル板から作製され、筐体102内においてカメラ104と窓102aとの間に取り付けられている。パネル106のほぼ中央には開口部106aが形成されており、開口部106aを通して、カメラ104は成膜装置200内のウエハWおよびその周辺を撮像することができる。したがって、開口部106aの位置および大きさは、カメラ104がウエハWおよびその周辺の領域、具体的には、ウエハ位置の検出に利用されるウエハWのエッジと、サセプタ2に形成される位置検出用マーク2a(後述)とを撮像できるように決定して良く、また、パネル106とカメラ104との距離をも考慮に入れて決定して良い。
【0045】
また、パネル106には、カメラ104によるウエハW等の撮像を妨げない位置において、一又は複数の開口部106bが形成されている。開口部106bは、筐体102に接続される配管102aから供給される清浄空気の流れを促進するために設けられる。
【0046】
光源108は、本実施形態においては、パネル106と窓102aとの間において筐体102の内側壁に取り付けられている。このため、光源108は、パネル106の下面に光を照射することができ、また、パネル106の開口部106aを通してカメラ104に光が照射されることない。光源108は、上下方向に旋回可能に取り付けられても良く、さらに、所定のモータ等を設けて照射方向の切り替えができるようにすると好ましい。このようにすれば、択一的に、光源108の上方のパネル106に光を照射するか、光源108の下方のウエハWに光を照射することができる。
【0047】
光源108は、本実施形態においては、白色発光ダイオード(LED)108aを含み、また、白色LEDに電力を供給する電源108bを有している。電源108bは出力電圧を変えることができ、これにより、パネル106により間接的に光照射されるウエハWへの照度を調整することができる。照度の調整により、カメラ104は、より鮮明な画像を撮像することが可能となる。
【0048】
以上のように構成された、本発明の一実施形態による基板位置検出装置101が奏する効果・利点は、以下の基板位置検出方法の説明より明らかとなる。
【0049】
<基板位置検出方法>
図1〜図5を参照しながら、本発明の一実施形態による基板位置検出方法を説明する。ここでは、上述の基板位置検出装置101を用い、成膜装置200内に搬入されてサセプタ2に載置されるウエハWの位置を検出する場合を説明する。なお、成膜装置200で用いられるサセプタ2は、図3に示すとおり、5枚のウエハが載置される載置部24を等角度間隔(約72°)で有している。ウエハの位置検出は、例えばウエハを成膜装置200内に搬入し所定の載置部に載置したときに行われ、1ランに搬入される5枚以下のウエハのそれぞれについて逐次行われる。また、載置部24は、例えば、ウエハWの直径よりも大きい内径を有する円形の凹部であって良い。具体的には、約300mm(12インチ)の直径を有するウエハWに対し、凹状の載置部24の内径は例えば約304mm〜約308mmであって良い。
【0050】
まず、ステップS21(図2)において、ウエハWが、フォークを有する搬送アーム(図示せず)により、成膜装置200のチャンバ12(図1)内に搬入され、サセプタ2に設けられた貫通孔を通して昇降可能な昇降ピン16(図3)によって搬送アームから載置部24に載置される。次に、このウエハWは、サセプタ2の回転により、基板位置検出装置101のカメラ104により撮像される位置(以下、撮像位置という)に移動される。
【0051】
次いで、基板位置検出装置101の光源108が点灯し、パネル106の下面に光が照射される。そして、基板位置検出装置101のカメラ104により、ウエハWのエッジを含む領域とその周辺のサセプタ2とが撮像され(ステップS22)、制御部104aにより画像データが収集される。カメラ104により得られた画像の一例を示すと、図4(b)のとおりである。図示のとおり、ウエハWはほぼ一様に白色で示され、サセプタ2は黒色で表されている。なお、図中、ウエハWに見える黒い長方形は、パネル106の開口部106bである。
【0052】
続けて、制御部104aにより、成膜装置200のサセプタ2に設けられた位置検出用マーク2aが検出される。この検出は、予め制御部104aに記憶された位置検出用マーク2aの形状又は模様等に基づいた画像処理により行うことができる。さらに、検出された位置検出用マーク2aの位置に基づいて、検出対象のウエハWが載置される載置部24の中心位置が推定される(ステップS23)。この推定のためには、例えば図5に示すように、位置検出マーク2aが、位置検出マーク2aの中心と載置部24の中心Cとが所定の軸上に位置するように形成されていると好ましい。このようにすれば、予め決定された、位置検出マーク2aの中心から距離により、載置部24の中心Cの位置を容易に推定することができる。
【0053】
次に、制御部104aは、カメラ104により得られた画像において、ウエハWのエッジラインを認識する。この認識は、制御部104aに予め備えられたエッジ認識機能を利用して行って良い。次いで、例えばエッジラインに接する複数の接線とその接点において交差する直線が交わる点(座標)を求めることにより、ウエハWの中心WO(図5)の位置を推定することができる(ステップS24)。
【0054】
次いで、推定されたウエハWの中心WOの位置と載置部24の中心Cの位置との距離dが求められる。ここで、図5に示す座標軸において、載置部24の中心Cが点(XC,YC)で表され、ウエハWの中心WOが点(XW,YW)で表されるとすると、
d2=((XW−XC)2+(YW−YC)2)/CF2 ・・・式(1)
という関係式が成り立つ。式(1)において、CFは換算係数であり、例えばCCD上の画素間の距離に対する実際の寸法の比を表している。
【0055】
この後、式(1)に基づいて求めた距離dを用いて、ウエハWが所定の範囲内にあるかどうかが判定される(ステップS25)。例えば、Dwmmの直径を有するウエハWに対して、載置部24が凹部であって、その内径がD0mmである場合、
0≦d2≦L2 ・・・式(2)
L=(D0−Dw)/2 ・・・式(3)
という関係を満たすときは、ウエハWの中心WOは、載置部24の中心Cを中心とする半径Lの円Rの内側に入ることとなる。すなわち、この場合、ウエハWは載置部24に収まっていることとなり、ウエハWの位置は所定の範囲内にあると判定される。
【0056】
なお、ウエハWを載置部24へ載置する場合に、昇降ピン16を用いずに、エンドエフェクタを有する搬送アームを使用するときは、エンドエフェクタのサイズに応じて、
0≦d2≦L12 ・・・式(4)
L1<L=(D0−Dw)/2 ・・・式(5)
という関係式を用いて、ウエハWの位置は所定の範囲内にあるかどうかを判定しても良い。
【0057】
また、上記の撮像、中心推定、および判定が行われる間、成膜装置200においては、撮像等の処理が行われたウエハWが載置される載置部24に隣接する載置部24に次のウエハWが載置される。これにより、時間の無駄なく、ウエハWの位置検出およびウエハWの搬入が可能となり、スループットの低下を防ぐことができる。
【0058】
距離dが所定の範囲内にある場合(ステップS25:YES)、制御部104aから成膜装置200に対してウエハWの搬入が終了したかどうかが問い合わされ(ステップS26)、残りのウエハWがあるとの情報を得た場合には、ステップS22へ戻る。すなわち、成膜装置200のサセプタ2が回転し、次のウエハWが撮像位置に移動されて、そのウエハWのエッジとその周辺領域が撮像され、この後、このウエハWに対してステップS25までが行われる。以降、サセプタ2に載置されるすべてのウエハWに対して位置検出が終了するまで、同様にステップS21〜S25が繰り返される。
【0059】
また、距離dが所定の範囲内にないと判定された場合は(ステップS25:NO)、制御部104aからアラームが発せられ、制御部104aから成膜装置200に対して動作の中止を求める信号が送信され(ステップS27)、これにより成膜装置200が待機状態となる。この場合、成膜装置200の操作者により、所定の手順に従って、所定の位置にないと判定されたウエハWを所定の位置に載置するといった手動作業が行われる。
【0060】
ステップS26において、残りのウエハWがない、すなわち、すべての(5枚の)ウエハWが所定の位置にあると判定されると(ステップS26:NO)、成膜装置200において、ウエハWの上に所定の膜が成膜される(ステップS28)。成膜が終了すると、搬送アームによりウエハWが成膜装置200のチャンバ12から搬出される。ただし、搬出の前に、ステップS21〜S27に倣って、再度、ウエハWの位置検出を行っても良い。成膜後の位置検出は、成膜中にサセプタ2が回転することによりウエハWの位置がずれた場合に、例えばエンドエフェクタを有する搬送アームがウエハWを掴むことができないという事態を防止する点で有効である。
【0061】
以下、図4(a)および図4(b)を比較しながら、本実施形態による基板位置検出方法の効果及び利点を説明する。図4(a)は、比較のため、ウエハWとその周辺領域に対して直接に光を照射し撮像した画像を示す。この場合、ウエハWは黒く表示されている。このため、サセプタ2の載置部24の内周壁により生じる影、かつ/又は、ウエハWの厚さにより生じる影と、ウエハWのエッジとが重なると、ウエハWのエッジを正確に認識することができない。その結果、ウエハWの中心、ひいてはウエハWの位置を正確に把握することができなくなってしまう。また、ウエハWのエッジは、外向きに傾斜しているため、この傾斜面から強い反射光が生じる場合がある。そうすると、画像上ではウエハWのエッジの一部が強く光って見えることとなり、エッジの円弧形状が歪んでしまい、ウエハWの中心を正確に推定することができない事態ともなる。
【0062】
一方、本発明の実施形態による基板位置検出方法によれば、図4(b)に示すように、ウエハWは白色で表示されている。この理由は以下のとおりである。パネル106は上述の通り白色顔料が塗布されたアクリル板で作製されているため、パネル106の下面(ウエハWを望む面)に対して光源108から光を照射すると、パネル106の全体がほぼ一様に白色に発光することとなる。このとき、パネル106の下方に配置されるウエハWは、ほぼ一様に白色に発光するパネル106に照らされるため、または、このように発光するパネル106が映るため、一様に白色に見える。したがって、カメラ104により撮影される画像においても、ウエハWのエッジを含む領域が一様に光って見える。一方、ウエハWが載置されるサセプタ2は、カーボンやSiCコートカーボンから作製されることもあって、パネル106からの光に照らされても黒く見える。したがって、ウエハWとサセプタ2との間に大きなコントラストが生じる。また、パネル106から、光が種々の方向からウエハWおよびサセプタ2に到達するため、ウエハWや載置部24による影が生じにくい。したがって、ウエハWのエッジは明瞭に認識され、検出誤差の低減が防止される。
【0063】
また、パネル106が全面で一様に発光しているため、ウエハWのエッジからの強い反射が無く、エッジからの反射光に伴う検出誤差が生じることもない。さらに、ウエハ表面からの強い反射光もなく、カメラ104においてフレアなどが発生することもないため、ウエハWのエッジを明瞭に認識することが可能となる。
【0064】
以上から、本発明の実施形態による基板位置検出装置及び基板位置検出方法の効果及び利点が理解される。
<基板位置検出装置を備える成膜装置>
以下、本発明の実施形態による上述の基板位置検出装置を備える、本発明の他の実施形態による成膜装置について、図7から図25を参照しながら説明する。
【0065】
本発明の実施形態による成膜装置200は、図7(図9のB−B線に沿った断面図)に示すように平面形状が概ね円形である扁平な真空容器1と、この真空容器1内に設けられ、当該真空容器1の中心に回転中心を有するサセプタ2と、を備えている。真空容器1は天板11が容器本体12から分離できるように構成されている。天板11は、内部の減圧状態により封止部材例えばOリング13を介して容器本体12側に押し付けられ、これにより真空容器1が気密に密閉される。一方、天板11を容器本体12から分離する必要があるときは、図示しない駆動機構により上方に持ち上げられる。
【0066】
また、天板11には、例えば石英ガラスを用いて作製されるビューポート201が、Oリング等の図示しない封止部材により真空容器1に対して気密に設けられている。天板11の上面には、ビューポート201に対して窓102aが向かい合うように、基板位置検出装置101が着脱可能に取り付けられている。基板位置検出装置101の構成は上述のとおりである。基板位置検出装置101を用いて、本発明の実施形態による上述の基板位置検出方法を実施することにより、成膜装置200内のサセプタ2(後述)に載置されるウエハW(図7)の位置を検出することができる。
【0067】
サセプタ2は、中心部にて円筒形状のコア部21に固定され、このコア部21は、鉛直方向に伸びる回転軸22の上端に固定されている。回転軸22は容器本体12の底面部14を貫通し、その下端が当該回転軸22を鉛直軸回りにこの例では時計方向に回転させる駆動部23に取り付けられている。回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した筒状のケース体20内に収納されている。このケース体20はその上面に設けられたフランジ部分20aを介して真空容器1の底面部14の下面に気密に取り付けられており、これにより、ケース体20の内部雰囲気が外部雰囲気から隔離されている。
【0068】
図8及び図9に示すように、サセプタ2の上面に、それぞれウエハWが載置される複数(図示の例では5つ)の円形凹部状の載置部24が形成されている。ただし、図9ではウエハWを1枚のみを示している。載置部24は、サセプタ2に互いに約72°の角度間隔で配置されている。
【0069】
ここで、図10(a)を参照すると、載置部24と載置部24に載置されたウエハWとの断面が図示されている。この図に示すように、載置部24は、ウエハWの直径よりも僅かに大きい、例えば4mm大きい直径と、ウエハWの厚さに等しい深さとを有している。したがって、ウエハWが載置部24に載置されたとき、ウエハWの表面は、サセプタ2の載置部24を除く領域の表面と同じ高さにある。仮に、ウエハWとその領域との間に比較的大きい段差があると、その段差によりガスの流れに乱流が生じ、ウエハW上での膜厚均一性が影響を受ける。このため、2つの表面が同じ高さにある。「同じ高さ」は、ここでは高さの差が約5mm以下であることを意味するが、その差は、加工精度が許す範囲でできるだけゼロに近くすべきである。
【0070】
また、載置部24の底には、3つの貫通孔(図示せず)が形成されており、これらを通して3つの昇降ピン16(図14参照)が昇降する。昇降ピン16は、ウエハWの裏面を支え、ウエハWを昇降させる。
【0071】
容器本体12の側壁には、図8、図9及び図14に示すように、搬送口15が形成されている。ウエハWは、搬送口15を通して搬送アーム10により真空容器1の中へ、又は真空容器1から外へと搬送される。この搬送口15にはゲートバルブ(図示せず)が設けられ、これにより搬送口15が開閉される。一の載置部24が搬送口15に整列し、ゲートバルブが開くと、ウエハWは、搬送アーム10により真空容器1内へ搬送され、搬送アーム10から載置部24に置かれる。ウエハWを搬送アーム10から載置部24へ降ろすため、また、載置部24から持ち上げるために、昇降ピン16(図14)が設けられており、昇降ピン16は昇降機構(図示せず)によって、サセプタ2の載置部24に形成された貫通孔を通して昇降される。このようにして、ウエハWが載置部24に載置される。
【0072】
ここで、基板位置検出装置101と、サセプタ2、載置部24、及び搬送口15との平面的な位置関係を説明すると、図9に示すように、基板位置検出装置101は搬送口15の中心から約72°ずれた位置に配置されている。これにより、サセプタ2の5つの載置部24のうちの一つが搬送口15に整列したとき、その載置部24の隣の載置部24が基板位置検出装置101の下方に位置する。したがって、搬送口15に整列した載置部24にウエハWを載置する間に、その隣の載置部24に載置されたウエハWのエッジとその周辺領域は、カメラ104(図1)の視野Fに入り、上述の基板位置検出方法により、そのウエハWが所定の位置にあるかどうかを判定することができる。換言すると、一のウエハWについて位置検出を行っている間に、隣の載置部24へ他のウエハWを載置することができる。このようにして、5枚のウエハWが載置部24に順次載置され、位置検出が行われるため、基板位置検出に伴うスループットの低下を低減することが可能となる。
【0073】
図8及び図9を参照すると、サセプタ2の上方に第1の反応ガス供給ノズル31、第2の反応ガス供給ノズル32、及び分離ガス供給ノズル41,42を含み、これらは、所定の角度間隔で半径方向に延在している。この構成により、載置部24は、ノズル31,32,41,及び42の下を通過することができる。図示の例では、第2の反応ガス供給ノズル32、分離ガス供給ノズル41、第1の反応ガス供給ノズル31、及び分離ガス供給ノズル42がこの順に時計回りに配置されている。これらのガスノズル31,32,41,42は、容器本体12の周壁部を貫通し、ガス導入ポート31a,32a,41a,42aである端部を壁の外周壁に取り付けることにより、支持されている。ガスノズル31,32,41,42は、図示の例では、真空容器1の周壁部から真空容器1内へ導入されているが、環状の突出部5(後述)から導入しても良い。この場合、突出部5の外周面と天板11の外表面とに開口するL字型の導管を設け、真空容器1内でL字型の導管の一方の開口にガスノズル31(32,41,42)を接続し、真空容器1の外部でL字型の導管の他方の開口にガス導入ポート31a(32a、41a、42a)を接続することができる。
【0074】
図示していないが、反応ガス供給ノズル31は、第1の反応ガスであるビスターシャルブチルアモノシラン(BTBAS)のガス供給源に接続され、反応ガス供給ノズル32は、第2の反応ガスであるオゾン(O3)のガス供給源に接続されている。
【0075】
反応ガス供給ノズル31、32には、下方側に反応ガスを吐出するための吐出孔33がノズルの長さ方向に間隔を置いて配列されている。本実施形態においては、吐出孔33は、約0.5mmの口径を有し、反応ガス供給ノズル31、32の長さ方向に沿って約10mmの間隔で配列されている。また、反応ガス供給ノズル31の下方領域はBTBASガスをウエハに吸着させるための第1の処理領域P1であり、反応ガス供給ノズル32の下方領域はO3ガスをウエハに吸着させるための第2の処理領域P2である。
【0076】
一方、分離ガス供給ノズル41,42は、チッ素ガス(N2)のガス供給源(図示せず)に接続されている。分離ガス供給ノズル41、42は、下方側に分離ガスを吐出するための吐出孔40を有している。吐出孔40は、長さ方向に所定の間隔で配置されている。本実施形態においては、吐出孔40は、約0.5mmの口径を有し、分離ガス供給ノズル41、42の長さ方向に沿って約10mmの間隔で配列されている。
【0077】
分離ガス供給ノズル41、42は、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを分離するよう構成される分離領域Dに設けられている。各分離領域Dにおいては、真空容器1の天板11に、図8〜図10に示すように、凸状部4が設けられている。凸状部4は、扇形の上面形状を有しており、その頂部は真空容器1の中心に位置し、円弧は容器本体12の内周壁の近傍に沿って位置している。また、凸状部4は、凸状部4が二分割されるように半径方向に伸びる溝部43を有している。溝部43には分離ガス供給ノズル41(42)が収容されている。分離ガス供給ノズル41(42)の中心軸と扇形の凸状部4の一方の辺との間の距離は、分離ガス供給ノズル41(42)の中心軸と扇形の凸状部4の他方の辺との間の距離とほぼ等しい。なお、溝部43は、本実施形態では、凸状部4を二等分するように形成されるが、他の実施形態においては、例えば、凸状部4におけるサセプタ2の回転方向上流側が広くなるように、溝部43を形成しても良い。
【0078】
上記の構成によれば、図10(a)に示すように、分離ガス供給ノズル41(42)の両側には平坦な低い天井面44(第1の天井面)があり、低い天井面44の両側方には高い天井面45(第2の天井面)がある。凸状部4(天井面44)は、第1及び第2の反応ガスが凸状部4とサセプタ2との間に侵入するのを阻止して混合するのを阻止するための狭隘な空間である分離空間を形成する。
【0079】
図10(b)を参照すると、サセプタ2の回転方向に沿って反応ガス供給ノズル32から凸状部4に向かって流れるO3ガスが当該空間へ侵入するのが阻止され、またサセプタ2の回転方向と反対方向に沿って反応ガス供給ノズル31から凸状部4に向かって流れるBTBASガスが当該空間へ侵入するのが阻止される。「ガスが侵入するのが阻止される」とは、分離ガス供給ノズル41から吐出した分離ガスであるN2ガスが第1の天井面44とサセプタ2の表面との間に拡散して、この例では当該第1の天井面44に隣接する第2の天井面45の下方側の空間に吹き出し、これにより第2の天井面45の下方側空間からのガスが侵入できなくなることを意味する。そして「ガスが侵入できなくなる」とは、第2の天井面45の下方側空間から凸状部4の下方側空間に全く入り込むことができない場合のみを意味するのではなく、反応ガスの一部が侵入しても、その反応ガスが分離ガス供給ノズル41に向かって更に進むことができず、よって、混ざり合うことができないことも意味する。すなわち、このような作用が得られる限り、分離領域Dは、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを分離することとなる。また、ウエハに吸着したガスについては当然に分離領域D内を通過することができる。したがって、ガスの侵入阻止は、気相中のガスを意味している。
【0080】
図7から図9を参照すると、天板11の下面には、内周縁がコア部21の外周面に面するように配置された環状の突出部5が設けられている。突出部5は、コア部21よりも外側の領域においてサセプタ2と対向している。また、突出部5は、凸状部4と一体に形成され、凸状部4の下面と突出部5の下面とは一の平面を形成している。すなわち、突出部5の下面のサセプタ2からの高さは、凸状部4の下面(天井面44)と高さと等しい。この高さは、後に高さhと言及される。ただし、突出部5と凸状部4は、必ずしも一体でなくても良く、別体であっても良い。なお、図8及び図9は、凸状部4を真空容器1内に残したまま天板11を取り外した真空容器1の内部構成を示している。
【0081】
本実施形態においては、分離領域Dは、凸状部4となるべき扇形プレートに溝部43を形成して、分離ガス供給ノズル41(42)を溝部43に配置することにより形成される。しかし、2つの扇形プレートが分離ガス供給ノズル41(42)の両側に配置されるように、これら2つの扇形プレートを天板11の下面にネジで取り付けるようにしても良い。
【0082】
本実施形態において、直径約300mmを有するウエハWが真空容器1内で処理されることとなる場合、凸状部4は、サセプタの回転中心から140mm離れた内側の円弧li(図9)に沿った例えば140mmの周方向長さと、サセプタ2の載置部24の最外部に対応する外側の円弧lo(図9)に沿った例えば502mmの周方向長さとを有する。また、外側の円弧loに沿った、凸状部4の一側壁から溝部43の直近の側壁までの周方向長さは、約246mmである。
【0083】
また、凸状部4の下面、即ち、天井面44の、サセプタ2の表面から測った高さh(図10(a))は、例えば約0.5mmから約10mmであって良く、約4mmであると好適である。また、サセプタ2の回転数は例えは1rpm〜500rpmに設定されている。分離領域Dの分離機能を確保するためには、処理真空容器1内の圧力やサセプタ2の回転数などに応じて、凸状部4の大きさや凸状部4の下面(第1の天井面44)とサセプタ2の表面との高さhを例えば実験などを通して設定してよい。なお分離ガスとしては、本実施形態ではN2ガスだが、分離ガスが酸化シリコンの成膜に影響を与えない限りにおいて、HeやArガスなどの不活性ガスや水素ガスなどであってもよい。
【0084】
図11は、図9のA−A線に沿った断面図の半分を示し、ここには凸状部4と、凸状部4と一体に形成された突出部5が図示されている。図11を参照すると、凸状部4は、その外縁においてL字状に屈曲する屈曲部46を有している。凸状部4は天板11に取り付けられ天板11とともに容器本体12から分離され得るため、屈曲部46とサセプタ2との間及び屈曲部46と容器本体12との間に僅かな隙間があるが、屈曲部46は、サセプタ2と容器本体12との間の空間を概ね埋めており、反応ガス供給ノズル31aからの第1の反応ガス(BTBAS)と反応ガス供給ノズル32aからの第2の反応ガス(オゾン)とがこの隙間を通して混合するのを防止する。屈曲部46と容器本体12との間の隙間、及び屈曲部46とサセプタ2との間に僅かな隙間は、上述のサセプタから凸状部4の天井面44までの高さhとほぼ同一の寸法とされている。図示の例において、屈曲部46のサセプタ2の外周面に面する側壁が、分離領域Dの内周壁を構成している。
【0085】
図9に示すB−B線に沿った断面図である図7を再び参照すると、容器本体12は、サセプタ2の外周面に対向する容器本体12の内周部に凹み部を有している。これ以降、この凹み部を排気領域6と称する。排気領域6の下方には、排気口61(他の排気口62については図9参照)が設けられ、これらには他の排気口62についても使用され得る排気管63を介して真空ポンプ64に接続されている。また、排気管63には圧力調整器65が設けられている。複数の圧力調整器65を、対応する排気口61,62に対して設けてもよい。
【0086】
図9を再び参照すると、排気口61は、上方から見て、第1の反応ガス供給ノズル31と、第1の反応ガス供給ノズル31に対してサセプタ2の時計回転方向の下流に位置する凸状部4との間に配置されている。この構成により、排気口61は、実質的に、第1の反応ガス供給ノズル31からのBTBASガスを専ら排気することができる。一方、排気口62は、上方から見て、第2の反応ガス供給ノズル32と、第2の反応ガス供給ノズル32に対してサセプタ2の時計回転方向の下流に位置する凸状部4との間に配置されている。この構成により、排気口62は、実質的に、第2の反応ガス供給ノズル32からのO3ガスを専ら排気することができる。したがって、このように構成される排気口61、62は、分離領域DがBTBASガスとO3ガスとが混合するのを防止するのを補助することができる。
【0087】
本実施形態では、2つの排気口が容器本体12に設けられているが、他の実施形態では、3つの排気口が設けられてもよい。例えば、第2の反応ガス供給ノズル32と、第2の反応ガス供給ノズル32に対してサセプタ2の時計回転方向の上流に位置する分離領域Dとの間に追加の排気口を設けてもよい。また、更に追加の排気口をどこかに設けてもよい。図示の例では、排気口61、62はサセプタ2よりも低い位置に設けることで真空容器1の内周壁とサセプタ2の周縁との間の隙間から排気するようにしているが、容器本体12の側壁に設けてもよい。また、排気口61,62を容器本体12の側壁に設ける場合、排気口61,62はサセプタ2よりも高く位置して良い。この場合、ガスはサセプタ2の表面に沿って流れ、サセプタ2の表面より高く位置する排気口61,62へ流れ込む。したがって、真空容器1内のパーティクルが吹き上げられないという点で、排気口が例えば天板11に設けられた場合に比べて、有利である。
【0088】
図7、図11及び図12に示すように、サセプタ2と容器本体12の底部14との間の空間には、加熱部としての環状のヒータユニット7が設けられ、これにより、サセプタ2上のウエハWがサセプタ2を介してプロセスレシピで決められた温度に加熱される。また、カバー部材71が、サセプタ2の下方においてサセプタ2の外周の近くに、ヒータユニット7を取り囲むように設けられ、ヒータユニット7が置かれている空間が、ヒータユニット7の外側の領域から区画されている。カバー部材71は上端にフランジ部71aを有し、フランジ部71aは、カバー部材71内にガスが流入することを防止するため、サセプタ2の下面とフランジ部との間に僅かな間隙が維持されるように配置される。
【0089】
再び図7を参照すると、底部14は、環状のヒータユニット7の内側に隆起部を有している。隆起部の上面は、サセプタ2と隆起部との間及び隆起部とコア部21とに接近しており、隆起部の上面とサセプタ2との間、及び隆起部の上面とコア部21の裏面との間に僅かな隙間を残している。また、底部14は、回転軸22が通り抜ける中心孔を有している。この中心孔の内径は、回転軸22の直径よりも僅かに大きく、フランジ部20aを通してケース体20と連通する隙間を残している。パージガス供給管72がフランジ部20aの上部に接続されている。また、ヒータユニット7が収容される領域をパージするため、複数のパージガス供給管73が所定の角度間隔でヒータユニット7の下方の領域に接続されている。
【0090】
このような構成により、回転軸22と底部14の中心孔との間の隙間、コア部21と底部14の隆起部との間の隙間、及び底部14の隆起部とサセプタ2の裏面との間の隙間を通して、パージガス供給管72からヒータユニット空間へN2パージガスが流れる。また、パージガス供給管73からヒータユニット7の下の空間へN2ガスが流れる。そして、これらのN2パージガスは、カバー部材71のフランジ部71aとサセプタ2の裏面との間の隙間を通して排気口61へ流れ込む。N2パージガスのこのような流れは、図13に矢印で示してある。N2パージガスは、第1(第2)の反応ガスがサセプタ2の下方の空間を回流して第2(第1)の反応ガスと混合するのを防止する分離ガスとして働く。
【0091】
図13を参照すると、真空容器1の天板11の中心部には分離ガス供給管51が接続され、これにより、天板11とコア部21との間の空間52に分離ガスであるN2ガスが供給される。この空間52に供給された分離ガスは、突出部5とサセプタ2との狭い隙間50を通して、サセプタ2の表面に沿って流れ、排気領域6に到達する。この空間53と隙間50は分離ガスが満たされているので、サセプタ2の中心部を介して反応ガス(BTBAS、O3)が混合することがない。即ち、本実施形態の成膜装置200は、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを分離するためにサセプタ2の回転中心部と真空容器1とにより画成され、分離ガスをサセプタ2の上面に向けて吐出する吐出口を有するように構成される中心領域Cが設けられている。なお、図示の例では、吐出口は突出部5とサセプタ2との狭い隙間50に相当する。
【0092】
また、この実施形態による成膜装置200には、装置全体の動作のコントロールを行うための制御部100が設けられている。この制御部100は、例えばコンピュータで構成されるプロセスコントローラ100aと、ユーザインタフェース部100bと、メモリ装置100cとを有する。ユーザインタフェース部100bは、成膜装置200の動作状況を表示するディスプレイや、成膜装置200の操作者がプロセスレシピを選択したり、プロセス管理者がプロセスレシピのパラメータを変更したりするためのキーボードやタッチパネル(図示せず)などを有する。
【0093】
メモリ装置100cは、プロセスコントローラ100aに種々のプロセスを実施させる制御プログラム、プロセスレシピ、及び各種プロセスにおけるパラメータなどを記憶している。また、これらのプログラムは、例えば後述する動作を行わせるためのステップ群を有している。これらの制御プログラムやプロセスレシピは、ユーザインタフェース部100bからの指示に従って、プロセスコントローラ100aにより読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体100dに格納され、これらに対応した入出力装置(図示せず)を通してメモリ装置100cにインストールしてよい。コンピュータ可読記憶媒体100dは、ハードディスク、CD、CD−R/RW、DVD−R/RW、フレキシブルディスク、半導体メモリなどであってよい。また、プログラムは通信回線を通してメモリ装置100cへダウンロードしてもよい。
【0094】
また、成膜装置200の制御部100は、基板位置検出装置101の制御部104aと信号を送受信する。例えば、成膜装置200の制御部100は、基板位置検出装置101の制御部104aから基板位置検出が行われていないウエハWについての問い合わせを示す信号を受信した場合、例えば残りのウエハWの有無を示す信号を基板位置検出装置101の制御部104aに対して送信する。また、基板位置検出装置101の制御部104aから、ウエハWが所定の位置に無いことを示す信号を受信した場合、成膜装置200の制御部100は、成膜装置200の動作を停止し、成膜装置200を待機状態へ移行させる。さらに、成膜装置200の制御部100は、基板位置検出装置101に上述の基板位置検出方法を実施させるプログラムであって所定のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラムを所定の入出力装置から読み込んで、このプログラムに従って、基板位置検出装置101の制御部104aを通して基板位置検出装置101に基板位置検出方法を実施させても良い。また、成膜装置200の制御部100は、基板位置検出装置101に上述の基板位置検出方法を実施させるプログラムを所定のコンピュータ可読記憶媒体から読み込んで、基板位置検出装置101の制御部104aへ転送することも可能である。この場合、基板位置検出装置101の制御部104aが、そのプログラムに従って基板位置検出装置101の種々の構成を制御し、上述の基板位置検出方法が実施される。
【0095】
次に、本実施形態の成膜装置200の動作(成膜方法)について説明する。第一に、載置部24が搬送口15に整列するようにサセプタ2を回転して、ゲートバルブ(図示せず)を開く。第二に、搬送アーム10により搬送口15を介してウエハWを真空容器1へ運ぶ。ウエハWは、昇降ピン16により受け取られ、搬送アーム10が真空容器1から引き抜かれた後に、昇降機構(図示せず)により駆動される昇降ピン16によって載置部24へと下げられる。これにより、ウエハWが当該載置部24へ載置される。
【0096】
次いで、サセプタ2が約72°回転し、ウエハWと、ウエハWが載置された載置部24とが基板位置検出装置101の下方へ位置される。そして、このウエハWに対して、上述の基板位置検出方法が行われる。また、この間に、搬送アーム10及び昇降ピン16が作動して、この載置部24に隣接し搬送口15に面する載置部24へウエハWが載置される。
【0097】
上記一連の動作が5回繰り返され、5枚のウエハWがサセプタ2上の所定の位置に載置されたことが確認された後、または、所定の位置にないと判定されたウエハWが所定の位置に載置された後、真空ポンプ64により真空容器1内が予め設定した圧力に真空引きされる。サセプタ2が上から見て時計回りに回転を開始する。サセプタ2は、ヒータユニット7により前もって所定の温度(例えば300℃)に加熱されており、ウエハWがこのサセプタ2に載置されることで加熱される。ウエハWが加熱され、所定の温度に維持されたことが温度センサ(図示せず)により確認された後、第1の反応ガス(BTBAS)が第1の反応ガス供給ノズル31を通して第1の処理領域へ供給され、第2の反応ガス(O3)が第2の反応ガス供給ノズル32を通して第2の処理領域P2へ供給される。加えて、分離ガス(N2)が供給される。
【0098】
ウエハWが第1の反応ガス供給ノズル31の下方の第1の処理領域P1を通過するときに、ウエハWの表面にBTBAS分子が吸着し、第2の反応ガス供給ノズル32の下方の第2の処理領域P2と通過するときに、ウエハWの表面にO3分子が吸着され、O3によりBTBAS分子が酸化される。したがって、ウエハWがサセプタ2の回転により、領域P1、P2の両方を一回通過すると、ウエハWの表面に酸化シリコンの一分子層が形成される。次いで、ウエハWが領域P1、P2を交互に複数回通過し、所定の膜厚を有する酸化シリコン膜がウエハWの表面に堆積される。所定の膜厚を有する酸化シリコン膜が堆積された後、BTBASガスとオゾンガスを停止し、サセプタ2の回転を停止する。そして、ウエハWは搬入動作と逆の動作により順次搬送アーム10により真空容器1から搬出される。また、必要に応じて、搬出の前に上述の基板位置検出方法を行っても良い。
【0099】
また、上記の成膜動作中、離ガス供給管51からも分離ガスであるN2ガスが供給され、これにより中心領域Cから、即ち、突出部5とサセプタ2との間の隙間50からサセプタ2の表面に沿ってN2ガスが吐出される。この実施形態では、第2の天井面45の下の空間であって反応ガス供給ノズル31(32)が配置されている空間は、中心領域C、及び第1の天井面44とサセプタ2との間の狭隘な空間よりも低い圧力を有している。これは、天井面45の下の空間に隣接して排気領域6が設けられ、その空間は排気領域6を通して直接に排気されるからである。また、狭隘な空間が、反応ガス供給ノズル31(32)が配置されている空間、または第1(第2)の処理領域P1(P2)と狭隘な空間との間の圧力差が高さhによって維持され得るように形成されているためでもある。
【0100】
次に、ガスノズル31,32,41,42から真空容器1内へ供給されたガスのフローパターンを図15を参照しながら説明する。図15は、フローパターンを模式的に示す図である。図示のとおり、第2の反応ガス供給ノズル32から吐出されたO3ガスの一部は、サセプタ2の表面(及びウエハWの表面)に当たって、その表面に沿ってサセプタ2の回転方向と逆の方向に流れる。次いで、このO3ガスは、サセプタ2の回転方向の上流側から流れてきたN2ガスに押し戻され、サセプタ2の周縁と真空容器1の内周壁の方へ向きを変える。最後に、O3ガスは、排気領域6に流れ込み、排気口62を通して真空容器1から排気される。
【0101】
第2の反応ガス供給ノズル32から吐出されたO3ガスの他の部分は、サセプタ2の表面(及びウエハWの表面)に当たって、その表面に沿ってサセプタ2の回転方向と同じ方向に流れる。この部分のO3ガスは、主に、中心領域Cから流れるN2ガスと排気口62を通した吸引力によって、排気領域6に向かって流れる。一方、この部分のO3ガスの少量部分が、第2の反応ガス供給ノズル32に対してサセプタ2の回転方向の下流側に位置する分離領域Dに向かって流れ、天井面44とサセプタ2との間の隙間に入る可能性がある。しかし、その隙間の高さhが意図した成膜条件下で当該隙間への流入を阻止する程度の高さに設定されているため、O3ガスはその隙間に入るのが阻止される。喩え、少量のO3ガスがその隙間に流れ込んだとしても、そのO3ガスは、分離領域Dの奥まで流れることができない。隙間に流れ込んだ少量のO3ガスは、分離ガス供給ノズル41から吐出された分離ガスによって押し戻される。したがって、図15に示すように、サセプタ2の上面を回転方向に沿って流れる実質的にすべてのO3ガスが、排気領域6へ流れ排気口62によって排気される。
【0102】
同様に、第1の反応ガス供給ノズル31から吐出され、サセプタ2の回転方向と反対の方向にサセプタ2の表面に沿って流れる一部のBTBASガスは、第1の反応ガス供給ノズル31に対して回転方向上流側に位置する凸状部4の天井面44とサセプタ2との間の隙間に流れ込むことが防止される。喩え少量のBTBASガスが流れ込んだとしても、分離ガス供給ノズル41から吐出されるN2ガスによって押し戻される。押し戻されたBTBASガスは、分離ガス供給ノズル41からのN2ガスと中心領域Cから吐出されているN2ガスと共に、サセプタ2の外周縁と真空容器1の内周壁とに向かって流れ、排気領域6を介して排気口61を通して排気される。
【0103】
第1の反応ガス供給ノズル31から下方側に吐出され、サセプタ2の回転方向と同じ方向にサセプタ2の表面(及びウエハWの表面)に沿って流れる他の部分のBTBASガスは、第1の反応ガス供給ノズル31に対して回転方向下流側に位置する凸状部4の天井面44とサセプタ2との間に流れ込むことができない。喩え少量のBTBASガスが流れ込んだとしても、分離ガス供給ノズル42から吐出されるN2ガスによって押し戻される。押し戻されたBTBASガスは、分離領域Dの分離ガス供給ノズル42からのN2ガスと中心領域Cから吐出されているN2ガスと共に、排気領域6に向かって流れ、排気口61により排気される。
【0104】
上述のように、分離領域Dは、BTBASガスやO3ガスが分離領域Dへ流れ込むのを防止するか、分離領域Dへ流れ込むBTBASガスやO3ガスの量を十分に低減するか、または、BTBASガスやO3ガスを押し戻すことができる。ウエハWに吸着したBTBAS分子とO3分子は、分離領域Dを通り抜けるのを許され、膜の堆積に寄与する。
【0105】
また、図13及び図15に示すように、中心領域Cからは分離ガスがサセプタ2の外周縁に向けて吐出されているので、第1の処理領域P1のBTBASガス(第2の処理領域P2のO3ガス)は、中心領域Cへ流入することができない。喩え、第1の処理領域P1の少量のBTBAS(第2処理領域P2のO3ガス)が中心領域Cへ流入したとしても、そのBTBASガス(O3ガス)はN2ガスにより押し戻され、第1の処理領域P1のBTBASガス(第2の処理領域P2のO3ガス)が、中心領域Cを通って第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)に流入することが阻止される。
【0106】
また、第1の処理領域P1のBTBASガス(第2の処理領域P2のO3ガス)は、サセプタ2と容器本体12の内周壁との間の空間を通して第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)に流入することも阻止される。これは、屈曲部46が凸状部4から下向きに形成され、屈曲部46とサセプタ2との隙間、及び屈曲部46と容器本体12の内周壁との間の隙間が、凸状部4の天井面44のサセプタ2からの高さhと同じくらい小さいため、2つの処理領域の間の連通を実質的に回避しているからである。したがって、BTBASガスは、排気口61から排気され、O3ガスは排気口62から排気されて、これら2つの反応ガスが混合することはない。また、サセプタ2の下方の空間は、パージガス供給管72,73から供給されるN2ガスによりパージされている。したがって、BTBASガスは、サセプタ2の下方を通してプロセス領域P2へと流れ込むことはできない。
【0107】
この実施形態による成膜装置200における好適なプロセスパラメータを以下に掲げる。
・サセプタ2の回転速度: 1−500rpm(ウエハWの直径が300mmの場合)
・真空容器1の圧力: 1067 Pa(8 Torr)
・ウエハ温度: 350℃
・BTBASガスの流量: 100 sccm
・O3ガスの流量: 10000 sccm
・分離ガス供給ノズル41,42からのN2ガスの流量: 20000 sccm
・分離ガス供給管51からのN2ガスの流量: 5000 sccm
・サセプタ2の回転数: 600回転(必要な膜厚による)
この実施形態による成膜装置200によれば、成膜装置200が、BTBASガスが供給される第1の処理領域と、O3ガスが供給される第2の処理領域との間に、低い天井面44を含む分離領域Dを有しているため、BTBASガス(O3ガス)が第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)へ流れ込むのが防止され、O3ガス(BTBASガス)と混合されるのが防止される。したがって、ウエハWが載置されたサセプタ2を回転させて、ウエハWを第1の処理領域P1、分離領域D、第2の処理領域P2、及び分離領域Dを通過させることにより、酸化シリコン膜の分子層成膜が確実に実施される。また、BTBASガス(O3ガス)が第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)へ流れ込みO3ガス(BTBASガス)と混合するのを更に確実に防止するため、分離領域Dは、N2ガスを吐出する分離ガス供給ノズル41,42を更に含む。さらに、この実施形態による成膜装置200の真空容器1は、N2ガスが吐出される吐出孔を有する中心領域Cを有しているため、中心領域Cを通ってBTBASガス(O3ガス)が第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)へ流れ込みO3ガス(BTBASガス)と混合されるのを防止することができる。さらにまた、BTBASガスとO3ガスが混合されないため、サセプタ2への酸化シリコンの堆積が殆ど生じず、よって、パーティクルの問題を低減することができる。
【0108】
なお、本実施形態による成膜装置200においては、サセプタ2は5つの載置部24を有し、対応する5つの載置部24に載置された5枚のウエハWを一回のランで処理することができるが、5つの載置部24のうちの一つに1枚のウエハWを載置しても良いし、サセプタ2に載置部24を一つのみ形成しても良い。
【0109】
さらに、酸化シリコン膜の分子層成膜に限定されず、成膜装置200によって窒化シリコン膜の分子層成膜を行うこともできる。窒化シリコン膜の分子層成膜のための窒化ガスとしては、アンモニア(NH3)やヒドラジン(N2H2)などを利用することができる。
【0110】
また、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜の分子層成膜のための原料ガスとしては、BTBASに限らず、ジクロロシラン(DCS)、ヘキサクロロジシラン(HCD)、トリスジメチルアミノシラン(3DMAS)、テトラエトキシシラン(TEOS)などを利用することができる。
【0111】
さらにまた、本発明の実施形態による成膜装置及び成膜方法においては、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜に限らず、窒化シリコン(NH3)の分子層成膜、トリメチルアルミニウム(TMA)とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化アルミニウム(Al2O3)の分子層成膜、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(TEMAZ)とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化ジルコニウム(ZrO2)の分子層成膜、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAHf)とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化ハフニウム(HfO2)の分子層成膜、ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト(Sr(THD)2)とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化ストロンチウム(SrO)の分子層成膜、チタニウムメチルペンタンジオナトビステトラメチルヘプタンジオナト(Ti(MPD)(THD))とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化チタニウム(TiO)の分子層成膜などを行うことができる。
【0112】
サセプタ2の外周縁に近いほど大きい遠心力が働くため、例えば、BTBASガスは、サセプタ2の外周縁に近い部分において、大きい速度で分離領域Dへ向かう。したがって、サセプタ2の外周縁に近い部分では天井面44とサセプタ2との間の隙間にBTBASガスが流入する可能性が高い。そこで、凸状部4の幅(回転方向に沿った長さ)を外周縁に向うほど広くすれば、BTBASガスがその隙間に入りにくくすることができる。この観点からは、本実施形態において上述したように、凸状部4が扇形の上面形状を有すると好ましい。
【0113】
以下に、凸状部4(又は天井面44(図11))のサイズを再び例示する。図16(a)及び図16(b)を参照すると、分離ガス供給ノズル41(42)の両側に狭隘な空間を形成する凸状部4は、ウエハ中心WOが通る経路に対応する円弧の長さLとしてウエハWの直径の約1/10〜約1/1の長さであって良く、約1/6以上であると好ましい。具体的には、ウエハWが300mmの直径を有している場合、この長さLは、約50mm以上が好ましい。この長さLが短い場合、天井面44(図11)とサセプタ2との間の狭隘な空間の高さhは、反応ガスが狭隘な空間へ流れ込むのを効果的に防止するため、低くしなければならない。しかし、長さLが短くなり過ぎて、高さhが極端に低くなると、サセプタ2が天井面44に衝突し、パーティクルが発生してウエハの汚染が生じたり、ウエハが破損したりする可能性がある。したがって、サセプタ2の天井面44に衝突するのを避けるため、サセプタ2の振動を抑える、又はサセプタ2を安定して回転させるための方策が必要となる。一方、長さLを短くしたまま狭隘な空間の高さhを比較的大きく維持する場合には、天井面44とサセプタ2との間の狭隘な空間に反応ガスが流れ込むのを防止するため、サセプタ2の回転速度を低くしなければならず、製造スループットの点でむしろ不利になる。これらの考察から、ウエハ中心WOの経路に対応する円弧に沿った、天井面44の長さLは、約50mm以上が好ましい。しかし、凸状部4又は天井面44のサイズは、上記のサイズに限定されることなく、使用されるプロセスパラメータやウエハサイズに従って調整して良い。また、狭隘な空間が、分離領域Dから処理領域P1(P2)への分離ガスの流れが形成される程度の高さを有している限りにおいて、上述の説明から明らかなように、狭隘な空間の高さhもまた、使用されるプロセスパラメータやウエハサイズに加えて、たとえば天井面44の面積に応じて調整して良い。
【0114】
また、上記の実施形態においては、凸状部4に設けられた溝部43に分離ガス供給ノズル41(42)が配置され、分離ガス供給ノズル41(42)の両側に低い天井面44が配置されている。しかし、他の実施形態においては、分離ガス供給ノズル41の代わりに、図17に示すように凸状部4の内部においてサセプタ2の直径方向に伸びる流路47を形成し、この流路47の長さ方向に沿って複数のガス吐出孔40を形成し、これらのガス吐出孔40から分離ガス(N2ガス)を吐出するようにしてもよい。
【0115】
分離領域Dの天井面44は平坦面に限られるものではなく、図18(a)に示すように凹面状に湾曲してよいし、図18(b)に示すように凸面形状にしてもよく、また図18(c)に示すように波型状に構成してもよい。
【0116】
また、凸状部4は中空であって良く、中空内に分離ガスを導入するように構成しても良い。この場合、複数のガス吐出孔33を、図19(a)から図19(c)に示すように配列してもよい。
【0117】
図19(a)を参照すると、複数のガス吐出孔33は、それぞれ傾斜したスリットの形状を有している。これらの傾斜スリット(複数のガス吐出孔33)は、サセプタ2の半径方向に沿って隣接するスリットと部分的にオーバーラップしている。図19(b)では、複数のガス吐出孔33は、それぞれ円形である。これらの円形の孔(複数のガス吐出孔33)は、全体としてサセプタ2の半径方向に沿って伸びる曲がりくねった線に沿って配置されている。図19(c)では、複数のガス吐出孔33は、それぞれ円弧状のスリットの形状を有している。これらの円弧状スリット(複数のガス吐出孔33)は、サセプタ2の半径方向に所定の間隔で配置されている。
【0118】
また、本実施形態では凸状部4はほぼ扇形の上面形状を有するが、他の実施形態では、図20(a)に示す長方形、又は正方形の上面形状を有して良い。また、凸状部4は、図20(b)に示すように、上面は全体として扇形であり、凹状に湾曲した側面4Scを有していても良い。加えて、凸状部4は、図20(c)に示すように、上面は全体として扇形であり、凸状に湾曲した側面4Svを有していても良い。さらにまた、図20(d)に示すとおり、凸状部4のサセプタ2(図7)の回転方向dの上流側の部分が凹状の側面4Scを有し、凸状部4のサセプタ2(図7)の回転方向dの下流側の部分が平面状の側面4Sfを有していても構わない。なお、図20(a)から図20(d)において、点線は凸状部4に形成された溝部43(図10(a)、図10(b))を示している。これらの場合、溝部43に収容される分離ガス供給ノズル41(42)(図8)は真空容器1の中央部、例えば突出部5(図7)から伸びる。
【0119】
ウエハを加熱するためのヒータユニット7は、抵抗発熱体の代わりに、加熱ランプを有して構成されてもよい。また、ヒータユニット7は、サセプタ2の下方側に設ける代わりにサセプタ2の上方側に設けてもよいし、上下両方に設けてもよい。
【0120】
処理領域P1,P2及び分離領域Dは、他の実施形態においては図21に示すように配置されても良い。図21を参照すると、第2の反応ガス(例えば、O3ガス)を供給する第2の反応ガス供給ノズル32が、搬送口15よりもサセプタ2の回転方向上流側であって、搬送口15と分離ガス供給ノズル42との間に設置されている。このような配置であっても、各ノズル及び中心領域Cから吐出されるガスは、概ね、同図において矢印で示すように流れて、両反応ガスの混合が防止される。したがって、このような配置であっても、適切な分子層成膜を実現することができる。
【0121】
また、既に述べたように、2枚の扇形プレートが分離ガス供給ノズル41(42)の両側に位置されるように、天板11の下面にネジで取り付けることにより、分離領域Dを構成してよい。図22は、このような構成示す平面図である。この場合、凸状部4と分離ガス供給ノズル41(42)との間の距離や、凸状部4のサイズは、分離領域Dの分離作用を効率よく発揮するため、分離ガスや反応ガスの吐出レートを考慮して決定して良い。
【0122】
上述の実施の形態では、第1の処理領域P1及び第2の処理領域P2は、分離領域Dの天井面44よりも高い天井面45を有する領域に相当している。しかし、第1の処理領域P1及び第2の処理領域P2の少なくとも一方は、反応ガス供給ノズル31(32)の両側でサセプタ2に対向し、天井面45よりも低い他の天井面を有してもよい。当該天井面とサセプタ2との間の隙間にガスが流れ込むのを防止するためである。この天井面は、天井面45よりも低く、分離領域Dの天井面44と同じくらい低くてもよい。図23は、そのような構成の一例を示している。図示のとおり、扇状の凸状部30は、O3ガスが供給される第2の処理領域P2に配置され、反応ガス供給ノズル32が凸状部30に形成された溝部(図示せず)に配置されている。言い換えると、この第2の処理領域P2は、ガスノズルが反応ガスを供給するために使用されるが、分離領域Dと同様に構成されている。なお、凸状部30は、図19(a)から図19(c)に一例を示す中空の凸状部と同様に構成されても良い。
【0123】
また、分離ガス供給ノズル41(42)の両側に狭隘な空間を形成するために低い天井面(第1の天井面)44が設けられる限りにおいて、他の実施形態では、上述の天井面、つまり、天井面45より低く、分離領域Dの天井面44と同じくらい低い天井面が、反応ガス供給ノズル31,32の両方に設けられ、天井面44に到達するまで延びていても良い。換言すると、凸状部4の代わりに、他の凸状部400が天板11の下面に取り付けられていて良い。図24を参照すると、凸状部400は、ほぼ円盤状の形状を有し、サセプタ2の上面のほぼ全体と対向し、ガスノズル31,32,41,42がそれぞれ収容され半径方向に延びる4つのスロット400aを有し、かつ、凸状部400の下に、サセプタ2にする狭隘な空間を残している。その狭隘な空間の高さは、上述の高さhと同程度であって良い。凸状部400を使用すると、反応ガス供給ノズル31(32)から吐出された反応ガスは、凸状部400の下で(又は狭隘な空間において)反応ガス供給ノズル31(32)の両側に拡散し、分離ガス供給ノズル41(42)から吐出された分離ガスは、凸状部400の下で(又は狭隘な空間において)分離ガス供給ノズル41(42)の両側に拡散する。この反応ガスと分離ガスは狭隘な空間において合流し、排気口61(62)を通して排気される。この場合であっても、反応ガス供給ノズル31から吐出された反応ガスは、反応ガス供給ノズル32から吐出された反応ガスと混合することはなく、適切な分子層成膜を実現できる。
【0124】
なお、凸状部400を、図19(a)から図19(c)のいずれかに示す中空の凸状部4を組み合わせることにより構成し、ガスノズル31,32,33,34及びスリット400aを用いずに、反応ガス及び分離ガスを、対応する中空凸状部4の吐出孔33からそれぞれガスを吐出するようにしても良い。
【0125】
また、凸状部400を例えば石英から作製すると好ましい。このようにすれば、凸状部400を通して、基板位置検出装置101により、ウエハWの位置を検出することが可能となる。
【0126】
上記の実施形態では、サセプタ2を回転する回転シャフト22は、真空容器1の中央部に位置している。また、コア部21と天板11との間の空間52は、反応ガスが中央部を通して混合するのを防止するため、分離ガスでパージされている。しかし、真空容器1は、他の実施形態において図25のように構成されても良い。図25を参照すると、容器本体12の底部14は、中央開口を有し、ここには収容ケース80が気密に取り付けられている。また、天板11は、中央凹部80aを有している。支柱81が収容ケース80の底面に載置され、支柱81の状端部は中央凹部80aの底面にまで到達している。支柱81は、第1の反応ガス供給ノズル31から吐出される第1の反応ガス(BTBAS)と第2の反応ガス供給ノズル32から吐出される第2の反応ガス(O3)とが真空容器1の中央部を通して互いに混合するのを防止する。
【0127】
また、天板11には、例えば石英ガラスを用いて作製されるビューポート201が、Oリング等の図示しない封止部材により真空容器1に対して気密に設けられている。天板11の上面には、ビューポート201に対して窓102aが向かい合うように、基板位置検出装置101が着脱可能に取り付けられている。基板位置検出装置101の構成は上述のとおりである。基板位置検出装置101を用いて、本発明の実施形態による上述の基板位置検出方法を実施することにより、成膜装置200内のサセプタ2(後述)に載置されるウエハW(図7)の位置を検出することができる。
【0128】
また、回転スリーブ82が、支柱81を同軸状に囲むように設けられている。回転スリーブ82は、支柱81の外面に取り付けられた軸受け86,88と、収容ケース80の内側面に取り付けられた軸受け87とにより支持されている。さらに、回転スリーブ82は、その外面にギヤ部85が取り付けられている。また、環状のサセプタ2の内周面が回転スリーブ82の外面に取り付けられている。駆動部83が収容ケース80に収容されており、駆動部83から延びるシャフトにギヤ84が取り付けられている。ギヤ84はギヤ部85と噛み合う。このような構成により、回転スリーブ82ひいてはサセプタ2が駆動部83により回転される。
【0129】
パージガス供給管74が収容ケース80の底に接続され、収容ケース80へパージガスが供給される。これにより、反応ガスが収容ケース80内へ流れ込むのを防止するために、収容ケース80の内部空間を真空容器1の内部空間よりも高い圧力に維持することができる。したがって、収容ケース80内での成膜が起こらず、メンテナンスの頻度を低減できる。また、パージガス供給管75が、真空容器1の上外面から凹部80aの内壁まで至る導管75aにそれぞれ接続され、回転スリーブ82の上端部に向けてパージガスが供給される。このパージガスのため、BTBASガスとO3ガスは、凹部80aの内壁と回転スリーブ82の外面との間の空間を通して混合することができない。図25には、2つのパージガス供給管75と導管75aが図示されているが、供給管75と導管75aの数は、BTBASガスとO3ガスとの混合が凹部80aの内壁と回転スリーブ82の外面との間の空間近傍において確実に防止されるように決定されて良い。
【0130】
図25の実施の形態では、凹部80aの側面と回転スリーブ82の上端部との間の空間は、分離ガスを吐出する吐出孔に相当し、そしてこの分離ガス吐出孔、回転スリーブ82及び支柱81により、真空容器1の中心部に位置する中心領域が構成される。
【0131】
本発明の実施形態による成膜装置200においては、2種類の反応ガスを用いることに限られず、3種類以上の反応ガスを順番に基板上に供給しても良い。その場合には、例えば第1の反応ガス供給ノズル、分離ガス供給ノズル、第2の反応ガス供給ノズル、分離ガス供給ノズル、第3の反応ガス供給ノズル及び分離ガス供給ノズルの順番で真空容器1の周方向に各ガスノズルを配置し、各分離ガス供給ノズルを含む分離領域を既述の実施の形態のように構成すればよい。
【0132】
以上説明した、本発明の実施形態による成膜装置200によれば、上述の本発明の実施形態による基板位置検出装置を備えているため、検出誤差が低減されることなく、ウエハWの位置を検出することができる。
【0133】
本発明の実施形態による成膜装置は、基板処理装置に組み込むことができ、その一例が図26に模式的に示されている。基板処理装置は、搬送アーム103が設けられた大気搬送室102と、雰囲気を真空と大気圧との間で切り替え可能なロードロック室(準備室)105と、2つの搬送アーム107a、107bが設けられた搬送室106と、本発明の実施形態にかかる成膜装置108,109とを含む。また、この処理装置は、たとえばFOUPなどのウエハカセット101が載置されるカセットステージ(図示せず)を含んでいる。ウエハカセット101は、カセットステージの一つに運ばれ、カセットステージと大気搬送室102との間の搬入出ポートに接続される。次いで、開閉機構(図示せず)によりウエハカセット(FOUP)101の蓋が開けられて、搬送アーム103からウエハカセット101からウエハが取り出される。次に、ウエハはロードロック室104(105)へ搬送される。ロードロック室104(105)が排気された後、ロードロック室104(105)内のウエハは、搬送アーム107a(107b)により、真空搬送室106を通して成膜装置108,109へ搬送される。成膜装置108,109では、上述の方法でウエハ上に膜が堆積される。基板処理装置は、同時に5枚のウエハを主要可能な2つの成膜装置108,109を有しているため、高いスループットで分子層成膜を行うことができる。
【0134】
以上、幾つかの実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されさるものではなく、添付の特許請求の範囲に照らし種々の変形や変更が可能である。
【0135】
例えば、本発明の実施形態による基板位置検出装置およびこれを用いた基板位置検出方法は、各種半導体製造装置においてウエハが載置されるサセプタの原点位置(初期位置)の調整に利用するために変形しても良い。以下、図27から図29を参照しながら、原点位置の調整について説明する。
【0136】
図27は、図1に示す成膜装置200のサセプタ回転機構を拡大して示す概略図である。図示のとおり、本発明の基板位置検出装置101(図1)が配置される成膜装置200は、サセプタ2の裏面中央部に接続される回転軸22と、回転軸22に接続され、回転軸22を介してサセプタ2を回転する駆動部23と、回転軸22および駆動部23をチャンバ12に対して密封するケース体20とを有している。また、回転軸22とチャンバ12との間には磁性流体を利用したシール部材22aが配置され、これにより、ケース体20内の雰囲気がチャンバ12内の雰囲気から分離されている。ケース体20の内壁面には、固定子としてのフォトセンサPが取り付けられている。フォトセンサPは、上片部P1と、下片部P2と、上片部P1および下片部P2を結合する中間部P3とを有するコの字型の形状を有しており、上片部P1の下面には、下向きに光を発する発光素子PLが設けられ、下片部P2の上面には、発光素子からの光を受光する受光素子PDが設けられている。一方、回転軸22の外周面には回転子としての遮光ピン(キッカー)LBが取り付けられている。遮光ピンLBの取り付け高さは、遮光ピンLBが回転軸22の回転に従って回転したときに、フォトセンサPの上片部P1と下片部P2との間を通過するように決定されている。これにより、遮光ピンLBは、上片部P1と下片部P2との間を通過する際に、発光素子PLから受光素子PDへ向かう光を遮ることとなる。光が遮られると、フォトセンサPからの出力信号が変化するため、この変化から、遮光ピンLBがフォトセンサPを通過したことが把握される。すなわち、遮光ピンLBの取り付け位置と、サセプタ2の所定の位置とを関連付けておくことにより、フォトセンサPからの出力信号の変化により、サセプタ2の所定の位置を把握することが可能となる。具体的には、遮光ピンLBの取り付け位置(回転軸22の外周面の周方向に沿った位置)を例えばサセプタ2の位置検出用マーク2aのいずれかに一致させておくと好ましい。これによれば、遮光ピンLBがフォトセンサPの上片部P1と下片部P2との間に位置したときの位置検出用マーク2aの位置を把握することができる。また、サセプタ2の位置検出用マーク2aのそれぞれに対応する5つの遮光ピンLBを回転軸22に取り付けても良い。
【0137】
このような構成と上述の基板位置検出装置101(図1)とにより、図28に示すように、サセプタ2の原点位置を調整することができる。まず、ステップS21において、サセプタ2の載置部24の一つにウエハWが載置され、ステップS22においてカウンタmがゼロに設定される。次に、このウエハWのエッジ領域が基板位置検出装置101の観察視野に入るようにサセプタ2が回転される。この後、ウエハWのエッジを含んだ領域が撮像されて、制御部104a(図1)において位置検出用マーク2aが許容範囲内にあるか否かが判定される(ステップS221)。具体的には、位置検出用マーク2aが、図2のステップS21における「載置部24の中心位置の推定」を適正に行うことができる適正位置からは外れているものの、調整により適正位置へ移動可能な範囲(許容範囲)にあるか否かが判定される。この許容範囲は、例えば、基板位置検出装置101の観察視野の全域(ただし、適正位置を除く)と設定しても良いし、適正位置から所定距離の範囲に設定しても良い。
【0138】
位置検出用マーク2aが許容範囲に無い場合(ステップS221の「NO」)、基板位置検出装置101の制御部104aから成膜装置の制御部へ指令信号が出力され、これにより、サセプタ2が回転を開始し、フォトセンサPと遮光ピンLBとにより、位置検出用マーク2aが許容範囲内に入るように停止する(ステップS222)。すなわち、フォトセンサPと遮光ピンLBとを利用した粗い位置決めが行われる。次に、カウンタmが1だけ増加し(ステップS223)、カウンタmが3以上か否かが判断されて(ステップS224)、カウンタmが2以下の場合には、この手順はステップ220に戻る(ステップS223の「NO」)。
【0139】
次いで、ステップS220において、ウエハWのエッジを含んだ領域が撮像されて、位置検出用マーク2aが許容範囲内にあるか否かが再び判定される(ステップS221)。位置検出用マーク2aが許容範囲内にあると判定された場合は(ステップS221の「YES」)、ステップS225に進み、位置検出用マーク2aが許容範囲内から適正位置に至るように位置調整が行われる。この位置調整は、例えば、図29に示すように行うことができる。図29は、ステップS225において基板位置検出装置101で撮像された画像を模式的に示す図であり、ステップS221において許容範囲内にあると判定された位置検出用マーク2aが符号2a2で示されている。この位置検出用マーク2a2を適正位置(原点)2a1へ移動させるため、まず、位置検出用マーク2a2の許容範囲内における位置(例えば座標)が検出される。当該検出結果に基づいて、サセプタ2の中心Cと、予め記憶されている適正位置2a1とを結ぶ線と位置検出用マーク2a2との距離X〔dots〕が計算される。位置検出用マーク2a2の位置と、サセプタ2の中心Cと、適正位置2a1とにより決まる角度をθとすると、
(R×A)×sinθ=X ・・・式(6)
ここで、
R:サセプタ2の中心Cと位置検出用マーク2aとの間の既知の距離〔mm〕
A:単位長さ当たりのドット数〔dots/mm〕
という関係が成り立つ。これより、角度θは、
θ=arcsin(X/(R×A)) ・・・式(7)
で与えられる。このようにして求めた角度θだけサセプタ2を回転することによって、位置検出用マーク2a2を適正位置2a1に配置することが可能となる。例えば、サセプタ2を回転する駆動部2がパルスモータで構成され、9万パルスでサセプタ2が一回転するとすれば、θ×250〔パルス〕のパルス数をパルスモータに供給することにより、位置検出用マーク2a2は適正位置2a1に配置に配置される。
この後、図2に示すフローチャートのステップS23へ進み、以下、図2のフローチャートに従ってウエハWの位置の検出が行われる。
【0140】
一方、ステップS221において、位置検出用マーク2aが許容範囲内に無いと判定された場合は(ステップS221の「NO」)、ステップS222からS224が繰り返されて、再びステップS220に戻る。そして、ウエハWのエッジを含んだ領域が撮像されて、位置検出用マーク2aが許容範囲内にあるか否かが判定される。位置検出用マーク2aが許容範囲内にあると判定されると(ステップS221の「YES」)、ステップ225において上述の位置調整が行われ、位置検出用マーク2aが許容範囲内に無いと判定されると(ステップS221の「NO」)、ステップS222からS224が繰り返される。
【0141】
ここで、ステップS223においてカウンタmが4となった場合は、ステップS224において「YES」と判定され、ステップS27において、アラームが発せられて、制御部104aから成膜装置200に対して動作の中止を求める信号が送信され、これにより成膜装置200が待機状態となる。すなわち、フォトセンサPと遮光ピンLBとを利用した粗い位置決めが3回行われて、それでも尚、位置検出用マーク2aが許容範囲内に入らない場合、成膜装置200が待機状態になる。この場合、成膜装置200の操作者により、所定の手順に従った復旧作業が行われる。
【0142】
この変形例の基板位置検出装置101および基板位置検出方法によれば、基板位置が検出されるべき成膜装置200等の半導体製造装置に簡単なフォトセンサPと遮光ピン(キッカー)LBを設けるだけで、基板位置検出装置101および基板位置検出方法により、ウエハが載置されるサセプタ2の原点位置を簡便に調整することが可能となる。異なる方法として、基板位置検出装置の制御部または半導体製造装置の制御部にサセプタ原点位置情報を格納しておき、この情報に基づいて原点位置を検出し調整するといった方法も考えられるが、位置検出および位置調整のためのアルゴリズムが複雑になる可能性がある。これに対し、変形例の基板位置検出装置101および基板位置検出方法では、基板位置検出のための基板位置検出装置101と基板位置検出方法の軽微な変更により、サセプタ2の原点位置検出を行うことができるという利点がある。
【0143】
また、一般的には、フォトセンサPおよび遮光ピンLBのみによっても、サセプタ2の原点位置を調整することができるが、本発明の実施形態による成膜装置200に設けられたサセプタ2は、5枚の12インチウエハを載置できる程の直径を有しているため、直径が小さい回転軸22に取り付けられた遮光ピンLBとこれに対応して配置されたフォトセンサPとにより位置調整しても、サセプタ2の外周部における誤差を無視することができない。これを解決するためには、遮光ピンLBをサセプタ2の外周部に取り付ければ良いとも思えるが、サセプタ2が高温となるため、遮光ピンLBによって光路が遮られるようにフォトセンサPをサセプタ2内に設置することはできない。しかし、上述のフォトセンサP、遮光ピンLB、および基板位置検出装置101によれば、フォトセンサPを適切な環境のもとに配置しつつ、サセプタ2の位置を正確に検出することが可能となる。
【0144】
また、図28に示す変形例の基板位置検出方法は、ウエハをチャンバ12内へ搬入し、サセプタ2の載置部24に載置するとき、すなわち、載置部24が搬送口15に整列するようにサセプタ2を位置決めするときに利用するために更に変形することができる。言い換えると、図28のフローチャートのステップS210からS224(S27)をステップS21の前に行うこととし、ステップS220においてはサセプタ2の載置部24のエッジおよび位置検出用マーク2aを撮像すれば良い(この時点ではウエハWは載置されていない)。
【0145】
なお、フォトセンサPの代わりに機械的なスイッチを用い、回転軸22に取り付けられたピンが回転する際に、当該スイッチをONにするようにしても構わない。
【0146】
また、本発明の実施形態による基板位置検出装置101の他の変形例としては、以下のものがある。上述の基板位置検出装置101において、光源108は、パネル106と窓102aの間に配置されていたが、図6に示すように、パネル106の上方において筐体102の内側壁に光源109を取り付け、光源109からパネル106の上面(カメラ104に望む面)に光を照射しても良い。光源109は、光源108と同様に白色LEDを含んでいる。この場合であっても、パネル106は光散乱性を有しているため、照射光は、パネル106内を透過する際に種々の角度に散乱され、パネルの両面の間での多重反射も生じることもあって、パネル106の全面がほぼ同一の光強度で発光することとなる。したがって、本発明の実施形態による基板位置検出装置の効果が発揮される。なお、図6に示すように、光源109だけでなく、パネル106と窓102aとの間の光源108も設けておいて良い。後述のとおり、サセプタ2の位置検出の際に、この光源108によりウエハWに光を直接に照射しても良い。
【0147】
パネル106は、上記に実施形態においては、白色顔料が塗布された乳白色のアクリル板で作製されたが、これに限らず、パネル106によりウエハWが一様に光って見える限り種々の材料から作製して良い。例えば、パネル106は、シリカ粒子やシリコーンポリマー粒子などの光散乱粒子を含む樹脂により作製して良く、表面が粗面化された樹脂板又はガラス板で作製しても良い。勿論、透明な樹脂板やガラス板からパネル106を作製し、一面又は両面を粗面化しても良い。粗面化は、例えばサンドブラスト、砥石等を用いる機械的研削、又はエッチングにより行うことができる。また、表面にマイクロレンズアレイが形成された樹脂板やガラス板からパネル106を形成しても良い。なお、パネル106は、上記の実施形態においては、白色顔料が塗布された乳白色のアクリル板から作製されたが、パネル106によりウエハWに間接的に光照射される限りにおいて、アクリル板に塗布される顔料の色は白色に限定されない。
【0148】
また、パネル106は平板である必要はなく、カメラ104にウエハWおよびその周辺を撮像させる開口部106aを有する限り、ドーム状、円錐台状、又は角錐台状(上下の向きを問わず)であっても良い。
【0149】
また、パネル106に光を照射する光源は、パネル106の側面から光を照射するようにしても良い。この場合、パネル106のいずれかの表面にマイクロレンズアレイが形成されていると、パネル106がほぼ一様に発光する観点から、好ましい。
【0150】
さらに、光源がパネル106と一体に設けられても良い。例えば、光散乱性を有し中央に開口部106aを有する一の部材と他の部材との間に、発光面が当該一の部材に面するように複数個の白色LED(チップ)を配置し、各LED(チップ)に電力を供給できるように配線し、両部材を貼り合わせることにより、パネル106を作製しても良い。この構成によっても、各白色LED(チップ)に電力を供給することによって、光散乱性を有する一の部材をほぼ一様に発光させることができる。この場合、光散乱性を有する一の部材が上記のパネル106に該当する。また、この例において、他の部材は、光散乱性を有していても良く、有していなくても良い。さらに、他の部材の一の部材に面する面が光反射性を有していても良い。
【0151】
上述の基板位置検出方法のステップS22において、光源108によりパネル106の下面を照射してウエハWのエッジとその周辺領域を撮像し、サセプタ2の位置検出用マーク2aを検出したが、位置検出用マーク2aを検出する場合には、光源108をウエハWの方に向け、ウエハWのエッジとその周辺領域に直接に光を照射しても良い。このようにすると、位置検出用マーク2aをより精度良く検出することが可能となる。なお、パネル106の上面又は側面に光を照射する場合、又は、光源がパネル106と一体化されている場合、位置検出用マーク2aの検出の際に、パネル106と窓102aの間に設けた光源108から(図6参照)ウエハWのエッジおよびその周辺に光を直接に照射すると好ましい。
【0152】
本発明の実施形態による基板位置検出方法においては、サセプタ2に形成された位置検出用マーク2aに基づいてサセプタ2の載置部24の中心位置Cを推定したが、他の実施形態においては、載置部24のエッジの形状から中心位置Cを推定しても良い。また、ウエハWのエッジと載置部24のエッジとの間隔に基づいて、ウエハWが所定の位置に載置されているかを判定しても良い。
【0153】
さらに、ウエハWの載置部24は、凹部に限定されることなく、サセプタ2上に所定の角度間隔で配置されウエハWの端部を押さえるガイド部材によっても形成され得る。たとえば、ウエハWの載置部24は、静電チャックを有していても良い。この場合であっても、例えば位置検出用マーク2aを検出することにより、ウエハWの中心位置WOが位置すべき位置(載置部24の中心位置C)を推定することができ、ウエハWのエッジを検出することにより得たウエハWの実際の中心位置WOを推定し、両者を比較することにより、ウエハWが所定の位置に載置されているかを判定することができる。
【0154】
また、上記の実施形態において、カメラ104として、CCDカメラを用いたが、これに限らず、CMOSカメラであって良い。また、カメラ104はビデオカメラであっても良い。
光源108は、白色LED108aでなく、ハロゲンランプ、キセノンランプなどを含んで良い。また、光源108の発光色は、白色に限らず、光源108からの光に対してカメラが感度を有していれば、何色であっても良い。例えば、白色光以外では、黄色、橙色または緑色といった比較的明度の高い色を有する光が好ましい。
【0155】
本発明の実施形態による基板位置検出装置は、位置検出の対象であるウエハWが収容される半導体製造装置の上方に配置される必要はなく、その製造装置内のウエハWのエッジおよびその周辺を撮像することができる位置に配置して良いことは言うまでもない。また、筐体102の開口部とこれを覆う窓102aは、筐体102の下部に限らず、位置検出の対象であるウエハWが収容される装置との関係に応じて筐体102の他の部位に設け、窓102aを通してカメラ104によりウエハWのエッジおよびその周辺を撮像しても良い。さらに、筐体102は必ずしも必要でなく、ウエハWのエッジおよびその周辺を撮像することができるように、半導体製造装置に対してカメラ104、パネル106、および光源108を取り付けても良い。
【0156】
また、本発明の実施形態による基板位置検出装置は、成膜装置だけでなく、エッチング装置や熱処理装置を始めとする種々の半導体製造装置に適用することが可能である。また、本発明の実施形態による基板位置検出装置および基板位置検出方法によれば、ベアウエハに限らず、種々のプロセスにより回路が形成されたウエハWの位置を検出するために適用することが可能である。なお、半導体製造装置のサセプタは、カーボン等から作製される必要はなく、石英や金属などで作製されても良い。このような材料から作製される場合であっても、サセプタに載置されるウエハWはパネル106により光照射されて一様に光って見える一方、ウエハとサセプタとの表面の相違により、両者の間でのコントラストを維持することできるため、精度良くウエハ位置を検出することが可能である。
【0157】
さらに、本発明の実施形態による基板位置検出装置は、フラットパネルディスプレイ(FPD)の製造に使用する製造装置において、FPD基板の位置を検出するためにも使用することが可能である。
【0158】
また、種々の変形例を説明したが、これらの変形例は種々に組み合わせて上述の実施形態に適用して良いことは、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0159】
100・・・基板位置検出装置、102・・・筐体、104・・・カメラ、104a・・・制御部、106・・・パネル、108,109・・・光源、200・・・成膜装置、2・・・サセプタ、10・・・搬送アーム、24・・・載置部、4・・・凸状部、5・・・突出部、31,32・・・反応ガス供給ノズル、41,42・・・分離ガス供給ノズル、W・・・ウエハ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造装置等に収容される基板の位置を検出する基板位置検出装置、基板位置検出方法、基板位置検出装置を備える成膜装置、この成膜装置を用いる成膜方法、上記の基板位置検出装置に基板位置検出方法を実施させるプログラム、このプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体、上記の成膜装置に成膜方法を実施させるプログラム、及びこのプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造工程においては、成膜装置、エッチング装置、および検査装置を始めとする種々の製造装置内に基板が搬送され、それぞれの装置に応じた処理が基板に対して行われる。基板は、フォークやエンドエフェクタを有する搬送アームによって各装置内へ搬入されるが、装置内においては、所定の位置に正確に配置されなければならない。例えば、成膜装置内で所定の位置からずれてしまうと、基板を均一に加熱することができず、膜質および膜厚の均一性が悪化するという問題が生じる。また、所定の位置からずれていると、処理後に、フォークやエンドエフェクタによって基板を取り出すことができないといった問題も生じ得る。
【0003】
さらに、膜厚の制御性及び均一性に優れることから注目を集めている分子層(原子層)成膜装置のなかには、原料ガスの交互供給の代わりに基板を高速で回転することにより原料ガスを基板に対して交互に付着させるものがあるが、このような装置において基板が所定の位置にない場合、回転によって基板がとばされるといった問題が生じる。
【0004】
基板を所定の位置に正確に配置して上記のような問題を解決するため、装置内に複数のレーザセンサ又は光電センサを配置して測定値の変化により位置ずれを検出する方法や(特許文献1参照)、接触式センサを利用して位置ずれを検出する方法がある(特許文献2参照)。
【0005】
しかし、1枚の基板に対して複数のレーザセンサを用いる必要があるため、複数の基板を収容する装置においては相当数のレーザセンサが必要となり、装置のコストが上昇してしまう。また、基板とサセプタの相対位置を把握するため、サセプタの位置を検出するためのレーザセンサも必要となり、更なるコスト上昇を招く。さらに、複数のレーザセンサを用いる場合には、光学系が複雑になるという問題も生じる。一方、接触式センサは、基板を加熱する場合には、使用することができない。
【0006】
これらに対して、基板位置の別の検出方法として、CCDカメラ等を用いて基板を撮像し、得られた画像に基づいて基板の位置を検出する方法がある(特許文献3参照)。この方法によれば、一台のCCDカメラで基板もサセプタも撮影することができるため、コストを上昇させずに済み、光学系を単純化することができ、さらに遠隔検出が可能であるため基板の加熱の有無によらず使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−007009号公報
【特許文献2】特開2007−142086号公報
【特許文献3】特開2001−117064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、本発明の発明者らが検討した結果、カメラにより基板を撮影する際、光の照射によって検出誤差が発生し、基板位置を正確に検出することができない場合があることが分かった。
【0009】
本発明は、このような検討結果から為され、基板の撮像に基づく基板位置検出において検出誤差を低減することが可能な基板位置検出装置、基板位置検出方法、基板位置検出装置を備える成膜装置、この成膜装置を用いる成膜方法、上記の基板位置検出装置に基板位置検出方法を実施させるプログラム、このプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体、上記の成膜装置に成膜方法を実施させるプログラム、及びこのプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、位置検出対象である基板を撮像する撮像部と、撮像部と基板との間に配置され、基板に対する撮像部の視野を確保する第1の開口部を有する光散乱性のパネル部材と、パネル部材に光を照射する第1の照明部と、前記撮像部により前記第1の開口部を通して撮像された画像から前記基板の位置を求める処理部とを備える基板位置検出装置を提供する。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様の基板位置検出装置であって、第1の照明部が、パネル部材の基板に臨む第1の面に光を照射する基板位置検出装置を提供する。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1の態様の基板位置検出装置であって、第1の照明部が、パネル部材の撮像部に臨む第2の面に光を照射する基板位置検出装置を提供する。
【0013】
本発明の第4の態様は、第3の態様の基板位置検出装置であって、基板に光を照射する第2の照明部を更に備える基板位置検出装置を提供する。
【0014】
本発明の第5の態様は、第2の態様の基板位置検出装置であって、第1の面に光を照射する第1の照明部の光放射部の向きが、基板に光を照射するために変更可能である基板位置検出装置を提供する。
【0015】
本発明の第6の態様は、第1から5のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、第1の照明部が白色発光素子を含む基板位置検出装置を提供する。
【0016】
本発明の第7の態様は、第4の態様の基板位置検出装置であって、第2の照明部が白色発光素子を含む基板位置検出装置を提供する。
【0017】
本発明の第8の態様は、第6又は7の態様の基板位置検出装置であって、白色発光素子が白色発光ダイオードである基板位置検出装置を提供する。
【0018】
本発明の第9の態様は、第1から第8のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、パネル部材が光散乱性粒子を含む樹脂により形成される基板位置検出装置を提供する。
【0019】
本発明の第10の態様は、第1から第8のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、パネル部材が、顔料が塗布された透明樹脂板により形成される基板位置検出装置を提供する。
【0020】
本発明の第11の態様は、第1から第8のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、パネル部材がマイクロレンズアレイを含む基板位置検出装置を提供する。
【0021】
本発明の第12の態様は、第1から第8のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、パネル部材の第1の面及び第2の面のいずれか又は双方が粗面化されている基板位置検出装置を提供する。
【0022】
本発明の第13の態様は、第1から第12のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、位置検出対象である基板を臨む開口と、撮像部が収容される収容領域と、収容領域に気体を導入する導入口と、導入口から導入された気体を排気する排気口と、を含む筐体を更に備え、パネル部材が、筐体内において開口と収容領域との間に配置され、パネル部材に、気体が通過可能な第2の開口部が形成される基板位置検出装置を提供する。
【0023】
本発明の第14の態様は、第1から第13のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、撮像部がCCDカメラを含む基板位置検出装置を提供する。
【0024】
本発明の第15の態様は、位置検出対象である基板をサセプタの載置部に載置する工程と、基板の上方に配置される、開口部を有する光散乱性のパネル部材に光を照射する工程と、上記の開口部を通して、光が照射されるパネル部材により照らされる、基板及び載置部を含む領域を撮像する工程と、領域の画像に基づいて載置部の位置を推定する工程と、領域の画像に基づいて基板の位置を推定する工程と、載置部の位置と基板の位置とから、基板が所定の位置にあるかどうかを判定する工程とを含む基板位置検出方法を提供する。
【0025】
本発明の第16の態様は、第15の態様の基板検出方法であって、載置部の位置を推定する工程が、サセプタに設けられる位置検出用マークを検出する工程を含む基板位置検出方法を提供する。
【0026】
本発明の第17の態様は、第15又は第16の態様の基板位置検出方法であって、基板の位置を推定する工程が、載置部に載置された基板の端部を認識する工程を含む基板位置検出方法を提供する。
【0027】
本発明の第18の態様は、容器内にて、互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番に基板に供給するサイクルを実行して反応生成物の層を当該基板上に生成することにより膜を堆積する成膜装置を提供する。この成膜装置は、容器に回転可能に設けられたサセプタと、サセプタの一の面に設けられ、基板が載置される載置部と、載置部に載置される基板の位置を検出する、第1から第14のいずれかの態様の基板位置検出装置と、一の面に第1の反応ガスを供給するよう構成された第1の反応ガス供給部と、サセプタの回転方向に沿って第1の反応ガス供給部から離れた、一の面に第2の反応ガスを供給するよう構成された第2の反応ガス供給部と、回転方向に沿って、第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と第2の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置し、第1の処理領域と第2の処理領域とを分離する分離領域と、第1の処理領域と第2の処理領域とを分離するために、容器のほぼ中央に位置し、一の面に沿って第1の分離ガスを吐出する吐出孔を有する中央領域と、容器を排気するために容器に設けられた排気口と、を備える。分離領域は、第2の分離ガスを供給する分離ガス供給部と、第2の分離ガスが回転方向に対し分離領域から処理領域側へ流れることができる狭隘な空間を、サセプタの一の面に対して形成する天井面とを含んでいる。
【0028】
本発明の第19の態様は、第18の態様の成膜装置を用いて基板上に膜を堆積する成膜方法を提供する。この成膜方法は、容器に回転可能に設けられたサセプタの一の面に設けられ、基板が載置される載置部に基板を載置する工程と、基板の上方に配置される、開口部を有する光散乱性のパネル部材に光を照射する工程と、開口部を通して、光が照射されるパネル部材により照らされる、基板及び載置部を含む領域を撮像する工程と、領域の画像に基づいて載置部の位置を推定する工程と、領域の画像に基づいて基板の位置を推定する工程と、載置部の位置と基板の位置とから、基板が所定の位置にあるかどうかを判定する工程と、基板が所定の位置にあると判定された場合に、基板が載置されたサセプタを回転する工程と、第1の反応ガス供給部からサセプタの一の面へ第1の反応ガスを供給する工程と、サセプタの回転方向に沿って第1の反応ガス供給部から離れた第2の反応ガス供給部からサセプタの一の面へ第2の反応ガスを供給する工程と、第1の反応ガス供給部から第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と第2の反応ガス供給部から第1の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置する分離領域に設けられた分離ガス供給部から、第1の分離ガスを供給し、分離領域の天井面とサセプタとの間に形成される狭隘な空間において回転方向に対し分離領域から処理領域側に第1の分離ガスを流す工程と、容器の中央部に位置する中央部領域に形成される吐出孔から一の面に沿って第2の分離ガスを供給する工程と、容器を排気する工程と、を備える。
【0029】
本発明の第20の態様は、第1から第14のいずれかの態様の基板位置検出装置であって、位置検出対象である前記基板が載置されるサセプタを回転する回転駆動機構に設けられ、当該サセプタに設けられた位置検出用マークの位置を検出する検出部を更に備え、前記処理部が、前記画像から前記位置検出用マークが所定の範囲にあるか否かを検出する基板位置検出装置を提供する。
【0030】
本発明の第21の態様は、第20の態様の基板位置検出装置であって、前記検出部が、前記回転駆動機構に設けられた固定子と、前記回転駆動機構の回転部に設けられ、前記固定子と協働する回転子とを含む基板位置検出装置を提供する。
【0031】
本発明の第22の態様は、第16の態様の基板位置検出方法であって、前記載置部の位置を推定する工程が、前記画像から前記位置検出用マークが前記画像内の所定の範囲にあるか否かを検出する工程と、前記検出する工程において前記位置検出用マークが所定の範囲に無いと判定された場合に、前記サセプタを回転する回転駆動機構に設けられた検出部の検出結果に基づいて前記位置検出マークが前記所定の範囲内に収まるように前記サセプタの位置を調整する工程と、前記所定の範囲内に収まった前記位置検出マークの位置を検出し、当該検出結果に基づいて前記位置検出マークを所定の位置に位置するように前記サセプタの位置を調整する工程とを含む基板位置検出方法を提供する。
【0032】
本発明の第23の態様は、第22の態様の基板位置検出方法であって、前記検出部が、前記回転駆動機構に設けられた固定子と、前記回転駆動機構の回転部に設けられ、前記固定子と協働する回転子とを含む基板位置検出方法を提供する。
【0033】
本発明の第24の態様は、第1から第14、第20、および第21の態様のいずれかの基板位置検出装置に、第15から第17、第22、および第23の態様のいずれかの基板位置検出方法を実施させるプログラムを提供する。
【0034】
本発明の第25の態様は、第24の態様のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0035】
本発明の第26の態様は、第18の態様の成膜装置に、請求項19の成膜方法を実施させるプログラムを提供する。
【0036】
本発明の第27の態様は、第26の態様のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の実施形態によれば、基板の撮像に基づく基板位置検出において検出誤差を低減することが可能な基板位置検出装置、基板位置検出方法、基板位置検出装置を備える成膜装置、この成膜装置を用いる成膜方法、上記の基板位置検出装置に基板位置検出方法を実施させるプログラム、このプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体、上記の成膜装置に成膜方法を実施させるプログラム、及びこのプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態による基板位置検出装置を示す模式図
【図2】本発明の実施形態による基板位置検出方法を示すフローチャート
【図3】図1の基板位置検出装置が利用される成膜装置におけるウエハの配置を説明する図
【図4】図1の基板位置検出装置を利用して本発明の実施形態による基板位置検出方法に従って撮像された画像(b)を、位置検出方法の比較のために撮像した画像(a)と対比して示す図
【図5】本発明の実施形態による基板位置検出装置及び基板位置検出方法における、ウエハの中心位置の推定を説明する図
【図6】本発明の他の実施形態による基板位置検出装置を模式的に示す図
【図7】図1の基板位置検出装置を備える、本発明の実施形態による成膜装置を示す模式図
【図8】図7の成膜装置の容器本体の内部を示す斜視図
【図9】図7の成膜装置の容器本体の内部を示す上面図
【図10】図7の成膜装置のガス供給ノズル、サセプタ、及び凸状部との位置関係を示す図
【図11】図7の成膜装置の一部断面図
【図12】図7の成膜装置の破断斜視図
【図13】図7の成膜装置におけるパージガスの流れを示す一部断面図
【図14】図7の成膜装置の容器本体内へアクセスする搬送アームを示す斜視図
【図15】図7の成膜装置の容器本体内を流れるガスのフローパターンを示す上面図
【図16】図7の成膜装置内の突出部の形状を説明する図
【図17】図7の成膜装置のガス供給ノズルの変形例を示す図
【図18】図7の成膜装置内の突出部の変形例を示す図
【図19】図7の成膜装置内の突出部とガス供給ノズルの変形例を示す図
【図20】図7の成膜装置内の突出部の他の変形例を示す図
【図21】図7の成膜装置におけるガス供給ノズルの配置位置の変形例を示す図
【図22】図7の成膜装置内の突出部のまた別の変形例を示す図
【図23】図7の成膜装置内において、反応ガス供給ノズルに対して突出部を設けた例を示す図
【図24】図7の成膜装置内の突出部の更に別の変形例を示す図
【図25】図1の基板位置検出装置を備える、本発明の他の実施形態による成膜装置を示す模式図
【図26】図7又は図25の成膜装置を含む基板処理装置を示す模式図
【図27】本発明の他の実施形態による基板位置検出装置を説明するための模式図
【図28】本発明の他の実施形態による基板位置検出方法を示すフローチャート
【図29】本発明の他の実施形態による基板位置検出方法を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきものである。
【0040】
<基板位置検出装置>
図1は、本発明の一実施形態による基板位置検出装置を示す概略図である。図示の通り、本実施形態による基板位置検出装置101は、筐体102と、筐体102内に取り付けられ、位置検出の対象であるウエハWを撮像するカメラ104と、筐体102内においてカメラ104の下方に配置されるパネル106と、パネル106に光を照射する光源108とを有している。
【0041】
筐体102は、本実施形態においては、位置検出の対象であるウエハWが収納される成膜装置200の上に配置される。筐体102は、下部に開口部を有し、この開口部を覆う透明な窓102aを有している。また、筐体102には、上方の側壁において配管102bが接続され、下方の側壁において配管102cが接続されている。図1中に二点鎖線の矢印で示すように、例えば清浄空気を配管102bから流して配管102cから排気することにより、筐体102内に取り付けられたカメラ104を冷却することができる。また、位置検出時にウエハWが加熱されている場合には、輻射熱により窓102aが加熱され、これにより陽炎が生じて画像がぼやけることがある。しかし、上記の清浄空気により窓102aをも冷却することができ、陽炎による画像のぼやけを低減することができる。
【0042】
カメラ104は、撮像素子として電荷結合素子(CCD)を有しており、筐体102の上方部に筐体102の開口部および窓102aを望むように取り付けられている。この構成により、カメラ104は、窓102aと、成膜装置200の天板11に気密に設けられたビューポート201とを通して、成膜装置200内のサセプタ2に載置されるウエハWを撮像することができる。
【0043】
また、カメラ104には制御部104aが電気的に接続されている。制御部104aにより、カメラ104の動作(オン/オフ、焦点合わせ、撮像等)が制御されるとともに、カメラ104により得られた画像データが処理される。この処理には、画像データからウエハWやサセプタ2の位置を求める演算処理が含まれる。また、制御部104aが、所定の入出力装置(図示せず)を通して記憶媒体に記憶されたプログラムをダウンロードし、このプログラムに従って、カメラ104や光源108などの各構成を制御することにより、後述する基板位置検出方法が実施される。
【0044】
パネル106は、本実施形態においては、白色顔料が塗布された乳白色のアクリル板から作製され、筐体102内においてカメラ104と窓102aとの間に取り付けられている。パネル106のほぼ中央には開口部106aが形成されており、開口部106aを通して、カメラ104は成膜装置200内のウエハWおよびその周辺を撮像することができる。したがって、開口部106aの位置および大きさは、カメラ104がウエハWおよびその周辺の領域、具体的には、ウエハ位置の検出に利用されるウエハWのエッジと、サセプタ2に形成される位置検出用マーク2a(後述)とを撮像できるように決定して良く、また、パネル106とカメラ104との距離をも考慮に入れて決定して良い。
【0045】
また、パネル106には、カメラ104によるウエハW等の撮像を妨げない位置において、一又は複数の開口部106bが形成されている。開口部106bは、筐体102に接続される配管102aから供給される清浄空気の流れを促進するために設けられる。
【0046】
光源108は、本実施形態においては、パネル106と窓102aとの間において筐体102の内側壁に取り付けられている。このため、光源108は、パネル106の下面に光を照射することができ、また、パネル106の開口部106aを通してカメラ104に光が照射されることない。光源108は、上下方向に旋回可能に取り付けられても良く、さらに、所定のモータ等を設けて照射方向の切り替えができるようにすると好ましい。このようにすれば、択一的に、光源108の上方のパネル106に光を照射するか、光源108の下方のウエハWに光を照射することができる。
【0047】
光源108は、本実施形態においては、白色発光ダイオード(LED)108aを含み、また、白色LEDに電力を供給する電源108bを有している。電源108bは出力電圧を変えることができ、これにより、パネル106により間接的に光照射されるウエハWへの照度を調整することができる。照度の調整により、カメラ104は、より鮮明な画像を撮像することが可能となる。
【0048】
以上のように構成された、本発明の一実施形態による基板位置検出装置101が奏する効果・利点は、以下の基板位置検出方法の説明より明らかとなる。
【0049】
<基板位置検出方法>
図1〜図5を参照しながら、本発明の一実施形態による基板位置検出方法を説明する。ここでは、上述の基板位置検出装置101を用い、成膜装置200内に搬入されてサセプタ2に載置されるウエハWの位置を検出する場合を説明する。なお、成膜装置200で用いられるサセプタ2は、図3に示すとおり、5枚のウエハが載置される載置部24を等角度間隔(約72°)で有している。ウエハの位置検出は、例えばウエハを成膜装置200内に搬入し所定の載置部に載置したときに行われ、1ランに搬入される5枚以下のウエハのそれぞれについて逐次行われる。また、載置部24は、例えば、ウエハWの直径よりも大きい内径を有する円形の凹部であって良い。具体的には、約300mm(12インチ)の直径を有するウエハWに対し、凹状の載置部24の内径は例えば約304mm〜約308mmであって良い。
【0050】
まず、ステップS21(図2)において、ウエハWが、フォークを有する搬送アーム(図示せず)により、成膜装置200のチャンバ12(図1)内に搬入され、サセプタ2に設けられた貫通孔を通して昇降可能な昇降ピン16(図3)によって搬送アームから載置部24に載置される。次に、このウエハWは、サセプタ2の回転により、基板位置検出装置101のカメラ104により撮像される位置(以下、撮像位置という)に移動される。
【0051】
次いで、基板位置検出装置101の光源108が点灯し、パネル106の下面に光が照射される。そして、基板位置検出装置101のカメラ104により、ウエハWのエッジを含む領域とその周辺のサセプタ2とが撮像され(ステップS22)、制御部104aにより画像データが収集される。カメラ104により得られた画像の一例を示すと、図4(b)のとおりである。図示のとおり、ウエハWはほぼ一様に白色で示され、サセプタ2は黒色で表されている。なお、図中、ウエハWに見える黒い長方形は、パネル106の開口部106bである。
【0052】
続けて、制御部104aにより、成膜装置200のサセプタ2に設けられた位置検出用マーク2aが検出される。この検出は、予め制御部104aに記憶された位置検出用マーク2aの形状又は模様等に基づいた画像処理により行うことができる。さらに、検出された位置検出用マーク2aの位置に基づいて、検出対象のウエハWが載置される載置部24の中心位置が推定される(ステップS23)。この推定のためには、例えば図5に示すように、位置検出マーク2aが、位置検出マーク2aの中心と載置部24の中心Cとが所定の軸上に位置するように形成されていると好ましい。このようにすれば、予め決定された、位置検出マーク2aの中心から距離により、載置部24の中心Cの位置を容易に推定することができる。
【0053】
次に、制御部104aは、カメラ104により得られた画像において、ウエハWのエッジラインを認識する。この認識は、制御部104aに予め備えられたエッジ認識機能を利用して行って良い。次いで、例えばエッジラインに接する複数の接線とその接点において交差する直線が交わる点(座標)を求めることにより、ウエハWの中心WO(図5)の位置を推定することができる(ステップS24)。
【0054】
次いで、推定されたウエハWの中心WOの位置と載置部24の中心Cの位置との距離dが求められる。ここで、図5に示す座標軸において、載置部24の中心Cが点(XC,YC)で表され、ウエハWの中心WOが点(XW,YW)で表されるとすると、
d2=((XW−XC)2+(YW−YC)2)/CF2 ・・・式(1)
という関係式が成り立つ。式(1)において、CFは換算係数であり、例えばCCD上の画素間の距離に対する実際の寸法の比を表している。
【0055】
この後、式(1)に基づいて求めた距離dを用いて、ウエハWが所定の範囲内にあるかどうかが判定される(ステップS25)。例えば、Dwmmの直径を有するウエハWに対して、載置部24が凹部であって、その内径がD0mmである場合、
0≦d2≦L2 ・・・式(2)
L=(D0−Dw)/2 ・・・式(3)
という関係を満たすときは、ウエハWの中心WOは、載置部24の中心Cを中心とする半径Lの円Rの内側に入ることとなる。すなわち、この場合、ウエハWは載置部24に収まっていることとなり、ウエハWの位置は所定の範囲内にあると判定される。
【0056】
なお、ウエハWを載置部24へ載置する場合に、昇降ピン16を用いずに、エンドエフェクタを有する搬送アームを使用するときは、エンドエフェクタのサイズに応じて、
0≦d2≦L12 ・・・式(4)
L1<L=(D0−Dw)/2 ・・・式(5)
という関係式を用いて、ウエハWの位置は所定の範囲内にあるかどうかを判定しても良い。
【0057】
また、上記の撮像、中心推定、および判定が行われる間、成膜装置200においては、撮像等の処理が行われたウエハWが載置される載置部24に隣接する載置部24に次のウエハWが載置される。これにより、時間の無駄なく、ウエハWの位置検出およびウエハWの搬入が可能となり、スループットの低下を防ぐことができる。
【0058】
距離dが所定の範囲内にある場合(ステップS25:YES)、制御部104aから成膜装置200に対してウエハWの搬入が終了したかどうかが問い合わされ(ステップS26)、残りのウエハWがあるとの情報を得た場合には、ステップS22へ戻る。すなわち、成膜装置200のサセプタ2が回転し、次のウエハWが撮像位置に移動されて、そのウエハWのエッジとその周辺領域が撮像され、この後、このウエハWに対してステップS25までが行われる。以降、サセプタ2に載置されるすべてのウエハWに対して位置検出が終了するまで、同様にステップS21〜S25が繰り返される。
【0059】
また、距離dが所定の範囲内にないと判定された場合は(ステップS25:NO)、制御部104aからアラームが発せられ、制御部104aから成膜装置200に対して動作の中止を求める信号が送信され(ステップS27)、これにより成膜装置200が待機状態となる。この場合、成膜装置200の操作者により、所定の手順に従って、所定の位置にないと判定されたウエハWを所定の位置に載置するといった手動作業が行われる。
【0060】
ステップS26において、残りのウエハWがない、すなわち、すべての(5枚の)ウエハWが所定の位置にあると判定されると(ステップS26:NO)、成膜装置200において、ウエハWの上に所定の膜が成膜される(ステップS28)。成膜が終了すると、搬送アームによりウエハWが成膜装置200のチャンバ12から搬出される。ただし、搬出の前に、ステップS21〜S27に倣って、再度、ウエハWの位置検出を行っても良い。成膜後の位置検出は、成膜中にサセプタ2が回転することによりウエハWの位置がずれた場合に、例えばエンドエフェクタを有する搬送アームがウエハWを掴むことができないという事態を防止する点で有効である。
【0061】
以下、図4(a)および図4(b)を比較しながら、本実施形態による基板位置検出方法の効果及び利点を説明する。図4(a)は、比較のため、ウエハWとその周辺領域に対して直接に光を照射し撮像した画像を示す。この場合、ウエハWは黒く表示されている。このため、サセプタ2の載置部24の内周壁により生じる影、かつ/又は、ウエハWの厚さにより生じる影と、ウエハWのエッジとが重なると、ウエハWのエッジを正確に認識することができない。その結果、ウエハWの中心、ひいてはウエハWの位置を正確に把握することができなくなってしまう。また、ウエハWのエッジは、外向きに傾斜しているため、この傾斜面から強い反射光が生じる場合がある。そうすると、画像上ではウエハWのエッジの一部が強く光って見えることとなり、エッジの円弧形状が歪んでしまい、ウエハWの中心を正確に推定することができない事態ともなる。
【0062】
一方、本発明の実施形態による基板位置検出方法によれば、図4(b)に示すように、ウエハWは白色で表示されている。この理由は以下のとおりである。パネル106は上述の通り白色顔料が塗布されたアクリル板で作製されているため、パネル106の下面(ウエハWを望む面)に対して光源108から光を照射すると、パネル106の全体がほぼ一様に白色に発光することとなる。このとき、パネル106の下方に配置されるウエハWは、ほぼ一様に白色に発光するパネル106に照らされるため、または、このように発光するパネル106が映るため、一様に白色に見える。したがって、カメラ104により撮影される画像においても、ウエハWのエッジを含む領域が一様に光って見える。一方、ウエハWが載置されるサセプタ2は、カーボンやSiCコートカーボンから作製されることもあって、パネル106からの光に照らされても黒く見える。したがって、ウエハWとサセプタ2との間に大きなコントラストが生じる。また、パネル106から、光が種々の方向からウエハWおよびサセプタ2に到達するため、ウエハWや載置部24による影が生じにくい。したがって、ウエハWのエッジは明瞭に認識され、検出誤差の低減が防止される。
【0063】
また、パネル106が全面で一様に発光しているため、ウエハWのエッジからの強い反射が無く、エッジからの反射光に伴う検出誤差が生じることもない。さらに、ウエハ表面からの強い反射光もなく、カメラ104においてフレアなどが発生することもないため、ウエハWのエッジを明瞭に認識することが可能となる。
【0064】
以上から、本発明の実施形態による基板位置検出装置及び基板位置検出方法の効果及び利点が理解される。
<基板位置検出装置を備える成膜装置>
以下、本発明の実施形態による上述の基板位置検出装置を備える、本発明の他の実施形態による成膜装置について、図7から図25を参照しながら説明する。
【0065】
本発明の実施形態による成膜装置200は、図7(図9のB−B線に沿った断面図)に示すように平面形状が概ね円形である扁平な真空容器1と、この真空容器1内に設けられ、当該真空容器1の中心に回転中心を有するサセプタ2と、を備えている。真空容器1は天板11が容器本体12から分離できるように構成されている。天板11は、内部の減圧状態により封止部材例えばOリング13を介して容器本体12側に押し付けられ、これにより真空容器1が気密に密閉される。一方、天板11を容器本体12から分離する必要があるときは、図示しない駆動機構により上方に持ち上げられる。
【0066】
また、天板11には、例えば石英ガラスを用いて作製されるビューポート201が、Oリング等の図示しない封止部材により真空容器1に対して気密に設けられている。天板11の上面には、ビューポート201に対して窓102aが向かい合うように、基板位置検出装置101が着脱可能に取り付けられている。基板位置検出装置101の構成は上述のとおりである。基板位置検出装置101を用いて、本発明の実施形態による上述の基板位置検出方法を実施することにより、成膜装置200内のサセプタ2(後述)に載置されるウエハW(図7)の位置を検出することができる。
【0067】
サセプタ2は、中心部にて円筒形状のコア部21に固定され、このコア部21は、鉛直方向に伸びる回転軸22の上端に固定されている。回転軸22は容器本体12の底面部14を貫通し、その下端が当該回転軸22を鉛直軸回りにこの例では時計方向に回転させる駆動部23に取り付けられている。回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した筒状のケース体20内に収納されている。このケース体20はその上面に設けられたフランジ部分20aを介して真空容器1の底面部14の下面に気密に取り付けられており、これにより、ケース体20の内部雰囲気が外部雰囲気から隔離されている。
【0068】
図8及び図9に示すように、サセプタ2の上面に、それぞれウエハWが載置される複数(図示の例では5つ)の円形凹部状の載置部24が形成されている。ただし、図9ではウエハWを1枚のみを示している。載置部24は、サセプタ2に互いに約72°の角度間隔で配置されている。
【0069】
ここで、図10(a)を参照すると、載置部24と載置部24に載置されたウエハWとの断面が図示されている。この図に示すように、載置部24は、ウエハWの直径よりも僅かに大きい、例えば4mm大きい直径と、ウエハWの厚さに等しい深さとを有している。したがって、ウエハWが載置部24に載置されたとき、ウエハWの表面は、サセプタ2の載置部24を除く領域の表面と同じ高さにある。仮に、ウエハWとその領域との間に比較的大きい段差があると、その段差によりガスの流れに乱流が生じ、ウエハW上での膜厚均一性が影響を受ける。このため、2つの表面が同じ高さにある。「同じ高さ」は、ここでは高さの差が約5mm以下であることを意味するが、その差は、加工精度が許す範囲でできるだけゼロに近くすべきである。
【0070】
また、載置部24の底には、3つの貫通孔(図示せず)が形成されており、これらを通して3つの昇降ピン16(図14参照)が昇降する。昇降ピン16は、ウエハWの裏面を支え、ウエハWを昇降させる。
【0071】
容器本体12の側壁には、図8、図9及び図14に示すように、搬送口15が形成されている。ウエハWは、搬送口15を通して搬送アーム10により真空容器1の中へ、又は真空容器1から外へと搬送される。この搬送口15にはゲートバルブ(図示せず)が設けられ、これにより搬送口15が開閉される。一の載置部24が搬送口15に整列し、ゲートバルブが開くと、ウエハWは、搬送アーム10により真空容器1内へ搬送され、搬送アーム10から載置部24に置かれる。ウエハWを搬送アーム10から載置部24へ降ろすため、また、載置部24から持ち上げるために、昇降ピン16(図14)が設けられており、昇降ピン16は昇降機構(図示せず)によって、サセプタ2の載置部24に形成された貫通孔を通して昇降される。このようにして、ウエハWが載置部24に載置される。
【0072】
ここで、基板位置検出装置101と、サセプタ2、載置部24、及び搬送口15との平面的な位置関係を説明すると、図9に示すように、基板位置検出装置101は搬送口15の中心から約72°ずれた位置に配置されている。これにより、サセプタ2の5つの載置部24のうちの一つが搬送口15に整列したとき、その載置部24の隣の載置部24が基板位置検出装置101の下方に位置する。したがって、搬送口15に整列した載置部24にウエハWを載置する間に、その隣の載置部24に載置されたウエハWのエッジとその周辺領域は、カメラ104(図1)の視野Fに入り、上述の基板位置検出方法により、そのウエハWが所定の位置にあるかどうかを判定することができる。換言すると、一のウエハWについて位置検出を行っている間に、隣の載置部24へ他のウエハWを載置することができる。このようにして、5枚のウエハWが載置部24に順次載置され、位置検出が行われるため、基板位置検出に伴うスループットの低下を低減することが可能となる。
【0073】
図8及び図9を参照すると、サセプタ2の上方に第1の反応ガス供給ノズル31、第2の反応ガス供給ノズル32、及び分離ガス供給ノズル41,42を含み、これらは、所定の角度間隔で半径方向に延在している。この構成により、載置部24は、ノズル31,32,41,及び42の下を通過することができる。図示の例では、第2の反応ガス供給ノズル32、分離ガス供給ノズル41、第1の反応ガス供給ノズル31、及び分離ガス供給ノズル42がこの順に時計回りに配置されている。これらのガスノズル31,32,41,42は、容器本体12の周壁部を貫通し、ガス導入ポート31a,32a,41a,42aである端部を壁の外周壁に取り付けることにより、支持されている。ガスノズル31,32,41,42は、図示の例では、真空容器1の周壁部から真空容器1内へ導入されているが、環状の突出部5(後述)から導入しても良い。この場合、突出部5の外周面と天板11の外表面とに開口するL字型の導管を設け、真空容器1内でL字型の導管の一方の開口にガスノズル31(32,41,42)を接続し、真空容器1の外部でL字型の導管の他方の開口にガス導入ポート31a(32a、41a、42a)を接続することができる。
【0074】
図示していないが、反応ガス供給ノズル31は、第1の反応ガスであるビスターシャルブチルアモノシラン(BTBAS)のガス供給源に接続され、反応ガス供給ノズル32は、第2の反応ガスであるオゾン(O3)のガス供給源に接続されている。
【0075】
反応ガス供給ノズル31、32には、下方側に反応ガスを吐出するための吐出孔33がノズルの長さ方向に間隔を置いて配列されている。本実施形態においては、吐出孔33は、約0.5mmの口径を有し、反応ガス供給ノズル31、32の長さ方向に沿って約10mmの間隔で配列されている。また、反応ガス供給ノズル31の下方領域はBTBASガスをウエハに吸着させるための第1の処理領域P1であり、反応ガス供給ノズル32の下方領域はO3ガスをウエハに吸着させるための第2の処理領域P2である。
【0076】
一方、分離ガス供給ノズル41,42は、チッ素ガス(N2)のガス供給源(図示せず)に接続されている。分離ガス供給ノズル41、42は、下方側に分離ガスを吐出するための吐出孔40を有している。吐出孔40は、長さ方向に所定の間隔で配置されている。本実施形態においては、吐出孔40は、約0.5mmの口径を有し、分離ガス供給ノズル41、42の長さ方向に沿って約10mmの間隔で配列されている。
【0077】
分離ガス供給ノズル41、42は、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを分離するよう構成される分離領域Dに設けられている。各分離領域Dにおいては、真空容器1の天板11に、図8〜図10に示すように、凸状部4が設けられている。凸状部4は、扇形の上面形状を有しており、その頂部は真空容器1の中心に位置し、円弧は容器本体12の内周壁の近傍に沿って位置している。また、凸状部4は、凸状部4が二分割されるように半径方向に伸びる溝部43を有している。溝部43には分離ガス供給ノズル41(42)が収容されている。分離ガス供給ノズル41(42)の中心軸と扇形の凸状部4の一方の辺との間の距離は、分離ガス供給ノズル41(42)の中心軸と扇形の凸状部4の他方の辺との間の距離とほぼ等しい。なお、溝部43は、本実施形態では、凸状部4を二等分するように形成されるが、他の実施形態においては、例えば、凸状部4におけるサセプタ2の回転方向上流側が広くなるように、溝部43を形成しても良い。
【0078】
上記の構成によれば、図10(a)に示すように、分離ガス供給ノズル41(42)の両側には平坦な低い天井面44(第1の天井面)があり、低い天井面44の両側方には高い天井面45(第2の天井面)がある。凸状部4(天井面44)は、第1及び第2の反応ガスが凸状部4とサセプタ2との間に侵入するのを阻止して混合するのを阻止するための狭隘な空間である分離空間を形成する。
【0079】
図10(b)を参照すると、サセプタ2の回転方向に沿って反応ガス供給ノズル32から凸状部4に向かって流れるO3ガスが当該空間へ侵入するのが阻止され、またサセプタ2の回転方向と反対方向に沿って反応ガス供給ノズル31から凸状部4に向かって流れるBTBASガスが当該空間へ侵入するのが阻止される。「ガスが侵入するのが阻止される」とは、分離ガス供給ノズル41から吐出した分離ガスであるN2ガスが第1の天井面44とサセプタ2の表面との間に拡散して、この例では当該第1の天井面44に隣接する第2の天井面45の下方側の空間に吹き出し、これにより第2の天井面45の下方側空間からのガスが侵入できなくなることを意味する。そして「ガスが侵入できなくなる」とは、第2の天井面45の下方側空間から凸状部4の下方側空間に全く入り込むことができない場合のみを意味するのではなく、反応ガスの一部が侵入しても、その反応ガスが分離ガス供給ノズル41に向かって更に進むことができず、よって、混ざり合うことができないことも意味する。すなわち、このような作用が得られる限り、分離領域Dは、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを分離することとなる。また、ウエハに吸着したガスについては当然に分離領域D内を通過することができる。したがって、ガスの侵入阻止は、気相中のガスを意味している。
【0080】
図7から図9を参照すると、天板11の下面には、内周縁がコア部21の外周面に面するように配置された環状の突出部5が設けられている。突出部5は、コア部21よりも外側の領域においてサセプタ2と対向している。また、突出部5は、凸状部4と一体に形成され、凸状部4の下面と突出部5の下面とは一の平面を形成している。すなわち、突出部5の下面のサセプタ2からの高さは、凸状部4の下面(天井面44)と高さと等しい。この高さは、後に高さhと言及される。ただし、突出部5と凸状部4は、必ずしも一体でなくても良く、別体であっても良い。なお、図8及び図9は、凸状部4を真空容器1内に残したまま天板11を取り外した真空容器1の内部構成を示している。
【0081】
本実施形態においては、分離領域Dは、凸状部4となるべき扇形プレートに溝部43を形成して、分離ガス供給ノズル41(42)を溝部43に配置することにより形成される。しかし、2つの扇形プレートが分離ガス供給ノズル41(42)の両側に配置されるように、これら2つの扇形プレートを天板11の下面にネジで取り付けるようにしても良い。
【0082】
本実施形態において、直径約300mmを有するウエハWが真空容器1内で処理されることとなる場合、凸状部4は、サセプタの回転中心から140mm離れた内側の円弧li(図9)に沿った例えば140mmの周方向長さと、サセプタ2の載置部24の最外部に対応する外側の円弧lo(図9)に沿った例えば502mmの周方向長さとを有する。また、外側の円弧loに沿った、凸状部4の一側壁から溝部43の直近の側壁までの周方向長さは、約246mmである。
【0083】
また、凸状部4の下面、即ち、天井面44の、サセプタ2の表面から測った高さh(図10(a))は、例えば約0.5mmから約10mmであって良く、約4mmであると好適である。また、サセプタ2の回転数は例えは1rpm〜500rpmに設定されている。分離領域Dの分離機能を確保するためには、処理真空容器1内の圧力やサセプタ2の回転数などに応じて、凸状部4の大きさや凸状部4の下面(第1の天井面44)とサセプタ2の表面との高さhを例えば実験などを通して設定してよい。なお分離ガスとしては、本実施形態ではN2ガスだが、分離ガスが酸化シリコンの成膜に影響を与えない限りにおいて、HeやArガスなどの不活性ガスや水素ガスなどであってもよい。
【0084】
図11は、図9のA−A線に沿った断面図の半分を示し、ここには凸状部4と、凸状部4と一体に形成された突出部5が図示されている。図11を参照すると、凸状部4は、その外縁においてL字状に屈曲する屈曲部46を有している。凸状部4は天板11に取り付けられ天板11とともに容器本体12から分離され得るため、屈曲部46とサセプタ2との間及び屈曲部46と容器本体12との間に僅かな隙間があるが、屈曲部46は、サセプタ2と容器本体12との間の空間を概ね埋めており、反応ガス供給ノズル31aからの第1の反応ガス(BTBAS)と反応ガス供給ノズル32aからの第2の反応ガス(オゾン)とがこの隙間を通して混合するのを防止する。屈曲部46と容器本体12との間の隙間、及び屈曲部46とサセプタ2との間に僅かな隙間は、上述のサセプタから凸状部4の天井面44までの高さhとほぼ同一の寸法とされている。図示の例において、屈曲部46のサセプタ2の外周面に面する側壁が、分離領域Dの内周壁を構成している。
【0085】
図9に示すB−B線に沿った断面図である図7を再び参照すると、容器本体12は、サセプタ2の外周面に対向する容器本体12の内周部に凹み部を有している。これ以降、この凹み部を排気領域6と称する。排気領域6の下方には、排気口61(他の排気口62については図9参照)が設けられ、これらには他の排気口62についても使用され得る排気管63を介して真空ポンプ64に接続されている。また、排気管63には圧力調整器65が設けられている。複数の圧力調整器65を、対応する排気口61,62に対して設けてもよい。
【0086】
図9を再び参照すると、排気口61は、上方から見て、第1の反応ガス供給ノズル31と、第1の反応ガス供給ノズル31に対してサセプタ2の時計回転方向の下流に位置する凸状部4との間に配置されている。この構成により、排気口61は、実質的に、第1の反応ガス供給ノズル31からのBTBASガスを専ら排気することができる。一方、排気口62は、上方から見て、第2の反応ガス供給ノズル32と、第2の反応ガス供給ノズル32に対してサセプタ2の時計回転方向の下流に位置する凸状部4との間に配置されている。この構成により、排気口62は、実質的に、第2の反応ガス供給ノズル32からのO3ガスを専ら排気することができる。したがって、このように構成される排気口61、62は、分離領域DがBTBASガスとO3ガスとが混合するのを防止するのを補助することができる。
【0087】
本実施形態では、2つの排気口が容器本体12に設けられているが、他の実施形態では、3つの排気口が設けられてもよい。例えば、第2の反応ガス供給ノズル32と、第2の反応ガス供給ノズル32に対してサセプタ2の時計回転方向の上流に位置する分離領域Dとの間に追加の排気口を設けてもよい。また、更に追加の排気口をどこかに設けてもよい。図示の例では、排気口61、62はサセプタ2よりも低い位置に設けることで真空容器1の内周壁とサセプタ2の周縁との間の隙間から排気するようにしているが、容器本体12の側壁に設けてもよい。また、排気口61,62を容器本体12の側壁に設ける場合、排気口61,62はサセプタ2よりも高く位置して良い。この場合、ガスはサセプタ2の表面に沿って流れ、サセプタ2の表面より高く位置する排気口61,62へ流れ込む。したがって、真空容器1内のパーティクルが吹き上げられないという点で、排気口が例えば天板11に設けられた場合に比べて、有利である。
【0088】
図7、図11及び図12に示すように、サセプタ2と容器本体12の底部14との間の空間には、加熱部としての環状のヒータユニット7が設けられ、これにより、サセプタ2上のウエハWがサセプタ2を介してプロセスレシピで決められた温度に加熱される。また、カバー部材71が、サセプタ2の下方においてサセプタ2の外周の近くに、ヒータユニット7を取り囲むように設けられ、ヒータユニット7が置かれている空間が、ヒータユニット7の外側の領域から区画されている。カバー部材71は上端にフランジ部71aを有し、フランジ部71aは、カバー部材71内にガスが流入することを防止するため、サセプタ2の下面とフランジ部との間に僅かな間隙が維持されるように配置される。
【0089】
再び図7を参照すると、底部14は、環状のヒータユニット7の内側に隆起部を有している。隆起部の上面は、サセプタ2と隆起部との間及び隆起部とコア部21とに接近しており、隆起部の上面とサセプタ2との間、及び隆起部の上面とコア部21の裏面との間に僅かな隙間を残している。また、底部14は、回転軸22が通り抜ける中心孔を有している。この中心孔の内径は、回転軸22の直径よりも僅かに大きく、フランジ部20aを通してケース体20と連通する隙間を残している。パージガス供給管72がフランジ部20aの上部に接続されている。また、ヒータユニット7が収容される領域をパージするため、複数のパージガス供給管73が所定の角度間隔でヒータユニット7の下方の領域に接続されている。
【0090】
このような構成により、回転軸22と底部14の中心孔との間の隙間、コア部21と底部14の隆起部との間の隙間、及び底部14の隆起部とサセプタ2の裏面との間の隙間を通して、パージガス供給管72からヒータユニット空間へN2パージガスが流れる。また、パージガス供給管73からヒータユニット7の下の空間へN2ガスが流れる。そして、これらのN2パージガスは、カバー部材71のフランジ部71aとサセプタ2の裏面との間の隙間を通して排気口61へ流れ込む。N2パージガスのこのような流れは、図13に矢印で示してある。N2パージガスは、第1(第2)の反応ガスがサセプタ2の下方の空間を回流して第2(第1)の反応ガスと混合するのを防止する分離ガスとして働く。
【0091】
図13を参照すると、真空容器1の天板11の中心部には分離ガス供給管51が接続され、これにより、天板11とコア部21との間の空間52に分離ガスであるN2ガスが供給される。この空間52に供給された分離ガスは、突出部5とサセプタ2との狭い隙間50を通して、サセプタ2の表面に沿って流れ、排気領域6に到達する。この空間53と隙間50は分離ガスが満たされているので、サセプタ2の中心部を介して反応ガス(BTBAS、O3)が混合することがない。即ち、本実施形態の成膜装置200は、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを分離するためにサセプタ2の回転中心部と真空容器1とにより画成され、分離ガスをサセプタ2の上面に向けて吐出する吐出口を有するように構成される中心領域Cが設けられている。なお、図示の例では、吐出口は突出部5とサセプタ2との狭い隙間50に相当する。
【0092】
また、この実施形態による成膜装置200には、装置全体の動作のコントロールを行うための制御部100が設けられている。この制御部100は、例えばコンピュータで構成されるプロセスコントローラ100aと、ユーザインタフェース部100bと、メモリ装置100cとを有する。ユーザインタフェース部100bは、成膜装置200の動作状況を表示するディスプレイや、成膜装置200の操作者がプロセスレシピを選択したり、プロセス管理者がプロセスレシピのパラメータを変更したりするためのキーボードやタッチパネル(図示せず)などを有する。
【0093】
メモリ装置100cは、プロセスコントローラ100aに種々のプロセスを実施させる制御プログラム、プロセスレシピ、及び各種プロセスにおけるパラメータなどを記憶している。また、これらのプログラムは、例えば後述する動作を行わせるためのステップ群を有している。これらの制御プログラムやプロセスレシピは、ユーザインタフェース部100bからの指示に従って、プロセスコントローラ100aにより読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体100dに格納され、これらに対応した入出力装置(図示せず)を通してメモリ装置100cにインストールしてよい。コンピュータ可読記憶媒体100dは、ハードディスク、CD、CD−R/RW、DVD−R/RW、フレキシブルディスク、半導体メモリなどであってよい。また、プログラムは通信回線を通してメモリ装置100cへダウンロードしてもよい。
【0094】
また、成膜装置200の制御部100は、基板位置検出装置101の制御部104aと信号を送受信する。例えば、成膜装置200の制御部100は、基板位置検出装置101の制御部104aから基板位置検出が行われていないウエハWについての問い合わせを示す信号を受信した場合、例えば残りのウエハWの有無を示す信号を基板位置検出装置101の制御部104aに対して送信する。また、基板位置検出装置101の制御部104aから、ウエハWが所定の位置に無いことを示す信号を受信した場合、成膜装置200の制御部100は、成膜装置200の動作を停止し、成膜装置200を待機状態へ移行させる。さらに、成膜装置200の制御部100は、基板位置検出装置101に上述の基板位置検出方法を実施させるプログラムであって所定のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラムを所定の入出力装置から読み込んで、このプログラムに従って、基板位置検出装置101の制御部104aを通して基板位置検出装置101に基板位置検出方法を実施させても良い。また、成膜装置200の制御部100は、基板位置検出装置101に上述の基板位置検出方法を実施させるプログラムを所定のコンピュータ可読記憶媒体から読み込んで、基板位置検出装置101の制御部104aへ転送することも可能である。この場合、基板位置検出装置101の制御部104aが、そのプログラムに従って基板位置検出装置101の種々の構成を制御し、上述の基板位置検出方法が実施される。
【0095】
次に、本実施形態の成膜装置200の動作(成膜方法)について説明する。第一に、載置部24が搬送口15に整列するようにサセプタ2を回転して、ゲートバルブ(図示せず)を開く。第二に、搬送アーム10により搬送口15を介してウエハWを真空容器1へ運ぶ。ウエハWは、昇降ピン16により受け取られ、搬送アーム10が真空容器1から引き抜かれた後に、昇降機構(図示せず)により駆動される昇降ピン16によって載置部24へと下げられる。これにより、ウエハWが当該載置部24へ載置される。
【0096】
次いで、サセプタ2が約72°回転し、ウエハWと、ウエハWが載置された載置部24とが基板位置検出装置101の下方へ位置される。そして、このウエハWに対して、上述の基板位置検出方法が行われる。また、この間に、搬送アーム10及び昇降ピン16が作動して、この載置部24に隣接し搬送口15に面する載置部24へウエハWが載置される。
【0097】
上記一連の動作が5回繰り返され、5枚のウエハWがサセプタ2上の所定の位置に載置されたことが確認された後、または、所定の位置にないと判定されたウエハWが所定の位置に載置された後、真空ポンプ64により真空容器1内が予め設定した圧力に真空引きされる。サセプタ2が上から見て時計回りに回転を開始する。サセプタ2は、ヒータユニット7により前もって所定の温度(例えば300℃)に加熱されており、ウエハWがこのサセプタ2に載置されることで加熱される。ウエハWが加熱され、所定の温度に維持されたことが温度センサ(図示せず)により確認された後、第1の反応ガス(BTBAS)が第1の反応ガス供給ノズル31を通して第1の処理領域へ供給され、第2の反応ガス(O3)が第2の反応ガス供給ノズル32を通して第2の処理領域P2へ供給される。加えて、分離ガス(N2)が供給される。
【0098】
ウエハWが第1の反応ガス供給ノズル31の下方の第1の処理領域P1を通過するときに、ウエハWの表面にBTBAS分子が吸着し、第2の反応ガス供給ノズル32の下方の第2の処理領域P2と通過するときに、ウエハWの表面にO3分子が吸着され、O3によりBTBAS分子が酸化される。したがって、ウエハWがサセプタ2の回転により、領域P1、P2の両方を一回通過すると、ウエハWの表面に酸化シリコンの一分子層が形成される。次いで、ウエハWが領域P1、P2を交互に複数回通過し、所定の膜厚を有する酸化シリコン膜がウエハWの表面に堆積される。所定の膜厚を有する酸化シリコン膜が堆積された後、BTBASガスとオゾンガスを停止し、サセプタ2の回転を停止する。そして、ウエハWは搬入動作と逆の動作により順次搬送アーム10により真空容器1から搬出される。また、必要に応じて、搬出の前に上述の基板位置検出方法を行っても良い。
【0099】
また、上記の成膜動作中、離ガス供給管51からも分離ガスであるN2ガスが供給され、これにより中心領域Cから、即ち、突出部5とサセプタ2との間の隙間50からサセプタ2の表面に沿ってN2ガスが吐出される。この実施形態では、第2の天井面45の下の空間であって反応ガス供給ノズル31(32)が配置されている空間は、中心領域C、及び第1の天井面44とサセプタ2との間の狭隘な空間よりも低い圧力を有している。これは、天井面45の下の空間に隣接して排気領域6が設けられ、その空間は排気領域6を通して直接に排気されるからである。また、狭隘な空間が、反応ガス供給ノズル31(32)が配置されている空間、または第1(第2)の処理領域P1(P2)と狭隘な空間との間の圧力差が高さhによって維持され得るように形成されているためでもある。
【0100】
次に、ガスノズル31,32,41,42から真空容器1内へ供給されたガスのフローパターンを図15を参照しながら説明する。図15は、フローパターンを模式的に示す図である。図示のとおり、第2の反応ガス供給ノズル32から吐出されたO3ガスの一部は、サセプタ2の表面(及びウエハWの表面)に当たって、その表面に沿ってサセプタ2の回転方向と逆の方向に流れる。次いで、このO3ガスは、サセプタ2の回転方向の上流側から流れてきたN2ガスに押し戻され、サセプタ2の周縁と真空容器1の内周壁の方へ向きを変える。最後に、O3ガスは、排気領域6に流れ込み、排気口62を通して真空容器1から排気される。
【0101】
第2の反応ガス供給ノズル32から吐出されたO3ガスの他の部分は、サセプタ2の表面(及びウエハWの表面)に当たって、その表面に沿ってサセプタ2の回転方向と同じ方向に流れる。この部分のO3ガスは、主に、中心領域Cから流れるN2ガスと排気口62を通した吸引力によって、排気領域6に向かって流れる。一方、この部分のO3ガスの少量部分が、第2の反応ガス供給ノズル32に対してサセプタ2の回転方向の下流側に位置する分離領域Dに向かって流れ、天井面44とサセプタ2との間の隙間に入る可能性がある。しかし、その隙間の高さhが意図した成膜条件下で当該隙間への流入を阻止する程度の高さに設定されているため、O3ガスはその隙間に入るのが阻止される。喩え、少量のO3ガスがその隙間に流れ込んだとしても、そのO3ガスは、分離領域Dの奥まで流れることができない。隙間に流れ込んだ少量のO3ガスは、分離ガス供給ノズル41から吐出された分離ガスによって押し戻される。したがって、図15に示すように、サセプタ2の上面を回転方向に沿って流れる実質的にすべてのO3ガスが、排気領域6へ流れ排気口62によって排気される。
【0102】
同様に、第1の反応ガス供給ノズル31から吐出され、サセプタ2の回転方向と反対の方向にサセプタ2の表面に沿って流れる一部のBTBASガスは、第1の反応ガス供給ノズル31に対して回転方向上流側に位置する凸状部4の天井面44とサセプタ2との間の隙間に流れ込むことが防止される。喩え少量のBTBASガスが流れ込んだとしても、分離ガス供給ノズル41から吐出されるN2ガスによって押し戻される。押し戻されたBTBASガスは、分離ガス供給ノズル41からのN2ガスと中心領域Cから吐出されているN2ガスと共に、サセプタ2の外周縁と真空容器1の内周壁とに向かって流れ、排気領域6を介して排気口61を通して排気される。
【0103】
第1の反応ガス供給ノズル31から下方側に吐出され、サセプタ2の回転方向と同じ方向にサセプタ2の表面(及びウエハWの表面)に沿って流れる他の部分のBTBASガスは、第1の反応ガス供給ノズル31に対して回転方向下流側に位置する凸状部4の天井面44とサセプタ2との間に流れ込むことができない。喩え少量のBTBASガスが流れ込んだとしても、分離ガス供給ノズル42から吐出されるN2ガスによって押し戻される。押し戻されたBTBASガスは、分離領域Dの分離ガス供給ノズル42からのN2ガスと中心領域Cから吐出されているN2ガスと共に、排気領域6に向かって流れ、排気口61により排気される。
【0104】
上述のように、分離領域Dは、BTBASガスやO3ガスが分離領域Dへ流れ込むのを防止するか、分離領域Dへ流れ込むBTBASガスやO3ガスの量を十分に低減するか、または、BTBASガスやO3ガスを押し戻すことができる。ウエハWに吸着したBTBAS分子とO3分子は、分離領域Dを通り抜けるのを許され、膜の堆積に寄与する。
【0105】
また、図13及び図15に示すように、中心領域Cからは分離ガスがサセプタ2の外周縁に向けて吐出されているので、第1の処理領域P1のBTBASガス(第2の処理領域P2のO3ガス)は、中心領域Cへ流入することができない。喩え、第1の処理領域P1の少量のBTBAS(第2処理領域P2のO3ガス)が中心領域Cへ流入したとしても、そのBTBASガス(O3ガス)はN2ガスにより押し戻され、第1の処理領域P1のBTBASガス(第2の処理領域P2のO3ガス)が、中心領域Cを通って第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)に流入することが阻止される。
【0106】
また、第1の処理領域P1のBTBASガス(第2の処理領域P2のO3ガス)は、サセプタ2と容器本体12の内周壁との間の空間を通して第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)に流入することも阻止される。これは、屈曲部46が凸状部4から下向きに形成され、屈曲部46とサセプタ2との隙間、及び屈曲部46と容器本体12の内周壁との間の隙間が、凸状部4の天井面44のサセプタ2からの高さhと同じくらい小さいため、2つの処理領域の間の連通を実質的に回避しているからである。したがって、BTBASガスは、排気口61から排気され、O3ガスは排気口62から排気されて、これら2つの反応ガスが混合することはない。また、サセプタ2の下方の空間は、パージガス供給管72,73から供給されるN2ガスによりパージされている。したがって、BTBASガスは、サセプタ2の下方を通してプロセス領域P2へと流れ込むことはできない。
【0107】
この実施形態による成膜装置200における好適なプロセスパラメータを以下に掲げる。
・サセプタ2の回転速度: 1−500rpm(ウエハWの直径が300mmの場合)
・真空容器1の圧力: 1067 Pa(8 Torr)
・ウエハ温度: 350℃
・BTBASガスの流量: 100 sccm
・O3ガスの流量: 10000 sccm
・分離ガス供給ノズル41,42からのN2ガスの流量: 20000 sccm
・分離ガス供給管51からのN2ガスの流量: 5000 sccm
・サセプタ2の回転数: 600回転(必要な膜厚による)
この実施形態による成膜装置200によれば、成膜装置200が、BTBASガスが供給される第1の処理領域と、O3ガスが供給される第2の処理領域との間に、低い天井面44を含む分離領域Dを有しているため、BTBASガス(O3ガス)が第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)へ流れ込むのが防止され、O3ガス(BTBASガス)と混合されるのが防止される。したがって、ウエハWが載置されたサセプタ2を回転させて、ウエハWを第1の処理領域P1、分離領域D、第2の処理領域P2、及び分離領域Dを通過させることにより、酸化シリコン膜の分子層成膜が確実に実施される。また、BTBASガス(O3ガス)が第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)へ流れ込みO3ガス(BTBASガス)と混合するのを更に確実に防止するため、分離領域Dは、N2ガスを吐出する分離ガス供給ノズル41,42を更に含む。さらに、この実施形態による成膜装置200の真空容器1は、N2ガスが吐出される吐出孔を有する中心領域Cを有しているため、中心領域Cを通ってBTBASガス(O3ガス)が第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)へ流れ込みO3ガス(BTBASガス)と混合されるのを防止することができる。さらにまた、BTBASガスとO3ガスが混合されないため、サセプタ2への酸化シリコンの堆積が殆ど生じず、よって、パーティクルの問題を低減することができる。
【0108】
なお、本実施形態による成膜装置200においては、サセプタ2は5つの載置部24を有し、対応する5つの載置部24に載置された5枚のウエハWを一回のランで処理することができるが、5つの載置部24のうちの一つに1枚のウエハWを載置しても良いし、サセプタ2に載置部24を一つのみ形成しても良い。
【0109】
さらに、酸化シリコン膜の分子層成膜に限定されず、成膜装置200によって窒化シリコン膜の分子層成膜を行うこともできる。窒化シリコン膜の分子層成膜のための窒化ガスとしては、アンモニア(NH3)やヒドラジン(N2H2)などを利用することができる。
【0110】
また、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜の分子層成膜のための原料ガスとしては、BTBASに限らず、ジクロロシラン(DCS)、ヘキサクロロジシラン(HCD)、トリスジメチルアミノシラン(3DMAS)、テトラエトキシシラン(TEOS)などを利用することができる。
【0111】
さらにまた、本発明の実施形態による成膜装置及び成膜方法においては、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜に限らず、窒化シリコン(NH3)の分子層成膜、トリメチルアルミニウム(TMA)とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化アルミニウム(Al2O3)の分子層成膜、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(TEMAZ)とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化ジルコニウム(ZrO2)の分子層成膜、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAHf)とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化ハフニウム(HfO2)の分子層成膜、ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト(Sr(THD)2)とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化ストロンチウム(SrO)の分子層成膜、チタニウムメチルペンタンジオナトビステトラメチルヘプタンジオナト(Ti(MPD)(THD))とO3又は酸素プラズマとを用いた酸化チタニウム(TiO)の分子層成膜などを行うことができる。
【0112】
サセプタ2の外周縁に近いほど大きい遠心力が働くため、例えば、BTBASガスは、サセプタ2の外周縁に近い部分において、大きい速度で分離領域Dへ向かう。したがって、サセプタ2の外周縁に近い部分では天井面44とサセプタ2との間の隙間にBTBASガスが流入する可能性が高い。そこで、凸状部4の幅(回転方向に沿った長さ)を外周縁に向うほど広くすれば、BTBASガスがその隙間に入りにくくすることができる。この観点からは、本実施形態において上述したように、凸状部4が扇形の上面形状を有すると好ましい。
【0113】
以下に、凸状部4(又は天井面44(図11))のサイズを再び例示する。図16(a)及び図16(b)を参照すると、分離ガス供給ノズル41(42)の両側に狭隘な空間を形成する凸状部4は、ウエハ中心WOが通る経路に対応する円弧の長さLとしてウエハWの直径の約1/10〜約1/1の長さであって良く、約1/6以上であると好ましい。具体的には、ウエハWが300mmの直径を有している場合、この長さLは、約50mm以上が好ましい。この長さLが短い場合、天井面44(図11)とサセプタ2との間の狭隘な空間の高さhは、反応ガスが狭隘な空間へ流れ込むのを効果的に防止するため、低くしなければならない。しかし、長さLが短くなり過ぎて、高さhが極端に低くなると、サセプタ2が天井面44に衝突し、パーティクルが発生してウエハの汚染が生じたり、ウエハが破損したりする可能性がある。したがって、サセプタ2の天井面44に衝突するのを避けるため、サセプタ2の振動を抑える、又はサセプタ2を安定して回転させるための方策が必要となる。一方、長さLを短くしたまま狭隘な空間の高さhを比較的大きく維持する場合には、天井面44とサセプタ2との間の狭隘な空間に反応ガスが流れ込むのを防止するため、サセプタ2の回転速度を低くしなければならず、製造スループットの点でむしろ不利になる。これらの考察から、ウエハ中心WOの経路に対応する円弧に沿った、天井面44の長さLは、約50mm以上が好ましい。しかし、凸状部4又は天井面44のサイズは、上記のサイズに限定されることなく、使用されるプロセスパラメータやウエハサイズに従って調整して良い。また、狭隘な空間が、分離領域Dから処理領域P1(P2)への分離ガスの流れが形成される程度の高さを有している限りにおいて、上述の説明から明らかなように、狭隘な空間の高さhもまた、使用されるプロセスパラメータやウエハサイズに加えて、たとえば天井面44の面積に応じて調整して良い。
【0114】
また、上記の実施形態においては、凸状部4に設けられた溝部43に分離ガス供給ノズル41(42)が配置され、分離ガス供給ノズル41(42)の両側に低い天井面44が配置されている。しかし、他の実施形態においては、分離ガス供給ノズル41の代わりに、図17に示すように凸状部4の内部においてサセプタ2の直径方向に伸びる流路47を形成し、この流路47の長さ方向に沿って複数のガス吐出孔40を形成し、これらのガス吐出孔40から分離ガス(N2ガス)を吐出するようにしてもよい。
【0115】
分離領域Dの天井面44は平坦面に限られるものではなく、図18(a)に示すように凹面状に湾曲してよいし、図18(b)に示すように凸面形状にしてもよく、また図18(c)に示すように波型状に構成してもよい。
【0116】
また、凸状部4は中空であって良く、中空内に分離ガスを導入するように構成しても良い。この場合、複数のガス吐出孔33を、図19(a)から図19(c)に示すように配列してもよい。
【0117】
図19(a)を参照すると、複数のガス吐出孔33は、それぞれ傾斜したスリットの形状を有している。これらの傾斜スリット(複数のガス吐出孔33)は、サセプタ2の半径方向に沿って隣接するスリットと部分的にオーバーラップしている。図19(b)では、複数のガス吐出孔33は、それぞれ円形である。これらの円形の孔(複数のガス吐出孔33)は、全体としてサセプタ2の半径方向に沿って伸びる曲がりくねった線に沿って配置されている。図19(c)では、複数のガス吐出孔33は、それぞれ円弧状のスリットの形状を有している。これらの円弧状スリット(複数のガス吐出孔33)は、サセプタ2の半径方向に所定の間隔で配置されている。
【0118】
また、本実施形態では凸状部4はほぼ扇形の上面形状を有するが、他の実施形態では、図20(a)に示す長方形、又は正方形の上面形状を有して良い。また、凸状部4は、図20(b)に示すように、上面は全体として扇形であり、凹状に湾曲した側面4Scを有していても良い。加えて、凸状部4は、図20(c)に示すように、上面は全体として扇形であり、凸状に湾曲した側面4Svを有していても良い。さらにまた、図20(d)に示すとおり、凸状部4のサセプタ2(図7)の回転方向dの上流側の部分が凹状の側面4Scを有し、凸状部4のサセプタ2(図7)の回転方向dの下流側の部分が平面状の側面4Sfを有していても構わない。なお、図20(a)から図20(d)において、点線は凸状部4に形成された溝部43(図10(a)、図10(b))を示している。これらの場合、溝部43に収容される分離ガス供給ノズル41(42)(図8)は真空容器1の中央部、例えば突出部5(図7)から伸びる。
【0119】
ウエハを加熱するためのヒータユニット7は、抵抗発熱体の代わりに、加熱ランプを有して構成されてもよい。また、ヒータユニット7は、サセプタ2の下方側に設ける代わりにサセプタ2の上方側に設けてもよいし、上下両方に設けてもよい。
【0120】
処理領域P1,P2及び分離領域Dは、他の実施形態においては図21に示すように配置されても良い。図21を参照すると、第2の反応ガス(例えば、O3ガス)を供給する第2の反応ガス供給ノズル32が、搬送口15よりもサセプタ2の回転方向上流側であって、搬送口15と分離ガス供給ノズル42との間に設置されている。このような配置であっても、各ノズル及び中心領域Cから吐出されるガスは、概ね、同図において矢印で示すように流れて、両反応ガスの混合が防止される。したがって、このような配置であっても、適切な分子層成膜を実現することができる。
【0121】
また、既に述べたように、2枚の扇形プレートが分離ガス供給ノズル41(42)の両側に位置されるように、天板11の下面にネジで取り付けることにより、分離領域Dを構成してよい。図22は、このような構成示す平面図である。この場合、凸状部4と分離ガス供給ノズル41(42)との間の距離や、凸状部4のサイズは、分離領域Dの分離作用を効率よく発揮するため、分離ガスや反応ガスの吐出レートを考慮して決定して良い。
【0122】
上述の実施の形態では、第1の処理領域P1及び第2の処理領域P2は、分離領域Dの天井面44よりも高い天井面45を有する領域に相当している。しかし、第1の処理領域P1及び第2の処理領域P2の少なくとも一方は、反応ガス供給ノズル31(32)の両側でサセプタ2に対向し、天井面45よりも低い他の天井面を有してもよい。当該天井面とサセプタ2との間の隙間にガスが流れ込むのを防止するためである。この天井面は、天井面45よりも低く、分離領域Dの天井面44と同じくらい低くてもよい。図23は、そのような構成の一例を示している。図示のとおり、扇状の凸状部30は、O3ガスが供給される第2の処理領域P2に配置され、反応ガス供給ノズル32が凸状部30に形成された溝部(図示せず)に配置されている。言い換えると、この第2の処理領域P2は、ガスノズルが反応ガスを供給するために使用されるが、分離領域Dと同様に構成されている。なお、凸状部30は、図19(a)から図19(c)に一例を示す中空の凸状部と同様に構成されても良い。
【0123】
また、分離ガス供給ノズル41(42)の両側に狭隘な空間を形成するために低い天井面(第1の天井面)44が設けられる限りにおいて、他の実施形態では、上述の天井面、つまり、天井面45より低く、分離領域Dの天井面44と同じくらい低い天井面が、反応ガス供給ノズル31,32の両方に設けられ、天井面44に到達するまで延びていても良い。換言すると、凸状部4の代わりに、他の凸状部400が天板11の下面に取り付けられていて良い。図24を参照すると、凸状部400は、ほぼ円盤状の形状を有し、サセプタ2の上面のほぼ全体と対向し、ガスノズル31,32,41,42がそれぞれ収容され半径方向に延びる4つのスロット400aを有し、かつ、凸状部400の下に、サセプタ2にする狭隘な空間を残している。その狭隘な空間の高さは、上述の高さhと同程度であって良い。凸状部400を使用すると、反応ガス供給ノズル31(32)から吐出された反応ガスは、凸状部400の下で(又は狭隘な空間において)反応ガス供給ノズル31(32)の両側に拡散し、分離ガス供給ノズル41(42)から吐出された分離ガスは、凸状部400の下で(又は狭隘な空間において)分離ガス供給ノズル41(42)の両側に拡散する。この反応ガスと分離ガスは狭隘な空間において合流し、排気口61(62)を通して排気される。この場合であっても、反応ガス供給ノズル31から吐出された反応ガスは、反応ガス供給ノズル32から吐出された反応ガスと混合することはなく、適切な分子層成膜を実現できる。
【0124】
なお、凸状部400を、図19(a)から図19(c)のいずれかに示す中空の凸状部4を組み合わせることにより構成し、ガスノズル31,32,33,34及びスリット400aを用いずに、反応ガス及び分離ガスを、対応する中空凸状部4の吐出孔33からそれぞれガスを吐出するようにしても良い。
【0125】
また、凸状部400を例えば石英から作製すると好ましい。このようにすれば、凸状部400を通して、基板位置検出装置101により、ウエハWの位置を検出することが可能となる。
【0126】
上記の実施形態では、サセプタ2を回転する回転シャフト22は、真空容器1の中央部に位置している。また、コア部21と天板11との間の空間52は、反応ガスが中央部を通して混合するのを防止するため、分離ガスでパージされている。しかし、真空容器1は、他の実施形態において図25のように構成されても良い。図25を参照すると、容器本体12の底部14は、中央開口を有し、ここには収容ケース80が気密に取り付けられている。また、天板11は、中央凹部80aを有している。支柱81が収容ケース80の底面に載置され、支柱81の状端部は中央凹部80aの底面にまで到達している。支柱81は、第1の反応ガス供給ノズル31から吐出される第1の反応ガス(BTBAS)と第2の反応ガス供給ノズル32から吐出される第2の反応ガス(O3)とが真空容器1の中央部を通して互いに混合するのを防止する。
【0127】
また、天板11には、例えば石英ガラスを用いて作製されるビューポート201が、Oリング等の図示しない封止部材により真空容器1に対して気密に設けられている。天板11の上面には、ビューポート201に対して窓102aが向かい合うように、基板位置検出装置101が着脱可能に取り付けられている。基板位置検出装置101の構成は上述のとおりである。基板位置検出装置101を用いて、本発明の実施形態による上述の基板位置検出方法を実施することにより、成膜装置200内のサセプタ2(後述)に載置されるウエハW(図7)の位置を検出することができる。
【0128】
また、回転スリーブ82が、支柱81を同軸状に囲むように設けられている。回転スリーブ82は、支柱81の外面に取り付けられた軸受け86,88と、収容ケース80の内側面に取り付けられた軸受け87とにより支持されている。さらに、回転スリーブ82は、その外面にギヤ部85が取り付けられている。また、環状のサセプタ2の内周面が回転スリーブ82の外面に取り付けられている。駆動部83が収容ケース80に収容されており、駆動部83から延びるシャフトにギヤ84が取り付けられている。ギヤ84はギヤ部85と噛み合う。このような構成により、回転スリーブ82ひいてはサセプタ2が駆動部83により回転される。
【0129】
パージガス供給管74が収容ケース80の底に接続され、収容ケース80へパージガスが供給される。これにより、反応ガスが収容ケース80内へ流れ込むのを防止するために、収容ケース80の内部空間を真空容器1の内部空間よりも高い圧力に維持することができる。したがって、収容ケース80内での成膜が起こらず、メンテナンスの頻度を低減できる。また、パージガス供給管75が、真空容器1の上外面から凹部80aの内壁まで至る導管75aにそれぞれ接続され、回転スリーブ82の上端部に向けてパージガスが供給される。このパージガスのため、BTBASガスとO3ガスは、凹部80aの内壁と回転スリーブ82の外面との間の空間を通して混合することができない。図25には、2つのパージガス供給管75と導管75aが図示されているが、供給管75と導管75aの数は、BTBASガスとO3ガスとの混合が凹部80aの内壁と回転スリーブ82の外面との間の空間近傍において確実に防止されるように決定されて良い。
【0130】
図25の実施の形態では、凹部80aの側面と回転スリーブ82の上端部との間の空間は、分離ガスを吐出する吐出孔に相当し、そしてこの分離ガス吐出孔、回転スリーブ82及び支柱81により、真空容器1の中心部に位置する中心領域が構成される。
【0131】
本発明の実施形態による成膜装置200においては、2種類の反応ガスを用いることに限られず、3種類以上の反応ガスを順番に基板上に供給しても良い。その場合には、例えば第1の反応ガス供給ノズル、分離ガス供給ノズル、第2の反応ガス供給ノズル、分離ガス供給ノズル、第3の反応ガス供給ノズル及び分離ガス供給ノズルの順番で真空容器1の周方向に各ガスノズルを配置し、各分離ガス供給ノズルを含む分離領域を既述の実施の形態のように構成すればよい。
【0132】
以上説明した、本発明の実施形態による成膜装置200によれば、上述の本発明の実施形態による基板位置検出装置を備えているため、検出誤差が低減されることなく、ウエハWの位置を検出することができる。
【0133】
本発明の実施形態による成膜装置は、基板処理装置に組み込むことができ、その一例が図26に模式的に示されている。基板処理装置は、搬送アーム103が設けられた大気搬送室102と、雰囲気を真空と大気圧との間で切り替え可能なロードロック室(準備室)105と、2つの搬送アーム107a、107bが設けられた搬送室106と、本発明の実施形態にかかる成膜装置108,109とを含む。また、この処理装置は、たとえばFOUPなどのウエハカセット101が載置されるカセットステージ(図示せず)を含んでいる。ウエハカセット101は、カセットステージの一つに運ばれ、カセットステージと大気搬送室102との間の搬入出ポートに接続される。次いで、開閉機構(図示せず)によりウエハカセット(FOUP)101の蓋が開けられて、搬送アーム103からウエハカセット101からウエハが取り出される。次に、ウエハはロードロック室104(105)へ搬送される。ロードロック室104(105)が排気された後、ロードロック室104(105)内のウエハは、搬送アーム107a(107b)により、真空搬送室106を通して成膜装置108,109へ搬送される。成膜装置108,109では、上述の方法でウエハ上に膜が堆積される。基板処理装置は、同時に5枚のウエハを主要可能な2つの成膜装置108,109を有しているため、高いスループットで分子層成膜を行うことができる。
【0134】
以上、幾つかの実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されさるものではなく、添付の特許請求の範囲に照らし種々の変形や変更が可能である。
【0135】
例えば、本発明の実施形態による基板位置検出装置およびこれを用いた基板位置検出方法は、各種半導体製造装置においてウエハが載置されるサセプタの原点位置(初期位置)の調整に利用するために変形しても良い。以下、図27から図29を参照しながら、原点位置の調整について説明する。
【0136】
図27は、図1に示す成膜装置200のサセプタ回転機構を拡大して示す概略図である。図示のとおり、本発明の基板位置検出装置101(図1)が配置される成膜装置200は、サセプタ2の裏面中央部に接続される回転軸22と、回転軸22に接続され、回転軸22を介してサセプタ2を回転する駆動部23と、回転軸22および駆動部23をチャンバ12に対して密封するケース体20とを有している。また、回転軸22とチャンバ12との間には磁性流体を利用したシール部材22aが配置され、これにより、ケース体20内の雰囲気がチャンバ12内の雰囲気から分離されている。ケース体20の内壁面には、固定子としてのフォトセンサPが取り付けられている。フォトセンサPは、上片部P1と、下片部P2と、上片部P1および下片部P2を結合する中間部P3とを有するコの字型の形状を有しており、上片部P1の下面には、下向きに光を発する発光素子PLが設けられ、下片部P2の上面には、発光素子からの光を受光する受光素子PDが設けられている。一方、回転軸22の外周面には回転子としての遮光ピン(キッカー)LBが取り付けられている。遮光ピンLBの取り付け高さは、遮光ピンLBが回転軸22の回転に従って回転したときに、フォトセンサPの上片部P1と下片部P2との間を通過するように決定されている。これにより、遮光ピンLBは、上片部P1と下片部P2との間を通過する際に、発光素子PLから受光素子PDへ向かう光を遮ることとなる。光が遮られると、フォトセンサPからの出力信号が変化するため、この変化から、遮光ピンLBがフォトセンサPを通過したことが把握される。すなわち、遮光ピンLBの取り付け位置と、サセプタ2の所定の位置とを関連付けておくことにより、フォトセンサPからの出力信号の変化により、サセプタ2の所定の位置を把握することが可能となる。具体的には、遮光ピンLBの取り付け位置(回転軸22の外周面の周方向に沿った位置)を例えばサセプタ2の位置検出用マーク2aのいずれかに一致させておくと好ましい。これによれば、遮光ピンLBがフォトセンサPの上片部P1と下片部P2との間に位置したときの位置検出用マーク2aの位置を把握することができる。また、サセプタ2の位置検出用マーク2aのそれぞれに対応する5つの遮光ピンLBを回転軸22に取り付けても良い。
【0137】
このような構成と上述の基板位置検出装置101(図1)とにより、図28に示すように、サセプタ2の原点位置を調整することができる。まず、ステップS21において、サセプタ2の載置部24の一つにウエハWが載置され、ステップS22においてカウンタmがゼロに設定される。次に、このウエハWのエッジ領域が基板位置検出装置101の観察視野に入るようにサセプタ2が回転される。この後、ウエハWのエッジを含んだ領域が撮像されて、制御部104a(図1)において位置検出用マーク2aが許容範囲内にあるか否かが判定される(ステップS221)。具体的には、位置検出用マーク2aが、図2のステップS21における「載置部24の中心位置の推定」を適正に行うことができる適正位置からは外れているものの、調整により適正位置へ移動可能な範囲(許容範囲)にあるか否かが判定される。この許容範囲は、例えば、基板位置検出装置101の観察視野の全域(ただし、適正位置を除く)と設定しても良いし、適正位置から所定距離の範囲に設定しても良い。
【0138】
位置検出用マーク2aが許容範囲に無い場合(ステップS221の「NO」)、基板位置検出装置101の制御部104aから成膜装置の制御部へ指令信号が出力され、これにより、サセプタ2が回転を開始し、フォトセンサPと遮光ピンLBとにより、位置検出用マーク2aが許容範囲内に入るように停止する(ステップS222)。すなわち、フォトセンサPと遮光ピンLBとを利用した粗い位置決めが行われる。次に、カウンタmが1だけ増加し(ステップS223)、カウンタmが3以上か否かが判断されて(ステップS224)、カウンタmが2以下の場合には、この手順はステップ220に戻る(ステップS223の「NO」)。
【0139】
次いで、ステップS220において、ウエハWのエッジを含んだ領域が撮像されて、位置検出用マーク2aが許容範囲内にあるか否かが再び判定される(ステップS221)。位置検出用マーク2aが許容範囲内にあると判定された場合は(ステップS221の「YES」)、ステップS225に進み、位置検出用マーク2aが許容範囲内から適正位置に至るように位置調整が行われる。この位置調整は、例えば、図29に示すように行うことができる。図29は、ステップS225において基板位置検出装置101で撮像された画像を模式的に示す図であり、ステップS221において許容範囲内にあると判定された位置検出用マーク2aが符号2a2で示されている。この位置検出用マーク2a2を適正位置(原点)2a1へ移動させるため、まず、位置検出用マーク2a2の許容範囲内における位置(例えば座標)が検出される。当該検出結果に基づいて、サセプタ2の中心Cと、予め記憶されている適正位置2a1とを結ぶ線と位置検出用マーク2a2との距離X〔dots〕が計算される。位置検出用マーク2a2の位置と、サセプタ2の中心Cと、適正位置2a1とにより決まる角度をθとすると、
(R×A)×sinθ=X ・・・式(6)
ここで、
R:サセプタ2の中心Cと位置検出用マーク2aとの間の既知の距離〔mm〕
A:単位長さ当たりのドット数〔dots/mm〕
という関係が成り立つ。これより、角度θは、
θ=arcsin(X/(R×A)) ・・・式(7)
で与えられる。このようにして求めた角度θだけサセプタ2を回転することによって、位置検出用マーク2a2を適正位置2a1に配置することが可能となる。例えば、サセプタ2を回転する駆動部2がパルスモータで構成され、9万パルスでサセプタ2が一回転するとすれば、θ×250〔パルス〕のパルス数をパルスモータに供給することにより、位置検出用マーク2a2は適正位置2a1に配置に配置される。
この後、図2に示すフローチャートのステップS23へ進み、以下、図2のフローチャートに従ってウエハWの位置の検出が行われる。
【0140】
一方、ステップS221において、位置検出用マーク2aが許容範囲内に無いと判定された場合は(ステップS221の「NO」)、ステップS222からS224が繰り返されて、再びステップS220に戻る。そして、ウエハWのエッジを含んだ領域が撮像されて、位置検出用マーク2aが許容範囲内にあるか否かが判定される。位置検出用マーク2aが許容範囲内にあると判定されると(ステップS221の「YES」)、ステップ225において上述の位置調整が行われ、位置検出用マーク2aが許容範囲内に無いと判定されると(ステップS221の「NO」)、ステップS222からS224が繰り返される。
【0141】
ここで、ステップS223においてカウンタmが4となった場合は、ステップS224において「YES」と判定され、ステップS27において、アラームが発せられて、制御部104aから成膜装置200に対して動作の中止を求める信号が送信され、これにより成膜装置200が待機状態となる。すなわち、フォトセンサPと遮光ピンLBとを利用した粗い位置決めが3回行われて、それでも尚、位置検出用マーク2aが許容範囲内に入らない場合、成膜装置200が待機状態になる。この場合、成膜装置200の操作者により、所定の手順に従った復旧作業が行われる。
【0142】
この変形例の基板位置検出装置101および基板位置検出方法によれば、基板位置が検出されるべき成膜装置200等の半導体製造装置に簡単なフォトセンサPと遮光ピン(キッカー)LBを設けるだけで、基板位置検出装置101および基板位置検出方法により、ウエハが載置されるサセプタ2の原点位置を簡便に調整することが可能となる。異なる方法として、基板位置検出装置の制御部または半導体製造装置の制御部にサセプタ原点位置情報を格納しておき、この情報に基づいて原点位置を検出し調整するといった方法も考えられるが、位置検出および位置調整のためのアルゴリズムが複雑になる可能性がある。これに対し、変形例の基板位置検出装置101および基板位置検出方法では、基板位置検出のための基板位置検出装置101と基板位置検出方法の軽微な変更により、サセプタ2の原点位置検出を行うことができるという利点がある。
【0143】
また、一般的には、フォトセンサPおよび遮光ピンLBのみによっても、サセプタ2の原点位置を調整することができるが、本発明の実施形態による成膜装置200に設けられたサセプタ2は、5枚の12インチウエハを載置できる程の直径を有しているため、直径が小さい回転軸22に取り付けられた遮光ピンLBとこれに対応して配置されたフォトセンサPとにより位置調整しても、サセプタ2の外周部における誤差を無視することができない。これを解決するためには、遮光ピンLBをサセプタ2の外周部に取り付ければ良いとも思えるが、サセプタ2が高温となるため、遮光ピンLBによって光路が遮られるようにフォトセンサPをサセプタ2内に設置することはできない。しかし、上述のフォトセンサP、遮光ピンLB、および基板位置検出装置101によれば、フォトセンサPを適切な環境のもとに配置しつつ、サセプタ2の位置を正確に検出することが可能となる。
【0144】
また、図28に示す変形例の基板位置検出方法は、ウエハをチャンバ12内へ搬入し、サセプタ2の載置部24に載置するとき、すなわち、載置部24が搬送口15に整列するようにサセプタ2を位置決めするときに利用するために更に変形することができる。言い換えると、図28のフローチャートのステップS210からS224(S27)をステップS21の前に行うこととし、ステップS220においてはサセプタ2の載置部24のエッジおよび位置検出用マーク2aを撮像すれば良い(この時点ではウエハWは載置されていない)。
【0145】
なお、フォトセンサPの代わりに機械的なスイッチを用い、回転軸22に取り付けられたピンが回転する際に、当該スイッチをONにするようにしても構わない。
【0146】
また、本発明の実施形態による基板位置検出装置101の他の変形例としては、以下のものがある。上述の基板位置検出装置101において、光源108は、パネル106と窓102aの間に配置されていたが、図6に示すように、パネル106の上方において筐体102の内側壁に光源109を取り付け、光源109からパネル106の上面(カメラ104に望む面)に光を照射しても良い。光源109は、光源108と同様に白色LEDを含んでいる。この場合であっても、パネル106は光散乱性を有しているため、照射光は、パネル106内を透過する際に種々の角度に散乱され、パネルの両面の間での多重反射も生じることもあって、パネル106の全面がほぼ同一の光強度で発光することとなる。したがって、本発明の実施形態による基板位置検出装置の効果が発揮される。なお、図6に示すように、光源109だけでなく、パネル106と窓102aとの間の光源108も設けておいて良い。後述のとおり、サセプタ2の位置検出の際に、この光源108によりウエハWに光を直接に照射しても良い。
【0147】
パネル106は、上記に実施形態においては、白色顔料が塗布された乳白色のアクリル板で作製されたが、これに限らず、パネル106によりウエハWが一様に光って見える限り種々の材料から作製して良い。例えば、パネル106は、シリカ粒子やシリコーンポリマー粒子などの光散乱粒子を含む樹脂により作製して良く、表面が粗面化された樹脂板又はガラス板で作製しても良い。勿論、透明な樹脂板やガラス板からパネル106を作製し、一面又は両面を粗面化しても良い。粗面化は、例えばサンドブラスト、砥石等を用いる機械的研削、又はエッチングにより行うことができる。また、表面にマイクロレンズアレイが形成された樹脂板やガラス板からパネル106を形成しても良い。なお、パネル106は、上記の実施形態においては、白色顔料が塗布された乳白色のアクリル板から作製されたが、パネル106によりウエハWに間接的に光照射される限りにおいて、アクリル板に塗布される顔料の色は白色に限定されない。
【0148】
また、パネル106は平板である必要はなく、カメラ104にウエハWおよびその周辺を撮像させる開口部106aを有する限り、ドーム状、円錐台状、又は角錐台状(上下の向きを問わず)であっても良い。
【0149】
また、パネル106に光を照射する光源は、パネル106の側面から光を照射するようにしても良い。この場合、パネル106のいずれかの表面にマイクロレンズアレイが形成されていると、パネル106がほぼ一様に発光する観点から、好ましい。
【0150】
さらに、光源がパネル106と一体に設けられても良い。例えば、光散乱性を有し中央に開口部106aを有する一の部材と他の部材との間に、発光面が当該一の部材に面するように複数個の白色LED(チップ)を配置し、各LED(チップ)に電力を供給できるように配線し、両部材を貼り合わせることにより、パネル106を作製しても良い。この構成によっても、各白色LED(チップ)に電力を供給することによって、光散乱性を有する一の部材をほぼ一様に発光させることができる。この場合、光散乱性を有する一の部材が上記のパネル106に該当する。また、この例において、他の部材は、光散乱性を有していても良く、有していなくても良い。さらに、他の部材の一の部材に面する面が光反射性を有していても良い。
【0151】
上述の基板位置検出方法のステップS22において、光源108によりパネル106の下面を照射してウエハWのエッジとその周辺領域を撮像し、サセプタ2の位置検出用マーク2aを検出したが、位置検出用マーク2aを検出する場合には、光源108をウエハWの方に向け、ウエハWのエッジとその周辺領域に直接に光を照射しても良い。このようにすると、位置検出用マーク2aをより精度良く検出することが可能となる。なお、パネル106の上面又は側面に光を照射する場合、又は、光源がパネル106と一体化されている場合、位置検出用マーク2aの検出の際に、パネル106と窓102aの間に設けた光源108から(図6参照)ウエハWのエッジおよびその周辺に光を直接に照射すると好ましい。
【0152】
本発明の実施形態による基板位置検出方法においては、サセプタ2に形成された位置検出用マーク2aに基づいてサセプタ2の載置部24の中心位置Cを推定したが、他の実施形態においては、載置部24のエッジの形状から中心位置Cを推定しても良い。また、ウエハWのエッジと載置部24のエッジとの間隔に基づいて、ウエハWが所定の位置に載置されているかを判定しても良い。
【0153】
さらに、ウエハWの載置部24は、凹部に限定されることなく、サセプタ2上に所定の角度間隔で配置されウエハWの端部を押さえるガイド部材によっても形成され得る。たとえば、ウエハWの載置部24は、静電チャックを有していても良い。この場合であっても、例えば位置検出用マーク2aを検出することにより、ウエハWの中心位置WOが位置すべき位置(載置部24の中心位置C)を推定することができ、ウエハWのエッジを検出することにより得たウエハWの実際の中心位置WOを推定し、両者を比較することにより、ウエハWが所定の位置に載置されているかを判定することができる。
【0154】
また、上記の実施形態において、カメラ104として、CCDカメラを用いたが、これに限らず、CMOSカメラであって良い。また、カメラ104はビデオカメラであっても良い。
光源108は、白色LED108aでなく、ハロゲンランプ、キセノンランプなどを含んで良い。また、光源108の発光色は、白色に限らず、光源108からの光に対してカメラが感度を有していれば、何色であっても良い。例えば、白色光以外では、黄色、橙色または緑色といった比較的明度の高い色を有する光が好ましい。
【0155】
本発明の実施形態による基板位置検出装置は、位置検出の対象であるウエハWが収容される半導体製造装置の上方に配置される必要はなく、その製造装置内のウエハWのエッジおよびその周辺を撮像することができる位置に配置して良いことは言うまでもない。また、筐体102の開口部とこれを覆う窓102aは、筐体102の下部に限らず、位置検出の対象であるウエハWが収容される装置との関係に応じて筐体102の他の部位に設け、窓102aを通してカメラ104によりウエハWのエッジおよびその周辺を撮像しても良い。さらに、筐体102は必ずしも必要でなく、ウエハWのエッジおよびその周辺を撮像することができるように、半導体製造装置に対してカメラ104、パネル106、および光源108を取り付けても良い。
【0156】
また、本発明の実施形態による基板位置検出装置は、成膜装置だけでなく、エッチング装置や熱処理装置を始めとする種々の半導体製造装置に適用することが可能である。また、本発明の実施形態による基板位置検出装置および基板位置検出方法によれば、ベアウエハに限らず、種々のプロセスにより回路が形成されたウエハWの位置を検出するために適用することが可能である。なお、半導体製造装置のサセプタは、カーボン等から作製される必要はなく、石英や金属などで作製されても良い。このような材料から作製される場合であっても、サセプタに載置されるウエハWはパネル106により光照射されて一様に光って見える一方、ウエハとサセプタとの表面の相違により、両者の間でのコントラストを維持することできるため、精度良くウエハ位置を検出することが可能である。
【0157】
さらに、本発明の実施形態による基板位置検出装置は、フラットパネルディスプレイ(FPD)の製造に使用する製造装置において、FPD基板の位置を検出するためにも使用することが可能である。
【0158】
また、種々の変形例を説明したが、これらの変形例は種々に組み合わせて上述の実施形態に適用して良いことは、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0159】
100・・・基板位置検出装置、102・・・筐体、104・・・カメラ、104a・・・制御部、106・・・パネル、108,109・・・光源、200・・・成膜装置、2・・・サセプタ、10・・・搬送アーム、24・・・載置部、4・・・凸状部、5・・・突出部、31,32・・・反応ガス供給ノズル、41,42・・・分離ガス供給ノズル、W・・・ウエハ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出対象である基板を撮像する撮像部と、
前記撮像部と前記基板との間に配置され、前記基板に対する前記撮像部の視野を確保する第1の開口部を有する光散乱性のパネル部材と、
前記パネル部材に光を照射する第1の照明部と、
前記撮像部により前記第1の開口部を通して撮像された画像から前記基板の位置を求める処理部と
を備える基板位置検出装置。
【請求項2】
前記第1の照明部が、前記パネル部材の前記基板に臨む第1の面に光を照射する、請求項1に記載の基板位置検出装置。
【請求項3】
前記第1の照明部が、前記パネル部材の前記撮像部に臨む第2の面に光を照射する、請求項1に記載の基板位置検出装置。
【請求項4】
前記基板に光を照射する第2の照明部を更に備える、請求項3に記載の基板位置検出装置。
【請求項5】
前記第1の面に光を照射する第1の照明部の光放射部の向きが、前記基板に光を照射するために変更可能である、請求項2に記載の基板位置検出装置。
【請求項6】
前記第1の照明部が白色発光素子を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項7】
前記第2の照明部が白色発光素子を含む、請求項4に記載の基板位置検出装置。
【請求項8】
前記白色発光素子が白色発光ダイオードである、請求項6又は7に記載の基板位置検出装置。
【請求項9】
前記パネル部材が光散乱性粒子を含む樹脂により形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項10】
前記パネル部材が、顔料が塗布された透明樹脂板により形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項11】
前記パネル部材がマイクロレンズアレイを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項12】
前記パネル部材の前記第1の面及び前記第2の面のいずれか又は双方が粗面化されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項13】
位置検出対象である基板前記基板を臨む開口と、
前記撮像部が収容される収容領域と、
前記収容領域に気体を導入する導入口と、
前記導入口から導入された気体を排気する排気口と、
を含む筐体を更に備え、
前記パネル部材が、前記筐体内において前記開口と前記収容領域との間に配置され、
前記パネル部材に、前記気体が通過可能な第2の開口部が形成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項14】
前記撮像部がCCDカメラを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項15】
位置検出対象である基板をサセプタの載置部に載置する工程と、
前記基板の上方に配置される、開口部を有する光散乱性のパネル部材に光を照射する工程と、
前記開口部を通して、前記光が照射される前記パネル部材により照らされる、前記基板及び前記載置部を含む領域を撮像する工程と、
前記領域の画像に基づいて前記載置部の位置を推定する工程と、
前記領域の画像に基づいて前記基板の位置を推定する工程と、
前記載置部の位置と前記基板の位置とから、前記基板が所定の位置にあるかどうかを判定する工程と
を含む基板位置検出方法。
【請求項16】
前記載置部の位置を推定する工程が、前記サセプタに設けられる位置検出用マークを検出する工程を含む、請求項15に記載の基板位置検出方法。
【請求項17】
前記基板の位置を推定する工程が、前記載置部に載置された前記基板の端部を認識する工程を含む、請求項15又は16に記載の基板位置検出方法。
【請求項18】
容器内にて、互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番に基板に供給するサイクルを実行して反応生成物の層を当該基板上に生成することにより膜を堆積する成膜装置であって、
前記容器に回転可能に設けられたサセプタと、
前記サセプタの一の面に設けられ、前記基板が載置される載置部と、
前記載置部に載置される前記基板の位置を検出する、請求項1から14のいずれか一項に記載される基板位置検出装置と、
前記一の面に第1の反応ガスを供給するよう構成された第1の反応ガス供給部と、
前記サセプタの回転方向に沿って前記第1の反応ガス供給部から離れた、前記一の面に第2の反応ガスを供給するよう構成された第2の反応ガス供給部と、
前記回転方向に沿って、前記第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と前記第2の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置し、前記第1の処理領域と前記第2の処理領域とを分離する分離領域と、
前記第1の処理領域と前記第2の処理領域とを分離するために、前記容器の中央に位置し、前記一の面に沿って第1の分離ガスを吐出する吐出孔を有する中央領域と、
前記容器を排気するために前記容器に設けられた排気口と、
を備え、
前記分離領域が、第2の分離ガスを供給する分離ガス供給部と、前記第2の分離ガスが前記回転方向に対し前記分離領域から前記処理領域側へ流れることができる狭隘な空間を、前記サセプタの前記一の面に対して形成する天井面と
を含む成膜装置。
【請求項19】
請求項18に記載の成膜装置を用いて基板上に膜を堆積する成膜方法であって、
前記容器に回転可能に設けられたサセプタの一の面に設けられ、前記基板が載置される載置部に前記基板を載置する工程と、
前記基板の上方に配置される、開口部を有する光散乱性のパネル部材に光を照射する工程と、
前記開口部を通して、前記光が照射される前記パネル部材により照らされる、前記基板及び前記載置部を含む領域を撮像する工程と、
前記領域の画像に基づいて前記載置部の位置を推定する工程と、
前記領域の画像に基づいて前記基板の位置を推定する工程と、
前記載置部の位置と前記基板の位置とから、前記基板が所定の位置にあるかどうかを判定する工程と、
前記基板が所定の位置にあると判定された場合に、前記基板が載置された前記サセプタを回転する工程と、
第1の反応ガス供給部から前記サセプタの前記一の面へ第1の反応ガスを供給する工程と、
前記サセプタの回転方向に沿って前記第1の反応ガス供給部から離れた第2の反応ガス供給部から前記サセプタの前記一の面へ第2の反応ガスを供給する工程と、
前記第1の反応ガス供給部から前記第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と前記第2の反応ガス供給部から前記第1の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置する分離領域に設けられた分離ガス供給部から、第1の分離ガスを供給し、前記分離領域の天井面と前記サセプタとの間に形成される狭隘な空間において前記回転方向に対し前記分離領域から前記処理領域側に前記第1の分離ガスを流す工程と、
前記容器の中央部に位置する中央部領域に形成される吐出孔から前記一の面に沿って第2の分離ガスを供給する工程と、
前記容器を排気する工程と、
を備える成膜方法。
【請求項20】
位置検出対象である前記基板が載置されるサセプタを回転する回転駆動機構に設けられ、当該サセプタに設けられた位置検出用マークの位置を検出する検出部を更に備え、
前記処理部が、前記画像から前記位置検出用マークが所定の範囲にあるか否かを検出する、請求項1から14のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項21】
前記検出部が、前記回転駆動機構に設けられた固定子と、前記回転駆動機構の回転部に設けられ、前記固定子と協働する回転子とを含む、請求項20に記載の基板位置検出装置。
【請求項22】
前記載置部の位置を推定する工程が、
前記画像から前記位置検出用マークが前記画像内の所定の範囲にあるか否かを検出する工程と、
前記検出する工程において前記位置検出用マークが所定の範囲に無いと判定された場合に、前記サセプタを回転する回転駆動機構に設けられた検出部の検出結果に基づいて前記位置検出マークが前記所定の範囲内に収まるように前記サセプタの位置を調整する工程と、
前記所定の範囲内に収まった前記位置検出マークの位置を検出し、当該検出結果に基づいて前記位置検出マークを所定の位置に位置するように前記サセプタの位置を調整する工程と
を含む、請求項16に記載の基板位置検出方法。
【請求項23】
前記検出部が、前記回転駆動機構に設けられた固定子と、前記回転駆動機構の回転部に設けられ、前記固定子と協働する回転子とを含む、請求項22に記載の基板位置検出方法。
【請求項24】
請求項1から14、20、および21のいずれか一項に記載の基板位置検出装置に、請求項15から17、22、および23のいずれか一項に記載の基板位置検出方法を実施させるプログラム。
【請求項25】
請求項24に記載のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
請求項18に記載の成膜装置に、請求項19の成膜方法を実施させるプログラム。
【請求項27】
請求項26に記載のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項1】
位置検出対象である基板を撮像する撮像部と、
前記撮像部と前記基板との間に配置され、前記基板に対する前記撮像部の視野を確保する第1の開口部を有する光散乱性のパネル部材と、
前記パネル部材に光を照射する第1の照明部と、
前記撮像部により前記第1の開口部を通して撮像された画像から前記基板の位置を求める処理部と
を備える基板位置検出装置。
【請求項2】
前記第1の照明部が、前記パネル部材の前記基板に臨む第1の面に光を照射する、請求項1に記載の基板位置検出装置。
【請求項3】
前記第1の照明部が、前記パネル部材の前記撮像部に臨む第2の面に光を照射する、請求項1に記載の基板位置検出装置。
【請求項4】
前記基板に光を照射する第2の照明部を更に備える、請求項3に記載の基板位置検出装置。
【請求項5】
前記第1の面に光を照射する第1の照明部の光放射部の向きが、前記基板に光を照射するために変更可能である、請求項2に記載の基板位置検出装置。
【請求項6】
前記第1の照明部が白色発光素子を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項7】
前記第2の照明部が白色発光素子を含む、請求項4に記載の基板位置検出装置。
【請求項8】
前記白色発光素子が白色発光ダイオードである、請求項6又は7に記載の基板位置検出装置。
【請求項9】
前記パネル部材が光散乱性粒子を含む樹脂により形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項10】
前記パネル部材が、顔料が塗布された透明樹脂板により形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項11】
前記パネル部材がマイクロレンズアレイを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項12】
前記パネル部材の前記第1の面及び前記第2の面のいずれか又は双方が粗面化されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項13】
位置検出対象である基板前記基板を臨む開口と、
前記撮像部が収容される収容領域と、
前記収容領域に気体を導入する導入口と、
前記導入口から導入された気体を排気する排気口と、
を含む筐体を更に備え、
前記パネル部材が、前記筐体内において前記開口と前記収容領域との間に配置され、
前記パネル部材に、前記気体が通過可能な第2の開口部が形成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項14】
前記撮像部がCCDカメラを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項15】
位置検出対象である基板をサセプタの載置部に載置する工程と、
前記基板の上方に配置される、開口部を有する光散乱性のパネル部材に光を照射する工程と、
前記開口部を通して、前記光が照射される前記パネル部材により照らされる、前記基板及び前記載置部を含む領域を撮像する工程と、
前記領域の画像に基づいて前記載置部の位置を推定する工程と、
前記領域の画像に基づいて前記基板の位置を推定する工程と、
前記載置部の位置と前記基板の位置とから、前記基板が所定の位置にあるかどうかを判定する工程と
を含む基板位置検出方法。
【請求項16】
前記載置部の位置を推定する工程が、前記サセプタに設けられる位置検出用マークを検出する工程を含む、請求項15に記載の基板位置検出方法。
【請求項17】
前記基板の位置を推定する工程が、前記載置部に載置された前記基板の端部を認識する工程を含む、請求項15又は16に記載の基板位置検出方法。
【請求項18】
容器内にて、互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番に基板に供給するサイクルを実行して反応生成物の層を当該基板上に生成することにより膜を堆積する成膜装置であって、
前記容器に回転可能に設けられたサセプタと、
前記サセプタの一の面に設けられ、前記基板が載置される載置部と、
前記載置部に載置される前記基板の位置を検出する、請求項1から14のいずれか一項に記載される基板位置検出装置と、
前記一の面に第1の反応ガスを供給するよう構成された第1の反応ガス供給部と、
前記サセプタの回転方向に沿って前記第1の反応ガス供給部から離れた、前記一の面に第2の反応ガスを供給するよう構成された第2の反応ガス供給部と、
前記回転方向に沿って、前記第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と前記第2の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置し、前記第1の処理領域と前記第2の処理領域とを分離する分離領域と、
前記第1の処理領域と前記第2の処理領域とを分離するために、前記容器の中央に位置し、前記一の面に沿って第1の分離ガスを吐出する吐出孔を有する中央領域と、
前記容器を排気するために前記容器に設けられた排気口と、
を備え、
前記分離領域が、第2の分離ガスを供給する分離ガス供給部と、前記第2の分離ガスが前記回転方向に対し前記分離領域から前記処理領域側へ流れることができる狭隘な空間を、前記サセプタの前記一の面に対して形成する天井面と
を含む成膜装置。
【請求項19】
請求項18に記載の成膜装置を用いて基板上に膜を堆積する成膜方法であって、
前記容器に回転可能に設けられたサセプタの一の面に設けられ、前記基板が載置される載置部に前記基板を載置する工程と、
前記基板の上方に配置される、開口部を有する光散乱性のパネル部材に光を照射する工程と、
前記開口部を通して、前記光が照射される前記パネル部材により照らされる、前記基板及び前記載置部を含む領域を撮像する工程と、
前記領域の画像に基づいて前記載置部の位置を推定する工程と、
前記領域の画像に基づいて前記基板の位置を推定する工程と、
前記載置部の位置と前記基板の位置とから、前記基板が所定の位置にあるかどうかを判定する工程と、
前記基板が所定の位置にあると判定された場合に、前記基板が載置された前記サセプタを回転する工程と、
第1の反応ガス供給部から前記サセプタの前記一の面へ第1の反応ガスを供給する工程と、
前記サセプタの回転方向に沿って前記第1の反応ガス供給部から離れた第2の反応ガス供給部から前記サセプタの前記一の面へ第2の反応ガスを供給する工程と、
前記第1の反応ガス供給部から前記第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と前記第2の反応ガス供給部から前記第1の反応ガスが供給される第2の処理領域との間に位置する分離領域に設けられた分離ガス供給部から、第1の分離ガスを供給し、前記分離領域の天井面と前記サセプタとの間に形成される狭隘な空間において前記回転方向に対し前記分離領域から前記処理領域側に前記第1の分離ガスを流す工程と、
前記容器の中央部に位置する中央部領域に形成される吐出孔から前記一の面に沿って第2の分離ガスを供給する工程と、
前記容器を排気する工程と、
を備える成膜方法。
【請求項20】
位置検出対象である前記基板が載置されるサセプタを回転する回転駆動機構に設けられ、当該サセプタに設けられた位置検出用マークの位置を検出する検出部を更に備え、
前記処理部が、前記画像から前記位置検出用マークが所定の範囲にあるか否かを検出する、請求項1から14のいずれか一項に記載の基板位置検出装置。
【請求項21】
前記検出部が、前記回転駆動機構に設けられた固定子と、前記回転駆動機構の回転部に設けられ、前記固定子と協働する回転子とを含む、請求項20に記載の基板位置検出装置。
【請求項22】
前記載置部の位置を推定する工程が、
前記画像から前記位置検出用マークが前記画像内の所定の範囲にあるか否かを検出する工程と、
前記検出する工程において前記位置検出用マークが所定の範囲に無いと判定された場合に、前記サセプタを回転する回転駆動機構に設けられた検出部の検出結果に基づいて前記位置検出マークが前記所定の範囲内に収まるように前記サセプタの位置を調整する工程と、
前記所定の範囲内に収まった前記位置検出マークの位置を検出し、当該検出結果に基づいて前記位置検出マークを所定の位置に位置するように前記サセプタの位置を調整する工程と
を含む、請求項16に記載の基板位置検出方法。
【請求項23】
前記検出部が、前記回転駆動機構に設けられた固定子と、前記回転駆動機構の回転部に設けられ、前記固定子と協働する回転子とを含む、請求項22に記載の基板位置検出方法。
【請求項24】
請求項1から14、20、および21のいずれか一項に記載の基板位置検出装置に、請求項15から17、22、および23のいずれか一項に記載の基板位置検出方法を実施させるプログラム。
【請求項25】
請求項24に記載のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
請求項18に記載の成膜装置に、請求項19の成膜方法を実施させるプログラム。
【請求項27】
請求項26に記載のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図4】
【公開番号】特開2010−153769(P2010−153769A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130532(P2009−130532)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]