説明

多重拡散防止膜を備える半導体素子の製造方法

【課題】ゲートスタックのシート抵抗及びコンタクト抵抗が小さいながらも、不純物の外部拡散を効果的に抑制することのできる拡散防止膜を備える半導体素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る半導体素子の製造方法は、第1導電層(21)上に、少なくとも第1金属膜(22A)および窒素含有の金属シリサイド膜(22C)を含む積層構造で拡散防止膜を形成するステップと、該拡散防止膜上に第2導電層(23)を形成するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造方法に関し、特に、多重拡散防止膜を備える半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシリコンとタングステンとが積層されたタングステンポリゲート電極(tungsten poly gate electrode)は、ポリシリコンとタングステンシリサイドとが積層されたポリシリコン/タングステンシリサイド(polysilicon/WSi)ゲート電極の1/5〜1/10程度と非常に低い抵抗を有しているため、サブ60nmメモリ素子の製作のためには必須となっている。
【0003】
図1A〜図1Cは、従来技術に係るタングステンポリゲートのゲートスタック構造を示す図である。
【0004】
図1Aに示すように、タングステンポリゲートのゲートスタックは、ポリシリコン膜11(Poly−Si)、タングステン窒化膜12(WN)及びタングステン膜13(W)の順で積層されたPoly−Si/WN/W構造である。ここで、タングステン窒化膜12は、拡散防止膜(diffusion barrier)の役割を果す。
【0005】
図1AのようなPoly−Si/WN/W構造は、後続のアニール(anneal)又はゲートの再酸化(gate re−oxidation)工程の際、タングステン窒化膜12の窒素が分解され、2nm〜3nmの範囲の不均一なSiN及びSiOのような絶縁層が、タングステン膜13とポリシリコン膜11との間の界面に形成されるため、数百MHzの動作周波数及び1.5V以下の動作電圧では、信号遅延(signal delay)などの素子の誤動作を引き起こす問題をもたらす。
【0006】
したがって、近年では、タングステン膜とポリシリコン膜との間の界面におけるSi−Nの形成を抑制するため、拡散防止膜としてポリシリコンとタングステン窒化膜との間に薄いタングステンシリサイド膜(WSi)又はチタン膜(Ti)を挿入する傾向となっている。
【0007】
図1Bのように、タングステンシリサイド膜14(WSi)を挿入した場合、タングステン窒化膜12(WN)蒸着の際の窒素プラズマ(nitrogen plasma)によってタングステンシリサイド膜14上にW−Si−Nが形成される。このW−Si−Nは、金属性を有する非常に優れた拡散防止膜(diffusion barrier)として知られている。
【0008】
図1Cのように、チタン膜15(Ti)を挿入した場合にも、タングステン窒化膜12(WN)蒸着の際、反応性スパッタリング法(reactive sputtering)によって、窒素プラズマが、チタン膜15(Ti)を「TiN」化させ、TiN拡散防止膜が形成されるため、後続の熱処理の際、窒素含有のタングステン膜12(WN)が分解されても、TiNが窒素のポリシリコンへの拡散を抑制し、Si−N形成を効果的に防止することができる。
【0009】
しかし、タングステンポリゲートをデュアルポリゲート(dual Poly−Si gate)(すなわち、nPoly−Si for NMOSFET、pPoly−Si for PMOSFET)構造に適用する場合には、タングステン膜とP型ポリシリコン膜(pPoly−Si)との間のコンタクト抵抗値が、WSi/WN拡散防止膜を適用した場合にも、かなり増加するという問題がある。これに対して、Ti/WN拡散防止膜を適用した場合には、ポリシリコンドーピング種(Poly−Si doping species)に関らず、コンタクト抵抗が非常に低い特性を示す。
【0010】
また、pPoly−Si PMOSFETの場合、実際の動作モードであるインバージョン(inversion)状態では、ポリシリコンの空乏(Poly−Si depletion)問題が発生する可能性もあるが、これは、P型ポリシリコン内に残留しているホウ素(boron)の量に依存する。
【0011】
また、WSi/WN拡散防止膜では、Ti/WN拡散防止膜に比べて、相対的にポリシリコンの空乏が多く発生し、このことはトランジスタ特性を低下させる可能性があることを意味する。
【0012】
上記のような様々な特性を総合すると、タングステンとポリシリコンとの間に、十分に低いコンタクト抵抗を有し、且つP型ポリシリコンの空乏の抑制能力に優れたTi/WN拡散防止膜を用いることが好ましい。
【0013】
しかし、Ti/WN拡散防止膜が採用された場合、その真上に蒸着されるタングステンのシート抵抗(Rs)が1.5倍〜2倍の水準に増加する問題がある。Ti/WN拡散防止膜の適用によるタングステンのシート抵抗の増加は、今後のタングステンポリゲートの開発において、非常に大きな制約になり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、ゲートスタックのシート抵抗及びコンタクト抵抗が小さいながらも、不純物の外部拡散を効果的に抑制することのできる拡散防止膜を備える半導体素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の半導体素子の製造方法は、第1導電層上に、少なくとも第1金属膜及び窒素含有の金属シリサイド膜を含む積層構造で拡散防止膜を形成するステップと、該拡散防止膜上に第2導電層を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第2の半導体素子の製造方法は、第1導電層上に、第1金属膜、第2金属膜、金属シリサイド膜及び第3金属膜の順に積層された拡散防止膜を形成するステップと、該拡散防止膜上に第2導電層を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、Ti、W、Si、Nを含む多重薄膜又は各薄膜が窒素を含有する多重薄膜で構成された拡散防止膜をタングステン膜とポリシリコン膜との間の拡散防止膜で適用することによって、Poly−Si/WN/W及びPoly−Si/WN/WSi/Wなどとは、ほぼ同じ水準の非常に低いシート抵抗(Rs)特性を実現することができるため、ゲートスタックの高さを低くすることができ、工程の統合(process integration)が容易であるという効果を奏する。
【0018】
また、ホウ素の浸透(boron penetration)又はホウ素の外部拡散(boron out−diffusion)の抑制によるポリシリコンの空乏現象(p poly depletion effect)が低減し、且つ、PMOSFET動作電流が増加する効果を実現することもできる。
【0019】
また、充分に小さいタングステン膜とポリシリコン膜との間のコンタクト抵抗(Rc)特性を有するため、高速動作素子の製作が可能であるという長所がある。
【0020】
結果的に、本発明は、高速(high−speed)、高密度(high−density)、低電力(low power)のメモリ素子を実現するためのタングステンポリゲートの形成方法において、Ti、W、Si、Nの含まれた多重薄膜、又は各薄膜が窒素を含有する多重薄膜で構成された拡散防止膜を用いることによって、低いシート抵抗(Low Rs)、低いコンタクト抵抗(Low Rc)及びポリシリコンの空乏現象の低減(Low PDE)を同時に全て満足させ得る最も優れた拡散防止膜である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の最も好ましい実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。
【0022】
図2Aは、拡散防止膜の種類によるタングステンとポリシリコンとの間のコンタクト抵抗を比較した図である。
【0023】
同図に示すように、N型不純物がドーピングされたポリシリコン(n Poly−Si)とタングステンとの間のコンタクト抵抗特性が、WNの代わりにWSi/WN又はTi/WN拡散防止膜を用いる場合、顕著に改善されることが分かる。
【0024】
しかし、タングステンポリゲートをデュアルポリゲート(すなわち、nPoly−Si for NMOSFET、pPoly−Si for PMOSFET)構造に適用する場合には、タングステンとP型ポリシリコン(pPoly−Si)との間のコンタクト抵抗値が、WSi/WN拡散防止膜の適用の場合にかなり大きい問題がある。これに対し、Ti/WN拡散防止膜の適用の場合には、ポリシリコンドーピング種(Poly−Si doping species)に関らず、コンタクト抵抗が非常に特性を示す。
【0025】
また、pPoly−Si PMOSFETの場合、実際の動作モードのインバージョン(inversion)状態では、ポリシリコンの空乏(Poly−Si depletion)問題が発生する可能性があるが、これは、P型ポリシリコン内に残留しているホウ素(boron)の量に依存する。
【0026】
図2Bは、ゲートスタックのホウ素の濃度の深さ方向の分布形状を示す図である。
【0027】
同図のゲートスタックのホウ素の濃度の深さ方向の分布形状(depth profile)から分かるように、WSi/WN拡散防止膜の場合には、ゲート酸化膜やポリシリコンの界面におけるホウ素の濃度は5×1019atoms/cm以下と非常に低い値であって、Ti/WN拡散防止膜の場合には、ホウ素の濃度が8×1019atoms/cm以上と測定された。これは、WSi/WN拡散防止膜では、Ti/WN拡散防止膜に比べて相対的にポリシリコンの空乏が多く発生することにより、トランジスタ特性を低下させる可能性もあるということを意味する。
【0028】
上記のような様々な特性を総合すると、タングステンとポリシリコンとの間の十分に低いコンタクト抵抗を有し、且つP型ポリシリコンの空乏の抑制能力に優れたTi/WN拡散防止膜を用いることが好ましい。
【0029】
しかし、図2Cに示すように、Ti/WN拡散防止膜の真上に蒸着されるタングステンのシート抵抗(Rs)が1.5倍〜2倍の水準に増加する問題がある。
【0030】
同図は、拡散防止膜の種類別に、タングステンのシート抵抗を比較した図である。
【0031】
通常、ポリシリコン、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(Si)、及びタングステンシリサイド(WSi)上には、非晶質の窒素含有のタングステン膜(WN)が形成することができ、その上には非常に低い比抵抗(15〜20μΩ−cm)のタングステンの形成が可能であるが、多結晶の純粋金属(pure metal)であるTi、W、Ta、そして、金属窒化膜(metal nitride)であるTiN、TaN上には、相対的に小さいグレイン(grain)のタングステンが蒸着されるため、30μΩ−cmの非常に高い比抵抗のタングステンが形成される。
【0032】
Ti/WN拡散防止膜の適用によるタングステンのシート抵抗の増加は、今後、タングステンポリゲートの開発において、非常に大きな制約になり得る。
【0033】
したがって、後述の実施例において、ゲートスタックに含まれる拡散防止膜は、Ti、W、Si、Nを含む多重薄膜、又は各薄膜が窒素(N)を含む多重薄膜で構成される拡散防止膜であって、コンタクト抵抗の低減、シート抵抗の低減、不純物の浸透及び外部拡散の防止を全て満足させ得る拡散防止膜である。
【0034】
以下、全ての実施例において、「窒素含有(nitrogen contained)」の意味は、窒化された金属膜という意味も含み、且つ、窒素が一定の比率(原子数の比率。以下同じ)で含有されている金属膜をも含む。そして、以下、化学式WSiにおいて、xはタングステンに対するシリコンの比率であって、その値は、0.5〜3.0の範囲であり、yはタングステンシリサイド(WSi)に対する窒素の比率であって、その値は0.01〜10.00の範囲である。
【0035】
図3Aは、本発明の第1実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0036】
同図に示すように、ゲートスタックは、第1導電層21、拡散防止膜22及び第2導電層23の順に積層される。
【0037】
第1導電層21は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層21は、ポリシリコン膜の他、ポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜は、Ni、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つが含まれているシリサイド膜である。
【0038】
第2導電層23は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは、100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法(Physical Vapor Deposition)、CVD法(Chemical Vapor Deposition)及びALD法(Atomic Layer Deposition)からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0039】
拡散防止膜22は、チタン膜22A(Ti)、窒素を含有するタングステン膜(以下、「窒素含有のタングステン膜」と略称する)22B(WN)及び窒素を含有するタングステンシリサイド膜(以下、「窒素含有のタングステンシリサイド膜」と略称する)22C(WSi)が積層されたTi/WN/WSi構造である。
【0040】
拡散防止膜22について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0041】
まず、チタン膜22Aの厚さは、10Å〜80Åの範囲である。
【0042】
望ましくは、チタン膜22Aの厚さは、約10Å〜約50Åである。チタン膜22Aは、前述したように限定された厚さを有するが、これは、窒素含有のタングステン膜22Bを形成するための後続のWN蒸着によりチタン膜22Aの上部の一部がTiN化され、その下部は、第1導電膜21、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTiSi膜を形成するためである。チタン膜22Aが厚いと、TiSi膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、チタン膜22Aが厚いと、チタン膜22Aがポリシリコン膜21のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜21内にポリ空乏(poly depletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0043】
窒素含有のタングステン膜22B(WN)は、タングステン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステン(W)に対する窒素(N)の比率(N/W)は、0.3〜1.5の範囲である。ここで、窒素含有のタングステン膜22Bを「WN」と表記するが、これは、窒化されたタングステン膜である「タングステン窒化膜」、又は一定比率の窒素を含有している「タングステン膜」を意味する。窒素を含有することによって、第3実施例で後述するが、窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cに窒素を供給する役割を果す。窒素含有のタングステン膜22Bの厚さは20Å〜200Åの範囲である。このように、窒素含有のタングステン膜22Bは、窒素を含有することによって、第3実施例で後述するが、窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cに窒素を供給する役割を果たし、アニール後、窒素を含有していない純粋なタングステン膜になるか、たとえ窒素を含有していても、極めて少量の窒素のみを含有したタングステン膜となる。
【0044】
窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は、0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cの窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cが拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cに含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cを「WSi」と表記するが、これは、窒化されたタングステンシリサイド膜である「タングステンシリコン窒化膜」又は一定比率の窒素を含有する「タングステンシリサイド膜」を意味する。窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cの厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0045】
チタン膜22A及び窒素含有のタングステン膜22Bは、PVD法、CVD法及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着したものであって、窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cは、PVD法で蒸着したものである。
【0046】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法(Sputtering)又は反応性スパッタリング法(reactive sputtering)による蒸着法である。例えば、チタン膜22Aは、チタンターゲット(Ti target)を用いたスパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステン膜22Bは、タングステンターゲット(W target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法(reactive sputtering with W target in N ambient)で蒸着する。窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cは、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法(reactive sputtering with WSi target in N ambient)で蒸着する。
【0047】
拡散防止膜22において、窒素含有のタングステン膜22B上に蒸着する窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cは、上述のように、反応性スパッタリング法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、CVD法では、窒素含有のタングステン膜上で窒素含有のタングステンシリサイド膜がうまく成長しないからである。更に詳しく説明すると、CVD法によって形成される窒素含有のタングステンシリサイド膜(CVD法−WSiN)が窒素含有のタングステン膜22B上で均一に成長せず、凝集(agglomeration)が発生するのである。その理由は、窒素含有のタングステン膜上にタングステン酸化膜(WO)が存在しているので、CVD法により形成される窒素含有のタングステンシリサイド膜の接着性(adhesion)がよくないからである。これに対し、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法を用いれば、下膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能である。
【0048】
図3Bは、窒素含有のタングステン膜上にPVD法によって形成された窒素含有のタングステンシリサイド膜の蒸着後の写真である。図3Bから、タングステンシリサイドターゲット及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法によって蒸着される窒素含有のタングステンシリサイド膜の場合、均一に蒸着されることが分かる。
【0049】
上述のように、第1実施例に係るゲートスタックは、第1導電層21、Ti/WN/WSi構造の拡散防止膜22及び第2導電層23からなる構造であり、第1導電層21がポリシリコン膜であり、第2導電層23がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造である。
【0050】
特に、Ti/WN/WSi構造は、第1金属膜、第2金属膜、及び窒素を含有する金属シリサイド膜の順に積層された構造であるが、第1金属膜は、チタン膜22A(Ti)であり、第2金属膜は窒素含有のタングステン膜22B(WN)であり、金属シリサイド膜は窒素含有のタングステンシリサイド膜22C(WSiN)である。第1金属膜は純粋金属膜であり、第2金属膜は窒素を含有する金属膜であり、金属シリサイド膜は窒素を含有する金属シリサイド膜である。
【0051】
第1実施例として説明した、第1金属膜、第2金属膜、及び窒素を含有する金属シリサイド膜の順に積層された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0052】
第1金属膜は、チタン膜(Ti)の他にタンタル膜(Ta)であることが可能であり、第2金属膜は、窒素を含有するタングステン膜(WN)の他に窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)であることが可能であり、金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜の他に窒素含有のチタンシリサイド膜又は窒素含有のタンタルシリサイド膜であることが可能である。タンタル膜(Ta)は、PVD法(スパッタリング法を含む)、CVD法又はALD法で形成し、窒素含有のチタンタングステン膜は、チタンタングステン(TiW)ターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のチタンシリサイド膜は、チタンシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のタンタルシリサイド膜は、タンタルシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、タンタル膜(Ta)は、10Å〜80Åの範囲の厚さに蒸着する。
【0053】
望ましくは、Ta膜の厚さは、約10Å〜約50Åである。Ta膜は、前述したように限定された厚さを有するが、これは、第2金属膜を形成するための後続のWN蒸着によりTa膜の上部の一部がTaN化され、その下部は、第1導電膜21、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTaSix膜を形成するためである。Ta膜が厚いと、TaSix膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、Ta膜が厚いと、Ta膜がポリシリコン膜21のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜21内にポリ空乏(polydepletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0054】
窒素含有のチタンタングステン膜、窒素含有のチタンシリサイド膜及び窒素含有のタンタルシリサイド膜のそれぞれの膜は、20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着し、各膜内の窒素の含有量は、10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜が拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜に含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。そして、窒素含有のチタンタングステン膜におけるタングステンに対するチタンの比率(Ti/W)は、0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のチタンシリサイド膜におけるチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は、0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のタンタルシリサイド膜におけるタンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は、0.5〜3.0の範囲である。
【0055】
図3Cは、本発明の第2実施例に係るゲートスタックの構造を示す図であって、第1実施例の変更例である。すなわち、図3Aのチタン膜22Aの代わりに窒素を含有するチタン膜(TiN、x<1)を用いる場合である。
【0056】
同図に示すように、第2実施例に係るゲートスタックは、第1導電層201、拡散防止膜202及び第2導電層203の順に積層される。
【0057】
第1導電層201は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層201は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜は、Ni、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0058】
第2導電層203は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0059】
拡散防止膜202は、窒素含有のチタン膜202A(TiN)、窒素含有のタングステン膜202B(WN)及び窒素含有のタングステンシリサイド膜202C(WSi)が積層されたTiN/WN/WSiN構造である。
【0060】
拡散防止膜202について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0061】
窒素含有のチタン膜202A(TiN)は、チタン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、チタン(Ti)に対する窒素(N)の比率(N/Ti)が0.2〜0.8の範囲であり、厚さは、第1実施例のチタン膜とは異なり、10Å〜150Åの範囲である。ここで、窒素含有金属膜、すなわち、窒素含有チタン膜202Aは、その内部にSiNが生じることを防止するために、前述したようなチタン対窒素の比率を有する。TiN膜内の過度なTiが後続の熱処理の際に、ポリシリコンとTiN膜との間に形成されているSi−N結合を分解させてSiNを除去することにより、SiNの生成を防止することができる。これは、TiN結合がSiN結合より強いためである。ここで、窒素含有のチタン膜202Aは、「チタン窒化膜」又は「窒素を一定比率含有しているチタン膜」を意味する。
【0062】
窒素含有のタングステン膜202B(WN)は、タングステン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステンに対する窒素の比率は0.3〜1.5の範囲である。ここで、窒素含有のタングステン膜202Bは、「タングステン窒化膜」又は「窒素を一定比率含有しているタングステン膜」を意味する。窒素を含有することによって、第3実施例で後述するが、窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cに窒素を供給する役割を果す。そして、窒素含有のタングステン膜202Bの厚さは20Å〜200Åの範囲である。このように、窒素含有のタングステン膜202Bは、窒素を含有することによって、第3実施例で後述するように、窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cに窒素を供給する役割を果たし、アニール後、窒素を含有していない純粋なタングステン膜になるか、たとえ窒素を含有していても、極めて少量の窒素のみを含有するタングステン膜になる。
【0063】
窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cは、タングステンシリサイド膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステンに対するシリコンの比率は0.5〜3.0の範囲で、窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cが拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cに含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cは、「タングステンシリコン窒化膜」又は窒素を一定比率含有しているタングステンシリサイド膜を意味する。
【0064】
窒素含有のタングステン膜202Bは、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着したものであり、窒素含有のチタン膜202A及び窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cは、PVD法で蒸着したものである。
【0065】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法又は反応性スパッタリング法による蒸着法である。例えば、窒素含有のチタン膜202Aは、チタンターゲット(Ti target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステン膜202Bは、タングステンターゲット(W target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cは、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。
【0066】
拡散防止膜202において、窒素含有のタングステン膜202B上に蒸着する窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cは、上述のように、反応性スパッタリング法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、CVD法では、窒素含有のタングステン膜上で窒素含有のタングステンシリサイド膜がうまく成長しないからである。更に詳しく説明すると、CVD法によって形成される窒素含有のタングステンシリサイド膜(CVD法−WSiN)が窒素含有のタングステン膜22B上で均一に成長せずに凝集(agglomeration)が発生するのである。その理由は、窒素含有のタングステン膜上にタングステン酸化膜(WO)が存在しているので、CVD法による窒素含有のタングステンシリサイド膜の接着性(adhesion)が良くないからである。それに対して、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法を用いれば、下膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能である。
【0067】
窒素含有のチタン膜202Aを用いた第2実施例の場合も、第1実施例と同じく、十分に低いコンタクト抵抗を得ることができる。上の窒素含有のタングステン膜202B(WN)が、窒素含有のチタン膜202A(TiN)に窒素を供給して、窒素含有のチタン膜202A(TiN)上部を「強靭性TiN(robust TiN)」にすると同時に、第1導電層201と接触する窒素含有のチタン膜202A(TiN)の下部がTi−Si凝集を防止する役割を果すからである。
【0068】
上述のように、第2実施例に係るゲートスタックは、第1導電層201、TiN/WN/WSi構造の拡散防止膜202、及び第2導電層203で構成された構造であり、第1導電層201がポリシリコン膜であり、第2導電層203がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造である。
【0069】
特に、TiN/WN/WSi構造は、第1金属膜、第2金属膜及び窒素を含有する金属シリサイド膜の順に積層された構造であるが、第1金属膜は窒素含有のチタン膜202A(TiN)であり、第2金属膜は窒素含有のタングステン膜202B(WN)であり、金属シリサイド膜は窒素含有のタングステンシリサイド膜202C(WSi)である。第1金属膜及び第2金属膜は窒素を含有する金属膜であり、金属シリサイド膜は窒素を含有する金属シリサイド膜である。
【0070】
第2実施例として説明した、窒素を含有する第1金属膜、第2金属膜、及び窒素を含有する金属シリサイド膜で形成された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0071】
窒素を含有する第1金属膜は、窒素含有のチタン膜(TiN)の他に、窒素含有のタンタル膜(TaN)であることが可能であり、窒素を含有する第2金属膜は、窒素を含有するタングステン膜(WN)の他に、窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)であることが可能であり、窒素を含有する金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜の他に、窒素含有のチタンシリサイド膜又は窒素含有のタンタルシリサイド膜であることが可能である。窒素含有のタンタル膜は、PVD法(スパッタリング法を含む)、CVD法又はALD法で形成し、窒素含有のチタンタングステン膜は、チタンタングステン(TiW)ターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のチタンシリサイド膜は、チタンシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のタンタルシリサイド膜は、タンタルシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、窒素含有のタンタル膜は、10Å〜80Åの範囲の厚さに蒸着する。窒素含有のチタンタングステン膜、窒素含有のチタンシリサイド膜、及び窒素含有のタンタルシリサイド膜は、それぞれ20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着するが、各膜内の窒素の含有量は、10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜が拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜に含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。そして、窒素含有のチタンタングステン膜において、タングステンに対するチタンの比率(Ti/W)は0.5〜3.0の範囲で、窒素含有のチタンシリサイド膜において、チタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のタンタルシリサイド膜において、タンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は0.5〜3.0の範囲である。
【0072】
上記のような窒素含有のチタン膜の代りに窒素含有のタンタル膜を用いる構造の拡散防止膜は、TiN/WN/WSi構造と同じく、非常に低いシート抵抗及びコンタクト抵抗特性を有し、ポリシリコンの空乏率を低下させる効果がある。
【0073】
一方、第2実施例に係る拡散防止膜は3層構造であるが、窒素を含有するタングステンシリサイド膜上に、窒素含有のタングステン膜(WN)を追加して形成することができる。ここで、追加する窒素含有のタングステン膜(WN)は、2番目の層のWNと同じ窒素の含有量及び厚さを有する。
【0074】
第2実施例によると、TiN/WN/WSi構造は、多重構造を構成する各物質が、全て窒素(N)を含んでいる。このため、非常に低いシート抵抗及びコンタクト抵抗を実現し、ゲートスタックの高さを低くすることができる。また、下に形成された第1導電層201内にドーピングされているホウ素のような不純物の外部拡散によるポリシリコンの空乏現象を低減させる。
【0075】
図3Dは、本発明の第3実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0076】
同図に示すように、第3実施例に係るゲートスタックは、第1導電層211、拡散防止膜212、及び第2導電層213の順に積層された構造である。
【0077】
第1導電層211は、P型不純物(例えば、ホウ素(Boron))又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層211は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(Poly Si1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜は、Ni、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0078】
第2導電層213は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法を含む。
【0079】
拡散防止膜212は、チタンシリサイド膜212A(TiSi)、窒素含有のチタン膜212B(TiN)、窒素含有のタングステン膜212C(WN)、及び窒素含有のタングステンシリサイド膜212D(WSi)が積層されたTiSi/TiN/WN/WSi構造である。ここで、第1実施例及び第2実施例の構造に応じて、チタンシリサイド膜の代わりに、タンタルシリサイド膜を使用することも可能であり、窒素含有のチタン膜の代わりに窒素含有のタンタル膜を使用することが可能であり、窒素含有のタングステン膜の代わりに、窒素含有のチタンタングステン膜を使用することが可能であり、窒素含有のタングステンシリサイド膜の代わりに、窒素含有のチタンシリサイド膜又は窒素含有のタンタルシリサイド膜を使用することが可能である。
【0080】
第3実施例は、第1実施例及び第2実施例に係るゲート構造のアニール後の結果である。ここで、アニールは、ゲート形成後に行われる様々な工程、例えば、スペーサ蒸着、層間絶縁膜蒸着などの熱を伴う工程であり得る。
【0081】
図3Dと図3Aとを比較すると、次のとおりである。
【0082】
チタンシリサイド膜212Aは、チタン膜22Aが下の第1導電層21であるポリシリコン膜と反応して形成されたものであって、その厚さは1Å〜30Åの範囲であり、膜内のチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲である。
【0083】
窒素含有のチタン膜212Bは、チタン膜22Aが窒素含有のタングステン膜22Bから窒素の供給を受けて変化したものであって、その厚さは10Å〜100Åの範囲であり、チタンに対する窒素の比率(N/Ti)は0.7〜1.3の範囲である。図3Aのチタン膜22Aと比較すると、窒素の比率は「0」から「0.7〜1.3」に増加することが分かる。
【0084】
窒素含有のタングステン膜212Cは、アニール後、浸食作用(denudation)によって窒素の含有量が10%以下の水準に低減したものであって、厚さは20Å〜200Åの範囲、タングステンに対する窒素の比率(N/W)は0.01〜0.15の範囲である。図3Aの窒素含有のタングステンシリサイド膜22Bと比較すると、窒素の比率が「0.3〜1.5の範囲」から「0.01〜0.15の範囲」に低減することが分かる。
【0085】
窒素含有のタングステンシリサイド膜212Dは、最初の窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cと同じ厚さ及び組成を有する。すなわち、窒素含有のタングステンシリサイド膜212Dにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0086】
図3Dと図3Cとを比較すると、次のとおりである。
【0087】
アニールによって、窒素含有のチタン膜202Aは、窒素含有のタングステン膜202Bから窒素の供給を受けてチタンシリサイド膜212A反応を最小化し、且つ、窒素含有のチタン膜212Bに変化する。ここで、チタンシリサイド膜212Aの厚さは1Å〜30Åの範囲で、窒素含有のチタン膜212Bの厚さは10Å〜100Åの範囲である。
【0088】
窒素含有のチタン膜212Bにおいて、チタンに対する窒素の比率(N/Ti)は0.7〜1.3の範囲となる。これから、図3Cの窒素含有のチタン膜202Aと比較すると、窒素の比率が「0.2〜0.8の範囲」から「0.7〜1.3の範囲」へと更に増加することが分かる。
【0089】
窒素含有のタングステン膜212Cは、アニール後の浸食作用(denudation)によって窒素の含有量が10%以下の水準に低減したものであって、厚さは20Å〜200Åの範囲であり、タングステンに対する窒素の比率(N/W)は0.01〜0.15の範囲である。図3Cの窒素含有のタングステン膜202Bと比較すると、窒素の比率は「0.3〜1.5の範囲」から「0.01〜0.15の範囲」へと更に低減することが分かる。
【0090】
窒素含有のタングステンシリサイド膜212Dは、最初の窒素含有のタングステンシリサイド膜202Cと同じ厚さ及び組成を有する。すなわち、窒素含有のタングステンシリサイド膜212Dにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0091】
上記のように、第3実施例に係るゲートスタックは、第1金属シリサイド膜及び窒素を含有する第1金属膜の順に積層された第1拡散防止膜と、窒素を含有する第2金属膜及び窒素を含む第2金属シリサイド膜の順に積層された第2拡散防止膜とを含む。ここで、第1拡散防止膜は、チタンシリサイド膜212Aと窒素含有のチタン膜212Bとの積層であって、第2拡散防止膜は、窒素含有のタングステン膜212Cと窒素含有のタングステンシリサイド膜212Dとの積層である。
【0092】
図3Eは、アニール後の結果を示す写真である。
【0093】
図4Aは、本発明の第4実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0094】
同図に示すように、第4実施例に係るゲートスタックは、第1導電層31、拡散防止膜32、及び第2導電層33の順に積層される。
【0095】
第1導電層31は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層31は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0096】
第2導電層33は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法(Physical Vapor Deposition)、CVD法(Chemical Vapor Deposition)及びALD法(Atomic Layer Deposition)からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0097】
拡散防止膜32は、チタン膜32A(Ti)及び窒素含有のタングステンシリサイド膜32B(WSi)が積層されたTi/WSi構造である。
【0098】
拡散防止膜32について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0099】
まず、チタン膜32Aの厚さは10Å〜80Åの範囲である。
【0100】
望ましくは、チタン膜32Aの厚さは、約10Å〜約50Åである。チタン膜32Aは、前述したように限定された厚さを有するが、これは、窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bを形成するための後続のWSi蒸着によりチタン膜32Aの上部の一部がTiN化され、その下部は、第1導電膜31、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTiSi膜を形成するためである。チタン膜32Aが厚いと、TiSi膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、チタン膜32Aが厚いと、チタン膜32Aがポリシリコン膜31のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜31内にポリ空乏(poly depletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0101】
そして、窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bは、タングステンシリサイド膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。前記窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bが拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bに含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bは、窒化されたタングステンシリサイド膜である「タングステンシリコン窒化膜」又は窒素を一定比率含有しているタングステンシリサイド膜である。窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bの厚さは、20Å〜200Åの範囲である。
【0102】
チタン膜32Aは、PVD法、CVD法及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着したものであって、窒素含有のタングステンシリサイド膜32BはPVD法で蒸着したものである。
【0103】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法又は反応性スパッタリング法による蒸着法である。例えば、チタン膜32Aは、チタンターゲット(Ti target)を用いたスパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bは、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。
【0104】
拡散防止膜32において、窒素含有のタングステンシリサイド膜22Cは、上述のように反応性スパッタリング法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法を用いれば、下の膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能なためである。
【0105】
上述によると、第4実施例に係るゲートスタックは、第1導電層31、Ti/WSi構造の拡散防止膜32及び第2導電層33で構成された構造であり、第1導電層31がポリシリコン膜であり、第2導電層33がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造とである。
【0106】
特に、Ti/WSi構造は、金属膜及び窒素を含有する金属シリサイド膜の順に積層された構造であるが、金属膜はチタン膜32A(Ti)であり、金属シリサイド膜は窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bである。金属膜は純粋の金属膜であり、金属シリサイド膜は窒素を含有する金属シリサイド膜である。
【0107】
第4実施例として説明した、金属膜及び窒素を含有する金属シリサイド膜の順に積層された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0108】
金属膜は、チタン膜(Ti)の他にタンタル膜(Ta)であることが可能であり、窒素を含有する金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSi)の他に窒素含有のチタンシリサイド膜(TiSi)又は窒素含有のタンタルシリサイド膜(TaSi)であることが可能である。タンタル膜(Ta)は、PVD法(スパッタリング法を含む)、CVD法、又はALD法で形成し、窒素含有のチタンシリサイド膜は、チタンシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のタンタルシリサイド膜は、タンタルシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、タンタル膜(Ta)は、10Å〜80Åの範囲の厚さに蒸着する。
【0109】
望ましくは、タンタル膜の厚さは、約10Å〜約50Åである。タンタル膜は、前述したように限定された厚さを有するが、これは、金属シリサイド膜を形成するための後続のWSi蒸着によりタンタル膜の上部の一部がTaN化され、その下部は、第1導電膜31、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTaSi膜を形成するためである。タンタル膜が厚いと、TaSi膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、タンタル膜が厚いと、タンタル膜がポリシリコン膜31のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜31内にポリ空乏(poly depletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0110】
窒素含有のチタンシリサイド膜及び窒素含有のタンタルシリサイド膜は、それぞれ20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着するが、各膜内の窒素の含有量は、10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜が拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜に含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。そして、窒素含有のチタンシリサイド膜におけるチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のタンタルシリサイド膜におけるタンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は0.5〜3.0の範囲である。
【0111】
図4Bは、本発明の第5実施例に係るゲートスタックの構造を示す図であって、第2実施例を変更した例である。すなわち、チタン膜の代わりに窒素を含有するチタン膜(TiN、x<1)を用いる場合である。
【0112】
同図に示すように、第5実施例に係るゲートスタックは、第1導電層301、拡散防止膜302及び第2導電層303の順に積層される。
【0113】
第1導電層301は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層301は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0114】
第2導電層303は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0115】
拡散防止膜302は、窒素含有のチタン膜302A(TiN)及び窒素含有のタングステンシリサイド膜302B(WSi)が積層されたTiN/WSi構造である。
【0116】
拡散防止膜302について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0117】
窒素含有のチタン膜302A(TiN)は、チタン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、チタン(Ti)に対する窒素(N)の比率(N/Ti)が0.2〜0.8の範囲で、厚さは10Å〜150Åの範囲である。ここで、窒素含有金属膜、すなわち、窒素含有チタン膜302Aは、その内部にSiNが生じることを防止するために、前述したようなチタン対窒素の比率を有する。TiN膜内の過度なTiが後続の熱処理の際に、ポリシリコンとTiN膜との間に形成されているSi−N結合を分解させてSiNを除去することにより、SiNの生成を防止することができる。これは、TiN結合がSiN結合より強いためである。窒素含有のチタン膜302Aは、窒化されたチタン膜である「チタン窒化膜」をも含み、好ましくは、窒素含有のチタン膜302Aは、金属膜の性質を有する。
【0118】
窒素含有のタングステンシリサイド膜302Bは、タングステンシリサイド膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜302Bが拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜302Bに含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のタングステンシリサイド膜302Bは、窒化されたタングステンシリサイド膜である「タングステンシリコン窒化膜」又は窒素を一定比率含有しているタングステンシリサイド膜を含む。
【0119】
窒素含有のチタン膜302A及び窒素含有のタングステンシリサイド膜302BはPVD法で蒸着したものである。
【0120】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法又は反応性スパッタリング法による蒸着法である。例えば、窒素含有のチタン膜302Aは、チタンターゲット(Ti target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステンシリサイド膜302Bは、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。
【0121】
拡散防止膜302において、窒素含有のタングステンシリサイド膜302Bは、上述のように、反応性スパッタリング法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法を用いれば、下の膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能なためである。
【0122】
上述によると、第5実施例に係るゲートスタックは、第1導電層301、TiN/WSi構造の拡散防止膜302及び第2導電層303で構成された構造であり、第1導電層301がポリシリコン膜であり、第2導電層303がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造である。
【0123】
特に、TiN/WSi構造は、金属膜、及び窒素を含有する金属シリサイド膜の順に積層された構造であるが、金属膜は、窒素含有のチタン膜302A(TiN)であり、金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜302Bである。金属膜は窒素を含有する金属膜であり、金属シリサイド膜は窒素を含有する金属シリサイド膜である。
【0124】
第5実施例として説明した、窒素を含有する金属膜と窒素を含有する金属シリサイド膜とで構成された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0125】
窒素を含有する金属膜は、窒素含有のチタン膜(TiN)の他に窒素含有のタンタル膜(TaN)であることが可能であり、窒素を含有する金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSi)の他に窒素含有のチタンシリサイド膜(TiSi)又は窒素含有のタンタルシリサイド膜(TaSi)であることが可能である。窒素含有のタンタル膜はPVD法(スパッタリング法を含む)、CVD法、又はALD法で形成し、窒素含有のチタンシリサイド膜は、チタンシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のタンタルシリサイド膜は、タンタルシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、窒素含有のタンタル膜は、10Å〜80Åの範囲の厚さに蒸着する。窒素含有のチタンシリサイド膜及び窒素含有のタンタルシリサイド膜はそれぞれ20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着するが、各膜内の窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜が拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜に含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のチタンシリサイド膜におけるチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は、0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のタンタルシリサイド膜におけるタンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は0.5〜3.0の範囲である。
【0126】
図4Cは、本発明の第6実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0127】
同図に示すように、第6実施例に係るゲートスタックは、第1導電層311、拡散防止膜312、及び第2導電層313の順に積層された構造である。
【0128】
第1導電層311は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層311は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0129】
第2導電層313は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0130】
拡散防止膜312は、チタンシリサイド膜312A(TiSi)、窒素含有のチタン膜312B(TiN)、窒素含有のタングステンシリサイド膜312C(WSi)が積層されたTiSi/TiN/WSi構造である。ここで、拡散防止膜は、以下に説明するように、第4実施例及び第5実施例でそれぞれ選択された物質に応じて様々な構造が可能である。
【0131】
第6実施例は、第4実施例及び第5実施例に係るゲート構造のアニール後の結果である。ここで、アニールは、ゲート形成後に行われる様々な工程、例えば、スペーサ蒸着、層間絶縁膜蒸着などの熱を伴う工程であり得る。
【0132】
図4Aのように、チタン膜32A上に窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bがある場合には、アニール後、図4Cのように、チタン膜32Aと窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bとの間の境界領域の窒素含有のタングステンシリサイド膜32Bで、少量の窒素分解が発生してチタン膜32A上を窒素を含有する窒素含有のチタン膜312Bに変化させ、チタン膜32Aの下は、第1導電層31として用いられたポリシリコン膜と反応してチタンシリサイド膜312Aとなる。
【0133】
チタンシリサイド膜312Aの厚さは1Å〜30Åの範囲であり、膜内のチタンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲である。窒素含有のチタン膜312Bの厚さは10Å〜100Åの範囲であり、チタンに対する窒素の比率(N/Ti)は0.7〜1.3の範囲である。
【0134】
窒素含有のタングステンシリサイド膜312Cは、最初の窒素含有のタングステンシリサイド膜302Bと同じ厚さ及び組成を有する。すなわち、窒素含有のタングステンシリサイド膜312Cにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0135】
図4Bと図4Cとを比較してみると、アニールによって、窒素含有のチタン膜302Aは、窒素含有のタングステン膜302Bから窒素の供給を受けてチタンシリサイド膜312Aになる反応を最小化し、且つ、窒素含有のチタン膜312Bに変化する。ここで、チタンシリサイド膜312Aの厚さは1Å〜30Åの範囲であり、窒素含有のチタン膜312Bの厚さは10Å〜100Åの範囲であり、窒素含有のチタン膜312Bにおいて、チタンに対する窒素の比率は0.7〜1.3の範囲である。図4Cの窒素含有のチタン膜312Bと比較すると、窒素の比率は「0.2〜0.8の範囲」から「0.7〜1.3の範囲」へと更に増加することが分かる。
【0136】
窒素含有のタングステンシリサイド膜312Cは、最初の窒素含有のタングステンシリサイド膜302Bと同じ厚さ及び組成を有する。すなわち、窒素含有のタングステンシリサイド膜312Cにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0137】
上記のように、第6実施例に係るゲートスタックは、金属シリサイド膜及び窒素を含有する金属膜の順に積層された第1拡散防止膜、及び窒素を含有する金属シリサイド膜で構成される第2拡散防止膜を備える。ここで、第1拡散防止膜は、チタンシリサイド膜312A及び窒素含有のチタン膜312Bの積層膜であって、第2拡散防止膜は窒素含有のタングステンシリサイド膜312Cである。
【0138】
図5Aは、本発明の第7実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0139】
同図に示すように、第7実施例に係るゲートスタックは、第1導電層41、拡散防止膜42、及び第2導電層43の順に積層される。
【0140】
第1導電層41は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層41は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0141】
第2導電層43は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0142】
拡散防止膜42は、チタン膜42A(Ti)、窒素含有のタングステンシリサイド膜42B(WSi)及び窒素含有のタングステン膜42C(WN)が積層されたTi/WSi/WN構造である。
【0143】
拡散防止膜42について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0144】
まず、チタン膜42Aの厚さは、10Å〜80Åの範囲である。
【0145】
望ましくは、チタン膜42Aの厚さは、約10Å〜約50Åである。チタン膜42Aは、前述したように限定された厚さを有するが、これは、窒素含有のタングステン膜42Cを形成するための後続のWN蒸着によりチタン膜42Aの上部の一部がTiN化され、その下部は、第1導電膜41、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTiSi膜を形成するためである。チタン膜42Aが厚いと、TiSi膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、チタン膜42Aが厚いと、チタン膜42Aがポリシリコン膜41のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜41内にポリ空乏(poly depletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0146】
窒素含有タングステンシリサイド膜42Bにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bが拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bに含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bは、窒化されたタングステンシリサイド膜である「タングステンシリコン窒化膜」又は窒素を一定比率で含有しているタングステンシリサイド膜を含む。窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bの厚さは、20Å〜200Åの範囲である。
【0147】
窒素含有タングステン膜42C(WN)は、タングステン膜が一定比率の窒素を含有するものであって、タングステン(W)に対する窒素(N)の比率(N/W)は0.3〜1.5の範囲である。ここで、窒素含有のタングステン膜42Cは、窒化されたタングステン膜である「タングステン窒化膜」又は窒素を一定比率で含有しているタングステン膜を含む。窒素含有のタングステン膜42Cは、窒素を含有することによって、第9実施例で後述するように、窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bに窒素を供給する役割を果す。窒素含有のタングステン膜42Cの厚さは、20Å〜200Åの範囲である。このように、窒素含有のタングステン膜42Cは、窒素を含有することによって、窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bに窒素を供給する役割を果たし、アニール後、窒素を含有していない純粋なタングステン膜になるか、たとえ窒素を含有していても、極めて少量の窒素のみを含有するタングステン膜になる。
【0148】
チタン膜42A及び窒素含有のタングステン膜42Cは、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着したものであって、窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bは、PVD法で蒸着したものである。
【0149】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法又は反応性スパッタリング法による蒸着法である。例えば、チタン膜42Aは、チタンターゲット(Ti target)を用いたスパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステン膜42Cは、タングステンターゲット(W target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bは、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。
【0150】
拡散防止膜42において、窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bは、上述のように、反応性スパッタリング法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法を用いれば、下の膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能なためである。
【0151】
上述によると、第7実施例に係るゲートスタックは、第1導電層41、Ti/WSi/WN構造の拡散防止膜42及び第2導電層43で構成された構造であり、第1導電層41がポリシリコン膜で、第2導電層43がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造である。
【0152】
特に、Ti/WSiN/WN構造は、第1金属膜、窒素を含有する金属シリサイド膜、及び第2金属膜の順に積層された構造であるが、第1金属膜はチタン膜42A(Ti)であり、第2金属膜は窒素含有のタングステン膜42C(WN)であり、金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bである。第1金属膜は純粋な金属膜であり、第2金属膜は窒素を含有する金属膜であり、金属シリサイド膜は窒素を含有する金属シリサイド膜である。
【0153】
第7実施例として説明した、第1金属膜、金属シリサイド膜、及び第2金属膜の順に積層された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0154】
第1金属膜は、チタン膜(Ti)の他にタンタル膜(Ta)であることが可能であり、第2金属膜は、窒素を含有するタングステン膜(WN)の他に窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)であることが可能であり、金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜の他に窒素含有のチタンシリサイド膜(TiSi)又は窒素含有のタンタルシリサイド膜(TaSi)であることが可能である。タンタル膜(Ta)は、PVD法(スパッタリング法を含む)、CVD法、又はALD法で形成し、窒素含有のチタンタングステン膜は、チタンタングステン(TiW)ターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のチタンシリサイド膜は、チタンシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のタンタルシリサイド膜は、タンタルシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、タンタル膜(Ta)は、10Å〜80Åの範囲の厚さに蒸着する。
【0155】
望ましくは、タンタル膜の厚さは、約10Å〜約50Åである。タンタル膜は、前述したように限定された厚さを有するが、これは、金属シリサイド膜を形成するための後続のWSi蒸着によりタンタル膜の上部の一部がTaN化され、その下部は、第1導電膜41、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTaSi膜を形成するためである。タンタル膜が厚いと、TaSi膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、タンタル膜が厚いと、タンタル膜がポリシリコン膜41のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜41内にポリ空乏(poly depletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0156】
窒素含有のチタンタングステン膜、窒素含有のチタンシリサイド膜、及び窒素含有のタンタルシリサイド膜のそれぞれは、20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着するが、各膜内の窒素の含有量は、10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタンタルシリサイド膜が拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタンタルシリサイド膜に含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のチタンタングステン膜でタングステンに対するチタンの比率(Ti/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のチタンシリサイド膜におけるチタンに対するシリコン(Si/Ti)の比率は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のタンタルシリサイド膜におけるタンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は0.5〜3.0の範囲である。
【0157】
図5Bは、本発明の第8実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0158】
同図に示すように、第8実施例に係るゲートスタックは、第1導電層401、拡散防止膜402、及び第2導電層403の順に積層された構造である。
【0159】
第1導電層401は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層401は、ポリシリコン膜の他、ポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜は、Ni、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つが含まれているシリサイド膜である。
【0160】
第2導電層403は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは、100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0161】
拡散防止膜402は、窒素含有のチタン膜402A(TiN)、窒素含有のタングステンシリサイド膜402B(WSi)及び窒素含有のタングステン膜402C(WN)が積層されたTiN/WSi/WN構造である。
【0162】
拡散防止膜402について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0163】
窒素含有のチタン膜402A(TiN)は、チタン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、チタン(Ti)に対する窒素(N)の比率(N/Ti)が0.2〜0.8の範囲であり、厚さは10Å〜150Åの範囲である。ここで、窒素含有金属膜、すなわち、窒素含有チタン膜402Aは、その内部にSiNが生じることを防止するために、前述したようなチタン対窒素の比率を有する。TiN膜内の過度なTiが後続の熱処理の際に、ポリシリコンとTiN膜との間に形成されているSi−N結合を分解させてSiNを除去することにより、SiNの生成を防止することができる。これは、TiN結合がSiN結合より強いためである。ここで、窒素含有のチタン膜402Aは、窒化されたチタン膜である「チタン窒化膜」をも含む。
【0164】
窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bは、タングステンシリサイド膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bが拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bに含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bは、窒化されたタングステンシリサイド膜である「タングステンシリコン窒化膜」をも含む。
【0165】
窒素含有のタングステン膜402C(WN)は、タングステン膜に一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステンに対する窒素の比率(N/W)は0.3〜1.5の範囲である。ここで、窒素含有のタングステン膜402Cは、窒化されたタングステン膜である「タングステン窒化膜」をも含む。窒素含有のタングステン膜402Cは、窒素を含有することによって、後述するように、窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bに窒素を供給する役割を果す。そして、窒素含有のタングステン膜402Cの厚さは、20Å〜200Åの範囲である。このように、窒素含有のタングステン膜402Cは、窒素を含有することによって窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bに窒素を供給する役割を果たし、アニール後に、窒素を含有していない純粋なタングステン膜になるか、たとえ窒素を含有していても、極めて少量の窒素のみを含有するタングステン膜になる。
【0166】
窒素含有のタングステン膜402Cは、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着したものであって、窒素含有のチタン膜402A及び窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bは、PVD法で蒸着したものである。
【0167】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法又は反応性スパッタリング法による蒸着法である。例えば、窒素含有のチタン膜402Aは、チタンターゲット(Ti target)及び窒素(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステン膜402Cは、タングステンターゲット(W target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bは、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。
【0168】
拡散防止膜402において、窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bは、上述のように、反応性スパッタリング法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法を用いれば、下の膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能なためである。
【0169】
上述によると、第8実施例に係るゲートスタックは、第1導電層401、TiN/WSi/WN構造の拡散防止膜402及び第2導電層403で構成された構造であって、第1導電層401がポリシリコン膜であり、第2導電層403がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造である。
【0170】
特に、TiN/WSi/WN構造は、第1金属膜、窒素を含有する金属シリサイド膜、及び第2金属膜の順に積層された構造となるが、第1金属膜は窒素含有のチタン膜402A(TiN)であり、第2金属膜は窒素含有のタングステン膜402C(WN)であり、金属シリサイド膜は窒素含有のタングステンシリサイド膜402B(WSiN)である。第1金属膜及び第2金属膜は、窒素を含有する金属膜であり、金属シリサイド膜は、窒素を含有する金属シリサイド膜である。
【0171】
第8実施例として説明した、窒素を含有する第1金属膜、窒素を含有する金属シリサイド膜、及び窒素を含有する第2金属膜で構成された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0172】
窒素を含有する第1金属膜は、窒素含有のチタン膜(TiN)の他に、窒素含有のタンタル膜(TaN)であることが可能で、窒素を含有する第2金属膜は窒素を含有するタングステン膜(WN)の他に、窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)であることが可能であり、窒素を含有する金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSi)の他に、窒素含有のチタンシリサイド膜(TiSi)又は窒素含有のタンタルシリサイド膜(TaSi)であることが可能である。窒素含有のタンタル膜は、PVD法(スパッタリング法を含む)、CVD法、又はALD法で形成し、窒素含有のチタンタングステン膜は、チタンタングステン(TiW)ターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のチタンシリサイド膜は、チタンシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のタンタルシリサイド膜は、タンタルシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、窒素含有のタンタル膜は、10Å〜80Åの範囲の厚さに蒸着する。窒素含有のチタンタングステン膜、窒素含有のチタンシリサイド膜及び窒素含有のタンタルシリサイド膜は、それぞれ20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着するが、各膜内の窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜が拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜に含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のチタンタングステン膜においてタングステンに対するチタンの比率(Ti/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のチタンシリサイド膜におけるチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のタンタルシリサイド膜におけるタンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は0.5〜3.0の範囲である。
【0173】
図5Cは、本発明の第9実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0174】
同図に示すように、第9実施例に係るゲートスタックは、第1導電層411、拡散防止膜412、及び第2導電層413の順に積層された構造である。
【0175】
第1導電層411は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層411は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0176】
第2導電層413は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法(Physical Vapor Deposition)、CVD法(Chemical Vapor Deposition)及びALD法(Atomic Layer Deposition)からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0177】
拡散防止膜412は、チタンシリサイド膜412A(TiSi)、窒素含有のチタン膜412B(TiN)、窒素含有のタングステンシリサイド膜412C(WSi)、及び窒素含有のタングステン膜412D(WN)が積層されたTiSi/TiN/WSi/WN構造である。ここで、拡散防止膜は、以下に説明するように、第7実施例及び第8実施例でそれぞれ選択された物質によって様々な構造が可能である。
【0178】
第9実施例は、第7実施例及び第8実施例に係るゲート構造のアニール後の結果である。ここで、アニールは、ゲート形成後に行う様々な工程、例えば、スペーサ蒸着、層間絶縁膜蒸着などの熱を伴う工程であり得る。
【0179】
図5Cと図5Aとを比較すると、次のとおりである。
【0180】
チタンシリサイド膜412Aは、チタン膜42Aがその下の第1導電層41であるポリシリコン膜と反応して形成されたものであって、その厚さは1Å〜30Åの範囲であり、膜内のチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲である。
【0181】
窒素含有のチタン膜412Bは、チタン膜42Aが窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bから窒素の供給を受けて変化したものであって、その厚さは10Å〜100Åの範囲であり、チタンに対する窒素の比率(N/Ti)は0.7〜1.3の範囲である。図5Aのチタン膜42Aと比較すると、窒素の比率は「0」から「0.7〜1.3の範囲」に増加しえている。
【0182】
窒素含有のタングステンシリサイド膜412Cは、最初の窒素含有のタングステンシリサイド膜42Cと同じ厚さ及び組成を有する。すなわち、窒素含有のタングステンシリサイド膜412Cにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0183】
窒素含有のタングステン膜412Dは、アニール後、浸食作用(denudation)によって窒素の含有量が10%以下の水準に低減したものであって(したがって図5Cでは「WN(D)」と表記している)、厚さは20Å〜200Åの範囲であり、タングステンに対する窒素の比率(N/W)は0.01〜0.15の範囲である。図5Aの窒素含有のタングステンシリサイド膜42Cと比較すると、窒素の比率は「0.3〜1.5の範囲」から「0.01〜0.15の範囲」に低減している。
【0184】
図5Aのようにチタン膜42A上に窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bがある場合には、アニール後図5Cのように、チタン膜42A及び窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bの間の境界領域の窒素含有のタングステンシリサイド膜42Bから少量の窒素分解が発生してチタン膜42Aの上側を窒素含有のチタン膜412Bに変化させ、チタン膜42Aの下側は、ポリシリコン膜41と反応してチタンシリサイド膜412Aとなる。
【0185】
図5Bと図5Cとを比較してみると、窒素含有のチタン膜402Aは、チタンシリサイド膜412Aの反応を最小化し、且つ、窒素含有のチタン膜412Bに変化する。ここで、チタンシリサイド膜412Aの厚さは1Å〜30Åの範囲であり、窒素含有のチタン膜412Bの厚さは10Å〜100Åの範囲であり、窒素含有のチタン膜412Bにおいて、チタンに対する窒素の比率(N/Ti)は0.7〜1.3の範囲である。窒素含有のタングステンシリサイド膜412Cは、最初の窒素含有のタングステンシリサイド膜402Bと同じ厚さ及び組成を有する。すなわち、窒素含有のタングステンシリサイド膜412Cにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0186】
窒素含有のタングステン膜412Dは、窒素含有のタングステン膜402Cのアニール後の浸食作用(denudation)によって窒素の含有量が10%以下の水準に低減したものであって、厚さは20Å〜200Åの範囲であり、タングステンに対する窒素の比率(N/W)は0.01〜0.15の範囲である。
【0187】
上記のように、第9実施例に係るゲートスタックは、金属シリサイド膜及び窒素含有の金属膜の順に積層された第1拡散防止膜、窒素含有の金属シリサイド膜、及び窒素含有の金属膜の順に積層された第2拡散防止膜を備える。ここで、第1拡散防止膜は、チタンシリサイド膜412A、及び窒素含有のチタン膜412Bの積層膜であって、第2拡散防止膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜412C及び窒素含有のタングステン膜412Dの積層膜である。
【0188】
図6Aは、本発明の第10実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0189】
同図に示すように、第10実施例に係るゲートスタックは、第1導電層51、拡散防止膜52、及び第2導電層53の順に積層された構造である。
【0190】
第1導電層51は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層51は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0191】
第2導電層53は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0192】
拡散防止膜52は、チタン膜52A(Ti)、窒素含有のタングステン膜52B(WN)、窒素含有のタングステンシリサイド膜52C(WSi)、及び窒素含有のタングステン膜52D(WN)が積層されたTi/WN/WSi/WN構造である。
【0193】
拡散防止膜52について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0194】
まず、チタン膜52Aの厚さは10Å〜80Åの範囲である。
【0195】
望ましくは、チタン膜52Aの厚さは、約10Å〜約50Åである。チタン膜52Aは、前述したように限定された厚さを有するが、これは、窒素含有のタングステン膜52Bを形成するための後続のWN蒸着によりチタン膜52Aの上部の一部がTiN化され、その下部は、第1導電膜51、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTiSi膜を形成するためである。チタン膜52Aが厚いと、TiSi膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、チタン膜52Aが厚いと、チタン膜52Aがポリシリコン膜51のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜51内にポリ空乏(poly depletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0196】
窒素含有のタングステン膜52B、52Dは、タングステン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステン(W)に対する窒素(N)の比率(N/W)は0.3〜1.5の範囲である。ここで、窒素含有のタングステン膜52B、52Dは、窒化されたタングステン膜である「タングステン窒化膜」をも含む。窒素含有のタングステン膜52B、52Dは、窒素を含有することによって、後述するように、チタン膜52A及び窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cに窒素を供給する役割を果す。窒素含有のタングステン膜52B、52Dの厚さは、20Å〜200Åの範囲である。このように、窒素含有のタングステン膜52B、52Dは、窒素を含有することによってチタン膜52A及び窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cに窒素を供給する役割を果たし、アニール後に窒素を含有していない純粋なタングステン膜になるか、たとえ窒素を含有していても、極めて少量の窒素のみを含有するタングステン膜になる。
【0197】
窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cが拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cに含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cは、窒化されたタングステンシリサイド膜である「タングステンシリコン窒化膜」をも含む。窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cの厚さは、20Å〜200Åの範囲である。
【0198】
チタン膜52A、窒素含有のタングステン膜52B、及び窒素含有のタングステン膜52Dは、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着したものであって、窒素含有のタングステンシリサイド膜52CはPVD法で蒸着したものである。
【0199】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法又は反応性スパッタリング法による蒸着法である。例えば、チタン膜52Aは、チタンターゲット(Ti target)を用いたスパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステン膜52B、52Dは、タングステンターゲット(W target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cは、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。
【0200】
拡散防止膜52において、窒素含有のタングステン膜52B上に蒸着する窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cは、上述のように、反応性スパッタリング法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法を用いると、下の膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能なためである。
【0201】
上述によると、第10実施例に係るゲートスタックは、第1導電層51、Ti/WN/WSi/WN構造の拡散防止膜52及び第2導電層53で構成された構造であり、第1導電層51がポリシリコン膜であり、第2導電層53がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造である。
【0202】
特に、Ti/WN/WSi/WN構造は、第1金属膜、第2金属膜、窒素を含有する金属シリサイド膜、及び第3金属膜の順に積層された構造となるが、第1金属膜はチタン膜52A(Ti)であり、第2金属膜及び第3金属膜は窒素含有のタングステン膜52B、52Dであり、金属シリサイド膜は窒素含有のタングステンシリサイド膜52C(WSi)である。第1金属膜は、純粋金属膜であり、第2金属膜及び第3金属膜は、窒素を含有する金属膜であり、金属シリサイド膜は、窒素を含有する金属シリサイド膜である。
【0203】
第10実施例として説明した、第1金属膜、第2金属膜、窒素を含有する金属シリサイド膜、及び第3金属膜の順に積層された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0204】
第1金属膜は、チタン膜(Ti)の他にタンタル膜(Ta)であることが可能であり、第2金属膜及び第3金属膜は同一膜であって、窒素を含有するタングステン膜(WN)の他に窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)であることが可能であり、窒素を含有する金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜の他に窒素含有のチタンシリサイド膜又は窒素含有のタンタルシリサイド膜であることが可能である。タンタル膜(Ta)は、PVD法(スパッタリング法を含む)、CVD法、又はALD法で形成し、窒素含有のチタンタングステン膜は、チタンタングステン(TiW)ターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のチタンシリサイド膜は、チタンシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のタンタルシリサイド膜は、タンタルシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、タンタル膜(Ta)は、10Å〜80Åの範囲の厚さに蒸着する。
【0205】
望ましくは、タンタル膜の厚さは、約10Å〜約50Åである。タンタル膜は、前述したように限定された厚さを有するが、これは、第2金属膜を形成するための後続のWN蒸着によりタンタル膜の上部の一部がTaN化され、その下部は、第1導電膜51、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTaSi膜を形成するためである。タンタル膜が厚いと、TaSi膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、タンタル膜が厚いと、タンタル膜がポリシリコン膜51のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜51内にポリ空乏(poly depletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0206】
窒素含有のチタンタングステン膜、窒素含有のチタンシリサイド膜、及び窒素含有のタンタルシリサイド膜のそれぞれは、20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着するが、各膜内の窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜が拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜に含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。そして、窒素含有のチタンタングステン膜におけるタングステンに対するチタンの比率(Ti/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のチタンシリサイド膜におけるチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のタンタルシリサイド膜におけるタンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は0.5〜3.0の範囲である。
【0207】
図6Bは、本発明の第11実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0208】
同図に示すように、第10実施例に係るゲートスタックは、第1導電層501、拡散防止膜502、及び第2導電層503の順に積層された構造である。
【0209】
第1導電層501は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層501は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0210】
第2導電層503は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0211】
拡散防止膜502は、窒素含有のチタン膜502A(TiN)、窒素含有のタングステン膜502B(WN)、窒素含有のタングステンシリサイド膜502C(WSiN)、及び窒素含有のタングステン膜502D(WN)が積層されたTiN/WN/WSi/WN構造である。
【0212】
拡散防止膜502について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0213】
まず、窒素含有のチタン膜502A(TiN)は、チタン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、チタン(Ti)に対する窒素(N)の比率(N/Ti)が0.2〜0.8の範囲であり、厚さは10Å〜150Åの範囲である。ここで、窒素含有金属膜、すなわち、窒素含有チタン膜502Aは、その内部にSiNが生じることを防止するために、前述したようなチタン対窒素の比率を有する。TiN膜内の過度なTiが後続の熱処理の際に、ポリシリコンとTiN膜との間に形成されているSi−N結合を分解させてSiNを除去することにより、SiNの生成を防止することができる。これは、TiN結合がSiN結合より強いためである。ここで、窒素含有のチタン膜502Aは、窒化されたチタン膜である「チタン窒化膜」をも含む。
【0214】
窒素含有のタングステン膜502B、502Dは、タングステン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステン(W)に対する窒素(N)の比率(N/W)は0.3〜1.5の範囲である。ここで、窒素含有のタングステン膜502B、502Dは、窒化されたタングステン膜である「タングステン窒化膜」をも含む。窒素含有のタングステン膜502B、502Dは、窒素を含有することによって、後述するように、窒素含有のチタン膜502A及び窒素含有のタングステンシリサイド膜502Cに窒素を供給する役割を果す。窒素含有のタングステン膜502B及び窒素含有のタングステン膜502Dの厚さは、20Å〜200Åの範囲である。このように、窒素含有のタングステン膜502B、502Dは、窒素を含有することによって窒素含有のチタン膜502A及び窒素含有のタングステンシリサイド膜502Cに窒素を供給する役割を果たし、アニール後に窒素を含有していない純粋なタングステン膜になるか、たとえ窒素を含有していても、極めて少量の窒素のみを含有するタングステン膜になる。
【0215】
窒素含有のタングステンシリサイド膜502Cにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜502Cが拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜502Cに含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のタングステンシリサイド膜502Cは、窒化されたタングステンシリサイド膜である「タングステンシリコン窒化膜」をも含む。窒素含有のタングステンシリサイド膜502Cの厚さは、20Å〜200Åの範囲である。
【0216】
窒素含有のタングステン膜502B、502Dは、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着したものであって、窒素含有のチタン膜502A及び窒素含有のタングステンシリサイド膜502CはPVD法で蒸着したものである。
【0217】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法又は反応性スパッタリング法による蒸着法である。例えば、窒素含有のチタン膜502Aは、チタンターゲット(Ti target)及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステン膜502B、502Dは、タングステンターゲット(W target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。窒素含有のタングステンシリサイド膜502Cは、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。
【0218】
拡散防止膜502において、窒素含有のタングステン膜502B上に蒸着する窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cは、上述のように、反応性スパッタリング法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、タングステンシリサイドターゲット(WSi target)及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法を用いれば、下膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能なためである。
【0219】
上述によると、第11実施例に係るゲートスタックは、第1導電層501、TiN/WN/WSi/WN構造の拡散防止膜502及び第2導電層503で構成された構造であり、第1導電層501がポリシリコン膜であり、第2導電層503がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造である。
【0220】
特に、TiN/WN/WSi/WN構造は、第1金属膜、第2金属膜、窒素を含有する金属シリサイド膜、及び第3金属膜の順に積層された構造であるが、第1金属膜はチタン膜502Aであり、第2金属膜及び第3金属膜は窒素含有のタングステン膜502B及び窒素含有のタングステン膜502Dであり、金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜502C(WSi)である。第1金属膜〜第3金属膜は、窒素を含有する金属膜であって、金属シリサイド膜は、窒素を含有する金属シリサイド膜である。
【0221】
第11実施例として説明した、第1金属膜、第2金属膜、窒素を含有する金属シリサイド膜、及び第3金属膜の順に積層された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0222】
第1金属膜は、窒素含有のチタン膜の他に窒素含有のタンタル膜(TaN)であることが可能であり、第2金属膜及び第3金属膜は同一膜であって、窒素を含有するタングステン膜(WN)の他に窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)であることが可能であり、窒素を含有する金属シリサイド膜は、窒素含有のタングステンシリサイド膜の他に窒素含有のチタンシリサイド膜、又は窒素含有のタンタルシリサイド膜であることが可能である。窒素含有のタンタル膜は、PVD法(スパッタリング法を含む)、CVD法、又はALD法で形成し、窒素含有のチタンタングステン膜は、チタンタングステン(TiW)ターゲット、及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のチタンシリサイド膜は、チタンシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、窒素含有のタンタルシリサイド膜は、タンタルシリサイドターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、窒素含有のタンタル膜は、10Å〜80Åの範囲の厚さに蒸着する。窒素含有のチタンタングステン膜、窒素含有のチタンシリサイド膜、及び窒素含有のタンタルシリサイド膜は、それぞれ20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着するが、各膜内の窒素の含有量は、10%〜60%の範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜が拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のチタン又はタンタルシリサイド膜に含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。窒素含有のチタンタングステン膜におけるタングステンに対するチタンの比率(Ti/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のチタンシリサイド膜におけるチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素含有のタンタルシリサイド膜でタンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は0.5〜3.0の範囲である。
【0223】
図6Cは、本発明の第12実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0224】
同図に示すように、第12実施例に係るゲートスタックは、第1導電層511、拡散防止膜512、及び第2導電層513の順に積層された構造である。
【0225】
第1導電層511は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層511は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0226】
第2導電層513は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0227】
拡散防止膜512は、チタンシリサイド膜512A(TiSi)、窒素含有のチタン膜512B(TiN)、窒素含有のタングステン膜512C(WN)、窒素含有のタングステンシリサイド膜512D(WSi)、及び窒素含有のタングステン膜512E(WN)が積層されたTiSi/TiN/WN/WSi/WN構造である。ここで、拡散防止膜は、以下に説明するように、第10実施例及び第11実施例でそれぞれ選択された物質によって様々な構造が可能である。
【0228】
第12実施例は、第10実施例及び第11実施例に係るゲート構造のアニール後の結果である。ここで、アニールは、ゲート形成後に行う様々な工程、例えば、スペーサ蒸着、層間絶縁膜蒸着などの熱を伴う工程であり得る。
【0229】
図6Cと図6Aとを比較すると、次のとおりである。
【0230】
チタンシリサイド膜512Aは、チタン膜52Aがその下の第1導電層51であるポリシリコン膜と反応して形成されたものであって、その厚さは1Å〜30Åの範囲であり、膜内のチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲である。
【0231】
窒素含有のチタン膜512Bは、チタン膜52Aが窒素含有タングステン膜52Bによってチタン膜に変化したものであって、その厚さは10Å〜100Åの範囲であり、チタンに対する窒素の比率(N/Ti)は0.7〜1.3の範囲である。
【0232】
窒素含有のタングステン膜512C、512Eは、アニール後、浸食作用(denudation)によって窒素の含有量が10%以下の水準に低減したものであって、厚さは20Å〜200Åの範囲であり、タングステンに対する窒素の比率(N/W)は0.01〜0.15の範囲である。
【0233】
窒素含有のタングステンシリサイド膜512Dは、最初の窒素含有のタングステンシリサイド膜52Cと同じ厚さ及び組成を有する。すなわち、窒素含有のタングステンシリサイド膜512Dにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0234】
図6Cと図6Bとを比較してみると、図6Bの窒素含有のチタン膜502Aは、窒素含有のタングステン膜502Bから窒素の供給を受けてチタンシリサイド膜512Aの反応を最小化し、且つ、窒素含有のチタン膜512Bに変化する。ここで、チタンシリサイド膜512Aの厚さは1Å〜30Åの範囲であり、窒素含有のチタン膜512Bの厚さは10Å〜100Åの範囲であり、窒素含有のチタン膜512Bにおいて、チタンに対する窒素の比率(N/Ti)は0.7〜1.3の範囲である。
【0235】
窒素タングステン膜512C及び512Eは、アニール後の窒素含有のタングステン膜502B及び窒素含有のタングステン膜502Dが浸食作用(denudation)によって窒素の含有量が10%以下の水準に低減したものであって、厚さは20Å〜200Åの範囲であり、タングステンに対する窒素の比率(N/W)は0.01〜0.15の範囲である。
【0236】
窒素含有のタングステンシリサイド膜512Dは、最初の窒素含有のタングステンシリサイド膜502Cと同じ厚さ及び組成を有する。すなわち、窒素含有のタングステンシリサイド膜512Dにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0237】
上記のように、第12実施例に係るゲートスタックは、金属シリサイド膜及び第1の窒素含有の金属膜の順に積層された第1拡散防止膜と、第2の窒素含有の金属膜、窒素含有の金属シリサイド膜及び第3の窒素含有の金属膜の順に積層された第2拡散防止膜とを含む。ここで、第1拡散防止膜は、チタンシリサイド膜512A及び窒素含有のチタン膜512Bの積層膜であり、第2拡散防止膜は、窒素含有のタングステン膜512C、窒素含有のタングステンシリサイド膜512D及び窒素含有のタングステン膜512Eの積層膜である。
【0238】
上述の第1実施例〜第12実施例に係るゲートスタックにおいて、拡散防止膜は全て共通であり、窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSiN)という窒素を含有する金属シリサイド膜を含むだけでなく、Ti、W、Si、Nをも含む多重薄膜である。
【0239】
そして、窒素含有のタングステンシリサイド膜は、タングステンシリサイドスパッタリングターゲット及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタ蒸着法で蒸着する。
【0240】
このように、反応性スパッタ蒸着法の適用の際、窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSi)が蒸着されると同時に下のチタン膜(Ti)を窒化させて「TiN」に変化させる効果がある。チタン膜(Ti)上に窒素含有のタングステン膜(WN)を反応性スパッタ蒸着法で蒸着する場合にも「TiN」に変化させる効果がある。
【0241】
窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSi)は、非常に優れた非晶質拡散防止膜として作用するため、その上にタングステン膜(W)を蒸着する場合、比抵抗が15〜20μΩ−cm程度で小さく、非常に大きいグレインのタングステン膜が蒸着される。これにより、非常に低い比抵抗を有するタングステン膜の蒸着が可能であるため、タングステン膜のシート抵抗が低減する。
【0242】
結局、第1実施例〜第12実施例に係るゲートスタックは、拡散防止膜のチタン膜又は窒素含有のチタン膜が窒素含有のタングステン膜(WN)又は窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSi)の蒸着の際、「TiN」化されることにより、非常に低いコンタクト抵抗特性及びポリシリコンの空乏率の低下を実現することができ、また、拡散防止膜が窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSi)を備えることによって、非常に低いシート抵抗特性を実現することができる。
【0243】
また、第1実施例〜第12実施例に係るゲートスタックは、拡散防止膜のチタン膜又は窒素含有のチタン膜が、窒素含有のタングステン膜(WN)又は窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSi)の蒸着の際、「TiN」化されることにより、多重拡散防止膜を構成する各物質が全て窒素(N)を含有する。これで、非常に低いシート抵抗及びコンタクト抵抗を実現することができるので、ゲートスタックの高さを低くすることができる。また、下部に形成された第1導電層内にドーピングされているホウ素のような不純物の外部拡散によるポリシリコンの空乏現象を低減させる。
【0244】
図7Aは、本発明の第13実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0245】
同図に示すように、第13実施例に係るゲートスタックは、第1導電層61、拡散防止膜62、及び第2導電層63の順に積層される。
【0246】
第1導電層61は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層61は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0247】
第2導電層63は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0248】
拡散防止膜62は、チタン膜62A(Ti)、第1の窒素含有のタングステン膜62B(WN)、タングステンシリサイド膜62C(WSi)(x=1.5〜10)、第2の窒素含有のタングステン膜62D(WN)の順に積層されたTi/WN/WSi/WN構造である。
【0249】
拡散防止膜62について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0250】
まず、チタン膜62Aの厚さは10Å〜80Åの範囲である。
【0251】
望ましくは、チタン膜62Aの厚さは、約10Å〜約50Åである。チタン膜62Aは、前述したように限定された厚さを有するが、これは、窒素含有のタングステン膜62Bを形成するための後続のWN蒸着によりチタン膜62Aの上部の一部がTiN化され、その下部は、第1導電膜61、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTiSi膜を形成するためである。チタン膜62Aが厚いと、TiSi膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、チタン膜62Aが厚いと、チタン膜62Aがポリシリコン膜61のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜61内にポリ空乏(poly depletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0252】
第1の窒素含有のタングステン膜62B及び第2の窒素含有のタングステン膜62Dは、タングステン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステン(W)に対する窒素(N)の比率(N/W)は0.3〜1.5の範囲である。ここで、第1の窒素含有のタングステン膜62B及び第2の窒素含有のタングステン膜62Dは、窒化されたタングステン膜である「タングステン窒化膜」をも含む。好ましくは、第1の窒素含有のタングステン膜62B及び第2の窒素含有のタングステン膜62Dは、金属膜性質を有する。第1の窒素含有のタングステン膜62B及び第2の窒素含有のタングステン膜62Dは、窒素を含有することによって、タングステンシリサイド膜62Cに窒素を供給する役割を果す。第1の窒素含有のタングステン膜62B及び第2の窒素含有のタングステン膜62Dの厚さは、それぞれ20Å〜200Åの範囲である。このように、第1の窒素含有のタングステン膜62B及び第2の窒素含有のタングステン膜62Dは、窒素を含有することによって、タングステンシリサイド膜62Cに窒素を供給する役割を果たし、アニール後に窒素を含有していない純粋なタングステン膜になるか、窒素を含有していても、極めて少量の窒素のみを含有するタングステン膜になる。
【0253】
タングステンシリサイド膜62Cにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲である。タングステンシリサイド膜62Cの厚さは20〜100Åである。
【0254】
チタン膜62A、第1の窒素含有のタングステン膜62B及び第2の窒素含有のタングステン膜62D、並びにタングステン膜63は、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着したものであって、タングステンシリサイド膜62Cは、PVD法で蒸着したものである。
【0255】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法、又は反応性スパッタリング法による蒸着法である。したがって、チタン膜62Aは、チタンターゲットを用いたスパッタリング法で蒸着し、第1の窒素含有のタングステン膜62B及び第2の窒素含有のタングステン膜62Dは、タングステンターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、タングステンシリサイド膜62Cは、タングステンシリサイドターゲットを用いる反応性スパッタ蒸着法で蒸着する。最後に、タングステン膜63は、タングステンターゲットを用いたスパッタリング法で蒸着する。
【0256】
第13実施例に係るゲートスタックは、第1導電層61、Ti/WN/WSi/WN構造の拡散防止膜62、及び第2導電層63で構成された構造であり、第1導電層61がポリシリコン膜であり、第2導電層63がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造である。
【0257】
特に、Ti/WN/WSi/WN構造は、第1金属膜、第2金属膜、金属シリサイド膜、及び第3金属膜の順に積層された構造であるが、第1金属膜はチタン膜62A(Ti)であり、第2金属膜及び第3金属膜は窒素含有のタングステン膜62B、62Dであり、金属シリサイド膜はタングステンシリサイド膜62C(WSi)である。第1金属膜は純粋な金属膜であり、第2金属膜及び第3金属膜は窒素を含有する金属膜であり、金属シリサイド膜は純粋な金属のシリサイド膜である。
【0258】
第13実施例として説明した、第1金属膜、第2金属膜、金属シリサイド膜、及び第3金属膜の順に積層された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0259】
第1金属膜は、チタン膜(Ti)の他にタンタル膜(Ta)であることが可能であり、金属シリサイド膜は、タングステンシリサイド膜(WSi)の他にチタンシリサイド膜(TiSi、x=1.5〜10)又はタンタルシリサイド膜(TaSi、x=1.5〜10)であることが可能であり、第2金属膜及び第3金属膜は、窒素含有のタングステン膜(WN)の他に窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)であることが可能である。タンタル膜(Ta)は、PVD法(スパッタリング法を含む)、CVD法又はALD法で形成し、窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)は、チタンタングステン(TiW)ターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、チタンシリサイド膜(TiSi)は、チタンシリサイドターゲットを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、タンタルシリサイド膜(TaSi)は、タンタルシリサイドターゲットを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、タンタル膜は、10Å〜80Åの範囲の厚さに蒸着する。
【0260】
望ましくは、タンタル膜の厚さは、約10Å〜約50Åである。タンタル膜は、前述したように限定された厚さを有するが、これは、第2金属膜を形成するための後続のWN蒸着によりタンタル膜の上部の一部がTaN化され、その下部は、第1導電膜61、すなわち、ポリシリコン膜と反応してTaSi膜を形成するためである。タンタル膜が厚いと、TaSi膜の厚さも増加して、体積膨脹によるリフティングが生じ得る。また、タンタル膜が厚いと、タンタル膜がポリシリコン膜61のドーパント、例えば、リン(phosphorous)又はホウ素(boron)を吸収して、ポリシリコン膜61内にポリ空乏(poly depletion)が発生し、その結果、素子特性が低下し得る。
【0261】
窒素含有のチタンタングステン膜は、20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着する。チタンシリサイド膜及びタンタルシリサイド膜は、それぞれ20〜100Å厚さに蒸着する。窒素含有のチタンタングステン膜内の窒素の含有量は、10%〜60%の範囲である。そして、窒素含有のチタンタングステン膜におけるタングステンに対するチタンの比率(Ti/W)は0.5〜3.0の範囲であり、チタンシリサイド膜におけるチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲であり、タンタルシリサイド膜におけるタンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は0.5〜3.0の範囲である。
【0262】
上述のような拡散防止膜62において、第1の窒素含有のタングステン膜62B上に蒸着するタングステンシリサイド膜62Cは、スパッタ蒸着法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、タングステンシリサイドターゲットを用いたスパッタ蒸着法を用いると、下の膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能なためである。
【0263】
図7Bは、窒素含有のタングステン膜上にCVD法及びPVD法でタングステンシリサイドをそれぞれ蒸着した後の写真である。
【0264】
同図に示すように、窒素含有のタングステン膜(WN)上では、CVD法によって蒸着されたタングステンシリサイド(CVD法−WSi)は、うまく蒸着されておらず不均一であるが、PVD法によって蒸着されたタングステンシリサイド(PVD−WSi)は、均一に蒸着されていることが分かる。
【0265】
したがって、タングステンシリサイド上では、非常に低い比抵抗を有するタングステン膜の蒸着が可能なため、タングステン膜のシート抵抗が低減する。
【0266】
一方、第13実施例のゲートスタックにおいて、チタン膜62A上に窒素含有のタングステン膜62Bを反応性スパッタ蒸着法で蒸着する場合、チタン膜を「TiN」に変化させる効果がある。
【0267】
結局、第13実施例に係るゲートスタックは、拡散防止膜のチタン膜62Aが窒素含有のタングステン膜62B蒸着の際の「TiN」化によって非常に低いコンタクト抵抗特性及びポリシリコンの空乏率の低下を実現することができ、また、拡散防止膜がタングステンシリサイド膜(WSi)を備えることによって非常に低いシート抵抗特性を実現することができる。
【0268】
図7Cは、本発明の第14実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0269】
同図に示すように、第14実施例に係るゲートスタックは、第1導電層601、拡散防止膜602、及び第2導電層603の順に積層されている。
【0270】
第1導電層601は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層601は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0271】
第2導電層603は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0272】
拡散防止膜602は、窒素含有のチタン膜602A(TiN)、第1の窒素含有のタングステン膜602B(WN)、タングステンシリサイド膜602C(WSi、x=1.5〜10)、第2の窒素含有のタングステン膜602D(WN)の順に積層されたTiN/WN/WSi/WN構造である。
【0273】
拡散防止膜602について詳しく説明すると、次のとおりである。
【0274】
まず、窒素含有のチタン膜602A(TiN)は、チタン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、チタン(Ti)に対する窒素(N)の比率(N/Ti)は0.2〜0.8の範囲であり、厚さは10Å〜150Åの範囲である。ここで、窒素含有金属膜、すなわち、窒素含有チタン膜602Aは、その内部にSiNが生じることを防止するために、前述したようなチタン対窒素の比率を有する。TiN膜内の過度なTiが後続の熱処理の際に、ポリシリコンとTiN膜との間に形成されているSi−N結合を分解させてSiNを除去することにより、SiNの生成を防止することができる。これは、TiN結合がSiN結合より強いためである。ここで、窒素含有のチタン膜602Aは、窒化されたチタン膜である「チタン窒化膜」をも含む。
【0275】
第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602Dは、タングステン膜が一定比率の窒素を含有しているものであって、タングステン(W)に対する窒素(N)の比率(N/W)は、0.3〜1.5の範囲である。ここで、第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602Dは、窒化されたタングステン膜である「タングステン窒化膜」をも含む。第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602Dは、窒素を含有することによって、タングステンシリサイド膜602Cに窒素を供給する役割を果す。第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602Dの厚さは、20Å〜200Åの範囲である。このように、第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602Dは、窒素を含有することによって、タングステンシリサイド膜602Cに窒素を供給する役割を果たし、アニール後に窒素を含有していない純粋なタングステン膜になるか、たとえ窒素を含有していても、極めて少量の窒素のみを含有するタングステン膜になる。
【0276】
タングステンシリサイド膜602Cにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、その厚さは20〜100Åである。
【0277】
第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602D、並びにタングステン膜603は、PVD法、CVD法及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着したものであって、窒素含有のチタン膜602A及びタングステンシリサイド膜602Cは、PVD法で蒸着したものである。
【0278】
好ましくは、PVD法とは、スパッタリング法又は反応性スパッタリング法による蒸着法である。したがって、窒素含有のチタン膜602Aは、チタンターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602Dは、タングステンターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、タングステンシリサイド膜602Cは、タングステンシリサイドターゲットを用いる反応性スパッタ蒸着法で蒸着する。最後に、タングステン膜603は、タングステンターゲットを用いたスパッタリング法で蒸着する。
【0279】
第14実施例に係るゲートスタックは、第1導電層601、TiN/WN/WSi/WN構造の拡散防止膜602及び第2導電層603で構成された構造であり、第1導電層601がポリシリコン膜であり、第2導電層603がタングステン膜であるため、タングステンポリゲート構造である。
【0280】
特に、TiN/WN/WSi/WN構造は、第1金属膜、第2金属膜、金属シリサイド膜、及び第3金属膜の順に積層された構造であるが、第1金属膜は窒素含有のチタン膜602Aであり、第2金属膜及び第3金属膜は窒素含有のタングステン膜602B、602Dであり、金属シリサイド膜はタングステンシリサイド膜602Cである。第1金属膜〜第3金属膜は、窒素を含有する金属膜であり、金属シリサイド膜は、純粋な金属のシリサイド膜である。
【0281】
第14実施例のように第1金属膜、第2金属膜、金属シリサイド膜、及び第3金属膜の順に積層された多重拡散防止膜は、次のような構造であることも可能である。
【0282】
第1金属膜は、窒素含有のチタン膜の他に窒素含有のタンタル膜(TaN)であることが可能であり、金属シリサイド膜は、タングステンシリサイド膜(WSi)の他にチタンシリサイド膜(TiSi、x=1.5〜10)又はタンタルシリサイド膜(TaSi、x=1.5〜10)であることが可能であり、第2金属膜及び第3金属膜は、窒素含有のタングステン膜(WN)の他に窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)であることが可能である。窒素含有のタンタル膜は、タンタルターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で形成し、窒素含有のチタンタングステン膜(TiWN)は、チタンタングステン(TiW)ターゲット及び窒素ガスを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、チタンシリサイド膜(TiSi)は、チタンシリサイドターゲットを用いた反応性スパッタリング法で蒸着し、タンタルシリサイド膜(TaSi)は、タンタルシリサイドターゲットを用いた反応性スパッタリング法で蒸着する。そして、窒素含有のタンタル膜は、10Å〜150Åの範囲の厚さに蒸着し、窒素含有のチタンタングステン膜は、20Å〜200Åの範囲の厚さに蒸着する。チタンシリサイド膜及びタンタルシリサイド膜は、それぞれ20〜100Å厚さに蒸着する。窒素含有のチタンタングステン膜内の窒素の含有量は、10%〜60%の範囲である。そして、窒素含有のチタンタングステン膜におけるタングステンに対するチタンの比率(Ti/W)は0.5〜3.0の範囲であり、チタンシリサイド膜におけるチタンに対するシリコンの比率(Si/Ti)は0.5〜3.0の範囲であり、タンタルシリサイド膜におけるタンタルに対するシリコンの比率(Si/Ta)は0.5〜3.0の範囲である。
【0283】
上述のような拡散防止膜602において、第1の窒素含有のタングステン膜602B上に蒸着するタングステンシリサイド膜602Cは、スパッタ蒸着法などのPVD法を用いて形成する。その理由は、タングステンシリサイドターゲットを利用するスパッタ蒸着法を用いると、下の膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能なためである。
【0284】
図7Dは、本発明の第15実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【0285】
同図に示すように、第15実施例に係るゲートスタックは、第1導電層611、拡散防止膜612、及び第2導電層613の順に積層された構造である。
【0286】
第1導電層611は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層611は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜はNi、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つを含むシリサイド膜である。
【0287】
第2導電層613は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法(sputtering)を含む。
【0288】
拡散防止膜612は、チタンシリサイド膜612A(TiSi)、窒素含有のチタン膜612B(TiN)、窒素含有のタングステン膜612C(WN)、窒素含有のタングステンシリサイド膜612D(WSi)、及び窒素含有のタングステン膜612E(WN)が積層されたTiSi/TiN/WN/WSi/WN構造である。ここで、拡散防止膜は、以下に説明するように、第13実施例及び第14実施例でそれぞれ選択された物質によって様々な構造が可能である。
【0289】
第15実施例は、第13実施例及び第14実施例に係るゲート構造のアニール後の結果である。ここで、アニールは、ゲート形成後に行う様々な工程、例えば、スペーサ蒸着、層間絶縁膜蒸着などの熱を伴う工程であり得る。
【0290】
図7Dと図7Aとを比較すると、次のとおりである。
【0291】
チタンシリサイド膜612Aは、チタン膜62Aが下の第1導電層61のポリシリコン膜と反応して形成されたものであって、その厚さは1Å〜30Åの範囲であり、膜内のチタンとシリコンの比率は0.5〜3.0の範囲である。
【0292】
窒素含有のチタン膜612Bは、チタン膜62Aが第1の窒素含有のタングステン膜62Bによって窒素含有のチタン膜に変化したものであって、その厚さは10Å〜100Åの範囲であり、チタンに対する窒素の比率(N/Ti)は0.6〜1.2の範囲である。
【0293】
窒素含有のタングステン膜612C、612Eは、アニール後の浸食作用によって窒素の含有量が10%以下の水準に低減したものであって、厚さは20Å〜200Åの範囲であり、タングステンに対する窒素の比率(N/W)は0.01〜0.15の範囲である。
【0294】
窒素含有のタングステンシリサイド膜612Dは、第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602Dで窒素が分解されてタングステンシリサイド膜602Cが窒素含有のタングステンシリサイド膜に変化したものである。窒素含有のタングステンシリサイド膜612Dにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。
【0295】
図7Dと図7Cとを比較してみると、図7Cの窒素含有のチタン膜602Aは、第1の窒素含有のタングステン膜602Bから窒素の供給を受けてチタンシリサイド膜612Aの反応を最小化し、且つ、窒素含有のチタン膜612Bに変化する。ここで、チタンシリサイド膜612Aの厚さは1Å〜30Åの範囲であり、窒素含有のチタン膜612Bの厚さは10Å〜100Åの範囲であり、窒素含有のチタン膜612Bにおいて、チタンに対する窒素の比率(N/Ti)は0.7〜1.3の範囲である。
【0296】
窒素含有のタングステン膜612C、612Eは、アニール後の第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602Dが、それぞれ浸食作用(denudation)によって窒素の含有量が10%以下の水準に低減したものであって、それぞれの厚さは20Å〜200Åの範囲であり、タングステンに対する窒素の比率(N/W)は0.01〜0.15の範囲である。
【0297】
窒素含有のタングステンシリサイド膜612Dは、第1の窒素含有のタングステン膜602B及び第2の窒素含有のタングステン膜602Dにおいて、窒素が分解されてタングステンシリサイド膜602Cが窒素含有のタングステンシリサイド膜に変化したものである。窒素含有のタングステンシリサイド膜612Dにおいて、タングステンに対するシリコンの比率(Si/W)は0.5〜3.0の範囲であり、窒素の含有量は10%〜60%の範囲であり、厚さは20Å〜200Åの範囲である。ここで、窒素含有量は、前述したように適切に調整される。窒素含有量が極めて低いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜612Dが拡散防止膜の役割を果たさないため、界面反応が生じ得る。それに対し、窒素含有量が極めて高いと、窒素含有のタングステンシリサイド膜612Dに含まれたSiN含有量が多くなって、コンタクト抵抗が高くなり、その結果、素子特性が低下し得る。
【0298】
上記のように、第15実施例に係るゲートスタックは、金属シリサイド膜及び第1の窒素含有の金属膜の順に積層された第1拡散防止膜と、第2の窒素含有の金属膜、窒素含有の金属シリサイド膜及び第3の窒素含有の金属膜の順に積層された第2拡散防止膜とを含む。ここで、第1拡散防止膜は、チタンシリサイド膜612A及び窒素含有のチタン膜612Bの積層膜であり、第2拡散防止膜は、窒素含有のタングステン膜612C、窒素含有のタングステンシリサイド膜612D、及び窒素含有のタングステン膜612Eの積層膜である。
【0299】
第1実施例〜第15実施例に係る拡散防止膜は、DRAM素子の他にフラッシュメモリ(flash memory)素子の制御ゲート(control gate electrode)、及び様々なロジック(logic)素子のゲート電極(gate electrode)にも適用可能である。
【0300】
図8は、本発明の第16実施例に係るゲートスタック構造を示す図であって、フラッシュメモリ素子のゲートスタック構造である。
【0301】
同図に示すように、半導体基板701上に、ゲート絶縁膜に該当するトンネル酸化膜702(tunnel oxide)が形成され、トンネル酸化膜702上に、フローティングゲート(floating gate)用のポリシリコン電極703(FG)が形成される。
【0302】
フローティングゲート用のポリシリコン電極703上に誘電膜704が形成され、誘電膜704上に制御ゲート用のポリシリコン電極705(CG)が形成される。
【0303】
制御ゲート用のポリシリコン電極705上に第1実施例〜第15実施例の中から選択されたいずれか1つの拡散防止膜706が形成される。図8では、拡散防止膜706は、第1実施例に係るTi/WN/WSi拡散防止膜であって、チタン膜706A(Ti)、窒素含有のタングステン膜706B(WN)、及び窒素含有のタングステンシリサイド膜706C(WSi)の順に積層された構造である。
【0304】
拡散防止膜706上にタングステン電極707(W)及びハードマスク膜708(H/M)が積層される。
【0305】
図8に係る拡散防止膜706を有するフラッシュメモリ素子のゲートスタックも低いシート抵抗、低いコンタクト抵抗特性を有する。
【0306】
そして、本発明は、ゲート電極の他に拡散防止膜を備える様々な金属配線(ビット線、メタル線、キャパシタ電極など)にも適用可能である。
【0307】
そして、本発明は、拡散防止膜下にN型不純物がドーピングされているポリシリコン膜が位置し、拡散防止膜上にタングステン膜が位置する第1ゲートスタックと、拡散防止膜下にP型不純物がドーピングされたポリシリコン膜が位置して拡散防止膜上にタングステン膜が位置する第2ゲートスタックとで構成されてデュアルポリゲートを形成する半導体素子のゲートスタックにも適用可能である。
【0308】
図9は、本発明の実施例に係る拡散防止膜の種類によるタングステン膜のシート抵抗(Rs)特性を比較して示す図である。ここで、タングステン膜は、40nmの厚さの場合を仮定している。
【0309】
同図に示すように、Ti/WN上に追加としてWSi/WNを適用する場合(Ti/WN/CVD法−WSi/WN、Ti/WN/PVD−WSi/WN)及びWSiを適用する場合(Ti/WN/WSi)に、タングステン膜のシート抵抗が再び低減する特徴があることが実験的に確認できた。ただし、WN上に蒸着するWSiは、CVD法でなくスパッタ蒸着法などのPVD法を用いなければならないが、これは、WN上には、CVD法−WSiがうまく成長(growth)しないからである。WSiの形成には、タングステンシリサイドターゲット及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法を用いなければならない。
【0310】
図9において、Ti/WN/CVD法−WSi/WN、Ti/WN/PVD−WSi/WN及びTi/WN/WSiにおけるタングステン膜のシート抵抗(Rs)値を比較すると、Ti/WN/PVD−WSi/WN及びTi/WN/WSiを適用する場合にのみ、上部タングステン膜のシート抵抗(Rs)がWSi/WNのみを用いる場合と同じく低かった。CVD法−WSiを用いる場合は、CVD法−WSiがWNx上で均一に成長せず、凝集(agglomeration)が発生してシート抵抗を高めるのである。これに対し、WSiスパッタリングターゲットを用いたスパッタ蒸着法又は反応性スパッタ蒸着法を用いると、下の膜の種類に関らず、均一な蒸着が可能なため、タングステン膜のシート抵抗を低くする。
【0311】
図10A〜図10Cは、図3Aに示す第1実施例に係るゲートスタックを用いるゲートパターニング法を説明するための断面図である。ここで、図3Aを用いて説明された同じ構成要素に関しては、同じ図面符号を用い、これらに関する詳しい説明は省略する。
【0312】
図10Aに示すように、素子分離膜、ウェル及びチャネル形成のためのイオン注入(well&channel implantation)が行われた半導体基板800上にゲート絶縁膜801を形成する。
【0313】
続いて、ゲート絶縁膜801上に第1導電層21、拡散防止膜22、及び第2導電層23を形成する。
【0314】
第1導電層21は、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。第1導電層21は、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜は、Ni、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つが含まれたシリサイド膜である。
【0315】
拡散防止膜22は、チタン膜22A(Ti)、窒素含有のタングステン膜22B(WN)、及び窒素含有のタングステンシリサイド膜22C(WSi)が積層されたTi/WN/WSi構造である。
【0316】
第2導電層23は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは、100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法、及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法を含む。
【0317】
続いて、第2導電層23上にハードマスク膜802を形成するが、ハードマスク膜802は省略することができる。ハードマスク膜802は、シリコン窒化膜(Si)であり得る。
【0318】
続いて、ゲートパターニング工程を行う。
【0319】
まず、感光膜を用いるゲートマスク(図示せず)をエッチングバリアとしてハードマスク膜802、第2導電層23、及び拡散防止膜22をエッチングし、第1導電層21の一部のみをエッチングする1次ゲートパターニングを行う。
【0320】
図10Bに示すように、ゲートマスクを除去した後、第2導電層(すなわち、タングステン膜)23と拡散防止膜22との不均一なエッチング及び酸化を防止するプリスペーサ(pre−spacer)工程を行う。例えば、プリスペーサとしては、シリコン窒化膜803(Si)を蒸着する。
【0321】
図10Cに示すように、シリコン窒化膜803と、残留していたポリシリコン膜21とをエッチングする2次ゲートパターニングを行う。このとき、2次ゲートパターニングの際のシリコン窒化膜803は、エッチバック(etch back)のドライエッチングを用い、ポリシリコン膜21のエッチングは、シリコン窒化膜803をエッチングバリアとして用いて行う。エッチングの結果としてパターニングされたポリシリコン膜21Aが形成される。
上記のような1次ゲートパターニング、及び2次ゲートパターニングによって、ゲートスタックの側壁にはシリコン窒化膜スペーサ803Aが形成される。
【0322】
上述のようなプリスペーサ適用を用いる1次ゲートパターニング及び2次ゲートパターニング工程は、第2実施例〜第15実施例に係るゲートスタックを適用する場合にも適用可能である。
【0323】
図11は、図3Aに示す第1実施例に係るゲートスタックを用いるゲートパターニング法の他の例を説明するための断面図である。ここで、図10A〜図10Cにおいて、説明された同じ構成要素に関しては、同じ図面符号を用い、これらに関する詳しい説明は省略する。
【0324】
同図に示すように、素子分離膜、ウェル及びチャネル形成のためのイオン注入が行なわれた半導体基板800上にゲート絶縁膜801を形成する。
【0325】
続いて、ゲート絶縁膜801上に、第1導電層、拡散防止膜、第2導電層、及びハードマスクを形成し、ゲートパターニング工程を行ってパターニングされた第1導電層21B、拡散防止膜22、第2導電層23、及びハードマスク802を形成する。ゲートパターニング工程は、感光膜を用いるゲートマスク(図示せず)をエッチングバリアとしてハードマスク膜、第2導電層、拡散防止膜、及び第1導電層を同時にエッチングする。すなわち、プリスペーサを用いる2段階のエッチング法のゲートパターニングの代わりに、プリスペーサを用いることなく一度でエッチングするゲートパターニング法を用いる。
【0326】
上述のようなプリスペーサの適用のないゲートパターニング工程は、第2実施例〜第15実施例に係るゲートスタックを適用する場合にも適用可能である。
【0327】
パターニングされた第1導電層21Bは、P型不純物(例えば、ホウ素)又はN型不純物(例えば、リン(phosphorous))が高濃度にドーピングされたポリシリコン膜(Poly−Si)である。パターニングされた第1導電層21Bは、ポリシリコン膜の他にポリシリコンゲルマニウム膜(PolySi1−xGe、x=0.01〜1.0)又はシリサイド膜であることが可能である。例えば、シリサイド膜は、Ni、Cr、Co、Ti、W、Ta、Hf、Zr及びPtからなる群の中から選択されたいずれか1つが含まれたシリサイド膜である。
【0328】
パターニングされた拡散防止膜22は、チタン膜22A(Ti)、窒素含有のタングステン膜22B(WN)、及び窒素含有のタングステンシリサイド膜22C(WSi)が積層されたTi/WN/WSi構造である。
【0329】
パターニングされた第2導電層23は、タングステン膜(W)である。タングステン膜の厚さは、100Å〜2000Åの範囲であり、PVD法、CVD法及びALD法からなる群の中から選択されたいずれか1つの蒸着法で蒸着する。ここで、PVD法は、タングステンターゲット(W target)を用いたスパッタリング法を含む。
【0330】
ここでは、パターニングされた第2導電層23上にハードマスク802を形成するが、ハードマスク形成802は省略することができる。ハードマスク802は、シリコン窒化膜(Si)であり得る。
【0331】
上述の本発明は、Ti、W、Si、Nを含む多重薄膜又は各薄膜が窒素を含有する多重薄膜で構成された拡散防止膜をタングステン膜とポリシリコン膜との間の拡散防止膜で適用することによって、Poly−Si/WN/W及びPoly−Si/WN/WSi/Wなどとは、ほぼ同じ水準の非常に低いシート抵抗(Rs)特性を実現することができるため、ゲートスタックの高さを低くすることができ、工程の統合(process integration)が容易であるという効果がある。
【0332】
また、ホウ素の浸透(boron penetration)又はホウ素の外部拡散(boron out−diffusion)の抑制によるポリシリコンの空乏現象(p poly depletion effect)が低減し、且つ、PMOSFET動作電流が増加する効果を実現することもできる。
【0333】
また、充分に小さいタングステン膜とポリシリコン膜との間のコンタクト抵抗(Rc)特性を有するため、高速動作素子の製作が可能であるという長所がある。
【0334】
結果的に、本発明は、高速(high−speed)、高密度(high−density)、低電力(low power)のメモリ素子を実現するためのタングステンポリゲートの形成方法において、Ti、W、Si、Nの含まれた多重薄膜、又は各薄膜が窒素を含有する多重薄膜で構成された拡散防止膜を用いることによって、低いシート抵抗(Low Rs)、低いコンタクト抵抗(Low Rc)及びポリシリコンの空乏現象の低減(Low PDE)を同時に全て満足させ得る最も優れた拡散防止膜である。
【0335】
尚、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0336】
【図1A】従来技術に係るタングステンポリゲートのゲートスタック構造を示す図である。
【図1B】従来技術に係るタングステンポリゲートのゲートスタック構造を示す図である。
【図1C】従来技術に係るタングステンポリゲートのゲートスタック構造を示す図である。
【図2A】拡散防止膜の種類によるタングステンとポリシリコンとの間のコンタクト抵抗を比較した図である。
【図2B】ゲートスタックのホウ素の濃度の深さ方向の分布形状を示す図である。
【図2C】拡散防止膜の種類によるタングステンのシート抵抗を比較した図である。
【図3A】本発明の第1実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図3B】窒素含有のタングステン膜上に物理気相成長法(PVD)で窒素含有のタングステンシリサイド膜が形成された状態の写真である。
【図3C】本発明の第2実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図3D】本発明の第3実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図3E】アニール後の結果を示す写真である。
【図4A】本発明の第4実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図4B】本発明の第5実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図4C】本発明の第6実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図5A】本発明の第7実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図5B】本発明の第8実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図5C】本発明の第9実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図6A】本発明の第10実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図6B】本発明の第11実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図6C】本発明の第12実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図7A】本発明の第13実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図7B】窒素含有のタングステン膜上に化学気相蒸着法(CVD法)及び物理気相成長法(PVD)でタングステンシリサイドをそれぞれ蒸着した後の写真である。
【図7C】本発明の第14実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図7D】本発明の第15実施例に係るゲートスタックの構造を示す図である。
【図8】本発明の第16実施例に係るゲートスタック構造を示す図である。
【図9】本発明の実施例に係る拡散防止膜の種類によるタングステン電極のシート抵抗(Rs)特性を比較して示す図である。
【図10A】図3Aに示す第1実施例に係るゲートスタックを用いるゲートパターニング法を説明するための断面図である。
【図10B】図3Aに示す第1実施例に係るゲートスタックを用いるゲートパターニング法を説明するための断面図である。
【図10C】図3Aに示す第1実施例に係るゲートスタックを用いるゲートパターニング法を説明するための断面図である。
【図11】図3Aに示す第1実施例に係るゲートスタックを用いるゲートパターニング法の他の例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0337】
21、201、211、31、301、311、41、401、411、51、501、511、61,601、611 第1導電層
22、202、212、32、302、312、42、402、412、52、502、512、62、602、612 拡散防止膜
22A、32A、42A、52A、62A、706A チタン膜(Ti)
22B、202B、212C、42C、402C、412D、52B、52D、502B、502D、512C、512D、62B、62D、602B、602D、612C、612E、706B 窒素含有のタングステン膜(WN
22C、202C、212D、32B、302B、312C、42B、402B、412C、52C、502C、512D、612D、706C 窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSi
23、203、213、33、303、313、43、403、413、53、503、513、63、603、613 第2導電層
212A、312A、412A、512A、612A チタンシリサイド膜(TiSi
202A、212B、302A、312B、402A、412B、502A、512B、602A、612B 窒素含有のチタン膜(TiN
62C、602C タングステンシリサイド膜(WSi
701、800 半導体基板
702 トンネル酸化膜
703 フローティングゲート用のポリシリコン電極
704 誘電膜
705 制御ゲート用のポリシリコン電極
706 拡散防止膜
707 タングステン電極
708、802 ハードマスク膜
801 ゲート絶縁膜
803 シリコン窒化膜
803A シリコン窒化膜スペーサ
21A パターニングされたポリシリコン膜
21B パターニングされた第1導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1導電層を形成するステップと、
該第1導電層上に、少なくとも第1金属膜及び窒素含有の金属シリサイド膜を含む積層構造で拡散防止膜を形成するステップと、
該拡散防止膜上に第2導電層を形成するステップと
を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記拡散防止膜が、
前記第1金属膜、第2金属膜、及び前記窒素含有の金属シリサイド膜の順に積層されて形成された膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記拡散防止膜が、
前記第1金属膜、前記窒素含有の金属シリサイド膜、及び第2金属膜の順に積層されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記拡散防止膜が、
前記第1金属膜、第2金属膜、前記窒素含有の金属シリサイド膜、及び第3金属膜の順に積層されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1金属膜が、純粋な金属膜又は窒素を含有する金属膜で形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記純粋金属膜が、チタン膜又はタンタル膜であり、
前記窒素含有金属膜が、窒素含有のチタン膜又は窒素含有のタンタル膜であることを特徴とする請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記純粋金属膜の厚さが、10Å〜50Åの範囲であることを特徴とする請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項8】
前記窒素を含有する金属膜において、金属元素(M)に対する窒素(N)の比率(N/M)が、0.2〜0.8の範囲であることを特徴とする請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項9】
前記第2金属膜が、窒素含有のタングステン膜又は窒素含有のチタンタングステン膜で形成されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項10】
前記第3金属膜が、窒素含有のタングステン膜又は窒素含有のチタンタングステン膜で形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項11】
前記窒素含有の金属シリサイド膜が、
金属シリサイドスパッタリングターゲット及び窒素ガス(N)を用いた反応性スパッタリング法によって蒸着されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項12】
前記窒素含有の金属シリサイド膜が、
窒素含有のタングステンシリサイド膜(WSiN)、窒素含有のチタンシリサイド膜(TiSiN)、及び窒素含有のタンタルシリサイド膜(TaSiN)からなる群の中から選択されたいずれか1つの膜であることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子。
【請求項13】
前記窒素含有の金属シリサイド膜が、
膜内窒素比率が10%〜60%の範囲であり、金属元素(M)に対するシリコン(Si)の比率(Si/M)が0.5〜3.0の範囲であることを特徴とする請求項12に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項14】
前記第1導電層が、ポリシリコン膜、ポリシリコンゲルマニウム膜、及びシリサイド膜からなる群の中から選択されたいずれか1つであり、
前記第2導電層がタングステン膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法
【請求項15】
基板上に第1導電層を形成するステップと、
該第1導電層上に、第1金属膜、第2金属膜、金属シリサイド膜及び第3金属膜の順に積層された拡散防止膜を形成するステップと、
該拡散防止膜上に第2導電層を形成するステップと
を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項16】
前記金属シリサイド膜が、
反応性スパッタリング法によって蒸着されることを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項17】
前記金属シリサイド膜が、
タングステンシリサイド膜、チタンシリサイド膜、及びタンタルシリサイド膜からなる群の中から選択されたいずれか1つの膜であることを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項18】
前記第1金属膜、第2金属膜、及び第3金属膜が、窒素を含有する金属膜であることを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項19】
前記第2金属膜及び第3金属膜が、窒素を含有するタングステン膜又は窒素を含有するチタンタングステン膜であることを特徴とする請求項18に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項20】
前記窒素を含有するタングステン膜が、窒素含有量が10%〜60%の範囲であり、膜内のタングステン(W)に対する窒素(N)の比率(N/W)が0.3〜1.5の範囲であることを特徴とする請求項19に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項21】
前記第1金属膜が、膜内の金属元素(M)に対する窒素(N)の比率(N/M)が0.2〜0.8の範囲であることを特徴とする請求項18に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項22】
前記第1金属膜が、窒素を含有するチタン膜又は窒素を含有するタンタル膜であることを特徴とする請求項18に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項23】
前記第1金属膜が、チタン膜又はタンタル膜であることを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項24】
前記第1導電層が、ポリシリコン膜、ポリシリコンゲルマニウム膜、及びシリサイド膜からなる群の中から選択されたいずれか1つであり、
前記第2導電層がタングステン膜であることを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図3B】
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【図3E】
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【図7B】
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【公開番号】特開2008−166797(P2008−166797A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335547(P2007−335547)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】