説明

平板表示装置およびその製造方法

【課題】高画質であって、フレキシビリティーが高く、かつ耐屈曲性の高い平板表示装置を提供すること。
【解決手段】基板にマトリクス状に配置された複数の画素を備える平板表示装置であって、前記複数の画素はそれぞれ、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むチャネル領域を有する薄膜トランジスタ、および前記薄膜トランジスタにより駆動される表示素子を含み、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブの軸方向は、チャネル領域のソース−ドレイン方向と同方向であり、ソース−ドレイン方向と交わるように屈曲される平板表示装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平板表示装置、より具体的にはフレキシブルな平板表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL表示装置や液晶表示装置などの平板表示装置は、薄型化および小型化が求められているだけでなく、持ち運びが容易となるように、折り曲げられたり丸められたりすることができる性質(フレキシビリティー)が求められている。
【0003】
一方、平板表示装置は高画質化も求められている。高画質を得るために、各画素に駆動用トランジスタを組み込んだアクティブ駆動方式が採用されうる。アクティブ駆動方式を採用する平板表示装置のフレキシビリティーを高めるためには、各画素に含まれる駆動用トランジスタのフレキシビリティーをも高めることが好ましい。
【0004】
アクティブ駆動方式の駆動用またはスイッチング用トランジスタとして薄膜トランジスタ(TFT)が広く用いられている。現在、代表的な薄膜トランジスタはアモルファスシリコン薄膜トランジスタなどである。一方、有機半導体材料を用いた有機薄膜トランジスタはフレキシビリティーが高いため、有機半導体材料の開発が進められている。例えば近年、有機半導体材料としてペンタセンが見いだされた。しかしながら、ペンタセンを用いた半導体であっても電気移動度は1〜3cm/(Vs)程度であり、市場からは電気移動度10cm/(Vs)以上の半導体が望まれており、有機薄膜トランジスタの性能は十分ではない場合がある。
【0005】
また駆動用トランジスタを、ナノ粒子からなるチャネル領域を有する薄膜トランジスタとした、有機電界発光表示装置も知られている(特許文献1参照)。ナノ粒子からなるチャネル領域を有する薄膜トランジスタは常温でも製造可能であることから、熱に弱い材料であるプラスチック製品をトランジスタの基板などに用いることができると報告されている。
【0006】
ナノ粒子、たとえばカーボンナノチューブやシリコンナノワイヤの電気移動度は、アモルファスシリコンの電気移動度と匹敵しうる。よって、ナノ粒子を含むチャネル領域を有する薄膜トランジスタは、アモルファスシリコン薄膜トランジスタの性能に匹敵しうる。例えば、シリコンナノワイヤ電界効果トランジスタの平均移動度を30〜560cm/(Vs)とすることができると報告されている(非特許文献1参照)。しかしながら一般的に、チャネル領域におけるナノ粒子の配列を制御することは困難である。
【0007】
一方、電解溶液の高分子フィルムへの濡れ性は、電解溶液と高分子フィルムとの間に電位差を与えることで制御されうることが知られている(非特許文献2参照)。これは、エレクトロウェッティングと称される原理による。
【特許文献1】特開2005−244240号公報
【非特許文献1】NANO LETTERS 2003 Vol. 3, No. 2 149-152
【非特許文献2】Polymer Vol.37 No.12, pp.2465-2470, 1996
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高画質であって、フレキシビリティーが高く、かつ耐屈曲性の高い平板表示装置を提供することである。
本発明者は、ナノワイヤを含むチャネル領域を有し、当該ナノワイヤの軸方向がソース−ドレイン方向と同方向に配置された薄膜トランジスタは、ナノワイヤの軸方向(つまりソース−ドレイン方向)と交わるように屈曲されても、破壊されにくいことを見出した。この知見をフレキシブルな平板表示装置に適用することで、本発明を完成させた。
【0009】
さらに本発明者は、所定の方向に配列されたナノワイヤを含有するペーストを、エレクトロウェッティングと称される原理を用いて印刷版から基板に転写すれば、前記配列の方向が維持されたままナノワイヤを基板に配置することができることを見出した。この知見を、薄膜トランジスタのチャネル領域の形成に適用することで、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の第一は、以下に示す平板表示装置に関する。
[1]基板にマトリクス状に配置された複数の画素を備える平板表示装置であって、
前記複数の画素はそれぞれ、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むチャネル領域を有する薄膜トランジスタ、および前記薄膜トランジスタにより駆動される表示素子を含み、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブの軸方向は、チャネル領域のソース−ドレイン方向と同方向であり、前記ソース−ドレイン方向と交わるように屈曲される平板表示装置。
[2]前記ナノワイヤは、シリコンナノワイヤまたはゲルマニウムナノワイヤである、[1]に記載の平板表示装置。
[3]前記ナノチューブは、カーボンナノチューブである、[1]に記載の平板表示装置。
[4]前記複数の画素それぞれに含まれる薄膜トランジスタのチャネル領域のソース−ドレイン方向は、それぞれ同一の方向に配置されている、[1]〜[3]のいずれかに記載の平板表示装置。
[5]前記薄膜トランジスタは、その上に前記チャネル領域を形成された絶縁層、前記チャネル領域によって互いに接続されたソース電極およびドレイン電極、ならびに前記チャネルに流れる電流を制御するゲート電極を含み、前記絶縁層は有機絶縁材料からなる、[1]〜[4]のいずれかに記載の平板表示装置。
[6]有機EL表示装置である、[1]〜[5]のいずれかに記載の平板表示装置。
[7]液晶表示装置である、[1]〜[5]のいずれかに記載の平板表示装置。
【0011】
本発明の第二は、以下に示す平板表示装置の製造方法に関する。
[8][1]に記載の平板表示装置の製造方法であって、
チャネルとなる領域を含む基板を準備するステップ;印刷版に塗布された、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むペーストを準備するステップであって、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブは、所望の方向に配列されているステップ;および互いに接近させた前記チャネルとなる領域と前記ペーストとの間に、電位差を印加して前記ペーストの濡れ性を上げて、前記ペーストを前記印刷版から前記チャネルとなる領域に転写するステップであって、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブの軸方向は、チャネル領域のソース−ドレイン方向と同方向に配列されるステップ、を含む製造方法。
[9]前記印刷版に塗布されたペーストに含まれるナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブは、電界によって所望の方向に配列される、[8]に記載の製造方法。
[10]前記チャネルとなる領域は有機絶縁層上にある、[8]または[9]に記載の製造方法。
[11]前記印刷版は凸版印刷版であって、かつ前記凸版印刷版の凸部表面には前記所望の方向にヘアラインが形成されている、[8]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]前記印刷版はグラビア印刷版である、[8]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[13]前記印刷版は、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むパターン化されたペーストを転写されるブランケットである、[8]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[14]前記ペーストは有機絶縁材料をさらに含む、[8]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
【0012】
本発明の第三は、以下に示す薄膜トランジスタの製造方法に関する。
[15]ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むチャネル領域を有し、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブの軸方向は、前記チャネル領域のソース−ドレイン方向と同方向である薄膜トランジスタの製造方法であって、
チャネルとなる領域を含む基板を準備するステップ;印刷版に塗布された、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むペーストを準備するステップであって、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブは、所望の方向に配列されているステップ;および互いに接近させた前記チャネルとなる領域と前記ペーストとの間に、電位差を印加して前記ペーストの濡れ性を上げて、前記ペーストを前記印刷版から前記チャネルとなる領域に転写するステップであって、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブの軸方向は、チャネル領域のソース−ドレイン方向と同方向に配列されるステップ、を含む製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の平板表示装置は、ナノワイヤなどを含むチャネル領域を有し、電気移動度の高い薄膜トランジスタを具備するため、高画質化が達成されうる。さらに本発明の平板表示装置は、薄膜トランジスタのチャネル領域に含まれるナノワイヤなどの軸方向と交わるように屈曲される(つまり、チャネル領域のソース−ドレイン方向と交わるように屈曲される)ので、フレキシビリティーが高く、屈曲により破壊されにくい。よって、本発明の平板表示装置は、例えばロールスクリーンなどに適用されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1.本発明の平板表示装置
本発明の平板表示装置は、基板にマトリクス状に配置された複数の画素を備え、かつ各画素に駆動用薄膜トランジスタが組み込まれた、アクティブ型と称される表示装置でありうる。基板に配置される画素数は特に制限されず、所望する表示装置の性能に応じて適宜決めればよい。平板表示装置の例には、有機EL表示装置や液晶表示装置が含まれる。
【0015】
本発明の平板表示装置はフレキシビリティーを有し、屈曲可能でありうるので、画素が配置される基板の材料は、フレキシビリティーのある材料であることが好ましい。フレキシビリティーのある材料の例にはプラスチック材料が含まれ、プラスチック材料の例にはアクリル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが含まれる。
【0016】
基板に配置される画素はそれぞれ、薄膜トランジスタ(TFT)と、当該薄膜トランジスタによって駆動される表示素子を含む。表示素子を駆動する薄膜トランジスタの数は、2または4個以上であることが好ましい。また各画素は、表示素子を駆動する薄膜トランジスタ以外に、他の薄膜トランジスタを有していてもよい。他の薄膜トランジスタの例には、スイッチング薄膜トランジスタや、非発光領域のドライバに含まれる薄膜トランジスタなどが含まれる。
【0017】
各画素に含まれる薄膜トランジスタは、特に制限されないが、1)絶縁層、2)前記絶縁層上に配置されたチャネル領域、3)前記チャネル領域によって互いに接続されたソース電極とドレイン電極、4)前記チャネルに流れる電流を制御するゲート電極を含みうる。ゲート電極は、前記絶縁層を介してチャネル領域付近に配置されることが好ましい。
【0018】
薄膜トランジスタは、トップコンタクト型もしくはボトムコンタクト型、または、ボトムコンタクト型とトップコンタクト型との組み合わせ、その他の型のトランジスタであってもよい。ボトムコンタクト型であれば、配線が容易になりうる。
【0019】
薄膜トランジスタに含まれる絶縁層は、酸化ケイ素または窒化ケイ素などの無機絶縁材料からなる層であってもよいが、より高いフレキシビリティーを有する有機絶縁材料からなる層であることが好ましい。有機絶縁材料の例には、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂などが含まれる。
【0020】
チャネル領域は、絶縁層上に配置されていればよく、半導体活性層を形成している。より具体的にチャネル領域は、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブ(以下、これらを総称して「ナノワイヤなど」とも称する)を含み、かつナノワイヤなどの軸方向がソース−ドレイン方向と同方向に配置されていることを特徴とする。「軸方向」とは「長手方向」を意味し、「ソース−ドレイン方向」とは「ソース電極とドレイン電極を接続する方向」を意味する。
【0021】
ナノワイヤなどの軸方向と、ソース−ドレイン方向とは同じ方向であればよく、平行であってもよいが、必ずしも厳密な意味での平行である必要はなく、ある程度の傾きのずれがあっても構わない。例えば、ナノワイヤなどの軸方向と、ソース−ドレイン方向とのずれが、45°未満であればよく、好ましくは30°以下であればよい。
【0022】
また、必ずしも全ての薄膜トランジスタのナノワイヤの軸方向がソース−ドレイン方向と同じ方向にある必要はなく、全ての薄膜トランジスタのナノワイヤなどの軸方向とソース−ドレイン方向とのずれの平均値が、45°未満であればよく、30°以下であれば好ましい。
【0023】
チャネル領域に含まれるナノワイヤなどは、P型であってもN型であっても構わない。ナノワイヤの例には、シリコンナノワイヤ、窒化ガリウムナノワイヤ、ゲルマニウムナノワイヤ、インジウムリンナノワイヤ、酸化亜鉛ナノワイヤなどが含まれる。ナノリボンの例には、硫化カドニウムナノリボンなどが含まれる。ナノロッドの例には、酸化亜鉛ナノロッドなどが含まれる。ナノチューブの例には、カーボンナノチューブが含まれる。
【0024】
これらのうちナノワイヤまたはナノチューブが好ましく、シリコンナノワイヤ、ゲルマニウムナノワイヤまたはカーボンナノチューブがより好ましい。電気移動度が高く、かつ絶縁層上に一定の方向に配列させやすいからである。
【0025】
チャネル領域には、1または2本以上のナノワイヤなどが含まれるが、1本であっても電気移動度の点からは充分であり得る。チャネルに含まれるナノワイヤなどは、自己組織化膜(SAM:Self Assemble Monolayer)で覆われていてもよい。また、ナノワイヤなどの表面は、欠陥パッシベーションされていてもよい。欠陥パッシベーションは、NANO LETTERS 2003 Vol. 3, No. 2 149-152などを参照して行えばよい。
【0026】
チャネル領域には、ナノワイヤなどに加えて、絶縁体材料が含まれていてもよく、チャネル領域は膜状にされていてもよい。絶縁体材料は有機絶縁体材料であることが好ましい。
【0027】
チャネル領域は、ソース電極とドレイン電極によって電気的に接続される。ソース電極およびドレイン電極は、導電性金属または導電性ポリマーなどで形成されうる。導電性金属の例にはモリブデンMo、タングステンW、アルミニウムAl、クロムCr、チタンTi、およびこれらの合金などが含まれる。ソース電極およびドレイン電極は、異なる種類の金属の多層金属膜であってもよい。
【0028】
ソース電極またはドレイン電極とチャネル領域に含まれるナノワイヤなどのコンタクトを、熱アニールにより高めてもよい。また、チャネル領域に含まれるナノワイヤなどは、ソース電極またはドレイン電極とオーミックコンタクトされていてもよい。オーミックコンタクトは、例えば電極とナノワイヤの重なりをプラズマ処理することにより達成される。
【0029】
ゲート電極は、チャネル領域を流れる電流、つまりソース−ドレイン電流を制御できるように配置されていればよい。好ましくは、前記絶縁層の、チャネル領域が配置された面の裏面に、チャネル領域に近接して配置されていればよい。ゲート電極は導電性金属または導電性ポリマーで形成されうる。導電性金属の例には、前述のソース電極またはドレイン電極と同様の金属が含まれる。
【0030】
図1には、薄膜トランジスタの例が示される。絶縁膜2の上に、チャネル領域5およびチャネル領域5を接続するソース電極3およびドレイン電極4が配置され、さらに封止膜6が形成されている。一方、チャネル領域5に、絶縁膜2を介してゲート電極1が配置されている(図1Aを参照)。ゲート電極1は、基板(不図示)上に配置されていてもよい。
【0031】
図1Bおよび1Cには、図1Aに示された薄膜トランジスタのチャネル領域5と、ソース電極3およびドレイン電極4の上面図が示される。チャネル領域5は、ナノワイヤなど5−1と、有機絶縁材料5−2を含む。図1Bではナノワイヤなど5−1の軸方向がソース−ドレイン方向と平行に配列され;図1Cではナノワイヤなど5−1の軸方向がソース−ドレイン方向に対して傾いて配列されている。
【0032】
前述の通り、本発明の平板表示装置は複数の画素を備え、各画素に1または2以上(好ましくは2または4以上)の薄膜トランジスタを含む。それぞれの薄膜トランジスタのチャネル領域のソース−ドレイン方向はそれぞれ同一の方向に配置されていることが好ましい。同一の方向とは、好ましくは平行であるが厳密に平行である必要はない。それぞれの薄膜トランジスタのソース−ドレイン方向が同じ方向にされることによって、それぞれの薄膜トランジスタのチャネル領域に含まれるナノワイヤなどの軸方向も同一の方向に配置されうる。
【0033】
本発明の平板表示装置は、フレキシビリティーを有し、屈曲可能でありうるが、チャネル領域が破壊されないように(例えば、ソース電極およびドレイン電極とのコンタクトが維持されるように)、ナノワイヤなどの軸方向と交わるように屈曲されることが好ましい。したがって本発明の平板表示装置は、チャネル領域のソース−ドレイン方向と交わるように屈曲される。
【0034】
「ソース−ドレイン方向と交わるように屈曲される」とは、好ましくは「ソース−ドレイン方向と垂直な方向を軸に屈曲される」ことを意味するが、必ずしも厳密に垂直である必要はない。例えば、垂直からの角度のずれが45°未満であれば好ましく、30°以下であればより好ましい。また、全ての薄膜トランジスタのソース−ドレイン方向と交わるように屈曲されなくてもよく、全ての薄膜トランジスタのソース−ドレイン方向の平均方向と交わるように屈曲されればよい。
【0035】
チャネル領域に含まれるナノワイヤなどは、その両端部においては、ソース電極およびドレイン電極と強固に接合されていることが好ましいが;一方、両端部以外においては、やや緩やかに基板に接合されていればよい。したがって、ナノワイヤなどの軸方向(つまりソース−ドレイン方向)と交わるように屈曲されても、ナノワイヤなどの軸方向の中央部が屈曲による応力を吸収できるので、屈曲による破壊が抑制されうる。
【0036】
チャネル領域に含まれるナノワイヤの両端部以外に、屈曲による応力を吸収させるため、チャネル領域に含まれる絶縁材料は無機絶縁材料よりも有機絶縁材料であることが好ましい。さらに前記絶縁層も有機材料からなることが好ましい。
【0037】
本発明の平板表示装置が備える画素には、薄膜トランジスタに駆動される表示素子が含まれる。本発明の平板表示装置が、有機EL表示装置であれば有機EL素子を含み、液晶表示装置であれば液晶素子を含む。
【0038】
有機EL素子は、陽極と陰極に挟まれた発光層を含む有機膜を有している。陽極が前記薄膜トランジスタのドレイン電極と接続されるか、または陰極が前記薄膜トランジスタのソース電極と接続されることによって、前記薄膜トランジスタによって有機EL素子が駆動されて、発光層が発光する。有機膜を各色にパターニングすることによって、フルカラーの表示装置が得られる。
【0039】
一方、液晶素子は、陽極と陰極に挟まれた液晶膜を有している。陽極が前記薄膜トランジスタのドレイン電極と接続されるか、または陰極が前記薄膜トランジスタのソース電極と接続されることによって、前記薄膜トランジスタによって液晶素子が駆動されて、液晶分子の配列を制御して透過光または反射光の量が調整される。
【0040】
図2には、本発明の有機EL表示装置が備える画素の例が示される。
基板10の上に形成されたバッファ層11に、チャネル12が設けられている。チャネル12は、ソースおよびドレイン電極13および14との接触部位であるコンタクトホール15を除いて、絶縁層16で被覆されている。絶縁層16を介して、ゲート電極17がチャネル12上に配置されている。ゲート電極17は、ゲート絶縁膜18で被覆されている。ゲート絶縁膜18を覆うようにソースおよびドレイン電極13および14が配置され、ソースおよびドレイン電極13および14は、コンタクトホール15でチャネル12と接触する。このようにして、薄膜トランジスタが構成されうる。
【0041】
さらに、ビアホール19(ソースまたはドレイン電極13または14の一部)を除く薄膜トランジスタ全体を、パッシベーション膜20で覆い、さらにパッシベーション膜20を平坦化膜21で覆う。ビアホール19と接触する画素電極22が配置され、画素電極22の上に発光層を含む有機膜23が配置され、さらに電極24が配置されている。これらが画素定義膜25により区画される。このようにして、有機EL素子が構成されうる。
【0042】
前述の通り、チャネル12にはナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブが含まれており、その軸方向は、ソースおよびドレイン電極13および14を接続する方向(ソース−ドレイン方向)に配列されている。
【0043】
図3には、本発明の液晶表示装置が備える画素の例が示される。
基板40に、ゲート電極41、ゲート絶縁膜42、チャネル43、ドレイン電極44、ソース電極45からなる薄膜トランジスタが形成されている。一方、ドレイン電極44と接続している画素電極46、基板40に対向して配置された基板40’に設けられた透明電極47、画素電極46と透明電極47に挟まれた液晶層48を含む液晶素子が形成されている。液晶層48の液晶分子を適切に配向するための配向膜49を設けていることが好ましく、さらに、基板40には蓄積容量電極50および51、有機絶縁性薄膜52を配置して、蓄積容量を形成してもよい。
【0044】
前述の通り、チャネル43にはナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブが含まれており、その軸方向は、ソース電極45およびドレイン電極44を接続する方向(ソース−ドレイン方向)に配列されている。
【0045】
図4には、複数の画素60がマトリクス状に配置された平板表示装置61を示しており、各画素に含まれる薄膜トランジスタのチャネル領域のソース−ドレイン方向が、矢印の方向62に配置されている。図4に示された平板表示装置61は、図示されたように屈曲されて、ロールスクリーンなどとして用いられうる。
【0046】
2.本発明の平板表示装置の製造方法
本発明の平板表示装置は、薄膜トランジスタのチャネル領域に含まれるナノワイヤなどの軸方向を、ソース−ドレイン方向と同じ方向に配置すること以外は、従来の製造方法を適宜適用して製造されうる。以下においてナノワイヤなどを所望の方向に配置する手段について説明するが、当該手段がこれらに限定されるわけではない。
【0047】
本発明の平板表示装置の製造方法は、以下のステップを含む。
ステップa:チャネルとなる領域を含む基板を準備する。
ステップb:印刷版に塗布された、ナノワイヤなどを含むペーストを準備する。ここで、ナノワイヤなどは所望の方向に配列されている。
ステップc:前記チャネル領域に前記ペーストを近づけて、近づけたチャネル領域とペーストとの間に電位差を印加して、チャネル領域に対するペーストの濡れ性を上げて、前記ペーストを印刷版からチャネル領域に転写する。
【0048】
ステップaにおいて準備される基板にはチャネルとなる領域が配置されていればよいが、該チャネルとなる領域は絶縁層(好ましくは有機絶縁層)上に形成されていることが好ましい。基板には、ペーストを転写する前にソース電極やドレイン電極が配置されてもよいが、作業性を容易にするという点からは、ペーストを転写した後にソース電極やドレイン電極を設けることが好ましい。
【0049】
ステップbにおいて印刷版に塗布されるペーストに含まれるナノワイヤなどは、任意の方法によって製造され、また市販品を用いてもよい。
【0050】
ペーストには、ナノワイヤなどに加えて、有機絶縁材料や溶媒などが含まれていることが好ましい。ペーストは、ナノワイヤなどの配向性を維持する程度の粘度を有していることが必要であるが;一方で、ペースト中のナノワイヤなどの配列を電界によって制御する場合には、電界によってナノワイヤなどの向きが制御されうる粘度に調整されていることが好ましい。例えば、ペーストの粘度は、50〜20000cps(常温)程度でありうる。粘度は、回転型粘度計を用いて測定されうる。
【0051】
印刷版に塗布されたペースト中のナノワイヤなどは、印刷版に塗布された後に所望の方向に制御されてもよく;印刷版に塗布される前から所望の方向に制御されていてもよい。ナノワイヤなどの方向を制御する手段は特に制限されないが、たとえば電界中に置くことによって、その軸方向を電界の方向に制御すればよい。
【0052】
印刷版の例には「凸版印刷版」や「グラビア印刷版」などが含まれ、それから基板にペーストを直接転写してもよい。また印刷版の例には中間転写体である「ブランケット」が含まれ、ブランケットには凸版印刷版やグラビア印刷版などから、パターン化されたペーストが転写される。各印刷版を用いた手法については、後に図面を参照して説明する(図5および図6)。
【0053】
ステップcにおいてペーストに電圧を印加するには、ペーストを塗布された印刷版と、ペーストを転写しようとする基板の裏側とに、それぞれ対の電極を設けて電位差を印加すればよい。電位差を印加されたペーストは、濡れ性が高まるので基板に転写しやすくなり、ステップbにおいて所望の方向に配列されたナノワイヤなどが、その配列状態を維持したまま基板に配置されうる。電位差を印加することにより濡れ性があがる原理は、エレクトロウェッティングと称されることがあり、Polymer Vol.37 No.12, pp.2465-2470, 1996などに説明されている。さらに、ペーストの転写時に、印刷版と基板との距離および接触角度を調整することにより、基板へのペーストのパターニングを制御することができる。
【0054】
本発明の平板表示装置の製造方法における、チャネル領域を形成するための装置の例が、図5(凸版印刷法)および図6(ブランケットを用いる方法)に示される。
【0055】
図5Aは、凸版印刷法により、ナノワイヤなどを含有するペーストをチャネルとなる領域に転写する装置の概略図である。基板70にはチャネルとなる領域があり、凸版印刷版71は、版胴71−1(鉄板のロールなど)および凸版形状の印刷面を有するフレキソ版71−2を含む印刷版である。フレキソ版71−2は、版胴71−1の一部にあればよく、固定プレートにより版胴71−1に固定されうる。基板70と凸版印刷版71の版胴71−1には、対となる電極が配置されており、電位差を印加することができる。また、凸版印刷版71にはペースト72を塗布するためのアニロックス73が配置され;アニロックス73にはペースト72を供給するとともにペースト膜の厚さを制御するドクターロール74が配置されている。図示されていないが、アニロックス73と凸版印刷版71の版胴71−1に対となる電極を配置して電位差を印加できるようにしてもよい。
【0056】
図5Bには、凸版印刷版71に塗布されたペーストが、基板70との近接部位において基板70へ転写されるときの状態が示される。電位差の印加によりペーストの濡れ性が高められるため、フレキソ版71−2の凸部71−3のペーストを基板70に接近させると、ペーストが基板70に適切に転写される。その結果、図5Cに示されたように、ペーストが基板70にパターニングされる(72−1:パターニングされたペースト)。
【0057】
凸版印刷版71に塗布されたペーストに含まれるナノワイヤなどは、一定の方向に配列されている。ナノワイヤなどを一定の方向に配置するには、図5Dに示されたように凸版印刷版71を、絶縁体75および75’を介して導電体76および76’で挟み、電界を印加すればよい。それにより、凸版印刷版71のフレキソ版71−2の凸部71−3に塗布されたペーストに含まれるナノワイヤなどの軸方向が、電界の方向(矢印77の方向)に配列される。矢印78の方向は、版胴の回転方向を示す。
【0058】
図5Eに示されたように、フレキソ版71−2の凸部71−3の印刷面には、電界の方向(矢印77)にヘアライン79と称される傷が形成されていてもよい。ヘアライン79によりナノワイヤなどが捕まれて、ナノワイヤなどがより配列されやすくされている。
【0059】
また、アニロックス73から凸版印刷版71にペーストが塗布される際にも、両者に電位差を印加してペーストの凸版印刷版71(フレキソ版71−2)への濡れ性を上げて、塗布しやすくしてもよい。
【0060】
図5に示された装置は、凸版印刷版から基板にペーストを直接転写する装置を示したが、凸版印刷版の代わりにグラビア印刷版を用いてもよい。この場合にも、グラビア印刷版を導電体で挟み、電界を印可することにより、ナノワイヤなどの配列を制御することができる。
【0061】
図6は、中間転写体であるブランケットを用いてチャネル領域にペーストを転写する装置の概略図である。中間転写体であるブランケットにペーストを転写する版は、凸版印刷版であっても、グラビア印刷版であっても、その他の版であっても構わないが、図6にはグラビア印刷版からブランケットにペーストを転写する例を示す。
【0062】
基板90にはチャネルとなる領域があり、ブランケット91の印刷面は樹脂で形成されている。基板90とブランケット91には、対となる電極が配置されており、電位差を印加することができる。また、ブランケット91には、ペーストを塗布するためのグラビア印刷版92が配置されており、グラビア印刷版92の表面は所望のパターンに応じた形状とされている。さらにグラビア印刷版92には余分なペーストを除去するドクターブレード93が配置されている。グラビア印刷版92の表面の形状に応じてペーストがパターニングされ、パターン化されたペーストがブランケット91に転写される。
【0063】
図5に示された装置と同様に、ブランケット91に塗布されたペーストは、基板90のチャネルとなる領域に近づけられて転写される。このとき、ペーストとチャネル領域との間に電位差を印加して、ペーストのチャネル領域に対する濡れ性を高める。その結果、基板90にペーストがパターニングされる。
【0064】
ペーストに含まれるナノワイヤなどの配向の制御は、グラビア印刷版92に塗布されたペーストにおいて行われるか、またはブランケット91に塗布されたペーストにおいて行われうる。例えば、グラビア印刷版92またはブランケット91を、図5Dにおける凸版印刷版71と同様に、導電体で挟むことによって電界を印加すればよい。
【0065】
グラビア印刷版92においてパターン化されたペーストを、ブランケット91に転写するときに、グラビア印刷版92とブランケット91との間に電位差を印加して転写を促進してもよい。
【0066】
図6に示された装置は、グラビア印刷版92にパターニングされたペーストを、ブランケット91を介して基板に転写する装置であるが、前述の通り、グラビア印刷版の代わりに凸版印刷版を用いてもよい。
【0067】
中間転写体であるブランケットを用いないか(図5)、または用いるか(図6)は、凸版印刷版またはグラビア印刷版の印刷面の材質と、基板の材質に応じて適宜決定されうる。
【0068】
たとえば、グラビア印刷版は通常、金属製(例えば、硬質クロムメッキされている銅ロール)であるので、グラビア印刷版からペーストを直接転写しようとすると、基板の種類(例えばガラス基板)によっては基板が損傷されることがある。一方、基板がフレキシブルシートなどである場合は、グラビア印刷版92からペーストを直接転写してもかまわない。また、凸版印刷版は一般的に柔らかい樹脂で構成されるので、その場合にはブランケットを用いることなく、直接基板にペーストを転写することができる。
【0069】
つまり、印刷版または基板のいずれかに、誤差を吸収する機能があることが好ましいということができる。
【0070】
なお、ナノワイヤなどを所望の方向に配置する手段は、上記の手段に限定されない。例えば、基板のチャネル領域にラインを形成しておいて;そのラインに沿ってナノワイヤなどを含む溶液を塗布して;塗布された溶液に含まれる溶媒を乾燥する;ことによって、ナノワイヤをソース−ドレイン方向に配列させることができる。この方法は、特開2005−244240の記載を参照して実施されうる。
【0071】
また、ナノワイヤなどが一定方向に配列されたフィルムを準備し;フィルムに配列されたナノワイヤなどをチャネル領域に転写する、ことによってナノワイヤをソース−ドレイン方向に配列させることができる。ここで、ナノワイヤなどが一定方向に配列されたフィルムは、溶液に浮遊したナノワイヤを準備し;浮遊したナノワイヤなどを片側に寄せ集めて、ほぼ一方向に整列させ;一方向に整列したナノワイヤなどをフィルムに接着する、ことによって得ることができる。この方法も、特開2005−244240の記載を参照して実施されうる。
【0072】
本願は、2005年9月29日出願の出願番号:特願2005−284325に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、全て本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の平板表示装置は、それに含まれる駆動用薄膜トランジスタのチャネル領域がナノワイヤを含むため電気移動度が高く、高画質な表示装置となりうる。さらに、チャネル領域のナノワイヤの軸方向がソース−ドレイン方向に配置され、その軸方向と交わるように屈曲されるので、フレキシビリティーの高い表示装置となりうる。したがって、ロールスクリーン型表示装置や、持ち運び可能な平板表示装置を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】薄膜トランジスタを模式的に示す図である。図1Aは薄膜トランジスタの断面図、図1Bおよび図1Cは薄膜トランジスタのチャネル領域の上面図である。
【図2】薄膜トランジスタと有機EL素子を含む画素の例を示す図である。
【図3】薄膜トランジスタと液晶素子を含む画素の例を示す図である。
【図4】画素がマトリクス状に配置された平板表示装置を模式的に示す図である。
【図5】薄膜トランジスタのチャネル領域を凸版印刷により形成する装置の例を示す図である。図5Aは装置の全体を示す。図5Bは印刷版(版胴)から基板への転写部を拡大して示す図である。図5Cは印刷により得られた基板を示す図である。図5Dは、図5Aの印刷版(版胴)を示す図である。図5Eは印刷版(版胴)の凸部表面を拡大して示す図である。
【図6】薄膜トランジスタのチャネル領域を、ブランケットを用いて形成する装置の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にマトリクス状に配置された複数の画素を備える平板表示装置であって、
前記複数の画素はそれぞれ、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むチャネル領域を有する薄膜トランジスタ、および前記薄膜トランジスタにより駆動される表示素子を含み、
前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブの軸方向は、チャネル領域のソース−ドレイン方向と同方向であり、
前記ソース−ドレイン方向と交わるように屈曲される平板表示装置。
【請求項2】
前記ナノワイヤは、シリコンナノワイヤまたはゲルマニウムナノワイヤである、請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項3】
前記ナノチューブは、カーボンナノチューブである、請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項4】
前記複数の画素それぞれに含まれる薄膜トランジスタのチャネル領域のソース−ドレイン方向は、それぞれ同一の方向に配置されている、請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項5】
前記薄膜トランジスタは、その上に前記チャネル領域を形成された絶縁層、前記チャネル領域によって互いに接続されたソース電極およびドレイン電極、ならびに前記チャネルに流れる電流を制御するゲート電極を含み、前記絶縁層は有機絶縁材料からなる、請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項6】
有機EL表示装置である、請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項7】
液晶表示装置である、請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の平板表示装置の製造方法であって、
チャネルとなる領域を含む基板を準備するステップ、
印刷版に塗布された、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むペーストを準備するステップであって、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブは、所望の方向に配列されているステップ、および
互いに接近させた前記チャネルとなる領域と前記ペーストとの間に、電位差を印加して前記ペーストの濡れ性を上げて、前記ペーストを前記印刷版から前記チャネルとなる領域に転写するステップであって、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブの軸方向は、チャネル領域のソース−ドレイン方向と同方向に配列されるステップ、
を含む製造方法。
【請求項9】
前記印刷版に塗布されたペーストに含まれるナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブは、電界によって所望の方向に配列される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記チャネルとなる領域は有機絶縁層上にある、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記印刷版は凸版印刷版であって、かつ前記凸版印刷版の凸部表面には前記所望の方向にヘアラインが形成されている、請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記印刷版はグラビア印刷版である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項13】
前記印刷版は、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むパターン化されたペーストを転写されるブランケットである、請求項8に記載の製造方法。
【請求項14】
前記ペーストは有機絶縁材料をさらに含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項15】
ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むチャネル領域を有し、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブの軸方向は、前記チャネル領域のソース−ドレイン方向と同方向である薄膜トランジスタの製造方法であって、
チャネルとなる領域を含む基板を準備するステップ、
印刷版に塗布された、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブを含むペーストを準備するステップであって、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブは、所望の方向に配列されているステップ、
互いに接近させた前記チャネルとなる領域と前記ペーストとの間に、電位差を印加して前記ペーストの濡れ性を上げて、前記ペーストを前記印刷版から前記チャネルとなる領域に転写するステップであって、前記ナノワイヤ、ナノロッド、ナノリボンまたはナノチューブの軸方向は、チャネル領域のソース−ドレイン方向と同方向に配列されるステップ、
を含む製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−123870(P2007−123870A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269322(P2006−269322)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】