説明

画像出力装置

【課題】開発および製品保証におけるテスト・評価環境、あるいは市場における不具合解析や、デバッグまたは障害発生時のテストの効率化を図ること。
【解決手段】画像出力の操作時に操作される操作部30と、複数の機能別のユニット41〜46を制御するCPU11とを備え、CPU11は、操作部30の操作に基づいて動作した複数のユニット41〜46における動作状態を示すハードウェア情報を検出する検出モジュール53〜58と、検出モジュール53〜58が検出したユニット41〜46のハードウェア情報をRAM13に記録するとともに、あらかじめROM12に記録された自装置の正常動作時におけるハードウェア情報と、操作によって検出されたハードウェア情報とを比較することにより、複数のユニット41〜46の動作の正当性を検証する検証モジュールと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、コピー、FAXおよびこれらの複合機等の印刷機能を持つ画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機またはプリンタ、あるいはこれにFAX機能が付加されたような画像出力装置は複雑多機能になってきているので、十分な、また効率的なトラブルシューティングを実現するためには、機械と保守者の間のインタフェースを充実させることが必要である。適切なインタフェースは、機械の監視維持に必要な制御、表示、故障コード、故障履歴を単に提供するだけでなく、これを、効率的に、比較的簡単に、直接的に提供する必要がある。
【0003】
従来は、専門の保守者・点検員による定期的な点検作業時に、その時点の複写機の状態を観察、点検した上で適切な処置を施している。そのため、点検対象複写機の前回点検実施時点から、次の点検時点までの複写機構成部品および複写機全体としての状態の変動やトラブルの発生状況等を把握する手段は特になく、専門の点検員が必要に応じて推測・判断している。
【0004】
このように、複写機の印刷品質の経時変化に対する対処は各点検員の独自の経験的な判断に頼っているのが現状であり、特に画一化された一定の手法はない。先行技術の診断処理の難点は、動作不良または劣化を起こしている機械の正確な部品またはサブシステムを容易にまた自動的に指示できないことである。部品の修正または修理に多くの時間と労力を費やすより、部品を単に取り替えることができれば極めて経済的である。したがって、機械の不稼働時間を短縮するためには、広範な保守トラブルシューティングを要求するのではなく、特定の部品またはサブシステムの取り替え要求を指示する高度に知的で、自動化された診断システムの提供が望ましい。
【0005】
複写システムまたは印刷システム、たとえば、電子写真複写機、レーザプリンタ、インクジェットプリンタにおいて、印刷品質を監視する共通技術としては、所定要求濃度の“テストパッチ”(test patch)を人為的に生成する技術がある。テストパッチの印刷材(トナーまたはインク)の実際濃度が光学的に測定され、この印刷材が印刷シートに印刷される印刷プロセスの有効性が判定される。
【0006】
例として電子写真装置、たとえばレーザプリンタの場合には、印刷材の濃度の判定において一般に最も関心のある表面は、電荷保持面すなわち光受容体である。この上に静電潜像を形成し、次いで、特定の方法で帯電された領域にトナー粒子を付着させ現像する。この場合、テストパッチの濃度を測定する光学素子、これは、トナー領域被覆度センサ(toner area coverage sensor)、または“濃度計”(densitometer)と呼ばれるが、光受容体の経路に沿い現像装置の現像処理の直ぐ下流に配置される。通常、プリンタのオペレーティングシステムにルーチンを設け、露光システムにより所定の位置の表面を所定の量だけ人為的に帯電または放電させ、要求される濃度のテストパッチを、光受容体の所定の位置に周期的に生成する。
【0007】
次いで、テストパッチは、現像装置を通過させられ、現像装置のトナー粒子がテストパッチに静電的に付着される。テストパッチのトナーが濃ければ、光学的テストにおいてテストパッチは暗く見える。現像したテストパッチは、光受容体の経路に配置される濃度計を通過させ、テストパッチの光吸収をテストする。テストパッチに吸収される光が多ければ、テストパッチのトナーの濃度が大きいことになる。電子写真のテストパッチは、伝統
的に光受容体の文書間ゾーンに印刷される。一般に各テストパッチは、均一なベタ領域、ハーフトーン領域、バックグラウンド領域として印刷される。したがって、プロセス制御の従来の方法には、テストパッチのベタ領域、均一なハーフトーン、バックグラウンドの設定が含まれる。特定の高品質プリンタには、多くのテストパッチが含まれる。
【0008】
したがって、機械を診断し、特定の部品またはサブシステムの故障または動作不良を識別する機械データを提供する簡単なトナー領域被覆度センサを使用できることが望ましい。しかも、これは、複雑なセンサシステムとならないものが望まれる。また、簡単なセンサシステムにより機械動作を評価し、取り替えの必要な部品、構成要素、サブシステムを指示できる系統的で論理的なテスト解析方法を提供することが望ましい。
【0009】
一方、従来、保守点検対象複写機の構成部品および複写機全体としての状態は、保守点検を実施する各時点だけの離散的な状態データとしてしか把握できないために、複写機に潜在する問題の発見が遅れるなど、保守点検作業が必ずしも最適なものとはなり得なかった。このような問題、すなわち、ある一定の時間をおいて行われる定期的な保守点検作業時という特定時点での各構成部品の状況から、その対象である複写機の定常的な状態を推測、判断せざるを得ないという問題が、保守点検作業レベルをより向上させる上での課題となっていた。また、専門の点検員が有する定期検査に関する専門的または経験的な知識は点検員により差があるため、定期検査作業のレベルにばらつきが発生してしまうなどといった問題もある。
【0010】
そこで、たとえば、特開平7−28363号公報は、上記従来技術の問題点を解消するためになされたもので、複写機構成部品および複写機全体の保守・点検作業を一定のレベルで容易に実施できるようにユーザー側の保守点検員あるいは専門の保守点検員を支援する複写機診断装置を提供する方法が開示されている。
【0011】
その複写機診断装置は、複写機から定時的に出力される構成部品の状態情報および異状時に出力される異状状態情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された定時状態情報および異状時状態情報に基づいて複写機の状態の内容と変化・履歴を分析・評価して複写機の保守に必要な診断結果情報を出力し、複写機から出力した印刷物の品質評価を入力して複写機に施すべき各種調整値を出力する診断手段とからなることを特徴とする構成によって、前記目的を達成しようとしている。
【0012】
この構成により、診断手段は、記憶装置に記憶された複写機から定時的に出力された構成部品の状態情報および異状時に出力された異状状態情報に基づいて、複写機の過去から点検時までの各状態に加えて変動経歴をも正確に把握し判断資料として分析し評価することにより、従来は点検時の状態情報に基づく点検員の個人的なムラのある判断であったのとは異なり、対象複写機の現在状態と、潜在的な問題点を的確に把握して出した複写機の保守に必要な診断結果情報を出力し、当面の保守作業だけでなく、以降の保守計画の立案にも有効な情報を提供する方法が開示されている。
【0013】
また、複写機から出力した印刷物の品質評価を入力して複写機に施すべき各種調整値を出力することにより、保守点検員の有する専門的・経験的な知識量の差によるレベルのばらつきを無くして、複写機の印刷出力の経時変化に対して保守点検員は適切な処置を施すことができるとしている。
【0014】
さらに、特開平5−164800号公報、特開平5−164801号公報、特開平5−164802号公報では、従来のエキスパートシステムを用いた方法、たとえば、条件と結論が対となっているプロダクションルール型の推論を行う方法や、監視すべき対象からの情報に基づいて監視制御装置で推論を行う技術、すなわち、推論機構を備えた診断方式
の問題点、つまり、知識ベースとして予め多数のルールを用意しておく必要があり、エキスパートシステムによる診断結果の精度は、用意されているルールが適正なものであるかどうかに依存している点について言及している。
【0015】
このようなエキスパートシステム、あるいは推論機構を備えた診断方式を用いた、従来の診断方式においては、ルールとしては基本原理が元々明らかなものであるか、あるいは、今までの経験から容易に予想できるものが採用されているので、全く予想できないようなトラブルや障害に対しては対応できない、新たなトラブルが発生した場合でも、新たに明らかになったトラブルとその原因を新たなルールとしてエキスパートシステムの知識ベースに組み込む必要があるが、エキスパートシステムを実現するための知識ベースを更新する作業に手間がかかるという問題があるとしている。また、エキスパートシステム自体が知識ベースの更新に対応できない場合もあり、この場合は知識が直ぐに陳腐化してしまう可能性を指摘している。
【0016】
そこでこれら一連の発明では、予想できないようなトラブルに対して対応することができる診断方法および装置として、被診断装置の動作状態を示す動作状態情報に基づいて被診断装置の診断を行い、複数の被診断装置から各被診断装置における動作状態を示す動作状態情報を収集し、前記複数の動作状態情報から前記複数の被診断装置に関して共通の特性を示す普遍的徴候を抽出し、前記普遍的徴候に基づき前記被診断装置において発生するおそれのあるトラブルを決定する方法を提案している。
【0017】
また、被診断装置の動作状態を示す複数の要因からなる動作状態情報に基づいて被診断装置の診断を行い、複数の被診断装置のそれぞれに対応して動作状態を示す動作状態情報を得て、これら動作状態情報を解析して前記複数の被診断装置に関して共通の特性を示す普遍的徴候を得て、これらより得られた上記普遍的徴候を蓄積するための普遍的徴候事例ベースとを備えることで解決を図っている。
【0018】
この場合、複数の被診断装置、たとえば複写機の動作状態を示す動作状態情報が診断装置に収集されたトラブルの種類を示すデータとともに全部の動作状態情報が診断装置に送り、診断装置では、複数の動作状態情報から複数の被診断装置に関して共通の特性を示す普遍的徴候を抽出する。この普遍的徴候は、全部の被診断装置に共通なトラブルの徴候を示しており、特定のトラブルの発生頻度が高い場合、現在実際にトラブルが発生していない場合でも将来的には同じトラブルが発生することが予測されるため、これに基づいて予めトラブル対策を施しておくことでトラブルを未然に防ぐことも可能であるとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記の従来技術のように、保守点検における故障診断、あるいは品質維持のため適切な処置を、担当する保守点検員の専門的・経験的な差異の影響を極力廃して施すことを可能とする手段、あるいは、複雑多機能な装置の故障診断等/品質維持管理を、確実に、効率よく、安定して行うことを可能とする様々な技術が開示されている。
【0020】
これらの技術はいずれも、故障診断や品質維持管理に関し、使用者の操作そのものに関するデータは考慮されていない。従来のように、複写機を中心として画像出力装置がハードウェアとしての比率が大きい場合には装置各部の、部品としての機能、性能、耐久性等を把握して維持管理することでほとんど問題ないレベルで装置の維持管理が可能であった。ところが、近年の様に、画像出力装置自体がインテリジェントな多数の機能を有し、さらに画像出力装置として複写機、プリンタ、FAXなどの様々な機能を有するに当たっては、これらを制御するソフトウェアの比重が高まっていることは疑いのないことである。
【0021】
また、特開平5−164800号公報、特開平5−164801号公報、特開平5−164802号公報においては、複数の被診断装置に関する情報を統計的に扱うことで予測不能なトラブルへの迅速な対応を図っており、長期的な解決策としては有効であると思われるものの、装置固有への対応や、単発的な事例への対応は必ずしも有効であるとは言えない。
【0022】
このような状況を鑑み、本発明では、装置の制御ソフトウェアを中心としたソフトウェアに対する解析的なアプローチから、不具合発生時の問題箇所予測を実現することにより、より迅速な問題解決と品質の早期安定を目的としている。特に、装置が開発中の段階から、製品試験段階、実際の市場に出た段階と、様々な全ての段階において不具合解析のための強力なツールとして用いることができるため、高度な機能・性能の確認、あるいはプログラムのデバッグを実施することができ、開発効率や評価試験効率の向上にも有効である。
【0023】
さらに、基本的に、製品として市場に出す前に十分な品質検査、負荷試験、加速試験、信頼性試験を実施するものではあるが、完全な試験を行うことは事実上不可能である。どれだけの試験を重ねた場合でも、市場において不具合が発生する可能性は残存していると言わざるを得ない。したがって、可能な限りの製品試験を実施した後、製品として市場に出ることになった場合には、市場において不具合が発生した場合に、どれだけ迅速に、効果的に対処を施せるかが問題になってくる。
【0024】
市場において初めて顕在化するような不具合は、使用者の装置操作と装置御プログラムの両者の、特定の組み合わせにおいてのみ発生する場合が多々ある。また、あるいは、操作と制御の微妙なタイミングにおいてのみ不具合が発生する場合もある。
【0025】
基本的に、再現性が得られやすい不具合は製品出荷前の試験によって検出される場合がほとんどであり、それ故に、対処も比較的容易である。市場に於いて初めて明らかになるような不具合の場合、不具合発生の再現性が得られるとは限らない。したがって、原因を解明するにも不具合発生を再現できないために対処ができない場合がありうる。
【0026】
また、製品試験や評価を実施する場合、製品出荷前であれば製造過程における様々なツールを用いた評価・試験が可能であり、それらを用いた場合の基準等もある程度整備されていることが期待できるが、一旦市場に出荷された製品については高度に専門的な評価・試験を行うことは難しい。したがって、市場における不具合の事前・早期発見に有効な一つの方法として、装置自身が有する自己診断機能が挙げられる。
【0027】
自己診断を行う場合には診断を行う場合の判定基準の設定や判断プロセスを装置内部に組み込む必要があるが、出荷当時とある程度年月使用時点とでは、判定基準等も変化せざるを得ないものも存在する。これらを適宜更新・整備するには多くの労力を必要とする。
【0028】
本発明は、制御ソフトウェア内で交わされる、関数コール、プロセス間通信、ハードウェア状態情報通知等のシーケンスを参照データとして、実際の動作との比較から設計と異なる動作をしたモジュールを特定することができ、開発時、品質・信頼性等の各種試験段階、および市場へ出てからと、全ての段階において、不具合が発生した場合における解析サポートが期待できる。特に、制御ソフトウェアレベルでの問題箇所予測が可能であるため、開発者への迅速なフィードバックが可能となる。
【0029】
一旦市場に出た装置において、ユーザーから不具合発生の報告があった場合、その不具合発生メカニズムを解明するための一つの手がかりを得るとともに、市場におけるユーザーの、場合によっては予期せぬ使用状況等を把握し、今後の製品開発における一つの指標
とすることを目的とする。
【0030】
さらに、市場に於いて使用され、修理・部品交換・オプション追加等の処置がなされ、装置の製造時とは内部状況やパラメータの変動範囲等が変わってしまった装置に関しても、装置本体のシステムに具備された内部パラメータの記録機能と、これら記録結果を参照データに置き換える機能を用いることにより、製造時から状況が変化した装置に対しても、簡便に適切な診断を実施させることが可能となる。しかも、これらの処置を行うに当たり、特に熟練した技術や深い知識を必要とせず、簡便に自己診断システムの更新を行うことも可能となる。
【0031】
本発明は、上記の問題点鑑みてなされたものであって、開発および製品保証におけるテスト・評価環境、あるいは市場における不具合解析や、デバッグまたは障害発生時のテストの効率化を図ることが可能な画像出力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像出力装置は、画像を出力するための複数の機能別のユニットおよび制御手段を有する画像出力装置において、画像出力の操作時に操作される操作手段と、複数の前記ユニットを制御する制御手段とを備え、当該制御手段は、前記操作手段の操作に基づいて動作した複数の前記ユニットにおける動作状態を示すハードウェア情報を検出する検出モジュールと、前記検出モジュールが検出した前記ユニットのハードウェア情報を記録手段に記録するとともに、あらかじめ記録手段に記録された自装置の正常動作時における前記ハードウェア情報と、前記操作によって検出されたハードウェア情報とを比較することにより、複数の前記ユニットの動作の正当性を検証する検証手段と、を備えることを特徴とする。
【0033】
また、本発明にかかる画像出力装置は、上記発明において、時刻を計時する自装置内で共有のタイマーを備え、前記検出モジュールは、前記タイマーにより前記動作時の時刻を前記ハードウェア情報に付与し、前記検証手段は、前記時刻を含めた比較により複数の前記ユニットの動作の正当性を検証することを特徴とする。
【0034】
また、本発明にかかる画像出力装置は、上記発明において、前記制御手段は、自装置の正常動作時の前記ユニットにおける期待されるハードウェア情報の発生順序と、当該ハードウェア情報の発生タイミングと、を参照データとしてあらかじめ前記記録手段に記録し、前記検証手段は、前記参照データと、前記操作によって検出された前記ハードウェア情報とを比較することにより、自装置の動作の正当性を検証することを特徴とする。
【0035】
また、本発明にかかる画像出力装置は、上記発明において、前記検証手段によって、検証した検証結果を記録媒体に保存する保存手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
以上説明したように、本発明によれば、開発および製品保証におけるテスト・評価環境、あるいは市場における不具合解析や、デバッグまたは障害発生時のテストの効率化を図ることが可能な画像出力装置が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像出力装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0038】
本発明では、操作手段の各種キー、タッチパネル等の入力デバイスから発せられる信号・メッセージ等の情報を制御するモジュールに、本来、該情報を受け取るべきアプリケーション・プログラム等のモジュールへ情報を伝える手段に加え、該情報の伝達と同時にモニタ・モジュールにも同等の情報を伝える手段を具備することにより、操作手段から入力された情報をモニタすることが可能となる。
【0039】
また、入力デバイスからの情報に加え、装置内部の各機能部間、あるいは各機能部と制御部、さらには各機能部とアプリケーションとの間で交わされる情報を取得する機構を有することにより、装置内部の伝達情報をモニタすることによって、装置に具備されている入力デバイスからの情報、および、装置内部で伝達される各種情報を装置内部に保存、あるいは、装置外部とのインタフェースを介して接続された外部システムに保存することができる。
【0040】
このとき、入力デバイスから発せられる情報を制御するモジュールに付加された、該情報のテスト用モニタ・モジュールへの伝達手段による、操作手段から入力された情報をモニタする手段において、モニタ結果、すなわち、タッチパネル等の入力デバイスを操作した際に発せられる情報を、一旦メモリ内に保持し、このデータを上記の入力デバイス以外からの操作情報取得手段に対して、所定の順序・タイミングで順次発することにより、操作パネルからの手順を記録・再生する操作手順記録機能が可能となる。
【0041】
さらに、前述の操作手順記録機能において記録される信号・メッセージ等の情報を、該情報に対応した表示形式に変換する機能を具備することによって、視認性の良い形式で表現することが可能になる。入力デバイスを介して入力された操作を、逐次、上記の形式に変換する機能を具備することにより、この変換された記述言語を逐次表示することで、操作と記述言語による表現との対応を容易に理解することが可能になると共に、操作手順の記述言語への変換が自動的に実行できる。
【0042】
このようにして、操作手段に各種キー、タッチパネル等の入力デバイスを有し、内部にCPU/MPUあるいはその他の制御ユニットを持つ表示/印刷装置、および、その機能を持つ複写機、ファクシミリ、プリンタ、あるいはこれらの複合機能を持つ画像出力装置の各種状態を装置に付属のセンサ、モニタ等からの情報として捉え、これらの情報をそれぞれ対応したソフトウェアモジュールでハンドリングすることによって、ハードウェアに関する情報をソフトウェア内部のモジュール間通信と同様に扱うことが可能な制御ソフトウェアを有する。
【0043】
そして、内部の制御部に、上記各種キー、タッチパネル等の入力装置を介して行われた
操作履歴、該装置内部の各種機能部、たとえば画像形成部、定着部、帯電プロセス、搬送系、給紙ユニット、操作パネル、画像読み取り部、メモリ関連機構(画像データの圧縮伸長、転送、加工等)、通信関連機構(公衆回線通信、USB、IEEE1394,イーサネット(登録商標)、RS232C、パラレル等)などのハードウェア情報(電圧、温度、遷移時間、装置各部の状態パラメータ、およびこれらの変化分、等の物理情報)も、制御ソフトウェア内部の動作状態・状態変化を通知する、該ソフトウェア内部のモジュール間通信メッセージ等の制御情報として捉えることが可能であり、これら情報を制御ソフトウェアにおいて一元管理することができる。
【0044】
また、装置各部のハードウェアに関する情報をソフトウェア内部のモジュール間通信と同様に扱うことが可能な制御ソフトウェアを有し、外部との通信機能を介して接続された外部のパーソナルコンピュータやワークステーション等の制御装置、あるいは、外部との通信機能の有無とは関係なく内部の制御装置または制御部に、装置の操作手段(入力装置)を介して行われた操作履歴を記録することが可能であり、同時に、該装置内部の各種機能部、たとえば画像形成部、定着部、帯電プロセス、搬送系、給紙ユニット、操作パネル、画像読み取り部、メモリ関連機構(画像データの圧縮伸長、転送、加工等)、通信関連機構(公衆回線通信、USB、IEEE1394,イーサネット(登録商標)、RS232C、パラレル等)などのハードウェア情報(電圧、温度、遷移時間、装置各部の状態パラメータ、およびこれらの変化分、等の物理情報)に関しても、ソフトウェア内部の動作状態・状態変化を通知する制御情報として記録することが可能である。
【0045】
また、装置の制御ソフトウェア内部のモジュール間通信情報(メッセージ)を逐次通知する機構を備え、該装置が任意の操作者に使用される際の操作手順と、該装置内部の詳細な情報を同時に取得することが可能な装置で、該装置内部に共有のタイマーを有し、該装置内部の詳細な情報を得る際に、各情報発生機構が通知すべき情報の発生時に速やかに時刻情報を付加し、発生時刻情報付き内部状態情報を制御ソフトウェア内部のモジュール間通信情報(メッセージ)管理機能部に通知する機構を有し、該制御ソフトウェア内部のモジュール間通信のディレイ等によりモジュール間通信情報(メッセージ)管理機能部への到達順序が前後しても、事象の発生順序を正しく把握することが可能である。
【0046】
また、装置の制御ソフトウェア内部のモジュール間通信情報(メッセージ)を逐次通知する機構を備え、該装置が任意の操作者に使用される際の操作手順と、該装置内部の詳細な情報を同時に取得することが可能な装置で、該装置内部の詳細な情報を得る際に速やかに事象の発生時刻情報を付加し、発生時刻情報付き内部状態情報を制御ソフトウェアのメッセージ管理機能部に通知することが可能である画像出力装置において、正常動作時のこれら該装置内部の詳細なモジュール間通信情報(メッセージ)の全部あるいは一部を予め記録しておき、各操作に対する動作に関する情報の発生順序,動き(シーケンス),時間的タイミング等の基準データ等として用い、実際の動作とを比較して動作の正当性を検証することにより装置の自己診断を実行することが可能である。
【0047】
また、装置がその機能の全部あるいは一部について自己診断を実行し、その結果を内部の不揮発性記録装置に保存し、所定の操作にしたがって該保存情報を呼び出すことが可能である。
【0048】
また、装置がその機能の全部あるいは一部について自己診断を実行し、その結果を内部の不揮発性記録装置に保存する際、異常と判断した場合の判断理由となるデータ部にマーキングを施し、異常発生の場所やタイミング情報が容易に検出することが可能である。
【0049】
また、装置が本来有する機能の全部あるは一部を果たすことが不可能な状態になった際、該装置の使用者に対し使用不可能である旨、あるいは修理が必要である旨を知らせしむ
機構を有し、そのような使用不可能状態、あるいは修理が必要な状態と判断した瞬間に、内部の動作状態情報、および使用者による操作情報の取得を停止し、同時に、外部に接続された監視・管理装置に対し不具合発生情報を知らしめ、情報の通知を停止する機能を有する。
【0050】
また、装置のハードウェア、ソフトウェア両者の動作状態(電圧、温度、遷移時間、各部の状態パラメータ、等の物理情報、および、装置の制御ソフトウェア内部の通信メッセージ等の制御情報)を、正常動作時のそれらと比較した場合に、装置が本来有する機能の全部を果たすことが可能な状態であっても、動作不良を生じせしむ前兆を判断し、該装置の使用者に対しサービス担当者への連絡等を促すメッセージを表示する機能を有し、同時に、外部に接続された監視・管理装置が存在する場合には、これに対し不具合発生情報を通知する機能を有する。
【0051】
また、自己診断実行時において、装置のハードウェア、ソフトウェア両者の動作状態(電圧、温度、遷移時間、各部の状態パラメータ、等の物理情報、および、装置の制御ソフトウェア内部の通信メッセージ等の制御情報)を、正常動作時のそれらと比較する際、期待される情報の発生順序と、該情報発生の時間的なタイミングと、特定のパラメータに関する許容度情報を、参照データとして内部に有し、該参照データと実動作において発生する各情報の種別・タイミングを比較し、該参照データと実動作において発生した情報との差異を上記許容度情報に照らし、許容範囲を逸脱した場合に、逸脱の程度・性質・内容等によって、特定機能の停止状態、機能停止前段階、等予め設定しておいた警告レベルに応じた警告情報を付加した情報として保存、あるいは外部に接続された監視・管理装置へ通知することが可能である。
【0052】
また、自己診断実行時において、正常動作時の参照データ、および、参照データとして内部に有する情報の中の実動作に対する許容度情報を、外部に接続された監視・管理装置から転送して設定する機能を有する。
【0053】
また、自己診断実行時において、正常動作時の参照データ、および、参照データとして内部に有する情報の中の実動作に対する許容度情報を、装置本体に付属する表示・入力装置を介して設定する機能を有する。
【0054】
また、自己診断実行時において、正常動作時の参照データ、および、参照データとして内部に有する情報の中の実動作に対する許容度情報を、装置本体に具備されたメモリカード用インタフェースを介して転送して設定する機能を有する。
【0055】
また、制御ソフトウェア(プログラム)内部で用いられている関数名、プロセス名、プロセス間通信におけるメッセージ名あるいはメッセージ内容、および、装置内部の各種機能部、たとえば画像形成部、定着部、帯電プロセス、搬送系、給紙ユニット、操作パネル、画像読み取り部、メモリ関連機構(画像データの圧縮伸長、転送、加工等)、通信関連機構(公衆回線通信、USB、IEEE1394,イーサネット(登録商標)、RS232C、パラレル等)などのハードウェア情報についても、それぞれのハードウェアに対応するソフトウェアモジュールから通知される通信メッセージ名あるいはメッセージ内容等を、実際に装置を動作させた時に記録する機能を有し、この機能によって正常動作時に得られた情報を自己診断実行時の正常動作時参照データとして使用する機能を有する。
【0056】
また、装置内部に保持された自己診断実行結果およびこれに付随する情報を、該装置に付属の操作機能、あるいは表示装置を使用せず、該装置内部に設置された記憶装置から読み出すことが可能である。
【0057】
図1を用いて画像形成装置の制御部の構成を説明する。図1に示された制御部による画像形成装置本体の制御は、CPU11を中心として、ROM12に記憶されている制御プログラムやデータに基づいて行われる。RAM13は処理の中間結果などを蓄えるために使用される。また、CPU11には、以下に述べる様な各種機器が接続されている。通信インタフェースユニット21は、通信コントロール装置との通信を行う部分であり、アドレス設定スイッチ22により画像形成装置固有のアドレスを設定できるようにようになっている。
【0058】
通信許可スイッチ23は、通信コントロール装置との通信の許可/禁止を設定する。操作部30は、キーボード等からなり、外部から入力操作することができる。光学系制御ユニット41は、露光ランプの駆動制御を行う。高圧電源ユニット42は、帯電チャージャ、分離チャージャ、転写チャージャ、転写前チャージャ(PTC)、現像バイアスに電力を供給する。モータ制御ユニット43はメインモータのコントロールを行う。ヒータ制御ユニット44は、定着ヒータの駆動制御を行う。センサ感度制御ユニット45は、Pセンサの受光ゲイン、PセンサLEDの発光電圧、ADSセンサの受光ゲイン等を可変するために用いる。A/D制御ユニット46は、ランプ電圧、Pセンサ発光電圧、Pセンサ受光電圧、電位センサ出力、ADSセンサ出力、ランプ光量センサ出力、ドラム電流センサ出力、定着サーミスタ電圧を入力するために用いる。
【0059】
画像形成装置の光学系制御ユニット41、高圧電源ユニット42、モータ制御ユニット43、ヒータ制御ユニット44、センサ感度制御ユニット45、A/D制御ユニット46のハードウェアは、それぞれ対応する制御ソフトウェアモジュール、光学系制御モジュール53、高圧電源制御モジュール54、駆動系(モータ)制御モジュール55、加熱系(ヒータ)制御モジュール56、センサ感度制御モジュール57、A/Dコンバータ制御モジュール58,等に対し、状態情報(たとえば、通信ステータス、キー入力、表示状態、ランプ光量、各種チャージャ状態、現像バイアス状態、搬送モータ状態、定着ヒータ状態、ヒータ温度、センサ感度情報、A/Dコンバータによる制御情報等)を通知し、該モジュールによってリソース制御モジュール50に通知される。
【0060】
ここには通信関連制御モジュール52,操作手段制御モジュール51からも通信状態、および操作手段の表示、キー操作情報等が通知され、ソフトウェアのみならず、ハードウェアに関する情報も一括で管理することが可能となる。
【0061】
本発明においては、このように、ハードウェアモジュールに対応するソフトウェアモジュールが存在し、これらソフトウェアモジュールが上位の制御ソフトウェアに対して各種装置状態やパラメータ設定状況等を制御ソフトウェア内部のモジュール間通信(メッセージ)として通知することが特徴である。これにより、該装置においては、装置内部の様々なハードウェアの状態等をソフトウェア内部の通信として一括して管理することが容易となる。
【0062】
図2は、この発明の実施の形態にかかる画像出力装置の操作パネルコントローラ部の構成を示す説明図である。ユーザーが行った操作パネルからの入力はシステムキーモニタ201を経由して、入力を要求しているアプリケーション202、あるいはエンジンやその他のシステムサービス等に通知される。
【0063】
図3、図4、および図5に本発明のシステム概要を示す。装置の制御部はOSや各種デバイスドライバー(システム部(OS、ドライバー))350から構成される基部上に実装される。このOS上に外部システムとのインタフェース300を構築し、これを介して外部システムとの通信を実現する(図3、4)。
【0064】
装置の各機能部からの情報は、それぞれ対応したソフトウェアモジュールによってハンドリングされ、装置各部の情報はソフトウェア情報/ハードウェア情報に関わらず、全てソフトウェアモジュール間の通信メッセージ(情報)として扱うことができる。
【0065】
検証モジュール301は装置内部の制御ソフトウェアで交わされる各種情報(通信メッセージ)、たとえば、制御ソフトウェア内部の関数コール、プロセス間通信、ハードウェア制御コマンド、およびハードウェアからの状態通知情報、等を逐次取得する。この検証モジュールは、装置の動作に応じた参照データを選択し、この参照データと実際に装置内部で交わされる情報とを逐次比較検証することによって、各取得情報に対する判定を行う。
【0066】
外部システム上には本装置に対応したインタフェースが構築されており、これらを介してデータの交換等を実現する。これは、開発の段階では、たとえば取得ログの表示プログラムや、取得ログデータの保存を行うことができる。
【0067】
図4は外部とのインタフェースを有しない例である。この場合、装置自体に取得ログの表示プログラムや警告レベル毎の情報表示プログラムを保持し、ログデータを格納する。
【0068】
また、図5は図3および図4における下位モジュール(関数)群302の構成を示したものである。
【0069】
(実施の形態1)
図6に実施の形態1の構成を示す。本実施の形態では、装置側のモジュール、アプリケーションはC言語によって記述されており、外部システムとしてはパーソナルコンピュータを用い、外部システムの記述言語はCおよびC++を用いた。これらは他のプログラミング言語、あるいはアセンブラ言語等を用いてもかまわない。装置と外部システムとの通信にはイーサネット(登録商標)を利用した。これは、装置内部にイーサネット(登録商標)・インタフェースを具備している、いわゆるネットワーク・プリンタの機能を含む装置がターゲットであったためである。また実装の状況に応じて、RS−232C、IEEE488/IEEE488.2(GP−IB)等を利用することも可能である。
【0070】
各装置側の操作パネルから、操作パネルコントローラ601、システムモニタ/マネージャー602を経由して各アプリケーション(プログラム)603に送られるキー押下情報(図2)を、外部システムとのインタフェース部604を介して外部システムに伝送する機能を有する。これにより、操作パネル606から入力された一連の手続きを外部システムに記録することができる。ここで、操作パネル606は、図示を省略する、キー、タッチパネル、表示装置、LED等のインジケータ、ブザー等全てを含む。操作パネルコントローラ601はこれら操作パネルの制御を行い、上記操作パネルのデバイスドライバとして機能する。
【0071】
システムモニタ/マネージャー602は装置内制御部の全体のリソース管理を行い、本実施の形態ではシステムモニタ/マネージャー602のキー操作情報に関する処理機能に、外部システムとのインタフェース部604と情報の受け渡しを行う機能を追加することで、キー押下情報の記録・再生機能を実現した。もちろん、システムの構成によっては、操作パネルコントローラ601に相当する部分に同様の機能を追加することにより、操作/描画情報の記録機能を実現することができる。あるいは、アプリケーション・プログラム自体に同様の機能を追加することにより、同様な記録機能を実現することができる。
【0072】
ユーザーや評価担当者が操作パネル606からのキー入力を手動で行うような実際の使用状況においては、ユーザーは自分の操作を確実に記憶している保証はないし、各種のテ
ストを実施した場合においても、より複雑な操作を行った場合では、評価担当者が操作ミスを犯す場合もあり得る。したがって、このような状況においては、予期しない結果が得られた場合、果たして操作ミスなのか、アプリケーション・プログラム等の不具合なのか判断することが難しい場合が発生しうる。特に、膨大な量のテストを多種多様の機種に応じて実施する場合、テストに要する時間を短縮するために評価者は可能な限りの早さで操作を行うことが多く、操作ミスが発生する可能性も高くなってしまう。
【0073】
本実施の形態においては、ユーザーや評価担当者が手動によって操作パネルからキー入力を施す場合に、その一連の操作手順を、記録機能を用いて記録することにより、予期しない結果が得られた場合に、操作ミスか、あるいはアプリケーション等の不具合かを区別することが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態においては、キーの押下情報の記録のみならず、各アプリケーションの、操作パネルに対する表示情報(命令)を取得することを可能としており、表示完了前に操作を行ってしまうような操作ミスを検出することも可能であり、所定操作を行った場合の不具合とそのような操作ミスとを区別することが可能である。
【0075】
本実施の形態では、ユーザーが操作パネルを利用した操作情報がシステムモニタ/マネージャー602を介して各アプリケーションに通知されるところを、システムモニタ/マネージャー602内部に同操作情報をログ保持機構に同時に通知する機構を追加し、操作情報をログにとる機能を実現している。
【0076】
また、装置内部の各種システムにも同様に、発生した伝達情報を本来通知すべきアプリケーションやシステム、サービスの他に、同時にログ保持機構にも通知する機能を付加している。伝達情報としては、制御ソフトウェアの各プロセス間通信、各種ハードウェアへの制御コマンド、および、ハードウェアからの状態通知等がある。
【0077】
これにより、本装置は操作パネルからの操作情報とともに、装置内部の各種サービス、サブシステムからのイベント情報を取得することができる。また、これらの各種情報の発生時刻を付加する機能を有している。これによって、装置内のOSやシステムの動作状態によって、若干のタイムラグが発生して、イベント発生の情報伝達順序が入れ替わった場合でも、取得時刻情報順にデータの並べ替えを行うことによりより正確なログ情報を取得することが可能となる。
【0078】
本実施の形態では、これらの、操作パネル606におけるキー操作情報、制御ソフトウェア内部におけるプロセス間通信情報、各種ハードウェアへの制御コマンド、ハードウェアからの状態通知情報を逐次取得して、特定のイベントをトリガーとする、一連の動作におけるこれら各種情報の動きを記述した参照データと照合する。この時、参照データファイルに同時に記載されている許容範囲に対し、警告フラグを付加するか否かを決定する。この許容範囲は対象となる情報の重要性や、タイミングの許容範囲から、定められ、主として開発者によって設定される。
【0079】
また、許容範囲を多段に設定することにより、警告レベルを複数設けて動作の検証を実施している。さらに、市場で使用されるにつれ、各部の微調整が必要となり、これにしたがってタイミングや各パラメータの許容範囲にもずれが生じるため、調整時には調整量に応じた許容範囲データの変更を行う必要がある。その際、特殊な一部のパラメータを除き、実際に動作させて正常に動作していることを確認した後、その動作自体を参照データとして登録することにより、調整後のずれをある程度吸収することができる。
【0080】
通常、ユーザーのパネル操作によって、装置の動作が決定される。たとえば、複写機能
を使用する場合、複写枚数や変倍率等の設定を行った後、スタートキーを押下することで一連の動作が開始する。
【0081】
本実施の形態では、複写機能については、スタートキー押下時点の設定により、使用する参照データを決定する。ユーザーが一連の複写機能を用いた操作の合間に割り込みキーによる別の作業を要求した場合、割り込み処理が終了するまでは割り込み処理開始時に決定される参照データを用いることになる。
【0082】
また、装置内部において致命的な不具合、あるいは予め設定されたレベルのエラーが発生した時点で、内部のログ保持機構へのデータ書き込みを停止する。これにより、このような不具合が発生した際の、実際の操作手順、不具合発生までの内部状態の変移、等の情報を失うことなく保持することが可能となる。
【0083】
また、実際に市場に提供された製品において不具合が発生した場合でも、正確な操作手順と内部状態に関する情報を得ることが可能となり、市場における不具合発生に対して、迅速な対応が可能となる。従来、不具合発生時の操作情報は、ユーザーから事情を徴収してさえも、正確な情報が得にくいのが実状であったが、本発明により、不具合発生時の正確な情報が得られる。
【0084】
このログデータとして取得した、操作情報、および装置内部の詳細な状態情報は装置内部に保持するとともに、外部システムとのインタフェース部604を介して、外部の制御システムと接続されている。
【0085】
本実施の形態では外部制御装置として、FreeBSD をOSとして搭載したパーソナルコンピュータを用いた。これはもちろん、他のOSを搭載したパーソナルコンピュータでも構わないし、ワークステーション等でも構わない。
【0086】
このように外部の制御装置と接続された場合、装置内部で取得した、装置内部の詳細な状態情報や、操作パネルを用いたユーザーの操作情報を、外部装置内に保存することが可能となる。
【0087】
通常、装置内部にデータを保存する場合、それほど大きな容量を確保することは難しいが、たとえば、製品出荷前の連続運転における内部状態のログを取得する場合など、上記のように外部制御装置と接続することによって大量のデータを取得することが可能となる。これによって、装置内の詳細な情報と操作パネルを介したユーザーの操作を関連づけることが可能な一連のデータを取得し、不具合等が発生した場合に、原因を究明するための情報の一つとして、内部の動作が期待したとおりであったかを内部情報のシーケンスという形で取得し、所定動作を逸脱している場合には、それがいかなる情報に起因するかを明確にすることが可能となった。
【0088】
(実施の形態2)
図7に実施の形態2の構成を示す。本実施の形態は、たとえば、複写機能のみを持つ複写機等のテスト・評価に対して有効なものである。本実施の形態では、特に外部とのインタフェース部を備えず、操作パネルから入力された操作手順を記録する手段を内部に有している。他の機構については実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0089】
取得された操作手順は内部メモリに格納され、やはり、ある特定のパネル操作によって消去することができる。これにより、特別な評価システムを準備することなく、操作パネルを介して行われる入力によるテスト・評価が実施できる。特に、市場に出された装置においても、サービス担当者等が容易にチェックすることが可能となる。
【0090】
また、本実施の形態では、警告レベルを5段階に設定しており、指定レベルより低レベル(問題が少ないと考えられるレベル)については記録しない設定と、全てのレベルを記録しておき、操作パネル606からの表示要求時に表示レベルを指定できるようにした。また、レベルを指定する際に複数レベルの指定と、レベルの範囲指定も可能とした。
【0091】
図8に示すように、取得したログは所定の操作により装置本体の操作パネル606に具備された表示デバイスに表示させることができる。本実施の形態では表示デバイスは操作パネルに具備されているが、もちろん個別に実装されていてもかまわない。
【0092】
本実施の形態では、装置内部に組み込まれる、テスト・評価用モジュールのコードのサイズを可能な限り低減するため、外部システムとの通信機能部を備えていないが、もちろん、外部システムとの通信機能を有する装置において、外部システムと内部の両方に、上記の、操作手順の記録機能を持ってもかまわない。
【0093】
(実施の形態3)
図9に実施の形態3を示す。これは、装置内部に取得した内部情報のログデータを直接読み出すものである。これは、装置において致命的な不具合が発生した場合、実施の形態2で述べたような方法も使用できないような事態に落ちいった場合を想定したものである。
【0094】
本実施の形態では装置内部に取得する内部状態ログデータは、ログ取得用に完全に分離されたメモリ内に保持される。本実施の形態では、このメモリデバイスとして、ICカードのメモリを利用したが、これ以外にも、スマートメディア等でも良い。もちろん、その目的は装置自体が正常に機能しないような不具合が発生した場合でも、それまでに取得しておいた内部情報を得ることである。したがって、場合によってはフレキシブル・ディスクや内部のハードウェアディスクを利用する方法も考えられる。もちろん、内部のハードウェアディスクを利用する場合には、そのハードウェアディスクを取り出し、別の装置に据え付け、読み出す必要がある。
【0095】
これにより、装置自体が機能しなくなるほどの不具合が発生した場合でも、そのような不具合が発生するまでのユーザーの操作と内部の詳細な状態情報を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】この発明の実施の形態にかかる画像出力装置の画像形成装置の制御部の構成を示説明図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる画像出力装置の操作パネルコントローラ部の構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかる画像出力装置のシステム概要を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態にかかる画像出力装置のシステム概要を示す別の説明図である。
【図5】図3および図4における下位モジュール(関数)群302の構成を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1にかかる画像出力装置の構成を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2にかかる画像出力装置の構成を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2にかかる画像出力装置の別の構成を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態3にかかる画像出力装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0097】
11 CPU
12 ROM
13 RAM
21 通信インタフェースユニット
22 アドレス設定スイッチ
23 通信許可スイッチ
30 操作部
41 光学系制御ユニット
42 高圧電源ユニット
43 モータ制御部ユニット
44 ヒータ制御ユニット
45 センサ感度制御ユニット
46 A/D制御種ニット(A/Dコンバータ)
53 光学系制御モジュール
54 高圧電源制御モジュール
55 駆動系(モータ)制御モジュール
56 加熱系(ヒータ)制御モジュール
57 センサ感度制御モジュール
58 A/Dコンバータ制御モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を出力するための複数の機能別のユニットおよび制御手段を有する画像出力装置において、
画像出力の操作時に操作される操作手段と、
複数の前記ユニットを制御する制御手段とを備え、
当該制御手段は、
前記操作手段の操作に基づいて動作した複数の前記ユニットにおける動作状態を示すハードウェア情報を検出する検出モジュールと、
前記検出モジュールが検出した前記ユニットのハードウェア情報を記録手段に記録するとともに、あらかじめ記録手段に記録された自装置の正常動作時における前記ハードウェア情報と、前記操作によって検出されたハードウェア情報とを比較することにより、複数の前記ユニットの動作の正当性を検証する検証手段と、
を備えることを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
時刻を計時する自装置内で共有のタイマーを備え、
前記検出モジュールは、前記タイマーにより前記動作時の時刻を前記ハードウェア情報に付与し、前記検証手段は、前記時刻を含めた比較により複数の前記ユニットの動作の正当性を検証することを特徴とする請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
自装置の正常動作時の前記ユニットにおける期待されるハードウェア情報の発生順序と、当該ハードウェア情報の発生タイミングと、を参照データとしてあらかじめ前記記録手段に記録し、前記検証手段は、前記参照データと、前記操作によって検出された前記ハードウェア情報とを比較することにより、自装置の動作の正当性を検証することを特徴とする請求項1または2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記検証手段によって、検証した検証結果を記録媒体に保存する保存手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−249219(P2007−249219A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93035(P2007−93035)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【分割の表示】特願2005−234545(P2005−234545)の分割
【原出願日】平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】