説明

車両用走行制御装置

【課題】自車両が加速制御される場合に、走行状態に応じて応答性の良いブレーキを実現する。
【解決手段】自車速Vが所定の速度閾値VTH以下であるか、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲内を走行しており、且つ追従走行制御による加速制御が行われているとき、要ブレーキ予圧発生状態であると判断し、自車速Vと目標車速Vs*とに基づいて算出される目標加減速度α*に応じてブレーキ予圧Ppを設定し、これに応じたブレーキ圧を発生させることにより、ブレーキの応答性を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行車両と自車両との車間距離を目標車間距離に保ちつつ、当該先行車両に自車両を追従走行させる車両用走行制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用走行制御装置としては、例えば、自車両が交差点通過時に右左折を伴う場合、交差点までの距離と直前車の速度とに基づいて、自車速を右左折に適した車速へ調整するというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、自車前方物体との相対距離が所定距離以下となるか、目標減速度が所定値を超えたときに要ブレーキ予圧状態であると判断し、運転者による加速操作が終了した時点で、減速度を感じない程度の微小のブレーキ予圧を作動させるというものが知られている(例えば、特許文献2参照)。これにより、同一車線上にない障害物を検知して自動ブレーキ制御が行われた場合には、運転者に違和感を与えることを抑制することができると共に、運転者によるブレーキ操作が行われた場合には、初期応答性の良いブレーキ制御を実現することができる。
【特許文献1】特開2001−301484号公報
【特許文献2】特開2000−309257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、走行制御によって自車両が自動的に加減速を行う場合、運転者はアクセルペダルやブレーキペダルに足を置いていないことが考えられる。そのため、自車両が加速制御されている状態において、歩行者や自転車の急な飛び出しや交差点走行時における対向車両の飛び出し等に対して、より初期応答性の良いブレーキが要求される。
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来装置にあっては、自車両が交差点通過時に右左折を伴う場合に、自車速が適正車速となるように調整するだけであり、例えば、交差点走行時に応答性の良いブレーキを要する場合に、適切に対応することができないという未解決の課題がある。
【0004】
また、上記特許文献2に記載の従来装置にあっては、前方物体との相対距離が小さいときなど、明らかに自車両の減速が必要であるときに、運転者のブレーキ操作に先立ってブレーキ予圧を発生させるだけであるので、例えば、自車両が先行車両に追従して加速している時に応答性の良いブレーキを要する場合には、適切に対応することができないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、自車両が加速制御される場合に、走行状態に応じてブレーキの応答性を向上することができる車両用走行制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用走行制御装置は、自車両が所定の車両走行状態で、且つ車速制御手段により加速制御されると判定したとき、予備制動発生手段でブレーキアクチュエータを駆動制御して、運転者の制動操作に先立つ予備制動を行う。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、追従走行制御によって自車両が加速制御されるときに減速度を感じない程度の予備制動状態とするので、運転者の意思に関係なく自車両が加速しているときに、歩行者や自転車の急な飛び出し等に遭遇した場合であっても、初期応答性の良いブレーキを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を後輪駆動車に適用した場合の実施形態を示す概略構成図であり、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪、1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。
【0008】
前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生する例えばディスクブレーキで構成されるブレーキアクチュエータ7が設けられていると共に、これらブレーキアクチュエータ7の制動油圧が制動制御装置8によって制御される。
ここで、制動制御装置8は、図示しないブレーキペダルの踏込みに応じて制動油圧を発生すると共に、後述する走行制御用コントローラ20からの制動圧指令値P*や制動圧指令値Pp*に応じて制動油圧を発生し、これをブレーキアクチュエータ7に出力するように構成されている。
【0009】
また、エンジン2には、その出力を制御するエンジン出力制御装置9が設けられている。このエンジン出力制御装置9では、図示しないアクセルペダルの踏込量及び後述する走行制御用コントローラ20からのスロットル開度指令値θ*に応じてエンジン2に設けられたスロットル開度を調整するスロットルアクチュエータ10を制御するように構成されている。また、自動変速機3の出力側に配設された出力軸の回転速度を検出することにより、自車速Vを検出する車速検出手段としての車速センサ13が配設されている。
【0010】
一方、車両の前方側の車体下部には、自車両と先行車両との間の車間距離を検出する車間距離検出手段としての、レーザ光を掃射して先行車両からの反射光を受光するレーダ方式の車間距離センサ14が設けられている。
また、運転席近傍には、走行制御スイッチ15が設けられており、この走行制御スイッチ15で車両用走行制御装置のON/OFF切換えと設定車速VSETの設定とを操作するように構成されている。そして、走行制御スイッチ15をオン状態とすることにより、追従走行制御モードで自車両の走行制御を行う。
【0011】
また、車体には、自車両の走行位置を検出する走行地点検出手段としての全地球測位システム(GPS:global positioning system)16と、全地球測位システム16から入力された自車位置データとマッチングするための道路情報を格納した、例えばカーナビゲーションシステムで構成される道路情報提供手段としての道路地図データ格納部17が設けられている。
【0012】
さらに、この車両には、図示しないアクセルペダルのストローク量STを検出するストロークセンサ18、ステアリングホイールの操舵角δを検出する操舵角検出手段としての操舵角センサ19が備えられ、これらの検出信号は走行制御用コントローラ20に出力される。このストロークセンサ18によってアクセル操作検出手段を構成しており、ストロークセンサ18で検出されるストローク量STに基づいてアクセル踏込み速度Vaを検出できるように構成されている。
【0013】
そして、走行制御スイッチ17から出力されるスイッチ信号SS及び設定車速VSETと、車速センサ13から出力される自車速Vと、車間距離センサ14から出力される車間距離Dと、全地球測位システム16と道路地図データ格納部17とから出力される自車位置情報と、ストロークセンサ18から出力されるストローク量STと、操舵角センサ19から出力される操舵角δとが走行制御用コントローラ20に入力され、この走行制御用コントローラ20によって、先行車両を捕捉しているときに車間距離が目標車間距離となるように目標車速を設定して自車速を制御し、先行車両を捕捉していないときに自車速Vを運転者が設定した設定車速VSETに制御する制動圧指令値P*及び目標スロットル開度θ*を制動制御装置8及びエンジン出力制御装置9に出力する。
【0014】
また、この走行制御用コントローラ20よって、自車速が低速走行中又は交差点走行中であるときには、自車前方に歩行者や交差点走行時の対向車両等の割り込みが推定されるとして、運転者の制動操作に先立つ予備制動としてのブレーキ予圧Ppを発生する制動圧指令値Pp*を制動制御装置8に出力する。ここで、ブレーキ予圧Ppとは、乗員が減速度を感じない程度の微小のブレーキ圧をいう。
【0015】
この走行制御用コントローラ20はマイクロコンピュータとその周辺機器を備え、マイクロコンピュータのソフトウェア形態により、図2に示す制御ブロックを構成している。
この制御ブロックは、車間距離センサ14から入力される車間距離Dに基づいて先行車両との相対速度ΔVを演算する相対速度演算部21と、車速センサ13から入力される自車速Vに基づいて先行車両と自車両との目標車間距離D*を演算する目標車間距離演算部22と、車間距離D及び目標車間距離演算部22で演算された目標車間距離D*に基づいて減衰係数ζ及び固有振動数ωnを使用する規範モデルによって車間距離Dを目標車間距離D*に一致させるための車間距離指令値DTを演算する車間距離指令値演算部23と、車間距離D、車間距離指令値演算部23で演算された車間距離指令値DT及び相対速度演算部21で演算された相対速度ΔVに基づいて車間距離Dを車間距離指令値DTに一致させるための目標車速V*を演算する目標車速演算部24と、車間距離センサ14による先行車両の検出状態、及び走行制御スイッチ15の操作状態に応じて、目標車速演算部24で演算された目標車速V*、又は運転者により設定される設定車速VSETを達成するような目標加減速度α*を演算し、この目標加減速度α*を実現するように制動制御装置8に対する制動圧指令値P*及びエンジン出力制御装置9に対するスロットル開度指令値θ*を出力する車速制御部25とを備えている。
【0016】
また、少なくとも自車速V、及び全地球測位システム16と道路地図データ格納部17とから入力される自車位置情報の何れかに基づいて予備制動発生の要否を判断し、要予備制動発生状態であると判断されたときに車速制御部25で演算された目標加減速度α*に応じたブレーキ予圧Ppを設定し、このブレーキ予圧Ppを発生するように制動制御装置8に対する制動圧指令値Pp*を出力する予備制動制御部26を備えている。
【0017】
この図2において、目標車速演算部24及び車速制御部25が車速制御手段に対応している。
ここで、相対速度演算部21は、車間距離センサ14から入力される車間距離Dを、例えばバンドパスフィルタ処理するバンドパスフィルタで構成されている。
このバンドパスフィルタは、その伝達関数が下記(1)式で表すことができ、分子にラプラス演算子sの微分項を有するので、実質的に車間距離Dを微分して相対速度ΔVを近似的に演算することになる。
F(s)=ωc2s/(s2+2ζcωs+ωc2) ………(1)
但し、ωc=2πfc、sはラプラス演算子、ζcは減衰係数である。
【0018】
このように、バンドパスフィルタを使用することにより、車間距離Dの単位時間当たりの変化量から簡易的な微分演算を行って相対速度ΔVを演算する場合のように、ノイズに弱く、追従制御中にふらつきが生じるなど、車両挙動に影響を与えやすいことを回避することができる。
なお、上記(1)式におけるカットオフ周波数fcは、車間距離Dに含まれるノイズ成分の大きさと、短周期の車体前後の加速度変動の許容値とにより決定する。また、相対速度ΔVの演算には、バンドパスフィルタを使用する場合に代えて、車間距離Dにハイパスフィルタ処理を行うハイパスフィルタで微分処理を行うようにしてもよい。
【0019】
また、目標車間距離演算部22は、自車速Vと自車両が現在の先行車両の後方D0[m]の位置に到達するまでの時間T0(車間時間)とを用いて、下記(2)式に従って先行車と自車との間の目標車間距離D*を演算する。
*=V×T0+Ds ………(2)
この車間時間という概念を取り入れることにより、自車速Vが速くなるほど、車間距離が大きくなるように設定される。ここで、Dsは停止時車間距離である。
なお、特開平10−81156号公報に開示されるように、自車速に代えて先行車両の車速を用いて目標車間距離D*を演算するようにしてもよい。
【0020】
さらに、車間距離指令値演算部23は、車間距離D、目標車間距離D*に基づいて、車間距離Dをその目標値D*に保ちながら追従走行するための車間距離指令値DTを演算する。具体的には、入力される目標車間距離D*に対して、車間距離制御系における応答特性を目標の応答特性とするために決定される減衰係数ζ及び固有振動数ωnを用いた下記(3)式で表される規範モデルGT(s)に従った二次遅れ形式のローパスフィルタ処理を行うことにより、車間距離指令値DTを演算する。
T(s)=ωn2/(s2+2ζωns+ωn) ………(3)
【0021】
また、目標車速演算部24は、入力される車間距離指令値DTに基づいてフィードバック補償器を使用して目標車速V*を演算する。具体的には、下記(4)式に示すように、自車速Vと相対速度ΔVとから算出した先行車両車速Vt(=V+ΔV)から車間距離指令値DTと実際の車間距離Dとの偏差ΔD(=DT−D)に距離制御ゲインfdを乗じた値と、相対速度ΔVに車速制御ゲインfvを乗じた値との線形結合を減じることにより目標車速V*を演算する。
*=Vt−{fd(DT−D)+fv・ΔV} ………(4)
【0022】
車速制御部25では、車間距離Dに基づいて自車前方に先行車両が存在するか否かを判断し、先行車両が存在しないときには予め設定された設定車速VSETを選択目標車速Vs*として設定し、先行車両が存在するときには設定車速VSET又は入力される目標車速V*の小さい方を選択目標車速Vs*として設定する。
そして、設定された選択目標車速Vs*及び自車速Vをもとに、下記(5)式に従って目標加減速度α*を算出する。ここで、kは係数である。
α*=k・(Vs*−V) ………(5)
【0023】
このようにして算出された目標加減速度α*に車両質量Mを乗算して目標制駆動力FOR(=α*・M)を算出し、当該目標制駆動力FORに基づいて制動圧指令値P*及びスロットル開度指令値θ*を算出する。そして、制動圧指令値P*を制動制御装置8に、スロットル開度指令値θ*をエンジン出力制御装置9に夫々出力する。
また、予備制動制御部26では、図3に示す予備制動制御処理を実行して、制動制御装置8に対する制動圧指令値Pp*を出力する。
【0024】
次に、走行制御用コントローラ20の予備制動制御部26で実行される予備制動制御処理を図3のフローチャートに従って説明する。
この予備制動制御処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で各種センサからの信号を読込む。具体的には、走行制御スイッチ15のスイッチ信号SS、目標加減速度α*、自車速V、アクセルペダルストローク量ST、操舵角δを読込む。
【0025】
次いでステップS2では、追従走行制御モード中か否かを判定する。この判定は、運転席近傍に配設された走行制御スイッチ15のスイッチ信号SSがオン状態であるか否かによって行い、走行制御スイッチ15のスイッチ信号SSがオン状態であるときには、追従走行制御モード中であると判断してステップS3に移行する。
一方、ステップS2の判定結果が、走行制御スイッチ15のスイッチ信号SSがオフ状態であり、追従走行制御モード中でないときには、タイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0026】
次にステップS3では、前記ステップS1で読込んだ自車速Vが所定の車速閾値VTH以下であるか否かを判定し、V>VTHであるときには後述するステップS6に移行し、V≦VTHであるときにはステップS4に移行する。
ここで、車速閾値VTHは、歩行者や自転車等が車の間をすり抜けて出てこない程度の車速(例えば、10km/h程度)に設定する。即ち、V≦VTHであるときには自車両が低速走行しており、歩行者や自転車等が自車前方を横断する可能性があると判断することができる。
【0027】
ステップS4では、追従走行制御による駆動力制御が行われているか否かを判定する。この判定は、前記ステップS1で読込んだ目標加減速度α*の符号に基づいて行い、α*>0であるときには、自車両を加速するためのスロットル開度指令値θ*がエンジン出力制御装置9に対して出力されており、追従走行制御による駆動力制御中であって加速指令が出されていると判断してステップS5に移行する。
また、α*≦0であるときには、自車両を減速するための制動圧指令値P*が制動制御装置8に対して出力されており、追従走行制御による制動力制御中であって加速指令が出されていないと判断して後述するステップS8に移行する。
【0028】
ステップS5では、自車両に発生させるブレーキ予圧Ppを算出し、走行制御用コントローラ20内のメモリに記憶する。ブレーキ予圧Ppは図4に示すブレーキ予圧算出マップを参照し、目標加減速度α*をもとに算出する。また、図3に示すフローチャートの各サンプリング周期毎にブレーキ予圧が算出され、メモリに記憶された値が更新される。ここで、ブレーキ予圧算出マップは、横軸に目標加減速度α*、縦軸にブレーキ予圧Ppをとっており、ブレーキ予圧Ppは、目標加減速度α*が比較的小さい領域では一定の最小値Ppmとなるように設定されている。そして、その後目標加減速度α*の増加に比例してブレーキ予圧Ppも増加し、目標加減速度α*が比較的大きい領域では一定の最大値PpMとなるように設定されている。ここで、最大値PpMは乗員が減速度を感じることのない最大のブレーキ圧に設定する。
【0029】
このように、目標加減速度α*の大きさに応じてブレーキ予圧Ppを設定することにより、加減速度の違いによる空走距離の差を考慮に入れることができるので、例えば加速度が大きいときには、ブレーキ予圧Ppを大きく設定してブレーキの応答性をより向上するなど、応答性の良いブレーキが要求される可能性が高い場面で適切に対応することができる。
【0030】
次にステップS6に移行して、自車速Vが車速閾値VTHを超えているか、又は運転者によるアクセル操作を検出しているか否かを判定する。V>VTHであるときには、歩行者や自転車等が自車前方を横断する可能性が極めて低いため、ブレーキ予圧Ppを発生させる必要はないと判断することができる。
また、運転者によるアクセル操作を検出しているときには、運転者が意識的に加速を行っているので、ブレーキ予圧Ppを発生させる必要はないと判断することができる。さらに、このとき運転者は少なくともアクセルペダルに足を置いている状態であり、歩行者等の飛び出しに遭遇した場合であっても比較的素早くブレーキ操作に移行することができるので、ブレーキ予圧Ppを発生させる必要はないと判断することができる。
【0031】
そして、V>VTH又はアクセル操作を検出しているときにはステップS7に移行し、V≦VTH且つアクセル操作非検出であるときには後述するステップS9に移行する。
ステップS7では、運転者が急なアクセル操作を行っているか又は急な操舵操作を行っているか否かを判定する。ここで、急なアクセル操作が行われているか否かの判定は、アクセルペダルに備えられたストロークセンサ18によって検出されたストローク量STに基づいて算出されるアクセル踏込み速度Vaをもとに行い、アクセル踏込み速度Vaが予め設定された踏込み速度閾値VaTHを超えているときに、急なアクセル操作が行われていると判断する。この踏込み速度閾値VaTHは、緊急時のブレーキ踏込み速度を実験的に求めることにより設定し、例えば、90deg/sとする。
【0032】
運転者による急なアクセル操作が行われているときには、自車前方の障害物との接触を回避するために急ブレーキを行いたかったにもかかわらず、誤ってアクセルペダルを踏んでしまった可能性があると判断して、ブレーキ予圧Ppを発生し続ける必要があると判断する。
なお、ここでは踏込み速度閾値VaTHの値を一定とする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、自車速Vに応じてその値を変更するようにしてもよい。
【0033】
また、同様に、急な操舵操作を行っているか否かの判定は、操舵角センサ19によって検出された操舵角δをもとに行い、例えば、操舵角δの変化を時間微分することによって求められる操舵角速度が予め設定された操舵角閾値δTHを超えているときに、急な操舵操作が行われていると判断する。ここで、この操舵角閾値δTHは、緊急時の操舵角変化量を実験的に求めることにより設定することができる。
【0034】
なお、操舵角センサ19の代わりに操舵トルクを検出するトルクセンサを設け、トルクセンサ検出値の時間微分によって操舵角速度を検出しても良い。
運転者による急な操舵操作が行われているときには、自車前方の障害物を回避するために急操舵を行っており、緊急制動の可能性があると判断して、ブレーキ予圧Ppを発生し続ける必要があると判断する。
そして、ステップS8では、ブレーキ予圧Ppを零(0)に設定する。これにより実質的にブレーキ予圧の発生状態を解除することができる。
次いでステップS9に移行して、前記ステップS5又はステップS8で設定されたブレーキ予圧Ppを発生するための制動圧指令値Pp*を算出すると共に、この制動圧指令値Pp*を制動制御装置8に出力し、タイマ割込み処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0035】
したがって、今、自車両が走行制御スイッチ15をオフ状態として走行しているものとする。この場合には、追従走行制御処理が非制御状態であるため、図3の予備制動制御処理において、ステップS2の判定により予備制動制御処理を終了し、運転者のアクセル及びブレーキ操作に応じた通常通りの走行を継続する。
この通常走行状態から、走行制御スイッチ15をオン状態とすると、追従走行制御処理が開始され、先行車両を検出すると、先行車両との車間距離Dが目標車間距離D*となるように目標車速V*を設定して自車速Vを制御する制動圧指令値P*及び目標スロットル開度θ*が制動制御装置8及びエンジン出力制御装置9に出力されて追従走行制御に移行する。
【0036】
このとき、自車両が先行車両に追従して加速して、自車速Vが所定の速度閾値VTHを超えた場合、図3のステップS3からステップS6に移行し、V>VTHであるのでステップS7に移行する。運転者によるアクセル操作及びステアリング操作が行われていないものとすると、アクセル操作及び操舵操作は共に緊急性を要しておらず通常操作であると判断されるので、ステップS7の判定によりステップS8に移行してブレーキ予圧Ppを零に設定する。これによりブレーキ予圧Ppを発生することなく、車間距離Dに応じた追従走行制御が継続される。
【0037】
また、自車両が先行車両に追従して速度閾値VTH以下の低速度で走行中であり、先行車両の加速に応じて自車両も加速しようとしているものとする。この場合には、V≦VTHであるのでステップS3からステップS4に移行し、自車両には加速指令が出されているためステップS4からステップS5に移行して、図4に示すブレーキ予圧算出マップを参照し目標加減速度α*に応じたブレーキ予圧Ppを算出する。運転者によるアクセル操作が行われていないものとすると、ステップS6からステップS9に移行して前記ステップS5で算出されたブレーキ予圧Ppを発生するための制動圧指令値Pp*が制動制御装置8に対して出力される。これにより、乗員に減速度を感じさせない程度のブレーキ圧が発生され、ブレーキの応答性が向上される。
【0038】
このように、自車両が低速走行中に追従走行制御の駆動力制御によって加速される場合には、ブレーキ予圧を発生させてブレーキの応答性を向上するので、歩行者や自転車等が道路横断のために自車両と先行車両との間をすり抜ける場合や、急に飛び出す場合に安定した車両挙動を実現することができる。
その後、自車両が先行車両に追従して加速していき、自車速Vが速度閾値VTHを超えると、ステップS3からステップS6に移行する。V>VTHであるのでステップS6の判定によりステップS7に移行し、このとき運転者によるアクセル及びステアリング操作が行われていないものとすると、ステップS8に移行してブレーキ予圧Ppが零に設定される。そして、ブレーキ予圧Ppを零、即ちブレーキ予圧発生状態を解除するための制動圧指令値Pp*が制動制御装置8に対して出力され、ブレーキ予圧Ppを発生することなく通常の追従走行制御に移行する。
【0039】
一方、自車両が先行車両に追従して加速していき、自車速Vが速度閾値VTHを超えた状態で、運転者による急操舵が行われたものとする。この場合には、ステップS7でNoと判定されてステップS9に移行する。そして、前回のサンプリング処理で算出されたブレーキ予圧Ppを発生するための制動圧指令値Pp*が制動制御装置8に対して出力することにより、ブレーキ予圧発生状態を継続する。このとき、前回のサンプリング処理で算出されたブレーキ予圧Ppがメモリに記憶されていないときは、例えば図4に示す最大のブレーキ予圧PpMが与えられる。
【0040】
このように、自車速Vが速度閾値VTHを超えている場合であっても、運転者による急操舵が行われている場合には、自車前方の障害物を回避している状態であり急制動を行う可能性があると判断して、ブレーキ予圧Ppを発生し続けるので、応答性の良いブレーキを要求される場面で適切に対応することができる。
また、自車両が速度閾値VTH以下の低速度で追従走行中であり、且つブレーキ予圧発生状態であるものとする。このとき運転者によるアクセル操作が行われたものとすると、ステップS5で目標加減速度α*に応じたブレーキ予圧Ppが算出され、次いでステップS6の判定によりステップS7に移行する。
【0041】
運転者によるアクセル操作が通常操作である場合には、ステップS7の判定によりステップS8に移行してブレーキ予圧Ppが零に設定される。そして、ブレーキ予圧Ppを零、即ちブレーキ予圧発生状態を解除するための制動圧指令値Pp*が制動制御装置8に対して出力され、ブレーキ予圧Ppを発生することなく運転者によるアクセル操作に応じた走行に移行する。
【0042】
一方、自車両が速度閾値VTH以下の低速度で追従走行中、且つブレーキ予圧発生状態であって、運転者による急なアクセル操作が行われたものとする。この場合には、ステップS5で目標加減速度α*に応じたブレーキ予圧Ppが算出され、次いでステップS6の判定によりステップS7に移行する。そして、ステップS7でNoと判定されてステップS9に移行し、前記ステップS5で算出されたブレーキ予圧Ppを発生するための制動圧指令値Pp*が制動制御装置8に対して出力することにより、ブレーキ予圧発生状態を継続する。
【0043】
このように、ブレーキ予圧発生状態において、運転者による通常アクセル操作を検出した場合にはブレーキ予圧発生状態を解除するが、急アクセル操作を検出した場合には、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いを考慮してブレーキ予圧発生状態を継続するので、運転者による通常アクセル操作が行われているときには、運転者の加速意思に合致した車両挙動を実現することができると共に、急アクセル操作が行われているときには応答のよいブレーキが要求される場面で適切に対応することができる。
【0044】
したがって、上記第1の実施形態では、追従走行中に自車両が駆動力制御されるとき、減速度を感じない程度のブレーキ予圧を発生するので、歩行者等の飛び出しに対して応答のよいブレーキが要求される場合に、適切に対応することができ、安定した車両挙動を実現することができる。
また、自車速が車速閾値以下であるときに自車両が駆動力制御されるとき、ブレーキ予圧を発生するので、自車両が停止又は低速走行しているために歩行者等が道路を横断しようとして自車両と先行車両との間をすり抜けて出てくる場合など、応答のよいブレーキが要求される場合に、適切に対応することができ、安定した車両挙動を実現することができる。
【0045】
さらに、自車速が車速閾値を越えたときには、ブレーキ予圧を零に設定してブレーキ予圧発生状態を解除するので、自車速が、歩行者等が車間をすり抜けて出てこない程度の車速に達したと判断することができ、緊急制動の可能性に応じた適切なブレーキ予圧発生制御を行うことができる。
また、ブレーキ予圧発生状態であるときに運転者によるアクセル操作を検出した場合には、ブレーキ予圧を零に設定して当該ブレーキ予圧発生状態を解除するので、運転者の意図する加速状態に直ちに移行することができ、運転者の意思に合致した車両挙動を実現することができる。
【0046】
さらにまた、ブレーキ予圧発生状態であるときに運転者による急なアクセル操作を検出した場合には、当該ブレーキ予圧発生状態を解除せずに維持するので、例えば、運転者が自車前方の障害物との接触を回避しようとして急ブレーキをしたかったにもかかわらず、誤ってアクセルペダルを踏んでしまった場合などを考慮して、応答性の良いブレーキが要求される場面で適切に対応することができる。
【0047】
また、ブレーキ予圧発生状態であるときに運転者による急なステアリング操作を検出した場合には、当該ブレーキ予圧発生状態を解除せずに維持するので、例えば、自車前方に歩行者等が出現したことにより、これを回避しようとして急操舵をする場合などを想定し、緊急制動の可能性を考慮して応答性の良いブレーキが要求される場面で適切に対応することができる。
【0048】
さらに、目標加減速度が大きいほどブレーキ予圧を大きく算出するので、加速度の違いによる空走距離の差を考慮に入れることができ、応答性の良いブレーキが要求される可能性に応じて適切なブレーキ予圧を発生させることができる。
なお、上記第1の実施形態においては、目標加減速度をもとに図4に示すブレーキ予圧算出マップを参照してブレーキ予圧を算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、先行車両との車間距離Dや先行車両の速度Vtをもとにブレーキ予圧Ppを算出するようにしてもよい。
【0049】
車間距離Dをもとにブレーキ予圧Ppを算出する場合には、図5に示すブレーキ予圧算出マップを参照する。このブレーキ予圧算出マップは、横軸に車間距離D、縦軸にブレーキ予圧Ppをとっており、ブレーキ予圧Ppは、車間距離Dが比較的小さい領域では一定の最大値PpMとなるように設定されている。そして、その後車間距離Dの増加に伴ってブレーキ予圧Ppが減少し、車間距離Dが比較的大きい領域では一定の最小値Ppmとなるように設定されている。
【0050】
また、先行車速Vtをもとにブレーキ予圧Ppを算出する場合には、図6に示すブレーキ予圧算出マップを参照する。このブレーキ予圧算出マップは、横軸に先行車速Vt、縦軸にブレーキ予圧Ppをとっており、ブレーキ予圧Ppは、先行車速Vtが比較的小さい領域では一定の最小値Ppmとなるように設定されている。そして、その後先行車速Vtの増加に伴ってブレーキ予圧Ppも増加し、先行車速Vtが比較的大きい領域では一定の最大値PpMとなるように設定されている。
【0051】
このように、先行車両との車間距離が小さいほどブレーキ予圧を大きく算出するので、車間距離の違いによる空走距離の差を考慮に入れることができ、応答性の良いブレーキが要求される可能性に応じて適切なブレーキ予圧を発生させることができる。
また、先行車両の速度が大きいほどブレーキ予圧を大きく算出するので、先行車速の違いによる空走距離の差を考慮に入れることができ、応答性の良いブレーキが要求される可能性に応じて適切なブレーキ予圧を発生させることができる。
【0052】
さらに、上記第1の実施形態においては、図3のステップS5におけるブレーキ予圧の算出処理で、図4〜図6に示すブレーキ予圧算出マップを参照して夫々算出されたブレーキ予圧のセレクトハイ(大きい値の選択)を行って最終的なブレーキ予圧を設定するようにしてもよい。
即ち、目標加減速度α*に応じて算出されるブレーキ予圧をPpa、車間距離Dに応じて算出されるブレーキ予圧をPpD、先行車速Vtに応じて算出されるブレーキ予圧をPpVrとすると、下記(6)式をもとに自車両に発生するブレーキ予圧Ppを算出すればよい。
Pp=max(Ppa,PpD,PpVr) ………(6)
ここで、max( )は、括弧内の値に対してセレクトハイを行う関数である。
【0053】
また、上記第1の実施形態においては、運転者による急なアクセル操作を検出したとき、又は運転者による急な操舵操作を検出したとき、ブレーキ予圧発生状態を単に維持する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブレーキ予圧を増加補正するようにしてもよい。これにより、加速を鈍らせることができ、緊急制動に対するブレーキの応答性をより向上させることができる。
【0054】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲を走行しており、且つ追従走行制御によって自車両が加速制御されているとき、ブレーキ予圧を発生させるようにしたものである。
図7は、第2の実施形態における追従制御用コントローラ20の予備制動制御部で実行される予備制動制御処理を示すフローチャートであって、前述した第1の実施形態における図3の予備制動制御処理において、ステップS3の処理が、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲内を走行しているか否かを判定するステップS21に置換され、ステップS6の処理が、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲を通過するか、又は運転者によるアクセル操作を検出しているか否かを判定するステップS22に置換されていることを除いては図3と同様の処理を行い、図3との対応部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
すなわち、前記ステップS2でYesと判定されたときには、ステップS21に移行して、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲内を走行中であるか否かを判定する。この判定は、カーナビゲーションシステムによって行い、全地球測位システム16から入力される自車走行地点データを読込み、次いで自車走行地点データをもとに道路地図データ格納部17をアクセスして、自車両の現在走行地点が交差点及び交差点近傍の所定範囲内であるか否かを判定する。
【0056】
ここで所定範囲は、図8の斜線部で示され、交差点における角C1〜C4を夫々結んで形成される範囲に、所定距離L分を加えたものとする。また所定距離Lは、例えば車両1台分の前後方向長さとする。なお、この所定距離Lは、交差点の大きさや自車速Vに応じて変更するようにしてもよい。
そして、前記ステップS21の判定結果が、自車両が前記所定範囲内を走行中であると判断されたときには前記ステップS4に移行し、前記所定範囲外を走行中であると判断されたときにはステップS22に移行する。
【0057】
ステップS22では、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲を通過したか、又は運転者によるアクセル操作を検出しているか否かを判定する。自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲内を走行しているときには、歩行者や自転車の飛び出しはもちろん、自車両が直進走行しているときの対向右折車(又は自車両が右折しているときの対向直進車)の飛び出しに遭遇する可能性があるため、ブレーキ予圧Ppを発生させる必要があると判断する。一方、自車両が前記所定範囲外を走行しているときには、対向車両等の飛び出しに遭遇する可能性が極めて低いため、ブレーキ予圧Ppを発生させる必要はないと判断する。
【0058】
この図7の処理において、ステップS21の処理が交差点検出手段に対応している。
したがって、今、自車両が交差点手前の所定範囲外を先行車両に追従して走行中であるものとする。この場合には、図7のステップS21の判定によりステップS22を経てステップS7に移行する。運転者によるアクセル操作及びステアリング操作が行われていないものとすると、アクセル操作及び操舵操作は共に緊急性を要しておらず通常操作であると判断されるので、ステップS7の判定によりステップS8に移行してブレーキ予圧Ppを零に設定する。これによりブレーキ予圧Ppを発生することなく、車間距離Dに応じた追従走行制御が継続される。
【0059】
その後、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲内に進入し、直進走行しながら先行車両に追従して加速しようとしているものとすると、ステップS21からステップS4を経てステップS5に移行し、図4に示すブレーキ予圧算出マップを参照し目標加減速度α*に応じたブレーキ予圧Ppを算出する。運転者によるアクセル操作が行われていないものとすると、ステップS22からステップS9に移行して前記ステップS5で算出されたブレーキ予圧Ppを発生するための制動圧指令値Pp*が制動制御装置8に対して出力される。これにより、乗員に減速度を感じさせない程度のブレーキ圧が発生され、ブレーキの応答性が向上される。
【0060】
このように、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲内を走行しており、且つ先行車両に追従して加速するときに予備制動Ppを発生してブレーキの応答性を向上するので、例えば、自車両が交差点を直進走行しているときの対向右折車の飛び出しなどに対して、安定した車両挙動を実現することができる。
その後、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲を通過すると、ステップS21からステップS22を経てステップS7に移行する。運転者による急なアクセル操作及び急なステアリング操作が行われていないものとすると、ステップS7の判定によりステップS8に移行してブレーキ予圧Ppを零に設定する。これによりブレーキ予圧発生状態が解除され、通常の追従走行制御に復帰する。
【0061】
このように、上記第2の実施形態では、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲内を走行しているときに自車両が駆動力制御されるとき、ブレーキ予圧を発生するので、直進走行時に対向右折車が飛び出す場合や、右折時に対向直進車が飛び出す場合など、応答のよいブレーキが要求される場合に、適切に対応することができ、安定した車両挙動を実現することができる。
【0062】
さらに、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲を通過したときには、ブレーキ予圧を零に設定してブレーキ予圧発生状態を解除するので、交差点における対向車両の飛び出しを懸念する必要はないと判断することができ、緊急制動の可能性に応じた適切なブレーキ発生制御を行うことができる。
なお、上記第2の実施形態においては、目標加減速度をもとにブレーキ予圧を算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、交差点の大きさをもとにブレーキ予圧Ppを算出するようにしてもよい。この場合、ナビゲーションシステムによって車線数等を検出することにより交差点の大きさを判断し、交差点の大きさが大きいほどブレーキ予圧Ppを大きく設定するようにする。これにより、応答のよいブレーキが要求される可能性が高い場合に適切に対応することができる。
【0063】
また、上記各実施形態においては、目標加減速度をもとにブレーキ予圧を算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、走行道路の明るさをもとにブレーキ予圧Ppを算出するようにしてもよい。この場合、例えばライトのON/OFF信号を取得して、ライトがON状態であるときには走行道路が暗く、ライトがOFF状態であるときには走行道路が明るいと判断したり、CCDカメラ等の外界認識センサを設置して、この撮像画像から明るさを判断したりすればよい。そして、走行道路の明るさが暗いほどブレーキ予圧Ppを大きく設定することにより、応答のよいブレーキが要求される可能性が高い場合に適切に対応することができる。
【0064】
さらに、上記各実施形態においては、ブレーキ予圧発生の要否を判断する際に、図3におけるステップS3の自車速判断と図7におけるステップS21の交差点走行判断とを個々に行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、これらの判断を同時に行い、自車速が所定の車速閾値以下であるか、又は自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲を走行中であるときに要ブレーキ予圧発生状態であると判断するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の走行制御用コントローラの具体例を示すブロック図である。
【図3】図1の走行制御用コントローラの予備制動制御部で実行される予備制動制御処理を示すフローチャートである。
【図4】目標加減速度に基づくブレーキ予圧算出マップである。
【図5】車間距離に基づくブレーキ予圧算出マップである。
【図6】先行車速に基づくブレーキ予圧算出マップである。
【図7】第2の実施形態における予備制動制御部で実行される予備制動制御処理を示すフローチャートである。
【図8】交差点及び交差点近傍の所定範囲を説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
1FL〜1RR 車輪
2 エンジン
3 自動変速機
7 ディスクブレーキ
8 制動制御装置
9 エンジン出力制御装置
13 車速センサ
14 車間距離センサ
15 走行制御スイッチ
16 全地球測位システム
17 道路地図データ格納部
18 ストロークセンサ
19 操舵角センサ
20 走行制御用コントローラ
25 車速制御部
26 予備制動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の車速を検出する自車速検出手段と、自車両前方の追従制御対象車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、前記車間距離が目標車間距離となるように自車両の制駆動力を制御する車速制御手段とを備えた車両用走行制御装置において、
自車両が所定の車両走行状態で、且つ前記車速制御手段により加速制御されると判定したとき、ブレーキアクチュエータを駆動制御して、運転者の制動操作に先立つ予備制動を行う予備制動発生手段を備えていることを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項2】
前記所定の車両走行状態は、前記自車速検出手段で検出された車速が所定車速以下の状態であることを特徴とする請求項1に記載の車両用走行制御装置。
【請求項3】
自車両の走行地点を検出する走行地点検出手段と、自車両が走行する道路情報を有する道路情報提供手段と、前記走行地点検出手段で検出した走行地点及び前記道路情報提供手段で提供される道路情報に基づいて、自車両が交差点及び交差点近傍の所定範囲を走行中であることを検出する交差点検出手段とを有し、前記所定の車両走行状態は、前記交差点検出手段で自車両が前記所定範囲を走行中であることを検出した状態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用走行制御装置。
【請求項4】
前記予備制動発生手段は、前記予備制動状態であるときに、前記自車速検出手段で検出された車速が所定車速を超えたと判定したとき、当該予備制動状態を解除することを特徴とする請求項2に記載の車両用走行制御装置。
【請求項5】
前記予備制動発生手段は、前記予備制動状態であるときに、前記交差点検出手段の検出結果に基づいて自車両が前記所定範囲外を走行中であると判定したとき、当該予備制動状態を解除することを特徴とする請求項3に記載の車両用走行制御装置。
【請求項6】
運転者によるアクセル操作を検出するアクセル操作検出手段を有し、前記予備制動発生手段は、前記予備制動状態であるときに、前記アクセル操作検出手段でアクセル操作を検出したとき、当該予備制動状態を解除することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用走行制御装置。
【請求項7】
前記予備制動発生手段は、前記予備制動状態であるときに、前記アクセル操作検出手段で急なアクセル操作を検出したとき、当該予備制動状態を維持することを特徴とする請求項6に記載の車両用走行制御装置。
【請求項8】
ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段を有し、前記予備制動発生手段は、前記予備制動状態であるときに、前記操舵角検出手段で急な操舵角変化を検出したとき、当該予備制動状態を維持することを特徴とする請求項4〜7の何れか1項に記載の車両用走行制御装置。
【請求項9】
前記車速制御手段は、少なくとも車間距離検出値および目標車間距離に基づいて車間距離を目標車間距離とするための目標車速を演算し、自車速検出値が前記目標車速となるように目標加減速度を算出すると共に、当該目標加減速度を実現するように制駆動力を制御し、前記予備制動発生手段は、前記目標加減速度が大きいほど大きな予備制動状態とすることを特徴とする請求項4〜8の何れか1項に記載の車両用走行制御装置。
【請求項10】
前記予備制動発生手段は、前記車間距離検出手段で検出された車間距離が小さいほど大きな予備制動状態とすることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の車両用走行制御装置。
【請求項11】
前記予備制動発生手段は、前記追従制御対象車両の車速が大きいほど大きな予備制動状態とすることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の車両用走行制御装置。
【請求項12】
自車両前方の道路環境の状態を検出する道路環境検出手段を有し、前記予備制動発生手段は、該道路環境検出手段で検出された道路環境に応じた大きさの予備制動状態とすることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の車両用走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−44554(P2006−44554A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230733(P2004−230733)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】