説明

車体前部構造

【課題】エンジンに近づけて触媒を配置するという要請と、前面衝突時のクラッシュストロークを確保するという要請とを満足させる。
【解決手段】DPF容器46は横置きエンジン30に連結されたトランスアクスル32の上方域且つこれに隣接し且つエンジン30の側方域に隣接して車体前後方向に延在している。エンジン30は前方吸気、後方排気方式であり、遠心型のターボチャージャー44は、排気タービン72がDPF容器46側に、これとは車幅方向反対側にコンプレッサー56が配設されており、インタークーラー58がコンプレッサー56側に配設されている。DPF容器46は排気タービン72と短い第1排気管80によって連結され、DPF容器46の前端に連結された第2排気管は、斜め下方屈曲した後に車幅方向中央において後方に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車体前部構造に関し、より詳しくはエンジンルームにおける排気系部品の配置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題から自動車の排気ガスの浄化が重要な技術課題となっているのは周知のとおりであり、排気ガスの浄化は排気系に配設される触媒手段に大きく依存しているのが現状である。このような浄化装置は触媒反応を促進するために熱を必要とすることから、冷間時に早期に浄化機能を発揮させるために、排気系の上流に触媒手段が配設される。
【0003】
特許文献1は、ガソリンエンジンを搭載した車両に関し、エンジンを横置きにすると共にエンジンの後面から排気させる、いわゆる「横置き、後方排気」に関してエンジン始動時の触媒の早期活性を促すために、触媒手段をエンジンの後面に接近させて配置することを開示している。特許文献1は、具体的には、横置きエンジンの後面に沿って触媒手段を配置することを提案している。
【0004】
特許文献2は、ディーゼルエンジンを搭載した車両に関し、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)はフィルタに堆積した煤を触媒により燃焼させて消失させることでDPFの再生が行われるため、DPFをエンジンに接近して配置させるのが好ましく、このことから特許文献2はDPFを横置きエンジンの後面に沿って配置することを提案している。
【0005】
特許文献3は、ロータリーエンジンを搭載した車両のヨー慣性モーメントを低減して操縦安定性を向上するため、ダッシュパネルと干渉する位置まで後退した位置にエンジンを搭載したときに触媒をエンジンの前方に配置することを提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2007−146681号公報
【特許文献2】特開2006−70878号公報
【特許文献3】特開2003−326981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
排気ガスの浄化基準が年々厳しくなっており、これに対応するための触媒への依存度が高くなっているのが実情であり、このため触媒も大型化する傾向にある。このことから、特許文献1、2のように、横置きエンジンの後面に沿ってDPFなどの触媒手段を配置した場合、この触媒を収容するケースは比較的硬く前面衝突時にエンジンの後退に伴って触媒も後退してしまうため、前面衝突時のクラッシュストロークが事実上小さくなってしまうという問題が残る。
【0008】
他方、横置き且つ後方排気のエンジンにおいて特許文献3のように触媒手段をエンジンの前方に配置したときには、エンジンから触媒までの排気管が長くなってしまうため、エンジン始動時における触媒の早期活性化を促すことができなくなる。
【0009】
本発明の目的は、エンジンに近づけて触媒を配置するという要請と、前面衝突時のクラッシュストロークを確保するという要請とを満足させることのできる車体前部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
ダッシュパネルによって車室とエンジンルームとが区画され、前記ダッシュパネルから前方に延びる左右のフロントサイドフレーム間に、トランスアクスルが一体に組み付けられたレシプロエンジンがそのクランクシャフトを車幅方向に沿って延びるように横置きに搭載された車体前部構造において、
前記横置きレシプロエンジンの前面又は後面の排気口に連結された排気管と、
該排気管の一部を構成する触媒容器とを含み、
該触媒容器が、前記トランスアクスルの上方域且つ前記横置きエンジンの側方域に延在し、該触媒容器は、その入口が前記レシプロエンジンの前面よりも前方又は後面よりも後方に位置し且つ出口が前記レシプロエンジンの後面よりも後方又は前面よりも前方に位置しており、
前記触媒容器の出口から下流の排気管が、前記触媒容器から下方に向けて延びた後にエンジンルームの下方域を車体後方に向けて延びており、
前記レシプロエンジンの後面又は前面の吸気口に連結された吸気管が、前記エンジンルームの車体前後方向軸線を挟んで前記触媒容器が配索されている側とは反対側の領域に配設されていることを特徴とする車体前部構造を提供することにより達成される。
【0011】
本発明によれば、エンジンに隣接して且つその側方つまりトランスアクスルの上方域に触媒容器を配設することで、始動時に触媒を早期に活性化できるだけでなく、触媒容器をエンジンの後方に隣接して配置させたときの問題である前面衝突時のクラッシュストロークの短縮の問題を解消することができる。
【0012】
また、触媒容器を前記トランスアクスルの上方域且つ前記横置きエンジンの側方域に延在させることにより、車体前後方向軸線を挟んでエンジンルームを左右に領域分けしたときに触媒容器を一方の領域に設置することになる。したがって、この触媒容器を配設した領域に排気管を設置し、他方、反対側の領域に吸気系を配置することで、排気系の熱による供給系への影響を抑えることが容易となる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記レシプロエンジンがターボチャージャーを有し、該ターボチャージャーの遠心型の排気タービンとコンプレッサーとが前記エンジンの前面又は後面に沿って並んで配設され且つ前記排気タービンが前記触媒容器側に配設されると共に該排気タービンの出口が車幅方向外方且つ触媒容器側に向けられ、前記コンプレッサーの入口が、前記排気タービンの出口とは反対側に向けられている。これによれば、左右に領域分けして一方の領域に排気系を配設し、他方の領域に吸気系を配設するときに、排気管と吸気管の配索が容易になる。
【0014】
このことは、特に、エンジンの吸気口を横置きの前記エンジンの前記インタークーラー側の端部に形成し、前記エンジンの排気口を横置きの前記エンジンの前記触媒容器が位置する側の端部に形成することで顕著になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0016】
第1実施例(図1〜図4)
図1を参照して、参照符号1はダッシュパネルを示し、ダッシュパネル1によって車室2とエンジンルーム3とが区画されている。車室2には、インストルメントパネル4、ブレーキペダル5、ステアリングハンドル等が設けられている。参照符号6はフロントウインドウである。
【0017】
エンジンルームを上から見た図2及びエンジンルームを下から見た図3から分かるように、エンジンルーム3の下方域には、エンジンルーム3の全域に亘って車体前後方向に延存する左右のフロントサイドフレーム10、10が配設され、そして、エンジンルーム3の後部には、左右のフロントサイドフレーム10、10の後端の間に亘ってダッシュパネル1に沿って延びるダッシュクロスメンバ12が配設されると共に車幅方向に延在するサブフレーム14が配設されており、サブフレーム14に、ステアリングロッドやその駆動ユニットを含むステアリング装置16が搭載されている。なお、フロントサイドフレーム10、10の前端にはクラッシュカン10aを介してバンパーレインフォースメント18に連結されている(図2)。
【0018】
参照符号20は前輪であり、前輪20のサスペンション機構22はコイルスプリングの中にショックアブソーバを配設したストラット式サスペンションが採用されている。このストラット式サスペンションは、既知のように、左右のサスペンションタワー24、24間の距離を大きくできるという利点がある(図2)。
【0019】
エンジン30は、そのクランクシャフトを車幅方向に向けてエンジンルーム3内に搭載されている(図2、図3)。すなわち、エンジン30は横置きのレシプロエンジンであり、エンジン30のクランクシャフトの後端にはトランスアクスル32が車幅方向に並んで連結されている。トランスアクスル32は、エンジン30のクランクシャフトに連結されたトルクコンバーター34に続いて遊星歯車機構を備えた多段の自動変速機36を備え、自動変速機36に連結されたデファレンシャルギア38を介してエンジン出力が左右の前輪20に伝達される。
【0020】
エンジン30は水冷式の4気筒エンジンであり、このエンジン30の冷却水は、フロントサイドフレーム10の前端部の間のシュラウドパネルに固設されたラジエータ40によって冷却される。
【0021】
横置きのエンジン30は、その前面30aから吸気され、後面30bから排気される。すなわち、エンジン30は前方吸気、後方排気の形式が採用されている(図2)。また、このエンジン30はディーゼルエンジンであり、ディーゼルエンジン30は、インタークーラー58付きのターボチャージャー44によって過給され、また、排気系にはDPF容器46が介装されている(図2)。
【0022】
エンジン30の吸気系について説明すると、吸気系は、その上流側から順に配設された、エアクリーナボックス52、ターボチャージャー44のコンプレッサー56、インタークーラー58、吸気マニホールド60で構成されている(図2)。エアクリーナボックス52にはエア導入パイプ54を通じて外気が供給され、エアクリーナボックス52に導入された外気はフィルター(図示せず)で浄化される。
【0023】
エアクリーナボックス52内で浄化した外気は、エアクリーナボックス52とコンプレッサー56とを連結する第1吸気管62によってコンプレッサー56に供給され、コンプレッサー56で圧縮される。コンプレッサー56で圧縮された外気は、コンプレッサー56とインタークーラー58とを連結する第2吸気管64によってインタークーラー58に供給され、インタークーラー58で空冷される。インタークーラー58で空冷された外気は、インタークーラー58と吸気マニホールド60とを連結する第3吸気管66によって吸気マニホールド60に供給され、そしてエンジン30の各気筒の吸気行程で各気筒に充填される。
【0024】
次に、エンジン30の排気系について説明すると、エンジン30側から順に遠心型のターボチャージャー44の排気タービン72、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)を収容した容器46の他に、周知のように、第2触媒、サイレンサーで構成されている。ターボチャージャー44は、エンジン30の前面30aにおいて長手方向に沿って排気タービン72とコンプレッサー56が配列されており、排気タービン72はDPF容器46側に位置し、コンプレッサー56がインタークーラー58側に位置している(図2)。そして、排気タービン72の出口は車幅方向外方に且つDPF容器46側に向けられており、コンプレッサー56の入口は車幅方向外方に且つエアクリーナボックス52側に向けられている。
【0025】
吸気系のレイアウトを説明すると、直方体形状のエアクリーナボックス52は、エンジンルーム3の前端部の一側端部つまりエンジンルーム3の前端角隅部における上方領域に配設されている(図2)。エア導入パイプ54は、その上流端開口54aが縦方向に扁平な横方向に細長い形状を有し、そして、このエア導入パイプ54の上流端開口54aが車幅方向中央部においてシュラウドパネルとボンネットフード74との間に配設され、そして前方に向けて開放されている。エア導入パイプ54は、その上流端開口54aから車幅方向に延びてエアクリーナボックス52の側面に連結されている。
【0026】
次にエアクリーナボックス52とコンプレッサー56とを連結する第1吸気管62について説明すると、先ず、コンプレッサー56は、エンジン30の後面30bに隣接して配設されている(図2)。第1吸気管62は、その上流端がエアクリーナボックス52の上面に連結されている。そして、第1吸気管62は、エアクリーナボックス52から後方に延び、エンジン30の側方を水平且つ後方に延びた後に、エンジン30の後面30bに沿って車幅方向中央部分に向けて車幅方向に延びている。すなわち、エンジンルーム3を平面視して第1吸気管62の形状を説明すると、第1吸気管62は、エンジンルーム3の前端部の一側つまりエンジンルーム3の角隅部の高所に位置するエアクリーナボックス52から後方に延びた後に車幅方向中央部分に向けて略90度屈曲し、そしてエンジン30の後面30bに沿って車幅方向に延びる形状を有している(図2)。
【0027】
次に、コンプレッサー56とインタークーラー58とを連結する第2吸気管64について説明すると、先ず、インタークーラー58は、エンジンルーム3の前端部においてエアクリーナボックス52と同じ一側つまりエンジンルーム3の前端角隅部に配設され(図1、図2)、そして、エンジンルーム3の下方域に配設されている(図1)。より詳しくは、インタークーラー58は、フロントサイドフレーム10の前端部よりも車幅方向外方の下方域に配設されている(図2)。
【0028】
第2吸気管64は、コンプレッサー56から一旦上方に延びた直後にエンジン30の後面30b及び第2吸気管64に沿って車幅方向外方に延びた後に前方に略90度屈曲してエンジン30の端面に沿って且つエンジン30の端面に隣接して前方に延びた後に斜め下方に延びた後にフロントサイドフレーム14の下方を通り抜けてインタークーラー58の上端部に連結されている(図1)。
【0029】
次に、インタークーラー58と吸気マニホールド60とを連結する第3吸気管66について説明すると、先ず吸気マニホールド60は、エンジン30が前方吸気方式を採用していることから、エンジン30の前面30aに取り付けられている(図2)。第3吸気管66は、インタークーラー58の下端部から車幅方向内方に延びてフロントサイドフレーム14の下方を通り抜けた後に上方に立ち上がって吸気マニホールド60のインタークーラー58側の端部に連結されている。詳しくは、吸気マニホールド60の入口は、車体前後方向中心軸線を挟んで、インタークーラー58側にオフセットして形成されており、最も好ましい態様として、吸気マニホールド60の端に吸気入口が形成されている。
【0030】
排気系のレイアウトを説明すると、DPF容器46は、トランスアクスル32の上方域且つこれに隣接して配設され、また、エンジン30の側方域に隣接して配設され(図2、図4)、そしてDPF容器46は車体前後方向に延在し、その入口がエンジン30の後面30bよりも後方に位置し、出口がエンジンの前面30aよりも前方に位置している(図2)。すなわち、DPF容器46は円筒体の形状を有し、排気ガスは、DPF容器46の後端側から入り、DPF容器46の前端側から流出する。
【0031】
後方排気方式のエンジン30の後面30bに取付けられた排気マニホールド76の出口はトランスアクスル32側に片寄せして形成されている(図2)。詳しくは、排気マニホールド76の出口は、車体前後方向中心軸線を挟んで、インタークーラー58とは反対側にオフセットして形成されており、最も好ましい態様として、排気マニホールド75の端部に排気出口が形成され、そして、この排気マニホールド76の排気出口に実質的に直に遠心型の排気タービン72が取り付けられている。また、排気タービン72の出口は、前述したように、車幅方向外方且つDPF容器46側に向けられている。
【0032】
DPF容器46は、トランスアクスル32の上方に配設されていることは前述したとおりであるが、その高さ位置は排気タービン72と実質的に同じ高さレベルに位置決めされており、排気タービン72とDPF容器46の後端とは車幅方向に延びる比較的短い第1排気管80によって連結されている。
【0033】
DPF容器46の前端はトランスアクスル32の前端よりも前方に位置し(図2、図3)、そして、このDPF容器46の前端には第2排気管82が接続されている。第2排気管82は、エンジンルーム3の中央に向けて車幅方向内方に延びた後に下方に略90度屈曲してエンジン30の下端の高さレベルまで垂下した後にエンジン30の下方を通り過ぎて車体中心軸線に沿って後方に延び、この第3排気管82には、第2触媒やサイレンサーなどが設置される。なお、DPF容器46の中に酸化触媒を収容してもよく、この場合、上記の第2触媒は還元触媒とすればよい。
【0034】
図3から最も良く分かるように、前方吸気、後方排気のエンジン30に関して、エアクリーナボックス52、インタークーラー42、コンプレッサー56、第1乃至第3の吸気管62、64、66からなる吸気系がエンジンルーム3の車幅方向一側にレイアウトされ、他方、排気タービン72、DPF容器46、第1、第2の排気管80、82がエンジンルーム3の車幅方向他側にレイアウトされている。このように、エンジンルーム3を車幅方向にゾーン分けして、一方に熱源となる排気系、他方に熱を嫌う吸気系を配設したことで排気系による吸気温度への影響を抑えることが容易となり、吸気温度の上昇を根源的に防止することができる。
【0035】
また、比較的大型であり且つ硬質なケースを含むDPF容器46が横置きエンジン30に連結されたトランスアクスル32の上方域に配設してあり、このことからDPF容器46をエンジン30に接近させつつ排気マニホールド76に隣接した位置にDPF容器46の入口を位置させることができる(図2)。このことから、DPF容器46をエンジン30に接近させて始動時の早期の活性化を図ることができるだけでなく、従来のやり方であるエンジン30の後方からDPF容器46の存在を排除できるため、このDPF容器46がエンジン30の後方に存在することによってクラッシュストロークが短縮してしまうのを回避することができる。
【0036】
また、実施例では遠心型のターボチャージャー44が搭載され、そしてエンジン30の後面30bに隣接して排気タービン72とコンプレッサー56とが車幅方向に並ぶように配設されている(図2)。すなわち、横置きエンジン30の後面30bに沿って排気タービン72とコンプレッサー56が並んで位置しており、このことから遠心型の排気タービン72の出口が車幅方向外方且つDPF容器46側に向けられており、更に、排気タービン72とDPF容器46とが略同一の高さレベルに配設されていることから、排気タービン72とその側方に位置するDPF容器46の入口とが車幅方向に直線的に延びる比較的短い第2排気管80で連結することができる(図2)。このことから、排気流れを阻害しないで且つエンジン30から出た直後の排気ガスをDPF容器46に導入でき、始動時の触媒の早期の活性化を図ることができる。
【0037】
また、実施例では、ダッシュパネル1の下部に沿ってダッシュクロスメンバ12を設けることで(図3)、オフセット前面衝突での適合性能を高めるフレーム構造が採用されているが、エンジン30の後方にDPF容器46が存在していないため、また、ダッシュクロスメンバ12がターボチャージャー44よりも低い高さレベルに且つトランスアクスル32の後端部つまりデファレンシャルギア38よりも高い高さレベルに配設されているため、前面衝突時にターボチャージャー44やデファレンシャルギア38がダッシュクロスメンバ12と干渉することはない。
【0038】
第2実施例(図5〜図7)
第2実施例は、エンジン30の吸気、排気として後方吸気、前方排気の形式が採用されているが、第1実施例とは、次の点で共通である。すなわち、
【0039】
(1)DPF容器46がトランスアクスル32の上方且つ横置きエンジン30に隣接して配設されている点;
(2)インタークーラー42とエアクリーナボックス52が共にエンジンルーム3の一側に配設され、そして、エアクリーナボックス52がエンジンルーム3の上方域に配設され、インタークーラー42がエンジンルーム3の下方域に配設されている点;
(3)吸気系と排気系がエンジンルーム3の一側と他側にゾーン分けして、吸気系をエンジンルーム3の一側に配置し、排気系を他側に配置してある点で、第2実施例は前述した第1実施例と共通である。
【0040】
吸気系のレイアウトを説明すると、エアクリーナボックス52とコンプレッサー56とを連結する第1吸気管62について説明すると、先ず、コンプレッサー56は、エンジン30の前面30aに隣接して配設されている(図5、図6)。
【0041】
第1吸気管62は、エアクリーナボックス52から車幅方向内方に延びてコンプレッサー56に連結されている。次に、コンプレッサー56とインタークーラー58とを連結する第2吸気管64について説明すると、第2吸気管64は、コンプレッサー56から車幅方向外方に且つ斜め下方に延びた後にフロントサイドフレーム14の下方を通り抜けてインタークーラー58の上端部に連結されている(図7)。
【0042】
次に、インタークーラー58と吸気マニホールド60とを連結する第3吸気管66について説明すると、先ず吸気マニホールド60は、エンジン30が後方吸気方式を採用していることから、エンジン30の後面30bに取り付けられている(図5)。第3吸気管66は、インタークーラー58の下端部から車幅方向内方に延びてフロントサイドフレーム14の下方を通り抜けた後に略90度後方に屈曲すると共に斜め上方に立ち上りつつ後方に延び、そしてエンジン30の上端部の側方域では水平方向に後方に延びた後に略90度屈曲して吸気マニホールド60のインタークーラー58側の端部に連結されている。詳しくは、吸気マニホールド60の入口は、車体前後方向中心軸線を挟んで、第1実施例と同様に、インタークーラー58側にオフセットして形成されており、最も好ましい態様として、吸気マニホールド60の端に吸気入口が形成されている。
【0043】
次に、排気系のレイアウトを説明すると、トランスアクスル32の上方域且つこれに隣接して配設されたDPF容器46の前端は、車幅方向に延びる比較的短い第1排気管80によって排気タービン72に連結されている。詳しくは、排気タービン72は、第1実施例と同様に、排気マニホールド76の排気出口に実質的に直に取り付けられており、そして、排気タービン72の出口が車幅方向外方且つDPF容器46側に向けられている。また、第1実施例と同様に、排気マニホールド76の排気出口は、車体前後方向中心軸線を挟んで、インタークーラー58とは反対側つまりDPF容器46側にオフセットして形成されており、最も好ましい態様として、排気マニホールド75は、DPF容器46側の端部に排気出口を有している。
【0044】
DPF容器46の後端には第2排気管82が接続されている。第2排気管82は、エンジンルーム3の中央に向けて車幅方向内方に延びた後に下方に略90度屈曲してエンジン30の下端の高さレベルまで垂下した後にエンジン30の下方を通り過ぎて車体中心軸線に沿ってエンジンルーム3から後方に延びている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施例におけるエンジンルームを右から左方向に見た図である。
【図2】第1実施例におけるエンジンルームを上方から見た図である。
【図3】第1実施例におけるエンジンルームを下方から見た図である。
【図4】第1実施例におけるエンジンルームを左から右方向に見た図である。
【図5】第2実施例におけるエンジンルームを上から見た図である。
【図6】第2実施例におけるエンジンルームを正面から見た図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ダッシュパネル
2 車室
3 エンジンルーム
30 エンジン
30a エンジン前面
30b エンジン後面
32 トランスアクスル
42 インタークーラー
44 ターボチャージャー
46 DPF容器
52 エアクリーナボックス
54 エア導入パイプ
56 ターボチャージャーのコンプレッサー
58 インタークーラー
60 吸気マニホールド
62 第1吸気管
64 第2吸気管
66 第3吸気管
72 排気タービン(ターボチャージャー)
76 排気マニホールド
80 第1排気管
82 第2排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルによって車室とエンジンルームとが区画され、前記ダッシュパネルから前方に延びる左右のフロントサイドフレーム間に、トランスアクスルが一体に組み付けられたレシプロエンジンがそのクランクシャフトを車幅方向に沿って延びるように横置きに搭載された車体前部構造において、
前記横置きレシプロエンジンの前面又は後面の排気口に連結された排気管と、
該排気管の一部を構成する触媒容器とを含み、
該触媒容器が、前記トランスアクスルの上方域且つ前記横置きエンジンの側方域に延在し、該触媒容器は、その入口が前記レシプロエンジンの前面よりも前方又は後面よりも後方に位置し且つ出口が前記レシプロエンジンの後面よりも後方又は前面よりも前方に位置しており、
前記触媒容器の出口から下流の排気管が、前記触媒容器から下方に向けて延びた後にエンジンルームの下方域を車体後方に向けて延びており、
前記レシプロエンジンの後面又は前面の吸気口に連結された吸気管が、前記エンジンルームの車体前後方向軸線を挟んで前記触媒容器が配索されている側とは反対側の領域に配設されていることを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記レシプロエンジンがターボチャージャーを有し、
該ターボチャージャーの遠心型の排気タービンとコンプレッサーとが前記エンジンの前面又は後面に沿って並んで配設され且つ前記排気タービンが前記触媒容器側に配設されると共に該排気タービンの出口が車幅方向外方且つ触媒容器側に向けられ、
前記コンプレッサーの入口が、前記排気タービンの出口とは反対側に向けられ、
車体前後方向軸線を挟んで前記排気タービンの出口が向いている側にエアクリーナボックスが配設されている、請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記エアクリーナボックスが前記エンジンルームの側部に配設されると共に、該エアクリーナボックスが配設されている前記エンジンルームの側部にインタークーラーが配設され、
該インタークーラーと、前記コンプレッサー及び前記レシプロエンジンの吸気口との間の吸気管が、前記エンジンルームの車体前後方向軸線を挟んで前記エアクリーナボックスが配設されている側の領域に配設されている、請求項2に記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記エアクリーナボックスと前記インタークーラーとが、エンジンルームの車幅方向一側の前端角隅部に設けられ、該前端角隅部の上方域に前記エアクリーナボックスが配設され、下方域に前記インタークーラーが配設されている、請求項3に記載の車体前部構造。
【請求項5】
前記エンジンの吸気口が、横置きの前記エンジンの前記インタークーラー側の端部に形成され、
前記エンジンの排気口が、横置きの前記エンジンの前記触媒容器が位置する側の端部に形成されている、請求項4に記載の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−220770(P2009−220770A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69661(P2008−69661)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】