説明

III族窒化物テンプレート、ならびにそれを構成するための関連するヘテロ構造、デバイスおよび方法

テンプレート化基板は、ベース層と、ベース層上に配置されており、単結晶III族窒化物を含む組成物を有している、テンプレート層とを含む。テンプレート層は、ベース層上にある連続副層と、第1の副層上のナノ円柱状副層とを含み、ナノ円柱状副層は、複数のナノスケール円柱を含む。上記ベース層は、サファイア、SiC、6H−SiC、4H−SiC、Si、MgAl、およびLiGaOから成る群より選択される材料を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年5月6日に出願された米国仮特許出願第61/126,680号(名称「Group III Nitride Sputtered Template for Fabricating Group III Nitride Heterostructures and Devices, and Group III Nitride Structures Including the Template」の利益を主張し、この仮特許出願の内容は、その全体が本明細書において参照により援用される。
【0002】
本発明は、概して、様々なヘテロ構造およびマイクロ電子デバイスの製造に有用なIII族窒化物含有テンプレート、ならびにそのようなテンプレートに基づくヘテロ構造およびマイクロ電子デバイスに関する。具体的には、本発明は、ナノ円柱状テンプレート層を含む、テンプレート化基板に関連したヘテロ構造およびマイクロ電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
最適な基板の選択は、高品質半導体材料のエピタキシャル成長における重要な因子であると考えられる。III族窒化物デバイスのホモエピタキシャル成長のためのネイティブ窒化物基板の長年にわたる需要は、まだ満たされていない。代わりに、ヘテロエピタキシー(例えば、格子定数および熱膨張係数の不整合等)という周知の不利な結果をもたらすにもかかわらず、窒化物用途のほとんどに対して外部基板が利用されている。サファイアは、III族窒化物層のヘテロエピタキシャル成長において最も一般的に使用されているベース基板である。サファイア基板に加えて、SiC、GaAs、Si、およびある特定の酸化物基板、例えばLiAlO、MgAlおよびMgO等の他のいくつかの基板が集中的に研究されている。
【0004】
利用可能な基板との格子不整合および熱膨張係数不整合がともに非常に大きいため、特に構造欠陥および残留歪みに関して、窒化物層の特性およびデバイス構造を改善し得るかどうかを決定するために、多くのグループにより成長最適化が検討されている。いくつかの成長手法が提案され、結晶品質およびデバイス性能の著しい改善をもたらすことが証明されている。これらの成長手法は、概して、3つの主要なグループ、すなわち(i)多段階バッファ、(ii)複雑構造界面テンプレート(複雑パターン化構造)および(iii)異なる化合物の材料のテンプレート層に分類することができる。
【0005】
多段階バッファ、または低温(LT)バッファは、原則的に、より高い温度(HT)への加熱中に再結晶化する1つの低温(LT)核形成層と、より高い温度で堆積される単結晶層とから成る。すなわち、核形成層を下の外部基板上に低温で成長させ、次いで単結晶層をより高い成長温度で堆積させる。次いで、デバイス構造をこの2段階バッファ構造上に堆積させることができる。これらのLTバッファには多くの異なる種類がある。それらは、材料の種類(GaN、AlN、AlGaN)、三元合金の組成、その厚さ、および使用する具体的な成長条件が異なる。さらに、バッファ層の対(LT核形成−HT単結晶)の数が、1つから複数まで変動し得る。第2の対、第3の対等のLT層は、LT中間層と言われることが多い。これらの手法は、窒化物層の全体的な品質を改善することが証明されている。穴や亀裂がなく、または円柱状構造を有さない鏡面を有する層が達成されており、転位密度およびバックグラウンドキャリア濃度が著しく低減され、キャリア移動度が極めて増加し、発光特性が顕著に改善した。主要層の特性に対する低温バッファの影響の簡単な説明は、バッファが、続く高温窒化物層に欠陥の多い領域を誘引することである。この50nm程度の損傷領域において、構造欠陥が横方向成長により急速に再結合し、最上部に高品質エピタキシャル層が形成する。商業的生産量において、異なるデバイス用途に対し異なる種類のLTバッファが最適化されている。
【0006】
さらに転位密度を低減しデバイス性能を改善することを主な目標として、複雑構造界面テンプレートが提案されている。これらのテンプレートの製造は、異なる形状(ストライプ、六角形、楕円形開口)、異なる周期、および異なる厚さを有するパターンの形成を含む、いくつかの技術的プロセスステップを必要とする。これらのパターンは、それ自体LTバッファ技術を使用することで成長させられる単結晶薄層で形成される単結晶層は、単結晶層の最上部に堆積された異なる材料(SiO、W、SiN)のマスクにより選択的にエッチングされる。横方向エピタキシャル成長(ELOG)、選択領域成長(SAOG)、ペンデオエピタキシー等を含む、当業者に知られた複数の異なる手法がある。これらの成長技術は、特に横成長様式が支配的であるいくつかの領域において、転位密度の低減に非常に効果的であることが証明されている。しかしながら、同時に、異なる種類の転位および空隙等、合体が生じる別の領域においては、より多くの欠陥が形成されていた。さらに、低欠陥密度領域は、不純物混入の増加により、より高い伝導性を有するようになることが判明している。それにもかかわらず、低欠陥密度領域は、著しく改善された性能を有するデバイスの製造を可能にし、ある特定の種類の窒化物デバイスの半導体製造において現在広く使用されている。しかしながら、これらの技術は、未だに極めて複雑であり、時間を必要とし、高価である。
【0007】
LTバッファ手法が、低温で適度な成長を実現することができないことから望ましくないと考えられる場合、結晶品質およびデバイス性能を改善するという同じ主な目的で、代替材料のテンプレート単層が提案されている。例えば、GaNの水素化物気相エピタキシー(HVPE)において、LTバッファ手法ではうまくいかず、結果として異なる技術により別個に堆積されたテンプレート層が必要とされている。ZnO、CrN、TiN、SiN、GaN、AlN等のいくつかのテンプレート層が研究されている。これらの種類のテンプレート層は、特定の目的を達成するために異なる様式で作用するという想定の下に開発された。これらの種類のテンプレート層は、それらの主機能に基づき3つのグループに分類することができる。第1のグループは、外部基板上での良好な遷移を提供し、GaN層の良好な結晶品質をもたらし、また化学的に溶解して基板剥離をもたらし独立窒化物層を生成し得る、ZnOおよびCrN等の層を含む。第2のグループは、アイランドおよび空隙欠陥の形成により加熱中および次の層成長の初期段階中に再結晶化する、TiNおよびSiN等の層を含む。したがって、それらは、歪みが蓄積して亀裂が生じ、好ましくは基板の自己分離をももたらす弱い界面領域を形成する。第3のグループは、対象となる主要層の良好な結晶品質を確実として最終構造中に残存する、2〜5μmの厚さのMOCVD GaN層または1〜2μmの厚さの反応性スパッタAlN層等の単結晶層テンプレートを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記で概説したヘテロエピタキシャル手法は、結晶品質およびデバイス性能の改善を示しているが、プロセスステップの複雑な組み合わせを必要とし、また高価である。したがって、良好な結晶構造および改善されたデバイス性能を得るために、異なる外部基板と窒化物層との間を最適に整合させる、安価なテンプレートを提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
全体的もしくは部分的に上記問題に対応するために、および/または当業者により観察され得たその他の問題に対応するために、本開示は、以下に記載する実施形態において一例として説明されるような、方法、プロセス、システム、装置、機器、および/またはデバイスを提供する。
【0010】
一実施形態によれば、テンプレート化基板は、ベース層と、ベース層上に配置され、単結晶III族窒化物を含む組成物を有するテンプレート層とを含む。テンプレート層は、ベース層上の連続副層と、第1の副層上のナノ円柱状副層とを含み、ナノ円柱状副層は、複数のナノスケール円柱を含む。
【0011】
別の実施形態によれば、ヘテロ構造は、ベース層と、ベース層上に配置され、単結晶III族窒化物を含む組成物を有するテンプレート層と、III族窒化物含有成長層とを含む。テンプレート層は、ベース層上の連続副層と、第1の副層上のナノ円柱状副層とを含み、ナノ円柱状副層は、複数のナノスケール円柱を含む。III族窒化物含有へテロ構造は、ナノ円柱状副層上に配置される。
【0012】
別の実施形態によれば、マイクロ電子デバイスは、ベース層と、ベース層上に配置され、単結晶III族窒化物を含む組成物を有するテンプレート層と、III族窒化物含有デバイス構造とを含む。テンプレート層は、ベース層上の連続副層と、第1の副層上のナノ円柱状副層とを含み、ナノ円柱状副層は、複数のナノスケール円柱を含む。III族窒化物含有デバイス構造は、ナノ円柱状副層上に配置される。
【0013】
別の実施形態によれば、テンプレート化基板を製造するための方法が提供される。単結晶III族窒化物含有テンプレート層は、真空蒸着により、ベース層上に連続副層を形成するステップにより、および連続副層上にナノ円柱状副層を形成するステップであって、ナノ円柱状副層は複数のナノスケール円柱を備えるステップにより、ベース層上に成長させられる。
【0014】
別の実施形態によれば、ヘテロ構造を製造するための方法が提供される。単結晶III族窒化物含有テンプレート層は、真空蒸着により、ベース層上に連続副層を形成するステップにより、および連続副層上にナノ円柱状副層を形成するステップであって、ナノ円柱状副層は複数のナノスケール円柱を備えるステップにより、ベース層上に成長させられる。III族窒化物含有へテロ構造は、ナノ円柱状副層上に成長させられる。
【0015】
別の実施形態によれば、マイクロ電子デバイスを製造するための方法が提供される。単結晶III族窒化物含有テンプレート層は、真空蒸着により、ベース層上に連続副層を形成するステップにより、および連続副層上にナノ円柱状副層を形成するステップであって、ナノ円柱状副層は複数のナノスケール円柱を備えるステップにより、ベース層上に成長させられる。III族窒化物含有デバイス構造は、ナノ円柱状副層上に成長させられる。
【0016】
本発明の他のデバイス、装置、システム、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討すれば、当業者に明らかであり、または明らかとなる。すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴および利点は、この説明に含まれ、本発明の範囲に含まれ、付随する特許請求の範囲により保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、以下の図面を参照することによってより良く理解することができる。図中の構成要素は必ずしも正確な縮尺とは限らず、本発明の原理を示すことが強調される。図中、同様の数字は、異なる図全体にわたり対応する部分を示す。
【図1】図1は、一実施形態によるテンプレート化(またはテンプレート含有)基板の断面図である。
【図2】図2Aは、その円柱状表面構造を示す代表的なナノ円柱状テンプレート層の原子間力顕微鏡(AFM)像(2次元面内図)である。図2Bは、その円柱状表面構造を示す代表的なナノ円柱状テンプレート層の原子間力顕微鏡(AFM)像(3次元)である。図2Cは、円柱状表面構造を示す代表的なナノ円柱状テンプレート層の表面にわたる、粗度ラインスキャン表面形状である。
【図3】図3Aは、その結晶構造を示す代表的なナノ円柱状テンプレート層のX線回折(XRD)φスキャンである。図3Bは、その結晶構造を示す代表的なナノ円柱状テンプレート層のXRD2θ/ωスキャンである。
【図4】図4Aは、テンプレート層の異なる副層を示す代表的なナノ円柱状テンプレート層のXRDωスキャンである。図4Bは、テンプレート層の異なる副層を示す代表的なナノ円柱状テンプレート層の逆格子空間マップ(RSM)である。
【図5】図5A、5Bおよび5Cは、異なる温度で堆積された代表的なナノ円柱状テンプレート層のAFM像である。
【図6】図6A、6Bおよび6Cは、異なる厚さに堆積された代表的なナノ円柱状テンプレート層のAFM像である。
【図7】図7は、異なる厚さの代表的なナノ円柱状テンプレート層の対称002反射付近の一連のXRD2θ/ωスキャンである。
【図8】図8は、異なる表面ミスカットを有するサファイア基板上に成長させた代表的なテンプレート層の、1組のXRD RSMである。
【図9】図9Aおよび9Bは、それぞれSiCおよびSiベース層上に成長させた代表的なテンプレート層のAFM像である。
【図10】図10Aおよび10Bは、それぞれSiCおよびSiベース層上に成長させた代表的なテンプレート層のRSMである。
【図11】図11Aは、従来のLEDデバイスの例の概略断面図である。図11Bは、本発明の教示に従い製造されたLEDデバイスの例の概略断面図である。
【図12】図12Aは、上にマスクが堆積されパターン化されている、本明細書に教示されるようなテンプレート化基板の斜視図である。図12Bは、エッチングおよびマスク除去後の図12Bに示されるテンプレート化基板の斜視図である。
【図13】図13は、本明細書に教示されるようなテンプレート化基板を使用して標準的MOCVD LEDデバイスを製造するのに必要なより短い時間(実線)を、従来のLTバッファ核形成プロセスを使用して同じLEDデバイスを製造するのに必要なより長い時間(破線)と比較した、概略的なタイムスケジュールである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の目的において、層(またはフィルム、領域、基板、コンポーネント、デバイス等)が別の層の「上」または「上方」にあると言及される場合、その層は、直接または実際に他の層の上(または上方)にあってもよく、あるいは、介在層(例えば、バッファ層、遷移層、中間層、犠牲層、エッチング停止層、マスク、電極、相互接続部、接点等)が存在してもよいことが理解される。別の層の「直接上」にある層とは、特に指定されない限り、介在層が存在しないことを意味する。また、層が別の層の「上」(または「上方」)にあると言及される場合、その層は、他の層の表面全体を覆ってもよく、または他の層のごく一部を覆ってもよいことが理解される。さらに、「〜上に形成される」または「〜上に配置される」等の用語は、材料移送、堆積、製造、表面処理、または物理的、化学的、もしくはイオン的な結合もしくは相互作用の特定の方法に関連していかなる制限も導入することを意図しないことが理解される。
【0019】
特に指定されない限り、「III族窒化物」という用語は、二元、三元、四元III族窒化物系化合物、例えば、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化インジウムガリウム、窒化インジウムアルミニウム、および窒化アルミニウムインジウムガリウム、ならびに上記物質の、追加的ドーパント、不純物もしくは微量成分を含むまたは含まない合金、混合物、または組み合わせだけでなく、上記物質のすべての可能な結晶構造および形態、ならびに任意の誘導体または改質組成物等を示すことを意図する。特に指定されない限り、これらの化合物の化学量に制限はない。したがって、「III族窒化物」という用語は、III族窒化物および窒化物合金、すなわちAlGaInN(x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦、0≦z≦1)、または(Al,Ga,In)Nを包含する。
【0020】
本明細書で使用される場合。「ナノ円柱」または「ナノスケール円柱」という用語は、一般に、1μm未満の少なくとも1つの特性寸法を有する円柱状構造を指す。この文脈における特性寸法とは、円柱の高さ(例えば長さ寸法)または横寸法(例えば直径)を意味する。1つの制限されない例において、「ナノ円柱」または「ナノスケール円柱」は、約20nm以下の高さ、または約150nm以下の横寸法を有する円柱状構造である。
【0021】
図1は、一実施形態によるテンプレート化(またはテンプレート含有)基板100の断面図である。テンプレート化基板100はまた、テンプレートと呼ぶこともできる。テンプレート化基板100は、その上にナノ円柱状テンプレート層108が成長させられるベース層104(またはベース基板)を含む。典型的な実施形態において、ベース層104およびテンプレート層108は、異なる材料を含み、したがってベース層104は、外部層または外部基板と呼ぶこともできる。典型的な実施形態において、ベース層104は、サファイア(Al)、6H−SiCもしくは4H−SiC等の炭化ケイ素(SiC)、またはケイ素(Si)であってもよい。しかしながら、ベース層104は、これらに限定されないが、スピネル(MgAl)またはリチウムガレート(LiGaO)等の他の組成物を含み得る。ベース層104用の他の可能な組成物には、ダイヤモンド、炭素(C)、ダイヤモンド状炭素(DLC)、アルミン酸リチウム(LiAlO)、ScAlMgO、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、ガリウムヒ素(GaAs)、ガラス、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、窒化ジルコニウム(ZrN)、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、炭化SOI、ならびに他の様々な窒化物および酸化物が含まれる。さらに、ベース層104は、導電性、絶縁性、半絶縁性、ねじれ結合、コンプライアント、またはパターン化基板であってもよい。テンプレート層108は、III族窒化物、すなわち上で定義したような(Al,Ga,In)Nを含む組成物で構成されるか、それを有する。いくつかの好ましい実施形態において、テンプレート層108は、AlNまたはGaNである。
【0022】
ベース層104は、対象となり得る任意の結晶方位またはオフカット(ミスカット)方位を有してもよい。所望により、その上にテンプレート層108を成長させるベース層104の結晶方位は、極性、非極性、または半極性窒化物へテロエピタキシー(例えばc面、m面、a面、r面等)を確実とするように選択され得る。本開示の譲受人に譲渡され、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2009/0081857号を参照されたい。ベース層104は、テンプレート層108を成長させ、結果的にデバイス品質のテンプレート化基板100を提供するのに好適な任意のサイズおよび形状を有し得る。制限されない例として、ベース層104は、円筒状もしくはディスク状であってもよく、または多角形もしくは角柱であってもよい。ベース層104のサイズは、一般に、成長方向における厚さ112、および概して厚さ112に対し垂直な横寸法116により特徴付けられる。図1の視点では、厚さ112の方向は垂直であるが、図1に示されるテンプレート化基板100の方位は任意であり、単なる一例にすぎない。横寸法116は、ベース層104の形状に特徴的な任意の寸法である。例として、横寸法116は、円筒状もしくはディスク状ベース層104の場合には直径であってもよく、または多角形もしくは角柱ベース層104の場合には幅もしくは長さ(すなわち、2つの対向する側面もしくは角/頂点/頂部間の距離)であってもよい。いくつかの好ましい実施形態において、横寸法116は、様々なヘテロ構造およびデバイスの製造における使用に好適なサイズのテンプレート化基板100の製造を容易化するために、2インチ以上である。
【0023】
テンプレート層108は、本明細書に記載の構造をもたらす任意の技術によりベース層104上に成長させられる。典型的な実施形態において、テンプレート層108は、真空蒸着技術により成長させられる。いくつかの好ましい実施形態において、テンプレート層108は、物理気相成長法(PVD)により成長させられるが、化学気相成長法(CVD)等の他の技術が好適となり得る。いくつかの好ましい実施形態において、特にテンプレート層108がAlNである場合、テンプレート層108は、スパッタリングにより、特にプラズマ助長(またはプラズマ支援)スパッタリングにより成長させられる。テンプレート層108は、成長方向における厚さ122および横寸法を有する。テンプレート層108の横寸法は、ベース層104の横寸法と同一の広がりを有し、したがって、いくつかの好ましい実施形態において、テンプレート層108の横寸法は、2インチ以上である。典型例では、テンプレート層108の厚さ122は、100〜10,000Å(10〜1000nm)の範囲である。別の例では、テンプレート層108の厚さ122は、100Åを超え、または10,000Å未満である。
【0024】
本発明の教示によれば、テンプレート層108は、外部ベース層104と次に成長させられる窒化物層(図示せず)との間の良好な遷移を提供するように構造化される。テンプレート層108は、欠陥および歪みを蓄積し、それにより、次にテンプレート層108上に成長させられる任意のデバイス構造の良好な結晶品質をもたらすように構造化される。図1に示されるように、テンプレート層108は、2つの自己形成副層、つまり連続的形態を特徴とする第1の(または連続)副層130およびナノ円柱状形態を特徴とする第2の(またはナノ円柱状)副層134を含む。連続副層130およびナノ円柱状副層134はともに、単結晶形態を含んでもよい。連続副層130からナノ円柱状副層134への遷移は、横寸法において互いに離れた異なる円柱138の開始により特徴付けることができる。別の言い方をすれば、ナノ円柱状副層134から連続副層130への遷移は、円柱138の基部が融合する箇所で生じる。したがって、ナノ円柱状形態は、一般に、異なる円柱138の存在により特徴付けることができ、また連続形態は、一般に、円柱138の不在により特徴付けることができる。
【0025】
ナノ円柱状副層134は、テンプレート層108の連続副層130から最上面142(すなわち、ナノ円柱状副層134の上面142)まで延在する複数のナノスケール円柱138を示す。典型的な実施例において、円柱138は、略円錐形である。すなわち、各円柱138は、連続副層130での円柱基部から、上面142での比較的鋭い円柱先端に向かって、先細りとなる。この文脈において、「鋭い先端」という用語は、円柱138が平坦な表面で終端せず、円柱先端の形状が、点または頂部を有するドームの形状であることを意味する。円柱先端の横寸法は、拡大による補助(例えばAFM)の下観察すると、円柱基部の横寸法よりも明らかに小さい。テンプレート層108の最上面142は、密集した(ナノメートルスケールの)円柱先端の集合体として特徴付けることができる。最上面142上に次の層を成長させる際、ナノ円柱状副層134は、歪み緩和、応力緩和、エピタキシャル成長の促進、およびより低い欠陥密度に寄与し得る。
【0026】
任意の所与の試料テンプレート化基板100に対して、円柱138の寸法(例えば、高さ、横寸法)は、1つの円柱138から別の円柱にかけて均一または実質的に均一であってもよく、あるいは、1つの円柱138から別の円柱にかけて変動してもよい。いくつかの制限されない例において、円柱138のそれぞれの基部における平均横寸法は、10nmから150nmの範囲であり、円柱138の平均高さは、1nmから20nmの範囲である。いくつかの例において、円柱138の横寸法は、直径と呼ぶことができる。この文脈において、「直径」という用語は、円柱138が略円形断面を有することを仮定している。しかしながら、円柱138は、「直径」が一般に上述の成長方向または厚さ方向を横断する方向の円柱138の特性寸法を包含する、すなわち直径または横寸法が図1の視点において水平方向に沿って生じるように、完全な円形断面を示さなくてもよいことが理解される。また、この文脈において、円柱138の高さは、一般に、成長方向または厚さ方向、すなわち図1の視点において垂直方向に対応する。
【0027】
再び図1の視点での垂直方向において、連続副層130は、第1の厚さ146を有し、ナノ円柱状副層134は、第2の厚さ148を有する。典型的な実施形態において、連続副層130は、ナノ円柱状副層134よりも厚い。ナノ円柱状副層134の厚さ148は、円柱138の高さに対応する。したがって、いくつかの制限されない例において、ナノ円柱状副層134の厚さ148は、1nmから20nmの範囲であり、テンプレート層108(連続副層130およびナノ円柱状副層134)の合計厚さ122は、10〜1000nmの範囲である。
【0028】
テンプレート化基板100のある特定の例において、テンプレート層108の表面粗度は、0.2〜10nm(RMS)の範囲であってもよく、ナノ円柱状副層134の歪み値ezzは、0.2×10−2から0.8×10−2の範囲であってもよい。歪み値ezzは、層表面に垂直な成長の方向(z方向)における歪みに対応し、円柱138に関連したピークのXRD測定値から計算される。表面粗度および歪み状態は、以下に示されるように制御され得る。テンプレート層108は、標準的Philips三軸回折計を使用して決定される、ナノ円柱状副層134に対しては100〜500秒、連続副層130に対しては500〜2500秒の範囲のロッキングカーブFWHMにより特徴付けられる結晶品質を有し得る。
【0029】
本明細書に記載され図1に示されるテンプレート化基板100は、様々な低欠陥密度III族窒化物エピタキシャル層、ヘテロ構造およびデバイスの直接成長のための基板またはテンプレートとして使用することができる。一段階成長テンプレート層108は、外部組成物のベース層104と次に成長させられる窒化物構造との間の良好な整合を提供する。したがって、テンプレート基板100の使用は、そのようなヘテロ構造またはデバイスが良好な結晶品質および優れた性能を有することを確実とする。テンプレート層108、特にナノ円柱状副層134の特定の特性(例えば円柱サイズ/表面形態、歪み等)は、任意の所望の設計または構造を有する次の窒化物デバイスエピタキシーに最適となるように調整することができる。さらに、テンプレート層108は比較的薄く、中間的成長条件(すなわち低温条件でも高温条件でもない)で、安価な成長チャンバを使用して安価な様式で迅速に成長させることができる。プロセス時間を短縮し、LTバッファに関連する高価な試薬の必要性を回避することにより、テンプレート化基板100は、より時間を要し高価である多段階LTバッファ技術の望ましい代替として使用することができる。テンプレート化基板100はまた、様々なデバイス用途のために複雑パターン核形成を含むデバイス構造内に組み込むことができる。
【0030】
テンプレート層108は、上述のような2つの異なる副層130および134を含むが、テンプレート層108は一段階プロセスで形成される。つまり、2つの副層130および134は、同じ成長条件(例えば成長速度、成長温度、ガス圧、ガス流量、プラズマ操作パラメータ等)を使用して形成され、すなわち連続副層130からナノ円柱状副層134への遷移は、成長条件の変更を必要としない。この意味で、2つの副層130および134は、「自己形成性」であるとして特徴付けることができる。
【0031】
テンプレート化基板100の製造の1つの制限されない例は、次の通りである。ベース層104およびIII族金属標的を、スパッタ蒸着チャンバ内に位置付ける。典型的には、ベース層104は、装填前に任意の好適な手段により清浄化され、次いで好適な基板ホルダ上に装着する。チャンバ内で、基板温度を制御するために、基板ホルダを好適な加熱デバイスと接触させてもよい。次いでチャンバを適切な真空圧までポンプで減圧する。例えばアルゴン(Ar)等の背景ガスを使用して、エネルギープラズマをチャンバ内で生成する。プラズマの操作条件は、好適な値に設定することができる(例えば出力、周波数等)。別個の窒素含有ガスを、チャンバ内に流入させる。窒素含有ガスは、例えば、二原子窒素またはアンモニア(NH)等の窒素含有化合物であってもよい。窒素含有ガスおよび追加的ガス(例えばプラズマ生成可能ガス(Ar等)またはその他の種類のガス)の両方が使用される場合、操作条件は、混合ガス環境として特徴付けることができる。あるいは、窒素種を提供するために使用されるのと同じガスを使用してもプラズマを生成することができるが、この場合、別個の背景ガスは使用する必要はない。ガス流は、好適な流量制御器により制御することができる。次いで、III族金属標的をスパッタリングして、III族金属源蒸気を生成する。III族金属源蒸気は、窒素含有ガスと合流し、III族金属および窒素の成分を含む反応蒸気種がベース層104の表面上に堆積される。プロセス条件(例えば、成長速度、成長温度、ガス圧、ガス流量、プラズマ操作パラメータ等)は、必要に応じて、ナノ円柱状テンプレート層108の成長を促進するように制御され、テンプレート層108の組成および所望の具体的特性(例えば、歪み、表面粗度等)に依存する。AlNテンプレート層108の堆積を伴う具体的であるが制限されないある特定の例において、成長速度は比較的遅く、すなわち1μm/hr未満である。別の具体例において、成長温度は500℃を超える。別の具体例において、AlNテンプレート層108は、混合ガス環境内で、1μm/hr未満の成長速度および500℃を超える温度で成長させられる。本開示の別の場所に記載されるように、連続副層130およびナノ円柱状副層134は、プロセス条件を変更せずに形成され得る。また、テンプレート化基板100は、いくつかのステップのみを必要とする完全にインサイチュのプロセスで、また従来のテンプレート製造プロセスの場合のように真空を破るかまたは余分なステップを行う必要なく製造される。
【0032】
図2Aから10Bは、本発明の教示に従い製造されたテンプレート化基板100の特定試料の分析を示している。これらの試料の製造において、AlNテンプレート層108は、プラズマ支援スパッタリングによりベース層104に成長させた。ベース層104は、サファイア、SiCまたはSiであった。
【0033】
図2Aは、その円柱状表面構造を示す代表的なナノ円柱状テンプレート層の原子間力顕微鏡(AFM)像(2次元面内図)である。図2Bは、同じナノ円柱状テンプレート層の原子間力顕微鏡(AFM)像(3次元の図)である。図2Cは、同じナノ円柱状テンプレート層の表面にわたる、粗度ラインスキャン表面形状である。円柱は、鋭い先端で終端するほぼ円錐形状を有するように示されている。円柱基部の平均横寸法は、10〜150nmで変動する。円柱の平均高さは、1〜20nmで変動する。したがって、この例におけるテンプレート層は、成長条件に依存する様々な円柱サイズを特徴とすることが分かる。一方、円柱サイズは、所与の試料の表面粗度を決定付ける。円柱により提供される上面の二乗平均平方根(RMS)粗度は、成長させた様々な試料テンプレート化基板AFM像から計算されるように、0.2〜10nmで変動する。
【0034】
図3Aは、その結晶構造を示す、図2A〜2Cに示される同じナノ円柱状テンプレート層のX線回折(XRD)φスキャンである。具体的には、図3Aは、非対称10−13反射付近のXRDφスキャンを示しており、360度の方位角範囲にわたり6つのピークを示し、したがってウルツ鉱結晶に典型的な6回対称を示唆している。図3Bは、同じくその結晶構造を示す同じナノ円柱状テンプレートのXRD2θ/ωスキャンである。具体的には、図3Bは、対称002反射付近のXRD2θ/ωスキャンを示しており、広い2θ範囲において唯一のピークであり、したがってスパッタリングされた層の単結晶構造を示唆している。図3Bはまた、狭い半値全幅(FWHM)を示し、成長方向における大きなコヒーレント長および高い結晶品質を示唆している。図3Bはまた、より低角側に干渉縞として分析されるいくつかのピークを示しており、これは平行な界面を有する高結晶品質の比較的薄い層に典型的である。したがって、この例におけるテンプレート層は、高品質単結晶形態を特徴とすることが分かる。
【0035】
図4Aは、テンプレート層の異なる副層を明確に示す、図2A〜2Cに示される同じナノ円柱状テンプレート層のXRDωスキャンである。具体的には、図4Aは、対称002反射付近のXRDωスキャンを示しており、ピークが2つのピークで構成されていることを示し、したがって高品質の副層ならびに転位および粒子の傾斜を含有する副層の存在を示す。図4Aは、一段階成長テンプレート層が、2つの自己形成副層の複雑な下部構造を有することを実証している。図4Bは、テンプレート層の異なる副層を示す代表的なナノ円柱状テンプレート層の逆格子空間マップ(RSM)である。具体的には、図4Bは、対称002反射付近のRSMである。図4Bは、より低い横散乱ベクトルにおいて伸長した低強度走向を示し、これは歪められた副層を示している。図4Bはまた、若干伸長した翼状部分を有する強く狭い主要ピークを示し、これは、初期の部分的緩和を受けた高品質の副層を示している。したがって、この例におけるテンプレート層は、ナノ円柱状副層における歪みが連続副層における歪みとは異なる、複雑な歪み状態を示すことを特徴とすることが分かる。
【0036】
図5A、5Bおよび5Cは、それぞれ、異なる温度、750℃、850℃および950℃で堆積された代表的なナノ円柱状テンプレート層のAFM像である。異なる成長温度では、平均円柱サイズ、ひいては表面粗度が変化することが分かる。このように、テンプレート層の表面粗度は、成長温度に強く依存し、したがってそれにより制御され得ることが分かる。このように、表面形態、この場合では表面粗度は、次に成長させるヘテロ構造およびデバイスのより良い結晶品質を得るように最適化することができる。
【0037】
図6A、6Bおよび6Cは、それぞれ、異なる厚さ、25nm、350nmおよび1000nmで堆積された代表的なナノ円柱状テンプレート層のAFM像である。異なる厚さでは、平均円柱サイズ、ひいては表面粗度が変化する。このように、テンプレート層の表面粗度は、堆積されるテンプレート材料の厚さに強く依存し、したがってそれにより制御され得ることが分かる。このように、表面形態、この場合では表面粗度は、次に成長させるヘテロ構造およびデバイスのより良い結晶品質を得るように最適化することができる。
【0038】
図7は、それぞれ、異なる厚さ、25nm、50nm、350nm、1000nm、および2000nmの代表的なナノ円柱状テンプレート層の対称002反射付近の一連のXRD2θ/ωスキャンである。図7は、層の厚さの増加に伴ってピークのシフトおよびピーク非対称性の低下を示し、これは層の厚さの変化による歪みの変動を示している。ナノ円柱状副層における歪みezzは、成長させた様々な試料テンプレート化基板から計算されるように、0.2×10−2から0.4×10−2まで変動する。図7は、500Åより薄いテンプレート層には高歪み副層が存在し、一方700Åを超える厚さのテンプレート層には初期緩和を受けた副層が現れ、1000Åより厚いテンプレート層には完全に緩和された副層が存在することを実証している。このように、テンプレート層における歪みは、堆積されるテンプレート材料の厚さに依存し、したがってそれにより制御され得ることが分かる。このように、歪みは、次に成長させられるヘテロ構造およびデバイスのより良い結晶品質を得るように最適化することができる。
【0039】
図8は、それぞれ、異なる表面オフカット(またはミスカット)、具体的には0.0°、0.5°、1.0°および2.0°を有するサファイア基板上に成長させた代表的なテンプレート層の、1組のXRD RSMである。基板オフカットの角度の増加に伴い歪みが増加することが分かる。このように、テンプレート層における歪みは、その上にテンプレート層が堆積されるベース層のオフカットに依存し、したがってそれにより制御され得ることが分かる。このように、歪みは、次に成長させられるヘテロ構造およびデバイスのより良い結晶品質を得るように最適化することができる。
【0040】
図9Aおよび9Bは、それぞれSiCベース層およびSiベース層上に成長させた代表的なテンプレート層のAFM像である。2つのテンプレート層は、その他の点では同様の成長条件下で成長させ、同様の構造(連続およびナノ円柱状副層)および同様の形態を有していた。しかしながら、それぞれのテンプレート層における円柱サイズは異なっている。したがって、テンプレート層の表面形態、具体的には円柱サイズ、ひいては表面粗度は、その上にテンプレート層が堆積されるベース層の組成に依存する。
【0041】
図10Aおよび10Bは、それぞれ図9Aおよび9Bに示される同じSiCおよびSiテンプレート層のRSMである。図10Aおよび10Bは、SiCおよびSiテンプレート層が完全に異なる歪み状態を有することを実証している。SiCベース層上のAlNテンプレート層に対応する左のRSM(図10A)は、SiCおよびAlNの2つの主要ピークを示している。図10Aは、2つの材料に関連した2つのマップの完全な垂直整合により表されるように、AlNの横方向格子パラメータがSiCのそれと同様であることにより、高歪みテンプレート副層の存在を示している。Siベース層上のAlNテンプレート層に対応する右側のRSM(図10B)は、矢印により示されるような表面と平行な方向に著しく広がったAlNからの単一のピークを示している。図10Bは、SiピークがAlNピークと整合せず、実際に図10Bに示されるマップ範囲外にあることから、テンプレート層における顕著な歪み緩和を示している。単層堆積テンプレートは、次に成長させるヘテロ構造のより良い結晶品質を得るために、ロッキングカーブの線幅が狭いように特徴付けられる。
【0042】
図11Aは、従来のLEDデバイス160の例の概略断面図である。LEDデバイス160は、サファイア基板104、サファイア基板104上に堆積されたLTバッファ構造152、およびLTバッファ構造152上に堆積されたLEDデバイス構造162を含む。LTバッファ構造152およびLEDデバイス構造162は、典型的には、有機金属CVD(MOCVD)により成長させる。LTバッファ構造152は、2.5μmGaN核形成層154がサファイア基板104上に堆積され、続いて未ドープGaNの0.5μm層156が堆積される、多段階核形成プロセスにより成長させる。LEDデバイス構造162は、N+GaN(典型的には2μm)の層164、量子井戸層166(単一または多重量子井戸)、およびP+GaNの層168を含む。
【0043】
それと比較して、図11Bは、本発明の教示に従い製造されたLEDデバイス170の例の概略断面図である。LEDデバイス170は、テンプレート化基板100、およびテンプレート化基板100上に堆積されたLEDデバイス構造162を含む。テンプレート化基板100は、本明細書に記載のようなベース層104およびテンプレート層108を含む。例として、制限することなく、テンプレート層108は、上述のようなPVDにより堆積されたAlNであってもよく、またはそれを含んでもよい。比較のためであって制限を意図せず、この例におけるベース層104はサファイア基板であり、LEDデバイス構造162は、図11Aに示す既知のLEDデバイス160の場合のように、N+GaN層164、量子井戸層166、およびP+GaN層168を含む。LEDデバイス構造162は、MOCVDまたはその他の任意の好適な技術により成長させることができる。図11Bに示されるLEDデバイス170は、図11Aに示される既知のLEDデバイス160と比較して、より複雑ではなくより安価な設計を有することが分かる。一段階テンプレート層108は、従来のLTバッファ152または他の任意の従来のバッファもしくは遷移層の代替物として使用することができる。
【0044】
図11Bは、本明細書に開示されるテンプレート化基板から製造され得る様々な種類のLEDデバイスの単なる一例であることが理解される。より一般的には、LEDデバイスは、本明細書に開示されるテンプレート化基板100から製造され得る様々な種類のマイクロ電子デバイスおよびヘテロ構造の単なる一例であることが理解される。本明細書で使用される場合、「マイクロ電子デバイス」という用語は、一般に、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、太陽電池、光検出器およびUV検出器等の光電子デバイスだけでなく、生物学的または化学センサ、他の種類のセンサまたは検出器、電子または光学フィルタ、電界効果トランジスタ(FET)、その他の種類のトランジスタ、その他の種類のダイオードおよび整流回路、微小電極アレイ、接着パッド、金属化素子、ならびに相互接続部等のデバイスおよびコンポーネントを包含する。したがて、本開示の実施形態は、追加のIII族窒化物層を有するテンプレート化基板および/またはその上に製造されたIII族窒化物系マイクロ電子デバイスを備える物品を含む。
【0045】
一段階テンプレート層108はまた、マスク構成等の複雑パターン化構造を使用する製造技術とともに、従来のLTバッファの代替物として使用することができる。図12Aは、ベース層104と、マスク182(典型的には誘電体)が堆積されパターン化されたテンプレート層108とを含む、本明細書に教示されるようなテンプレート化基板100の斜視図である。マスク材料は、テンプレート層108のナノ円柱状表面上、または中間エピタキシャルIII族窒化物層184上に直接堆積させることができる。図12Bは、任意の好適な技術によりエッチングおよびマスク除去が行われた後の、図12Bに示されたテンプレート化基板100の斜視図である。矢印で示されるように、エピタキシャルIII族窒化物材料184は、例えば上記の背景の項で述べた技術等の様々な既知の成長/過剰成長技術に従い、垂直および横方向に成長させることができる。
【0046】
図13は、本明細書に教示されるようなテンプレート化基板100を使用して標準的MOCVD LEDデバイス(図11Bに示されるもの等)を製造するのに必要なより短い時間(実線)を、従来のLTバッファ核形成プロセスを使用して同じLEDデバイス(図11Aに示されるもの等)を製造するのに必要なより長い時間(破線)と比較した、概略的なタイムスケジュールである。本明細書で教示されるようなテンプレート層108の成長後のLEDデバイス成長の開始は1302で示されている。従来のLTバッファ層の成長後のLEDデバイス成長の開始は1304に示されているが、これは時間的にずっと遅い。プロセスラインは、時間の関数としての成長温度としてプロットされる。本明細書において教示されるプロセスは、いかなる低温ステップも必要としないことが分かる。従来のLTバッファ核形成プロセスのプロセスラインにおける下降は、LT核形成層の必要な成長に対応し、これは、その上のLEDデバイスの成長を開始することができる前のLTバッファ構造の成長の完了に必要なより長い時間に寄与する。
【0047】
示された例では、特定の用途において、必要に応じて、または所望により、不純物またはドーパントをIII族窒化物層に導入するか、あるいはそれとともに堆積させることができる。N型、P型、半絶縁性、絶縁性、非極性、または半極性III族窒化物層を、必要に応じて、または所望により、成長させることができる。
【0048】
本発明の例は、いくつかの特定の成長シーケンスを使用する。これらの特定の成長プロセスは、例示目的を意図し、制限的ではないことを理解されたい。また、例において言及された成長条件は、例において使用された成長反応器に特定的であることに留意されたい。異なる反応器設計または反応器形状を使用した場合、同様の結果を得るために異なる条件を使用することが望ましい可能性がある。しかしながら、それでも一般的な傾向は同様である。
【0049】
本発明の様々な態様または詳細は、本発明の範囲から逸脱せずに変更され得ることが理解される。さらに、前述の説明は例示のみを目的とし、制限を目的とせず、本発明は特許請求の範囲により定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層と、
該ベース層上に配置され、単結晶III族窒化物を含む組成物を有するテンプレート層であって、該テンプレート層は、該ベース層上の連続副層と、第1の副層上のナノ円柱状副層とを備え、該ナノ円柱状副層は、複数のナノスケール円柱を備える、テンプレート層と
を備える、テンプレート化基板。
【請求項2】
前記ベース層は、サファイア、SiC、6H−SiC、4H−SiC、Si、MgAl、およびLiGaOから成る群より選択される材料を含む、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項3】
前記ベース層は、0度〜2度の範囲のオフカット方位を含む、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項4】
前記テンプレート層の前記組成物は、GaNおよびAlNから成る群より選択される、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項5】
前記ベース層は、サファイアである、請求項4に記載のテンプレート化基板。
【請求項6】
前記テンプレート層は、2インチ以上の横寸法を含む、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項7】
前記ベース層は、ウルツ鉱結晶構造を含む、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項8】
前記テンプレート層は、10nm〜1000nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項9】
前記ナノ円柱状副層は、1nm〜20nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項10】
前記連続副層は、第1の厚さを有し、前記ナノ円柱状副層は、該第1の厚さより小さい第2の厚さを有する、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項11】
前記テンプレート層は、0.2nm〜10nmの範囲の表面粗度を有する、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項12】
前記テンプレート層は、0.2×10−2から0.8×10−2の範囲の歪み値を有する、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項13】
前記テンプレート層は、ナノ円柱状副層に対しては100秒〜500秒、連続副層に対しては500秒〜2500秒の範囲のロッキングカーブFWHMにより特徴付けられる、結晶品質を有する、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項14】
前記円柱は、実質的に円錐形状を有し、それぞれの先端で終端する、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項15】
前記円柱は、それぞれの横寸法を有する、それぞれの円柱基部を含み、前記円柱基部の平均横寸法は、10nm〜150nmの範囲である、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項16】
前記円柱は、それぞれの高さを有し、前記円柱の平均高さは、1nm〜20nmの範囲である、請求項1に記載のテンプレート化基板。
【請求項17】
ベース層と、
該ベース層上に配置され、単結晶III族窒化物を含む組成物を有するテンプレート層であって、該テンプレート層は、該ベース層上の連続副層と、第1の副層上のナノ円柱状副層とを備え、該ナノ円柱状副層は、複数のナノスケール円柱を備える、テンプレート層と、
該ナノ円柱状副層上に配置されたIII族窒化物含有へテロ構造と
を備える、ヘテロ構造。
【請求項18】
テンプレート化基板を製造するための方法であって、
真空蒸着により、単結晶III族窒化物含有テンプレート層をベース層上に成長させることを含み、該成長させることは、
該ベース層上に連続副層を形成することと、
該連続副層上にナノ円柱状副層を形成することであって、該ナノ円柱状副層は複数のナノスケール円柱を備える、ことと
を含む、方法。
【請求項19】
前記テンプレート層は、スパッタリングにより成長させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記テンプレート層は、500℃を超える温度において混合ガス環境内で達成される、1μm/hr未満の成長速度で成長させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記連続副層を形成することおよび前記ナノ円柱状副層を形成することは、同じ成長温度で行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記テンプレート層は、10nm〜1000nmの範囲の厚さまで成長させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記ナノ円柱状副層は、1nm〜20nmの範囲の厚さまで形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記円柱は、実質的に円錐形状を有し、それぞれの先端で終端する、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記円柱は、それぞれの横寸法を有する、それぞれの円柱基部を含み、該円柱基部の平均横寸法は、10nm〜150nmの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記円柱は、それぞれの高さを有し、該円柱の平均高さは、1nm〜20nmの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記テンプレート層が成長させられる成長温度、該テンプレート層が成長させられる厚さを制御することによる前記円柱のサイズ、および前記ベース層の組成から成る群より選択されるパラメータを制御することにより、該円柱のサイズを制御することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記テンプレート層が成長させられる厚さ、前記ベース層のオフカット方位、および該ベース層の組成から成る群より選択されるパラメータを制御することにより、該テンプレート層の歪み値を制御することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記ナノ円柱状副層上にIII族窒化物含有エピタキシャル層を成長させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
請求項18に記載の方法に従って製造される、テンプレート化基板。

【図1】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−524322(P2011−524322A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508623(P2011−508623)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/042949
【国際公開番号】WO2009/137556
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510295066)キマ テクノロジーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】