チャネルキャリア移動度向上のための高応力ライナーを備えたSi−Geに基づく半導体デバイス
応力ライナーを用いることで、Si−Geデバイスのトランジスタのチャネル領域のキャリア移動度が増加される。一実施形態においては、緩和ソース/ドレイン領域を覆う高圧縮膜あるいは高引っ張り応力膜を適用する。他の実施形態としては、ポストシリサイドスペーサを除去した後、P−チャネルトランジスタあるいはN−チャネルトランジスタのゲート電極(72)および歪みソース/ドレイン領域(71)にそれぞれ、高圧縮応力膜(90)あるいは高引っ張り応力膜(120)を適用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンゲルマニウム上にトランジスタを備えた、超小型の半導体デバイスに関する。特に、本発明は、チャネルキャリア移動度が向上したトランジスタを製造する際に応用できる。
【背景技術】
【0002】
小型化した高速半導体デバイスの飽くなき探求は、従来の半導体材料と製造技術の限界への挑戦を続けている。通常、従来の半導体デバイスは、一般的な半導体基板に、あるいは一般的な基板上に複数の能動素子を含む。そのような能動素子としては、例えば、隣接して配置された少なくとも1組のPMOSとNMOSトランジスタを含むCMOSデバイスが挙げられる。
【0003】
現在の技術では、基板として、高濃度にドープした結晶Si基板上に成長した、低濃度にpドープしたシリコン(Si)のエピタキシャル(「エピ」)層などの結晶半導体ウェハを用いる。ラッチアップに対する影響を最小にするためには、高濃度にドープした基板は低抵抗であることが求められる。一方で、エピ層を低濃度にドープすることによって、製造シーケンスの一部としてその中に形成されたp型とn型の両方のドーピングプロファイルを個別に調整することができ、その結果、PMOSとNMOSトランジスタの最適な性能を得ることが出来る。
シャロートレンチアイソレーション(「STI])の使用により、非常に薄いエピ層(つまり、厚みが数μmのエピ層)の使用が可能になる。このシャロートレンチアイソレーションの利点としては、さらに高濃度にドープした基板から低濃度にドープしたエピ層への、p型ドーパントのアップディフュージョン(up diffusion)を最小にすることが挙げられる。
【0004】
さらに、STIによって、各LOCOS絶縁構造の端部に形成される「鳥のくちばし(bird's beak)」あるいは「バリ」の形成を避けることによって、隣接するアクティブ領域をさらに密接に配置することができる。
STIでは、より急峻な構造を生成することでより良い絶縁性が与えられ、ゲートリソグラフィの制御性を高めるため、絶縁のためにアクティブ領域から垂直ステップが減少され、直径の大きなウェハ(つまり8インチのウェハ)に関連する問題を引き起こすおそれのある高温での酸化ステップがなくされる。また、STIは、将来の論理技術世代にも適用可能である。
【0005】
「歪みシリコン」に基づく基板は、電子と正孔のフロー速度を上げ、その結果、動作速度が速く、性能特性が高められ、また、低電力消費の半導体デバイスを製造することができる半導体材料として関心を集めている。
非常に薄い引っ張り歪み(tensilely strained)結晶シリコン(Si)層は、厚さが数ミクロンの、緩和した、傾斜組成のシリコンゲルマニウム(Si−Ge)バッファ層に成長される。次に、Si−Geバッファ層は、例えば、Siウェハあるいはシリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハなどの適切な結晶基盤に形成される。このSi−Ge層は、通常、12〜25at%のGeを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歪みSi技術は、Si原子の以下のような性質、つまり、Si原子がSi−Geバッファ層に堆積されたときに、Si原子とGe原子との間の(純シリコンに比較して)より大きな格子定数(間隔)に位置が合わされるという性質に基づく。
Si原子が、さらに離間された原子を含む基板(Si−Ge)上に堆積された結果、これらのSi原子は、その下層のSiおよびGe原子と位置を合わせるように「伸び」、その結果、堆積されたSi層を「伸ばす」、あるいは引っ張り方向に歪ませる。そのような歪みSi層の電子および正孔は、原子間の間隔が狭い、つまり、電子および/または正孔のフローに対して抵抗が小さい従来の緩和Si層よりも優れた移動度を有する。例えば、歪みSiの電子フローは従来のSiの電子フローと比べると、最大で約70%高速であり得る。
【0007】
そのような歪みSi層で形成されたトランジスタおよびICデバイスは、トランジスタ寸法の縮小を要求されることなく、従来のSiで形成された等価のデバイスの動作速度よりも最大で約35%速い動作速度を示し得る。
歪みシリコン技術に基づく従来の手法としては、引っ張り歪みシリコン層上に緩和シリコン層をエピタキシャル成長させ、その後にドープされて、緩和シリコン層に緩和ソース/ドレイン領域を形成することが挙げられる。
電子の移動度は、従来のバルクシリコン基板における正孔の移動度よりも速い。従って、従来のCMOSトランジスタにおいては、PMOSトランジスタの駆動電流は、NMOSトランジスタの駆動電流よりも少なく、アンバランスな状態になる。このアンバランスな状態は、歪み格子半導体基板、例えば、Si−Ge上の歪みSi、に形成された引っ張り応力アクティブデバイス領域上あるいは内に製造されたCMOSトランジスタにおいて悪化する。その理由は、電子の移動度の増加が正孔の移動度の増加よりも大きいからである。
【0008】
超小型化が進むにつれ、キャリア移動度を増加することによって、様々なタイプの歪みSi−Ge基板上に形成されたトランジスタを含むトランジスタの駆動電流を増加させる必要性が生じる。
従って、チャネルキャリア移動度を増加させることによって駆動電流が増加したSi−Ge基盤上に形成されたトランジスタを含む半導体デバイスの製造を可能にする方法及びその結果製造された半導体デバイスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の利点は、駆動電流が増加したSi−Ge基盤上にトランジスタを含む半導体デバイスを製造する方法である。本発明の別の利点は、駆動電流が増加したSi−Ge基板に基づいたトランジスタを含む半導体デバイスである。
本発明の更なる利点及び他の特徴は、以下の明細書にその一部が記載され、また、ある部分は、当業者にとって、以下の明細書を査読することで、あるいは、本発明を実施することにより明らかになるであろう。本発明の利点及び特徴は、特に、添付の特許請求の範囲に明らかにされることにより、実現され、得られる。
【0010】
本発明によれば、前述の、およびその他の利点一部は半導体デバイスによって得られる。その半導体デバイスは、シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層上に歪み格子を有するシリコン(Si)の層を備えた基板、ソース/ドレイン領域とゲート電極とを基板上に備え、その間にゲート誘電層を有するトランジスタ、および、ゲート電極の側面上とソース/ドレイン領域上に、応力が変えられて誘電体ライナー即ち応力誘電体ライナー(stressed dielectric liner)を含む。
本発明の別の利点は半導体デバイスの製造方法であり、その方法は、シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層上に歪み格子を有するシリコン(Si)層を備えた基板を形成し、前記基板上に、ソース/ドレイン領域と、上面と側面とを有するゲート電極と、これらの間に設けられたゲート誘電体層とを有するトランジスタを形成し、ゲート電極の側面上とソース/ドレイン領域上に応力誘電体ライナーを形成する、ステップを含む。
【0011】
本発明の実施形態においては、ゲート電極の側面に誘電性のサイドウォールスペーサ、例えば、酸化物ライナーおよび窒化物層、を形成し、歪みSi層上に緩和Si層をエピタキシャル成長させ、緩和Si層にソース/ドレイン領域を形成し、次に、サイドウォールスペーサ、緩和ソース/ドレイン領域、および、サイドウォールスペーサと隆起したソース/ドレイン領域の間の歪みSi層の一部に応力誘電体ライナーを堆積する。
【0012】
本発明の実施形態において、さらに、ゲート電極の側面に誘電性のサイドウォールスペーサを形成し、歪みSi層にソース/ドレイン領域を形成し、金属シリサイド層をゲート電極の上面に、金属シリサイド層をソース/ドレイン領域に形成し、ゲート電極の側面に隣接する歪みSi層の一部をさらすために誘電性のサイドウォールスペーサを除去し、金属シリサイド層、ゲート電極の上面、ゲート電極の側面、歪みSi層の隣接するさらされた部分、および、ソース/ドレイン領域を覆うシリサイド層に応力誘電体ライナーを形成する。
N−チャネルトランジスタを含む本発明の実施形態においては、応力誘電体ライナーは高引っ張り応力を示す。P−チャネルトランジスタを含む本発明の実施形態においては、応力誘電体ライナーは高圧縮応力を示す。応力誘電体ライナーは、厚みが約200Å〜約1000Åの窒化シリコン層、シリコンカーバイド層、あるいは酸窒化シリコン層を含み得る。
【0013】
本発明の実施形態において、PMOSトランジスタ上に圧縮膜を、NMOSトランジスタ上に引っ張り膜を備えた、相補型MOS(CMOS)トランジスタを含む半導体デバイスが製造される。
【0014】
本発明の1つの形態によれば、プロセスフローとしては、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの双方に圧縮応力窒化膜を堆積させ、次に、酸化膜あるいは酸窒化膜などの薄いバッファ膜をNMOSトランジスタとPMOSトランジスタの双方に堆積することが挙げられる。
【0015】
次に、選択性エッチングが行われ、NMOSトランジスタから酸化膜および圧縮応力窒化膜を除去する一方で、PMOSトランジスタをマスキングする。次に、引っ張り応力窒化膜がNMOSトランジスタとPMOSトランジスタの双方の上に堆積され、その後、PMOSトランジスタから選択的にエッチングされる。
その結果生じるCMOSデバイスは、引っ張り応力を備えたNMOSトランジスタと圧縮応力を備えたPMOSトランジスタとを含む。
【0016】
本発明のさらなる利点および形態は、以下の説明により当業者には容易に明らかになるであろう。本発明の実施形態は、本発明を実行するために考えられる最良の形態で単に例示により示され説明されている。
以下に説明するように、本発明はその他の異なる実施形態も可能であり、また、そのいくつかの詳細は、本発明の精神から逸脱することなく様々に明らかな点から修正を可能とする。従って、図面および明細書は限定的なものではなく例示的なものと見なされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1および2において、同様の特徴あるいは要素は同じ参照符号で示されており、図3〜図6において、同様の特徴あるいは要素は同じ参照符号で示されており、図7〜図14において、同様の特徴あるいは要素は同じ参照符号で示されている。
【0018】
Si−Ge基板上に形成されたトランジスタにおいては、バルクシリコン基板上に形成されたトランジスタとは異なる留意事項が存在する。シリコン基板は厚いので、基板に堆積される応力膜は、膜が与える応力とは反対の応力を有する基板に影響を及ぼす傾向がある。例えば、バルクシリコン基板に引っ張り応力膜が堆積されると、圧縮応力が基板、従ってチャネル領域に与えられる。しかし、通常、および本発明の実施形態によれば、Si−Ge基板は、厚さが約200Å〜約300Åの歪みシリコン層で形成される。
【0019】
緩和ソース/ドレイン領域は、約400Åまでの厚さでシリコン層上に形成される。従って、通常、歪みSi層とドレイン/ソース領域とを合わせた厚さは800Åを超えない。その結果、緩和Si層と合わせても、歪みSi層は、基板上に堆積された膜が与える応力の種類に対して、相対的に影響を与えない。従って、歪みSi層に堆積された引っ張り応力層、あるいは、歪みSi層に形成された緩和Si層もまた、その中に形成されたチャネル領域に引っ張り応力を与える。また、そのような薄いSi層に堆積された圧縮応力層は、その中に形成されたチャネル領域に圧縮応力を与える。
【0020】
一方で、バルク基板においては、その逆となる。本発明は、チャネルキャリア移動度を著しく増加することにより、費用効果的が高くかつ効率的な方法で、歪みSi基板に基づくトランジスタの駆動電流を増加させるという課題に取り組み、解決する。本発明は、基板に応力を与えることによって、歪みSi基板に基づくトランジスタのチャネルキャリア移動度を増加させることができるという認識からなされたものである。
【0021】
P−チャネルトランジスタの形成においては、正孔移動度を増加させるための高圧縮応力を与える応力誘電体層を適用することによって、チャネルキャリア移動度が増加される。
N−チャネルトランジスタにおいては、電子移動度を増加させるための高引っ張り応力を与える応力層を適用することによって、チャネルキャリア移動度が著しく増加される。
【0022】
応力誘電体層は、ソース/ドレイン領域が歪みSi層内に形成されるトランジスタに、また、歪みSi層に形成された緩和ソース/ドレイン領域を有するトランジスタに適用され得る。応力誘電体層は、炭化ケイ素、窒化シリコン、あるいは、酸窒化シリコンを含み得、また、約200Å〜約1000Åの厚さでプラズマエンハンスト化学蒸着(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)を用いて堆積されてよい。
非常に圧縮された、あるいは、非常に張力のある誘電体層の堆積に従来のPECVD条件を用いてもよい。高圧縮応力を与える応力誘電体層を堆積する際に、高周波電力と低周波電力の双方が適用される。高引っ張り応力を与える応力誘電体層を堆積する際に、低周波電力が大いに低減される。高引っ張り応力を与える誘電体層を堆積する際に、下層の歪みSi層あるいは緩和Si層へ引っ張り応力が与えられる。高圧縮応力を与える層を適用する際に、下にある歪みSi層あるいは緩和Si層へ圧縮応力が与えられる。
【0023】
例えば、高圧縮応力(例えば、IGPa以上)を与える応力共形(stressed conformal)窒化シリコン層は、シラン(SiH4)流量を200〜500sccm、窒素(N2)流量を2000〜5000sccm、アンモニア(NH3)流量2500〜5000sccm、SiH4/NH3比を0.2〜0.04、温度350℃〜550℃、圧力を1〜6Torr、高周波電力70〜300ワット、低周波電力を20〜60ワット、電極(シャワーヘッド)間隔400〜600ミル(mil)で堆積できる。
【0024】
高引っ張り応力(例えば、1GPa以上)を与える窒化シリコン層は、SiH4流量50〜500sccm、NH3流量1500〜5000sccm、N2流量4000〜30000sccm、SiH4/NH3比が0.2〜0.04、温度350℃〜550℃、圧力2〜5Torrの、高周波電力40〜300ワット、および、低周波電力0〜10ワットで堆積されてよい。
【0025】
本発明の他の実施形態では、高引っ張り応力を与える誘電体層は、化学蒸着によって誘電体層に堆積し、その後、堆積した誘電体層を紫外線あるいは電子ビーム放射で処理し、引っ張り応力を増加させる。本発明の実施形態によれば、応力層は比較的低温で形成される。従って、本発明により、ソース/ドレイン領域およびゲート電極に形成されたニッケルシリサイド層を有するトランジスタに、そのニッケルシリコン層の熱安定性を超えずに、引っ張り応力層あるいは圧縮応力層を堆積することができる。
【0026】
本発明は、コバルトシリサイドのようなその他の金属シリサイドを含むトランジスタにも応用できる。コバルトのシリサイド化においては、コバルト層を堆積してシリサイド化を行う前に、シリコンの個々の層が堆積される。
【0027】
本発明の実施形態を、図1から6に概略的に例示する。
図1において、Si−Ge層10に歪みSi層11が形成される。
従来の手法のように、Si層11は全体的に歪んでいても、あるいは、ソース/ドレイン領域において局所的に歪んでいても、本発明の実施形態は両方の種類の歪みSi層を包含することを理解されたい。
【0028】
歪みSi層11上にゲート電極12が形成され、その間にゲート絶縁体層13が形成される。次に、酸化物シリコンなどのL字型の酸化物ライナー 14、窒化シリコンなどの窒化物層15を含むサイドウォールスペーサがSi層11上に形成される。次に、ドーピングをソース/ドレイン領域から歪みSi層11にまで延ばして行うことにより、歪みSi層11とその中に形成されたソース/ドレイン領域上に緩和Si層16がエピタキシャル成長される。
【0029】
ゲート電極12の上面と、緩和ソース/ドレイン領域16に、ニッケルシリサイドなどの金属シリサイド層20、20Aがそれぞれ形成される。サイドウォールスペーサ上、シリサイド20、20A上、および、Si層11上の酸化物ライナー14と緩和ソース/ドレイン領域16の間に応力誘電体ライナー21が形成される。Si層がソース/ドレイン領域において局所的に歪んでいるという本発明の実施形態では、応力誘電体層21は、応力20をゲート電極とスペーサの下のシリコン層11に与え、その結果、チャネルキャリア移動度が増加するという点で有利である。Si層11全体が歪んだ実施形態では、応力誘電体層は、ゲート電極とスペーサの下のチャネル領域に歪みをさらに増加し、その結果、チャネルキャリア移動度をさらに増加する。
【0030】
応力誘電体層21は、例えば、高圧縮応力あるいは引っ張り応力を与えるPECVDによって堆積された窒化シリコンであり得る。図2に例示された更なるフィーチャとしては、タングステンプラグ22、層間絶縁膜24の開口部を充填する、例えば窒化チタンなどのバリア金属23、および、タングステンプラグ25、および層間絶縁膜24のコンタクトホールを充填する、例えば窒化チタンなどのバリア金属ワイヤ26、が挙げられる。高応力誘電体層21が与える応力は、チャネルのキャリア移動度を増加させ、その結果、トランジスタの駆動電流を増加させる。
【0031】
本発明の別の実施形態を図3〜図6に概略的に例示する。
図3において、Si−Ge層30上に歪みSi層31が形成される。これまでに議論された実施形態のように、Si層31は全体的に歪んでいてもよく、あるいは、ソース/ドレイン領域の下で局所的に歪んでいてもよい。歪みSi層31上にゲート電極32が形成され、これらの間にゲート絶縁層33が形成される。厚さが約60Å〜約600Åの酸化物ライナー34を備えたサイドウォールスペーサは、ゲート電極32の側面と歪みSi層31の上面に形成される。ライナー34はALDにより堆積されてよく、また、ライナー34にも窒化シリコンが含まれることは明らかであろう。
【0032】
酸化シリコンライナーは、側面のシリサイデーションによりゲート電極の消費を妨げる利点がある。また、酸化シリコンライナーは、続いて形成される窒化シリコンサイドウォールスペーサ上のニッケルシリサイドからなる薄い層が、ゲート電極の上面のニッケルシリサイドコンタクト層と接触するのを妨げ、および/または、歪みSi層31の上面のニッケルシリサイドコンタクト層と接触するのを妨げ、その結果、ニッケルシリサイドが窒化シリコンサイドウォールスペーサに沿って超えるのを妨げる。
【0033】
次に、PECVDを行い、その後エッチングすることで、シリコン酸化物ライナー上34に窒化シリコンスペーサ35が形成される。次に、図4に例示しているように、ゲート電極32の上面のニッケルシリサイド層40を形成し、歪みSi層31あるいはシリコン層31の歪み部分に形成されたソース/ドレイン領域上にニッケルシリサイド層41を形成することによって、シリサイデーションが行われる。
【0034】
次に、図5に例示しているように、ライナーとサイドウォールスペーサが除去され、その結果、バッファ層として機能する非常に薄い層(例えば、50Å以下)を有する、シリサイド層41とゲート電極32の側との間の歪みSi層31の上面の一部がさらされる。その後、図6に示しているように、窒化シリコン層などの、高圧縮応力を与える高応力誘電体層50がPECVDによって堆積される。高応力誘電体層50は、チャネルの正孔移動度を増加させ、その結果、駆動電流を増加させるように機能する。
【0035】
本発明の別の実施形態を図7〜図14に概略的に例示する。
図7において、NMOSトランジスタ部分を左側に、PMOSトランジスタ部分を右側に備えたCMOSデバイスが概略的に示されている。同様の特徴は同じ参照符号により示される。Si−Ge層70上に歪みSi層71が形成される。
すでに議論した実施形態のように、Si層71は全体的に歪んでいても、あるいは、ソース/ドレイン領域において局所的に歪んでいてもよい。ゲート電極72は、歪みSi層71上に形成され、その間にゲート誘電体層73が形成される。
【0036】
厚みが約60Å〜約600Åの酸化物ライナー74を含む再度ウォールスペーサは、ゲート電極72の側面上と、歪みSi層71の上面の一部上に形成される。シリコン酸化物ライナー74は、図3のリコン酸化物ライナーに関して説明したものと同じ方法で形成され得る。次に、PECVDを行い、その後のエッチングによって、窒化シリコンスペーサ75がシリコン酸化物ライナー74上に形成される。
【0037】
続いて、ゲート電極72の上面にニッケルシリサイド層76を形成し、また、歪みSi層71上に形成されたソース/ドレイン領域上にニッケルシリサイド層77を形成することによって、シリサイデーションが行われる。
【0038】
図8に例示しているように、ライナー74とサイドウォールスペーサ75とが各トランジスタから除去され、その結果、シリサイド層77とゲート電極72の側面との間の歪みSi層71の上面の一部がさらされる。
【0039】
次に、図9に例示しているように、圧縮応力が1.5GPa以上の高圧縮応力の窒化シリコン膜90が、NMOSとPMOSトランジスタの双方に堆積される。高圧縮応力の窒化シリコン膜90は、温度約400℃〜約480℃、SiH4流量約200〜約300sccm、NH3流量約3000〜約4000sccm、N2流量約3500〜約4500sccm、圧力約2〜約6Torr、シャワーヘッド間隔約400〜60ミル(mil)、高周波RF電力約60〜約100ワット、低周波RF電力約40ワット〜約90ワットにおいて堆積され、その後、NH3流量約500〜約1500sccm、N2流量約2000〜約4000sccm、高周波RF電力約100ワット〜約600ワット、および、低周波RF電力約20ワット〜約60ワットで、約20〜約60秒間、NH3/H2プラズマ処理が実施してもよい。複数の層を堆積し、プラズマ処理をすることにより、圧縮応力がさらに増加する。
【0040】
続いて、図10に例示しているように、薄い酸化膜あるいは酸窒化膜100が、従来のCVDプロセスによって堆積される。通常、酸化膜あるいは酸窒化膜100は、約30Å〜約60Åの厚さで堆積される。続いて、図11に例示されているように、フォトレジストあるいはハードマスクなどのマスク110がPMOSトランジスタ上に施されるとともに、酸化膜あるいは酸窒化膜100と高圧縮応力窒化シリコン膜90がNMOSトランジスタから除去される。
【0041】
図12において、PMOSトランジスタからマスク110が除去され、次いで、引っ張り応力が1.5GPa以上の高引っ張り応力窒化シリコン膜120がPMOSとNMOSトランジスタの双方に堆積される。高引っ張り応力膜120は、温度約400℃〜約480℃、SiH4流量約40〜約80sccm、NH3流量約1500〜約2500sccm、N2流量約20000〜約40000sccmの、間隔(基板とシャワーヘッド間の間隔)約400〜600ミル(mil)、圧力約2〜約8Torr、高周波電力約40〜約80ワット、低周波電力約10ワットまで、で堆積され得る。
【0042】
次に、従来のCVDプロセスによって、約30Å〜約60Åの厚さで、薄い酸化膜あるいは酸窒化膜が堆積される。図13において、フォトレジストあるいはハードマスクなどのマスク131がNMOSトランジスタ上に施され、PMOSトランジスタから、酸化膜あるいは酸窒化膜130と、高引っ張り応力窒化シリコン膜120の選択的な除去が酸化膜あるいは酸窒化膜100上で止まる。
【0043】
次に、マスク131が除去され、その結果、図14に例示しているように、酸化膜あるいは酸窒化膜130と高引っ張り応力窒化シリコン膜120とをNMOSトランジスタ上に備えるとともに、酸化膜あるいは酸窒化膜100と高圧縮応力窒化シリコン膜90とをPMOSトランジスタ上に備えた構造がもたらされる。その結果もたらされるCMOSデバイスは、チャネルのキャリア移動度が増加し、従って駆動電流が増加したPMOSとNMOSの双方のトランジスタを含む。
【0044】
本発明は、歪み格子技術に基づいて、トランジスタの駆動電流が最大にされた、高品質で動作速度の速い、超小型化半導体デバイスを製造できる方法を提供する。本発明の方法は、従来の処理技術と手段を利用して、自動製造技術のスループット要件に一致した速度で実行され得る。また、本発明は、高密度の集積半導体デバイスを製造するための従来のプロセスフローとの互換性が十分にある。
【0045】
本発明は、様々なタイプの半導体デバイスを製造する際に産業上の利用可能性を有する。本発明は、動作速度の速い超小型化半導体デバイスを製造する際に、特定の産業上の利用可能性を有する。
【0046】
これまでの説明において、本発明をよりよく理解するために、具体的な材料、構造、反応物質、プロセスなどの様々な具体的な詳細が述べられている。しかし、具体的に述べられた詳細を用いなくても本発明を実行することができる。他の例では、本発明を不必要に曖昧にしないよう、周知のプロセス材料および技術は説明されていない。本開示において、本発明の好ましい実施形態とその多機能性だけが示され、説明されている。
【0047】
本発明は様々なその他の組合せと環境で使用することができ、また、本発明は本文中に説明された発明の概念の範囲内において変更あるいは修正できることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図2】本発明の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図3】本発明の他の実施形態に係る方法における状態を例示した概略図。
【図4】本発明の他の実施形態に係る方法における状態を例示した概略図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る方法における状態を例示した概略図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る方法における状態を例示した概略図。
【図7】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図8】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図9】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図10】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図11】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図12】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図13】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図14】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンゲルマニウム上にトランジスタを備えた、超小型の半導体デバイスに関する。特に、本発明は、チャネルキャリア移動度が向上したトランジスタを製造する際に応用できる。
【背景技術】
【0002】
小型化した高速半導体デバイスの飽くなき探求は、従来の半導体材料と製造技術の限界への挑戦を続けている。通常、従来の半導体デバイスは、一般的な半導体基板に、あるいは一般的な基板上に複数の能動素子を含む。そのような能動素子としては、例えば、隣接して配置された少なくとも1組のPMOSとNMOSトランジスタを含むCMOSデバイスが挙げられる。
【0003】
現在の技術では、基板として、高濃度にドープした結晶Si基板上に成長した、低濃度にpドープしたシリコン(Si)のエピタキシャル(「エピ」)層などの結晶半導体ウェハを用いる。ラッチアップに対する影響を最小にするためには、高濃度にドープした基板は低抵抗であることが求められる。一方で、エピ層を低濃度にドープすることによって、製造シーケンスの一部としてその中に形成されたp型とn型の両方のドーピングプロファイルを個別に調整することができ、その結果、PMOSとNMOSトランジスタの最適な性能を得ることが出来る。
シャロートレンチアイソレーション(「STI])の使用により、非常に薄いエピ層(つまり、厚みが数μmのエピ層)の使用が可能になる。このシャロートレンチアイソレーションの利点としては、さらに高濃度にドープした基板から低濃度にドープしたエピ層への、p型ドーパントのアップディフュージョン(up diffusion)を最小にすることが挙げられる。
【0004】
さらに、STIによって、各LOCOS絶縁構造の端部に形成される「鳥のくちばし(bird's beak)」あるいは「バリ」の形成を避けることによって、隣接するアクティブ領域をさらに密接に配置することができる。
STIでは、より急峻な構造を生成することでより良い絶縁性が与えられ、ゲートリソグラフィの制御性を高めるため、絶縁のためにアクティブ領域から垂直ステップが減少され、直径の大きなウェハ(つまり8インチのウェハ)に関連する問題を引き起こすおそれのある高温での酸化ステップがなくされる。また、STIは、将来の論理技術世代にも適用可能である。
【0005】
「歪みシリコン」に基づく基板は、電子と正孔のフロー速度を上げ、その結果、動作速度が速く、性能特性が高められ、また、低電力消費の半導体デバイスを製造することができる半導体材料として関心を集めている。
非常に薄い引っ張り歪み(tensilely strained)結晶シリコン(Si)層は、厚さが数ミクロンの、緩和した、傾斜組成のシリコンゲルマニウム(Si−Ge)バッファ層に成長される。次に、Si−Geバッファ層は、例えば、Siウェハあるいはシリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハなどの適切な結晶基盤に形成される。このSi−Ge層は、通常、12〜25at%のGeを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歪みSi技術は、Si原子の以下のような性質、つまり、Si原子がSi−Geバッファ層に堆積されたときに、Si原子とGe原子との間の(純シリコンに比較して)より大きな格子定数(間隔)に位置が合わされるという性質に基づく。
Si原子が、さらに離間された原子を含む基板(Si−Ge)上に堆積された結果、これらのSi原子は、その下層のSiおよびGe原子と位置を合わせるように「伸び」、その結果、堆積されたSi層を「伸ばす」、あるいは引っ張り方向に歪ませる。そのような歪みSi層の電子および正孔は、原子間の間隔が狭い、つまり、電子および/または正孔のフローに対して抵抗が小さい従来の緩和Si層よりも優れた移動度を有する。例えば、歪みSiの電子フローは従来のSiの電子フローと比べると、最大で約70%高速であり得る。
【0007】
そのような歪みSi層で形成されたトランジスタおよびICデバイスは、トランジスタ寸法の縮小を要求されることなく、従来のSiで形成された等価のデバイスの動作速度よりも最大で約35%速い動作速度を示し得る。
歪みシリコン技術に基づく従来の手法としては、引っ張り歪みシリコン層上に緩和シリコン層をエピタキシャル成長させ、その後にドープされて、緩和シリコン層に緩和ソース/ドレイン領域を形成することが挙げられる。
電子の移動度は、従来のバルクシリコン基板における正孔の移動度よりも速い。従って、従来のCMOSトランジスタにおいては、PMOSトランジスタの駆動電流は、NMOSトランジスタの駆動電流よりも少なく、アンバランスな状態になる。このアンバランスな状態は、歪み格子半導体基板、例えば、Si−Ge上の歪みSi、に形成された引っ張り応力アクティブデバイス領域上あるいは内に製造されたCMOSトランジスタにおいて悪化する。その理由は、電子の移動度の増加が正孔の移動度の増加よりも大きいからである。
【0008】
超小型化が進むにつれ、キャリア移動度を増加することによって、様々なタイプの歪みSi−Ge基板上に形成されたトランジスタを含むトランジスタの駆動電流を増加させる必要性が生じる。
従って、チャネルキャリア移動度を増加させることによって駆動電流が増加したSi−Ge基盤上に形成されたトランジスタを含む半導体デバイスの製造を可能にする方法及びその結果製造された半導体デバイスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の利点は、駆動電流が増加したSi−Ge基盤上にトランジスタを含む半導体デバイスを製造する方法である。本発明の別の利点は、駆動電流が増加したSi−Ge基板に基づいたトランジスタを含む半導体デバイスである。
本発明の更なる利点及び他の特徴は、以下の明細書にその一部が記載され、また、ある部分は、当業者にとって、以下の明細書を査読することで、あるいは、本発明を実施することにより明らかになるであろう。本発明の利点及び特徴は、特に、添付の特許請求の範囲に明らかにされることにより、実現され、得られる。
【0010】
本発明によれば、前述の、およびその他の利点一部は半導体デバイスによって得られる。その半導体デバイスは、シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層上に歪み格子を有するシリコン(Si)の層を備えた基板、ソース/ドレイン領域とゲート電極とを基板上に備え、その間にゲート誘電層を有するトランジスタ、および、ゲート電極の側面上とソース/ドレイン領域上に、応力が変えられて誘電体ライナー即ち応力誘電体ライナー(stressed dielectric liner)を含む。
本発明の別の利点は半導体デバイスの製造方法であり、その方法は、シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層上に歪み格子を有するシリコン(Si)層を備えた基板を形成し、前記基板上に、ソース/ドレイン領域と、上面と側面とを有するゲート電極と、これらの間に設けられたゲート誘電体層とを有するトランジスタを形成し、ゲート電極の側面上とソース/ドレイン領域上に応力誘電体ライナーを形成する、ステップを含む。
【0011】
本発明の実施形態においては、ゲート電極の側面に誘電性のサイドウォールスペーサ、例えば、酸化物ライナーおよび窒化物層、を形成し、歪みSi層上に緩和Si層をエピタキシャル成長させ、緩和Si層にソース/ドレイン領域を形成し、次に、サイドウォールスペーサ、緩和ソース/ドレイン領域、および、サイドウォールスペーサと隆起したソース/ドレイン領域の間の歪みSi層の一部に応力誘電体ライナーを堆積する。
【0012】
本発明の実施形態において、さらに、ゲート電極の側面に誘電性のサイドウォールスペーサを形成し、歪みSi層にソース/ドレイン領域を形成し、金属シリサイド層をゲート電極の上面に、金属シリサイド層をソース/ドレイン領域に形成し、ゲート電極の側面に隣接する歪みSi層の一部をさらすために誘電性のサイドウォールスペーサを除去し、金属シリサイド層、ゲート電極の上面、ゲート電極の側面、歪みSi層の隣接するさらされた部分、および、ソース/ドレイン領域を覆うシリサイド層に応力誘電体ライナーを形成する。
N−チャネルトランジスタを含む本発明の実施形態においては、応力誘電体ライナーは高引っ張り応力を示す。P−チャネルトランジスタを含む本発明の実施形態においては、応力誘電体ライナーは高圧縮応力を示す。応力誘電体ライナーは、厚みが約200Å〜約1000Åの窒化シリコン層、シリコンカーバイド層、あるいは酸窒化シリコン層を含み得る。
【0013】
本発明の実施形態において、PMOSトランジスタ上に圧縮膜を、NMOSトランジスタ上に引っ張り膜を備えた、相補型MOS(CMOS)トランジスタを含む半導体デバイスが製造される。
【0014】
本発明の1つの形態によれば、プロセスフローとしては、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの双方に圧縮応力窒化膜を堆積させ、次に、酸化膜あるいは酸窒化膜などの薄いバッファ膜をNMOSトランジスタとPMOSトランジスタの双方に堆積することが挙げられる。
【0015】
次に、選択性エッチングが行われ、NMOSトランジスタから酸化膜および圧縮応力窒化膜を除去する一方で、PMOSトランジスタをマスキングする。次に、引っ張り応力窒化膜がNMOSトランジスタとPMOSトランジスタの双方の上に堆積され、その後、PMOSトランジスタから選択的にエッチングされる。
その結果生じるCMOSデバイスは、引っ張り応力を備えたNMOSトランジスタと圧縮応力を備えたPMOSトランジスタとを含む。
【0016】
本発明のさらなる利点および形態は、以下の説明により当業者には容易に明らかになるであろう。本発明の実施形態は、本発明を実行するために考えられる最良の形態で単に例示により示され説明されている。
以下に説明するように、本発明はその他の異なる実施形態も可能であり、また、そのいくつかの詳細は、本発明の精神から逸脱することなく様々に明らかな点から修正を可能とする。従って、図面および明細書は限定的なものではなく例示的なものと見なされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1および2において、同様の特徴あるいは要素は同じ参照符号で示されており、図3〜図6において、同様の特徴あるいは要素は同じ参照符号で示されており、図7〜図14において、同様の特徴あるいは要素は同じ参照符号で示されている。
【0018】
Si−Ge基板上に形成されたトランジスタにおいては、バルクシリコン基板上に形成されたトランジスタとは異なる留意事項が存在する。シリコン基板は厚いので、基板に堆積される応力膜は、膜が与える応力とは反対の応力を有する基板に影響を及ぼす傾向がある。例えば、バルクシリコン基板に引っ張り応力膜が堆積されると、圧縮応力が基板、従ってチャネル領域に与えられる。しかし、通常、および本発明の実施形態によれば、Si−Ge基板は、厚さが約200Å〜約300Åの歪みシリコン層で形成される。
【0019】
緩和ソース/ドレイン領域は、約400Åまでの厚さでシリコン層上に形成される。従って、通常、歪みSi層とドレイン/ソース領域とを合わせた厚さは800Åを超えない。その結果、緩和Si層と合わせても、歪みSi層は、基板上に堆積された膜が与える応力の種類に対して、相対的に影響を与えない。従って、歪みSi層に堆積された引っ張り応力層、あるいは、歪みSi層に形成された緩和Si層もまた、その中に形成されたチャネル領域に引っ張り応力を与える。また、そのような薄いSi層に堆積された圧縮応力層は、その中に形成されたチャネル領域に圧縮応力を与える。
【0020】
一方で、バルク基板においては、その逆となる。本発明は、チャネルキャリア移動度を著しく増加することにより、費用効果的が高くかつ効率的な方法で、歪みSi基板に基づくトランジスタの駆動電流を増加させるという課題に取り組み、解決する。本発明は、基板に応力を与えることによって、歪みSi基板に基づくトランジスタのチャネルキャリア移動度を増加させることができるという認識からなされたものである。
【0021】
P−チャネルトランジスタの形成においては、正孔移動度を増加させるための高圧縮応力を与える応力誘電体層を適用することによって、チャネルキャリア移動度が増加される。
N−チャネルトランジスタにおいては、電子移動度を増加させるための高引っ張り応力を与える応力層を適用することによって、チャネルキャリア移動度が著しく増加される。
【0022】
応力誘電体層は、ソース/ドレイン領域が歪みSi層内に形成されるトランジスタに、また、歪みSi層に形成された緩和ソース/ドレイン領域を有するトランジスタに適用され得る。応力誘電体層は、炭化ケイ素、窒化シリコン、あるいは、酸窒化シリコンを含み得、また、約200Å〜約1000Åの厚さでプラズマエンハンスト化学蒸着(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)を用いて堆積されてよい。
非常に圧縮された、あるいは、非常に張力のある誘電体層の堆積に従来のPECVD条件を用いてもよい。高圧縮応力を与える応力誘電体層を堆積する際に、高周波電力と低周波電力の双方が適用される。高引っ張り応力を与える応力誘電体層を堆積する際に、低周波電力が大いに低減される。高引っ張り応力を与える誘電体層を堆積する際に、下層の歪みSi層あるいは緩和Si層へ引っ張り応力が与えられる。高圧縮応力を与える層を適用する際に、下にある歪みSi層あるいは緩和Si層へ圧縮応力が与えられる。
【0023】
例えば、高圧縮応力(例えば、IGPa以上)を与える応力共形(stressed conformal)窒化シリコン層は、シラン(SiH4)流量を200〜500sccm、窒素(N2)流量を2000〜5000sccm、アンモニア(NH3)流量2500〜5000sccm、SiH4/NH3比を0.2〜0.04、温度350℃〜550℃、圧力を1〜6Torr、高周波電力70〜300ワット、低周波電力を20〜60ワット、電極(シャワーヘッド)間隔400〜600ミル(mil)で堆積できる。
【0024】
高引っ張り応力(例えば、1GPa以上)を与える窒化シリコン層は、SiH4流量50〜500sccm、NH3流量1500〜5000sccm、N2流量4000〜30000sccm、SiH4/NH3比が0.2〜0.04、温度350℃〜550℃、圧力2〜5Torrの、高周波電力40〜300ワット、および、低周波電力0〜10ワットで堆積されてよい。
【0025】
本発明の他の実施形態では、高引っ張り応力を与える誘電体層は、化学蒸着によって誘電体層に堆積し、その後、堆積した誘電体層を紫外線あるいは電子ビーム放射で処理し、引っ張り応力を増加させる。本発明の実施形態によれば、応力層は比較的低温で形成される。従って、本発明により、ソース/ドレイン領域およびゲート電極に形成されたニッケルシリサイド層を有するトランジスタに、そのニッケルシリコン層の熱安定性を超えずに、引っ張り応力層あるいは圧縮応力層を堆積することができる。
【0026】
本発明は、コバルトシリサイドのようなその他の金属シリサイドを含むトランジスタにも応用できる。コバルトのシリサイド化においては、コバルト層を堆積してシリサイド化を行う前に、シリコンの個々の層が堆積される。
【0027】
本発明の実施形態を、図1から6に概略的に例示する。
図1において、Si−Ge層10に歪みSi層11が形成される。
従来の手法のように、Si層11は全体的に歪んでいても、あるいは、ソース/ドレイン領域において局所的に歪んでいても、本発明の実施形態は両方の種類の歪みSi層を包含することを理解されたい。
【0028】
歪みSi層11上にゲート電極12が形成され、その間にゲート絶縁体層13が形成される。次に、酸化物シリコンなどのL字型の酸化物ライナー 14、窒化シリコンなどの窒化物層15を含むサイドウォールスペーサがSi層11上に形成される。次に、ドーピングをソース/ドレイン領域から歪みSi層11にまで延ばして行うことにより、歪みSi層11とその中に形成されたソース/ドレイン領域上に緩和Si層16がエピタキシャル成長される。
【0029】
ゲート電極12の上面と、緩和ソース/ドレイン領域16に、ニッケルシリサイドなどの金属シリサイド層20、20Aがそれぞれ形成される。サイドウォールスペーサ上、シリサイド20、20A上、および、Si層11上の酸化物ライナー14と緩和ソース/ドレイン領域16の間に応力誘電体ライナー21が形成される。Si層がソース/ドレイン領域において局所的に歪んでいるという本発明の実施形態では、応力誘電体層21は、応力20をゲート電極とスペーサの下のシリコン層11に与え、その結果、チャネルキャリア移動度が増加するという点で有利である。Si層11全体が歪んだ実施形態では、応力誘電体層は、ゲート電極とスペーサの下のチャネル領域に歪みをさらに増加し、その結果、チャネルキャリア移動度をさらに増加する。
【0030】
応力誘電体層21は、例えば、高圧縮応力あるいは引っ張り応力を与えるPECVDによって堆積された窒化シリコンであり得る。図2に例示された更なるフィーチャとしては、タングステンプラグ22、層間絶縁膜24の開口部を充填する、例えば窒化チタンなどのバリア金属23、および、タングステンプラグ25、および層間絶縁膜24のコンタクトホールを充填する、例えば窒化チタンなどのバリア金属ワイヤ26、が挙げられる。高応力誘電体層21が与える応力は、チャネルのキャリア移動度を増加させ、その結果、トランジスタの駆動電流を増加させる。
【0031】
本発明の別の実施形態を図3〜図6に概略的に例示する。
図3において、Si−Ge層30上に歪みSi層31が形成される。これまでに議論された実施形態のように、Si層31は全体的に歪んでいてもよく、あるいは、ソース/ドレイン領域の下で局所的に歪んでいてもよい。歪みSi層31上にゲート電極32が形成され、これらの間にゲート絶縁層33が形成される。厚さが約60Å〜約600Åの酸化物ライナー34を備えたサイドウォールスペーサは、ゲート電極32の側面と歪みSi層31の上面に形成される。ライナー34はALDにより堆積されてよく、また、ライナー34にも窒化シリコンが含まれることは明らかであろう。
【0032】
酸化シリコンライナーは、側面のシリサイデーションによりゲート電極の消費を妨げる利点がある。また、酸化シリコンライナーは、続いて形成される窒化シリコンサイドウォールスペーサ上のニッケルシリサイドからなる薄い層が、ゲート電極の上面のニッケルシリサイドコンタクト層と接触するのを妨げ、および/または、歪みSi層31の上面のニッケルシリサイドコンタクト層と接触するのを妨げ、その結果、ニッケルシリサイドが窒化シリコンサイドウォールスペーサに沿って超えるのを妨げる。
【0033】
次に、PECVDを行い、その後エッチングすることで、シリコン酸化物ライナー上34に窒化シリコンスペーサ35が形成される。次に、図4に例示しているように、ゲート電極32の上面のニッケルシリサイド層40を形成し、歪みSi層31あるいはシリコン層31の歪み部分に形成されたソース/ドレイン領域上にニッケルシリサイド層41を形成することによって、シリサイデーションが行われる。
【0034】
次に、図5に例示しているように、ライナーとサイドウォールスペーサが除去され、その結果、バッファ層として機能する非常に薄い層(例えば、50Å以下)を有する、シリサイド層41とゲート電極32の側との間の歪みSi層31の上面の一部がさらされる。その後、図6に示しているように、窒化シリコン層などの、高圧縮応力を与える高応力誘電体層50がPECVDによって堆積される。高応力誘電体層50は、チャネルの正孔移動度を増加させ、その結果、駆動電流を増加させるように機能する。
【0035】
本発明の別の実施形態を図7〜図14に概略的に例示する。
図7において、NMOSトランジスタ部分を左側に、PMOSトランジスタ部分を右側に備えたCMOSデバイスが概略的に示されている。同様の特徴は同じ参照符号により示される。Si−Ge層70上に歪みSi層71が形成される。
すでに議論した実施形態のように、Si層71は全体的に歪んでいても、あるいは、ソース/ドレイン領域において局所的に歪んでいてもよい。ゲート電極72は、歪みSi層71上に形成され、その間にゲート誘電体層73が形成される。
【0036】
厚みが約60Å〜約600Åの酸化物ライナー74を含む再度ウォールスペーサは、ゲート電極72の側面上と、歪みSi層71の上面の一部上に形成される。シリコン酸化物ライナー74は、図3のリコン酸化物ライナーに関して説明したものと同じ方法で形成され得る。次に、PECVDを行い、その後のエッチングによって、窒化シリコンスペーサ75がシリコン酸化物ライナー74上に形成される。
【0037】
続いて、ゲート電極72の上面にニッケルシリサイド層76を形成し、また、歪みSi層71上に形成されたソース/ドレイン領域上にニッケルシリサイド層77を形成することによって、シリサイデーションが行われる。
【0038】
図8に例示しているように、ライナー74とサイドウォールスペーサ75とが各トランジスタから除去され、その結果、シリサイド層77とゲート電極72の側面との間の歪みSi層71の上面の一部がさらされる。
【0039】
次に、図9に例示しているように、圧縮応力が1.5GPa以上の高圧縮応力の窒化シリコン膜90が、NMOSとPMOSトランジスタの双方に堆積される。高圧縮応力の窒化シリコン膜90は、温度約400℃〜約480℃、SiH4流量約200〜約300sccm、NH3流量約3000〜約4000sccm、N2流量約3500〜約4500sccm、圧力約2〜約6Torr、シャワーヘッド間隔約400〜60ミル(mil)、高周波RF電力約60〜約100ワット、低周波RF電力約40ワット〜約90ワットにおいて堆積され、その後、NH3流量約500〜約1500sccm、N2流量約2000〜約4000sccm、高周波RF電力約100ワット〜約600ワット、および、低周波RF電力約20ワット〜約60ワットで、約20〜約60秒間、NH3/H2プラズマ処理が実施してもよい。複数の層を堆積し、プラズマ処理をすることにより、圧縮応力がさらに増加する。
【0040】
続いて、図10に例示しているように、薄い酸化膜あるいは酸窒化膜100が、従来のCVDプロセスによって堆積される。通常、酸化膜あるいは酸窒化膜100は、約30Å〜約60Åの厚さで堆積される。続いて、図11に例示されているように、フォトレジストあるいはハードマスクなどのマスク110がPMOSトランジスタ上に施されるとともに、酸化膜あるいは酸窒化膜100と高圧縮応力窒化シリコン膜90がNMOSトランジスタから除去される。
【0041】
図12において、PMOSトランジスタからマスク110が除去され、次いで、引っ張り応力が1.5GPa以上の高引っ張り応力窒化シリコン膜120がPMOSとNMOSトランジスタの双方に堆積される。高引っ張り応力膜120は、温度約400℃〜約480℃、SiH4流量約40〜約80sccm、NH3流量約1500〜約2500sccm、N2流量約20000〜約40000sccmの、間隔(基板とシャワーヘッド間の間隔)約400〜600ミル(mil)、圧力約2〜約8Torr、高周波電力約40〜約80ワット、低周波電力約10ワットまで、で堆積され得る。
【0042】
次に、従来のCVDプロセスによって、約30Å〜約60Åの厚さで、薄い酸化膜あるいは酸窒化膜が堆積される。図13において、フォトレジストあるいはハードマスクなどのマスク131がNMOSトランジスタ上に施され、PMOSトランジスタから、酸化膜あるいは酸窒化膜130と、高引っ張り応力窒化シリコン膜120の選択的な除去が酸化膜あるいは酸窒化膜100上で止まる。
【0043】
次に、マスク131が除去され、その結果、図14に例示しているように、酸化膜あるいは酸窒化膜130と高引っ張り応力窒化シリコン膜120とをNMOSトランジスタ上に備えるとともに、酸化膜あるいは酸窒化膜100と高圧縮応力窒化シリコン膜90とをPMOSトランジスタ上に備えた構造がもたらされる。その結果もたらされるCMOSデバイスは、チャネルのキャリア移動度が増加し、従って駆動電流が増加したPMOSとNMOSの双方のトランジスタを含む。
【0044】
本発明は、歪み格子技術に基づいて、トランジスタの駆動電流が最大にされた、高品質で動作速度の速い、超小型化半導体デバイスを製造できる方法を提供する。本発明の方法は、従来の処理技術と手段を利用して、自動製造技術のスループット要件に一致した速度で実行され得る。また、本発明は、高密度の集積半導体デバイスを製造するための従来のプロセスフローとの互換性が十分にある。
【0045】
本発明は、様々なタイプの半導体デバイスを製造する際に産業上の利用可能性を有する。本発明は、動作速度の速い超小型化半導体デバイスを製造する際に、特定の産業上の利用可能性を有する。
【0046】
これまでの説明において、本発明をよりよく理解するために、具体的な材料、構造、反応物質、プロセスなどの様々な具体的な詳細が述べられている。しかし、具体的に述べられた詳細を用いなくても本発明を実行することができる。他の例では、本発明を不必要に曖昧にしないよう、周知のプロセス材料および技術は説明されていない。本開示において、本発明の好ましい実施形態とその多機能性だけが示され、説明されている。
【0047】
本発明は様々なその他の組合せと環境で使用することができ、また、本発明は本文中に説明された発明の概念の範囲内において変更あるいは修正できることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図2】本発明の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図3】本発明の他の実施形態に係る方法における状態を例示した概略図。
【図4】本発明の他の実施形態に係る方法における状態を例示した概略図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る方法における状態を例示した概略図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る方法における状態を例示した概略図。
【図7】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図8】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図9】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図10】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図11】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図12】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図13】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【図14】本発明の更に他の実施形態に従う方法における状態を例示した概略図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層(70)上に歪み格子を有するシリコン層(Si)(71)を含む基板を有し、
前記基板上に形成されたソース/ドレイン領域とゲート電極(72)とを有してこれらの間にゲート誘電体層(73)が設けられたトランジスタを有し、
前記ゲート電極の側面上と前記ソース/ドレイン領域上とに形成された応力誘電体ライナー(90、120)を有する、半導体デバイス。
【請求項2】
前記ソース/ドレイン領域は、前記歪みSi層上に成長した緩和Si層に形成され、また、前記応力誘電体ライナーは高圧縮応力(90)あるいは高引っ張り応力(120)を示す、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記ゲート電極の側面に誘電性サイドウォールスペーサを有し、
前記ゲート電極の上面に金属シリサイド層を有し、前記応力誘電体ライナーは前記サイドウォールスペーサ上にあり、
前記サイドウォールスペーサは、前記ゲート電極の側面と前記歪みSi層の上面部分に形成された酸化物ライナーと、前記酸化物ライナー上に形成された窒化物層と、を有し、
前記応力誘電体ライナーは、前記窒化物層上と、前記酸化物ライナーの下部と緩和Si層との間と、に形成される、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記トランジスタはP-チャンネルトランジスタであり、
前記応力誘電体ライナー(90)は高圧縮応力を与える、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記トランジスタはN-チャンネルトランジスタであり、
前記応力誘電体ライナー(120)は高引っ張り応力を与える、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層(70)上に歪み格子を有するシリコン(Si)層(71)を有する基板を形成し、
ソース/ドレイン領域と、上面と側面とを備えたゲート電極(72)と、を備えるとともにこれらの間にゲート誘電体層(73)を備えたトランジスタを前記基板上に形成し、
前記ゲート電極の前記側面上および前記ソース/ドレイン領域上に応力誘電体ライナー(90、120)を形成し、前記歪みSi層(71)は全体的に歪んでいるか、あるいは、前記ソース/ドレイン領域において局所的に歪んでいる、半導体デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記ゲート電極の前記側面にサイドウォールスペーサを形成し、
前記歪みSi層上に緩和Si層をエピタキシャル成長させ、
前記緩和Si層にソース/ドレイン領域を形成し、
前記応力誘電体ライナーを、前記サイドウォールスペーサ上、前記緩和ソース/ドレイン領域上、および、前記サイドウォールスペーサと前記緩和ソース/ドレイン領域の間の前記歪みSi層部分上に堆積し、前記応力誘電体ライナーは、窒化シリコン層、シリコンカーバード層、あるいは酸窒化シリコン層を約200Å〜約1000Åの厚さで備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
歪みSi層(71)に前記ソース/ドレイン領域を形成し、
前記ゲート電極(76)の上面に第1金属シリサイド層を形成するとともに、前記ソース/ドレイン領域(71)上に第2金属シリサイド層を形成し、
前記誘電性サイドウォールスペーサを除去し、前記ゲート電極の前記側面に隣接する前記歪みSi層の一部をさらし、
前記応力誘電体ライナー(90、120)を、前記第1金属シリサイド層(76)上、前記ゲート電極(72)の前記側面上、および、前記歪みSi層(71)の前記隣接するさらされた部分上に形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記トランジスタは
P−チャンネルトランジスタであって、前記方法では、高圧縮応力を示す条件下プラズマエンハンスト化学蒸着により誘電体層を堆積することによって前記応力誘電体層(90)を形成するか、又は、
前記トランジスタはN−チャネルトランジスタであって、前記方法では、高引っ張り応力を示す条件で、プラズマエンハンスト化学蒸着によって前記応力誘電体ライナーを形成するか、のいずれかである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層(70)上に歪み格子を有するシリコン(Si)(71)層を含む基板を形成し、
NMOSトランジスタとPMOSトランジスタを有するCMOSトランジスタを前記基板上に形成し、前記各トランジスタはそれぞれソース/ドレイン領域と、上面および側面を備えたゲート電極(72)と、を有してこれらの間にゲート誘電体層(73)を備えており、
前記各ゲート電極の側面上にサイドウォールスペーサを形成し、
前記各ゲート電極(72)の上面および前記各トランジスタのソース/ドレイン領域面に金属シリサイド層(76、77)を形成し、
前記ゲート電極(72)の各々の前記側面から前記サイドウォールスペーサを除去し、
高圧縮応力を示す窒化シリコン層(90)を前記NMOSトランジスタとPMOSトランジスタ上に堆積し、
高圧縮応力を示す前記窒化シリコン層(90)上に酸化物ライナーあるいは酸窒化物ライナー(100)を堆積し、
高圧縮応力を示す前記酸化物ライナーあるいは酸窒化物ライナー(100)と窒化シリコン層(90)とを前記NMOSトランジスタから選択的に除去し、
高引っ張り応力を示す窒化シリコン層(120)を前記NMOSトランジスタと前記PMOSトランジスタ上に堆積し、
前記NMOSトランジスタとPMOSトランジスタ上で、高引っ張り応力を示す前記窒化シリコン層上に酸化物ライナーあるいは酸窒化物ライナーを堆積し、
高引っ張り応力を示す前記窒化シリコン層と前記酸化物ライナーあるいは酸窒化物ライナーとを前記PMOSトランジスタから選択的に除去する、半導体デバイスの製造方法。
【請求項1】
シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層(70)上に歪み格子を有するシリコン層(Si)(71)を含む基板を有し、
前記基板上に形成されたソース/ドレイン領域とゲート電極(72)とを有してこれらの間にゲート誘電体層(73)が設けられたトランジスタを有し、
前記ゲート電極の側面上と前記ソース/ドレイン領域上とに形成された応力誘電体ライナー(90、120)を有する、半導体デバイス。
【請求項2】
前記ソース/ドレイン領域は、前記歪みSi層上に成長した緩和Si層に形成され、また、前記応力誘電体ライナーは高圧縮応力(90)あるいは高引っ張り応力(120)を示す、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記ゲート電極の側面に誘電性サイドウォールスペーサを有し、
前記ゲート電極の上面に金属シリサイド層を有し、前記応力誘電体ライナーは前記サイドウォールスペーサ上にあり、
前記サイドウォールスペーサは、前記ゲート電極の側面と前記歪みSi層の上面部分に形成された酸化物ライナーと、前記酸化物ライナー上に形成された窒化物層と、を有し、
前記応力誘電体ライナーは、前記窒化物層上と、前記酸化物ライナーの下部と緩和Si層との間と、に形成される、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記トランジスタはP-チャンネルトランジスタであり、
前記応力誘電体ライナー(90)は高圧縮応力を与える、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記トランジスタはN-チャンネルトランジスタであり、
前記応力誘電体ライナー(120)は高引っ張り応力を与える、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層(70)上に歪み格子を有するシリコン(Si)層(71)を有する基板を形成し、
ソース/ドレイン領域と、上面と側面とを備えたゲート電極(72)と、を備えるとともにこれらの間にゲート誘電体層(73)を備えたトランジスタを前記基板上に形成し、
前記ゲート電極の前記側面上および前記ソース/ドレイン領域上に応力誘電体ライナー(90、120)を形成し、前記歪みSi層(71)は全体的に歪んでいるか、あるいは、前記ソース/ドレイン領域において局所的に歪んでいる、半導体デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記ゲート電極の前記側面にサイドウォールスペーサを形成し、
前記歪みSi層上に緩和Si層をエピタキシャル成長させ、
前記緩和Si層にソース/ドレイン領域を形成し、
前記応力誘電体ライナーを、前記サイドウォールスペーサ上、前記緩和ソース/ドレイン領域上、および、前記サイドウォールスペーサと前記緩和ソース/ドレイン領域の間の前記歪みSi層部分上に堆積し、前記応力誘電体ライナーは、窒化シリコン層、シリコンカーバード層、あるいは酸窒化シリコン層を約200Å〜約1000Åの厚さで備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
歪みSi層(71)に前記ソース/ドレイン領域を形成し、
前記ゲート電極(76)の上面に第1金属シリサイド層を形成するとともに、前記ソース/ドレイン領域(71)上に第2金属シリサイド層を形成し、
前記誘電性サイドウォールスペーサを除去し、前記ゲート電極の前記側面に隣接する前記歪みSi層の一部をさらし、
前記応力誘電体ライナー(90、120)を、前記第1金属シリサイド層(76)上、前記ゲート電極(72)の前記側面上、および、前記歪みSi層(71)の前記隣接するさらされた部分上に形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記トランジスタは
P−チャンネルトランジスタであって、前記方法では、高圧縮応力を示す条件下プラズマエンハンスト化学蒸着により誘電体層を堆積することによって前記応力誘電体層(90)を形成するか、又は、
前記トランジスタはN−チャネルトランジスタであって、前記方法では、高引っ張り応力を示す条件で、プラズマエンハンスト化学蒸着によって前記応力誘電体ライナーを形成するか、のいずれかである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)層(70)上に歪み格子を有するシリコン(Si)(71)層を含む基板を形成し、
NMOSトランジスタとPMOSトランジスタを有するCMOSトランジスタを前記基板上に形成し、前記各トランジスタはそれぞれソース/ドレイン領域と、上面および側面を備えたゲート電極(72)と、を有してこれらの間にゲート誘電体層(73)を備えており、
前記各ゲート電極の側面上にサイドウォールスペーサを形成し、
前記各ゲート電極(72)の上面および前記各トランジスタのソース/ドレイン領域面に金属シリサイド層(76、77)を形成し、
前記ゲート電極(72)の各々の前記側面から前記サイドウォールスペーサを除去し、
高圧縮応力を示す窒化シリコン層(90)を前記NMOSトランジスタとPMOSトランジスタ上に堆積し、
高圧縮応力を示す前記窒化シリコン層(90)上に酸化物ライナーあるいは酸窒化物ライナー(100)を堆積し、
高圧縮応力を示す前記酸化物ライナーあるいは酸窒化物ライナー(100)と窒化シリコン層(90)とを前記NMOSトランジスタから選択的に除去し、
高引っ張り応力を示す窒化シリコン層(120)を前記NMOSトランジスタと前記PMOSトランジスタ上に堆積し、
前記NMOSトランジスタとPMOSトランジスタ上で、高引っ張り応力を示す前記窒化シリコン層上に酸化物ライナーあるいは酸窒化物ライナーを堆積し、
高引っ張り応力を示す前記窒化シリコン層と前記酸化物ライナーあるいは酸窒化物ライナーとを前記PMOSトランジスタから選択的に除去する、半導体デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−536736(P2007−536736A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511390(P2007−511390)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/013239
【国際公開番号】WO2005/112127
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/013239
【国際公開番号】WO2005/112127
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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