説明

化合物半導体装置及びその製造方法

【課題】ファインゲート構造を採用してゲート電極の微細化を図るも、ゲート電極の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止する、信頼性の高い化合物半導体装置を実現する。
【解決手段】ゲート電極8は、ファインゲート構造の幹状の下方部分8aと、下方部分8aの上端から当該上端よりも幅広に傘状(オーバーハング形状)に拡がる上方部分8bとが一体形成されており、下方部分8aは、下端を含む第1の部分8aaと、第1の部分8aa上の第2の部分8abとを有し、保護壁7は、第1の部分8aaの両側面のみを覆うように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体装置及びその製造方法に関し、特に高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)等を対象とする。
【背景技術】
【0002】
HEMTのうち、特に高出力で高周波用途のものは、高周波特性を向上させるべく、ゲート電極の微細化が要求される。そのため、いわゆるオーバーハング形状の断面T字型のゲート電極を有するHEMTが案出されている。このHEMTでは、ゲート電極の下部位が幅狭のいわゆるファインゲート構造とされており、ゲート電極の微細化に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−124228号公報
【特許文献2】特開平6−168962号公報
【特許文献3】特開平11−233527号公報
【特許文献4】特開2001−85448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ゲート電極の微細化は、ゲート電極の周辺における電界強度を増大させ、デバイス特性の劣化を惹起するという問題がある。ゲート電極の周辺で電界集中が発生すると、ゲート電極及び化合物半導体層の化学的・物理的変化が助長され、デバイス特性が変動・劣化する。従って、ファインゲート構造を用いたHEMTの高速動作化には、デバイス特性の劣化を防止する技術を確立することが必須である。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ファインゲート構造を採用してゲート電極の微細化を図るも、ゲート電極の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止する、信頼性の高い化合物半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
化合物半導体装置の一態様は、化合物半導体層と、前記化合物半導体層の上方に形成されたゲート電極とを含み、前記ゲート電極は、幹状の下方部分と、前記下方部分の上端から当該上端よりも幅広に傘状に拡がる上方部分とが一体形成されてなり、前記下方部分は、下端を含む第1の部分と、前記第1の部分上の第2の部分とを有し、前記第1の部分の側面のみを覆う保護壁が形成されている。
【0007】
化合物半導体装置の製造方法の一態様は、化合物半導体層の上方に保護壁を形成する工程と、前記保護壁間の空隙を埋め込むようにゲート電極を形成する工程とを含み、前記ゲート電極は、幹状の下方部分と、前記下方部分の上端から当該上端よりも幅広に傘状に拡がる上方部分とが一体形成されてなり、前記下方部分は、下端を含む第1の部分と、前記第1の部分上の第2の部分とを有し、前記保護壁が前記第1の部分の側面のみを覆う。
【発明の効果】
【0008】
上記の各態様によれば、ファインゲート構造を採用してゲート電極の微細化を図るも、ゲート電極の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止して、信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図2】図1に引き続き、第1の実施形態によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図3】図2に引き続き、第1の実施形態によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図4】比較例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。
【図5】第1の実施形態によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。
【図6】比較例及び第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTについて、高温通電実験を行った結果を示す特性図である。
【図7】第1の実施形態の変形例1によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図8】第1の実施形態の変形例1によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。
【図9】第1の実施形態の変形例2によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図10】第1の実施形態の変形例2によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。
【図11】第1の実施形態の変形例3によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図12】第1の実施形態の変形例3によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。
【図13】第1の実施形態の変形例4によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図14】第1の実施形態の変形例4によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。
【図15】第1の実施形態の変形例3を変形例1と組み合わせたショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。
【図16】第2の実施形態によるMIS型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図17】第2の実施形態によるMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。
【図18】第2の実施形態の諸変形例によるMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。
【図19】第3の実施形態による高周波増幅器の概略構成を示す結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、諸実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の諸実施形態では、化合物半導体装置として、GaNを電子走行層とし、AlGaNを電子供給層として用いたいわゆるAlGaN/GaN・HEMTを開示し、その構成について製造方法と共に説明する。なお、以下の図面において、図示の便宜上、相対的に正確な大きさ及び厚みに示していない構成部材がある。
【0011】
(第1の実施形態)
本実施形態では、ショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
図1〜図3は、第1の実施形態によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0012】
先ず、図1(a)に示すように、成長用基板として例えば半絶縁性のSiC基板1上に、化合物半導体層2を形成する。化合物半導体層2は、バッファ層2a、電子走行層2b、電子供給層2c、及び表面層2dを有して構成される。AlGaN/GaN・HEMTでは、電子走行層2bの電子供給層2cとの界面近傍に2次元電子ガス(2DEG)が生成される。
【0013】
詳細には、SiC基板1上に、例えば有機金属気相成長(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法により、以下の各化合物半導体を成長する。MOVPE法の代わりに、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等を用いても良い。
【0014】
SiC基板1上に、AlN、GaN、AlGaN、及びGaNを順次堆積し、バッファ層2a、電子走行層2b、電子供給層2c、及び表面層2dを積層形成する。AlN、GaN、AlGaN、及びGaNの成長条件としては、原料ガスとしてトリメチルアルミニウムガス、トリメチルガリウムガス、及びアンモニアガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、Al源であるトリメチルアルミニウムガス、Ga源であるトリメチルガリウムガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるアンモニアガスの流量は、100ccm〜10LM程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
【0015】
GaN、AlGaNをn型として成長する際には、n型不純物として例えばSiを含む例えばSiH4ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、GaN及びAlGaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。
ここで、バッファ層2aは膜厚0.1μm程度、電子走行層2bは膜厚2μm程度、電子供給層2bは膜厚30nm程度で例えばAl比率0.2〜0.3程度、表面層5は膜厚10nm程度に形成する。
【0016】
続いて、図1(b)に示すように、素子分離構造3を形成する。
詳細には、化合物半導体層2の素子分離領域に例えばアルゴン(Ar)を注入する。これにより、化合物半導体層2及びSiC基板1の表層部分に素子分離構造3が形成される。素子分離構造3により、化合物半導体層2上で活性領域が画定される。
【0017】
続いて、レジストマスクを形成し、表面層2dの表面におけるソース電極およびドレイン電極形成予定位置の表面層2dを除去する。
レジストマスクを用いて表面層2dをドライエッチングし、表面層2dを除去する。除去の量は、表面層2dを完全に除去してもよいし、電子供給層2cの一部までも除去しても良い。ドライエッチングには、Ar等の不活性ガス及びCl2等の塩素系ガスをエッチングガスとして用いる。表面層2dのエッチングの深さは表面層2dの膜厚と必ずしも一致する必要はない。
【0018】
続いて、図1(c)に示すように、ソース電極4及びドレイン電極5を形成する。
詳細には、電極材料として例えばTi/Alを用いる。電極形成には、蒸着・リフトオフ法に適した庇構造2層レジスト開口を用いる。このレジスト開口をマスクとして、Ti/Alを堆積する。Tiの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTi/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において550℃程度で熱処理し、残存したTi/Alを電子供給層2c(又は表面層2d上)とオーミックコンタクトさせる。以上により、電子供給層2c上(又は表面層2d上)に、ソース電極4及びドレイン電極5が形成される。
【0019】
続いて、図2(a)に示すように、絶縁膜6を形成する。
詳細には、例えばPECVD法により、ソース電極4上及びドレイン電極5上を含むSiC基板1上の全面を覆うように、例えばSiN膜を膜厚50nm程度に堆積する。これにより、絶縁膜6が形成される。
【0020】
続いて、図2(b)に示すように、絶縁膜6に開口6aを形成する。
詳細には、絶縁膜6上にレジストを塗付する。レジストとしては、電子線レジストである例えば米国マイクロケム社製のポリメチルメタクリレート(PMMA)レジスト等を用いる。電子線描画法により、レジストに例えば80nm長の開口用描画を行い、例えばMIBK/IPA混合液を用いて現像する。これにより、レジストに開口が形成される。このレジストをマスクとして、絶縁膜6をドライエッチングする。このドライエッチングには、SF6をエッチングガスとして用いる。これにより、絶縁膜6に、表面層2dの表面の一部を露出させる例えば100nm幅の開口6aが形成される。
【0021】
続いて、図2(c)に示すように、保護壁7を形成する。
詳細には、絶縁膜6上に、絶縁膜として、例えばHSQ(Hydrogen silsequioxane)化合物である電子線感光型のSOD(Spin On Dielectric)膜をスピンコーティング法により、例えば100nmの厚みに成膜する。SOD膜に対して、開口6aの開口端からソース電極4側及びドレイン電極5側にそれぞれ例えば10nm程度後退した位置をそれぞれ一端として、例えば100nm幅の各矩形状領域に電子線をドーズする。SOD膜を現像及びキュアする。以上により、SOD膜からなる保護壁7が形成される。保護壁7は、開口6aの開口端からソース電極4側及びドレイン電極5側にそれぞれ例えば10nm程度後退した位置を一端とする、100nm幅の絶縁構造体である。保護壁7間には、絶縁膜6の開口6aと連通する120nm幅の空隙7aが形成される。
【0022】
なお、保護壁7を100nm幅に形成する場合を例示したが、保護壁7の幅は後述するゲート電極の傘状の上方部分の幅以下とすることが望ましい。保護壁7の幅がゲート電極の傘状の上方部分の幅よりも大きいと、寄生容量が大きくなるという問題がある。従って、保護壁7の幅をゲート電極の傘状の上方部分の幅以下とすることで、寄生容量を増大させることなくデバイス特性の劣化を十分に抑止することができる。
【0023】
続いて、図3(a)に示すように、ゲート電極を形成するための3層レジストマスク12を形成する。
SiC基板1上の全面に、下層レジスト21、中間レジスト22、及び上層レジスト23を順次塗布する。下層レジスト21としては、例えばPMMAレジスト(米国マイクロケム社製)を用いる。中間レジスト22としては、例えばポリメチルグルタルイミド(PMGI)レジスト(米国マイクロケム社製)を用いる。上層レジスト23としては、例えば商品名ZEP520−A(日本ゼオン社製)を用いる。
【0024】
上層レジスト23に開口23aを形成する。具体的には、電子線描画法により上層レジスト23に例えば0.8μm長の描画を行い、MEK/MIBK混合液により上層レジスト23を現像する。これにより、上層レジスト23に開口23aが形成される。
【0025】
次に、中間レジスト22に開口22aを形成する。具体的には、開口23aの形成された上層レジスト23をマスクとして、TMAHを用いて中間レジスト22を開口23aの開口端から片側0.2μm程度後退した位置までウェットエッチングする。これにより、中間レジスト22に開口23aよりも幅広の開口22aが形成される。上層レジスト23の開口23aは、中間レジスト22の開口22aの存在によって、その開口端が開口22aの開口端よりも内側に突出した庇形状となる。
【0026】
次に、下層レジスト21に開口21aを形成する。具体的には、電子線描画法により下層レジスト21を描画する。この描画は、保護壁7間に形成された空隙7aと略同一の幅、ここでは120nm長となるように行う。MEK/MIBK混合液により下層レジスト21を現像する。これにより、下層レジスト21に空隙7aと略同一の幅の開口21aが形成される。開口21aの内壁面には、保護壁7の側面が露出している。
以上により、下層レジスト21、中間レジスト22、及び上層レジスト23が積層されてなり、連通する開口21a,22a,23aを有する3層レジストマスク12が形成される。
【0027】
続いて、図3(b)に示すように、ゲート電極8を形成する。
詳細には、電極材料として例えばNi/Auを用い、蒸着法等により、絶縁膜6の開口6a内及び開口21a内を電極材料で埋め込み、開口22a内に電極材料が存するように、電極材料を堆積する。電極材料は、上層レジスト23上にも堆積する。電極材料として、Ni/Auの代わりにPt/Auを堆積するようにしても良い。
【0028】
加温した有機溶剤を用いたリフトオフ法により、3層レジストマスク12及び不要な電極材料、ここでは上層レジスト23上に堆積する電極材料を除去する。以上により、開口6a内と共に空隙7a内を電極材料で埋め込み、保護壁7の上方に突出するように、表面層2d上にオーバーハング形状のゲート電極8が形成される。
【0029】
しかる後、ソース電極4、ドレイン電極5、及びゲート電極8と導通する配線の形成等の諸工程を行う。高周波デバイスに用いる場合では、ゲート電極8を覆う層間絶縁膜は形成されない。以上により、本実施形態によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
【0030】
以下、比較例との比較に基づいて、本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの優位性について説明する。
図4は、比較例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。図5は、本実施形態によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す概略断面図である。図4では、本実施形態に対応する構成部材について同一の符号を付す。図4及び図5では、図示の便宜上、化合物半導体層2上の部位のみを示し、SiC基板及び素子分離構造3の図示を省略する。
【0031】
比較例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTは、図4に示すように、従来のファインゲート構造のゲート電極101を有しており、保護壁7は設けられていない。この場合、ゲート電極101の下端であるゲート電極101と絶縁膜6との接合部位は大気と接触しており、当該接合部位で電界集中が発生した際に、大気構成元素及び水分と反応し易く、デバイス特性が劣化するという問題がある。
【0032】
これに対して、本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTでは、図5に示すように、ゲート電極8の側面に保護壁7が配置されている。ゲート電極8は、ファインゲート構造の幹状の下方部分8aと、下方部分8aの上端から当該上端よりも幅広に傘状(オーバーハング形状)に拡がる上方部分8bとが一体形成されている。下方部分8aは、下端を含む第1の部分8aaと、第1の部分8aa上の第2の部分8abとを有している。保護壁7は、第1の部分8aaの両側面のみを覆うように形成されている。
【0033】
保護壁7は、ゲート電極8の下端であるゲート電極8と絶縁膜6との接合部位を覆い、当該接合部位は外部に対して非露出状態とされる。これにより、当該接合部位は大気構成元素及び水分と接触することなく、電界集中に起因するデバイス特性の劣化が可及的に防止される。
【0034】
保護壁7は、下方部分8aの第1の部分8aaの側面のみを覆うように設けられる。高周波特性を良好に保つ観点からは、ゲート電極8の周辺に存する誘電体物質の量を最低限に留めて寄生容量を抑える必要がある。本実施形態では、デバイス特性の劣化を防止して信頼性を維持するためにキーとなる部位、即ち第1の部分8aaの側面のみに保護壁7が配置される。保護壁7は、第2の部分8ab及び上方部分8bには配置されず、第2の部分8abの存する部位である保護壁7と上方部分8bとの間には空隙(層間絶縁膜を形成する場合には、その絶縁物)が形成されることになる。空隙の大気又は層間絶縁膜の絶縁物は、通常の誘電体物質に比して誘電率が低い。従って、寄生容量が最小限に抑制されて良好な高周波特性を得ることができる。
【0035】
上記の比較例及び本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTについて、高温通電実験を行った。この実験では、160℃でAlGaN/GaN・HEMTにピンチオフ通電し、ゲートリーク電流(Ig)及びピンチオフ電流(Id)の割合(%)の通電時間(分)との関係について調べた。実験結果を図6に示す。
【0036】
比較例によるAlGaN/GaN・HEMTでは、図6(b)に示すように、通電開始後の40分間程度で、ゲートリーク電流が増加に転じ、その後は増減を繰り返しながら全体として高いゲートリーク電流が維持された。この結果から、比較例では変動しながらもゲートリーク電流が高いことを明示しており、デバイス特性に劣化が生じることが判る。
【0037】
これに対して本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTでは、図6(a)に示すように、ゲートリーク電流は通電時間に対して略単調に減少しており、ゲートリーク電流の増加傾向は見られなかった。この結果から、本実施形態ではゲートリーク電流が低いことを明示しており、デバイス特性の劣化がなく高い信頼性が得られることが判る。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、ファインゲート構造を採用してゲート電極8の微細化を図るも、ゲート電極8の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止して、信頼性の高いショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0039】
[変形例]
以下、本実施形態の諸変形例について説明する。これらの変形例では、第1の実施形態と同様にショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。各変形例において、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの構成部材等と同一のものについては同符号を付す。
【0040】
(変形例1)
本例では、ゲート電極の形状が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図7は、第1の実施形態の変形例1によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【0041】
先ず、第1の実施形態と同様に、図1(a)〜図2(b)の各工程を実行する。
【0042】
続いて、図7(a)に示すように、保護壁31を形成する。本例では、絶縁膜6の開口6aの開口端からの距離が、ソース電極4側よりもドレイン電極5側の方が大きくなるように保護壁31が形成される。
詳細には、絶縁膜6上に、絶縁膜として、例えばHSQ化合物である電子線感光型のSOD膜をスピンコーティング法により、例えば100nmの厚みに成膜する。SOD膜に対して電子線をドーズする。このドーズは、ソース電極4側では開口6aの一方の開口端から例えば10nm程度後退した位置を一端とし、ドレイン電極5側では開口6aの他方の開口端から例えば100nm程度後退した位置を一端として、例えば100nm幅の各矩形状領域に行われる。その後、SOD膜を現像及びキュアする。
【0043】
以上により、SOD膜からなる絶縁構造体である保護壁31が形成される。保護壁31は、ソース電極4側では、開口6aの開口端から10nm程度後退した位置を一端として100nm幅に形成される。ドレイン電極5側では、開口6aの開口端から100nm程度後退した位置を一端として100nm幅に形成される。保護壁31間には、絶縁膜6の開口6aを包含する210nm幅の空隙31aが形成される。
【0044】
続いて、第1の実施形態の図3(a)と同様に、ゲート電極を形成するための3層レジストマスク12を形成する。
【0045】
続いて、図7(b)に示すように、ゲート電極32を形成する。
詳細には、電極材料として例えばNi/Auを用い、蒸着法等により、絶縁膜の開口6a内及び開口21a内を電極材料で埋め込み、開口22a内に電極材料が存するように、電極材料を堆積する。電極材料は、上層レジスト23上にも堆積する。電極材料として、Ni/Auの代わりにPt/Auを堆積するようにしても良い。
【0046】
加温した有機溶剤を用いたリフトオフ法により、3層レジストマスク12及び不要な電極材料、ここでは上層レジスト23上に堆積する電極材料を除去する。以上により、開口6a内と共に空隙31a内を電極材料で埋め込み、保護壁31の上方に突出するように、表面層2d上にオーバーハング形状のゲート電極32が形成される。
【0047】
しかる後、ソース電極4、ドレイン電極5、及びゲート電極32と導通する配線の形成等の諸工程を行う。高周波デバイスに用いる場合では、ゲート電極32を覆う層間絶縁膜は形成されない。以上により、本例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
【0048】
図8に、本例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す。図8では、図示の便宜上、化合物半導体層2上の部位のみを示し、SiC基板及び素子分離構造3の図示を省略する。
【0049】
このAlGaN/GaN・HEMTでは、ゲート電極32の側面に保護壁31が配置されている。ゲート電極32は、ファインゲート構造の幹状の下方部分32aと、下方部分32aの上端から当該上端よりも幅広に傘状(オーバーハング形状)に拡がる上方部分32bとが一体形成されている。下方部分32aは、下端を含む第1の部分32aaと、第1の部分32aa上の第2の部分32abとを有している。第1の部分32aaは、開口6aを埋め込み絶縁膜6上に乗り上げるように形成されており、ドレイン電極5側の乗り上げ幅W1の方がソース電極4側の乗り上げ幅W2よりも大きい。本例では、乗り上げ幅W1が100nm程度、乗り上げ幅W2が10nm程度とされる。保護壁31は、第1の部分32aaの両側面のみを覆うように形成されている。
【0050】
本例の保護壁31は、ゲート電極32の下端であるゲート電極32と絶縁膜6との接合部位を覆い、当該接合部位は外部に対して非露出状態とされる。保護壁31は、ドレイン電極5側の乗り上げ幅W1の方がソース電極4側の乗り上げ幅W2よりも大きく形成されている。HEMTのゲート電極の近傍における電界集中は、特にドレイン電極で発生する。本例では、ゲート電極32のドレイン電極5側の乗り上げ幅W1が大きく、従ってゲート電極32と絶縁膜6との接合部位から保護壁31の露出面までの距離も大きくなる。これにより、当該接合部位の大気構成元素及び水分との接触がより確実に抑止され、電界集中に起因するデバイス特性の劣化が可及的に防止される。
【0051】
保護壁31は、下方部分32aの第1の部分32aaの側面のみを覆うように設けられる。高周波特性を良好に保つ観点からは、ゲート電極32の周辺に存する誘電体物質の量を最低限に留めて寄生容量を抑える必要がある。本実施形態では、デバイス特性の劣化を防止して信頼性を維持するためにキーとなる部位、即ち第1の部分32aaの側面のみに保護壁31が配置される。保護壁31は、第2の部分32ab及び上方部分32bには配置されず、第2の部分32abの存する部位である保護壁31と上方部分32bとの間には空隙(層間絶縁膜を形成する場合には、その絶縁物)が形成されることになる。空隙の大気又は層間絶縁膜の絶縁物は、通常の誘電体物質に比して誘電率が低い。従って、寄生容量が最小限に抑制されて良好な高周波特性を得ることができる。
【0052】
以上説明したように、本例によれば、ファインゲート構造を採用してゲート電極32の微細化を図るも、ゲート電極32の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止して、信頼性の高いショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0053】
(変形例2)
本例では、保護壁の形状が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図9は、第1の実施形態の変形例2によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【0054】
先ず、第1の実施形態と同様に、図1(a)〜図2(b)の各工程を実行する。
【0055】
続いて、図9(a)に示すように、保護壁33を形成する。本例では、ソース電極4側よりもドレイン電極5側の方が幅広となるように保護壁33が形成される。
詳細には、絶縁膜6上に、絶縁膜として、例えばHSQ化合物である電子線感光型のSOD膜をスピンコーティング法により、例えば100nmの厚みに成膜する。SOD膜に対して、開口6aの開口端からソース電極4側及びドレイン電極5側にそれぞれ例えば10nm程度後退した位置をそれぞれ一端として、各矩形状領域に電子線をドーズする。ソース電極4側の矩形状領域は例えば100nm幅、ドレイン電極5側の矩形状領域はソース電極4側よりも幅広に例えば200nm幅とされる。SOD膜を現像及びキュアする。以上により、SOD膜からなる絶縁構造体である保護壁33が形成される。保護壁33は、開口6aの開口端からソース電極4側及びドレイン電極5側にそれぞれ例えば10nm程度後退した位置を一端し、ソース電極4側では100nm幅、ドレイン電極5側では200nm幅に形成される。保護壁33間には、絶縁膜6の開口6aを包含する120nm幅の空隙33aが形成される。
【0056】
続いて、第1の実施形態の図3(a)と同様に、ゲート電極を形成するための3層レジストマスク12を形成する。
【0057】
続いて、図9(b)に示すように、ゲート電極34を形成する。
詳細には、電極材料として例えばNi/Auを用い、蒸着法等により、絶縁膜の開口6a内及び開口21a内を電極材料で埋め込み、開口22a内に電極材料が存するように、電極材料を堆積する。電極材料は、上層レジスト23上にも堆積する。電極材料として、Ni/Auの代わりにPt/Auを堆積するようにしても良い。
【0058】
加温した有機溶剤を用いたリフトオフ法により、3層レジストマスク12及び不要な電極材料、ここでは上層レジスト23上に堆積する電極材料を除去する。以上により、開口6a内と共に空隙33a内を電極材料で埋め込み、保護壁33の上方に突出するように、表面層2d上にオーバーハング形状のゲート電極34が形成される。
【0059】
しかる後、ソース電極4、ドレイン電極5、及びゲート電極34と導通する配線の形成等の諸工程を行う。高周波デバイスに用いる場合では、ゲート電極34を覆う層間絶縁膜は形成されない。以上により、本例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
【0060】
図10に、本例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す。図10では、図示の便宜上、化合物半導体層2上の部位のみを示し、SiC基板及び素子分離構造3の図示を省略する。
【0061】
このAlGaN/GaN・HEMTでは、ゲート電極34の側面に保護壁31が配置されている。ゲート電極34は、ファインゲート構造の幹状の下方部分34aと、下方部分34aの上端から当該上端よりも幅広に傘状(オーバーハング形状)に拡がる上方部分34bとが一体形成されている。下方部分34aは、下端を含む第1の部分34aaと、第1の部分34aa上の第2の部分34abとを有している。第1の部分34aaは、開口6aを埋め込み絶縁膜6上に乗り上げるように形成されている。保護壁33は、第1の部分34aaの両側面のみを覆うように形成されている。
【0062】
保護壁33は、ゲート電極34の下端であるゲート電極34と絶縁膜6との接合部位を覆い、当該接合部位は外部に対して非露出状態とされる。本例の保護壁33は、ドレイン電極5側の方がソース電極4側よりも幅広に形成されている。ここでは、前者が200nm程度の幅、後者が100nm程度の幅とされている。HEMTのゲート電極の近傍における電界集中は、特にドレイン電極で発生する。本例では、保護壁33のドレイン電極5側の幅が大きく、従ってゲート電極34と絶縁膜6との接合部位から保護壁33の露出面までの距離も大きくなる。これにより、当該接合部位の大気構成元素及び水分との接触がより確実に抑止され、電界集中に起因するデバイス特性の劣化が可及的に防止される。
【0063】
保護壁33は、下方部分34aの第1の部分34aaの側面のみを覆うように設けられる。高周波特性を良好に保つ観点からは、ゲート電極34の周辺に存する誘電体物質の量を最低限に留めて寄生容量を抑える必要がある。本実施形態では、デバイス特性の劣化を防止して信頼性を維持するためにキーとなる部位、即ち第1の部分34aaの側面のみに保護壁33が配置される。保護壁33は、第2の部分34ab及び上方部分34bには配置されず、第2の部分34abの存する部位である保護壁33と上方部分34bとの間には空隙(層間絶縁膜を形成する場合には、その絶縁物)が形成されることになる。空隙の大気又は層間絶縁膜の絶縁物は、通常の誘電体物質に比して誘電率が低い。従って、寄生容量が最小限に抑制されて良好な高周波特性を得ることができる。
【0064】
以上説明したように、本例によれば、ファインゲート構造を採用してゲート電極34の微細化を図るも、ゲート電極34の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止して、信頼性の高いショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0065】
(変形例3)
本例では、ゲート電極の形状が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図11は、第1の実施形態の変形例3によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【0066】
先ず、第1の実施形態と同様に、図1(a)〜図2(c)の各工程を実行する。絶縁膜6上に保護壁7が形成される。
【0067】
続いて、図11(a)に示すように、ゲート電極を形成するための3層レジストマスク35を形成する。
第1の実施形態と同様に、化合物半導体基板2上の全面に、下層レジスト21、中間レジスト22、及び上層レジスト23を順次塗布する。上層レジスト23には開口23aを、中間レジスト22には開口22aを、順次形成する。上層レジスト23の開口23aは、中間レジスト22の開口22aの存在によって、その開口端が開口22aの開口端よりも内側に突出した庇形状となる。
【0068】
次に、下層レジスト21に開口21bを形成する。具体的には、電子線描画法により下層レジスト21を描画する。この描画は、保護壁7間に形成された空隙7a(120nm幅)よりも幅広に、ここでは220nm長となるように行う。MEK/MIBK混合液により下層レジスト21を現像する。これにより、下層レジスト21に空隙7aよりも幅広の開口21bが形成される。開口21bの内壁面は、保護壁7のソース電極4側及びドレイン電極5側の対向する側面から50nm程度ずつ後退した箇所に位置する。従って、開口21aの内壁面では、保護壁7の側面が50nm程度ずつ内方へ突出して露出する。
以上により、下層レジスト21、中間レジスト22、及び上層レジスト23が積層されてなり、連通する開口21b,22a,23aを有する3層レジストマスク35が形成される。
【0069】
続いて、図11(b)に示すように、ゲート電極36を形成する。
詳細には、電極材料として例えばNi/Auを用い、蒸着法等により、絶縁膜の開口6a内及び開口21b内を電極材料で埋め込み、開口22b内に電極材料が存するように、電極材料を堆積する。電極材料は、上層レジスト23上にも堆積する。電極材料として、Ni/Auの代わりにPt/Auを堆積するようにしても良い。
【0070】
加温した有機溶剤を用いたリフトオフ法により、3層レジストマスク35及び不要な電極材料、ここでは上層レジスト23上に堆積する電極材料を除去する。以上により、開口6a内と共に空隙7a内を電極材料で埋め込み、保護壁7の上方に突出するように、表面層2d上にオーバーハング形状のゲート電極36が形成される。
【0071】
しかる後、ソース電極4、ドレイン電極5、及びゲート電極36と導通する配線の形成等の諸工程を行う。高周波デバイスに用いる場合では、ゲート電極36を覆う層間絶縁膜は形成されない。以上により、本例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
【0072】
図12に、本例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す。図12では、図示の便宜上、化合物半導体層2上の部位のみを示し、SiC基板及び素子分離構造3の図示を省略する。
【0073】
このAlGaN/GaN・HEMTでは、ゲート電極36の側面に保護壁7が配置されている。ゲート電極36は、ファインゲート構造の幹状の下方部分36aと、下方部分36aの上端から当該上端よりも幅広に傘状(オーバーハング形状)に拡がる上方部分36bとが一体形成されている。下方部分36aは、下端を含む第1の部分36aaと、第1の部分36aa上の第2の部分36abとを有している。第1の部分36aaと第2の部分36abとの境界には、第2の部分36abが第1の部分36aaよりも幅広、ここでは左右それぞれに50nm程度幅広の段差が形成されている。即ち、第2の部分36abは、保護壁7上に乗り上げ幅が50nm程度で乗り上げるように形成されている。保護壁7は、第1の部分36aaの両側面のみを覆うように形成されている。
【0074】
保護壁31は、ゲート電極36の下端であるゲート電極36と絶縁膜6との接合部位を覆い、当該接合部位は外部に対して非露出状態とされる。本例では、第1の部分36aaと第2の部分36abとの境界に段差が形成されており、言わば形状的変曲点が増加している。これにより、大気構成元素及び水分の当該接合部位への浸入による、ゲート電極36の多層金属構造及び半導体結晶の化学的・物理的変化がより確実に抑止され、電界集中に起因するデバイス特性の劣化が可及的に防止される。
【0075】
保護壁7は、下方部分36aの第1の部分36aaの側面のみを覆うように設けられる。高周波特性を良好に保つ観点からは、ゲート電極36の周辺に存する誘電体物質の量を最低限に留めて寄生容量を抑える必要がある。本実施形態では、デバイス特性の劣化を防止して信頼性を維持するためにキーとなる部位、即ち第1の部分36aaの側面のみに保護壁7が配置される。保護壁7は、第2の部分36ab及び上方部分36bには配置されず、第2の部分36abの存する部位である保護壁7と上方部分36bとの間には空隙(層間絶縁膜を形成する場合には、その絶縁物)が形成されることになる。空隙の大気又は層間絶縁膜の絶縁物は、通常の誘電体物質に比して誘電率が低い。従って、寄生容量が最小限に抑制されて良好な高周波特性を得ることができる。
【0076】
以上説明したように、本例によれば、ファインゲート構造を採用してゲート電極36の微細化を図るも、ゲート電極36の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止して、信頼性の高いショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0077】
(変形例4)
本例では、化合物半導体層の表面を覆う絶縁膜の形状が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図13は、第1の実施形態の変形例4によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【0078】
先ず、第1の実施形態と同様に、図1(a)〜図1(c)の各工程を実行する。
【0079】
続いて、図13(a)に示すように、絶縁膜37を形成する。
詳細には、例えばPECVD法により、ソース電極4上及びドレイン電極5上を含むSiC基板1上の全面を覆うように、例えばSiN膜を膜厚50nm程度に堆積する。これにより、絶縁膜37が形成される。
【0080】
続いて、図13(b)に示すように、絶縁膜37をパターニングする。
詳細には、絶縁膜37上にレジストを塗付する。リソグラフィーによりレジストを加工し、絶縁膜37の表面を、ソース電極4上及びドレイン電極5上を露出し、ゲート電極の形成予定部位を含む1μm程度の幅で覆うレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、絶縁膜37をドライエッチングする。これにより、化合物半導体層2の表面層2dの表面でゲート電極の形成予定部位を含む1μm程度の幅に絶縁膜37を残存させる。
【0081】
続いて、図13(c)に示すように、絶縁膜37に開口37aを形成する。
詳細には、絶縁膜37上にレジストを塗付する。レジストとしては、電子線レジストである例えば米国マイクロケム社製のポリメチルメタクリレート(PMMA)レジスト等を用いる。電子線描画法により、レジストに例えば80nm長の開口用描画を行い、例えばMIBK/IPA混合液を用いて現像する。これにより、レジストに開口が形成される。このレジストをマスクとして、絶縁膜37をドライエッチングする。このドライエッチングには、SF6をエッチングガスとして用いる。これにより、絶縁膜37に、表面層2dの表面の一部を露出させる例えば100nm幅の開口37aが形成される。
【0082】
しかる後、第1の実施形態と同様に、図2(d)〜図3(b)の各工程を実行し、ソース電極4、ドレイン電極5、及びゲート電極8と導通する配線の形成等の諸工程を行う。高周波デバイスに用いる場合では、ゲート電極8を覆う層間絶縁膜は形成されない。以上により、本例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
【0083】
図14に、本例によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを示す。図14では、図示の便宜上、化合物半導体層2上の部位のみを示し、SiC基板及び素子分離構造3の図示を省略する。
【0084】
このAlGaN/GaN・HEMTでは、保護壁7は、ゲート電極8の下端であるゲート電極8と絶縁膜37との接合部位を覆い、当該接合部位は外部に対して非露出状態とされる。これにより、当該接合部位は大気構成元素及び水分と接触することなく、電界集中に起因するデバイス特性の劣化が可及的に防止される。
【0085】
保護壁7は、下方部分8aの第1の部分8aaの側面のみを覆うように設けられる。高周波特性を良好に保つ観点からは、ゲート電極8の周辺に存する誘電体物質の量を最低限に留めて寄生容量を抑える必要がある。本例では、デバイス特性の劣化を防止して信頼性を維持するためにキーとなる部位、即ち第1の部分8aaの側面のみに保護壁7が配置される。保護壁7は、第2の部分8ab及び上方部分8bには配置されず、第2の部分8abの存する部位である保護壁7と上方部分8bとの間には空隙(層間絶縁膜を形成する場合には、その絶縁物)が形成されることになる。空隙の大気又は層間絶縁膜の絶縁物は、通常の誘電体物質に比して誘電率が低い。従って、寄生容量が最小限に抑制されて良好な高周波特性を得ることができる。
【0086】
更に、本例によるAlGaN/GaN・HEMTでは、絶縁膜37は、ソース電極4及びドレイン電極5を露出し、化合物半導体層2上でゲート電極8の下端及び保護壁7の下面を覆い、上方部分8bの下方に包含される領域内のみに存する。HEMTにおいては、高周波特性を向上させる観点から、化合物半導体層上の誘電体量を最小限にする必要がある。また、絶縁膜の形成方法によっては、ゲート電極の直近以外に存する絶縁膜の部分がシート抵抗(ソース抵抗)を増大させる原因になる場合もある。本例では、ゲート長を規定する絶縁膜37をゲート電極8の直近にのみ配置する。これにより、AlGaN/GaN・HEMTの高周波特性及び出力特性の大幅な改善が可能となる。
【0087】
以上説明したように、本例によれば、ファインゲート構造を採用してゲート電極8の微細化を図るも、ゲート電極8の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止して、信頼性の高いショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0088】
なお、上記した変形例1〜4において、そのうちの任意の2例、任意の3例、又は4例全てを組み合わせ、組み合わされた各変形例の特徴を備えたAlGaN/GaN・HEMTを実現するようにしても良い。
【0089】
一例として、変形例3を変形例1と組み合わせた場合について説明する。
図15に示すように、ゲート電極36では、下方部分36aの第1の部分36aaと第2の部分36abとの境界には、第2の部分36abが第1の部分36aaよりも幅広の段差が形成されている。即ち、第2の部分36abは、保護壁31上に乗り上げ幅が例えば50nm程度で乗り上げるように形成されている。更に、ゲート電極36では、下方部分36aの第1の部分36aaのドレイン電極5側の乗り上げ幅W1がソース電極4側の乗り上げ幅W2よりも大きい。この構成により、電界集中に起因するデバイス特性の劣化がより確実に防止される。
【0090】
(第2の実施形態)
本実施形態では、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
図16は、第2の実施形態によるMIS型のAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【0091】
先ず、第1の実施形態と同様に、図1(a)〜図1(c)の各工程を実行する。
【0092】
続いて、図16(a)に示すように、絶縁膜6を形成する。
詳細には、例えばスパッタ法により、ソース電極4上及びドレイン電極5上を含むSiC基板1上の全面を覆うように、例えばAl23膜を堆積する。これにより、絶縁膜41が形成される。
【0093】
続いて、図16(b)に示すように、保護壁7を形成する。
詳細には、絶縁膜41上に、絶縁膜として、例えばHSQ化合物である電子線感光型のSOD膜をスピンコーティング法により、例えば100nmの厚みに成膜する。SOD膜に対して、対向辺間の距離が例えば100nm程度となるように、ソース電極4側及びドレイン電極5側にそれぞれ例えば100nm幅の各矩形状領域に電子線をドーズする。SOD膜を現像及びキュアする。以上により、SOD膜からなる保護壁7が形成される。保護壁7は、ソース電極4側の部分とドレイン電極5側の部分とが100nm程度離間する、100nm幅の絶縁構造体である。保護壁7間には、絶縁膜41上で100nm幅の空隙7bが形成される。
【0094】
続いて、第1の実施形態の図3(a)と同様に、ゲート電極を形成するための3層レジストマスク12を形成する。
【0095】
続いて、図16(c)に示すように、ゲート電極42を形成する。
詳細には、電極材料として例えばNi/Auを用い、蒸着法等により、開口21a内を電極材料で埋め込み、開口22a内に電極材料が存するように、電極材料を堆積する。電極材料は、上層レジスト23上にも堆積する。電極材料として、Ni/Auの代わりにPt/Auを堆積するようにしても良い。
【0096】
加温した有機溶剤を用いたリフトオフ法により、3層レジストマスク12及び不要な電極材料、ここでは上層レジスト23上に堆積する電極材料を除去する。以上により、空隙7b内を電極材料で埋め込み、保護壁7の上方に突出するように、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜41上にオーバーハング形状のゲート電極42が形成される。
【0097】
しかる後、ソース電極4、ドレイン電極5、及びゲート電極42と導通する配線の形成等の諸工程を行う。高周波デバイスに用いる場合では、ゲート電極42を覆う層間絶縁膜は形成されない。以上により、本実施形態によるMIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
【0098】
図17に、本実施形態によるMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを示す。図17では、図示の便宜上、化合物半導体層2上の部位のみを示し、SiC基板及び素子分離構造3の図示を省略する。
【0099】
このAlGaN/GaN・HEMTでは、ゲート電極42の側面に保護壁7が配置されている。ゲート電極42は、ファインゲート構造の幹状の下方部分42aと、下方部分42aの上端から当該上端よりも幅広に傘状(オーバーハング形状)に拡がる上方部分42bとが一体形成されている。下方部分42aは、下端を含む第1の部分42aaと、第1の部分42aa上の第2の部分42abとを有している。保護壁7は、第1の部分42aaの両側面のみを覆うように形成されている。
【0100】
保護壁7は、ゲート電極42の下端であるゲート電極42と絶縁膜41との接合部位を覆い、当該接合部位は外部に対して非露出状態とされる。絶縁膜41は薄く、保護壁7が存しない場合に当該接合部位で電界集中が生じたとき、電界集中に対する耐性は十分であるとは言えない。本実施形態では、上記のように保護壁7を配置することにより、当該接合部位は大気構成元素及び水分と接触することなく、電界集中に起因するデバイス特性の劣化が可及的に防止される。
【0101】
保護壁7は、下方部分42aの第1の部分42aaの側面のみを覆うように設けられる。高周波特性を良好に保つ観点からは、ゲート電極42の周辺に存する誘電体物質の量を最低限に留めて寄生容量を抑える必要がある。本実施形態では、デバイス特性の劣化を防止して信頼性を維持するためにキーとなる部位、即ち第1の部分42aaの側面のみに保護壁7が配置される。保護壁7は、第2の部分42ab及び上方部分42bには配置されず、第2の部分42abの存する部位である保護壁7と上方部分42bとの間には空隙(層間絶縁膜を形成する場合には、その絶縁物)が形成されることになる。空隙の大気又は層間絶縁膜の絶縁物は、通常の誘電体物質に比して誘電率が低い。従って、寄生容量が最小限に抑制されて良好な高周波特性を得ることができる。
【0102】
以上説明したように、本実施形態によれば、ファインゲート構造を採用してゲート電極42の微細化を図るも、ゲート電極42の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止して、信頼性の高いMIS型のAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0103】
なお、図18に例示するように、本実施形態でも、第1の実施形態の諸変形例を適用しても良い。また、以下の3例のうちの任意の2例、又は3例全てを組み合わせ、組み合わされた各例の特徴を備えたAlGaN/GaN・HEMTを実現することもできる。
【0104】
図18(a)に、第1の実施形態の変形例2を適用した、保護壁33及びゲート電極34を有するMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを示す。
図18(b)に、第1の実施形態の変形例3を適用した、保護壁7及びゲート電極36を有するMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを示す。
図18(c)に、第1の実施形態の変形例4を適用したMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを示す。このAlGaN/GaN・HEMTでは、絶縁膜41が、ゲート電極42の下面及び保護壁7の下面を覆い、上方部分8bの下方に包含される領域内のみに存する。
【0105】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態及びその諸変形例、並びに第2の実施形態及びその諸変形例から選ばれた1種のAlGaN/GaN・HEMTを備えた高周波増幅器を開示する。
図19は、第3の実施形態による高周波増幅器の概略構成を示す結線図である。
【0106】
この高周波増幅器は、ディジタル・プレディストーション回路51と、ミキサー52a,52bと、パワーアンプ53とを備えて構成される。
ディジタル・プレディストーション回路51は、入力信号の非線形歪みを補償するものである。ミキサー52aは、非線形歪みが補償された入力信号と交流信号をミキシングするものである。パワーアンプ53は、交流信号とミキシングされた入力信号を増幅するものであり、第1の実施形態及びその諸変形例、並びに第2の実施形態及びその諸変形例から選ばれた1種のAlGaN/GaN・HEMTを有している。なお図19では、例えばスイッチの切り替えにより、出力側の信号をミキサー52bで交流信号とミキシングしてディジタル・プレディストーション回路51に送出できる構成とされている。
【0107】
本実施形態では、ファインゲート構造を採用してゲート電極の微細化を図るも、ゲート電極の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止する、信頼性の高いショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを高周波増幅器に適用する。これにより、信頼性の高い高耐圧の高周波増幅器が実現する。
【0108】
[他の実施形態]
第1の実施形態及びその諸変形例、第2の実施形態及びその諸変形例、並びに第3の実施形態では、化合物半導体装置としてAlGaN/GaN・HEMTを例示した。化合物半導体装置としては、AlGaN/GaN・HEMT以外にも、例えば以下のようなHEMTにも適用できる。
【0109】
(その他のHEMT例1)
本例では、化合物半導体装置として、InAlN/GaN・HEMTを開示する。
InAlNとGaNは、組成によって格子定数が近くすることが可能な化合物半導体である。この場合、上記の諸実施形態及び諸変形例では、電子走行層がGaN、電子供給層がInAlN、表面層がGaNで形成される。また、この場合のピエゾ分極がほとんど発生しないため、2次元電子ガスは主にInAlNの自発分極により発生する。
【0110】
本例によれば、上述したAlGaN/GaN・HEMTと同様に、ファインゲート構造を採用してゲート電極の微細化を図るも、ゲート電極の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止して、信頼性の高いInAlN/GaNが実現する。
【0111】
(その他のHEMT例2)
本例では、化合物半導体装置として、InAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
GaNとInAlGaNは、後者の方が前者よりも格子定数が小さい化合物半導体である。この場合、上記の諸実施形態及び諸変形例では、電子走行層がGaN、電子供給層がInAlGaN、表面層がGaNで形成される。
【0112】
本例によれば、上述したAlGaN/GaN・HEMTと同様に、ファインゲート構造を採用してゲート電極の微細化を図るも、ゲート電極の周辺における電界集中によるデバイス特性の変動・劣化を防止して、信頼性の高いInAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
【0113】
以下、化合物半導体装置の製造方法及び化合物半導体装置等の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0114】
(付記1)化合物半導体層と、
前記化合物半導体層の上方に形成されたゲート電極と
を含み、
前記ゲート電極は、幹状の下方部分と、前記下方部分の上端から当該上端よりも幅広に傘状に拡がる上方部分とが一体形成されてなり、
前記下方部分は、下端を含む第1の部分と、前記第1の部分上の第2の部分とを有し、
前記第1の部分の側面のみを覆う保護壁が形成されていることを特徴とする化合物半導体装置。
【0115】
(付記2)前記下方部分には、前記第1の部分と前記第2の部分との境界に前記第2の部分が前記第1の部分よりも幅広の段差が形成されており、
前記第2の部分は、前記保護壁上に乗り上げるように形成されていることを特徴とする付記1に記載の化合物半導体装置。
【0116】
(付記3)前記化合物半導体層上の前記ゲート電極の側部に形成されたソース電極及びドレイン電極を更に含み、
前記保護壁は、前記ソース電極側の部分よりも前記ドレイン電極側の部分の方が厚いことを特徴とする付記1又は2に記載の化合物半導体装置。
【0117】
(付記4)前記化合物半導体層と前記ゲート電極との間に絶縁膜が形成されており、
前記絶縁膜に形成された開口を通じて前記ゲート電極が前記化合物半導体層と直接接続されることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【0118】
(付記5)前記下方部分の前記第1の部分は、前記開口を埋め込み前記絶縁膜上に乗り上げるように形成されており、乗り上げ幅が前記ソース電極側よりも前記ドレイン電極側の方が大きいことを特徴とする付記4に記載の化合物半導体装置。
【0119】
(付記6)前記化合物半導体層と前記ゲート電極との間に絶縁膜が形成されており、
前記化合物半導体層の上方に前記絶縁膜を介して前記ゲート電極が形成されていることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【0120】
(付記7)前記絶縁膜は、前記保護壁の下面を覆い前記上方部分の下方に包含される領域内のみに形成されていることを特徴とする付記4〜6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【0121】
(付記8)化合物半導体層の上方に保護壁を形成する工程と、
前記保護壁間の空隙を埋め込むようにゲート電極を形成する工程と
を含み、
前記ゲート電極は、幹状の下方部分と、前記下方部分の上端から当該上端よりも幅広に傘状に拡がる上方部分とが一体形成されてなり、
前記下方部分は、下端を含む第1の部分と、前記第1の部分上の第2の部分とを有し、
前記保護壁が前記第1の部分の側面のみを覆うことを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
【0122】
(付記9)前記下方部分には、前記第1の部分と前記第2の部分との境界に前記第2の部分が前記第1の部分よりも幅広の段差が形成され、
前記第2の部分は、前記保護壁上に乗り上げるように形成されることを特徴とする付記8に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0123】
(付記10)前記保護壁を形成する工程の前に、前記化合物半導体層上の前記ゲート電極の側部にソース電極及びドレイン電極を形成する工程を更に含み、
前記保護壁は、前記ソース電極側の部分よりも前記ドレイン電極側の部分の方が厚いことを特徴とする付記8又は9に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0124】
(付記11)前記保護壁を形成する工程の前に、前記化合物半導体層上に絶縁膜を形成する工程と、
前記保護壁を形成する工程の後に、前記絶縁膜の保護壁間の部位に前記化合物半導体層の表面の一部を露出する開口を形成する工程と
を更に含み、
前記絶縁膜に形成された開口を通じて前記ゲート電極が前記化合物半導体層と直接接続されることを特徴とする付記8〜10のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0125】
(付記12)前記下方部分の前記第1の部分は、前記開口を埋め込み前記絶縁膜上に乗り上げるように形成されており、乗り上げ幅が前記ソース電極側よりも前記ドレイン電極側の方が大きいことを特徴とする付記11に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0126】
(付記13)前記保護壁を形成する工程の前に、前記化合物半導体層上に絶縁膜を形成する工程を更に含み、
前記化合物半導体層の上方に前記絶縁膜を介して前記ゲート電極が形成されることを特徴とする付記8〜10のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0127】
(付記14)前記絶縁膜は、前記保護壁の底面を覆い前記上方部分の下方に包含される領域内のみに形成されていることを特徴とする付記8〜13のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0128】
(付記15)入力した高周波電圧を増幅して出力する高周波増幅器であって、
トランジスタを有しており、
前記トランジスタは、
化合物半導体層と、
前記化合物半導体層の上方に形成されたゲート電極と
を含み、
前記ゲート電極は、幹状の下方部分と、前記下方部分の上端から当該上端よりも幅広に傘状に拡がる上方部分とが一体形成されてなり、
前記下方部分は、下端を含む第1の部分と、前記第1の部分上の第2の部分とを有し、
前記第1の部分の側面のみを覆う保護壁が形成されていることを特徴とする高周波増幅器。
【符号の説明】
【0129】
1 SiC基板
2 化合物半導体層
2a バッファ層
2b 電子走行層
2c 電子供給層
2d 表面層
3 素子分離構造
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6,37,41 絶縁膜
6a,11a,11b,21a,21b,22a,23a,37a 開口
7,31,33 保護壁
7a,31a,33a 空隙
8,32,34,36,42,101 ゲート電極
8a,32a,34a,36a,42a 下方部分
8b,32b,34b,36b,42b 上方部分
8aa,32aa,34aa,36aa,42aa 第1の部分
8ab,32ab,34ab,36ab,42ab 第2の部分
11 レジストマスク
12,35 3層レジストマスク
21 下層レジスト
22 中間レジスト
23 上層レジスト
51 ディジタル・プレディストーション回路
52a,52b ミキサー
53 パワーアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物半導体層と、
前記化合物半導体層の上方に形成されたゲート電極と
を含み、
前記ゲート電極は、幹状の下方部分と、前記下方部分の上端から当該上端よりも幅広に傘状に拡がる上方部分とが一体形成されてなり、
前記下方部分は、下端を含む第1の部分と、前記第1の部分上の第2の部分とを有し、
前記第1の部分の側面のみを覆う保護壁が形成されていることを特徴とする化合物半導体装置。
【請求項2】
前記下方部分には、前記第1の部分と前記第2の部分との境界に前記第2の部分が前記第1の部分よりも幅広の段差が形成されており、
前記第2の部分は、前記保護壁上に乗り上げるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体装置。
【請求項3】
前記化合物半導体層上の前記ゲート電極の側部に形成されたソース電極及びドレイン電極を更に含み、
前記保護壁は、前記ソース電極側の部分よりも前記ドレイン電極側の部分の方が厚いことを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物半導体装置。
【請求項4】
前記化合物半導体層と前記ゲート電極との間に絶縁膜が形成されており、
前記絶縁膜に形成された開口を通じて前記ゲート電極が前記化合物半導体層と直接接続されており、
前記下方部分の前記第1の部分は、前記開口を埋め込み前記絶縁膜上に乗り上げるように形成されており、乗り上げ幅が前記ソース電極側よりも前記ドレイン電極側の方が大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項5】
化合物半導体層の上方に保護壁を形成する工程と、
前記保護壁間の空隙を埋め込むようにゲート電極を形成する工程と
を含み、
前記ゲート電極は、幹状の下方部分と、前記下方部分の上端から当該上端よりも幅広に傘状に拡がる上方部分とが一体形成されてなり、
前記下方部分は、下端を含む第1の部分と、前記第1の部分上の第2の部分とを有し、
前記保護壁が前記第1の部分の側面のみを覆うことを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記下方部分には、前記第1の部分と前記第2の部分との境界に前記第2の部分が前記第1の部分よりも幅広の段差が形成され、
前記第2の部分は、前記保護壁上に乗り上げるように形成されることを特徴とする請求項5に記載の化合物半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−104760(P2012−104760A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254167(P2010−254167)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】