説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】デバイス特性の劣化を伴うことなくサイドウォールを形成することができる技術を提供する。
【解決手段】半導体基板1上に高誘電率膜よりなるゲート絶縁膜5とポリシリコン膜を形成する。そして、ポリシリコン膜をパターニングすることにより、シリコンゲート電極6a、6bを形成する。続いて、半導体基板1上に酸化アルミニウム膜7および窒化シリコン膜よりなる積層膜を形成する。その後、窒化シリコン膜を異方性ドライエッチングすることにより、シリコンゲート電極6a、6bの側壁にだけ窒化シリコン膜8aを残す。このとき、窒化シリコン膜の下層に形成されている酸化アルミニウム膜7がエッチングストッパとして機能する。次に、露出した酸化アルミニウム膜7を希フッ酸でウェットエッチングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、半導体基板の削れを防止する半導体装置およびその製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平7−115188号公報(特許文献1)には、ゲート電極とドレイン領域の間の高周波特性を高めるために、サイドウォールを酸化アルミニウムからなる第1サイドウォールと窒化シリコン膜からなる第2サイドウォールで形成する技術が開示されている。
【0003】
特開2003−338507号公報(特許文献2)には、MIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタの短チャネル効果を抑制して、信号の高速化を実現するために、サイドウォールを酸化アルミニウム膜からなる第1サイドウォールと酸化シリコン膜からなる第2サイドウォールで形成する技術が開示されている。
【0004】
また、IEEE international ELECTRON DEVICES meeting 2005(非特許文献1)には、積層化されたサイドウォールが開示されている。
【特許文献1】特開平7−115188号公報(段落0030〜段落0031、図1)
【特許文献2】特開2003−338507号公報(段落0012〜段落0017、図1)
【非特許文献1】IEEE international ELECTRON DEVICES meeting 2005 IEDM05-69〜IEDM05-72
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置であるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)においては、短チャネル効果を抑制し、抵抗の小さなソース領域およびドレイン領域を形成するため、ゲート近傍は薄いサイドウォールに整合した浅い不純物拡散領域、ゲートから離れると厚いサイドウォールに整合した深い不純物領域を形成する必要がある。
【0006】
上述したサイドウォールは、例えば、ゲート電極上を含む半導体基板上に酸化シリコン膜を形成し、その後、異方性ドライエッチングにより、ゲート電極の側壁にだけ酸化シリコン膜を残すことで形成される。ここで、サイドウォールは、ソース領域およびドレイン領域を構成する不純物領域の幅を規定する重要な機能を有する。したがって、サイドウォールの幅をできるだけ設計値に近づける必要があるため、サイドウォールを形成する異方性ドライエッチングは、エッチング過剰なオーバーエッチングで行なわれる。すなわち、エッチング不足であると、サイドウォールの端部が裾を引き、サイドウォールの幅が設計値からずれるので、サイドウォールの端部が裾を引かないようにオーバーエッチングを行なっている。
【0007】
しかし、オーバーエッチングを行なうと、シリコンよりなる半導体基板の表面を削ることになる。つまり、ゲート電極の側壁に形成したサイドウォールの外側領域において、半導体基板が削れることになる。この領域は不純物を導入して深い不純物拡散領域を形成する領域となるが、半導体基板が削れることにより、この深い不純物拡散領域の厚さが薄くなる。ソース領域あるいはドレイン領域の一部となる深い不純物拡散領域の厚さが薄くなると、ソース領域およびドレイン領域の抵抗が高くなるという問題点がある。さらに、深い不純物拡散領域は、不純物をイオン注入した後、注入した不純物を活性化するため、熱処理を行なう。この熱処理は、不純物をイオン注入することによって生じた結晶欠陥を回復させる機能を有している。結晶欠陥の回復は、結晶が壊れていな結晶領域を元に結晶回復が進行する。したがって、半導体基板が削れるとイオン注入がされない領域が少なくなり、イオン注入されずに結晶が壊れない結晶領域が少なくなる。すると、結晶回復するための元になる結晶領域が少ないため、結晶欠陥の回復が進みにくいという問題点もある。
【0008】
このような問題点は、通常のシリコンよりなる半導体基板を用いた場合にも発生すると考えられるが、特に、シリコン層が薄いSOI(Silicon On Insulator)基板を用いた場合、より問題点が顕在化する。SOI基板では、半導体基板内に埋め込み絶縁膜が形成され、この埋め込み絶縁膜上に非常に薄い(5nm程度)のシリコン層が形成されている。そして、このシリコン層にイオン注入することにより、ソース領域およびドレイン領域を形成している。したがって、サイドウォールを形成する工程で実施されるオーバーエッチングにより、シリコン層が削れると、非常に薄いシリコン層がさらに薄くなり、ソース領域およびドレイン領域の抵抗が上昇してしまう。つまり、SOI基板では、シリコン層を1nmでも削りたくないという事情が存在する。
【0009】
一方、半導体基板の削れを回避するため、サイドウォールを形成する際、オーバーエッチングを行なわないと、上述したようにサイドウォールの端部が裾を引き、サイドウォールの幅が設計値からずれてしまうという問題点がある。この場合、個々の半導体装置でサイドウォールの幅がばらつき、半導体装置のデバイス特性がばらつきやすくなるという問題点が発生する。
【0010】
また、近年、MISFETの微細化に伴い、ゲート絶縁膜の膜厚も薄いものが要求されてきている。通常、ゲート絶縁膜として酸化シリコン膜が使用されてきているが、膜厚の薄膜化によってゲート絶縁膜をトンネルするリーク電流が無視できなくなってきている。
【0011】
そこで、容量は同じでも物理膜厚を厚くできる高誘電率膜の使用が検討されている。酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜によれば、容量を同じにしても物理膜厚を厚くすることができるので、トンネル電流によるリーク電流を低減することができる。また、MISFETの微細化に伴い、ゲート電極のゲート長も小さくなってきている。
【0012】
このようなゲート電極と高誘電率膜よりなるゲート絶縁膜を使用する場合、特にサイドウォール形成工程や熱処理工程などのプロセスに起因して、高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されるという問題点がある。これは、ゲート絶縁膜に酸化シリコン膜を使用する場合には見られなかった現象である。つまり、ゲート絶縁膜に高誘電率膜を使用し、ゲート電極のゲート長を小さくすると、プロセスに起因して高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成され、実質的にゲート絶縁膜が厚くなる。ゲート絶縁膜が厚くなると、酸化シリコン換算膜厚(EOT)が大きくなり、ソース領域とドレイン領域の間を流れる駆動電流がとれなくなる問題点が発生する。さらに、ゲート絶縁膜が厚くなると、短チャネル効果も顕著となり、MISFETのしきい値電圧がばらつきやすくなる。このような問題点は、高誘電率膜の上下界面に不要な酸化シリコン膜が形成されることに起因し、この現象は、例えばゲート長を20nm以下、とりわけ10nm以下にすると顕著に現れる。
【0013】
以上述べたことから、サイドウォールを形成する際、デバイス特性の劣化を伴う種々の問題点が発生することがわかる。
【0014】
本発明の目的は、デバイス特性の劣化を伴うことなくサイドウォールを形成することができる技術を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0017】
本発明による半導体装置は、(a)半導体基板と、(b)前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、(c)前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、(d)前記ゲート電極の側壁に形成されたサイドウォールとを備える。そして、前記サイドウォールは、酸化アルミニウム膜と絶縁膜との積層膜で形成され、前記酸化アルミニウム膜は前記半導体基板と接する一方、前記絶縁膜は前記半導体基板と接しないことを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、(b)前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、(c)前記ゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する工程とを備える。そして、前記(c)工程は、(c1)前記ゲート電極上を含む前記半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する工程と、(c2)前記酸化アルミニウム膜上に絶縁膜を形成する工程と、(c3)前記ゲート電極の側壁にだけ前記絶縁膜を残す工程と、(c4)前記(c3)工程を実施することにより露出した前記酸化アルミニウム膜を除去する工程とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
ゲート電極の側壁に形成するサイドウォールを酸化アルミニウム膜と絶縁膜の積層膜で形成することにより、絶縁膜のエッチングの際、酸化アルミニウム膜がエッチングストッパとして機能するので、半導体基板の削れを抑制できる。また、ゲート電極の側壁に酸化アルミニウム膜を形成することにより、サイドウォールの形成工程などのプロセスにおいて、高誘電率膜の上下界面に不要な酸化シリコン膜が形成されることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0022】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0023】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0024】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0025】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態1における半導体装置として、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETとを同一の半導体基板に形成したCMISFET(Complementary MISFET)を例に挙げて説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態1におけるCMISFETの構成を示す断面図である。図1において、左側のMISFETがnチャネル型MISFETを示し、右側のMISFETがpチャネル型MISFETを示している。
【0028】
図1に示すように、シリコン単結晶よりなる半導体基板1の主面(素子形成面)には、素子分離領域2が形成されている。素子分離領域2で分離された活性領域には、半導体領域であるウェルが形成されている。活性領域のうち、nチャネル型MISFET形成領域の半導体基板1内には、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したp型ウェル3が形成されている。同様に、活性領域のうち、pチャネル型MISFET形成領域の半導体基板1内には、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入したn型ウェル4が形成されている。
【0029】
次に、p型ウェル3上に形成されているnチャネル型MISFETの構成について説明する。まず、nチャネル型MISFETは、p型ウェル3上にゲート絶縁膜5を有しており、このゲート絶縁膜5上にゲート電極27が形成されている。ゲート絶縁膜5は、例えば、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜から形成されている。高誘電率膜としては、例えば、酸化ハフニウム膜などがあげられる。ゲート絶縁膜5として高誘電率膜から形成されるとしたが、これに限らず、例えば、酸窒化シリコン膜や酸化シリコン膜から構成するようにしてもよい。
【0030】
ゲート電極27は、金属シリサイド膜から形成され、例えばニッケルシリサイド膜から構成される。また、ゲート電極27は、金属膜あるいはポリシリコン膜から形成するようにしてもよい。本実施の形態1では、ゲート電極27のゲート長は、10nm以下になるように微細化されている。
【0031】
ゲート電極27の両側の側壁には、サイドウォール20が形成されている。サイドウォール20は、nチャネル型MISFETのソース領域およびドレイン領域を浅い不純物拡散領域と深い不純物拡散領域から形成するために形成されている。すなわち、サイドウォール20の下部にある半導体基板1内には、浅いn型不純物拡散領域10が形成されており、この浅いn型不純物拡散領域10の外側には、深いn型不純物拡散領域15が形成されている。
【0032】
浅いn型不純物拡散領域10および深いn型不純物拡散領域15は、リンや砒素などのn型不純物を導入した半導体領域であり、深いn型不純物拡散領域15には、浅いn型不純物拡散領域10に比べて深くn型不純物が導入されている。
【0033】
この浅いn型不純物拡散領域10と深いn型不純物拡散領域15によってソース領域およびドレイン領域が形成されている。つまり、ゲート電極27の端部下に浅いn型不純物拡散領域10を設けることで、ゲート電極27の端部下における電界集中を抑制することができる。
【0034】
深いn型不純物拡散領域15には、例えばニッケルシリサイド膜23が形成されている。このニッケルシリサイド膜23は、深いn型不純物拡散領域15を含むソース領域あるいはドレイン領域の低抵抗化のために形成される。なお、ニッケルシリサイド膜23に変えてコバルトシリサイド膜やチタンシリサイド膜を形成してもよい。以上のようにしてnチャネル型MISFETが形成されている。
【0035】
次に、n型ウェル4上に形成されているpチャネル型MISFETの構成について説明する。まず、pチャネル型MISFETは、n型ウェル4上にゲート絶縁膜5を有しており、このゲート絶縁膜5上にゲート電極30が形成されている。ゲート絶縁膜5は、例えば、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜から形成されている。高誘電率膜としては、例えば、酸化ハフニウム膜などがあげられる。ゲート絶縁膜5として高誘電率膜から形成されるとしたが、これに限らず、例えば、酸窒化シリコン膜や酸化シリコン膜から構成するようにしてもよい。
【0036】
ゲート電極30は、金属シリサイド膜から形成され、例えばプラチナシリサイド膜から構成される。また、ゲート電極30は、金属膜あるいはポリシリコン膜から形成するようにしてもよい。本実施の形態1では、ゲート電極30のゲート長は、20nm以下、望ましくは10nm以下になるように微細化されている。
【0037】
ゲート電極30の両側の側壁には、サイドウォール20が形成されている。サイドウォール20は、pチャネル型MISFETのソース領域およびドレイン領域を浅い不純物拡散領域と深い不純物拡散領域から形成するために形成されている。すなわち、サイドウォール20の下部にある半導体基板1内には、浅いp型不純物拡散領域11が形成されており、この浅いp型不純物拡散領域11の外側には、深いp型不純物拡散領域16が形成されている。
【0038】
浅いp型不純物拡散領域11および深いp型不純物拡散領域16は、ホウ素などのp型不純物を導入した半導体領域であり、深いp型不純物拡散領域16には、浅いp型不純物拡散領域11に比べて深くp型不純物が導入されている。
【0039】
この浅いp型不純物拡散領域11と深いp型不純物拡散領域16によってソース領域およびドレイン領域が形成されている。つまり、ゲート電極30の端部下に浅いp型不純物拡散領域11を設けることで、ゲート電極30の端部下における電界集中を抑制することができる。
【0040】
深いp型不純物拡散領域16には、例えばニッケルシリサイド膜23が形成されている。このニッケルシリサイド膜23は、深いp型不純物拡散領域16を含むソース領域あるいはドレイン領域の低抵抗化のために形成される。なお、ニッケルシリサイド膜23に変えてコバルトシリサイド膜やチタンシリサイド膜を形成してもよい。以上のようにしてpチャネル型MISFETが形成されている。
【0041】
次に、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETの上部には、窒化シリコン膜31と酸化シリコン膜32の積層膜からなる層間絶縁膜が形成されている。そして、この層間絶縁膜には、コンタクトホール33が形成されており、このコンタクトホール33を埋め込むようにプラグ34が形成されている。プラグ34は、例えばバリア導体膜であるチタン/窒化チタン膜とタングステン膜の積層膜で形成されている。プラグ34を形成した酸化シリコン膜32上には、配線35が形成されている。配線35は、例えば、チタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜およびチタン/窒化チタン膜の積層膜から形成されている。なお、本実施の形態1では、配線35をアルミニウム膜から形成する例を示しているが、これに限らず、例えば、ダマシン法による銅配線から配線35を形成してもよい。
【0042】
次に、本発明の特徴的な構成について説明する。本発明の特徴的な構成は、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで共通するため、nチャネル型MISFETを例に挙げて説明する。nチャネル型MISFETにおいて、本発明の特徴の1つは、サイドウォール20の構成である。図1を見てわかるように、サイドウォール20は、第1積層膜9、第2積層膜14および第3積層膜19より構成されている。すなわち、本実施の形態1におけるサイドウォール20は、積層膜を単位として多層形成されている。
【0043】
本実施の形態1におけるサイドウォール20においては、ゲート電極27の側壁に第1積層膜9が形成され、この積層膜9の外側に積層膜14が形成されている。そして、積層膜14の外側に積層膜19が形成されている。このように構成されたサイドウォール20に整合して、浅いn型不純物拡散領域10、深いn型不純物拡散領域15およびニッケルシリサイド膜23が形成されている。つまり、一番内側の第1積層膜9に整合して浅いn型不純物拡散領域10が形成され、第2積層膜14に整合して深いn型不純物拡散領域15が形成されている。そして、第3積層膜19に整合してニッケルシリサイド膜23が形成されている。
【0044】
ここで、本実施の形態1では、後述する製造方法で詳細に説明するように、第1積層膜9、第2積層膜14および第3積層膜19の幅を高精度に形成することができる。このため、それぞれの積層膜に整合して形成される浅いn型不純物拡散領域10、深いn型不純物拡散領域15およびニッケルシリサイド膜23の形成位置を精度良く設計値に合わせることができる。このため、複数の素子間において、素子の電気的特性のばらつきを抑制することができる効果が得られる。
【0045】
次に、本発明の特徴の1つである個々の積層膜の構成について説明する。個々の積層膜は、酸化アルミニウム膜と絶縁膜の積層構造をしている。絶縁膜は、例えば窒化シリコン膜から構成されるが、酸化シリコン膜を使用してもよい。個々の積層膜において、下層に酸化アルミニウム膜が形成され、この酸化アルミニウム膜上に窒化シリコン膜が形成されている。すなわち、酸化アルミニウム膜は半導体基板1と接する一方、窒化シリコン膜は半導体基板1と接しないように構成されている。言い換えれば、個々の積層膜において、酸化アルミニウム膜がL字状の形状をしており、このL字形状をした酸化アルミニウム膜上に窒化シリコン膜が形成されている。このように構成することにより、後述する製造方法で詳細に説明するように、個々の積層膜を形成するエッチングの際、半導体基板1を削ってしまうことを抑制できるのである。簡単に説明すると、窒化シリコン膜はドライエッチングで除去するが、このとき、窒化シリコン膜の下層に形成されている酸化アルミニウム膜は、ドライエッチングに対して耐性が高いので、エッチングストッパとして機能するのである。すなわち、酸化アルミニウム膜がエッチングストッパとして機能するため、酸化アルミニウム膜の下層にある半導体基板1の削れを抑制することができる。半導体基板1の削れを抑制できるため、半導体基板1内に形成されるソース領域およびドレイン領域の厚さを充分に確保することができる。半導体基板1が削れると、ソース領域およびドレイン領域の厚さが薄くなり、ソース領域あるいはドレイン領域の抵抗が上昇する不都合が生じる。しかし、本実施の形態1におけるサイドウォール20によれば、サイドウォール20を構成する個々の積層膜を形成する際、半導体基板1を削ることを防止できるので、ソース領域あるいはドレイン領域の高抵抗化を抑制することができる。
【0046】
さらに、ソース領域およびドレイン領域は、不純物をイオン注入した後、注入した不純物を活性化するため、熱処理を行なう。この熱処理は、不純物をイオン注入することによって生じた結晶欠陥を回復させる機能を有している。結晶欠陥の回復は、結晶が壊れていない結晶領域を元に結晶回復が進行する。したがって、半導体基板が削れるとイオン注入がされない領域が少なくなり、イオン注入されずに結晶が壊れない結晶領域が少なくなる。すると、結晶回復するための元になる結晶領域が少ないため、結晶欠陥の回復が進みにくいという不都合が生じる。しかし、本実施の形態1では、サイドウォール20の形成工程において、半導体基板1が削れることを防止できるので、上述した不都合を回避することができる。
【0047】
また、ゲート絶縁膜5として高誘電率膜が使用されているが、この場合、サイドウォール20の形成工程やその他の熱処理工程などにおいて、高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されてしまうという問題がある。このような問題が発生すると、実質的にゲート絶縁膜が厚くなる。ゲート絶縁膜が厚くなると、酸化シリコン換算膜厚(EOT)が大きくなり、ソース領域とドレイン領域の間を流れる駆動電流がとれなくなる問題点が発生する。さらに、ゲート絶縁膜が厚くなると、短チャネル効果も顕著となり、MISFETのしきい値電圧がばらつきやすくなる。しかし、本実施の形態1では、サイドウォール20を構成する第1積層膜9を酸化アルミニウム膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成し、酸化アルミニウム膜をゲート電極27およびゲート絶縁膜5に接するように構成している。酸化アルミニウム膜は、酸化アルミニウム膜中を酸素が透過することを抑制するバリア性を有する。したがって、サイドウォール20の形成工程やその後の熱処理工程において、高誘電率膜よりなるゲート絶縁膜5に酸素を供給することを酸化アルミニウム膜で遮断することができる。このため、高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されることを抑制することができる。
【0048】
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0049】
まず、図2に示すように、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板1を用意する。このとき、半導体基板1は、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。そして、半導体基板1の主面上に素子間を分離する素子分離領域2を形成する。素子分離領域2は、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。この素子分離領域2は、例えばLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法やSTI(Shallow Trench Isolation)法を用いて形成することができる。図1では、STI法によって形成された素子分離領域2を示している。STI法では、以下のようにして素子分離領域2を形成している。すなわち、半導体基板1にフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板1上に酸化シリコン膜を形成し、その後、化学的機械的研磨法(CMP;Chemical Mechanical Polishing)により、半導体基板1上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域2を形成することができる。
【0050】
次に、素子分離領域2で分離された活性領域に不純物を導入してウェルを形成する。例えば、活性領域のうちnチャネル型MISFET形成領域には、p型ウェル3を形成し、pチャネル型MISFET形成領域には、n型ウェル4を形成する。p型ウェル3は、例えばホウ素などのp型不純物をイオン注入法により半導体基板1に導入することで形成される。同様に、n型ウェル4は、例えばリン(P)や砒素(As)などのn型不純物をイオン注入法により半導体基板1に導入することで形成される。
【0051】
続いて、p型ウェル3の表面領域およびn型ウェル4の表面領域にチャネル形成用の半導体領域を形成する。このチャネル形成用の半導体領域は、チャネルを形成するしきい値電圧を調整するために形成される。p型ウェル3の表面領域には、例えばホウ素などのp型不純物を導入し、n型ウェル4の表面領域には、例えばリンや砒素などのn型不純物を導入する。このようにして、p型ウェル3あるいはn型ウェル4の表面領域にチャネル形成用の半導体領域を形成することができる。
【0052】
次に、図3に示すように、半導体基板1上にゲート絶縁膜5を形成する。ゲート絶縁膜5は、例えば酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜から形成される。従来、絶縁耐性が高い、シリコン−酸化シリコン界面の電気的・物性的安定性などが優れているとの観点から、ゲート絶縁膜5として酸化シリコン膜が使用されている。しかし、素子の微細化に伴い、ゲート絶縁膜5の膜厚について、極薄化が要求されるようになってきている。特に、本実施の形態1では、ゲート電極のゲート長を10nm以下で形成する。したがって、ゲート電極の微細化に伴ってゲート電極下に形成されるゲート絶縁膜5の膜厚も薄くする必要がある。このように薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜5として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。
【0053】
そこで、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量が同じでも物理的膜厚を増加させることができる高誘電体膜が使用されるようになってきている。高誘電体膜によれば、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。
【0054】
例えば、高誘電体膜として、ハフニウム酸化物の一つである酸化ハフニウム膜(HfO膜)が使用されるが、酸化ハフニウム膜に変えて、ハフニウムアルミネート膜、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)、HfAlO膜のような他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。さらに、これらのハフニウム系絶縁膜に酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの酸化物を導入したハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。ハフニウム系絶縁膜は、酸化ハフニウム膜と同様、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜より誘電率が高いので、酸化ハフニウム膜を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0055】
上述したように、ゲート絶縁膜5として高誘電率膜を使用することが望ましいが、例えば酸化シリコン膜を用いてもよい。このとき、酸化シリコン膜は、例えば熱酸化法を使用して形成することができる。また、例えば、ゲート絶縁膜5を酸窒化シリコン膜(SiON)としてもよい。すなわち、ゲート絶縁膜5と半導体基板1との界面に窒素を偏析させる構造としてもよい。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減する効果が高い。したがって、ゲート絶縁膜5のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通しにくい。このため、ゲート絶縁膜5に酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極中の不純物が半導体基板1側に拡散することに起因するしきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するのは、例えば、半導体基板1をNO、NOまたはNHといった窒素を含む雰囲気中で熱処理すればよい。また、半導体基板1の表面に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜5を形成した後、窒素を含む雰囲気中で半導体基板1を熱処理し、ゲート絶縁膜5と半導体基板1との界面に窒素を偏析させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0056】
続いて、ゲート絶縁膜5上にポリシリコン膜を形成する。ポリシリコン膜は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用して形成することができる。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してポリシリコン膜をパターニングすることにより、図4に示すようなシリコンゲート電極6a、6bを形成する。シリコンゲート電極6a、6bのゲート長は、例えば20nm以下、望ましくは10nm以下となっている。すなわち、本実施の形態1で形成されるシリコンゲート電極6a、6bは微細化されている。
【0057】
次に、図5に示すように、シリコンゲート電極6a、6bを形成した半導体基板1上に酸化アルミニウム膜7を形成する。酸化アルミニウム膜7は、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)法を使用して形成することができる。ALD法で酸化アルミニウム膜を形成する際の温度は、100℃〜500℃、望ましくは200℃〜300℃である。したがって、酸化アルミニウム膜7は比較的低温で形成することができるので、酸化アルミニウム膜7の形成工程で、ゲート絶縁膜5を構成する高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されることを抑制できる。さらに、酸化アルミニウム膜7は、酸素および窒素の透過性が低いので、ゲート絶縁膜5に接触するように形成することにより、その後の熱処理工程などにおいて、ゲート絶縁膜5に酸素が供給されることを抑制することができる。つまり、酸化アルミニウム膜7を形成することにより、その後の工程で生じる酸素の供給を抑制することができるので、高誘電率膜と酸素の反応が抑制され、高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されることを抑制できる。このため、ゲート絶縁膜5の実質的な物理膜厚の増加を抑制でき、ドレイン電流の減少を抑えることができる。すなわち、MISFETの電気的特性の向上を図ることができる。このように酸化アルミニウム膜7には、酸化アルミニウム膜7自体を形成する際に比較的低温で実現できる利点と、ゲート絶縁膜5へ酸素および窒素の供給を抑制できる利点とを有している。なお、酸化アルミニウム膜7の膜厚は、1nm〜4nm程度である。
【0058】
続いて、図6に示すように、酸化アルミニウム膜7上に窒化シリコン膜8を形成する。窒化シリコン膜8は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。酸化アルミニウム膜7上に形成する絶縁膜は、窒化シリコン膜8に限らず、例えば、酸化シリコン膜であってもよい。つまり、酸化アルミニウム膜7上に形成される絶縁膜は容易にドライエッチングできる膜であればよい。なお、窒化シリコン膜8の膜厚は、1nm〜5nm程度である。
【0059】
次に、図7に示すように、窒化シリコン膜8を異方性ドライエッチングにより除去する。これにより、シリコンゲート電極6a、6bの側壁にだけ窒化シリコン膜8aが残存する。ここで、窒化シリコン膜8の異方性ドライエッチングの際、下層に形成されている酸化アルミニウム膜7が露出する。酸化アルミニウム膜7は、ドライエッチングに対して耐性が高い膜であるので、除去されることはない。すなわち、酸化アルミニウム膜7は、窒化シリコン膜8を除去するドライエッチングの際、エッチングストッパとして機能する。このため、酸化アルミニウム膜7の下部にある半導体基板1がドライエッチングによって削れることはない。半導体基板1は、シリコンより形成されているため、酸化アルミニウム膜7が形成されていないと、窒化シリコン膜8のドライエッチングの際、削れてしまう。特に、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に形成する窒化シリコン膜8aの幅を設計値に近づけるため、窒化シリコン膜8のドライエッチングは、オーバーエッチングで実施される。つまり、窒化シリコン膜8のドライエッチングが不充分であると、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に形成されている窒化シリコン膜8aが裾を引き、窒化シリコン膜8aの幅が設計値から大幅にずれてしまう。そこで、窒化シリコン膜8のドライエッチングをオーバーエッチングで実施している。窒化シリコン膜8のドライエッチングをオーバーエッチングで実施すると、シリコンゲート電極6a、6bの側壁以外の領域では、半導体基板1を構成するシリコンが露出し、露出したシリコンを削り込んでしまう。
【0060】
半導体基板1を削り込んでしまうと、その後の工程で形成されるソース領域およびドレイン領域の厚さが薄くなり、ソース領域およびドレイン領域の高抵抗化を招いてしまう。さらに、ソース領域およびドレイン領域は、不純物をイオン注入した後、注入した不純物を活性化するため、熱処理を行なう。この熱処理は、不純物をイオン注入することによって生じた結晶欠陥を回復させる機能を有している。結晶欠陥の回復は、結晶が壊れていない結晶領域を元に結晶回復が進行する。したがって、半導体基板が削れるとイオン注入がされない領域が少なくなり、イオン注入されずに結晶が壊れない結晶領域が少なくなる。すると、結晶回復するための元になる結晶領域が少ないため、結晶欠陥の回復が進みにくいという不都合が生じる。このようなことから、窒化シリコン膜8のドライエッチングの際、半導体基板1自体を削りたくない事情が存在する。
【0061】
そこで、本実施の形態1では、半導体基板1と窒化シリコン膜8との間に酸化アルミニウム膜7を形成している。これにより、窒化シリコン膜8のドライエッチングをオーバーエッチングで実施しても、酸化アルミニウム膜7がエッチングストッパとして機能することから、シリコンよりなる半導体基板1が削れること(リセス)を防止することができる。このため、半導体基板1が削れることによる不都合を解決することができる。
【0062】
次に、図8に示すように、窒化シリコン膜8を除去することにより露出した酸化アルミニウム膜7を除去する。露出した酸化アルミニウム膜7の除去は、例えば、希フッ酸を用いたウェットエッチングにより実施することができる。希フッ酸を用いたウェットエッチングによって、露出した酸化アルミニウム膜7は除去されるが、この酸化アルミニウム膜7の下部にある半導体基板1は削れない。希フッ酸では、容易に酸化アルミニウム膜7を除去できる一方、シリコンを削ることがないので、酸化アルミニウム膜7の除去工程で半導体基板1に削れが発生することはない。
【0063】
希フッ酸によるウェットエッチングでは、窒化シリコン膜8aは除去されないので、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に形成されている窒化シリコン膜8aはそのまま残存する。このため、窒化シリコン膜8aで覆われている酸化アルミニウム膜7aはシリコンゲート電極6a、6bの側壁に残存する。このようにして、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に酸化アルミニウム膜7aと窒化シリコン膜8aよりなる第1積層膜9が形成される。この第1積層膜9は、下層に酸化アルミニウム膜7aが形成され、この酸化アルミニウム膜7a上に窒化シリコン膜8aが形成されている。酸化アルミニウム膜7aは、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に沿って形成され、L字形状に形成されている。この酸化アルミニウム膜7aは、L字形状に形成されているため、半導体基板1に接触している部分が存在する。これに対し、窒化シリコン膜8aは、酸化アルミニウム膜7a上に形成されているため、半導体基板1と直接接触していない。
【0064】
第1積層膜9は、窒化シリコン膜8aを形成する際、充分なオーバーエッチングがなされているので、窒化シリコン膜8aは裾を引くことを防止できる。このため、第1積層膜9の幅は、高精度で形成することができ、設計値に近い幅を実現することができる。一方、窒化シリコン膜8をオーバーエッチングしても、窒化シリコン膜8の下層には、酸化アルミニウム膜7が形成されているので、シリコンよりなる半導体基板1を削ることを防止できる。以上のことから、本実施の形態1によれば、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に高精度に幅を制御された第1積層膜9を形成することができるとともに、高精度の幅を有する第1積層膜9を形成しても、半導体基板1の削れを防止できる。
【0065】
ここで、特許文献1には、ゲート電極の側壁に酸化アルミニウム膜よりなる第1サイドウォールと第1サイドウォールの外側に窒化シリコン膜よりなる第2サイドウォールを形成する技術が開示されている。しかし、特許文献1に記載されている技術は、酸化アルミニウム膜よりなる第1サイドウォールと窒化シリコン膜よりなる第2サイドウォールの両方とも半導体基板に接触している。
【0066】
特許文献1に記載されたサイドウォールの構成と本実施の形態1における第1積層膜9の構成は、酸化アルミニウム膜と窒化シリコン膜との積層膜で形成されている点で共通する。しかし、特許文献1に記載されたサイドウォールは、第1サイドウォールと第2サイドウォールの両方とも半導体基板に接している。すなわち、酸化アルミニウム膜と窒化シリコン膜の両方とも半導体基板に接していることになる。これに対し、本実施の形態1の第1積層膜9では、酸化アルミニウム膜7aは半導体基板1に接しているが窒化シリコン膜8aは半導体基板1に接してはいない。この点が本実施の形態1と特許文献1に記載された技術の大きく異なる点である。
【0067】
酸化アルミニウム膜と窒化シリコン膜が両方とも半導体基板に接している構成は、例えば以下に示すようにして形成することができる。例えば、ゲート電極を含む半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成し、その後、異方性ドライエッチングによって酸化アルミニウム膜を除去し、ゲート電極の側壁にだけ酸化アルミニウム膜を形成する。続いて、側壁に酸化アルミニウム膜が残存したゲート電極を含む半導体基板上に窒化シリコン膜を形成する。そして、窒化シリコン膜に対して、異方性ドライエッチングを施すことにより、酸化アルミニウム膜よりなる第1サイドウォールの外側に窒化シリコン膜よりなる第2サイドウォールを形成する。このようにして、特許文献1に記載されたサイドウォール構造を形成することができる。このような製造方法の場合、酸化アルミニウム膜をドライエッチングする際および窒化シリコン膜をドライエッチングする際、半導体基板を削ることになる。
【0068】
これに対し、本実施の形態1における第1積層膜9を形成する工程では、シリコンゲート電極6a、6bを含む半導体基板1上に酸化アルミニウム膜7と窒化シリコン膜8とを積層形成している。そして、窒化シリコン膜8を異方性ドライエッチングすることにより、シリコンゲート電極6a、6bの側壁にだけ窒化シリコン膜8aを残し、それ以外の領域に形成されている窒化シリコン膜8を除去している。このとき、窒化シリコン膜8の下層に形成されている酸化アルミニウム膜7がエッチングストッパとして機能するので、半導体基板1を削ることはない。その後、露出した酸化アルミニウム膜7は希フッ酸によるウェットエッチングにより除去される。このとき、希フッ酸によるウェットエッチングでは、半導体基板1が削れることはない。本実施の形態1では、製造工程において、窒化シリコン膜8を除去する際のエッチングストッパとして酸化アルミニウム膜7を機能させる点に特徴があり、このように構成することにより、半導体基板1の削れを防止できるのである。このような製造工程をとると必然的に、酸化アルミニウム膜7aが半導体基板1に接する一方、窒化シリコン膜8aが半導体基板1に直接接しなくなる。
【0069】
以上のことから、特許文献1に記載されたサイドウォールの構成では、半導体基板に削れが発生するが、本実施の形態1で説明している第1積層膜9の構成では、高精度に第1積層膜9の幅を形成しながら、半導体基板に削れが発生しない顕著な効果を奏する。
【0070】
酸化アルミニウム膜7aは、酸素および窒素を透過させにくいという性質がある。このため、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に酸化アルミニウム膜7aを形成することにより、ゲート絶縁膜5を構成する高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されることを抑制できる。特に、高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されるのは、シリコンゲート電極6a、6bのゲート長が、20nm以下さらには10nm以下になると顕著に現れる。したがって、本発明の構成は、シリコンゲート電極6a、6bのゲート長が20nm以下、望ましくは10nm以下のものに適用すると顕著な効果を得ることができる。この観点から見ると、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に酸化アルミニウム膜7aだけからなるサイドウォールを形成してもよいように思われる。しかし、この構成は、半導体基板1の削れを防止する観点から困難である。すなわち、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に酸化アルミニウム膜7aからなるサイドウォールを形成する場合、シリコンゲート電極6a、6bを含む半導体基板1上に酸化アルミニウム膜7を形成し、形成した酸化アルミニウム膜7を異方性ドライエッチングで除去する。これにより、シリコンゲート電極6a、6bの側壁にだけ酸化アルミニウム膜7aを形成することができる。ところが、酸化アルミニウム膜7はドライエッチングしにくく、酸化アルミニウム膜7をドライエッチングすることが可能な条件では、半導体基板1を構成するシリコンも削ってしまう。したがって、半導体基板1に削れが発生してしまう。これに対し、ウェットエッチングで酸化アルミニウム膜7を除去しようとすると、ウェットエッチングが等方性エッチングであるため、シリコンゲート電極6a、6bの側壁でも酸化アルミニウム膜7aが除去されてしまう。したがって、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に酸化アルミニウム膜7aだけからなるサイドウォールを形成することは、半導体基板1の削れを防止する観点から困難であることがわかる。
【0071】
以上より、ゲート絶縁膜5を構成する高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されることを防止する観点と半導体基板1の削れを防止する観点から、酸化アルミニウム膜7aと窒化シリコン膜8aとを積層形成した第1積層膜9をシリコンゲート電極6a、6bの側壁に形成することが必要であることがわかる。ここで、重要な点は、第1積層膜9を構成する膜の1つとして酸化アルミニウム膜7を選択したことにある。高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されることを抑制する目的と半導体基板1の削れを防止する目的を同時に達成するためには、酸素および窒素を透過させにくいという性質を有するとともに、ドライエッチングに対して高い耐性を示す必要がある。また、ウェットエッチングによって容易に除去できる性質を有する必要がある。このような性質を備える物質として、酸化アルミニウム膜7を見出して初めて本発明を想到することができる。
【0072】
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、シリコンゲート電極6aの側壁に形成された第1積層膜9に整合して浅いn型不純物拡散領域10を形成する。浅いn型不純物拡散領域10は、例えば、リンや砒素などのn型不純物を半導体基板1内に導入することにより形成することができる。
【0073】
浅いn型不純物拡散領域10は、高精度に形成された第1積層膜9の幅に整合して形成されるので、設計値通りに形成することが可能である。つまり、本実施の形態1によれば、ソース領域およびドレイン領域の一部を構成する浅いn型不純物拡散領域10を設計値通りに形成することが可能となり、半導体装置によって浅いn型不純物拡散領域10の位値がずれることによる電気的特性のばらつきを抑制することができる。
【0074】
同様に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、シリコンゲート電極6bの側壁に形成された第1積層膜9に整合して浅いp型不純物拡散領域11を形成する。浅いp型不純物拡散領域11は、例えば、ホウ素などのp型不純物を半導体基板1内に導入することにより形成することができる。
【0075】
浅いp型不純物拡散領域11は、高精度に形成された第1積層膜9の幅に整合して形成されるので、設計値通りに形成することが可能である。
【0076】
なお、本実施の形態1では、図8に示すように、第1積層膜9を形成した後に浅いn型不純物拡散領域10および浅いp型不純物拡散領域11を形成している。しかし、図7に示すように、酸化アルミニウム膜7を除去する前に浅いn型不純物拡散領域10および浅いp型不純物拡散領域11を形成してもよい。つまり、酸化アルミニウム膜7を介して不純物を半導体基板1内に導入するようにしてもよい。
【0077】
続いて、図10に示すように、半導体基板1上に酸化アルミニウム膜12および窒化シリコン膜13を形成する。酸化アルミニウム膜12は、例えば、ALD法を使用して形成することができ、窒化シリコン膜13は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。
【0078】
そして、図11に示すように、窒化シリコン膜13を異方性ドライエッチングにより除去する。これにより、第1積層膜9の外側に窒化シリコン膜13aを残存させ、それ以外の領域に形成されている窒化シリコン膜13を除去することができる。ここで、窒化シリコン膜13の下層には、酸化アルミニウム膜12が形成されており、この酸化アルミニウム膜12がエッチングストッパとして機能する。このため、酸化アルミニウム膜12の下部にある半導体基板1は保護され、半導体基板1の削れを防止することができる。また、窒化シリコン膜13は、オーバーエッチングにより充分に除去されるので、第1積層膜9の外側に形成される窒化シリコン膜13aが裾を引くことはなく、設計値通りの幅を高精度に実現できる。
【0079】
次に、図12に示すように、酸化アルミニウム膜12を例えば、希フッ酸を用いたウェットエッチングにより除去する。これにより、露出している酸化アルミニウム膜12は除去され、窒化シリコン膜13aに覆われている酸化アルミニウム膜12aだけが残存することになる。このようにして、第1積層膜9の外側に、酸化アルミニウム膜12aおよび窒化シリコン膜13aよりなる第2積層膜14を形成することができる。
【0080】
続いて、図13に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、シリコンゲート電極6aに形成された第2積層膜14に整合して深いn型不純物拡散領域15を形成する。深いn型不純物拡散領域15は、リンや砒素などのn型不純物を半導体基板1内に導入することにより形成することができる。この深いn型不純物拡散領域15も高精度に制御された第2積層膜14に整合して形成することができるので、設計値通りの位値に形成することが可能となる。
【0081】
同様に、シリコンゲート電極6bに形成された第2積層膜14に整合して深いp型不純物拡散領域16を形成する。深いp型不純物拡散領域16は、ホウ素などのp型不純物を半導体基板1内に導入することにより形成することができる。この深いp型不純物拡散領域16も高精度に制御された第2積層膜14に整合して形成することができるので、設計値通りの位値に形成することが可能となる。
【0082】
このようにして、nチャネル型MISFETにおいては、浅いn型不純物拡散領域10と深いn型不純物拡散領域15によりソース領域あるいはドレイン領域が形成される。pチャネル型MISFETにおいても、浅いp型不純物拡散領域11と深いp型不純物拡散領域16によりソース領域あるいはドレイン領域が形成される。
【0083】
この後、ソース領域あるいはドレイン領域に導入された不純物を活性化するために、半導体基板1に対して熱処理を施す。このとき、本実施の形態1では、半導体基板1に削れが発生していないため、半導体基板1内に不純物が導入されていない結晶領域が充分に存在する。したがって、不純物を導入することにより形成された結晶欠陥を、結晶領域を元にして充分に回復することができる。
【0084】
また、不純物の活性化のための熱処理を施しても、ゲート絶縁膜5の側壁を覆うように酸化アルミニウム膜7aが形成されているので、この酸化アルミニウム膜7aによって酸素あるいは窒素がゲート絶縁膜5に侵入することを抑制できる。したがって、ゲート絶縁膜5の上下界面に酸化シリコン膜が形成されることを抑制できる。
【0085】
次に、図14に示すように、半導体基板1上に酸化アルミニウム膜17および窒化シリコン膜18を形成する。酸化アルミニウム膜17は、例えば、ALD法を使用して形成することができ、窒化シリコン膜18は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。
【0086】
そして、図15に示すように、窒化シリコン膜18を異方性ドライエッチングにより除去する。これにより、第2積層膜14の外側に窒化シリコン膜18aを残存させ、それ以外の領域に形成されている窒化シリコン膜18を除去することができる。ここで、窒化シリコン膜18の下層には、酸化アルミニウム膜17が形成されており、この酸化アルミニウム膜17がエッチングストッパとして機能する。このため、酸化アルミニウム膜17の下部にある半導体基板1は保護され、半導体基板1の削れを防止することができる。また、窒化シリコン膜18は、オーバーエッチングにより充分に除去されるので、第2積層膜14の外側に形成される窒化シリコン膜18aが裾を引くことはなく、設計値通りの幅を高精度に実現できる。
【0087】
次に、図16に示すように、酸化アルミニウム膜17を例えば、希フッ酸を用いたウェットエッチングにより除去する。これにより、露出している酸化アルミニウム膜17は除去され、窒化シリコン膜18aに覆われている酸化アルミニウム膜17aだけが残存することになる。このようにして、第2積層膜14の外側に、酸化アルミニウム膜17aおよび窒化シリコン膜18aよりなる第3積層膜19を形成することができる。以上より、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に、第1積層膜9、第2積層膜14および第3積層膜19よりなるサイドウォール20を形成することができる。
【0088】
続いて、図17に示すように、半導体基板1上に絶縁膜21を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、シリコンゲート電極6a、6bを覆うように絶縁膜21をパターニングする。そして、半導体基板1上にニッケル膜22を形成する。ニッケル膜22は、例えばスパッタリング法を使用して形成することができる。その後、熱処理を施すことにより、ニッケル膜22とシリコンとを反応させて、深いn型不純物拡散領域15および深いp型不純物拡散領域16に図18に示すようなニッケルシリサイド膜23を形成する。このニッケルシリサイド膜23は、サイドウォール20に整合されて形成される。
【0089】
ニッケルシリサイド膜(金属シリサイド膜)23は、深いn型不純物拡散領域15および深いp型不純物拡散領域16の低抵抗化のために形成される。なお、ニッケルシリサイド膜に変えて、コバルトシリサイド膜やチタンシリサイド膜を形成してもよい。
【0090】
ここで、シリコンゲート電極6a、6bをポリシリコン膜から形成する場合は、以上の工程でnチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETを形成することができる。シリコンゲート電極6a、6bを使用する場合、本実施の形態1では説明しなかったが、nチャネル型MISFETのシリコンゲート電極6aにn型不純物を導入し、pチャネル型MISFETのシリコンゲート電極6bにp型不純物を導入してもよい。これにより、nチャネル型MISFETでは、シリコンゲート電極6aの仕事関数値をシリコンの伝導帯近傍にすることができる。一方、pチャネル型MISFETでは、シリコンゲート電極6bの仕事関数値をシリコンの価電子帯近傍にすることができる。このため、両方のMISFETでしきい値電圧を低減することができる。
【0091】
また、シリコンゲート電極6a、6bを使用する場合、シリコンゲート電極6a、6b上にも金属シリサイド膜を形成するようにしてもよい。このように構成することにより、シリコンゲート電極6a、6bの抵抗を低減することができる。具体的には、図17において、シリコンゲート電極6a、6b上に絶縁膜21を形成せずに、直接ニッケル膜22がシリコンゲート電極6a、6bに接するようにすれば、その後の熱処理によってシリコンゲート電極6a、6b上にニッケルシリサイド膜を形成することができる。
【0092】
なお、金属膜をゲート電極に用いる場合も、シリコンゲート電極6a、6bに変えて金属膜を使用する以外の工程はほぼ同様である。
【0093】
以下では、ゲート電極に金属シリサイド膜を用いる場合の製造工程について説明する。図18に示す工程を経た後、図19に示すように、半導体基板1上にシリコンゲート電極6a、6bを覆うように絶縁膜24を形成する。そして、絶縁膜24の表面を化学的機械的研磨法(CMP法)で研磨し、シリコンゲート電極6a、6bの表面を露出させる。続いて、絶縁膜24上に絶縁膜25を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、絶縁膜25をパターニングする。絶縁膜25のパターニングは、pチャネル型MISFET形成領域に絶縁膜25が残るように行なわれる。
【0094】
続いて、半導体基板1上にニッケル膜26を形成する。ニッケル膜26は、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。このとき、ニッケル膜26は、シリコンゲート電極6aと直接接する一方、シリコンゲート電極6b上には絶縁膜25が形成されているので、シリコンゲート電極6bとニッケル膜26は直接接しない。ニッケル膜26の厚さは、シリコンゲート電極6aをすべてシリサイド化するために充分な厚さが確保されている。
【0095】
次に、熱処理を施すことにより、シリコンゲート電極6aとニッケル膜26とを反応させて、ニッケルシリサイド膜よりなるゲート電極(フルシリサイド電極)27を形成する(図20参照)。その後、未反応のニッケル膜26および絶縁膜25を除去した後、図20に示すように、絶縁膜28を形成する。絶縁膜28は、nチャネル型MISFET形成領域上にだけ残存するようにパターニングされている。そして、半導体基板1上にプラチナ膜29を形成する。プラチナ膜29は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。このとき、プラチナ膜29は、シリコンゲート電極6bと直接接する一方、シリコンゲート電極6a上には絶縁膜28が形成されているので、シリコンゲート電極6aとプラチナ膜29は直接接しない。プラチナ膜29の厚さは、シリコンゲート電極6bをすべてシリサイド化するために充分な厚さが確保されている。
【0096】
続いて、熱処理を施すことにより、シリコンゲート電極6bとプラチナ膜29とを反応させて、プラチナシリサイド膜よりなるゲート電極(フルシリサイド電極)30を形成する。その後、未反応のプラチナ膜29、絶縁膜28および絶縁膜24を除去することにより、図21に示すように、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成することができる。なお、図20において、絶縁膜24を除去せずにそのまま層間絶縁膜として使用することも可能である。
【0097】
本実施の形態1によれば、nチャネル型MISFETのゲート電極27をニッケルシリサイド膜から形成し、pチャネル型MISFETのゲート電極30をプラチナシリサイド膜から形成している。ニッケルシリサイド膜の仕事関数値は、シリコンの伝導帯近傍の値を有しているとともに、プラチナシリサイド膜の仕事関数値は、シリコンの価電子帯近傍の値を有している。したがって、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方でしきい値電圧を低減することができる。
【0098】
なお、本実施の形態1では、深いn型不純物拡散領域15と深いp型不純物拡散領域16上にニッケルシリサイド膜23を形成する工程と、ニッケルシリサイド膜よりなるゲート電極27を形成する工程とを別工程で実施している。これは、深いn型不純物拡散領域15と深いp型不純物拡散領域16上に形成するニッケル膜22と、シリコンゲート電極6a上に形成するニッケル膜26の膜厚の差による。すなわち、深いn型不純物拡散領域15と深いp型不純物拡散領域16上に形成するニッケルシリサイド膜23は、深いn型不純物拡散領域15と深いp型不純物拡散領域16の表面領域にだけ形成されればよいのに対し、シリコンゲート電極6aに形成するニッケルシリサイド膜は、シリコンゲート電極6aのすべてをシリサイド化する必要がある。このため、一般的には、深いn型不純物拡散領域15と深いp型不純物拡散領域16上に形成するニッケル膜22の膜厚は相対的に薄く、シリコンゲート電極6a上に形成するニッケル膜26の膜厚は相対的に厚くなるので、別工程で実施している。しかし、シリコンゲート電極6aの微細化にともなって、シリコンゲート電極6a上に形成するニッケル膜26の膜厚を、深いn型不純物拡散領域15と深いp型不純物拡散領域16上に形成するニッケル膜22の膜厚と同程度でよいとする場合には、深いn型不純物拡散領域15と深いp型不純物拡散領域16上にニッケルシリサイド膜23を形成する工程と、シリコンゲート電極6a上に形成するニッケルシリサイド膜を形成する工程とを同一工程で実施してもよい。
【0099】
以上のようにして、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成することができる。次に、配線工程について説明する。図1に示すように、半導体基板1の主面上に窒化シリコン膜31および酸化シリコン膜32を形成する。この窒化シリコン膜31と酸化シリコン膜32によって層間絶縁膜が形成される。この窒化シリコン膜31および酸化シリコン膜32は、例えばCVD法を使用して形成することができる。その後、酸化シリコン膜32の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
【0100】
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、層間絶縁膜にコンタクトホール33を形成する。続いて、コンタクトホール33の底面および内壁を含む酸化シリコン膜32上にチタン/窒化チタン膜を形成する。チタン/窒化チタン膜は、チタン膜と窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜は、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有する。
【0101】
続いて、コンタクトホール33を埋め込むように、半導体基板1の主面の全面にタングステン膜を形成する。このタングステン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜32上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を例えばCMP法を除去することにより、プラグ34を形成することができる。
【0102】
次に、酸化シリコン膜32およびプラグ34上にチタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜、チタン/窒化チタン膜を順次、形成する。これらの膜は、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、これらの膜のパターニングを行い、配線35を形成する。さらに、配線35の上層に配線を形成するが、ここでの説明は省略する。このようにして、本実施の形態1における半導体装置を形成することができる。
【0103】
なお、本実施の形態1では、アルミニウム配線を形成する例について説明したが、例えば、ダマシン法による銅配線を形成してもよい。
【0104】
また、本実施の形態1では、サイドウォール20を第1積層膜9、第2積層膜14および第3積層膜19より構成したが、これに限らず、例えば、サイドウォール20を第1積層膜9および第2積層膜14から形成してもよいし、第1積層膜9だけから形成してもよい。
【0105】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、SOI基板にnチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETを形成する例について図面を参照しながら説明する。
【0106】
まず、SOI基板を用意する。SOI基板とは、絶縁体上に形成したシリコン単結晶を有する基板をいい、SIMOX(Silicon Implanted Oxide)と呼ばれるSOI基板や貼り合せ基板と呼ばれるSOI基板がある。SIMOXと呼ばれるSOI基板は、シリコンよりなる半導体基板に酸素を高エネルギー(〜180Kev)および高濃度でイオン注入した後、高温熱処理することにより、半導体基板の内部に埋め込み酸化膜を形成した基板である。貼り合せ基板と呼ばれるSOI基板は、表面に酸化シリコン膜を形成したシリコンよりなる半導体基板と、もう1枚のシリコンよりなる基板を酸化シリコン膜を介して熱圧着した後、片側の基板を途中まで研削・除去して作られた酸化シリコン膜上にシリコン単結晶層を有する基板である。MISFETをSOI基板上に形成することで、完全に素子分離することができ、また、ソース領域あるいはドレイン領域の容量を低減することができるため、集積密度や動作速度の向上、ラッチアップフリー化を実現できる利点がある。
【0107】
次に、SOI基板を用いた本実施の形態2におけるCMISFETの製造方法について説明する。図22にSOI基板の一例を示す。図22に示すように、シリコン単結晶よりなる半導体基板40内には、例えば、酸化シリコン膜よりなる埋め込み酸化膜41が形成されており、この埋め込み酸化膜41上にシリコン単結晶層42が形成されている。シリコン単結晶層42の膜厚は、素子分離工程前に基板の酸化、希フッ酸処理により、SOI膜厚を調整して、例えば10nm程度に調整する。このようなSOI基板は、例えばSIMOX基板や貼り合せ基板などから形成されている。
【0108】
続いて、シリコン単結晶層42に素子分離領域43を形成する。素子分離領域43は、例えば、STI法を使用して形成することができる。この素子分離領域43は、シリコン単結晶層42の下層に形成されている埋め込み酸化膜41にまで達している。このため、素子分離領域43で分離される活性領域を完全に分離することができる。
【0109】
その後、シリコン単結晶層42上に、例えば、高誘電率膜よりなるゲート絶縁膜5を形成し、形成したゲート絶縁膜5上にポリシリコン膜を形成する。ゲート絶縁膜5を構成する高誘電率膜は、例えば、ALD法やCVD法を用いて形成することができ、ポリシリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。
【0110】
そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜をパターニングし、シリコンゲート電極6a、6bを形成する。
【0111】
次に、図23に示すように、シリコンゲート電極6a、6bを含むシリコン単結晶層42上に酸化アルミニウム膜7と窒化シリコン膜8の積層膜を形成する。酸化アルミニウム膜7は、例えば、ALD法を使用して形成することができ、窒化シリコン膜8は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。酸化アルミニウム膜7は100℃〜500℃、典型的には200℃〜300℃という比較的低温で形成できるので、酸化アルミニウム膜7の形成工程において、ゲート絶縁膜5を構成する高誘電率膜の上下界面に酸化シリコン膜が形成されることを抑制できる。さらに、酸化アルミニウム膜7は、酸素および窒素の透過を抑制する性質を有しているので、酸化アルミニウム膜7上に窒化シリコン膜8を形成する工程において、高誘電率膜内に酸素が供給されることを抑制できる。このため、窒化シリコン膜8の形成工程において、ゲート絶縁膜5の膜厚が増加することを抑制できる。
【0112】
続いて、図24に示すように、窒化シリコン膜8を異方性ドライエッチングにより除去する。これにより、シリコンゲート電極6a、6bの側壁にだけ窒化シリコン膜8aが残存し、それ以外の領域の窒化シリコン膜8は除去される。ここで、窒化シリコン膜8の下層には、酸化アルミニウム膜7が形成されているので、この酸化アルミニウム膜7がエッチングストッパとして機能する。したがって、酸化アルミニウム膜7の下層に形成されているシリコン単結晶層42を保護することができ、シリコン単結晶層42の削れを防止できる。SOI基板では、シリコン単結晶42の膜厚が非常に薄いので、削れが発生すると、ソース領域およびドレイン領域の膜厚が薄くなって高抵抗化しやすくなる。さらには、削れ量が多いとソース領域あるいはドレイン領域を形成することが困難になる。しかし、本実施の形態2では、酸化アルミニウム膜7がエッチングストッパとして機能することから、非常に薄いシリコン単結晶層42の削れを防止することができるのである。この酸化アルミニウム膜7を設けたことによる効果は、SOI基板で顕著に現れる。
【0113】
また、酸化アルミニウム膜7がエッチングストッパとして機能することから、窒化シリコン膜8の異方性ドライエッチングは、充分なオーバーエッチングで実施することができる。このため、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に形成される窒化シリコン膜8aが裾を引くことを抑制でき、窒化シリコン膜8aの幅を高精度に設計値へ近づけることが可能となる。
【0114】
次に、図25に示すように、窒化シリコン膜8を除去することにより露出した酸化アルミニウム膜7を、希フッ酸を用いたウェットエッチングで除去する。これにより、シリコンゲート電極6a、6bの側壁に高精度に幅が調整された第1積層膜9を形成することができる。この第1積層膜9は、酸化アルミニウム膜7aと窒化シリコン膜8aとの積層膜で形成される。その後、第1積層膜9に整合して浅いn型不純物拡散領域10および浅いp型不純物拡散領域11を形成する。浅いn型不純物拡散領域10と浅いp型不純物拡散領域11とは、高精度に制御された第1積層膜9に整合して形成されているので、形成位置が高精度に制御される。
【0115】
続いて、図26に示すように、第1積層膜9を形成した方法と同様の方法を用いて、第1積層膜9の外側に第2積層膜14を形成する。この第2積層膜14は、酸化アルミニウム膜12aと窒化シリコン膜13aから形成されている。第2積層膜14も高精度に幅が調整されるように形成される一方、第2積層膜14の形成工程において、シリコン単結晶層42の削れも防止できる。その後、第2積層膜14に整合して深いn型不純物拡散領域15および深いp型不純物拡散領域16を形成する。この深いn型不純物拡散領域15と深いp型不純物拡散領域16も形成位置を高精度に制御できるので、複数の半導体装置において、素子特性のばらつきを抑制することができる。
【0116】
次に、図27に示すように、第1積層膜9および第2積層膜14を形成した方法と同様の方法を用いて、第2積層膜14の外側に第3積層膜19を形成する。この第3積層膜19は、酸化アルミニウム膜17aと窒化シリコン膜18aから形成されている。その後、この第3積層膜19の外側に形成されている深いn型不純物拡散領域15および深いp型不純物拡散領域16の表面にニッケルシリサイド膜23を形成する。
【0117】
続いて、図28に示すように、シリコンゲート電極6a、6bをシリサイド化して、nチャネル型MISFET形成領域にニッケルシリサイド膜からなるゲート電極27を形成し、pチャネル型MISFET形成領域にプラチナシリサイド膜からなるゲート電極30を形成する。その後、前記実施の形態1と同様にして配線層を形成する。このようにして、本実施の形態2における半導体装置を形成することができる。
【0118】
本実施の形態2では、SOI基板を使用しているが、半導体装置の製造工程において、SOI基板のシリコン単結晶層42の削れを防止できている。このため、非常に薄いシリコン単結晶層42に極浅のソース領域およびドレイン領域を形成することができる。極浅のソース領域およびドレイン領域を形成することによって、短チャネル効果を抑制できるので、本実施の形態2によれば、半導体装置のデバイス特性の向上を図ることができる。なお、本実施の形態2でも前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0119】
また、本実施の形態2では、浅いn型不純物拡散領域10と深いn型不純物拡散領域15を形成しているが、一種類のn型不純物拡散領域を形成する場合にも適用することができる。
【0120】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の構造を示す断面図である。
【図2】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図3】図2に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0123】
1 半導体基板
2 素子分離領域
3 p型ウェル
4 n型ウェル
5 ゲート絶縁膜
6a シリコンゲート電極
6b シリコンゲート電極
7 酸化アルミニウム膜
7a 酸化アルミニウム膜
8 窒化シリコン膜
8a 窒化シリコン膜
9 第1積層膜
10 浅いn型不純物拡散領域
11 浅いp型不純物拡散領域
12 酸化アルミニウム膜
12a 酸化アルミニウム膜
13 窒化シリコン膜
13a 窒化シリコン膜
14 第2積層膜
15 深いn型不純物拡散領域
16 深いp型不純物拡散領域
17 酸化アルミニウム膜
17a 酸化アルミニウム膜
18 窒化シリコン膜
18a 窒化シリコン膜
19 第3積層膜
20 サイドウォール
21 絶縁膜
22 ニッケル膜
23 ニッケルシリサイド膜
24 絶縁膜
25 絶縁膜
26 ニッケル膜
27 ゲート電極
28 絶縁膜
29 プラチナ膜
30 ゲート電極
31 窒化シリコン膜
32 酸化シリコン膜
33 コンタクトホール
34 プラグ
35 配線
40 半導体基板
41 埋め込み酸化膜
42 シリコン単結晶層
43 素子分離領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板と、
(b)前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
(c)前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
(d)前記ゲート電極の側壁に形成されたサイドウォールとを備え、
前記サイドウォールは、酸化アルミニウム膜と絶縁膜との積層膜で形成され、前記酸化アルミニウム膜は前記半導体基板と接する一方、前記絶縁膜は前記半導体基板と接しないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記サイドウォールは、前記積層膜を単位として多層形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記サイドウォールは、酸化アルミニウム膜と絶縁膜からなる積層膜より形成されており、前記積層膜に整合して前記半導体基板内に不純物拡散領域が形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記サイドウォールは、酸化アルミニウム膜と絶縁膜からなる第1積層膜と、前記第1積層膜上に形成され、酸化アルミニウム膜と絶縁膜からなる第2積層膜より形成されており、前記第1積層膜に整合して前記半導体基板内に浅い不純物拡散領域が形成され、前記第2積層膜に整合して前記半導体基板内に前記浅い不純物拡散領域よりも深く不純物が導入された深い不純物拡散領域が形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記サイドウォールには、前記第2積層膜上に形成され、酸化アルミニウム膜と絶縁膜からなる第3積層膜が形成されており、前記第3積層膜に整合して前記深い不純物拡散領域に金属シリサイド膜が形成されていることを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁膜は、前記酸化アルミニウム膜上に形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記絶縁膜は、窒化シリコン膜であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体基板は、SOI基板であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ゲート電極は、金属膜あるいは金属シリサイド膜から形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート電極のゲート長は、20nm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ゲート電極のゲート長は、10nm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項13】
(a)半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
(c)前記ゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する工程とを備え、
前記(c)工程は、
(c1)前記ゲート電極上を含む前記半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
(c2)前記酸化アルミニウム膜上に絶縁膜を形成する工程と、
(c3)前記ゲート電極の側壁にだけ前記絶縁膜を残す工程と、
(c4)前記(c3)工程を実施することにより露出した前記酸化アルミニウム膜を除去する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記(c3)工程は、異方性ドライエッチングで実施し、前記(c4)工程は、ウェットエッチングで実施することを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記絶縁膜は、窒化シリコン膜であることを特徴とする請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記(c1)工程は、ALD法で前記酸化アルミニウム膜を形成することを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記(c1)工程は、100℃以上500℃以下の温度で前記酸化アルミニウム膜を形成することを特徴とする請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記(c1)工程は、200℃以上300℃以下の温度で前記酸化アルミニウム膜を形成することを特徴とする請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記半導体基板は、SOI基板であることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜であることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
(a)半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記ゲート絶縁膜上にシリコンゲート電極を形成する工程と、
(c)前記シリコンゲート電極の側壁に第1積層膜を形成する工程と、
(d)前記第1積層膜に整合して前記半導体基板内に浅い不純物拡散領域を形成する工程と、
(e)前記シリコンゲート電極の側壁であって前記第1積層膜上に第2積層膜を形成する工程と、
(f)前記第2積層膜に整合して前記半導体基板内に前記浅い不純物拡散領域よりも深く不純物が導入された深い不純物拡散領域を形成する工程と、
(g)前記シリコンゲート電極の側壁であって前記第2積層膜上に第3積層膜を形成する工程と、
(h)前記第3積層膜に整合して前記深い不純物拡散領域に第1金属シリサイド膜を形成する工程を備え、
前記第1積層膜、前記第2積層膜および前記第3積層膜の形成工程は、それぞれ、
(i1)前記シリコンゲート電極上を含む前記半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
(i2)前記酸化アルミニウム膜上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(i3)前記第1絶縁膜を異方性ドライエッチングにより前記シリコンゲート電極の側壁にだけ前記第1絶縁膜を残す工程と、
(i4)前記(i3)工程により露出した前記酸化アルミニウム膜をウェットエッチングにより除去する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
さらに、
(j)前記(h)工程後、前記半導体基板上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(k)前記第2絶縁膜の表面に前記シリコンゲート電極を露出する工程と、
(l)前記シリコンゲート電極上を含む前記第2絶縁膜上に金属膜を形成する工程と、
(m)前記金属膜と前記シリコンゲート電極を反応させて第2金属シリサイド膜からなるゲート電極を形成する工程を備えることを特徴とする請求項21記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記第1金属シリサイド膜と前記第2金属シリサイド膜は同じ種類の膜であることを特徴とする請求項22記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記(h)工程は、前記シリコンゲート電極にも前記第1金属シリサイド膜を形成し、前記第1金属シリサイド膜からなるゲート電極を形成することを特徴とする請求項22記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2007−305819(P2007−305819A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133213(P2006−133213)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】