説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】デバイス特性の制御性に優れた半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本実施の形態の半導体装置は、シリコン基板101上にMOSトランジスタを備える半導体装置であって、MOSトランジスタは、シリコン基板101上にゲート絶縁膜203を介して設けられたゲート電極(メタル電極206)と、ゲート電極(メタル電極206)の両脇の前記シリコン基板の表面近傍に設けられソース領域106およびドレイン領域109と、ソース領域106およびドレイン領域109に接するように、ゲート電極直下のシリコン基板101中に設けられた、チャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)と、を備え、チャネル領域が、シリコンと異なる異種半導体(ゲルマニウム)を含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effective Transistor)という形態のトランジスタを有する半導体装置においては、チャネル部分にシリコンを用いてきた。
近年、MOSFETのオン電流を向上させるために、電子、あるいは、正孔の移動度を増加させる技術が注目を集めている。高い移動度を有するチャネル構造とすることで、トランジスタをより高速で動作させ、駆動電流を増大させることができる。また、より低い電圧で、これまでと同じ電流を流すことができるので、半導体装置の低消費電力化を実現することができる。移動度を増加させる技術としては、大きく、チャネル部分に新材料を導入する方法、チャネルに歪みを掛ける方法、そして、チャネルの面方位を変える方法の3つがある。
【0003】
MOSFETのチャネル部分に新材料を用いる方法としては、基板全体に高移動度を有する材料を成長させる方法と、素子分離工程の後に、露出したシリコン拡散層上にのみ高移動度を有する材料を成長させる2つの方法が知られている。
前者の方法として、例えば非特許文献1では、SOI基板上にSiGeを成長させ、その後に酸化雰囲気にてSiGe層を酸化させることで高いGe濃度を有するSiGe層を得る方法が記載されている。具体的には、SiGe層中のSiが選択的に酸化されることを利用して、Geを濃縮させる。酸化の後、表面に形成されたSiO2層を除去して、高Ge濃度を有するSiGe層を作成することが可能となる。この基板を用いることで、SiGeチャネルを有するMOSFETを作成することができる。
一方、後者の方法として、例えば非特許文献2、3では、PMOSのチャネル領域にGeを成長させることでホール移動度を向上させることを提案している。また、非特許文献4では、NMOSチャネル領域にInGaAsを成長させることで電子移動度を向上させる方法が記載されている。
【0004】
次に、MOSFETのチャネル部分に歪を掛ける方法としては、あらかじめ歪のかかったシリコン層を有するシリコン基板を用いる方法と、MOSFETの製造プロセスの途中でプロセス歪と呼ばれる歪を加える方法の2つがある。
前者の例として、特許文献1に開示されているように、シリコン基板上に格子緩和したシリコン・ゲルマニウムを成長させて、その上にシリコン・ゲルマニウムに格子整合したシリコンを成長させた基板を用いる方法が知られている。
一方、後者の例として、特許文献2には、シリコン窒化膜を用いてチャネル部分に歪をかける方法が開示されている。また、特許文献3にはp型のMOSFETにおいて、ソース/ドレイン部分をシリコン・ゲルマニウムにすることによって歪をかける方法が開示されている。
【0005】
チャネルの面方位を変える方法として、非特許文献5では、NMOS側に従来のシリコン(100)面、PMOS側にシリコン(110)面を適用することを提案している。具体的には、選択エピタキシャル法を用いることで、同一ウェハ上に、NMOS、PMOSそれぞれに異なる面方位を作成することが記載されている。(110)面上におけるホール移動度は、(100)面上よりも高いことから、PMOS側の特性を向上させることが可能となる。
【0006】
なお、特許文献4および5には、化合物半導体基板を用い、この基板中のチャネル部分に歪をかける半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−356164号公報
【特許文献2】特開2002−198368号公報
【特許文献3】特開2006−019727号公報
【特許文献4】特開2007−103729号公報
【特許文献5】特開2007−149848号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】T.Tezuka、et al、「Novel fully−depleted SiGe−on−insulator pMOSFETs with high−mobility SiGe surface channels」 IEDM Technical Digest、pp.946−948 (2001)
【非特許文献2】H.Shang、et al、「Selectively Formed High Mobility Strained Ge PMOSFETs for High Performance CMOS」 IEDM Technical Digest、pp.157−160 (2004)
【非特許文献3】O.Weber、et al、「Strained Si and Ge MOSFETs with High−K/Metal Gate Stack for High Mobility Dual Channel CMOS」 IEDM Techical Digenst、pp.137−140(2005)
【非特許文献4】N.Goel、et al、「Addressing The Gate Stack Challenge For High Mobility InxGa1−xAs Channels For NFETs」 IEDM Technical Digest,pp.363−366(2008)
【非特許文献5】M.Yang、et al、「High Performance CMOS Fabricated on Hybrid Substrate With Different Crystal Orientations」 IEDM Technical Digest, pp.453−456(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、従来のシリコンプロセスが適用できず、汚染への対策が必要となることがあった。また、上記文献記載の従来技術は、デバイス特性を向上させることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
シリコン基板上にMOSトランジスタを備える半導体装置であって、
前記MOSトランジスタは、
前記シリコン基板上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極の両脇の前記シリコン基板の表面近傍に設けられたソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域に接するように、前記ゲート電極直下の前記シリコン基板中に設けられた、チャネル領域と、を備え、
前記チャネル領域が、シリコンと異なる異種半導体を含む、半導体装置が提供される。
【0011】
本発明によれば、
シリコン基板上に第1のダミーゲート電極を設ける工程と、
前記第1のダミーゲート電極の両脇の前記シリコン基板の表面近傍に、ソース領域およびドレイン領域を設ける工程と、
前記第1のダミーゲート電極を埋め込むように、前記シリコン基板上に層間絶縁膜を設けるとともに、前記層間絶縁膜を研磨して前記第1のダミーゲート電極の上部を露出させる工程と、
前記第1のダミーゲート電極をエッチングにより除去した後、引き続き、前記シリコン基板をエッチングにより除去して、前記シリコン基板に第1の凹部を設ける工程と、
前記第1の凹部の内部にシリコンと異なる第1の異種半導体を含む半導体結晶を成長させ、前記第1の異種半導体を含む第1のチャネル領域を形成する工程と、
前記第1のチャネル領域上に、第1のゲート絶縁膜を介して第1のゲート電極を設ける工程と、を含む、半導体装置の製造方法が提供される。
【0012】
シリコン基板中に、シリコンと異なる異種半導体を含むチャネル領域が設けられているため、チャネル領域中のキャリア移動度を制御できる。
また、シリコンプロセスが適用できるので、汚染への対策が不要となり、デバイス特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、デバイス特性に優れた半導体装置およびその製造方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図13】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図14】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図15】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図16】本発明の実施の形態における半導体装置の構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施の形態における半導体装置の構成を模式的に示す。図2〜図12は、第1の実施の形態の半導体装置の製造工程の手順を模式的に示す。これらの図は、半導体装置の電界効果型トランジスタのチャネル長方向(ゲート電極の延設方向に対して直交方向)に沿った断面図を示している。
【0016】
本実施の形態の半導体装置は、シリコン基板101上にMOSトランジスタを備えるものであり、MOSトランジスタは、シリコン基板101と、シリコン基板101上にゲート絶縁膜203を介して設けられたゲート電極(メタル電極206)と、ゲート電極(メタル電極206)の両脇のシリコン基板の表面近傍に設けられたソース領域106およびドレイン領域109と、ソース領域106およびドレイン領域109に接するように、ゲート電極直下のシリコン基板101中に設けられた、チャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)と、を備え、チャネル領域が、シリコンと異なる異種半導体(ゲルマニウム)を含むものである。
また、本実施の形態は、図1に示すように、素子分離領域102、エクステンション領域105、ゲートサイドウォール107および層間絶縁膜108を備える。
第1の実施形態では、チャネル領域にゲルマニウム・カーボンを用いた場合を一例として説明する。
【0017】
図1に示すように、第1の実施の形態の半導体装置は、2つの電界効果型トランジスタを備える。半導体装置のシリコン基板101(同一の基板)上には、電界効果型トランジスタとして、NチャネルMOSトランジスタ(以下、NMOSと称されることもある)およびPチャネルMOSトランジスタ(以下、PMOSと称されることもある)が設けられている。これらのNMOS領域001とPMOS領域002の間には、シャロートレンチアイソレーション(STI)による素子分離領域102が設けられている。
【0018】
NMOSトランジスタは、ゲート電極(NMOSメタル電極205、メタル電極206)、第1のチャネル領域、ソース領域106、ドレイン領域109により構成されている。一方、PMOSトランジスタは、ゲート電極(PMOSメタル電極204、NMOSメタル電極205およびメタル電極206)、第2のチャネル領域、ソース領域106、ドレイン領域109により構成されている。本実施の形態では、ソース領域106およびドレイン領域109にはシリサイドが形成されている。
【0019】
また、ゲート電極直下のシリコン基板101中には、チャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)が設けられている。チャネル領域は、ソース領域106およびドレイン領域109に接するように、設けられている。チャネル領域の上面は、シリコン基板101の上面と略同一平面を構成している(ただし、製造工程の誤差に起因して、シリコン基板101の表面(基準面)より、チャネル領域の上面が高くなる場合、低くなる場合のいずれも、本実施の形態は許容する)。
ここで、本実施の形態では、ソース領域106およびドレイン領域109には、エクステンション領域105が含まれている。
【0020】
本実施の形態においては、NMOS領域001とPMOS領域002とチャネル領域は、同種のゲルマニウム・カーボン単結晶膜202から構成されている。また、ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202中のカーボンに対するゲルマニウム比率(以下、Ge/CまたはGe/C比率という)は7.5以上、8.5以下の範囲内である。ここで言うチャネル領域とは、電界効果トランジスタが動作する時に、このチャネル領域内にチャネルができて電流が流れる、という意味であって、必ずしもこのチャネル領域すべてがチャネルになるという意味ではない。
【0021】
本実施の形態では、ゲート電極の延設方向に対する直交方向において、チャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)の断面形状は、矩形である。チャネル領域の断面形状(シリコン基板とチャネル領域との境界)については、電子顕微鏡で判別することができる。
また、本実施の形態では、ゲート絶縁膜203は、ゲート電極の側壁および下部を覆うように設けられている。図1に示すように、メタル電極206の延設方向に対して直交方向(チャネル長方向)において、ゲート電極(第1ゲート電極または第2ゲート電極)およびゲート絶縁膜203の合計幅と、チャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)のチャネル長とが同一である(ここで、本実施の形態において、同一とは、製造工程の誤差を含むものとする)。このような、合計幅およびチャネル長は、電子顕微鏡により測定できる。ここで、チャネル長とは、図1において、ゲート絶縁膜203とチャネル領域202が接する界面領域の幅と定義する。メタル電極206の延設方向に対して直交方向において、チャネル長の物理的な長さを(x)とし、ゲート電極の幅を(y)、ゲート絶縁膜の幅を(z)とする。(i)直交方向に見たとき、ゲート電極およびゲート電極の側壁に設けられたゲート絶縁膜203が重なるように構成されている場合には、x=z+y+zとなる。(ii)一方、直交方向に見たとき、チャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)直上に設けられたゲート絶縁膜203のみが構成されている場合には、x=z(ここで、y=0)となる。
また、シリコン基板101に対して垂線方向から見たとき、ゲート電極(第1ゲート電極または第2ゲート電極)およびゲート絶縁膜203の合計領域の外周部と、チャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)の外周部とが重なるように設けられている。さらに、これらの外周部の側壁が、略同一平面を構成している。
【0022】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について、説明する。
本実施の形態の半導体装置の製造方法は、シリコン基板101上に第1のダミーゲート電極(ポリシリコン104)を設ける工程と、第1のダミーゲート電極の両脇のシリコン基板101の表面近傍に、ソース領域106およびドレイン領域109を設ける工程と、第1のダミーゲート電極を埋め込むように、シリコン基板101上に層間絶縁膜108を設けるとともに、層間絶縁膜108を研磨して第1のダミーゲート電極の上部を露出させる工程と、第1のダミーゲート電極をエッチングにより除去した後、引き続き、シリコン基板101をエッチングにより除去して、シリコン基板101に第1の凹部200を設ける工程と、第1の凹部200の内部にシリコンと異なる第1の異種半導体を含む半導体結晶(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)を成長させ、第1の異種半導体を含む第1のチャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)を形成する工程と、第1のチャネル領域上に、第1のゲート絶縁膜(ゲート絶縁膜203)を介して第1のゲート電極(メタル電極206)を設ける工程と、を含むものである。
まず、シリコン基板101に素子分離領域102を形成し(図2)、シリコン基板101上に、シリコン酸化膜103(ダミーゲート絶縁膜)およびポリシリコン104を堆積する(図3)。続いて、エッチングをおこない、二つのダミーゲート(シリコン酸化膜103およびポリシリコン104)を形成する(図4)。このとき、第1のダミーゲート電極および第2のダミーゲート電極(各ダミーゲート電極)を離間して、シリコン基板101上に形成する。
【0023】
続いて、第1および第2のダミーゲート電極の両脇のシリコン基板101の表面近傍に、エクステンション領域105を形成し、第1および第2のダミーゲート電極の側壁にゲートサイドウォール107形成するとともに、ソース領域106およびドレイン領域109には、イオン注入してシリサイドを形成する。そして、図5に示した構造が得られる。このように、本実施の形態の製造工程には、従来のシリコンプロセスを適用することができる。
【0024】
続いて、第1および第2のダミーゲート電極を埋め込むように、シリコン基板101上に層間絶縁膜108を形成するとともに、ケミカルメカニカルポリッシングを行うことで、層間絶縁膜108を研磨して第1および第2のダミーゲート電極(ポリシリコン104)の上部を露出させる(図6)。続いて、ウェットエッチングにより、第1および第2のダミーゲート電極(シリコン酸化膜103およびポリシリコン104)を選択的に除去する。これにより、チャネル予定領域(第1のチャネル予定領域および第2のチャネル予定領域)のシリコン基板101の表面を露出させる(図7)。このとき、露出しているシリコン基板101表面上には、第1の孔112および第2の孔110が設けられている。
【0025】
続いて、ドライエッチング法により、シリコン基板101を除去して、第1の凹部200および第2の凹部201を形成する。このようにして、図8に示す構造が得られる。
このとき、図8に示すように、第1のダミーゲート電極が除去された部分のゲートサイドウォール107の側壁と、第1の凹部200の側壁とが、略同一平面を構成している。つまり、第1の孔112の側壁と第1の凹部200の側壁とが、略同一平面を構成している。ただし、本実施の形態は、側壁の一部、あるいは、凹領域(第1の凹部200、第2の凹部201)の側壁がテーパー形状となっている場合も許容する。
【0026】
続いて、第1の凹部200および第2の凹部201(チャネル形成予定領域)のシリコン表面を清浄化し、これらの凹部の内部に、同種のゲルマニウム・カーボン単結晶膜202をエピタキシャル成膜する(図9)。
このとき、チャネル領域の上面は、シリコン基板101の上面と同一平面となるように形成する。また、ゲート置換プロセスにより、チャネル領域は、シリコン基板101中のソース領域106およびドレイン領域109のエクステンション領域105に接するように形成する。
このように、本実施の形態のチャネル領域は、シリコン基板101に設けられた凹部(第1の凹部200、第2の凹部201)に埋め込まれている。そのため、矩形の凹部を形成することにより、チャネル領域の断面形状を、矩形とすることができる。
ここで、NMOS領域001中のゲルマニウム・カーボン単結晶膜202とPMOS領域002中のゲルマニウム・カーボン単結晶膜202を同じGe/C比率にする。本工程では、Ge/C比率を8±0.5の範囲となるように調整する。
【0027】
ここで、本実施の形態のエピタキシャル法にて、Ge/C比率を制御する方法について説明する。
本実施の形態のエピタキシャル成長には、たとえばCVD法を用いることができる。このとき、成長ガスとして、Geを含む第1の原料ガス、Siを含む第2の原料ガス、Cを含む第3の原料ガスおよびキャリアガス等を用いる。
そして、第1の原料ガス〜第3の原料ガスの流量比を適宜調整することで、カーボン原子やゲルマニウム原子の濃度について制御することが可能である。これにより、Ge/C比率を制御できる。
本実施の形態では、たとえば、GeとCとの組成比が、8:1となるように、上記Geを含む第1の原料ガスおよびCを含む第3の原料ガス等の流量比を調整する。
ここで、第1の原料ガスとしては、ゲルマンガス(GeH)等を用いることができる。Siを含む第2の原料ガスとしては、塩素系シランガス(例:SiHCl)、SiH等を用いることができる。第3の原料ガスとしては、C等を用いることができる。これらを単独または併用することができる。キャリアガスは水素等を用いてもよい。この他、メチルシランガス(SiHCH)、塩化水素(HCl)等について他の原料ガスを組み合わせてもよい。
なお、本工程では、エピタキシャル成長において、処理時間、基板温度、圧力、等を適宜調整する。
【0028】
また、本実施の形態では、チャネル領域中の金属元素や炭素原子の原子濃度は、例えば、XRD(X−ray Diffraction)、EELS(Elctron Energy Loss Spectroscopy)やSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)等のその他の分析手法を用いても測定することができる。得られた結果から、Ge/C比率が算出される。
【0029】
続いて、チャネル領域上の第1の孔112および第2の孔110の内部に、ゲート絶縁膜203、PMOSメタル電極204を形成する(図10)。続いて、NMOS領域001では、PMOSメタル電極204を除去し(図11)、ゲート絶縁膜203上にNMOSメタル電極205およびメタル電極206を成膜する(図12)。
このように、チャネル領域の直上において層間絶縁膜108に設けられた孔(第1の孔112、第2の孔110)中に、ゲート絶縁膜203が設けられている。すなわち、本実施の形態では、ゲート絶縁膜203は、孔(第1の孔112または第2の孔110)の底部(チャネル領域の直上部分が底部に相当する)および側壁(ゲートサイドウォール107の側壁部分に相当する)に設けられている。
ここで、本実施の形態においては、ゲート絶縁膜203としてはハフニウムシリコン窒化酸化膜、PMOSメタル電極204としては窒化チタン膜、NMOSメタル電極205としは窒化アルミ膜を用いる。これにより、良好な特性を有するMOSFETを作成することが可能となる。
この後、ケミカルメカニカルポリッシングにより、表面を平坦化する。
以上により、図1に示す、第1の実施の形態の半導体装置を得ることができる。
【0030】
本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においては、ゲート置換プロセスを用いて、シリコン基板101中に、シリコンと異なる異種半導体を含むチャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202)が形成されている。つまり、シリコン基板101上のダミーゲート電極を除去するとともに、さらにシリコン基板101表面のチャネル予定領域を除去する。この後、シリコンと異なる異種半導体を含むチャネル領域を形成するとともに、このチャネル領域上に新たなゲート電極を形成している。
このように、本実施の形態においては、シリコン基板101中に、シリコンと異なる異種半導体を含むチャネル領域が形成されているので、移動度等のデバイス特性の制御性に優れた、半導体装置を得ることができる。
【0031】
本実施の形態の製造工程においては、シリコン以外の異種半導体材料を含むチャネル領域が露出することを抑制している。すなわち、本実施の形態のゲート置換プロセスを用いることで、チャネル領域に用いるゲルマニウム・カーボン単結晶膜202が露出するプロセスは、ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202を成膜した後からゲート絶縁膜203を成膜する工程の間だけとなる。このため、従来のシリコンプロセスとの親和性が高くなり、シリコンプロセスで用いてきた設備を使用することが可能となる。
【0032】
さらに、本実施の形態のチャネル領域が形成される間は、チャネル形成予定領域のみシリコン基板101の表面が露出する。つまり、チャネル形成予定領域上の第1の孔112または第2の孔110以外の領域においては、シリコン基板101の表面は層間絶縁膜108等で覆われている。これにより、チャネル領域形成工程中に、チャネル領域中の上記異種半導体がシリコン基板101を汚染することを抑制することができる。このため、デバイス特性を向上させることができ、信頼性に優れた半導体装置が実現される。
【0033】
本実施の形態においては、置換ゲートプロセスを用いて、既存のプロセスライン設備をそのまま使用できる点、安価なシリコン基板を用いることができる点から、低コストで生産が可能となる。
【0034】
さらに、本実施の形態のチャネル領域として、ゲルマニウム・カーボン単結晶膜202を用いている。これにより、チャネル領域に発生するホールの有効質量がシリコンのホールの有効質量よりも軽くなり、一方チャネル領域に発生する電子の有効質量がシリコンの電子の有効質量よりも軽くなる。
すなわち、本実施の形態では、NMOSトランジスタの第1のチャネル領域にシリコンよりも電子の有効質量が軽い材料を用い、PMOSトランジスタの第2のチャネル領域にシリコンよりもホールの有効質量が軽い材料をそれぞれ適用している。これにより、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタとの両方の特性を向上させることが可能になる。
【0035】
本実施の形態において、Ge/C比率を8とすることで(8±0.5の範囲は許容される)、ゲルマニウム・カーボンの格子定数は、シリコン結晶の格子定数と良く整合する。その結果、チャネル領域には、歪がなく、且つ、欠陥密度の少ない良好なゲルマニウム・カーボン単結晶膜202が形成される。これにより、デバイス特性を向上させることができ、信頼性に優れた半導体装置が実現される。
【0036】
以上、シリコン基板を用い、チャネル領域に高移動度を有する材料を用いること、且つ、置換ゲートプロセスを用いることで、従来のMOSFETよりも、高速化と低消費電力化とを低コストで製造することができる。このように、本実施の形態によれば、良好な特性を有するMOSFETを作成することが可能となる。
【0037】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、NMOS領域001とPMOS領域002それぞれに対して、Ge/C比率の異なる第1のチャネル領域と第2のチャネル領域を用いた点が異なる以外は、第1の実施形態と同様である。
【0038】
図16は、第2の実施の形態における半導体装置の構成を模式的に示す。図13〜図15は、第2の実施の形態の半導体装置の製造工程の手順を模式的に示す。これらの図は、半導体装置の電界効果型トランジスタのチャネル長方向に沿った断面図を示している。
【0039】
図16に示すように、NMOS領域001には、第1のチャネル領域としてゲルマニウム・カーボン単結晶膜304が設けられている。ゲルマニウム・カーボン単結晶膜304のGe/C比率は、8.0よりも小さい値とする。このように、シリコン原子より原子半径が小さい炭素原子の濃度を高くすると、第1のチャネル領域中の結晶の格子定数は、シリコン基板結晶の格子定数より小さくなるため、第1のチャネル領域と接しているシリコン基板101から反作用が加わることになる。そのため、第1のチャネル領域には、ソース領域106およびドレイン領域109間のチャネル方向に引っ張り応力が加わる。つまり、第1のチャネル領域のシリコン基板101近傍の応力は、チャネル方向に対して引っ張り応力となる。
【0040】
一方、PMOS領域002には、第2のチャネル領域としてゲルマニウム・カーボン単結晶膜302が設けられている。ゲルマニウム・カーボン単結晶膜302のGe/C比率は、8.0よりも大きい値とする。このように、シリコン原子より原子半径が大きいゲルマニウム原子の濃度を高くすると、第2のチャネル領域中の結晶の格子定数は、シリコン基板結晶の格子定数より大きくなるため、第2のチャネル領域と接しているシリコン基板101部分から反作用が加わることになる。そのため、第2のチャネル領域には、ソース領域106およびドレイン領域109間のチャネル方向に圧縮応力が加わる。つまり、第2のチャネル領域のシリコン基板101近傍の応力は、チャネル方向に対して圧縮応力となる。
【0041】
また、図16に示すように、第2の実施の形態では、ゲート絶縁膜が多層構造を有している。つまり、NMOS領域001では、第1のゲート絶縁膜は、ゲルマニウムナイトライド膜305およびハフニウムシリケート酸窒化膜306から構成され、PMOS領域002では、第2のゲート絶縁膜は、ゲルマニウムナイトライド膜303およびハフニウムシリケート酸窒化膜306から構成されている。また、NMOS領域001では、第1のゲート電極は、メタル電極308、NMOSメタル電極309から構成され、PMOS領域002では、第2のゲート電極は、PMOSメタル電極307、メタル電極308、NMOSメタル電極309から構成されている。
【0042】
次に、第2の実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
本実施の形態の製造工程において、上記電極を設ける工程は、第1のダミーゲート電極と離間して、シリコン基板101上に第2のダミーゲート電極をさらに設ける工程を含み、上記露出させる工程は、第1のダミーゲート電極および前記第2のダミーゲート電極を埋め込むように、シリコン基板101上に層間絶縁膜108を設けるとともに、層間絶縁膜108を研磨して第1のダミーゲート電極および第2のダミーゲート電極の上部を露出させる工程であり、上記凹部を設ける工程は、第1のダミーゲート電極および第2のダミーゲート電極をエッチングにより除去した後、引き続き、シリコン基板101をエッチングにより除去して、シリコン基板101に第1の凹部200および第2の凹部201を設ける工程であり、上記チャネル領域を形成する工程は、少なくとも第1の凹部200に保護膜(マスク301)を設けた状態で、第2の凹部201の内部にシリコンと異なる第2の異種半導体を含む半導体結晶を成長させ、前記シリコンと異なる第2の異種半導体を含む第2のチャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜302)を形成するとともに、第2のチャネル領域上に第2の絶縁膜(ゲルマニウムナイトライド膜303)を設けた状態で、保護膜(マスク301)を除去して、第1の凹部200の内部に第1のチャネル領域(ゲルマニウム・カーボン単結晶膜304)を形成する工程であり、上記ゲート電極を設ける工程は、第2のチャネル領域上に、第2のゲート絶縁膜(ゲルマニウムナイトライド膜303およびハフニウムシリケート酸窒化膜306)を介して第2のゲート電極(PMOSメタル電極307)を設ける工程を、含むものである。
まず、第1の実施の形態と同様にして、図8に示す構造を得る。図8に示すように、NMOS領域001には、シリコン基板101表面に、第1の凹部200が設けられており、一方PMOS領域002には、シリコン基板101表面に、第2の凹部201が設けられている。
【0043】
続いて、図13に示すように、NMOS領域001をマスク301して(つまり、少なくとも第1の孔112の内壁、第1の凹部200の内壁および底部にマスク301(保護膜)を形成して)、PMOS領域002の第2の凹部201(第2のチャネル予定領域)の内部にのみ、ゲルマニウム・カーボン単結晶膜302(第2のチャネル領域)をエピタキシャル成長させる。このとき、第2のチャネル領域において、圧縮応力が掛かるように、Ge/C比率を8.0よりも大きい値とする。次に、プラズマ窒化処理により、第2のチャネル領域の表面にゲルマニウムナイトライド膜303を形成する(図13)。
【0044】
続いて、NMOS領域001のマスク301を取り除き、NMOS領域001を露出させる。露出したシリコン表面をフッ酸処理した後、第1の凹部200(第1のチャネル形成予定領域)の内部のみに、ゲルマニウム・カーボン単結晶膜304をエピタキシャル法にて成膜する(図14)。このとき、第1のチャネル領域において、引っ張り応力が掛かるように、Ge/C比率を8.0よりも小さい値とする。
また、PMOS領域002の第2のチャネル領域上には、ゲルマニウムナイトライド膜303が設けられている。そのため、NMOS領域001(第1の孔112および第1の凹部200内部)のみを選択的にフッ酸処理することができる。さらには、引っ張り応力を有するゲルマニウム・カーボン単結晶膜304をNMOS領域001(第1の凹部200内部)に選択的に成膜することが可能となる。
【0045】
ここで、上述の通り、第1の原料ガスおよび第3の原料ガスの流量比を適宜調整することで、カーボン原子やゲルマニウム原子の濃度について制御することが可能である。これにより、Ge/C比率を制御できる。
本実施の形態では、たとえば、Cに対するGeの組成比が、8より大きくまたは、8より小さくなるように、上記Geを含む第1の原料ガスおよびCを含む第3の原料ガス等の流量比を調整する。
【0046】
続いて、プラズマ窒化処理により、NMOS領域001表面にゲルマニウムナイトライド膜305を形成する(図14)。続いて、シリコン基板101上の前面に、ハフニウムシリケート酸窒化膜306、PMOSメタル電極307を成膜する(図15)。その後、図11および図12に示す、第1の実施形態の工程と同じ方法を用いて、図16に示す、第2の実施の形態の半導体装置を得ることができる。
【0047】
第2の実施の形態では、Ge/C比率を適宜調整することで、チャネル領域に歪を掛けることが可能となる。ゲルマニウムとカーボンの比率を8.0よりも大きくすれば、チャネル部分に圧縮応力を作用させることが可能となり、ホール移動度をさらに向上させることができる。一方、ゲルマニウムとカーボンの比率を8.0よりも小さくすれば、チャネル部分に引っ張り応力を作用させることが可能となる。このように、Ge/C比率の比率を調整することで、電子移動度、ホール移動度がさらに向上できる。これにより、デバイス特性を向上させることができる。
【0048】
そこで、第2の実施の形態においては、NMOS領域001では、Ge/C比率を8.0よりも小さい値とする。これにより、NMOSトランジスタのチャネル領域に引っ張り応力が掛かり、チャネル領域の電子の移動度がさらに向上する。一方、PMOS領域002では、Ge/C比率を8.0よりも大きい値とする。これにより、PMOSトランジスタのチャネル領域に圧縮応力が掛かり、チャネル領域のホールの移動度がさらに向上する。このように、第2の実施の形態においては、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの両方の特性をさらに向上させることが可能になる。
【0049】
また、本実施の形態では、NMOSトランジスタのチャネル領域にシリコンよりも電子の有効質量が軽い材料を用い、PMOSトランジスタのチャネル領域にシリコンよりもホールの有効質量が軽い材料をそれぞれ適用することができる。これにより、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの両方の特性を一層向上させることができる。このように、良好な特性を有するMOSFETを作成することが可能となる。
【0050】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、ゲート絶縁膜の工程において、酸化膜、酸窒化膜、あるいは、ランタンオキサイド膜、ジルコンオキサイド膜等のHigh−kゲート絶縁膜、あるいは、それら絶縁膜を積み重ねた積層構造を用いてもよい。
【0051】
本実施の形態では、ゲルマニウム・カーボンの代わりに、シリコン・ゲルマニウムを用いてもよい。これにより、チャネル領域中のシリコンとゲルマニウムとの比率を調整することで、圧縮応力を有するチャネル領域を形成することができる。また、シリコン・ゲルマニウム・カーボンを用いても、ゲルマニウム原子と炭素原子との組成比を調整することで、ゲルマニウム・カーボンと同様に、歪の無いチャネル領域または歪が有るチャネル領域を形成できる。または、ゲルマニウムを用いても、圧縮応力を有するチャネル領域を形成することができる。
このようなチャネル領域を用いることで、電解効果型トランジスタの移動度をさらに増大させることができる。以上により、本実施の形態の半導体装置において、移動度等のデバイス特性を良好に制御することができる。
【0052】
ここで、上記文献記載の従来技術は、デバイス特性を十分に向上させることが、困難であった。
これに対して、本実施の形態においては、Ge/C比率の下限値は、たとえば、5以上とすることができる。また、Ge/C比率の上限値は、たとえば、15以下とすることができる。この範囲であれば、より結晶性が向上し、信頼性が優れるとともに、デバイス特性が優れる、半導体装置が得られる。
【0053】
本実施の形態では、キャリアの有効質量が軽くなる材料は、ゲルマニウム・カーボンに加えて、シリコン・ゲルマニウム、ゲルマニウム、シリコン・ゲルマニウム・カーボン等を用いることができる。これらは、エピタキシャル法により、チャネル領域に選択的に成長させた、単結晶膜であることが望ましい。
【0054】
また、シリコンの電子の有効質量よりも軽い材料として、ガリウム砒素、インジウム砒素、インジウムリン、インジウムアンチモン等を用いることができる。一方、シリコンのホールの有効質量よりも軽い材料として、インジウム砒素、インジウムアンチモン等を用いることができる。このような材料を、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタとにそれぞれ適用しても、本実施の形態と同様の効果が得られる。
【0055】
本実施の形態のチャネル領域の断面形状は、上述の矩形(長方形)に限定されずに、たとえば、正方形や台形等でもよい。このとき、本実施の形態の製造工程において、凹部(たとえば、第1の凹部200、第2の凹部201)について、断面形状が正方形や台形となるように形成すれば、その凹部に埋め込まれるチャネル領域の断面形状を、正方形や台形等のような形状にすることができる。
【0056】
本発明は、シリコン集積回路デバイスの構造、特に電界効果型トランジスタにおいて、オン電流を向上させる構造およびその製造方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
001 NMOS領域
002 PMOS領域
101 シリコン基板
102 素子分離領域
103 シリコン酸化膜
104 ポリシリコン
105 エクステンション領域
106 ソース領域
107 ゲートサイドウォール
108 層間絶縁膜
109 ドレイン領域
110 第2の孔
112 第1の孔
200 第1の凹部
201 第2の凹部
202 ゲルマニウム・カーボン単結晶膜
203 ゲート絶縁膜
204 PMOSメタル電極
205 NMOSメタル電極
206 メタル電極
301 マスク
302 ゲルマニウム・カーボン単結晶膜
303 ゲルマニウムナイトライド膜
304 ゲルマニウム・カーボン単結晶膜
305 ゲルマニウムナイトライド膜
306 ハフニウムシリケート酸窒化膜
307 PMOSメタル電極
308 メタル電極
309 NMOSメタル電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板上にMOSトランジスタを備える半導体装置であって、
前記MOSトランジスタは、
前記シリコン基板上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極の両脇の前記シリコン基板の表面近傍に設けられたソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域に接するように、前記ゲート電極直下の前記シリコン基板中に設けられた、チャネル領域と、を備え、
前記チャネル領域が、シリコンと異なる異種半導体を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記シリコン基板に設けられた凹部をさらに備え、
前記チャネル領域は、前記凹部に埋め込まれた前記異種半導体を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記シリコン基板上に設けられた層間絶縁膜と、
前記チャネル領域の直上において前記層間絶縁膜に設けられた孔と、をさらに備え、
前記ゲート絶縁膜は、前記孔の底部および側壁に設けられている請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記チャネル領域は、シリコン・ゲルマニウム、ゲルマニウム、ゲルマニウム・カーボンまたはシリコン・ゲルマニウム・カーボンを含む、請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記チャネル領域において、前記シリコン・ゲルマニウム・カーボンまたは前記ゲルマニウム・カーボン中の、炭素原子に対するゲルマニウム原子の比率が、7.5以上、8.5以下である、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記MOSトランジスタはPチャネルMOSトランジスタであって、
前記チャネル領域において、前記シリコン・ゲルマニウム・カーボンまたは前記ゲルマニウム・カーボン中の、炭素原子に対するゲルマニウム原子の比率が、8.0より大きい、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記MOSトランジスタはNチャネルMOSトランジスタであって、
前記チャネル領域において、前記シリコン・ゲルマニウム・カーボンまたは前記ゲルマニウム・カーボン中の、炭素原子に対するゲルマニウム原子の比率が、8.0より小さい、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記Pチャネルトランジスタの前記チャネル領域に発生するホールの有効質量は、シリコンのホールの有効質量よりも軽い、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記Nチャネルトランジスタの前記チャネル領域に発生する電子の有効質量は、シリコンの電子の有効質量よりも軽い、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ゲート電極の延設方向に対する直交方向において、前記チャネル領域の断面形状は、矩形である、請求項1から9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート電極の側壁に前記ゲート絶縁膜が設けられており、
前記ゲート電極の延設方向に対して直交方向において、前記ゲート電極および前記ゲート絶縁膜の合計幅と、前記チャネル領域のチャネル長とが同一である、請求項1から10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
シリコン基板上に第1のダミーゲート電極を設ける工程と、
前記第1のダミーゲート電極の両脇の前記シリコン基板の表面近傍に、ソース領域およびドレイン領域を設ける工程と、
前記第1のダミーゲート電極を埋め込むように、前記シリコン基板上に層間絶縁膜を設けるとともに、前記層間絶縁膜を研磨して前記第1のダミーゲート電極の上部を露出させる工程と、
前記第1のダミーゲート電極をエッチングにより除去した後、引き続き、前記シリコン基板をエッチングにより除去して、前記シリコン基板に第1の凹部を設ける工程と、
前記第1の凹部の内部にシリコンと異なる第1の異種半導体を含む半導体結晶を成長させ、前記第1の異種半導体を含む第1のチャネル領域を形成する工程と、
前記第1のチャネル領域上に、第1のゲート絶縁膜を介して第1のゲート電極を設ける工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記電極を設ける工程は、前記第1のダミーゲート電極と離間して、前記シリコン基板上に第2のダミーゲート電極をさらに設ける工程を含み、
前記露出させる工程は、前記第1のダミーゲート電極および前記第2のダミーゲート電極を埋め込むように、前記シリコン基板上に前記層間絶縁膜を設けるとともに、前記層間絶縁膜を研磨して前記第1のダミーゲート電極および前記第2のダミーゲート電極の上部を露出させる工程であり、
前記凹部を設ける工程は、前記第1のダミーゲート電極および前記第2のダミーゲート電極をエッチングにより除去した後、引き続き、前記シリコン基板をエッチングにより除去して、前記シリコン基板に前記第1の凹部および第2の凹部を設ける工程であり、
前記チャネル領域を形成する工程は、少なくとも前記第1の凹部に保護膜を設けた状態で、前記第2の凹部の内部にシリコンと異なる第2の異種半導体を含む半導体結晶を成長させ、前記シリコンと異なる第2の異種半導体を含む第2のチャネル領域を形成するとともに、前記第2のチャネル領域上に第2の絶縁膜を設けた状態で、前記保護膜を除去して、前記第1の凹部の内部に前記第1のチャネル領域を形成する工程であり、
前記ゲート電極を設ける工程は、前記第2のチャネル領域上に、前記第2のゲート絶縁膜を介して第2のゲート電極を設ける工程をさらに含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1および第2のチャネル領域は、シリコン・ゲルマニウム、ゲルマニウム、ゲルマニウム・カーボンまたはシリコン・ゲルマニウム・カーボンを含む、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1のチャネル領域のシリコン・ゲルマニウム・カーボンまたは前記ゲルマニウム・カーボン中の、炭素原子に対するゲルマニウム原子の比率が、第2のチャネル領域の前記比率と異なる、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1のダミーゲート電極が除去された部分の前記層間絶縁膜中の側壁と、前記第1の凹部の側壁とが、略同一平面を構成する、請求項12から15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−35126(P2011−35126A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179240(P2009−179240)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】