説明

半導体装置の製造方法及び半導体製造装置

【課題】 極浅拡散層を形成することが可能な半導体装置の製造方法及び半導体製造装置
を提供することを目的とする。
【解決手段】
半導体基板100表面をアモルファス化することにより半導体基板100表面にアモル
ファス層111を形成するアモルファス層形成工程と、ドーパントを含むガス雰囲気中で
半導体基板100にマイクロ波を照射することにより、アモルファス層111にドーパン
トを拡散させるとともにドーパントの活性化を行い、半導体基板100に拡散層112を
形成する拡散層形成工程と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体製造装置に係り、特に所望の極浅拡散層を
形成することが可能な半導体装置の製造方法及び半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代以降のLSIでは、10nmよりも浅いエクステンション拡散層が求められてお
り、現在、このような極浅拡散層を形成するための新規不純物ドーピング技術や超短時間
アニール技術が開発されている。
【0003】
通常、拡散層を形成するためには、半導体基板に不純物をドーピングした後、半導体基
板のアニールを行う。このような方法により極浅拡散層を形成するためのドーピング技術
としては、3次元構造を考慮するとプラズマドーピング等が、またアニール技術としては
、レーザーアニール、フラッシュランプアニール等の超短時間化アニールが注目されてい
る。
【0004】
しかし、これらの技術では、不純物をドーピングする工程と、アニールする工程とを別
々の半導体製造装置で行うため、設備投資コストの上昇を招く。また、レーザーアニール
、フラッシュランプアニールでは、半導体基板表面を高温に加熱するため、半導体基板裏
面との間で温度差が生じ、熱応力により半導体基板が湾曲し、半導体基板に結晶転位等の
結晶欠陥が発生する等の問題が生じる可能性がある。
【0005】
また、上記以外の拡散層の形成方法として、イオン注入等により半導体基板に不純物を
形成した後に、半導体基板にマイクロ波を照射し、半導体基板全体のアニールを行う方法
が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この拡散層の形成方法によれば、極浅
拡散層が形成できることが示されている。
【0006】
しかし、この形成方法により厚さ10nm以下の極浅拡散層を形成する場合、イオン注
入の加速電圧を十分下げる必要があるが、加速電圧が低いと不純物の分布に深さ方向のバ
ラツキが生じ、所望の極浅拡散層が形成できない可能性がある。さらに、前述のレーザー
アニール等と同様に、不純物をドーピングするための半導体装置と、半導体基板をアニー
ルするための半導体装置が別々に必要となり、設備コストの上昇を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−189473
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、所望の極浅拡散層を形成することが可能な半導体装置の製造方法及び半導体
製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、半導体基板表面をアモルファス化すること
により前記半導体基板表面にアモルファス層を形成するアモルファス層形成工程と、
ドーパントを含むガス雰囲気中で前記半導体基板にマイクロ波を照射することにより、
前記アモルファス層にドーパントを拡散させるとともに前記ドーパントの活性化を行い、
前記半導体基板に拡散層を形成する拡散層形成工程と、を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様の半導体製造装置は、内部に半導体基板を載置するチャンバーと、前記
チャンバーに接続され、前記チャンバー内にマイクロ波を導入するための、1つ以上のマ
イクロ波導波管と、前記チャンバーに接続され、前記チャンバー内に不純物ガスを導入す
るための不純物ガス導入管と、を備えることを特徴とする・
【発明の効果】
【0011】
本発明は、極浅拡散層を形成することが可能な半導体装置の製造方法及び半導体製造装
置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1(a)】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図1(b)】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図1(c)】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図1(d)】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図1(e)】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図1(f)】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図1(g)】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図1(h)】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図1(i)】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法において、半導体基板温度の変化を模式的に示した図である。
【図3】本発明に係る半導体装置の製造方法を用いて、3次元構造の側壁に不純物をドーピングする場合について説明するための模式図である。
【図4】本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施例1または実施例2に係る半導体装置の製造方法に用いられる半導体製造装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法について、図1を参照して説明する。図
1は、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である

【0015】
以下、本発明の実施例1に半導体装置の製造方法を用いて、CMOS(Complem
entary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタの
エクステンション拡散層を形成する方法について説明する。
【0016】
まず、図1(a)に示すように、既知の方法により、シリコン基板100の主表面に、
PMOSFETの形成領域(以下、単に「PMOS領域」と称す)とNMOSFETの形
成領域(以下、単に「NMOS領域」と称す)とを区画するSTI(Shallow T
rench Isolation)構造の素子分離領域101を形成する。次いで、既知
の方法により、PMOS領域にNウェル拡散層120を形成し、NMOS領域にPウェル
拡散層110を形成する。次いで、既知の方法により、PMOS領域及びNMOS領域に
、それぞれ、SiONからなる界面層131、HfSiONからなる高誘電率ゲート絶縁
膜132、TiN膜133、不純物がドープされた多結晶シリコン膜134からなるゲー
ト電極135、オフセットスペーサ136を形成する。
【0017】
次に、図1(b)に示すように、半導体基板100のNMOS領域及びPMOS領域上
に、SiO2膜140を堆積した後、既知の方法により形成したNMOS領域に開口部を
有するレジスト141をマスクとして、NMOS領域のSiO2膜140をエッチング除
去する。次いで、SiO2膜140から露出したNMOS領域のシリコン基板100にG
eをイオン注入することにより、NMOS領域のシリコン基板100上部をアモルファス
化する。これにより、NMOS領域のシリコン基板100上部にアモルファス化された層
(以下、単に「アモルファス層」と称す)111が形成される。アモルファス層111の
形成方法としては、上記のGeによるイオン注入による方法以外に、アルゴン(Ar)やク
リプトン(Kr)等他の元素のイオンを注入しても良い。
半導体基板100上部をアモルファス化することにより、アモルファス層111のシリ
コン原子が動きやすくなる。これにより、後述するエクステンション拡散層を形成する工
程において、アモルファス層111に効率的にドーパントを拡散及び活性化させることが
可能となる。
【0018】
また、アモルファス層111の深さは、後述するエクステンション拡散層の所望の深さ
より深く形成されることが望ましい。つまり、例えば、所望のエクステンション拡散層の
深さが10nmである場合には、アモルファス層111の深さは10nmより深く形成す
ることが望ましい。アモルファス層111の深さを、エクステンション拡散層の深さより
浅くすると、アモルファス層よりも深い領域でのドーパントが活性化されにくくなるが、
アモルファス層を所望のエクステンション拡散層よりも深く形成することにより、所望の
エクステンション拡散層の深さまで、ドーパントが活性化され、所望の深さまでエクステ
ンション拡散層を効率的に形成することができる。なお、ここで、「深さ」とは、半導体
基板100表面から基板表面に垂直方向への距離を指す。
【0019】
次に、図1(c)に示すように、レジスト141を除去した後、不純物ガス(例えば、
アルシン(AsH3)、又はホスフィン(PH3)等)雰囲気中で半導体基板100にマ
イクロ波を照射する。これにより、NMOS領域のシリコン基板100の表面に、不純物
ガスに含まれるドーパントが拡散、及び活性化され、拡散層(エクステンション拡散層)
112が形成される。拡散層112の形成工程は、半導体基板100が載置されたチャン
バー(図示せず)内に不純物ガスを導入するとともに、チャンバー内にマイクロ波を導入
することにより行う。上記のマイクロ波を用いた拡散層の形成方法では、マイクロ波照射
によりシリコン原子が振動あるいは回転しているシリコン基板100にドーパントを含む
不純物ガスが接触し、半導体基板100に形成されたアモルファス層111にドーパント
が拡散するとともに、ドーパントが活性化される。
【0020】
マイクロ波照射によりシリコン基板中で誘起されるシリコン原子の振動あるいは回転で
は、シリコン基板表面温度を200℃〜600℃の低温に保つことが可能である。このた
め、温度勾配による不純物の急速な拡散を抑制しながら、ブラウン運動による不純物の穏
やかな拡散が起こり、かつ、シリコン原子の振動あるいは回転により不純物が活性化され
るため、極浅拡散層を形成することができる。なお、本実施形態における「不純物ガス」
とは、拡散層に導入するドーパントを含むガスを指す。
【0021】
また、シリコン基板に照射するマイクロ波の周波数は、ISM(工業・科学・医療用
/ Industrial,Scientific and Medical Use )バンドとして指定されている2.45G
Hz、5.80GHz、24.125GHzが望ましい。それは、マイクロ波を発生させ
るマグネトロン等が安価に入手できるためである。なお、通常、使用するマイクロ波は、
一定の周波数幅があり、上記の2.45GHz、5.80GHz、24.125GHzは
、使用するマイクロ波の周波数幅に含まれる周波数である。
【0022】
さらに、チャンバー内にマイクロ波と不純物ガスを導入するタイミングについて、図2
を参照して説明する。図2は、マイクロ波が照射されることによるシリコン基板温度の変
化を模式的に示した図である。図2に示すように、t=0[sec]において、チャンバ
ー内にマイクロ波導入を開始すると、t=t1[sec]において、シリコン基板100
のアモルファス層111が結晶化を開始する温度T=T1[℃]に達する。アモルファス
層111が結晶化するとシリコン原子が動きにくくなり、拡散層の形成工程で、ドーパン
トのアモルファス層への拡散量が減少し、効率的に拡散層を形成できない。このため、ア
モルファス層が結晶化を開始する温度(図2において、T=T1[℃])となる前に、チ
ャンバー内への不純物ガスの導入を開始することが望ましい。
【0023】
また、マイクロ波をチャンバー内に導入する際に、マイクロ波によりチャンバー内の不
純物ガスがプラズマ化されない条件とすることが望ましい。これは、不純物ガスがプラズ
マ化することにより、チャンバー壁や治具から不要な汚染物質が発生することを防止する
ためである。
【0024】
次に、図1(d)に示すように、SiO2膜140をエッチング除去し、NMOS領域
及びPMOS領域上に、SiO2膜142を堆積した後、既知の方法により形成したPM
OS領域に開口部を有するレジスト143をマスクとして、PMOS領域のSiO2膜1
42をエッチング除去する。次いで、SiO2膜142から露出したPMOS領域のシリ
コン基板100にGeをイオン注入することにより、PMOS領域のシリコン基板100
上部をアモルファス化する。これにより、PMOS領域のシリコン基板100上部にアモ
ルファス化された層(以下、単に「アモルファス層」と称す)121が形成される。アモ
ルファス化の方法、条件等は、前述の、NMOS領域にアモルファス層111を形成する
場合と同様であるので、説明を省略する。次いで、レジスト143をエッチング除去する

【0025】
次に、図1(e)に示すように、レジスト143を除去した後、不純物ガス(例えば、
三フッ化ホウ素(BF3)、又はジボラン(B2H6)等)雰囲気中で半導体基板100
にマイクロ波を照射する。これにより、PMOS領域のシリコン基板100の表面に、不
純物ガスに含まれるドーパントが拡散し、拡散層(エクステンション拡散層)122が形
成される。拡散層122の形成工程は、半導体基板100が載置されたチャンバー(図示
せず)内に不純物ガスを導入するとともに、チャンバー内にマイクロ波を導入することに
より行う。マイクロ波を照射する条件、マイクロ波を用いることによる効果等は、前述の
、拡散層112を形成する場合と同様であるので、説明を省略する。
【0026】
次に、図1(f)に示すように、SiO2膜142をエッチング除去した後、既知の方
法により、NMOS領域にサイドウォール113を形成した後、NMOS領域に開口部を
有するレジスト144をマスクとして、N型ソース/ドレイン拡散層114を形成する。
次いで、レジスト144をエッチング除去する。
【0027】
次に、図1(g)に示すように、既知の方法により、PMOS領域にサイドウォール1
23を形成した後、PMOS領域に開口部を有するレジスト145をマスクとして、P型
ソース/ドレイン拡散層124を形成する。次いで、レジスト145をエッチング除去す
る。
【0028】
次に、図1(h)に示すように、シリコン基板100が載置されたチャンバー内に、不
活性ガスを導入した後、チャンバー内にマイクロ波を導入する。これにより、シリコン基
板100が、不活性ガス雰囲気中で、マイクロ波により200〜600℃でアニールされ
、N型ソース/ドレイン拡散層114及びP型ソース/ドレイン拡散層124が活性化さ
れる。なお、マイクロ波は、シリコン基板を貫通するため、N型ソース/ドレイン拡散層
114、P型ソース/ドレイン拡散層124のように、深い拡散層の活性化にも用いるこ
とが可能である。
【0029】
次に、図1(i)に示すように、既知の方法により、N型ソース/ドレイン拡散層11
4の表面、P型ソース/ドレイン拡散層124の表面、及びゲート電極134上部表面に
、ニッケルシリサイド137を形成する。
【0030】
以上のように、本実施例では、CMOSトランジスタのエクステンション拡散層(拡散
層112、122)を形成する際に、不純物ガス雰囲気中でシリコン基板100にマイク
ロ波を照射する。これにより、低温でドーパントの拡散、及び活性化が可能となり、極浅
拡散層を形成することできる。
【0031】
なお、本実施例では、CMOSトランジスタのエクステンション拡散層を形成する場合
について説明したが、本発明に係る半導体装置の製造方法は、この場合に限定されず、種
々の極浅拡散層を形成する場合に適用できる。
【0032】
また、本実施例では、拡散層を形成する半導体基板として、シリコン基板を用いたが、
本発明により極浅拡散層を形成する半導体基板は、シリコン基板に限定されず、種々の半
導体基板に適用できる。
【実施例2】
【0033】
本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法について、図3を参照して説明する。図
3は、本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法を用いて、3次元構造の側壁に拡散
層を形成する場合について説明するための模式図である。
【0034】
図3(a)に、従来の方法により3次元構造の側壁に拡散層を形成する場合を模式的に
示す。ここで、従来の方法とは、イオン注入により半導体基板に拡散層を形成した後に、
半導体基板をアニールすることにより拡散層を活性化させる方法を指す。図3(b)には
、本実施例に係る方法により3次元構造の側壁に拡散を形成する場合を模式的に示す。な
お、本実施例の以下の説明では、半導体基板200表面に平行な方向を水平方向、半導体
基板200表面に直行する方向を垂直方向と称する。
【0035】
図3(a)に示すように、従来の方法により3次元構造の半導体層201の側壁に拡散
層202を形成する場合には、略垂直方向(半導体層201の側壁に略平行方向)からイ
オン注入した後、アニールを行う。イオン注入の方法には、斜めイオン注入法があるが、
半導体層201の側壁表面に垂直方向からイオン注入することは困難である。このため、
図3(a)斜めイオン注入法等により形成された拡散層は、拡散層の深さ方向(水平方向
)に対して均一とならない可能性がある。
【0036】
一方、図3(b)に示すように、本実施例に係る方法により3次元構造の半導体層20
1の側壁に拡散層202を形成する場合には、半導体層201にイオン注入等によりアモ
ルファス層を形成した後、不純物ガス雰囲気中で半導体層201にマイクロ波を照射する
。この方法では、半導体層201の側壁表面に略垂直方向からマイクロ波の照射が可能で
ある。このため、図3(b)に示すように、マイクロ波によって略均一にシリコン原子が
振動しているシリコン基板に、不純物ガスが接触し、半導体層201に形成されたアモル
ファス層にドーパントが拡散するとともに、ドーパントが活性化されるため、略均一な拡
散層を形成することが可能である。なお、この方法によれば、アモルファス層が半導体層
201の側壁に深さ方向に略均一に形成されなくとも、アモルファス層を、形成する拡散
層201の深さより十分深く形成することにより、深さが略均一な拡散層を形成すること
が可能である。
【0037】
次に、図4を参照して、本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法を、FinFE
Tにソース/ドレイン拡散層の形成に適用した場合について説明する。FinFETのソ
ース/ドレイン拡散層を形成する以外の工程については、既存の方法と同様であり、説明
を省略する。また、FinFETの各部構成についても、既存の構成と同様であり、説明
を省略する。
【0038】
図4は、FinFETの構造を示す斜視図である。FinFETは、図4に示すように
、シリコン基板210上に埋め込み酸化膜211が形成された半導体基板213上に、ゲ
ート電極215と、ゲート電極側壁216、ソース/ドレイン領域220を有する。
【0039】
図4に示すように、FinFETの構造では、ソース/ドレイン領域220は、3次元
構造を有する。このため、FinFETのソース/ドレイン領域220に不純物拡散層を
形成する際に、ソース/ドレイン領域220にイオン注入等によりアモルファス層を形成
した後、不純物ガス雰囲気中でソース/ドレイン領域220にマイクロ波を照射する。こ
れにより、ソース/ドレイン領域220の表面に不純物ガスをドーパントとする均一な拡
散層(ソース/ドレイン領域220)を形成することができる。
【0040】
以上のように、本実施例では、3次元構造の半導体層に拡散層を形成する際に、不純物
ガス雰囲気中で半導体層にマイクロ波を照射する。これにより、前述のように、3次元構
造の半導体層の側壁に、側壁表面に垂直方向に均一な拡散層を形成することができる。
【実施例3】
【0041】
本発明の実施例3に係る半導体製造装置について、図5を参照して説明する。図5は、
本発明の実施例1または実施例2に係る半導体装置の製造方法に用いられる半導体製造装
置の模式図である。
【0042】
本実施例に係る半導体製造装置は、内部にシリコン基板を載置するチャンバー300と
、チャンバー300に接続され、チャンバー内にマイクロ波を導入するためのマイクロ波
導波管310、311と、チャンバーに接続され、チャンバー内に不純物ガスを導入する
ための不純物ガス導入管320を備える。マイクロ波導波管310、311は、2つ備え
られる場合に限らず、1つ以上備えられていればよい。
【0043】
チャンバー300内には、ボート301が設けられている、シリコン基板は、ボート3
01上に載置される。
【0044】
マイクロ波導波管310、311は、マグネトロン発振器(図示せず)等のマイクロ波
出力源に接続され、マイクロ波出力源からのマイクロ波をチャンバー300内に導入する
。マイクロ波出力源としては、マグネトロン発振器以外に、進行波管、クライストロン等
が想定できる。
【0045】
不純物ガス導入管320、321は、チャンバー内に載置されたシリコン基板の拡散層
を形成するための不純物ガスをチャンバー300内に導入する。不純物ガス導入管320
は、例えば、BF3、B2H6、AsH3、PH3等のガスをチャンバー内に導入するた
めに用いられる。
【0046】
さらに、チャンバー300には、チャンバー内のガスを排気するための排気管330と
、チャンバー300内に不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管340と、が備え
られている。
【0047】
このように、本実施例に係る半導体製造装置では、マイクロ波導波管310、311、
及び、不純物ガス導入管320を備えることにより、チャンバー300内に不純物ガスを
導入するとともに、チャンバー内にマイクロ波を導入することが可能である。これにより
、実施例1、実施例2に示したように、チャンバー300内に載置された半導体基板に、
所望の拡散層を形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
100 シリコン基板
101 素子分離領域
110 Nウェル拡散層
111、121 アモルファス層
112、122 拡散層
113、123 サイドウォール
114、124 ソース/ドレイン拡散層
120 Pウェル拡散層
131 界面層
132 高誘電率ゲート絶縁膜
133 TiN膜
134 多結晶シリコン膜
135 ゲート電極
136 オフセットスペーサ
137 ニッケルシリサイド
140、142 SiO2膜
141、143、144、145 レジスト
200 半導体基板
201 半導体層
202 拡散層
210 シリコン基板
211 埋め込み酸化膜
213 半導体基板
215 ゲート電極
216 ゲート電極側壁
220 ソース/ドレイン領域
300 チャンバー
301 ボート
310、311 マイクロ波導波管
320、321 不純物ガス導入管
330 排気管
340 不活性ガス導入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板表面をアモルファス化することにより前記半導体基板表面にアモルファス層
を形成するアモルファス層形成工程と、
ドーパントを含むガス雰囲気中で前記半導体基板にマイクロ波を照射することにより、
前記アモルファス層にドーパントを拡散させるとともに前記ドーパントの活性化を行い、
前記半導体基板に拡散層を形成する拡散層形成工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記アモルファス層の深さは、前記拡散層の深さより深く形成されることを特徴とする
請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記拡散層形成工程は、前記半導体基板が載置されたチャンバー内にドーパントを含む
ガスを導入するとともに、前記チャンバー内にマイクロ波を導入することにより行い、
前記チャンバー内へのマイクロ波が導入されることにより、前記チャンバー内に載置さ
れた前記半導体基板の前記アモルファス層が結晶化を開始する温度となる前に、前記チャ
ンバー内へのドーパントを含むガスの導入ことを特徴とする請求項1または2記載の半導
体装置の製造方法。
【請求項4】
前記不純物ガスが、三フッ化ホウ素、ジボラン、アルシン、ホスフィンのいずれかであ
ることを特徴とする請求項1乃至4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
内部に半導体基板を載置するチャンバーと、
前記チャンバーに接続され、前記チャンバー内にマイクロ波を導入するための、1つ以
上のマイクロ波導波管と、
前記チャンバーに接続され、前記チャンバー内に不純物ガスを導入するための不純物ガ
ス導入管と、
を備えることを特徴とする半導体製造装置。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図1(d)】
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【図1(e)】
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【図1(f)】
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【図1(g)】
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【図1(h)】
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【図1(i)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−35371(P2011−35371A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79845(P2010−79845)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】