説明

半導体装置

【課題】薄型化及び小型化を達成しながら、外部ストレスに耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することを目的の一とする。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することを目的の一とする。さらに低コストで生産性高く半導体装置を作製することを目的の一とする。
【解決手段】単結晶半導体基板を用いた半導体集積回路を、対向する一対の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の間に設ける。一対の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体は中央部に半導体集積回路を配置し、端部において互いに接着して半導体集積回路を封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナを介した無線通信によりデータの送受信を行う半導体装置(非接触信号処理装置、半導体集積回路基板チップ、ICチップともいう)においては、より小型、薄型化を図られている。
【0003】
しかし、このような小型及び薄型化は半導体装置の強度を低下させてしまうという問題があり、その対策が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1は、曲げ、集中荷重への対策として、半導体チップのサイズを0.5mm以下に限定している例である。
【特許文献1】特開2004−78991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記半導体装置の市場が拡大するに伴い、その形状や必要とされる特性の要求は様々である。よって、さらに外的ストレスに対する高い耐性を有し、かつ要求される特性を備えた半導体装置が求められている。
【0006】
従って、薄型化及び小型化を達成しながら、外部ストレスに耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することを目的の一とする。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することを目的の一とする。さらに低コストで生産性高く半導体装置を作製することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置において、単結晶半導体基板を用いて形成された半導体集積回路基板を一対の耐衝撃層の間に封止する。一対の耐衝撃層の間の中央部に半導体集積回路基板は配置され、耐衝撃層の周辺端部においては対向する耐衝撃層同士が直接接着されている。
【0008】
また、耐衝撃層の外側(半導体集積回路基板の反対側)に衝撃拡散層をそれぞれ設けてもよい。
【0009】
半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する耐衝撃層、その力を拡散する衝撃拡散層を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0010】
耐衝撃層としては、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いることができる。耐衝撃層は、弾性率13GPa以上、破断係数は300MPa未満が好ましい。
【0011】
衝撃拡散層としては、弾性率が低く、かつ破断強度が高い材料を用いることが好ましく、ゴム弾性を有する膜を用いればよい。衝撃拡散層は、弾性率5GPa以上12GPa以下、破断係数300MPa以上が好ましい。
【0012】
衝撃拡散層は、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アラミド系樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。弾性を有する高強度材料で形成される衝撃拡散層を設けると局所的な押圧などの荷重を層全体に拡散し吸収するために、半導体装置の破損を防ぐことができる。
【0013】
より具体的には、衝撃拡散層として、アラミド樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂などを用いることができる。
【0014】
また、本発明の半導体装置に導電性遮蔽体を設けてもよい。導電性遮蔽体は半導体装置において最表面に設けることができるので、一対の耐衝撃層の外側(半導体集積回路基板側と反対側)の表面に導電性遮蔽体を設ければよい。なお、耐衝撃層のさらに外側に衝撃拡散層が設けられる場合は、衝撃拡散層の外側の表面に導電性遮蔽体を設けることができる。
【0015】
導電性遮蔽体は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路の静電気破壊を防ぐことができる。導電性遮蔽体は、絶縁体である耐衝撃層を介して半導体集積回路の両方の面を覆う(重なる)ように形成される。
【0016】
本発明を用いて、無線通信により外部装置と信号の送受信を行う機能を有する、非接触信号処理装置を作製することができる。この場合、導電性遮蔽体は、半導体装置に含まれるアンテナが送受信すべき電磁波を透過し、かつ外部からの静電気が半導体装置内部の半導体集積回路に印加されるのを遮断する。よって、静電気破壊に耐性を有する信頼性の高い、アンテナを介した無線通信によるデータ送受信可能な半導体装置を提供することができる。
【0017】
なお、導電性遮蔽体と、アンテナ及び半導体集積回路とは電気的に接続しない。
【0018】
本発明の半導体装置の一形態は、互いに対向するように設けられた第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と、対向する第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体との間に設けられた半導体集積回路基板とを有し、半導体集積回路基板は単結晶半導体基板を含み、第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体とは中央部に半導体集積回路基板を配置し、端部において互いに接着して半導体集積回路基板を封止する。
【0019】
本発明の半導体装置の一形態は、互いに対向するように設けられた第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と、対向する第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体との間に設けられた半導体集積回路基板とを有し、第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の半導体集積回路基板と反対側の表面にそれぞれ設けられた第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層とを有し、半導体集積回路基板は単結晶半導体基板を含み、第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体とは中央部に半導体集積回路基板を配置し端部において互いに接着して半導体集積回路基板を封止する。
【0020】
上記構成において、半導体装置に外部と信号を受信又は発信するアンテナを設けてもよい。例えば、半導体集積回路基板と第1の耐衝撃層との間にアンテナを設ければよい。また半導体集積回路基板上に保護層を設けてもよく、例えば、集積回路基板上に設けられたアンテナを覆うように保護層として無機絶縁層を形成すればよい。
【0021】
なお、本発明において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置を指す。本発明を用いて半導体素子(トランジスタ、メモリ素子やダイオードなど)を含む回路を有する装置や、プロセッサ回路を有するチップなどの半導体装置を作製することができる。
【発明の効果】
【0022】
半導体集積回路を挟持する一対の耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態では、より信頼性の高い半導体装置、及び歩留まりよい半導体装置の作製方法を、図1乃至図3を用いて詳細に説明する。
【0025】
本実施の形態における半導体装置において、半導体集積回路基板は、可撓性を有する耐衝撃層に挟持される。
【0026】
図1(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図1において、半導体集積回路基板100は第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に封止されている。
【0027】
図1(B)は図1(A)に示す半導体装置に外部と信号を受信又は発信するアンテナ101を設ける例である。半導体集積回路基板100と第1の耐衝撃層112との間に半導体集積回路基板100と電気的に接続するアンテナ101が設けられている。図1(B)の半導体装置は、無線通信により外部装置と信号の送受信を行う機能を有する、非接触信号処理装置として機能することができる。
【0028】
本実施の形態のように、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する耐衝撃層を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の強度を高め、破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0029】
耐衝撃層としては、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いることができる。第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いている。
【0030】
第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102は繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いており、第1の耐衝撃層112は繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体、第2の耐衝撃層102は繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体である。
【0031】
繊維体160が繊維糸束を経糸及び緯糸として製織した織布の平面図を図1(C)に示す。
【0032】
図1(C)に示すように、繊維体160は、一定間隔をあけた経糸と、一定間隔をあけた緯糸とで織られている。このような経糸及び緯糸を用いて製織された繊維体には、経糸及び緯糸が存在しない領域を有する。このような繊維体160は、有機樹脂161が含浸される割合が高まり、繊維体160と半導体集積回路との密着性を高めることができる。
【0033】
また繊維体160は、経糸及び緯糸の密度が高く、経糸及び緯糸が存在しない領域の割合が低いものでもよい。
【0034】
繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。例えば、耐衝撃層として、弾性率13GPa以上15GPa以下、破断係数140MPaのプリプレグを用いることができる。
【0035】
なお繊維体に有機樹脂が含浸された構造体は、複数層を積層させてもよい。この場合、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させることで構造体を形成してもよいし、複数の積層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても良い。
【0036】
また有機樹脂161として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。或いは有機樹脂161として、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また有機樹脂161として、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を半導体集積回路に固着することができる。なお、有機樹脂161はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0037】
有機樹脂161にまたは繊維の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等が挙げられる。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。導電性フィラーが有機樹脂または繊維糸束内に含まれることにより半導体集積回路での発熱を外部に放出しやすくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の破壊を低減することができる。
【0038】
繊維体160は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、部分的に重なるように配置する。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。なお、繊維体160は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0039】
また、繊維体160は、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布であってもよい。織布の場合、平織り、綾織り、しゅす織り等を適宜用いることができる。
【0040】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体160を薄くすることが可能である。このため、構造体を薄くすることが可能であり、薄型の半導体装置を作製することができる。
【0041】
なお、本実施の形態の図面においては、繊維体160は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。
【0042】
また、繊維糸束内部への有機樹脂の浸透率を高めるため、繊維に表面処理が施されても良い。例えば、繊維表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を用いた表面処理がある。
【0043】
また、半導体集積回路上に保護層を形成してもよい。例えば、半導体集積回路基板100上にアンテナ101を形成し、アンテナ101上に保護層として無機絶縁層が形成すればよい。無機絶縁層でアンテナ101を覆うことで、アンテナとして機能する導電層の酸化などを防ぐことができる。
【0044】
無機絶縁層は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は積層で形成する。無機化合物の代表例としては、珪素酸化物又は珪素窒化物が挙げられる。珪素酸化物及び珪素窒化物の代表例としては、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。なお、本明細書において酸化窒化珪素膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が55〜65原子%、窒素が1〜20原子%、Siが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化珪素膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が15〜30原子%、窒素が20〜35原子%、Siが25〜35原子%、水素が15〜25原子%の範囲で含まれるものをいう。
【0045】
さらには、無機絶縁層を積層構造としても良い。例えば、無機化合物を用いて積層してもよく、代表的には、酸化珪素、窒化酸化珪素、及び酸化窒化珪素を積層して形成しても良い。
【0046】
本発明の半導体装置の作製方法を図2(A)乃至(D)を用いて説明する。半導体集積回路基板111を形成する(図2(A)参照。)。半導体集積回路基板111は半導体基板(半導体ウエハー)を用いて形成する。半導体基板として単結晶半導体基板及び多結晶半導体基板を用いることができ、シリコンウエハーやゲルマニウムウエハーなどの半導体ウエハー、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体ウエハーを適用する。本実施の形態では、単結晶シリコン基板を用いる。半導体集積回路基板111には、アンテナ及び無機絶縁層として窒化珪素膜を形成してもよい。
【0047】
第1の耐衝撃層112として繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体を用いるため、構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化することができる。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂は加熱及び圧着により、半導体集積回路に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。第1の耐衝撃層112を加熱し、半導体集積回路基板111に圧着して、第1の耐衝撃層112に、半導体集積回路基板111を接着する(図2(B)参照。)。
【0048】
次に、半導体集積回路基板111の露出している面を研削、研磨して半導体集積回路基板111を薄型化し、より厚さの薄い半導体集積回路基板100とする(図2(C)参照。)。
【0049】
半導体集積回路基板を研磨し、厚さを小さくする工程(薄型化工程)は、研磨機、研削機等を好適に組み合わせて用いることができる。また研磨処理として化学的機械研磨を行ってもよい。半導体集積回路基板100の厚さは、50nm以上5μm以下程度まで薄型化することが好ましい。
【0050】
第2の耐衝撃層102も繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体を用いるため、構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化することができる。第2の耐衝撃層102を加熱し、半導体集積回路基板100に圧着して、半導体集積回路基板100に第2の耐衝撃層102を接着する(図2(D)参照。)。
【0051】
図2(D)に示すように、第1の耐衝撃層112と第2の耐衝撃層102は中央部に半導体集積回路基板100を配置し、半導体集積回路基板100の存在しない端部においてお互い接して半導体集積回路基板100を封止する。
【0052】
図2のように半導体集積回路基板100毎に半導体基板をチップ状に分断した後に薄型化処理を行ってもよいし、複数の半導体集積回路基板を作製した半導体基板に薄型化処理を行い、その後チップ状に分断してもよい。薄型化処理を複数の半導体集積回路基板を作製した半導体基板に行う例を図3(A)乃至(F)に示す。
【0053】
複数の半導体集積回路基板が形成された半導体基板172を形成する(図3(A)参照。)。次に、薄型化工程時の半導体基板172を固定する固定テープ176に半導体集積回路側を向けて半導体基板172を固定し、半導体基板172を加工して、厚さの薄い半導体基板173とする(図3(B)参照。)。
【0054】
半導体基板173を個々の半導体集積回路基板100に分断する(図3(C)参照。)。分断手段としては物理的に分断(切断)することができれば特に限定されず、ダイサー或いはワイヤソー等の切断装置、レーザ切断、プラズマ切断、電子ビーム切断、その他任意の分断(切断)手段を用いることができる。
【0055】
分断された半導体集積回路基板100を第1の耐衝撃層112に加熱、加圧して接着し、積層体174を形成する(図3(D)参照。)。積層体174を個々の半導体集積回路基板100毎に分断し、半導体集積回路基板チップ175a、175b、175cからなる半導体装置を作製することができる(図3(F)参照。)。分断することによって、半導体集積回路基板100は第1の耐衝撃層112と第2の耐衝撃層102とによって封止されるので、半導体集積回路基板チップ175a、175b、175cチップの分断面(分断による生じる側面)には半導体集積回路基板100は露出しない。
【0056】
また、本実施の形態のように半導体集積回路基板に対して一対の耐衝撃層を対称に設けると、半導体装置にかかる力をより均一に拡散できるため、曲げや反りなどに起因する半導体集積回路基板の破損をより防止できる。この効果は、一対の耐衝撃層同士をそれぞれ同材料及び同じ膜厚で作製すると、同等な特性を付与できるために、力の拡散効果はより高まる。
【0057】
このように半導体集積回路を挟持する一対の耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置、及び半導体装置の作製方法の他の例を図4を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0059】
本実施の形態では、半導体集積回路基板を封止する耐衝撃層の外側(半導体集積回路基板と反対側)にさらに衝撃拡散層を設ける例を示す。
【0060】
図4において、アンテナ101及びアンテナ101と接続する半導体集積回路基板100は第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に封止されており、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102のさらに外側(半導体集積回路基板100と反対側)にそれぞれ第1の衝撃拡散層113と、第2の衝撃拡散層103とが設けられている。
【0061】
衝撃拡散層は外部から半導体集積回路基板にかかる力を拡散し、低減する効果がある。よって、本実施の形態のように、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する耐衝撃層、及びその力を拡散する衝撃拡散層を設けることによって、局所的にかかる力をより軽減することができるため、半導体装置の強度を高め、破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0062】
図4に示すように第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102としては、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いる。第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102は、弾性率13GPa以上、破断係数は300MPa未満が好ましい。本実施の形態では第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102の有機樹脂としてエポキシ樹脂を用いる。
【0063】
第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103は、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102より弾性率が低く、かつ破断強度が高い方が好ましい。本実施の形態では第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103としてアラミド樹脂を用いたアラミドフィルムを用いる。
【0064】
第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103として、弾性率が低く、かつ破断強度が高い材料を用いるのが好ましい。例えば、第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103は、弾性率5GPa以上12GPa以下、破断係数300MPa以上のゴム弾性を有する膜を用いることができる。
【0065】
第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103は、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アラミド系樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。弾性を有する高強度材料で形成される第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103を設けると局所的な押圧などの荷重を層全体に拡散し吸収するために、半導体装置の破損を防ぐことができる。
【0066】
より具体的には、第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103として、アラミド樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂などを用いることができる。本実施の形態では、第2の衝撃拡散層103としてアラミド樹脂フィルム(弾性率10GPa、破断強度480MPa)を用いる。
【0067】
第1の耐衝撃層112及び第1の衝撃拡散層113、第2の耐衝撃層102及び第2の衝撃拡散層103との接着は、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層として繊維体に有機樹脂が含浸された構造体であるプリプレグを用いるために、接着層を介さず直接加熱及び加圧処理によって接着することができる。
【0068】
本実施の形態の半導体装置の作製方法を図4(A)乃至(D)を用いて説明する。アンテナ101及び半導体集積回路基板111を形成する(図4(A)参照。)。アンテナ101上に無機絶縁層として窒化珪素膜を形成してもよい。
【0069】
第1の耐衝撃層112として繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体を用いるため、構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化することができる。第1の衝撃拡散層113、第1の耐衝撃層112を加熱し、アンテナ101及び半導体集積回路基板111に圧着して、第1の衝撃拡散層113及び第1の耐衝撃層112に、アンテナ101及び半導体集積回路基板111を接着する(図4(B)参照。)。
【0070】
次に、半導体集積回路基板111の露出している面を研削、研磨して半導体集積回路基板111を薄型化し、より厚さの薄い半導体集積回路基板100とする(図4(C)参照。)。本実施の形態のように、半導体集積回路基板100毎に半導体基板をチップ状に分断した後に薄型化処理を行ってもよいし、複数の半導体集積回路基板を作製した半導体基板に薄型化処理を行い、その後チップ状に分断してもよい。
【0071】
第2の耐衝撃層102も繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体を用いるため、構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化することができる。第2の衝撃拡散層103、第2の耐衝撃層102を加熱し、半導体集積回路基板100に圧着して、半導体集積回路基板100に第2の衝撃拡散層103、第2の耐衝撃層102を接着する(図4(D)参照。)。
【0072】
図4(D)に示すように、第1の耐衝撃層112と第2の耐衝撃層102は中央部に半導体集積回路基板100を配置し、半導体集積回路基板100の存在しない端部においてお互い接して半導体集積回路基板100を封止する。
【0073】
衝撃拡散層は、半導体装置の外的ストレスに対する強度を高める効果の他、作製工程における加圧処理に対しても、衝撃拡散層が力を拡散するために半導体集積回路基板100に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0074】
また、本実施の形態のように半導体集積回路基板100に対して一対の耐衝撃層及び一対の衝撃拡散層を対称に設けると、半導体装置にかかる力をより均一に拡散できるため、曲げや反りなどに起因する半導体集積回路基板の破損をより防止できる。この効果は、一対の耐衝撃層同士、衝撃拡散層同士をそれぞれ同材料及び同じ膜厚で作製すると、同等な特性を付与できるために、力の拡散効果はより高まる。
【0075】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0076】
本実施の形態において、半導体集積回路基板を封止する一対の耐衝撃層及び衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0077】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置、及び半導体装置の作製方法の他の例を図5及び図6を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0078】
本実施の形態では、半導体装置に導電性遮蔽体を設ける例を示す。導電性遮蔽体は半導体装置において最表面に設けることができるので、一対の耐衝撃層の外側(半導体集積回路基板側と反対側)の表面に導電性遮蔽体を設ければよい。なお、実施の形態2で示すように耐衝撃層のさらに外側に衝撃拡散層が設けられる場合は、衝撃拡散層の外側の表面に導電性遮蔽体を設けることができる。
【0079】
導電性遮蔽体は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路基板の静電気破壊を防ぐことができる。導電性遮蔽体は、耐衝撃層を介して半導体集積回路基板の両方の面を覆う(重なる)ように形成される。
【0080】
本発明の半導体装置として、無線通信により外部装置と信号の送受信を行う機能を有する、非接触信号処理装置を作製することができる。この場合、導電性遮蔽体は、半導体装置に含まれるアンテナが送受信すべき電磁波を透過し、かつ外部からの静電気が半導体装置内部の半導体集積回路基板に印加されるのを遮断する。
【0081】
なお、導電性遮蔽体と、アンテナ及び半導体集積回路基板とは電気的に接続しない。
【0082】
このような導電性遮蔽体は、挟持するアンテナ及び半導体集積回路基板が送受信すべき電磁波を透過し、かつ静電気を遮断する膜厚、材料で形成する。よって、静電気破壊に耐性を有する信頼性の高い、アンテナを介した無線通信によるデータ送受信可能な半導体装置を提供することができる。
【0083】
導電性遮蔽体は少なくとも半導体集積回路を覆うように半導体集積回路と重なる領域全面に設けられる。
【0084】
導電性遮蔽体は半導体装置において第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層両方の表面に設けられてもよいし、どちらか一方の表面にのみ設けられてもよい。
【0085】
図5(A)に第2の耐衝撃層102の外側(半導体集積回路基板100側と反対側)に導電性遮蔽体140を設ける例を示す。また図5(B)に第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102の外側にそれぞれ導電性遮蔽体140a、140bを設ける例を示す。なお、図5(B)においては、導電性遮蔽体140a、140bは電気的に接続しない例である。
【0086】
第1の耐衝撃層側と第2の耐衝撃層側にそれぞれ導電性遮蔽体が設けられる場合、その導電性遮蔽体同士が電気的に接続するように形成してもよい。
【0087】
導電性遮蔽体は半導体装置周囲(上面、下面、側面)全部を覆うように(半導体装置をくるむように)形成してもよいし、それぞれの耐衝撃層外側に設けられる一対の導電性遮蔽体を電気的に接続する導電領域を形成しても良い。導電領域は、半導体装置の側面の一部であってもよいし、半導体装置内部を貫通する電極層であってもよい。なお、半導体装置において側面とは、同一な耐衝撃層に設けられた複数の半導体集積回路基板チップを、個々のチップに切断(分断)した際に生じる切断面(分断面)である。上記切断面は導電性遮蔽体によって全部覆われていてもよいし、一部覆われていてもよい。
【0088】
図6(A)は、半導体装置周囲(上面(表面)、下面(裏面)、側面)全部を覆うように導電性遮蔽体140が形成される例である。図6(B)は少なくとも1つの側面を導電性遮蔽体140が覆う構造である。また、図6(C)は、表面に形成される導電性遮蔽体140a、140bが半導体装置内部を貫通する電極層141a、図6(D)では電極層141a、141bで電気的に接続する例である。電極層を形成する貫通孔は針や錐などの物理的処理によって加工してもよいし、エッチングなどで化学的処理によって加工してもよい。また、レーザ光を用いて加工してもよい。
【0089】
図6において、半導体集積回路基板100は、表面及び裏面両方に電気的に接続されている導電性遮蔽体が設けられているので、外部からの静電気に対して広い領域にわたって保護されており、より高い静電気破壊防止効果を得ることができる。
【0090】
また、図21に実施の形態2の衝撃拡散層及び導電性遮蔽体が設けられた半導体装置の具体例を示す。
【0091】
図21において、半導体集積回路基板100は、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層で封止されており、さらに第1の耐衝撃層112の外側に第1の衝撃拡散層113、第2の耐衝撃層102の外側に第2の衝撃拡散層103が設けられている。第1の衝撃拡散層の外側には導電性遮蔽体140a、第2の衝撃拡散層103の外側には導電性遮蔽体140bがそれぞれ設けられている。導電性遮蔽体140a及び導電性遮蔽体140bの少なくとも一部を電気的に接続された状態とし、導電性遮蔽体140a及び導電性遮蔽体140bを等電位とする。
【0092】
導電性遮蔽体140a及び導電性遮蔽体140bを等電位とすることで、静電気に対する保護の効果が得られる。静電気でチャージアップして半導体集積回路基板が破壊される前に、半導体装置における上下両面を等電位にして半導体集積回路基板を保護する。
【0093】
図21の半導体装置は、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102は繊維体に有機樹脂が含浸された構造体、第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103にはアラミドフィルム、導電性遮蔽体140a、140bにはチタン膜を用いる例である。第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102の膜厚が10μm以上30μm、第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103の膜厚が3μm以上15μm以下、半導体集積回路基板100の膜厚が50nm以上5μm以下とすると、半導体集積回路基板100の膜厚と比べて第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102、第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103の膜厚が厚いので、半導体集積回路基板100がほぼ中央部に配置されることで曲げストレスに強い半導体装置を提供することができる。
【0094】
半導体集積回路基板100に対してアンテナ101の反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、第2の耐衝撃層102側の導電性遮蔽体の膜厚を第1の耐衝撃層112側の導電性遮蔽体より厚くしてもよい。
【0095】
導電性遮蔽体は、耐衝撃層間に半導体集積回路基板を封止した後、該耐衝撃層表面にスパッタ法などによって作製すればよい。一対の耐衝撃層の両方に導電性遮蔽体を作製する場合、複数の工程によって作製してもよい。
【0096】
また、実施の形態2で示したように、耐衝撃層の外側(半導体集積回路基板と反対側)にさらに衝撃拡散層を設ける場合、衝撃拡散層を耐衝撃層に接着する前に衝撃拡散層上に導電性遮蔽体を形成しておいてもよい。
【0097】
導電性遮蔽体としては、導電性を有しておれば良く、導電性材料を用いて形成された導電層を用いることができる。
【0098】
導電性遮蔽体として、金属、金属窒化物、金属酸化物などの膜、及びそれらの積層を用いることができる。
【0099】
導電性遮蔽体は、例えば、チタン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉄、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、バリウムから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料で形成すればよい。
【0100】
窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどを用いることができる。
【0101】
酸化物材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0102】
また、半導体に不純物元素などを添加して導電性を付与した半導体膜などを用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜などを用いることができる。
【0103】
さらに、導電性遮蔽体として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を用いてもよい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0104】
導電性遮蔽体は、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法などの各種乾式法、塗布法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)などの各種湿式法により形成することができる。また、電解めっき、無電解めっきなどの各種めっき法を用いても良い。
【0105】
また、導電性遮蔽体上の保護層を積層してもよい。例えば、導電性遮蔽体としてチタン膜を形成し、チタン膜上に保護層として酸化チタン膜を積層するとよい。保護層により半導体装置の表面に導電性遮蔽体を設ける場合でも保護層が最表面となり、導電性遮蔽体の劣化を防ぐことができる。
【0106】
また、本実施の形態で示す半導体装置は、外部からの電磁波により誘導起電力を発生させて動作を行う(無線機能を有する)ものである。このため、導電性遮蔽体は、静電気による半導体集積回路基板の破壊を防ぐと共に、電磁波を透過させる導電性材料を用いて形成する必要がある。
【0107】
一般に、電磁波は物質中において減衰することが知られており、この減衰は、特に導電性材料において顕著となる。このため、本実施の形態では、導電性遮蔽体を電磁波が透過できるように膜厚を十分に薄くする。
【0108】
導電性遮蔽体の膜厚は、通信に利用される電磁波の周波数、導電性遮蔽体として用いる導電性材料の抵抗率や透磁率に基づいて定めればよい。
【0109】
例えば、電磁波の周波数を13.56MHzとして、導電性遮蔽体としてチタン(抵抗率ρ:5.5×10−7(Ω・m))を用いる場合には、膜厚を少なくとも500nm以下程度とする。これにより、静電気放電に起因する半導体装置の破壊を抑制するとともに、外部との通信を良好に行うことが可能となる。
【0110】
もちろん、導電性遮蔽体として用いる材料はチタンに限られない。例えば、チタンより抵抗率が高い酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSOとも呼ぶ。)を用いる場合には、膜厚が少なくとも700nm以下程度の厚さとなるように形成すればよい。
【0111】
また、導電性遮蔽体の膜厚の下限は、抵抗率に基づいて決めることが好ましい。例えば、導電性遮蔽体として用いる導電性材料の抵抗率が高い場合には、静電気を効果的に拡散させるために、導電性遮蔽体を厚く形成することが好ましい。抵抗率が高い導電性材料を用いて導電性遮蔽体を薄くしすぎると、シート抵抗が大きくなり、静電気放電が発生した場合に静電気を効果的に拡散できず、半導体集積回路基板に大電流が流れて破壊されるおそれがあるためである。
【0112】
したがって、静電気による半導体装置の破壊を効果的に防止するためには、導電性遮蔽体のシート抵抗が1.0×10Ω/□以下、好ましくは1.0×10Ω/□以下、より好ましくは1.0×10Ω/□以下となるように膜厚を定めることが好ましい。また、電磁波の透過の観点からは、上記のシート抵抗を満たしつつ、膜厚を可能な限り小さくすることが好ましい。例えば、チタンを用いる場合には1nm以上であれば良く、好適には10nm〜30nm程度の厚さとすればよい。また、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSOとも呼ぶ)を用いる場合には、10nm以上とすることができ、好適には50nm〜200nm程度の厚さとすればよい。
【0113】
上述のような導電性遮蔽体を形成することで、静電気放電に起因する半導体装置の破壊を効果的に抑制するとともに、外部との通信を良好に行うことができる半導体装置を得ることができる。
【0114】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0115】
半導体集積回路基板を覆う導電性遮蔽体により、半導体集積回路基板の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積回路基板を封止する一対の耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレス、又は静電気放電に起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0116】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置、及び半導体装置の作製方法の他の例を図7を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1及び実施の形態2と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0117】
本実施の形態では、実施の形態3において半導体装置の両面(上面及び裏面)に電気的に接続する導電性遮蔽体が設けられた半導体装置の他の作製方法の一例を図7(A1)(A2)(B1)(B2)に示す。図7において、図7(A2)(B2)は平面図であり、図7(A1)(B1)はそれぞれ対応する図7(A2)(B2)の線E−Fにおける断面図である。
【0118】
図7(A1)(A2)に作製工程中の本実施の形態の半導体装置を示す。第1の衝撃拡散層113、第2の衝撃拡散層103、第1の耐衝撃層112、及び第2の耐衝撃層102は複数の半導体集積回路基板100及びアンテナ101を封止しており、積層体144を構成している。積層体144は個々のチップへの分断前であり複数の半導体集積回路基板100を含んでいる。複数の半導体集積回路基板100の間は第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102が接する封止領域が設けられており、半導体集積回路基板100は個々に封止されている。
【0119】
積層体144の最表面である第1の衝撃拡散層113外側の表面には導電性遮蔽体140a、第2の衝撃拡散層103外側の表面には導電性遮蔽体140bがそれぞれ形成されている。
【0120】
導電性遮蔽体140aと導電性遮蔽体140bとを形成した積層体144を個々の半導体集積回路基板チップ145a、145b、145c、145d、145e、145fに分断する(図7(B1)(B2)参照。)。半導体集積回路基板チップ145a、145b、145c、145d、145e、145fは積層体144が分断された積層体143をそれぞれ有する。
【0121】
本実施の形態では、導電性遮蔽体140aと導電性遮蔽体140bを電気的に接続する工程を半導体装置の分断工程(個々の半導体集積回路基板チップへの分断工程)により行う。分断手段としては、分断の際に第1の衝撃拡散層113、第2の衝撃拡散層103、第1の耐衝撃層112、及び第2の耐衝撃層102が溶融される手段を用いることが好ましい(導電性遮蔽体140a、140bが溶融される手段であるとより好ましい)。本実施の形態では、レーザ光の照射による分断を適用する。
【0122】
上記分断工程に用いるレーザ光の波長や強度、ビームサイズなどの条件については特に限定されない。少なくとも、半導体装置を分断できる条件であればよい。レーザ光の発振器としては、例えば、Arレーザ、Krレーザ、COレーザ、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、GdVOレーザ、Yレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ等の連続発振レーザ、Arレーザ、Krレーザ、エキシマ(ArF、KrF、XeCl)レーザ、COレーザ、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、GdVOレーザ、Yレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等のパルス発振レーザを用いることができる。
【0123】
本実施の形態に示すように、レーザ光の照射を用いて個々の半導体集積回路基板チップ145a、145b、145c、145d、145e、145fに分断することで、導電性遮蔽体140aと導電性遮蔽体140bとの間の抵抗値が低下し、導電性遮蔽体140aと導電性遮蔽体140bとが電気的に接続し、等電位となる。このため、半導体集積回路基板チップへの分断の工程と、導電性遮蔽体140a、140bとを電気的に接続させる工程を、一度に行うことができる。
【0124】
導電性遮蔽体140aと導電性遮蔽体140bとの間の抵抗値は、例えば、1GΩ以下であれば良く、好ましくは5MΩ乃至500MΩ程度、より好ましくは、10MΩ乃至200MΩ程度である。よって、このような条件になるように、レーザ光の照射処理などによる分断を行えばよい。
【0125】
以上の工程で、本実施の形態の半導体装置として半導体集積回路基板チップ145a、145b、145c、145d、145e、145fを作製することができる。
【0126】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0127】
本実施の形態において、半導体集積回路基板を覆う導電性遮蔽体により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積回路基板を封止する一対の耐衝撃層及び衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレス、又は静電気放電に起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0128】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置、及び半導体装置の作製方法の他の例を図8を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0129】
本実施の形態では、半導体装置端部における第1の耐衝撃層と第2の耐衝撃層との接触領域(封止領域)において、より密着性を高める構成とする。
【0130】
図8(A)は、実施の形態1の図2(C)と対応しており、繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体である第1の耐衝撃層112に、半導体集積回路基板100が接着されている。
【0131】
第1の耐衝撃層112の中央に半導体集積回路基板100は配置されており、半導体装置における封止領域である第1の耐衝撃層112の端部は露出されている。次に第1の耐衝撃層112の端部の一部を除去して加工する。加工手段は物理的に切除等で行ってもよいし、化学的にエッチング法(ドライエッチング法、ウェットエッチング法)で行ってもよい。本実施の形態では図8(B)のように、レーザ光170a、170bにより加工する。レーザ光170a、170bにより、第1の耐衝撃層112の端部には凹部171a、171bが形成される。
【0132】
本実施の形態の封止領域における第1の耐衝撃層112の加工は、封止領域において第2の耐衝撃層102との接触面積を拡大してより密着性を高めるためである。よって加工の形状は本実施の形態に限定されず、複数の凹部を形成してもよい。
【0133】
図8(C)のように、凹部171a、171bが形成された第1の耐衝撃層112に、繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体である第2の耐衝撃層102を加熱処理及び加圧処理を行うことで接着する。繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体である第2の耐衝撃層102は接着時に半硬化状態であるため流動性を有し、第1の耐衝撃層112の凹部171a、171bを充填するように密着し、硬化する。
【0134】
本発明の半導体装置においては、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102が、端部の封止領域において接することで、内部(中央部)に半導体集積回路基板100を封止する。よって、本実施の形態のように、封止領域に凹部を形成し、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102との接触面積を拡大することで、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102の密着性を高めることができる。このように強固に封止処理が施された半導体装置は、より丈夫で信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0135】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0136】
本実施の形態において、半導体集積回路基板を強固に封止する一対の耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0137】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明に適用できる半導体集積回路基板の一例としてCMOS(相補型金属酸化物半導体:Complementary Metal Oxide Semiconductor)に関して説明する。
【0138】
本実施の形態では、絶縁表面に単結晶半導体層を設けたSOI構造を有する基板(SOI基板)を用いる例を示す。SOI基板は、SIMOX(Separation by IMplanted Oxygen)法や、Smart−Cut法を用いて形成することができる。SIMOX法は、単結晶シリコン基板に酸素イオンを注入し、所定の深さに酸素含有層を形成した後、熱処理を行い、表面から一定の深さで埋込絶縁層を形成し、埋込絶縁層の上に単結晶シリコン層を形成する方法である。また、Smart−Cut法は、酸化された単結晶シリコン基板に水素イオン注入を行い、所望の深さに相当する所に水素含有層を形成し、他の半導体基板(表面に貼り合わせ用の酸化シリコン膜を有する単結晶シリコン基板など)と貼り合わせる、加熱処理を行うことにより水素含有層にて単結晶シリコン基板を分断し、半導体基板半導体基板上に酸化シリコン膜と単結晶シリコン層との積層を形成する方法である。
【0139】
図15(A)は、半導体基板200上に、絶縁層201、単結晶半導体層202が形成されている。単結晶半導体層202上には選択的に形成されたマスク250が形成されている。なお、ここでは図15(A)に示す構成のSOI基板を適用する例を示すがその他の構成のSOI基板も適用できる。
【0140】
単結晶半導体層202には、nチャネル型電界効果トランジスタ及びpチャネル型電界効果トランジスタの形成領域に合わせて、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物元素、若しくはリン、砒素などのn型不純物元素を添加された不純物領域(チャネルドープ領域)を有する構成としてもよい。
【0141】
マスク250を用いてエッチングを行い、露呈している単結晶半導体層202及びその下方の絶縁層201の一部を除去する。次いで、有機シランを用いて酸化シリコン膜を化学気相成長法で堆積する。この酸化シリコン膜は、単結晶半導体層202が埋め込まれるように厚く堆積する。次いで、単結晶半導体層202上に重なる酸化シリコン膜を研磨により除去した後、マスク250を除去して、素子分離絶縁層203を残存させる。素子分離絶縁層203により単結晶半導体層202は、素子領域205及び素子領域206に分離される(図15(B)参照。)。
【0142】
素子領域205、素子領域206は、作製するトランジスタの要求される電気特性に応じたチャネルドープ条件によってそれぞれ形成された一導電型を付与する不純物元素を含む領域に制御できる。
【0143】
次いで、第1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜上に導電性材料を含むポリシリコン膜を有するゲート電極層208a、208bを形成し、ゲート電極層208a、208bをマスクとして第1の絶縁膜をエッチングしてゲート絶縁層207a、207bを形成する。
【0144】
ゲート絶縁層207a、207bは酸化シリコン膜、若しくは酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁層として酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜なども用いることができる。ゲート絶縁層207a、207bは、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。例えば、亜酸化窒素(NO)をArで1〜3倍(流量比)に希釈して、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して単結晶半導体層202(素子領域205、206)の表面を酸化若しくは窒化させる。この処理により1nm〜10nm(好ましくは2nm〜6nm)の絶縁膜を形成する。さらに亜酸化窒素(NO)とシラン(SiH)を導入し、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化シリコン膜を形成してゲート絶縁層を形成する。固相反応と気相成長法による反応を組み合わせることにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁層を形成することができる。
【0145】
また、ゲート絶縁層207a、207bとして、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどの高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層207に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。
【0146】
ゲート電極層208a、208bは、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。ゲート電極層208、209はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層208a、208bとしてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。
【0147】
次いで、ゲート電極層208a、208bを覆う第2の絶縁膜210を形成し、さらにサイドウォール構造の側壁絶縁層216a、216b、217a、217bを形成する。pチャネル型電界効果トランジスタ(pFET)となる領域の側壁絶縁層216a、216bは、nチャネル型電界効果トランジスタ(nFET)となる領域の側壁絶縁層217a、217bよりも幅を広くする。次いで、nチャネル型電界効果トランジスタとなる領域にヒ素(As)などを添加して浅い接合深さの第1の不純物領域220a、220bを形成し、pチャネル型電界効果トランジスタとなる領域にボロン(B)などを添加して浅い接合深さの第2の不純物領域215a、215bを形成する(図15(C)参照。)。
【0148】
次いで、第2の絶縁膜210を部分的にエッチングしてゲート電極層208a、208bの上面と、第1の不純物領域220a、220b及び第2の不純物領域215a、215bとを露出させる。次いで、nチャネル型電界効果トランジスタとなる領域にAsなどをドーピングして深い接合深さの第3の不純物領域219a、219bを形成し、pチャネル型電界効果トランジスタとなる領域にBなどをドーピングして深い接合深さの第4の不純物領域224a、224bを形成する。次いで、活性化のための熱処理(800℃〜1100℃)を行う。次いで、シリサイドを形成するための金属膜としてコバルト膜を成膜する。次いでRTAなどの熱処理(500℃、1分)を行い、コバルト膜に接する部分のシリコンをシリサイド化させ、シリサイド222a、222b、223a、223bを形成する。その後、コバルト膜を選択的に除去する。次いで、シリサイド化の熱処理よりも高い温度で熱処理を行い、シリサイド部分の低抵抗化を図る(図15(D)参照。)。素子領域206にはチャネル形成領域226が、素子領域205にはチャネル形成領域221が形成される。
【0149】
次いで、層間絶縁層227を形成し、レジストからなるマスクを用いて層間絶縁層227に深い接合深さの第3の不純物領域219a、219bや深い接合深さの第4の不純物領域224a、224bにそれぞれ達するコンタクトホール(開口)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。
【0150】
エッチング方法及び条件は、コンタクトホールを形成する層間絶縁層227の材料によって適宜設定すればよい。ウエットエッチング、ドライエッチング、またはその両方を適宜用いることができる。本実施の形態ではドライエッチングを用いる。エッチング用ガスとしては、Cl、BCl、SiClもしくはCClなどを代表とする塩素系ガス、CF、SFもしくはNFなどを代表とするフッ素系ガス又はOを適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。ウエットエッチングのエッチャントは、フッ素水素アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む混合溶液のようなフッ酸系の溶液を用いるとよい。
【0151】
コンタクトホールを覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層としても機能する配線層242a、242b、242cを形成する。配線層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、及びSi、Ge、又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
【0152】
本実施の形態では、層間絶縁層227に形成されたコンタクトホールを埋めるように埋込配線層として配線層240a、240b、240c、240dを形成する。埋込型の配線層240a、240b、240c、240dは、コンタクトホールを埋め込む十分な膜厚の導電膜を形成し、CMP法などの研磨処理により、コンタクトホール部だけに導電膜を残し、不要な導電膜部分を除去して形成する。
【0153】
埋込型の配線層240a、240b、240c、240d上に絶縁層228及び引き回し配線層として配線層241a、241b、241cを形成し、配線層242a、242b、242cを形成する。
【0154】
以上の工程で半導体基板200に絶縁層201を介して接合された単結晶半導体層202の素子領域206を用いてnチャネル型電界効果トランジスタ232を、素子領域205を用いてpチャネル型電界効果トランジスタ231が作製できる(図15(E)参照。)。なお、本実施の形態において、nチャネル型電界効果トランジスタ232及びpチャネル型電界効果トランジスタ231は配線層242bによって電気的に接続されている。
【0155】
このようにnチャネル型電界効果トランジスタ232とpチャネル型電界効果トランジスタ231を相補的に組み合わせることによってCMOS構造を構成する半導体集積回路基板270を作製することができる。
【0156】
このCMOS構造上に、さらに配線や半導体素子などを積層し、様々な機能を有する半導体装置を作製することができる。
【0157】
なお、図15の半導体集積回路基板においては、素子分離絶縁層203によって素子領域205と素子領域206とを素子分離する例を示すが、図20(A)乃至(E)のように素子領域205と素子領域206とを島状の半導体層に加工してもよい。この場合、図20(B)に示すように素子領域205及び素子領域206間には、素子分離絶縁層203は形成されないので、図20(C)に示すように第2の絶縁膜260が形成される。図20(D)において、第2の絶縁膜260はエッチングされ、絶縁膜261a、261b、261cとなる。よって図20(E)に示すように半導体集積基板280に含まれるnチャネル型電界効果トランジスタ232及びpチャネル型電界効果トランジスタ231の島状の半導体層である素子領域205及び素子領域206は、絶縁膜261a、261b、261cにより端部を囲まれる構成となる。
【0158】
図15(E)及び図20(E)に示す半導体集積回路基板270、280は、半導体集積回路毎に分断され、半導体基板200に薄膜化工程を行っている。分断工程と薄膜化工程を行う順番は前後してもよい。図15(E)及び図20(E)に示す半導体集積回路基板270、280も本発明の半導体集積回路基板として適宜適用することができる。
【0159】
本発明の半導体装置は、半導体素子としては電界効果トランジスタはもちろん、半導体層を用いるメモリ(記憶)素子なども適用することができ、多用途に渡って要求される機能を満たす半導体装置を作製し、提供することができる。
【0160】
本実施の形態に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
【0161】
図15(E)及び図20(E)に示す半導体集積回路基板270、280は、実施の形態1の図1に示すように、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102によって封止され、半導体集積回路基板チップとして半導体装置とすることができる。
【0162】
本実施の形態は、他の実施の形態にも適宜組み合わせることができ、他の実施の形態における半導体集積回路基板100として適宜適用できる。
【0163】
本実施の形態で作製した半導体装置は、可撓性を有する耐衝撃層(又は衝撃拡散層も)を用いることで、可撓性を有する半導体装置とすることができる。
【0164】
半導体集積回路を挟持する一対の耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0165】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明に適用できる半導体集積回路基板の他の一例に関して図14を用いて説明する。
【0166】
図14(A)は、本発明のCMOS構造を有する半導体集積回路基板350の一例であり、半導体集積回路基板350上に、電気的に接続しアンテナとして機能する導電層306、保護層として無機絶縁層307が形成されている。
【0167】
半導体集積回路基板350には、半導体基板300にnチャネル型トランジスタであるトランジスタ301a、pチャネルトランジスタであるトランジスタ301bが素子分離絶縁層302により素子領域が分離されて形成され、トランジスタ301a、301bを覆う絶縁層303、絶縁層304、絶縁層305が積層されている。
【0168】
トランジスタ301aは、ゲート絶縁層310a、ゲート電極層311a、側壁絶縁層312a、浅い接合深さの不純物領域314a、深い接合深さの不純物領域313a、配線層315aを含み、トランジスタ301bは、ゲート絶縁層310b、ゲート電極層311b、側壁絶縁層312b、浅い接合深さの不純物領域314b、深い接合深さの不純物領域313b、配線層315bを含んでいる。
【0169】
本実施の形態では、半導体基板300としてp型の導電型を有する単結晶シリコン基板を用いているために、pチャネルトランジスタであるトランジスタ301bにn型を付与する不純物元素を添加しnウェル領域316を形成している。
【0170】
また、半導体集積回路基板350にメモリ素子、メモリセルアレイ及びメモリセルアレイを駆動する駆動回路部を有する構成としてもよい。
【0171】
アンテナとして機能する導電層306は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
【0172】
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電層306を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。また、導電層の形成の際は、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。
【0173】
第1の耐衝撃層321を加熱し、無機絶縁層307、導電層306及び半導体集積回路基板350に圧着して、第1の耐衝撃層321に、無機絶縁層307、導電層306及び半導体集積回路基板350を接着する。第1の耐衝撃層321として繊維体322に有機樹脂323が含浸された構造体を用いるため、構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化することができる。
【0174】
次に、半導体集積回路基板350の露出している面を研削、研磨して半導体集積回路基板350を薄型化し、より厚さの薄い半導体集積回路基板360とする。本実施の形態のように、半導体集積回路基板350毎に半導体基板をチップ状に分断した後に薄型化処理を行ってもよいし、複数の半導体集積回路基板を作製した半導体基板に薄型化処理を行い、その後チップ状に分断してもよい。
【0175】
第2の耐衝撃層324も繊維体325に有機樹脂326が含浸された構造体を用いるため、構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化することができる。第2の耐衝撃層324を加熱し、半導体集積回路基板360に圧着して、半導体集積回路基板360に第2の耐衝撃層324を接着する(図14(B)参照。)。
【0176】
第1の耐衝撃層321と第2の耐衝撃層324は中央部に半導体集積回路基板360を配置し、半導体集積回路基板360の存在しない端部においてお互い接して半導体集積回路基板360を封止する。
【0177】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0178】
このように半導体集積回路を挟持する一対の耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0179】
(実施の形態8)
本実施の形態では、より高い信頼性を付与することを目的とした半導体装置の例について説明する。詳しくは半導体装置の一例として、マイクロプロセッサ及び非接触でデータの送受信を行うことのできる演算機能を備えた半導体装置の一例について説明する。
【0180】
図12は半導体装置の一例として、マイクロプロセッサ500の一例を示す。このマイクロプロセッサ500は、上記実施の形態に係る半導体装置により製造されるものである。このマイクロプロセッサ500は、演算回路501(Arithmetic logic unit。ALUともいう。)、演算回路制御部502(ALU Controller)、命令解析部503(Instruction Decoder)、割り込み制御部504(Interrupt Controller)、タイミング制御部505(Timing Controller)、レジスタ506(Register)、レジスタ制御部507(Register Controller)、バスインターフェース508(Bus I/F)、読み出し専用メモリ509、及びメモリインターフェース510(ROM I/F)を有している。
【0181】
バスインターフェース508を介してマイクロプロセッサ500に入力された命令は、命令解析部503に入力され、デコードされた後、演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505に入力される。演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505は、デコードされた命令に基づき各種制御を行う。具体的に演算回路制御部502は、演算回路501の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部504は、マイクロプロセッサ500のプログラム実行中に、外部の入出力装置や周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断して処理する。レジスタ制御部507は、レジスタ506のアドレスを生成し、マイクロプロセッサ500の状態に応じてレジスタ506の読み出しや書き込みを行う。タイミング制御部505は、演算回路501、演算回路制御部502、命令解析部503、割り込み制御部504、レジスタ制御部507の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部505は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。なお、図12に示すマイクロプロセッサ500は、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際にはその用途によって多種多様な構成を備えることができる。
【0182】
次に、非接触でデータの送受信を行うことのできる演算機能を備えた半導体装置の一例について図13を参照して説明する。図13は無線通信により外部装置と信号の送受信を行って動作するコンピュータ(以下、「RFCPU」という)の一例を示す。RFCPU511は、アナログ回路部512とデジタル回路部513を有している。アナログ回路部512として、共振容量を有する共振回路514、整流回路515、定電圧回路516、リセット回路517、発振回路518、復調回路519と、変調回路520を有している。デジタル回路部513は、RFインターフェース521、制御レジスタ522、クロックコントローラ523、インターフェース524、中央処理ユニット525、ランダムアクセスメモリ526、読み出し専用メモリ527を有している。
【0183】
このような構成のRFCPU511の動作は概略以下の通りである。アンテナ528が受信した信号は共振回路514により誘導起電力を生じる。誘導起電力は、整流回路515を経て容量部529に充電される。この容量部529はセラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサーなどのキャパシタで形成されていることが好ましい。容量部529はRFCPU511と一体形成されている必要はなく、別部品としてRFCPU511を構成する絶縁表面を有する基板に取り付けられていれば良い。
【0184】
リセット回路517は、デジタル回路部513をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇に遅延して立ち上がる信号をリセット信号として生成する。発振回路518は、定電圧回路516により生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。ローパスフィルタで形成される復調回路519は、例えば振幅変調(ASK)方式の受信信号の振幅の変動を二値化する。変調回路520は、送信データを振幅変調(ASK)方式の送信信号の振幅を変動させて送信する。変調回路520は、共振回路514の共振点を変化させることで通信信号の振幅を変化させている。クロックコントローラ523は、電源電圧又は中央処理ユニット525における消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路530が行っている。
【0185】
アンテナ528からRFCPU511に入力された信号は復調回路519で復調された後、RFインターフェース521で制御コマンドやデータなどに分解される。制御コマンドは制御レジスタ522に格納される。制御コマンドには、読み出し専用メモリ527に記憶されているデータの読み出し、ランダムアクセスメモリ526へのデータの書き込み、中央処理ユニット525への演算命令などが含まれている。中央処理ユニット525は、インターフェース524を介して読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522にアクセスする。インターフェース524は、中央処理ユニット525が要求するアドレスより、読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522のいずれかに対するアクセス信号を生成する機能を有している。
【0186】
中央処理ユニット525の演算方式は、読み出し専用メモリ527にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、起動とともにプログラムを読み出し実行する方式を採用することができる。また、専用回路で演算回路を構成して、演算処理をハードウェア的に処理する方式を採用することもできる。ハードウェアとソフトウェアを併用する方式では、専用の演算回路で一部の処理を行い、残りの演算をプログラムを使って中央処理ユニット525が実行する方式を適用することができる。
【0187】
本実施の形態におけるマイクロプロセッサにおいても、半導体集積回路基板を封止する一対の耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0188】
(実施の形態9)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置の使用形態の一例について説明する。具体的には、非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して、図面を用いて以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によって、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップとも呼ばれる。
【0189】
本実施の形態で示す半導体装置の上面構造の一例について、図19(A)を参照して説明する。図19(A)に示す半導体装置は、アンテナ(オンチップアンテナとも記す)が設けられた半導体集積回路基板チップ400と、アンテナ405(ブースターアンテナとも記す)が設けられた支持基板406とを含んでいる。半導体集積回路基板チップ400は、支持基板406及びアンテナ405上に形成された絶縁層410上に設けられている。絶縁層410により支持基板406及びアンテナ405上に半導体集積回路基板チップ400が固定することができる。なお、実施の形態3で示した静電気破壊対策として半導体集積回路基板チップ400表面に導電性遮蔽体設けられる構成の場合、導電性遮蔽体の抵抗が高く、アンテナ405のパターン間を導通させない場合には、アンテナ405と半導体集積回路基板チップ400表面に設けられる導電性遮蔽体とは接して設けられてもよい。
【0190】
半導体集積回路基板チップ400内に設けられる半導体集積回路にはメモリ部やロジック部を構成する複数のトランジスタ等の素子が設けられる。本実施の形態に係る半導体装置は、半導体素子として電界効果トランジスタはもちろん、半導体層を用いる記憶素子なども適用することができ、多用途に渡って要求される機能を満たす半導体装置を作製し、提供することができる。
【0191】
図18(A)に、図19(A)に示した半導体集積回路基板チップ400に含まれるアンテナと半導体集積回路の拡大図を示す。図18(A)において、アンテナ101は巻き数が1である矩形のループアンテナであるが、本発明はこの構成に限定されない。ループアンテナの形状は矩形を有することに限定されず、曲線を有する形状、例えば円形を有していても良い。そして巻き数は1に限定されず、複数であっても良い。ただしアンテナ101の巻き数が1の場合、半導体集積回路基板100とアンテナ101の間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0192】
また、図19(A)、図18(A)において、アンテナ101は、半導体集積回路基板100の周囲を取り囲むように配置されており、破線で示す給電点408に相当する部分以外は、アンテナ101は半導体集積回路基板100とは異なる領域に配置されている。しかし本発明はこの構成に限定されず、図18(B)に示すように、破線で示す給電点408に相当する部分以外において、アンテナ101が半導体集積回路基板100と少なくとも一部重なるように配置されていても良い。ただし、図19(A)、図18(A)に示すように、アンテナ101が半導体集積回路基板100とは異なる領域に配置されていることで、半導体集積回路基板100とアンテナ101の間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0193】
図19(A)において、アンテナ405は、主に破線407で囲まれたループ状の部分において、アンテナ101と電磁誘導により信号の授受または電力の供給を行うことができる。またアンテナ405は、主に、破線407で囲まれた部分以外の領域において、電波により質問器と信号の授受または電力の供給を行うことができる。質問器と半導体装置との間において、キャリア(搬送波)として用いられる電波の周波数は、30MHz以上5GHz以下程度が望ましく、例えば950MHz、2.45GHzなどの周波数帯を用いればよい。
【0194】
また、アンテナ405は、破線407で囲まれた部分において巻き数1の矩形のループ状になっているが、本発明はこの構成に限定されない。ループ状の部分は矩形を有することに限定されず、曲線を有する形状、例えば円形を有していても良い。そして巻き数は1に限定されず、複数であっても良い。
【0195】
本発明の半導体装置は、電磁誘導方式、電磁結合方式、マイクロ波方式を適用することも可能である。マイクロ波方式の場合は、用いる電磁波の波長によりアンテナ101、アンテナ405の形状を適宜決めればよい。
【0196】
例えば、半導体装置における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860MHz帯乃至960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナの長さや形状等を適宜設定すればよい。例えば、アンテナを線状(例えば、ダイポールアンテナ)、平坦な形状(例えば、パッチアンテナまたはリボン型の形状)等に形成することができる。また、アンテナの形状は直線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
【0197】
図10にアンテナ101、アンテナ405をコイル状に設け、電磁誘導方式または電磁結合方式を適用する例を示す。
【0198】
図10においては、ブースターアンテナとしてコイル状のアンテナ405が設けられた支持基板406上に、コイル状のアンテナ101が設けられた半導体集積回路基板チップ400が設けられている。なお、ブースターアンテナであるアンテナ405は支持基板406を挟んで、容量411を形成している。
【0199】
次に、半導体集積回路基板チップ400とブースターアンテナの構造及びその配置について説明する。図19(B)は、図19(A)に示した半導体集積回路基板チップ400と支持基板406に形成されたアンテナ405が積層された半導体装置の斜視図に相当する。そして、図19(C)は、図19(B)の破線X−Yにおける断面図に相当する。
【0200】
図19(C)に示す半導体集積回路基板チップ400は、実施の形態1乃至7で示した半導体装置を用いることができ、ここでは、個々に分断しチップ状にしたものを半導体集積回路基板チップという。なお、図19(C)に示す半導体集積回路基板チップは、実施の形態1を用いる例であるが、本実施の形態は、他の実施の形態にも適用することができ、この構造に限定されない。
【0201】
図19(C)に示す半導体集積回路基板100は、第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102で挟持され、その側面も封止されている。本実施の形態では、複数の半導体集積回路基板を挟持して第1の耐衝撃層、第2の耐衝撃層を貼り合わせた後、個々の半導体集積回路基板ごとの積層体に分断し、個々の半導体集積回路基板を封止する。分断手段としては物理的に分断することができれば特に限定しないが、本実施の形態ではレーザ光を照射することによって分断する。
【0202】
図19(C)では、半導体集積回路基板100が、アンテナ101よりも、よりアンテナ405に近い位置に配置されているが、本発明はこの構成に限定されない。アンテナ101が半導体集積回路基板100よりも、よりアンテナ405に近い位置に配置されていてもよい。また、アンテナ101を耐衝撃層の外側に設けてもよい。この場合、一対の耐衝撃層に封止されている半導体集積回路基板の接続端子が露出するように耐衝撃層に貫通孔を形成し、その貫通孔を介してアンテナ101を電気的に接続すればよい。この電気的接続は、貫通孔に電極層を形成して行ってもよいし、接着性を有する樹脂中に含まれる導電性粒子を介して電気的に接続する構成でもよい。
【0203】
次に、本実施の形態に係る半導体装置の動作について説明する。図17は、本実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図の一例である。図17に示す半導体装置420は、ブースターアンテナとしてアンテナ422と、半導体集積回路423と、オンチップアンテナとしてアンテナ424とを有している。質問器421から電磁波が送信されると、アンテナ422が該電磁波を受信することで、アンテナ422内に交流の電流が生じ、アンテナ422の周囲に磁界が発生する。そして、アンテナ422が有するループ状の部分と、ループ状の形状を有するアンテナ424とが電磁結合することで、アンテナ424に誘導起電力が生じる。半導体集積回路423は上記誘導起電力を用いることで、信号または電力を質問器421から受け取る。逆に半導体集積回路423において生成された信号に従って、アンテナ424に電流を流してアンテナ422に誘導起電力を生じさせることで、質問器421から送られてくる電波の反射波にのせて、質問器421に信号を送信することができる。
【0204】
なお、アンテナ422は、主にアンテナ424との間において電磁結合するループ状の部分と、主に質問器421からの電波を受信する部分とに分けられる。質問器421からの電波を主に受信する部分における、アンテナ422の形状は、電波を受信できる形であればよい。例えば、ダイポールアンテナ、折り返しダイポールアンテナ、スロットアンテナ、メアンダラインアンテナ、マイクロストリップアンテナ等の形状を用いればよい。
【0205】
また、図17では、アンテナを1つだけ有する半導体集積回路の構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。電力を受信するためのアンテナと、信号を受信するためのアンテナとの、2つのアンテナを有していても良い。アンテナが2つあると、電力を供給する電波の周波数と、信号を送るための電波の周波数とを使い分けることができる。
【0206】
本実施の形態に係る半導体装置では、オンチップアンテナを用いており、なおかつ、ブースターアンテナとオンチップアンテナの間における信号または電力の授受を非接触で行うことができるので、外付けのアンテナを半導体集積回路に接続する場合とは異なり、外力によって半導体集積回路とアンテナとの接続が分断されにくく、該接続における初期不良の発生も抑えることができる。また本実施の形態ではブースターアンテナを用いているので、オンチップアンテナのみの場合とは異なり、オンチップアンテナの寸法または形状が半導体集積回路の面積の制約を受けにくく、受信可能な電波の周波数帯が限定されず、通信距離を伸ばすことができる、という外付けのアンテナが有するメリットを享受することができる。
【0207】
本発明を適用した半導体装置は、半導体集積回路基板を封止する一対の耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。よって、本実施の形態で示すような非接触でデータの入出力が可能で、且つ小型な半導体装置とした場合に有効である。本実施の形態の半導体装置は外力に対する信頼性が高いので、半導体装置が使用可能な環境の条件を広げ、延いては半導体装置の用途の幅を広げることが可能になる。
【0208】
(実施の形態10)
本実施の形態では、上述した本発明を用いて形成された非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して図面を参照して以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によっては、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップともよばれる。
【0209】
半導体装置800は、非接触でデータを交信する機能を有し、高周波回路810、電源回路820、リセット回路830、クロック発生回路840、データ復調回路850、データ変調回路860、他の回路の制御を行う制御回路870、記憶回路880およびアンテナ890を有している(図11(A)参照。)。高周波回路810はアンテナ890より信号を受信して、データ変調回路860より受信した信号をアンテナ890から出力する回路であり、電源回路820は受信信号から電源電位を生成する回路であり、リセット回路830はリセット信号を生成する回路であり、クロック発生回路840はアンテナ890から入力された受信信号を基に各種クロック信号を生成する回路であり、データ復調回路850は受信信号を復調して制御回路870に出力する回路であり、データ変調回路860は制御回路870から受信した信号を変調する回路である。また、制御回路870としては、例えばコード抽出回路910、コード判定回路920、CRC判定回路930および出力ユニット回路940が設けられている。なお、コード抽出回路910は制御回路870に送られてきた命令に含まれる複数のコードをそれぞれ抽出する回路であり、コード判定回路920は抽出されたコードとリファレンスに相当するコードとを比較して命令の内容を判定する回路であり、CRC判定回路930は判定されたコードに基づいて送信エラー等の有無を検出する回路である。
【0210】
次に、上述した半導体装置の動作の一例について説明する。まず、アンテナ890により無線信号が受信される。無線信号は高周波回路810を介して電源回路820に送られ、高電源電位(以下、VDDと記す)が生成される。VDDは半導体装置800が有する各回路に供給される。また、高周波回路810を介してデータ復調回路850に送られた信号は復調される(以下、復調信号)。さらに、高周波回路810を介してリセット回路830およびクロック発生回路840を通った信号及び復調信号は制御回路870に送られる。制御回路870に送られた信号は、コード抽出回路910、コード判定回路920およびCRC判定回路930等によって解析される。そして、解析された信号にしたがって、記憶回路880内に記憶されている半導体装置の情報が出力される。出力された半導体装置の情報は出力ユニット回路940を通って符号化される。さらに、符号化された半導体装置800の情報はデータ変調回路860を通って、アンテナ890により無線信号に載せて送信される。なお、半導体装置800を構成する複数の回路においては、低電源電位(以下、VSS)は共通であり、VSSはGNDとすることができる。
【0211】
このように、通信装置から半導体装置800に信号を送り、当該半導体装置800から送られてきた信号を通信装置で受信することによって、半導体装置のデータを読み取ることが可能となる。
【0212】
また、半導体装置800は、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリー)を搭載せず電磁波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリー)を搭載して電磁波と電源(バッテリー)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
【0213】
次に、非接触でデータの入出力が可能な半導体装置の使用形態の一例について説明する。表示部3210を含む携帯端末の側面には、通信装置3200が設けられ、品物3220の側面には半導体装置3230が設けられる(図11(B))。品物3220が含む半導体装置3230に通信装置3200をかざすと、表示部3210に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品3260をベルトコンベアにより搬送する際に、通信装置3240と、商品3260に設けられた半導体装置3250を用いて、該商品3260の検品を行うことができる(図11(C))。このように、システムに半導体装置を活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。
【0214】
以上の様に、本発明の信頼性の高い半導体装置の適用範囲は極めて広く、広い分野の電子機器に用いることが可能である。
【0215】
(実施の形態11)
本発明によりプロセッサ回路を有するチップ(以下、プロセッサチップ、無線チップ、無線プロセッサ、無線メモリ、無線タグともよぶ)として機能する半導体装置を形成することができる。本発明の半導体装置の用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図9を用いて説明する。
【0216】
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指し、プロセッサ回路を有するチップ190を設けることができる(図9(A)参照)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指し、プロセッサ回路を有するチップ191を設けることができる(図9(B)参照)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指し、プロセッサ回路を有するチップ197を設けることができる(図9(C)参照)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指し、プロセッサ回路を有するチップ193を設けることができる(図9(D)参照)。書籍類とは、書物、本等を指し、プロセッサ回路を有するチップ194を設けることができる(図9(E)参照)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指、プロセッサ回路を有するチップ195を設けることができる(図9(F)参照)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指し、プロセッサ回路を有するチップ196を設けることができる(図9(G)参照)。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
【0217】
このような半導体装置の設け方としては、物品の表面に貼る、或いは物品に埋め込んで設ける。例えば、本の場合は紙に埋め込めばよく、有機樹脂からなるパッケージであれば有機樹脂に埋め込めばよい。
【0218】
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類に半導体装置を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサーを備えた半導体装置を埋め込む又は取り付けることによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。
【0219】
なお、本実施の形態は、上記実施の形態1乃至10と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0220】
(実施の形態12)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の実装例を、図16を用いて説明する。
【0221】
本発明の半導体装置は、実施の形態11で示したように、様々は物品に実装することができる。本実施の形態では、可撓性基板(フレキシブル基板ともいう)に実装しフレキシブルな半導体装置を作製する例を示す。
【0222】
図16(A)乃至(C)は、可撓性基板に半導体集積回路基板チップを埋め込むように実装した例である。半導体集積回路基板チップは実施の形態1乃至7で示した半導体装置を用いることができ、ここでは個々に分断しチップ状にしたものを半導体集積回路基板チップという。図16(D)に半導体集積回路基板チップ600の詳細を示す。図16(D)の半導体集積回路基板チップは実施の形態1を用いる例であるが、本実施の形態は他の実施の形態にも適用することができ、この構造に限定されない。
【0223】
図16(D)は、アンテナ101及び半導体集積回路基板100は、第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102で挟持され、その側面も封止されている。本実施の形態では、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102は複数の半導体集積回路を挟持しており、個々のアンテナ101及び半導体集積回路基板100ごとに分断し、半導体集積回路基板チップを作製する。分断手段としては物理的に分断することができれば特に限定しないが、本実施の形態ではレーザ光を照射することによって分断する。
【0224】
分断することによって、アンテナ101及び半導体集積回路基板100は第1の耐衝撃層112と第2の耐衝撃層102とによって封止される。
【0225】
半導体集積回路基板を封止する一対の耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても外部ストレスに起因する形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0226】
図16(A)は可撓性基板601と、可撓性基板602に挟持された半導体集積回路基板チップ600であり、半導体集積回路基板チップ600は可撓性基板601に設けられた凹部に配置されている。
【0227】
半導体集積回路基板チップ600が配置される凹部は片方の可撓性基板に設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。図16(B)は可撓性基板601及び可撓性基板602に両方に設けられた凹部に、半導体集積回路基板チップ600が配置される例である。
【0228】
さらに、可撓性基板を3層構造とし、中央の可撓性基板に半導体集積回路基板チップ600を配置する開口を設けてもよい。図16(C)は、可撓性基板603に開口を設け、その開口に半導体集積回路基板チップ600を配置し、可撓性基板601と可撓性基板602とよって、可撓性基板603及び半導体集積回路基板チップ600を挟み込むように挟持する例である。
【0229】
図16(A)乃至(C)において、さらに可撓性基板601、可撓性基板602の外側に可撓性基板を積層してもよい。
【0230】
可撓性基板601、602、603としては、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布、紙などを用いることができる。また、具体的にはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリプロピレン、ポリプロピレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、ポリフタールアミド等からなる基板、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等からなる基板、フィルム、繊維質な材料からなる紙などを用いることができる。接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどを用いることができる。基板やフィルムが被処理体と接着する際は、接着層を用いてもよい。基板やフィルムの種類によって条件を選択し、加熱処理や加圧により接着することができる。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。
【0231】
本実施の形態のように、実装する可撓性基板内に凹部、又は開口を設けて半導体集積回路基板チップ600を埋め込むように配置すると、半導体集積回路基板チップ600を設けることによる凸部が形成されないため、可撓性基板表面は平坦であり、膜厚を均一にすることができる。従って可撓性基板に半導体集積回路基板チップを実装する際に貼り合わせのためにローラーなどによって加圧処理を行っても、半導体集積回路基板チップに局所的に圧力がかかる(圧力が集中する)ことを防止することができる。よって、実装工程において半導体集積回路基板チップの破損を軽減することができるため、半導体装置の歩留まりが向上する。また、実装後においても、外的ストレスに強い、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0232】
また平坦かつ平滑な表面とすることができるため、保管や機械上における積み重ね性、搬送性に優れる。さらに外部より半導体集積回路基板チップが視認されないため(表面に半導体集積回路基板チップの形状が反映する凸部が生じないため)、セキュリティ性の高い半導体装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】本発明の半導体装置を説明する図。
【図2】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図3】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図4】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図5】本発明の半導体装置を説明する図。
【図6】本発明の半導体装置を説明する図。
【図7】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図8】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図9】本発明の半導体装置の適用例を説明する図。
【図10】本発明の半導体装置を説明する図。
【図11】本発明の半導体装置を説明する図。
【図12】本発明の半導体装置により得られるマイクロプロセッサの構成を示すブロック図。
【図13】本発明の半導体装置により得られるRFCPUの構成を示すブロック図。
【図14】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図15】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図16】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図17】本発明の半導体装置を説明する図。
【図18】本発明の半導体装置を説明する図。
【図19】本発明の半導体装置を説明する図。
【図20】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図21】本発明の半導体装置を説明する図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように設けられた第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と、
前記対向する第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体との間に設けられた半導体集積回路基板とを有し、
前記半導体集積回路基板は単結晶半導体基板を含み、
前記第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と前記第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体とは中央部に前記半導体集積回路基板を配置し、端部において互いに接着して前記半導体集積回路基板を封止することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び前記第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の前記半導体集積回路基板と反対側の表面の少なくとも一方に導電性遮蔽体を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、前記第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び前記第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の前記半導体集積回路基板と反対側の表面に電気的に接続する導電性遮蔽体を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
互いに対向するように設けられた第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と、
前記対向する第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体との間に設けられた半導体集積回路基板とを有し、
前記第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び前記第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の前記半導体集積回路基板と反対側の表面にそれぞれ設けられた第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層とを有し、
前記半導体集積回路基板は単結晶半導体基板を含み、
前記第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と前記第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体とは中央部に前記半導体集積回路基板を配置し端部において互いに接着して前記半導体集積回路基板を封止することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層の前記半導体集積回路基板と反対側の表面の少なくとも一方に導電性遮蔽体を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項4において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層の前記半導体集積回路基板と反対側の表面に電気的に接続する導電性遮蔽体を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項4乃至6において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は膜厚が等しいことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか一項において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は前記第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び前記第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び前記第2の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体は膜厚が等しいことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、前記第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と前記半導体集積回路基板との間に前記半導体集積回路基板に電気的に接続するアンテナを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10において、前記第1の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体と前記アンテナとの間に無機絶縁層を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項において、前記半導体集積回路基板の膜厚は50nm以上5μm以下であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−21351(P2010−21351A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180287(P2008−180287)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】