説明

無鉛伝導性組成物およびそれを用いた方法

伝導性組成物は、保護されていない単一の反応基を含む一酸混成物を含む。この一酸混成物は、他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより連鎖終結剤として機能し得る。この組成物を使用した方法および装置も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示されるいくつかの実施の形態は、概して伝導性組成物に関する。より具体的には、本明細書に記載のいくつかの実施例は、単一の反応部位を含む一酸混成物を用いて生成される組成物に向けられている。
【背景技術】
【0002】
背景
電気的な接続を設けるために使用される組成物は、こういった組成物の総合的な有用性を低下させる可能性があるガス放出、早期硬化、およびそれ以外の望ましくない副作用を伴うことがある。特に、上記組成物の早期架橋は、ポットライフを大幅に短縮する可能性があり、これによって、この組成物の使用は望ましくない時間的制約を受ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本明細書に記載のいくつかの特徴、局面、実施の形態および実施例は、たとえば少なくとも約8時間大量生産環境で製品を実用的にするのに十分な室温安定性を有する伝導性無鉛ポリマー/金属組成物に向けられている。より具体的には、本明細書において開示される実施の形態は、金属−ポリマー複合接合を提供するために使用されてもよい。この接合は、伝導性組成物を処理した後に形成され、十分な熱伝導性および/または導電性を有するとともに低いコンタクト抵抗を示し、電子組立品における軟質はんだワイヤまたははんだペーストに代わるものである。さらに、この接合は、十分な機械的強度を保ってワイヤボンドの損傷を減じるまたは防止することができるが、意図される機能を果たすことができない場合は組立品に悪影響を及ぼす。いくつかの実施の形態では、一酸混成物によって与えられる融剤力は、金属粉末から酸化物を取除いて加熱プロファイル中にたとえば銅粒子といった金属粒子ではんだ付けできるようにするのに十分である。さらに、融剤が反応することによって通常は酸性残基を原因とする予想される腐食の問題を解消または減じることができる。
【0004】
第1の局面において、伝導性組成物が提供され、この伝導性組成物は一酸エステル混成物を含み、このエステル混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能し、伝導性組成物はさらに、エポキシ樹脂と、該組成物を伝導性にする有効量の少なくとも1つの金属とを含む。ある実施例では、この組成物は無水物も含み得る。
【0005】
いくつかの実施の形態では、上記少なくとも1つの金属は、銅、銀、錫、ビスマス、インジウム、アンチモン被覆銅、銀被覆銅、錫被覆銅、およびその合金からなる群より選択される。他の実施の形態では、上記少なくとも1つの金属は、キャップド金属粒子、被覆金属粒子、非キャップド金属粒子、非被覆金属粒子、金属粉末、金属フレーク、金属合金、およびその組合せからなる群より選択される。ある実施例では、上記一酸エステル混成物の単一の反応基は、ヒドロキシル基でもよい。他の実施例では、上記エポキシ樹脂は、エポキシ化ビスフェノールF、エポキシ化ビスフェノールA、脂環式エポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、フッ素置換エポキシ樹脂、エポキシ化シリコーン樹脂、多官能エポキシ樹脂、およびその組合せからなる群より選択できる。いくつかの実施例では、上記組成物はさらに、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、およびアルケニルコハク酸無水物からなる群より選択される無水物を含み得る。さらなる実施例では、一酸エステル混成物は、約0.5重量%から約10重量%で存在してもよく、エポキシ化フェノールは、約2重量%から約18重量%で存在してもよく、金属は、約80重量%から約95重量%で存在してもよく、これら重量百分率はすべて上記組成物の重量に基づいている。
【0006】
いくつかの実施例では、金属は銀被覆銅であり、エポキシ樹脂はエポキシ化ビスフェノールFであり、一酸エステル混成物はモノエチルコハク酸塩である。
【0007】
ある実施例では、金属は上記組成物の重量に対して80〜95重量%で存在する。
他の実施例では、一酸エステル混成物は以下の式を有する化合物である。
【0008】
【化1】

【0009】
式中、RおよびRは各々独立して、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0010】
いくつかの実施例では、一酸エステル混成物は以下の式を有する化合物である。
【0011】
【化2】

【0012】
式中、Rは−OHであり、Rは1から6の炭素原子を含む飽和炭素鎖からなる群より選択され、nは1と6の間であり、カルボニル基の間に脂肪族構造または環状構造を与える。
【0013】
別の局面において、金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸エステル混成物とを含む伝導性組成物が開示され、一酸エステル混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。
【0014】
いくつかの実施の形態では、上記金属は、銅、銀、錫、ビスマス、インジウム、アンチモン被覆銅、銀被覆銅、錫被覆銅、その合金、およびその組合せからなる群より選択できる。他の実施の形態では、上記金属の被覆は無電解または電解めっきを用いて追加してもよい。ある実施の形態では、上記金属は、キャップド金属粒子、被覆金属粒子、非キャップド金属粒子、非被覆金属粒子、金属粉末、金属フレーク、金属合金、およびその組合せからなる群より選択できる。ある実施例では、上記はんだは、錫、ビスマス、鉛、インジウム、アンチモン、その混合物および合金、ならびに合金の混合物を含む。
【0015】
いくつかの実施例では、上記樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、マレイミド、ビスマレイミド、シアナートエステル、ジシアナートエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリシロキサン、シアノアクリレート、およびその組合せからなる群より選択できる。
【0016】
ある実施の形態では、上記組成物はさらに、エポキシ基、アミン基、アミド基、アルコール基、アルケニル基、アリル基、アクリレート、メタクリレート、シアナートエステル、ジシアナートエステル、マレイミド、ビスマレイミド、無水物、ベンゾキサジン、およびその組合せからなる群より選択される1つ以上の反応性部分を含む少なくとも1つのさらなる成分を含み得る。
【0017】
いくつかの実施例では、上記組成物はさらに、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、およびその組合せからなる群より選択できる無水物を含み得る。
【0018】
ある実施例では、上記樹脂は、エポキシ化ビスフェノールF、エポキシ化ビスフェノールA、脂環式エポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、フッ素置換エポキシ樹脂、エポキシ化シリコーン樹脂、多官能エポキシ樹脂、およびその組合せからなる群より選択されてもよい。
【0019】
他の実施例では、上記一酸エステル混成物の単一の反応基はヒドロキシル基である。さらなる実施例では、金属は約80重量%から約95重量%で存在してもよく、はんだは約35重量%から約65重量%で存在してもよく、樹脂は約2重量%から約18重量%で存在してもよく、一酸エステル混成物は約0.5重量%から約10重量%で存在してもよく、これら重量百分率はすべて上記組成物の重量に基づいている。
【0020】
いくつかの実施の形態では、一酸エステル混成物は以下の式を有する化合物でもよい。
【0021】
【化3】

【0022】
式中、RおよびRは各々独立して、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0023】
いくつかの実施の形態では、一酸エステル混成物は以下の式を有する化合物でもよい。
【0024】
【化4】

【0025】
式中、Rは−OHであり、Rは1から6の炭素原子を含む飽和炭素鎖であり、nは1と6の間であり、カルボニル基の間に脂肪族構造または環状構造を与える。
【0026】
さらなる局面において、金属と、エポキシ樹脂および一酸エステル混成物を含む有機バインダとを含む組成物が開示され、上記一酸エステル混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。
【0027】
いくつかの実施の形態では、上記金属は、キャップド金属粒子、被覆金属粒子、非キャップド金属粒子、非被覆金属粒子、金属粉末、金属フレークおよび金属合金からなる群より選択できる。他の実施の形態では、上記金属は、銅、銀、錫、ビスマス、インジウム、アンチモン被覆銅、銀被覆銅、錫被覆銅、およびその合金からなる群より選択できる。
【0028】
いくつかの実施例では、上記有機バインダの一酸エステル混成物は以下の式を有する化合物である。
【0029】
【化5】

【0030】
式中、RおよびRは各々独立して、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0031】
他の実施例では、上記有機バインダの一酸エステル混成物は以下の式を有する化合物である。
【0032】
【化6】

【0033】
式中、Rは−OHであり、Rは1から6の炭素原子を含む飽和炭素鎖であり、nは1と6の間であり、カルボニル基の間に脂肪族構造または環状構造を与える。
【0034】
別の局面において、電子部品が開示され、この電子部品は、はんだ付け可能な表面を有し1つ以上の垂直相互接続経路を与える半導体チップと、硬化した電導性組成物とを含み、上記組成物は、硬化の前に、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する一酸エステル混成物と、エポキシ樹脂と、上記組成物を導電性にする有効量の少なくとも1つの金属とを含む。
【0035】
いくつかの実施の形態では、上記組成物の一酸エステル混成物は、以下の式を有する化合物である。
【0036】
【化7】

【0037】
式中、RおよびRは各々独立して、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0038】
いくつかの実施の形態では、上記組成物の一酸エステル混成物は、以下の式を有する化合物である。
【0039】
【化8】

【0040】
式中、Rは−OHであり、Rは1から6の炭素原子を含む飽和炭素鎖であり、nは1と6の間であり、カルボニル基の間に脂肪族構造または環状構造を与える。
【0041】
さらなる局面において、はんだ付け可能な表面を有し基板への1つ以上の垂直相互接続経路を与える半導体チップと、本明細書に記載の組成物のうちの少なくとも1つを含む導電性組成物とを含む半導体部品が提供される。
【0042】
別の局面において、多層組立品を含む電子部品を組立てる方法が開示され、この方法は、本明細書に記載の組成物のうちの少なくとも1つを、上層と下層との間の層の上または中に配置することにより、該電子部品の少なくとも2つの隣接していない層の間に熱伝導性および/または導電性経路を与えることを含む。
【0043】
さらなる局面において、電子部品の組立てを容易にする方法が提供され、この方法は熱伝導性および/または導電性の組成物を与えることを含み、この組成物は、一酸エステル混成物と、樹脂と、無水物と、上記組成物を熱伝導性および/または導電性にする有効量の金属とを含み、上記組成物の一酸エステル混成物は、本明細書に示される式(I)または式(II)を有する化合物である。
【0044】
別の局面において、本明細書に記載の組成物のうちの少なくとも1つを与えることを含む、組立てを容易にする方法が開示される。
【0045】
さらなる局面において、半導体チップを基板に装着する方法は、請求項1から29のうちの少なくとも1つに記載の組成物を基板上に堆積させることと、電子部品を堆積させた組成物の上に置くことと、堆積させた組成物を硬化させることにより半導体チップを基板に装着することとを含む。
【0046】
ある実施例では、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかは、潜在性触媒を含み得る。いくつかの実施例では、この潜在性触媒は、トリフェニルホスフィン(TPP)、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルホウ酸塩(TPP−K)、およびトリフェニルホスフィンベンゾキノン(TPP−BQ)、およびその組合せからなる群より選択できる。
【0047】
他の実施例では、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかは、単官能希釈剤を、単独でまたは潜在性触媒もしくはその他の成分とともに含み得る。ある実施例では、単官能希釈剤は、置換フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテルまたは脂肪族グリシジルエーテルからなる群より選択される。より具体的には、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルC8−C14グリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、およびその組合せである。
【0048】
いくつかの実施の形態では、本明細書に記載の組成物において使用される金属は、熱可塑性樹脂、固体熱硬化性樹脂、および自己集合単分子層から選択される1つ以上の材料でキャップまたは被覆されていてもよい。ある実施例では、熱可塑性樹脂は、有効量存在して、接着性、疲労抵抗、曲げ強さ、曲げ弾性率、高温弾性率、および/または破壊靭性といった機械的特性を高めることができる。他の実施例では、金属は酸化防止材料で被覆される。いくつかの実施例では、上記酸化防止材料は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズアミダゾール、イミダゾール、有機酸、およびその組合せからなる群より選択される。ある実施例では、上記酸化防止剤は、金属の酸化を低減または防止でき、拡散プロセス、溶解、溶融または融解を通して後に除去できる材料でもよい。
【0049】
さらなる局面において、本明細書に記載の組成物のうちの1つ以上を含む少なくとも1つの電子部品と、この電子部品の上または周囲に配置されたオーバーモールドとを備える電子組立品が提供される。ある実施例では、この電子部品は半導体部品である。他の実施例では、上記オーバーモールドは、エポキシ成形化合物、シリコン封入材料、液体エポキシ封入材料、ガラス、トランスファー成形されたエポキシ樹脂、および液体注入成形樹脂からなる群より選択できる。
【0050】
別の局面において、電子部品を含む電子パッケージが開示され、この電子部品は、電子部品を保護するキャビティパッケージ内に本明細書に記載の組成物のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施の形態では、上記キャビティパッケージは、このパッケージを覆う蓋を含む。ある実施例では、この蓋を、はんだ、ガラス、フリット、およびポリマー封止剤からなる群より選択される1つ以上の材料を用いてキャビティパッケージに封止結合することができる。他の実施例では、この蓋を、拡散接合または陽極接合によりキャビティパッケージに封止結合することができる。
【0051】
さらなる局面において、本明細書に記載の組成物のうちの少なくとも1つを基板上に堆積させる方法が提供され、この方法は上記組成物を基板上に供給することを含む。
【0052】
別の局面において、本明細書に記載の組成物のうちの少なくとも1つを基板上に堆積させる方法が開示され、この方法は上記組成物を基板上にスクリーン印刷することを含む。
【0053】
さらなる局面において、本明細書に記載の組成物のうちの少なくとも1つを基板上に堆積させる方法が提供され、この方法は上記組成物を基板上にステンシル印刷することを含む。
【0054】
別の局面において、本明細書に記載の組成物のうちの少なくとも1つを基板上に堆積させる方法が開示され、この方法は上記組成物を基板上に射出することを含む。
【0055】
さらなる局面において、方法は、本明細書に記載の組成物のうちの1つ以上をウエハ上に与えウエハを乾燥させることを含む。ある実施例では、この方法はまた、与えられた組成物を重合することを含み得る。
【0056】
1つ以上の実施の形態に従うと、伝導性組成物は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸混成物とを含み得る。この一酸混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。
【0057】
ある実施の形態では、上記少なくとも1つの金属は、銅、銀、銀被覆銅、錫被覆銅、キャップド銅、アルミニウム、およびその組合せからなる群より選択される。いくつかの実施の形態では、上記少なくとも1つのはんだまたははんだ合金は、ビスマス、銅、銀、錫、インジウム、アンチモン、その合金、およびその組合せからなる群より選択される。少なくとも1つの実施の形態では、上記少なくとも1つの金属は、キャップド金属粒子、被覆金属粒子、非キャップド金属粒子、非被覆金属粒子、金属粉末、金属フレーク、金属合金、およびその組合せからなる群より選択される。
【0058】
ある実施の形態では、一酸混成物は以下の式を有する化合物である。
【0059】
【化9】

【0060】
式中、Xは1〜9に等しく、RおよびRは各々独立してH、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、C1−C6アルコキシ基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0061】
ある実施の形態では、上記樹脂は、エポキシ化ビスフェノールF樹脂、エポキシ化ビスフェノールA樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、フッ素置換エポキシ樹脂、エポキシ化シリコーン樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF樹脂、水素化ビスフェノールA樹脂、シクロヘキシルジグリシジルエーテル樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、マレイミド、ビスマレイミド、シアナートエステル、ジシアナートエステル樹脂、ベンゾキサジン、エポキシ化シリコン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、アクリル樹脂、アクリレート、ポリオレフィン、ジシクロペンタジエン、官能化ポリウレタン、ポリブタジエン、官能化ポリブタジエン、カルボキシ末端化ブタジエンアクリロニトリル、シロキサンポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリシロキサン、シアノアクリレート、およびその組合せからなる群より選択される。
【0062】
ある実施の形態では、上記伝導性組成物は、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、およびその組合せからなる群より選択される無水物をさらに含む。
【0063】
ある実施の形態では、少なくとも1つの金属は約10重量%から約60重量%で存在し、はんだは約30重量%から約90重量%で存在し、樹脂は約1重量%から約18重量%で存在し、一酸混成物は約0.5重量%から約10重量%で存在し、上記重量百分率はすべて上記組成物の重量に基づいている。少なくとも1つの実施の形態では、少なくとも1つの金属は銅であり、はんだまたははんだ合金はSnBiとSnAgCuとの組合せであり、エポキシ樹脂はエポキシ化ビスフェノールFであり、一酸混成物はレブリン酸である。
【0064】
ある実施の形態では、上記伝導性組成物は、エポキシ基、アミン基、アミド基、アルコール基、アルケニル基、ビニル基、酸性基、アリル基、アクリレート、メタクリレート、シアナートエステル、ジシアナートエステル、マレイミド、ビスマレイミド、無水物、ベンゾキサジン、およびその組合せからなる群より選択される1つ以上の反応性部分を含む少なくとも1つの追加成分をさらに含む。
【0065】
ある実施の形態では、上記伝導性組成物は、トリフェニルホスフィン(TPP)、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルホウ酸塩(TPP−K)、およびトリフェニルホスフィンベンゾキノン(TPP−BQ)、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾリン、2−ベンジル−4−メチルイミダゾール、2−ベンジル−4−メチルイミダゾリン、2エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−(2シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、l−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾール、l−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、ジシアンジアミド、ジアミノ−6[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]エチルストリアジン2,4−,イソシアヌル酸、2ヘプタデシルイミダゾール、およびその組合せからなる群より選択される潜在性触媒をさらに含む。
【0066】
ある実施の形態では、上記伝導性組成物は、置換フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテルまたは脂肪族グリシジルエーテルからなる群より選択される単官能希釈剤をさらに含み、上記エーテルのうちいずれかは、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルC8−C14グリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、およびその組合せのうちの1つ以上である。
【0067】
ある実施の形態では、上記少なくとも1つの金属は、熱可塑性樹脂、固体熱硬化性樹脂、酸化防止剤として使用される自己集合単分子層、およびその組合せからなる群より選択される1つ以上の材料でキャップされるかまたは被覆される。少なくとも1つの実施の形態では、上記酸化防止剤の材料は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズアミダゾール、イミダゾール、または有機酸、およびその組合せからなる群より選択される。
【0068】
1つ以上の実施の形態に従うと、電子部品は、はんだ付け可能な表面を有し1つ以上の垂直相互接続経路を与える半導体チップと、硬化した導電性組成物とを含み得る。この組成物は、硬化の前に、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する一酸混成物と、エポキシ樹脂と、上記組成物を導電性にする有効量の少なくとも1つの金属とを含む。
【0069】
ある実施の形態では、上記組成物の一酸混成物は以下の式を有する化合物である。
【0070】
【化10】

【0071】
式中、Xは1〜9に等しく、RおよびRは各々独立してH、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、C1−C6アルコキシ基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0072】
1つ以上の実施の形態に従うと、半導体部品は、はんだ付け可能な表面を有し、はんだ付け可能な表面を有する基板への1つ以上の垂直相互接続経路を与える半導体チップと、導電性組成物とを含み得る。この組成物は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸混成物とを含み、この一酸混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。
【0073】
1つ以上の実施の形態に従うと、電子部品の組立てを容易にする方法は、熱伝導性および/または導電性の組成物を与えることを含み得る。この組成物は、一酸混成物と、樹脂と、無水物と、上記組成物を熱伝導性および/または導電性にする有効量の金属とを含み、上記組成物の一酸混成物は以下の式を有する化合物である。
【0074】
【化11】

【0075】
式中、Xは1〜9に等しく、RおよびRは各々独立してH、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、C1−C6アルコキシ基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0076】
1つ以上の実施の形態に従うと、電子組立品は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸混成物とを含む伝導性組成物を備える少なくとも1つの電子部品を含み得る。この一酸混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。この電子組立品はさらに、上記電子部品の上または周りに配置されたオーバーモールドを含み、このオーバーモールドは、エポキシ成形化合物、シリコン封入材料、液体エポキシ封入材料、ガラス、トランスファー成形されたエポキシ樹脂、および液体注入成形樹脂からなる群より選択される。
【0077】
1つ以上の実施の形態に従うと、電子パッケージは、電子部品を含んでもよく、この電子部品は、上記電子部品を保護するキャビティパッケージ内に伝導性組成物を含む。この伝導性組成物は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸混成物とを含み、この一酸混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。上記キャビティパッケージは蓋を含み、この蓋は、パッケージを覆い、はんだ、ガラス、フリット、およびポリマー封止剤からなる群より選択される1つ以上の材料を用いて拡散接合または陽極接合によって上記キャビティパッケージに封止結合される。
【0078】
1つ以上の実施の形態に従うと、伝導性組成物を基板上に堆積させる方法が開示され、この伝導性組成物は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸混成物とを含み、この一酸混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。上記方法は、上記組成物を基板上に供給すること、上記組成物を基板上にスクリーン印刷すること、上記組成物を基板上にステンシル印刷すること、上記組成物を基板上に射出すること、または上記組成物をウエハ上に与えこのウエハを乾燥させることを含む。
【0079】
1つ以上の実施の形態に従うと、伝導性組成物は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸エステル混成物とを含み得る。この一酸エステル混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。
【0080】
ある実施の形態では、上記少なくとも1つの金属は、銅、銀、銀被覆銅、錫被覆銅、キャップド銅、アルミニウム、およびその組合せからなる群より選択される。上記少なくとも1つのはんだまたははんだ合金は、ビスマス、銅、銀、錫、インジウム、アンチモン、その合金、およびその組合せからなる群より選択されてもよい。ある実施の形態では、上記少なくとも1つの金属は、キャップド金属粒子、被覆金属粒子、非キャップド金属粒子、非被覆金属粒子、金属粉末、金属フレーク、金属合金、およびその組合せからなる群より選択される。
【0081】
少なくとも1つの実施の形態では、上記一酸エステル混成物は以下の式を有する化合物である。
【0082】
【化12】

【0083】
式中、RおよびRは各々独立して、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0084】
ある実施の形態では、上記樹脂は、エポキシ化ビスフェノールF樹脂、エポキシ化ビスフェノールA樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、フッ素置換エポキシ樹脂、エポキシ化シリコーン樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF樹脂、水素化ビスフェノールA樹脂、シクロヘキシルジグリシジルエーテル樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、マレイミド、ビスマレイミド、シアナートエステル、ジシアナートエステル樹脂、ベンゾキサジン、エポキシ化シリコン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、アクリル樹脂、アクリレート、ポリオレフィン、ジシクロペンタジエン、官能化ポリウレタン、ポリブタジエン、官能化ポリブタジエン、カルボキシ末端化ブタジエンアクリロニトリル、シロキサンポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリシロキサン、シアノアクリレート、およびその組合せからなる群より選択される。
【0085】
ある実施の形態では、上記伝導性組成物は、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、およびその組合せからなる群より選択される無水物をさらに含み得る。少なくとも1つの実施の形態では、少なくとも1つの金属は約10重量%から約60重量%で存在し、はんだまたははんだ合金は約30重量%から約90重量%で存在し、樹脂は約1重量%から約18重量%で存在し、一酸エステル混成物は約0.5重量%から約10重量%で存在し、上記重量百分率はすべて上記組成物の重量に基づいている。
【0086】
ある実施の形態では、上記少なくとも1つの金属は銅であり、上記はんだまたははんだ合金はSnBiとSnAgCuとの組合せであり、上記エポキシ樹脂はエポキシ化ビスフェノールFであり、上記一酸エステル混成物はモノエチルコハク酸塩である。上記伝導性組成物は、エポキシ基、アミン基、アミド基、アルコール基、アルケニル基、ビニル基、酸性基、アリル基、アクリレート、メタクリレート、シアナートエステル、ジシアナートエステル、マレイミド、ビスマレイミド、無水物、ベンゾキサジン、およびその組合せからなる群より選択される1つ以上の反応性部分を含む少なくとも1つの追加成分をさらに含み得る。
【0087】
ある実施の形態では、上記伝導性組成物は、トリフェニルホスフィン(TPP)、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルホウ酸塩(TPP−K)、およびトリフェニルホスフィンベンゾキノン(TPP−BQ)、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジル−4−メチルイミダゾール、2−ベンジル−4−メチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−(2シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、l−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾール、l−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、ジシアンジアミド、ジアミノ−6[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]エチルストリアジン2,4−,イソシアヌル酸、2ヘプタデシルイミダゾール、およびその組合せからなる群より選択される潜在性触媒をさらに含み得る。
【0088】
ある実施の形態では、上記伝導性組成物は、置換フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテルまたは脂肪族グリシジルエーテルからなる群より選択される単官能希釈剤をさらに含み得る。上記エーテルのうちいずれかは、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルC8−C14グリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、およびその組合せのうちの1つ以上である。
【0089】
少なくとも1つの実施の形態では、上記少なくとも1つの金属は、熱可塑性樹脂、固体熱硬化性樹脂、酸化防止剤として使用される自己集合単分子層、およびその組合せからなる群より選択される1つ以上の材料でキャップされるかまたは被覆される。上記酸化防止剤の材料は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズアミダゾール、イミダゾール、または有機酸、およびその組合せからなる群より選択されてもよい。
【0090】
1つ以上の実施の形態に従うと、電子部品は、はんだ付け可能な表面を有し1つ以上の垂直相互接続経路を与える半導体チップと、硬化した電導性組成物とを含み得る。この組成物は、硬化の前に、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する一酸エステル混成物と、エポキシ樹脂と、上記組成物を導電性にする有効量の少なくとも1つの金属とを含む。
【0091】
ある実施の形態では、上記組成物の一酸エステル混成物は以下の式を有する化合物である。
【0092】
【化13】

【0093】
式中、RおよびRは各々独立して、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0094】
1つ以上の実施の形態に従うと、半導体部品は、はんだ付け可能な表面を有し、はんだ付け可能な表面を有する基板への1つ以上の垂直相互接続経路を与える半導体チップと、導電性組成物とを含み得る。この組成物は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸エステル混成物とを含み、この一酸エステル混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。
【0095】
1つ以上の実施の形態に従うと、電子部品の組立てを容易にする方法は、熱伝導性および/または導電性の組成物を与えることを含み得る。この組成物は、一酸エステル混成物と、樹脂と、無水物と、上記組成物を熱伝導性および/または導電性にする有効量の金属とを含み、上記組成物の一酸エステル混成物は以下の式を有する化合物である。
【0096】
【化14】

【0097】
式中、RおよびRは各々独立して、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて上記組成物の他の成分との架橋を回避し得る。
【0098】
1つ以上の実施の形態に従うと、電子組立品は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸エステル混成物とを含む伝導性組成物を備える少なくとも1つの電子部品を含み得る。この一酸エステル混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。この組立品はさらに、上記電子部品の上または周りに配置されたオーバーモールドを含み、このオーバーモールドは、エポキシ成形化合物、シリコン封入材料、液体エポキシ封入材料、ガラス、トランスファー成形されたエポキシ樹脂、および液体注入成形樹脂からなる群より選択される。
【0099】
1つ以上の実施の形態に従うと、電子パッケージは電子部品を含んでもよく、電子部品は、この電子部品を保護するキャビティパッケージ内に伝導性組成物を含む。この伝導性組成物は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸エステル混成物とを含み得る。このエステル混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。上記キャビティパッケージは蓋を含んでもよく、この蓋は、パッケージを覆い、はんだ、ガラス、フリット、およびポリマー封止剤からなる群より選択される1つ以上の材料を用いて拡散接合または陽極接合によってキャビティパッケージに封止結合されてもよい。
【0100】
1つ以上の実施の形態に従うと、伝導性組成物を基板上に堆積させる方法が開示され、この伝導性組成物は、少なくとも1つの金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、一酸エステル混成物とを含み、このエステル混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する。この方法は、上記組成物を基板上に供給すること、上記組成物を基板上にスクリーン印刷すること、上記組成物を基板上にステンシル印刷すること、上記組成物を基板上に射出すること、または上記組成物をウエハ上に与えこのウエハを乾燥させることを含み得る。
【0101】
さらなる局面、実施の形態、実施例、および特徴は、以下でより詳細に説明される。
例として挙げるいくつかの実施の形態、特徴、および局面は、添付の図面を参照しながら以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】ある実施例に従う、モノエチルコハク酸塩のIRスペクトルである。
【図2】ある実施例に従う、組成物に対する示差走査熱量測定分析の結果を示す。
【図3】ある実施例に従う、融剤作用活性(パーセント)と酸(mmol)/立方センチメートルとの関係を示すグラフである。
【図4】オープン時間が狭く硬化システムが高速である材料について温度の関数として時間プロファイルを示す。
【図5】オープン時間が広く硬化システムが低速である材料について温度の関数として時間プロファイルを示す。
【図6A】ある実施例に従う、異なる金属およびバインダ分布の1つを示す図である。
【図6B】ある実施例に従う、異なる金属およびバインダ分布の1つを示す図である。
【図6C】ある実施例に従う、異なる金属およびバインダ分布の1つを示す図である。
【図7】ある実施例に従う、調合物の粘度変化を示すグラフであり、x軸は単位を時間として時間を示し、y軸は単位をセンチポイズとして粘度を示す。
【図8】ある実施例に従う、転化中の調合物の示差走査熱量測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0103】
詳細な説明
本明細書において開示されるいくつかの実施の形態は、特に一酸混成物を含む、たとえば熱伝導性、導電性、または双方を有する伝導性組成物に向けられている。本明細書で使用される「一酸混成物」という用語は、金属粉末および/またははんだ粉末から酸化物を除去するための融剤として使用される混成分子を指す。一酸混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基を含み、すなわち単官能であり、かつ、分子の他の場所において実質的に非反応性の基を含む。一酸混成物が単官能であり分子における他の基が非反応性であるために、この混成物は、架橋剤ではなく連鎖終結剤として有効である。ある実施の形態では、一酸混成物の「遊離酸」は、金属表面から酸化物を除去するのに使用し得る少なくとも1つの活性プロトンを有する、単一のカルボン酸官能基、単一のスルホン酸官能基、または単一のホスホン酸官能基が存在する結果として生じる可能性がある。ある実施例では、一酸混成酸は、飽和し(炭素−炭素の二重結合または炭素−炭素の三重結合はないが、ケト基または二重結合を有するその他の非反応基を含み得る、たとえば芳香族分子)、未飽和の部位における追加反応(またはその他の反応)による架橋を防止する。ある非限定的な実施の形態では、上記一酸混成物は、一酸エステル混成物である。
【0104】
本明細書において開示される組成物のいくつかの実施例で使用される一酸混成物は、米国特許第5,376,403号(403号特許)を含む数多くの既存の特許に記載の保護された酸とは大きく異なる。403号特許では、酸は保護され樹脂の早期架橋を防止する。樹脂の架橋は早期架橋および粘度の増加を引起すことがあり、これは組成物の可使時間を短縮する可能性がある。403号特許および関連特許の組成物の早期架橋を避けるために、架橋剤は化学的に保護され早期架橋の可能性を低くしている。架橋剤を保護するには、保護基を追加して架橋剤を非活性化することが必要である。保護は、カルボン酸基の水素をアルキル基またはその他の非反応性官能基で置換することによって生じ得る。保護された酸は、酸が架橋剤として機能できるようになる前に脱保護を必要とする。加えて、403号特許の架橋剤は、典型的に架橋剤として機能する2つ以上の反応部位を含む。403号特許の架橋剤とは異なり、本明細書において開示されるいくつかの実施の形態は、有利に連鎖終結剤として機能する一酸混成物を利用する。一酸混成物を使用することによって、403号特許の架橋剤と比較して多大な利点を提供することができる。この利点は、酸の保護が不要なので工程がより少ないこと、一酸混成物からの架橋がないのでポットライフが延びること、低粘度であるためより高い金属ローディングが可能であること、昇華の可能性の低下、最終構造の全体としての空隙を減少させる揮発またはガス放出、および一酸混成物の分子重量当たりの酸価が高い一酸混成物の選択により、低重量レベルでの有効な融剤作用が可能であることを含むが、これらに限られない。
【0105】
本明細書において開示される組成物は特に、たとえばShearer他の「過渡液相焼結複合物(Transient Liquid Phase Sintering Composites)」、J. Electronics Mat., 28, 1999, pp. 1319-1326、Palmer他の「はんだペーストの液相焼結による高温はんだ接合の形成(Forming High Temperature Soldering Joints Through Liquid Phase Sintering of Solder Paste)」、J. Electronics Mat., 28, 1999, pp. 1189-1193、Palmer他の「共晶錫−鉛はんだペーストの焼結によるはんだ接合の形成(Forming Solder Joints by Sintering Eutectic Tin-Lead Solder Paste)」、J. Electronics Mat., 28, 1999, pp. 912-915、Randall M. Germanの「焼結の理論および実践(Sintering Theory and Practice)」(1996)、Randall M. Germanの「液相焼結(Liquid Phase Sintering)」(1985)およびGerman and Messingの「焼結技術(Sintering Technology)」(1996)に記載されている液相焼結のような、液相焼結プロセスおよび液相焼結プロセスを用いて製造される装置において有用であろう。
【0106】
いくつかの実施の形態では、本明細書において開示される組成物は、伝導性材料とともに使用するためのバインダの生成にとって望ましいであろう、樹脂、無水物、触媒、硬化剤、およびその他の成分をさらに含み得る。バインダは、導電性であることに加えて、接着剤としても機能し得る、または接着性も備えていてもよい。例として挙げる組成物について以下でより詳細に述べる。組成物の1つ以上の成分は、金属表面から表面酸化層を除去して十分なぬれおよび金属ネットワーク形成を容易にするのに有効なバインダを提供し得る。ある実施の形態では、この組成物は、(連鎖終結剤として作用することが可能な)一酸混成物、(TPP、TPP−K、TPP−BQを含むがこれらに限定されない)潜在性触媒、(連鎖終結剤として作用することが可能な)低イオン性不純物を有する単官能エポキシ希釈剤、(金属塩形成を減じることが可能な)低モル当量の融剤、金属粉末の酸化を防止または減じるおよび/または一酸混成物と金属の反応を防止するバリアコーティングのうちの1つ以上を含み得る。
【0107】
現代の電子部品組立てのほとんどは、軟質はんだワイヤ、はんだペーストまたは高銀充填熱硬化性接着剤を用いて行なわれる。これらの技術は一般的に、軟質はんだダイ装着またはダイ装着接着剤と呼ばれる。ダイ装着接合技術は、エンドユーザに対し、以下の2つの一般的な目的を果たす。(1)半導体、ディスクリートまたはLEDチップから基板またはヒートシンクに熱または電流を伝達するのに使用されることと、(2)(たとえばSi、GaAs、SiNまたはその他の半導体材料を含み得る)チップを基板に機械的に装着することであり、この装着によって、ワイヤボンディング、積層するさらなるチップ、およびポリマー封入といった後処理が可能になる。
【0108】
はんだワイヤは、パワー半導体、パワーディスクリートおよびディスクリート用途にとって好ましい技術的アプローチである。なぜなら、錫−鉛系はんだの熱伝導率が比較的高く、金属表面に対するぬれ性が良好であるため、結果としてコンタクトまたは界面抵抗が低いからである。エンドユーザは典型的に、融点が高いことを理由にSnPb系合金を選択する。より具体的には、エンドユーザは、携帯電話およびテレビといった電子機器の基板組立てにおいて一般的な無鉛合金の一般的なピークリフロー温度である265℃よりも高い融点を有する合金を好む。ダイ装着材料が、部品をプリント配線基板または回路基板に装着する間(この装着は一般的には基板組立てと言われる)、溶融しないおよび/または流れないことが望ましい。金属充填伝導性接着剤はリフローしない。なぜなら、ポリマーネットワークが非常に限られた移動度で架橋されているからである。しかしながら、融点が265℃よりも高いはんだ合金は、液体となり接合部から流れ出してショートを引起し、機械的強度を失い、ワイヤボンド保全性を損なう可能性がある。いくつかの国際戦略が、電子組立品から鉛を排除することを義務付けてきたが、高鉛はんだは現在免除されている。なぜなら、現時点では、必要な高い熱伝導性を提供し無鉛基板組立てリフロー状態の間に流れない無鉛ダイ装着材料は存在しないからである。
【0109】
ある実施例において、この組成物は、金属成分から表面酸化を除去して全体的な伝導性を良好にすることができるという意味において、融剤として機能する。たとえば、一酸混成物成分は金属から酸化物を除去できる。同様の組成物で使用される既存の酸とは異なり、本明細書で使用される混成物は、酸性の架橋剤を用いて形成される組成物において生じる早期硬化のない組成物を提供する。したがって、本明細書に記載の混成物成分は、そのような架橋が生じないので、架橋を防止するための保護基を必要としない。
【0110】
本明細書において開示されるいくつかの実施の形態は、室温で安定し、および/または製品を少なくとも8時間大量生産環境で実用的にするのに適した組成物を提供する。この組成物は、たとえば金属粉末から酸化物を取除いて加熱プロファイル中の銅粒子のはんだ付けを可能にするために使用してもよい。さらに、この組成物は、反応して、酸性残渣に一般的に生じる腐食の問題を減じるまたは排除し得る。
【0111】
いくつかの実施例では、この組成物は、一酸混成物、潜在性触媒、単官能エポキシ希釈剤、低モル当量の融剤、およびバリアコーティングのうちの1つ以上を含み得る。本明細書で述べるように、連鎖終結剤として機能する一酸混成物を使用することにより、組成物のポットライフを延ばすことができる。低イオン性不純物を有する単官能エポキシ希釈剤を使用してもよく、これは、連鎖終結剤として一酸混成物と同様に作用して架橋を減じることにより粘度増大を最小にすることができる。バリアコーティングを、本明細書において開示される組成物に使用される金属に対して用いることにより、(1)金属粉末の酸化を防止、および/または(2)一酸混成物がCuまたはSn金属と反応することを防止することができる。バリアコーティングは、金属粒子上のポリマーコーティングまたは金属バリアコーティングの形態とすることができ、本質的にはコーティングされている金属に塩が形成されにくい。ポリマーコーティングが−40℃と+40℃の間で溶融または有機媒体に溶解しないことが望ましい。なぜなら、この温度範囲は組成物の望ましい保存および使用温度であるからである。バリアメタルは、銀、金、プラチナ、パラジウム、錫、ニッケル、インジウムまたはその合金から、金属上のコーティングとして選択されてもよい。1つの実施の形態では、金属は、酸化しやすい銅またはその他の金属でもよい。金属塩、より具体的には銅塩は、エポキシ樹脂の重合を触媒することができ、これは、高粘度の液体および最終的にはゲル化につながる。この無制御の重合は2つのことを含意する。すなわち、(1)室温で粘度が高くなると、生成物は分配しにくいまたは拡がりにくい厚いまたは使用できないものとなり、この粘度の増加は、組成物のぬれ性の悪化につながり結果として接着、はんだならびに電気的および熱的移動が悪化する可能性が最も高いこと、および/または(2)溶解した金属塩は組成物の硬化の速度に影響することである。重合を、ポリマー組成物のゲル化点未満に制御することによって溶けたはんだが自在に移動し銅粒子を接続することが好ましい。実際、ポリマー系が、あまりにも早く分子量の増加を伴い、ゲル化または硬化したならば、溶けたはんだは固定される可能性があり、銅粒子は離散状態のままではんだ接続は形成されない。このように接続が欠落すれば、結果として熱伝導率および導電率が悪化する。
【0112】
1つ以上の実施の形態に従うと、一酸混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基を含み、別の場所で実質的に非反応性の基を含むことにより連鎖終結剤として機能し得る。ある実施の形態では、この一酸混成物は、本明細書において開示される組成物において使用するのに適した一酸混成物を表わす以下の一般式(I)を有する化合物である。
【0113】
【化15】

【0114】
式中、Xは1〜9に等しく、RおよびRは各々独立してH、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、C1−C6アルコキシ基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて組成物の他の成分との架橋を回避し得る。いくつかの実施例では、2つのカルボニル基の間のCHR基は、たとえばシクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンといった環状リングの形態をとるものでもよい。このような例では、CHR基のうちの2つは代わりにCH基でありリング状の炭素に対して適切な4価を提供するであろう。ある実施例では、Rは、1個と6個の間の炭素原子を有する、メチル鎖、エチル鎖、プロピル鎖、および他の飽和アルキル鎖、たとえば脂肪族または分岐アルキル鎖から選択されてもよい。Rに対して選択される基は、1つ以上のヘテロ原子含有基と置換されてもよく、これは、3級アミンまたはヘテロ原子を含み実質的に非反応性である他の基を含むがこれに限定されない。式(I)の一酸混成物は、式(I)のカルボキシル基がこの分子において一般的に唯一の反応部位となるように選択されてもよい。したがって、式(I)の分子を用いると実質的な架橋は生じないが、その代わりに、式(I)はポリマーのMWを制御する連鎖終結剤として機能する。一酸混成物は、金属粉末および/またははんだ粉末から酸化物を除去する融剤として機能することができる。特に、カルボキシル基のプロトンは、金属表面から酸化物を除去するのに使用される活性プロトンを提供し得る。一酸混成物は単官能であり連鎖終結剤として働いて組成物の総ポットライフを延ばす。保護されていない液体多官能カルボン酸を含む組成物(すなわち架橋が可能)、2官能エポキシ、無水物、銅粉末、およびはんだ粉末を含む組成物は、粘度が急速に増加し、厚くなりすぎて60分後には混合できなくなる。同じ調合物で一酸混成物を有するものは、結果として粘度の増加はない(または最小限である)。塩基指示薬を用いる標準的な滴定技術を使用すると、一酸混成物が酸価を与えることがわかる。少なくとも1つの実施の形態では、一酸混成物はレブリン酸である。レブリン酸の酸価は約460mgKOH/グラムでもよい。
【0115】
1つ以上の実施の形態に従うと、一酸混成物は、一酸エステル混成物でもよい。ある実施の形態では、一酸エステル混成物は、遊離酸として機能してプロトンを与えることができる、単一の保護されていないカルボキシル基を含む。一般式(II)は、本明細書において開示される組成物に使用するのに適した一酸エステル混成物を表わす。
【0116】
【化16】

【0117】
式(II)において、一酸エステル混成物は、R基を通して互いに接続された単一の遊離酸基(−COOH)とエステル基とを含む。一酸エステル混成物は、反応中保護されておらず、これが、組成物を提供するのに用いられる工程の数を減じるとともに組成物の製造を簡素化する。一酸エステル混成物は、金属粉末および/またははんだ粉末から酸化物を除去する融剤として機能することができる。特に、カルボキシル基のプロトンは、金属表面から酸化物を除去するのに使用される活性プロトンを提供し得る。一酸エステル混成物は単官能であり連鎖終結剤として働いて組成物の総ポットライフを延ばす。例として、一酸エステル混成物を銅粉末に加えると、約1時間以内に青緑色になり、これは、室温での融剤作用を示す。保護されていない液体の多官能カルボン酸(すなわち架橋が可能)、2官能エポキシ、無水物、銅粉末、およびはんだ粉末を含む組成物は、粘度が急速に増加し、厚くなりすぎて60分後には混合できなくなる。同じ調合物で一酸エステル混成物を含むものは、結果として粘度の増加はない(または最小限である)。塩基指示薬を用いる標準的な滴定技術を使用すると、一酸エステル混成物が酸価を与えることがわかる。
【0118】
いくつかの実施の形態では、本明細書において開示される組成物は、カルボキシル基と、エステル基と、これらの間の選択された数の原子とを含む、一酸エステル混成物を含み得る。1つの一酸エステル混成物の一般式が以下において式(III)として示される。
【0119】
【化17】

【0120】
式(III)において、nは変化し得るものであり、典型的には1から12であり、より具体的には1から9、たとえば1から6または1から3である。いくつかの実施例では、2つのカルボニル基の間のCH基は、たとえばシクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンといった環状リングの形態をとるものでもよい。このような例では、CH基のうちの2つは代わりにCH基でありリング状の炭素に対して適切な4価を提供するであろう。ある実施例では、Rは、1個と6個の間の炭素原子を有する、メチル鎖、エチル鎖、プロピル鎖、および他の飽和アルキル鎖、たとえば脂肪族または分岐アルキル鎖から選択されてもよい。Rに対して選択される基は、1つ以上のヘテロ原子含有基と置換されてもよく、これは、3級アミンまたはヘテロ原子を含み実質的に非反応性のその他の基を含むがこれに限定されない。式(III)の一酸エステル混成物は、式(III)のカルボキシル基がこの分子において一般的に唯一の反応部位となるように選択されてもよい。したがって、式(III)の分子を用いると実質的な架橋は生じないが、その代わりに、式(III)は連鎖終結剤として機能する。このような連鎖終結剤の使用は、架橋剤を含む組成物と比較して、より低い粘度、早期硬化の可能性がより低いこと、ネットワークがよりオープンであるためにより高い伝導性材料ローディングレート、二酸化炭素の発生が減少するためにボイド形成がより少ないこと等を含む、予期せぬ利点および結果をもたらす。
【0121】
いくつかの実施の形態では、一酸エステル混成物は、無水物を過剰量のアルコールと反応させることによって生成してもよい。いくつかの実施例では、無水物と反応させるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、または1個から6個の炭素原子を有するその他のアルコールでもよい。ある実施例では、アルコールは飽和アルコールである。典型的には、このアルコールは、単一のOH基を含むアルコールであり、ジオールまたはポリオールではない。アルコールと反応させるこの無水物は変えてもよく、ある実施例では、無水物は、コハク酸無水物、2,2−ジメチルグルタル酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、エタン酸無水物、プロパン酸無水物、酪酸無水物、ペンタン酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、オクタン酸無水物、ノナン酸無水物、デカン酸無水物、ドデカン酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)またはその他の適切な脂肪族または環状飽和無水物のうちの1つ以上である。この無水物中の原子の正確な数を選択してこの組成物の全体のネットワークを変化させてもよい。たとえば、アルコールを、より多くの炭素原子を有する無水物と反応させてより密度の低いバインダを提供してもよく、他の実施例では、より少ない炭素原子を有する無水物を用いてより密度の高いバインダを提供してもよい。
【0122】
特定の実施の形態では、一酸エステル混成物は、以下の反応スキームに示されるようにコハク酸無水物を過剰量のエタノールと反応させることによって生成してもよい。
【0123】
【化18】

【0124】
この一酸生成物は、たとえばナンディニ(Nandhini)他、J. Mol. Cat. A: Chem., vol. 243, 2006, pp. 183-193、およびバート(Bart)他、Int. J. Chem. Kin., vol. 26, 1994, pp. 1013-1021に記載されているように、不均一系および均一系触媒作用を用いて生成してもよい。しかしながら、触媒は不要である。特に、大量のモノエチルコハク酸塩は、上記の反応スキームに示されるように過剰量のエタノールを用いて触媒なしでコハク酸無水物の昇温アルコール分解を行なうことにより生成してもよい。過剰量のエタノールは、その後、減圧下で反応混合物から除去してもよい。
【0125】
ある実施の形態では、以下の式(IV)に示されるように一酸エステル混成物とともにまたはその代わりにアミドエステル(またはその他の求核基)を用いてもよい。
【0126】
【化19】

【0127】
式(IV)において、Rは、分子の所望の反応に応じて、−NH、−SH、−OHまたはその他の適切な求核基または脱離基でもよい。Riは、式(II)または(III)を参照しながら先に述べた基のうちいずれかでもよく、nは変化してもよく典型的には1から12、より具体的には1から9、たとえば1から6または1から3でもよい。
【0128】
いくつかの実施例では、本明細書において開示される組成物は、ある実施例では一酸混成物および/または金属と組み合わせてもよい無水物の形態をとってもよい反応性モノマーまたはポリマーも含み得る。ある実施例では、無水物は、(2−ドデセン−l−イル)コハク酸無水物、(2−ノネン−l−イル)コハク酸無水物、1,8−ナフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物、またはその他の適切な無水物から選択してもよい。その厳密な二環式構造のため、メチルナド酸無水物は、ガラス転移温度がより高いポリマーを生み出す。アルケニルコハク酸無水物は、その長い脂肪族鎖のため、より低い水分吸収およびより低いガラス転移温度をポリマーに与える。無水物中の原子の正確な数を選択して組成物のネットワーク全体を変化させてもよい。たとえば、炭素原子がより多い無水物を用いてよりボイド体積が大きいよりオープンなポリマーネットワークとしてもよく、他の実施例では、炭素原子がより少ない無水物を用いてより密度の高いバインダを提供してもよい。ある実施例では、無水物は、約3から約12の炭素原子、より具体的には約4から約8の炭素原子、たとえば約5から約7の炭素原子を含み得る。同様に、無水物における不飽和度を選択して架橋を促進または架橋を抑止してもよく、不飽和度が高いほど架橋のレベルは高くなる。
【0129】
いくつかの実施の形態では、本明細書において開示される組成物は1つ以上の金属を含み得る。組成物に加えられる金属の正確な形態は変えてもよく、いくつかの実施例では、金属は、粉末であり、たとえば、焼結されたまたは焼結されていない粉末、塩、粒子、ナノ粒子、たとえばキャップドまたは非キャップドナノ粒子、フレーク、たとえば潤滑剤を伴うもの、または、たとえばWO2008/017062に記載の形態のもののような金属がとり得るその他の形態でもよい。本明細書で使用される、キャップド金属粒子は、金属基に対して官能化された有機部分を含むものを指し、被覆された金属粒子は、1つ以上の他の材料が金属上になんらかのやり方で堆積しているが金属と堆積させた材料との間に必ずしも化学結合がなくてもよいものを指す。いくつかの実施例では、金属は、銀被覆銅、錫被覆銅またはアンチモン被覆銅の形態をとり得る。銅を銀または別の保護材料で被覆することにより、銅の表面酸化は大幅に減じ、全体的な伝導性を改善できる。よって、ある実施の形態では、金属を、たとえば、酸化を減じる、阻止する、または抑制するために一般的に使用される材料といった抗酸化材料、たとえばポリマーコーティングで被覆してもよい。他の実施例では、金属を、熱可塑性樹脂、固体熱硬化性樹脂、または自己集合単層でキャップまたは被覆してもよい。例として挙げる適切な熱可塑性樹脂は、ポリイミド(PI)、シロキサンポリイミド(SPI)、ポリスルホン(PS),ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン(PES、PESU)、ポリアリーレンエーテル(PAE)、フェノキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)、架橋されたシリコーン、およびポリウレタン(PU)を含むがこれらに限定されない。例として挙げる適切な固体熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノールエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、エポキシ化シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアナートエステル樹脂、ジシアナートエステル樹脂、benxozazine樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、官能化ポリウレタン、ポリブタジエン樹脂、官能化ポリブタジエン樹脂、カルボキシ末端化ブタジエンアクリロニトリル(CTBN)を含むがこれに限定されない。例として挙げる自己集合単層を形成することができる材料は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズアミダゾール、イミダゾール、または有機酸を含むがこれに限定されない。ある実施例では、組成物の重量のほとんどが金属のものである。たとえば、組成物の重量に対する金属の重量百分率は、50%よりも高く、75%よりも高く、またはさらに90%もしくは95%よりも高く、組成物全体が高い導電性を有する。
【0130】
いくつかの実施の形態では、使用されるこの金属は、異なってもよく、銀被覆銅、銅、銀、アルミニウム、金、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、ならびにその合金および混合物を含むがこれらに限定されない。組成物にはんだを含めることにより金属が少なくとも部分的に与えられる実施の形態では、はんだは、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、ガリウム、インジウム、テルル、水銀、タリウム、アンチモン、セレニウム、ならびにその混合物および合金を含むがこれらに限定されない。ある実施例では、第1の金属および第2の金属が使用されてもよい。いくつかの実施例では、これら2つの金属の融点が異なっていてもよく、各金属の量を選択して所望の伝導性および/または所望の物性を組成物全体に与えてもよい。
【0131】
いくつかの実施例では、本明細書において開示される組成物に使用される金属を、2つ以上の形態で与えてもよい。たとえば、金属粉末を金属合金はんだと混合して組成物の中に異なる種類の金属を与えてもよい。したがって、組成物の金属の供給元または種類は違っていてもよく変化し得る。たとえば、組成物における金属は、錫−ビスマスまたはSnAgCuはんだ合金と組合わされる銀被覆銅でもよい。
【0132】
いくつかの実施の形態では、本明細書において開示される組成物は、たとえばエポキシ樹脂といった樹脂も含み得る。例として挙げるエポキシ樹脂は以下に示すものを含むがこれらに限定されない。特に興味深い低粘度液体エポキシは、エポキシ化ビスフェノールF、エポキシ化ビスフェノールA、脂環式エポキシ、ナフタレンエポキシEpiclon(登録商標)HP−4032D(DIC、日本)、および多官能エポキシMY−0510(ハンツマン(Huntsman)、米国)を含む。ビスフェノールAおよびF樹脂は、低粘度であるため、より高い金属ローディングが可能であり、ガラス転移温度(Tg)が低温から中程度のポリマーを生み出す。ナフタレンエポキシHP−4032Dは、より高いTgを与え、かつ、加水分解抵抗性がより高いと言われているが、その粘度も相当高い。脂環式で多官能のエポキシMY−0510は、潜在的に低い粘度およびTg双方を与える。
【0133】
ある実施例では、本明細書において開示される組成物は、1つ以上のカルボン酸も含み得る。いくつかの実施例では、1)低粘度および2)低当量(高酸価)という特性を有するカルボン酸が選択されてもよい。これは、融剤調合物(グルタル酸、コハク酸およびアジピン酸)において一般的に使用される低分子量の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、フェニル酢酸等)および脂肪族ジカルボン酸は融点が80℃以下の結晶性固体であるという点において、課題を示す。本明細書において開示される組成物で使用されると、これらの材料は粘度を増すように作用する可能性がある。
【0134】
いくつかの実施の形態では、エポキシ化ビスフェノールF樹脂とMHHPAおよび一般的なカルボン酸との化学量論混合物を、本明細書において開示される組成物において使用してもよい。これらの材料の組合せの例および生成物の例を以下に示す。
【0135】
【化20】

【0136】
本明細書において開示される組成物で使用される成分の重量百分率の例については以下でより詳細に述べる。
【0137】
いくつかの実施の形態では、本明細書において開示される組成物を、液相焼結(LPS)プロセスで使用し、電気装置および/または電気装置における部品間の接合を作る際に使用するのに適した材料を提供してもよい。液相焼結では、組成物の金属の均質化の結果、液相が存在するのは短期間である。たとえば、共融点を示す、または、ある組成である温度Tで溶ける、2つ以上の異なる金属を選択してもよい。これら2つの金属の混合物を、所望の最終組成物の割合で準備すればよく、最終組成物はTで固体である。この混合物をTまで加熱すると、液相が形成される。周囲の固相に対するこの液相の溶解度は非常に高いので、固体に急速に拡散し最終的には温度Tで凝固する。拡散均質化は、混合物をその平衡融点を上回る温度まで加熱する必要がない最終組成物をもたらす。LPSを、本明細書において開示される組成物において使用して、金属とバインダシステムとを含む材料を提供してもよい。この材料を、プリント回路基板を含むがこれに限定されない電気装置における電気接合、伝導経路またはその他の適切な構造の形成に用いてもよい。ある実施例では、この材料の粘度を、プリント回路が、所望のパターンを基板上に堆積させた後に堆積させたパターンを焼結および/または硬化させることによって与えられるように、選択してもよい。加熱中、バインダ材料は金属の融剤として機能し、これによって液相焼結プロセスを生じさせることが出来る。加熱後、バインダは結果として得られる酸化物を結合することができる。
【0138】
いくつかの実施例では、1つ以上の溶剤、触媒、添加剤、希釈剤などを、本明細書に記載の組成物とともにまたはこの組成物の調製の際に使用してもよい。選択されるこの1つまたは複数の溶剤は、少なくとも部分的には、混合物の所望の粘度および溶剤に対する成分の所望の溶解度に依存する。適切な溶剤は、ケトン、アセテート、エステル、ラクトン、アルコール、エーテル、ポリエーテル、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、炭化水素、芳香族溶剤、アルキルアリルエーテルおよびテルペンを含むがこれらに限定されない。より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブチルエーテル、二塩基酸エステル、4−ブチロラクトン、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMアセテート)である。さらなる適切な溶剤は、この開示と、組成物で使用するために選択される特定の材料に基づいて、当業者が容易に選択するであろう。たとえばTPP、TPP−K、TPP−BQといった潜在性溶媒の例は本明細書に記載されている。典型的な単官能希釈剤は、本明細書に記載のものを含むがこれらに限定されない。
【0139】
組成物が一酸混成物、エポキシ樹脂、無水物、および少なくとも1つの金属を含むいくつかの実施の形態では、組成物の重量に対する成分の重量百分率は、次のように異なり得る。一酸混成物が約0.5重量%から約10重量%、エポキシ樹脂が約2重量%から約10重量%、無水物が約0.5重量%から約8重量%、金属が約80重量%から約95重量%である。組成物が金属、はんだ、樹脂、一酸混成物、および無水物を含む実施の形態では、組成物の重量に対する成分の重量百分率は、次のように異なり得る。金属が約80重量%から約95重量%、はんだが約35重量%から約65重量%、樹脂が約2重量%から約10重量%、一酸混成物が約0.5重量%から約10重量%、無水物が約0.5重量%から約8重量%である。組成物が金属と有機バインダとを含む実施の形態では、組成物の重量に対する成分の重量百分率は、金属が約80重量%から約95重量%で有機バインダが約5重量%から約20重量%である。バインダ自身がエポキシ樹脂、無水物、および一酸混成物を含む場合、バインダの重量に対する、バインダの成分の重量百分率は、次のように異なり得る。樹脂が約20重量%から約90重量%、無水物が約0重量%から約45重量%、一酸混成物が約5重量%から約40重量%である。さらに他の重量百分率を、材料の所望の特性に応じて使用してもよい。
【0140】
いくつかの実施の形態では、本明細書において開示される組成物は、さらに他の成分、添加剤、硬化剤、触媒などを含み得る。ある実施例では、エポキシ基、アミン基、アミド基、アルコール基、アルケニル基、アリル基、アクリレート、メタクリレート、シアナートエステル、およびマレイミドから選択される1つ以上の反応性部分を含む、少なくとも1つのさらなる成分または材料を、本明細書において開示される組成物に使用してもよい。イミダゾール、ホスフィン、リン酸塩、アミド、フェノール、金属カルボン酸塩またはたとえば有機錫錯体といったacetoacetenoate金属錯体を含むがこれらに限定されない金属塩などの触媒を使用してもよい。過酸化物といった開始剤も添加してもよい。実施例によっては粘度調整剤が含まれてもよい。
【0141】
いくつかの実施例では、本明細書において開示される組成物を、半導体チップと基板またはヒートシンクとの間の熱伝導性および/または導電性が所望されるであろう電子部品において使用してもよい。たとえば、この組成物を用いて半導体チップと基板またはヒートシンクとの間に熱および/または電気経路を設けてもよい。ある実施例では、少なくとも3つの層を含みこれらの層のうちの少なくとも1つが本明細書において開示される組成物のうちの1つ以上を含む装置が提供される。たとえば、この装置は、下層と、伝導性組成物を含む相互接続層と、上層とを含むものであってもよい。1つ以上の熱的および/または電気的接続を、本明細書において開示される組成物のうちの1つ以上を含む相互接続層を介して上層と下層との間に設けてもよい。たとえば、上層は、たとえばSi、GaAsまたはSiCウエハ上にたとえば半導体ウエハ製造技術によって作られるものでもよい1つ以上の半導体チップまたはその他の電気装置を含むものであってもよい。下層は、可撓性または剛性のポリマー、複合、セラミックまたは金属基板またはその他の適切な材料からなるものでもよい。ある層において、堆積し硬化させることによって適切な基板上の単純または複雑なパターンとなった、本明細書において開示される組成物は、下層と上層との間に接着性を与え、かつ、はんだ付け可能な金属で被覆されたチップの底と金属のリードフレームまたは基板との間に熱的および電気的相互接続も与え得る。ある実施例では、この組成物を用いてダイ接着はんだまたは接着剤などといった特化された接続を与えてもよい。
【0142】
他の実施例では、本明細書において開示される組成物を用いて、1つ以上の領域または層を有する有機またはセラミック基板上に載置されたフリップチップダイと金属ヒートシンクとの間に熱的接続を与えてもよい。たとえば、本明細書において開示される組成物のうちの1つ以上を用いて作られた相互接続は、表面実装ダイと金属ヒートシンクとの間に熱経路を与え得る。他の実施例では、本明細書において開示される組成物のうちの1つ以上を、はんだ付け可能な表面を有するフリップチップダイの上面上に堆積させ、次に堆積させた材料の上に蓋を置き、硬化の後に、ダイと上層または金属ヒートシンクとの間に熱的接続を与えてもよい。
【0143】
本明細書において開示される組成物の接着特性も利用してダイを所望の表面に保持してもよい。たとえば、装着されたダイを含む電子部品を製造してもよく、この組立品は、パターニングされて適切な誘電材料となった本明細書において開示される導電性組成物のうちの1つ以上を有するビア相互接続層を含む。ある実施例では、適切な誘電材料が基板と部品またはダイとの間に接着性を付与する一方で、導電性組成物は基板の接続パッドと装着された半導体チップとの間に電気的相互接続と接着性を付与する。
【0144】
ある実施の形態では、電子部品を組立てる方法は、本明細書において開示される組成物のうちの少なくとも1つを含む中間層を、下層の上に配置することと、上層をこの中間層の上に配置することとを含む。この組立品全体を、さらに処理してもよく、たとえば、硬化、焼結、リフローまたは再処理などを行ない、または、ダイを含むがこれに限定されないさらなる部品を上層または下層に装着してもよい。さらなる層または材料を堆積させて多層プリント回路基板を提供してもよい。
【0145】
例として挙げる方法において、本明細書において開示される組成物のうちの1つ以上を用いて作られた少なくとも1つの垂直相互接続を有する電子部品は、1つのチップ、または、同一の平坦な表面上にもしくは垂直方向に装着された、複数のチップを含み得る。そこで、本明細書において開示される組成物のうちの1つ以上を、供給、ステンシル印刷、スクリーン印刷、射出、打抜き、ドクターブレード、カーテンコーティング、またはここでも当業者には公知のその他の方法といったさまざまな技術によって、これらの基板各々の上に所望のパターンで与えても良く、各層は、他の層と同一または異なる。次に、この組成物を硬化させまたは乾燥させるだけで未硬化の状態にしておいてもよく、薄い基板は整列させ圧力をかけて接合する。接合圧力によって伝導層は基板同士を相互接続する。この相互接続は、同じ接着性組成物のコンタクト回路パッド内にある上記伝導性組成物が両側にあればどこでもなされる。組成物の硬化は、この接合プロセスの前、結合プロセス中、または結合プロセス後に行なえばよい。結果として多層の電子部品が得られる。
【0146】
本明細書において開示される組成物をプリント回路基板を準備する際に用いる場合、硬化温度の範囲は、約220℃から約290℃の範囲でもよく、より具体的には約255℃から約285℃の範囲、たとえば約265℃から約275℃の範囲である。使用する適切な誘電材料は、ポリイミド、銅被覆ポリイミドおよび同様の材料を含むがこれらに限定されない。
【0147】
いくつかの実施例では、本明細書において開示される組成物を、多層組立品を含む電子部品の組立て方法に使用してもよい。いくつかの実施例では、この方法は、本明細書において開示される組成物のうちの1つ以上を、上層と下層との間の層に配置し、電子部品内の少なくとも2つの隣接していない層の間に熱的および/または電気的経路を与える。
【0148】
ある実施例では、電子部品の組立てを容易にする方法が提供される。いくつかの実施例では、この方法は、任意で組成物の使用説明書が添付された本明細書において開示される組成物のうちの1つ以上を与えることを含む。ある実施例では、組成物とこれの使用説明書とを含むキットも提供できる。
【0149】
いくつかの実施例では、硬化させた組成物が提供される。ある実施例では、この組成物は、本明細書に記載の組成物のうちの1つ以上、たとえば硬化した形態で、連鎖終結剤として機能する一酸混成物と、エポキシ樹脂と、無水物と、組成物を導電性にする有効量の少なくとも1つの金属とを含む組成物を含むものであってもよい。他の実施例では、硬化させた組成物は、硬化した形態で、金属と、はんだまたははんだ合金と、樹脂と、連鎖終結剤として機能する一酸混成物と、無水物とを含む組成物でもよい。さらに他の実施例では、硬化させた組成物は、硬化した形態の、金属と、エポキシ樹脂、無水物、および連鎖終結剤として機能する一酸混成物を含む有機バインダとを含む組成物でもよい。限定されないある実施の形態では、この一酸混成物は、一酸エステル混成物でもよい。
【0150】
ある実施の形態では、本明細書において開示される組成物をウエハレベルで使用してもよい。たとえば、組成物のうちの1つ以上を予めウエハまたは基板に与えた後に乾燥または部分重合(b−ステージング(staging))を行なってもよい。この組成物は、たとえば、乾燥またはb−ステージング後に不粘着面を与えることができる固体熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。加えて、b−ステージングを、硬化動力学が異なる樹脂の種類を選択することによって制御できる。その目的は、有機バインダの一部のみを硬化(すなわち架橋)させてエンドユーザによる取扱いを容易にする不粘着面を与えるようにすることである。未反応のまたは潜在性樹脂は、軟性であり、熱、圧力または双方の助けを借りて接着性接合を与えることが出来る。この組成物は、代わりにまたは加えて、固体一酸混成物分子、たとえば固体一酸エステル混成物分子を含むことによってウエハまたは基板上に不粘着組成物を作ることを支援する。組成物をウエハまたは基板上に堆積させた後、これを周囲条件下で保存してもよい。金属粉末を酸化しにくい貴金属によって被覆または封入することが望ましい、または、有機もしくはポリマー被覆金属粒子の場合は、有機もしくはポリマーコーティングが溶融し、気化し、溶解し、解離して金属接合へのはんだが可能となる。また、組成物が乾燥またはb−ステージング後に十分な機械的特性を有し、組成物を削ることまたはダイシングブレードの目立てを行なわずにウエハまたは基板を容易に分割または個別化できることが望ましい。この組成物は、ウエハレベルでのプロセス中十分な機械的強度を与える熱可塑性樹脂も含み得る。
【0151】
ある実施の形態では、本明細書において開示される組成物を、電子部品上またはその周囲に配置されたオーバーモールドを含む少なくとも1つの電子部品を備えた電子組立品においてまたはこれとともに使用してもよい。ある実施例では、この電子部品は半導体部品である。他の実施例では、オーバーモールドは、使用環境において熱、環境またはその他の条件から保護できる、エポキシ成形化合物、シリコン封入材料、液体エポキシ封入材料、ガラス、トランスファー成形されたエポキシ樹脂、および液体注入成形樹脂またはその他の適切な化合物からなる群から選択されてもよい。
【0152】
ある実施例では、電子部品を含む電子パッケージが開示され、電子部品を保護するためにキャビティパッケージ内に本明細書に記載の組成物のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施の形態では、このキャビティパッケージは、パッケージを覆う蓋を含んでいてもよい。ある実施例では、蓋は、はんだ、ガラス、フリット、およびポリマー封止剤からなる群より選択される1つ以上の材料を用いてキャビティパッケージに封止結合されてもよい。他の実施例では、この蓋を、拡散接合、陽極接合、または他のプロセスを用いてパッケージに封止結合して蓋をパッケージに装着または接合できる。
【0153】
いくつかの実施の形態では、本明細書に記載の組成物のうちの少なくとも1つを基板上に堆積させる方法であって、組成物を供給すること、組成物をスクリーン印刷すること、組成物をステンシル印刷すること、組成物を噴出することなどを含む、方法が開示される。印刷または堆積は、手でまたは自動化された印刷装置を用いて行なってもよい。組成物の粘度を、粘度調整剤または希釈剤を用いて調整し、選択された堆積モードを容易にしてもよい。
【0154】
ある実施の形態では、本明細書に記載の組成物のうちの1つ以上をウエハに与えることを含む方法が提供される。ある実施例では、このウエハを乾燥させてもよくおよび/またはこの組成物を重合してもよい。ウエハをさらに処理することを含むがこれに限定されないさらなるステップも実行してもよい。たとえば、ワイヤボンドおよび相互接続を含む半導体部品(またはその他の電子部品)を、トランスファー成形されたエポキシ樹脂、液体注入成形樹脂、液体封入材料、シリコン封入材料またはその他の適切な材料を用いた封入によってさらに保護してもよい。また、半導体を本明細書に記載のように蓋付きのキャビティパッケージの閉鎖環境に入れることによって保護してもよい。
【0155】
本明細書に記載の技術の新しい特徴のうちのいくつかをさらに例示するためにいくつかの特定の実施例について以下でさらに述べる。
【実施例1】
【0156】
一酸エステル混成物を、過剰量のエタノールをコハク酸無水物と165℃という温度で反応させた後、残余のエタノールを真空蒸発させることによって調製した。結果として得られたモノエチルコハク酸塩のIRスペクトル(KBrプレート上のスメア(smear))を図1に示す。約3350cm−1での酸の−OHストレッチに加えて、この材料は、エステル−カルボニル(1735cm−1)および酸−カルボキシルストレッチ(1714cm−1)双方によって特徴付けられる。
【実施例2】
【0157】
88重量%の金属を含む組成物を、実施例1からの一酸エステル混成物を用いて調製した。金属の含有量について正規化すると、この混合物は、銅粉末(30〜60%)、SAC合金(0〜35%)、SnBi(0〜35%)および銀フレーク(0〜10%)で構成されていた。
【0158】
有機バインダ/融剤システムは、主として、エポキシとしてのエポキシ化ビスフェノールF(50〜60%)、無水物としてのMHHPA(24〜30%)、および酸としてのモノエチルコハク酸塩(14〜22%)で構成されていた。標準的なイミダゾール触媒を用い、硬化剤(無水物+酸)に対するエポキシの割合を、化学量論的平衡(1:1)で維持したが、酸/無水物モル比は、0.2から0.8に変化させた。混合後、この混合物を、25〜300℃、20℃/分のランプレートの多段動的プロファイル(加熱−冷却−加熱)を用い、示差走査熱量計で分析した。1度目の熱サイクル中の溶融エンタルピーで割った、2度目の熱サイクル中のSnBiはんだの溶融エンタルピーの割合(Tmelt〜145℃)を、はんだ合金転化の定量的尺度したがって融剤作用活性として用いた(式1および図2)。
【0159】
【数1】

【0160】
測定された組成物は、88%の金属含有量(35.2%のSnBi、52.8%のCu)と、硬化剤中の60モル%の酸とを含んでいた。純粋なSnBi合金の初期溶融エンタルピーは約57J/gで、これは、32.5%のローディングではΔH=19J/gとなるであろう。観察された15.5J/gというΔH値は、重合発熱の部分重畳のために低くなっている。転化率(%)は、100*(1−[2.4/19.0])≒87%として算出された。第2の熱サイクルの〜208℃で現れるピークは、新たな高溶融金属合金の形成のためである。
【0161】
既知の当量のエポキシ(162g/モル)、無水物(168g/モル)および一酸エステル混成物(146g/モル)から開始し、有機相の平均密度を1.0g/cm(12重量%)、金属の平均密度をおよそ9.0g/cm(88重量%)と想定すると、有機硬化剤部分のモル%の酸から十分に調合されたLPSのモル−酸/cmに変換することは有用である。88%の金属ローディングで、LPSの概略密度は次の通りである。
【0162】
【数2】

【0163】
この単位体積内に、0.12×4.59gの有機バインダ≒0.55gがある。硬化剤における40モル%のモノエチルコハク酸塩の場合、有機部分における一酸エステル混成物の重量(および体積)部分は次の通りである。
【0164】
【数3】

【0165】
単位体積当たりの酸の量はしたがって0.182×0.55g=0.10gまたは0.10g/146gモル−1=0.0687ミリモル/cmである。硬化剤としての100モル%の酸に対し、酸の量は1.79ミリモル/cmに増大する。DSC実験から得られた、転化率(%)と酸の関係の一般的な傾向を図3に示す。
【実施例3】
【0166】
硬化動力学およびリフロープロファイル
ポリマー相の硬化動力学を制御することは、材料の最適パフォーマンスにとって望ましい。これらのシステムにおける「オープン時間(open time)」を、はんだ溶融が生じた時点とポリマーがゲル化した時点−これは本質的にはその瞬間の形態学では凍結−との間の時間によって特徴付けてもよい。J.ハーリー(J. Hurley)他、Proc., 52nd Elect. Comp. Tech Conf., 2002, pp. 828-833参照。図4は、オープン時間が狭く硬化システムが高速である材料を示し、図5は、オープン時間が広く硬化システムが低速である材料を示す。
【0167】
一方では、バインダが急速にゲル化して融剤反応およびはんだ液相線よりも上での連続金属ネットワークの形成を抑制してはならない。他方では、2つのネットワーク(金属およびポリマー)は、それぞれの密度およびそれぞれの表面エネルギが異なっているので熱力学的には融和しない。液相線よりも高い温度での延長されたオープン時間において、金属相とポリマー相の著しい相分離が生じ、所望の特性に満たない形態学につながるであろう。この関係を図6Aから図6Cに概略的に示しており、金属(グレー)およびポリマー(黄色)を時間の関数として示している。図6Aを参照して、オープン時間が不十分であると、分離した金属粒子を伴って低品質のネットワーク形成につながる。中程度のオープン時間は、伝導経路を伴って望ましいネットワーク形成につながる(図6B)。過剰なオープン時間は、金属ドメインおよびポリマードメインの著しい相分離および低品質の電気的特性につながるであろう(図6C)。オープン時間は、使用される硬化促進剤の種類および濃度を変え、リフロープロファイルを変化させることによって変化させてもよい。硬化動力学を、DSC実験データおよびたとえば「自己触媒」またはKamal-Sourourアプローチなどの動力学モデルを用いて特徴付けることは、この点において非常に有用である。Y.レイ(Y. Lei)他、J. Appl. Poly. Sci., vol. 100 (2006), pp. 1642-1658参照。
【実施例4】
【0168】
一酸エステル混成物と、混成物と反応することが可能な樹脂と、金属粉末(たとえば銅粉末)と、はんだとを含む組成物を調製してもよい。エステル混成物は、カルボン酸を含んでもよく、有機基を含んで機械的特性を高めまたは有機相との融和性を改善してもよい。任意で銅をバリアコーティングで保護する。任意で潜在性触媒を追加して硬化動力学およびゲル化を制御する。任意で単官能反応性希釈剤を加えて分子量を制御する。
【実施例5】
【0169】
単官能スルホン酸およびスルホン酸と反応することが可能な樹脂、銅粉末、およびはんだを用いて組成物を調製しても良い。スルホン酸分子は、有機基を含んで機械的特性を高め、または有機相との融和性を改善してもよい。任意で銅をバリアコーティングで保護する。任意で潜在性触媒を加えて硬化動力学およびゲル化を制御する。任意で単官能反応性希釈剤を追加して分子量を制御する。
【実施例6】
【0170】
単官能ホスホン酸、ホスホン酸と反応することが可能な樹脂、銅粉末、およびはんだを用いて組成物を調製してもよい。ホスホン酸分子は、有機基を含んで機械的特性を高めまたは有機相との融和性を改善してもよい。任意で銅はバリアコーティングで保護される。任意で単官能反応性希釈剤を加えて分子量を制御する。
【実施例7】
【0171】
単官能ペルフルオロカルボン酸、ペルフルオロカルボン酸と反応することが可能な樹脂、銅粉末、およびはんだを用いて組成物を調製してもよい。ペルフルオロカルボン酸分子は有機基を含んで機械的特性を高めまたは有機相との融和性を改善してもよい。任意で銅はバリアコーティングで保護される。任意で単官能反応性希釈剤を加えて分子量を制御する。
【実施例8】
【0172】
金属酸化物を除去することが可能な1つの酸官能基と、反応経路においてプロトン交換を伴わない重合が可能な別の官能基とを有する分子を含む組成物を用いて本明細書に記載の組成物を調整してもよい。
【実施例9】
【0173】
金属酸化物を除去することが可能な1つの酸官能基を有する分子と、この酸官能基と結合可能で密に会合し固定化されて腐食を防止する適切な官能基を有する熱可塑性樹脂とを含む組成物を用いて本明細書に記載の組成物を調整してもよい。
【実施例10】
【0174】
本明細書において開示される組成物のうちのいずれかが、融剤処理可能な分子と反応することができるUV硬化性樹脂を含むものであってもよい。このUV硬化性樹脂は、融剤残渣を固定するために金属ネットワークを形成した後に硬化させることが出来る。
【実施例11】
【0175】
硬化動力学および分子量を設計して組成物構造内でのポリマードメインサイズを最小化するとポリマードメインが結合ラインの厚みの50%未満である接合部となる組成物を調製してもよい。この厚みを、反応性ポリマー樹脂の反応性および官能性、一酸エステル混成物分子の量、触媒の種類および量、加熱プロファイル、および/または単官能反応性樹脂の種類および量によって制御することができる。
【実施例12】
【0176】
組成物のうちの1つ以上を予めウエハまたは基板に与えた後に乾燥または部分重合(b−ステージング)を行なってもよい。ある適切な組成物は、乾燥またはb−ステージング後に不粘着面を有することになる固体エポキシ樹脂を含んでいてもよい。加えて、b−ステージングを、硬化動力学が異なる樹脂の種類を選択することによって制御できる。その目的は、有機バインダの一部のみを硬化(すなわち架橋)させてエンドユーザによる取扱いを容易にする不粘着面を与えるようにすることである。未反応のまたは潜在性樹脂は、軟性であり、加熱されると軟化することができ、熱、圧力または双方の助けを借りて接着性接合を形成する。
【実施例13】
【0177】
一酸エステル混成物を洗浄プロセスにおいて用いて酸化物を有機相との混合の前に金属粉末から除去し、使用される単官能カルボン酸を制限して焼結を十分なものにしてもよい。この組成物は、保存および取扱い中の金属粉末の酸化を防止するための安定剤も含んでいてもよい。
【実施例14】
【0178】
本明細書において開示される組成物のうちのいずれかを、たとえば1,5−ジアルキルピリジンといった「プロトンスポンジ」と組み合わせて用いて組成物内の酸のレベルを調節してもよい。
【実施例15】
【0179】
さまざまなレベルの銅粉末を、はんだ粉末、エポキシ樹脂、モノエステル酸エステル混成物、無水物、および触媒と混合することによって、いくつかのペースト調合物を作った。表1のリストに示した調合物は、最初に有機成分を混合した後に、ゆっくりと金属粉末を加えて混合することによって調製した。これらの調合物は、結果として滑らかで塊のないクリーム状のペーストとなった。すべての調合物は、8%の有機バインダと92%の金属フィラーを用いて調製した。有機成分の比率は、調合物A、B、Cについて一定にした。表1に実行Aとして示す10グラムのサンプルは、3.7グラムの低酸素含有銅粉末(平均粒子径〜25ミクロン)、2.76グラムのSn(42)Bi(58)はんだ粉末、2.76グラムのSnAgCuはんだ粉末を、実施例1において示した0.13グラムの一酸エステル混成物、0.43グラムの電子グレードエポキシ化ビスフェノールF樹脂、0.01gの2P4MZイミダゾール触媒、および0.23gの液体無水物と混合することによって調製した。
【0180】
バルク熱伝導性サンプルを、調合物A、B、Cについて調製した。これらのサンプルは、ペーストをシリコンの型に供給することによって調製し、図4に示される温度プロファイルを用いてリフローした。バルク熱伝導率は、Netzsch LFA 447 テスターを使用することによって得られた。結果を表1に示す。以下の表中の値は、混合物におけるCu、SnBiおよびSACという3つの成分の量に基づくこれら3つの成分の比率を示しており、組成物全体における重量百分率または絶対値ではない。
【0181】
【表1】

【実施例16】
【0182】
いくつかのペースト調合物を、さまざまな比率のSnAgCuおよびSnBiはんだ粉末を、銅粉末、エポキシ樹脂、モノエステル酸エステル、無水物および触媒と混合することによって作った。表2に示される調合物は、最初に有機成分を混合した後に、ゆっくりと金属粉末を加えて混合することによって調製した。これらの調合物は、結果として滑らかで塊のないクリーム状のペーストとなった。すべての調合物は、8%の有機バインダと92%の金属フィラーを用いて調製した。有機成分の比率は、調合物DからGについて一定にした。表2に実行Dとして示す10グラムのサンプルは、3.7グラムの低酸素含有銅粉末(平均粒子径〜25ミクロン)、1.84グラムのSn(42)Bi(58)はんだ粉末、3.68グラムのSnAgCu(SAC)はんだ粉末を、実施例1において示した0.13グラムの一酸エステル混成物、0.43グラムの電子グレードエポキシ化ビスフェノールF樹脂、0.01gの2P4MZイミダゾール触媒、および0.23gの液体無水物と混合することによって調製した。以下の表中の値は、Cu、SnBiおよびSACの相対的な比率を示し、重量百分率または絶対値ではない。
【0183】
【表2】

【実施例17】
【0184】
液相線を上回る時間、ピーク温度およびポストベーク条件を含むいくつかのリフロー条件を評価して表3に示す。実施例15からの調合物Bを、表3に示すすべての条件について使用した。リフロー曲線の形状は全体的には図2に示す曲線と一致しているが、ピーク温度および230℃を上回る時間を変化させた。
【0185】
【表3】

【実施例18】
【0186】
いくつかのペースト調合物を、さまざまな種類のエポキシ触媒をSnAgCuはんだ粉末、SnBiはんだ粉末、銀被覆銅粉末、エポキシ樹脂、モノエステル酸エステル、無水物、および触媒と混合することによって作った。表4に示す調合物は、最初に有機成分を混合した後に、ゆっくりと金属粉末を加えて混合することによって調製した。これらの調合物は、結果として滑らかで塊のないクリーム状のペーストとなった。すべての調合物は、8%の有機バインダと92%の金属フィラーを用いて調製した。有機成分の比率は、調合物JからLについて一定にした。表4に実行J−Kとして示す10グラムのサンプルは、4.1グラムの銀被覆銅粉末(平均粒子径〜25ミクロン)、2.53グラムのSn(42)Bi(58)はんだ粉末、2.53グラムのSnAgCuはんだ粉末を、実施例1において示した0.13グラムの一酸エステル混成物、0.43グラムの電子グレードエポキシ化ビスフェノールF樹脂、表4に示した0.01gのいずれかの触媒、および0.23gの液体無水物と混合することによって調製した。
【0187】
【表4】

【実施例19】
【0188】
さまざまなレベルの単官能酸エステルを、SnAgCuはんだ粉末、SnBiはんだ粉末、銀被覆銅粉末、エポキシ樹脂、無水物および触媒とともに有する2つの調合物を作った。表5に示す調合物は、最初に有機成分を混合した後に、ゆっくりと金属粉末を加えて混合することによって調製した。これらの調合物は、結果として滑らかで塊のないクリーム状のペーストとなった。すべての調合物は、8%の有機バインダと92%の金属フィラーを用いて調製した。表5に実行Mとして示す10グラムのサンプルは、3.7グラムの低酸素含有Cu粉末(平均粒子径〜25ミクロン)、2.76グラムのSn(42)Bi(58)はんだ粉末、2.76グラムのSnAgCuはんだ粉末を、実施例1において示した0.13グラムの一酸エステル混成物、0.43グラムの電子グレードエポキシ化ビスフェノールF樹脂、0.01gの2P4MZイミダゾール触媒、および0.23gの液体無水物と混合することによって調製した。表5に実行Nとして示す10グラムのサンプルは、3.7グラムの低酸素含有Cu粉末(平均粒子径〜25ミクロン)、2.76グラムのSn(42)Bi(58)はんだ粉末、2.76グラムのSnAgCuはんだ粉末を、実施例1において示した0.16グラムの一酸エステル混成物、0.43グラムの電子グレードエポキシ化ビスフェノールF樹脂、0.01gの2P4MZイミダゾール触媒、および0.2gの液体無水物と混合することによって調製した。
【0189】
【表5】

【実施例20】
【0190】
(可使時間)
電子組立および半導体パッケージング産業では、通常、ペースト組成物の「ポットライフ」または「可使時間」を、周囲条件で時間に対する粘度の増加を測定することによって検査する。一般的には、8時間という期間にわたって100%未満の粘度増加は製造ラインにおいて実用的であると認められている。図7は、実施例15からの調合物Bの粘度変化を示す。この検査は、CP−51スピンドルとともにブルックフィールド(Brookfield)DVII+を用いて行なった。値は、5RPM回転でのセンチポイズで示している。
【実施例21】
【0191】
(他の酸と比較した転化)
実施例15からの単官能酸エステル混成物は、より従来的なダイマー酸といった液体酸またはコハク酸といった固体酸と比較すると優れた融剤力があることがわかった。いくつかの調合物を調製し、等価のモル当量の酸を有する単官能酸エステル混成物樹脂の優れた融剤作用の有効性を示している。たとえば、10グラムのサンプルを、実施例1に示した0.02モル当量(0.277グラム)の一酸エステル混成物を、5.95グラムの低酸素含有Cu粉末(平均粒子径〜25ミクロン)、1.28グラムのインジウムはんだ粉末、1.28グラムのSnAgCuはんだ粉末、0.9グラムの電子グレードエポキシ化ビスフェノールF樹脂、0.002グラムの2P4MZイミダゾール触媒、および0.32gの液体無水物と混合して作った。InおよびSnAgCu合金が、対応する銅金属間化合物に転化するときの消失を、示差走査熱量測定(DSC)によってモニタした。この転化を図8のY軸に示す。コハク酸またはダイマー酸を用いた調合物を作り、一酸エステル混成物を置換し正しいモル当量のエポキシ化ビスフェノールF樹脂および無水物を有する調合物を平衡させた。図8に示すようにInから対応する銅金属間化合物への転化を測定した。
【実施例22】
【0192】
(たとえばレブリン酸といった遊離一酸の実証)
いくつかのペースト調合物を作り異なる停止酸を検査した。SnAgCu粉末および銅粉末を、エポキシ樹脂、ケト酸(レブリン酸)またはモノエチルコハク酸塩および触媒と組み合わせた。表6に示す調合物は、最初に有機成分を混合した後に、ゆっくりと金属粉末を加えて混合することによって調製した。これらの調合物は、結果として滑らかで塊のないクリーム状のペーストとなった。調合物は共に、12%の有機バインダと88%の金属フィラーを用いて調製した。表6に実行1として示す10グラムのサンプルは、2.2グラムの低酸素含有銅粉末(平均粒子径〜25ミクロン)、6.6グラムの低酸素SnAgCu(SAC)はんだ粉末を、0.2グラムのレブリン酸、0.4グラムの電子グレードエポキシ化1,6ヘキサンジオールジグリシジル樹脂、0.3gのMHHPA、0.2グラムの単官能脂肪族グリシジルエーテル、0.01gのTPPK触媒、および0.23gの液体無水物と混合することによって調製した。表6における結果は、レブリン酸またはモノエチルコハク酸塩いずれかの使用からの連鎖停止メカニズムの有効性を表わし、これらはいずれも長いポットライフをもたらす一方で優れたバルク熱伝導性をもたらす。
【0193】
【表6】

【0194】
本明細書において開示された実施例の要素を紹介する際の、1つの(「a」、「an」)およびこの(「the」)といった冠詞は、この要素が1つ以上あることを意味することを意図している。「備える」、「含む」、および「有する」といった用語は、オープンエンドであり、列挙された要素以外にさらなる要素があるかも知れないことを意味することを意図している。当業者は、この開示から、実施例のさまざまな成分を他の実施例のさまざま成分と交換または置換できることを理解するであろう。
【0195】
いくつかの特徴、局面、実施例および実施の形態について述べてきたが、開示されている例として挙げた特徴、局面、実施例および実施の形態の、追加、置換え、変更および修正は、当業者がこの開示から容易に理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導性組成物であって、
少なくとも1つの金属と、
はんだまたははんだ合金と、
樹脂と、
一酸混成物とを含み、前記一酸混成物は、第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する、伝導性組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの金属は、銅、銀、銀被覆銅、錫被覆銅、キャップド銅、アルミニウム、およびその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのはんだまたははんだ合金は、ビスマス、銅、銀、錫、インジウム、アンチモン、その合金、およびその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの金属は、キャップド金属粒子、被覆金属粒子、非キャップド金属粒子、非被覆金属粒子、金属粉末、金属フレーク、金属合金、およびその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項5】
一酸混成物は、以下の式を有する化合物であり、
【化1】

式中、Xは1〜9に等しく、RおよびRは各々独立してH、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、C1−C6アルコキシ基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて前記組成物の他の成分との架橋を回避し得る、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項6】
樹脂は、エポキシ化ビスフェノールF樹脂、エポキシ化ビスフェノールA樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、フッ素置換エポキシ樹脂、エポキシ化シリコーン樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF樹脂、水素化ビスフェノールA樹脂、シクロヘキシルジグリシジルエーテル樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、マレイミド、ビスマレイミド、シアナートエステル、ジシアナートエステル樹脂、ベンゾキサジン、エポキシ化シリコン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、アクリル樹脂、アクリレート、ポリオレフィン、ジシクロペンタジエン、官能化ポリウレタン、ポリブタジエン、官能化ポリブタジエン、カルボキシ末端化ブタジエンアクリロニトリル、シロキサンポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリシロキサン、シアノアクリレート、およびその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項7】
メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、およびその組合せからなる群より選択される無水物をさらに含む、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの金属は約10重量%から約60重量%で存在し、はんだは約30重量%から約90重量%で存在し、樹脂は約1重量%から約18重量%で存在し、一酸混成物は約0.5重量%から約10重量%で存在し、前記重量百分率はすべて前記組成物の重量に基づく、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの金属は銅であり、はんだまたははんだ合金はSnBiとSnAgCuとの組合せであり、エポキシ樹脂はエポキシ化ビスフェノールFであり、一酸混成物はレブリン酸である、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項10】
エポキシ基、アミン基、アミド基、アルコール基、アルケニル基、ビニル基、酸性基、アリル基、アクリレート、メタクリレート、シアナートエステル、ジシアナートエステル、マレイミド、ビスマレイミド、無水物、ベンゾキサジン、およびその組合せからなる群より選択される1つ以上の反応性部分を含む少なくとも1つの追加成分をさらに含む、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項11】
トリフェニルホスフィン(TPP)、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルホウ酸塩(TPP−K)、およびトリフェニルホスフィンベンゾキノン(TPP−BQ)、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾリン、2−ベンジル−4−メチルイミダゾール、2−ベンジル−4−メチルイミダゾリン、2エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−(2シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、l−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾール、l−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、ジシアンジアミド、ジアミノ−6[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]エチルストリアジン2,4−,イソシアヌル酸、2ヘプタデシルイミダゾール、およびその組合せからなる群より選択される潜在性触媒をさらに含む、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項12】
置換フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテルまたは脂肪族グリシジルエーテルからなる群より選択される単官能希釈剤をさらに含み、前記エーテルのうちのいずれかは、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルC8−C14グリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、およびその組合せのうちの1つ以上である、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの金属は、熱可塑性樹脂、固体熱硬化性樹脂、酸化防止剤として使用される自己集合単分子層、およびその組合せからなる群より選択される1つ以上の材料でキャップされるかまたは被覆される、請求項1に記載の伝導性組成物。
【請求項14】
前記酸化防止剤の材料は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズアミダゾール、イミダゾール、または有機酸、およびその組合せからなる群より選択される、請求項13に記載の伝導性組成物。
【請求項15】
電子部品であって、
はんだ付け可能な表面を有し1つ以上の垂直相互接続経路を与える半導体チップと、
硬化した導電性組成物とを含み、前記組成物は、硬化の前に、
第1の末端において保護されていない単一の反応基、および他の場所において実質的に非反応性の基を含むことにより、連鎖終結剤として機能する一酸混成物と、
エポキシ樹脂と、
前記組成物を導電性にする有効量の少なくとも1つの金属とを含む、電子部品。
【請求項16】
前記組成物の一酸混成物は、以下の式を有する化合物であり、
【化2】

式中、Xは1〜9に等しく、RおよびRは各々独立してH、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、C1−C6アルコキシ基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて前記組成物の他の成分との架橋を回避し得る、請求項15に記載の電子部品。
【請求項17】
はんだ付け可能な表面を有し、はんだ付け可能な表面を有する基板への1つ以上の垂直相互接続経路を与える半導体チップと、
請求項1に記載の組成物を含む導電性組成物とを含む、半導体部品。
【請求項18】
電子部品の組立てを容易にする方法であって、
熱伝導性および/または導電性の組成物を与えるステップを含み、前記組成物は、一酸混成物と、樹脂と、無水物と、前記組成物を熱伝導性および/または導電性にする有効量の金属とを含み、前記組成物の一酸混成物は、以下の式を有する化合物であり、
【化3】

式中、Xは1〜9に等しく、RおよびRは各々独立してH、C1−C6アルキル基、C1−C6脂肪族基、C1−C6アルコキシ基、およびC1−C9芳香族基からなる群より選択され、これらのうちのいずれかは実質的に非反応性の1つ以上の官能基と置換されて前記組成物の他の成分との架橋を回避し得る、方法。
【請求項19】
電子組立品であって、
請求項1に記載の組成物を含む少なくとも1つの電子部品と、
前記電子部品の上または周りに配置されたオーバーモールドとを含み、
前記オーバーモールドは、エポキシ成形化合物、シリコン封入材料、液体エポキシ封入材料、ガラス、トランスファー成形されたエポキシ樹脂、および液体注入成形樹脂からなる群より選択される、電子組立品。
【請求項20】
電子パッケージであって、
電子部品を含み、前記電子部品は、前記電子部品を保護するキャビティパッケージ内に請求項1に記載の組成物を含み、
前記キャビティパッケージは蓋を含み、前記蓋は、前記パッケージを覆い、はんだ、ガラス、フリット、およびポリマー封止剤からなる群より選択される1つ以上の材料を用いて拡散接合または陽極接合によって前記キャビティパッケージを密閉する、電子パッケージ。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物を基板上に堆積させる方法であって、前記方法は、
前記組成物を基板上に供給するステップ、前記組成物を基板上にスクリーン印刷するステップ、前記組成物を基板上にステンシル印刷するステップ、前記組成物を基板上に射出するステップ、または前記組成物をウエハ上に与え前記ウエハを乾燥させるステップを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−504179(P2012−504179A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529278(P2011−529278)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/058469
【国際公開番号】WO2010/036953
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(598085065)フライズ・メタルズ・インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】FRY’S METALS, INC
【Fターム(参考)】