説明

集積回路の製造方法

【課題】異なる基材領域又はいくつかのトレンチの底部及び各側壁部を覆う異なる酸化被膜の形成に異なる酸化処理を備える、集積回路を製造する方法を提供する。
【解決手段】表面を有する半導体基板10を準備するステップと、少なくとも一つの注入種が、前記表面の第二の部分区域14と比較すると前記表面の第一の部分区域12に近接して特に注入されるようなイオン注入処理を実行するステップと、前記表面の前記第一の部分区域を覆う第一の膜厚を有する第一の酸化被膜32と前記表面の前記第二の部分区域を覆う第二の膜厚を有する第二の酸化被膜36とを形成するように、単一の酸化処理を実行するステップであって、前記第一の膜厚が前記第二の膜厚と異なるステップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、DRAMのような集積回路は、多くの場合、複数の基材と複数の凹型チャンネルトランジスタとを備える。しばしば、集積回路は、二つの異なるタイプのトランジスタを複数備えることさえもある。この場合に、第一の複数の支持領域と第二の複数の支持領域とを二つの異なる膜厚を有する酸化被膜で覆うことが有利となる、又は必要とされる。
【0003】
さらに、凹型チャンネルトランジスタは、多くの場合、トレンチ(trench)を備える。上記トレンチの底部と各側壁部とが、通常異なる膜厚を有する酸化被膜によって覆われる。
【特許文献1】独国出願公開第10−2006−034772号明細書
【特許文献2】米国特許第4,225,879号明細書
【特許文献3】米国特許第5,183,775号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、異なる基材領域又はいくつかのトレンチの底部及び各側壁部を覆う異なる酸化被膜の形成は、少なくとも二つの異なる酸化処理を必要とする。これらの異なる酸化処理は、例えば、DRAMの集積回路を生産するために必要とされる工程処理数を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様が、請求項1に記載される。
更なる態様が、それぞれの従属項に記載される。
本発明の例示の実施形態が、図面に例示され且つ以下の記載により詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1A〜図1Hは、集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイ(array)の断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【0007】
本方法の第一の工程処理において、例えば、シリコンを含む半導体基板10が準備される。半導体基板10は、凹型チャンネルトランジスタが形成される複数の領域12を備える。半導体基板10は、平面トランジスタが形成される複数の領域14も備える。凹型チャンネルトランジスタと平面トランジスタとが、DRAMの構成要素とされ得る。しかしながら、本発明は、DRAMの製造に限定されない。
【0008】
参照符号16は、領域12の近傍に形成される埋込ストラップ(strap)を示す。埋込ストラップ16は、例えば、酸化物から作られる絶縁体18を有する。絶縁体18を有する上記埋込ストラップ16を形成する方法が、先行技術より公知である。しかしながら、本発明は、上記埋込ストラップ16と関連するアレイに限定されない。
【0009】
図1Aから理解されるように、絶縁トレンチ20は、半導体基板10の表面にエッチングされる。絶縁トレンチ20は、例えば、シリコン酸化物を有する絶縁材料で充填される。当然ながら、様々な他の絶縁材料が、絶縁トレンチ20に充填され得る。
【0010】
犠牲酸化被膜22は、半導体基板10の表面上に形成される。半導体基板10がシリコンで構成される場合には、犠牲酸化被膜22は、熱酸化処理中に形成され得る。
その後、様々なイオン注入処理が、異なるウエル(well)24,26を形成するように実行され得る。これらのウエルは、n型ドープ又はp型ドープ又は非ドープ型とすることができる。本発明の実施形態では、ウエル24,26は、後に形成すべき凹型チャンネルトランジスタ及び平面トランジスタのために形成される。しかしながら、ウエル24,26は、本明細書でより詳細に記載される工程処理には必要とされない。
【0011】
選択的であるが、急速熱処理(RTP)アニールが、ウエル拡散のために実行される。結果が、図1Bに示される。
図1Cに示される以下の工程処理において、例えば、硬質炭素マスク(CHM)又はフォトレジストマスクのマスク28は、半導体基板10の表面上に載置される。
【0012】
以下のリソグラフィック処理において、マスク28は、パターン化される。エッチング処理は、領域12の上側のマスク28の区域を取り除くために実行される。領域14を覆うマスク28の区域は、エッチング処理中に除去されない。
【0013】
以後、エッチング処理が、複数のトレンチ30を非保護領域12内にエッチングするように実行される。エッチング処理は、酸化物に対し選択的に又は非選択的に行うことができる。例えば、エッチング処理は、リアクティブイオンエッチング(RIE)処理又はケミカルダウンストリームエッチング(CDE)処理とし得る。
【0014】
エッチング処理の結果が、図1Dに示される。トレンチ30は、半導体基板10の表面に対して且つ図1A〜図1Hの断面に対して直交する垂直な中心平面31を有する。例えば、トレンチ30は、20nm〜100nmの間の幅を有し得る。深さは、50nm〜400nmの間の範囲とし得る。しかしながら、本発明の方法は、特定のサイズを有するトレンチ30に限定されない。
【0015】
図1Dの例示において、トレンチ30は、二つの隣接する絶縁トレンチ20の間の間隔及び/又はマスク28にエッチングされた穴によって制限される幅を有する。本発明の例示において、RIE処理又はCDE処理は、絶縁トレンチ20に充填される酸化物に対して選択的に行われる一方、アレイの二つの隣接する絶縁トレンチ20の間のシリコンを除去する。また、RIE処理又はCDE処理の後で、トレンチ30の底部は、丸みを帯びたコーナーを有し得る。
【0016】
上述されたエッチング処理中に、犠牲酸化被膜22は、マスク28によって領域14の上側において保護される。従って、これらのエッチング処理中に領域14から除去されない。
【0017】
以下の工程処理において、マスク28は、半導体基板10の表面から取り除かれる。結果が、図1Dに示される。
次に、図1Eに示されるように、イオン注入処理が実行される。イオン注入処理中に、少なくとも一つの注入種が、トレンチ30の側壁と比較するとトレンチ30の底部に特に近接して注入される。よって、イオン注入部は、トレンチ30の底部において第一の部分区域の近傍に導入される。イオン注入部は、トレンチ30の第一の部分区域と密接な関係となり得る。イオン注入処理中において、注入種が、第一の部分区域を対象とされてもよい。
【0018】
イオン注入の方向は、トレンチ30の垂直な中心平面31に対して平行になり得る。し
かしながら、本発明は、トレンチ30の垂直な中心平面31に対して平行な向きに実行されるイオン注入処理に限定されない。
【0019】
トレンチ30の底部に近接する少なくとも一つのイオン注入部は、トレンチ30の底部における表面の酸化速度を、例えば、結晶配向に応じて変更し得る。イオン注入の少なくとも一つの注入種は、例えば窒素を含み得る。
【0020】
選択的であるが、凹型チャンネルLCI(局部チャンネル注入)が、実施され得る。
領域14を考慮して、二つの選択肢がある。第一の場合には、領域14は、イオン注入処理中、イオン注入部の導入を領域14内に抑制するのに十分な厚みである膜によって覆われる。或いは、イオン注入部が、領域14の表面近傍にも導入される。
【0021】
イオン注入は、トレンチ30の各側壁部にわずかに損傷を与え得る。しかしながら、トレンチ30の各側壁近傍においては顕著なイオン注入部はない。よって、イオン注入部は、トレンチ30の第二の部分区域の酸化速度に影響しない。
【0022】
その後に、損傷を受けた犠牲酸化被膜22が、半導体基板10の表面から除去される。トレンチ30の損傷を受けた側壁も除去され、図1Fから理解されるように、トレンチ30の底部においてシリコンの側壁部分を露出させる絶縁トレンチ20を充填する酸化物中に窪み37を形成する。しかしながら、本発明は、特別な形状のトレンチ30に限定されない。
【0023】
損傷を受けた酸化物区域の除去後に、単一の酸化処理が、トレンチ30の底部を覆う第一の酸化被膜32、トレンチ30の各側壁部を覆う第二の酸化被膜34及び領域14を覆う第三の酸化被膜36を形成するために実施される。結果が図1Gに示される。
【0024】
三つの酸化被膜32,34及び36の全てが、単一の酸化処理により形成される。この酸化処理は、例えば熱酸化処理である。酸化処理は、エッチング処理を含まない。
第一の酸化被膜32は、トレンチ30の底部の表面近傍にイオン注入部と関連して形成される。第二の酸化被膜34は、イオン注入部から間隔を隔てて形成される。
【0025】
イオン注入部によって、トレンチ30の底部における第一の酸化被膜32は、トレンチ30の各側壁部を覆う第二の酸化被膜34の膜厚より著しく小さい膜厚を有する。また、領域14の表面近傍にイオン注入されないならば、第一の酸化被膜32の膜厚は、第三の酸化被膜36の膜厚より著しく小さくし得る。
【0026】
二つの異なる膜厚を有する酸化被膜32,34の同時形成は、トレンチ30の底部及び各側壁部において、例えば結晶性シリコン等の半導体材料の異なる配向を利用し得る。さらに、イオン注入処理は、酸化速度を特に変更する少なくとも一つの注入種により実行され得る。
【0027】
更なる実施形態では、領域14の表面近傍のイオン注入部があり、第三の酸化被膜36の膜厚は、第一の酸化被膜32の膜厚の範囲とし得る。
膜32の厚みに対して第三の酸化被膜36の厚みを定めるために、領域14の表面近傍における注入ドーズ量を調整することも可能である。
【0028】
イオン注入処理の間、薄い膜で領域14を覆うことによって、領域14の表面近傍のイオン注入部が、トレンチ30の底部近傍のイオン注入部より低い濃度を有することがさらに可能である。そして、第三の酸化被膜36の膜厚は、第一の酸化被膜32の膜厚より大きくし得るが、第二の酸化被膜34の膜厚より小さくなる。
【0029】
本発明の態様では、単一の酸化処理によって異なる膜厚を有する酸化被膜32、34及び36を形成することが可能である。従って、異なる膜厚を有する酸化被膜32,34及び36の形成のために複数の異なる酸化処理を実行する必要がない。酸化処理中にマスクを使用する必要もなくなり、又はエッチング処理によって酸化被膜32,34及び36のうちの一つの膜厚を減らす必要もなくなる。
【0030】
例えば、第一の酸化被膜32は、3〜8nmの間の範囲の膜厚を有し得る。第二の酸化被膜34と第三の酸化被膜36とは、例えば、10〜20nmの間の範囲の著しく大きい膜厚を有し得る。しかしながら、本発明はこの例示に限定されない。
【0031】
同一の酸化処理中に、付加的な酸化被膜38が、トレンチ30の周囲の半導体基板10の表面上に形成され得る。付加的な酸化被膜38の膜厚は、付加的な酸化被膜38近傍にイオン注入がされる場合には、第一の酸化被膜32の膜厚の範囲内であり、付加的な酸化被膜38近傍にイオン注入がされない場合には、第二の酸化被膜34の膜厚の範囲内であり得る。
【0032】
酸化被膜32,34,36及び38の形成後に、ポリシリコンの被着が実施される。次に、異なる領域40,42,44及び46が、異なるドーピング濃度を有するようにドープされる。例えば、領域40は蛍光物質で高濃度にドープされ、領域42はドープされず、領域44は領域40とは逆極性のドーピングを含み得る。当然ながら、本発明は、領域40〜46のドーピング濃度の例示に限定されない。
【0033】
その後、タングステンからなる付加的な膜48が、膜40〜46に被着され得る。次に、例えば、シリコン窒化物からなる上側膜50が、膜48上に形成され且つ平坦化される。最後の工程処理において、積層構造化が実施される。結果が図1Hに示される。
【0034】
図2A〜図2Fは、集積回路の製造方法の第二の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)アレイから離間した基材の断面である。
【0035】
図2Aは、図1Bとほぼ同一である。それらの図面は、後に凹型チャンネルトランジスタを形成すべき複数の領域12、絶縁体18を有する隣接する埋込ストラップ16及び絶縁材料で充填される絶縁トレンチ20を有する半導体基板10を示す。図1Bとは逆に、半導体基板10は、p型FET(領域14a)及びn型FET(領域14b)を形成するために、複数の領域14a,14bを含む。しかしながら、本実施形態は、p型FET及び/又はn型FETを形成する方法に限定されない。
【0036】
犠牲酸化被膜22は、半導体基板10の表面上に形成される。犠牲酸化被膜22は、領域12,14a,14b全ての表面を覆う。半導体基板10は、ウエル24,26も含み得る。しかしながら、以下により詳細に説明される方法は、ウエル24,26のドーピングの特別のタイプに限定されない。
【0037】
図2Bに示されるその後の工程処理において、マスク28、例えば炭化硬質マスクが、半導体基板10の表面上に被着される。マスクは、領域12上に露出される。そして、マスク28のその露出された区域が、エッチングされる。これは、マスク28の露出された区域に対して選択的に行われるエッチング処理において実施される。
【0038】
その後、トレンチ30が、非保護領域12内にエッチングされる。これは酸化物に対し
て選択的に又は非選択的に行われるRTE処理又はCDE処理において行われる。トレンチ30は、半導体基板10の表面に直交する垂直な中心平面31を有する。例えば、形成されたトレンチ30は、20nm〜100nmの間の範囲の幅を有し、50nm〜400nmの間の範囲の深さを有する。トレンチ30の底部は、丸みを帯びたコーナーを有し得る。しかしながら、本発明は、トレンチ30の底部の特別な形状に限定されない。
【0039】
RTE処理又はCDE処理中において、領域14a,14bを覆う犠牲酸化被膜22が、マスク28によって保護される。
マスク28は、以降のイオン注入処理中に、領域14a,14bも保護し、トレンチ30の各側壁部における第二の部分区域と比較してトレンチ30の底部における第一の部分区域特に近接して少なくとも一つの注入種を注入するように実施される。「近接する」という表現は、トレンチ30の第一の部分区域に対して近いように又は近い距離にあるようにと説明され得る。よって、形成されたイオン注入部とトレンチ30の第一の部分区域との間の間隔は、イオン注入部とトレンチ30の第二の部分区域との間の間隔よりも著しく小さくなる。
【0040】
例えば、トレンチ30の底部近傍の少なくとも一つのイオン注入部は、トレンチ30の第一の部分区域の酸化速度を変更し得る。少なくとも一つのイオン注入部が、トレンチ30の第一の部分区域の酸化速度の有利な変更に関して選択され得る。イオン注入の注入種の例示は、窒素である。
【0041】
イオン注入処理の方向は、トレンチ30の垂直な中心平面31対して平行に且つ半導体基板10の表面に対して直交となり得る。しかしながら、本明細書に記載された方法は、イオン注入処理の特定の方向に限定されない。
【0042】
こうして、イオン注入部は、トレンチ30の底部の表面近傍に導入される。しかしながら、導入されたイオン注入部は、トレンチ30の第二の部分区域の酸化速度にほとんど影響を与えない。例えば、イオン注入部と第二の部分区域との間の間隔は、トレンチ30の第二の部分区域の酸化速度の変更を生じさせるためには過度に大きすぎる。
【0043】
以下の工程処理において、マスク28は、半導体基板10の表面から取り除かれる。
次に、第一の熱酸化処理が、トレンチ30において酸化被膜32,34を形成するために実施される。酸化被膜32は、トレンチ30の底部において形成される。トレンチ30の各側壁部が、酸化被膜34によって覆われる。よって、酸化被膜32が、トレンチ30の底部においてイオン注入部と関連して形成される一方、酸化被膜34は、イオン注入部から分離される。従って、酸化被膜32,34は、異なる膜厚を有する。
【0044】
同時に二つの異なる膜厚を有する二つの酸化被膜32,34を形成するように、トレンチ30の底部及び各側壁部において、例えば、結晶性シリコンの半導体材料の異なる結晶配向を採用することも可能である。この場合には、イオン注入部は、表面の局部的な結晶配向によって酸化速度が変更されるトレンチ30の底部において第一の部分区域の近傍に提供される。しかしながら、本発明は、この任意の方法に限定されない。
【0045】
図2Cから理解されるように、トレンチ30の底部近傍に形成された酸化被膜32は、トレンチ30の各側壁部を覆う酸化被膜34より著しくより薄くなる。例えば、トレンチ30の底部近傍に形成された酸化被膜32が、2〜8nmの間の範囲の膜厚を有し、トレンチ30の各側壁部を覆う酸化被膜34は、8〜20nm間の範囲の膜厚を有する。
【0046】
しかしながら、本発明は、この例示に限定されない。酸化被膜32,34の膜厚は、第一の熱酸化処理の継続時間及びトレンチ30の底部近傍のイオン注入部の総量によって決
まる。従って、酸化被膜32,34の膜厚の範囲が異なることが可能となる。
【0047】
領域14a,14bを覆うとともにトレンチ30を囲む犠牲酸化被膜22の膜厚は、この第一の熱酸化処理中に増加し得る。
以降の工程処理において、犠牲酸化被膜22は、領域14aから除去される。結果が図2Cに示される。
【0048】
第二の熱酸化処理は、次に酸化被膜36aを領域14a上に形成するために実施される。領域14a上の新しい酸化被膜36aの膜厚は、例えば、2nm〜8nmの間の範囲となり得る。
【0049】
次に、領域14b上の犠牲酸化被膜22が、取り除かれるようにエッチングされる。第三の熱酸化処理において、酸化被膜36bは、領域14b上に形成される。本発明の例示において、第三の熱酸化処理の継続時間は、領域14bを覆う酸化被膜36bが領域14aを覆う酸化被膜36aより著しく薄くなるように、短い時間が選択される。領域14aを覆う酸化被膜36aの膜厚が、図2Eから理解されるように、第三の熱酸化処理中に増加し得る。
【0050】
こうして、領域14a,14b上に異なる膜厚を有する酸化被膜36a,36bを形成することが可能となる。例えば、p型FET及びn型FETのために異なる膜厚を有する酸化被膜36a,36bを形成することが可能となる。先行技術から公知の方法と比較すると、上述の方法は、比較的容易に実施され得る。
【0051】
最後に、ポリシリコン膜52が、半導体基板10上に形成され且つ平坦化される。結果が図2Fに示される。
図3A〜図3Fは、集積回路の製造方法の第三の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【0052】
図3Aは、図2Aと同一である。従って、ここではより詳細な説明はしない。
以下の工程処理において、マスク28、例えば炭化硬質マスクが、半導体基板10の表面上に被着される。マスク28は、上述した方法により形成される。
【0053】
次に、RIE処理又はCDE処理が、トレンチ30を領域12内にエッチングするために実行される。新しくエッチングされたトレンチ30は、半導体基板10の表面に対して直交する垂直の中心平面31を有する。
【0054】
その後の工程処理において、イオン注入処理が実行され、少なくとも一つの注入種が、トレンチ30の各側壁部における第二の部分区域と比較してトレンチ30の底部における第一の部分区域の近傍に特に注入される。イオン注入処理の注入種は、例えば、窒素とし得る。少なくとも一つの注入種は、第一の部分区域の酸化速度の変更に関して選択され得る。
【0055】
イオン注入の方向は、図3Bに確認され得るように、トレンチ30の垂直な中心平面31に対して平行になり得る。しかしながら、本明細書に記載される方法は、イオン注入の特定の方向に限定されない。
【0056】
こうして、イオン注入部がトレンチ30の底部の表面近傍に形成され、イオン注入部と第二の部分区域との間の間隔は、イオン注入部と第一の部分区域との間の間隔より著しく
大きくなる。イオン注入部は、以下の工程処理において、トレンチ30に形成された酸化被膜32,34の膜厚を変化させるために提供される。
【0057】
次に、マスク28が完全に取り除かれる。同時に、第一の熱酸化処理が、トレンチ30において酸化被膜32,34を形成するために実施される。これら新しく形成された酸化被膜32,34は、注入が行われた第一の表面区域及び非注入の第二の表面区域において異なる膜厚を有する。トレンチ30の底部近傍のイオンドーピングにより、トレンチ30の底部近傍の第一の表面区域上に形成された酸化被膜32は、トレンチ30の各側壁部において第二の表面区域を覆う酸化被膜34より著しく薄くなる。
【0058】
異方性のドライエッチング処理が、次に、トレンチ30の底部近傍に新たに形成された酸化被膜32と領域14aを覆う犠牲酸化被膜22とをエッチングするように実行される。結果が図3Cに示される。破線54は、トレンチ30の除去された酸化被膜の側を示す。
【0059】
当然に、トレンチ30の底部近傍の酸化被膜32と領域14aを覆う犠牲酸化被膜22とを除去するような複数のエッチング処理を実行することも可能である。例えば、第一のエッチング処理において、トレンチ30の底部近傍の酸化被膜32のみが、除去される。そして、付加的なエッチング処理、例えばウェットエッチング処理において、領域14aを覆う犠牲酸化被膜22が、エッチングされる。
【0060】
図3Dは、第二の熱酸化処理を示し、トレンチ30の底部において第一の部分区域を覆う新しい酸化被膜32と領域14aを覆う新しい酸化被膜36aとを形成するように実施される。トレンチ30の酸化被膜32,34の異なる膜厚が、図3Dに示される。
【0061】
次に、犠牲酸化被膜22が領域14bから除去される一方、酸化被膜32,34及び36aは、マスクによって保護される。マスクは、半導体基板10から取り除かれる。その後、第三の熱酸化処理が、新しい酸化被膜36bを領域14b上に形成するために実行される。新しい酸化被膜36bは、領域14a上の酸化被膜36aより著しく薄くなる。
【0062】
結果が図3Eに示される。トレンチ30の底部の表面近傍のイオンドーピングによって、トレンチ30の底部における酸化被膜32は、トレンチ30の各側壁部を覆う酸化被膜34より著しく薄くなる。また、領域14bを覆う新しく形成された酸化被膜36bは、領域14a上の酸化被膜36aより著しく薄くなる。
【0063】
最後に、図3Fに示されるように、ポリシリコン膜52が、単一のポリ蒸着処理で被着される。
以下の工程処理が、凹型チャンネルトランジスタを含む集積回路を生産するために実施され、p型FET及びn型FETは、先行技術から公知である。従って、それらは、ここでは説明しない。
【0064】
上記の各段落において、本発明は、トレンチ30の底部における第一の部分区域と各側壁部における第二の部分区域とを覆う二つの酸化被膜32,34に関して記載されている。しかしながら、本発明は、トレンチ32の部分区域を覆う酸化被膜32,34に限定されない。代わりに、本発明は、任意の三次元幾何学的な異なる部分区域を同時に覆う酸化被膜を形成するようにも利用され得る。形成された酸化被膜は、少なくとも二つの異なる膜厚を有する。酸化被膜は、単一の酸化処理、例えば熱酸化処理にて形成される。
【0065】
例えば、本発明は、フィンの上面における第一の部分区域を覆う第一の膜厚を有する第一の酸化被膜と、フィンの各側壁部における第二の部分区域を覆う第二の膜厚を有する第
二の酸化被膜とを、単一の酸化処理にて形成するために利用され得る。少なくとも二つの酸化被膜の異なる膜厚を提供するために、イオン注入処理は、特にフィンの選択された側において少なくとも一つの注入種を注入するように実施される。注入種は、例えば、フィンの側壁と比較してフィンの上面の近傍に特に、導入され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1A】集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図1B】集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図1C】集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図1D】集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図1E】集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図1F】集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図1G】集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図1H】集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図2A】集積回路の製造方法の第二の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図2B】集積回路の製造方法の第二の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図2C】集積回路の製造方法の第二の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図2D】集積回路の製造方法の第二の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図2E】集積回路の製造方法の第二の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図2F】集積回路の製造方法の第二の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図3A】集積回路の製造方法の第三の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図3B】集積回路の製造方法の第三の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図3C】集積回路の製造方法の第三の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図3D】集積回路の製造方法の第三の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図3E】集積回路の製造方法の第三の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。
【図3F】集積回路の製造方法の第一の実施形態を例示するための半導体基板の断面図を示しており、a)は形成されるワード線に対して垂直なアレイの断面であり、b)は形成されるワード線に対して平行なアレイの断面であり、c)はアレイから離間した基材の断面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路を製造する方法であって、
表面を有する半導体基板を準備するステップと、
少なくとも一つの注入種が、前記表面の第二の部分区域と比較すると前記表面の第一の部分区域に近接して特に注入されるようなイオン注入処理を実行するステップと、
前記表面の前記第一の部分区域を覆う第一の膜厚を有する第一の酸化被膜と前記表面の前記第二の部分区域を覆う第二の膜厚を有する第二の酸化被膜とを形成するように、単一の酸化処理を実行するステップであって、前記第一の膜厚が前記第二の膜厚と異なるステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記第一の膜厚が、前記第二の膜厚より小さい請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の部分区域に近接して注入される前記少なくとも一つの注入種が、前記第一の部分区域の酸化速度を変更する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記イオン注入処理の前記少なくとも一つの注入種が、窒素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体基板が、シリコンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記単一の酸化処理が、熱酸化処理を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つのトレンチが、該少なくとも一つのトレンチの底部を前記第一の部分区域として供与し且つ前記少なくとも一つのトレンチの側壁を前記第二の部分区域として供与されるように、前記半導体基板の表面にエッチングされる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の酸化被膜と前記第二の酸化被膜とが、トランジスタのゲート酸化物を形成する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一つの凹型チャンネルトランジスタが、前記少なくとも一つのトレンチに形成される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つのフィンが、該少なくとも一つのフィンの上面を前記第一の部分区域として供与し且つ前記少なくとも一つのフィンの側壁を前記第二の部分区域として供与するように、前記半導体基板の表面上に形成される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第一の酸化被膜の前記第一の膜厚は、3〜8nmの間の範囲にあり、前記第二の酸化被膜の前記第二の膜厚は、7〜20nmの間の範囲にある請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記イオン注入処理の前に、少なくとも一つの膜で前記半導体基板の複数の領域を覆うステップと、
前記イオン注入処理の後で、前記領域の前記少なくとも一つの膜を除去するステップと、
前記単一の酸化処理によって前記領域を覆う第三の膜厚を有する第三の酸化被膜を形成するステップと、
を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第三の膜厚が、前記第二の膜厚と等しい請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つの膜が、酸化被膜を含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも一つの膜が、炭化硬質マスク(CHM)を含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
複数の平面のトランジスタが、前記領域上に形成される請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記イオン注入処理の前に、少なくとも一つの膜で前記半導体基板の第一の複数の領域と第二の複数の領域とを覆うステップと、
前記イオン注入処理の後で、前記第一の複数の領域の前記少なくとも一つの膜を除去するステップと、
前記単一の酸化処理によって前記第一の複数の領域を覆う第三の膜厚を有する第三の酸化被膜を形成するステップと、
前記第二の複数の領域の前記少なくとも一つの膜を除去するステップと、
第四の酸化被膜を前記第二の複数の領域上に形成するように第二の酸化処理を実行するステップと、
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第三の膜厚が、前記第二の酸化処理によって増大される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第二の酸化処理が、熱酸化処理を含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複数のp型FETが、前記第一の複数の領域上に形成され、複数のn型FETは、前記第二の複数の領域上に形成される請求項17に記載の方法。
【請求項21】
メモリ装置が、前記半導体基板上に形成される請求項1に記載の方法。
【請求項22】
DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)が、前記半導体基板上に
形成される請求項1に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【公開番号】特開2009−117818(P2009−117818A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−266581(P2008−266581)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(506240919)キマンダ アーゲー (15)
【氏名又は名称原語表記】Qimonda AG
【Fターム(参考)】