説明

ハイブリッド車両のインバータ配設構造

【課題】ハイブリッド車両のインバータ配設構造において、車両前部の車体剛性を向上させると共に、インバータ及びエンジン用のエアクリーナを安定支持する。
【解決手段】エンジンルーム3の車両前側及び後側に、車幅方向に延びて車体側部材に連結される前側及び後側クロスメンバ32,33をそれぞれ配設する。インバータ20を、モータ17の上側で前側及び後側クロスメンバ32,33のそれぞれに支持する。エンジン11用のエアクリーナ21を、前側クロスメンバ32におけるインバータ20支持部の車幅方向一方側に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン及びモータを車幅方向に並列配置した車両前部のエンジンルームにインバータを配設するハイブリッド車両のインバータ配設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンとモータとを備えたハイブリッド車両が知られている。このようなハイブリッド車両では、モータをインバータを介して高電圧バッテリに接続しており、バッテリからの電力をモータに供給する際には、バッテリから出力された直流電力は、インバータにより所定の周波数の交流電力に変換されてモータへと供給される。
【0003】
ところで、ハイブリッド車両では、モータを車両前部に、エンジンを車両後部に配設することがあるが、そのように別々に配置すると、その取付の作業性が悪化する等の問題が生じる。
【0004】
そこで、特許文献1に示すものでは、エンジン、モータ及びインバータを車両前部のエンジンルームに配設している。そして、インバータは、その前部が車体側に支持されている。
【特許文献1】特開2005−262894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のものでは、インバータは重量物であるにも拘わらず、その前部のみを車体側に支持しているだけなので、インバータを安定支持することができないという問題がある。この問題は、バッテリの充電を行う際にジェネレータで発生した交流電力を直流電力に変換する役割等も兼ねるインバータや、水冷式の冷却器を採用したインバータを備えたハイブリッド車両において顕著になる。
【0006】
また、特許文献1のように、エンジンを車両前部のエンジンルームに配設すると、エンジン用のエアクリーナも同じくエンジンルームに配設することになるが、このエアクリーナも重量物であるので、これを安定支持したいという要求がある。
【0007】
さらに、特許文献1のように、エンジンやモータ、重量物であるインバータ、エアクリーナを車両前部のエンジンルームに配設する場合、車両前部の車体剛性を向上させたいという要望もある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジン及びモータを車幅方向に並列配置した車両前部のエンジンルームにインバータを配設するハイブリッド車両のインバータ配設構造において、車両前部の車体剛性を向上させると共に、インバータ及びエンジン用のエアクリーナを安定支持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、エンジン及びモータを車幅方向に並列配置した車両前部のエンジンルームにインバータを配設するハイブリッド車両のインバータ配設構造であって、上記エンジンルームの車両前側及び後側には、車幅方向に延びて車体側部材に連結される前側及び後側クロスメンバがそれぞれ配設されており、上記インバータは、上記モータの上側で上記前側及び後側クロスメンバのそれぞれに支持されており、上記エンジン用のエアクリーナが、上記前側クロスメンバにおける上記インバータ支持部の車幅方向一方側に支持されていることを特徴とするものである。
【0010】
これにより、エンジンルームの車両前側及び後側に、車幅方向に延びて車体側部材に連結される前側及び後側クロスメンバをそれぞれ配設しているので、車両前部の車体剛性を向上させることができる。
【0011】
また、インバータをエンジンルームの車両前側及び後側にそれぞれ配設された前側及び後側クロスメンバのそれぞれに支持しているので、従来のように、インバータの前部のみを車体側に支持している場合と比較して、インバータを安定支持することができる。
【0012】
さらに、重量物であるインバータを前側クロスメンバに支持しているので、前側クロスメンバの実質的なスパンを短くすることができ、前側クロスメンバのねじり剛性を向上させることができる。そして、そのような高ねじり剛性を持つ前側クロスメンバにおけるインバータ支持部の車幅方向一方側にエンジン用のエアクリーナを支持しているので、これを安定支持することができる。
【0013】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記前側クロスメンバは、上記エンジンルームの車幅方向両側に車両前後方向に延びるようにそれぞれ配設された上記車体側部材としての左右のフロントサイドフレームの間に架設連結されており、上記後側クロスメンバは、上記エンジンルームの車幅方向両側にそれぞれ配設された上記車体側部材としての左右のサスペンションタワーの間に架設連結されていることを特徴とするものである。
【0014】
これにより、前側クロスメンバを、エンジンルームの車幅方向両側に車両前後方向に延びるようにそれぞれ配設された比較的強度のある左右のフロントサイドフレームの間に架設連結すると共に、後側クロスメンバを、エンジンルームの車幅方向両側にそれぞれ配設された比較的強度のある左右のサスペンションタワーの間に架設連結しているので、前側クロスメンバの、インバータ及びエアクリーナの支持剛性を向上させることができると共に、後側クロスメンバのインバータ支持剛性を向上させることができる。よって、インバータ及びエアクリーナをより一層安定支持することができる。
【0015】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記前側クロスメンバは、上記左右のフロントサイドフレームの前端にバンパーレインフォースメントと共に締結具で共締めされていることを特徴とするものである。
【0016】
これにより、前側クロスメンバを、左右のフロントサイドフレームの前端にバンパーレインフォースメントと共に締結具で共締めしているので、前側クロスメンバ及びバンパーレインフォースメントを別々に左右のフロントサイドフレームに取り付ける場合と比較して、その取付作業を簡略化することができる。
【0017】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記前側クロスメンバには、上記エアクリーナ支持用の支持部材が設けられており、上記支持部材は、上記前側クロスメンバに取り付けられたブラケットと、該ブラケットに支持され、上記エアクリーナを複数のマウントを介して載置支持するプレートとを有していることを特徴とするものである。
【0018】
これにより、エアクリーナを、前側クロスメンバにブラケットを介して支持された比較的広がりのあるプレートに載置支持しているので、前側クロスメンバに直接支持する場合と比較して、エアクリーナをより一層安定支持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エンジンルームの車両前側及び後側に、車幅方向に延びて車体側部材に連結される前側及び後側クロスメンバをそれぞれ配設しているので、車両前部の車体剛性を向上させることができる。
【0020】
また、インバータをエンジンルームの車両前側及び後側にそれぞれ配設された前側及び後側クロスメンバのそれぞれに支持しているので、従来のように、インバータの前部のみを車体側に支持している場合と比較して、インバータを安定支持することができる。
【0021】
さらに、重量物であるインバータを前側クロスメンバに支持しているので、前側クロスメンバの実質的なスパンを短くすることができ、前側クロスメンバのねじり剛性を向上させることができる。そして、そのような高ねじり剛性を持つ前側クロスメンバにおけるインバータ支持部の車幅方向一方側にエンジン用のエアクリーナを支持しているので、これを安定支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
−ハイブリッド車両の構成−
以下、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の構成について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るデュアルフューエルエンジン11(以下、エンジン11と呼ぶ)を搭載したハイブリッド車両1の概略構成図である。この車両1は、エンジン11及びモータ17を動力源として備え、このエンジン11は発電にのみ使用して、車両1が動くための動力は全てモータ17に頼る所謂シリーズハイブリッド車両である。車両1は、上記エンジン11及びモータ17の他に、高電圧バッテリ12(以下、バッテリ12と呼ぶ)と、上記エンジン11により駆動されるジェネレータ(発電機)13とを備えている。
【0025】
上記エンジン11は、使用燃料として、ガソリンと水素とを切換え可能に構成されている。また、エンジン11は、図示は省略するが、トロコイド内周面を有する繭状のロータハウジングとサイドハウジングとにより囲まれてなるロータ収容室(以下、気筒と呼ぶ)に概略三角形状のロータが収容されて構成されており、そのロータの外周側に3つの作動室が区画されている所謂ロータリーエンジンである。
【0026】
上記ロータは、該ロータ外周の3つの頂部にそれぞれ配設されたシール部が各々ロータハウジングのトロコイド内周面に当接した状態でエキセントリックシャフト(駆動軸)11aの周りを自転しながら、該エキセントリックシャフト11aの軸心の周りに公転するようになっている。そして、ロータが1回転する間に、該ロータの各頂部間にそれぞれ形成された作動室が周方向に移動しながら、吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程を行い、これにより発生する回転力がロータを介してエキセントリックシャフト11aから出力される。
【0027】
上記エンジン11の気筒には、2つの点火プラグ(図示略)が設けられており、これらの点火プラグは、詳細は後述するプレート32qと対向配置されている。一方、気筒には、水素燃料タンク16から供給された水素を筒内に直接噴射する水素噴射用のインジェクタ(図示略)がそれぞれ設けられている。
【0028】
また、上記気筒には、吸気行程にある作動室に連通するように吸気通路(図示略)が連通していると共に、排気行程にある作動室に連通するように排気通路(図示略)が連通している。吸気通路には、吸入空気中の異物やホコリを除去するためにフィルタを用いたエアクリーナ21が配設されている。
【0029】
吸気通路には、ガソリン燃料タンク15から供給されるガソリンを吸気通路内に噴射するためのガソリン噴射用のインジェクタ(図示略)が配設されている。
【0030】
そして、上記各点火プラグ、並びに水素及びガソリン噴射用の各インジェクタは、パワートレインコントロールモジュール(図示略。以下、PCMと呼ぶ)によって作動制御されるようになっている。
【0031】
一方、上記バッテリ12は、ジェネレータ13及びモータ17にそれぞれ、インバータ20を介して接続されていて、ジェネレータ13からの発電電力及びモータ17からの回生電力が供給されることで充電される。また、該バッテリ12は、ジェネレータ13及びモータ17を駆動させるためのものであって、電力をジェネレータ13及びモータ17へ供給する。
【0032】
上記ジェネレータ13は、その回転軸13a(図9のみ図示)が上記エンジン11の駆動軸11aと同軸上に配置されていて、該エンジン11によって直結駆動されており、この結果、ジェネレータ13は、エンジン11の回転数と同じ回転数で回転するようになっている。
【0033】
上記モータ17は、両前輪(両駆動輪)18に前輪18用のディファレンシャルギア19(以下、デフ19と呼ぶ)を介して連結されていて、車両1の定速運転時等のように該モータ17に要求される出力トルク(以下、要求トルクと呼ぶ)が低い低トルク運転時や車両始動時にはバッテリ12から供給される電力により駆動され、中トルク運転時にはエンジン11により駆動されるジェネレータ13から供給される電力によって駆動され、急加速時等の要求トルクが高い高トルク運転時には該ジェネレータ13及びバッテリ12の双方から供給される電力により駆動される。このように、モータ17は、ジェネレータ13及びバッテリ12の両方からの電力により駆動されることがあるので、その外径はジェネレータ13の外径とほぼ同じであるものの、その最大出力はジェネレータ13の最大出力よりも大きくなっている(例えばジェネレータ13の最大出力が80kW、モータ17の最大出力が120kW)。
【0034】
尚、バッテリ12の蓄電量が少ないときには、上記エンジン11を運転させてジェネレータ13を作動させることによって、モータ17を上記要求トルクで駆動するために必要な電力よりも大きな電力を該ジェネレータ13にて発生させると共に、該ジェネレータ13で発生した電力と上記モータ17の必要電力との差分をバッテリ12に供給して充電を行う。
【0035】
上記インバータ20は、AC−DCコンバータ20a及びDC−ACコンバータ20bとが一体化してなり、水冷式の冷却器(図示略)を採用しており、上記PCMにより制御されていて、バッテリ12、ジェネレータ13,及びモータ17の相互間での電力の授受及び変換を制御するように構成されている。
【0036】
具体的には、上記AC−DCコンバータ20aは、交流電力を直流電力に変換し、上記DC−ACコンバータ20bは、直流電力を周波数等を制御した交流電力に変換するように構成されている。そして、ジェネレータ13からの電力をモータ17に供給する際には、該ジェネレータ13で発生した交流電力は一旦、AC−DCコンバータ20aにより直流電力に変換された後、再度、上記DC−ACコンバータ20bにより直流電力から交流電力に変換されてモータ17へと供給される。また、バッテリ12からの電力をモータ17に供給する際には、該バッテリ12から出力された直流電力は、上記DC−ACコンバータ20bにより所定の周波数の交流電力に変換されてモータ17へと供給される。またさらに、バッテリ12の充電を行う際には、ジェネレータ13で発生した交流電力はAC−DCコンバータ20aにより直流電力に変換されてバッテリ12へと供給される。
【0037】
尚、バッテリ12、ガソリン燃料タンク15、及び水素燃料タンク16は、車両1後部(例えば後部座席近傍)に配置されている。
【0038】
−ハイブリッド車両の前部車体構造−
以下、ハイブリッド車両1の前部車体構造について説明する。
【0039】
図2は、車両1前部のエンジンルーム3を上側から見た斜視図であり、図3は、インバータ20やエアクリーナ21を取り外した状態のエンジンルーム3を上側から見た斜視図であり、図4は、エンジンルーム3を下側から見た斜視図であり、図5は、エアクリーナ21やパワーユニットPを取り外した状態のエンジンルーム3を車両右側から見た斜視図であり、図6は、左側サスペンションタワー31a及び左側ホイールエプロン35をその裏面側から見た斜視図である。
【0040】
図2等中、符号30a,30bはエンジンルーム3の車幅方向両側に車両前後方向に延びるようにそれぞれ配設された左右のフロントサイドフレーム(車体側部材)であり、これらのフロントサイドフレーム30a,30bの高さ位置は、ジェネレータ13の上端(又はモータ17の下端)の高さ位置とほぼ同じである。31a,31bはエンジンルーム3車両後側の車幅方向両側にそれぞれ配設された左右のサスペンションタワー(車体側部材)であり、これらのサスペンションタワー31a,31bは、それぞれフロントサイドフレーム30a,30bの車幅方向外側に互いに車幅方向に対向配置されており、上端面の高さ位置がインバータ20上面の高さ位置とほぼ同じである。
【0041】
符号32は、詳細は後述するが、車両1前部の車体剛性を向上させるため、左右のフロントサイドフレーム30a,30b前端の上側部分の間に車幅方向に延びるように架設連結されたパイプ製の前側クロスメンバであり、この前側クロスメンバ32はエンジンルーム3の車両前側に配置されている。33は、同じく車両1前部の車体剛性を向上させるため、左右のサスペンションタワー31a,31b上端の間に車幅方向に延びるように架設連結されたパイプ製のサスペンションタワーバー(後側クロスメンバ)であり、このサスペンションタワーバー33は車両後側に配置されていて、その高さ位置が前側クロスメンバ32の高さ位置よりも上側に位置している(図17も参照)。サスペンションタワーバー33の中間部分(例えば右側部分)は、サスペンションタワーバー33よりも車両後方にある車体側部材34(本実施形態ではエンジンルーム3の車両後側に車幅方向に延びるように配設されたカウルボックス34)に連結支持されている。
【0042】
符号35はエンジンルーム3の車両左側に車両前後方向に延びるように配設されたエンジンルーム3側壁としての左側ホイールエプロンであり、この左側ホイールエプロン35は、左側フロントサイドフレーム30aの車幅方向外側でかつ左側サスペンションタワー31aの車両前側に配置されている。また、左側ホイールエプロン35の裏面には、詳細は後述する左側防振マウント7の支持剛性を向上させるため、左側サスペンションタワー31aの裏面に跨って補強部材35aが設けられている。尚、詳細な説明は省略するが、エンジンルーム3の車両右側には、左側ホイールエプロン35と同様の右側ホイールエプロンが配設されている。
【0043】
符号36は左側サスペンションタワー31aと左側ホイールエプロン35とに跨って車両前後方向に延びるように設けられたブラケットである。つまり、このブラケット36は左側フロントサイドフレーム30aの車幅方向外側に配置されている。ブラケット36は、その前部及び後部が左側サスペンションタワー31a及び左側ホイールエプロン35にそれぞれボルト固定されている。
【0044】
符号37は左右のフロントサイドフレーム30a,30b前端の間に車幅方向に延びるように架設連結されたバンパーレインフォースメントであり、このバンパーレインフォースメント37は、左右のフロントサイドフレーム30a,30b前端に、エンジンルーム3の車幅方向両側に車両前後方向に延びるようにそれぞれ配設された左右のクラッシュカン37a,37bを介して、前側クロスメンバ32と共にボルト(締結具)38で共締めされている。具体的には、左右のフロントサイドフレーム30a,30b前端のフランジ30c,30d前面には、それぞれ左右のクラッシュカン37a,37b後端のフランジ37c,37d及び前側クロスメンバ32両端にそれぞれ溶接固定されたブラケット32a,32bがこの順に重ねられ、左右のフランジ37c,37d及びブラケット32a,32bが、それぞれ左右のフロントサイドフレーム30a,30bのフランジ30c,30dに共締め固定されている。39は左側フロントサイドフレーム30a前端と前側クロスメンバ32中間部分との間に架設連結されたパイプ製の補強メンバである。
【0045】
−バイブリッド車両のパワーユニット搭載構造−
以下、ハイブリッド車両1のパワーユニット搭載構造について説明する。まず、パワーユニットPの構成について説明する。
【0046】
図7は、パワーユニットPの斜視図であり、図8は、パワーユニットPの正面図であり、図9は、エンジン11を取り外した状態のパワーユニットPの斜視図であり、図10は、エンジン11やエンジン側ケーシング40を取り外した状態のパワーユニットPの側面図であり、図11は、図10のXI−XI線断面図である。
【0047】
図7等中、符号Pはエンジン11の後側(図8では右側)にジェネレータ13を、このジェネレータ13の上側にモータ17を配置してなるパワーユニット(パワープラント)である。このパワーユニットPは、その長手方向、すなわちエンジン11の駆動軸11aやジェネレータ13の回転軸13a、モータ17の回転軸(出力軸)17aが延びる方向が車幅方向(車両左右方向)となるように、エンジンルーム3に横置きに搭載されている。つまり、このエンジンルーム3には、エンジン11及びモータ17が車幅方向に並列配置されている。具体的には、モータ17は、サスペンションタワーバー33の下側で、その下部が車両正面視でジェネレータ13の上部と重なるように、車両側方視でジェネレータ13の上側かつ車両後側に配置されている。
【0048】
パワーユニットPは、ジェネレータ13やモータ17、デフ19、詳細は後述する減速機構5を収容するユニットケーシング4を備えている。このユニットケーシング4は、エンジン11側(車両右側)にあるエンジン側ケーシング40と、エンジン11とは反対側(車両左側)にある反エンジン側ケーシング41とで形成されており、これらのケーシング40,41がボルト42,42,…で締結結合されている。つまり、ユニットケーシング4は、エンジン側ケーシング40と反エンジン側ケーシング41とが割り面で車幅方向に分割可能になっている。
【0049】
エンジン側ケーシング40の右端面(車幅方向内側端面)には、ジェネレータ13と対応する部分に開口40aが形成されており、この開口40aの周縁部にエンジン11がボルト結合されている。このように、エンジン11はエンジン側ケーシング40と、ひいてはユニットケーシング4と構造的に一体化されている。また、エンジン側ケーシング40のエンジン11側におけるモータ17と対応する部分は、蓋部40bで開閉可能となっている。
【0050】
一方、反エンジン側ケーシング41は、モータ17回転軸17aの先端側が車両右側(車幅方向内側)になるように、ジェネレータ13及びモータ17を収容している。具体的には、反エンジン側ケーシング41には、車幅方向に延びる円状のジェネレータ用収容室41a(図17のみ図示)及びモータ用収容室41b(図11、図17のみ図示)がそれぞれ形成されており、これらの収容室41a,41bに、その車両左側(車幅方向外側)の開口からジェネレータ13及びモータ17がそれぞれ挿入装着されている。尚、当然のことながら、上述のように、モータ17をジェネレータ13の斜め上側後方に配置しているので、モータ用収容室41bもジェネレータ用収容室41aの斜め上側後方に位置している。また、反エンジン側ケーシング41は、ジェネレータ13及びモータ17本体部17bの略全体を収容するように、ジェネレータ13及びモータ17の左端面(車幅方向外側端面)近傍まで延設されており、この結果、反エンジン側ケーシング41の左端は、車両平面視で左側フロントサイドフレーム30aの車幅方向内側近傍に位置している。
【0051】
以上のように、機械的結合のないジェネレータ13及びモータ17は単一物である反エンジン側ケーシング41に収容されており、この結果、ジェネレータ13及びモータ17は構造的に一体化し、エンジン11を含むパワーユニットPは、詳細は後述するが、その全体が構造的に一体のものとして車体側に支持されることになる。
【0052】
次に、図10、図11を参照しながら、ユニットケーシング4の内部構造について説明する。
【0053】
上記モータ17の回転軸17aは、その出力が伝達される駆動モータ軸50に回転一体にスプライン結合されており、この駆動モータ軸50は、反エンジン側ケーシング41側の第1ボールベアリング51とエンジン側ケーシング40側の第2ボールベアリング52とによって支持されている。駆動モータ軸50の第1及び第2ボールベアリング51,52の間には第1駆動ギア53が一体に形成されている。駆動モータ軸50の第2ボールベアリング52よりもエンジン11側、すなわち第1駆動ギア53のモータ17とは反対側には、パーキングギア54が回転一体にスプライン結合されている。駆動モータ軸50は、その軸方向に中空に成形されていて、潤滑油が流出しないように先端がキャップ50aで密閉されると共に、ナット50bが締結されることによってパーキングギア54が抜け止めされている。
【0054】
駆動モータ軸50の斜め下側後方には、第1中間軸55が設けられており、この第1中間軸55は、反エンジン側ケーシング41側の第1テーパベアリング56とエンジン側ケーシング40側の第2テーパベアリング57とによって支持されている。第1中間軸55のエンジン11とは反対側(車両左側)には、第1被動ギア58が一体に形成されており、この第1被動ギア58は、第1駆動ギア53と噛合して駆動されるようになっている。第1中間軸55のエンジン11側には、第2駆動ギア59が回転一体にスプライン結合されている。
【0055】
第1中間軸55の下側には、第2中間軸60が設けられており、この第2中間軸60は、反エンジン側ケーシング41側の第3テーパベアリング61とエンジン側ケーシング40側の第4テーパベアリング62とによって支持されている。第2中間軸60のエンジン11側には、第2被動ギア63が一体に形成されており、この第2被動ギア63は、第2駆動ギア59と噛合して駆動されるようになっている。第2中間軸60のエンジン11とは反対側には、第3駆動ギア64が回転一体にスプライン結合されている。
【0056】
上記デフ19は、車両側方視でジェネレータ13の車両後側でかつモータ17の下側に配置されている。デフ19は、詳細は図示しないが、サイドギアやピニオンギア等を覆うデフケース19aを備えており、このデフケース19aは、反エンジン側ケーシング41側の第5テーパベアリング65とエンジン側ケーシング40側の第6テーパベアリング66とによって支持されている。デフケース19aのエンジン11側には、デフリングギア19bがボルト結合されており、このデフリングギア19bは、第3駆動ギア64と噛合して駆動されるようになっている。そして、デフケース19aには、そのエンジン11側に右前輪駆動軸67が、エンジン11とは反対側に左前輪駆動軸68が連結されている。
【0057】
以上のように、駆動モータ軸50とデフケース19aとの間には、第1及び第2中間軸55,60を介して、第1減速ギア対としての第1駆動ギア53及び第1被動ギア58、第2減速ギア対としての第2駆動ギア59及び第2被動ギア63、並びに第3減速ギア対としての第3駆動ギア64及びデフリングギア19bの3段よりなる減速ギア対が設けられており、これらの中間軸55,60や減速ギア対などが、モータ17からの回転を減速してデフ19に伝達する減速機構5を構成している。そして、この減速機構5は、上述したように、その一部がジェネレータ13及びモータ17と共に反エンジン側ケーシング41に、残りがエンジン側ケーシング40に収容されている。尚、詳細な説明は省略するが、図10、図11中の矢印は潤滑油の流れを示している。
【0058】
次に、パワーユニットPのマウント構造について説明する。
【0059】
図12は、パワーユニットPを車両後側から見た斜視図であり、図13は、パワーユニットPを上側から見た斜視図であり、図14は、防振マウント7の斜視図である。
【0060】
図2〜4、図12〜14に示すように、パワーユニットPは、その車両左側(ジェネレータ13及びモータ17側)、車両右側(エンジン11側)、及び下側が車体側に3点支持されている。具体的には、パワーユニットPは、その長手方向両端部にそれぞれ配設された防振マウント7,8を介して左右のフロントサイドフレーム30a,30bに弾性支持されている。本実施形態のパワーユニットPでは、車両左側の方が右側よりも背が高いこと等から、長手方向に延びるロール慣性主軸(図示略)が車両左側から右側に向かって下向きに傾斜しており、これらの防振マウント7,8は、パワーユニットPのロール慣性主軸の真上近傍に配置されている。一方、パワーユニットPの下端部は、防振マウント9によってパワーユニットPよりも車両後方にある車体側部材90(本実施形態では車幅方向に延びるサスペンション支持用のサスペンションクロスメンバ90)に連結されている。そして、車両1の急加速時や急減速時におけるパワーユニットPのローリングや全体的な揺れは、主に、パワーユニットPの下端部に配設された防振マウント9によって規制されるが、左右の防振マウント装置7,8によっても規制される。すなわち、本実施形態では、パワーユニットPが加速時の駆動反力等によってローリングして、大きな車両前後方向の荷重が防振マウント装置7,8に入力されても、この荷重を左右の防振マウント装置7,8により受け止めて、パワーユニットPの揺れをより確実に規制できるようになっている。
【0061】
上記防振マウント7は、中空円筒状の内筒体7aと、この内筒体7aの周囲にこれと同軸に配設された中空円筒状の外筒体7bと、これらの両筒体7a,7bの間に配設されてこれらを互いに連結するゴム弾性体7cとを備えており、その筒軸方向が車両前後方向となるように配置されている。図13等中、符号7dは内筒体7aと外筒体7bとの車両前後方向の相対移動を規制するためのストッパーゴム弾性体である。
【0062】
上記反エンジン側ケーシング41上部の左端部、すなわち上記モータ用収容室41b周縁部の上側部分の車幅方向外側端部には、防振マウント7支持用の二股状のパワーユニット側マウント支持ブラケット70が該反エンジン側ケーシング41から車両左側に延びるようにボルト固定されており、このパワーユニット側マウント支持ブラケット70は、その二股部70aが防振マウント7の内筒体7aにその中空部に挿通されたボルト71で締結固定されることによって、防振マウント7を支持している。
【0063】
上記左側フロントサイドフレーム30a及びブラケット36には、防振マウント7支持用の車体側マウント支持部材72が設けられている。具体的には、車体側マウント支持部材72は、左側フロントサイドフレーム30a上面に車両前後方向に延びるようにボルト固定された第1マウント支持ブラケット72aと、ブラケット36にボルト固定された概略コ字状の第2マウント支持ブラケット72bとを備えている。第1マウント支持ブラケット72aは、概略コ字状の上側部材72cと概略コ字状の下側部材72dとを上下に積み重ねてボルト結合してなり、上側部材72cにおける上細の両側壁部72e,72e上端に防振マウント7の外筒体7b外周面の下側部分が溶接固定されることによって、防振マウント7をその下側から支持している。一方、第2マウント支持ブラケット72bは、上細の両側壁部72f,72fを備えており、この両側壁部72f,72fの右端縁(車幅方向内側端縁)に外筒体7b外周面の車幅方向外側部分(左側部分)が溶接固定されることによって、防振マウント7をその車幅方向外側から支持している。以上のように、防振マウント7は、その下側及び車幅方向外側が車体側に2点支持されている。
【0064】
尚、右側及び下側の防振マウント8,9の詳細な説明は省略するが、その基本的な構造は従来周知のものである。
【0065】
−ハイブリッド車両のインバータ配設構造−
以下、ハイブリッド車両1のインバータ配設構造について説明する。
【0066】
図15は、インバータ20及びエアクリーナ21を上側から見た斜視図であり、図16は、インバータ20及びエアクリーナ21を下側から見た斜視図であり、図17は、ジェネレータ13、モータ17及びインバータ21の配置関係を示す概略断面図である。尚、図17では、図を見易くするため、図を一部簡略化している。
【0067】
図2、図4、図5、図15〜17に示すように、インバータ20は、モータ17の上側で前側クロスメンバ32及びサスペンションタワーバー33のそれぞれに連結支持されている。具体的には、インバータ20の前部は、前側クロスメンバ32の左端及び中央にそれぞれ配設された台座32c,32dの上に載置支持されている。左側台座32cは、断面概略ハット状に形成されていて、その前部がブラケット32eを介して前側クロスメンバ32に、その後部が左側フロントサイドフレーム30a上面にボルト固定されていると共に、その中央部上面にはインバータ20の左端面が概略L字状のブラケット20cを介して取付固定されている。中央側台座32dは、前側クロスメンバ32に溶接固定されていて、その上面にはインバータ20の右端面が概略L字状のブラケット20dを介して取付固定されている。一方、インバータ20の後部は、サスペンションタワーバー33の左端及び中央に該サスペンションタワーバー33から車両前側に延びるようにそれぞれ溶接固定されたブラケット33a,33bに取付支持されている。以上のように、インバータ20は、その前部及び後部が前側クロスメンバ32及びサスペンションタワーバー33の左側部分にそれぞれ2点支持されている。
【0068】
また、インバータ20は、その上側部分が下側部分よりも車両後側に突出していて、ジェネレータ13及びモータ17をその上側から覆うように、ジェネレータ13の上側でかつモータ17の車両前側の空間から該モータ17の上側空間にかけて配置されている。尚、図17中、符号3aはエンジンルーム3と車室とを区画するダッシュパネルである。
【0069】
−ハイブリッド車両のエアクリーナ配設構造−
以下、ハイブリッド車両1のエアクリーナ配設構造について説明する。
【0070】
図2、図4、図5、図15、図16に示すように、エンジン11用のエアクリーナ21は、前側クロスメンバ32におけるインバータ20支持部の車両右側(車幅方向一方側)、すなわち前側クロスメンバ32の右側部分にインバータ20と隣接するように支持されている。具体的には、前側クロスメンバ32の右側部分は、上側に向かって概略コ字状に突出しており、この突出部32fは、上下方向に延びる左右の上下部32g,32hと、これらの上下部32g,32hの間に車幅方向に延びるように架設された水平部32iとを備えている。
【0071】
突出部32fには、エアクリーナ21支持用の支持部材32jが配設されている。この支持部材32jは、突出部32fの左側上下部32gと水平部32iとの間に車両前側から後側に向かって下向きに傾斜するように架設された概略L字状のパイプ製サブメンバ32k(ブラケットの一部)を備えており、このサブメンバ32kは、突出部32fの水平部32i右側部分から斜め下側後方に延びる上下部32lと、この上下部32lの下端から突出部32fの左側上下部32gまで車両左側に延びる水平部32mとを有している。
【0072】
この水平部32mの左端、中央及び右端には、車両前側から後側に向かって下向きに傾斜するように取付板32n〜32p(ブラケットの一部)がそれぞれ溶接固定されており、これらの取付板32n〜32pの上には、概略L字状のプレート32qが載置支持されている。このプレート32qは、取付板32n〜32pにボルト固定されており、この結果、プレート32qを脱着することが可能となり、エンジン11(特に点火プラグ)のサービス性が向上する。そして、プレート32qの上には、エアクリーナ21が複数(本実施形態では4つ)の防振マウント32r,32r,…を介して載置支持されている。
【0073】
また、上記突出部32fの左側上下部32gと左側取付板32nとの間、及び上記サブメンバ32kの上下部32lと右側取付板32pとの間には、プレート32qのインバータ20支持剛性を向上させるため、概略L字状のガセット(補強部材)32s,32tがそれぞれ架設連結されており、左側ガセット32sは、その突出部32f側が溶接で、その取付板32n側がボルトで固定される一方、右側ガセット32tは、そのサブメンバ32k側が溶接で、その取付板32p側がボルトで固定されている。
【0074】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、エンジンルーム3の車両前側及び後側に、車幅方向に延びて車体側部材に連結される前側クロスメンバ32及びサスペンションタワーバー33をそれぞれ配設しているので、車両1前部の車体剛性を向上させることができる。
【0075】
また、インバータ20をエンジンルーム3の車両前側及び後側にそれぞれ配設された前側クロスメンバ32及びサスペンションタワーバー33のそれぞれに支持しているので、従来のように、インバータの前部のみを車体側に支持している場合と比較して、インバータ20を安定支持することができる。
【0076】
さらに、重量物であるインバータ20における前部の右端側を前側クロスメンバ32の略中間部位に支持(ボルト固定)しているので、前側クロスメンバ32の実質的なスパンを短くすることができ、前側クロスメンバ32のねじり剛性を向上させることができる。そして、そのような高ねじり剛性を持つ前側クロスメンバ32におけるインバータ20支持部の車幅方向一方側にエンジン11用のエアクリーナ21を支持しているので、これを安定支持することができる。
【0077】
さらにまた、車両1前部の車体剛性向上用の前側クロスメンバ32及びサスペンションタワーバー33を利用してインバータ20及びエアクリーナ21を支持しているので、インバータ20及びエアクリーナ21支持用の支持部材を別途設ける必要がない。
【0078】
また、前側クロスメンバ32を、エンジンルーム3の車幅方向両側に車両前後方向に延びるようにそれぞれ配設された比較的強度のある左右のフロントサイドフレーム30a,30bの間に架設連結すると共に、サスペンションタワーバー33を、エンジンルーム3の車幅方向両側にそれぞれ配設された比較的強度のある左右のサスペンションタワー31a,31bの間に架設連結しているので、前側クロスメンバ32の、インバータ20及びエアクリーナ21の支持剛性を向上させることができると共に、サスペンションタワーバー33のインバータ20支持剛性を向上させることができる。よって、インバータ20及びエアクリーナ21をより一層安定支持することができる。
【0079】
さらに、前側クロスメンバ32を、左右のフロントサイドフレーム30a,30bの前端にバンパーレインフォースメント37と共にボルト38で共締めしているので、前側クロスメンバ32及びバンパーレインフォースメント37を別々に左右のフロントサイドフレーム30a,30bに取り付ける場合と比較して、その取付作業を簡略化することができる。
【0080】
さらにまた、エアクリーナ21を、前側クロスメンバ32にサブメンバ32k及び取付板32n〜32pを介して支持された比較的広がりのあるプレート32qに載置支持しているので、前側クロスメンバ32に直接支持する場合と比較して、エアクリーナ21をより一層安定支持することができる。
【0081】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、本発明をシリーズハイブリッド車両に適用しているが、これに限らず、例えば、エンジン11とモータ17双方の動力で動く所謂パラレルハイブリッド車両に適用してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、エンジン11をロータリーエンジンで構成しているが、これに限らず、例えば、レシプロエンジンで構成してもよい。
【0083】
さらに、上記実施形態では、前側クロスメンバを左右のフロントサイドフレーム30a,30b前端の間に架設連結すると共に、後側クロスメンバをサスペンションタワーバー33で構成しているが、前側及び後側クロスメンバは、それぞれエンジンルーム3の車両前側及び後側で車幅方向に延びて車体側部材に連結される限り、如何なる構成であってもよい。
【0084】
さらにまた、上記実施形態では、インバータ20は、AC−DCコンバータ20a及びDC−ACコンバータ20bとが一体化してなり、水冷式の冷却器を採用したものであるが、これに限らない。但し、本発明は、そのようなインバータ20に対し顕著な効果を発揮することができる。
【0085】
また、上記実施形態では、エアクリーナ21を前側クロスメンバ32におけるインバータ20支持部の車両右側に支持部材32jを介して支持しているが、これに限らず、例えば、前側クロスメンバ32に直接支持してもよい。但し、エアクリーナ21の安定支持の観点からは、前者の方が望ましい。
【0086】
さらに、上記実施形態では、減速機構5を反エンジン側ケーシング41に収容しているが、収容しなくてもよい。但し、パワーユニットPのマウント構造の簡略化の観点からは、前者の方が望ましい。
【0087】
さらにまた、上記実施形態では、反エンジン側ケーシング41をモータ17の左端面近傍まで延ばすと共に、パワーユニット側マウント支持ブラケット70を反エンジン側ケーシング41上部の左端部に取り付けているが、これに限らず、例えば、反エンジン側ケーシング41をモータ17の左端面近傍まで延設しなくてもよく、或いは、パワーユニット側マウント支持ブラケット70を反エンジン側ケーシング41上部における左端部以外の部分に取り付けてもよい。但し、パワーユニット側マウント支持ブラケット70に機械的なストレスが加わるのを抑制する観点からは、前者の方が望ましい。
【0088】
また、上記実施形態では、車体側マウント支持部材72を左側フロントサイドフレーム30a及びブラケット36に設けているが、これに限らず、エンジンルーム3におけるジェネレータ13及びモータ17の車幅方向外側に配設された車体側部材に設けてもよい。
【0089】
さらに、上記実施形態では、車体側マウント支持部材72を第1及び第2マウント支持ブラケット72a,72bで構成しているが、これに限らず、例えば、第1マウント支持ブラケット72aのみで構成してもよい。但し、車体側マウント支持部材72のマウント7支持剛性の観点からは、前者の方が望ましい。
【0090】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0091】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明にかかるハイブリッド車両のインバータ配設構造は、車両前部の車体剛性を向上させると共に、インバータ及びエンジン用のエアクリーナを安定支持する用途等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】ハイブリッド車両前部のエンジンルームを上側から見た斜視図である。
【図3】インバータやエアクリーナを取り外した状態のエンジンルームを上側から見た斜視図である。
【図4】エンジンルームを下側から見た斜視図である。
【図5】エアクリーナやパワーユニットを取り外した状態のエンジンルームを車両右側から見た斜視図である。
【図6】左側サスペンションタワー及び左側ホイールエプロンをその裏面側から見た斜視図である。
【図7】パワーユニットの斜視図である。
【図8】パワーユニットの正面図である。
【図9】エンジンを取り外した状態のパワーユニットの斜視図である。
【図10】エンジンやエンジン側ケーシングを取り外した状態のパワーユニットの側面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】パワーユニットを車両後側から見た斜視図である。
【図13】パワーユニットを上側から見た斜視図である。
【図14】左側防振マウントの斜視図である。
【図15】インバータ及びエアクリーナを上側から見た斜視図である。
【図16】インバータ及びエアクリーナを下側から見た斜視図である。
【図17】ジェネレータ、モータ及びインバータの配置関係を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 ハイブリッド車両
3 エンジンルーム
11 デュアルフューエルエンジン
11a エキセントリックシャフト
13 ジェネレータ
17 モータ
17a 回転軸
19 ディファレンシャル
20 インバータ
21 エアクリーナ
30a,30b フロンサイドフレーム(車体側部材)
31a,31b サスペンションタワー(車体側部材)
32 前側クロスメンバ
32j エアクリーナ支持用の支持部材
32k サブメンバ(ブラケット)
32n〜32p 取付板(ブラケット)
32q プレート
32r 防振マウント
33 サスペンションタワーバー(後側クロスメンバ)
35 左側ホイールエプロン
36 ブラケット
37 バンパーレインフォースメント
38 ボルト(締結具)
4 ユニットケーシング
41 反エンジン側ケーシング
5 減速機構
7 防振マウント
70 パワーユニット側マウント支持ブラケット
72 車体側マウント支持部材
72a 第1マウント支持ブラケット
72b 第2マウント支持ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン及びモータを車幅方向に並列配置した車両前部のエンジンルームにインバータを配設するハイブリッド車両のインバータ配設構造であって、
上記エンジンルームの車両前側及び後側には、車幅方向に延びて車体側部材に連結される前側及び後側クロスメンバがそれぞれ配設されており、
上記インバータは、上記モータの上側で上記前側及び後側クロスメンバのそれぞれに支持されており、
上記エンジン用のエアクリーナが、上記前側クロスメンバにおける上記インバータ支持部の車幅方向一方側に支持されていることを特徴とするハイブリッド車両のインバータ配設構造。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド車両のインバータ配設構造において、
上記前側クロスメンバは、上記エンジンルームの車幅方向両側に車両前後方向に延びるようにそれぞれ配設された上記車体側部材としての左右のフロントサイドフレームの間に架設連結されており、
上記後側クロスメンバは、上記エンジンルームの車幅方向両側にそれぞれ配設された上記車体側部材としての左右のサスペンションタワーの間に架設連結されていることを特徴とするハイブリッド車両のインバータ配設構造。
【請求項3】
請求項2記載のハイブリッド車両のインバータ配設構造において、
上記前側クロスメンバは、上記左右のフロントサイドフレームの前端にバンパーレインフォースメントと共に締結具で共締めされていることを特徴とするハイブリッド車両のインバータ配設構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のハイブリッド車両のインバータ配設構造において、
上記前側クロスメンバには、上記エアクリーナ支持用の支持部材が設けられており、
上記支持部材は、上記前側クロスメンバに取り付けられたブラケットと、該ブラケットに支持され、上記エアクリーナを複数のマウントを介して載置支持するプレートとを有していることを特徴とするハイブリッド車両のインバータ配設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−852(P2010−852A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160317(P2008−160317)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】