説明

ヒューズ装置

【課題】切断したヒューズにグローバックが発生した場合にも、正確なヒューズデータを生成し得るヒューズ装置を提供する。
【解決手段】切断したグローバック検出用ヒューズf0の抵抗値と、第一の基準抵抗R0の抵抗値の差に基づく検出信号Xを生成するグローバック検出部11と、検出信号Xに基づいて抵抗値が変化する第二の基準抵抗TN9の抵抗値と、ヒューズデータ生成用ヒューズf1,f2,fnの抵抗値との比較結果をヒューズデータDAとして出力するヒューズ部13aとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、グローバック検出機能を備えたヒューズ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の大規模化及び高性能化が進み、電源電圧も低電圧化されている。このような半導体集積回路装置では、回路を構成する素子のばらつき等が性能に大きな影響を及ぼすため、そのばらつきを補正して性能を確保するための調整信号を、回路やモジュールに供給する調整信号生成回路を備えたものがある。
【0003】
図9は、調整信号生成回路の一例として使用されるヒューズ装置の一例を示す。このヒューズ装置は、電源VDD,Vss間にPチャネルMOSトランジスタT1とヒューズfが直列に接続され、トランジスタT1のドレインであるノードN1がインバータ回路1の入力端子に接続される。そして、インバータ回路1から出力信号DATAが出力される。
【0004】
このようなヒューズ装置では、ヒューズfは製造時にレーザービームを照射して切断したり、製造時あるいは使用に先立つ初期設定時にヒューズfに過電流を流して電気的に切断する等の処理が行われる。
【0005】
そして、ヒューズfが切断されていない状態では、ノードN1がほぼ電源Vssレベルとなるため、インバータ回路1の出力信号DATAがHレベルとなる。また、ヒューズfが切断されている状態では、ノードN1がほぼ電源VDDレベルとなるため、インバータ回路1の出力信号DATAがLレベルとなる。
【0006】
実際には、図9に示すヒューズ装置が複数設けられ、ヒューズfを切断するか否かを選択することにより、多ビットの出力信号を種々の調整信号として利用するようになっている。
【0007】
また、上記のようなヒューズ装置は、顧客コード、製造コード、認証コード等のデータを記憶する不揮発性メモリとしても使用されている。
【特許文献1】特開2001−118996号公報
【特許文献2】特開2004−342729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようなヒューズ装置では、ヒューズfを切断しても、その切断部分に流れるリーク電流によりヒューズfの切断屑等が溶融して、未切断状態に近い状態まで復帰して抵抗値が低下するグローバック現象が発生することがある。
【0009】
すると、ヒューズfを切断したにも関わらず、ノードN1の電位が低下し、最悪の場合には、ノードN1の電位がインバータ回路1のしきい値より低くなって、出力信号DATAがLレベルからHレベルに反転してしまう。
【0010】
そして、インバータ回路1の出力信号DATAが反転してしまうと、ヒューズ装置から出力される調整信号や種々のコード信号が誤データとなるため、半導体集積回路装置の動作に重大な悪影響を及ぼす。
【0011】
特に、ヒューズfに過電流を流して切断するヒューズ装置では、グローバック現象が生じ易く、レーザービームで切断するヒューズ装置に対し、信頼性が低い。
特許文献1には、溶断処理されたヒューズと基準ヒューズとの抵抗値を比較して正確なヒューズオプション信号を生成するヒューズオプション回路が開示されている。しかし、溶断処理されたヒューズと基準ヒューズとの抵抗値を直接比較するため、各抵抗値の差が小さくなると、正確なヒューズオプション信号を出力できない。
【0012】
特許文献2には、溶断後のヒューズと基準抵抗との抵抗値の差により、ヒューズが一部分だけ溶断された場合でも、ヒューズ切断を判定することができるヒューズ検出回路が開示されている。しかし、グローバック現象によりヒューズの抵抗値と基準抵抗の抵抗値の差が小さくなると、誤動作する可能性がある。
【0013】
この発明の目的は、切断したヒューズにグローバックが発生した場合にも、正確なヒューズデータを生成し得るヒューズ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、切断したグローバック検出用ヒューズの抵抗値と、第一の基準抵抗の抵抗値の差に基づく検出信号を生成するグローバック検出部と、前記検出信号に基づいて抵抗値が変化する第二の基準抵抗の抵抗値と、ヒューズデータ生成用ヒューズの抵抗値との比較結果をヒューズデータとして出力するヒューズ部とを備えたヒューズ装置により達成される。
【発明の効果】
【0015】
開示されたヒューズ装置では、切断したヒューズにグローバックが発生した場合にも、正確なヒューズデータを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第一の実施形態)
図1は、この発明を具体化したヒューズ装置の第一の実施形態の原理を示す。グローバック検出部11は、外部から入力される制御信号CTに基づいて、切断されたヒューズでのグローバックの進行状況を検出し、その検出信号Xをコード出力部12に出力する。
【0017】
コード出力部12は、入力された検出信号Xに基づいて検出コードCOを生成して出力するとともに、基準信号SCをヒューズ部13に出力する。そして、ヒューズ部13は複数ビットのヒューズデータDAを出力する。
【0018】
図2は、前記グローバック検出部11の具体的構成を示す。グローバック検出部11はカレントミラー回路で構成され、PチャネルMOSトランジスタTP1,TP2のソースに電源VDDが供給され、同トランジスタTP1,TP2のゲートはトランジスタTP2のドレインに接続されている。
【0019】
前記トランジスタTP1のドレインは可変抵抗(第一の基準抵抗)R0及びNチャネルMOSトランジスタTN1を介してNチャネルMOSトランジスタTN3のドレインに接続される。前記トランジスタTP2のドレインはグローバック検出用ヒューズf0及びNチャネルMOSトランジスタTN2を介して前記トランジスタTN3のドレインに接続される。前記トランジスタTN1,TN2はゲートに電源VDDが供給されて常時オン状態となり、前記可変抵抗R0及びヒューズf0に流れる電流を制御する。
【0020】
前記トランジスタTN3のゲートにはイネーブル信号ENが入力され、ソースは電源Vssに接続される。
前記トランジスタTP1のドレインからアナログの検出信号Xが出力され、その検出信号Xが2段のインバータ回路14で波形整形されて、デジタル信号の検出信号Xdとして出力される。
【0021】
前記ヒューズf0は切断され、前記可変抵抗R0は前記制御信号CTによりあらかじめ所定の抵抗値に設定される。切断されないヒューズの抵抗値はkΩオーダー以下であり、切断されたヒューズの抵抗値はMΩオーダー以上の抵抗値となるため、可変抵抗R0の抵抗値は前記制御信号CTにより例えば200kΩ程度に設定する。
【0022】
前記可変抵抗R0は、例えば直列に接続した多数の抵抗にそれぞれスイッチ回路を並列に接続し、制御信号CTにより各スイッチ回路を開閉制御することにより、抵抗値を調整可能としたものである。
【0023】
このように構成されたグローバック検出部11は、イネーブル信号がHレベルとなると活性化される。そして、図3に示すように、ヒューズf0の抵抗値frが可変抵抗R0より高いと、検出信号Xは電源Vssレベルに近い電位となる。
【0024】
また、ヒューズf0の抵抗値frがグローバック現象により時間の経過とともに低下して可変抵抗R0の抵抗値Rsに近づくと、検出信号Xの電位が上昇し、抵抗値frが可変抵抗R0の抵抗値Rsより小さくなるにつれて、検出信号Xはほぼ電源VDDレベルとなる。
【0025】
一方、インバータ回路14から出力される検出信号Xdは、ヒューズf0の抵抗値frが可変抵抗R0の抵抗値Rsより小さくなった時点で、LレベルからHレベルに遷移する。
【0026】
図4は、前記コード出力部12の構成を示す。前記検出信号XはA/D変換器15に入力されてデジタル値に変換され、そのデジタル値を前記検出コードCOとして出力する。また、前記検出コードCOはエンコーダ16に出力される。エンコーダ16は、検出コードCOのデジタル値を前記ヒューズ部13の可変抵抗を調整するために適したデジタル値に調整してD/A変換器17に出力する。
【0027】
前記D/A変換器17は、エンコーダ16の出力信号をアナログ信号に変換して前記基準信号SCとして出力する。
図5は、前記ヒューズ部13を示す。カレントミラー回路を構成するPチャネルMOSトランジスタTP3,TP4のソースには電源VDDが供給され、両トランジスタTP3,TP4のゲートはトランジスタTP3のドレインに接続される。
【0028】
前記トランジスタTP3のドレインは、可変抵抗(第二の基準抵抗)Rr及びNチャネルMOSトランジスタTN4を介してNチャネルMOSトランジスタTN5のドレインに接続される。前記トランジスタTN5のソースは電源Vssに接続され、ゲートにはイネーブル信号ENが入力される。
【0029】
前記可変抵抗Rrには前記基準信号SCが入力され、その基準信号SCにより可変抵抗Rrの抵抗値が制御される。可変抵抗Rrは、基準信号SCが上昇すると、その抵抗値が低下するように制御される。
【0030】
前記トランジスタTN4のゲートには読み出し信号RDが入力される。前記トランジスタTP4のドレインは、ヒューズデータ生成用ヒューズf1及びNチャネルMOSトランジスタTN6を介して前記トランジスタTN5のドレインに接続される。
【0031】
また、前記トランジスタTP3,TP4のゲートは、NチャネルMOSトランジスタTN7を介して電源Vssに接続され、同トランジスタTN7のゲートには前記読み出し信号RDがインバータ回路18で反転されて入力される。
【0032】
従って、読み出し信号RDがLレベルとなると、トランジスタTN4がオフされて、カレントミラー回路が不活性化される。このとき、トランジスタTN7がオンされて、トランジスタTP3,TP4のゲート電位が電源Vssレベルにリセットされる。
【0033】
PチャネルMOSトランジスタTP5のソースには電源VDDが供給され、ゲートは前記トランジスタTP3のゲートに接続され、同トランジスタTP3とでカレントミラー回路が構成される。
【0034】
前記トランジスタTP5のドレインは、ヒューズデータ生成用ヒューズf2及びNチャネルMOSトランジスタTN8を介して前記トランジスタTN5のドレインに接続される。
【0035】
PチャネルMOSトランジスタTPnのソースには電源VDDが供給され、ゲートは前記トランジスタTP3のゲートに接続され、同トランジスタTP3とでカレントミラー回路が構成される。
【0036】
前記トランジスタTPnのドレインは、ヒューズデータ生成用ヒューズfn及びNチャネルMOSトランジスタTNnを介して前記トランジスタTN5のドレインに接続される。
【0037】
前記トランジスタTP5と同TPnとの間には、前記トランジスタTP3とでカレントミラー回路を構成する複数のPチャネルMOSトランジスタが配設される。各PチャネルMOSトランジスタのドレインはそれぞれヒューズデータ生成用ヒューズ及びNチャネルMOSトランジスタを介して前記トランジスタTN5のドレインに接続されるものとする。
【0038】
前記トランジスタTN6,TN8〜TNnは、デコーダ19の出力信号に基づいて一つずつ順次オンされる。すなわち、前記デコーダ19には前記トランジスタTN6,TN8〜TNnのいずれか一つを選択するための複数ビットの選択信号DIが順次入力され、デコーダ19はその選択信号DIをデコードして、前記トランジスタTN6,TN8〜TNnをひとつずつ順次オンさせる。
【0039】
前記各トランジスタTP4〜TPnのドレインは、それぞれラッチ回路20a〜20nに接続され、各ラッチ回路20a〜20nは各トランジスタTP4〜TPnのドレイン電位をラッチする。そして、各ラッチ回路20a〜20nのラッチデータが複数ビットのヒューズデータDAとして出力される。
【0040】
このようなヒューズ部13では、Hレベルのイネーブル信号EN及び読み出し信号RDを入力した状態で、デコーダ19の出力信号によりトランジスタTN6がオンされると、トランジスタTP3,TP4がカレントミラー動作する。そして、ヒューズf1が切断されていないとき、ヒューズf1の抵抗値が可変抵抗Rrの抵抗値より十分小さくなって、トランジスタTP4のドレイン電位は電源Vssレベル近傍となる。すると、ラッチ回路20aにはLレベルのデータがラッチされる。
【0041】
次いで、トランジスタTN8がオンされると、トランジスタTP3,TP5がカレントミラー動作する。そして、ヒューズf2が切断されているとき、ヒューズf2の抵抗値が可変抵抗Rrの抵抗値より十分大きくなって、トランジスタTP5のドレイン電位は電源VDDレベル近傍となる。すると、ラッチ回路20bにはHレベルのデータがラッチされる。
【0042】
次いで、トランジスタTNnがオンされると、トランジスタTP3,TPnがカレントミラー動作する。そして、ヒューズfnが切断されていないとき、ヒューズfnの抵抗値が可変抵抗Rrの抵抗値より十分小さくなって、トランジスタTPnのドレイン電位は電源Vssレベル近傍となる。すると、ラッチ回路20nにはLレベルのデータがラッチされる。
【0043】
次いで、各ラッチ回路20a〜20nのラッチデータがヒューズデータDAとして出力される。
このように構成されたヒューズ装置では、グローバック検出部11で、可変抵抗R0と、切断されたヒューズf0の抵抗値を比較した検出信号Xが生成される。そして、グローバック現象によりヒューズf0の抵抗値が低下すると、検出信号Xの電位が上昇する。
【0044】
コード出力部12で、検出信号Xに基づいて基準信号SCが生成されるが、その基準信号SCの電位は、検出信号Xの電位に連動して変化する。すなわち、検出信号Xの電位に基づいて上昇し、検出信号Xの電位の低下に基づいて低下する。
【0045】
ヒューズ部13では、基準信号SCの電位が上昇すると、可変抵抗Rrの抵抗値が低下する。すると、切断されたヒューズf2がグローバック検出部11のヒューズf0と同様にグローバック現象により抵抗値が低下しても、可変抵抗Rrの抵抗値も低下するため、ラッチ回路20bにラッチされるデータは反転しない。
【0046】
図6は、上記のようなヒューズ装置のコード出力部12から出力される検出コードCOを使用したグローバック診断装置の一例を示す。
上記ヒューズ装置を備えたLSIから出力される検出コードCOは、インターフェース21を介して検査機器22に入力される。検査機器22では入力された検出コードCOに基づいてグローバックの進み具合を検出する。そして、グローバックがあらかじめ設定されたレベルを超えて進行している場合には、ディスプレイ23に警告メッセージが表示される。
【0047】
このようなグローバック診断装置で検出コードCOを定期的に検出することにより、グローバックの進行によるヒューズデータDAの誤りの発生を事前に検出して、ヒューズデータDAの誤りによる不具合の発生を未然に防止することが可能となる。
【0048】
上記のように構成されたヒューズ装置では、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)ヒューズ部13では、ヒューズf1〜fnと可変抵抗Rrの抵抗値を比較することにより、複数ビットのヒューズデータDAを生成して出力することができる。
(2)切断したヒューズにグローバックが発生したとき、グローバック検出部11により切断したヒューズf0の抵抗値の低下を検出し、その抵抗値の低下に応じた検出信号Xを生成することができる。そして、検出信号Xに基づいて、ヒューズ部13の可変抵抗Rrの抵抗値を調整することができる。すると、ヒューズ部13で切断されたヒューズf2でグローバックが発生してその抵抗値が低下しても、ヒューズ部13ではその抵抗値の低下を相殺して可変抵抗Rrとヒューズf2の抵抗値を比較することができる。従って、ヒューズデータDAでの誤データの発生を防止することができる。
(3)ヒューズ部13で、可変抵抗Rrと各ヒューズf1〜fnの抵抗値とをそれぞれカレントミラー回路で順次比較し、その比較結果をラッチ回路20a〜20nでラッチしてヒューズデータDAとして出力することができる。従って、複数ビットのヒューズデータDAを簡単な回路で構成することができる。
(4)コード出力部12で生成された検出コードCOをグローバック診断装置に供給することにより、ヒューズ装置内のヒューズでのグローバックの進み具合を診断することができる。
(5)制御信号CTを調整して、可変抵抗R0の抵抗値Rsを低下させると、検出信号Xの電位が上昇し、可変抵抗Rrの抵抗値が低下する。従って、制御信号CTを調整して可変抵抗Rrの抵抗値を順次変化させ、この状態でヒューズデータDAの変化を検出することにより、ヒューズ部13で切断されたヒューズでのグローバックの進み具合を検出することができる。
(第二の実施形態)
図7は、第二の実施形態を示す。この実施形態のヒューズ部13aは、前記第一の実施形態のヒューズ部13の可変抵抗Rrを、ゲートに基準信号SCを入力したNチャネルMOSトランジスタTN9で構成したものである。トランジスタTN9のバックゲートは、同トランジスタTN9のソースに接続する。その他の構成は第一の実施形態と同様である。
【0049】
また、可変抵抗RrとトランジスタTN4及びヒューズf1〜fnとトランジスタTN6,TN8〜TNnは、可変抵抗Rr及びヒューズf1〜fnを高電位側、すなわちトランジスタTP3〜TPnに接続することが望ましい。トランジスタTN4、トランジスタTN6,TN8〜TNnのばらつきがトランジスタTP3〜TPnのドレイン電位に影響し難い。このことは、前記第一の実施形態でも同様である。
【0050】
このような構成により、基準信号SCに基づいてトランジスタTN9のオン抵抗を調整することにより、第一の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
(第三の実施形態)
図8は、第三の実施形態を示す。この実施形態は、グローバック検出部11の検出信号Xを、第二の実施形態のヒューズ部13aのトランジスタTN9のゲートに入力する構成としたものである。
【0051】
図3に示すように、グローバック検出部11でヒューズf0の抵抗値がグローバックにより低下して可変抵抗R0の抵抗値に近づき、さらに可変抵抗R0の抵抗値を下回ると、検出信号Xの電位が上昇する。すると、ヒューズ部13aのトランジスタTN9のオン抵抗値が低下し、検出信号Xの電位が上昇する。
【0052】
一方、ヒューズ部13aで切断したヒューズf2にグローバックが発生して抵抗値が低下しても、検出信号Xの電位の上昇によりトランジスタTN9のオン抵抗が低下する。そして、トランジスタTN9のオン抵抗値がヒューズf2の抵抗値より低くなるように検出信号X及びトランジスタTN9のオン抵抗値を調整する。すると、ヒューズf2にグローバックが発生しても、ヒューズデータDAが誤データとなることはない。また、図示しないが、トランジスタTN9を制御する際に、検出信号Xを調整する回路を接続してもよい。
【0053】
このような構成により、第一の実施形態と同様に、ヒューズデータDAの精度を向上させることができる。
上記実施の形態は、以下に示す態様で実施することもできる。
・第一の実施形態において、可変抵抗Rrはデジタル信号で抵抗値を制御する構成としてもよい。この場合には、コード出力部12のA/D変換器15から出力される検出コードCOで可変抵抗Rrを制御する。
(付記1)
切断したグローバック検出用ヒューズの抵抗値と、第一の基準抵抗の抵抗値の差に基づく検出信号を生成するグローバック検出部と、
前記検出信号に基づいて抵抗値が変化する第二の基準抵抗の抵抗値と、ヒューズデータ生成用ヒューズの抵抗値との比較結果をヒューズデータとして出力するヒューズ部と
を備えたことを特徴とするヒューズ装置。
(付記2)
前記第一の基準抵抗は、制御信号の入力に基づいて抵抗値を調整可能とした可変抵抗で構成したことを特徴とする付記1記載のヒューズ装置。
(付記3)
前記第二の基準抵抗は、前記検出信号に基づいて抵抗値を調整可能とした可変抵抗で構成したことを特徴とする付記1又は2記載のヒューズ装置。
(付記4)
前記第二の基準抵抗は、前記検出信号に基づいてオン抵抗が変化するトランジスタで構成したことを特徴とする付記1又は2記載のヒューズ装置。
(付記5)
前記検出信号をデジタル信号に変換して検出コードを生成するA/D変換器と、
前記検出コードを前記第二の基準抵抗の抵抗値を調整する基準信号として調整するエンコーダと、
前記エンコーダの出力信号をD/A変換して前記第二の基準抵抗を調整する基準信号を生成するD/A変換器と
を備えたコード出力部を備えたことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載のヒューズ装置。
(付記6)
前記ヒューズ部は、前記第二の基準抵抗と前記ヒューズデータ生成用ヒューズとの抵抗値の差を電圧信号に変換するカレントミラー回路を備えたことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載のヒューズ装置。
(付記7)
前記ヒューズ部は、前記カレントミラー回路の出力信号をラッチして前記ヒューズデータとして出力するラッチ回路を備えたことを特徴とする付記6記載のヒューズ装置。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第一の実施形態の原理説明図である。
【図2】グローバック検出部を示す回路図である。
【図3】グローバック検出部の動作を示す波形図である。
【図4】コード出力部を示すブロック図である。
【図5】ヒューズ部を示す回路図である。
【図6】グローバック診断装置を示すブロック図である。
【図7】第二の実施形態のヒューズ回路を示す回路図である。
【図8】第三の実施形態を示す回路図である。
【図9】従来のヒューズ装置を示す回路図である。
【符号の説明】
【0055】
11 グローバック検出部
12 コード出力部
13,13a ヒューズ部
f0 グローバック検出用ヒューズ
R0 第一の基準抵抗(可変抵抗)
Rr,TN9 第二の基準抵抗(可変抵抗、NチャネルMOSトランジスタ)
f1,f2,fn ヒューズデータ生成用ヒューズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断したグローバック検出用ヒューズの抵抗値と、第一の基準抵抗の抵抗値の差に基づく検出信号を生成するグローバック検出部と、
前記検出信号に基づいて抵抗値が変化する第二の基準抵抗の抵抗値と、ヒューズデータ生成用ヒューズの抵抗値との比較結果をヒューズデータとして出力するヒューズ部と
を備えたことを特徴とするヒューズ装置。
【請求項2】
前記第一の基準抵抗は、制御信号の入力に基づいて抵抗値を調整可能とした可変抵抗で構成したことを特徴とする請求項1記載のヒューズ装置。
【請求項3】
前記第二の基準抵抗は、前記検出信号に基づいて抵抗値を調整可能とした可変抵抗で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載のヒューズ装置。
【請求項4】
前記第二の基準抵抗は、前記検出信号に基づいてオン抵抗が変化するトランジスタで構成したことを特徴とする請求項1又は2記載のヒューズ装置。
【請求項5】
前記検出信号をデジタル信号に変換して検出コードを生成するA/D変換器と、
前記検出コードを前記第二の基準抵抗の抵抗値を調整する基準信号として調整するエンコーダと、
前記エンコーダの出力信号をD/A変換して前記第二の基準抵抗を調整する基準信号を生成するD/A変換器と
を備えたコード出力部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヒューズ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−50195(P2010−50195A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211618(P2008−211618)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】