説明

内燃機関の制御装置

【課題】減速時に負圧生成した場合でも、再加速時のトルク段差を解消する。
【解決手段】 内燃機関の制御装置は、吸気弁1のリフト・作動角を同時にかつ連続的に拡大・縮小制御可能な吸気弁側リフト・作動角可変機構11と、ブレーキペダルの踏み込み量を検知するブレーキストロークセンサ14と、車両の速度を検知する車速センサ15と、を有している。そして、ブレーキペダルが踏み込まれ、車両が減速した際には、吸入空気量が一定となるように、ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなるほど、吸気弁1の閉弁時期を遅角すると共に、スロットル開度を小さくする。これによって、ブレーキペダルの踏み込み量に応じてスロットル弁18下流側の負圧を変化させることができるので、ブレーキOFFから再加速するときのトルク段差を緩和することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に吸気弁のリフト・作動角を拡大・縮小制御可能なリフト・作動角可変機構を備えた内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸気弁のリフト量を可変する吸気弁可変リフト機構と、運転者がブレーキペダルを踏むと予測できるブレーキ予測手段と、を有し、通常は吸気弁を小リフト運転として燃費のよい制御を行うが、運転者がブレーキペダルを踏むと予測したときには、吸気弁を大リフトに移行させると共に、吸気弁とスロットルを協調制御することでトルク変動を抑えつつ、負圧を確保して、ブレーキ補助力を確保する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−218200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1においては、運転者がブレーキペダルを踏むと予測したときにブレーキ補助力を確保するにあたって、ブレーキペダルの踏み込み量、すなわちブレーキ強さ(減速G)の影響を考慮していないため、ブレーキOFFからの再加速時のトルク段差を解消できない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明の内燃機関は、ブレーキペダルが踏み込まれ、車両が減速した際には、吸入空気量が一定となるように、前記ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなるほど、吸気弁の閉弁時期を遅角すると共に、スロットル開度を小さくすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ブレーキペダルの踏み込み量に応じてスロットル弁下流側の負圧を変化させることができるので、ブレーキOFFから再加速するときのトルク段差を緩和することができる。また、ブレーキペダルの踏み込み量に応じた負圧生成のため、弱ブレーキ(ブレーキペダルの踏み込み量が小さい状態)からブレーキOFFして再加速する場合のレスポンスを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0007】
図1は、本発明に係る内燃機関の制御装置を示す構成説明図であって、主として吸気弁側の動弁機構を模式的に示している。吸気弁側の動弁機構は、吸気弁1のバルブリフト特性を変更するものであって、吸気弁1のリフト・作動角を連続的に拡大・縮小させることが可能な吸気弁側リフト・作動角可変機構11に、さらに、作動角の中心角を連続的に遅進させることが可能な吸気弁側位相可変機構12を組み合わせたものである。
【0008】
排気弁側の動弁機構は、吸気弁側位相可変機構12と同一構成の排気弁側位相可変機構13のみから構成されており、排気弁2のリフト・作動角は一定であるが、排気弁2の作動角の中心角を連続的に遅進させることが可能となっている。
【0009】
尚、排気弁側位相可変機構13は、以下に詳述する吸気弁側位相可変機構12と同一構成となっているので、重複する説明を避けるため、吸気弁側位相可変機構12の説明をもって、排気弁側位相可変機構13の説明をも兼ねるものとする。
【0010】
吸気弁1のリフト・作動角を可変制御する吸気弁側リフト・作動角可変機構11は、内燃機関のクランクシャフトにより駆動される駆動軸22と、この駆動軸22に固定された偏心カム23と、回転自在に支持された制御軸32と、この制御軸32の偏心カム部38に揺動自在に支持されたロッカアーム26と、吸気弁1のタペット30に当接する揺動カム29と、を備えており、偏心カム23とロッカアーム26とはリンクアーム24によって連係され、ロッカアーム26と揺動カム29とは、リンク部材28によって連係されている。
【0011】
ロッカアーム26は、略中央部が偏心カム部38によって揺動可能に支持されており、その一端部に、連結ピン25を介してリンクアーム24のアーム部が連係しているとともに、他端部に、連結ピン27を介してリンク部材28の上端部が連係している。偏心カム部38は、制御軸32の軸心から偏心しており、従って、制御軸32の角度位置に応じてロッカアーム26の揺動中心は変化する。
【0012】
揺動カム29は、駆動軸22の外周に嵌合して回転自在に支持されており、側方へ延びた端部に、連結ピン37を介してリンク部材28の下端部が連係している。この揺動カム29の下面には、駆動軸22と同心状の円弧をなすベースサークル面と、該ベースサークル面から所定の曲線を描いて延びるカム面と、が連続して形成されており、これらのベースサークル面ならびにカム面が、揺動カム29の揺動位置に応じてタペット30の上面に当接する。上記カム面がタペット30を押圧すると、吸気弁1は、図示せぬバルブスプリング反力に抗して押し開かれることになり、これに伴い、バルブスプリング反力が、揺動カム29から各部へ作用する。
【0013】
制御軸32は、一端部に設けられたリフト・作動角制御用アクチュエータ33によって所定角度範囲内で回転するように構成されている。このリフト・作動角制御用アクチュエータ33は、例えばウォームギア35を介して制御軸32を駆動する電動モータからなり、コントロールユニット10からの制御信号によって制御される。制御軸32の回転角度は、制御軸センサ34によって検出される。
【0014】
吸気弁側リフト・作動角可変機構11によれば、制御軸32の回転角度位置に応じて吸気弁3のリフトならびに作動角が、両者同時に、連続的に拡大,縮小し、このリフト・作動角の大小変化に伴い、吸気弁1の開時期と閉時期とがほぼ対称に変化する。リフト・作動角の大きさは、制御軸32の回転角度によって一義的に定まるので、制御軸センサ34の検出値により、そのときの実際のリフト・作動角が示される。
【0015】
尚、図では、1気筒分のみが示されているが、駆動軸22および制御軸32は複数気筒に共通のものであり、他の偏心カム23、リンクアーム24、ロッカアーム26、リンク部材28、揺動カム29、偏心カム部38等からなるリンク機構は、気筒毎に設けられている。また、V型内燃機関等では、各バンク毎に、駆動軸22および制御軸32が設けられる。
【0016】
一方、吸気弁1の中心角を可変制御する吸気弁側位相可変機構21は、駆動軸22の前端部に設けられたスプロケット42と、このスプロケット42と駆動軸22とを、所定の角度範囲内において相対的に回転させる位相制御用アクチュエータ43と、から構成されている。スプロケット42は、図示せぬタイミングチェーンもしくはタイミングベルトを介して、クランクシャフトに連動している。位相制御用アクチュエータ43は、例えば油圧式の回転型アクチュエータからなり、コントロールユニット10からの制御信号によって図示せぬ油圧制御弁を介して制御される。この位相制御用アクチュエータ43の作用によって、スプロケット42と駆動軸22とが相対的に回転し、バルブリフトにおけるリフト中心角が遅進する。つまり、リフト特性の曲線自体は変わらずに、全体が進角もしくは遅角する。また、この変化も、連続的に得ることができる。この第2可変動弁機構6の制御状態は、駆動軸22の回転位置に応答する駆動軸センサ36によって検出される。
【0017】
従って、吸気弁側リフト・作動角可変機構11及び吸気弁側位相可変機構21の制御を組み合わせることにより、吸気弁1の開時期および閉時期をリフト量とともに可変制御でき、シリンダ内に流入する吸気量を負荷に応じて制御することができる。
【0018】
コントロールユニット10には、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキストロークセンサ14、車両の速度を検知する車速センサ15、エンジン回転速度を検出する回転速度センサ16、吸入空気量を検出するエアフローメータ17等の各種センサから信号が入力されている。
【0019】
また、コントロールユニット10によって、吸気通路に設けられたスロットル弁18の開度が制御されている。スロットル弁18は、電気モータからなるアクチュエータを備え、コントロールユニット10から与えられる制御信号によって、その開度が制御される。また、スロットル弁18は、自身の弁開度を検出するセンサを一体に備えており、その検出信号に基づいて、スロットル弁18の弁開度がクローズドループ制御される。
【0020】
そして、本発明の第1実施形態においては、ブレーキペダルが踏み込まれ、車両が減速した際には、図2に示すように、ブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキストローク量)に応じた特性線Aに応じてスロットル弁18の下流側に生成される負圧の大きさ(生成負圧)が決定され、吸入空気量が一定となるよう、この生成負圧が大きくなるほど、吸気弁1の閉弁時期を遅角させると共に、スロットル弁18の弁開度(スロットル開度)を小さくする。
【0021】
詳述すると、車両が減速した際には、吸入空気量が一定となるよう、吸気弁1のリフト中心角を固定した状態で、ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなるほど、吸気弁1のリフト・作動角を拡大し、吸気弁1の閉弁時期を遅角させると共に、スロットル弁18の弁開度を小さくしている。
【0022】
このような第1実施形態においては、ブレーキペダルの踏み込み量に応じてスロットル弁18下流側の負圧を変化させることができるので、ブレーキOFFから再加速するときのトルク段差を緩和することができる。
【0023】
そして、ブレーキペダルの踏み込み量に応じた負圧生成のため、ブレーキON時(ブレーキペダルが踏み込まれた状態)のブレーキペダルの踏み込み量に関わらず一定の負圧を作成する場合に比べて、弱ブレーキ(ブレーキペダルの踏み込み量が小さい状態)からブレーキOFFして再加速する場合のレスポンスを向上させることができる。
【0024】
また、運転性の跳ね返りがない状態で、ブレーキ機能を成立させる負圧を確保することが可能となる。
【0025】
ここで、この第1実施形態においては、ブレーキペダルの踏み込み量によってのみ生成負圧を決定する特性線Aが決定されているが、ブレーキペダルの踏み込み量の他に、スロットル弁18下流側の吸気コレクタの容積、マスターバックの容積、内燃機関の機関回転速度、スロットル弁18の応答速度、吸気弁側の動弁機構の応答速度等の負圧生成時間に関する項目と併せて特性線Aを決定するようにしてもよい。
【0026】
詳述すると、図3に示すように、スロットル弁18下流側の吸気コレクタの容積、マスターバックの容積、内燃機関の機関回転速度、スロットル弁18の応答速度、吸気弁側の動弁機構の応答速度によって決まる特性線Bと、燃費効果により決まる特性線Cとの間に挟まれた領域に入るように、特性線Aを設定することも可能であり、この場合には、運転性を成立させつつ、負圧を作成することができる。
【0027】
尚、特性線Aは、特性線Cを横切るように設定されると燃費効果がなくなるため、燃費効果を出すためには、特性線Aの立ち上がりの傾きを特性線Bの傾きに近づくように設定するのが有利である。
【0028】
また、スロットル弁18下流側の吸気コレクタの容積が小さくなるほど、マスターバック容積が小さくなるほど、内燃機関の機関回転速度が大きくなるほど、スロットル弁18の応答速度が大きくなるほど、吸気弁側の動弁機構の応答速度が大きくなるほど、特性線Bの傾きは急になる(大きくなる)。例えば、内燃機関の機関回転速度が大きくなるほど、吸気弁1の閉弁時期が遅角するように、特性線Bの傾きは急になる(大きくなる)。つまり、スロットル弁18下流側の吸気コレクタの容積が小さくなるほど、マスターバック容積が小さくなるほど、内燃機関の機関回転速度が大きくなるほど、スロットル弁18の応答速度が大きくなるほど、吸気弁側の動弁機構の応答速度が大きくなるほど、特性線Aは、その傾きが急になる(大きくなる)ように設定可能となり、吸気弁1の閉弁時期を遅角することが可能となる。
【0029】
以下、本発明の他の実施形態について説明するが、上述した第1実施形態と同一構成の部位には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
次に、図4を用いて本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、上述した第1実施形態と同一構成であり、上述した第1実施形態と同様に、車両が減速した際には、吸入空気量が一定となるように、ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなるほど、吸気弁1のリフト・作動角を拡大し、吸気弁1の閉弁時期を遅角させているが、吸気弁1の閉弁時期を遅角させる際に、排気弁2の閉弁時期と吸気弁1の開弁時期との間隔が所定の一定間隔を保つように、吸気弁1及び排気弁2のリフト中心角の位相を遅角させている。
【0031】
詳述すると、ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなるにしたがい、吸気弁1及び排気弁2のリフト中心角の位相が大きく遅角するよう制御されている。尚、この第2実施形態において、排気弁2のリフト・作動角は一定である。
【0032】
これによって、燃焼安定性を保ちつつ、負圧を作成することができる。また、排気弁2の閉弁時期と吸気弁1の開弁時期とが、オーバラップしないように設定することで、燃焼安定性の悪化を防止することができる。
【0033】
図5は、本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態は、上述した第1実施形態と同一構成であり、上述した第1実施形態と同様に、車両が減速した際には、吸入空気量が一定となるように、ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなるほど、吸気弁1のリフト・作動角を拡大し、吸気弁1の閉弁時期を遅角させているが、吸気弁1の閉弁時期を遅角させる際に、吸気弁1の開弁時期が所定の開弁時期に固定された状態で、排気弁2の閉弁時期と吸気弁1の開弁時期との間隔が所定の一定間隔を保つように、吸気弁1のリフト中心角の位相を遅角させている。尚、この第3実施形態において、排気弁2のリフト・作動角の大きさ及びリフト中心角の位相は一定である。
【0034】
このような第3実施形態においても、上述した第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
また、この第3実施形態においては、吸気弁1の開弁時期を固定し、吸気弁1の閉弁時期のみを変更しているので、排気弁側の動弁機構の排気弁側位相可変機構13を省略することも可能であり、排気弁側の動弁機構をバルブリフト特性が常に一定の直動型の動弁機構に変更することも可能である。この場合、排気弁側位相可変機構13の制御が不要となる。
【0036】
さらに、この第3実施形態においては、吸気弁側リフト・作動角可変機構11が、吸気弁1のリフト・作動角の拡大・縮小にかかわらず、吸気弁1の開弁時期を所定の開弁時期に固定するよう構成されているものであれば、吸気弁側位相可変機構12の制御が不要となる。また、吸気弁側の動弁機構を、吸気弁側リフト・作動角可変機構11のみで構成することも可能となる。
【0037】
尚、上述した第2及び第3実施形態において、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得られることは言うまでもない。
【0038】
そして、上述した第2及び第3実施形態において、通常は、排気弁2の閉弁時期と吸気弁1の開弁時期とは、図4及び図5に示すようにオーバラップしないように設定されているが、燃焼安定性が十分あるような場合には、排気弁2の閉弁時期と吸気弁1の開弁時期とがオーバラップするように設定することも可能である。
【0039】
そして、上述した各実施形態は、ブレーキペダルが踏み込まれる際に、マスターバックで必要となる必要負圧が生成されれば、吸気弁1及び排気弁2のバルブタイミングを、速やかに、レスポンス、燃費に有利なバルブタイミングに移行するものである。
【0040】
上述した実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
(1) 吸気弁のリフト・作動角を同時にかつ連続的に拡大・縮小制御可能なリフト・作動角可変機構と、ブレーキペダルの踏み込み量を検知する手段と、車両の速度を検知する車速検知手段と、を有する内燃機関の制御装置において、前記ブレーキペダルが踏み込まれ、前記車両が減速した際には、吸入空気量が一定となるように、前記ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなるほど、前記吸気弁の閉弁時期を遅角すると共に、スロットル開度を小さくする。これによって、ブレーキペダルの踏み込み量に応じてスロットル弁下流側の生成負圧を変化させることができるので、ブレーキOFFから再加速するときのトルク段差を緩和することができる。また、ブレーキペダルの踏み込み量に応じた負圧生成のため、弱ブレーキ(ブレーキペダルの踏み込み量が小さい状態)からブレーキOFFして再加速する場合のレスポンスを向上させることができる。
【0041】
(2) 前記(1)に記載の内燃機関の制御装置は、前記内燃機関の機関回転速度を検知する機関回転速度検知手段を有し、前記内燃機関の機関回転速度が大きくなるほど、前記吸気弁の閉弁時期を遅角すると共に、スロットル開度を小さくする。これによって、運転性を成立させつつ、負圧を作成することができる。
【0042】
(3) 前記(1)または(2)に記載の内燃機関の制御装置は、前記吸気弁のリフト中心角の位相を遅進させる吸気弁側位相可変機構と、排気弁のリフト中心角の位相を遅進させる排気弁側位相可変機構と、を有し、前記ブレーキペダルの踏み込み量に応じて前記吸気弁の閉弁時期を遅角させる際に、前記吸気弁のリフト中心角の位相及び前記排気弁のリフト中心角の位相の少なくともどちらか一方を遅進させて前記排気弁の閉弁時期と前記吸気弁の開弁時期との間隔を所定の一定間隔に保つ。これによって、燃焼安定性を保ちつつ、負圧を作成することができる。
【0043】
(4) 前記(1)または(2)に記載の内燃機関の制御装置は、前記吸気弁のリフト中心角の位相を遅進させる吸気弁側位相可変機構を有し、前記ブレーキペダルの踏み込み量に応じて前記吸気弁の閉弁時期を遅角させる際に、前記吸気弁の開弁時期を固定し、前記吸気弁のリフト中心角の位相を遅角させることで排気弁の閉弁時期と前記吸気弁の開弁時期との間隔を所定の一定間隔に保つ。これによって、燃焼安定性を保ちつつ、負圧を作成することができる。また、排気弁の閉弁時期と吸気弁の開弁時期との間隔を所定の一定間隔に保つ際に、排気弁のリフト中心角の位相を遅進させる制御を不要となる。
【0044】
(5) 前記(1)または(2)に記載の内燃機関の制御装置は、前記リフト・作動角可変機構は、吸気弁のリフト・作動角の拡大・縮小にかかわらず、吸気弁の開弁時期が所定の開弁時期に固定されるものであって、前記ブレーキペダルの踏み込み量に応じて前記吸気弁の閉弁時期を遅角させる際に、排気弁の閉弁時期と前記吸気弁の開弁時期との間隔を所定の一定間隔に保つ。これによって、燃焼安定性を保ちつつ、負圧を作成することができる。また、排気弁の閉弁時期と吸気弁の開弁時期との間隔を所定の一定間隔に保つ際に、排気弁のリフト中心角の位相を遅進させる制御、及び吸気弁のリフト中心角の位相を遅進させる制御が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る内燃機関の制御装置を示す構成説明図。
【図2】本発明の第1実施形態におけるブレーキストローク量と吸気弁の閉弁時期及びスロットル開度との相関を模式的に示した説明図。
【図3】本発明の他の実施形態におけるブレーキストローク量と吸気弁の閉弁時期及びスロットル開度との相関を模式的に示した説明図であって、ブレーキストローク量に応じた特性線Aの設定可能範囲を示した説明図。
【図4】本発明の第2実施形態におけるブレーキストローク量と吸気弁の閉弁時期及びスロットル開度との相関を模式的に示した説明図。
【図5】本発明の第3実施形態におけるブレーキストローク量と吸気弁の閉弁時期及びスロットル開度との相関を模式的に示した説明図。
【符号の説明】
【0046】
1…吸気弁
2…排気弁
10…コントロールユニット
11…吸気弁側リフト・作動角可変機構
12…吸気弁側位相可変機構
13…排気弁側位相可変機構
18…スロットル弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気弁のリフト・作動角を同時にかつ連続的に拡大・縮小制御可能なリフト・作動角可変機構と、
ブレーキペダルの踏み込み量を検知する手段と、
車両の速度を検知する車速検知手段と、を有する内燃機関の制御装置において、
前記ブレーキペダルが踏み込まれ、前記車両が減速した際には、吸入空気量が一定となるように、前記ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなるほど、前記吸気弁の閉弁時期を遅角すると共に、スロットル開度を小さくすることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関の機関回転速度を検知する機関回転速度検知手段を有し、
前記内燃機関の機関回転速度が大きくなるほど、前記吸気弁の閉弁時期を遅角すると共に、スロットル開度を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記吸気弁のリフト中心角の位相を遅進させる吸気弁側位相可変機構と、
排気弁のリフト中心角の位相を遅進させる排気弁側位相可変機構と、を有し、
前記ブレーキペダルの踏み込み量に応じて前記吸気弁の閉弁時期を遅角させる際に、前記吸気弁のリフト中心角の位相及び前記排気弁のリフト中心角の位相の少なくともどちらか一方を遅進させて前記排気弁の閉弁時期と前記吸気弁の開弁時期との間隔を所定の一定間隔に保つことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記吸気弁のリフト中心角の位相を遅進させる吸気弁側位相可変機構を有し、
前記ブレーキペダルの踏み込み量に応じて前記吸気弁の閉弁時期を遅角させる際に、前記吸気弁の開弁時期を固定し、前記吸気弁のリフト中心角の位相を遅角させることで排気弁の閉弁時期と前記吸気弁の開弁時期との間隔を所定の一定間隔に保つことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記リフト・作動角可変機構は、吸気弁のリフト・作動角の拡大・縮小にかかわらず、吸気弁の開弁時期が所定の開弁時期に固定されるものであって、
前記ブレーキペダルの踏み込み量に応じて前記吸気弁の閉弁時期を遅角させる際に、排気弁の閉弁時期と前記吸気弁の開弁時期との間隔を所定の一定間隔に保つことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−77815(P2010−77815A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243767(P2008−243767)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】