半導体装置、集積回路、マトリックス回路、表示素子、無線通信装置、電子機器、半導体装置の製造方法
【課題】エッチングによりソース・ドレイン電極を形成しても、有機半導体層が損傷を受けることなく、良好なオン/オフ比を示す有機半導体装置、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板1と、前記基板上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2及び基板1上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上に形成されたp型有機半導体層4と、有機半導体層4上に形成された保護層5と、保護層5上に形成されたソース電極8及びドレイン電極9と、を有する半導体装置を構成する。
【解決手段】基板1と、前記基板上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2及び基板1上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上に形成されたp型有機半導体層4と、有機半導体層4上に形成された保護層5と、保護層5上に形成されたソース電極8及びドレイン電極9と、を有する半導体装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機半導体を用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。また、本発明は、この半導体装置を備えた、集積回路、マトリックス回路、表示素子、無線通信装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)は、例えばアクティブマトリックス型の液晶ディスプレイにおいて画素電極のスイッチングに用いられるなど、電子回路において欠かすことのできない素子となりつつある。
しかし、半導体材料としてアモルファスシリコンや多結晶シリコンを用いるSi系無機半導体トランジスタの場合、露光、ドーピング、成膜、エッチング等の精密かつ複雑な工程を必要とする。また、クリーンルームや真空装置など、設備も大型となるため、コストが高い。
【0003】
これに対して有機半導体トランジスタでは、常温・常圧での塗布成膜や有機半導体材料を溶媒に溶解しインク化することにより印刷成膜が可能となり、真空プロセスを必要としない。また材料の利用効率も高いので低コストかつ環境負荷も低減した薄膜トランジスタを形成することができる。他にもプラスチック等のフレキシブルな基板上への形成も可能であることから次世代トランジスタとして注目を集め、これまでに様々な製法が提案されてきた。
【0004】
有機半導体を用いて薄膜トランジスタを形成する場合、有機半導体層は、一般的な有機溶媒やアルコールなどに対して溶解性を示す。そのため、有機半導体層がそれらの溶媒に露出することを最小化するために、通常は、基板上の最下部に形成されたゲート電極上に形成された絶縁層上にソース電極及びドレイン電極を形成する。そして、ソース電極及びドレイン電極の表面と、有機半導体層の裏面とが接触するボトムコンタクト・ボトムゲート(BCBG)構造とするのが一般的である。
【0005】
しかし、ボトムゲートにおいて、ボトムコンタクト構造の場合、キャリア注入効率の問題により接触抵抗が大きくなっており、薄膜トランジスタの移動度が低下する。一方、有機半導体を用いてトップコンタクト・ボトムゲート(TCBG)の構造を形成する場合には、理論上薄膜トランジスタの特性は優れているが、実際にはパターニングに際して使用される有機溶媒により、薄膜トランジスタの特性が大幅に劣化する。
そのため、一般的には有機半導体層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成する場合には、シャドウマスク法が用いられている。その際、シャドウマスクの物理的な制約によってチャンネルの長さが数十μm以上となるため、薄膜トランジスタのオン電流が低下する。またさらには、トランジスタのサイズが大きくなり開口率及び解像度などに影響を与えるため、例えば実際のアクティブマトリックスアレイの集積化に適用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】K.Nomoto,N.Hirai,N.Yoneya,N.Kawashima,M.Noda,M.Wada and J.Kasahara IEEE Trans. Electron Devices 2005, 52, 1519.
【非特許文献2】Y.Y.Lin,D.J.Gundlach,S.F.Nelson andT.N.Jackson IEEE Trans. Electron Devices 1997, 44, 1325.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これを解決するために、有機半導体層上にフォトリソグラフィ工程によって高精度にソース・ドレイン電極をパターン形成する方法が検討されている。このTCBG型の素子構造を作製する方法を図11に示す。図11Aに示すように、基板90上のゲート電極91上にゲート絶縁膜92が形成される。そして、ゲート絶縁膜92上に有機半導体材料を塗布して有機半導体層93を形成し、この有機半導体層93上にソース・ドレイン電極となる金属膜94が形成される。
次に図11Bに示すように、金属膜94上にレジストを塗布して露光・現像を行い、ソース・ドレイン電極とする領域上にのみレジスト95が残されたパターンを形成する。
そして、図11Cに示すように、レジスト95をマスクとして金属膜94をエッチングすることで、ソース電極98、ドレイン電極99が形成される。
最後に図11Dに示すように、無機溶剤によってレジスト95を剥離、除去することによりTCBG型の有機TFT900が完成する。
【0008】
しかしこの手法の場合、レジスト95をマスクとして金属膜94をエッチングする際に、図11Cの領域T2における有機半導体層93の表面損傷が生じる。チャネル層表面にこのような損傷があると、サブスレッショルド特性が劣化し、オン/オフ比が低下してしまうことが問題であった。またBCBG構造の場合には、先にソース・ドレイン電極をゲート絶縁膜上に形成し、その上から有機半導体材料を塗布することが可能であるため、こうした問題はTCBG型の素子構造において特に顕著となる。
【0009】
また、他の方法として、リフトオフによってソース・ドレイン電極を形成する場合には、レジストを有機半導体層上に直接塗布することになる。このため、レジストに含まれる有機溶剤によってやはり有機半導体膜質が劣化してしまう。
【0010】
本発明は上記問題を鑑みて、エッチングによりソース・ドレイン電極を形成しても、有機半導体層が損傷を受けることなく、良好なオン/オフ比を示す有機半導体装置、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明による半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、このゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層とを備える。
そして、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、を備える。
【0012】
また本発明による集積回路は、上述の本発明による半導体装置を用いて構成するものである。したがって、本発明による集積回路を構成する半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層とを備える。
また、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、を備える。
【0013】
また本発明によるマトリックス回路は、複数の走査線と、走査線と交差する方向に配設された複数の信号線と、走査線と信号線の交差毎に配置され、ドレイン電極が信号線に接続され、ゲート電極が走査線に接続された半導体装置とを備える。また、この半導体装置のソース電極に接続された静電容量を備える。
また、マトリックス回路を構成するこの半導体装置には、上述の本発明による半導体装置を用いる。したがってこの半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層とを備える。そしてさらに、ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備える。
【0014】
また本発明による表示素子は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、この有機半導体層上全面に形成された保護層とを備える。
またさらに、この保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、ソース電極とドレイン電極及び保護層を覆って形成された保護膜と、保護膜を覆って形成された絶縁膜とを備える。
そして、この絶縁膜上に形成され、ドレイン電極に接続されたピクセル電極と、ピクセル電極上に配置された表示層とを備える。この表示層は、ピクセル電極からの電圧によって表示を切り替える表示機能を有するものであればよく、既知の各種形態をとってよい。
すなわち、上述の本発明による半導体装置上に例えば液晶や有機電界発光素子等を形成し、接続するものである。
【0015】
そして本発明による無線通信装置は、電波信号を送受信するループアンテナと、このループアンテナの両端に接続され、受信した電波信号の記録や、ループアンテナの駆動によるデータの送信を行う集積回路と、を備える。
また、この集積回路には上述の本発明による集積回路を用いるものである。したがって、この集積回路を構成する半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層を備える。またさらに、ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備える。
【0016】
そして本発明による電子機器は、上述の本発明による半導体装置を用いて構成される。すなわち、本発明による電子機器に用いられる半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層とを備える。
そしてまた、このゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備える。
【0017】
また、本発明による半導体装置の製造方法は、基板上にゲート電極を形成するステップと、基板上にゲート電極を覆ってゲート絶縁層を形成するステップと、ゲート絶縁層上にp型有機半導体層を形成するステップとを有する。
また、p型有機半導体層上全面に保護層を形成するステップと、保護層上に導電性膜を形成し、導電性膜をエッチングすることによりソース電極及びドレイン電極を形成するステップと、を含む。
【0018】
本発明の有機半導体装置によれば、有機半導体層上に保護層を形成することで、エッチングによるソース・ドレイン電極の形成時に有機半導体層が損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0019】
また本発明の集積回路によれば、集積回路を構成する半導体装置の有機半導体層上に保護層が設けられている。このため有機半導体層は、その有機半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する際に受ける損傷から防がれている。したがって本発明による集積回路は、高品質、高性能な処理を行うことができる。
【0020】
またさらに、本発明の無線通信装置によれば、受信した電波信号の記録や、ループアンテナを駆動して電波信号の送信を行う集積回路に搭載される半導体装置の有機半導体層が、製造時に損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0021】
また本発明の表示素子によれば、例えば、画素毎に配置される発光素子に電荷を送る半導体装置の有機半導体層が、同様に製造時に損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0022】
また本発明によるマトリックス回路によれば、例えば画素のスイッチングを行う半導体装置の有機半導体層が、製造時に損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0023】
また、本発明の電子機器によれば、例えば画像表示部分や、その他の集積回路内における半導体装置の有機半導体層が、同様に製造時に損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0024】
そして、本発明の半導体装置の製造方法によれば、有機半導体層上全面に保護層を形成する。このため、有機半導体層上のソース電極及びドレイン電極をエッチングにより形成しても、有機半導体層が損傷を受けるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、エッチングによるソース・ドレイン電極の形成時に有機半導体層が損傷を受けるのを防ぐことができるので、高性能な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】A〜D 第1の実施の形態による有機半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】実施例による有機半導体装置の輸送特性を示す説明図である。
【図3】AはCuPcの分子構造を示す構造図である。BはC2Ph−PXXの分子構造を示す構造図である。
【図4】第2の実施の形態による無線通信センサを示す斜視図である。
【図5】Aは第3の実施の形態による表示素子の上面図である。またBは図4AのX−X’断面図である。
【図6】A〜F 第3の実施の形態による表示素子の製造方法を示す断面図である。
【図7】第4の実施の形態によるマトリックス回路、表示装置の構成を示す概略構成図である。
【図8】第5の実施の形態によるテレビジョン装置を示す斜視図である。
【図9】第5の実施の形態によるビデオカメラを示す斜視図である。
【図10】第5の実施の形態による携帯電話端末を示す斜視図である。
【図11】A〜D 従来の有機半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(有機薄膜トランジスタ)
1−1.製造方法
1−2.実施例
2.第2の実施の形態(集積回路、センサ)
3.第3の実施の形態(表示素子)
3−1.表示素子
3−2.製造方法
4.第4の実施の形態(マトリックス回路、ディスプレイ装置)
5.第5の実施の形態(電子機器)
【0028】
1.第1の実施の形態(有機薄膜トランジスタ)
1−1.製造方法
本発明の第1の実施の形態の有機半導体装置100を、その製造方法と共に、図1A〜図1Dの断面図に示す。
図1Aに示すように、まず基板1上にゲート電極2を形成する。
基板1やゲート電極2に用いる材料は特に限定するものではない。
基板1の材料には、例えば各種ガラス基板や石英基板、ポリエーテルスルホンやポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレートらが挙げられる。高分子材料から構成される基材を用いる場合には、フィルム、あるいはシート状のフレキシブルな基板であってもよい。
【0029】
また、ゲート電極2の材料には例えば白金、金、パラジウム、クロム、ニッケル、モリブデン、ニオブ、ネオジム、アルミニウム、銀、タンタル、タングステン、銅、ルビジウム、ロジウム、チタン、インジウム、錫等の金属、もしくは、これらの金属元素を含む合金や、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、ポリシリコン、アモルファスシリコン、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物を挙げることができる。また、これらの元素を含む層の積層構造であってもよい。
また他にも、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸といった有機材料を用いることもできる。
そしてゲート電極2の形成には例えばスパッタや蒸着、メッキ、金属ペーストや導電性高分子溶液を用いた印刷等の各種手法を用いることができ、ゲート電極2の材料に応じて選択する。
【0030】
そしてさらに、基板1上にゲート電極2を覆う形でゲート絶縁層3を形成する。ゲート絶縁層3には例えば二酸化シリコン、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン、SOG(スピンオングラス)、低誘電率SiOX系材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)等の酸化ケイ素系材料や、窒化ケイ素、Al2O3、金属酸化物高誘電絶縁膜にて例示される無機系絶縁材料を用いることができる。
【0031】
また有機系絶縁材料としては、ポリメチルメタクリレートやポリビニルフェノール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド等が挙げられ、これらの組み合わせを用いることもできる。
【0032】
またゲート絶縁層3の成膜には、無機材料を用いる場合には、例えばCVD法やスパッタリング法による成膜を行うことができる。一方、有機高分子材料からなるゲート絶縁膜3を成膜する際には、スピンコート等の塗布法や印刷法による成膜を行うことができる。
もしくは、ゲート電極2の表面を酸化または窒化することでゲート絶縁層3を形成してもよい。
【0033】
そしてゲート絶縁層3上に有機半導体層4を形成する。有機半導体層4の材料としては例えば、
ポリピロールおよびポリピロール置換体、
ポリチオフェンおよびポリチオフェン置換体、
ポリイソチアナフテンなどのイソチアナフテン類、
ポリチェニレンビニレンなどのチェニレンビニレン類、
ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、
ポリアニリンおよびポリアニリン置換体、
ポリアセチレン類、
ポリジアセチレン類、
ポリアズレン類、
ポリピレン類、
ポリカルバゾール類、
ポリセレノフェン類、
ポリフラン類、
ポリ(p−フェニレン)類、
ポリインドール類、
ポリピリダジン類、
ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーおよび多環縮合体、
上述した材料中のポリマーと同じ繰返し単位を有するオリゴマー類、
ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのアセン類およびアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)
金属フタロシアニン類、
テトラチアフルバレンおよびテトラチアフルバレン誘導体、
テトラチアペンタレンおよびテトラチアペンタレン誘導体、
ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N'−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N'−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、
ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、
アントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、
C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、
SWNTなどのカーボンナノチューブ、
メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素
等が挙げられるが、本発明においてはp型の有機半導体材料を用いるのが好ましい。
【0034】
この有機半導体層4の形成方法も特に限定するものではない。例えばスピンコート法、キャップコート法、ディップコート法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、といった各種塗布法や、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の印刷法、真空蒸着法等が挙げられるが、用いる有機半導体材料によって適宜選択するのが良い。
尚、この有機半導体層4をパターン形成する場合には、マスク蒸着法や印刷法、リフトオフ法等を用いることができる。
【0035】
次いで、図1Bに示すように、有機半導体層4上に保護層5を形成する。有機半導体層4にp型の半導体材料を用いる場合には、有機半導体層4の半導体材料よりも仕事関数の小さい有機半導体材料によって保護層5を構成するのが好ましい。
例えばα―NPD、TPD、CuPc、TPTE等の正孔輸送層、正孔注入層として用いることができる材料を用いるのが良い。
また、この保護層5の形成方法も特に限定するものではない。保護層5を有機半導体材料によって形成する場合には、スピンコート法やキャップコート法、ディップコート法等、有機半導体層4の形成方法において挙げた各種手法を選択することができる。
【0036】
この保護層5の形成後、図1Cに示すようにソース・ドレイン電極となる金属膜6を形成する。この金属膜6の材料としては、保護層5とオーミックコンタクトのとれる材料であれば特に限定するものではない。例えば、ゲート電極材料として挙げた上記材料から選択することができる。ただし、仕事関数が保護層5の材料よりも小さい材料を用いるのが好ましい。
またこの金属膜6の形成は、例えばスパッタや蒸着、メッキ、金属ペーストや導電性高分子溶液を用いた印刷等、ゲート電極2の形成方法と同じ方法を用いることができる。
【0037】
そしてレジスト7を金属膜6上に塗布し、金属膜6表面においてゲート電極2の中央付近上、かつ図1C中において、奥行き方向における領域が露出し、残りの領域がレジスト7によって覆われたパターンをフォトリソグラフィによって形成する。
【0038】
そして図1Dに示すように、このレジスト7をマスクとして金属膜6をウェットエッチングすることで、保護層5上にソース電極8及びドレイン電極9を形成する。次いで最後にレジスト7を溶剤による溶解洗浄等によって除去することで有機半導体装置100が完成する。
エッチング溶液としては、例えば硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸、フッ酸、過酸化水素水等の酸や、フッ化アンモニウム、ヨウ化カリウム、過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の塩、もしくはこれらの混合液からなる溶液を用いることができる。
【0039】
本発明による有機半導体装置100は、ソース電極8及びドレイン電極9と有機半導体層4との間に保護層5を介在させている。このため、金属膜6をエッチングすることによってソース電極8、ドレイン電極9を形成しても、露出するのは領域T1に示す保護層5の領域である。したがってエッチングによる有機半導体層4の損傷を防ぐことができる。
【0040】
またさらに、この保護層5を有機半導体材料によって形成すれば、正孔注入層や正孔輸送層として用いることが可能となる。したがって、有機半導体層4、保護層5、ソース電極8及びドレイン電極9の順に仕事関数が小さくなる材料構成とするのがよい。
すなわち保護層5を介在させるだけで、有機半導体層4の損傷を防ぐと同時に、チャネル層である有機半導体層4へのホール注入効果を高め、接触抵抗を低減することができる。したがって、素子の高性能化を低コストで実現することが可能となる。
また、本実施の形態はTCBG型であるため、ソース・ドレイン電極8,9の下面全体が保護層5の上面に接するため接触面積を大きくすることができる。したがって保護層5を正孔注入層として用いる場合の正孔注入効果をより高め、効率的に得ることが可能である。
【0041】
またこの保護層は1層に限定するものではなく、複数の層が積層されたものであってもよい。例えば、有機半導体層4上に第1の保護層としてα―NPD(IP=5.5ev)による層を形成し、この第1の保護層上に第2の保護層としてCuPc(IP=5.1eV)による層を形成してもよい。この場合のソース・ドレイン電極としては、例えばAu(IP=5eV)を用いることができる。
このように、例えば有機半導体層4、第1の保護層、第2の保護層、ソース電極8及びドレイン電極9の順に仕事関数が小さくなる構成とすることで、第1の保護層を正孔輸送層、第2の保護層を正孔注入層として用いることができる。これによって、より高性能化を図ることができる。
【0042】
なお、この保護層5の膜厚が薄過ぎるとエッチングに対する保護機能が損なわれる。またシート抵抗が有機半導体層4よりも小さくなるほどに厚過ぎると、保護層5を通って直接ソース・ドレイン電極間に電流が流れ、スイッチング特性が劣化する。したがって後述するように保護層5の膜厚は2nm以上135nm以下とするのが好ましい。
【0043】
1−2.実施例
ここで、保護層5の材料として図3Aに構造を示すCuPcを用い、上記方法により作製したTCBG型の有機半導体装置の輸送特性を図2に示す。いずれもチャネル長は100μm、チャネル幅は380μmとして作製したものである。
線L1は保護層5を形成せず有機半導体層4上に直接ソース電極8、ドレイン電極9を形成した場合であり、線L2は膜厚2nmの保護層5を形成した場合である。また、線L3は膜厚50nmの保護層5を形成した場合であり、線L4、線L5はそれぞれ膜厚135nm、145nmの保護層5を形成した場合である。また、それぞれの条件毎に2つずつ有機半導体装置を作製し、両方の特性を図2に示してある。
【0044】
なお、基板1にはSi基板を用いて、厚さ30nmのCu膜をスパッタにより成膜、フォトリソグラフィによってレジストをCu膜上にパターニングした後Cu膜をエッチングすることでゲート電極2を形成した。
またゲート絶縁層3はPVP(ポリビニルフェノール)をシクロペンタンに溶解させた溶液をスピンコート法により塗布し、焼成することで形成した。
【0045】
次いで、図3Bにその構造を示すC2Ph−PXXを含む溶液をゲート絶縁層3上に塗布し、焼成することで、有機半導体層4を形成した。また、有機半導体層4上に蒸着法によってCuPcによる保護層5を成膜し、この保護層5上にAu膜を蒸着して金属膜6を形成した。そしてこのAu膜上にレジスト7をフォトリソグラフィによってパターニングし、ウェットエッチングによってソース電極8、ドレイン電極9を形成した。
【0046】
図2の線L1に示すように、チャネル層とする有機半導体層とソース・ドレイン電極間に保護層を介在させなかった場合には、有機半導体層がエッチングによって表面損傷を受けたため、電流がほとんど流れていない。
これに対して、膜厚2nmの保護層を介在させた場合である線L2では、オン/オフ比が5桁以上の良好なスイッチング特性を示している。また膜厚が50nm、135nmの保護層を形成した線L3、L4においても、4桁以上のオン/オフ比が得られている。
したがって、本発明により保護層を介在させれば、チャネル層である有機半導体層の損傷を効果的に防げることが確認できる。
【0047】
しかし、保護層の膜厚が145nmである線L5ではオン電流が減少し、またオフ電流が増大してしまっており、オン・オフ比は2桁程度とゲート変調をほとんど受けていない。
これは、保護層の膜厚を厚くし過ぎたことにより保護層のシート抵抗が低下し、保護層内を通って直接ソース・ドレイン電極間を流れる電流が主電流となってしまったためである。
【0048】
またここでは例示しないが、保護層の膜厚が2nm未満の場合においても、チャネル層の保護効果が得られることがある。しかし、このような極薄の膜厚を常に均一に制御することは困難である。また厚さ2nm未満の場合には、保護層材料が、チャネル層とする有機半導体層上においてアイランド成長している状態であり、膜としては非常に不安定である。
またソース・ドレイン電極の形成時には、電極エッチングのオーバーエッチング時間や、エッチング溶液の濃度、温度等によって保護層へ与える負荷も変化する。しかし、こうした極薄の膜厚ではその影響が素子特性に反映されやすく、再現性に乏しい。
このため、保護層の膜厚は2nm以上135nm以下とするのが好ましい。
【0049】
また保護層の膜厚が50nmである線L3と、保護層の膜厚が135nmである線L4とを比較すると、保護層の膜厚が135nmの場合では、膜厚50nmの場合に比べてオン/オフ比が低下しているのがわかる。
また、保護層の膜厚が2nmである線L2と、保護層の膜厚が135nmである線L4とを比較しても、保護層の膜厚が2nmである場合の方が高いオン/オフ比が得られていることが確認できる。
このことから、最適な保護層の膜厚は少なくとも2nm以上50nm以下の範囲にあると言える。したがって保護層の膜厚は、さらには2nm以上50nm以下とするのがより好ましい。
【0050】
2.第2の実施の形態(集積回路、センサ)
次に、上記の半導体装置によって集積回路を構成し、いわゆるICタグ等の無線通信センサに適用する例について図4を参照して説明する。
図4は、本実施の形態による無線通信センサ200の概略構成を示す斜視図である。本実施の形態による無線通信センサ200は、例えば基板21と、基板21上に形成されるループアンテナ22と、ループアンテナ22の両端に接続される集積回路23とを備える。
【0051】
集積回路23はメモリを内蔵しており、ここに例えば個人情報や商品情報といった各種情報が記録される。またループアンテナ22は、図示しないリーダやライタからの電波信号を受けると電磁誘導等の磁気的結合により高周波信号を誘起し、この高周波信号の電力によって集積回路23を駆動する。
【0052】
集積回路23は、ループアンテナ22に誘起された高周波信号を処理することで、ライタから送信された情報を集積回路23に内臓されたメモリに記録する。またさらに集積回路23はループアンテナを駆動することで、メモリに記録された情報をリーダに送信する。
【0053】
すなわち、本実施の形態においては電源を必要としないパッシブ型の無線通信センサを例としており、このため薄型化に有利である。また、基板21の上面、裏面側をシート24、25により覆ってあってもよい。
【0054】
また、本実施の形態による無線通信センサ200では、集積回路53を、本発明の半導体装置を用いて、例えば、第1の実施の形態(図1)において示した有機半導体装置100を用いて構成するものである。
ICタグ等の無線通信センサにおいては、内蔵される集積回路を有機薄膜トランジスタによって構成することでセンサ全体を薄いフィルム状に形成することが可能となる。
また集積回路23を構成する有機半導体装置100は、その有機半導体層上に保護層を有しているため、ソース・ドレイン電極形成時に損傷を受けていない。このため、ばらつき無く高品質なセンサを提供することが可能である。またさらに、保護層を有機半導体材料によって構成し、これを正孔注入層や正孔輸送層として用いることにより、有機半導体装置100の移動度を向上させることができるので、より高性能化を図ることができる。
【0055】
3.第3の実施の形態(表示素子)
3−1.表示素子
次に、本発明の半導体装置によって、例えば液晶ディスプレイ等に用いられる表示素子を構成する例について説明する。
図5Aは本実施の形態による表示素子300の上面図である。また、図5Bは図4AのX−X’断面図である。
【0056】
基板11上には第1の金属層であるゲート電極12と補助容量電極46、配線31、32が形成され、その上に絶縁層13が形成される。このゲート電極12は図5Aに示すように例えば配線31に接続され、また補助容量電極46は例えば配線32に接続される。
【0057】
また、ゲート電極12の上方部分には、絶縁層13上に有機半導体層14が形成され、この有機半導体層14の全面に渡ってその上に保護層15が形成される。
なお、ここで有機半導体層14としてはp型の材料を用いる場合を示している。したがって、保護層15は第1の実施の形態(図1)において示したように、正孔注入層、正孔輸送層としても用いるのが好ましい。
【0058】
そしてこの保護層15上には、第2の金属層としてソース電極18とドレイン電極19、配線30、補助容量電極49が形成される。このソース電極18は図5Aに示すように配線30に接続され、またドレイン電極19は補助容量電極49に接続される。
この補助容量電極49は補助容量電極46上に配置されており、これにより絶縁層13を誘電体とした補助容量47が構成される。
【0059】
またソース電極18、ドレイン電極19、保護層15を覆うように保護膜40が配置される。また、この保護膜40と第2の金属層である補助容量電極49、ソース電極18、ドレイン電極19、配線30上に層間絶縁膜41が形成される。
【0060】
この層間絶縁膜41は、表面が平坦化された平坦化膜として形成されていることが好ましい。また、補助容量電極49上において貫通孔48が設けられており、第3の金属層である層間絶縁膜41上のピクセル電極42と接続される。またピクセル電極42は高い光反射率を有するのが好ましい。
【0061】
ピクセル電極42上には例えば表示層44が配置され、この表示層44は絶縁部材43によって所望の発光領域(画素領域)に区分けされる。すなわち、区分けされた1画素毎の領域が画素開口となる。
また、自発光型の表示素子とする場合には、例えば有機層44は少なくとも有機電界発光層を備えた積層構造によって構成することができる。例えばピクセル電極42側から順に正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層等によって構成すればよい。
【0062】
そしてこの表示層44上に、ピクセル電極42と対向する共通電極45が配置される。この共通電極45は、表示層44において発光した光を透過させるように光透過性材料によって構成される。
またここでは図示しないが、共通電極45上には光透過性材料からなる封止層を形成し、さらにその上に光透過性の基板を張り合わせてもよい。
【0063】
以上のような表示素子300では、配線32を定電圧源に接続し、配線30から入力電圧を入力することでソース・ドレイン電極間が導通し、電流が流れる。そして流れた電流はピクセル電極42を通じて表示層44に供給され、供給された電流量に応じた輝度で例えば表示層44内の有機電界発光層が発光する。
【0064】
また、本実施の形態においては、上述の自発光型の表示素子に限るものではない。すなわち、表示のスイッチングに上記第1の実施の形態による有機半導体装置100を用いるものであり、各種の表示素子に適宜適用できる。
そして、表示層44は、ピクセル電極42からの電圧によって表示を切り替える表示機能を有するものであればよく、既知の各種形態をとってよい。
例えば、液晶表示素子とする場合には、表示層44を例えば液晶層と配向膜によって構成し、ピクセル電極42及び共通電極45間の電圧によって、液晶の配向を制御するように構成すればよい。
【0065】
また、電気泳動型の表示素子とする場合には、表示層44を例えばマイクロカプセルによって構成することができる。
このマイクロカプセル内部には、例えば液体と、着色した荷電粒子が充填されており、ピクセル電極42及び共通電極45間の電圧によって、マイクロカプセルの上部または底部に荷電粒子が引き付けられる。この荷電粒子の移動によって表示を切り替えることが可能である。
【0066】
3−2.製造方法
次に本実施の形態による表示素子300の製造方法について、図6を参照して以下に説明する。
図6Aに示すように、まず基板11上に有機半導体装置310を形成する。この有機半導体装置310には、第1の実施の形態(図1)において示した有機半導体装置100を用いることができる。
ただし、本実施の形態においてはゲート電極12の隣に補助容量電極46を形成する。この補助容量電極46はスパッタや蒸着、印刷等、第1の実施の形態において示したゲート電極2と同様の方法によりゲート電極12と同時に形成することができる。また材料には第1の実施の形態においてゲート電極2の材料として示したものの中から選択してよい。
【0067】
また、ゲート電極12上方の絶縁層13上に有機半導体層14を形成するが、ここでは有機半導体層14にp型の材料を用い、その上には例えばα―NPD、TPD、CuPc、TPTE等による保護層15を形成する。
まず有機半導体層14をスピンコート法や印刷法等によって絶縁層13上に形成した後、保護層15を蒸着法やスピンコート法、キャップコート法、ディップコート法等により、絶縁層13上に形成する。
次いでこの保護層15上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによってゲート電極12の上方部分にのみレジストが残された状態とする。そしてこの残されたレジストをマスクとして保護層15、有機半導体層14をエッチングする。これにより、ゲート電極12の上方部にのみ有機半導体層14及び保護層15を配置する。
【0068】
また、絶縁層13上に形成される図示しない配線30や、補助容量電極49にはソース電極18、ドレイン電極19と同じ材料を用いることもでき、ソース電極18、ドレイン電極19の形成において同時に成膜してよい。
すなわち、絶縁層13及び保護層15上に、(第2の)金属層をスパッタや蒸着、印刷等によって成膜し、その金属層上にレジストを塗布する。そしてフォトリソグラフィによってレジストにソース電極18、ドレイン電極19、配線30、補助容量電極49のパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして金属層をエッチングすることで形成できる。
またこの際には、有機半導体層14が保護層15によって覆われているため、エッチング時に有機半導体層14が損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0069】
そして次に、ソース電極18、ドレイン電極19、配線30、補助容量電極49等の第2の金属層上に絶縁膜を形成する。この絶縁膜としては、例えば溶質として(C6F10O)nを、C8を主成分とする完全フッ素化物の混合物である溶媒に溶かしたものを塗布し、100℃にて10分間焼成することによって形成できる。
【0070】
次いでこの絶縁膜上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによってソース電極18、ドレイン電極19、保護層15を覆うレジストパターンを形成する。そしてこのレジストをマスクとして絶縁膜をRIE(Reactive Ion Etching)によりエッチングする。これにより図5Bに示す保護膜40を形成する。
【0071】
次に、図6Cに示すようにレジストを塗布し、層間絶縁膜41を形成する。このレジストには、表示素子300の構成部材として残すため、永久レジストを用いるのが好ましい。
そして補助容量電極49に貫通する貫通孔48をフォトリソグラフィによって形成する。
【0072】
この層間絶縁膜41上には、例えば蒸着、スパッタ、印刷、塗布法等によってピクセル電極42を形成する。このピクセル電極42は貫通孔48によってドレイン電極19に接続されることになる。またこのピクセル電極42には、第1の実施の形態において示したゲート電極2の材料から選択してよい。
【0073】
その後図6Eに示すように、絶縁部材43をピクセル電極42の外縁に形成する。この絶縁部材43は感光性樹脂によって構成することができ、例えばフォトリソグラフィによってパターンを形成する。
そして、表示層44として例えば液晶や有機電界発光材料を塗布形成し、次いで図6Fに示すように表示層44上に共通電極45を形成する。この共通電極45は、少なくとも表示層44に接する側がピクセル電極42に対して陰極として機能する材料によって構成するのが好ましい。
【0074】
既述のように、こうして製造される表示素子300は、有機半導体層14上に保護層15を配置してあるため、ソース・ドレイン電極形成時のエッチング処理によって有機半導体層14が損傷を受けるのを防ぐことができる。
また、この保護層15を有機半導体材料によって構成し、正孔注入層や正孔輸送層として用いれば移動度を向上させることができ、より高性能化を図ることが可能である。
さらに、保護層15形成のためのプロセスを新たに追加することなく、正孔注入層や正孔輸送層をそのまま保護層15として用いることができるため、コストも低減することができる。
【0075】
4.第4の実施の形態(マトリックス回路、ディスプレイ装置)
ここでは、本発明による半導体装置を用いてマトリックス回路を構成し、ディスプレイ装置に適用する例を挙げる。
図7は本実施の形態によるマトリックス回路400の概略構成を示す回路構成図である。なお、この図7ではマトリックス回路400に表示素子55を接続した状態を示してあり、例えばディスプレイ装置500としての構成も含む。
【0076】
本実施の形態によるマトリックス回路400は、複数の走査線57と、走査線57と交差する方向に配設される複数の信号線60とを備える。また、その交差毎に配置されるとともに、ドレイン電極が信号線60に接続され、ゲート電極が走査線57に接続される有機半導体装置51と、有機半導体装置51のソース電極に配置される静電容量52とを備える。
【0077】
複数の走査線57は走査線駆動回路56に接続されており、走査線駆動回路56から有機半導体装置51のゲート電極にパルス電圧を供給する。これにより有機半導体装置51のオン・オフを切り替える。
また、複数の信号線60は信号線駆動回路59に接続され、例えば任意のアナログ信号が供給される。そして走査線駆動回路56から供給されるパルス電圧によって有機半導体装置51がオンとされると、供給された信号が静電容量52に保持される。
この有機半導体装置51には、本発明の半導体装置、例えば、第1の実施の形態(図1)において示した有機半導体装置100を用いることができる。
【0078】
また図7に示すように、このマトリックス回路400に例えば表示素子55を接続することで、ディスプレイ装置500を構成してもよい。すなわち、走査線57と信号線60の交差毎に1つの画素エリアを割り当てる画素アレイとして構成することができる。
【0079】
この表示素子55は、例えば有機半導体装置53と有機電界発光素子54によって構成できる。有機半導体装置53のゲート電極は有機半導体装置51のソース電極に接続され、ソース電極は静電容量52を介して有機半導体装置51のソース電極に接続される。また、有機半導体装置51のソース電極は、電源供給線58によって定電圧源に接続される。
なおこの表示素子55には、例えば、第3の実施の形態(図5)において示した表示素子400を用いることができる。
【0080】
この場合には、走査線駆動回路56からのパルス電圧によって有機半導体装置51がオンとされると、信号線駆動回路59から供給される輝度情報に応じた映像信号が有機半導体装置51を流れ、静電容量52に保持される。
そして保持された信号量に応じた電流が有機半導体装置53から有機電界発光素子54に供給され、この電流値に応じた輝度で有機電界発光素子54が発光する。
また、有機電界発光素子54の代わりに、液晶等を配置し、各種の表示形態によるディスプレイ装置としてもよい。
【0081】
このように、本実施の形態によるマトリックス回路400では、有機半導体装置41として、本発明の半導体装置、例えば、第1の実施の形態による有機半導体装置100を用いる。
したがってこの有機半導体装置41は、その有機半導体層上に保護層を備えているため有機半導体層が損傷を受けておらず、高いオン・オフ比を有する。このため本実施の形態によるマトリックス回路400は高性能なスイッチ機能を示す。したがって、このマトリックス回路を用いたディスプレイ装置500は、より鮮明な映像を提供することが可能となる。
【0082】
5.第5の実施の形態(電子機器)
次に、本発明を電子機器に用いた例を、以下にいくつか挙げる。
【0083】
例えば図8のテレビジョン装置600では、映像表示部61上に例えばフィルターガラス62やフロントパネル63が載置される。本実施の形態においては、例えばこの映像表示部61に第4の実施の形態(図7)で示したディスプレイ装置500を用いることができる。
【0084】
また図9はビデオカメラ等の撮像装置700に適用する場合である。例えばバッテリ70は撮像装置700の後部に格納されている。またシャッタボタン72を押すと撮影が開始され、ズームレバ71を左右に傾けることで倍率調整を行うことができる。
また、レンズ部75を透って撮像された映像はモニタ73の映像表示部74で確認することができ、この映像表示部74に第4の実施の形態によるディスプレイ装置500を用いることができる。
【0085】
図10は携帯電話装置800の斜視図である。ここでは折りたたみ式の携帯電話装置を示してあり、例えば第1の筐体80には方向キー84やテンキー85、マイク86が配置される。また第2の筐体81にはスピーカ82や情報表示部83が配置され、この情報表示部83に、第4の実施の形態によるディスプレイ装置500を用いることができる。
【0086】
このように本発明を適用された各種電子機器は、その表示部を構成する有機半導体装置の有機半導体層上に保護層を備えている。このため有機半導体層が損傷を受けておらず、高いオン・オフ比を有する。したがって高性能なスイッチ機能を示し、より鮮明な映像を提供することが可能となる。
またここでは電子機器の映像表示機能を有する部位に適用する例を示したが、電子機器を構成する各種回路中に、本発明の半導体装置、例えば、第1の実施の形態(図1)による有機半導体装置を適用してもよい。
【0087】
以上、本発明による有機半導体装置及びその製造方法、表示素子、表示パネル、通信装置、電子機器について説明した。
本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、なお考えられる種々の形態を含むものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0088】
1,11・・・基板、2,12・・・ゲート電極、3・・・ゲート絶縁層、4,14・・・有機半導体層、5,15・・・保護層、6・・・金属膜、7・・・レジスト、8,18,98・・・ソース電極、9,19,99・・・ドレイン電極、13・・・絶縁層、24,25・・・シート、30,31,32・・・配線、40・・・保護膜、41・・・層間絶縁膜、42・・・ピクセル電極、43・・・絶縁部材、44・・・表示層、45・・・共通電極、46,49・・・補助容量電極、47・・・補助容量、48・・・貫通孔、51,53・・・半導体装置、52・・・静電容量、54・・・有機電界発光素子、56・・・走査線駆動回路、57・・・走査線、58・・・電源供給線、59・・・信号線駆動回路、60・・・信号線、21・・・基板、22・・・ループアンテナ、23・・・集積回路、61・・・映像表示部、62・・・フィルターガラス、63・・・フロントパネル、70・・・バッテリ、71・・・ズームレバ、72・・・シャッタボタン、73・・・モニタ、74・・・映像表示部、80,81・・・筐体、82・・・スピーカ、83・・・情報表示部、84・・・キー、51,53,100,210・・・有機半導体装置、200・・・無線通信センサ、300・・・表示素子、400・・・マトリックス回路、400・・・表示パネル、500・・・ディスプレイ装置、600・・・テレビジョン装置、700・・・撮像装置、800・・・携帯電話装置
【技術分野】
【0001】
本発明は有機半導体を用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。また、本発明は、この半導体装置を備えた、集積回路、マトリックス回路、表示素子、無線通信装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)は、例えばアクティブマトリックス型の液晶ディスプレイにおいて画素電極のスイッチングに用いられるなど、電子回路において欠かすことのできない素子となりつつある。
しかし、半導体材料としてアモルファスシリコンや多結晶シリコンを用いるSi系無機半導体トランジスタの場合、露光、ドーピング、成膜、エッチング等の精密かつ複雑な工程を必要とする。また、クリーンルームや真空装置など、設備も大型となるため、コストが高い。
【0003】
これに対して有機半導体トランジスタでは、常温・常圧での塗布成膜や有機半導体材料を溶媒に溶解しインク化することにより印刷成膜が可能となり、真空プロセスを必要としない。また材料の利用効率も高いので低コストかつ環境負荷も低減した薄膜トランジスタを形成することができる。他にもプラスチック等のフレキシブルな基板上への形成も可能であることから次世代トランジスタとして注目を集め、これまでに様々な製法が提案されてきた。
【0004】
有機半導体を用いて薄膜トランジスタを形成する場合、有機半導体層は、一般的な有機溶媒やアルコールなどに対して溶解性を示す。そのため、有機半導体層がそれらの溶媒に露出することを最小化するために、通常は、基板上の最下部に形成されたゲート電極上に形成された絶縁層上にソース電極及びドレイン電極を形成する。そして、ソース電極及びドレイン電極の表面と、有機半導体層の裏面とが接触するボトムコンタクト・ボトムゲート(BCBG)構造とするのが一般的である。
【0005】
しかし、ボトムゲートにおいて、ボトムコンタクト構造の場合、キャリア注入効率の問題により接触抵抗が大きくなっており、薄膜トランジスタの移動度が低下する。一方、有機半導体を用いてトップコンタクト・ボトムゲート(TCBG)の構造を形成する場合には、理論上薄膜トランジスタの特性は優れているが、実際にはパターニングに際して使用される有機溶媒により、薄膜トランジスタの特性が大幅に劣化する。
そのため、一般的には有機半導体層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成する場合には、シャドウマスク法が用いられている。その際、シャドウマスクの物理的な制約によってチャンネルの長さが数十μm以上となるため、薄膜トランジスタのオン電流が低下する。またさらには、トランジスタのサイズが大きくなり開口率及び解像度などに影響を与えるため、例えば実際のアクティブマトリックスアレイの集積化に適用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】K.Nomoto,N.Hirai,N.Yoneya,N.Kawashima,M.Noda,M.Wada and J.Kasahara IEEE Trans. Electron Devices 2005, 52, 1519.
【非特許文献2】Y.Y.Lin,D.J.Gundlach,S.F.Nelson andT.N.Jackson IEEE Trans. Electron Devices 1997, 44, 1325.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これを解決するために、有機半導体層上にフォトリソグラフィ工程によって高精度にソース・ドレイン電極をパターン形成する方法が検討されている。このTCBG型の素子構造を作製する方法を図11に示す。図11Aに示すように、基板90上のゲート電極91上にゲート絶縁膜92が形成される。そして、ゲート絶縁膜92上に有機半導体材料を塗布して有機半導体層93を形成し、この有機半導体層93上にソース・ドレイン電極となる金属膜94が形成される。
次に図11Bに示すように、金属膜94上にレジストを塗布して露光・現像を行い、ソース・ドレイン電極とする領域上にのみレジスト95が残されたパターンを形成する。
そして、図11Cに示すように、レジスト95をマスクとして金属膜94をエッチングすることで、ソース電極98、ドレイン電極99が形成される。
最後に図11Dに示すように、無機溶剤によってレジスト95を剥離、除去することによりTCBG型の有機TFT900が完成する。
【0008】
しかしこの手法の場合、レジスト95をマスクとして金属膜94をエッチングする際に、図11Cの領域T2における有機半導体層93の表面損傷が生じる。チャネル層表面にこのような損傷があると、サブスレッショルド特性が劣化し、オン/オフ比が低下してしまうことが問題であった。またBCBG構造の場合には、先にソース・ドレイン電極をゲート絶縁膜上に形成し、その上から有機半導体材料を塗布することが可能であるため、こうした問題はTCBG型の素子構造において特に顕著となる。
【0009】
また、他の方法として、リフトオフによってソース・ドレイン電極を形成する場合には、レジストを有機半導体層上に直接塗布することになる。このため、レジストに含まれる有機溶剤によってやはり有機半導体膜質が劣化してしまう。
【0010】
本発明は上記問題を鑑みて、エッチングによりソース・ドレイン電極を形成しても、有機半導体層が損傷を受けることなく、良好なオン/オフ比を示す有機半導体装置、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明による半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、このゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層とを備える。
そして、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、を備える。
【0012】
また本発明による集積回路は、上述の本発明による半導体装置を用いて構成するものである。したがって、本発明による集積回路を構成する半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層とを備える。
また、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、を備える。
【0013】
また本発明によるマトリックス回路は、複数の走査線と、走査線と交差する方向に配設された複数の信号線と、走査線と信号線の交差毎に配置され、ドレイン電極が信号線に接続され、ゲート電極が走査線に接続された半導体装置とを備える。また、この半導体装置のソース電極に接続された静電容量を備える。
また、マトリックス回路を構成するこの半導体装置には、上述の本発明による半導体装置を用いる。したがってこの半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層とを備える。そしてさらに、ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備える。
【0014】
また本発明による表示素子は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、この有機半導体層上全面に形成された保護層とを備える。
またさらに、この保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、ソース電極とドレイン電極及び保護層を覆って形成された保護膜と、保護膜を覆って形成された絶縁膜とを備える。
そして、この絶縁膜上に形成され、ドレイン電極に接続されたピクセル電極と、ピクセル電極上に配置された表示層とを備える。この表示層は、ピクセル電極からの電圧によって表示を切り替える表示機能を有するものであればよく、既知の各種形態をとってよい。
すなわち、上述の本発明による半導体装置上に例えば液晶や有機電界発光素子等を形成し、接続するものである。
【0015】
そして本発明による無線通信装置は、電波信号を送受信するループアンテナと、このループアンテナの両端に接続され、受信した電波信号の記録や、ループアンテナの駆動によるデータの送信を行う集積回路と、を備える。
また、この集積回路には上述の本発明による集積回路を用いるものである。したがって、この集積回路を構成する半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層を備える。またさらに、ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備える。
【0016】
そして本発明による電子機器は、上述の本発明による半導体装置を用いて構成される。すなわち、本発明による電子機器に用いられる半導体装置は、基板上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層とを備える。
そしてまた、このゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、この有機半導体層上全面に形成された保護層と、保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備える。
【0017】
また、本発明による半導体装置の製造方法は、基板上にゲート電極を形成するステップと、基板上にゲート電極を覆ってゲート絶縁層を形成するステップと、ゲート絶縁層上にp型有機半導体層を形成するステップとを有する。
また、p型有機半導体層上全面に保護層を形成するステップと、保護層上に導電性膜を形成し、導電性膜をエッチングすることによりソース電極及びドレイン電極を形成するステップと、を含む。
【0018】
本発明の有機半導体装置によれば、有機半導体層上に保護層を形成することで、エッチングによるソース・ドレイン電極の形成時に有機半導体層が損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0019】
また本発明の集積回路によれば、集積回路を構成する半導体装置の有機半導体層上に保護層が設けられている。このため有機半導体層は、その有機半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する際に受ける損傷から防がれている。したがって本発明による集積回路は、高品質、高性能な処理を行うことができる。
【0020】
またさらに、本発明の無線通信装置によれば、受信した電波信号の記録や、ループアンテナを駆動して電波信号の送信を行う集積回路に搭載される半導体装置の有機半導体層が、製造時に損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0021】
また本発明の表示素子によれば、例えば、画素毎に配置される発光素子に電荷を送る半導体装置の有機半導体層が、同様に製造時に損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0022】
また本発明によるマトリックス回路によれば、例えば画素のスイッチングを行う半導体装置の有機半導体層が、製造時に損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0023】
また、本発明の電子機器によれば、例えば画像表示部分や、その他の集積回路内における半導体装置の有機半導体層が、同様に製造時に損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0024】
そして、本発明の半導体装置の製造方法によれば、有機半導体層上全面に保護層を形成する。このため、有機半導体層上のソース電極及びドレイン電極をエッチングにより形成しても、有機半導体層が損傷を受けるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、エッチングによるソース・ドレイン電極の形成時に有機半導体層が損傷を受けるのを防ぐことができるので、高性能な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】A〜D 第1の実施の形態による有機半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】実施例による有機半導体装置の輸送特性を示す説明図である。
【図3】AはCuPcの分子構造を示す構造図である。BはC2Ph−PXXの分子構造を示す構造図である。
【図4】第2の実施の形態による無線通信センサを示す斜視図である。
【図5】Aは第3の実施の形態による表示素子の上面図である。またBは図4AのX−X’断面図である。
【図6】A〜F 第3の実施の形態による表示素子の製造方法を示す断面図である。
【図7】第4の実施の形態によるマトリックス回路、表示装置の構成を示す概略構成図である。
【図8】第5の実施の形態によるテレビジョン装置を示す斜視図である。
【図9】第5の実施の形態によるビデオカメラを示す斜視図である。
【図10】第5の実施の形態による携帯電話端末を示す斜視図である。
【図11】A〜D 従来の有機半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(有機薄膜トランジスタ)
1−1.製造方法
1−2.実施例
2.第2の実施の形態(集積回路、センサ)
3.第3の実施の形態(表示素子)
3−1.表示素子
3−2.製造方法
4.第4の実施の形態(マトリックス回路、ディスプレイ装置)
5.第5の実施の形態(電子機器)
【0028】
1.第1の実施の形態(有機薄膜トランジスタ)
1−1.製造方法
本発明の第1の実施の形態の有機半導体装置100を、その製造方法と共に、図1A〜図1Dの断面図に示す。
図1Aに示すように、まず基板1上にゲート電極2を形成する。
基板1やゲート電極2に用いる材料は特に限定するものではない。
基板1の材料には、例えば各種ガラス基板や石英基板、ポリエーテルスルホンやポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレートらが挙げられる。高分子材料から構成される基材を用いる場合には、フィルム、あるいはシート状のフレキシブルな基板であってもよい。
【0029】
また、ゲート電極2の材料には例えば白金、金、パラジウム、クロム、ニッケル、モリブデン、ニオブ、ネオジム、アルミニウム、銀、タンタル、タングステン、銅、ルビジウム、ロジウム、チタン、インジウム、錫等の金属、もしくは、これらの金属元素を含む合金や、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、ポリシリコン、アモルファスシリコン、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物を挙げることができる。また、これらの元素を含む層の積層構造であってもよい。
また他にも、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸といった有機材料を用いることもできる。
そしてゲート電極2の形成には例えばスパッタや蒸着、メッキ、金属ペーストや導電性高分子溶液を用いた印刷等の各種手法を用いることができ、ゲート電極2の材料に応じて選択する。
【0030】
そしてさらに、基板1上にゲート電極2を覆う形でゲート絶縁層3を形成する。ゲート絶縁層3には例えば二酸化シリコン、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン、SOG(スピンオングラス)、低誘電率SiOX系材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)等の酸化ケイ素系材料や、窒化ケイ素、Al2O3、金属酸化物高誘電絶縁膜にて例示される無機系絶縁材料を用いることができる。
【0031】
また有機系絶縁材料としては、ポリメチルメタクリレートやポリビニルフェノール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド等が挙げられ、これらの組み合わせを用いることもできる。
【0032】
またゲート絶縁層3の成膜には、無機材料を用いる場合には、例えばCVD法やスパッタリング法による成膜を行うことができる。一方、有機高分子材料からなるゲート絶縁膜3を成膜する際には、スピンコート等の塗布法や印刷法による成膜を行うことができる。
もしくは、ゲート電極2の表面を酸化または窒化することでゲート絶縁層3を形成してもよい。
【0033】
そしてゲート絶縁層3上に有機半導体層4を形成する。有機半導体層4の材料としては例えば、
ポリピロールおよびポリピロール置換体、
ポリチオフェンおよびポリチオフェン置換体、
ポリイソチアナフテンなどのイソチアナフテン類、
ポリチェニレンビニレンなどのチェニレンビニレン類、
ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、
ポリアニリンおよびポリアニリン置換体、
ポリアセチレン類、
ポリジアセチレン類、
ポリアズレン類、
ポリピレン類、
ポリカルバゾール類、
ポリセレノフェン類、
ポリフラン類、
ポリ(p−フェニレン)類、
ポリインドール類、
ポリピリダジン類、
ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーおよび多環縮合体、
上述した材料中のポリマーと同じ繰返し単位を有するオリゴマー類、
ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのアセン類およびアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)
金属フタロシアニン類、
テトラチアフルバレンおよびテトラチアフルバレン誘導体、
テトラチアペンタレンおよびテトラチアペンタレン誘導体、
ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N'−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N'−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、
ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、
アントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、
C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、
SWNTなどのカーボンナノチューブ、
メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素
等が挙げられるが、本発明においてはp型の有機半導体材料を用いるのが好ましい。
【0034】
この有機半導体層4の形成方法も特に限定するものではない。例えばスピンコート法、キャップコート法、ディップコート法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、といった各種塗布法や、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の印刷法、真空蒸着法等が挙げられるが、用いる有機半導体材料によって適宜選択するのが良い。
尚、この有機半導体層4をパターン形成する場合には、マスク蒸着法や印刷法、リフトオフ法等を用いることができる。
【0035】
次いで、図1Bに示すように、有機半導体層4上に保護層5を形成する。有機半導体層4にp型の半導体材料を用いる場合には、有機半導体層4の半導体材料よりも仕事関数の小さい有機半導体材料によって保護層5を構成するのが好ましい。
例えばα―NPD、TPD、CuPc、TPTE等の正孔輸送層、正孔注入層として用いることができる材料を用いるのが良い。
また、この保護層5の形成方法も特に限定するものではない。保護層5を有機半導体材料によって形成する場合には、スピンコート法やキャップコート法、ディップコート法等、有機半導体層4の形成方法において挙げた各種手法を選択することができる。
【0036】
この保護層5の形成後、図1Cに示すようにソース・ドレイン電極となる金属膜6を形成する。この金属膜6の材料としては、保護層5とオーミックコンタクトのとれる材料であれば特に限定するものではない。例えば、ゲート電極材料として挙げた上記材料から選択することができる。ただし、仕事関数が保護層5の材料よりも小さい材料を用いるのが好ましい。
またこの金属膜6の形成は、例えばスパッタや蒸着、メッキ、金属ペーストや導電性高分子溶液を用いた印刷等、ゲート電極2の形成方法と同じ方法を用いることができる。
【0037】
そしてレジスト7を金属膜6上に塗布し、金属膜6表面においてゲート電極2の中央付近上、かつ図1C中において、奥行き方向における領域が露出し、残りの領域がレジスト7によって覆われたパターンをフォトリソグラフィによって形成する。
【0038】
そして図1Dに示すように、このレジスト7をマスクとして金属膜6をウェットエッチングすることで、保護層5上にソース電極8及びドレイン電極9を形成する。次いで最後にレジスト7を溶剤による溶解洗浄等によって除去することで有機半導体装置100が完成する。
エッチング溶液としては、例えば硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸、フッ酸、過酸化水素水等の酸や、フッ化アンモニウム、ヨウ化カリウム、過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の塩、もしくはこれらの混合液からなる溶液を用いることができる。
【0039】
本発明による有機半導体装置100は、ソース電極8及びドレイン電極9と有機半導体層4との間に保護層5を介在させている。このため、金属膜6をエッチングすることによってソース電極8、ドレイン電極9を形成しても、露出するのは領域T1に示す保護層5の領域である。したがってエッチングによる有機半導体層4の損傷を防ぐことができる。
【0040】
またさらに、この保護層5を有機半導体材料によって形成すれば、正孔注入層や正孔輸送層として用いることが可能となる。したがって、有機半導体層4、保護層5、ソース電極8及びドレイン電極9の順に仕事関数が小さくなる材料構成とするのがよい。
すなわち保護層5を介在させるだけで、有機半導体層4の損傷を防ぐと同時に、チャネル層である有機半導体層4へのホール注入効果を高め、接触抵抗を低減することができる。したがって、素子の高性能化を低コストで実現することが可能となる。
また、本実施の形態はTCBG型であるため、ソース・ドレイン電極8,9の下面全体が保護層5の上面に接するため接触面積を大きくすることができる。したがって保護層5を正孔注入層として用いる場合の正孔注入効果をより高め、効率的に得ることが可能である。
【0041】
またこの保護層は1層に限定するものではなく、複数の層が積層されたものであってもよい。例えば、有機半導体層4上に第1の保護層としてα―NPD(IP=5.5ev)による層を形成し、この第1の保護層上に第2の保護層としてCuPc(IP=5.1eV)による層を形成してもよい。この場合のソース・ドレイン電極としては、例えばAu(IP=5eV)を用いることができる。
このように、例えば有機半導体層4、第1の保護層、第2の保護層、ソース電極8及びドレイン電極9の順に仕事関数が小さくなる構成とすることで、第1の保護層を正孔輸送層、第2の保護層を正孔注入層として用いることができる。これによって、より高性能化を図ることができる。
【0042】
なお、この保護層5の膜厚が薄過ぎるとエッチングに対する保護機能が損なわれる。またシート抵抗が有機半導体層4よりも小さくなるほどに厚過ぎると、保護層5を通って直接ソース・ドレイン電極間に電流が流れ、スイッチング特性が劣化する。したがって後述するように保護層5の膜厚は2nm以上135nm以下とするのが好ましい。
【0043】
1−2.実施例
ここで、保護層5の材料として図3Aに構造を示すCuPcを用い、上記方法により作製したTCBG型の有機半導体装置の輸送特性を図2に示す。いずれもチャネル長は100μm、チャネル幅は380μmとして作製したものである。
線L1は保護層5を形成せず有機半導体層4上に直接ソース電極8、ドレイン電極9を形成した場合であり、線L2は膜厚2nmの保護層5を形成した場合である。また、線L3は膜厚50nmの保護層5を形成した場合であり、線L4、線L5はそれぞれ膜厚135nm、145nmの保護層5を形成した場合である。また、それぞれの条件毎に2つずつ有機半導体装置を作製し、両方の特性を図2に示してある。
【0044】
なお、基板1にはSi基板を用いて、厚さ30nmのCu膜をスパッタにより成膜、フォトリソグラフィによってレジストをCu膜上にパターニングした後Cu膜をエッチングすることでゲート電極2を形成した。
またゲート絶縁層3はPVP(ポリビニルフェノール)をシクロペンタンに溶解させた溶液をスピンコート法により塗布し、焼成することで形成した。
【0045】
次いで、図3Bにその構造を示すC2Ph−PXXを含む溶液をゲート絶縁層3上に塗布し、焼成することで、有機半導体層4を形成した。また、有機半導体層4上に蒸着法によってCuPcによる保護層5を成膜し、この保護層5上にAu膜を蒸着して金属膜6を形成した。そしてこのAu膜上にレジスト7をフォトリソグラフィによってパターニングし、ウェットエッチングによってソース電極8、ドレイン電極9を形成した。
【0046】
図2の線L1に示すように、チャネル層とする有機半導体層とソース・ドレイン電極間に保護層を介在させなかった場合には、有機半導体層がエッチングによって表面損傷を受けたため、電流がほとんど流れていない。
これに対して、膜厚2nmの保護層を介在させた場合である線L2では、オン/オフ比が5桁以上の良好なスイッチング特性を示している。また膜厚が50nm、135nmの保護層を形成した線L3、L4においても、4桁以上のオン/オフ比が得られている。
したがって、本発明により保護層を介在させれば、チャネル層である有機半導体層の損傷を効果的に防げることが確認できる。
【0047】
しかし、保護層の膜厚が145nmである線L5ではオン電流が減少し、またオフ電流が増大してしまっており、オン・オフ比は2桁程度とゲート変調をほとんど受けていない。
これは、保護層の膜厚を厚くし過ぎたことにより保護層のシート抵抗が低下し、保護層内を通って直接ソース・ドレイン電極間を流れる電流が主電流となってしまったためである。
【0048】
またここでは例示しないが、保護層の膜厚が2nm未満の場合においても、チャネル層の保護効果が得られることがある。しかし、このような極薄の膜厚を常に均一に制御することは困難である。また厚さ2nm未満の場合には、保護層材料が、チャネル層とする有機半導体層上においてアイランド成長している状態であり、膜としては非常に不安定である。
またソース・ドレイン電極の形成時には、電極エッチングのオーバーエッチング時間や、エッチング溶液の濃度、温度等によって保護層へ与える負荷も変化する。しかし、こうした極薄の膜厚ではその影響が素子特性に反映されやすく、再現性に乏しい。
このため、保護層の膜厚は2nm以上135nm以下とするのが好ましい。
【0049】
また保護層の膜厚が50nmである線L3と、保護層の膜厚が135nmである線L4とを比較すると、保護層の膜厚が135nmの場合では、膜厚50nmの場合に比べてオン/オフ比が低下しているのがわかる。
また、保護層の膜厚が2nmである線L2と、保護層の膜厚が135nmである線L4とを比較しても、保護層の膜厚が2nmである場合の方が高いオン/オフ比が得られていることが確認できる。
このことから、最適な保護層の膜厚は少なくとも2nm以上50nm以下の範囲にあると言える。したがって保護層の膜厚は、さらには2nm以上50nm以下とするのがより好ましい。
【0050】
2.第2の実施の形態(集積回路、センサ)
次に、上記の半導体装置によって集積回路を構成し、いわゆるICタグ等の無線通信センサに適用する例について図4を参照して説明する。
図4は、本実施の形態による無線通信センサ200の概略構成を示す斜視図である。本実施の形態による無線通信センサ200は、例えば基板21と、基板21上に形成されるループアンテナ22と、ループアンテナ22の両端に接続される集積回路23とを備える。
【0051】
集積回路23はメモリを内蔵しており、ここに例えば個人情報や商品情報といった各種情報が記録される。またループアンテナ22は、図示しないリーダやライタからの電波信号を受けると電磁誘導等の磁気的結合により高周波信号を誘起し、この高周波信号の電力によって集積回路23を駆動する。
【0052】
集積回路23は、ループアンテナ22に誘起された高周波信号を処理することで、ライタから送信された情報を集積回路23に内臓されたメモリに記録する。またさらに集積回路23はループアンテナを駆動することで、メモリに記録された情報をリーダに送信する。
【0053】
すなわち、本実施の形態においては電源を必要としないパッシブ型の無線通信センサを例としており、このため薄型化に有利である。また、基板21の上面、裏面側をシート24、25により覆ってあってもよい。
【0054】
また、本実施の形態による無線通信センサ200では、集積回路53を、本発明の半導体装置を用いて、例えば、第1の実施の形態(図1)において示した有機半導体装置100を用いて構成するものである。
ICタグ等の無線通信センサにおいては、内蔵される集積回路を有機薄膜トランジスタによって構成することでセンサ全体を薄いフィルム状に形成することが可能となる。
また集積回路23を構成する有機半導体装置100は、その有機半導体層上に保護層を有しているため、ソース・ドレイン電極形成時に損傷を受けていない。このため、ばらつき無く高品質なセンサを提供することが可能である。またさらに、保護層を有機半導体材料によって構成し、これを正孔注入層や正孔輸送層として用いることにより、有機半導体装置100の移動度を向上させることができるので、より高性能化を図ることができる。
【0055】
3.第3の実施の形態(表示素子)
3−1.表示素子
次に、本発明の半導体装置によって、例えば液晶ディスプレイ等に用いられる表示素子を構成する例について説明する。
図5Aは本実施の形態による表示素子300の上面図である。また、図5Bは図4AのX−X’断面図である。
【0056】
基板11上には第1の金属層であるゲート電極12と補助容量電極46、配線31、32が形成され、その上に絶縁層13が形成される。このゲート電極12は図5Aに示すように例えば配線31に接続され、また補助容量電極46は例えば配線32に接続される。
【0057】
また、ゲート電極12の上方部分には、絶縁層13上に有機半導体層14が形成され、この有機半導体層14の全面に渡ってその上に保護層15が形成される。
なお、ここで有機半導体層14としてはp型の材料を用いる場合を示している。したがって、保護層15は第1の実施の形態(図1)において示したように、正孔注入層、正孔輸送層としても用いるのが好ましい。
【0058】
そしてこの保護層15上には、第2の金属層としてソース電極18とドレイン電極19、配線30、補助容量電極49が形成される。このソース電極18は図5Aに示すように配線30に接続され、またドレイン電極19は補助容量電極49に接続される。
この補助容量電極49は補助容量電極46上に配置されており、これにより絶縁層13を誘電体とした補助容量47が構成される。
【0059】
またソース電極18、ドレイン電極19、保護層15を覆うように保護膜40が配置される。また、この保護膜40と第2の金属層である補助容量電極49、ソース電極18、ドレイン電極19、配線30上に層間絶縁膜41が形成される。
【0060】
この層間絶縁膜41は、表面が平坦化された平坦化膜として形成されていることが好ましい。また、補助容量電極49上において貫通孔48が設けられており、第3の金属層である層間絶縁膜41上のピクセル電極42と接続される。またピクセル電極42は高い光反射率を有するのが好ましい。
【0061】
ピクセル電極42上には例えば表示層44が配置され、この表示層44は絶縁部材43によって所望の発光領域(画素領域)に区分けされる。すなわち、区分けされた1画素毎の領域が画素開口となる。
また、自発光型の表示素子とする場合には、例えば有機層44は少なくとも有機電界発光層を備えた積層構造によって構成することができる。例えばピクセル電極42側から順に正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層等によって構成すればよい。
【0062】
そしてこの表示層44上に、ピクセル電極42と対向する共通電極45が配置される。この共通電極45は、表示層44において発光した光を透過させるように光透過性材料によって構成される。
またここでは図示しないが、共通電極45上には光透過性材料からなる封止層を形成し、さらにその上に光透過性の基板を張り合わせてもよい。
【0063】
以上のような表示素子300では、配線32を定電圧源に接続し、配線30から入力電圧を入力することでソース・ドレイン電極間が導通し、電流が流れる。そして流れた電流はピクセル電極42を通じて表示層44に供給され、供給された電流量に応じた輝度で例えば表示層44内の有機電界発光層が発光する。
【0064】
また、本実施の形態においては、上述の自発光型の表示素子に限るものではない。すなわち、表示のスイッチングに上記第1の実施の形態による有機半導体装置100を用いるものであり、各種の表示素子に適宜適用できる。
そして、表示層44は、ピクセル電極42からの電圧によって表示を切り替える表示機能を有するものであればよく、既知の各種形態をとってよい。
例えば、液晶表示素子とする場合には、表示層44を例えば液晶層と配向膜によって構成し、ピクセル電極42及び共通電極45間の電圧によって、液晶の配向を制御するように構成すればよい。
【0065】
また、電気泳動型の表示素子とする場合には、表示層44を例えばマイクロカプセルによって構成することができる。
このマイクロカプセル内部には、例えば液体と、着色した荷電粒子が充填されており、ピクセル電極42及び共通電極45間の電圧によって、マイクロカプセルの上部または底部に荷電粒子が引き付けられる。この荷電粒子の移動によって表示を切り替えることが可能である。
【0066】
3−2.製造方法
次に本実施の形態による表示素子300の製造方法について、図6を参照して以下に説明する。
図6Aに示すように、まず基板11上に有機半導体装置310を形成する。この有機半導体装置310には、第1の実施の形態(図1)において示した有機半導体装置100を用いることができる。
ただし、本実施の形態においてはゲート電極12の隣に補助容量電極46を形成する。この補助容量電極46はスパッタや蒸着、印刷等、第1の実施の形態において示したゲート電極2と同様の方法によりゲート電極12と同時に形成することができる。また材料には第1の実施の形態においてゲート電極2の材料として示したものの中から選択してよい。
【0067】
また、ゲート電極12上方の絶縁層13上に有機半導体層14を形成するが、ここでは有機半導体層14にp型の材料を用い、その上には例えばα―NPD、TPD、CuPc、TPTE等による保護層15を形成する。
まず有機半導体層14をスピンコート法や印刷法等によって絶縁層13上に形成した後、保護層15を蒸着法やスピンコート法、キャップコート法、ディップコート法等により、絶縁層13上に形成する。
次いでこの保護層15上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによってゲート電極12の上方部分にのみレジストが残された状態とする。そしてこの残されたレジストをマスクとして保護層15、有機半導体層14をエッチングする。これにより、ゲート電極12の上方部にのみ有機半導体層14及び保護層15を配置する。
【0068】
また、絶縁層13上に形成される図示しない配線30や、補助容量電極49にはソース電極18、ドレイン電極19と同じ材料を用いることもでき、ソース電極18、ドレイン電極19の形成において同時に成膜してよい。
すなわち、絶縁層13及び保護層15上に、(第2の)金属層をスパッタや蒸着、印刷等によって成膜し、その金属層上にレジストを塗布する。そしてフォトリソグラフィによってレジストにソース電極18、ドレイン電極19、配線30、補助容量電極49のパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして金属層をエッチングすることで形成できる。
またこの際には、有機半導体層14が保護層15によって覆われているため、エッチング時に有機半導体層14が損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0069】
そして次に、ソース電極18、ドレイン電極19、配線30、補助容量電極49等の第2の金属層上に絶縁膜を形成する。この絶縁膜としては、例えば溶質として(C6F10O)nを、C8を主成分とする完全フッ素化物の混合物である溶媒に溶かしたものを塗布し、100℃にて10分間焼成することによって形成できる。
【0070】
次いでこの絶縁膜上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによってソース電極18、ドレイン電極19、保護層15を覆うレジストパターンを形成する。そしてこのレジストをマスクとして絶縁膜をRIE(Reactive Ion Etching)によりエッチングする。これにより図5Bに示す保護膜40を形成する。
【0071】
次に、図6Cに示すようにレジストを塗布し、層間絶縁膜41を形成する。このレジストには、表示素子300の構成部材として残すため、永久レジストを用いるのが好ましい。
そして補助容量電極49に貫通する貫通孔48をフォトリソグラフィによって形成する。
【0072】
この層間絶縁膜41上には、例えば蒸着、スパッタ、印刷、塗布法等によってピクセル電極42を形成する。このピクセル電極42は貫通孔48によってドレイン電極19に接続されることになる。またこのピクセル電極42には、第1の実施の形態において示したゲート電極2の材料から選択してよい。
【0073】
その後図6Eに示すように、絶縁部材43をピクセル電極42の外縁に形成する。この絶縁部材43は感光性樹脂によって構成することができ、例えばフォトリソグラフィによってパターンを形成する。
そして、表示層44として例えば液晶や有機電界発光材料を塗布形成し、次いで図6Fに示すように表示層44上に共通電極45を形成する。この共通電極45は、少なくとも表示層44に接する側がピクセル電極42に対して陰極として機能する材料によって構成するのが好ましい。
【0074】
既述のように、こうして製造される表示素子300は、有機半導体層14上に保護層15を配置してあるため、ソース・ドレイン電極形成時のエッチング処理によって有機半導体層14が損傷を受けるのを防ぐことができる。
また、この保護層15を有機半導体材料によって構成し、正孔注入層や正孔輸送層として用いれば移動度を向上させることができ、より高性能化を図ることが可能である。
さらに、保護層15形成のためのプロセスを新たに追加することなく、正孔注入層や正孔輸送層をそのまま保護層15として用いることができるため、コストも低減することができる。
【0075】
4.第4の実施の形態(マトリックス回路、ディスプレイ装置)
ここでは、本発明による半導体装置を用いてマトリックス回路を構成し、ディスプレイ装置に適用する例を挙げる。
図7は本実施の形態によるマトリックス回路400の概略構成を示す回路構成図である。なお、この図7ではマトリックス回路400に表示素子55を接続した状態を示してあり、例えばディスプレイ装置500としての構成も含む。
【0076】
本実施の形態によるマトリックス回路400は、複数の走査線57と、走査線57と交差する方向に配設される複数の信号線60とを備える。また、その交差毎に配置されるとともに、ドレイン電極が信号線60に接続され、ゲート電極が走査線57に接続される有機半導体装置51と、有機半導体装置51のソース電極に配置される静電容量52とを備える。
【0077】
複数の走査線57は走査線駆動回路56に接続されており、走査線駆動回路56から有機半導体装置51のゲート電極にパルス電圧を供給する。これにより有機半導体装置51のオン・オフを切り替える。
また、複数の信号線60は信号線駆動回路59に接続され、例えば任意のアナログ信号が供給される。そして走査線駆動回路56から供給されるパルス電圧によって有機半導体装置51がオンとされると、供給された信号が静電容量52に保持される。
この有機半導体装置51には、本発明の半導体装置、例えば、第1の実施の形態(図1)において示した有機半導体装置100を用いることができる。
【0078】
また図7に示すように、このマトリックス回路400に例えば表示素子55を接続することで、ディスプレイ装置500を構成してもよい。すなわち、走査線57と信号線60の交差毎に1つの画素エリアを割り当てる画素アレイとして構成することができる。
【0079】
この表示素子55は、例えば有機半導体装置53と有機電界発光素子54によって構成できる。有機半導体装置53のゲート電極は有機半導体装置51のソース電極に接続され、ソース電極は静電容量52を介して有機半導体装置51のソース電極に接続される。また、有機半導体装置51のソース電極は、電源供給線58によって定電圧源に接続される。
なおこの表示素子55には、例えば、第3の実施の形態(図5)において示した表示素子400を用いることができる。
【0080】
この場合には、走査線駆動回路56からのパルス電圧によって有機半導体装置51がオンとされると、信号線駆動回路59から供給される輝度情報に応じた映像信号が有機半導体装置51を流れ、静電容量52に保持される。
そして保持された信号量に応じた電流が有機半導体装置53から有機電界発光素子54に供給され、この電流値に応じた輝度で有機電界発光素子54が発光する。
また、有機電界発光素子54の代わりに、液晶等を配置し、各種の表示形態によるディスプレイ装置としてもよい。
【0081】
このように、本実施の形態によるマトリックス回路400では、有機半導体装置41として、本発明の半導体装置、例えば、第1の実施の形態による有機半導体装置100を用いる。
したがってこの有機半導体装置41は、その有機半導体層上に保護層を備えているため有機半導体層が損傷を受けておらず、高いオン・オフ比を有する。このため本実施の形態によるマトリックス回路400は高性能なスイッチ機能を示す。したがって、このマトリックス回路を用いたディスプレイ装置500は、より鮮明な映像を提供することが可能となる。
【0082】
5.第5の実施の形態(電子機器)
次に、本発明を電子機器に用いた例を、以下にいくつか挙げる。
【0083】
例えば図8のテレビジョン装置600では、映像表示部61上に例えばフィルターガラス62やフロントパネル63が載置される。本実施の形態においては、例えばこの映像表示部61に第4の実施の形態(図7)で示したディスプレイ装置500を用いることができる。
【0084】
また図9はビデオカメラ等の撮像装置700に適用する場合である。例えばバッテリ70は撮像装置700の後部に格納されている。またシャッタボタン72を押すと撮影が開始され、ズームレバ71を左右に傾けることで倍率調整を行うことができる。
また、レンズ部75を透って撮像された映像はモニタ73の映像表示部74で確認することができ、この映像表示部74に第4の実施の形態によるディスプレイ装置500を用いることができる。
【0085】
図10は携帯電話装置800の斜視図である。ここでは折りたたみ式の携帯電話装置を示してあり、例えば第1の筐体80には方向キー84やテンキー85、マイク86が配置される。また第2の筐体81にはスピーカ82や情報表示部83が配置され、この情報表示部83に、第4の実施の形態によるディスプレイ装置500を用いることができる。
【0086】
このように本発明を適用された各種電子機器は、その表示部を構成する有機半導体装置の有機半導体層上に保護層を備えている。このため有機半導体層が損傷を受けておらず、高いオン・オフ比を有する。したがって高性能なスイッチ機能を示し、より鮮明な映像を提供することが可能となる。
またここでは電子機器の映像表示機能を有する部位に適用する例を示したが、電子機器を構成する各種回路中に、本発明の半導体装置、例えば、第1の実施の形態(図1)による有機半導体装置を適用してもよい。
【0087】
以上、本発明による有機半導体装置及びその製造方法、表示素子、表示パネル、通信装置、電子機器について説明した。
本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、なお考えられる種々の形態を含むものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0088】
1,11・・・基板、2,12・・・ゲート電極、3・・・ゲート絶縁層、4,14・・・有機半導体層、5,15・・・保護層、6・・・金属膜、7・・・レジスト、8,18,98・・・ソース電極、9,19,99・・・ドレイン電極、13・・・絶縁層、24,25・・・シート、30,31,32・・・配線、40・・・保護膜、41・・・層間絶縁膜、42・・・ピクセル電極、43・・・絶縁部材、44・・・表示層、45・・・共通電極、46,49・・・補助容量電極、47・・・補助容量、48・・・貫通孔、51,53・・・半導体装置、52・・・静電容量、54・・・有機電界発光素子、56・・・走査線駆動回路、57・・・走査線、58・・・電源供給線、59・・・信号線駆動回路、60・・・信号線、21・・・基板、22・・・ループアンテナ、23・・・集積回路、61・・・映像表示部、62・・・フィルターガラス、63・・・フロントパネル、70・・・バッテリ、71・・・ズームレバ、72・・・シャッタボタン、73・・・モニタ、74・・・映像表示部、80,81・・・筐体、82・・・スピーカ、83・・・情報表示部、84・・・キー、51,53,100,210・・・有機半導体装置、200・・・無線通信センサ、300・・・表示素子、400・・・マトリックス回路、400・・・表示パネル、500・・・ディスプレイ装置、600・・・テレビジョン装置、700・・・撮像装置、800・・・携帯電話装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、
前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、
前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
を有する
半導体装置。
【請求項2】
前記保護層は有機半導体によって構成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記保護層は少なくとも正孔注入層または正孔輸送層のいずれか1層を含む請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記保護層の膜厚は、2nm以上135nm以下である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記保護層の膜厚は、2nm以上50nm以下である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、を有する半導体装置を備えた
集積回路。
【請求項7】
複数の走査線と、前記走査線と交差する方向に配設された複数の信号線と、
基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備えるとともに、前記走査線と信号線の交差毎に配置され、前記ドレイン電極が前記信号線に接続され、前記ゲート電極が前記走査線に接続された半導体装置と、
前記半導体装置のソース電極に接続された静電容量と、
を備えた
マトリックス回路。
【請求項8】
基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、
前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、
前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極及び前記保護層を覆って形成された保護膜と、
前記保護膜を覆って形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、前記ドレイン電極に接続されたピクセル電極と、
前記ピクセル電極上に配置された表示層と、
を備えた
表示素子。
【請求項9】
電波信号を送受信するループアンテナと、
前記ループアンテナの両端に接続され、受信した前記電波信号の記録及び前記ループアンテナの駆動によるデータの送信を行い、基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備える半導体装置を含む集積回路と、
を備える
無線通信装置。
【請求項10】
基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを含む半導体装置を備える
電子機器。
【請求項11】
基板上にゲート電極を形成するステップと、
前記基板上に前記ゲート電極を覆ってゲート絶縁層を形成するステップと、
前記ゲート絶縁層上にp型有機半導体層を形成するステップと、
前記p型有機半導体層上全面に保護層を形成するステップと、
前記保護層上に導電性膜を形成し、前記導電性膜をエッチングすることによりソース電極及びドレイン電極を形成するステップと、
を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記保護層を有機半導体により形成する請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記保護層を、正孔注入層または正孔輸送層のうち少なくとも1層により形成する請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、
前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、
前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
を有する
半導体装置。
【請求項2】
前記保護層は有機半導体によって構成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記保護層は少なくとも正孔注入層または正孔輸送層のいずれか1層を含む請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記保護層の膜厚は、2nm以上135nm以下である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記保護層の膜厚は、2nm以上50nm以下である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、を有する半導体装置を備えた
集積回路。
【請求項7】
複数の走査線と、前記走査線と交差する方向に配設された複数の信号線と、
基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備えるとともに、前記走査線と信号線の交差毎に配置され、前記ドレイン電極が前記信号線に接続され、前記ゲート電極が前記走査線に接続された半導体装置と、
前記半導体装置のソース電極に接続された静電容量と、
を備えた
マトリックス回路。
【請求項8】
基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、
前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、
前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極及び前記保護層を覆って形成された保護膜と、
前記保護膜を覆って形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、前記ドレイン電極に接続されたピクセル電極と、
前記ピクセル電極上に配置された表示層と、
を備えた
表示素子。
【請求項9】
電波信号を送受信するループアンテナと、
前記ループアンテナの両端に接続され、受信した前記電波信号の記録及び前記ループアンテナの駆動によるデータの送信を行い、基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを備える半導体装置を含む集積回路と、
を備える
無線通信装置。
【請求項10】
基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたp型有機半導体層と、前記p型有機半導体層上全面に形成された保護層と、前記保護層上に形成されたソース電極及びドレイン電極とを含む半導体装置を備える
電子機器。
【請求項11】
基板上にゲート電極を形成するステップと、
前記基板上に前記ゲート電極を覆ってゲート絶縁層を形成するステップと、
前記ゲート絶縁層上にp型有機半導体層を形成するステップと、
前記p型有機半導体層上全面に保護層を形成するステップと、
前記保護層上に導電性膜を形成し、前記導電性膜をエッチングすることによりソース電極及びドレイン電極を形成するステップと、
を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記保護層を有機半導体により形成する請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記保護層を、正孔注入層または正孔輸送層のうち少なくとも1層により形成する請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−119529(P2011−119529A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276618(P2009−276618)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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