半導体装置の製造方法
【課題】パターン疎密差の影響を受けないハードマスク形成法を提供する。
【解決手段】基板101上に、第1から第3の膜111,112,113およびレジスト層114を形成した後、疎部R1と密部R2が存在するパターンを前記レジスト層に形成して前記第3の膜をエッチングする。次に、前記第3の膜及び前記レジスト層をマスクとして、密部R2内では前記第2の膜が残存するが、疎部R1内では前記第1の膜が露出するまで、前記第2の膜を除去する。その後CXFYHZガスを使用して、第5の膜115を、疎部R1内に露出した前記第1の膜上に第1の膜厚T1で形成し、密部R2内に残存する前記第2の膜上には膜厚T1よりも薄い第2の膜厚T2で形成する。膜厚T1の前記第5の膜で疎部R1内に露出した前記第1の膜を保護しながら密部R2内に残存する前記第2の膜を除去し、最後に、前記第3から第5の膜を除去して前記第2の膜をハードマスクとする。
【解決手段】基板101上に、第1から第3の膜111,112,113およびレジスト層114を形成した後、疎部R1と密部R2が存在するパターンを前記レジスト層に形成して前記第3の膜をエッチングする。次に、前記第3の膜及び前記レジスト層をマスクとして、密部R2内では前記第2の膜が残存するが、疎部R1内では前記第1の膜が露出するまで、前記第2の膜を除去する。その後CXFYHZガスを使用して、第5の膜115を、疎部R1内に露出した前記第1の膜上に第1の膜厚T1で形成し、密部R2内に残存する前記第2の膜上には膜厚T1よりも薄い第2の膜厚T2で形成する。膜厚T1の前記第5の膜で疎部R1内に露出した前記第1の膜を保護しながら密部R2内に残存する前記第2の膜を除去し、最後に、前記第3から第5の膜を除去して前記第2の膜をハードマスクとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の配線形成工程では、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜で形成されたハードマスクを用いて配線層をエッチングする手法が主流となっている。ハードマスクは例えば、下地膜である配線層上に、ハードマスク材、レジスト膜を順に形成し、レジスト膜をパターニングし、レジスト膜をマスクとするドライエッチングにより、ハードマスク材をエッチングすることで形成される。当該ドライエッチングは例えば、CHF3とCF4とを含むガス系を用いてプラズマを励起させることで行われる。
【0003】
また近年、半導体装置の微細化、高集積化に伴い、マスクパターンに疎密がある場合であっても、形状制御性よくエッチングを行うことが求められている。しかしながら、上記ガス系の場合、パターンが疎な部分(疎部)と密な部分(密部)との間でエッチング形状に差異が生じる。
【0004】
上記ガス系によるドライエッチングでは、CAFB(A、Bは1以上の整数)で表されるラジカル種がプラズマ中で生成され、これがハードマスク材を構成するシリコン窒化膜やシリコン酸化膜と反応してSiF4等の反応生成物が気化脱離し、これによりエッチングが促進されることとなる。しかしながら、密部では、パターン間の溝の間隔が狭いため、溝内にラジカル種が入りにくく、ハードマスク材のエッチング速度が遅くなる。一方、疎部では、パターン間の溝の間隔が広いため、溝内にラジカル種が入りやすく、ハードマスク材のエッチング速度が速くなる。
【0005】
その結果、疎部では、溝内における配線層(下地膜)の削れ量が大きくなり、逆に密部では、溝内における配線層の削れ量が小さくなる。そのため、ハードマスクを用いて配線層をエッチングする際、疎部にて本来エッチングすべきでない基板がエッチングされてしまう、あるいは密部にて本来エッチングして除去すべき配線層が残存してしまうという問題が生じる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A. Misaka et al. "Simulation study of micro-loading phenomena in silicon dioxide hole etching", Electron Devices, IEEE Transactions, Volume 44, Issue 5, Page 751-760 (May 1997).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、マスクパターンに疎密のあるハードマスクを形成する場合において、疎部と密部との間における下地膜の削れ量の差を低減することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様の半導体装置の製造方法では、基板上に、第1の膜、第2の膜、第3の膜、及び第4の膜を順に形成する。更に、前記方法では、前記第4の膜をパターニングして、前記基板上に、前記第4の膜のパターンが疎に存在する疎部と、前記第4の膜のパターンが密に存在する密部とを形成する。更に、前記方法では、前記第4の膜をマスクとして、前記パターン間の前記第3の膜をエッチングする。更に、前記方法では、前記第3及び第4の膜をマスクとするエッチングにより、前記疎部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去すると共に、前記密部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第2の膜が残存するよう除去する。更に、前記方法では、CXFYHZガス(X、Y、Zは0以上の整数。ただし0<Y<2Xかつ0≦Z≦4)を使用して、第5の膜を、前記疎部内に露出した前記第1の膜上に第1の膜厚で形成すると共に、前記密部内に残存する前記第2の膜上に、前記第1の膜厚よりも薄い第2の膜厚で形成する。更に、前記方法では、前記第3から第5の膜をマスクとするエッチングにより、前記密部内の前記パターン間に残存する前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去する。更に、前記方法では、前記密部内の前記パターン間の前記第2の膜の除去後に、前記疎部内及び前記密部内の前記第4及び第5の膜又は前記第3から第5の膜を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(1/9)である。
【図2】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(2/9)である。
【図3】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(3/9)である。
【図4】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(4/9)である。
【図5】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(5/9)である。
【図6】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(6/9)である。
【図7】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(7/9)である。
【図8】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(8/9)である。
【図9】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(9/9)である。
【図10】種々のCXFYHZガスのY/Xの値を示したグラフである。
【図11】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法の適用例について説明するための側方断面図である。
【図12】FリッチなCXFYHZガスにより形成された第5の膜のエッチング抑制作用について説明するための模式的な側方断面図である。
【図13】CリッチなCXFYHZガスにより形成された第5の膜のエッチング抑制作用について説明するための模式的な側方断面図である。
【図14】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例について説明するための側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図9は、本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図である。
【0012】
本方法ではまず、図1に示すように、基板101上に、下地膜であるポリシリコン膜111を形成する。ポリシリコン膜111は、本発明の第1の膜の例である。ポリシリコン膜111の膜厚は、ここでは150nmとする。基板101は例えば、シリコン基板等の半導体基板である。
【0013】
次に、図1に示すように、ポリシリコン膜111上に、第1のハードマスク材であるシリコン窒化膜112と、第2のハードマスク材であるシリコン酸化膜113と、レジスト膜114とを順に形成する。シリコン窒化膜112、シリコン酸化膜113、レジスト膜114はそれぞれ、本発明の第2の膜、第3の膜、第4の膜の例である。シリコン窒化膜112は例えば、減圧化学気相成長法(減圧CVD法)により形成される。シリコン窒化膜112の膜厚は、ここでは200nm程度とする。また、レジスト膜114の膜厚は、ここでは100nm程度とする。
【0014】
次に、図2に示すように、リソグラフィによりレジスト膜114をパターニングして、基板101上に、レジスト膜114のパターンが疎に存在する疎部R1と、レジスト膜114のパターンが密に存在する密部R2とを形成する。
【0015】
図2では、疎部R1内のレジスト膜114のパターンが、P1で示され、密部R2内のレジスト膜114のパターンが、P2で示されている。図2では更に、これらのパターン間の溝のうち、疎部R1内の溝がV1で示され、密部R2内の溝がV2で示されている。
【0016】
本実施形態では、レジスト膜114のパターンは、ライン状の平面形状を有するラインパターンとなっており、疎部R1内及び密部R2内の各々で、一定のライン幅及びスペース幅を有している。また、本実施形態では、疎部R1内及び密部R2内の各々で、ライン幅とスペース幅が同じ値に設定されている。図2では、疎部R1内におけるライン幅及びスペース幅が、W1で示され、密部R2内におけるライン幅及びスペース幅が、W2で示されている。
【0017】
本実施形態では、幅W1,W2が、W1>W2の関係を満たすよう設定されており、これにより、領域R1が疎部、領域R2が密部となっている。本実施形態では、幅W1は、200nm以上に設定され、幅W2は、200nm以下に設定されている。なお、疎部R1内及び密部R2内の各々で、ライン幅とスペース幅は異なる値に設定しても構わない。
【0018】
また、本実施形態では、密部R2内のパターンP2は、複数本のパターンからなる密集パターンとなっており、互いに平行に形成されている。そして、密部R2内におけるスペース幅W2は、図2に示すように、隣接するパターンP2間の距離となっている。一方、疎部R1内のパターンP1は、1本のパターンからなる孤立パターンとなっており、密部R2内のパターンP2と平行に形成されている。そして、疎部R1内におけるスペース幅W1は、図2に示すように、隣接するパターンP1とパターンP2との間の距離となっている。
【0019】
なお、疎部R1内のパターンP1は、密部R2内のパターンP2と同様、複数本のパターンからなる密集パターンとしても構わない。
【0020】
次に、図3に示すように、レジスト膜114をマスクとするドライエッチングにより、溝V1,V2内のシリコン酸化膜113を除去する。続いて、図4に示すように、レジスト膜114及びシリコン酸化膜113をマスクとするドライエッチングにより、溝V1,V2内のシリコン窒化膜112を除去する。これらのドライエッチングのエッチング条件は、次の通りである。
・使用するプラズマ装置:平行平板型反応性プラズマエッチング装置
・使用するエッチングガス(括弧内は流量):以下のガスを含有する混合ガス
CHF3ガス(225sccm)
CF4ガス(45sccm)
Arガス(537sccm)
O2ガス(26sccm)
・ソースパワー:600W(100MHz)
・バイアスパワー:300W(13.56MHz)
・圧力:40mT
【0021】
図3及び図4のエッチング時には、プラズマ中で解離され生成されたラジカル種が、溝V1,V2内に入り込み、エッチングを促進させる。しかしながら、密部R2では、スペース幅W2が狭いため、溝V2内にラジカル種が入りにくく、シリコン酸化膜113やシリコン窒化膜112のエッチング速度が遅くなる。一方、疎部R1では、スペース幅W1が広いため、溝V1内にラジカル種が入りやすく、シリコン酸化膜113やシリコン窒化膜112のエッチング速度が速くなる。
【0022】
その結果、図3に示すように、溝V1,V2内のシリコン酸化膜113のエッチングが終了した直後の時点で、溝V1内では、シリコン窒化膜112の削れ量が大きくなり、逆に溝V2内では、シリコン窒化膜112の削れ量が小さくなる。即ち、疎部R1と密部R2との間で、シリコン窒化膜112の削れ量に差が生じる。この削れ量の差は、図4のエッチングを通じて更に広がる。
【0023】
そのため、図4のエッチングを、溝V2がポリシリコン膜111に到達するまで行おうとすると、溝V1内のポリシリコン膜111が大きくオーバーエッチングされてしまう。このようなオーバーエッチングは、後述するポリシリコン膜111のエッチングの際に、溝V2内にポリシリコン膜111が残存したり、溝V1内の基板101がエッチングされる原因となってしまう。
【0024】
そこで、本実施形態では、図4のエッチングを、溝V1がポリシリコン膜111に到達するまで行い、図4に示すように、疎部R1内では、溝V1内のシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去すると共に、密部R2内では、溝V2内のシリコン窒化膜112を、シリコン窒化膜112が残存するよう除去する。これにより、本実施形態では、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを抑制することが可能となる。溝V2内に残存するシリコン窒化膜112は、後述する図5及び図6の工程にて除去されることとなる。
【0025】
なお、図4のエッチングは、溝V1内のポリシリコン膜111の削れ量(オーバーエッチング量)が小さくなるよう、溝V1がポリシリコン膜111に到達した直後に終了するようにすることが望ましい。
【0026】
次に、図5に示すように、疎部R1上及び密部R2上に、CF系ポリマー膜115を形成する。CF系ポリマー膜115は、C(炭素)とF(フッ素)を構成元素とするポリマー膜であり、本発明の第5の膜の例である。CF系ポリマー膜115は例えば、フロロカーボン膜である。
【0027】
CF系ポリマー膜115は、疎部R1及び密部R2において、マスク(112,113,114)の上面及び側面と、溝V1,V2の底面とに付着している。ただし、疎部R1内の溝V1の底面には、マスクの上面と同等の厚さのCF系ポリマー膜115が付着している。これに対し、密部R2内の溝V2の底面には、マスクの上面に比べ、わずかな厚さのCF系ポリマー膜115しか付着していない。
【0028】
図5では、溝V1の底面に形成されたCF系ポリマー膜115の膜厚が、T1で示され、溝V2の底面に形成されたCF系ポリマー膜115の膜厚が、T2で示されている。これらの膜厚T1,T2の間には、T1>T2、より詳細には、T1>>T2の関係が成り立っている。膜厚T1,T2はそれぞれ、本発明の第1、第2の膜厚の例である。
【0029】
このように、CF系ポリマー膜115は、疎部R1内に露出したポリシリコン膜111上に膜厚T1で形成されると共に、密部R2内に残存するシリコン窒化膜112上に、膜厚T1よりも薄い膜厚T2で形成される。本実施形態では、膜厚T2は、膜厚T1に比べわずかな厚さとなる。CF系ポリマー膜115がこのような形態で形成される理由については、後述する。
【0030】
また、本実施形態では、CF系ポリマー膜115は、CXFYHZガスを使用して形成される。ここで、C、F、Hはそれぞれ、炭素、フッ素、水素を表す。また、X、Y、Zは0以上の整数であり、ただし、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすとする。本実施形態で使用可能なCXFYHZガスの例としては、C4F6ガス、C5F8ガス、CH3Fガス等が挙げられる。
【0031】
CF系ポリマー膜115は、ドライエッチングを行う際と同様の装置及び条件により形成することが可能である。本実施形態では、次のような条件下でCF系ポリマー膜115を形成する。
・使用するプラズマ装置:平行平板型反応性プラズマエッチング装置
・使用するガス(括弧内は流量):以下のガスを含有する混合ガス
C4F6ガス(20sccm)
Arガス(406sccm)
O2ガス(14sccm)
・ソースパワー:300W(100MHz)
・バイアスパワー:1500W(13.56MHz)
・圧力:20mT
【0032】
このように、本実施形態では、CF系ポリマー膜115が、CXFYHZガスの例であるC4F6ガスと、Arガスと、O2ガスとを使用して形成される。なお、上記の混合ガスは、2種類以上のCXFYHZガスを含有していても構わない。
【0033】
CF系ポリマー膜115の形成時には、図3及び図4のエッチング時と同様、プラズマ中で解離され生成されたラジカル種が、溝V1,V2内に入り込み、CF系ポリマー膜115の形成を促進させる。しかしながら、密部R2では、スペース幅W2が狭いため、溝V2内にラジカル種が入りにくく、溝V2の底面にCF系ポリマー膜115が付着しにくい。一方、疎部R1では、スペース幅W1が広いため、溝V1内にラジカル種が入りやすく、溝V1の底面にCF系ポリマー膜115が付着しやすい。
【0034】
よって、CF系ポリマー膜115は、疎部R1内に露出したポリシリコン膜111上に膜厚T1で形成されると共に、密部R2内に残存するシリコン窒化膜112上に、膜厚T1よりも薄い膜厚T2で形成される。本実施形態では、スペース幅W1とスペース幅W2との差が大きく、その結果、膜厚T2は、膜厚T1に比べわずかな厚さとなる。
【0035】
次に、図6に示すように、シリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115をマスクとするドライエッチングにより、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去する。当該ドライエッチングにおいて、CF系ポリマー膜115は、溝V1内のポリシリコン膜111をエッチングから保護する保護マスクとして機能する。当該ドライエッチングは、図3及び図4のドライエッチングと同じエッチング条件下で行われる。
【0036】
図6のエッチングが開始される際、溝V1の底面には、マスク(113,114,115)の上面と同等の厚さのCF系ポリマー膜115が付着しているのに対し、溝V2の底面には、マスクの上面に比べ、わずかな厚さのCF系ポリマー膜115しか付着していない(図5参照)。
【0037】
よって、図6のエッチングが開始されると、溝V2の底面のCF系ポリマー膜115はただちに除去され、溝V2内にシリコン窒化膜112が露出する。その後、図6のエッチングでは、溝V2内に露出したシリコン窒化膜112のエッチングと、溝V1内に残存するCF系ポリマー膜115のエッチングが同時進行することとなる。図6のエッチングは、溝V2内のシリコン窒化膜112が除去され、溝V2内にポリシリコン膜111が露出するまで継続される。
【0038】
仮に、溝V2内にCF系ポリマー膜115が付着していない状態で図6のエッチングを行うとすると、溝V2内のシリコン窒化膜112のエッチング時には、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングが同時進行してしまう。このことから、溝V1内のCF系ポリマー膜115には、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを抑制し、疎部R1と密部R2との間でのポリシリコン膜111の削れ量の差を低減する効果があることが解る。
【0039】
なお、図6のエッチングでは、溝V2がポリシリコン膜111に到達するまで、溝V1の底面にCF系ポリマー膜115が残存していることが望ましい。これにより、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングの抑制効果を、図6のエッチングの開始から終了まで持続させることが可能となる。このようなCF系ポリマー膜115は例えば、図5の工程にて、膜厚T1を、膜厚T2に対し十分に厚く設定することで形成可能である。
【0040】
また、図5の工程にてCF系ポリマー膜115を形成する際、CF系ポリマー膜115は、密部R2内のマスク上のCF系ポリマー膜115同士が接触しないよう形成することが望ましい。理由は、これらのCF系ポリマー膜115同士が接触すると、溝V2の開口部がCF系ポリマー膜115で塞がれてしまい、図6のエッチングの際に溝V2内のシリコン窒化膜112をエッチングすることが困難になるからである。
【0041】
次に、図7に示すように、溝V2内のシリコン窒化膜112の除去後に、疎部R1内及び密部R2内のシリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115を除去する。CF系ポリマー膜115は例えば、O2ガスを使用した処理により除去可能である。同様に、レジスト膜114及びシリコン酸化膜113は、O2ガスを使用した処理により除去可能である。図7には、シリコン窒化膜112により、ポリシリコン膜111のエッチング用のハードマスクが形成された様子が示されている。
【0042】
次に、図8に示すように、シリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115の除去後に、シリコン窒化膜112をマスクとして、ポリシリコン膜111をエッチングする。当該エッチングは例えば、RIE(Reactive Ion Etching)により行われる。
【0043】
次に、図9に示すように、ポリシリコン膜111のエッチング後に、シリコン窒化膜112を除去する。このようにして、ポリシリコン膜111のエッチング加工が完了する。
【0044】
以上のように、本実施形態では、図4に示すように、シリコン窒化膜112のエッチングを、溝V1がポリシリコン膜111に到達するまで行い、疎部R1内では、溝V1内のシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去すると共に、密部R2内では、溝V2内のシリコン窒化膜112を、シリコン窒化膜112が残存するよう除去する。
【0045】
更には、図5に示すように、CXFYHZガスを使用して、CF系ポリマー膜115を、溝V1内に露出したポリシリコン膜111上に膜厚T1で形成すると共に、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112上に、膜厚T1よりも薄い膜厚T2で形成する。
【0046】
更には、図6に示すように、シリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115をマスクとするエッチングにより、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去する。
【0047】
これにより、本実施形態では、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを抑制し、疎部R1と密部R2との間でのポリシリコン膜111の削れ量の差を低減することが可能となる。よって、本実施形態によれば、ポリシリコン膜111を配線層として使用することで、寸法精度の良好な配線パターンを形成することが可能となる。
【0048】
(CXFYHZガスの詳細)
以下、図10を参照して、CXFYHZガスの詳細について説明する。図10は、種々のCXFYHZガスのY/Xの値を示したグラフである。図10の横軸は、Xの値を表し、図10の縦軸は、Y/Xの値を表す。
【0049】
上述の通り、CXFYHZガスは、図5の工程にて、CF系ポリマー膜(第5の膜)115を形成するために使用される。ここで、C、F、Hはそれぞれ、炭素、フッ素、水素を表す。また、X、Y、Zは0以上の整数であり、ただし、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすとする。
【0050】
図10には、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすCXFYHZガスの例として、C4F6ガス、C5F8ガス、CH3Fガスが示されている。また、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たさないCXFYHZガスの例として、C4F8ガス、CH2F2ガス、CHF3ガス、CF4ガスが示されている。
【0051】
ここで、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4という条件の意義について説明する。
【0052】
まず、X>0という条件から、CXFYHZガスの構成分子は、C原子を含有することが解る。C原子には、ポリシリコン膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜等の、Si(シリコン)原子を含有する膜への付着確率が高いという性質がある。よって、図5の工程に、X>0の条件を満たすCXFYHZガスを使用することには、CVD等の一般的な成膜方法で第5の膜115を形成できるという利点がある。CVD等の一般的な成膜方法を採用可能であれば、図5の工程を、図1〜図4の工程を行うチャンバから出さずに実施することが可能となる。
【0053】
また、Y>0という条件から、CXFYHZガスの構成分子は、F原子を含有することが解る。よって、CXFYHZガスの例に、C原子とF原子のみを含有するガスは含まれ得るが、CH4ガスのように、C原子とH原子のみを含有するガスは含まれない。本発明者らによる実験によれば、F原子を含有しないCXFYHZガスを使用して形成された第5の膜115は、F原子を含有するCXFYHZガスを使用して形成された第5の膜115に比べて、膜質が悪いことが解っている。更には、CH4ガスを使用すると、付着確率が高過ぎるため、チャンバの排管がつまる等の問題が生じることが解っている。そのため、本実施形態では、使用するCXFYHZガスを、Y>0の条件を満たすものに限定している。
【0054】
また、本実施形態で使用するCXFYHZガスは、Y<2Xという条件を満たす。以下、Y<2Xを満たすCXFYHZガスを、C原子の含有量が多いという意味で、CリッチなCXFYHZガスと呼ぶ。一方、Y≧2Xを満たすCXFYHZガスを、F原子の含有量が多いという意味で、FリッチなCXFYHZガスと呼ぶ。よって、本実施形態で使用するCXFYHZガスは、CリッチなCXFYHZガスと言い表すことができる。
【0055】
上述の通り、C原子には、シリコン原子を含有する膜への付着確率が高いという性質がある。よって、CリッチなCXFYHZガスには、FリッチなCXFYHZガスに比べ、第5の膜115を、ポリシリコン膜111、シリコン窒化膜112、及びシリコン酸化膜113に付着させやすいという利点がある。よって、CリッチなCXFYHZガスを用いて第5の膜115を形成すれば、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することが可能となる。
【0056】
このことを、図12、図13を参照して詳細に説明する。図12、図13はそれぞれ、Fリッチ、CリッチなCXFYHZガスにより形成された第5の膜115のエッチング抑制作用について説明するための模式的な側方断面図である。
【0057】
図12及び図13には、図5の工程にて、溝V1内のポリシリコン膜111上に形成された第5の膜115が模式的に示されている。第5の膜115として、円で囲まれて描かれたC及びFは、第5の膜115を構成するC原子及びF原子を表す。これらC原子及びF原子のうち、F原子は、図12及び図13に示すように、ポリシリコン膜111等と反応して、SiF4となり気化脱離してしまう。これが、F原子が、C原子に比べ、シリコン原子を含有する膜への付着確率が低い原因である。
【0058】
図12に示すように、FリッチなCXFYHZガスにより形成される第5の膜115は、比較的多くのF原子を含有している。そのため、図12に示すように、第5の膜115が、溝V1内のポリシリコン膜111上に付着しにくい。よって、FリッチなCXFYHZガスを使用して第5の膜115を形成すると、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することができない。
【0059】
一方、図13に示すように、CリッチなCXFYHZガスにより形成される第5の膜115は、比較的多くのC原子を含有している。そのため、図13に示すように、第5の膜115が、溝V1内のポリシリコン膜111上に付着しやすい。よって、CリッチなCXFYHZガスを使用して第5の膜115を形成すれば、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態で使用するCXFYHZガスは、0≦Z≦4という条件を満たす。Z≧0という条件には、CXFYHZガスに含まれるF原子の割合を減らし、CXFYHZガスをCリッチにできるという効果がある。また、Z≦4という条件には、CXFYHZガスに含まれるH原子の割合を抑制し、Xの値が大きい場合にCXFYHZガスを概ねC原子とF原子のみで構成できるという効果がある。
【0061】
例えば、CXFYHZ分子が一重結合のみからなる場合、X、Y、Zの間には2X+2=Y+Zの関係が成り立つ。この2X+2=Y+Zという関係と、上述のY<2Xという条件とを連立すると、Z>2(即ちZ≧3)という条件が導かれる。よって、CXFYHZ分子が一重結合のみからなる場合、Zの値は3又は4に限定されることとなる。
【0062】
なお、本実施形態で使用するCXFYHZガスは、Z≧0という条件から解るように、H原子を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。また、CXFYHZ分子は、二重結合や三重結合を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0063】
以上のように、本実施形態では、図5の工程にて、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすCXFYHZガスを使用して、第5の膜(CF系ポリマー膜)115を形成する。これにより、本実施形態では、第5の膜115を形成しやすい、膜質の良い第5の膜115を形成できる等の利点を享受することが可能となる。更には、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することが可能となる。
【0064】
(ポリシリコン膜111の使用方法の例)
図11は、本発明の実施形態の半導体装置の製造方法の適用例について説明するための側方断面図である。図11には、図1〜図9に示すポリシリコン膜111の使用方法の例が示されている。
【0065】
図11(A)は、図1に対応する側方断面図である。本適用例では、図11(A)に示すように、ポリシリコン膜111は、絶縁膜121を介して基板101上に形成される。絶縁膜121は例えば、シリコン酸化膜である。
【0066】
図11(B)は、図9に対応する側方断面図である。本適用例では、図11(B)に示すように、基板101上に絶縁膜121を介して形成されたポリシリコン膜111のパターンP1,P2が形成される。
【0067】
図11(B)のパターンP1,P2は、例えば、MOSFETとして使用可能である。この場合、図11(B)に示す絶縁膜121、ポリシリコン膜111はそれぞれ、MOSFETのゲート絶縁膜、ゲート電極として使用される。
【0068】
また、図11(B)のパターンP2は、例えば、ゲート絶縁膜、浮遊ゲート(第1のゲート電極)、ゲート間絶縁膜、及び制御ゲート(第2のゲート電極)を含むメモリセルトランジスタを形成するために使用可能である。この場合、図11(B)に示す絶縁膜121、ポリシリコン膜111はそれぞれ、メモリセルトランジスタのゲート絶縁膜、浮遊ゲートとして使用される。
【0069】
また、図11(B)のパターンP1は、例えば、ゲート絶縁膜、及びゲート電極を含む選択トランジスタを形成するために使用可能である。この場合、図11(B)に示す絶縁膜121は、選択トランジスタのゲート絶縁膜として使用され、図11(B)に示すポリシリコン膜111は、選択トランジスタのゲート電極の一部として使用される。
【0070】
より詳細に言うと、選択トランジスタのゲート電極は、基板上に順に形成された第1電極層、ゲート間絶縁膜、及び第2電極層を含んでおり、ゲート間絶縁膜に形成された開口部を通じて、第1電極層と第2電極層とが導通している。図11(B)に示すポリシリコン膜111は、この第1電極層として使用される。
【0071】
これらの例では、ポリシリコン膜111は、ゲート電極を形成するための電極材として使用されている。しかしながら、ポリシリコン膜111の用途は、電極材に限定されるものではなく、例えば、多層配線構造を形成するための配線層として使用しても構わない。また、ポリシリコン膜111は、メタル膜、又はポリシリコン膜とメタル膜とを含む積層膜に置き換えても構わない。また、ポリシリコン膜111は、半導体膜に置き換えても、導電膜に置き換えても構わない。
【0072】
また、図1〜図9に示すシリコン窒化膜112は、別の絶縁膜(例えばシリコンオキシナイトライド膜)、又はシリコン窒化膜を含む積層絶縁膜に置き換えても構わない。
【0073】
同様に、図1〜図9に示すシリコン酸化膜113は、別の絶縁膜、又はシリコン酸化膜を含む積層絶縁膜に置き換えても構わない。
【0074】
(CF系ポリマー膜115の形成条件の変形例)
以下、CF系ポリマー膜115の形成条件の変形例を示す。本実施形態では、次のような条件下でCF系ポリマー膜115を形成してもよい。
・使用するプラズマ装置:平行平板型反応性プラズマエッチング装置
・使用するガス(括弧内は流量):以下のガスを含有する混合ガス
C5F8ガス(20sccm)
Arガス(400sccm)
O2ガス(5sccm)
・ソースパワー:300W(100MHz)
・バイアスパワー:3500W(13.56MHz)
・圧力:20mT
【0075】
このように、本変形例では、CF系ポリマー膜115が、CXFYHZガスの例であるC5F8ガスと、Arガスと、O2ガスとを使用して形成される。なお、上記の混合ガスは、2種類以上のCXFYHZガスを含有していても構わない。
【0076】
(図1〜図9の工程の変形例)
図14は、本発明の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例について説明するための側方断面図である。
【0077】
図3の工程では、溝V1,V2内のシリコン酸化膜113の除去後に、レジスト膜114を除去しても構わない。この場合、図4の工程では、シリコン酸化膜113をマスクとするドライエッチングにより、溝V1,V2内のシリコン窒化膜112が除去される。また、図5の工程では、ポリシリコン膜111、シリコン窒化膜112、及びシリコン酸化膜113上に、CF系ポリマー膜115が形成される。こうして形成されたCF系ポリマー膜115の例が、図14(A)に示されている。図14(A)以降の工程は、図6〜図9の工程と同様に実行可能である。
【0078】
また、図7の工程では、レジスト膜114及びCF系ポリマー膜115のみを除去し、シリコン窒化膜112とシリコン酸化膜113とを残存させても構わない。この場合、図8の工程では、シリコン窒化膜112及びシリコン酸化膜113をマスクとして、ポリシリコン膜111がエッチングされる。こうしてエッチングされたポリシリコン膜111の例が、図14(B)に示されている。図14(B)以降の工程は、図9の工程と同様に実行可能である。
【0079】
なお、図14(A)の工程を採用する場合、図7の工程では、シリコン酸化膜113及びCF系ポリマー膜115を除去し、シリコン窒化膜112を残存させてもよいし、CF系ポリマー膜115のみを除去し、シリコン窒化膜112とシリコン酸化膜113とを残存させてもよい。
【0080】
(本実施形態の効果)
最後に、本実施形態の効果について説明する。
【0081】
以上のように、本実施形態では、図4に示すように、シリコン窒化膜112のエッチングを、溝V1がポリシリコン膜111に到達するまで行い、疎部R1内では、溝V1内のシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去すると共に、密部R2内では、溝V2内のシリコン窒化膜112を、シリコン窒化膜112が残存するよう除去する。
【0082】
更には、図5に示すように、CXFYHZガスを使用して、CF系ポリマー膜115を、溝V1内に露出したポリシリコン膜111上に膜厚T1で形成すると共に、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112上に、膜厚T1よりも薄い膜厚T2で形成する。
【0083】
更には、図6に示すように、シリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115をマスクとするエッチング(シリコン酸化膜113及びCF系ポリマー膜115をマスクとするエッチングでもよい)により、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去する。
【0084】
これにより、本実施形態では、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを抑制し、疎部R1と密部R2との間でのポリシリコン膜111の削れ量の差を低減することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態では、図5の工程にて、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすCXFYHZガスを使用して、CF系ポリマー膜115を形成する。これにより、本実施形態では、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することが可能となる。更には、第5の膜115を形成しやすい、膜質の良い第5の膜115を形成できる等の利点を享受することが可能となる。
【0086】
以上、本発明の具体的な態様の例を、本発明の実施形態により説明したが、本発明は、当該実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0087】
101 基板
111 ポリシリコン膜(第1の膜)
112 シリコン窒化膜(第2の膜)
113 シリコン酸化膜(第3の膜)
114 レジスト膜(第4の膜)
115 CF系ポリマー膜(第5の膜)
121 絶縁膜
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の配線形成工程では、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜で形成されたハードマスクを用いて配線層をエッチングする手法が主流となっている。ハードマスクは例えば、下地膜である配線層上に、ハードマスク材、レジスト膜を順に形成し、レジスト膜をパターニングし、レジスト膜をマスクとするドライエッチングにより、ハードマスク材をエッチングすることで形成される。当該ドライエッチングは例えば、CHF3とCF4とを含むガス系を用いてプラズマを励起させることで行われる。
【0003】
また近年、半導体装置の微細化、高集積化に伴い、マスクパターンに疎密がある場合であっても、形状制御性よくエッチングを行うことが求められている。しかしながら、上記ガス系の場合、パターンが疎な部分(疎部)と密な部分(密部)との間でエッチング形状に差異が生じる。
【0004】
上記ガス系によるドライエッチングでは、CAFB(A、Bは1以上の整数)で表されるラジカル種がプラズマ中で生成され、これがハードマスク材を構成するシリコン窒化膜やシリコン酸化膜と反応してSiF4等の反応生成物が気化脱離し、これによりエッチングが促進されることとなる。しかしながら、密部では、パターン間の溝の間隔が狭いため、溝内にラジカル種が入りにくく、ハードマスク材のエッチング速度が遅くなる。一方、疎部では、パターン間の溝の間隔が広いため、溝内にラジカル種が入りやすく、ハードマスク材のエッチング速度が速くなる。
【0005】
その結果、疎部では、溝内における配線層(下地膜)の削れ量が大きくなり、逆に密部では、溝内における配線層の削れ量が小さくなる。そのため、ハードマスクを用いて配線層をエッチングする際、疎部にて本来エッチングすべきでない基板がエッチングされてしまう、あるいは密部にて本来エッチングして除去すべき配線層が残存してしまうという問題が生じる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A. Misaka et al. "Simulation study of micro-loading phenomena in silicon dioxide hole etching", Electron Devices, IEEE Transactions, Volume 44, Issue 5, Page 751-760 (May 1997).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、マスクパターンに疎密のあるハードマスクを形成する場合において、疎部と密部との間における下地膜の削れ量の差を低減することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様の半導体装置の製造方法では、基板上に、第1の膜、第2の膜、第3の膜、及び第4の膜を順に形成する。更に、前記方法では、前記第4の膜をパターニングして、前記基板上に、前記第4の膜のパターンが疎に存在する疎部と、前記第4の膜のパターンが密に存在する密部とを形成する。更に、前記方法では、前記第4の膜をマスクとして、前記パターン間の前記第3の膜をエッチングする。更に、前記方法では、前記第3及び第4の膜をマスクとするエッチングにより、前記疎部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去すると共に、前記密部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第2の膜が残存するよう除去する。更に、前記方法では、CXFYHZガス(X、Y、Zは0以上の整数。ただし0<Y<2Xかつ0≦Z≦4)を使用して、第5の膜を、前記疎部内に露出した前記第1の膜上に第1の膜厚で形成すると共に、前記密部内に残存する前記第2の膜上に、前記第1の膜厚よりも薄い第2の膜厚で形成する。更に、前記方法では、前記第3から第5の膜をマスクとするエッチングにより、前記密部内の前記パターン間に残存する前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去する。更に、前記方法では、前記密部内の前記パターン間の前記第2の膜の除去後に、前記疎部内及び前記密部内の前記第4及び第5の膜又は前記第3から第5の膜を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(1/9)である。
【図2】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(2/9)である。
【図3】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(3/9)である。
【図4】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(4/9)である。
【図5】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(5/9)である。
【図6】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(6/9)である。
【図7】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(7/9)である。
【図8】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(8/9)である。
【図9】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図(9/9)である。
【図10】種々のCXFYHZガスのY/Xの値を示したグラフである。
【図11】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法の適用例について説明するための側方断面図である。
【図12】FリッチなCXFYHZガスにより形成された第5の膜のエッチング抑制作用について説明するための模式的な側方断面図である。
【図13】CリッチなCXFYHZガスにより形成された第5の膜のエッチング抑制作用について説明するための模式的な側方断面図である。
【図14】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例について説明するための側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図9は、本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示す側方断面図である。
【0012】
本方法ではまず、図1に示すように、基板101上に、下地膜であるポリシリコン膜111を形成する。ポリシリコン膜111は、本発明の第1の膜の例である。ポリシリコン膜111の膜厚は、ここでは150nmとする。基板101は例えば、シリコン基板等の半導体基板である。
【0013】
次に、図1に示すように、ポリシリコン膜111上に、第1のハードマスク材であるシリコン窒化膜112と、第2のハードマスク材であるシリコン酸化膜113と、レジスト膜114とを順に形成する。シリコン窒化膜112、シリコン酸化膜113、レジスト膜114はそれぞれ、本発明の第2の膜、第3の膜、第4の膜の例である。シリコン窒化膜112は例えば、減圧化学気相成長法(減圧CVD法)により形成される。シリコン窒化膜112の膜厚は、ここでは200nm程度とする。また、レジスト膜114の膜厚は、ここでは100nm程度とする。
【0014】
次に、図2に示すように、リソグラフィによりレジスト膜114をパターニングして、基板101上に、レジスト膜114のパターンが疎に存在する疎部R1と、レジスト膜114のパターンが密に存在する密部R2とを形成する。
【0015】
図2では、疎部R1内のレジスト膜114のパターンが、P1で示され、密部R2内のレジスト膜114のパターンが、P2で示されている。図2では更に、これらのパターン間の溝のうち、疎部R1内の溝がV1で示され、密部R2内の溝がV2で示されている。
【0016】
本実施形態では、レジスト膜114のパターンは、ライン状の平面形状を有するラインパターンとなっており、疎部R1内及び密部R2内の各々で、一定のライン幅及びスペース幅を有している。また、本実施形態では、疎部R1内及び密部R2内の各々で、ライン幅とスペース幅が同じ値に設定されている。図2では、疎部R1内におけるライン幅及びスペース幅が、W1で示され、密部R2内におけるライン幅及びスペース幅が、W2で示されている。
【0017】
本実施形態では、幅W1,W2が、W1>W2の関係を満たすよう設定されており、これにより、領域R1が疎部、領域R2が密部となっている。本実施形態では、幅W1は、200nm以上に設定され、幅W2は、200nm以下に設定されている。なお、疎部R1内及び密部R2内の各々で、ライン幅とスペース幅は異なる値に設定しても構わない。
【0018】
また、本実施形態では、密部R2内のパターンP2は、複数本のパターンからなる密集パターンとなっており、互いに平行に形成されている。そして、密部R2内におけるスペース幅W2は、図2に示すように、隣接するパターンP2間の距離となっている。一方、疎部R1内のパターンP1は、1本のパターンからなる孤立パターンとなっており、密部R2内のパターンP2と平行に形成されている。そして、疎部R1内におけるスペース幅W1は、図2に示すように、隣接するパターンP1とパターンP2との間の距離となっている。
【0019】
なお、疎部R1内のパターンP1は、密部R2内のパターンP2と同様、複数本のパターンからなる密集パターンとしても構わない。
【0020】
次に、図3に示すように、レジスト膜114をマスクとするドライエッチングにより、溝V1,V2内のシリコン酸化膜113を除去する。続いて、図4に示すように、レジスト膜114及びシリコン酸化膜113をマスクとするドライエッチングにより、溝V1,V2内のシリコン窒化膜112を除去する。これらのドライエッチングのエッチング条件は、次の通りである。
・使用するプラズマ装置:平行平板型反応性プラズマエッチング装置
・使用するエッチングガス(括弧内は流量):以下のガスを含有する混合ガス
CHF3ガス(225sccm)
CF4ガス(45sccm)
Arガス(537sccm)
O2ガス(26sccm)
・ソースパワー:600W(100MHz)
・バイアスパワー:300W(13.56MHz)
・圧力:40mT
【0021】
図3及び図4のエッチング時には、プラズマ中で解離され生成されたラジカル種が、溝V1,V2内に入り込み、エッチングを促進させる。しかしながら、密部R2では、スペース幅W2が狭いため、溝V2内にラジカル種が入りにくく、シリコン酸化膜113やシリコン窒化膜112のエッチング速度が遅くなる。一方、疎部R1では、スペース幅W1が広いため、溝V1内にラジカル種が入りやすく、シリコン酸化膜113やシリコン窒化膜112のエッチング速度が速くなる。
【0022】
その結果、図3に示すように、溝V1,V2内のシリコン酸化膜113のエッチングが終了した直後の時点で、溝V1内では、シリコン窒化膜112の削れ量が大きくなり、逆に溝V2内では、シリコン窒化膜112の削れ量が小さくなる。即ち、疎部R1と密部R2との間で、シリコン窒化膜112の削れ量に差が生じる。この削れ量の差は、図4のエッチングを通じて更に広がる。
【0023】
そのため、図4のエッチングを、溝V2がポリシリコン膜111に到達するまで行おうとすると、溝V1内のポリシリコン膜111が大きくオーバーエッチングされてしまう。このようなオーバーエッチングは、後述するポリシリコン膜111のエッチングの際に、溝V2内にポリシリコン膜111が残存したり、溝V1内の基板101がエッチングされる原因となってしまう。
【0024】
そこで、本実施形態では、図4のエッチングを、溝V1がポリシリコン膜111に到達するまで行い、図4に示すように、疎部R1内では、溝V1内のシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去すると共に、密部R2内では、溝V2内のシリコン窒化膜112を、シリコン窒化膜112が残存するよう除去する。これにより、本実施形態では、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを抑制することが可能となる。溝V2内に残存するシリコン窒化膜112は、後述する図5及び図6の工程にて除去されることとなる。
【0025】
なお、図4のエッチングは、溝V1内のポリシリコン膜111の削れ量(オーバーエッチング量)が小さくなるよう、溝V1がポリシリコン膜111に到達した直後に終了するようにすることが望ましい。
【0026】
次に、図5に示すように、疎部R1上及び密部R2上に、CF系ポリマー膜115を形成する。CF系ポリマー膜115は、C(炭素)とF(フッ素)を構成元素とするポリマー膜であり、本発明の第5の膜の例である。CF系ポリマー膜115は例えば、フロロカーボン膜である。
【0027】
CF系ポリマー膜115は、疎部R1及び密部R2において、マスク(112,113,114)の上面及び側面と、溝V1,V2の底面とに付着している。ただし、疎部R1内の溝V1の底面には、マスクの上面と同等の厚さのCF系ポリマー膜115が付着している。これに対し、密部R2内の溝V2の底面には、マスクの上面に比べ、わずかな厚さのCF系ポリマー膜115しか付着していない。
【0028】
図5では、溝V1の底面に形成されたCF系ポリマー膜115の膜厚が、T1で示され、溝V2の底面に形成されたCF系ポリマー膜115の膜厚が、T2で示されている。これらの膜厚T1,T2の間には、T1>T2、より詳細には、T1>>T2の関係が成り立っている。膜厚T1,T2はそれぞれ、本発明の第1、第2の膜厚の例である。
【0029】
このように、CF系ポリマー膜115は、疎部R1内に露出したポリシリコン膜111上に膜厚T1で形成されると共に、密部R2内に残存するシリコン窒化膜112上に、膜厚T1よりも薄い膜厚T2で形成される。本実施形態では、膜厚T2は、膜厚T1に比べわずかな厚さとなる。CF系ポリマー膜115がこのような形態で形成される理由については、後述する。
【0030】
また、本実施形態では、CF系ポリマー膜115は、CXFYHZガスを使用して形成される。ここで、C、F、Hはそれぞれ、炭素、フッ素、水素を表す。また、X、Y、Zは0以上の整数であり、ただし、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすとする。本実施形態で使用可能なCXFYHZガスの例としては、C4F6ガス、C5F8ガス、CH3Fガス等が挙げられる。
【0031】
CF系ポリマー膜115は、ドライエッチングを行う際と同様の装置及び条件により形成することが可能である。本実施形態では、次のような条件下でCF系ポリマー膜115を形成する。
・使用するプラズマ装置:平行平板型反応性プラズマエッチング装置
・使用するガス(括弧内は流量):以下のガスを含有する混合ガス
C4F6ガス(20sccm)
Arガス(406sccm)
O2ガス(14sccm)
・ソースパワー:300W(100MHz)
・バイアスパワー:1500W(13.56MHz)
・圧力:20mT
【0032】
このように、本実施形態では、CF系ポリマー膜115が、CXFYHZガスの例であるC4F6ガスと、Arガスと、O2ガスとを使用して形成される。なお、上記の混合ガスは、2種類以上のCXFYHZガスを含有していても構わない。
【0033】
CF系ポリマー膜115の形成時には、図3及び図4のエッチング時と同様、プラズマ中で解離され生成されたラジカル種が、溝V1,V2内に入り込み、CF系ポリマー膜115の形成を促進させる。しかしながら、密部R2では、スペース幅W2が狭いため、溝V2内にラジカル種が入りにくく、溝V2の底面にCF系ポリマー膜115が付着しにくい。一方、疎部R1では、スペース幅W1が広いため、溝V1内にラジカル種が入りやすく、溝V1の底面にCF系ポリマー膜115が付着しやすい。
【0034】
よって、CF系ポリマー膜115は、疎部R1内に露出したポリシリコン膜111上に膜厚T1で形成されると共に、密部R2内に残存するシリコン窒化膜112上に、膜厚T1よりも薄い膜厚T2で形成される。本実施形態では、スペース幅W1とスペース幅W2との差が大きく、その結果、膜厚T2は、膜厚T1に比べわずかな厚さとなる。
【0035】
次に、図6に示すように、シリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115をマスクとするドライエッチングにより、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去する。当該ドライエッチングにおいて、CF系ポリマー膜115は、溝V1内のポリシリコン膜111をエッチングから保護する保護マスクとして機能する。当該ドライエッチングは、図3及び図4のドライエッチングと同じエッチング条件下で行われる。
【0036】
図6のエッチングが開始される際、溝V1の底面には、マスク(113,114,115)の上面と同等の厚さのCF系ポリマー膜115が付着しているのに対し、溝V2の底面には、マスクの上面に比べ、わずかな厚さのCF系ポリマー膜115しか付着していない(図5参照)。
【0037】
よって、図6のエッチングが開始されると、溝V2の底面のCF系ポリマー膜115はただちに除去され、溝V2内にシリコン窒化膜112が露出する。その後、図6のエッチングでは、溝V2内に露出したシリコン窒化膜112のエッチングと、溝V1内に残存するCF系ポリマー膜115のエッチングが同時進行することとなる。図6のエッチングは、溝V2内のシリコン窒化膜112が除去され、溝V2内にポリシリコン膜111が露出するまで継続される。
【0038】
仮に、溝V2内にCF系ポリマー膜115が付着していない状態で図6のエッチングを行うとすると、溝V2内のシリコン窒化膜112のエッチング時には、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングが同時進行してしまう。このことから、溝V1内のCF系ポリマー膜115には、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを抑制し、疎部R1と密部R2との間でのポリシリコン膜111の削れ量の差を低減する効果があることが解る。
【0039】
なお、図6のエッチングでは、溝V2がポリシリコン膜111に到達するまで、溝V1の底面にCF系ポリマー膜115が残存していることが望ましい。これにより、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングの抑制効果を、図6のエッチングの開始から終了まで持続させることが可能となる。このようなCF系ポリマー膜115は例えば、図5の工程にて、膜厚T1を、膜厚T2に対し十分に厚く設定することで形成可能である。
【0040】
また、図5の工程にてCF系ポリマー膜115を形成する際、CF系ポリマー膜115は、密部R2内のマスク上のCF系ポリマー膜115同士が接触しないよう形成することが望ましい。理由は、これらのCF系ポリマー膜115同士が接触すると、溝V2の開口部がCF系ポリマー膜115で塞がれてしまい、図6のエッチングの際に溝V2内のシリコン窒化膜112をエッチングすることが困難になるからである。
【0041】
次に、図7に示すように、溝V2内のシリコン窒化膜112の除去後に、疎部R1内及び密部R2内のシリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115を除去する。CF系ポリマー膜115は例えば、O2ガスを使用した処理により除去可能である。同様に、レジスト膜114及びシリコン酸化膜113は、O2ガスを使用した処理により除去可能である。図7には、シリコン窒化膜112により、ポリシリコン膜111のエッチング用のハードマスクが形成された様子が示されている。
【0042】
次に、図8に示すように、シリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115の除去後に、シリコン窒化膜112をマスクとして、ポリシリコン膜111をエッチングする。当該エッチングは例えば、RIE(Reactive Ion Etching)により行われる。
【0043】
次に、図9に示すように、ポリシリコン膜111のエッチング後に、シリコン窒化膜112を除去する。このようにして、ポリシリコン膜111のエッチング加工が完了する。
【0044】
以上のように、本実施形態では、図4に示すように、シリコン窒化膜112のエッチングを、溝V1がポリシリコン膜111に到達するまで行い、疎部R1内では、溝V1内のシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去すると共に、密部R2内では、溝V2内のシリコン窒化膜112を、シリコン窒化膜112が残存するよう除去する。
【0045】
更には、図5に示すように、CXFYHZガスを使用して、CF系ポリマー膜115を、溝V1内に露出したポリシリコン膜111上に膜厚T1で形成すると共に、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112上に、膜厚T1よりも薄い膜厚T2で形成する。
【0046】
更には、図6に示すように、シリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115をマスクとするエッチングにより、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去する。
【0047】
これにより、本実施形態では、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを抑制し、疎部R1と密部R2との間でのポリシリコン膜111の削れ量の差を低減することが可能となる。よって、本実施形態によれば、ポリシリコン膜111を配線層として使用することで、寸法精度の良好な配線パターンを形成することが可能となる。
【0048】
(CXFYHZガスの詳細)
以下、図10を参照して、CXFYHZガスの詳細について説明する。図10は、種々のCXFYHZガスのY/Xの値を示したグラフである。図10の横軸は、Xの値を表し、図10の縦軸は、Y/Xの値を表す。
【0049】
上述の通り、CXFYHZガスは、図5の工程にて、CF系ポリマー膜(第5の膜)115を形成するために使用される。ここで、C、F、Hはそれぞれ、炭素、フッ素、水素を表す。また、X、Y、Zは0以上の整数であり、ただし、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすとする。
【0050】
図10には、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすCXFYHZガスの例として、C4F6ガス、C5F8ガス、CH3Fガスが示されている。また、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たさないCXFYHZガスの例として、C4F8ガス、CH2F2ガス、CHF3ガス、CF4ガスが示されている。
【0051】
ここで、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4という条件の意義について説明する。
【0052】
まず、X>0という条件から、CXFYHZガスの構成分子は、C原子を含有することが解る。C原子には、ポリシリコン膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜等の、Si(シリコン)原子を含有する膜への付着確率が高いという性質がある。よって、図5の工程に、X>0の条件を満たすCXFYHZガスを使用することには、CVD等の一般的な成膜方法で第5の膜115を形成できるという利点がある。CVD等の一般的な成膜方法を採用可能であれば、図5の工程を、図1〜図4の工程を行うチャンバから出さずに実施することが可能となる。
【0053】
また、Y>0という条件から、CXFYHZガスの構成分子は、F原子を含有することが解る。よって、CXFYHZガスの例に、C原子とF原子のみを含有するガスは含まれ得るが、CH4ガスのように、C原子とH原子のみを含有するガスは含まれない。本発明者らによる実験によれば、F原子を含有しないCXFYHZガスを使用して形成された第5の膜115は、F原子を含有するCXFYHZガスを使用して形成された第5の膜115に比べて、膜質が悪いことが解っている。更には、CH4ガスを使用すると、付着確率が高過ぎるため、チャンバの排管がつまる等の問題が生じることが解っている。そのため、本実施形態では、使用するCXFYHZガスを、Y>0の条件を満たすものに限定している。
【0054】
また、本実施形態で使用するCXFYHZガスは、Y<2Xという条件を満たす。以下、Y<2Xを満たすCXFYHZガスを、C原子の含有量が多いという意味で、CリッチなCXFYHZガスと呼ぶ。一方、Y≧2Xを満たすCXFYHZガスを、F原子の含有量が多いという意味で、FリッチなCXFYHZガスと呼ぶ。よって、本実施形態で使用するCXFYHZガスは、CリッチなCXFYHZガスと言い表すことができる。
【0055】
上述の通り、C原子には、シリコン原子を含有する膜への付着確率が高いという性質がある。よって、CリッチなCXFYHZガスには、FリッチなCXFYHZガスに比べ、第5の膜115を、ポリシリコン膜111、シリコン窒化膜112、及びシリコン酸化膜113に付着させやすいという利点がある。よって、CリッチなCXFYHZガスを用いて第5の膜115を形成すれば、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することが可能となる。
【0056】
このことを、図12、図13を参照して詳細に説明する。図12、図13はそれぞれ、Fリッチ、CリッチなCXFYHZガスにより形成された第5の膜115のエッチング抑制作用について説明するための模式的な側方断面図である。
【0057】
図12及び図13には、図5の工程にて、溝V1内のポリシリコン膜111上に形成された第5の膜115が模式的に示されている。第5の膜115として、円で囲まれて描かれたC及びFは、第5の膜115を構成するC原子及びF原子を表す。これらC原子及びF原子のうち、F原子は、図12及び図13に示すように、ポリシリコン膜111等と反応して、SiF4となり気化脱離してしまう。これが、F原子が、C原子に比べ、シリコン原子を含有する膜への付着確率が低い原因である。
【0058】
図12に示すように、FリッチなCXFYHZガスにより形成される第5の膜115は、比較的多くのF原子を含有している。そのため、図12に示すように、第5の膜115が、溝V1内のポリシリコン膜111上に付着しにくい。よって、FリッチなCXFYHZガスを使用して第5の膜115を形成すると、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することができない。
【0059】
一方、図13に示すように、CリッチなCXFYHZガスにより形成される第5の膜115は、比較的多くのC原子を含有している。そのため、図13に示すように、第5の膜115が、溝V1内のポリシリコン膜111上に付着しやすい。よって、CリッチなCXFYHZガスを使用して第5の膜115を形成すれば、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態で使用するCXFYHZガスは、0≦Z≦4という条件を満たす。Z≧0という条件には、CXFYHZガスに含まれるF原子の割合を減らし、CXFYHZガスをCリッチにできるという効果がある。また、Z≦4という条件には、CXFYHZガスに含まれるH原子の割合を抑制し、Xの値が大きい場合にCXFYHZガスを概ねC原子とF原子のみで構成できるという効果がある。
【0061】
例えば、CXFYHZ分子が一重結合のみからなる場合、X、Y、Zの間には2X+2=Y+Zの関係が成り立つ。この2X+2=Y+Zという関係と、上述のY<2Xという条件とを連立すると、Z>2(即ちZ≧3)という条件が導かれる。よって、CXFYHZ分子が一重結合のみからなる場合、Zの値は3又は4に限定されることとなる。
【0062】
なお、本実施形態で使用するCXFYHZガスは、Z≧0という条件から解るように、H原子を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。また、CXFYHZ分子は、二重結合や三重結合を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0063】
以上のように、本実施形態では、図5の工程にて、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすCXFYHZガスを使用して、第5の膜(CF系ポリマー膜)115を形成する。これにより、本実施形態では、第5の膜115を形成しやすい、膜質の良い第5の膜115を形成できる等の利点を享受することが可能となる。更には、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することが可能となる。
【0064】
(ポリシリコン膜111の使用方法の例)
図11は、本発明の実施形態の半導体装置の製造方法の適用例について説明するための側方断面図である。図11には、図1〜図9に示すポリシリコン膜111の使用方法の例が示されている。
【0065】
図11(A)は、図1に対応する側方断面図である。本適用例では、図11(A)に示すように、ポリシリコン膜111は、絶縁膜121を介して基板101上に形成される。絶縁膜121は例えば、シリコン酸化膜である。
【0066】
図11(B)は、図9に対応する側方断面図である。本適用例では、図11(B)に示すように、基板101上に絶縁膜121を介して形成されたポリシリコン膜111のパターンP1,P2が形成される。
【0067】
図11(B)のパターンP1,P2は、例えば、MOSFETとして使用可能である。この場合、図11(B)に示す絶縁膜121、ポリシリコン膜111はそれぞれ、MOSFETのゲート絶縁膜、ゲート電極として使用される。
【0068】
また、図11(B)のパターンP2は、例えば、ゲート絶縁膜、浮遊ゲート(第1のゲート電極)、ゲート間絶縁膜、及び制御ゲート(第2のゲート電極)を含むメモリセルトランジスタを形成するために使用可能である。この場合、図11(B)に示す絶縁膜121、ポリシリコン膜111はそれぞれ、メモリセルトランジスタのゲート絶縁膜、浮遊ゲートとして使用される。
【0069】
また、図11(B)のパターンP1は、例えば、ゲート絶縁膜、及びゲート電極を含む選択トランジスタを形成するために使用可能である。この場合、図11(B)に示す絶縁膜121は、選択トランジスタのゲート絶縁膜として使用され、図11(B)に示すポリシリコン膜111は、選択トランジスタのゲート電極の一部として使用される。
【0070】
より詳細に言うと、選択トランジスタのゲート電極は、基板上に順に形成された第1電極層、ゲート間絶縁膜、及び第2電極層を含んでおり、ゲート間絶縁膜に形成された開口部を通じて、第1電極層と第2電極層とが導通している。図11(B)に示すポリシリコン膜111は、この第1電極層として使用される。
【0071】
これらの例では、ポリシリコン膜111は、ゲート電極を形成するための電極材として使用されている。しかしながら、ポリシリコン膜111の用途は、電極材に限定されるものではなく、例えば、多層配線構造を形成するための配線層として使用しても構わない。また、ポリシリコン膜111は、メタル膜、又はポリシリコン膜とメタル膜とを含む積層膜に置き換えても構わない。また、ポリシリコン膜111は、半導体膜に置き換えても、導電膜に置き換えても構わない。
【0072】
また、図1〜図9に示すシリコン窒化膜112は、別の絶縁膜(例えばシリコンオキシナイトライド膜)、又はシリコン窒化膜を含む積層絶縁膜に置き換えても構わない。
【0073】
同様に、図1〜図9に示すシリコン酸化膜113は、別の絶縁膜、又はシリコン酸化膜を含む積層絶縁膜に置き換えても構わない。
【0074】
(CF系ポリマー膜115の形成条件の変形例)
以下、CF系ポリマー膜115の形成条件の変形例を示す。本実施形態では、次のような条件下でCF系ポリマー膜115を形成してもよい。
・使用するプラズマ装置:平行平板型反応性プラズマエッチング装置
・使用するガス(括弧内は流量):以下のガスを含有する混合ガス
C5F8ガス(20sccm)
Arガス(400sccm)
O2ガス(5sccm)
・ソースパワー:300W(100MHz)
・バイアスパワー:3500W(13.56MHz)
・圧力:20mT
【0075】
このように、本変形例では、CF系ポリマー膜115が、CXFYHZガスの例であるC5F8ガスと、Arガスと、O2ガスとを使用して形成される。なお、上記の混合ガスは、2種類以上のCXFYHZガスを含有していても構わない。
【0076】
(図1〜図9の工程の変形例)
図14は、本発明の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例について説明するための側方断面図である。
【0077】
図3の工程では、溝V1,V2内のシリコン酸化膜113の除去後に、レジスト膜114を除去しても構わない。この場合、図4の工程では、シリコン酸化膜113をマスクとするドライエッチングにより、溝V1,V2内のシリコン窒化膜112が除去される。また、図5の工程では、ポリシリコン膜111、シリコン窒化膜112、及びシリコン酸化膜113上に、CF系ポリマー膜115が形成される。こうして形成されたCF系ポリマー膜115の例が、図14(A)に示されている。図14(A)以降の工程は、図6〜図9の工程と同様に実行可能である。
【0078】
また、図7の工程では、レジスト膜114及びCF系ポリマー膜115のみを除去し、シリコン窒化膜112とシリコン酸化膜113とを残存させても構わない。この場合、図8の工程では、シリコン窒化膜112及びシリコン酸化膜113をマスクとして、ポリシリコン膜111がエッチングされる。こうしてエッチングされたポリシリコン膜111の例が、図14(B)に示されている。図14(B)以降の工程は、図9の工程と同様に実行可能である。
【0079】
なお、図14(A)の工程を採用する場合、図7の工程では、シリコン酸化膜113及びCF系ポリマー膜115を除去し、シリコン窒化膜112を残存させてもよいし、CF系ポリマー膜115のみを除去し、シリコン窒化膜112とシリコン酸化膜113とを残存させてもよい。
【0080】
(本実施形態の効果)
最後に、本実施形態の効果について説明する。
【0081】
以上のように、本実施形態では、図4に示すように、シリコン窒化膜112のエッチングを、溝V1がポリシリコン膜111に到達するまで行い、疎部R1内では、溝V1内のシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去すると共に、密部R2内では、溝V2内のシリコン窒化膜112を、シリコン窒化膜112が残存するよう除去する。
【0082】
更には、図5に示すように、CXFYHZガスを使用して、CF系ポリマー膜115を、溝V1内に露出したポリシリコン膜111上に膜厚T1で形成すると共に、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112上に、膜厚T1よりも薄い膜厚T2で形成する。
【0083】
更には、図6に示すように、シリコン酸化膜113、レジスト膜114、及びCF系ポリマー膜115をマスクとするエッチング(シリコン酸化膜113及びCF系ポリマー膜115をマスクとするエッチングでもよい)により、溝V2内に残存するシリコン窒化膜112を、ポリシリコン膜111が露出するよう除去する。
【0084】
これにより、本実施形態では、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを抑制し、疎部R1と密部R2との間でのポリシリコン膜111の削れ量の差を低減することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態では、図5の工程にて、0<Y<2Xかつ0≦Z≦4の条件を満たすCXFYHZガスを使用して、CF系ポリマー膜115を形成する。これにより、本実施形態では、図6のエッチング時に、溝V1内のポリシリコン膜111のオーバーエッチングを効果的に抑制することが可能となる。更には、第5の膜115を形成しやすい、膜質の良い第5の膜115を形成できる等の利点を享受することが可能となる。
【0086】
以上、本発明の具体的な態様の例を、本発明の実施形態により説明したが、本発明は、当該実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0087】
101 基板
111 ポリシリコン膜(第1の膜)
112 シリコン窒化膜(第2の膜)
113 シリコン酸化膜(第3の膜)
114 レジスト膜(第4の膜)
115 CF系ポリマー膜(第5の膜)
121 絶縁膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1の膜、第2の膜、第3の膜、及び第4の膜を順に形成し、
前記第4の膜をパターニングして、前記基板上に、前記第4の膜のパターンが疎に存在する疎部と、前記第4の膜のパターンが密に存在する密部とを形成し、
前記第4の膜をマスクとして、前記パターン間の前記第3の膜をエッチングし、
前記第3及び第4の膜をマスクとするエッチングにより、前記疎部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去すると共に、前記密部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第2の膜が残存するよう除去し、
CXFYHZガス(X、Y、Zは0以上の整数。ただし0<Y<2Xかつ0≦Z≦4)を使用して、第5の膜を、前記疎部内に露出した前記第1の膜上に第1の膜厚で形成すると共に、前記密部内に残存する前記第2の膜上に、前記第1の膜厚よりも薄い第2の膜厚で形成し、
前記第3から第5の膜をマスクとするエッチングにより、前記密部内の前記パターン間に残存する前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去し、
前記密部内の前記パターン間の前記第2の膜の除去後に、前記疎部内及び前記密部内の前記第4及び第5の膜又は前記第3から第5の膜を除去する、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第5の膜は、炭素及びフッ素を含有するポリマー膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第4の膜の前記パターンは、前記疎部内及び前記密部内の各々で一定のライン幅及びスペース幅を有するラインパターンであり、
前記疎部内における前記スペース幅は、200nm以上であり、
前記密部内における前記スペース幅は、200nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第3から第5の膜の除去後に、前記第2の膜をマスクとして、前記第1の膜をエッチングし、
前記第1の膜のエッチング後に、前記第2の膜を除去することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第4及び第5の膜の除去後に、前記第2及び第3の膜をマスクとして、前記第1の膜をエッチングし、
前記第1の膜のエッチング後に、前記第2及び第3の膜を除去することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の膜は、前記基板上に絶縁膜を介して形成された電極材であり、
前記絶縁膜、前記電極材はそれぞれ、前記基板上に、ゲート絶縁膜、ゲート電極を形成するために使用されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記CXFYHZガスは、C4F6ガス、C5F8ガス、又はCH3Fガスであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項8】
基板上に、第1の膜、第2の膜、第3の膜、及び第4の膜を順に形成し、
前記第4の膜をパターニングして、前記基板上に、前記第4の膜のパターンが疎に存在する疎部と、前記第4の膜のパターンが密に存在する密部とを形成し、
前記第4の膜をマスクとして、前記パターン間の前記第3の膜をエッチングし、前記第3の膜のエッチング後に、前記第4の膜を除去し、
前記第3の膜をマスクとするエッチングにより、前記疎部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去すると共に、前記密部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第2の膜が残存するよう除去し、
CXFYHZガス(X、Y、Zは0以上の整数。ただし0<Y<2Xかつ0≦Z≦4)を使用して、第5の膜を、前記疎部内に露出した前記第1の膜上に第1の膜厚で形成すると共に、前記密部内に残存する前記第2の膜上に、前記第1の膜厚よりも薄い第2の膜厚で形成し、
前記第3及び第5の膜をマスクとするエッチングにより、前記密部内の前記パターン間に残存する前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去し、
前記密部内の前記パターン間の前記第2の膜の除去後に、前記疎部内及び前記密部内の前記第5の膜又は前記第3及び第5の膜を除去する、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
基板上に、第1の膜、第2の膜、第3の膜、及び第4の膜を順に形成し、
前記第4の膜をパターニングして、前記基板上に、前記第4の膜のパターンが疎に存在する疎部と、前記第4の膜のパターンが密に存在する密部とを形成し、
前記第4の膜をマスクとして、前記パターン間の前記第3の膜をエッチングし、
前記第3及び第4の膜をマスクとするエッチングにより、前記疎部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去すると共に、前記密部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第2の膜が残存するよう除去し、
CXFYHZガス(X、Y、Zは0以上の整数。ただし0<Y<2Xかつ0≦Z≦4)を使用して、第5の膜を、前記疎部内に露出した前記第1の膜上に第1の膜厚で形成すると共に、前記密部内に残存する前記第2の膜上に、前記第1の膜厚よりも薄い第2の膜厚で形成し、
前記第3から第5の膜をマスクとするエッチングにより、前記密部内の前記パターン間に残存する前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去し、
前記密部内の前記パターン間の前記第2の膜の除去後に、前記疎部内及び前記密部内の前記第4及び第5の膜又は前記第3から第5の膜を除去する、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第5の膜は、炭素及びフッ素を含有するポリマー膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第4の膜の前記パターンは、前記疎部内及び前記密部内の各々で一定のライン幅及びスペース幅を有するラインパターンであり、
前記疎部内における前記スペース幅は、200nm以上であり、
前記密部内における前記スペース幅は、200nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第3から第5の膜の除去後に、前記第2の膜をマスクとして、前記第1の膜をエッチングし、
前記第1の膜のエッチング後に、前記第2の膜を除去することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第4及び第5の膜の除去後に、前記第2及び第3の膜をマスクとして、前記第1の膜をエッチングし、
前記第1の膜のエッチング後に、前記第2及び第3の膜を除去することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の膜は、前記基板上に絶縁膜を介して形成された電極材であり、
前記絶縁膜、前記電極材はそれぞれ、前記基板上に、ゲート絶縁膜、ゲート電極を形成するために使用されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記CXFYHZガスは、C4F6ガス、C5F8ガス、又はCH3Fガスであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項8】
基板上に、第1の膜、第2の膜、第3の膜、及び第4の膜を順に形成し、
前記第4の膜をパターニングして、前記基板上に、前記第4の膜のパターンが疎に存在する疎部と、前記第4の膜のパターンが密に存在する密部とを形成し、
前記第4の膜をマスクとして、前記パターン間の前記第3の膜をエッチングし、前記第3の膜のエッチング後に、前記第4の膜を除去し、
前記第3の膜をマスクとするエッチングにより、前記疎部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去すると共に、前記密部内では、前記パターン間の前記第2の膜を、前記第2の膜が残存するよう除去し、
CXFYHZガス(X、Y、Zは0以上の整数。ただし0<Y<2Xかつ0≦Z≦4)を使用して、第5の膜を、前記疎部内に露出した前記第1の膜上に第1の膜厚で形成すると共に、前記密部内に残存する前記第2の膜上に、前記第1の膜厚よりも薄い第2の膜厚で形成し、
前記第3及び第5の膜をマスクとするエッチングにより、前記密部内の前記パターン間に残存する前記第2の膜を、前記第1の膜が露出するよう除去し、
前記密部内の前記パターン間の前記第2の膜の除去後に、前記疎部内及び前記密部内の前記第5の膜又は前記第3及び第5の膜を除去する、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−109395(P2012−109395A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257007(P2010−257007)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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