説明

半導体装置の製造方法

【課題】ゲート電極上のキャップ膜が厚く、隣接するトランジスタ間の空間のアスペクト比が大きいトランジスタに、適切な濃度プロファイルを有するハロー領域を形成することのできる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】一実施の形態による半導体装置の製造方法は、基板上に第1および第2のゲート電極を形成する工程と、前記第1および第2のゲート電極下に第1および第2のハロー領域をそれぞれ形成する工程と、前記第1および第2の絶縁膜に底面および側面をそれぞれ覆われた第1および第2のキャップ膜を形成する工程と、を含む。前記第1のハロー領域は、第1の不純物を、前記第2の絶縁膜を貫通させて前記基板に打ち込むことにより形成される。前記第2のハロー領域は、第2の不純物を、前記第1の絶縁膜を貫通させて前記基板に打ち込むことにより形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、トランジスタの短チャネル効果を抑制するハロー領域を傾斜イオン注入(基板の表面に垂直な方向から傾斜した方向に沿ったイオン注入)により形成するものが知られている。
【0003】
しかし、メモリセル用トランジスタのように、狭い間隔で配置されるトランジスタのハロー領域を形成する場合、隣接するトランジスタに遮られないように不純物を注入するために、垂直方向基準とした注入角度を相当に小さくしなければならない。特に、ゲート電極上のキャップ膜が厚い場合は、隣接するトランジスタ間の空間のアスペクト比がより大きくなるため、イオン注入の注入角度がより小さくなる。
【0004】
このような場合、不純物の注入される領域がゲート電極から離れているため、注入した不純物をゲート電極下に向けて横方向に長距離拡散させなければならない。このため、短チャネル効果を抑制するために適切な濃度プロファイルを有するハロー領域を得ることが困難になる。また、注入した不純物を長距離拡散させるため、不純物の注入量を高くする必要があり、製造コストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3495306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ゲート電極上のキャップ膜が厚く、隣接するトランジスタ間の空間のアスペクト比が大きいトランジスタに、適切な濃度プロファイルを有するハロー領域を形成することのできる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態による半導体装置の製造方法は、基板上に第1および第2のゲート絶縁膜を介して第1および第2のゲート電極をそれぞれ形成する工程と、前記第1および第2のゲート電極の周囲に前記第1および第2のゲート電極を埋めるように堆積膜を形成する工程と、前記第1および第2のゲート電極の高さを、前記堆積膜の前記第1および第2のゲート電極に隣接する部分の高さより下げて、前記第1および第2のゲート電極上にそれぞれ第1および第2の溝を形成する工程と、前記第1の溝の底面および側面に沿って第1の絶縁膜を形成し、前記第2の溝の底面および側面に沿って第2の絶縁膜を形成する工程と、前記堆積膜を除去した後、第1の不純物を、前記第2の絶縁膜を貫通させて前記基板の第1の領域に打ち込んで第1のハロー領域を形成し、第2の不純物を、前記第1の絶縁膜を貫通させて前記基板の第2の領域に打ち込んで第2のハロー領域を形成する工程と、前記第1および第2のハロー領域を形成した後、前記第1の絶縁膜に底面および側面を覆われた第1のキャップ膜、ならびに前記第2の絶縁膜に底面および側面を覆われた第2のキャップ膜を形成する工程と、を含む。前記第1の領域は、前記第1のゲート電極の前記第2のゲート電極側側面の下方に位置する前記基板中の領域であり、前記第2の領域は、前記第2のゲート電極の前記第1のゲート電極側側面の下方に位置する前記基板中の領域である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体装置の垂直断面図。
【図2A】(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図。
【図2B】(e)〜(h)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図。
【図2C】(i)〜(l)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図。
【図2D】(m)〜(o)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図。
【図3】第2の実施の形態に係る半導体装置の垂直断面図。
【図4A】(a)〜(d)は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図。
【図4B】(e)〜(h)は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図。
【図4C】(i)〜(l)は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図。
【図4D】(m)〜(o)は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図。
【図5】第3の実施の形態に係る半導体装置の垂直断面図。
【図6】第3の実施の形態に係る半導体装置の上面図。
【図7A】(a)、(b)は、それぞれ第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図および上面図。
【図7B】(a)、(b)は、それぞれ第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図および上面図。
【図7C】(a)、(b)は、それぞれ第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す垂直断面図および上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1の実施の形態〕
(半導体装置の構成)
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置100の垂直断面図である。半導体装置100は、半導体基板1と、半導体基板1上のトランジスタ100a、100bを有する。
【0010】
半導体基板1は、Si結晶等のSi系結晶からなる。
【0011】
トランジスタ100a、100bは、メモリセル用トランジスタ等の狭い間隔で配置されるトランジスタである。
【0012】
トランジスタ100a、100bは、半導体基板1上にゲート絶縁膜11を介して形成された半導体電極12と、半導体電極12上の金属電極13と、金属電極13上の保護膜14と、保護膜14上のキャップ膜15と、オフセットスペーサ16と、側壁スペーサ17と、ソース・ドレイン領域のエクステンション領域18と、ソース・ドレイン領域の高濃度領域19を有する。
【0013】
ゲート絶縁膜11は、例えば、SiO、SiON、High−k材料等の絶縁材料からなる。
【0014】
半導体電極12および金属電極13は、トランジスタ100a、100bのゲート電極を構成する。トランジスタ100a、100bは、半導体電極12と金属電極13のいずれか一方のみを有してもよい。
【0015】
半導体電極12は、例えば、導電型不純物を含む多結晶Si等のSi系多結晶からなる。また、半導体電極12の代わりに金属電極を用いてもよい。
【0016】
金属電極13は、W、Al、Cu等の金属からなる。また、半導体電極12の上部または全部をシリサイド化することにより形成される金属シリサイドからなってもよい。
【0017】
保護膜14、キャップ膜15、オフセットスペーサ16および側壁スペーサ17は、SiN等の絶縁材料からなる。これらの材料は同じでも異なってもよい。
【0018】
保護膜14は、金属電極13の上面とオフセットスペーサ16の内側側面に接する。保護膜14は、金属電極13の上面を保護する。
【0019】
キャップ膜15の底面および側面は保護膜14に接する。
【0020】
オフセットスペーサ16は、ゲート絶縁膜11、半導体電極12、金属電極13、および保護膜14の側面上に形成される。
【0021】
側壁スペーサ17は、オフセットスペーサ16の外側側面上に形成される。
【0022】
ソース・ドレイン領域のエクステンション領域18および高濃度領域19は、半導体基板1に注入された導電型不純物により構成される。エクステンション領域18は、導電型不純物の濃度が低く、導電型不純物の分布が浅い領域である。高濃度領域19は、導電型不純物の濃度が高く、導電型不純物の分布が深い領域である。エクステンション領域18は、高濃度領域19よりもゲート絶縁膜11に近い。
【0023】
図1に示されるように、トランジスタ100aとトランジスタ100bの間のエクステンション領域18および高濃度領域19は、トランジスタ100aとトランジスタ100bに共有されてもよい。
【0024】
さらに、半導体基板1中にハロー領域20が形成される。ハロー領域20は、エクステンション領域18および高濃度領域19を構成する導電型不純物と異なる導電型の不純物から構成され、短チャネル効果を抑制することができる。ハロー領域20は、主に半導体基板1中のエクステンション領域18下の領域に形成される。
【0025】
以下に、本実施の形態に係る半導体装置100の製造方法の一例を示す。
【0026】
(半導体装置の製造)
図2A(a)〜(d)、図2B(e)〜(h)、図2C(i)〜(l)、図2D(m)〜(o)は、第1の実施の形態に係る半導体装置100の製造工程を示す垂直断面図である。
【0027】
まず、図2A(a)に示すように、ゲート絶縁膜11、半導体電極12、およびオフセットスペーサ16を半導体基板1上に形成する。
【0028】
ゲート絶縁膜11、半導体電極12、およびオフセットスペーサ16の形成方法の一例を以下に示す。まず、半導体基板1の表面を熱酸化してSiO膜を形成する。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりSiO膜上に多結晶Si膜を形成する。ここで、多結晶Si膜はSiO膜と比べて十分に厚く、例えば300nmの厚さを有する。次に、リソグラフィー法およびRIE(Reactive Ion Etching)法を用いて多結晶SiおよびSiO膜をパターニングして、それぞれ半導体電極12およびゲート絶縁膜11に加工する。次に、CVD法によりSiN膜を半導体基板1上の全面に形成する。次に、RIE法によりSiN膜をエッチングして、半導体電極12の側面上のオフセットスペーサ16に加工する。オフセットスペーサ16の底部のゲート長方向の幅は、例えば、5nmである。
【0029】
次に、図2A(b)に示すように、CVD法によりSiO等を半導体基板1上の全面に堆積させ、堆積膜2を形成する。堆積膜2は、半導体電極12およびオフセットスペーサ16を覆うように形成される。
【0030】
次に、図2A(c)に示すように、RIE法により堆積膜2をエッチングし、半導体電極12の上面を露出させる。その結果、堆積膜2は半導体電極12およびオフセットスペーサ16を埋めるように半導体電極12およびオフセットスペーサ16の周囲に位置する。
【0031】
次に、図2A(d)に示すように、RIE法により半導体電極12を選択的にエッチングし、高さを下げる。このとき、堆積膜2およびオフセットスペーサ16に対するエッチング選択性を有する条件で半導体電極12をエッチングする。
【0032】
これにより、半導体電極12の高さは、堆積膜2の半導体電極12に隣接する部分の高さよりも低くなり、半導体電極12上に溝3が形成される。溝3の底面は半導体電極12の上面であり、溝3の側面はオフセットスペーサ16の内側側面の上部である。
【0033】
次に、図2B(e)に示すように、選択的W−CVD法(例えば、山本裕司他、「Wの低温選択成長とその初期過程」、信学技法 SDM96-139, 1996.11, pp.51-55、またはT. Morita et al., IEDM 83, pp.550-553 を参照)により、半導体電極12上にWを選択的に堆積させ、金属電極13を形成する。
【0034】
次に、図2B(f)に示すように、CVD法により半導体基板1の全面にSiNを堆積させ、絶縁膜4を形成する。絶縁膜4は、溝3の底面および側面、すなわち金属電極13の上面およびオフセットスペーサ16の内側側面の上部を覆う。また、絶縁膜4は、被覆性の悪い条件下で形成され、不均一な膜厚を有し、溝3を満たさない。
【0035】
次に、図2B(g)に示すように、ウェットエッチングにより絶縁膜4を部分的に除去し、金属電極13の上面上およびオフセットスペーサ16の内側側面上に残す。これにより、保護膜14が得られる。
【0036】
その後、ウェットエッチングにより堆積膜2を除去する。堆積膜2は、保護膜14およびオフセットスペーサ16に対するエッチング選択性を有する条件でエッチングされる。
【0037】
次に、図2B(h)に示すように、傾斜イオン注入により半導体基板1に導電型不純物を注入し、ハロー領域20を形成する。
【0038】
導電型不純物は、図2B(h)中の矢印で表されるような軌道で打ち込まれ、所定のトランジスタの保護膜14およびオフセットスペーサ16を貫通し、隣接するトランジスタのハロー領域20を形成する。
【0039】
例えば、トランジスタ100aの保護膜14およびオフセットスペーサ16を貫通した導電型不純物は、トランジスタ100bの半導体電極12のトランジスタ100a側側面の下方に位置する半導体基板1の領域に注入され、トランジスタ100bのハロー領域20を形成する。また、トランジスタ100bの保護膜14およびオフセットスペーサ16を貫通した導電型不純物は、トランジスタ100aの半導体電極12のトランジスタ100b側側面の下方に位置する半導体基板1の領域に注入され、トランジスタ100aのハロー領域20を形成する。
【0040】
なお、従来の方法のように、ゲート電極上にキャップ膜が形成された状態でイオン注入法によりハロー領域を形成する場合、キャップ膜により遮られないような角度で導電型不純物を注入するために、注入角度(基板の表面に垂直な方向を基準とした角度)を相当に小さくしなければならない。このため、キャップ層が厚く、隣接するトランジスタ間の空間のアスペクト比(高さ/幅)が大きい場合、適切な濃度プロファイルを有するハロー領域を形成することが困難になる。
【0041】
本実施の形態においては、保護膜14およびオフセットスペーサ16が十分に薄く、不純物を貫通させることができるため、イオン注入の注入角度が保護膜14およびオフセットスペーサ16の高さに依存しない。すなわち、イオン注入の注入角度がキャップ膜15の高さに依存しない。このため、キャップ膜15が厚く、トランジスタ100a、100b等の隣接するトランジスタ間の空間のアスペクト比が大きい場合であっても、適切な濃度プロファイルを有するハロー領域20を形成することができる。
【0042】
例えば、半導体電極12の厚さが80nm、金属電極13の厚さが50nm、トランジスタ100aの半導体電極12とトランジスタ100bの半導体電極12との間のゲート長方向の距離が50nmである場合、半導体基板1の表面に垂直な方向を基準とした注入角度は、arctan(50/130)≒21°である。
【0043】
次に、図2C(i)に示すように、イオン注入法により半導体基板1に導電型不純物を打ち込み、エクステンション領域18を形成する。この不純物は、半導体基板1の表面にほぼ垂直な方向に沿って打ち込まれる。なお、ハロー領域20を形成する前にエクステンション領域18を形成してもよい。
【0044】
次に、図2C(j)に示すように、半導体基板1の上面を下地としてSi系結晶をオフセットスペーサ16とほぼ同じ高さまでエピタキシャル成長させ、結晶層5を形成する。このとき、金属電極13の上面は保護膜14に覆われているため、金属電極13上にはSi系結晶が成長しない。
【0045】
結晶層5を構成するSi系結晶は、半導体基板1を構成するSi系結晶と異なる。例えば、半導体基板1がSi結晶からなる場合は、SiGe結晶、SiC結晶等のSi結晶以外のSi系結晶を結晶層5に用いる。このため、後の工程で結晶層5をエッチングにより除去する際、半導体基板1に対するエッチング選択性を有する条件で結晶層5をエッチングして選択的に除去することができる。例えば、Si結晶上のSiGe結晶を選択的に除去する技術が、A. H. Krist et al., Appl. Phys. Lett. 58 (17), 29 April 1991, pp.1899-1901、または、G. K. Chang et al., J. Electrochem. Soc., Vol.138, No.1, January 1991, pp.202-204 に記載されている。
【0046】
次に、図2C(k)に示すように、CVD法により半導体基板1の全面にSiNを堆積させ、絶縁膜6を形成する。絶縁膜6は、溝3内に満たされる。
【0047】
次に、図2C(l)に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)やRIE等により溝3の外側の絶縁膜6を除去し、絶縁膜6をキャップ膜15に加工する。
【0048】
次に、図2D(m)に示すように、ウェットエッチングにより結晶層5を除去する。結晶層5は、半導体基板1に対するエッチング選択性を有する条件でエッチングされ、選択的に除去される。
【0049】
次に、図2D(n)に示すように、オフセットスペーサ16の外側側面上に側壁スペーサ17を形成する。
【0050】
側壁スペーサ17の形成方法の一例を以下に示す。まず、CVD法によりSiN膜を半導体基板1上の全面に形成する。次に、RIE法によりSiN膜をエッチングして、オフセットスペーサ16の外側側面上の側壁スペーサ17に加工する。
【0051】
次に、図2D(o)に示すように、イオン注入法により半導体基板1に導電型不純物を打ち込み、高濃度領域19を形成する。この不純物は、半導体基板1の表面にほぼ垂直な方向に沿って打ち込まれる。その結果、トランジスタ100a、100bが得られる。なお、高濃度領域19上にシリサイド層を形成してもよい。
【0052】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、オフセットスペーサ16を形成しない点において第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については説明を省略または簡略化する。
【0053】
(半導体装置の構成)
図3は、第2の実施の形態に係る半導体装置200の垂直断面図である。半導体装置200は、半導体基板1と、半導体基板1上のトランジスタ200a、200bを有する。
【0054】
トランジスタ200a、200bは、メモリセル用トランジスタ等の狭い間隔で配置されるトランジスタである。
【0055】
トランジスタ200a、200bは、半導体基板1上にゲート絶縁膜11を介して形成された半導体電極12と、半導体電極12上の金属電極13と、金属電極13上の保護膜14と、保護膜14上のキャップ膜15と、側壁スペーサ17と、ソース・ドレイン領域のエクステンション領域18と、ソース・ドレイン領域の高濃度領域19を有する。トランジスタ200a、200bは第1の実施の形態のトランジスタ100a、100bと異なり、オフセットスペーサ16を有さない。
【0056】
保護膜14は、金属電極13の上面と側壁スペーサ17の内側側面に接する。保護膜14は、金属電極13の上面を保護する。
【0057】
側壁スペーサ17は、ゲート絶縁膜11、半導体電極12、金属電極13、および保護膜14の側面上に形成される。
【0058】
以下に、本実施の形態に係る半導体装置200の製造方法の一例を示す。
【0059】
(半導体装置の製造)
図4A(a)〜(d)、図4B(e)〜(h)、図4C(i)〜(l)、図4D(m)〜(o)は、第2の実施の形態に係る半導体装置200の製造工程を示す垂直断面図である。
【0060】
まず、図4A(a)に示すように、ゲート絶縁膜11および半導体電極12を半導体基板1上に形成する。
【0061】
次に、図4A(b)に示すように、CVD法によりSiO等を半導体基板1上の全面に堆積させ、堆積膜2を形成する。堆積膜2は、半導体電極12を覆うように形成される。
【0062】
次に、図4A(c)に示すように、RIE法により堆積膜2をエッチングし、半導体電極12の上面を露出させる。その結果、堆積膜2は半導体電極12を埋めるように半導体電極12の周囲に位置する。
【0063】
次に、図4A(d)に示すように、RIE法により半導体電極12を選択的にエッチングし、高さを下げる。このとき、堆積膜2に対するエッチング選択性を有する条件で半導体電極12をエッチングする。
【0064】
これにより、半導体電極12の高さは、堆積膜2の半導体電極12に隣接する部分の高さよりも低くなり、半導体電極12上に溝3が形成される。溝3の底面は半導体電極12の上面であり、溝3の側面は堆積膜2の内側側面の上部である。
【0065】
次に、図4B(e)に示すように、選択的W−CVD法により、半導体電極12上にWを選択的に堆積させ、金属電極13を形成する。
【0066】
次に、図4B(f)に示すように、CVD法により半導体基板1の全面にSiNを堆積させ、絶縁膜4を形成する。絶縁膜4は、溝3の底面および側面、すなわち金属電極13の上面および堆積膜2の内側側面の上部を覆う。また、絶縁膜4は、被覆性の悪い条件下で形成され、不均一な膜厚を有し、溝3を満たさない。
【0067】
次に、図4B(g)に示すように、ウェットエッチングにより絶縁膜4を部分的に除去し、金属電極13の上面上および堆積膜2の内側側面上に残す。これにより、保護膜14が得られる。
【0068】
その後、ウェットエッチングにより堆積膜2を除去する。堆積膜2は、保護膜14に対するエッチング選択性を有する条件でエッチングされる。
【0069】
次に、図4B(h)に示すように、傾斜イオン注入により半導体基板1に導電型不純物を注入し、ハロー領域20を形成する。
【0070】
導電型不純物は、図4B(h)中の矢印のような軌道で打ち込まれ、所定のトランジスタの保護膜14を貫通し、隣接するトランジスタのハロー領域20を形成する。
【0071】
例えば、トランジスタ200aの保護膜14を貫通した導電型不純物は、トランジスタ200bの半導体電極12のトランジスタ200a側側面の下方に位置する半導体基板1の領域に注入され、トランジスタ200bのハロー領域20を形成する。また、トランジスタ200bの保護膜14を貫通した導電型不純物は、トランジスタ200aの半導体電極12のトランジスタ200b側側面の下方に位置する半導体基板1の領域に注入され、トランジスタ200aのハロー領域20を形成する。
【0072】
本実施の形態においては、保護膜14が十分に薄く、不純物を貫通させることができるため、イオン注入の注入角度が保護膜14の高さに依存しない。すなわち、イオン注入の注入角度がキャップ膜15の高さに依存しない。このため、キャップ膜15が厚く、トランジスタ200a、200b等の隣接するトランジスタ間の空間のアスペクト比が大きい場合であっても、適切な濃度プロファイルを有するハロー領域20を形成することができる。
【0073】
次に、図4C(i)に示すように、イオン注入法により半導体基板1に導電型不純物を打ち込み、エクステンション領域18を形成する。
【0074】
次に、図4C(j)に示すように、半導体基板1の上面を下地としてSi系結晶を保護膜14とほぼ同じ高さまでエピタキシャル成長させ、結晶層5を形成する。
【0075】
次に、図4C(k)に示すように、CVD法により半導体基板1の全面にSiNを堆積させ、絶縁膜6を形成する。絶縁膜6は、溝3内に満たされる。
【0076】
次に、図4C(l)に示すように、CMPにより溝3の外側の絶縁膜6を除去し、絶縁膜6をキャップ膜15に加工する。
【0077】
次に、図4D(m)に示すように、ウェットエッチングにより結晶層5を除去する。結晶層5は、半導体基板1に対するエッチング選択性を有する条件でエッチングされ、選択的に除去される。
【0078】
次に、図4D(n)に示すように、ゲート絶縁膜11、半導体電極12、金属電極13、保護膜14およびキャップ膜15の側面上に側壁スペーサ17を形成する。
【0079】
次に、図4D(o)に示すように、イオン注入法により半導体基板1に導電型不純物を打ち込み、高濃度領域19を形成する。その結果、トランジスタ200a、200bが得られる。なお、高濃度領域19上にシリサイド層を形成してもよい。
【0080】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、トランジスタ100aとトランジスタ100bとの間にセルフアラインコンタクトを形成する点において第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については説明を省略または簡略化する。
【0081】
(半導体装置の構成)
図5は、第3の実施の形態に係る半導体装置300の垂直断面図である。図6は、半導体装置300の上面図である。図5に示される断面は、図6の線分V−Vに沿った垂直断面に相当する。
【0082】
半導体装置300は、半導体基板1と、半導体基板1上のトランジスタ100a、100bおよび層間絶縁膜8を有する。なお、トランジスタ100a、100bの代わりに第2の実施の形態のトランジスタ200a、200bを用いてもよい。
【0083】
トランジスタ100aとトランジスタ100bとの間のエクステンション領域18および高濃度領域19は、トランジスタ100aとトランジスタ100bに共有され、上面にセルフアラインコンタクト7が接続される。セルフアラインコンタクト7は、トランジスタ100aの側壁スペーサ17の外側側面とトランジスタ100bの側壁スペーサ17の外側側面に接する。
【0084】
セルフアラインコンタクト7は、W等の導電材料からなる。セルフアラインコンタクト7の上面には、例えば、他のコンタクトプラグが接続される。
【0085】
ここで、セルフアラインコンタクトとは、隣接する2つのトランジスタ間に自己整合的に形成されるコンタクトプラグである。後述するように、セルフアラインコンタクトを形成する場合、その製造工程上、ゲート電極上のキャップ膜が比較的厚いことが求められる。すなわち、セルフアラインコンタクトを形成する場合、隣接するトランジスタ間の空間のアスペクト比が大きくなる。
【0086】
層間絶縁膜8は、SiO等の絶縁材料からなり、トランジスタ100a、100bおよびセルフアラインコンタクト7を含むように形成される。
【0087】
以下に、本実施の形態に係る半導体装置300の製造方法の一例を示す。
【0088】
(半導体装置の製造)
図7A(a)、図7B(a)、図7C(a)は、第3の実施の形態に係る半導体装置300の製造工程を示す垂直断面図である。図7A(b)、図7B(b)、図7C(b)は、半導体装置300の製造工程を示す上面図である。ここで、図7A(a)に示される断面は、図7A(b)の線分A−Aに沿った垂直断面に相当し、図7B(a)に示される断面は、図7B(b)の線分B−Bに沿った垂直断面に相当し、図7C(a)に示される断面は、図7C(b)の線分C−Cに沿った垂直断面に相当する。
【0089】
まず、図2A(a)〜図2D(o)に示されるトランジスタ100a、100bを形成するまでの工程を第1の実施の形態と同様に行う。
【0090】
次に、図7A(a)、(b)に示すように、CVD法によりSiO等を半導体基板1上の全面に堆積させ、層間絶縁膜8を形成する。層間絶縁膜8は、トランジスタ100a、100bを覆うように形成される。
【0091】
次に、図7B(a)、(b)に示すように、層間絶縁膜8上にエッチングマスク9を形成する。エッチングマスク9は、長さ方向がトランジスタ100a、100bのゲート長方向に平行な開口パターンを有する。
【0092】
次に、図7C(a)、(b)に示すように、エッチングマスク9をマスクとして用いて、RIE法により層間絶縁膜8をエッチングし、底面に高濃度領域19の一部が露出するコンタクトホール10を形成する。
【0093】
このとき、層間絶縁膜8は、キャップ膜15および側壁スペーサ17に対するエッチング選択性を有する条件でエッチングされるが、ある程度削られて厚さが減少する。ただし、セルフアラインコンタクト7と金属電極13の短絡を防ぐため、キャップ膜15が除去されて金属電極13が露出することを防ぐ必要がある。このため、キャップ膜15は、コンタクトホール10を形成する際に削られても金属電極13が露出しないような比較的大きい厚さを有することが求められる。
【0094】
その後、コンタクトホール10を満たすようにW等の導電材料を半導体基板1上の全面に堆積させ、平坦化処理やエッチングによりコンタクトホール10の外側の導電材料を除去することにより、セルフアラインコンタクト7が得られる。その結果、図5、6に示した半導体装置300が得られる。なお、セルフアラインコンタクト7の形成方法は、上述のものに限られない。
【0095】
(実施の形態の効果)
第1〜3の実施の形態によれば、ゲート電極上のキャップ膜が厚く、隣接するトランジスタ間の空間のアスペクト比が大きい場合であっても、適切な濃度プロファイルを有するハロー領域を形成し、短チャネル効果を効果的に抑制することができる。
【0096】
また、短チャネル効果を効果的に抑制することにより、ロールオフ特性(ゲート長が短く、短チャネル効果が十分に抑制できていないトランジスタの閾値電圧が低下する特性)を改善して、閾値電圧のバラツキを抑えることができる。
【0097】
また、上記実施の形態によれば、基板に注入した不純物を長距離拡散させる必要がないため、不純物の注入量を抑え、製造コストを抑えることができる。
【0098】
上記実施の形態におけるトランジスタは、例えば、メモリセル用のトランジスタであるが、DRAM(Dynamic Random Access Memory)は比較的狭い間隔で配置されるメモリであるため、DRAMセル用トランジスタを形成する場合に、本発明の効果がより発揮される。
【0099】
〔他の実施の形態〕
本発明は、上記実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。また、半導体装置の製造工程の順序は、上記実施の形態に示されるものに限定されない。
【符号の説明】
【0100】
100、200、300 半導体装置、 100a、100b、200a、200b、300a、300b トランジスタ、 1 半導体基板、 2 堆積膜、 3 溝、 4 絶縁膜、 5 結晶層、 7 セルフアラインコンタクト、 11 ゲート絶縁膜、 12 半導体電極、 13 金属電極、 14 保護膜、 15 キャップ膜、 16 オフセットスペーサ、 17 側壁スペーサ、 20 ハロー領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1および第2のゲート絶縁膜を介して第1および第2のゲート電極をそれぞれ形成する工程と、
前記第1および第2のゲート電極の周囲に前記第1および第2のゲート電極を埋めるように堆積膜を形成する工程と、
前記第1および第2のゲート電極の高さを、前記堆積膜の前記第1および第2のゲート電極に隣接する部分の高さより下げて、前記第1および第2のゲート電極上にそれぞれ第1および第2の溝を形成する工程と、
前記第1の溝の底面および側面に沿って第1の絶縁膜を形成し、前記第2の溝の底面および側面に沿って第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記堆積膜を除去した後、第1の不純物を、前記第2の絶縁膜を貫通させて前記第1のゲート電極の前記第2のゲート電極側側面の下方に位置する前記基板の第1の領域に打ち込んで第1のハロー領域を形成し、第2の不純物を、前記第1の絶縁膜を貫通させて前記第2のゲート電極の前記第1のゲート電極側側面の下方に位置する前記基板の第2の領域に打ち込んで第2のハロー領域を形成する工程と、
前記第1および第2のハロー領域を形成した後、前記第1の絶縁膜に底面および側面を覆われた第1のキャップ膜、ならびに前記第2の絶縁膜に底面および側面を覆われた第2のキャップ膜を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1および第2のゲート電極の側面に第1および第2のオフセットスペーサをそれぞれ形成する工程をさらに含み、
前記堆積膜は前記第1および第2のオフセットスペーサの外側側面に接するように形成され、
前記第1および第2の溝の側面は、前記第1および第2のオフセットスペーサの内側側面の上部であり、
前記第1および第2の絶縁膜は、前記第1および第2のオフセットスペーサの内側側面に接するように形成され、
前記第1の不純物は、前記第2の絶縁膜および前記第2のオフセットスペーサを貫通して前記第1の領域に打ち込まれ、
前記第2の不純物は、前記第1の絶縁膜および前記第1のオフセットスペーサを貫通して前記第2の領域に打ち込まれる、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1および第2のキャップ膜を形成する工程は、前記基板上にシリコン系結晶をエピタキシャル成長させる工程と、前記シリコン系結晶上および前記第1および第2のキャップ膜上に第3の絶縁膜を堆積させる工程と、平坦化処理により前記第3の絶縁膜の前記シリコン系結晶上の部分を除去して前記第3の絶縁膜を前記第1および第2のキャップ膜に加工する工程と、前記加工後、前記基板に対するエッチング選択性を有する条件で前記シリコン系結晶をエッチングして選択的に除去する工程と、を含む、
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記基板はSi結晶からなり、前記シリコン系結晶はSiGe結晶またはSiC結晶である、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記基板中の前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間の領域にソース・ドレイン領域を形成する工程と、
前記第1および第2のキャップ膜を形成した後、前記ソース・ドレイン領域に接続されるセルフアラインコンタクトを形成する工程と、
をさらに含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2012−59946(P2012−59946A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202109(P2010−202109)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】