説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタを有する半導体装置において、ゲート幅が狭くなっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止する。
【解決手段】n型MISトランジスタnTrは、半導体基板1における素子分離領域32に囲まれた活性領域1aと、活性領域1a上及び素子分離領域32上に形成され且つ高誘電率絶縁膜12aを有するゲート絶縁膜13aと、ゲート絶縁膜13a上に形成されたゲート電極16aとを備えている。活性領域1aにおける素子分離領域32に接する部分のうち少なくともゲート絶縁膜13aの下側に位置する部分に、n型不純物領域28が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜を備えたMISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect Transistor )を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の低消費電力化及び高速化に伴い、ゲート絶縁膜として、例えばハフニウム(Hf)系膜等の高誘電率絶縁膜を用い、ゲート電極として、金属含有膜又は金属含有膜とシリコン膜との積層膜を用いたMISFET(以下、「MISトランジスタ」という)を備えた半導体装置が提案されている。
【0003】
また、n型MISトランジスタの閾値電圧を低くするために、ゲート絶縁膜として、例えばランタン(La)等の閾値電圧調整用金属を含むHf系膜を用いる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ゲート絶縁膜として、Laを含むHf系膜を用いることにより、n型MISトランジスタの閾値電圧を低くすることができるのは、次のような理由による。Hf系膜にLaを含ませると、Hf系膜中にダイポールが形成される。その結果、フラットバンド電圧がマイナス側へシフトするため、n型MISトランジスタの実効仕事関数がバンドエッジ側へシフトするので、n型MISトランジスタの閾値電圧を低くすることができる。
【0005】
尚、「実効仕事関数」とは、MISトランジスタの電気特性から求められる仕事関数であって、真空準位と金属のエネルギー準位との差を示す物性的な仕事関数に絶縁膜中の準位などの影響を加味することによって得られる。
【0006】
以下、従来の半導体装置、具体的には、Laを含む高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタの構成について、図35及び図36(a)、(b)を参照しながら説明する。図35は、従来の半導体装置の構成を示す平面図である。図36(a)は、従来の半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。図36(b)は、従来の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。具体的には、図36(a)及び(b)は、図35に示すXXXVIa−XXXVIa線及びXXXVIb−XXXVIb線のそれぞれにおける断面図である。
【0007】
図35及び図36(a)、(b)に示すように、従来の半導体装置は、p型ウェル領域102が形成されている半導体基板100上にn型MISトランジスタnTrを備えている。n型MISトランジスタnTrは、半導体基板100における素子分離領域101に囲まれた活性領域100a上に形成されたゲート絶縁膜103と、ゲート絶縁膜103上に形成されたゲート電極104と、活性領域100aにおけるゲート電極104の側方下に形成されたn型エクステンション領域106(特に、図36(a)参照)と、ゲート電極104の側面上に形成された絶縁性サイドウォールスペーサ107と、活性領域100aにおける絶縁性サイドウォール107の外側方下に形成されたn型ソース/ドレイン領域109(特に、図36(a)参照)とを備えている。
【0008】
ゲート絶縁膜103は、活性領域100aと接する下地膜103aと、下地膜103a上に形成され且つLaを含む高誘電率絶縁膜103bとを有している。ゲート電極104は、ゲート絶縁膜103と接する金属含有膜104aと、金属含有膜104a上に形成されたシリコン膜104bとを有している。絶縁性サイドウォールスペーサ107は、断面形状がL字状の内側サイドウォールスペーサ107aと、外側サイドウォールスペーサ107bとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−194352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
閾値電圧調整用金属(例えばLa等)を含む高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜を備えた従来のn型MISトランジスタについて、本願発明者が鋭意検討を重ねた結果、以下の問題を新たに見出した。
【0011】
すなわち、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅を狭くすることが必要とされる。しかしながら、閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタの場合、ゲート幅が狭くなるに伴って、閾値電圧が高くなるという問題が発生する。この問題について、図37を参照しながら説明する。
【0012】
図37は、ゲート幅(図36(b)のW参照)と閾値電圧との関係を示すグラフである。従来のn型MISトランジスタにおいては、図37の実線に示すように、ゲート幅がWhのときの閾値電圧の大きさVthhは、ゲート幅がWl(Wl>Wh)のときの閾値電圧の大きさVthlよりも高い(Vthh>Vthl)。それに対して、図37の破線に示すように、ゲート幅がWhのときの閾値電圧の大きさは、ゲート幅がWlのときの閾値電圧の大きさと同じであることが理想的である。言い換えると、ゲート幅が狭くなっても、閾値電圧が高くならないことが理想的である。しかしながら、図37の実線に示すように、従来のn型MISトランジスタにおいては、ゲート幅が狭くなるに伴って、閾値電圧が高くなっている。
【0013】
前記に鑑み、本発明は、閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタを有する半導体装置において、ゲート幅が狭くなっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止できようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、従来のn型MISトランジスタを有する半導体装置において、ゲート幅が狭くなるに伴って、閾値電圧が高くなるという問題が発生する原因について、本願発明者が鋭意検討を重ねた結果、次のような知見を得た。
【0015】
すなわち、ゲート幅方向においては、高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜が活性領域上から素子分離領域上まで形成されているため、例えばランタン(La)等の閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜は、素子分離領域を構成する絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)から拡散する酸素(O)と反応してしまう。このため、活性領域上のゲート絶縁膜のうち素子分離領域に近い部分が負の電荷を帯びた状態となり、この負の電荷を帯びたゲート絶縁膜直下の活性領域の表面に正孔が誘起される結果、閾値電圧が局所的に高くなるという問題が発生する。
【0016】
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであって、具体的には、本発明に係る半導体装置は、n型MISトランジスタを備えた半導体装置であって、前記n型MISトランジスタは、半導体基板における素子分離領域に囲まれた活性領域と、前記活性領域上及び前記素子分離領域上に形成され、且つ高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、前記活性領域における前記ゲート電極の両側に形成されたn型ソース/ドレイン領域と、前記活性領域における前記素子分離領域に接する部分のうち少なくとも前記ゲート絶縁膜の下側に位置する部分に形成されたn型不純物領域とを備えている。尚、本願において、「高誘電率絶縁膜」とは、比誘電率が8以上の(つまりSiNよりも高い比誘電率を持つ)絶縁膜を意味するものとする。
【0017】
本発明に係る半導体装置によると、素子分離領域から拡散する酸素が高誘電率絶縁膜と反応して、活性領域上のゲート絶縁膜のうち素子分離領域に近い部分が負の電荷を帯びた状態となり、活性領域の表面に正孔が誘起されたとしても、ゲート絶縁膜の下側において素子分離領域に接する部分の活性領域にn型不純物領域が形成されているため、次のような効果が得られる。すなわち、誘起された正孔が存在する部分の活性領域にn型不純物領域、つまり多数キャリアの電子を含む不純物領域が形成されているため、n型不純物領域に含まれる多数キャリアの電子によって、活性領域に誘起された正孔を中和することが可能となる。このため、活性領域に誘起された正孔に起因して局所的に閾値電圧が高くなる事態を阻止することが可能となる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0018】
本発明に係る半導体装置において、前記n型不純物領域は、前記活性領域におけるゲート幅方向の両端部に形成されていてもよいし、又は、前記活性領域を囲むように形成されていてもよい。
【0019】
本発明に係る半導体装置において、前記素子分離領域は2層構造を有していてもよい。この場合、前記n型不純物領域の下面は、前記素子分離領域の上層部分の下面と比べて、同じ深さに又はより深くに位置していてもよい。
【0020】
本発明に係る半導体装置において、前記素子分離領域は単一の絶縁膜から構成されていてもよい。
【0021】
本発明に係る半導体装置において、前記n型不純物領域は、前記n型ソース/ドレイン領域よりも浅く形成されていてもよいし、又は、前記n型ソース/ドレイン領域よりも深く形成されていてもよい。
【0022】
本発明に係る半導体装置において、前記n型不純物領域の不純物濃度は、1×1018atoms/cm3 以上で且つ1×1020atoms/cm3 以下であってもよい。このようにすると、前述の効果を確実に得ることが可能となる。
【0023】
本発明に係る半導体装置において、前記n型不純物領域のゲート幅方向の長さは、10nm以上で且つ40nm以下であってもよい。このようにすると、前述の効果を確実に得ることが可能となる。また、誘起された正孔が存在する部分の活性領域のみにn型不純物領域が形成されているため、n型不純物領域に起因するトランジスタ特性への影響を最小限に抑制することが可能となる。
【0024】
本発明に係る半導体装置において、前記n型不純物領域の前記半導体基板の表面からの深さは、20nm以上で且つ100nm以下であると、前述の効果を確実に得ることが可能となる。また、n型不純物領域が活性領域の表面近傍のみに形成されているため、素子分離領域を挟んで隣り合う活性領域同士がn型不純物領域を通じて導通する事態を回避することが可能となる。
【0025】
本発明に係る半導体装置において、前記活性領域のゲート幅方向の長さは、500nm以下であると、従来の半導体装置と比較して、前述の効果が顕著に発揮される。
【0026】
本発明に係る半導体装置において、前記n型不純物領域は、砒素又はアンチモンを含んでいてもよい。
【0027】
本発明に係る半導体装置において、前記ゲート絶縁膜は、前記高誘電率絶縁膜の下側に形成された下地膜をさらに有していてもよい。
【0028】
本発明に係る半導体装置において、前記高誘電率絶縁膜は、閾値電圧調整用金属を含んでいてもよい。この場合、前記閾値電圧調整用金属は、ランタンであってもよい。
【0029】
本発明に係る半導体装置において、前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上に形成された金属含有膜と、前記金属含有膜上に形成されたシリコン膜とを有していてもよい。
【0030】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板における活性領域上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極を有するn型MISトランジスタを備えた半導体装置の製造方法であって、前記活性領域上にハードマスクを形成する工程(a)と、前記ハードマスクが形成された前記半導体基板に対してn型不純物を斜め注入する工程(b)と、前記ハードマスクが形成されていない領域の前記半導体基板上に絶縁膜を形成した後、前記ハードマスク、及び前記絶縁膜の一部を除去することにより、前記活性領域を囲む素子分離領域を形成する工程(c)と、前記活性領域上及び前記素子分離領域上に、高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜用膜を形成する工程(d)と、前記ゲート絶縁膜用膜上にゲート電極用膜を形成する工程(e)と、前記ゲート電極用膜及び前記ゲート絶縁膜用膜をパターニングして、前記活性領域上及び前記素子分離領域上に前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極を形成する工程(f)とを備えている。
【0031】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、素子分離領域から拡散する酸素が高誘電率絶縁膜と反応して、活性領域上のゲート絶縁膜のうち素子分離領域に近い部分が負の電荷を帯びた状態となり、活性領域の表面に正孔が誘起されたとしても、素子分離領域に接する部分の活性領域にn型不純物が注入されてn型不純物領域が形成されるため、次のような効果が得られる。すなわち、誘起された正孔が存在する部分の活性領域にn型不純物領域、つまり多数キャリアの電子を含む不純物領域が形成されるため、n型不純物領域に含まれる多数キャリアの電子によって、活性領域に誘起された正孔を中和することが可能となる。このため、活性領域に誘起された正孔に起因して局所的に閾値電圧が高くなる事態を阻止することが可能となる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0032】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(a)と前記工程(b)との間に、前記ハードマスクが形成されていない領域の前記半導体基板の上部を除去してトレンチを形成した後、前記トレンチが途中まで埋まるように第1の埋め込み絶縁膜を形成する工程(g)をさらに備え、前記工程(b)において、前記トレンチにおける前記第1の埋め込み絶縁膜の上側領域に露出する部分の前記活性領域にn型不純物領域を形成し、前記工程(c)において、前記第1の埋め込み絶縁膜上に前記トレンチが埋まるように第2の埋め込み絶縁膜を形成した後、前記ハードマスク、及び前記第2の埋め込み絶縁膜の一部を除去することにより、前記第1の埋め込み絶縁膜及び前記第2の埋め込み絶縁膜からなる前記素子分離領域を形成してもよい。このようにすると、トレンチにおける第1の埋め込み絶縁膜の上側領域に露出する部分の活性領域にn型不純物領域を形成するため、n型不純物領域を活性領域の表面近傍のみに形成できるので、素子分離領域を挟んで隣り合う活性領域同士がn型不純物領域を通じて導通する事態を回避することが可能となる。この場合、前記工程(g)において、前記半導体基板の表面から前記第1の埋め込み絶縁膜の表面までの距離は、20nm以上で且つ100nm以下であると、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止しつつ、素子分離領域を挟んで隣り合う活性領域同士がn型不純物領域を通じて導通する事態を確実に回避することが可能となる。
【0033】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、前記ハードマスクが形成されていない領域と隣接する部分の前記活性領域の表面部にn型不純物領域を形成し、前記工程(b)と前記工程(c)との間に、前記ハードマスクが形成されていない領域の前記半導体基板の上部を除去してトレンチを形成する工程(h)をさらに備え、前記工程(c)において、前記トレンチが埋まるように前記絶縁膜を形成した後、前記ハードマスク、及び前記絶縁膜の一部を除去することにより、前記素子分離領域を形成してもよい。このようにすると、素子分離領域形成用のトレンチを形成する前にn型不純物の斜め注入を行うことにより、n型不純物領域を活性領域の表面近傍のみに形成できるので、素子分離領域を挟んで隣り合う活性領域同士がn型不純物領域を通じて導通する事態を回避することが可能となる。
【0034】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(a)と前記工程(b)との間に、前記ハードマスクが形成されていない領域の前記半導体基板の表面部を除去して第1のトレンチを形成する工程(i)をさらに備え、前記工程(b)において、前記第1のトレンチの側壁部となる前記活性領域にn型不純物領域を形成し、前記工程(b)と前記工程(c)との間に、前記第1のトレンチの下側に位置する領域の前記半導体基板の上部を除去して第2のトレンチを形成する工程(j)をさらに備え、前記工程(c)において、前記第2のトレンチが埋まるように前記絶縁膜を形成した後、前記ハードマスク、及び前記絶縁膜の一部を除去することにより、前記素子分離領域を形成してもよい。このようにすると、浅く形成された第1のトレンチの側壁部となる活性領域にn型不純物領域を形成するため、n型不純物領域を活性領域の表面近傍のみに形成できるので、素子分離領域を挟んで隣り合う活性領域同士がn型不純物領域を通じて導通する事態を回避することが可能となる。この場合、前記工程(i)において、前記半導体基板の表面から前記第1のトレンチの底面までの距離は、20nm以上で且つ100nm以下であると、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止しつつ、素子分離領域を挟んで隣り合う活性領域同士がn型不純物領域を通じて導通する事態を確実に回避することが可能となる。
【0035】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(a)と前記工程(b)との間に、前記ハードマスクが形成されていない領域の前記半導体基板の上部を除去してトレンチを形成する工程(k)をさらに備え、前記工程(b)において、前記トレンチの側壁部となる前記活性領域の少なくとも上部にn型不純物領域を形成してもよい。
【0036】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、前記n不純物は、砒素又はアンチモンであってもよい。このようにすると、n型不純物の斜め注入後に行われる熱処理において注入不純物がほとんど拡散しないため、n型不純物領域の意図せぬ拡大を防ぐことが可能となる。
【0037】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、ゲート長方向の各2方向及びゲート幅方向の各2方向のそれぞれから前記n型不純物を斜め注入してもよい。このようにすると、半導体基板上に複数のトランジスタを設ける場合に、各トランジスタの配置レイアウトの自由度が向上する。
【0038】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(b)において、ゲート幅方向の各2方向のそれぞれから前記n型不純物を斜め注入してもよい。このようにすると、スループットを向上させながら、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。この場合、前記工程(b)において、ゲート電極形成領域が開口されたレジストマスクを用いて前記n型不純物を斜め注入してもよい。このようにすると、n型不純物領域を必要最小限の範囲に形成できるため、n型不純物領域に起因するトランジスタ特性への影響を最小限に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1(a)は、第1の検討例に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図であり、図1(b)は、第2の検討例に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。
【図2】図2は、第1及び第2の検討例に係る半導体装置におけるゲート幅と閾値電圧との関係を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図4】図4(a)及び(b)はそれぞれ、図3に示すIVa−IVa線及びIVb−IVb線のそれぞれにおける断面図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図6】図6(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図7】図7(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図8】図8(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図10】図10(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図11】図11(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図12】図12(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図13】図13(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図14】図14(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図15】図15(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図16】図16(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図17】図17は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成のバリエーションを示す平面図である。
【図18】図18(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程のバリエーションを示す断面図である。
【図19】図19は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成のバリエーションを示す平面図である。
【図20】図20は、第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図21】図21(a)及び(b)はそれぞれ、図20に示すXXIa−XXIa線及びXXIb−XXIb線のそれぞれにおける断面図である。
【図22】図22(a)及び(b)は、第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図23】図23(a)及び(b)は、第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図24】図24(a)及び(b)は、第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図25】図25(a)及び(b)は、第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図26】図26(a)及び(b)は、第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図27】図27は、第1の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図28】図28(a)及び(b)はそれぞれ、図27に示すXXVIIIa−XXVIIIa線及びXXVIIIb−XXVIIIb線のそれぞれにおける断面図である。
【図29】図29(a)及び(b)は、第1の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図30】図30(a)及び(b)は、第1の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図31】図31(a)及び(b)は、第1の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図32】図32は、第1の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図33】図33(a)及び(b)はそれぞれ、図32に示すXXXIIIa−XXXIIIa線及びXXXIIIb−XXXIIIb線のそれぞれにおける断面図である。
【図34】図34(a)及び(b)は、第1の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図35】図35は、従来の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図36】図36(a)及び(b)は、図35に示すXXXVIa−XXXVIa線及びXXXVIb−XXXVIb線のそれぞれにおける断面図である。
【図37】図37は、従来の半導体装置におけるゲート幅と閾値電圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(本発明のメカニズム)
前述のように、従来のn型MISトランジスタを有する半導体装置において、ゲート幅が狭くなるに伴って、閾値電圧が高くなるという問題が発生する原因について、本願発明者が鋭意検討を重ねた結果、次のような知見を得た。
【0042】
すなわち、ゲート幅方向においては、高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜が活性領域上から素子分離領域上まで形成されているため、例えばランタン(La)等の閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜は、素子分離領域を構成する絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)から拡散する酸素(O)と反応してしまう。このため、活性領域上のゲート絶縁膜のうち素子分離領域に近い部分が負の電荷を帯びた状態となり、この負の電荷を帯びたゲート絶縁膜直下の活性領域の表面に正孔が誘起される結果、閾値電圧が局所的に高くなるという問題が発生する。
【0043】
以下、本願発明者が見出した前述の問題及びそれに関する知見について、図1(a)、(b)及び図2を参照しながら、具体的に説明する。図1(a)は、第1の検討例に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図1(b)は、第2の検討例に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図2は、第1及び第2の検討例に係る半導体装置におけるゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【0044】
図1(a)に示すように、第1の検討例に係る半導体装置は、p型ウェル領域52が形成されている半導体基板50上にn型MISトランジスタTrAを備えている。一方、図1(b)に示すように、第2の検討例に係る半導体装置は、p型ウェル領域52が形成されている半導体基板50上にn型MISトランジスタTrBを備えている。
【0045】
また、図1(a)及び(b)に示すように、n型MISトランジスタTrA及びTrBはそれぞれ、半導体基板50における素子分離領域51に囲まれた活性領域50a上に形成されたゲート絶縁膜54と、ゲート絶縁膜54上に形成されたゲート電極57とを備えている。ゲート絶縁膜54は、Laを含む高誘電率絶縁膜53を有している。ゲート電極57は、金属含有膜55と、金属含有膜55上に形成されたシリコン膜56とを有している。
【0046】
ここで、図1(b)に示すn型MISトランジスタTrBにおいては、ゲート絶縁膜54の下側において素子分離領域51に隣接する活性領域50aの表面部に局所的にn型不純物領域58が設けられている。
【0047】
図2は、図1(a)に示すn型MISトランジスタTrAを用いて、ゲート幅W(図1(a)参照)の大きさを変化させながら閾値電圧を測定した結果(図2の太線)と、図1(b)に示すn型MISトランジスタTrBを用いて、ゲート幅W(図1(b)参照)の大きさを変化させながら閾値電圧を測定した結果(図2の細線)とを示している。
【0048】
図2に示すように、ゲート幅WがWaである場合、言い換えれば、ゲート幅Wが比較的広い場合、素子分離領域51に隣接する部分の活性領域50aに設けられたn型不純物領域58の有無に関わらず、閾値電圧の大きさは同じである。
【0049】
しかし、図2に示すように、ゲート幅WがWbである場合、言い換えれば、ゲート幅Wが比較的狭い場合、素子分離領域51に隣接する部分の活性領域50aにn型不純物領域58が設けられていないn型MISトランジスタTrA(図1(a))の閾値電圧の大きさVthaは、n型不純物領域58が設けられているn型MISトランジスタTrB(図1(b))の閾値電圧の大きさVthbよりも高い(Vtha>Vthb)。
【0050】
このように、図1(a)に示すn型MISトランジスタTrA(つまり従来のn型MISトランジスタ)においてゲート幅が狭くなるに従って閾値電圧が高くなる現象は、以下のような理由によるものと考えられる。
【0051】
図1(a)及び(b)に示すように、ゲート絶縁膜54における素子分離領域51上に位置する部分、及び、ゲート絶縁膜54における素子分離領域51に隣接する活性領域50a上に位置する部分はそれぞれ、局所的に負の電荷を帯びた状態にある。これは、本来、Laを含む高誘電率絶縁膜53はダイポールを形成して電気的に正の電荷を帯びているが、Laを含む高誘電率絶縁膜53の形成後に施される熱処理の際に、高誘電率絶縁膜53(特に、活性領域50aと接する部分)に酸素(O)が拡散して、高誘電率絶縁膜53に含まれるLaとOとが反応すると、ダイポールの中性化が生じてしまうためである。すなわち、高誘電率絶縁膜53におけるOが拡散していない部分(つまり、素子分離領域51から十分離れた部分)と比較すると、高誘電率絶縁膜53におけるOが拡散した部分は、負の電荷を帯びた状態となってしまう。その結果、局所的に負の電荷を帯びたゲート絶縁膜54直下の活性領域50aの表面には正孔が誘起されるので、トランジスタの閾値電圧が局所的に高くなってしまうのである。
【0052】
尚、高誘電率絶縁膜53に含まれるLaと反応するOの拡散源としては、主に、素子分離領域51を構成する絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)等が考えられる。また、Oを拡散させる熱処理としては、例えば、n型ソース/ドレイン注入領域に含まれるn型不純物を活性化させてn型ソース/ドレイン領域を形成するための熱処理等が考えられる。
【0053】
また、活性領域50a表面における正孔が誘起される領域のゲート幅方向の寸法は、n型MISトランジスタのゲート幅Wに関係なく一定であると考えられるため、n型MISトランジスタのゲート幅Wが狭いほど、活性領域50a表面における正孔が誘起される領域(ゲート幅方向の領域)の影響がトランジスタにおいて顕在化してくる。従って、ゲート幅Wが狭くなるに伴って、閾値電圧が高くなるものと考えられる。
【0054】
それに対して、図1(b)に示すように、素子分離領域51に隣接する部分の活性領域50aにn型不純物領域58を設けた場合、n型不純物領域58には多数キャリアである電子が多く含まれているため、活性領域50a表面において局所的に誘起された正孔をn型不純物領域58中の電子によって中和することができる。従って、素子分離領域51に隣接する部分の活性領域50aにn型不純物領域58を設けることにより、トランジスタの閾値電圧が局所的に高くなることを防ぐことが可能となる。
【0055】
以上のように、本願発明者がさらに鋭意検討を重ねた結果、閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタを有する半導体装置において、ゲート幅が狭くなるに従って、閾値電圧が高くなることを防止するためには、少なくともゲート絶縁膜の下側において素子分離領域に隣接する活性領域の表面部の電子密度を高めておくことが有効であるという知見を見出した。以下に説明する実施形態は、当該知見に基づくものである。
【0056】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0057】
図3は、本実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。図4(a)は、本実施形態に係る半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。図4(b)は、本実施形態に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。具体的には、図4(a)及び(b)はそれぞれ、図3に示すIVa−IVa線及びIVb−IVb線のそれぞれにおける断面図である。尚、図3においては、活性領域(ソース/ドレイン領域)上に形成されているシリサイド膜の図示を省略している。
【0058】
図3及び図4(a)〜(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、p型ウェル領域8が形成されている半導体基板1上にn型MISトランジスタnTrを備えている。ここで、一例として、n型MISトランジスタnTrのゲート長及びゲート幅はそれぞれ32nm及び150nm程度である。
【0059】
n型MISトランジスタnTrは、半導体基板1における素子分離領域32に囲まれた活性領域1aと、活性領域1a上及び素子分離領域32上に形成されたゲート絶縁膜13aと、ゲート絶縁膜13a上に形成されたゲート電極16aと、活性領域1aにおけるゲート電極16aの側方下に形成されたn型エクステンション領域22(特に、図4(a)参照)と、ゲート電極16aの側面上に形成された絶縁性サイドウォールスペーサ20と、活性領域1aにおける絶縁性サイドウォールスペーサ20の外側方下に形成されたn型ソース/ドレイン領域23(特に、図4(a)参照)と、n型ソース/ドレイン領域23上に形成された第1のシリサイド膜24a(特に、図4(a)参照)と、ゲート電極16a上に形成された第2のシリサイド膜24bとを備えている。
【0060】
ゲート絶縁膜13aは、活性領域1aと接する下地膜(例えばシリコン酸化膜からなる界面層)11aと、下地膜11a上に形成され且つ閾値電圧調整用金属(例えばLa)を含む高誘電率絶縁膜12aとを有している。ゲート電極16aは、ゲート絶縁膜13a上に形成された金属含有膜14aと、金属含有膜14a上に形成されたシリコン膜15aとを有している。絶縁性サイドウォールスペーサ20は、断面形状がL字状の内側サイドウォールスペーサ18と、外側サイドウォールスペーサ19とを有している。素子分離領域32は、下層となる第1の埋め込み絶縁膜27と上層となる第2の埋め込み絶縁膜31との2層積層構造を有している。
【0061】
本実施形態の特徴として、活性領域1aの表面部のうち素子分離領域32に隣接する部分(ゲート絶縁膜13a直下の部分を含む)にn型不純物領域28が形成されている。ここで、図3に示すように、n型不純物領域28は、活性領域1aを囲むように形成されている。言い換えると、n型不純物領域28は、活性領域1aにおけるゲート長方向の両端部及びゲート幅方向の両端部にそれぞれ形成されている。
【0062】
ここで、n型不純物領域28は、例えば砒素又はアンチモンを含む。また、n型不純物領域28の不純物濃度n1は、例えば、1×1018atoms/cm3 程度以上で且つ1×1020atoms/cm3 程度以下(1×1018≦n1≦1×1020)である。n型不純物領域28のゲート幅方向の幅d1は、例えば、10nm程度以上で且つ40nm程度以下である。
【0063】
また、n型不純物領域28は、n型ソース/ドレイン領域23よりも浅く形成されている。また、n型不純物領域28の下面は、素子分離領域32の上層部分(第2の埋め込み絶縁膜31)の下面と比べて、同じ深さに又はより深くに位置している。
【0064】
尚、p型ウェル領域8の不純物濃度及び拡散深さ(半導体基板1の表面からの深さ:以下同じ)はそれぞれ、例えば、1×1018atoms/cm3 程度及び1μm程度である。また、n型エクステンション領域22の不純物濃度及び拡散深さはそれぞれ、例えば、1×1018〜5×1021atoms/cm3 程度及び10nm程度である。また、n型ソース/ドレイン領域23の不純物濃度及び拡散深さはそれぞれ、例えば、1×1018〜1×1022atoms/cm3 程度及び25〜50nm程度である。
【0065】
以上に説明した本実施形態に係る半導体装置によると、素子分離領域32から拡散する酸素が高誘電率絶縁膜12aと反応して、活性領域50a上のゲート絶縁膜13aのうち素子分離領域32に近い部分が負の電荷を帯びた状態となり、活性領域50aの表面に正孔が誘起されたとしても、ゲート絶縁膜13aの下側において素子分離領域32に接する部分の活性領域50aにn型不純物領域28が形成されているため、次のような効果が得られる。すなわち、誘起された正孔が存在する部分の活性領域50aにn型不純物領域28、つまり多数キャリアの電子を含む不純物領域が形成されているため、n型不純物領域28に含まれる多数キャリアの電子によって、活性領域50aに誘起された正孔を中和することが可能となる。このため、活性領域50aに誘起された正孔に起因して局所的に閾値電圧が高くなる事態を阻止することが可能となる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。また、従来のn型MISトランジスタにおける閾値電圧の増大はゲート幅(つまり活性領域1aのゲート幅方向の長さ)が500nm程度以下になると顕著になるので、ゲート幅が500nm程度以下であると、従来の半導体装置と比較して、前述の本実施形態の効果が顕著に発揮される。
【0066】
尚、本実施形態において、ゲート絶縁膜13aの下側の活性領域50a、つまりチャネル領域にn型不純物領域28を形成したとしても、n型不純物領域28上に位置する部分のゲート絶縁膜13中においてはダイポールが中性化されているため、ゲート電極16aに負電圧が印加された状態と等価になる。従って、ゲート電極16aに電圧が印加されていなくても、n型不純物領域28となる基板表面部の電子密度は、トランジスタの導通に必要な量には満たないため、n型不純物領域28に起因してチャネル領域にリーク電流が流れることはない。
【0067】
また、本実施形態において、n型不純物領域28を活性領域1aを囲むように形成したが、n型不純物領域28は、活性領域1aにおける素子分離領域32に接する部分のうち少なくともゲート絶縁膜13aの下側に位置する部分に形成されていれば、前述の本実施形態の効果を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態において、n型不純物領域28に起因してチャネル領域にリーク電流が流れることを防止しつつ、活性領域50aに誘起された正孔を中和するためには、n型不純物領域28の不純物濃度n1を、1×1018atoms/cm3 程度以上で且つ1×1020atoms/cm3 程度以下に設定することが好ましい。
【0069】
また、本実施形態においては、素子分離領域32に含まれる酸素(ダイポール中性化の要因)が、素子分離領域32と活性領域1aとの境界部から高誘電率絶縁膜12a中を10〜40nm程度拡散してくると考えられるので、n型不純物領域28のゲート幅方向の幅d1を、10nm程度以上で且つ40nm程度以下に設定することが好ましい。このようにすると、前述の効果を確実に得ることが可能となる。また、誘起された正孔が存在する部分の活性領域1aのみにn型不純物領域28が形成されているため、n型不純物領域28に起因するトランジスタ特性への影響を最小限に抑制することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態において、前述の本実施形態の効果を確実に得るためには、具体的には、活性領域1a表面に誘起されている正孔を中和するために十分な電子の量を確保するためには、n型不純物領域28の拡散深さを20nm程度以上に設定することが好ましい。また、n型不純物領域28の拡散深さを深くしすぎると、n型不純物領域28に含まれる電子の量が、活性領域1a表面に誘起されている正孔を中和するために必要な電子の量よりも多くなり、n型不純物領域28に起因してチャネル領域にリーク電流が流れてしまうので、n型不純物領域28の拡散深さを100nm程度以下に設定することが好ましい。すなわち、n型不純物領域28の拡散深さを20nm程度以上で且つ100nm程度以下に設定すると、前述の効果を確実に得ることが可能となる。また、n型不純物領域28が活性領域1aの表面近傍のみに形成されていることになるため、素子分離領域32を挟んで隣り合う活性領域1a同士がn型不純物領域28を通じて導通する事態を回避することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態において、素子分離領域32は、下層となる第1の埋め込み絶縁膜27と上層となる第2の埋め込み絶縁膜31との2層積層構造を有していたが、これに代えて、素子分離領域32は、単一の絶縁膜から構成されていてもよい。
【0072】
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0073】
図5(a)、(b)、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)、図8(a)、(b)、図9(a)、(b)、図10(a)、(b)、図11(a)、(b)、図12(a)、(b)、図13(a)、(b)、図14(a)、(b)、図15(a)、(b)及び図16(a)、(b)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を工程順に示す図であって、図5(a)、図6(a)、図7(a)、図8(a)、図9(a)、図10(a)、図11(a)、図12(a)、図13(a)、図14(a)、図15(a)及び図16(a)はゲート長方向の断面図であり、図5(b)、図6(b)、図7(b)、図8(b)、図9(b)、図10(b)、図11(b)、図12(b)、図13(b)、図14(b)、図15(b)及び図16(b)はゲート幅方向の断面図である。尚、図5(a)、(b)、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)、図8(a)、(b)、図9(a)、(b)、図10(a)、(b)、図11(a)、(b)、図12(a)、(b)、図13(a)、(b)、図14(a)、(b)、図15(a)、(b)及び図16(a)、(b)において、図4(a)及び(b)に示す本実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素には同一の符号を付す。
【0074】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、まず、図5(a)及び(b)に示すように、例えばシリコン基板等の半導体基板1の上に犠牲酸化膜2を形成した後、犠牲酸化膜2の上に、ハードマスクとなるシリコン窒化膜3を形成し、その後、素子分離を形成する領域上に形成されている犠牲酸化膜2及びシリコン窒化膜3を選択的に除去する。ここで、犠牲酸化膜2の厚さは、例えば5〜10nm程度である。また、シリコン窒化膜3の厚さは、例えば50〜100nm程度である。
【0075】
次に、図6(a)及び(b)に示すように、残されたシリコン窒化膜3をマスクとして、半導体基板1の上部を異方性エッチングにより除去してトレンチ4を形成する。トレンチ4の深さ(半導体基板1の表面からトレンチ4の底面までの距離)は、例えば200〜300nm程度である。このとき、残された犠牲酸化膜2の直下の領域の半導体基板1は活性領域1aとなる。活性領域1aのゲート幅方向の長さ(つまりゲート幅)は、例えば150nm程度である。
【0076】
次に、図7(a)及び(b)に示すように、トレンチ4が途中まで埋まるように、例えばSOD(Spin-On-Dielctirc )法により第1の埋め込み絶縁膜27を形成する。このとき、半導体基板1の表面から第1の埋め込み絶縁膜27の表面までの距離h1は、例えば20nm以上で且つ100nm以下である。また、第1の埋め込み絶縁膜27の材料は、例えばポリシラザン((SiH2 NH)n )である。尚、SOD法に代えて、HDP(High Density Plasma )−CVD(Chemical Vapor Deposition )法を用いて、第1の埋め込み絶縁膜27を形成してもよい。その場合、第1の埋め込み絶縁膜27の材料は、例えばNSG(Non-doped Silicate Glass)膜である。
【0077】
次に、図8(a)及び(b)に示すように、残されたシリコン窒化膜3をマスクとして、半導体基板1に対して、例えば砒素(As)又はアンチモン(Sb)等のn型不純物のイオンを斜め注入(基板法線方向に対して角度をつけて注入)し、それにより、活性領域1aの側壁の露出部分(つまり、トレンチ4における第1の埋め込み絶縁膜27の上側領域に露出する部分の活性領域1a)にn型不純物領域28を形成する。このとき、n型不純物領域28のゲート幅方向の幅d1は、例えば10nm以上で且つ40nm以下である。また、n型不純物としてAs又はSbを用いることにより、これらのn型不純物が後工程の熱処理において拡散することを抑制できるため、当該熱処理後においてもn型不純物領域28のゲート幅方向の幅d1を10nm以上で且つ40nm以下の比較的狭い幅に保持することが可能となる。また、n型不純物の注入条件は、ドーズ量が例えば5×1012〜5×1013cm-2程度であり、注入角度が、半導体基板1の法線方向を基準として例えば25度程度である。尚、本実施形態においては、n型不純物の斜め注入を、ゲート長方向の各2方向及びゲート幅方向の各2方向のそれぞれから行うことにより、活性領域1aを囲むようにn型不純物領域28を形成する(図3参照)。
【0078】
次に、図9(a)及び(b)に示すように、第1の埋め込み絶縁膜27上に、トレンチ4及び残されたシリコン窒化膜3同士の間がそれぞれ埋まるように、例えばHDP−CVD法により第2の埋め込み絶縁膜29を形成する。このとき、第2の埋め込み絶縁膜29の材料は、例えばNSG膜である。また、HDP−CVD法に代えて、SOD法を用いて第2の埋め込み絶縁膜29を形成してもよい。その場合、第2の埋め込み絶縁膜29の材料は、例えばポリシラザンである。
【0079】
次に、図10(a)及び(b)に示すように、シリコン窒化膜3、及び第2の埋め込み絶縁膜29の一部に対して、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing )により研磨を行い、その後、例えば燐酸ボイルを用いたウェットエッチングにより、残存するシリコン窒化膜3を除去する。このとき、トレンチ4における第1の埋め込み絶縁膜27上に第2の埋め込み絶縁膜30が残存する。続いて、犠牲酸化膜2越しに、活性領域1aを含む半導体基板1の表面部に、例えばボロン(B)等のp型不純物を注入することにより、p型ウエル領域8を形成する。このとき、注入条件は、注入エネルギーが例えば150keVであり、ドーズ量が2×1013cm-2程度であり、注入角度が、半導体基板1の法線方向を基準として例えば0度である。
【0080】
次に、図11(a)及び(b)に示すように、例えば弗酸を用いたウェットエッチングにより、犠牲酸化膜2を除去する。このとき、第2の埋め込み絶縁膜30の表面部も除去されて第2の埋め込み絶縁膜31に変形し、第1の埋め込み絶縁膜27及び第2の埋め込み絶縁膜31からなる素子分離領域32が形成される。
【0081】
次に、図12(a)及び(b)に示すように、活性領域1a上及び素子分離領域32上に下地膜11及び高誘電率絶縁膜9を順次形成した後、高誘電率絶縁膜9上に閾値電圧調整用金属膜10を形成する。ここで、下地膜11の材料としては、例えば酸化シリコン(SiO2 )又は酸窒化シリコン(SiON)等を用いてもよい。また、高誘電率絶縁膜9の材料としては、例えばハフニウム酸化物(HfSiO、HfSiON、HfO、HfON、HfZrO又はHfZrON等)を用いてもよい。また、閾値電圧調整用金属膜10の材料としては、例えばランタン(La)を用いてもよい。
【0082】
次に、図13(a)及び(b)に示すように、熱処理により、高誘電率絶縁膜9に、閾値電圧調整用金属膜10に含まれる調整用金属を導入する。これにより、高誘電率絶縁膜9中にダイポールが形成されて、半導体基板1上に、下地膜11と、閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜12とを有するゲート絶縁膜用膜13が形成される。その後、例えばCVD法により、ゲート絶縁膜用膜13上に、例えば窒化チタン(TiN)又は窒化タンタル(TaN)からなる金属含有膜14を形成する。その後、例えばCVD法により、金属含有膜14上に、例えばポリシリコンからなるシリコン膜15を形成する。このようにして、ゲート絶縁膜用膜13上に、金属含有膜14及びシリコン膜15を有するゲート電極用膜16が形成される。その後、フォトリソグラフィ法により、ゲート電極用膜16上に、ゲート電極パターン形状を有するレジストパターン40を形成する。レジストパターン40のゲート長方向の長さは、ゲート絶縁膜(後述の図14(a)のゲート絶縁膜13a参照)及びゲート電極(後述の図14(a)のゲート電極16a参照)のゲート長方向の長さ(つまりゲート長)と同じであり、例えば32nm程度である。
【0083】
次に、図14(a)及び(b)に示すように、レジストパターン40をマスクとして、例えばドライエッチングにより、金属含有膜14及びシリコン膜15を有するゲート電極用膜16、並びに下地膜11及び閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜12を有するゲート絶縁膜用膜13を順次パターニングする。その後、レジストパターン40を除去する。このようにして、活性領域1a上及び素子分離領域32上に、下地膜11a及び閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜12aを有するゲート絶縁膜13aを介して、金属含有膜14a及びシリコン膜15aを有するゲート電極16aが形成される。続いて、例えば砒素(As)等のn型不純物のイオン注入によって、活性領域1aにおけるゲート電極16aの側方下にn型エクステンション注入領域17を形成する。ここで、注入条件は、注入エネルギーが例えば1.5keVであり、ドーズ量が1×1015cm-2程度であり、注入角度が、半導体基板1の法線方向を基準として例えば0度である。
【0084】
次に、半導体基板1上の全面に、例えばCVD法により、例えば酸化シリコン(SiO2 )からなる内側サイドウォールスペーサ用膜、及び例えば窒化シリコン(SiN)からなる外側サイドウォールスペーサ用膜を順次形成した後、外側サイドウォールスペーサ用膜及び内側サイドウォールスペーサ用膜に対して、例えば異方性ドライエッチングを順次行う。これにより、図15(a)及び(b)に示すように、ゲート電極16aの側面上に、断面形状がL字状の内側サイドウォールスペーサ18及び外側サイドウォールスペーサ19を有する絶縁性サイドウォールスペーサ20が形成される。その後、例えば砒素(As)等のn型不純物のイオン注入によって、活性領域1aにおける絶縁性サイドウォールスペーサ20の外側方下にn型ソース/ドレイン注入領域21を形成する。ここで、注入条件は、注入エネルギーが例えば10keVであり、ドーズ量が5×1015cm-2程度であり、注入角度が、半導体基板1の法線方向を基準として例えば0度である。
【0085】
次に、図16(a)及び(b)に示すように、例えば900℃程度の熱処理を行うことにより、n型エクステンション注入領域17に含まれるn型不純物を活性化してn型エクステンション領域22を形成すると共に、n型ソース/ドレイン注入領域21に含まれるn型不純物を活性化してn型ソース/ドレイン領域23を形成する。その後、n型ソース/ドレイン領域23上(活性領域1aのゲート長方向の両端部に形成されているn型不純物領域28上を含む)に第1のシリサイド膜24aを形成すると共に、ゲート電極16aを構成するシリコン膜15a上に第2のシリサイド膜24bを形成する。
【0086】
以上のようにして、図3及び図4(a)〜(b)に示す本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0087】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、素子分離領域32から拡散する酸素が高誘電率絶縁膜12aと反応して、活性領域50a上のゲート絶縁膜13aのうち素子分離領域32に近い部分が負の電荷を帯びた状態となり、活性領域50aの表面に正孔が誘起されたとしても、ゲート絶縁膜13aの下側において素子分離領域32に接する部分の活性領域50aにn型不純物領域28が形成されるため、次のような効果が得られる。すなわち、誘起された正孔が存在する部分の活性領域50aにn型不純物領域28、つまり多数キャリアの電子を含む不純物領域が形成されているため、n型不純物領域28に含まれる多数キャリアの電子によって、活性領域50aに誘起された正孔を中和することが可能となる。このため、活性領域50aに誘起された正孔に起因して局所的に閾値電圧が高くなる事態を阻止することが可能となる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0088】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、トレンチ4における第1の埋め込み絶縁膜27の上側領域に露出する部分の活性領域1aにn型不純物領域28を形成するため(図8参照)、n型不純物領域28を活性領域1aの表面近傍のみに形成できる。従って、素子分離領域32を挟んで隣り合う活性領域1a同士がn型不純物領域28を通じて導通する事態を回避すること、言い換えると、パンチスルー耐性を高めることが可能となる。特に、図7(a)及び(b)に示す工程において、トレンチ4における第1の埋め込み絶縁膜27の上側領域の深さ(半導体基板1の表面から第1の埋め込み絶縁膜27の表面までの距離)を20nm以上で且つ100nm以下に設定すると、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止しつつ、パンチスルー耐性を確実に高くすることができる。
【0089】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、図8(a)及び(b)に示す工程において、n型不純物の斜め注入を、ゲート長方向の各2方向及びゲート幅方向の各2方向のそれぞれから行うため、半導体基板1上に複数のトランジスタを設ける場合に、各トランジスタの配置レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0090】
尚、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の図8(a)及び(b)に示す工程において、n型不純物の斜め注入を、ゲート幅方向の各2方向のみから行ってもよい。この場合、図17に示すように、n型不純物領域28は、活性領域1aにおけるゲート幅方向の両端部に形成される。このようにすると、スループットを向上させながら、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。また、n型不純物の斜め注入を、ゲート幅方向の各2方向のみから行う場合、図8(a)及び(b)に示す工程に代えて、例えば図18(a)及び(b)に示すように、ゲート電極形成領域が開口されたレジストマスク41を用いてn型不純物の斜め注入を行ってもよい。この場合、図18(a)、(b)及び図19に示すように、n型不純物領域28は、活性領域1aにおける素子分離領域32に接する部分のうちゲート絶縁膜13aの下側に位置する部分のみに形成される。このようにすると、n型不純物領域28を必要最小限の範囲に形成できるため、n型不純物領域28に起因するトランジスタ特性への影響を最小限に抑制することが可能となる。尚、図17及び図19において、図3と同一の構成要素には同一の符号を付している。また、図18(a)及び(b)において、図8(a)及び(b)と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0091】
(第1の実施形態の第1変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0092】
図20は、本変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。図21(a)は、本変形例に係る半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。図21(b)は、本変形例に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。具体的には、図21(a)及び(b)はそれぞれ、図20に示すXXIa−XXIa線及びXXIb−XXIb線のそれぞれにおける断面図である。尚、図20においては、活性領域(ソース/ドレイン領域)上に形成されているシリサイド膜の図示を省略している。また、図20及び図21(a)、(b)において、図3及び図4(a)〜(b)に示す第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0093】
図20及び図21(a)、(b)に示すように、本変形例に係る半導体装置が、図3及び図4(a)〜(b)に示す第1の実施形態に係る半導体装置と異なっている点は、第1に、第1の実施形態のn型不純物領域28に代えて、n型不純物領域28Aが形成されていること、第2に、第1の実施形態の素子分離領域32に代えて、素子分離領域32Aが形成されていることである。具体的には、本変形例のn型不純物領域28Aは、後述するように、第1の実施形態のn型不純物領域28と形成方法が異なっている。また、第1の実施形態の素子分離領域32が、下層となる第1の埋め込み絶縁膜27と上層となる第2の埋め込み絶縁膜31との2層積層構造を有していたのに対して、本変形例の素子分離領域32Aは単一の絶縁膜から構成されている。
【0094】
以下、本変形例に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0095】
図22(a)、(b)、図23(a)、(b)、図24(a)、(b)、図25(a)、(b)及び図26(a)、(b)は、本変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す図であって、図22(a)、図23(a)、図24(a)、図25(a)及び図26(a)はゲート長方向の断面図であり、図22(b)、図23(b)、図24(b)、図25(b)及び図26(b)はゲート幅方向の断面図である。尚、図22(a)、(b)、図23(a)、(b)、図24(a)、(b)、図25(a)、(b)及び図26(a)、(b)において、図4(a)及び(b)に示す第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素には同一の符号を付す。
【0096】
本変形例に係る半導体装置の製造方法においては、まず、第1の実施形態の図5(a)及び(b)に示す工程と同様の工程を実施する。
【0097】
次に、図22(a)及び(b)に示すように、残されたシリコン窒化膜3をマスクとして、半導体基板1に対して、例えば砒素(As)又はアンチモン(Sb)等のn型不純物のイオンを斜め注入し、それにより、半導体基板1の露出部分(シリコン窒化膜3が形成されていない領域の半導体基板1の表面部)にn型不純物領域25を形成する。このとき、シリコン窒化膜3が形成されていない領域と隣接する部分の活性領域1a(残されたシリコン窒化膜3の端部の下側に位置する部分の活性領域1a)の表面部にもn型不純物領域25が形成される。また、n型不純物領域25の半導体基板1の表面からの深さは、例えば20nm程度以上で且つ100nm程度以下である。また、n型不純物の注入条件は、ドーズ量が例えば5×1012〜5×1013cm-2程度であり、注入角度が、半導体基板1の法線方向を基準として例えば25度程度である。尚、本変形例において、n型不純物の斜め注入を、ゲート長方向の各2方向及びゲート幅方向の各2方向のそれぞれから行ってもよい。
【0098】
次に、図23(a)及び(b)に示すように、残されたシリコン窒化膜3をマスクとして、n型不純物領域25を含む半導体基板1の上部を異方性エッチングにより除去してトレンチ4を形成する。トレンチ4の深さ(半導体基板1の表面からトレンチ4の底面までの距離)は、例えば200〜300nm程度である。このとき、残された犠牲酸化膜2の直下の領域の半導体基板1は活性領域1aとなると共に、活性領域1aを囲むようにn型不純物領域25の一部(n型不純物領域28A)が残る。活性領域1aのゲート幅方向の長さ(つまりゲート幅)は、例えば150nm程度である。また、n型不純物領域28Aのゲート幅方向の幅d1は、例えば10nm以上で且つ40nm以下である。前述のように、図22(a)及び(b)に示す工程ではn型不純物としてAs又はSbを用いてn型不純物領域を形成しているため、これらのn型不純物が後工程の熱処理において拡散することを抑制できるので、当該熱処理後においてもn型不純物領域28Aのゲート幅方向の幅d1を10nm以上で且つ40nm以下の比較的狭い幅に保持することが可能となる。
【0099】
次に、図24(a)及び(b)に示すように、トレンチ4を埋め込むように、例えばSOD法により埋め込み絶縁膜6を形成する。埋め込み絶縁膜6の材料は、例えばポリシラザンである。尚、SOD法に代えて、HDP−CVD法を用いて、埋め込み絶縁膜6を形成してもよい。その場合、埋め込み絶縁膜6の材料は、例えばNSG膜である。
【0100】
次に、図25(a)及び(b)に示すように、シリコン窒化膜3、及び埋め込み絶縁膜6の一部に対して、例えばCMP法により研磨を行い、その後、例えば燐酸ボイルを用いたウェットエッチングにより、残存するシリコン窒化膜3を除去する。このとき、トレンチ4に埋め込み絶縁膜7が残存する。続いて、犠牲酸化膜2越しに、活性領域1aを含む半導体基板1の表面部に、例えばボロン(B)等のp型不純物を注入することにより、p型ウエル領域8を形成する。このとき、注入条件は、注入エネルギーが例えば150keVであり、ドーズ量が2×1013cm-2程度であり、注入角度が、半導体基板1の法線方向を基準として例えば0度である。
【0101】
次に、図26(a)及び(b)に示すように、例えば弗酸を用いたウェットエッチングにより、犠牲酸化膜2を除去する。このとき、埋め込み絶縁膜7の表面部が除去されて素子分離領域32Aが形成される。
【0102】
以下、第1の実施形態の図12(a)、(b)に示す工程、図13(a)、(b)に示す工程、図14(a)、(b)に示す工程、図15(a)、(b)に示す工程及び図16(a)、(b)に示す工程のそれぞれと同様の工程を順次実施することにより、図20及び図21(a)、(b)に示す本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0103】
以上に説明した本変形例に係る半導体装置及びその製造方法によると、前述の第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0104】
また、本変形例に係る半導体装置の製造方法によると、素子分離領域形成用のトレンチ4を形成する前にn型不純物の斜め注入を行うことにより、n型不純物領域28Aを活性領域1aの表面近傍のみに形成できる。従って、素子分離領域32Aを挟んで隣り合う活性領域1a同士がn型不純物領域28Aを通じて導通する事態を回避すること、言い換えると、パンチスルー耐性を高めることが可能となる。
【0105】
(第1の実施形態の第2変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0106】
図27は、本変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。図28(a)は、本変形例に係る半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。図28(b)は、本変形例に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。具体的には、図28(a)及び(b)はそれぞれ、図27に示すXXVIIIa−XXVIIIa線及びXXVIIIb−XXVIIIb線のそれぞれにおける断面図である。尚、図27においては、活性領域(ソース/ドレイン領域)上に形成されているシリサイド膜の図示を省略している。また、図27及び図28(a)、(b)において、図3及び図4(a)〜(b)に示す第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0107】
図27及び図28(a)、(b)に示すように、本変形例に係る半導体装置が、図3及び図4(a)〜(b)に示す第1の実施形態に係る半導体装置と異なっている点は、第1に、第1の実施形態のn型不純物領域28に代えて、n型不純物領域28Bが形成されていること、第2に、第1の実施形態の素子分離領域32に代えて、素子分離領域32Aが形成されていることである。具体的には、本変形例のn型不純物領域28Bは、後述するように、第1の実施形態のn型不純物領域28と形成方法が異なっている。また、第1の実施形態の素子分離領域32が、下層となる第1の埋め込み絶縁膜27と上層となる第2の埋め込み絶縁膜31との2層積層構造を有していたのに対して、本変形例の素子分離領域32Aは単一の絶縁膜から構成されている。
【0108】
以下、本変形例に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0109】
図29(a)、(b)、図30(a)、(b)及び図31(a)、(b)は、本変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す図であって、図29(a)、図30(a)及び図31(a)はゲート長方向の断面図であり、図29(b)、図30(b)及び図31(b)はゲート幅方向の断面図である。尚、図29(a)、(b)、図30(a)、(b)及び図31(a)、(b)において、図4(a)及び(b)に示す第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素には同一の符号を付す。
【0110】
本変形例に係る半導体装置の製造方法においては、まず、第1の実施形態の図5(a)及び(b)に示す工程と同様の工程を実施する。
【0111】
次に、図29(a)及び(b)に示すように、残されたシリコン窒化膜3をマスクとして、半導体基板1の表面部を異方性エッチングにより除去して第1のトレンチ33を形成する。第1のトレンチ33の深さ(半導体基板1の表面から第1のトレンチ33の底面までの距離)は、例えば20nm程度以上で且つ100nm程度以下である。このとき、残された犠牲酸化膜2の直下の領域の半導体基板1は活性領域1aとなる。活性領域1aのゲート幅方向の長さ(つまりゲート幅)は、例えば150nm程度である。
【0112】
次に、図30(a)及び(b)に示すように、残されたシリコン窒化膜3をマスクとして、半導体基板1に対して、例えば砒素(As)又はアンチモン(Sb)等のn型不純物のイオンを斜め注入し、それにより、半導体基板1の露出部分(第1のトレンチ33の底部となる半導体基板1の表面部)にn型不純物領域34を形成する。このとき、第1のトレンチ33の側壁部となる活性領域1a(残されたシリコン窒化膜3の端部の下側に位置する部分の活性領域1aの表面部)にもn型不純物領域34が形成される。また、n型不純物の注入条件は、ドーズ量が例えば5×1012〜5×1013cm-2程度であり、注入角度が、半導体基板1の法線方向を基準として例えば25度程度である。尚、本変形例において、n型不純物の斜め注入を、ゲート長方向の各2方向及びゲート幅方向の各2方向のそれぞれから行ってもよい。
【0113】
次に、図31(a)及び(b)に示すように、残されたシリコン窒化膜3をマスクとして、第1のトレンチ33の下側に位置する領域の半導体基板1の上部(n型不純物領域34を含む)を異方性エッチングにより除去して第2のトレンチ35を形成する。第2のトレンチ35の深さ(半導体基板1の表面から第2のトレンチ35の底面までの距離)は、例えば200〜300nm程度である。ここで、第2のトレンチ35は、第1の実施形態及びその第1変形例のトレンチ4に相当する。また、第2のトレンチ35の形成により、活性領域1aを囲むようにn型不純物領域34の一部(n型不純物領域28B)が残る。n型不純物領域28Bのゲート幅方向の幅d1は、例えば10nm以上で且つ40nm以下である。前述のように、図30(a)及び(b)に示す工程ではn型不純物としてAs又はSbを用いてn型不純物領域を形成しているため、これらのn型不純物が後工程の熱処理において拡散することを抑制できるので、当該熱処理後においてもn型不純物領域28Bのゲート幅方向の幅d1を10nm以上で且つ40nm以下の比較的狭い幅に保持することが可能となる。
【0114】
以下、第1の実施形態の第1変形例の図24(a)、(b)に示す工程、図25(a)、(b)に示す工程及び図26(a)、(b)に示す工程のそれぞれと同様の工程、並びに、第1の実施形態の図12(a)、(b)に示す工程、図13(a)、(b)に示す工程、図14(a)、(b)に示す工程、図15(a)、(b)に示す工程及び図16(a)、(b)に示す工程のそれぞれと同様の工程を順次実施することにより、図27及び図28(a)、(b)に示す本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0115】
以上に説明した本変形例に係る半導体装置及びその製造方法によると、前述の第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0116】
また、本変形例に係る半導体装置の製造方法によると、浅く形成された第1のトレンチ33の側壁部となる活性領域1aにn型不純物領域28Bを形成するため、n型不純物領域28Bを活性領域1aの表面近傍のみに形成できる。従って、素子分離領域32Aを挟んで隣り合う活性領域1a同士がn型不純物領域28Bを通じて導通する事態を回避すること、言い換えると、パンチスルー耐性を高めることが可能となる。特に、図29(a)及び(b)に示す工程において、第1のトレンチ33の深さ(半導体基板1の表面から第1のトレンチ33の底面までの距離)を20nm以上で且つ100nm以下に設定すると、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止しつつ、パンチスルー耐性を確実に高くすることができる。
【0117】
(第1の実施形態の第3変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0118】
図32は、本変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。図33(a)は、本変形例に係る半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。図33(b)は、本変形例に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。具体的には、図33(a)及び(b)はそれぞれ、図32に示すXXXIIIa−XXXIIIa線及びXXXIIIb−XXXIIIb線のそれぞれにおける断面図である。尚、図32においては、活性領域(ソース/ドレイン領域)上に形成されているシリサイド膜の図示を省略している。また、図32及び図33(a)、(b)において、図3及び図4(a)〜(b)に示す第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0119】
図32及び図33(a)、(b)に示すように、本変形例に係る半導体装置が、図3及び図4(a)〜(b)に示す第1の実施形態に係る半導体装置と異なっている点は、第1に、第1の実施形態のn型不純物領域28に代えて、n型不純物領域28Cが形成されていること、第2に、第1の実施形態の素子分離領域32に代えて、素子分離領域32Aが形成されていることである。具体的には、第1の実施形態のn型不純物領域28が、n型ソース/ドレイン領域23よりも浅く形成されていたのに対して、本変形例のn型不純物領域28Cは、後述するように、第1の実施形態のn型不純物領域28とは異なる形成方法によって、n型ソース/ドレイン領域23よりも深く形成されている。また、第1の実施形態の素子分離領域32が、下層となる第1の埋め込み絶縁膜27と上層となる第2の埋め込み絶縁膜31との2層積層構造を有していたのに対して、本変形例の素子分離領域32Aは単一の絶縁膜から構成されている。
【0120】
以下、本変形例に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0121】
図34(a)及び(b)は、本変形例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す図であって、図34(a)はゲート長方向の断面図であり、図34(b)はゲート幅方向の断面図である。尚、図34(a)、(b)において、図4(a)及び(b)に示す第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素には同一の符号を付す。
【0122】
本変形例に係る半導体装置の製造方法においては、まず、第1の実施形態の図5(a)、(b)に示す工程及び図6(a)、(b)に示す工程のそれぞれと同様の工程を順次実施する。
【0123】
次に、図34(a)及び(b)に示すように、残されたシリコン窒化膜3をマスクとして、半導体基板1に対して、例えば砒素(As)又はアンチモン(Sb)等のn型不純物のイオンを斜め注入し、それにより、トレンチ4の側壁部となる活性領域1aにn型不純物領域28Cを形成する。このとき、n型不純物領域28Cのゲート幅方向の幅d1は、例えば10nm以上で且つ40nm以下である。また、n型不純物としてAs又はSbを用いることにより、これらのn型不純物が後工程の熱処理において拡散することを抑制できるため、当該熱処理後においてもn型不純物領域28Cのゲート幅方向の幅d1を10nm以上で且つ40nm以下の比較的狭い幅に保持することが可能となる。また、n型不純物の注入条件は、ドーズ量が例えば5×1012〜5×1013cm-2程度であり、注入角度が、半導体基板1の法線方向を基準として例えば25度程度である。尚、本変形例においては、n型不純物の斜め注入を、ゲート長方向の各2方向及びゲート幅方向の各2方向のそれぞれから行ってもよい。
【0124】
以下、第1の実施形態の第1変形例の図24(a)、(b)に示す工程、図25(a)、(b)に示す工程及び図26(a)、(b)に示す工程のそれぞれと同様の工程、並びに、第1の実施形態の図12(a)、(b)に示す工程、図13(a)、(b)に示す工程、図14(a)、(b)に示す工程、図15(a)、(b)に示す工程及び図16(a)、(b)に示す工程のそれぞれと同様の工程を順次実施することにより、図32及び図33(a)、(b)に示す本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0125】
以上に説明した本変形例に係る半導体装置及びその製造方法によると、前述の第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0126】
尚、本変形例の図34(a)及び(b)に示す工程においては、トレンチ4の側壁部となる活性領域1aにn型不純物領域28Cを形成したが、n型不純物領域28Cは、トレンチ4の側壁部となる活性領域1aの少なくとも上部(例えば半導体基板1の表面から深さ20nm程度以上の部分)に形成されていればよい。特に、パンチスルー耐性を高くするためには、n型不純物の注入時の注入角度等の調整によって、トレンチ4の側壁部となる活性領域1aのうち半導体基板1の表面から深さ100nm程度までの部分にn型不純物領域28Cを形成することが好ましい。
【0127】
また、第1の実施形態及びその各変形例において、ゲート絶縁膜13aを構成する高誘電率絶縁膜12aは、閾値電圧調整用金属として、Laを含んでいたが、これに代えて、例えば他のランタノイド元素又はマグネシウム(Mg)等を含んでいてもよい。
【0128】
また、第1の実施形態及びその各変形例おいて、ゲート絶縁膜13aを構成する高誘電率絶縁膜12aと活性領域1aとの間に、酸化シリコンからなる下地膜11aが介在していたが、これに代えて、例えば酸窒化シリコン(SiON)等からなる下地膜が介在していてもよい。或いは、高誘電率絶縁膜12aと活性領域1aとの間に下地膜が介在していなくてもよい。
【0129】
また、第1の実施形態及びその各変形例において、ゲート電極16aは、ゲート絶縁膜13a上に形成された金属含有膜14aと、金属含有膜14a上に形成されたシリコン膜15aとを有していたが、ゲート電極16aの構成が特に限定されないことは言うまでもない。
【0130】
また、第1の実施形態及びその各変形例において、n型MISトランジスタnTrを備えた半導体装置を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、n型MISトランジスタとp型MISトランジスタとを備えた半導体装置においてn型MISトランジスタに本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0131】
以上に説明したように、本発明は、ゲート幅が狭くなってもn型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止できるという効果を奏するものであり、閾値電圧調整用金属を含む高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタを有する半導体装置及びその製造方法に有用である。
【符号の説明】
【0132】
1 半導体基板
1a 活性領域
2 犠牲酸化膜
3 シリコン窒化膜
4 トレンチ
6、7 埋め込み絶縁膜
8 p型ウェル領域
9 高誘電率絶縁膜
10 調整用金属膜
11、11a 下地膜
12、12a 高誘電率絶縁膜
13 ゲート絶縁膜用膜
13a ゲート絶縁膜
14、14a 金属含有膜
15、15a シリコン膜
16 ゲート電極用膜
16a ゲート電極
17 n型エクステンション注入領域
18 内側サイドウォールスペーサ
19 外側サイドウォールスペーサ
20 絶縁性サイドウォールスペーサ
21 n型ソース/ドレイン注入領域
22 n型エクステンション領域
23 n型ソース/ドレイン領域
24a 第1のシリサイド膜
24b 第2のシリサイド膜
25、28、28A、28B、28C、34 n型不純物領域
27 第1の埋め込み絶縁膜
29、30、31 第2の埋め込み絶縁膜
32、32A 素子分離領域
33 第1のトレンチ
35 第2のトレンチ
40 レジストパターン
41 レジストマスク
50 半導体基板
50a 活性領域
51 素子分離領域
52 p型ウェル領域
53 高誘電率絶縁膜
54 ゲート絶縁膜
55 金属含有膜
56 シリコン膜
57 ゲート電極
58 n型不純物領域
100 半導体基板
100a 活性領域
101 素子分離領域
102 p型ウェル
103 ゲート絶縁膜
103a 下地膜
103b 高誘電率絶縁膜
104 ゲート電極
104a 金属含有膜
104b シリコン膜
106 n型エクステンション領域
107 絶縁性サイドウォールスペーサ
107a 内側サイドウォールスペーサ
107b 外側サイドウォールスペーサ
109 n型ソース/ドレイン領域
nTr、TrA、TrB n型MISトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型MISトランジスタを備えた半導体装置であって、
前記n型MISトランジスタは、
半導体基板における素子分離領域に囲まれた活性領域と、
前記活性領域上及び前記素子分離領域上に形成され、且つ高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記活性領域における前記ゲート電極の両側に形成されたn型ソース/ドレイン領域と、
前記活性領域における前記素子分離領域に接する部分のうち少なくとも前記ゲート絶縁膜の下側に位置する部分に形成されたn型不純物領域とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記n型不純物領域は、前記活性領域におけるゲート幅方向の両端部に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記n型不純物領域は、前記活性領域を囲むように形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記素子分離領域は2層構造を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記n型不純物領域の下面は、前記素子分離領域の上層部分の下面と比べて、同じ深さに又はより深くに位置していることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記素子分離領域は単一の絶縁膜から構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記n型不純物領域は、前記n型ソース/ドレイン領域よりも浅く形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記n型不純物領域は、前記n型ソース/ドレイン領域よりも深く形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記n型不純物領域の不純物濃度は、1×1018atoms/cm3 以上で且つ1×1020atoms/cm3 以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記n型不純物領域のゲート幅方向の長さは、10nm以上で且つ40nm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記n型不純物領域の前記半導体基板の表面からの深さは、20nm以上で且つ100nm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記活性領域のゲート幅方向の長さは、500nm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記n型不純物領域は、砒素又はアンチモンを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ゲート絶縁膜は、前記高誘電率絶縁膜の下側に形成された下地膜をさらに有することを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記高誘電率絶縁膜は、閾値電圧調整用金属を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置において、
前記閾値電圧調整用金属は、ランタンであることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上に形成された金属含有膜と、前記金属含有膜上に形成されたシリコン膜とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
半導体基板における活性領域上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極を有するn型MISトランジスタを備えた半導体装置の製造方法であって、
前記活性領域上にハードマスクを形成する工程(a)と、
前記ハードマスクが形成された前記半導体基板に対してn型不純物を斜め注入する工程(b)と、
前記ハードマスクが形成されていない領域の前記半導体基板上に絶縁膜を形成した後、前記ハードマスク、及び前記絶縁膜の一部を除去することにより、前記活性領域を囲む素子分離領域を形成する工程(c)と、
前記活性領域上及び前記素子分離領域上に、高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜用膜を形成する工程(d)と、
前記ゲート絶縁膜用膜上にゲート電極用膜を形成する工程(e)と、
前記ゲート電極用膜及び前記ゲート絶縁膜用膜をパターニングして、前記活性領域上及び前記素子分離領域上に前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極を形成する工程(f)とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)と前記工程(b)との間に、前記ハードマスクが形成されていない領域の前記半導体基板の上部を除去してトレンチを形成した後、前記トレンチが途中まで埋まるように第1の埋め込み絶縁膜を形成する工程(g)をさらに備え、
前記工程(b)において、前記トレンチにおける前記第1の埋め込み絶縁膜の上側領域に露出する部分の前記活性領域にn型不純物領域を形成し、
前記工程(c)において、前記第1の埋め込み絶縁膜上に前記トレンチが埋まるように第2の埋め込み絶縁膜を形成した後、前記ハードマスク、及び前記第2の埋め込み絶縁膜の一部を除去することにより、前記第1の埋め込み絶縁膜及び前記第2の埋め込み絶縁膜からなる前記素子分離領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)において、前記ハードマスクが形成されていない領域と隣接する部分の前記活性領域の表面部にn型不純物領域を形成し、
前記工程(b)と前記工程(c)との間に、前記ハードマスクが形成されていない領域の前記半導体基板の上部を除去してトレンチを形成する工程(h)をさらに備え、
前記工程(c)において、前記トレンチが埋まるように前記絶縁膜を形成した後、前記ハードマスク、及び前記絶縁膜の一部を除去することにより、前記素子分離領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−114139(P2012−114139A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259874(P2010−259874)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】