半導体装置及び半導体装置の作製方法
【課題】外部ストレス、及び静電気放電による形状不良や特性不良などの半導体装置の不良を低減することを目的の一とする。よって、信頼性の高い半導体装置を提供することを目的の一とする。また、作製工程中においても上記不良を低減することで半導体装置の製造歩留まりを向上させることを目的の一とする。
【解決手段】外部ストレスに対する耐衝撃層、又はその衝撃を拡散する衝撃拡散層とで挟持された半導体集積回路と、半導体集積回路を覆う導電層とを有する。半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。
【解決手段】外部ストレスに対する耐衝撃層、又はその衝撃を拡散する衝撃拡散層とで挟持された半導体集積回路と、半導体集積回路を覆う導電層とを有する。半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
より小型、薄型化を図られている半導体集積回路チップ(ICチップともいう)において、外的ストレスに対するその強度を高めることは重要である。
【0003】
チップの強度を向上させるため、チップを補強する方法が種々提案されている(特許文献1参照。)。例えば、特許文献1においては、チップを補強金属板で挟み、封止用樹脂で覆い硬化する方法が報告されている。
【0004】
また、携帯して用いる半導体集積回路チップは、携帯時、保管時、使用時における外部からの静電気放電による半導体集積回路チップの破壊(静電気破壊)が生じるという問題があり、その対策も報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
特許文献2では、携帯時、保管時の半導体集積回路チップは、全ての外部端子が短絡されることによって、静電気放電による半導体集積回路チップの破壊に対する耐性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−139802号公報
【特許文献2】特開2000−231619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のように補強用金属板を設けると半導体装置が厚く、大型化してしまうといった問題がある。
【0008】
従って、薄型化及び小型化を達成しながら、外部ストレス、及び静電気放電に耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することを目的の一とする。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する耐衝撃層、その力を拡散する衝撃拡散層、及び半導体集積回路を覆う導電層を設ける。導電層は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路の静電気破壊を防ぐことができる。導電層は、半導体集積回路の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナを設ける場合は、半導体集積回路のアンテナを設けない側に形成される。なお、導電層は半導体集積回路とは電気的に接続しない。
【0010】
半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する耐衝撃層、又、さらにその力を拡散する衝撃拡散層を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0011】
半導体装置において、少なくとも一の衝撃拡散層は半導体集積回路に接して設けられる。半導体集積回路の近くに接して設けられることによって、より外部から半導体集積回路にかかる力を拡散し、低減する効果がある。
【0012】
半導体装置において、半導体集積回路は一対の衝撃拡散層、又、さらに耐衝撃層によって挟持されている。半導体集積回路は基板上で作製され、耐衝撃層に接着して基板より剥離される。本明細書において、半導体集積回路を基板より剥離することによって半導体集積回路の生じる面を、剥離面という。本発明において、一対の耐衝撃層及び一対の衝撃拡散層を有する場合、半導体集積回路の剥離面は衝撃拡散層(第2の衝撃拡散層)に接し、他方の面は耐衝撃層(第1の耐衝撃層)に接して設けられている。第1の衝撃拡散層は第1の耐衝撃層の外側(半導体集積回路と反対側)に、第2の耐衝撃層は第2の衝撃拡散層の外側(半導体集積回路と反対側)にそれぞれ設けられている。
【0013】
導電層としては、導電性を有しておれば良い。導電層は、薄膜におけるシート抵抗が1.0×102Ω/□以上1.0×107Ω/□以下(より好ましくは1.0×102Ω/□以上1.0×104Ω/□以下)が好ましい。
【0014】
このような導電層は、アンテナが送受信すべき電波を透過する膜厚、材料で形成する。よって、静電気破壊に耐性を有する信頼性の高い送受信可能な半導体装置を提供することができる。
【0015】
導電層として、金属、金属窒化物、金属酸化物などの膜、及びそれらの積層を用いることができる。
【0016】
導電層は、例えば、チタン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉄、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、バリウムから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料で形成すればよい。
【0017】
窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどを用いることができる。
【0018】
酸化物材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0019】
また、半導体に不純物元素などを添加して導電性を付与した半導体膜などを用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜などを用いることができる。
【0020】
さらに、導電層として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を用いてもよい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0021】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0022】
導電性高分子を含む導電層には、有機樹脂やドーパント(ハロゲン類、ルイス酸、無機酸、有機酸、遷移金属ハロゲン化物、有機シアノ化合物、非イオン性界面活性剤等)を含ませてもよい。
【0023】
導電層は、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法などの各種乾式法、塗布法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)などの各種湿式法により形成することができ、膜厚は5nm以上200nm以下が好ましい。
【0024】
導電層は、半導体集積回路に接着した耐衝撃層(又は衝撃拡散層)に形成してもよいし、半導体集積回路に接着前に衝撃拡散層に形成してもよい。導電層を半導体集積回路に接着前に衝撃拡散層に形成し、衝撃拡散層と耐衝撃層との間に導電層を有する構成とすると、導電層表面が露出しないために、酸化、摩耗、ひび割れなどの導電層の劣化を防止する効果がある。
【0025】
また、導電層上の保護層を積層してもよい。例えば、導電層としてチタン膜を形成し、チタン膜上に保護層として酸化チタン膜を積層するとよい。保護層により半導体装置の表面に導電層を設ける場合でも保護層が最表面となり、導電層の劣化を防ぐことができる。
【0026】
耐衝撃層としては、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いることができる。耐衝撃層は、弾性率13GPa以上、破断係数は300MPa未満が好ましい。
【0027】
衝撃拡散層としては、弾性率が低く、かつ破断強度が高い材料を用いることが好ましく、ゴム弾性を有する膜を用いればよい。衝撃拡散層は、弾性率5GPa以上12GPa以下、破断係数300MPa以上が好ましい。
【0028】
衝撃拡散層は、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アラミド系樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。弾性を有する高強度材料で形成される衝撃拡散層を設けると局所的な押圧などの荷重を層全体に拡散し吸収するために、半導体装置の破損を防ぐことができる。
【0029】
より具体的には、衝撃拡散層として、アラミド樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂などを用いることができる。
【0030】
本明細書において、転置(転載ともいう)とはある基板に形成された半導体集積回路を、該基板より剥離し、他の基板に移しかえることをいう。つまり半導体集積回路を設ける場所を他の基板へ移動するとも言える。
【0031】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側には半導体集積回路を覆う導電層とを有する。
【0032】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、半導体集積回路と第2の耐衝撃層との間に衝撃拡散層と、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側には半導体集積回路を覆う導電層とを有し、衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0033】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、半導体集積回路と第2の耐衝撃層との間に衝撃拡散層と、第2の耐衝撃層と衝撃拡散層との間には半導体集積回路を覆う導電層とを有し、衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0034】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、第1の耐衝撃層の半導体集積回路と反対の面に第1の衝撃拡散層と、半導体集積回路と第2の耐衝撃層との間に第2の衝撃拡散層と、第1の衝撃拡散層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側には半導体集積回路を覆う導電層とを有し、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0035】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、第1の耐衝撃層の半導体集積回路と反対の面に第1の衝撃拡散層と、半導体集積回路と第2の耐衝撃層との間に第2の衝撃拡散層と、第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層との間には半導体集積回路を覆う導電層とを有し、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0036】
上記構成において、半導体装置に、半導体集積回路に対して(半導体集積回路を間に挟んで)導電層と反対側に外部と信号を受信又は発信するアンテナを設けてもよい。例えば、第2の耐衝撃層の外側に導電層を設ける場合、半導体集積回路と第1の耐衝撃層との間にアンテナを設ければよい。また半導体集積回路上にも保護層を設けてもよく、例えば、半導体集積回路上に設けられたアンテナを覆うように保護層として無機絶縁層を形成すればよい。
【0037】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、第2の耐衝撃層を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側に半導体集積回路を覆う導電層を形成する。
【0038】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、第2の耐衝撃層と衝撃拡散層とを接着し、第2の耐衝撃層に接着された衝撃拡散層を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側に半導体集積回路を覆う導電層を形成し、衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0039】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、衝撃拡散層の一方の面に導電層を形成し、第2の耐衝撃層と衝撃拡散層の導電層の形成された一方の面とを接着し、第2の耐衝撃層に接着された衝撃拡散層の他方の面を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0040】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を、第1の耐衝撃層に第1の衝撃拡散層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層とを接着し、第2の耐衝撃層に接着された第2の衝撃拡散層を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、第1の衝撃拡散層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側に半導体集積回路を覆う導電層を形成し、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層は、第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0041】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を、第1の耐衝撃層に第1の衝撃拡散層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、第2の衝撃拡散層の一方の面に導電層を形成し、第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層の導電層の形成された一方の面とを接着し、第2の耐衝撃層に接着された第2の衝撃拡散層の他方の面を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層は、第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0042】
衝撃拡散層は接着層によって半導体集積回路と接着されていてもよく、この場合、半導体集積回路と衝撃拡散層との間に接着層を有する。また、耐衝撃層と衝撃拡散層とを、又は耐衝撃層と半導体集積回路とを、加熱及び加圧処理によって接着することができる。
【0043】
なお、本発明において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置を指す。本発明を用いて半導体素子(トランジスタ、メモリ素子やダイオードなど)を含む回路を有する装置や、プロセッサ回路を有するチップなどの半導体装置を作製することができる。
【発明の効果】
【0044】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の衝撃拡散層、又耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】半導体装置を説明する図。
【図2】半導体装置を説明する図。
【図3】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図4】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図5】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図6】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図7】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図8】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図9】半導体装置の適用例を説明する図。
【図10】半導体装置を説明する図。
【図11】半導体装置を説明する図。
【図12】半導体装置により得られるマイクロプロセッサの構成を示すブロック図。
【図13】半導体装置により得られるRFCPUの構成を示すブロック図。
【図14】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図15】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図16】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図17】半導体装置を説明する図。
【図18】半導体装置を説明する図。
【図19】半導体装置を説明する図。
【図20】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図21】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図22】半導体装置を説明する図。
【図23】信頼性評価の結果を示す図。
【図24】半導体装置を説明する図。
【図25】半導体装置を説明する図。
【図26】半導体装置を説明する図。
【図27】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図28】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図29】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図30】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図31】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図32】半導体装置を説明する図。
【図33】半導体装置を説明する図。
【図34】半導体装置を説明する図。
【図35】半導体装置を説明する図。
【図36】信頼性評価の結果を示す図。
【図37】信頼性評価の結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0047】
(実施の形態1)
本実施の形態では、より信頼性の高い半導体装置、及び歩留まりよい半導体装置の作製方法を、図1乃至図3を用いて詳細に説明する。
【0048】
本実施の形態における半導体装置において、半導体集積回路は作製時の基板より剥離され、可撓性を有する耐衝撃層に挟持される。なお、本明細書では半導体集積回路が作製される基板を作製基板ともいう。従って、半導体集積回路は作製基板に剥離層を介して形成される。
【0049】
図1(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図1(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102、第1の衝撃拡散層113、第2の衝撃拡散層103に挟持されており、半導体集積回路100と第2の耐衝撃層102の間に第2の衝撃拡散層103、第2の耐衝撃層102の外側(第2の衝撃拡散層103と反対側)に導電層140が設けられている。
【0050】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。なお、導電層140は半導体集積回路100とは電気的に接続しない。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0051】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、図17(A)(B)に示すように、第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。図17(A)(B)の構成において、アンテナを形成する場合、アンテナを形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナの反対側の半導体集積回路100より第2の衝撃拡散層103、第2の耐衝撃層102側に設けることが好ましい。
【0052】
導電層140としては、導電性を有しておれば良い。導電層140は、薄膜におけるシート抵抗が1.0×102Ω/□以上1.0×107Ω/□以下(より好ましくは1.0×102Ω/□以上1.0×104Ω/□以下)が好ましい。
【0053】
このような導電層140は、アンテナが送受信すべき電波を透過する膜厚、材料で形成する。よって、静電気破壊に耐性を有する信頼性の高い送受信可能な半導体装置を提供することができる。
【0054】
導電層140として、金属、金属窒化物、金属酸化物などの膜、及びそれらの積層を用いることができる。
【0055】
導電層140は、例えば、チタン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉄、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、バリウムから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料で形成すればよい。
【0056】
窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどを用いることができる。
【0057】
酸化物材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0058】
また、半導体に不純物元素などを添加して導電性を付与した半導体膜などを用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜などを用いることができる。
【0059】
さらに、導電層140として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を用いてもよい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0060】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0061】
導電性高分子を含む導電層140には、有機樹脂やドーパント(ハロゲン類、ルイス酸、無機酸、有機酸、遷移金属ハロゲン化物、有機シアノ化合物、非イオン性界面活性剤等)を含ませてもよい。
【0062】
導電層140は、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法などの各種乾式法、塗布法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)などの各種湿式法により形成することができ、膜厚は5nm以上200nm以下が好ましい。
【0063】
また、導電層140上の保護層を積層してもよい。例えば、導電層140としてチタン膜(膜厚10nm以上50nm以下程度)を形成し、チタン膜上に保護層として酸化チタン膜を積層するとよい。保護層により半導体装置の表面に導電層140を設ける場合でも保護層が最表面となり、導電層の劣化を防ぐことができる。保護層は膜厚10nm以上200nm以下程度とすればよい。
【0064】
第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102は繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いており、第1の耐衝撃層112は繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体、第2の耐衝撃層102は繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体である。
【0065】
半導体集積回路100の剥離面は第2の衝撃拡散層103に接し、他方の面は第1の耐衝撃層112に接して設けられている。第1の衝撃拡散層113は第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に、第2の耐衝撃層102は第2の衝撃拡散層103の外側(半導体集積回路100と反対側)にそれぞれ設けられている。
【0066】
繊維体160が繊維糸束を経糸及び緯糸として製織した織布の上面図を図1(C)に示す。
【0067】
図1(C)に示すように、繊維体160は、一定間隔をあけた経糸と、一定間隔をあけた緯糸とで織られている。このような経糸及び緯糸を用いて製織された繊維体には、経糸及び緯糸が存在しない領域を有する。このような繊維体160は、有機樹脂161が含浸される割合が高まり、繊維体160と半導体集積回路との密着性を高めることができる。
【0068】
また繊維体160は、経糸及び緯糸の密度が高く、経糸及び緯糸が存在しない領域の割合が低いものでもよい。
【0069】
繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。また耐衝撃層は、弾性率13GPa以上、破断係数は300MPa未満が好ましい。例えば、耐衝撃層として、弾性率13GPa以上15GPa以下、破断係数140MPaのプリプレグを用いることができる。
【0070】
なお繊維体に有機樹脂が含浸された構造体は、複数層を積層させてもよい。この場合、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させることで構造体を形成してもよいし、複数の積層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても良い。
【0071】
また有機樹脂161として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。或いは有機樹脂161として、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また有機樹脂161として、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を半導体集積回路に固着することができる。なお、有機樹脂161はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0072】
有機樹脂161にまたは繊維の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等が挙げられる。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱導電性フィラーが有機樹脂または繊維糸束内に含まれることにより半導体集積回路での発熱を外部に放出しやすくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の破壊を低減することができる。
【0073】
繊維体160は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、部分的に重なるように配置する。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。なお、繊維体160は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0074】
また、繊維体160は、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布であってもよい。織布の場合、平織り、綾織り、しゅす織り等を適宜用いることができる。
【0075】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体160を薄くすることが可能である。このため、構造体を薄くすることが可能であり、薄型の半導体装置を作製することができる。
【0076】
なお、本実施の形態の図面においては、繊維体160は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。
【0077】
また、繊維糸束内部への有機樹脂の浸透率を高めるため、繊維に表面処理が施されても良い。例えば、繊維表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を用いた表面処理がある。
【0078】
また、衝撃拡散層(第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層)としては、弾性率が低く、かつ破断強度が高い材料を用いることが好ましく、ゴム弾性を有する膜を用いればよい。衝撃拡散層は、弾性率5GPa以上12GPa以下、破断係数300MPa以上が好ましい。
【0079】
衝撃拡散層は、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アラミド系樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。弾性を有する高強度材料で形成される衝撃拡散層を設けると局所的な押圧などの荷重を層全体に拡散し吸収するために、半導体装置の破損を防ぐことができる。
【0080】
より具体的には、衝撃拡散層として、アラミド樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂などを用いることができる。本実施の形態では、衝撃拡散層としてアラミド樹脂フィルム(弾性率10GPa、破断強度480MPa)を用いる。
【0081】
図1(B)は半導体集積回路100と第2の衝撃拡散層103とを接着層104を用いて、第1の耐衝撃層112と第1の衝撃拡散層113を接着層114でそれぞれ固着する例である。本実施の形態では、第2の衝撃拡散層103としてアラミドフィルムを用い、接着層104としてアクリル樹脂を用いる。接着層104は衝撃拡散層と半導体集積回路とを固着することができればよく、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系などを用いることができる。第1の耐衝撃層112と第1の衝撃拡散層113を加熱及び加圧処理によって接着する場合は、接着層114を用いなくてもよい。接着層は、膜厚3μm以上15μm以下程度とすればよい。
【0082】
また、半導体集積回路上に保護層を形成してもよい。図2(A)(B)に半導体集積回路100上に保護層として無機絶縁層105を形成する例を示す。また、図2(A)(B)は半導体集積回路100上にアンテナ101を形成し、アンテナ101上に無機絶縁層105が形成されている例である。無機絶縁層105でアンテナ101を覆うことで、アンテナとして機能する導電層の酸化などを防ぐことができる。
【0083】
導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナ101を設ける場合は、半導体集積回路100のアンテナ101を設けない側(図2(A)においては第2の耐衝撃層102側)に形成される。また図18(A)(B)のように第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102の間に導電層140を設けてもよい。
【0084】
アンテナ101を形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、図18(B)のように半導体集積回路100を介してアンテナ101と反対側に導電層140を設けると、導電層140により静電気破壊による不良を軽減することができる。
【0085】
無機絶縁層105は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は積層で形成する。無機化合物の代表例としては、珪素酸化物又は珪素窒化物が挙げられる。珪素酸化物及び珪素窒化物の代表例としては、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。
【0086】
さらには、無機絶縁層105を積層構造としても良い。例えば、無機化合物を用いて積層してもよく、代表的には、酸化珪素、窒化酸化珪素、及び酸化窒化珪素を積層して形成しても良い。
【0087】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様を図3(A)乃至(D)を用いて説明する。作製基板である絶縁表面を有する基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100を形成する(図3(A)参照。)。
【0088】
作製基板である基板110としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、表面に絶縁層が形成された金属基板などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。半導体装置の作製工程において、その行う工程に合わせて作製基板を適宜選択することができる。
【0089】
剥離層111は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は前記元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。なお、ここでは、塗布法は、スピンコーティング法、液滴吐出法、ディスペンス法を含む。
【0090】
剥離層111が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
【0091】
剥離層111が積層構造の場合、好ましくは、1層目としてタングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成する。
【0092】
剥離層111として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステン層と絶縁層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。またプラズマ処理や加熱処理は、酸素、窒素、一酸化二窒素、一酸化二窒素単体、あるいは前記ガスとその他のガスとの混合気体雰囲気下で行ってもよい。これは、タングステンの窒化物、酸化窒化物及び窒化酸化物を含む層を形成する場合も同様であり、タングステンを含む層を形成後、その上層に窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層を形成するとよい。
【0093】
また、上記の工程によると、基板110に接するように剥離層111を形成しているが、本発明はこの工程に制約されない。基板110に接するように下地となる絶縁層を形成し、その絶縁層に接するように剥離層111を設けてもよい。
【0094】
半導体集積回路100と第1の耐衝撃層112を接着し、剥離層111を用いて半導体集積回路100を基板110より剥離する。よって半導体集積回路100は、第1の耐衝撃層112側に設けられる(図3(B)参照。)。
【0095】
本実施の形態では、第1の耐衝撃層112として繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂は加熱及び圧着により、半導体集積回路に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0096】
なお、他の基板への転置工程は、基板と半導体集積回路の間に剥離層を形成し、剥離層と半導体集積回路との間に金属酸化膜を設け、当該金属酸化膜を結晶化により脆弱化して、当該半導体集積回路を剥離する方法、耐熱性の高い基板と半導体集積回路の間に水素を含む非晶質珪素膜を設け、レーザ光の照射またはエッチングにより当該非晶質珪素膜を除去することで、当該半導体集積回路を剥離する方法、基板と半導体集積回路の間に剥離層を形成し、剥離層と半導体集積回路との間に金属酸化膜を設け、当該金属酸化膜を結晶化により脆弱化し、剥離層の一部を溶液やNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスによりエッチングで除去した後、脆弱化された金属酸化膜において剥離する方法、半導体集積回路が形成された基板を機械的に削除又は溶液やNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスによるエッチングで除去する方法等を適宜用いることができる。また、剥離層として窒素、酸素や水素等を含む膜(例えば、水素を含む非晶質珪素膜、水素含有合金膜、酸素含有合金膜など)を用い、剥離層にレーザ光を照射して剥離層内に含有する窒素、酸素や水素をガスとして放出させ半導体集積回路と基板との剥離を促進する方法を用いてもよい。
【0097】
上記剥離方法を組み合わすことでより容易に転置工程を行うことができる。つまり、レーザ光の照射、ガスや溶液などによる剥離層へのエッチング、鋭いナイフやメスなどによる機械的な削除を行い、剥離層と半導体集積回路とを剥離しやすい状態にしてから、物理的な力(機械等による)によって剥離を行うこともできる。
【0098】
また、剥離層と半導体集積回路との界面に液体を浸透させて作製基板から半導体集積回路を剥離してもよい。
【0099】
第2の耐衝撃層102も第1の耐衝撃層112と同様、繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を接着する。第2の衝撃拡散層103の第2の耐衝撃層102の反対面には接着層104を設ける。
【0100】
半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着し、半導体集積回路100及び第2の衝撃拡散層103を第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に挟持する。
【0101】
次に第2の耐衝撃層102の表面に導電層140を形成する(図3(C)参照。)。本実施の形態では、導電層140は、スパッタリング法により膜厚10nmのチタン膜を形成する。
【0102】
さらに、第1の耐衝撃層112の半導体集積回路100と反対側に接着層114を用いて第1の衝撃拡散層113を接着する(図3(D)参照。)。
【0103】
導電層140は、半導体集積回路100に接着した第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102、及び第1の衝撃拡散層113の外側に形成してもよいし、半導体集積回路100に接着前に第2の衝撃拡散層103及び第1の衝撃拡散層113の内側(半導体集積回路100側)に形成してもよい。導電層140を半導体集積回路100に接着前に第2の衝撃拡散層103、第1の衝撃拡散層113の内側(半導体集積回路100側)に形成し、第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102との間に導電層140を有する構成、又は第1の衝撃拡散層113と第1の耐衝撃層112との間に導電層140を有する構成とすると、導電層140表面が露出しないために、酸化、摩耗、ひび割れなどの導電層140の劣化を防止する効果がある。
【0104】
図16(A)乃至(C)に示すように、第1の衝撃拡散層113を、第1の耐衝撃層112と半導体集積回路100とを接着する工程で同時に第1の耐衝撃層112に接着して設けてもよい。
【0105】
図3(A)同様に、作製基板である絶縁表面を有する基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100を形成する(図16(A)参照。)。
【0106】
半導体集積回路100に、第1の耐衝撃層112、第1の衝撃拡散層を積層して、加熱及び加圧処理を行うことによって、半導体集積回路100に、第1の耐衝撃層112、第1の衝撃拡散層113を接着し、剥離層111を用いて基板110より剥離する(図16(B)参照。)。半導体集積回路100と第1の耐衝撃層112との接着工程、第1の耐衝撃層112と第1の衝撃拡散層113との接着工程は同時に行ってもよいし、別工程で行ってもよい。
【0107】
半導体集積回路100の剥離面に、第2の耐衝撃層102が積層された第2の衝撃拡散層103を、接着層104を用いて接着し、第2の耐衝撃層102の外側に導電層140を形成し、半導体装置を作製する(図16(C)参照。)。
【0108】
図20(A)乃至(C)及び図21(A)乃至(C)に第1の衝撃拡散層113に導電層140を形成する例を示す。
【0109】
図20(A)は図3(A)に対応しており、基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100が形成されている。次に予め導電層140が形成された第1の衝撃拡散層113の導電層140の形成されていない面と第1の耐衝撃層112とを加熱、加圧処理により接着する。基板110より剥離層111を用いて、第1の耐衝撃層112に接着して半導体集積回路100を剥離する(図20(B)参照。)。次に、第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を加熱、加圧処理により接着し、半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着する(図20(C)参照。)。図20(C)では、導電層140は第1の衝撃拡散層113の外側(半導体集積回路と反対側)に設けられる構造となる。
【0110】
図21(A)も図3(A)に対応しており、基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100が形成されている。次に予め導電層140が形成された第1の衝撃拡散層113の導電層140の形成された面と第1の耐衝撃層112とを加熱、加圧処理により接着し、第1の衝撃拡散層113と第1の耐衝撃層112との間に導電層140を設ける。基板110より剥離層111を用いて、第1の耐衝撃層112に接着して半導体集積回路100を剥離する(図21(B)参照。)。次に、第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を加熱、加圧処理により接着し、半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着する(図21(C)参照。)。図21(C)では、導電層140は第1の衝撃拡散層113の内側(半導体集積回路と反対側)に設けられる構造となる。
【0111】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0112】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び一対の衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0113】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置の他の例を図22(A)(B)を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0114】
図22(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図22(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112及び第1の衝撃拡散層113と、第2の衝撃拡散層103とに挟持されており、第2の衝撃拡散層103の外側(半導体集積回路100と反対側)に導電層140が設けられている。
【0115】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、第1の衝撃拡散層113の外側(半導体集積回路100と反対側)、又は第1の衝撃拡散層113と第1の耐衝撃層112との間に設けることもできる。
【0116】
しかし図22(B)に示すように、アンテナ101を形成する場合、アンテナを形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナの反対側の半導体集積回路100より第2の衝撃拡散層103側に設けることが好ましい。
【0117】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0118】
また、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する第1の耐衝撃層112、又、さらにその力を拡散する第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0119】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電(による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する耐衝撃層、衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0120】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置の他の例を図19(A)(B)を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0121】
図19(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図19(A)において、半導体集積回路100は第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103に挟持されており、第2の衝撃拡散層103の外側に導電層140が設けられている。
【0122】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、第1の衝撃拡散層113の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。
【0123】
しかし図19(B)に示すように、アンテナ101を形成する場合、アンテナを形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナの反対側の半導体集積回路100より第2の衝撃拡散層103側に設けることが好ましい。
【0124】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0125】
また、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)を拡散する第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0126】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0127】
(実施の形態4)
本実施の形態では、より信頼性の高い半導体装置、及び歩留まりよい半導体装置の作製方法を、図4及び図5を用いて詳細に説明する。本実施の形態では、半導体装置の一例としてCMOS(相補型金属酸化物半導体:Complementary Metal Oxide Semiconductor)に関して説明する。
【0128】
作製基板である絶縁表面を有する基板200上に剥離層201を介して、トランジスタ210、211、絶縁膜212、絶縁膜213、絶縁層214が設けられ、半導体集積回路250が形成されている(図4(A)参照。)。
【0129】
トランジスタ210は薄膜トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域224a、224b、ソース領域又はドレイン領域224a、224bより低濃度不純物領域である不純物領域223a、223b、チャネル形成領域226、ゲート絶縁層227、ゲート電極層228、サイドウォール構造の絶縁層229a、229bを含む。ソース領域又はドレイン領域224a、224bはソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層230a、230bと接し、電気的に接続している。本実施の形態では、トランジスタ210はpチャネル型薄膜トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域224a、224b、LDD(LightlyDoped Drain)領域である不純物領域223a、223bにp型を付与する不純物元素(例えばボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等)を含む。
【0130】
トランジスタ211は薄膜トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域204a、204b、ソース領域又はドレイン領域204a、204bより低濃度不純物領域である不純物領域203a、203b、チャネル形成領域206、ゲート絶縁層207、ゲート電極層208、サイドウォール構造の絶縁層209a、209bを含む。ソース領域又はドレイン領域204a、204bはソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層210a、210bと接し、電気的に接続している。本実施の形態では、トランジスタ211はnチャネル型薄膜トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域204a、204b、LDD領域である不純物領域203a、203bにn型を付与する不純物元素(例えばリン(P)やヒ素(As)等)を含む。
【0131】
第1の耐衝撃層262として、繊維体280に有機樹脂281が含浸された構造体を用いる。半導体集積回路250と第1の耐衝撃層262を接着し、剥離層201を用いて半導体集積回路250を基板200より剥離する。よって半導体集積回路250は、第1の耐衝撃層262側に設けられる(図4(B)(C)参照。)。
【0132】
第2の耐衝撃層252も第1の耐衝撃層262と同様、繊維体270に有機樹脂271が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、導電層260が形成された衝撃拡散層253と第2の耐衝撃層252を接着する(図5(B)参照。)。導電層260は第2の耐衝撃層252との接着前に、衝撃拡散層253に形成する。衝撃拡散層253の第2の耐衝撃層252の反対面には接着層254を設ける。
【0133】
導電層260は半導体集積回路250を覆うように半導体集積回路250と重なる領域全面に設ける。導電層260は、半導体集積回路250の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層260は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路250の静電気破壊を防ぐことができる。
【0134】
半導体集積回路250の露出している剥離面に接着層254を接着する(図5(B)参照。)。さらに、第1の耐衝撃層262の半導体集積回路250と反対側に第1の衝撃拡散層263を接着層264を用いて接着し、第1の耐衝撃層262、第2の耐衝撃層252、第1の衝撃拡散層263、及び第2の衝撃拡散層253に挟持された半導体集積回路250を有する半導体装置を作製することができる(図5(C)参照。)。
【0135】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0136】
半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら強度を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0137】
本実施の形態で作製した半導体装置は、可撓性を有する耐衝撃層、及び衝撃拡散層を用いることで、可撓性を有する半導体装置とすることができる。
【0138】
トランジスタ210、211が有する半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質(アモルファス、以下「AS」ともいう。)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いは微結晶(セミアモルファス若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により成膜することができる。
【0139】
微結晶半導体膜は、ギブスの自由エネルギーを考慮すれば非晶質と単結晶の中間的な準安定状態に属するものである。すなわち、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する。柱状または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長している。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマンスペクトルが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側に、シフトしている。即ち、単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導体膜が得られる。
【0140】
この微結晶半導体膜は、周波数が数十MHz〜数百MHzの高周波プラズマCVD法、または周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCVD装置により形成することができる。代表的には、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などの水素化珪素を水素で希釈して形成することができる。また、水素化珪素及び水素に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して微結晶半導体膜を形成することができる。これらのときの水素化珪素に対して水素の流量比を5倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍以下、更に好ましくは100倍とする。
【0141】
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0142】
また、半導体の材料としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの単体のほかGaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどのような化合物半導体も用いることができる。また酸化物半導体である酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化マグネシウム亜鉛、酸化ガリウム、インジウム酸化物、及び上記酸化物半導体の複数より構成される酸化物半導体などを用いることができる。例えば、酸化亜鉛とインジウム酸化物と酸化ガリウムとから構成される酸化物半導体なども用いることができる。なお、酸化亜鉛を半導体層に用いる場合、ゲート絶縁層をY2O3、Al2O3、TiO2、それらの積層などを用いるとよく、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層としては、ITO、Au、Tiなどを用いるとよい。また、ZnOにInやGaなどを添加することもできる。
【0143】
半導体層に、結晶性半導体層を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると非晶質珪素膜が破壊されてしまうからである。
【0144】
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0145】
また、非晶質半導体層を結晶化し、結晶性半導体層を形成する結晶化工程で、非晶質半導体層に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長(促進)する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
【0146】
結晶化を助長する元素を結晶性半導体層から除去、又は軽減するため、結晶性半導体層に接して、不純物元素を含む半導体層を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体層に、希ガス元素を含む半導体層を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体層中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体層中に移動し、結晶性半導体層中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体層を除去する。
【0147】
非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0148】
また、結晶性半導体層を、直接基板にプラズマ法により形成しても良い。また、プラズマ法を用いて、結晶性半導体層を選択的に基板に形成してもよい。
【0149】
ゲート絶縁層207、227は酸化珪素、若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁層207、227は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。単結晶半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。例えば、亜酸化窒素(N2O)をArで1〜3倍(流量比)に希釈して、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して半導体層の表面を酸化若しくは窒化させる。この処理により1nm〜10nm(好ましくは2nm〜6nm)の絶縁膜を形成する。さらに亜酸化窒素(N2O)とシラン(SiH4)を導入し、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化シリコン膜を形成してゲート絶縁層を形成する。固相反応と気相成長法による反応を組み合わせることにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁層を形成することができる。
【0150】
また、ゲート絶縁層207、227として、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどの高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層207、227に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。
【0151】
ゲート電極層208、228は、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用いて形成することができる。ゲート電極層は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Baから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、単層構造でも複数層の構造でもよく、例えば、窒化タングステン膜とモリブデン膜との2層構造としてもよいし、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
【0152】
ゲート電極層208、228に可視光に対して透光性を有する透光性の材料を用いることもできる。透光性の導電材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0153】
ゲート電極層208、228を形成するのにエッチングにより加工が必要な場合、マスクを形成し、ドライエッチングまたはドライエッチングにより加工すればよい。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、電極層をテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
【0154】
絶縁層209a、209b、229a、229bは、ゲート電極層、半導体層を覆う絶縁層を形成した後、これをRIE(Reactive ion Etching:反応性イオンエッチング)法による異方性のエッチングによって加工し自己整合的にサイドウォール構造の絶縁層209a、209b、229a、229bを形成すればよい。ここで、絶縁層について特に限定はなく、TEOS(Tetra−Ethyl−Ortho−Silicate)若しくはシラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等とを反応させて形成した段差被覆性のよい酸化珪素であることが好ましい。絶縁層は熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD、スパッタリング等の方法によって形成することができる。
【0155】
本実施の形態では、シングルゲート構造を説明したが、ダブルゲート構造などのマルチゲート構造でもよい。この場合、半導体層の上方、下方にゲート電極層を設ける構造でも良く、半導体層の片側(上方又は下方)にのみ複数ゲート電極層を設ける構造でもよい。
【0156】
また、トランジスタのソース領域及びドレイン領域にシリサイドを設ける構造としてもよい。シリサイドは半導体層のソース領域及びドレイン領域上に導電膜を形成し、加熱処理、GRTA法、LRTA法等により、露出されたソース領域及びドレイン領域の半導体層中の珪素と導電膜とを反応させて形成する。レーザ照射やランプによる光照射によってシリサイドを形成しても良い。シリサイドを形成する導電膜の材料としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、Ha(ハフニウム)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ネオジム(Nb)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。
【0157】
ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層210a、210b、230a、230bは、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、印刷法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に配線層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層210a、210b、230a、230bの材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、Si、Ge等の半導体又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成すればよい。また透光性の材料も用いることができる。
【0158】
また、透光性の導電性材料であれば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。
【0159】
絶縁膜212、213、214は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料を用いることができる。
【0160】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0161】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び一対の衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0162】
本発明の半導体装置は、半導体素子としては電界効果トランジスタはもちろん、半導体層を用いる記憶素子なども適用することができ、多用途に渡って要求される機能を満たす半導体装置を作製し、提供することができる。
【0163】
(実施の形態5)
本実施の形態では、より高集積化、薄型化、及び小型化を付与することを目的とした半導体装置、及び半導体装置の作製方法においてメモリを有する半導体装置の一例に関して図6乃至図8を用いて説明する。
【0164】
本実施の形態の半導体装置はメモリにメモリセルアレイ及びメモリセルアレイを駆動する駆動回路部を有する。
【0165】
絶縁表面を有する作製基板である基板300の上に剥離層301を形成し、剥離層301上に下地膜として機能する絶縁膜302を形成する。
【0166】
次いで、絶縁膜302上に半導体膜を形成する。半導体膜は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。
【0167】
本実施の形態では、絶縁膜302上に、非晶質半導体膜を形成し、非晶質半導体膜をレーザ結晶化させることによって結晶性半導体膜である半導体膜を形成する。
【0168】
このようにして得られた半導体膜に対して、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを選択的に行う。この不純物元素のドーピングは、結晶化工程の前の非晶質半導体膜に行ってもよい。非晶質半導体膜の状態で不純物元素をドーピングすると、その後の結晶化のための加熱処理によって、不純物の活性化も行うことができる。また、ドーピングの際に生じる欠陥等も改善することができる。
【0169】
次に半導体膜を、マスクを用いて所望の形状に加工する。本実施の形態では半導体膜上に形成された酸化膜を除去した後、新たに酸化膜を形成する。そして、フォトマスクを作製し、フォトリソグラフィ法を用いた加工処理により、半導体層303、304、305、306を形成する。半導体層の端部には傾斜角(テーパー角)を設けてもよい。
【0170】
エッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウェットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスクを形成する必要はない。
【0171】
半導体層305上に絶縁膜310を形成する。絶縁膜310は酸化シリコン若しくは酸化シリコンと窒化シリコンの積層構造で形成すればよい。絶縁膜310は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁層を堆積することで形成しても良いが、好ましくはプラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層(代表的にはシリコン層)を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成した絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。絶縁膜310は、電荷蓄積層311に電荷を注入するためのトンネル絶縁層として用いるので、このように丈夫であるものが好ましい。この絶縁膜310は1nm〜20nm、好ましくは3nm〜6nmの厚さに形成することが好ましい。
【0172】
プラズマ処理により形成される好適な絶縁膜310の一例は、酸化雰囲気下のプラズマ処理により半導体層上に3nm〜6nmの厚さで酸化珪素層を形成し、その後窒素雰囲気下でその酸化珪素層の表面を窒化プラズマで処理した窒素プラズマ処理層を形成する。具体的には、まず、酸素雰囲気下でのプラズマ処理により半導体層上に3nm〜6nmの厚さで酸化珪素層を形成する。その後、続けて窒素雰囲気下でプラズマ処理を行うことにより酸化珪素層の表面又は表面近傍に窒素濃度の高い窒素プラズマ処理層を設ける。なお、表面近傍とは、酸化珪素層の表面から概略0.5nm〜1.5nmの深さをいう。例えば、窒素雰囲気下でプラズマ処理を行うことによって、酸化珪素層の表面からほぼ1nmの深さに窒素を20〜50原子%の割合で含有した構造となる。
【0173】
半導体層の代表例としての珪素層の表面をプラズマ処理で酸化することで、界面に歪みのない緻密な酸化層を形成することができる。また、当該酸化層をプラズマ処理で窒化することで、表層部の酸素を窒素に置換して窒化層を形成すると、さらに緻密化することができる。それにより絶縁耐圧が高い絶縁層を形成することができる。
【0174】
いずれにしても、上記のようなプラズマ処理による固相酸化処理若しくは固相窒化処理を用いることで、耐熱温度が700℃以下のガラス基板を用いても、950℃〜1050℃で形成される熱酸化膜と同等な絶縁層を得ることができる。すなわち、不揮発性メモリ素子のトンネル絶縁層として信頼性の高いトンネル絶縁層を形成することができる。
【0175】
電荷蓄積層311を絶縁膜310上に形成する。この電荷蓄積層311は、単層でもよいし、複数の層を積層して設けてもよい。
【0176】
電荷蓄積層311としては、半導体材料または導電性材料の層または粒子で形成し浮遊ゲートとすることができる。半導体材料としては、シリコン、シリコンゲルマニウム等がある。シリコンを用いる場合、アモルファスシリコンやポリシリコンを用いることができる。さらには、リンがドープされたポリシリコンを用いることができる。導電性材料としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)から選ばれた元素、前記元素を主成分とする合金、前記元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金膜、Mo−Ta合金膜)、あるいは導電性を付与した珪素膜で形成すれば良い。このような材料から成る導電層の下には窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンなどの窒化物、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、モリブデンシリサイドなどのシリサイドを形成しておいても良い。更には、上記半導体材料同士、導電性材料同士、または半導体材料及び導電性材料の積層構造としてもよい。例えば、シリコン層及びゲルマニウム層の積層構造としてもよい。
【0177】
また、電荷蓄積層311として、絶縁性であり、電荷を保持するトラップを有する層で形成することもできる。このような材料の代表例として、代表的にはシリコン化合物、ゲルマニウム化合物がある。シリコン化合物としては、窒化珪素、酸窒化珪素、水素が添加された酸窒化珪素等がある。ゲルマニウム化合物としては、窒化ゲルマニウム、酸素が添加された窒化ゲルマニウム、窒素が添加された酸化ゲルマニウム、酸素及び水素が添加された窒化ゲルマニウム、窒素及び水素が添加された酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物等がある。
【0178】
次に半導体層303、304、306を覆うマスクを形成する。マスク、電荷蓄積層311をマスクとしてn型を付与する不純物元素を添加し、n型不純物領域362a、n型不純物領域362bを形成する。本実施の形態では、不純物元素としてn型を付与する不純物元素であるリン(P)を用いる。ここでは、n型不純物領域362a、n型不純物領域362bに、n型を付与する不純物元素が1×1017〜5×1018atoms/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。半導体層303、304、306を覆うマスクを除去する。
【0179】
半導体層306上の酸化膜を除去し、半導体層305、半導体層306、絶縁膜310、電荷蓄積層311を覆うゲート絶縁層309を形成する。メモリセルアレイにおいてはゲート絶縁層309の膜厚が厚いと、薄膜トランジスタ及びメモリ素子の高電圧に対する耐性が高くすることができ、信頼性を高めることができる。
【0180】
なお、半導体層305の上方に形成されたゲート絶縁層309は、後に完成するメモリ素子においてコントロール絶縁層として機能するが、半導体層306上に形成される薄膜トランジスタにおいてはゲート絶縁層として機能するために本明細書では、ゲート絶縁層309とよぶこととする。
【0181】
半導体層303、304上の酸化膜を除去し、半導体層303、半導体層304を覆うゲート絶縁層308を形成する(図6(A)参照。)。ゲート絶縁層308はプラズマCVD法またはスパッタ法などを用いて形成することができる。駆動回路部に設けられる薄膜トランジスタのゲート絶縁層308の膜厚は、1nm以上10nm以下、より好ましくは5nm程度とすればよい。ゲート絶縁層308の薄膜化すると、駆動回路部においてトランジスタを低電圧で高速に動作させる効果がある。
【0182】
ゲート絶縁層308は酸化珪素、若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁層308は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。
【0183】
また、ゲート絶縁層308として、高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層308に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。高誘電率材料としては、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどを用いることができる。また、プラズマ処理による固相酸化により酸化シリコン層を形成しても良い。
【0184】
また、薄い酸化珪素膜の形成方法としては、GRTA法、LRTA法等を用いて半導体領域表面を酸化し、熱酸化膜を形成することで、膜厚の薄い酸化珪素膜を形成することもできる。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流の少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。
【0185】
次いで、ゲート絶縁層308、309上にゲート電極層として用いる膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜及び第2の導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。第1の導電膜及び第2の導電膜はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、第1の導電膜として膜厚50nmのタングステン膜、第2の導電膜として膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、第3の導電膜として膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。本実施の形態では、第1の導電膜として窒化タンタルを膜厚30nm形成し、第2の導電膜としてタングステン(W)を膜厚370nm形成する。
【0186】
第1の導電膜と第2の導電膜をエッチング加工して、第1のゲート電極層312、313、314、第2のゲート電極層316、317、318、第1の制御ゲート電極層315、及び第2の制御ゲート電極層319を形成する(図6(B)参照。)。
【0187】
本実施の形態では第1のゲート電極層、第2のゲート電極層(第1の制御ゲート電極層、第2の制御ゲート電極層)を垂直な側面を有して形成する例を示すが、本発明はそれに限定されず、第1のゲート電極層及び第2のゲート電極層(第1の制御ゲート電極層、第2の制御ゲート電極層)両方がテーパー形状を有していてもよいし、どちらか一方のゲート電極層(第1の制御ゲート電極層、第2の制御ゲート電極層)の一層のみがテーパー形状を有し、他方は異方性エッチングによって垂直な側面を有していてもよい。テーパー角度も積層するゲート電極層間で異なっていても良いし、同一でもよい。テーパー形状を有することによって、その上に積層する膜の被覆性が向上し、欠陥が軽減されるので信頼性が向上する。
【0188】
ゲート電極層(及び制御ゲート電極層)を形成する際のエッチング工程によって、ゲート絶縁層308、309は多少エッチングされ、膜厚が減る(いわゆる膜減り)ことがある。
【0189】
次に、半導体層304、305、306を覆うマスク321、363を形成する。マスク321、363、第1のゲート電極層312、第2のゲート電極層316をマスクとしてp型を付与する不純物元素320を添加し、p型不純物領域322a、p型不純物領域322bを形成する。本実施の形態では、不純物元素としてボロン(B)を用いる。ここでは、p型不純物領域322a、p型不純物領域322bにp型を付与する不純物元素が1×1020〜5×1021atoms/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。また、半導体層303にチャネル形成領域323が形成される(図6(C)参照。)。
【0190】
p型不純物領域322a、p型不純物領域322bは高濃度p型不純物領域であり、ソース領域、ドレイン領域として機能する。
【0191】
次に半導体層303を覆うマスク325を形成する。マスク325、第1のゲート電極層313、第2のゲート電極層317、第1のゲート電極層314、第2のゲート電極層318、第1の制御ゲート電極層315、及び第2の制御ゲート電極層319をマスクとしてn型を付与する不純物元素324を添加し、n型不純物領域326a、326b、364a、364b、327a、327b、328a、328bを形成する。本実施の形態では、不純物元素としてリン(P)を用いる。ここでは、n型不純物領域326a、326b、327a、327b、328a、328bにn型を付与する不純物元素が5×1019〜5×1020atoms/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。また、半導体層304にチャネル形成領域329、半導体層305にチャネル形成領域330、及び半導体層306にチャネル形成領域331が形成される(図6(D)参照。)。
【0192】
n型不純物領域326a、326b、327a、327b、328a、328bは高濃度n型不純物領域であり、ソース領域、ドレイン領域として機能する。一方、n型不純物領域364a、n型不純物領域364bは低濃度不純物領域であり、LDD領域となる。
【0193】
マスク325をO2アッシングやレジスト剥離液により除去し、酸化膜も除去する。その後、ゲート電極層の側面を覆うように、絶縁膜、いわゆるサイドウォールを形成してもよい。サイドウォールは、プラズマCVD法や減圧CVD(LPCVD)法を用いて、珪素を有する絶縁膜により形成することができる。
【0194】
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層へのプラズマダメージやゲート絶縁層と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
【0195】
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、絶縁膜367と絶縁膜368との積層構造とする。絶縁膜367と絶縁膜368は、スパッタ法、またはプラズマCVDを用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または3層以上の積層構造として用いても良い。
【0196】
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁膜367に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410度(℃)で1時間加熱処理を行う。
【0197】
絶縁膜367、絶縁膜368としては他に窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。
【0198】
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁膜367、絶縁膜368、ゲート絶縁層308、309に半導体層に達するコンタクトホール(開口部)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。エッチングによって、絶縁膜368、絶縁膜367、ゲート絶縁層308、309を除去し、ソース領域又はドレイン領域であるp型不純物領域322a、322b、n型不純物領域326a、326b、327a、327b、328a、328bに達する開口部を形成する。エッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよく、両方用いてもよい。ウェットエッチングのエッチャントは、フッ素水素アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む混合溶液のようなフッ酸系の溶液を用いるとよい。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。
【0199】
開口部を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層である配線層369a、配線層369b、配線層370a、配線層370b、配線層371a、配線層371b、配線層372a、配線層372bを形成する。配線層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、及びSi、Ge、又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。本実施の形態では、チタン(Ti)を膜厚60nm形成し、窒化チタン膜を膜厚40nm形成し、アルミニウムを膜厚700nm形成し、チタン(Ti)を膜厚200nm形成して積層構造とし、所望な形状に加工する。
【0200】
以上の工程で駆動回路部として、p型不純物領域を有するpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ373、nチャネル型不純物領域を有するnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ374、メモリセルアレイとしてn型不純物領域を有するメモリ素子375、n型不純物領域を有するnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ376を有する半導体集積回路350を作製することができる(図6(E)参照。)。
【0201】
本実施の形態では半導体集積回路350上に絶縁層390を形成する(図7(A)参照。)。次に絶縁層390上にアンテナとして機能する導電層380し、導電層380上に保護層として無機絶縁層381を形成する(図7(B)参照。)。
【0202】
第1の耐衝撃層382として、繊維体386に有機樹脂387が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、半導体集積回路350、第1の耐衝撃層382、第1の衝撃拡散層391を接着し、剥離層301を用いて半導体集積回路350を基板300より剥離する。よって半導体集積回路350は、第1の耐衝撃層382側に設けられる(図7(C)参照。)。
【0203】
第2の耐衝撃層385も第1の耐衝撃層382と同様、繊維体386に有機樹脂387が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、第2の衝撃拡散層388と第2の耐衝撃層385を接着する(図8(A)参照。)。第2の衝撃拡散層388の第2の耐衝撃層385の反対面には接着層389を設ける。
【0204】
半導体集積回路350の露出している剥離面に接着層389を接着し、半導体集積回路350を、第1の衝撃拡散層391及び第1の耐衝撃層382と、第2の衝撃拡散層388及び第2の耐衝撃層385に挟持する。さらに第2の耐衝撃層385の外側(第2の衝撃拡散層388と反対側)に導電層395を形成する(図8(B)参照。)。
【0205】
導電層395は半導体集積回路350を覆うように半導体集積回路350と重なる領域全面に設ける。導電層395は、半導体集積回路350の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナとして機能する導電層380と半導体集積回路350に対して反対側に設ける。導電層395は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路350の静電気破壊を防ぐことができる。
【0206】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0207】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び一対の衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0208】
(実施の形態6)
本実施の形態では、より信頼性の高い半導体装置、及び歩留まりよい半導体装置の作製方法の一態様を、図25乃至図27を用いて詳細に説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0209】
本実施の形態における半導体装置において、半導体集積回路は作製時の基板より剥離され、可撓性を有する耐衝撃層、又は衝撃拡散層に挟持される。なお、本明細書では半導体集積回路が作製される基板を作製基板ともいう。従って、半導体集積回路は作製基板に剥離層を介して形成される。
【0210】
図25(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図25(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に挟持されており、半導体集積回路100と第2の耐衝撃層102の間に衝撃拡散層103が、第2の耐衝撃層102の外側(衝撃拡散層103と反対側)に導電層140が設けられている。
【0211】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。なお、導電層140は半導体集積回路100とは電気的に接続しない。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0212】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、図32(A)(B)に示すように、第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。図32(A)(B)の構成において、アンテナを形成する場合、アンテナを形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナと反対側の半導体集積回路100より衝撃拡散層103、第2の耐衝撃層102側に設けることが好ましい。
【0213】
導電層140としては、導電性を有しておれば良い。導電層140は、薄膜におけるシート抵抗が1.0×102Ω/□以上1.0×107Ω/□以下(より好ましくは1.0×102Ω/□以上1.0×104Ω/□以下)が好ましい。
【0214】
このような導電層140は、アンテナが送受信すべき電波を透過する膜厚、材料で形成する。よって、静電気破壊に耐性を有する信頼性の高い送受信可能な半導体装置を提供することができる。
【0215】
導電層140として、金属、金属窒化物、金属酸化物などの膜、及びそれらの積層を用いることができる。
【0216】
導電層140は、例えば、チタン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉄、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、バリウムから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料で形成すればよい。
【0217】
窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどを用いることができる。
【0218】
酸化物材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0219】
また、半導体に不純物元素などを添加して導電性を付与した半導体膜などを用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜などを用いることができる。
【0220】
さらに、導電層140として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を用いてもよい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0221】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0222】
導電性高分子を含む導電層140には、有機樹脂やドーパント(ハロゲン類、ルイス酸、無機酸、有機酸、遷移金属ハロゲン化物、有機シアノ化合物、非イオン性界面活性剤等)を含ませてもよい。
【0223】
導電層140は、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法などの各種乾式法、塗布法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)などの各種湿式法により形成することができ、膜厚は5nm以上200nm以下が好ましい。
【0224】
また、導電層140上の保護層を積層してもよい。例えば、導電層140としてチタン膜(膜厚10nm以上50nm以下程度)を形成し、チタン膜上に保護層として酸化チタン膜を積層するとよい。保護層により半導体装置の表面に導電層140を設ける場合でも保護層が最表面となり、導電層の劣化を防ぐことができる。保護層は膜厚10nm以上200nm以下程度とすればよい。
【0225】
第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102は繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いており、第1の耐衝撃層112は繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体、第2の耐衝撃層102は繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体である。
【0226】
繊維体160が繊維糸束を経糸及び緯糸として製織した織布の上面図を図25(C)に示す。
【0227】
図25(C)に示すように、繊維体160は、一定間隔をあけた経糸と、一定間隔をあけた緯糸とで織られている。
【0228】
なお、本実施の形態の図面においては、繊維体160は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。
【0229】
本実施の形態では、衝撃拡散層としてアラミド樹脂フィルム(弾性率10GPa、破断強度480MPa)を用いる。
【0230】
図25(B)は半導体集積回路100と衝撃拡散層103とを接着層104を用いて固着する例である。本実施の形態では、衝撃拡散層103としてアラミドフィルムを用い、接着層104としてアクリル樹脂を用いる。
【0231】
また、半導体集積回路上に保護層を形成してもよい。図26(A)(B)に半導体集積回路100上に保護層として無機絶縁層105を形成する例を示す。また、図26(A)(B)は半導体集積回路100上にアンテナ101を形成し、アンテナ101上に無機絶縁層105が形成されている例である。無機絶縁層105でアンテナ101を覆うことで、アンテナとして機能する導電層の酸化などを防ぐことができる。
【0232】
導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナ101を設ける場合は、半導体集積回路100のアンテナ101を設けない側(図26(A)においては第2の耐衝撃層102側)に形成される。また図33(A)(B)のように衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102の間に導電層140を設けてもよい。
【0233】
アンテナ101を形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、半導体集積回路100を介してアンテナ101と反対側に導電層140を設けると、導電層140により静電気破壊による不良を軽減することができる。
【0234】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様を図27(A)乃至(E)を用いて説明する。作製基板である絶縁表面を有する基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100を形成する(図27(A)参照。)。
【0235】
半導体集積回路100と第1の耐衝撃層112を接着し、剥離層111を用いて半導体集積回路100を基板110より剥離する。よって半導体集積回路100は、第1の耐衝撃層112側に設けられる(図27(B)参照。)。
【0236】
本実施の形態では、第1の耐衝撃層112として繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂は加熱及び圧着により、半導体集積回路に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0237】
第2の耐衝撃層102も第1の耐衝撃層112と同様、繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を接着する(図27(C)参照。)。衝撃拡散層103の第2の耐衝撃層102の反対面には接着層104を設ける。
【0238】
半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着する(図27(D)参照。)。
【0239】
次に第2の耐衝撃層102の表面に導電層140を形成する(図27(E)参照。)。本実施の形態では、導電層140は、スパッタリング法により膜厚10nmのチタン膜を形成する。
【0240】
導電層140は、半導体集積回路100に接着した第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に形成してもよいし、半導体集積回路100に接着前に衝撃拡散層103に形成してもよい。導電層140を半導体集積回路100に接着前に衝撃拡散層103に形成し、衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102との間に導電層140を有する構成とすると、導電層140表面が露出しないために、酸化、摩耗、ひび割れなどの導電層140の劣化を防止する効果がある。
【0241】
図31(A)乃至(D)に衝撃拡散層103に導電層140を形成する例を示す。図31(A)(B)は図27(A)(B)に対応しており、基板110より剥離層111を用いて、第1の耐衝撃層112に接着して半導体集積回路100を剥離する。次に、予め導電層140が形成された衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を加熱、加圧処理により接着する(図31(C)参照。)。図31(C)において衝撃拡散層103の第2の耐衝撃層102と接着する面に導電層140を設け、他方の面は接着層104を設ける。
【0242】
半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着する(図31(D)参照。)。
【0243】
以上の工程で、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に挟持された半導体集積回路100及び衝撃拡散層103と導電層140とを有する半導体装置を作製することができる。
【0244】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0245】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0246】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置の他の例を図34(A)(B)を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0247】
図34(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図34(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に挟持されており、第2の耐衝撃層102の外側に導電層140が設けられている。
【0248】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。
【0249】
しかし図34(B)に示すように、アンテナ101を形成する場合、アンテナ101を形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナ101と反対側の半導体集積回路100より第2の耐衝撃層102側に設けることが好ましい。
【0250】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0251】
また、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0252】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0253】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置の他の例を図35(A)(B)を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0254】
図35(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図35(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112及び衝撃拡散層103に挟持されており、衝撃拡散層103の外側に導電層140が設けられている。
【0255】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。
【0256】
しかし図35(B)に示すように、アンテナ101を形成する場合、アンテナ101を形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナ101と反対側の半導体集積回路100より衝撃拡散層103側に設けることが好ましい。
【0257】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0258】
また、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102、又、さらにその力を拡散する衝撃拡散層103を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0259】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する耐衝撃層及び衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0260】
(実施の形態9)
本実施の形態では、より信頼性の高い半導体装置、及び歩留まりよい半導体装置の作製方法を、図4及び図28を用いて詳細に説明する。本実施の形態では、半導体装置の一例としてCMOSに関して説明する。
【0261】
図28(A)は実施の形態4における図4(C)の次の工程である。よって実施の形態4と同様に作製すればよく、図4(A)乃至図4(C)までの工程の詳細な説明は省略する。
【0262】
第1の耐衝撃層262として、繊維体280に有機樹脂281が含浸された構造体を用いる。半導体集積回路250と第1の耐衝撃層262を接着し、剥離層201を用いて半導体集積回路250を基板200より剥離する。よって半導体集積回路250は、第1の耐衝撃層262側に設けられる。
【0263】
第2の耐衝撃層252も第1の耐衝撃層262と同様、繊維体270に有機樹脂271が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、導電層260が形成された衝撃拡散層253と第2の耐衝撃層252を接着する(図28(A)参照。)。導電層260は第2の耐衝撃層252との接着前に、衝撃拡散層253に形成する。衝撃拡散層253の第2の耐衝撃層252の反対側には接着層254を設ける。
【0264】
導電層260は半導体集積回路250を覆うように半導体集積回路250と重なる領域全面に設ける。導電層260は、半導体集積回路250の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層260は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路250の静電気破壊を防ぐことができる。
【0265】
半導体集積回路250の露出している剥離面に接着層254を接着し、第1の耐衝撃層262及び第2の耐衝撃層252に挟持された半導体集積回路250及び衝撃拡散層253を有する半導体装置を作製することができる(図28(B)参照。)。
【0266】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0267】
半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら強度を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0268】
本実施の形態で作製した半導体装置は、可撓性を有する耐衝撃層、及び衝撃拡散層を用いることで、可撓性を有する半導体装置とすることができる。
【0269】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0270】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0271】
(実施の形態10)
本実施の形態では、より高集積化、薄型化、及び小型化を付与することを目的とした半導体装置、及び半導体装置の作製方法においてメモリを有する半導体装置の一例に関して図6、図29及び図30を用いて説明する。
【0272】
本実施の形態の半導体装置はメモリにメモリセルアレイ及びメモリセルアレイを駆動する駆動回路部を有する。
【0273】
図29(A)は実施の形態5における図6(E)の次の工程である。よって実施の形態5と同様に作製すればよく、図6(A)乃至図6(E)までの工程の詳細な説明は省略する。
【0274】
本実施の形態では半導体集積回路350上に絶縁層390を形成する(図29(A)参照。)。次に絶縁層390上にアンテナとして機能する導電層380を形成し、導電層380上に保護層として無機絶縁層381を形成する(図29(B)参照。)。
【0275】
第1の耐衝撃層382として、繊維体383に有機樹脂384が含浸された構造体を用いる。半導体集積回路350と第1の耐衝撃層382を接着し、剥離層301を用いて半導体集積回路350を基板300より剥離する。よって半導体集積回路350は、第1の耐衝撃層382側に設けられる(図29(C)参照。)。
【0276】
第2の耐衝撃層385も第1の耐衝撃層382と同様、繊維体386に有機樹脂387が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、衝撃拡散層388と第2の耐衝撃層385を接着する(図30(A)参照。)。衝撃拡散層388の第2の耐衝撃層385の反対面には接着層389を設ける。
【0277】
半導体集積回路350の露出している剥離面に接着層389を接着し、第1の耐衝撃層382及び第2の耐衝撃層385で半導体集積回路350及び衝撃拡散層388を挟持する。さらに第2の耐衝撃層385の外側(衝撃拡散層388と反対側)に導電層395を形成する(図30(B)参照。)。
【0278】
導電層395は半導体集積回路350を覆うように半導体集積回路350と重なる領域全面に設ける。導電層395は、半導体集積回路350の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナとして機能する導電層380と半導体集積回路350に対して反対側に設ける。導電層395は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路350の静電気破壊を防ぐことができる。
【0279】
以上の工程で本実施の形態のメモリを有する半導体装置を作製することができる。
【0280】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0281】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0282】
(実施の形態11)
本発明の半導体装置において、半導体集積回路に含まれる半導体素子として様々な形態の電界効果トランジスタを用いることができる。本実施の形態では、本発明に適用することができる半導体素子として、単結晶半導体層を有する電界効果トランジスタについて詳細に説明する。
【0283】
以下、絶縁表面を有する基板である作製基板上に、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を設け、半導体集積回路部に含まれる半導体素子を形成する方法を図14及び図15を用いて説明する。
【0284】
図14(A)に示す単結晶半導体基板1108は清浄化されており、その表面から電界で加速されたイオンを所定の深さに照射し、脆弱化層1110を形成する。イオンの照射は作製基板に転置する単結晶半導体層の厚さを考慮して行われる。イオンを照射する際の加速電圧はこのような厚さを考慮して、単結晶半導体基板1108に照射されるようにする。本発明では、単結晶半導体基板へイオンを照射し、イオンにより微小な空洞を有するように脆弱化された領域を脆弱化層という。
【0285】
単結晶半導体基板1108には、市販の単結晶半導体基板を用いることができ、例えば、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第14族元素でなる単結晶半導体基板を用いることができる。また、ガリウムヒ素やインジウムリン等の化合物半導体基板も用いることができる。半導体基板として多結晶半導体基板を用いてもよい。もちろん、単結晶半導体基板は、円形のウエハに限定されるものではなく、様々な形状の単結晶半導体基板を用いることができる。例えば、長方形、五角形、六角形などの多角形の基板を用いることができる。もちろん、市販の円形状の単結晶半導体ウエハを単結晶半導体基板に用いることも可能である。円形状の単結晶半導体ウエハには、シリコンやゲルマニウムなどの半導体ウエハ、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体ウエハなどがある。単結晶半導体ウエハの代表例は、単結晶シリコンウエハであり、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)サイズ、直径400mm、直径450mmの円形のウエハを用いることができる。また、長方形の単結晶半導体基板は、市販の円形状の単結晶半導体ウエハを切断することで形成することができる。基板の切断には、ダイサー或いはワイヤソー等の切断装置、レーザ切断、プラズマ切断、電子ビーム切断、その他任意の切断手段を用いることができる。また、基板として薄片化する前の半導体基板製造用のインゴットを、その断面が長方形になるように直方体状に加工し、この直方体状のインゴットを薄片化することでも、長方形状の単結晶半導体基板を製造することができる。また、単結晶半導体基板の厚さは特に限定されないが、単結晶半導体基板を再利用することを考慮すれば、厚い方が1枚の原料ウエハからより多くの単結晶半導体層を形成することができるため、好ましい。市場に流通している単結晶シリコンウエハの厚さは、そのサイズはSEMI規格に準じており、例えば直径6インチのウエハは膜厚625μm、直径8インチのウエハは膜厚725μm、直径12インチのウエハは775μmとされている。なお、SEMI規格のウエハの厚さは公差±25μmを含んでいる。もちろん、原料となる単結晶半導体基板の厚さはSEMI規格に限定されず、インゴットをスライスするときに、その厚さを適宜調節することができる。もちろん、再利用された単結晶半導体基板1108を用いるときには、その厚さは、SEMI規格よりも薄くなる。作製基板上に得られる単結晶半導体層は母体となる半導体基板を選択することによって決定することができる。
【0286】
また、単結晶半導体基板1108は、作製する半導体素子(本実施の形態においては電界効果トランジスタ)によって、結晶面方位を選択すればよい。例えば、結晶面方位として{100}面、{110}面などを有する単結晶半導体基板を用いることができる。
【0287】
本実施の形態は、単結晶半導体基板の所定の深さに水素、ヘリウム、又はフッ素をイオン照射して添加し、その後熱処理を行って表層の単結晶半導体層を剥離するイオン照射剥離法で形成するが、ポーラスシリコン上に単結晶シリコンをエピタキシャル成長させた後、ポーラスシリコン層をウオータージェットで劈開して剥離する方法を適用しても良い。
【0288】
単結晶半導体基板1108として単結晶シリコン基板を用い、希フッ酸で表面を処理し、自然酸化膜の除去と表面に付着するゴミ等の汚染物も除去して単結晶半導体基板1108表面を清浄化する。
【0289】
脆弱化層1110は、イオンをイオンドーピング法(ID法と略記する)やイオン注入法(II法と略記する)によって照射すればよい。脆弱化層1110は水素、ヘリウム若しくはフッ素に代表されるハロゲンのイオンを照射することで形成される。ハロゲン元素としてフッ素イオンを照射する場合にはソースガスとしてBF3を用いれば良い。なお、イオン注入とはイオン化したガスを質量分離して半導体基板に照射する方式をいう。
【0290】
例えば、イオン注入法を用いて、イオン化した水素ガスを質量分離し、H+のみ、(又はH2+のみ)を選択的に加速して単結晶半導体基板に照射することができる。
【0291】
イオンドープ法は、イオン化したガスを質量分離せずに、プラズマ中で複数種のイオン種を作り、それらを加速して単結晶半導体基板に照射する。例えば、H+、H2+、H3+イオンを含む水素では、照射されるイオンは、代表的にH3+イオンが50%以上、例えばH3+イオンが80%、他のイオン(H+、H2+イオン)が20%、が一般的である。H3+イオンのイオン種のみとして照射することもここではイオンドープとする。
【0292】
また、一又は複数の同一の原子から成る質量の異なるイオンを照射してもよい。例えば、水素イオンを照射する場合には、H+、H2+、H3+イオンを含ませると共に、H3+イオンの割合を高めておくことが好ましい。水素イオンを照射する場合には、H+、H2+、H3+イオンを含ませると共に、H3+イオンの割合を高めておくと照射効率を高めることができ、照射時間を短縮することができる。このような構成とすることで、剥離を容易に行うことができる。
【0293】
以下、イオンドーピング法とイオン注入法について詳細に説明する。イオンドーピング法に用いるイオンドーピング装置(ID装置ともいう)では、プラズマ空間が大きく、大量のイオンを単結晶半導体基板に照射することができる。一方、イオン注入法に用いるイオン注入装置(II装置ともいう)は、プラズマから取り出したイオンを質量分析して特定のイオン種だけを半導体基板に打ち込めるという特徴があり、基本的に点ビ−ムをスキャンさせて処理する。
【0294】
プラズマ発生方法としては、どちらの装置も、例えば、フィラメントを熱して出てくる熱電子によりプラズマ状態を作っている。しかし、生成される水素イオン(H+、H2+、H3+)が半導体基板に照射される際の水素イオン種の割合は、イオンドーピング法とイオン注入法で大きく異なる。
【0295】
H3+をより多く照射するという観点からすれば、イオン注入装置よりイオンドーピング装置を用いる方が好ましいといえる。
【0296】
単結晶シリコン基板に水素イオンやフッ素イオンのようなハロゲンイオンを照射した場合、添加された水素やフッ素が、シリコン結晶格子内のシリコン原子をノックアウトする(追い出す)ことによって空白部分を効果的に作り出し、脆弱化層に微小な空洞を作る。この場合、比較的低温の熱処理によって脆弱化層に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、脆弱化層に沿って分離することにより薄い単結晶半導体層を形成することができる。フッ素イオンを照射した後に、水素イオンを照射して空洞内に水素を含ませるようにしても良い。単結晶半導体基板から薄い単結晶半導体層を分離するために形成する脆弱化層は、脆弱化層に形成された微小な空洞の体積変化を利用して分離をするので、このようにフッ素イオンや水素イオンの作用を有効利用することが好ましい。
【0297】
また、単結晶半導体基板と上記単結晶半導体層と接合する絶縁層との間に、保護層を形成してもよい。保護層は、窒化シリコン層、酸化シリコン層、窒化酸化シリコン層、又は酸化窒化シリコン層から選ばれた一層又は複数の層による積層構造により形成することができる。これらの層は、単結晶半導体基板に脆弱化層が形成される前に単結晶半導体基板上に形成することができる。また、単結晶半導体基板に脆弱化層を形成した後に単結晶半導体基板上に形成してもよい。
【0298】
なお、酸化窒化シリコン層とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、Siが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン層とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、Siが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、Si及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0299】
脆弱化層の形成に当たってはイオンを高ドーズ条件で照射する必要があり、単結晶半導体基板1108の表面が粗くなってしまう場合がある。そのためイオンが照射される表面に窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、若しくは酸化シリコン膜などによりイオン照射に対する保護層を50nm乃至200nmの厚さで設けておいても良い。
【0300】
例えば、単結晶半導体基板1108上に保護層としてプラズマCVD法により酸化窒化シリコン膜(膜厚5nm〜300nm、望ましくは30nm〜150nm(例えば50nm))と窒化酸化シリコン膜(膜厚5nm〜150nm、望ましくは10nm〜100nm(例えば50nm))の積層を形成する。一例としては、単結晶半導体基板1108上に酸化窒化シリコン膜を膜厚50nm形成し、該酸化窒化シリコン膜上に窒化酸化シリコン膜を膜厚50nm形成し、積層する。酸化窒化シリコン膜は有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜でもよい。
【0301】
また、単結晶半導体基板1108を脱脂洗浄し、表面の酸化膜を除去して熱酸化を行ってもよい。熱酸化としては通常のドライ酸化でも良いが、酸化雰囲気中にハロゲンを添加した酸化を行うことが好ましい。例えば、酸素に対しHClを0.5〜10体積%(好ましくは3体積%)の割合で含む雰囲気中で、700℃以上の温度で熱処理を行う。好適には950℃〜1100℃の温度で熱酸化を行うと良い。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜3.5時間とすれば良い。形成される酸化膜の膜厚としては、10nm〜1000nm(好ましくは50nm〜200nm)、例えば100nmの厚さとする。
【0302】
ハロゲンを含むものとしてはHClの他に、HF、NF3、HBr、Cl2、ClF3、BCl3、F2、Br2、ジクロロエチレンなどから選ばれた一種又は複数種を適用することができる。
【0303】
このような温度範囲で熱処理を行うことで、ハロゲン元素によるゲッタリング効果を得ることができる。ゲッタリングとしては、特に金属不純物を除去する効果がある。すなわち、塩素の作用により、金属などの不純物が揮発性の塩化物となって気相中へ離脱して除去される。単結晶半導体基板1108の表面を化学的機械研磨(CMP)処理をしたものに対しては有効である。また、水素は単結晶半導体基板1108と形成される絶縁層との界面の欠陥を補償して界面の局在準位密度を低減する作用を奏し、単結晶半導体基板1108と絶縁層との界面が不活性化されて電気的特性が安定化する。
【0304】
この熱処理により形成される酸化膜中にハロゲンを含ませることができる。ハロゲン元素は1×1017atoms/cm3〜5×1020atoms/cm3の濃度で含まれることにより金属などの不純物を捕獲して単結晶半導体基板1108の汚染を防止する保護層としての機能を発現させることができる。
【0305】
脆弱化層1110を形成する際、加速電圧と全イオン数は、単結晶半導体基板上に堆積した膜の厚さと、目的とする単結晶半導体基板より分離して作製基板上に転置される単結晶半導体層の膜厚と、照射するイオン種によって調整することができる。
【0306】
例えば、イオンドーピング法で原料として水素ガスを用い、加速電圧を40kV、全イオン数2×1016ions/cm2でイオンを照射して脆弱化層を形成することができる。保護層の膜厚を厚くすれば、同一条件でイオンを照射し脆弱化層を形成した場合、目的とする単結晶半導体基板より分離して作製基板上に転置(転載)される単結晶半導体層として、膜厚の薄い単結晶半導体層を形成することができる。例えば、イオン種(H+、H2+、H3+イオン)の割合にもよるが、上記条件で脆弱化層を形成するとし、保護層として単結晶半導体基板上に酸化窒化シリコン膜(膜厚50nm)と窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層する場合、作製基板に転置される単結晶半導体層の膜厚は約120nmとなり、単結晶半導体基板上に酸化窒化シリコン膜(膜厚100nm)と窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層する場合は、作製基板に転置される単結晶半導体層の膜厚は約70nmとなる。
【0307】
ヘリウム(He)や水素を原料ガスにする場合、加速電圧を10kV〜200kVの範囲で、ドーズ量を1×1016ions/cm2〜6×1016ions/cm2の範囲で照射し脆弱化層を形成することができる。ヘリウムを原料ガスにすると、質量分離を行わなくてもHe+イオンを主なイオンとして照射することができる。また、水素を原料ガスとするとH3+イオンやH2+イオンを主なイオンとして照射することができる。イオン種は、プラズマの生成方法、圧力、原料ガス供給量、加速電圧によっても変化する。
【0308】
脆弱化層形成の例としては、単結晶半導体基板上に酸化窒化シリコン膜(膜厚50nm)、窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)、及び酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層し、水素を加速電圧40kV、ドーズ量2×1016ions/cm2で照射し単結晶半導体基板に脆弱化層を形成する。その後保護層の最上層である該酸化シリコン膜上に接合面を有する絶縁層として酸化シリコン膜(膜厚50nm)を形成する。脆弱化層形成の他の例としては、単結晶半導体基板上に酸化シリコン膜(膜厚100nm)、及び窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層し、水素を加速電圧40kV、ドーズ量2×1016ions/cm2で照射し単結晶半導体基板に脆弱化層を形成する。その後保護層の最上層である該窒化酸化シリコン膜上に接合面を有する絶縁層として酸化シリコン膜(膜厚50nm)を形成する。なお、上記酸化窒化シリコン膜及び窒化酸化シリコン膜はプラズマCVD法により形成すればよく、上記酸化シリコン膜は有機シランガスを用いてCVD法により形成すればよい。
【0309】
また、作製基板と単結晶半導体基板との間に絶縁層を形成してもよい。絶縁層は作製基板側、あるいは単結晶半導体基板側どちらか一方でもよいし、両方に形成してもよい。接合を形成する面に形成する絶縁層は平滑面を有し親水性表面を形成する。該絶縁層としては、酸化シリコン膜を用いることができる。酸化シリコン膜としては有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜が好ましい。その他に、シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜を適用することもできる。
【0310】
有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、トリメチルシラン(TMS:(CH3)3SiH)、テトラメチルシラン(化学式Si(CH3)4)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH3)2)3)等のシリコン含有化合物を用いることができる。なお、原料ガスに有機シランを用いて化学気相成長法により酸化シリコン層を形成する場合、酸素を付与するガスを混合させることが好ましい。酸素を付与するガスとしては、酸素、亜酸化窒素、二酸化窒素等を用いることができる。さらに、アルゴン、ヘリウム、窒素又は水素等の不活性ガスを混合させてもよい。
【0311】
また、接合を形成する面に形成する絶縁層として、モノシラン、ジシラン、又はトリシラン等のシランを原料ガスに用いて化学気相成長法により形成される酸化シリコン膜を適用することもできる。この場合も、酸素を付与するガスや不活性ガス等を混合させることが好ましい。また、単結晶半導体層と接合する絶縁層となる酸化シリコン膜は、塩素を含んでいてもよい。なお、本明細書において、化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition)法は、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法を範疇に含む。
【0312】
その他、接合を形成する面に形成する絶縁層として、酸化性雰囲気下において熱処理することにより形成される酸化シリコン、酸素ラジカルの反応により成長する酸化シリコン、酸化性の薬液により形成されるケミカルオキサイドなどを適用することもできる。絶縁層として、シロキサン(Si−O−Si)結合を含む絶縁層を適用してもよい。また、前記有機シランガスと、酸素ラジカル又は窒素ラジカルとを反応させて絶縁層を形成してもよい。
【0313】
その他、接合を形成する面に形成する絶縁層として、酸化アルミニウムを主成分とする酸化膜を用いてもよい。酸化アルミニウムを主成分とする酸化膜とは、当該酸化膜に含まれる成分の合計を100重量%とするときに、酸化アルミニウムを10重量%以上含む酸化膜をいう。他にも、絶縁層としては、酸化アルミニウムを主成分とし、酸化マグネシウムと酸化ストロンチウムの一方又は両方が含まれる膜を適用することができる。また、窒素を含む酸化アルミニウムを用いてもよい。
【0314】
絶縁層は、スパッタリング法により形成することができる。スパッタリング法に用いるターゲットとしては、例えば、アルミニウムを含む金属又は酸化アルミニウム等の金属酸化物を用いることができる。なお、ターゲットの材料は、形成する膜に応じて適宜選択すればよい。
【0315】
ターゲットとして金属を用いる場合には、反応ガス(例えば、酸素)を導入しながらスパッタすること(反応性スパッタリング法)により、絶縁層を形成する。金属としては、アルミニウムの他に、マグネシウム(Mg)、アルミニウムとマグネシウムを含む合金、アルミニウムとストロンチウム(Sr)を含む合金、アルミニウムとマグネシウムとストロンチウムを含む合金を用いることができる。この場合、スパッタリングは直流(DC)電源又は高周波(RF)電源を用いて行えばよい。
【0316】
ターゲットとして金属酸化物を用いる場合には、高周波(RF)電源を用いてスパッタすること(RFスパッタリング法)により、絶縁層を形成する。金属酸化物としては、酸化アルミニウムの他に、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、アルミニウムとマグネシウムを含有する酸化物、アルミニウムとストロンチウムを含有する酸化物、アルミニウムとマグネシウムとストロンチウムを含有する酸化物を用いることができる。
【0317】
他にも、バイアススパッタリング法を用いて、絶縁層を形成してもよい。バイアススパッタリング法を用いると、膜の堆積と表面の平坦化を両方行うことができる。
【0318】
アルミニウムを主成分とする酸化膜は作製基板に含まれる可動イオンや水分等の不純物が、後に作製基板上に形成される単結晶半導体膜に拡散することを防ぐことができる。
【0319】
絶縁層において、接合を形成する面の表面は、算術平均粗さRaが0.8nm未満、二乗平均平方根粗さRmsが0.9nm未満が望ましく、Raが0.4nm以下、Rmsが0.5nm以下がより望ましく、さらにはRaが0.3nm以下、Rmsが0.4nm以下がより望ましい。例えば、Raが0.27nm、Rmsが0.34nmである。本明細書においてRaは算術平均粗さであり、Rmsは二乗平均平方根粗さであり、測定範囲は2μm2、又は10μm2である。
【0320】
作製基板と単結晶半導体基板とを接合するに際し、接合を形成する面の一方若しくは双方に、好ましくは有機シランを原材料として成膜した酸化シリコン膜でなる絶縁層を設けると強固な接合を形成することができる。
【0321】
本実施の形態では、図14(B)で示すように作製基板と接合を形成する面に絶縁層1104として酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜としては有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜が好ましい。その他に、シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜を適用することもできる。化学気相成長法による成膜では、単結晶半導体基板に形成した脆弱化層1110から脱ガスが起こらない温度として、例えば350℃以下(具体的な例としては300℃)の成膜温度が適用される。また、単結晶半導体基板から単結晶半導体層を剥離する熱処理は、成膜温度よりも高い熱処理温度が適用される。
【0322】
本実施の形態では、作製基板上で半導体集積回路を形成後、半導体集積回路を作製基板より剥離するため、作製基板と半導体集積回路との間に剥離層を設ける。よって単結晶半導体基板より分離して接合される単結晶半導体層は、作製基板上に設けられた剥離層(及び無機絶縁膜)上に形成される。剥離層表面に凹凸を有すると、単結晶半導体基板と作製基板との接合工程において、接合面の接触面積が小さくなり、十分な接合強度を確保することが困難である。そのため、剥離層を平坦化する工程が必要である。
【0323】
剥離層は、作製基板と単結晶半導体層との間に設ければよく、作製基板側に形成しても、単結晶半導体基板側に形成してもよい。作製基板側、単結晶半導体基板側のいずれかに形成された剥離層に平坦化処理を行う。
【0324】
絶縁層も、作製基板側又は単結晶半導体基板側に形成してもよいし、もしくは剥離層側に形成してもよく、両方に形成してもよい。また、作製基板又は単結晶半導体基板と、剥離層とを直接接合できる場合は、絶縁層を設けなくてもよい。
【0325】
本実施の形態では、作製基板1101側に剥離層1125を形成し、剥離層1125上にブロッキング層1109を形成する例を示す。
【0326】
平坦化処理としては、研磨処理やエッチング処理を行えばよく、勿論、研磨処理及びエッチング処理を両方行ってもよい。研磨処理としては、化学的機械研磨(CMP)法や液体ジェット研磨法を用いることができる。エッチング処理としては、ウェットエッチング、ドライエッチング、またはその両方を適宜用いることができる。
【0327】
またプラズマ処理によって平坦化処理を行ってもよい。例えば、逆スパッタリング法を用いることができる。逆スパッタリング法にて平坦化処理を行うと、絶縁層の形成から平坦化までを同一装置内にて行うことができるため、スループットが向上し、好ましい。
【0328】
逆スパッタリング法は、例えば、高真空のチャンバーに不活性ガス、例えばArガスを導入し、被処理面に対して電界をかけることでプラズマ状態として行う。プラズマ中には電子とArの陽イオンが存在し、陰極方向にArの陽イオンが加速される。加速されたArの陽イオンは被処理面をスパッタする。このとき、該被処理面の凸部から優先的にスパッタされる。被処理面からスパッタされた粒子は、被処理面の別の場所に付着する。このとき、該被処理面の凹部に優先的に付着する。このように凸部を削り、凹部を埋めることで被処理面の平坦性が向上する。
【0329】
本実施の形態では、剥離層をスパッタリング法で形成し、逆スパッタリング法によって平坦化処理を行う。
【0330】
作製基板には、剥離層との間に不純物元素の拡散を防止する窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜をブロッキング層(バリア層ともいう)として設けてもよい。さらに応力を緩和する作用のある絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を組み合わせても良い。
【0331】
図14(C)は作製基板1101上に設けられたブロッキング層1109と単結晶半導体基板1108の絶縁層1104が形成された面とを密接させ、この両者を接合させる態様を示す。ブロッキング層1109表面は平坦化された剥離層1125上に設けられているために表面は高い平坦性を有している。接合を形成する面は、十分に清浄化しておく。作製基板1101上に設けられたブロッキング層1109と単結晶半導体基板1108の絶縁層1104が形成された面は、メガソニック洗浄などによって清浄化すればよい。また、メガソニック洗浄後にオゾン水で洗浄し、有機物の除去と表面の親水性向上を行ってもよい。
【0332】
作製基板1101上のブロッキング層1109と絶縁層1104を対向させて、一箇所を外部から押しつけると、局所的に接合面同士の距離が縮まる事による、ファン・デル・ワールス力の強まりや水素結合の寄与によって、お互いに引きつけ合う。更に、隣接した領域でも対向する作製基板1101上のブロッキング層1109と絶縁層1104間の距離が縮まるので、ファン・デル・ワールス力が強く作用する領域や水素結合が関与する領域が広がる事によって、接合(ボンディングともいう)が進行し接合面全域に接合が広がる。
【0333】
押しつける際に、基板四隅の一ヶ所を100kPa〜5000kPaの圧力で押さえると、接合面同士が近づき、ファン・デル・ワールス力から水素結合へ移行することができる。基板内において一ヶ所の接合面が近接すると、隣接する接合面も近接し水素結合へ移行するため、接合面全域が水素結合へ移行することができる。
【0334】
良好な接合を形成するために、表面を活性化しておいても良い。例えば、接合を形成する面に原子ビーム若しくはイオンビームを照射する。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴン等の不活性ガス中性原子ビーム若しくは不活性ガスイオンビームを用いることができる。その他に、プラズマ照射若しくはラジカル処理を行う。このような表面処理により200℃乃至400℃の温度であっても異種材料間の接合を形成することが容易となる。
【0335】
また、作製基板と絶縁層との接合界面の接合強度を向上させるために、加熱処理を行うと好ましい。例えば、オーブンや炉などで70℃〜350℃(例えば200℃で2時間)の温度条件で熱処理を行う。
【0336】
図14(D)において、作製基板1101と単結晶半導体基板1108を貼り合わせた後、加熱処理を行い脆弱化層1110を劈開面として単結晶半導体基板1108を作製基板1101から剥離する。例えば、400℃〜700℃の熱処理を行うことにより、脆弱化層1110に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、脆弱化層1110に沿って劈開することが可能となる。絶縁層1104はブロッキング層1109を介して作製基板1101と接合しているので、作製基板1101上には単結晶半導体基板1108と同じ結晶性の単結晶半導体層1102が残存することとなる。
【0337】
400℃〜700℃の温度域での熱処理は、前述の接合強度を向上させるための熱処理と同じ装置で連続して行ってもよいし、別の装置で行ってもよい。例えば炉で200℃2時間熱処理した後に、600℃近傍まで昇温し2時間保持し、400℃から室温までの温度域に降温した後炉より取り出す。また、熱処理は室温から昇温してもよい。また、炉で200℃2時間熱処理した後に、瞬間熱アニール(RTA)装置によって600℃〜700℃の温度域で、1分間〜30分間(例えば600℃7分間、650℃7分間)熱処理を行ってもよい。
【0338】
400℃〜700℃の温度域での熱処理により、絶縁層と作製基板との接合は水素結合から共有結合に移行し、脆弱化層に添加された元素が析出し圧力が上昇し、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を剥離することができる。熱処理を行った後は作製基板と単結晶半導体基板は、一方が他方に載っている状態であり、大きな力を加えずに作製基板と単結晶半導体基板を離すことができる。例えば、上方に載っている基板を真空チャックで持ち上げることにより簡単に離すことができる。この際、下側の基板の真空チャックやメカニカルチャックで固定しておくと水平方向のずれがなく作製基板及び単結晶半導体基板の両基板を離すことができる。
【0339】
なお、図14、図15においては、単結晶半導体基板1108が作製基板1101より小さいサイズの例を示すが、本発明はそれに限定されず、単結晶半導体基板1108と作製基板1101が同じサイズであってもよいし、単結晶半導体基板1108が作製基板1101より大きいサイズであってもよい。
【0340】
図15は作製基板側に絶縁層を設けて単結晶半導体層を形成する工程を示す。図15(A)は保護層1121として酸化シリコン膜が形成された単結晶半導体基板1108に電界で加速されたイオンを所定の深さに照射し、脆弱化層1110を形成する工程を示している。イオンの照射は図14(A)の場合と同様である。単結晶半導体基板1108の表面に保護層1121を形成しておくことでイオン照射によって表面がダメージを受け、平坦性が損なわれるのを防ぐことができる。また、保護層1121によって、単結晶半導体基板1108から形成される単結晶半導体層1102に対する不純物の拡散防止効果を発現する。
【0341】
図15(B)は、ブロッキング層1109及び絶縁層1104が形成された作製基板1101と単結晶半導体基板1108の保護層1121が形成された面を密着させて接合を形成する工程を示している。作製基板1101上の絶縁層1104と単結晶半導体基板1108の保護層1121を密着させることにより接合が形成される。
【0342】
その後、図15(C)で示すように単結晶半導体基板1108を剥離する。単結晶半導体層を剥離する熱処理は図14(D)の場合と同様にして行う。このようにして図15(C)で示す絶縁層を介して単結晶半導体層を有するSOI構造の半導体基板を得ることができる。
【0343】
また、単結晶半導体基板より分離し、作製基板に転置された単結晶半導体層は、分離工程およびイオン照射工程によって、結晶欠陥が生じ、また、その表面は平坦性が損なわれ、凹凸が形成されてしまう場合がある。単結晶半導体層を用いて半導体素子としてトランジスタを作製する場合、このような凹凸のある単結晶半導体層の上面に薄く、絶縁耐圧性の高いゲート絶縁層を形成することは困難である。また、単結晶半導体層に結晶欠陥があると、ゲート絶縁層との局在界面準位密度が高くなるなど、トランジスタの性能および信頼性に影響を与える。
【0344】
従って単結晶半導体層にレーザ光のような電磁波を照射し、結晶欠陥を低減させることが好ましい。電磁波を照射することによって、単結晶半導体層の少なくとも一部の領域を溶融させ、単結晶半導体層中の結晶欠陥を低減させることができる。なお、電磁波の照射前に単結晶半導体層表面に形成された酸化膜(自然酸化膜、あるいはケミカル酸化膜)を希フッ酸で除去するとよい。
【0345】
電磁波は単結晶半導体層に高いエネルギーを供給できるものであればよく、好適にはレーザ光を用いることができる。
【0346】
またエネルギーの供給は、高エネルギーを有する粒子を照射などによって単結晶半導体層に衝突させ、主として熱伝導によって行うこともできる。高エネルギーを有する粒子を提供する熱源としては、プラズマを用いることができ、常圧プラズマ、高圧プラズマ、熱プラズマジェット、ガスバーナーなどの炎を用いることができる、又、他の熱源としては電子ビームなどを用いることができる。
【0347】
電磁波の波長は、単結晶半導体層に吸収される波長とする。その波長は、電磁波の表皮深さ(skin depth)などを考慮して決定することができる。例えば、電磁波の波長は190nm〜600nmを用いることができる。また、電磁波のエネルギーは、電磁波の波長、電磁波の表皮深さ、照射する単結晶半導体層の膜厚などを考慮して決定することができる。
【0348】
レーザ光を発振するレーザは、連続発振レーザ、疑似連続発振レーザ及びパルス発振レーザを用いることができる。部分溶融させるためパルス発振レーザが好ましい。例えば、KrFレーザなどのエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザなどの気体レーザがある。その他、固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Y2O3レーザなどがある。なお、エキシマレーザはパルス発振レーザであるが、YAGレーザなどの固体レーザには、連続発振レーザにも、疑似連続発振レーザにも、パルス発振レーザにもなるものがある。なお、固体レーザにおいては、基本波の第2高調波〜第5高調波を適用するのが好ましい。また、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザも用いることができる。
【0349】
また、電磁波のエネルギーを単結晶半導体層に照射できるならば、ランプ光を用いてもよい。例えば、紫外線ランプ、ブラックライト、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光を用いてもよい。上記ランプ光を用いたフラッシュアニールを用いてもよい。ハロゲンランプやキセノンランプなどを好適に用いて行うフラッシュアニールは極短時間の処理でよいため、作製基板の温度上昇を抑えることができる。
【0350】
電磁波の形状や電磁波の進路を調整するため、シャッター、ミラー又はハーフミラー等の反射体、シリンドリカルレンズや凸レンズなどによって構成される光学系が設置されていてもよい。
【0351】
なお、電磁波の照射方法は、選択的に電磁波を照射してもよいし、光(電磁波)をXY軸方向に走査して光(電磁波)を照射することができる。この場合、光学系にポリゴンミラーやガルバノミラーを用いることが好ましい。
【0352】
電磁波の照射は、大気雰囲気のような酸素を含む雰囲気、または窒素雰囲気のような不活性雰囲気で行うことができる。不活性雰囲気中で電磁波を照射するには、気密性のあるチャンバー内で電磁波を照射し、このチャンバー内の雰囲気を制御すればよい。チャンバーを用いない場合は、電磁波の被照射面に窒素ガスなど不活性ガスを吹き付けることで、窒素雰囲気を形成することもできる。
【0353】
さらに、電磁波照射などの高エネルギーを供給され、結晶欠陥を低減された単結晶半導体層表面に研磨処理を行ってもよい。研磨処理によって単結晶半導体層表面の平坦性を高めることができる。
【0354】
研磨処理としては、化学的機械研磨(CMP)法や液体ジェット研磨法を用いることができる。なお、研磨処理前に単結晶半導体層表面を洗浄し、清浄化する。洗浄は、メガソニック洗浄や2流体ジェット洗浄等を用いればよく、洗浄により単結晶半導体層表面のゴミ等を除去する。また、希フッ酸を用いて単結晶半導体層表面上の自然酸化膜等を除去して単結晶半導体層を露出させると好適である。
【0355】
また、電磁波を照射する前にも単結晶半導体層表面に研磨処理(又はエッチング処理)を行ってもよい。
【0356】
また、分離された単結晶半導体基板を繰り返し利用する工程(半導体基板再生処理)を行うと、低コスト化を図ることができる。
【0357】
また、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を転載する際、単結晶半導体基板を選択的にエッチングし、形状を加工された複数の単結晶半導体層を、作製基板に転載してもよい。作製基板には、複数の島状の単結晶半導体層を形成することができる。予め、単結晶半導体基板で形状を加工して転載するために、単結晶半導体基板の大きさや形状に制限を受けない。そのために大型の作製基板への単結晶半導体層の転載がより効率よく行うことができる。
【0358】
さらに、作製基板上に貼り合わせられた単結晶半導体層に対して、エッチングを行い、単結晶半導体層の形状を加工、修正し精密に制御してもよい。これにより、半導体素子の単結晶半導体層の形状に加工でき、レジストマスク形成時の露光の回り込みなどによるパターンズレや、転載時の貼り合わせ工程による位置ズレなどによる単結晶半導体層の形成位置の誤差や形状不良を修正することができる。
【0359】
また、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を分離してから、作製基板に貼り合わせてもよい。劈開により露出される単結晶半導体層の表面を作製基板側に向けて貼り合わせてもよいし、劈開により露出される単結晶半導体層の表面とゲート絶縁膜とが接するように、単結晶半導体層を作製基板上に貼り合わせてもよい。
【0360】
本実施の形態において、単結晶半導体基板1108として単結晶シリコン基板を適用した場合は、単結晶半導体層1102として単結晶シリコン層を得ることが可能である。また、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、プロセス温度を700℃以下とすることができるため、作製基板1101としてガラス基板を適用することができる。すなわち、従来の薄膜トランジスタと同様にガラス基板上に形成することができ、かつ単結晶シリコン層を半導体層に適用することが可能となる。これらのことにより、高速動作が可能で、サブスレッショルド値が低く、電界効果移動度が高く、低消費電圧で駆動可能など高性能、高信頼性のトランジスタをガラス基板等の作製基板上に作製することができる。
【0361】
本実施の形態は、実施の形態1乃至10と適宜組み合わせることができる。
【0362】
(実施の形態12)
本実施の形態では、より高い信頼性を付与することを目的とした半導体装置の例について説明する。詳しくは半導体装置の一例として、マイクロプロセッサ及び非接触でデータの送受信を行うことのできる演算機能を備えた半導体装置の一例について説明する。
【0363】
図12は半導体装置の一例として、マイクロプロセッサ500の一例を示す。このマイクロプロセッサ500は、上記実施の形態に係る半導体装置により製造されるものである。このマイクロプロセッサ500は、演算回路501(Arithmetic logic unit。ALUともいう。)、演算回路制御部502(ALU Controller)、命令解析部503(Instruction Decoder)、割り込み制御部504(Interrupt Controller)、タイミング制御部505(Timing Controller)、レジスタ506(Register)、レジスタ制御部507(Register Controller)、バスインターフェース508(Bus I/F)、読み出し専用メモリ509、及びメモリインターフェース510(ROM I/F)を有している。
【0364】
バスインターフェース508を介してマイクロプロセッサ500に入力された命令は、命令解析部503に入力され、デコードされた後、演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505に入力される。演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505は、デコードされた命令に基づき各種制御を行う。具体的に演算回路制御部502は、演算回路501の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部504は、マイクロプロセッサ500のプログラム実行中に、外部の入出力装置や周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断して処理する。レジスタ制御部507は、レジスタ506のアドレスを生成し、マイクロプロセッサ500の状態に応じてレジスタ506の読み出しや書き込みを行う。タイミング制御部505は、演算回路501、演算回路制御部502、命令解析部503、割り込み制御部504、レジスタ制御部507の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部505は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。なお、図12に示すマイクロプロセッサ500は、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際にはその用途によって多種多様な構成を備えることができる。
【0365】
次に、非接触でデータの送受信を行うことのできる演算機能を備えた半導体装置の一例について図13を参照して説明する。図13は無線通信により外部装置と信号の送受信を行って動作するコンピュータ(以下、「RFCPU」という)の一例を示す。RFCPU511は、アナログ回路部512とデジタル回路部513を有している。アナログ回路部512として、共振容量を有する共振回路514、整流回路515、定電圧回路516、リセット回路517、発振回路518、復調回路519と、変調回路520を有している。デジタル回路部513は、RFインターフェース521、制御レジスタ522、クロックコントローラ523、CPUインターフェース524、中央処理ユニット525、ランダムアクセスメモリ526、読み出し専用メモリ527を有している。
【0366】
このような構成のRFCPU511の動作は概略以下の通りである。アンテナ528が受信した信号は共振回路514により誘導起電力を生じる。誘導起電力は、整流回路515を経て容量部529に充電される。この容量部529はセラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサーなどのキャパシタで形成されていることが好ましい。容量部529はRFCPU511と一体形成されている必要はなく、別部品としてRFCPU511を構成する絶縁表面を有する基板に取り付けられていれば良い。
【0367】
リセット回路517は、デジタル回路部513をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇に遅延して立ち上がる信号をリセット信号として生成する。発振回路518は、定電圧回路516により生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。ローパスフィルタで形成される復調回路519は、例えば振幅変調(ASK)方式の受信信号の振幅の変動を二値化する。変調回路520は、送信データを振幅変調(ASK)方式の送信信号の振幅を変動させて送信する。変調回路520は、共振回路514の共振点を変化させることで通信信号の振幅を変化させている。クロックコントローラ523は、電源電圧又は中央処理ユニット525における消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路530が行っている。
【0368】
アンテナ528からRFCPU511に入力された信号は復調回路519で復調された後、RFインターフェース521で制御コマンドやデータなどに分解される。制御コマンドは制御レジスタ522に格納される。制御コマンドには、読み出し専用メモリ527に記憶されているデータの読み出し、ランダムアクセスメモリ526へのデータの書き込み、中央処理ユニット525への演算命令などが含まれている。中央処理ユニット525は、CPUインターフェース524を介して読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522にアクセスする。CPUインターフェース524は、中央処理ユニット525が要求するアドレスより、読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522のいずれかに対するアクセス信号を生成する機能を有している。
【0369】
中央処理ユニット525の演算方式は、読み出し専用メモリ527にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、起動とともにプログラムを読み出し実行する方式を採用することができる。また、専用回路で演算回路を構成して、演算処理をハードウェア的に処理する方式を採用することもできる。ハードウェアとソフトウェアを併用する方式では、専用の演算回路で一部の処理を行い、残りの演算をプログラムを使って中央処理ユニット525が実行する方式を適用することができる。
【0370】
本実施の形態におけるマイクロプロセッサにおいても、半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら強度を有する信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0371】
(実施の形態13)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置の使用形態の一例について説明する。具体的には、非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して、図面を用いて以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によって、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップとも呼ばれる。
【0372】
本実施の形態で示す半導体装置の上面構造の一例について、図10を参照して説明する。図10に示す半導体装置2180は、メモリ部やロジック部を構成する複数のトランジスタ等の素子が設けられた薄膜集積回路2131と、アンテナとして機能する導電層2132を含んでいる。アンテナとして機能する導電層2132は、薄膜集積回路2131に電気的に接続されている。薄膜集積回路2131には、上記実施の形態2で示したトランジスタを適用することができる。
アンテナとして機能する導電層は、薄膜集積回路の上方に設けてもよいし、下方に設けてもよい。アンテナとして機能する導電層を耐衝撃層の外側に設けてもよい。また、アンテナとして機能する導電層2132を基板2133に別に設けた後、当該基板2133及び薄膜集積回路2131を、導電層2132が間に位置するように貼り合わせて設けることができる。薄膜集積回路2131の接続端子とアンテナとして機能する導電層とが、接着性を有する樹脂中に含まれる導電性粒子を介して電気的に接続する構成でもよい。或いは、薄膜集積回路に電気的に接続されたアンテナと、質問器との間において、非接触にて電波の周波数を変換することができるブースターアンテナを設けた半導体装置に、本発明を適用することも可能である。
【0373】
本発明の半導体装置は、半導体素子として電界効果トランジスタはもちろん、半導体層を用いる記憶素子なども適用することができ、多用途に渡って要求される機能を満たす半導体装置を作製し、提供することができる。
【0374】
なお、本実施の形態では、アンテナとして機能する導電層2132をコイル状に設け、電磁誘導方式または電磁結合方式を適用する例を示すが、本発明の半導体装置はこれに限られずマイクロ波方式を適用することも可能である。マイクロ波方式の場合は、用いる電磁波の波長によりアンテナとして機能する導電層2132の形状を適宜決めればよい。
【0375】
例えば、半導体装置における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860MHz帯乃至960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電層の長さ等の形状を適宜設定すればよい。例えば、アンテナとして機能する導電層を線状(例えば、ダイポールアンテナ)、平坦な形状(例えば、パッチアンテナまたはリボン型の形状)等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電層2132の形状は直線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
【0376】
アンテナとして機能する導電層は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
【0377】
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電層2132を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成の際は、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下の微粒子)を用いる場合、150℃乃至300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電層を形成することができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーはんだは、低コストであるといった利点を有している。
【0378】
本発明を適用した半導体装置は、半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら強度を有する信頼性の高い半導体装置とすることができる。よって、本実施の形態で示すような非接触でデータの入出力が可能で、且つ小型な半導体装置とした場合に有効である。
【0379】
(実施の形態14)
本実施の形態では、上述した本発明を用いて形成された非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して図面を参照して以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によっては、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップともよばれる。
【0380】
半導体装置800は、非接触でデータを交信する機能を有し、高周波回路810、電源回路820、リセット回路830、クロック発生回路840、データ復調回路850、データ変調回路860、他の回路の制御を行う制御回路870、記憶回路880およびアンテナ890を有している(図11(A)参照。)。高周波回路810はアンテナ890より信号を受信して、データ変調回路860より受信した信号をアンテナ890から出力する回路であり、電源回路820は受信信号から電源電位を生成する回路であり、リセット回路830はリセット信号を生成する回路であり、クロック発生回路840はアンテナ890から入力された受信信号を基に各種クロック信号を生成する回路であり、データ復調回路850は受信信号を復調して制御回路870に出力する回路であり、データ変調回路860は制御回路870から受信した信号を変調する回路である。また、制御回路870としては、例えばコード抽出回路910、コード判定回路920、CRC判定回路930および出力ユニット回路940が設けられている。なお、コード抽出回路910は制御回路870に送られてきた命令に含まれる複数のコードをそれぞれ抽出する回路であり、コード判定回路920は抽出されたコードとリファレンスに相当するコードとを比較して命令の内容を判定する回路であり、CRC判定回路930は判定されたコードに基づいて送信エラー等の有無を検出する回路である。
【0381】
次に、上述した半導体装置の動作の一例について説明する。まず、アンテナ890により無線信号が受信される。無線信号は高周波回路810を介して電源回路820に送られ、高電源電位(以下、VDDと記す)が生成される。VDDは半導体装置800が有する各回路に供給される。また、高周波回路810を介してデータ復調回路850に送られた信号は復調される(以下、復調信号)。さらに、高周波回路810を介してリセット回路830およびクロック発生回路840を通った信号及び復調信号は制御回路870に送られる。制御回路870に送られた信号は、コード抽出回路910、コード判定回路920およびCRC判定回路930等によって解析される。そして、解析された信号にしたがって、記憶回路880内に記憶されている半導体装置の情報が出力される。出力された半導体装置の情報は出力ユニット回路940を通って符号化される。さらに、符号化された半導体装置800の情報はデータ変調回路860を通って、アンテナ890により無線信号に載せて送信される。なお、半導体装置800を構成する複数の回路においては、低電源電位(以下、VSS)は共通であり、VSSはGNDとすることができる。
【0382】
このように、通信装置から半導体装置800に信号を送り、当該半導体装置800から送られてきた信号を通信装置で受信することによって、半導体装置のデータを読み取ることが可能となる。
【0383】
また、半導体装置800は、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリー)を搭載せず電磁波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリー)を搭載して電磁波と電源(バッテリー)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
【0384】
次に、非接触でデータの入出力が可能な半導体装置の使用形態の一例について説明する。表示部3210を含む携帯端末の側面には、通信装置3200が設けられ、品物3220の側面には半導体装置3230が設けられる(図11(B)。)。品物3220が含む半導体装置3230に通信装置3200をかざすと、表示部3210に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品3260をベルトコンベアにより搬送する際に、通信装置3240と、商品3260に設けられた半導体装置3250を用いて、該商品3260の検品を行うことができる(図11(C)。)。このように、システムに半導体装置を活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。
【0385】
以上の様に、本発明の信頼性の高い半導体装置の適用範囲は極めて広く、広い分野の電子機器に用いることが可能である。
【0386】
(実施の形態15)
本発明によりプロセッサ回路を有するチップ(以下、プロセッサチップ、無線チップ、無線プロセッサ、無線メモリ、無線タグともよぶ)として機能する半導体装置を形成することができる。本発明の半導体装置の用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図9を用いて説明する。
【0387】
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指し、プロセッサ回路を有するチップ190を設けることができる(図9(A)参照。)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指し、プロセッサ回路を有するチップ191を設けることができる(図9(B)参照。)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指し、プロセッサ回路を有するチップ197を設けることができる(図9(C)参照。)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指し、プロセッサ回路を有するチップ193を設けることができる(図9(D)参照。)。書籍類とは、書物、本等を指し、プロセッサ回路を有するチップ194を設けることができる(図9(E)参照。)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指、プロセッサ回路を有するチップ195を設けることができる(図9(F)参照。)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指し、プロセッサ回路を有するチップ196を設けることができる(図9(G)参照。)。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
【0388】
このような半導体装置の設け方としては、物品の表面に貼る、或いは物品に埋め込んで設ける。例えば、本の場合は紙に埋め込めばよく、有機樹脂からなるパッケージであれば有機樹脂に埋め込めばよい。
【0389】
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類に半導体装置を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサーを備えた半導体装置を埋め込む又は取り付けることによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。
【0390】
なお、本実施の形態は、上記実施の形態1乃至14と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0391】
(実施の形態16)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一態様の実装例を、図24を用いて説明する。
【0392】
本発明の半導体装置の一態様は、実施の形態15で示したように、様々は物品に実装することができる。本実施の形態では、可撓性基板(フレキシブル基板ともいう)に実装しフレキシブルな半導体装置を作製する例を示す。
【0393】
図24(A)乃至(C)は、可撓性基板に半導体集積回路チップを埋め込むように実装した例である。半導体集積回路チップは実施の形態1乃至11で示した半導体装置を用いることができ、ここでは個々に分断しチップ状にしたものを半導体集積回路チップという。図24(D)に半導体集積回路チップ600の詳細を示す。図24(D)の半導体集積回路チップは実施の形態1を用いる例であり、図24(E)の半導体集積回路チップは実施の形態5を用いる例であるが、本実施の形態は他の実施の形態にも適用することができ、この構造に限定されない。
【0394】
図24(D)は、半導体集積回路100は、第1の衝撃拡散層113、第2の衝撃拡散層103、第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102で挟持され、その側面も封止されている。本実施の形態では、複数の半導体集積回路を挟持して第1の衝撃拡散層、第2の衝撃拡散層、第1の耐衝撃層、第2の耐衝撃層を貼り合わせた後、個々の半導体集積回路ごとに分断し、半導体集積回路チップを作製する。分断手段としては物理的に分断することができれば特に限定しないが、本実施の形態ではレーザ光を照射することによって分断する。
【0395】
図24(E)は、半導体集積回路100は、衝撃拡散層103、第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102で挟持され、その側面も封止されている。本実施の形態では、複数の半導体集積回路を挟持して衝撃拡散層、第1の耐衝撃層、第2の耐衝撃層を貼り合わせた後、個々の半導体集積回路ごとに分断し、半導体集積回路チップを作製する。
【0396】
図24(A)は可撓性基板601と、可撓性基板602に挟持された半導体集積回路チップ600であり、半導体集積回路チップ600は可撓性基板601に設けられた凹部に配置されている。
【0397】
半導体集積回路チップ600が配置される凹部は片方の可撓性基板に設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。図24(B)は可撓性基板601及び可撓性基板602に両方に設けられた凹部に、半導体集積回路チップ600が配置される例である。
【0398】
さらに、可撓性基板を3層構造とし、中央の可撓性基板に半導体集積回路チップ600を配置する開口を設けてもよい。図24(C)は、可撓性基板603に開口を設け、その開口に半導体集積回路チップ600を配置し、可撓性基板601と可撓性基板602とよって、可撓性基板603及び半導体集積回路チップ600を挟み込むように挟持する例である。
【0399】
図24(A)乃至(C)において、さらに可撓性基板601、可撓性基板602の外側に可撓性基板を積層してもよい。
【0400】
可撓性基板601、602、603としては、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布、紙などを用いることができる。また、具体的にはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリプロピレン、ポリプロピレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、ポリフタールアミド等からなる基板、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等からなる基板、フィルム、繊維質な材料からなる紙などを用いることができる。接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどを用いることができる。基板やフィルムが被処理体と接着する際は、接着層を用いてもよい。基板やフィルムの種類によって条件を選択し、加熱処理や加圧により接着することができる。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。
【0401】
本実施の形態のように、実装する可撓性基板内に凹部、又は開口を設けて半導体集積回路チップ600を埋め込むように配置すると、半導体集積回路チップ600を設けることによる凸部が形成されないため、可撓性基板表面は平坦であり、膜厚を均一にすることができる。従って可撓性基板に半導体集積回路チップを実装する際に貼り合わせのためにローラーなどによって加圧処理を行っても、半導体集積回路チップに局所的に圧力がかかる(圧力が集中する)ことを防止することができる。よって、実装工程において半導体集積回路チップの破損を軽減することができるため、半導体装置の歩留まりが向上する。また、実装後においても、外的ストレスに強い、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0402】
また平坦かつ平滑な表面とすることができるため、保管や機械上における積み重ね性、搬送性に優れる。さらに外部より半導体集積回路チップが視認されないため(表面に半導体集積回路チップの形状が反映する凸部が生じないため)、セキュリティ性の高い半導体装置とすることができる。
【実施例1】
【0403】
本実施例は、本発明の一態様の半導体装置を作製し、信頼性評価を行った結果を示す。
【0404】
試料として、第1の衝撃拡散層、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の衝撃拡散層、第2の耐衝撃層、導電層の積層構造(実施例X)、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の耐衝撃層の積層構造(比較例)を作製した。試料において第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層は繊維体(ガラス繊維)に有機樹脂(臭素化エポキシ樹脂)が含浸された構造体であるプリプレグ(膜厚20μm)を用い、導電層はスパッタリング法により形成したチタン膜、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層にはアラミドフィルム(膜厚7μm)を用いた。なお、半導体集積回路と第1の耐衝撃層との間にはアンテナが設けられ、アンテナ上は保護層として窒化珪素膜を形成した。
【0405】
実施例X、比較例の構造それぞれ10個ずつの試料にESD(Electro Static Discharge:静電気放電)測定を行い、10個の半導体装置を100として、その動作率を評価した。
【0406】
ESD測定としては、ガラス基板(厚さ0.5nm)、アルミ板、導電性シートの積層上に試料を乗せ、試料の導電層の形成側から集積回路中央部へESD試験機(簡易応答評価 Takaya株式会社製)にて電圧を印加し、電圧印加後に除電(1分間)を行い、動作確認を行った。
【0407】
実施例X、比較例の半導体装置における、ESDの印加量及び動作率の関係を図23に示す。図23において、実施例Xは三角形のドット、比較例はバツ印のドットで示されている。また実施例X及び比較例の試料において、非動作になるまでのESD印加電圧[kV]の平均値、最大値、最小値を表1に示す。
【0408】
【表1】
【0409】
導電層を設けない比較例はESD印加量が±3kVでは動作率が0%となってしまうのに対し、導電層を設けた実施例Xは±2kVまでは動作率100%であり、±6kVで動作率が0%となった。また、非動作になるまでのESD印加電圧[kV]の値も、比較例では平均値2.8kV、最大値3kV、最小値1kVであるのに対し、実施例Xでは、平均値4.6kV、最大値6kV、最小値3kVとより高い電圧値まで動作できたことが分かる。よって、本発明を用いて導電層を形成した半導体装置である実施例Xは静電気放電に耐性があり、静電気破壊しにくいということが確認できた。
【0410】
上記結果より、本発明を用いると、半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止でき、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができることが確認できた。
【実施例2】
【0411】
本実施例は、本発明の一態様の半導体装置を作製し、信頼性評価を行った結果を示す。
【0412】
試料構造として、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の耐衝撃層、導電層の積層構造を作製した。試料において第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層は繊維体(ガラス繊維)に有機樹脂(臭素化エポキシ樹脂)が含浸された構造体であるプリプレグ(膜厚20μm)を用い、導電層はスパッタリング法により形成したチタン膜を用いた。試料構造において導電層の膜厚を0nm、5nm、10nm、20nm、30nm、50nm、100nmとした各試料について信頼性評価としてESD(Electro Static Discharge:静電気放電)測定を行った。なお、導電層の膜厚0nmは導電層を形成しない試料であり、実施例1でも示した比較例である。
【0413】
ESD測定としては、ガラス基板(厚さ0.5nm)、アルミ板、導電性シートの積層上に試料を乗せ、試料の導電層の形成側から集積回路中央部へESD試験機(簡易応答評価 Takaya株式会社製)にて電圧を印加し、ESD印加後に除電(1分間)を行い、動作確認を行った。
【0414】
試料における導電層の膜厚と試料の半導体装置が非動作になるまでのESD印加電圧の関係を図36に示す。導電層の各膜厚において複数の試料を測定しており、平均値を四角形のドット、最大値を菱形のドット、最小値を三角形のドットでそれぞれ示す。半導体装置に導電層が無い構造(導電層膜厚0nm)の場合、ESD印加時に1〜2kV程度で導電層が非動作になるのに対し、導電層が存在することで5kV程度までESD耐性が向上している。
【0415】
次に、試料として、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、衝撃拡散層、第2の耐衝撃層、導電層の積層構造(実施例A)、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の耐衝撃層、導電層の積層構造(実施例B)、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の耐衝撃層の積層構造(比較例)を作製した。試料において第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層は繊維体(ガラス繊維)に有機樹脂(臭素化エポキシ樹脂)が含浸された構造体であるプリプレグ(膜厚20μm)を用い、導電層はスパッタリング法により形成したチタン膜、衝撃拡散層にはアラミドフィルム(膜厚7μm)を用いた。
【0416】
実施例A、実施例B、比較例の構造それぞれ10個ずつの試料にESD測定を行い、10個の半導体装置を100として、その動作率を評価した。実施例A、実施例B、比較例の半導体装置における、ESDの印加量及び動作率の関係を図37に示す。図37において、実施例Aは丸形のドット、実施例Bは四角形のドット、比較例はバツ印のドットで示されている。また実施例A、実施例B、及び比較例の試料において、非動作になるまでのESD印加電圧[kV]の平均値、最大値、最小値を表1に示す。
【0417】
【表2】
【0418】
導電層を設けない比較例はESD印加量が±3kVでは動作率が0%となってしまうのに対し、導電層を設けた実施例Aは±2kV、実施例Bにおいては±6kVまでは動作率100%であった。また、非動作になるまでのESD印加電圧[kV]の値も、比較例では平均値2.8kV、最大値3kV、最小値1kVであるのに対し、実施例Aでは平均値4.5kV、最大値5kV、最小値3kV、実施例Bでは平均値11.5kV、最大値18kV、最小値7kVと、導電層を有する構造の実施例A及び実施例Bにおいてはより高い電圧値まで動作できたことが分かる。よって、本発明を用いて導電層を形成した半導体装置である実施例A、実施例Bは静電気放電に耐性があり、静電気破壊しにくいということが確認できた。
【0419】
上記結果より、本発明を用いると、半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止でき、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができることが確認できた。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
より小型、薄型化を図られている半導体集積回路チップ(ICチップともいう)において、外的ストレスに対するその強度を高めることは重要である。
【0003】
チップの強度を向上させるため、チップを補強する方法が種々提案されている(特許文献1参照。)。例えば、特許文献1においては、チップを補強金属板で挟み、封止用樹脂で覆い硬化する方法が報告されている。
【0004】
また、携帯して用いる半導体集積回路チップは、携帯時、保管時、使用時における外部からの静電気放電による半導体集積回路チップの破壊(静電気破壊)が生じるという問題があり、その対策も報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
特許文献2では、携帯時、保管時の半導体集積回路チップは、全ての外部端子が短絡されることによって、静電気放電による半導体集積回路チップの破壊に対する耐性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−139802号公報
【特許文献2】特開2000−231619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のように補強用金属板を設けると半導体装置が厚く、大型化してしまうといった問題がある。
【0008】
従って、薄型化及び小型化を達成しながら、外部ストレス、及び静電気放電に耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することを目的の一とする。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する耐衝撃層、その力を拡散する衝撃拡散層、及び半導体集積回路を覆う導電層を設ける。導電層は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路の静電気破壊を防ぐことができる。導電層は、半導体集積回路の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナを設ける場合は、半導体集積回路のアンテナを設けない側に形成される。なお、導電層は半導体集積回路とは電気的に接続しない。
【0010】
半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する耐衝撃層、又、さらにその力を拡散する衝撃拡散層を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0011】
半導体装置において、少なくとも一の衝撃拡散層は半導体集積回路に接して設けられる。半導体集積回路の近くに接して設けられることによって、より外部から半導体集積回路にかかる力を拡散し、低減する効果がある。
【0012】
半導体装置において、半導体集積回路は一対の衝撃拡散層、又、さらに耐衝撃層によって挟持されている。半導体集積回路は基板上で作製され、耐衝撃層に接着して基板より剥離される。本明細書において、半導体集積回路を基板より剥離することによって半導体集積回路の生じる面を、剥離面という。本発明において、一対の耐衝撃層及び一対の衝撃拡散層を有する場合、半導体集積回路の剥離面は衝撃拡散層(第2の衝撃拡散層)に接し、他方の面は耐衝撃層(第1の耐衝撃層)に接して設けられている。第1の衝撃拡散層は第1の耐衝撃層の外側(半導体集積回路と反対側)に、第2の耐衝撃層は第2の衝撃拡散層の外側(半導体集積回路と反対側)にそれぞれ設けられている。
【0013】
導電層としては、導電性を有しておれば良い。導電層は、薄膜におけるシート抵抗が1.0×102Ω/□以上1.0×107Ω/□以下(より好ましくは1.0×102Ω/□以上1.0×104Ω/□以下)が好ましい。
【0014】
このような導電層は、アンテナが送受信すべき電波を透過する膜厚、材料で形成する。よって、静電気破壊に耐性を有する信頼性の高い送受信可能な半導体装置を提供することができる。
【0015】
導電層として、金属、金属窒化物、金属酸化物などの膜、及びそれらの積層を用いることができる。
【0016】
導電層は、例えば、チタン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉄、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、バリウムから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料で形成すればよい。
【0017】
窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどを用いることができる。
【0018】
酸化物材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0019】
また、半導体に不純物元素などを添加して導電性を付与した半導体膜などを用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜などを用いることができる。
【0020】
さらに、導電層として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を用いてもよい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0021】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0022】
導電性高分子を含む導電層には、有機樹脂やドーパント(ハロゲン類、ルイス酸、無機酸、有機酸、遷移金属ハロゲン化物、有機シアノ化合物、非イオン性界面活性剤等)を含ませてもよい。
【0023】
導電層は、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法などの各種乾式法、塗布法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)などの各種湿式法により形成することができ、膜厚は5nm以上200nm以下が好ましい。
【0024】
導電層は、半導体集積回路に接着した耐衝撃層(又は衝撃拡散層)に形成してもよいし、半導体集積回路に接着前に衝撃拡散層に形成してもよい。導電層を半導体集積回路に接着前に衝撃拡散層に形成し、衝撃拡散層と耐衝撃層との間に導電層を有する構成とすると、導電層表面が露出しないために、酸化、摩耗、ひび割れなどの導電層の劣化を防止する効果がある。
【0025】
また、導電層上の保護層を積層してもよい。例えば、導電層としてチタン膜を形成し、チタン膜上に保護層として酸化チタン膜を積層するとよい。保護層により半導体装置の表面に導電層を設ける場合でも保護層が最表面となり、導電層の劣化を防ぐことができる。
【0026】
耐衝撃層としては、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いることができる。耐衝撃層は、弾性率13GPa以上、破断係数は300MPa未満が好ましい。
【0027】
衝撃拡散層としては、弾性率が低く、かつ破断強度が高い材料を用いることが好ましく、ゴム弾性を有する膜を用いればよい。衝撃拡散層は、弾性率5GPa以上12GPa以下、破断係数300MPa以上が好ましい。
【0028】
衝撃拡散層は、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アラミド系樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。弾性を有する高強度材料で形成される衝撃拡散層を設けると局所的な押圧などの荷重を層全体に拡散し吸収するために、半導体装置の破損を防ぐことができる。
【0029】
より具体的には、衝撃拡散層として、アラミド樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂などを用いることができる。
【0030】
本明細書において、転置(転載ともいう)とはある基板に形成された半導体集積回路を、該基板より剥離し、他の基板に移しかえることをいう。つまり半導体集積回路を設ける場所を他の基板へ移動するとも言える。
【0031】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側には半導体集積回路を覆う導電層とを有する。
【0032】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、半導体集積回路と第2の耐衝撃層との間に衝撃拡散層と、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側には半導体集積回路を覆う導電層とを有し、衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0033】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、半導体集積回路と第2の耐衝撃層との間に衝撃拡散層と、第2の耐衝撃層と衝撃拡散層との間には半導体集積回路を覆う導電層とを有し、衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0034】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、第1の耐衝撃層の半導体集積回路と反対の面に第1の衝撃拡散層と、半導体集積回路と第2の耐衝撃層との間に第2の衝撃拡散層と、第1の衝撃拡散層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側には半導体集積回路を覆う導電層とを有し、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0035】
本発明の半導体装置の一態様は、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、第1の耐衝撃層の半導体集積回路と反対の面に第1の衝撃拡散層と、半導体集積回路と第2の耐衝撃層との間に第2の衝撃拡散層と、第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層との間には半導体集積回路を覆う導電層とを有し、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0036】
上記構成において、半導体装置に、半導体集積回路に対して(半導体集積回路を間に挟んで)導電層と反対側に外部と信号を受信又は発信するアンテナを設けてもよい。例えば、第2の耐衝撃層の外側に導電層を設ける場合、半導体集積回路と第1の耐衝撃層との間にアンテナを設ければよい。また半導体集積回路上にも保護層を設けてもよく、例えば、半導体集積回路上に設けられたアンテナを覆うように保護層として無機絶縁層を形成すればよい。
【0037】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、第2の耐衝撃層を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側に半導体集積回路を覆う導電層を形成する。
【0038】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、第2の耐衝撃層と衝撃拡散層とを接着し、第2の耐衝撃層に接着された衝撃拡散層を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側に半導体集積回路を覆う導電層を形成し、衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0039】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、衝撃拡散層の一方の面に導電層を形成し、第2の耐衝撃層と衝撃拡散層の導電層の形成された一方の面とを接着し、第2の耐衝撃層に接着された衝撃拡散層の他方の面を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、衝撃拡散層は第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0040】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を、第1の耐衝撃層に第1の衝撃拡散層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層とを接着し、第2の耐衝撃層に接着された第2の衝撃拡散層を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、第1の衝撃拡散層及び第2の耐衝撃層のいずれか一方の半導体集積回路と反対側に半導体集積回路を覆う導電層を形成し、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層は、第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0041】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様は、基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、半導体集積回路に第1の耐衝撃層を、第1の耐衝撃層に第1の衝撃拡散層を接着し、半導体集積回路を基板より剥離し、第2の衝撃拡散層の一方の面に導電層を形成し、第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層の導電層の形成された一方の面とを接着し、第2の耐衝撃層に接着された第2の衝撃拡散層の他方の面を、基板より剥離された半導体集積回路に接着し、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層は、第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高い。
【0042】
衝撃拡散層は接着層によって半導体集積回路と接着されていてもよく、この場合、半導体集積回路と衝撃拡散層との間に接着層を有する。また、耐衝撃層と衝撃拡散層とを、又は耐衝撃層と半導体集積回路とを、加熱及び加圧処理によって接着することができる。
【0043】
なお、本発明において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置を指す。本発明を用いて半導体素子(トランジスタ、メモリ素子やダイオードなど)を含む回路を有する装置や、プロセッサ回路を有するチップなどの半導体装置を作製することができる。
【発明の効果】
【0044】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の衝撃拡散層、又耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】半導体装置を説明する図。
【図2】半導体装置を説明する図。
【図3】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図4】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図5】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図6】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図7】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図8】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図9】半導体装置の適用例を説明する図。
【図10】半導体装置を説明する図。
【図11】半導体装置を説明する図。
【図12】半導体装置により得られるマイクロプロセッサの構成を示すブロック図。
【図13】半導体装置により得られるRFCPUの構成を示すブロック図。
【図14】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図15】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図16】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図17】半導体装置を説明する図。
【図18】半導体装置を説明する図。
【図19】半導体装置を説明する図。
【図20】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図21】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図22】半導体装置を説明する図。
【図23】信頼性評価の結果を示す図。
【図24】半導体装置を説明する図。
【図25】半導体装置を説明する図。
【図26】半導体装置を説明する図。
【図27】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図28】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図29】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図30】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図31】半導体装置の作製方法を説明する図。
【図32】半導体装置を説明する図。
【図33】半導体装置を説明する図。
【図34】半導体装置を説明する図。
【図35】半導体装置を説明する図。
【図36】信頼性評価の結果を示す図。
【図37】信頼性評価の結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0047】
(実施の形態1)
本実施の形態では、より信頼性の高い半導体装置、及び歩留まりよい半導体装置の作製方法を、図1乃至図3を用いて詳細に説明する。
【0048】
本実施の形態における半導体装置において、半導体集積回路は作製時の基板より剥離され、可撓性を有する耐衝撃層に挟持される。なお、本明細書では半導体集積回路が作製される基板を作製基板ともいう。従って、半導体集積回路は作製基板に剥離層を介して形成される。
【0049】
図1(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図1(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102、第1の衝撃拡散層113、第2の衝撃拡散層103に挟持されており、半導体集積回路100と第2の耐衝撃層102の間に第2の衝撃拡散層103、第2の耐衝撃層102の外側(第2の衝撃拡散層103と反対側)に導電層140が設けられている。
【0050】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。なお、導電層140は半導体集積回路100とは電気的に接続しない。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0051】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、図17(A)(B)に示すように、第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。図17(A)(B)の構成において、アンテナを形成する場合、アンテナを形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナの反対側の半導体集積回路100より第2の衝撃拡散層103、第2の耐衝撃層102側に設けることが好ましい。
【0052】
導電層140としては、導電性を有しておれば良い。導電層140は、薄膜におけるシート抵抗が1.0×102Ω/□以上1.0×107Ω/□以下(より好ましくは1.0×102Ω/□以上1.0×104Ω/□以下)が好ましい。
【0053】
このような導電層140は、アンテナが送受信すべき電波を透過する膜厚、材料で形成する。よって、静電気破壊に耐性を有する信頼性の高い送受信可能な半導体装置を提供することができる。
【0054】
導電層140として、金属、金属窒化物、金属酸化物などの膜、及びそれらの積層を用いることができる。
【0055】
導電層140は、例えば、チタン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉄、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、バリウムから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料で形成すればよい。
【0056】
窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどを用いることができる。
【0057】
酸化物材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0058】
また、半導体に不純物元素などを添加して導電性を付与した半導体膜などを用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜などを用いることができる。
【0059】
さらに、導電層140として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を用いてもよい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0060】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0061】
導電性高分子を含む導電層140には、有機樹脂やドーパント(ハロゲン類、ルイス酸、無機酸、有機酸、遷移金属ハロゲン化物、有機シアノ化合物、非イオン性界面活性剤等)を含ませてもよい。
【0062】
導電層140は、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法などの各種乾式法、塗布法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)などの各種湿式法により形成することができ、膜厚は5nm以上200nm以下が好ましい。
【0063】
また、導電層140上の保護層を積層してもよい。例えば、導電層140としてチタン膜(膜厚10nm以上50nm以下程度)を形成し、チタン膜上に保護層として酸化チタン膜を積層するとよい。保護層により半導体装置の表面に導電層140を設ける場合でも保護層が最表面となり、導電層の劣化を防ぐことができる。保護層は膜厚10nm以上200nm以下程度とすればよい。
【0064】
第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102は繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いており、第1の耐衝撃層112は繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体、第2の耐衝撃層102は繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体である。
【0065】
半導体集積回路100の剥離面は第2の衝撃拡散層103に接し、他方の面は第1の耐衝撃層112に接して設けられている。第1の衝撃拡散層113は第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に、第2の耐衝撃層102は第2の衝撃拡散層103の外側(半導体集積回路100と反対側)にそれぞれ設けられている。
【0066】
繊維体160が繊維糸束を経糸及び緯糸として製織した織布の上面図を図1(C)に示す。
【0067】
図1(C)に示すように、繊維体160は、一定間隔をあけた経糸と、一定間隔をあけた緯糸とで織られている。このような経糸及び緯糸を用いて製織された繊維体には、経糸及び緯糸が存在しない領域を有する。このような繊維体160は、有機樹脂161が含浸される割合が高まり、繊維体160と半導体集積回路との密着性を高めることができる。
【0068】
また繊維体160は、経糸及び緯糸の密度が高く、経糸及び緯糸が存在しない領域の割合が低いものでもよい。
【0069】
繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。また耐衝撃層は、弾性率13GPa以上、破断係数は300MPa未満が好ましい。例えば、耐衝撃層として、弾性率13GPa以上15GPa以下、破断係数140MPaのプリプレグを用いることができる。
【0070】
なお繊維体に有機樹脂が含浸された構造体は、複数層を積層させてもよい。この場合、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させることで構造体を形成してもよいし、複数の積層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても良い。
【0071】
また有機樹脂161として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。或いは有機樹脂161として、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また有機樹脂161として、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を半導体集積回路に固着することができる。なお、有機樹脂161はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0072】
有機樹脂161にまたは繊維の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等が挙げられる。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱導電性フィラーが有機樹脂または繊維糸束内に含まれることにより半導体集積回路での発熱を外部に放出しやすくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の破壊を低減することができる。
【0073】
繊維体160は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、部分的に重なるように配置する。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。なお、繊維体160は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0074】
また、繊維体160は、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布であってもよい。織布の場合、平織り、綾織り、しゅす織り等を適宜用いることができる。
【0075】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体160を薄くすることが可能である。このため、構造体を薄くすることが可能であり、薄型の半導体装置を作製することができる。
【0076】
なお、本実施の形態の図面においては、繊維体160は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。
【0077】
また、繊維糸束内部への有機樹脂の浸透率を高めるため、繊維に表面処理が施されても良い。例えば、繊維表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を用いた表面処理がある。
【0078】
また、衝撃拡散層(第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層)としては、弾性率が低く、かつ破断強度が高い材料を用いることが好ましく、ゴム弾性を有する膜を用いればよい。衝撃拡散層は、弾性率5GPa以上12GPa以下、破断係数300MPa以上が好ましい。
【0079】
衝撃拡散層は、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アラミド系樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。弾性を有する高強度材料で形成される衝撃拡散層を設けると局所的な押圧などの荷重を層全体に拡散し吸収するために、半導体装置の破損を防ぐことができる。
【0080】
より具体的には、衝撃拡散層として、アラミド樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂などを用いることができる。本実施の形態では、衝撃拡散層としてアラミド樹脂フィルム(弾性率10GPa、破断強度480MPa)を用いる。
【0081】
図1(B)は半導体集積回路100と第2の衝撃拡散層103とを接着層104を用いて、第1の耐衝撃層112と第1の衝撃拡散層113を接着層114でそれぞれ固着する例である。本実施の形態では、第2の衝撃拡散層103としてアラミドフィルムを用い、接着層104としてアクリル樹脂を用いる。接着層104は衝撃拡散層と半導体集積回路とを固着することができればよく、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系などを用いることができる。第1の耐衝撃層112と第1の衝撃拡散層113を加熱及び加圧処理によって接着する場合は、接着層114を用いなくてもよい。接着層は、膜厚3μm以上15μm以下程度とすればよい。
【0082】
また、半導体集積回路上に保護層を形成してもよい。図2(A)(B)に半導体集積回路100上に保護層として無機絶縁層105を形成する例を示す。また、図2(A)(B)は半導体集積回路100上にアンテナ101を形成し、アンテナ101上に無機絶縁層105が形成されている例である。無機絶縁層105でアンテナ101を覆うことで、アンテナとして機能する導電層の酸化などを防ぐことができる。
【0083】
導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナ101を設ける場合は、半導体集積回路100のアンテナ101を設けない側(図2(A)においては第2の耐衝撃層102側)に形成される。また図18(A)(B)のように第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102の間に導電層140を設けてもよい。
【0084】
アンテナ101を形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、図18(B)のように半導体集積回路100を介してアンテナ101と反対側に導電層140を設けると、導電層140により静電気破壊による不良を軽減することができる。
【0085】
無機絶縁層105は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は積層で形成する。無機化合物の代表例としては、珪素酸化物又は珪素窒化物が挙げられる。珪素酸化物及び珪素窒化物の代表例としては、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。
【0086】
さらには、無機絶縁層105を積層構造としても良い。例えば、無機化合物を用いて積層してもよく、代表的には、酸化珪素、窒化酸化珪素、及び酸化窒化珪素を積層して形成しても良い。
【0087】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様を図3(A)乃至(D)を用いて説明する。作製基板である絶縁表面を有する基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100を形成する(図3(A)参照。)。
【0088】
作製基板である基板110としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、表面に絶縁層が形成された金属基板などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。半導体装置の作製工程において、その行う工程に合わせて作製基板を適宜選択することができる。
【0089】
剥離層111は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は前記元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。なお、ここでは、塗布法は、スピンコーティング法、液滴吐出法、ディスペンス法を含む。
【0090】
剥離層111が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
【0091】
剥離層111が積層構造の場合、好ましくは、1層目としてタングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成する。
【0092】
剥離層111として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステン層と絶縁層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。またプラズマ処理や加熱処理は、酸素、窒素、一酸化二窒素、一酸化二窒素単体、あるいは前記ガスとその他のガスとの混合気体雰囲気下で行ってもよい。これは、タングステンの窒化物、酸化窒化物及び窒化酸化物を含む層を形成する場合も同様であり、タングステンを含む層を形成後、その上層に窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層を形成するとよい。
【0093】
また、上記の工程によると、基板110に接するように剥離層111を形成しているが、本発明はこの工程に制約されない。基板110に接するように下地となる絶縁層を形成し、その絶縁層に接するように剥離層111を設けてもよい。
【0094】
半導体集積回路100と第1の耐衝撃層112を接着し、剥離層111を用いて半導体集積回路100を基板110より剥離する。よって半導体集積回路100は、第1の耐衝撃層112側に設けられる(図3(B)参照。)。
【0095】
本実施の形態では、第1の耐衝撃層112として繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂は加熱及び圧着により、半導体集積回路に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0096】
なお、他の基板への転置工程は、基板と半導体集積回路の間に剥離層を形成し、剥離層と半導体集積回路との間に金属酸化膜を設け、当該金属酸化膜を結晶化により脆弱化して、当該半導体集積回路を剥離する方法、耐熱性の高い基板と半導体集積回路の間に水素を含む非晶質珪素膜を設け、レーザ光の照射またはエッチングにより当該非晶質珪素膜を除去することで、当該半導体集積回路を剥離する方法、基板と半導体集積回路の間に剥離層を形成し、剥離層と半導体集積回路との間に金属酸化膜を設け、当該金属酸化膜を結晶化により脆弱化し、剥離層の一部を溶液やNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスによりエッチングで除去した後、脆弱化された金属酸化膜において剥離する方法、半導体集積回路が形成された基板を機械的に削除又は溶液やNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスによるエッチングで除去する方法等を適宜用いることができる。また、剥離層として窒素、酸素や水素等を含む膜(例えば、水素を含む非晶質珪素膜、水素含有合金膜、酸素含有合金膜など)を用い、剥離層にレーザ光を照射して剥離層内に含有する窒素、酸素や水素をガスとして放出させ半導体集積回路と基板との剥離を促進する方法を用いてもよい。
【0097】
上記剥離方法を組み合わすことでより容易に転置工程を行うことができる。つまり、レーザ光の照射、ガスや溶液などによる剥離層へのエッチング、鋭いナイフやメスなどによる機械的な削除を行い、剥離層と半導体集積回路とを剥離しやすい状態にしてから、物理的な力(機械等による)によって剥離を行うこともできる。
【0098】
また、剥離層と半導体集積回路との界面に液体を浸透させて作製基板から半導体集積回路を剥離してもよい。
【0099】
第2の耐衝撃層102も第1の耐衝撃層112と同様、繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を接着する。第2の衝撃拡散層103の第2の耐衝撃層102の反対面には接着層104を設ける。
【0100】
半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着し、半導体集積回路100及び第2の衝撃拡散層103を第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に挟持する。
【0101】
次に第2の耐衝撃層102の表面に導電層140を形成する(図3(C)参照。)。本実施の形態では、導電層140は、スパッタリング法により膜厚10nmのチタン膜を形成する。
【0102】
さらに、第1の耐衝撃層112の半導体集積回路100と反対側に接着層114を用いて第1の衝撃拡散層113を接着する(図3(D)参照。)。
【0103】
導電層140は、半導体集積回路100に接着した第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102、及び第1の衝撃拡散層113の外側に形成してもよいし、半導体集積回路100に接着前に第2の衝撃拡散層103及び第1の衝撃拡散層113の内側(半導体集積回路100側)に形成してもよい。導電層140を半導体集積回路100に接着前に第2の衝撃拡散層103、第1の衝撃拡散層113の内側(半導体集積回路100側)に形成し、第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102との間に導電層140を有する構成、又は第1の衝撃拡散層113と第1の耐衝撃層112との間に導電層140を有する構成とすると、導電層140表面が露出しないために、酸化、摩耗、ひび割れなどの導電層140の劣化を防止する効果がある。
【0104】
図16(A)乃至(C)に示すように、第1の衝撃拡散層113を、第1の耐衝撃層112と半導体集積回路100とを接着する工程で同時に第1の耐衝撃層112に接着して設けてもよい。
【0105】
図3(A)同様に、作製基板である絶縁表面を有する基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100を形成する(図16(A)参照。)。
【0106】
半導体集積回路100に、第1の耐衝撃層112、第1の衝撃拡散層を積層して、加熱及び加圧処理を行うことによって、半導体集積回路100に、第1の耐衝撃層112、第1の衝撃拡散層113を接着し、剥離層111を用いて基板110より剥離する(図16(B)参照。)。半導体集積回路100と第1の耐衝撃層112との接着工程、第1の耐衝撃層112と第1の衝撃拡散層113との接着工程は同時に行ってもよいし、別工程で行ってもよい。
【0107】
半導体集積回路100の剥離面に、第2の耐衝撃層102が積層された第2の衝撃拡散層103を、接着層104を用いて接着し、第2の耐衝撃層102の外側に導電層140を形成し、半導体装置を作製する(図16(C)参照。)。
【0108】
図20(A)乃至(C)及び図21(A)乃至(C)に第1の衝撃拡散層113に導電層140を形成する例を示す。
【0109】
図20(A)は図3(A)に対応しており、基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100が形成されている。次に予め導電層140が形成された第1の衝撃拡散層113の導電層140の形成されていない面と第1の耐衝撃層112とを加熱、加圧処理により接着する。基板110より剥離層111を用いて、第1の耐衝撃層112に接着して半導体集積回路100を剥離する(図20(B)参照。)。次に、第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を加熱、加圧処理により接着し、半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着する(図20(C)参照。)。図20(C)では、導電層140は第1の衝撃拡散層113の外側(半導体集積回路と反対側)に設けられる構造となる。
【0110】
図21(A)も図3(A)に対応しており、基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100が形成されている。次に予め導電層140が形成された第1の衝撃拡散層113の導電層140の形成された面と第1の耐衝撃層112とを加熱、加圧処理により接着し、第1の衝撃拡散層113と第1の耐衝撃層112との間に導電層140を設ける。基板110より剥離層111を用いて、第1の耐衝撃層112に接着して半導体集積回路100を剥離する(図21(B)参照。)。次に、第2の衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を加熱、加圧処理により接着し、半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着する(図21(C)参照。)。図21(C)では、導電層140は第1の衝撃拡散層113の内側(半導体集積回路と反対側)に設けられる構造となる。
【0111】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0112】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び一対の衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0113】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置の他の例を図22(A)(B)を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0114】
図22(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図22(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112及び第1の衝撃拡散層113と、第2の衝撃拡散層103とに挟持されており、第2の衝撃拡散層103の外側(半導体集積回路100と反対側)に導電層140が設けられている。
【0115】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、第1の衝撃拡散層113の外側(半導体集積回路100と反対側)、又は第1の衝撃拡散層113と第1の耐衝撃層112との間に設けることもできる。
【0116】
しかし図22(B)に示すように、アンテナ101を形成する場合、アンテナを形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナの反対側の半導体集積回路100より第2の衝撃拡散層103側に設けることが好ましい。
【0117】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0118】
また、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する第1の耐衝撃層112、又、さらにその力を拡散する第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0119】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電(による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する耐衝撃層、衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0120】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置の他の例を図19(A)(B)を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0121】
図19(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図19(A)において、半導体集積回路100は第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103に挟持されており、第2の衝撃拡散層103の外側に導電層140が設けられている。
【0122】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、第1の衝撃拡散層113の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。
【0123】
しかし図19(B)に示すように、アンテナ101を形成する場合、アンテナを形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナの反対側の半導体集積回路100より第2の衝撃拡散層103側に設けることが好ましい。
【0124】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0125】
また、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)を拡散する第1の衝撃拡散層113及び第2の衝撃拡散層103を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0126】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0127】
(実施の形態4)
本実施の形態では、より信頼性の高い半導体装置、及び歩留まりよい半導体装置の作製方法を、図4及び図5を用いて詳細に説明する。本実施の形態では、半導体装置の一例としてCMOS(相補型金属酸化物半導体:Complementary Metal Oxide Semiconductor)に関して説明する。
【0128】
作製基板である絶縁表面を有する基板200上に剥離層201を介して、トランジスタ210、211、絶縁膜212、絶縁膜213、絶縁層214が設けられ、半導体集積回路250が形成されている(図4(A)参照。)。
【0129】
トランジスタ210は薄膜トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域224a、224b、ソース領域又はドレイン領域224a、224bより低濃度不純物領域である不純物領域223a、223b、チャネル形成領域226、ゲート絶縁層227、ゲート電極層228、サイドウォール構造の絶縁層229a、229bを含む。ソース領域又はドレイン領域224a、224bはソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層230a、230bと接し、電気的に接続している。本実施の形態では、トランジスタ210はpチャネル型薄膜トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域224a、224b、LDD(LightlyDoped Drain)領域である不純物領域223a、223bにp型を付与する不純物元素(例えばボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等)を含む。
【0130】
トランジスタ211は薄膜トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域204a、204b、ソース領域又はドレイン領域204a、204bより低濃度不純物領域である不純物領域203a、203b、チャネル形成領域206、ゲート絶縁層207、ゲート電極層208、サイドウォール構造の絶縁層209a、209bを含む。ソース領域又はドレイン領域204a、204bはソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層210a、210bと接し、電気的に接続している。本実施の形態では、トランジスタ211はnチャネル型薄膜トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域204a、204b、LDD領域である不純物領域203a、203bにn型を付与する不純物元素(例えばリン(P)やヒ素(As)等)を含む。
【0131】
第1の耐衝撃層262として、繊維体280に有機樹脂281が含浸された構造体を用いる。半導体集積回路250と第1の耐衝撃層262を接着し、剥離層201を用いて半導体集積回路250を基板200より剥離する。よって半導体集積回路250は、第1の耐衝撃層262側に設けられる(図4(B)(C)参照。)。
【0132】
第2の耐衝撃層252も第1の耐衝撃層262と同様、繊維体270に有機樹脂271が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、導電層260が形成された衝撃拡散層253と第2の耐衝撃層252を接着する(図5(B)参照。)。導電層260は第2の耐衝撃層252との接着前に、衝撃拡散層253に形成する。衝撃拡散層253の第2の耐衝撃層252の反対面には接着層254を設ける。
【0133】
導電層260は半導体集積回路250を覆うように半導体集積回路250と重なる領域全面に設ける。導電層260は、半導体集積回路250の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層260は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路250の静電気破壊を防ぐことができる。
【0134】
半導体集積回路250の露出している剥離面に接着層254を接着する(図5(B)参照。)。さらに、第1の耐衝撃層262の半導体集積回路250と反対側に第1の衝撃拡散層263を接着層264を用いて接着し、第1の耐衝撃層262、第2の耐衝撃層252、第1の衝撃拡散層263、及び第2の衝撃拡散層253に挟持された半導体集積回路250を有する半導体装置を作製することができる(図5(C)参照。)。
【0135】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0136】
半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら強度を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0137】
本実施の形態で作製した半導体装置は、可撓性を有する耐衝撃層、及び衝撃拡散層を用いることで、可撓性を有する半導体装置とすることができる。
【0138】
トランジスタ210、211が有する半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質(アモルファス、以下「AS」ともいう。)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いは微結晶(セミアモルファス若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により成膜することができる。
【0139】
微結晶半導体膜は、ギブスの自由エネルギーを考慮すれば非晶質と単結晶の中間的な準安定状態に属するものである。すなわち、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する。柱状または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長している。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマンスペクトルが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側に、シフトしている。即ち、単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導体膜が得られる。
【0140】
この微結晶半導体膜は、周波数が数十MHz〜数百MHzの高周波プラズマCVD法、または周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCVD装置により形成することができる。代表的には、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などの水素化珪素を水素で希釈して形成することができる。また、水素化珪素及び水素に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して微結晶半導体膜を形成することができる。これらのときの水素化珪素に対して水素の流量比を5倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍以下、更に好ましくは100倍とする。
【0141】
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0142】
また、半導体の材料としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの単体のほかGaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどのような化合物半導体も用いることができる。また酸化物半導体である酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化マグネシウム亜鉛、酸化ガリウム、インジウム酸化物、及び上記酸化物半導体の複数より構成される酸化物半導体などを用いることができる。例えば、酸化亜鉛とインジウム酸化物と酸化ガリウムとから構成される酸化物半導体なども用いることができる。なお、酸化亜鉛を半導体層に用いる場合、ゲート絶縁層をY2O3、Al2O3、TiO2、それらの積層などを用いるとよく、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層としては、ITO、Au、Tiなどを用いるとよい。また、ZnOにInやGaなどを添加することもできる。
【0143】
半導体層に、結晶性半導体層を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると非晶質珪素膜が破壊されてしまうからである。
【0144】
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0145】
また、非晶質半導体層を結晶化し、結晶性半導体層を形成する結晶化工程で、非晶質半導体層に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長(促進)する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
【0146】
結晶化を助長する元素を結晶性半導体層から除去、又は軽減するため、結晶性半導体層に接して、不純物元素を含む半導体層を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体層に、希ガス元素を含む半導体層を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体層中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体層中に移動し、結晶性半導体層中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体層を除去する。
【0147】
非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0148】
また、結晶性半導体層を、直接基板にプラズマ法により形成しても良い。また、プラズマ法を用いて、結晶性半導体層を選択的に基板に形成してもよい。
【0149】
ゲート絶縁層207、227は酸化珪素、若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁層207、227は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。単結晶半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。例えば、亜酸化窒素(N2O)をArで1〜3倍(流量比)に希釈して、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して半導体層の表面を酸化若しくは窒化させる。この処理により1nm〜10nm(好ましくは2nm〜6nm)の絶縁膜を形成する。さらに亜酸化窒素(N2O)とシラン(SiH4)を導入し、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化シリコン膜を形成してゲート絶縁層を形成する。固相反応と気相成長法による反応を組み合わせることにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁層を形成することができる。
【0150】
また、ゲート絶縁層207、227として、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどの高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層207、227に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。
【0151】
ゲート電極層208、228は、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用いて形成することができる。ゲート電極層は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Baから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、単層構造でも複数層の構造でもよく、例えば、窒化タングステン膜とモリブデン膜との2層構造としてもよいし、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
【0152】
ゲート電極層208、228に可視光に対して透光性を有する透光性の材料を用いることもできる。透光性の導電材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0153】
ゲート電極層208、228を形成するのにエッチングにより加工が必要な場合、マスクを形成し、ドライエッチングまたはドライエッチングにより加工すればよい。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、電極層をテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
【0154】
絶縁層209a、209b、229a、229bは、ゲート電極層、半導体層を覆う絶縁層を形成した後、これをRIE(Reactive ion Etching:反応性イオンエッチング)法による異方性のエッチングによって加工し自己整合的にサイドウォール構造の絶縁層209a、209b、229a、229bを形成すればよい。ここで、絶縁層について特に限定はなく、TEOS(Tetra−Ethyl−Ortho−Silicate)若しくはシラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等とを反応させて形成した段差被覆性のよい酸化珪素であることが好ましい。絶縁層は熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD、スパッタリング等の方法によって形成することができる。
【0155】
本実施の形態では、シングルゲート構造を説明したが、ダブルゲート構造などのマルチゲート構造でもよい。この場合、半導体層の上方、下方にゲート電極層を設ける構造でも良く、半導体層の片側(上方又は下方)にのみ複数ゲート電極層を設ける構造でもよい。
【0156】
また、トランジスタのソース領域及びドレイン領域にシリサイドを設ける構造としてもよい。シリサイドは半導体層のソース領域及びドレイン領域上に導電膜を形成し、加熱処理、GRTA法、LRTA法等により、露出されたソース領域及びドレイン領域の半導体層中の珪素と導電膜とを反応させて形成する。レーザ照射やランプによる光照射によってシリサイドを形成しても良い。シリサイドを形成する導電膜の材料としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、Ha(ハフニウム)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ネオジム(Nb)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。
【0157】
ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層210a、210b、230a、230bは、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、印刷法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に配線層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層210a、210b、230a、230bの材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、Si、Ge等の半導体又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成すればよい。また透光性の材料も用いることができる。
【0158】
また、透光性の導電性材料であれば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。
【0159】
絶縁膜212、213、214は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料を用いることができる。
【0160】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0161】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び一対の衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0162】
本発明の半導体装置は、半導体素子としては電界効果トランジスタはもちろん、半導体層を用いる記憶素子なども適用することができ、多用途に渡って要求される機能を満たす半導体装置を作製し、提供することができる。
【0163】
(実施の形態5)
本実施の形態では、より高集積化、薄型化、及び小型化を付与することを目的とした半導体装置、及び半導体装置の作製方法においてメモリを有する半導体装置の一例に関して図6乃至図8を用いて説明する。
【0164】
本実施の形態の半導体装置はメモリにメモリセルアレイ及びメモリセルアレイを駆動する駆動回路部を有する。
【0165】
絶縁表面を有する作製基板である基板300の上に剥離層301を形成し、剥離層301上に下地膜として機能する絶縁膜302を形成する。
【0166】
次いで、絶縁膜302上に半導体膜を形成する。半導体膜は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。
【0167】
本実施の形態では、絶縁膜302上に、非晶質半導体膜を形成し、非晶質半導体膜をレーザ結晶化させることによって結晶性半導体膜である半導体膜を形成する。
【0168】
このようにして得られた半導体膜に対して、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを選択的に行う。この不純物元素のドーピングは、結晶化工程の前の非晶質半導体膜に行ってもよい。非晶質半導体膜の状態で不純物元素をドーピングすると、その後の結晶化のための加熱処理によって、不純物の活性化も行うことができる。また、ドーピングの際に生じる欠陥等も改善することができる。
【0169】
次に半導体膜を、マスクを用いて所望の形状に加工する。本実施の形態では半導体膜上に形成された酸化膜を除去した後、新たに酸化膜を形成する。そして、フォトマスクを作製し、フォトリソグラフィ法を用いた加工処理により、半導体層303、304、305、306を形成する。半導体層の端部には傾斜角(テーパー角)を設けてもよい。
【0170】
エッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウェットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスクを形成する必要はない。
【0171】
半導体層305上に絶縁膜310を形成する。絶縁膜310は酸化シリコン若しくは酸化シリコンと窒化シリコンの積層構造で形成すればよい。絶縁膜310は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁層を堆積することで形成しても良いが、好ましくはプラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層(代表的にはシリコン層)を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成した絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。絶縁膜310は、電荷蓄積層311に電荷を注入するためのトンネル絶縁層として用いるので、このように丈夫であるものが好ましい。この絶縁膜310は1nm〜20nm、好ましくは3nm〜6nmの厚さに形成することが好ましい。
【0172】
プラズマ処理により形成される好適な絶縁膜310の一例は、酸化雰囲気下のプラズマ処理により半導体層上に3nm〜6nmの厚さで酸化珪素層を形成し、その後窒素雰囲気下でその酸化珪素層の表面を窒化プラズマで処理した窒素プラズマ処理層を形成する。具体的には、まず、酸素雰囲気下でのプラズマ処理により半導体層上に3nm〜6nmの厚さで酸化珪素層を形成する。その後、続けて窒素雰囲気下でプラズマ処理を行うことにより酸化珪素層の表面又は表面近傍に窒素濃度の高い窒素プラズマ処理層を設ける。なお、表面近傍とは、酸化珪素層の表面から概略0.5nm〜1.5nmの深さをいう。例えば、窒素雰囲気下でプラズマ処理を行うことによって、酸化珪素層の表面からほぼ1nmの深さに窒素を20〜50原子%の割合で含有した構造となる。
【0173】
半導体層の代表例としての珪素層の表面をプラズマ処理で酸化することで、界面に歪みのない緻密な酸化層を形成することができる。また、当該酸化層をプラズマ処理で窒化することで、表層部の酸素を窒素に置換して窒化層を形成すると、さらに緻密化することができる。それにより絶縁耐圧が高い絶縁層を形成することができる。
【0174】
いずれにしても、上記のようなプラズマ処理による固相酸化処理若しくは固相窒化処理を用いることで、耐熱温度が700℃以下のガラス基板を用いても、950℃〜1050℃で形成される熱酸化膜と同等な絶縁層を得ることができる。すなわち、不揮発性メモリ素子のトンネル絶縁層として信頼性の高いトンネル絶縁層を形成することができる。
【0175】
電荷蓄積層311を絶縁膜310上に形成する。この電荷蓄積層311は、単層でもよいし、複数の層を積層して設けてもよい。
【0176】
電荷蓄積層311としては、半導体材料または導電性材料の層または粒子で形成し浮遊ゲートとすることができる。半導体材料としては、シリコン、シリコンゲルマニウム等がある。シリコンを用いる場合、アモルファスシリコンやポリシリコンを用いることができる。さらには、リンがドープされたポリシリコンを用いることができる。導電性材料としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)から選ばれた元素、前記元素を主成分とする合金、前記元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金膜、Mo−Ta合金膜)、あるいは導電性を付与した珪素膜で形成すれば良い。このような材料から成る導電層の下には窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデンなどの窒化物、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、モリブデンシリサイドなどのシリサイドを形成しておいても良い。更には、上記半導体材料同士、導電性材料同士、または半導体材料及び導電性材料の積層構造としてもよい。例えば、シリコン層及びゲルマニウム層の積層構造としてもよい。
【0177】
また、電荷蓄積層311として、絶縁性であり、電荷を保持するトラップを有する層で形成することもできる。このような材料の代表例として、代表的にはシリコン化合物、ゲルマニウム化合物がある。シリコン化合物としては、窒化珪素、酸窒化珪素、水素が添加された酸窒化珪素等がある。ゲルマニウム化合物としては、窒化ゲルマニウム、酸素が添加された窒化ゲルマニウム、窒素が添加された酸化ゲルマニウム、酸素及び水素が添加された窒化ゲルマニウム、窒素及び水素が添加された酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物等がある。
【0178】
次に半導体層303、304、306を覆うマスクを形成する。マスク、電荷蓄積層311をマスクとしてn型を付与する不純物元素を添加し、n型不純物領域362a、n型不純物領域362bを形成する。本実施の形態では、不純物元素としてn型を付与する不純物元素であるリン(P)を用いる。ここでは、n型不純物領域362a、n型不純物領域362bに、n型を付与する不純物元素が1×1017〜5×1018atoms/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。半導体層303、304、306を覆うマスクを除去する。
【0179】
半導体層306上の酸化膜を除去し、半導体層305、半導体層306、絶縁膜310、電荷蓄積層311を覆うゲート絶縁層309を形成する。メモリセルアレイにおいてはゲート絶縁層309の膜厚が厚いと、薄膜トランジスタ及びメモリ素子の高電圧に対する耐性が高くすることができ、信頼性を高めることができる。
【0180】
なお、半導体層305の上方に形成されたゲート絶縁層309は、後に完成するメモリ素子においてコントロール絶縁層として機能するが、半導体層306上に形成される薄膜トランジスタにおいてはゲート絶縁層として機能するために本明細書では、ゲート絶縁層309とよぶこととする。
【0181】
半導体層303、304上の酸化膜を除去し、半導体層303、半導体層304を覆うゲート絶縁層308を形成する(図6(A)参照。)。ゲート絶縁層308はプラズマCVD法またはスパッタ法などを用いて形成することができる。駆動回路部に設けられる薄膜トランジスタのゲート絶縁層308の膜厚は、1nm以上10nm以下、より好ましくは5nm程度とすればよい。ゲート絶縁層308の薄膜化すると、駆動回路部においてトランジスタを低電圧で高速に動作させる効果がある。
【0182】
ゲート絶縁層308は酸化珪素、若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁層308は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。
【0183】
また、ゲート絶縁層308として、高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層308に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。高誘電率材料としては、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどを用いることができる。また、プラズマ処理による固相酸化により酸化シリコン層を形成しても良い。
【0184】
また、薄い酸化珪素膜の形成方法としては、GRTA法、LRTA法等を用いて半導体領域表面を酸化し、熱酸化膜を形成することで、膜厚の薄い酸化珪素膜を形成することもできる。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流の少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。
【0185】
次いで、ゲート絶縁層308、309上にゲート電極層として用いる膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜及び第2の導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。第1の導電膜及び第2の導電膜はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、第1の導電膜として膜厚50nmのタングステン膜、第2の導電膜として膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、第3の導電膜として膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。本実施の形態では、第1の導電膜として窒化タンタルを膜厚30nm形成し、第2の導電膜としてタングステン(W)を膜厚370nm形成する。
【0186】
第1の導電膜と第2の導電膜をエッチング加工して、第1のゲート電極層312、313、314、第2のゲート電極層316、317、318、第1の制御ゲート電極層315、及び第2の制御ゲート電極層319を形成する(図6(B)参照。)。
【0187】
本実施の形態では第1のゲート電極層、第2のゲート電極層(第1の制御ゲート電極層、第2の制御ゲート電極層)を垂直な側面を有して形成する例を示すが、本発明はそれに限定されず、第1のゲート電極層及び第2のゲート電極層(第1の制御ゲート電極層、第2の制御ゲート電極層)両方がテーパー形状を有していてもよいし、どちらか一方のゲート電極層(第1の制御ゲート電極層、第2の制御ゲート電極層)の一層のみがテーパー形状を有し、他方は異方性エッチングによって垂直な側面を有していてもよい。テーパー角度も積層するゲート電極層間で異なっていても良いし、同一でもよい。テーパー形状を有することによって、その上に積層する膜の被覆性が向上し、欠陥が軽減されるので信頼性が向上する。
【0188】
ゲート電極層(及び制御ゲート電極層)を形成する際のエッチング工程によって、ゲート絶縁層308、309は多少エッチングされ、膜厚が減る(いわゆる膜減り)ことがある。
【0189】
次に、半導体層304、305、306を覆うマスク321、363を形成する。マスク321、363、第1のゲート電極層312、第2のゲート電極層316をマスクとしてp型を付与する不純物元素320を添加し、p型不純物領域322a、p型不純物領域322bを形成する。本実施の形態では、不純物元素としてボロン(B)を用いる。ここでは、p型不純物領域322a、p型不純物領域322bにp型を付与する不純物元素が1×1020〜5×1021atoms/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。また、半導体層303にチャネル形成領域323が形成される(図6(C)参照。)。
【0190】
p型不純物領域322a、p型不純物領域322bは高濃度p型不純物領域であり、ソース領域、ドレイン領域として機能する。
【0191】
次に半導体層303を覆うマスク325を形成する。マスク325、第1のゲート電極層313、第2のゲート電極層317、第1のゲート電極層314、第2のゲート電極層318、第1の制御ゲート電極層315、及び第2の制御ゲート電極層319をマスクとしてn型を付与する不純物元素324を添加し、n型不純物領域326a、326b、364a、364b、327a、327b、328a、328bを形成する。本実施の形態では、不純物元素としてリン(P)を用いる。ここでは、n型不純物領域326a、326b、327a、327b、328a、328bにn型を付与する不純物元素が5×1019〜5×1020atoms/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。また、半導体層304にチャネル形成領域329、半導体層305にチャネル形成領域330、及び半導体層306にチャネル形成領域331が形成される(図6(D)参照。)。
【0192】
n型不純物領域326a、326b、327a、327b、328a、328bは高濃度n型不純物領域であり、ソース領域、ドレイン領域として機能する。一方、n型不純物領域364a、n型不純物領域364bは低濃度不純物領域であり、LDD領域となる。
【0193】
マスク325をO2アッシングやレジスト剥離液により除去し、酸化膜も除去する。その後、ゲート電極層の側面を覆うように、絶縁膜、いわゆるサイドウォールを形成してもよい。サイドウォールは、プラズマCVD法や減圧CVD(LPCVD)法を用いて、珪素を有する絶縁膜により形成することができる。
【0194】
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層へのプラズマダメージやゲート絶縁層と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
【0195】
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、絶縁膜367と絶縁膜368との積層構造とする。絶縁膜367と絶縁膜368は、スパッタ法、またはプラズマCVDを用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または3層以上の積層構造として用いても良い。
【0196】
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁膜367に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410度(℃)で1時間加熱処理を行う。
【0197】
絶縁膜367、絶縁膜368としては他に窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。
【0198】
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁膜367、絶縁膜368、ゲート絶縁層308、309に半導体層に達するコンタクトホール(開口部)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。エッチングによって、絶縁膜368、絶縁膜367、ゲート絶縁層308、309を除去し、ソース領域又はドレイン領域であるp型不純物領域322a、322b、n型不純物領域326a、326b、327a、327b、328a、328bに達する開口部を形成する。エッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよく、両方用いてもよい。ウェットエッチングのエッチャントは、フッ素水素アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む混合溶液のようなフッ酸系の溶液を用いるとよい。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。
【0199】
開口部を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層である配線層369a、配線層369b、配線層370a、配線層370b、配線層371a、配線層371b、配線層372a、配線層372bを形成する。配線層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、及びSi、Ge、又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。本実施の形態では、チタン(Ti)を膜厚60nm形成し、窒化チタン膜を膜厚40nm形成し、アルミニウムを膜厚700nm形成し、チタン(Ti)を膜厚200nm形成して積層構造とし、所望な形状に加工する。
【0200】
以上の工程で駆動回路部として、p型不純物領域を有するpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ373、nチャネル型不純物領域を有するnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ374、メモリセルアレイとしてn型不純物領域を有するメモリ素子375、n型不純物領域を有するnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ376を有する半導体集積回路350を作製することができる(図6(E)参照。)。
【0201】
本実施の形態では半導体集積回路350上に絶縁層390を形成する(図7(A)参照。)。次に絶縁層390上にアンテナとして機能する導電層380し、導電層380上に保護層として無機絶縁層381を形成する(図7(B)参照。)。
【0202】
第1の耐衝撃層382として、繊維体386に有機樹脂387が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、半導体集積回路350、第1の耐衝撃層382、第1の衝撃拡散層391を接着し、剥離層301を用いて半導体集積回路350を基板300より剥離する。よって半導体集積回路350は、第1の耐衝撃層382側に設けられる(図7(C)参照。)。
【0203】
第2の耐衝撃層385も第1の耐衝撃層382と同様、繊維体386に有機樹脂387が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、第2の衝撃拡散層388と第2の耐衝撃層385を接着する(図8(A)参照。)。第2の衝撃拡散層388の第2の耐衝撃層385の反対面には接着層389を設ける。
【0204】
半導体集積回路350の露出している剥離面に接着層389を接着し、半導体集積回路350を、第1の衝撃拡散層391及び第1の耐衝撃層382と、第2の衝撃拡散層388及び第2の耐衝撃層385に挟持する。さらに第2の耐衝撃層385の外側(第2の衝撃拡散層388と反対側)に導電層395を形成する(図8(B)参照。)。
【0205】
導電層395は半導体集積回路350を覆うように半導体集積回路350と重なる領域全面に設ける。導電層395は、半導体集積回路350の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナとして機能する導電層380と半導体集積回路350に対して反対側に設ける。導電層395は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路350の静電気破壊を防ぐことができる。
【0206】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0207】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び一対の衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、作製工程においても形状や特性の不良を防ぎ、歩留まり良く半導体装置を作製することができる。
【0208】
(実施の形態6)
本実施の形態では、より信頼性の高い半導体装置、及び歩留まりよい半導体装置の作製方法の一態様を、図25乃至図27を用いて詳細に説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0209】
本実施の形態における半導体装置において、半導体集積回路は作製時の基板より剥離され、可撓性を有する耐衝撃層、又は衝撃拡散層に挟持される。なお、本明細書では半導体集積回路が作製される基板を作製基板ともいう。従って、半導体集積回路は作製基板に剥離層を介して形成される。
【0210】
図25(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図25(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に挟持されており、半導体集積回路100と第2の耐衝撃層102の間に衝撃拡散層103が、第2の耐衝撃層102の外側(衝撃拡散層103と反対側)に導電層140が設けられている。
【0211】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。なお、導電層140は半導体集積回路100とは電気的に接続しない。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0212】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、図32(A)(B)に示すように、第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。図32(A)(B)の構成において、アンテナを形成する場合、アンテナを形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナと反対側の半導体集積回路100より衝撃拡散層103、第2の耐衝撃層102側に設けることが好ましい。
【0213】
導電層140としては、導電性を有しておれば良い。導電層140は、薄膜におけるシート抵抗が1.0×102Ω/□以上1.0×107Ω/□以下(より好ましくは1.0×102Ω/□以上1.0×104Ω/□以下)が好ましい。
【0214】
このような導電層140は、アンテナが送受信すべき電波を透過する膜厚、材料で形成する。よって、静電気破壊に耐性を有する信頼性の高い送受信可能な半導体装置を提供することができる。
【0215】
導電層140として、金属、金属窒化物、金属酸化物などの膜、及びそれらの積層を用いることができる。
【0216】
導電層140は、例えば、チタン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉄、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、バリウムから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料で形成すればよい。
【0217】
窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどを用いることができる。
【0218】
酸化物材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。
【0219】
また、半導体に不純物元素などを添加して導電性を付与した半導体膜などを用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜などを用いることができる。
【0220】
さらに、導電層140として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を用いてもよい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0221】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0222】
導電性高分子を含む導電層140には、有機樹脂やドーパント(ハロゲン類、ルイス酸、無機酸、有機酸、遷移金属ハロゲン化物、有機シアノ化合物、非イオン性界面活性剤等)を含ませてもよい。
【0223】
導電層140は、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法などの各種乾式法、塗布法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)などの各種湿式法により形成することができ、膜厚は5nm以上200nm以下が好ましい。
【0224】
また、導電層140上の保護層を積層してもよい。例えば、導電層140としてチタン膜(膜厚10nm以上50nm以下程度)を形成し、チタン膜上に保護層として酸化チタン膜を積層するとよい。保護層により半導体装置の表面に導電層140を設ける場合でも保護層が最表面となり、導電層の劣化を防ぐことができる。保護層は膜厚10nm以上200nm以下程度とすればよい。
【0225】
第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102は繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いており、第1の耐衝撃層112は繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体、第2の耐衝撃層102は繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体である。
【0226】
繊維体160が繊維糸束を経糸及び緯糸として製織した織布の上面図を図25(C)に示す。
【0227】
図25(C)に示すように、繊維体160は、一定間隔をあけた経糸と、一定間隔をあけた緯糸とで織られている。
【0228】
なお、本実施の形態の図面においては、繊維体160は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。
【0229】
本実施の形態では、衝撃拡散層としてアラミド樹脂フィルム(弾性率10GPa、破断強度480MPa)を用いる。
【0230】
図25(B)は半導体集積回路100と衝撃拡散層103とを接着層104を用いて固着する例である。本実施の形態では、衝撃拡散層103としてアラミドフィルムを用い、接着層104としてアクリル樹脂を用いる。
【0231】
また、半導体集積回路上に保護層を形成してもよい。図26(A)(B)に半導体集積回路100上に保護層として無機絶縁層105を形成する例を示す。また、図26(A)(B)は半導体集積回路100上にアンテナ101を形成し、アンテナ101上に無機絶縁層105が形成されている例である。無機絶縁層105でアンテナ101を覆うことで、アンテナとして機能する導電層の酸化などを防ぐことができる。
【0232】
導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナ101を設ける場合は、半導体集積回路100のアンテナ101を設けない側(図26(A)においては第2の耐衝撃層102側)に形成される。また図33(A)(B)のように衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102の間に導電層140を設けてもよい。
【0233】
アンテナ101を形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、半導体集積回路100を介してアンテナ101と反対側に導電層140を設けると、導電層140により静電気破壊による不良を軽減することができる。
【0234】
本発明の半導体装置の作製方法の一態様を図27(A)乃至(E)を用いて説明する。作製基板である絶縁表面を有する基板110上に剥離層111を介して半導体集積回路100を形成する(図27(A)参照。)。
【0235】
半導体集積回路100と第1の耐衝撃層112を接着し、剥離層111を用いて半導体集積回路100を基板110より剥離する。よって半導体集積回路100は、第1の耐衝撃層112側に設けられる(図27(B)参照。)。
【0236】
本実施の形態では、第1の耐衝撃層112として繊維体160に有機樹脂161が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂は加熱及び圧着により、半導体集積回路に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0237】
第2の耐衝撃層102も第1の耐衝撃層112と同様、繊維体150に有機樹脂151が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を接着する(図27(C)参照。)。衝撃拡散層103の第2の耐衝撃層102の反対面には接着層104を設ける。
【0238】
半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着する(図27(D)参照。)。
【0239】
次に第2の耐衝撃層102の表面に導電層140を形成する(図27(E)参照。)。本実施の形態では、導電層140は、スパッタリング法により膜厚10nmのチタン膜を形成する。
【0240】
導電層140は、半導体集積回路100に接着した第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に形成してもよいし、半導体集積回路100に接着前に衝撃拡散層103に形成してもよい。導電層140を半導体集積回路100に接着前に衝撃拡散層103に形成し、衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102との間に導電層140を有する構成とすると、導電層140表面が露出しないために、酸化、摩耗、ひび割れなどの導電層140の劣化を防止する効果がある。
【0241】
図31(A)乃至(D)に衝撃拡散層103に導電層140を形成する例を示す。図31(A)(B)は図27(A)(B)に対応しており、基板110より剥離層111を用いて、第1の耐衝撃層112に接着して半導体集積回路100を剥離する。次に、予め導電層140が形成された衝撃拡散層103と第2の耐衝撃層102を加熱、加圧処理により接着する(図31(C)参照。)。図31(C)において衝撃拡散層103の第2の耐衝撃層102と接着する面に導電層140を設け、他方の面は接着層104を設ける。
【0242】
半導体集積回路100の露出している剥離面に接着層104を接着する(図31(D)参照。)。
【0243】
以上の工程で、第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に挟持された半導体集積回路100及び衝撃拡散層103と導電層140とを有する半導体装置を作製することができる。
【0244】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0245】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0246】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置の他の例を図34(A)(B)を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0247】
図34(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図34(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102に挟持されており、第2の耐衝撃層102の外側に導電層140が設けられている。
【0248】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。
【0249】
しかし図34(B)に示すように、アンテナ101を形成する場合、アンテナ101を形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナ101と反対側の半導体集積回路100より第2の耐衝撃層102側に設けることが好ましい。
【0250】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0251】
また、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0252】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する耐衝撃層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0253】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明を用いた高い信頼性を付与することを目的とする半導体装置の他の例を図35(A)(B)を用いて説明する。以下に説明する本実施の形態の構成において、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0254】
図35(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図35(A)において、半導体集積回路100は第1の耐衝撃層112及び衝撃拡散層103に挟持されており、衝撃拡散層103の外側に導電層140が設けられている。
【0255】
導電層140は、半導体集積回路100においてどちらか一方の面に覆うように設ける構成であればよいので、第1の耐衝撃層112の外側(半導体集積回路100と反対側)に設けることもできる。
【0256】
しかし図35(B)に示すように、アンテナ101を形成する場合、アンテナ101を形成する面と反対側の面が静電気放電(ESD)に対する耐性が弱いため、導電層140は、アンテナ101と反対側の半導体集積回路100より衝撃拡散層103側に設けることが好ましい。
【0257】
導電層140は半導体集積回路100を覆うように半導体集積回路100と重なる領域全面に設ける。導電層140は、半導体集積回路100の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層140は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路100の静電気破壊を防ぐことができる。
【0258】
また、半導体装置に外部から与えられる力(外部ストレスともいう)に対する第1の耐衝撃層112及び第2の耐衝撃層102、又、さらにその力を拡散する衝撃拡散層103を設けることによって、局所的にかかる力を軽減することができるため、半導体装置の破損や特性不良などを防止することが可能となる。
【0259】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する耐衝撃層及び衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0260】
(実施の形態9)
本実施の形態では、より信頼性の高い半導体装置、及び歩留まりよい半導体装置の作製方法を、図4及び図28を用いて詳細に説明する。本実施の形態では、半導体装置の一例としてCMOSに関して説明する。
【0261】
図28(A)は実施の形態4における図4(C)の次の工程である。よって実施の形態4と同様に作製すればよく、図4(A)乃至図4(C)までの工程の詳細な説明は省略する。
【0262】
第1の耐衝撃層262として、繊維体280に有機樹脂281が含浸された構造体を用いる。半導体集積回路250と第1の耐衝撃層262を接着し、剥離層201を用いて半導体集積回路250を基板200より剥離する。よって半導体集積回路250は、第1の耐衝撃層262側に設けられる。
【0263】
第2の耐衝撃層252も第1の耐衝撃層262と同様、繊維体270に有機樹脂271が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、導電層260が形成された衝撃拡散層253と第2の耐衝撃層252を接着する(図28(A)参照。)。導電層260は第2の耐衝撃層252との接着前に、衝撃拡散層253に形成する。衝撃拡散層253の第2の耐衝撃層252の反対側には接着層254を設ける。
【0264】
導電層260は半導体集積回路250を覆うように半導体集積回路250と重なる領域全面に設ける。導電層260は、半導体集積回路250の一方の面を覆う(重なる)ように形成される。導電層260は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路250の静電気破壊を防ぐことができる。
【0265】
半導体集積回路250の露出している剥離面に接着層254を接着し、第1の耐衝撃層262及び第2の耐衝撃層252に挟持された半導体集積回路250及び衝撃拡散層253を有する半導体装置を作製することができる(図28(B)参照。)。
【0266】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0267】
半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら強度を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0268】
本実施の形態で作製した半導体装置は、可撓性を有する耐衝撃層、及び衝撃拡散層を用いることで、可撓性を有する半導体装置とすることができる。
【0269】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0270】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0271】
(実施の形態10)
本実施の形態では、より高集積化、薄型化、及び小型化を付与することを目的とした半導体装置、及び半導体装置の作製方法においてメモリを有する半導体装置の一例に関して図6、図29及び図30を用いて説明する。
【0272】
本実施の形態の半導体装置はメモリにメモリセルアレイ及びメモリセルアレイを駆動する駆動回路部を有する。
【0273】
図29(A)は実施の形態5における図6(E)の次の工程である。よって実施の形態5と同様に作製すればよく、図6(A)乃至図6(E)までの工程の詳細な説明は省略する。
【0274】
本実施の形態では半導体集積回路350上に絶縁層390を形成する(図29(A)参照。)。次に絶縁層390上にアンテナとして機能する導電層380を形成し、導電層380上に保護層として無機絶縁層381を形成する(図29(B)参照。)。
【0275】
第1の耐衝撃層382として、繊維体383に有機樹脂384が含浸された構造体を用いる。半導体集積回路350と第1の耐衝撃層382を接着し、剥離層301を用いて半導体集積回路350を基板300より剥離する。よって半導体集積回路350は、第1の耐衝撃層382側に設けられる(図29(C)参照。)。
【0276】
第2の耐衝撃層385も第1の耐衝撃層382と同様、繊維体386に有機樹脂387が含浸された構造体を用いる。構造体を加熱し圧着して、衝撃拡散層388と第2の耐衝撃層385を接着する(図30(A)参照。)。衝撃拡散層388の第2の耐衝撃層385の反対面には接着層389を設ける。
【0277】
半導体集積回路350の露出している剥離面に接着層389を接着し、第1の耐衝撃層382及び第2の耐衝撃層385で半導体集積回路350及び衝撃拡散層388を挟持する。さらに第2の耐衝撃層385の外側(衝撃拡散層388と反対側)に導電層395を形成する(図30(B)参照。)。
【0278】
導電層395は半導体集積回路350を覆うように半導体集積回路350と重なる領域全面に設ける。導電層395は、半導体集積回路350の一方の面を覆う(重なる)ように形成され、アンテナとして機能する導電層380と半導体集積回路350に対して反対側に設ける。導電層395は静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がす、または電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、半導体集積回路350の静電気破壊を防ぐことができる。
【0279】
以上の工程で本実施の形態のメモリを有する半導体装置を作製することができる。
【0280】
半導体集積回路に接して衝撃拡散層を設けるため、作製工程において、加圧処理を行っても半導体集積回路に破損や特性不良などの悪影響を与えない。よって歩留まりよく半導体装置を作製することができる。
【0281】
半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止する。また半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0282】
(実施の形態11)
本発明の半導体装置において、半導体集積回路に含まれる半導体素子として様々な形態の電界効果トランジスタを用いることができる。本実施の形態では、本発明に適用することができる半導体素子として、単結晶半導体層を有する電界効果トランジスタについて詳細に説明する。
【0283】
以下、絶縁表面を有する基板である作製基板上に、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を設け、半導体集積回路部に含まれる半導体素子を形成する方法を図14及び図15を用いて説明する。
【0284】
図14(A)に示す単結晶半導体基板1108は清浄化されており、その表面から電界で加速されたイオンを所定の深さに照射し、脆弱化層1110を形成する。イオンの照射は作製基板に転置する単結晶半導体層の厚さを考慮して行われる。イオンを照射する際の加速電圧はこのような厚さを考慮して、単結晶半導体基板1108に照射されるようにする。本発明では、単結晶半導体基板へイオンを照射し、イオンにより微小な空洞を有するように脆弱化された領域を脆弱化層という。
【0285】
単結晶半導体基板1108には、市販の単結晶半導体基板を用いることができ、例えば、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第14族元素でなる単結晶半導体基板を用いることができる。また、ガリウムヒ素やインジウムリン等の化合物半導体基板も用いることができる。半導体基板として多結晶半導体基板を用いてもよい。もちろん、単結晶半導体基板は、円形のウエハに限定されるものではなく、様々な形状の単結晶半導体基板を用いることができる。例えば、長方形、五角形、六角形などの多角形の基板を用いることができる。もちろん、市販の円形状の単結晶半導体ウエハを単結晶半導体基板に用いることも可能である。円形状の単結晶半導体ウエハには、シリコンやゲルマニウムなどの半導体ウエハ、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体ウエハなどがある。単結晶半導体ウエハの代表例は、単結晶シリコンウエハであり、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)サイズ、直径400mm、直径450mmの円形のウエハを用いることができる。また、長方形の単結晶半導体基板は、市販の円形状の単結晶半導体ウエハを切断することで形成することができる。基板の切断には、ダイサー或いはワイヤソー等の切断装置、レーザ切断、プラズマ切断、電子ビーム切断、その他任意の切断手段を用いることができる。また、基板として薄片化する前の半導体基板製造用のインゴットを、その断面が長方形になるように直方体状に加工し、この直方体状のインゴットを薄片化することでも、長方形状の単結晶半導体基板を製造することができる。また、単結晶半導体基板の厚さは特に限定されないが、単結晶半導体基板を再利用することを考慮すれば、厚い方が1枚の原料ウエハからより多くの単結晶半導体層を形成することができるため、好ましい。市場に流通している単結晶シリコンウエハの厚さは、そのサイズはSEMI規格に準じており、例えば直径6インチのウエハは膜厚625μm、直径8インチのウエハは膜厚725μm、直径12インチのウエハは775μmとされている。なお、SEMI規格のウエハの厚さは公差±25μmを含んでいる。もちろん、原料となる単結晶半導体基板の厚さはSEMI規格に限定されず、インゴットをスライスするときに、その厚さを適宜調節することができる。もちろん、再利用された単結晶半導体基板1108を用いるときには、その厚さは、SEMI規格よりも薄くなる。作製基板上に得られる単結晶半導体層は母体となる半導体基板を選択することによって決定することができる。
【0286】
また、単結晶半導体基板1108は、作製する半導体素子(本実施の形態においては電界効果トランジスタ)によって、結晶面方位を選択すればよい。例えば、結晶面方位として{100}面、{110}面などを有する単結晶半導体基板を用いることができる。
【0287】
本実施の形態は、単結晶半導体基板の所定の深さに水素、ヘリウム、又はフッ素をイオン照射して添加し、その後熱処理を行って表層の単結晶半導体層を剥離するイオン照射剥離法で形成するが、ポーラスシリコン上に単結晶シリコンをエピタキシャル成長させた後、ポーラスシリコン層をウオータージェットで劈開して剥離する方法を適用しても良い。
【0288】
単結晶半導体基板1108として単結晶シリコン基板を用い、希フッ酸で表面を処理し、自然酸化膜の除去と表面に付着するゴミ等の汚染物も除去して単結晶半導体基板1108表面を清浄化する。
【0289】
脆弱化層1110は、イオンをイオンドーピング法(ID法と略記する)やイオン注入法(II法と略記する)によって照射すればよい。脆弱化層1110は水素、ヘリウム若しくはフッ素に代表されるハロゲンのイオンを照射することで形成される。ハロゲン元素としてフッ素イオンを照射する場合にはソースガスとしてBF3を用いれば良い。なお、イオン注入とはイオン化したガスを質量分離して半導体基板に照射する方式をいう。
【0290】
例えば、イオン注入法を用いて、イオン化した水素ガスを質量分離し、H+のみ、(又はH2+のみ)を選択的に加速して単結晶半導体基板に照射することができる。
【0291】
イオンドープ法は、イオン化したガスを質量分離せずに、プラズマ中で複数種のイオン種を作り、それらを加速して単結晶半導体基板に照射する。例えば、H+、H2+、H3+イオンを含む水素では、照射されるイオンは、代表的にH3+イオンが50%以上、例えばH3+イオンが80%、他のイオン(H+、H2+イオン)が20%、が一般的である。H3+イオンのイオン種のみとして照射することもここではイオンドープとする。
【0292】
また、一又は複数の同一の原子から成る質量の異なるイオンを照射してもよい。例えば、水素イオンを照射する場合には、H+、H2+、H3+イオンを含ませると共に、H3+イオンの割合を高めておくことが好ましい。水素イオンを照射する場合には、H+、H2+、H3+イオンを含ませると共に、H3+イオンの割合を高めておくと照射効率を高めることができ、照射時間を短縮することができる。このような構成とすることで、剥離を容易に行うことができる。
【0293】
以下、イオンドーピング法とイオン注入法について詳細に説明する。イオンドーピング法に用いるイオンドーピング装置(ID装置ともいう)では、プラズマ空間が大きく、大量のイオンを単結晶半導体基板に照射することができる。一方、イオン注入法に用いるイオン注入装置(II装置ともいう)は、プラズマから取り出したイオンを質量分析して特定のイオン種だけを半導体基板に打ち込めるという特徴があり、基本的に点ビ−ムをスキャンさせて処理する。
【0294】
プラズマ発生方法としては、どちらの装置も、例えば、フィラメントを熱して出てくる熱電子によりプラズマ状態を作っている。しかし、生成される水素イオン(H+、H2+、H3+)が半導体基板に照射される際の水素イオン種の割合は、イオンドーピング法とイオン注入法で大きく異なる。
【0295】
H3+をより多く照射するという観点からすれば、イオン注入装置よりイオンドーピング装置を用いる方が好ましいといえる。
【0296】
単結晶シリコン基板に水素イオンやフッ素イオンのようなハロゲンイオンを照射した場合、添加された水素やフッ素が、シリコン結晶格子内のシリコン原子をノックアウトする(追い出す)ことによって空白部分を効果的に作り出し、脆弱化層に微小な空洞を作る。この場合、比較的低温の熱処理によって脆弱化層に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、脆弱化層に沿って分離することにより薄い単結晶半導体層を形成することができる。フッ素イオンを照射した後に、水素イオンを照射して空洞内に水素を含ませるようにしても良い。単結晶半導体基板から薄い単結晶半導体層を分離するために形成する脆弱化層は、脆弱化層に形成された微小な空洞の体積変化を利用して分離をするので、このようにフッ素イオンや水素イオンの作用を有効利用することが好ましい。
【0297】
また、単結晶半導体基板と上記単結晶半導体層と接合する絶縁層との間に、保護層を形成してもよい。保護層は、窒化シリコン層、酸化シリコン層、窒化酸化シリコン層、又は酸化窒化シリコン層から選ばれた一層又は複数の層による積層構造により形成することができる。これらの層は、単結晶半導体基板に脆弱化層が形成される前に単結晶半導体基板上に形成することができる。また、単結晶半導体基板に脆弱化層を形成した後に単結晶半導体基板上に形成してもよい。
【0298】
なお、酸化窒化シリコン層とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、Siが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン層とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、Siが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、Si及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0299】
脆弱化層の形成に当たってはイオンを高ドーズ条件で照射する必要があり、単結晶半導体基板1108の表面が粗くなってしまう場合がある。そのためイオンが照射される表面に窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、若しくは酸化シリコン膜などによりイオン照射に対する保護層を50nm乃至200nmの厚さで設けておいても良い。
【0300】
例えば、単結晶半導体基板1108上に保護層としてプラズマCVD法により酸化窒化シリコン膜(膜厚5nm〜300nm、望ましくは30nm〜150nm(例えば50nm))と窒化酸化シリコン膜(膜厚5nm〜150nm、望ましくは10nm〜100nm(例えば50nm))の積層を形成する。一例としては、単結晶半導体基板1108上に酸化窒化シリコン膜を膜厚50nm形成し、該酸化窒化シリコン膜上に窒化酸化シリコン膜を膜厚50nm形成し、積層する。酸化窒化シリコン膜は有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜でもよい。
【0301】
また、単結晶半導体基板1108を脱脂洗浄し、表面の酸化膜を除去して熱酸化を行ってもよい。熱酸化としては通常のドライ酸化でも良いが、酸化雰囲気中にハロゲンを添加した酸化を行うことが好ましい。例えば、酸素に対しHClを0.5〜10体積%(好ましくは3体積%)の割合で含む雰囲気中で、700℃以上の温度で熱処理を行う。好適には950℃〜1100℃の温度で熱酸化を行うと良い。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜3.5時間とすれば良い。形成される酸化膜の膜厚としては、10nm〜1000nm(好ましくは50nm〜200nm)、例えば100nmの厚さとする。
【0302】
ハロゲンを含むものとしてはHClの他に、HF、NF3、HBr、Cl2、ClF3、BCl3、F2、Br2、ジクロロエチレンなどから選ばれた一種又は複数種を適用することができる。
【0303】
このような温度範囲で熱処理を行うことで、ハロゲン元素によるゲッタリング効果を得ることができる。ゲッタリングとしては、特に金属不純物を除去する効果がある。すなわち、塩素の作用により、金属などの不純物が揮発性の塩化物となって気相中へ離脱して除去される。単結晶半導体基板1108の表面を化学的機械研磨(CMP)処理をしたものに対しては有効である。また、水素は単結晶半導体基板1108と形成される絶縁層との界面の欠陥を補償して界面の局在準位密度を低減する作用を奏し、単結晶半導体基板1108と絶縁層との界面が不活性化されて電気的特性が安定化する。
【0304】
この熱処理により形成される酸化膜中にハロゲンを含ませることができる。ハロゲン元素は1×1017atoms/cm3〜5×1020atoms/cm3の濃度で含まれることにより金属などの不純物を捕獲して単結晶半導体基板1108の汚染を防止する保護層としての機能を発現させることができる。
【0305】
脆弱化層1110を形成する際、加速電圧と全イオン数は、単結晶半導体基板上に堆積した膜の厚さと、目的とする単結晶半導体基板より分離して作製基板上に転置される単結晶半導体層の膜厚と、照射するイオン種によって調整することができる。
【0306】
例えば、イオンドーピング法で原料として水素ガスを用い、加速電圧を40kV、全イオン数2×1016ions/cm2でイオンを照射して脆弱化層を形成することができる。保護層の膜厚を厚くすれば、同一条件でイオンを照射し脆弱化層を形成した場合、目的とする単結晶半導体基板より分離して作製基板上に転置(転載)される単結晶半導体層として、膜厚の薄い単結晶半導体層を形成することができる。例えば、イオン種(H+、H2+、H3+イオン)の割合にもよるが、上記条件で脆弱化層を形成するとし、保護層として単結晶半導体基板上に酸化窒化シリコン膜(膜厚50nm)と窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層する場合、作製基板に転置される単結晶半導体層の膜厚は約120nmとなり、単結晶半導体基板上に酸化窒化シリコン膜(膜厚100nm)と窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層する場合は、作製基板に転置される単結晶半導体層の膜厚は約70nmとなる。
【0307】
ヘリウム(He)や水素を原料ガスにする場合、加速電圧を10kV〜200kVの範囲で、ドーズ量を1×1016ions/cm2〜6×1016ions/cm2の範囲で照射し脆弱化層を形成することができる。ヘリウムを原料ガスにすると、質量分離を行わなくてもHe+イオンを主なイオンとして照射することができる。また、水素を原料ガスとするとH3+イオンやH2+イオンを主なイオンとして照射することができる。イオン種は、プラズマの生成方法、圧力、原料ガス供給量、加速電圧によっても変化する。
【0308】
脆弱化層形成の例としては、単結晶半導体基板上に酸化窒化シリコン膜(膜厚50nm)、窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)、及び酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層し、水素を加速電圧40kV、ドーズ量2×1016ions/cm2で照射し単結晶半導体基板に脆弱化層を形成する。その後保護層の最上層である該酸化シリコン膜上に接合面を有する絶縁層として酸化シリコン膜(膜厚50nm)を形成する。脆弱化層形成の他の例としては、単結晶半導体基板上に酸化シリコン膜(膜厚100nm)、及び窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層し、水素を加速電圧40kV、ドーズ量2×1016ions/cm2で照射し単結晶半導体基板に脆弱化層を形成する。その後保護層の最上層である該窒化酸化シリコン膜上に接合面を有する絶縁層として酸化シリコン膜(膜厚50nm)を形成する。なお、上記酸化窒化シリコン膜及び窒化酸化シリコン膜はプラズマCVD法により形成すればよく、上記酸化シリコン膜は有機シランガスを用いてCVD法により形成すればよい。
【0309】
また、作製基板と単結晶半導体基板との間に絶縁層を形成してもよい。絶縁層は作製基板側、あるいは単結晶半導体基板側どちらか一方でもよいし、両方に形成してもよい。接合を形成する面に形成する絶縁層は平滑面を有し親水性表面を形成する。該絶縁層としては、酸化シリコン膜を用いることができる。酸化シリコン膜としては有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜が好ましい。その他に、シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜を適用することもできる。
【0310】
有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、トリメチルシラン(TMS:(CH3)3SiH)、テトラメチルシラン(化学式Si(CH3)4)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH3)2)3)等のシリコン含有化合物を用いることができる。なお、原料ガスに有機シランを用いて化学気相成長法により酸化シリコン層を形成する場合、酸素を付与するガスを混合させることが好ましい。酸素を付与するガスとしては、酸素、亜酸化窒素、二酸化窒素等を用いることができる。さらに、アルゴン、ヘリウム、窒素又は水素等の不活性ガスを混合させてもよい。
【0311】
また、接合を形成する面に形成する絶縁層として、モノシラン、ジシラン、又はトリシラン等のシランを原料ガスに用いて化学気相成長法により形成される酸化シリコン膜を適用することもできる。この場合も、酸素を付与するガスや不活性ガス等を混合させることが好ましい。また、単結晶半導体層と接合する絶縁層となる酸化シリコン膜は、塩素を含んでいてもよい。なお、本明細書において、化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition)法は、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法を範疇に含む。
【0312】
その他、接合を形成する面に形成する絶縁層として、酸化性雰囲気下において熱処理することにより形成される酸化シリコン、酸素ラジカルの反応により成長する酸化シリコン、酸化性の薬液により形成されるケミカルオキサイドなどを適用することもできる。絶縁層として、シロキサン(Si−O−Si)結合を含む絶縁層を適用してもよい。また、前記有機シランガスと、酸素ラジカル又は窒素ラジカルとを反応させて絶縁層を形成してもよい。
【0313】
その他、接合を形成する面に形成する絶縁層として、酸化アルミニウムを主成分とする酸化膜を用いてもよい。酸化アルミニウムを主成分とする酸化膜とは、当該酸化膜に含まれる成分の合計を100重量%とするときに、酸化アルミニウムを10重量%以上含む酸化膜をいう。他にも、絶縁層としては、酸化アルミニウムを主成分とし、酸化マグネシウムと酸化ストロンチウムの一方又は両方が含まれる膜を適用することができる。また、窒素を含む酸化アルミニウムを用いてもよい。
【0314】
絶縁層は、スパッタリング法により形成することができる。スパッタリング法に用いるターゲットとしては、例えば、アルミニウムを含む金属又は酸化アルミニウム等の金属酸化物を用いることができる。なお、ターゲットの材料は、形成する膜に応じて適宜選択すればよい。
【0315】
ターゲットとして金属を用いる場合には、反応ガス(例えば、酸素)を導入しながらスパッタすること(反応性スパッタリング法)により、絶縁層を形成する。金属としては、アルミニウムの他に、マグネシウム(Mg)、アルミニウムとマグネシウムを含む合金、アルミニウムとストロンチウム(Sr)を含む合金、アルミニウムとマグネシウムとストロンチウムを含む合金を用いることができる。この場合、スパッタリングは直流(DC)電源又は高周波(RF)電源を用いて行えばよい。
【0316】
ターゲットとして金属酸化物を用いる場合には、高周波(RF)電源を用いてスパッタすること(RFスパッタリング法)により、絶縁層を形成する。金属酸化物としては、酸化アルミニウムの他に、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、アルミニウムとマグネシウムを含有する酸化物、アルミニウムとストロンチウムを含有する酸化物、アルミニウムとマグネシウムとストロンチウムを含有する酸化物を用いることができる。
【0317】
他にも、バイアススパッタリング法を用いて、絶縁層を形成してもよい。バイアススパッタリング法を用いると、膜の堆積と表面の平坦化を両方行うことができる。
【0318】
アルミニウムを主成分とする酸化膜は作製基板に含まれる可動イオンや水分等の不純物が、後に作製基板上に形成される単結晶半導体膜に拡散することを防ぐことができる。
【0319】
絶縁層において、接合を形成する面の表面は、算術平均粗さRaが0.8nm未満、二乗平均平方根粗さRmsが0.9nm未満が望ましく、Raが0.4nm以下、Rmsが0.5nm以下がより望ましく、さらにはRaが0.3nm以下、Rmsが0.4nm以下がより望ましい。例えば、Raが0.27nm、Rmsが0.34nmである。本明細書においてRaは算術平均粗さであり、Rmsは二乗平均平方根粗さであり、測定範囲は2μm2、又は10μm2である。
【0320】
作製基板と単結晶半導体基板とを接合するに際し、接合を形成する面の一方若しくは双方に、好ましくは有機シランを原材料として成膜した酸化シリコン膜でなる絶縁層を設けると強固な接合を形成することができる。
【0321】
本実施の形態では、図14(B)で示すように作製基板と接合を形成する面に絶縁層1104として酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜としては有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜が好ましい。その他に、シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜を適用することもできる。化学気相成長法による成膜では、単結晶半導体基板に形成した脆弱化層1110から脱ガスが起こらない温度として、例えば350℃以下(具体的な例としては300℃)の成膜温度が適用される。また、単結晶半導体基板から単結晶半導体層を剥離する熱処理は、成膜温度よりも高い熱処理温度が適用される。
【0322】
本実施の形態では、作製基板上で半導体集積回路を形成後、半導体集積回路を作製基板より剥離するため、作製基板と半導体集積回路との間に剥離層を設ける。よって単結晶半導体基板より分離して接合される単結晶半導体層は、作製基板上に設けられた剥離層(及び無機絶縁膜)上に形成される。剥離層表面に凹凸を有すると、単結晶半導体基板と作製基板との接合工程において、接合面の接触面積が小さくなり、十分な接合強度を確保することが困難である。そのため、剥離層を平坦化する工程が必要である。
【0323】
剥離層は、作製基板と単結晶半導体層との間に設ければよく、作製基板側に形成しても、単結晶半導体基板側に形成してもよい。作製基板側、単結晶半導体基板側のいずれかに形成された剥離層に平坦化処理を行う。
【0324】
絶縁層も、作製基板側又は単結晶半導体基板側に形成してもよいし、もしくは剥離層側に形成してもよく、両方に形成してもよい。また、作製基板又は単結晶半導体基板と、剥離層とを直接接合できる場合は、絶縁層を設けなくてもよい。
【0325】
本実施の形態では、作製基板1101側に剥離層1125を形成し、剥離層1125上にブロッキング層1109を形成する例を示す。
【0326】
平坦化処理としては、研磨処理やエッチング処理を行えばよく、勿論、研磨処理及びエッチング処理を両方行ってもよい。研磨処理としては、化学的機械研磨(CMP)法や液体ジェット研磨法を用いることができる。エッチング処理としては、ウェットエッチング、ドライエッチング、またはその両方を適宜用いることができる。
【0327】
またプラズマ処理によって平坦化処理を行ってもよい。例えば、逆スパッタリング法を用いることができる。逆スパッタリング法にて平坦化処理を行うと、絶縁層の形成から平坦化までを同一装置内にて行うことができるため、スループットが向上し、好ましい。
【0328】
逆スパッタリング法は、例えば、高真空のチャンバーに不活性ガス、例えばArガスを導入し、被処理面に対して電界をかけることでプラズマ状態として行う。プラズマ中には電子とArの陽イオンが存在し、陰極方向にArの陽イオンが加速される。加速されたArの陽イオンは被処理面をスパッタする。このとき、該被処理面の凸部から優先的にスパッタされる。被処理面からスパッタされた粒子は、被処理面の別の場所に付着する。このとき、該被処理面の凹部に優先的に付着する。このように凸部を削り、凹部を埋めることで被処理面の平坦性が向上する。
【0329】
本実施の形態では、剥離層をスパッタリング法で形成し、逆スパッタリング法によって平坦化処理を行う。
【0330】
作製基板には、剥離層との間に不純物元素の拡散を防止する窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜をブロッキング層(バリア層ともいう)として設けてもよい。さらに応力を緩和する作用のある絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を組み合わせても良い。
【0331】
図14(C)は作製基板1101上に設けられたブロッキング層1109と単結晶半導体基板1108の絶縁層1104が形成された面とを密接させ、この両者を接合させる態様を示す。ブロッキング層1109表面は平坦化された剥離層1125上に設けられているために表面は高い平坦性を有している。接合を形成する面は、十分に清浄化しておく。作製基板1101上に設けられたブロッキング層1109と単結晶半導体基板1108の絶縁層1104が形成された面は、メガソニック洗浄などによって清浄化すればよい。また、メガソニック洗浄後にオゾン水で洗浄し、有機物の除去と表面の親水性向上を行ってもよい。
【0332】
作製基板1101上のブロッキング層1109と絶縁層1104を対向させて、一箇所を外部から押しつけると、局所的に接合面同士の距離が縮まる事による、ファン・デル・ワールス力の強まりや水素結合の寄与によって、お互いに引きつけ合う。更に、隣接した領域でも対向する作製基板1101上のブロッキング層1109と絶縁層1104間の距離が縮まるので、ファン・デル・ワールス力が強く作用する領域や水素結合が関与する領域が広がる事によって、接合(ボンディングともいう)が進行し接合面全域に接合が広がる。
【0333】
押しつける際に、基板四隅の一ヶ所を100kPa〜5000kPaの圧力で押さえると、接合面同士が近づき、ファン・デル・ワールス力から水素結合へ移行することができる。基板内において一ヶ所の接合面が近接すると、隣接する接合面も近接し水素結合へ移行するため、接合面全域が水素結合へ移行することができる。
【0334】
良好な接合を形成するために、表面を活性化しておいても良い。例えば、接合を形成する面に原子ビーム若しくはイオンビームを照射する。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴン等の不活性ガス中性原子ビーム若しくは不活性ガスイオンビームを用いることができる。その他に、プラズマ照射若しくはラジカル処理を行う。このような表面処理により200℃乃至400℃の温度であっても異種材料間の接合を形成することが容易となる。
【0335】
また、作製基板と絶縁層との接合界面の接合強度を向上させるために、加熱処理を行うと好ましい。例えば、オーブンや炉などで70℃〜350℃(例えば200℃で2時間)の温度条件で熱処理を行う。
【0336】
図14(D)において、作製基板1101と単結晶半導体基板1108を貼り合わせた後、加熱処理を行い脆弱化層1110を劈開面として単結晶半導体基板1108を作製基板1101から剥離する。例えば、400℃〜700℃の熱処理を行うことにより、脆弱化層1110に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、脆弱化層1110に沿って劈開することが可能となる。絶縁層1104はブロッキング層1109を介して作製基板1101と接合しているので、作製基板1101上には単結晶半導体基板1108と同じ結晶性の単結晶半導体層1102が残存することとなる。
【0337】
400℃〜700℃の温度域での熱処理は、前述の接合強度を向上させるための熱処理と同じ装置で連続して行ってもよいし、別の装置で行ってもよい。例えば炉で200℃2時間熱処理した後に、600℃近傍まで昇温し2時間保持し、400℃から室温までの温度域に降温した後炉より取り出す。また、熱処理は室温から昇温してもよい。また、炉で200℃2時間熱処理した後に、瞬間熱アニール(RTA)装置によって600℃〜700℃の温度域で、1分間〜30分間(例えば600℃7分間、650℃7分間)熱処理を行ってもよい。
【0338】
400℃〜700℃の温度域での熱処理により、絶縁層と作製基板との接合は水素結合から共有結合に移行し、脆弱化層に添加された元素が析出し圧力が上昇し、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を剥離することができる。熱処理を行った後は作製基板と単結晶半導体基板は、一方が他方に載っている状態であり、大きな力を加えずに作製基板と単結晶半導体基板を離すことができる。例えば、上方に載っている基板を真空チャックで持ち上げることにより簡単に離すことができる。この際、下側の基板の真空チャックやメカニカルチャックで固定しておくと水平方向のずれがなく作製基板及び単結晶半導体基板の両基板を離すことができる。
【0339】
なお、図14、図15においては、単結晶半導体基板1108が作製基板1101より小さいサイズの例を示すが、本発明はそれに限定されず、単結晶半導体基板1108と作製基板1101が同じサイズであってもよいし、単結晶半導体基板1108が作製基板1101より大きいサイズであってもよい。
【0340】
図15は作製基板側に絶縁層を設けて単結晶半導体層を形成する工程を示す。図15(A)は保護層1121として酸化シリコン膜が形成された単結晶半導体基板1108に電界で加速されたイオンを所定の深さに照射し、脆弱化層1110を形成する工程を示している。イオンの照射は図14(A)の場合と同様である。単結晶半導体基板1108の表面に保護層1121を形成しておくことでイオン照射によって表面がダメージを受け、平坦性が損なわれるのを防ぐことができる。また、保護層1121によって、単結晶半導体基板1108から形成される単結晶半導体層1102に対する不純物の拡散防止効果を発現する。
【0341】
図15(B)は、ブロッキング層1109及び絶縁層1104が形成された作製基板1101と単結晶半導体基板1108の保護層1121が形成された面を密着させて接合を形成する工程を示している。作製基板1101上の絶縁層1104と単結晶半導体基板1108の保護層1121を密着させることにより接合が形成される。
【0342】
その後、図15(C)で示すように単結晶半導体基板1108を剥離する。単結晶半導体層を剥離する熱処理は図14(D)の場合と同様にして行う。このようにして図15(C)で示す絶縁層を介して単結晶半導体層を有するSOI構造の半導体基板を得ることができる。
【0343】
また、単結晶半導体基板より分離し、作製基板に転置された単結晶半導体層は、分離工程およびイオン照射工程によって、結晶欠陥が生じ、また、その表面は平坦性が損なわれ、凹凸が形成されてしまう場合がある。単結晶半導体層を用いて半導体素子としてトランジスタを作製する場合、このような凹凸のある単結晶半導体層の上面に薄く、絶縁耐圧性の高いゲート絶縁層を形成することは困難である。また、単結晶半導体層に結晶欠陥があると、ゲート絶縁層との局在界面準位密度が高くなるなど、トランジスタの性能および信頼性に影響を与える。
【0344】
従って単結晶半導体層にレーザ光のような電磁波を照射し、結晶欠陥を低減させることが好ましい。電磁波を照射することによって、単結晶半導体層の少なくとも一部の領域を溶融させ、単結晶半導体層中の結晶欠陥を低減させることができる。なお、電磁波の照射前に単結晶半導体層表面に形成された酸化膜(自然酸化膜、あるいはケミカル酸化膜)を希フッ酸で除去するとよい。
【0345】
電磁波は単結晶半導体層に高いエネルギーを供給できるものであればよく、好適にはレーザ光を用いることができる。
【0346】
またエネルギーの供給は、高エネルギーを有する粒子を照射などによって単結晶半導体層に衝突させ、主として熱伝導によって行うこともできる。高エネルギーを有する粒子を提供する熱源としては、プラズマを用いることができ、常圧プラズマ、高圧プラズマ、熱プラズマジェット、ガスバーナーなどの炎を用いることができる、又、他の熱源としては電子ビームなどを用いることができる。
【0347】
電磁波の波長は、単結晶半導体層に吸収される波長とする。その波長は、電磁波の表皮深さ(skin depth)などを考慮して決定することができる。例えば、電磁波の波長は190nm〜600nmを用いることができる。また、電磁波のエネルギーは、電磁波の波長、電磁波の表皮深さ、照射する単結晶半導体層の膜厚などを考慮して決定することができる。
【0348】
レーザ光を発振するレーザは、連続発振レーザ、疑似連続発振レーザ及びパルス発振レーザを用いることができる。部分溶融させるためパルス発振レーザが好ましい。例えば、KrFレーザなどのエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザなどの気体レーザがある。その他、固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Y2O3レーザなどがある。なお、エキシマレーザはパルス発振レーザであるが、YAGレーザなどの固体レーザには、連続発振レーザにも、疑似連続発振レーザにも、パルス発振レーザにもなるものがある。なお、固体レーザにおいては、基本波の第2高調波〜第5高調波を適用するのが好ましい。また、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザも用いることができる。
【0349】
また、電磁波のエネルギーを単結晶半導体層に照射できるならば、ランプ光を用いてもよい。例えば、紫外線ランプ、ブラックライト、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光を用いてもよい。上記ランプ光を用いたフラッシュアニールを用いてもよい。ハロゲンランプやキセノンランプなどを好適に用いて行うフラッシュアニールは極短時間の処理でよいため、作製基板の温度上昇を抑えることができる。
【0350】
電磁波の形状や電磁波の進路を調整するため、シャッター、ミラー又はハーフミラー等の反射体、シリンドリカルレンズや凸レンズなどによって構成される光学系が設置されていてもよい。
【0351】
なお、電磁波の照射方法は、選択的に電磁波を照射してもよいし、光(電磁波)をXY軸方向に走査して光(電磁波)を照射することができる。この場合、光学系にポリゴンミラーやガルバノミラーを用いることが好ましい。
【0352】
電磁波の照射は、大気雰囲気のような酸素を含む雰囲気、または窒素雰囲気のような不活性雰囲気で行うことができる。不活性雰囲気中で電磁波を照射するには、気密性のあるチャンバー内で電磁波を照射し、このチャンバー内の雰囲気を制御すればよい。チャンバーを用いない場合は、電磁波の被照射面に窒素ガスなど不活性ガスを吹き付けることで、窒素雰囲気を形成することもできる。
【0353】
さらに、電磁波照射などの高エネルギーを供給され、結晶欠陥を低減された単結晶半導体層表面に研磨処理を行ってもよい。研磨処理によって単結晶半導体層表面の平坦性を高めることができる。
【0354】
研磨処理としては、化学的機械研磨(CMP)法や液体ジェット研磨法を用いることができる。なお、研磨処理前に単結晶半導体層表面を洗浄し、清浄化する。洗浄は、メガソニック洗浄や2流体ジェット洗浄等を用いればよく、洗浄により単結晶半導体層表面のゴミ等を除去する。また、希フッ酸を用いて単結晶半導体層表面上の自然酸化膜等を除去して単結晶半導体層を露出させると好適である。
【0355】
また、電磁波を照射する前にも単結晶半導体層表面に研磨処理(又はエッチング処理)を行ってもよい。
【0356】
また、分離された単結晶半導体基板を繰り返し利用する工程(半導体基板再生処理)を行うと、低コスト化を図ることができる。
【0357】
また、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を転載する際、単結晶半導体基板を選択的にエッチングし、形状を加工された複数の単結晶半導体層を、作製基板に転載してもよい。作製基板には、複数の島状の単結晶半導体層を形成することができる。予め、単結晶半導体基板で形状を加工して転載するために、単結晶半導体基板の大きさや形状に制限を受けない。そのために大型の作製基板への単結晶半導体層の転載がより効率よく行うことができる。
【0358】
さらに、作製基板上に貼り合わせられた単結晶半導体層に対して、エッチングを行い、単結晶半導体層の形状を加工、修正し精密に制御してもよい。これにより、半導体素子の単結晶半導体層の形状に加工でき、レジストマスク形成時の露光の回り込みなどによるパターンズレや、転載時の貼り合わせ工程による位置ズレなどによる単結晶半導体層の形成位置の誤差や形状不良を修正することができる。
【0359】
また、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を分離してから、作製基板に貼り合わせてもよい。劈開により露出される単結晶半導体層の表面を作製基板側に向けて貼り合わせてもよいし、劈開により露出される単結晶半導体層の表面とゲート絶縁膜とが接するように、単結晶半導体層を作製基板上に貼り合わせてもよい。
【0360】
本実施の形態において、単結晶半導体基板1108として単結晶シリコン基板を適用した場合は、単結晶半導体層1102として単結晶シリコン層を得ることが可能である。また、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、プロセス温度を700℃以下とすることができるため、作製基板1101としてガラス基板を適用することができる。すなわち、従来の薄膜トランジスタと同様にガラス基板上に形成することができ、かつ単結晶シリコン層を半導体層に適用することが可能となる。これらのことにより、高速動作が可能で、サブスレッショルド値が低く、電界効果移動度が高く、低消費電圧で駆動可能など高性能、高信頼性のトランジスタをガラス基板等の作製基板上に作製することができる。
【0361】
本実施の形態は、実施の形態1乃至10と適宜組み合わせることができる。
【0362】
(実施の形態12)
本実施の形態では、より高い信頼性を付与することを目的とした半導体装置の例について説明する。詳しくは半導体装置の一例として、マイクロプロセッサ及び非接触でデータの送受信を行うことのできる演算機能を備えた半導体装置の一例について説明する。
【0363】
図12は半導体装置の一例として、マイクロプロセッサ500の一例を示す。このマイクロプロセッサ500は、上記実施の形態に係る半導体装置により製造されるものである。このマイクロプロセッサ500は、演算回路501(Arithmetic logic unit。ALUともいう。)、演算回路制御部502(ALU Controller)、命令解析部503(Instruction Decoder)、割り込み制御部504(Interrupt Controller)、タイミング制御部505(Timing Controller)、レジスタ506(Register)、レジスタ制御部507(Register Controller)、バスインターフェース508(Bus I/F)、読み出し専用メモリ509、及びメモリインターフェース510(ROM I/F)を有している。
【0364】
バスインターフェース508を介してマイクロプロセッサ500に入力された命令は、命令解析部503に入力され、デコードされた後、演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505に入力される。演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505は、デコードされた命令に基づき各種制御を行う。具体的に演算回路制御部502は、演算回路501の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部504は、マイクロプロセッサ500のプログラム実行中に、外部の入出力装置や周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断して処理する。レジスタ制御部507は、レジスタ506のアドレスを生成し、マイクロプロセッサ500の状態に応じてレジスタ506の読み出しや書き込みを行う。タイミング制御部505は、演算回路501、演算回路制御部502、命令解析部503、割り込み制御部504、レジスタ制御部507の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部505は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。なお、図12に示すマイクロプロセッサ500は、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際にはその用途によって多種多様な構成を備えることができる。
【0365】
次に、非接触でデータの送受信を行うことのできる演算機能を備えた半導体装置の一例について図13を参照して説明する。図13は無線通信により外部装置と信号の送受信を行って動作するコンピュータ(以下、「RFCPU」という)の一例を示す。RFCPU511は、アナログ回路部512とデジタル回路部513を有している。アナログ回路部512として、共振容量を有する共振回路514、整流回路515、定電圧回路516、リセット回路517、発振回路518、復調回路519と、変調回路520を有している。デジタル回路部513は、RFインターフェース521、制御レジスタ522、クロックコントローラ523、CPUインターフェース524、中央処理ユニット525、ランダムアクセスメモリ526、読み出し専用メモリ527を有している。
【0366】
このような構成のRFCPU511の動作は概略以下の通りである。アンテナ528が受信した信号は共振回路514により誘導起電力を生じる。誘導起電力は、整流回路515を経て容量部529に充電される。この容量部529はセラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサーなどのキャパシタで形成されていることが好ましい。容量部529はRFCPU511と一体形成されている必要はなく、別部品としてRFCPU511を構成する絶縁表面を有する基板に取り付けられていれば良い。
【0367】
リセット回路517は、デジタル回路部513をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇に遅延して立ち上がる信号をリセット信号として生成する。発振回路518は、定電圧回路516により生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。ローパスフィルタで形成される復調回路519は、例えば振幅変調(ASK)方式の受信信号の振幅の変動を二値化する。変調回路520は、送信データを振幅変調(ASK)方式の送信信号の振幅を変動させて送信する。変調回路520は、共振回路514の共振点を変化させることで通信信号の振幅を変化させている。クロックコントローラ523は、電源電圧又は中央処理ユニット525における消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路530が行っている。
【0368】
アンテナ528からRFCPU511に入力された信号は復調回路519で復調された後、RFインターフェース521で制御コマンドやデータなどに分解される。制御コマンドは制御レジスタ522に格納される。制御コマンドには、読み出し専用メモリ527に記憶されているデータの読み出し、ランダムアクセスメモリ526へのデータの書き込み、中央処理ユニット525への演算命令などが含まれている。中央処理ユニット525は、CPUインターフェース524を介して読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522にアクセスする。CPUインターフェース524は、中央処理ユニット525が要求するアドレスより、読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522のいずれかに対するアクセス信号を生成する機能を有している。
【0369】
中央処理ユニット525の演算方式は、読み出し専用メモリ527にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、起動とともにプログラムを読み出し実行する方式を採用することができる。また、専用回路で演算回路を構成して、演算処理をハードウェア的に処理する方式を採用することもできる。ハードウェアとソフトウェアを併用する方式では、専用の演算回路で一部の処理を行い、残りの演算をプログラムを使って中央処理ユニット525が実行する方式を適用することができる。
【0370】
本実施の形態におけるマイクロプロセッサにおいても、半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら強度を有する信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0371】
(実施の形態13)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置の使用形態の一例について説明する。具体的には、非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して、図面を用いて以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によって、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップとも呼ばれる。
【0372】
本実施の形態で示す半導体装置の上面構造の一例について、図10を参照して説明する。図10に示す半導体装置2180は、メモリ部やロジック部を構成する複数のトランジスタ等の素子が設けられた薄膜集積回路2131と、アンテナとして機能する導電層2132を含んでいる。アンテナとして機能する導電層2132は、薄膜集積回路2131に電気的に接続されている。薄膜集積回路2131には、上記実施の形態2で示したトランジスタを適用することができる。
アンテナとして機能する導電層は、薄膜集積回路の上方に設けてもよいし、下方に設けてもよい。アンテナとして機能する導電層を耐衝撃層の外側に設けてもよい。また、アンテナとして機能する導電層2132を基板2133に別に設けた後、当該基板2133及び薄膜集積回路2131を、導電層2132が間に位置するように貼り合わせて設けることができる。薄膜集積回路2131の接続端子とアンテナとして機能する導電層とが、接着性を有する樹脂中に含まれる導電性粒子を介して電気的に接続する構成でもよい。或いは、薄膜集積回路に電気的に接続されたアンテナと、質問器との間において、非接触にて電波の周波数を変換することができるブースターアンテナを設けた半導体装置に、本発明を適用することも可能である。
【0373】
本発明の半導体装置は、半導体素子として電界効果トランジスタはもちろん、半導体層を用いる記憶素子なども適用することができ、多用途に渡って要求される機能を満たす半導体装置を作製し、提供することができる。
【0374】
なお、本実施の形態では、アンテナとして機能する導電層2132をコイル状に設け、電磁誘導方式または電磁結合方式を適用する例を示すが、本発明の半導体装置はこれに限られずマイクロ波方式を適用することも可能である。マイクロ波方式の場合は、用いる電磁波の波長によりアンテナとして機能する導電層2132の形状を適宜決めればよい。
【0375】
例えば、半導体装置における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860MHz帯乃至960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電層の長さ等の形状を適宜設定すればよい。例えば、アンテナとして機能する導電層を線状(例えば、ダイポールアンテナ)、平坦な形状(例えば、パッチアンテナまたはリボン型の形状)等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電層2132の形状は直線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
【0376】
アンテナとして機能する導電層は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
【0377】
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電層2132を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成の際は、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下の微粒子)を用いる場合、150℃乃至300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電層を形成することができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーはんだは、低コストであるといった利点を有している。
【0378】
本発明を適用した半導体装置は、半導体集積化回路を挟持する一対の耐衝撃層、及び半導体集積回路に積層して設けられる衝撃拡散層によって、薄型化及び小型化を達成しながら強度を有する信頼性の高い半導体装置とすることができる。よって、本実施の形態で示すような非接触でデータの入出力が可能で、且つ小型な半導体装置とした場合に有効である。
【0379】
(実施の形態14)
本実施の形態では、上述した本発明を用いて形成された非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して図面を参照して以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によっては、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップともよばれる。
【0380】
半導体装置800は、非接触でデータを交信する機能を有し、高周波回路810、電源回路820、リセット回路830、クロック発生回路840、データ復調回路850、データ変調回路860、他の回路の制御を行う制御回路870、記憶回路880およびアンテナ890を有している(図11(A)参照。)。高周波回路810はアンテナ890より信号を受信して、データ変調回路860より受信した信号をアンテナ890から出力する回路であり、電源回路820は受信信号から電源電位を生成する回路であり、リセット回路830はリセット信号を生成する回路であり、クロック発生回路840はアンテナ890から入力された受信信号を基に各種クロック信号を生成する回路であり、データ復調回路850は受信信号を復調して制御回路870に出力する回路であり、データ変調回路860は制御回路870から受信した信号を変調する回路である。また、制御回路870としては、例えばコード抽出回路910、コード判定回路920、CRC判定回路930および出力ユニット回路940が設けられている。なお、コード抽出回路910は制御回路870に送られてきた命令に含まれる複数のコードをそれぞれ抽出する回路であり、コード判定回路920は抽出されたコードとリファレンスに相当するコードとを比較して命令の内容を判定する回路であり、CRC判定回路930は判定されたコードに基づいて送信エラー等の有無を検出する回路である。
【0381】
次に、上述した半導体装置の動作の一例について説明する。まず、アンテナ890により無線信号が受信される。無線信号は高周波回路810を介して電源回路820に送られ、高電源電位(以下、VDDと記す)が生成される。VDDは半導体装置800が有する各回路に供給される。また、高周波回路810を介してデータ復調回路850に送られた信号は復調される(以下、復調信号)。さらに、高周波回路810を介してリセット回路830およびクロック発生回路840を通った信号及び復調信号は制御回路870に送られる。制御回路870に送られた信号は、コード抽出回路910、コード判定回路920およびCRC判定回路930等によって解析される。そして、解析された信号にしたがって、記憶回路880内に記憶されている半導体装置の情報が出力される。出力された半導体装置の情報は出力ユニット回路940を通って符号化される。さらに、符号化された半導体装置800の情報はデータ変調回路860を通って、アンテナ890により無線信号に載せて送信される。なお、半導体装置800を構成する複数の回路においては、低電源電位(以下、VSS)は共通であり、VSSはGNDとすることができる。
【0382】
このように、通信装置から半導体装置800に信号を送り、当該半導体装置800から送られてきた信号を通信装置で受信することによって、半導体装置のデータを読み取ることが可能となる。
【0383】
また、半導体装置800は、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリー)を搭載せず電磁波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリー)を搭載して電磁波と電源(バッテリー)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
【0384】
次に、非接触でデータの入出力が可能な半導体装置の使用形態の一例について説明する。表示部3210を含む携帯端末の側面には、通信装置3200が設けられ、品物3220の側面には半導体装置3230が設けられる(図11(B)。)。品物3220が含む半導体装置3230に通信装置3200をかざすと、表示部3210に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品3260をベルトコンベアにより搬送する際に、通信装置3240と、商品3260に設けられた半導体装置3250を用いて、該商品3260の検品を行うことができる(図11(C)。)。このように、システムに半導体装置を活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。
【0385】
以上の様に、本発明の信頼性の高い半導体装置の適用範囲は極めて広く、広い分野の電子機器に用いることが可能である。
【0386】
(実施の形態15)
本発明によりプロセッサ回路を有するチップ(以下、プロセッサチップ、無線チップ、無線プロセッサ、無線メモリ、無線タグともよぶ)として機能する半導体装置を形成することができる。本発明の半導体装置の用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図9を用いて説明する。
【0387】
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指し、プロセッサ回路を有するチップ190を設けることができる(図9(A)参照。)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指し、プロセッサ回路を有するチップ191を設けることができる(図9(B)参照。)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指し、プロセッサ回路を有するチップ197を設けることができる(図9(C)参照。)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指し、プロセッサ回路を有するチップ193を設けることができる(図9(D)参照。)。書籍類とは、書物、本等を指し、プロセッサ回路を有するチップ194を設けることができる(図9(E)参照。)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指、プロセッサ回路を有するチップ195を設けることができる(図9(F)参照。)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指し、プロセッサ回路を有するチップ196を設けることができる(図9(G)参照。)。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
【0388】
このような半導体装置の設け方としては、物品の表面に貼る、或いは物品に埋め込んで設ける。例えば、本の場合は紙に埋め込めばよく、有機樹脂からなるパッケージであれば有機樹脂に埋め込めばよい。
【0389】
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類に半導体装置を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサーを備えた半導体装置を埋め込む又は取り付けることによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。
【0390】
なお、本実施の形態は、上記実施の形態1乃至14と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0391】
(実施の形態16)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一態様の実装例を、図24を用いて説明する。
【0392】
本発明の半導体装置の一態様は、実施の形態15で示したように、様々は物品に実装することができる。本実施の形態では、可撓性基板(フレキシブル基板ともいう)に実装しフレキシブルな半導体装置を作製する例を示す。
【0393】
図24(A)乃至(C)は、可撓性基板に半導体集積回路チップを埋め込むように実装した例である。半導体集積回路チップは実施の形態1乃至11で示した半導体装置を用いることができ、ここでは個々に分断しチップ状にしたものを半導体集積回路チップという。図24(D)に半導体集積回路チップ600の詳細を示す。図24(D)の半導体集積回路チップは実施の形態1を用いる例であり、図24(E)の半導体集積回路チップは実施の形態5を用いる例であるが、本実施の形態は他の実施の形態にも適用することができ、この構造に限定されない。
【0394】
図24(D)は、半導体集積回路100は、第1の衝撃拡散層113、第2の衝撃拡散層103、第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102で挟持され、その側面も封止されている。本実施の形態では、複数の半導体集積回路を挟持して第1の衝撃拡散層、第2の衝撃拡散層、第1の耐衝撃層、第2の耐衝撃層を貼り合わせた後、個々の半導体集積回路ごとに分断し、半導体集積回路チップを作製する。分断手段としては物理的に分断することができれば特に限定しないが、本実施の形態ではレーザ光を照射することによって分断する。
【0395】
図24(E)は、半導体集積回路100は、衝撃拡散層103、第1の耐衝撃層112、第2の耐衝撃層102で挟持され、その側面も封止されている。本実施の形態では、複数の半導体集積回路を挟持して衝撃拡散層、第1の耐衝撃層、第2の耐衝撃層を貼り合わせた後、個々の半導体集積回路ごとに分断し、半導体集積回路チップを作製する。
【0396】
図24(A)は可撓性基板601と、可撓性基板602に挟持された半導体集積回路チップ600であり、半導体集積回路チップ600は可撓性基板601に設けられた凹部に配置されている。
【0397】
半導体集積回路チップ600が配置される凹部は片方の可撓性基板に設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。図24(B)は可撓性基板601及び可撓性基板602に両方に設けられた凹部に、半導体集積回路チップ600が配置される例である。
【0398】
さらに、可撓性基板を3層構造とし、中央の可撓性基板に半導体集積回路チップ600を配置する開口を設けてもよい。図24(C)は、可撓性基板603に開口を設け、その開口に半導体集積回路チップ600を配置し、可撓性基板601と可撓性基板602とよって、可撓性基板603及び半導体集積回路チップ600を挟み込むように挟持する例である。
【0399】
図24(A)乃至(C)において、さらに可撓性基板601、可撓性基板602の外側に可撓性基板を積層してもよい。
【0400】
可撓性基板601、602、603としては、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布、紙などを用いることができる。また、具体的にはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリプロピレン、ポリプロピレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、ポリフタールアミド等からなる基板、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等からなる基板、フィルム、繊維質な材料からなる紙などを用いることができる。接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどを用いることができる。基板やフィルムが被処理体と接着する際は、接着層を用いてもよい。基板やフィルムの種類によって条件を選択し、加熱処理や加圧により接着することができる。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。
【0401】
本実施の形態のように、実装する可撓性基板内に凹部、又は開口を設けて半導体集積回路チップ600を埋め込むように配置すると、半導体集積回路チップ600を設けることによる凸部が形成されないため、可撓性基板表面は平坦であり、膜厚を均一にすることができる。従って可撓性基板に半導体集積回路チップを実装する際に貼り合わせのためにローラーなどによって加圧処理を行っても、半導体集積回路チップに局所的に圧力がかかる(圧力が集中する)ことを防止することができる。よって、実装工程において半導体集積回路チップの破損を軽減することができるため、半導体装置の歩留まりが向上する。また、実装後においても、外的ストレスに強い、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0402】
また平坦かつ平滑な表面とすることができるため、保管や機械上における積み重ね性、搬送性に優れる。さらに外部より半導体集積回路チップが視認されないため(表面に半導体集積回路チップの形状が反映する凸部が生じないため)、セキュリティ性の高い半導体装置とすることができる。
【実施例1】
【0403】
本実施例は、本発明の一態様の半導体装置を作製し、信頼性評価を行った結果を示す。
【0404】
試料として、第1の衝撃拡散層、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の衝撃拡散層、第2の耐衝撃層、導電層の積層構造(実施例X)、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の耐衝撃層の積層構造(比較例)を作製した。試料において第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層は繊維体(ガラス繊維)に有機樹脂(臭素化エポキシ樹脂)が含浸された構造体であるプリプレグ(膜厚20μm)を用い、導電層はスパッタリング法により形成したチタン膜、第1の衝撃拡散層及び第2の衝撃拡散層にはアラミドフィルム(膜厚7μm)を用いた。なお、半導体集積回路と第1の耐衝撃層との間にはアンテナが設けられ、アンテナ上は保護層として窒化珪素膜を形成した。
【0405】
実施例X、比較例の構造それぞれ10個ずつの試料にESD(Electro Static Discharge:静電気放電)測定を行い、10個の半導体装置を100として、その動作率を評価した。
【0406】
ESD測定としては、ガラス基板(厚さ0.5nm)、アルミ板、導電性シートの積層上に試料を乗せ、試料の導電層の形成側から集積回路中央部へESD試験機(簡易応答評価 Takaya株式会社製)にて電圧を印加し、電圧印加後に除電(1分間)を行い、動作確認を行った。
【0407】
実施例X、比較例の半導体装置における、ESDの印加量及び動作率の関係を図23に示す。図23において、実施例Xは三角形のドット、比較例はバツ印のドットで示されている。また実施例X及び比較例の試料において、非動作になるまでのESD印加電圧[kV]の平均値、最大値、最小値を表1に示す。
【0408】
【表1】
【0409】
導電層を設けない比較例はESD印加量が±3kVでは動作率が0%となってしまうのに対し、導電層を設けた実施例Xは±2kVまでは動作率100%であり、±6kVで動作率が0%となった。また、非動作になるまでのESD印加電圧[kV]の値も、比較例では平均値2.8kV、最大値3kV、最小値1kVであるのに対し、実施例Xでは、平均値4.6kV、最大値6kV、最小値3kVとより高い電圧値まで動作できたことが分かる。よって、本発明を用いて導電層を形成した半導体装置である実施例Xは静電気放電に耐性があり、静電気破壊しにくいということが確認できた。
【0410】
上記結果より、本発明を用いると、半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止でき、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができることが確認できた。
【実施例2】
【0411】
本実施例は、本発明の一態様の半導体装置を作製し、信頼性評価を行った結果を示す。
【0412】
試料構造として、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の耐衝撃層、導電層の積層構造を作製した。試料において第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層は繊維体(ガラス繊維)に有機樹脂(臭素化エポキシ樹脂)が含浸された構造体であるプリプレグ(膜厚20μm)を用い、導電層はスパッタリング法により形成したチタン膜を用いた。試料構造において導電層の膜厚を0nm、5nm、10nm、20nm、30nm、50nm、100nmとした各試料について信頼性評価としてESD(Electro Static Discharge:静電気放電)測定を行った。なお、導電層の膜厚0nmは導電層を形成しない試料であり、実施例1でも示した比較例である。
【0413】
ESD測定としては、ガラス基板(厚さ0.5nm)、アルミ板、導電性シートの積層上に試料を乗せ、試料の導電層の形成側から集積回路中央部へESD試験機(簡易応答評価 Takaya株式会社製)にて電圧を印加し、ESD印加後に除電(1分間)を行い、動作確認を行った。
【0414】
試料における導電層の膜厚と試料の半導体装置が非動作になるまでのESD印加電圧の関係を図36に示す。導電層の各膜厚において複数の試料を測定しており、平均値を四角形のドット、最大値を菱形のドット、最小値を三角形のドットでそれぞれ示す。半導体装置に導電層が無い構造(導電層膜厚0nm)の場合、ESD印加時に1〜2kV程度で導電層が非動作になるのに対し、導電層が存在することで5kV程度までESD耐性が向上している。
【0415】
次に、試料として、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、衝撃拡散層、第2の耐衝撃層、導電層の積層構造(実施例A)、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の耐衝撃層、導電層の積層構造(実施例B)、第1の耐衝撃層、半導体集積回路、第2の耐衝撃層の積層構造(比較例)を作製した。試料において第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層は繊維体(ガラス繊維)に有機樹脂(臭素化エポキシ樹脂)が含浸された構造体であるプリプレグ(膜厚20μm)を用い、導電層はスパッタリング法により形成したチタン膜、衝撃拡散層にはアラミドフィルム(膜厚7μm)を用いた。
【0416】
実施例A、実施例B、比較例の構造それぞれ10個ずつの試料にESD測定を行い、10個の半導体装置を100として、その動作率を評価した。実施例A、実施例B、比較例の半導体装置における、ESDの印加量及び動作率の関係を図37に示す。図37において、実施例Aは丸形のドット、実施例Bは四角形のドット、比較例はバツ印のドットで示されている。また実施例A、実施例B、及び比較例の試料において、非動作になるまでのESD印加電圧[kV]の平均値、最大値、最小値を表1に示す。
【0417】
【表2】
【0418】
導電層を設けない比較例はESD印加量が±3kVでは動作率が0%となってしまうのに対し、導電層を設けた実施例Aは±2kV、実施例Bにおいては±6kVまでは動作率100%であった。また、非動作になるまでのESD印加電圧[kV]の値も、比較例では平均値2.8kV、最大値3kV、最小値1kVであるのに対し、実施例Aでは平均値4.5kV、最大値5kV、最小値3kV、実施例Bでは平均値11.5kV、最大値18kV、最小値7kVと、導電層を有する構造の実施例A及び実施例Bにおいてはより高い電圧値まで動作できたことが分かる。よって、本発明を用いて導電層を形成した半導体装置である実施例A、実施例Bは静電気放電に耐性があり、静電気破壊しにくいということが確認できた。
【0419】
上記結果より、本発明を用いると、半導体集積回路を覆う導電層により、半導体集積回路の静電気放電による静電気破壊(回路の誤動作や半導体素子の損傷)を防止でき、薄型化及び小型化を達成しながら耐性を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができることが確認できた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記一対の第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記半導体集積回路と前記第2の耐衝撃層との間に衝撃拡散層と、
前記一対の第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有し、
前記衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記半導体集積回路と前記第2の耐衝撃層との間に衝撃拡散層と、
前記第2の耐衝撃層と前記衝撃拡散層との間には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有し、
前記衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、前記半導体集積回路と前記衝撃拡散層との間に接着層とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項において、前記衝撃拡散層はゴム弾性を有する膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか一項において、前記衝撃拡散層はアラミド樹脂フィルムであることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか一項において、前記衝撃拡散層の膜厚は5μm以上20μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記第1の耐衝撃層の前記半導体集積回路と反対の面に第1の衝撃拡散層と、記半導体集積回路と前記第2の耐衝撃層との間に第2の衝撃拡散層と、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記第1の耐衝撃層の前記半導体集積回路と反対の面に第1の衝撃拡散層と、記半導体集積回路と前記第2の耐衝撃層との間に第2の衝撃拡散層と、
前記第2の耐衝撃層と前記第2の衝撃拡散層との間には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9において、前記半導体集積回路と前記第2の衝撃拡散層との間に接着層とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層はゴム弾性を有する膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層はアラミド樹脂フィルムであることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか一項において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層の膜厚は5μm以上20μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項において、前記半導体集積回路に対し前記導電層と反対側にアンテナを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項において、前記導電層は金属膜、金属窒化膜、金属酸化膜のいずれか一、又はそれらの積層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項において、前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層は繊維体に有機樹脂が含浸された構造体であることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項16において、前記繊維体は織布または不織布であることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項16又は請求項17において、前記繊維体は、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維で形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか一項において、前記有機樹脂は、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
請求項19において、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
請求項19において、前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
前記第2の耐衝撃層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記一対の第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側に前記半導体集積回路を覆う導電層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項23】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
第2の耐衝撃層と衝撃拡散層とを接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記衝撃拡散層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記一対の第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側に前記半導体集積回路を覆う導電層を形成し、
前記衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項24】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
衝撃拡散層の一方の面に導電層を形成し、
第2の耐衝撃層と前記衝撃拡散層の前記導電層の形成された一方の面とを接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記衝撃拡散層の他方の面を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項25】
請求項23又は請求項24において、前記第2の耐衝撃層と前記衝撃拡散層とを加熱及び加圧処理により接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記衝撃拡散層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着層により接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項26】
請求項23乃至25のいずれか一項において、前記衝撃拡散層としてゴム弾性を有する膜を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項27】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を、前記第1の耐衝撃層に第1の衝撃拡散層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層とを接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記第2の衝撃拡散層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側に前記半導体集積回路を覆う導電層を形成し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は、前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項28】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を、前記第1の耐衝撃層に第1の衝撃拡散層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
第2の衝撃拡散層の一方の面に導電層を形成し、
前記第2の耐衝撃層と前記第2の衝撃拡散層の前記導電層の形成された一方の面とを接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記第2の衝撃拡散層の他方の面を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は、前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項29】
請求項27又は請求項28において、前記第1の耐衝撃層上に第1の衝撃拡散層を積層して加熱及び加圧処理により、前記半導体集積回路、前記第1の衝撃層、及び前記第1の衝撃拡散層間を接着し、
前記第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層とを加熱及び加圧処理により接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記第2の衝撃拡散層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着層により接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項30】
請求項27乃至29のいずれか一項において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層としてゴム弾性を有する膜を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項31】
請求項22乃至30のいずれか一項において、前記半導体集積回路に対し前記導電層と反対側にアンテナを形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項32】
請求項22乃至31のいずれか一項において、前記導電層は金属膜、金属窒化膜、金属酸化膜のいずれか一、又はそれらの積層を用いて形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項33】
請求項22乃至32のいずれか一項において、前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層として一対の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項1】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記一対の第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記半導体集積回路と前記第2の耐衝撃層との間に衝撃拡散層と、
前記一対の第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有し、
前記衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記半導体集積回路と前記第2の耐衝撃層との間に衝撃拡散層と、
前記第2の耐衝撃層と前記衝撃拡散層との間には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有し、
前記衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、前記半導体集積回路と前記衝撃拡散層との間に接着層とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項において、前記衝撃拡散層はゴム弾性を有する膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか一項において、前記衝撃拡散層はアラミド樹脂フィルムであることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか一項において、前記衝撃拡散層の膜厚は5μm以上20μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記第1の耐衝撃層の前記半導体集積回路と反対の面に第1の衝撃拡散層と、記半導体集積回路と前記第2の耐衝撃層との間に第2の衝撃拡散層と、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
一対の第1の耐衝撃層及び第2の耐衝撃層に挟持された半導体集積回路と、
前記第1の耐衝撃層の前記半導体集積回路と反対の面に第1の衝撃拡散層と、記半導体集積回路と前記第2の耐衝撃層との間に第2の衝撃拡散層と、
前記第2の耐衝撃層と前記第2の衝撃拡散層との間には前記半導体集積回路を覆う導電層とを有し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9において、前記半導体集積回路と前記第2の衝撃拡散層との間に接着層とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層はゴム弾性を有する膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層はアラミド樹脂フィルムであることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか一項において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層の膜厚は5μm以上20μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項において、前記半導体集積回路に対し前記導電層と反対側にアンテナを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項において、前記導電層は金属膜、金属窒化膜、金属酸化膜のいずれか一、又はそれらの積層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項において、前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層は繊維体に有機樹脂が含浸された構造体であることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項16において、前記繊維体は織布または不織布であることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項16又は請求項17において、前記繊維体は、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維で形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか一項において、前記有機樹脂は、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
請求項19において、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
請求項19において、前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
前記第2の耐衝撃層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記一対の第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側に前記半導体集積回路を覆う導電層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項23】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
第2の耐衝撃層と衝撃拡散層とを接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記衝撃拡散層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記一対の第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側に前記半導体集積回路を覆う導電層を形成し、
前記衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項24】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
衝撃拡散層の一方の面に導電層を形成し、
第2の耐衝撃層と前記衝撃拡散層の前記導電層の形成された一方の面とを接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記衝撃拡散層の他方の面を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記衝撃拡散層は前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項25】
請求項23又は請求項24において、前記第2の耐衝撃層と前記衝撃拡散層とを加熱及び加圧処理により接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記衝撃拡散層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着層により接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項26】
請求項23乃至25のいずれか一項において、前記衝撃拡散層としてゴム弾性を有する膜を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項27】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を、前記第1の耐衝撃層に第1の衝撃拡散層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層とを接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記第2の衝撃拡散層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の耐衝撃層のいずれか一方の前記半導体集積回路と反対側に前記半導体集積回路を覆う導電層を形成し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は、前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項28】
基板上に剥離層を介して半導体集積回路を形成し、
前記半導体集積回路に第1の耐衝撃層を、前記第1の耐衝撃層に第1の衝撃拡散層を接着し、前記半導体集積回路を前記基板より剥離し、
第2の衝撃拡散層の一方の面に導電層を形成し、
前記第2の耐衝撃層と前記第2の衝撃拡散層の前記導電層の形成された一方の面とを接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記第2の衝撃拡散層の他方の面を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着し、
前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層は、前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層より弾性率が低く、かつ破断強度が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項29】
請求項27又は請求項28において、前記第1の耐衝撃層上に第1の衝撃拡散層を積層して加熱及び加圧処理により、前記半導体集積回路、前記第1の衝撃層、及び前記第1の衝撃拡散層間を接着し、
前記第2の耐衝撃層と第2の衝撃拡散層とを加熱及び加圧処理により接着し、
前記第2の耐衝撃層に接着された前記第2の衝撃拡散層を、前記基板より剥離された前記半導体集積回路に接着層により接着することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項30】
請求項27乃至29のいずれか一項において、前記第1の衝撃拡散層及び前記第2の衝撃拡散層としてゴム弾性を有する膜を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項31】
請求項22乃至30のいずれか一項において、前記半導体集積回路に対し前記導電層と反対側にアンテナを形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項32】
請求項22乃至31のいずれか一項において、前記導電層は金属膜、金属窒化膜、金属酸化膜のいずれか一、又はそれらの積層を用いて形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項33】
請求項22乃至32のいずれか一項において、前記第1の耐衝撃層及び前記第2の耐衝撃層として一対の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
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【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2009−302517(P2009−302517A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111743(P2009−111743)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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