説明

半導体装置

【課題】製造工程を変更することなくMOSトランジスタのドレイン電流−温度特性を制御する。
【解決手段】半導体層1に互いに間隔をもって形成されたソース11s及びドレイン11d,13dと、ソース11sとドレイン11d,13dの間の半導体層1上にゲート絶縁膜5を介して形成されたゲート電極7とをもつMOSトランジスタを備えている。MOSトランジスタで、ソース11sは上方から見てゲート電極7とは間隔をもつ位置に形成されている。ドレイン13dは上方から見てゲート電極7に一部重複する位置に形成されている。上方から見たソース11sとゲート電極7の間の距離AはMOSトランジスタが温度上昇に対してドレイン電流が増加するドレイン電流−温度特性をもつ寸法に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、半導体層に互いに間隔をもって形成されたソース及びドレインと、ソースとドレインの間の半導体層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極とをもつMOSトランジスタを備えた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などに代表されるように、半導体装置製造プロセスを用いて微細化したマイクロマシーンや半導体センサ装置が開発されている(例えば特許文献1を参照)。
しかし、そのほとんどがSOI(Silicon On Insulator)基板に作りこんだものであり、センサーを駆動させる回路や制御する回路は別チップとして開発する必要がある。
【0003】
また、半導体基板に形成されるMOSトランジスタとしてLDD(Lightly Doped Drain)構造をもつものがある(例えば特許文献2,3を参照)。
図8に従来のLDD構造MOSトランジスタの概略的な断面図を示す。
【0004】
図8に示すように、半導体基板101の表面に素子分離用のSTI(Shallow Trench Isolation)103が形成されている。STI103で囲まれた領域内の半導体基板101上にゲート酸化膜105を介してゲート電極107が形成されている。ゲート電極107の側面にサイドウォールスペーサ109が形成されている。STI103で囲まれた領域内の半導体基板101表面にゲート電極107を挟んで2つの低濃度拡散層111s,111dが互いに間隔をもって形成されている。STI103で囲まれた領域内の半導体基板101表面には、ゲート電極107を挟んで低濃度拡散層111s,111dよりも深く形成された2つの高濃度拡散層113s,113dも形成されている。
【0005】
低濃度拡散層111s,111dは、ゲート電極107の端部をマスクにして半導体基板101に注入されたイオン種が熱拡散されて形成されたものであり、上方から見て一部分がゲート電極107と重複している。
高濃度拡散層113s,113dは、サイドウォールスペーサ109をマスクにして半導体基板101に注入されたイオン種が熱拡散されて形成されたものであり、上方から見てゲート電極107とは間隔をもって配置されている。
【0006】
特許文献2,3には、LDD構造MOSトランジスタにおいて、サイドウォールスペーサの幅寸法を変えることでLDD構造MOSトランジスタの特性を変化させることができることが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−033355号公報
【特許文献2】特開平6−181293号公報
【特許文献3】特開2000−100964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、製造工程を変更することなくMOSトランジスタのドレイン電流−温度特性を制御することができる半導体装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体装置は、半導体層に互いに間隔をもって形成されたソース及びドレインと、ソースとドレインの間の半導体層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極とをもつMOSトランジスタを備えた半導体装置であって、上記MOSトランジスタで、上方から見て、上記ソースは上記ゲート電極とは間隔をもつ位置に形成され、上記ドレインは上記ゲート電極に隣接又は一部重複する位置に形成されており、上方から見た上記ソースと上記ゲート電極の間の距離は上記MOSトランジスタが温度上昇に対してドレイン電流が増加するドレイン電流−温度特性をもつ寸法に設定されているものである。
【0010】
本発明の半導体装置において、上方から見た上記ソースと上記ゲート電極の間の距離が互いに異なっている複数の上記MOSトランジスタを同一半導体層上に備えているようにしてもよい。
【0011】
また、上記複数のMOSトランジスタにおいて、上方から見た上記ソースと上記ゲート電極の間の距離が大きいものほど大きいチャネル幅寸法を備えている例を挙げることができる。
この場合、基準電流発生回路と、上記基準電流発生回路から出力される基準電流と上記MOSトランジスタのドレイン電流とを比較する比較回路を上記複数のMOSトランジスタごとに備えているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置では、MOSトランジスタで、上方から見て、ソースはゲート電極とは間隔をもつ位置に形成され、ドレインはゲート電極に隣接又は一部重複する位置に形成されており、上方から見たソースとゲート電極の間の距離はMOSトランジスタが温度上昇に対してドレイン電流が増加するドレイン電流−温度特性をもつ寸法に設定されているようにした。
図8に示したように、従来のMOSトランジスタでは、ソース及びドレインの両方が上方から見てゲート電極と一部重複又は隣接している。そして、従来のMOSトランジスタは温度上昇に対してドレイン電流が減少するドレイン電流−温度特性をもっている。
これに対し、本発明の半導体装置では、MOSトランジスタにおいて上方から見てソースはゲート電極とは間隔をもつ位置に形成されているようにした。このMOSトランジスタでは、ソースとゲート電極の間の距離をある寸法以上に取ると、温度が高くなるにつれて、同じバイアス条件下でドレイン電流を多く流すことができるドレイン電流−温度特性をもつようになる。また、ソース−ゲート電極間の距離に依存して流れ始める温度が異なり、ソース−ゲート電極間の距離を長くとると、高温にならないと電流が流せなくなる。
また、ソースをゲート電極とは間隔をもつ位置に形成する場合、通常のMOSトランジスタ形成工程において、ソースを形成するためのイオン注入時に用いるフォトマスクのパターンを変更するだけでよい。
また、本発明の半導体装置は、SOI基板のみならず、シリコン基板などの通常の半導体基板を用いて形成することができる。
このように、本発明の半導体装置によれば、製造工程を変更することなくMOSトランジスタのドレイン電流−温度特性を制御することができる。
このMOSトランジスタは、例えば所定温度で回路をオフさせたいときなど、温度による回路スイッチとして用いることができる。
【0013】
本発明の半導体装置において、上方から見たソースとゲート電極の間の距離が互いに異なっている複数のMOSトランジスタを同一半導体層上に備えているようにすれば、それらのMOSトランジスタでは電流が流れ始める温度が異なるため、それらのMOSトランジスタのドレイン電流を監視することにより、温度センサとして用いることができる。
【0014】
チャネル幅寸法が同じ場合、ソースとゲート電極の間の距離が大きくなると、同じバイアス条件下でMOSトランジスタが流せる電流が小さくなる。
そこで、上記複数のMOSトランジスタにおいて、上方から見たソースとゲート電極の間の距離が大きいものほど大きいチャネル幅寸法を備えているようにすれば、同じバイアス条件下で各MOSトランジスタにおいて同程度の電流を流すことができるようになる。
【0015】
チャネル幅寸法を調整した上記複数のMOSトランジスタを備えている場合、基準電流発生回路と、その基準電流発生回路から出力される基準電流とMOSトランジスタのドレイン電流とを比較する比較回路を複数のMOSトランジスタごとに備えているようにすれば、各比較回路の出力を監視することにより、温度センサとして用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は一実施例を概略的に示す断面図である。
シリコン基板に形成されたP型ウエル(半導体層)1の表面に素子分離用のSTI3が形成されている。STI3で囲まれた領域内のP型ウエル1上にゲート酸化膜(ゲート絶縁膜)5を介してポリシリコン膜パターンからなるゲート電極7が形成されている。
【0017】
ゲート電極7の側面にHTO(High Temperature Oxide)膜からなるサイドウォールスペーサ9が形成されている。STI3で囲まれた領域内のP型ウエル1表面にゲート電極7を挟んで2つの高濃度拡散層11s,11dが互いに間隔をもって形成されている。STI3で囲まれた領域内のP型ウエル1表面には、高濃度拡散層11dのゲート電極7側の端部に隣接して形成された低濃度拡散層13dも形成されている。低濃度拡散層13dは、高濃度拡散層11sとは間隔をもって、高濃度拡散層11s,11dよりも浅く形成されている。これにより、MOSトランジスタが形成されている。
【0018】
高濃度拡散層11sはMOSトランジスタのソースを構成する。高濃度拡散層11sは上方からみてゲート電極7とは寸法Aだけ間隔をもつ位置に形成されている。寸法Aは、MOSトランジスタが温度上昇に対してドレイン電流が増加するドレイン電流−温度特性をもつ寸法に設定されている。例えば、寸法Aは、ウエル濃度にも関係するが、1μ以下、好ましくは0.2〜0.5μm程度である。
【0019】
高濃度拡散層11d及び低濃度拡散層13dはMOSトランジスタのドレインを構成する。高濃度拡散層11dは上方からみてゲート電極7とは間隔をもつ位置に形成されている。低濃度拡散層13dは上方から見て一部分がゲート電極7と重複している。
このように、MOSトランジスタでは、上方から見て、ソースはゲート電極7とは間隔をもつ位置に形成され、ドレインはゲート電極7に一部重複する位置に形成されている。
【0020】
図2は図1に示した半導体装置の製造工程を説明するための概略的な工程断面図である。図2中のかっこ数字は以下に説明する製造工程に対応している。図2を参照してこの製造工程を説明する。
【0021】
(1)抵抗率が20Ω・cm程度のP型シリコン基板に、ボロンを例えば50KeV、1.0×1016cm-2程度の条件でイオン注入する。その後、1150℃、8時間の条件で熱拡散処理を行ない、P型ウエル1を形成する。写真製版技術及びエッチング技術を用いてP型ウエル1表面に溝を形成する。その溝にシリコン酸化膜を埋め込んで、MOSトランジスタの形成領域を画定するための素子分離用のSTI3を形成する。ここで、P型ウエルを形成するためのボロン注入時のドーズ量として1.0×1016cm-2程度の条件を用いているが、これに限定されるものではない。また、MOSトランジスタの形成領域を画定するための素子分離用絶縁膜はSTI3に限らず、他の絶縁膜、例えばLOCOS(local oxidation of silicon)酸化膜であってもよい。
【0022】
(2)熱酸化処理を施してP型ウエル1表面にゲート酸化膜5を10nm(ナノメートル)程度の膜厚で形成する。ゲート酸化膜5上及びSTI3上にポリシリコン膜を300nm程度の膜厚で形成する。そのポリシリコン膜を写真製版技術及びエッチング技術を用いてパターニングしてポリシリコン膜パターンからなるゲート電極7を形成する。
【0023】
(3)写真製版技術により、ドレイン形成予定位置に開口をもつフォトレジスト15を形成する。フォトレジスト15の開口にはドレイン形成予定位置のP型ウエル1部分、並びにドレイン形成予定位置の近傍のゲート電極7端部及びSTI3の端部が露出している。ソース形成予定位置のP型ウエル1部分はフォトレジスト15によって覆われている。リンを例えば30keV、5.0×1013cm-2程度の条件でイオン注入する。図2(3)では注入したリンを符号13dで示している。
【0024】
(4)フォトレジスト15を除去する。HTO膜を150nm程度の膜厚で堆積形成する。HTO膜に対してエッチバック処理を施して、ゲート電極7の側面にサイドウォールスペーサ9を形成する。
【0025】
(5)写真製版技術により、ソース形成予定位置及びドレイン形成予定位置に開口をもつフォトレジスト17を形成する。ドレイン形成予定位置に対応するフォトレジスト17の開口には、ドレイン形成予定位置のP型ウエル1部分、並びにドレイン形成予定位置の近傍のゲート電極7端部、サイドウォールスペーサ9及びSTI3の端部が露出している。ソース形成予定位置に対応するフォトレジスト17の開口には、ソース形成予定位置のP型ウエル1部分及びソース形成予定位置の近傍のSTI3の端部が露出している。例えばヒ素を50keV、5.0×1015cm-2程度の条件でイオン注入する。レジストパターン17を除去する。900℃、60分の条件で熱拡散処理を施して高濃度拡散層11sからなるソースを形成し、高濃度拡散層11d及び低濃度拡散層13dからなるドレインを形成する。この製造方法例では、フォトレジスト17はソース形成予定位置とゲート電極7の間のP型ウエル1部分上も覆っている。ただし、ソースとゲート電極7の間の設定寸法によっては、ソース形成予定位置に隣接するサイドウォールスペーサをイオン注入マスクとしてもよい。
【0026】
図3及び図4は、図1に示した実施例についてソース−ゲート電極間の距離Aを0.0μm〜0.5μmの間で0.1μm単位で変化させたときの温度特性を示す図である。図3には距離Aが0.0μm、0.1μm、0.2μmのものを示し、図4には距離Aが0.3μm、0.4μm、0.5μmのものを示す。図3及び図4において縦軸はドレイン電流(単位はアンペア(A))を示し、横軸はドレイン電圧(単位はボルト(V))を示す。なお、縦軸の「E」は10のべき乗を示す。ここではチャネル幅を25μmとし、ソースと基板を接地電圧に接続し、ゲート電極に6Vの電圧を印加した。
【0027】
図3のA=0.0μmのグラフに示すように、上方から見てソースとゲート電極が隣接しているMOSトランジスタは、温度が上昇するにつれてドレイン電流が低下する温度特性をもっている。
これに対し、図3のA=0.2μmのグラフ、図4のA=0.3μmのグラフ、図4のA=0.4μmのグラフ、図4のA=0.5μmのグラフに示すよう、上方から見てソースとゲート電極を一定寸法以上の間隔をもって配置したMOSトランジスタは、温度が上昇するにつれてドレイン電流が増加する温度特性をもっているのがわかる。
また、図3のA=0.5μmのグラフから分かるように、ソース−ゲート電極間の距離Aを調整することにより、ドレイン電流の飽和領域においてほとんど温度依存性をもたないMOSトランジスタを形成することもできる。
【0028】
図5は、図1に示した実施例についてソース−ゲート電極間の距離Aを0.2μm〜0.5μmの間で0.1μ単位で変化させたときの温度特性を示す図である。図5において縦軸はドレイン電流(単位はアンペア(A))を示し、横軸は温度(単位は℃)を示す。なお、縦軸の「E」は10のべき乗を示す。ここではチャネル幅を25μmとし、ソースと基板を接地電圧に接続し、ドレイン及びゲート電極に6Vの電圧を印加した。
【0029】
図5から、同一のバイアス条件下では、ソース−ゲート電極間の距離Aが大きくなるほどドレイン電流が低下するのがわかる。
【0030】
図6は、図1に示した実施例についてソース−ゲート電極間の距離Aを0.2μm〜0.5μmの間で0.1μ単位で変化させるとともに、距離Aが大きいものほど大きいチャネル幅寸法をもたせたときの温度特性を示す図である。図6において縦軸はドレイン電流(単位はアンペア(A))を示し、横軸は温度(単位は℃)を示す。なお、縦軸の「E」は10のべき乗を示す。ここではソースと基板を接地電圧に接続し、ドレイン及びゲート電極に6Vの電圧を印加した。また、距離A=0.2μmのMOSトランジスタのチャネル幅を25μm、距離A=0.3μmのMOSトランジスタのチャネル幅を125μm、距離A=0.4μmのMOSトランジスタのチャネル幅を3000μm、距離A=0.5μmのMOSトランジスタのチャネル幅を62500μmとした。
【0031】
図6から、ソース−ゲート電極間の距離Aが大きいものほど大きいチャネル幅寸法を備えているようにすれば、同じバイアス条件下で各MOSトランジスタにおいて同程度の電流を流すことができるようになるのがわかる。また、互いにソース−ゲート電極間の距離A及びチャネル幅の寸法が異なる4つのMOSトランジスタでは、温度特性の傾斜が互いに異なっていることも分かる。
【0032】
図7は他の実施例を説明するための図表である。
同一基板上に、図1に示したMOSトランジスタと同様の構造をもつ3つのMOSトランジスタを形成する。ここではMOSトランジスタとして、図6で用いたMOSトランジスタのうちソース−ゲート電極間の距離Aが0.3μm、0.4μm、0.5μmのものを用いた。これらのMOSトランジスタの温度特性は図6に示したものと同じである。
同一基板上に基準電流Irefを発生させるための基準電流発生回路を形成する。さらに、同一基板上に、基準電流IrefとMOSトランジスタのドレイン電流とを比較するための比較回路を3つのMOSトランジスタごとに形成する。
【0033】
基準電流Irefを例えば3.0×10-4Aとする。このとき、例えば、25℃の場合、図6も参照すると、距離Aが0.3μm、0.4μm、0.5μmのMOSトランジスタは出力電流が3.0×10-4A以下のため、それらのMOSトランジスタが接続された比較回路の出力は「L」である。
【0034】
さらに、50℃の場合、距離Aが0.4μm、0.5μmのMOSトランジスタは出力電流が3.0×10-4A以下のため、それらのMOSトランジスタが接続された比較回路の出力は「L」である。これに対し、距離Aが0.3μmのMOSトランジスタは出力電流が3.0×10-4A以上であるため、そのMOSトランジスタが接続された比較回路の出力は「H」である。
また、100℃の場合、距離Aが0.3μm、0.4μm、0.5μmのMOSトランジスタは出力電流が3.0×10-4A以上であるため、それらのMOSトランジスタが接続された比較回路の出力は「H」である。
【0035】
このように、比較回路により3つのMOSトランジスタの出力電流と基準電流Irefとを比較することで、温度を読み取ることができる。
さらに、ソース−ゲート電極間の距離A及びチャネル幅Wなどを調整した多数のMOSトランジスタを配置することにより、さらに細かな温度を読み取ることが可能となる。
【0036】
また、基準電流発生回路として様々な回路が提案されているが、例えば、図6で用いた距離A=0.2μm、チャネル幅W=25μmのMOSトランジスタを用いてもよい。この場合、図6からわかるように、50℃、75℃、100℃について温度検出が可能になる。
【0037】
以上、本発明の実施例を説明したが、材料、形状、配置等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0038】
例えば、上記実施例では、MOSトランジスタとしてドレインが二重拡散構造のものをもちいているが、ドレインは単層の拡散層によって形成されていてもよい。また、ソースは二重拡散構造であってもよい。すなわち、本発明の半導体装置において、MOSトランジスタで、上方から見て、ソースはゲート電極とは間隔をもつ位置に形成され、ドレインはゲート電極に隣接又は一部重複する位置に形成されていればよい。
【0039】
また、上記実施例ではMOSトランジスタとしてNチャネルMOSトランジスタを用いているが、PチャネルMOSトランジスタを用いた場合であっても同様の作用及び効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一実施例を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示した半導体装置の製造工程を説明するための概略的な工程断面図である。
【図3】図1に示した実施例についてソース−ゲート電極間の距離Aを0.0μm〜0.2μmの間で0.1μm単位で変化させたときの温度特性を示す図である。縦軸はドレイン電流(単位はアンペア(A))を示し、横軸はドレイン電圧(単位はボルト(V))を示す。
【図4】図1に示した実施例についてソース−ゲート電極間の距離Aを0.3μm〜0.5μmの間で0.1μm単位で変化させたときの温度特性を示す図である。縦軸はドレイン電流(単位はアンペア(A))を示し、横軸はドレイン電圧(単位はボルト(V))を示す。
【図5】図1に示した実施例についてソース−ゲート電極間の距離Aを0.2μm〜0.5μmの間で0.1μ単位で変化させたときの温度特性を示す図である。縦軸はドレイン電流(単位はアンペア(A))を示し、横軸は温度(単位は℃)を示す。
【図6】図1に示した実施例についてソース−ゲート電極間の距離Aを0.2μm〜0.5μmの間で0.1μ単位で変化させるとともに、距離Aが大きいものほど大きいチャネル幅寸法をもたせたときの温度特性を示す図である。縦軸はドレイン電流(単位はアンペア(A))を示し、横軸は温度(単位は℃)を示す。
【図7】他の実施例を説明するための図表である。
【図8】従来のLDD構造MOSトランジスタを示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 P型ウエル(半導体層)
3 STI
5 ゲート酸化膜(ゲート絶縁膜)
7 ゲート電極
9 サイドウォールスペーサ
11s ソース用の高濃度拡散層
11d ドレイン用の高濃度拡散層
13d ドレイン用の低濃度拡散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層に互いに間隔をもって形成されたソース及びドレインと、ソースとドレインの間の半導体層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極とをもつMOSトランジスタを備えた半導体装置において、
前記MOSトランジスタで、上方から見て、前記ソースは前記ゲート電極とは間隔をもつ位置に形成され、前記ドレインは前記ゲート電極に隣接又は一部重複する位置に形成されており、
上方から見た前記ソースと前記ゲート電極の間の距離は前記MOSトランジスタが温度上昇に対してドレイン電流が増加するドレイン電流−温度特性をもつ寸法に設定されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
上方から見た前記ソースと前記ゲート電極の間の距離が互いに異なっている複数の前記MOSトランジスタを同一半導体層上に備えている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のMOSトランジスタにおいて、上方から見た前記ソースと前記ゲート電極の間の距離が大きいものほど大きいチャネル幅寸法を備えている請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
基準電流発生回路と、前記基準電流発生回路から出力される基準電流と前記MOSトランジスタのドレイン電流とを比較する比較回路を前記複数のMOSトランジスタごとに備えている請求項3に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−50233(P2010−50233A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212189(P2008−212189)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】