説明

地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置

【課題】地震発生時に、震源との距離、あるいは地震到達予測時刻における車両の走行位置と、その位置における予測震度の大きさに応じて適切な地震報知を行う。
【解決手段】車載ナビゲーション装置20は、車両の現在位置含む車両走行情報を取得して地震情報配信サーバに送信する車両走行情報取得手段19と、地震発生時に地震情報配信サーバから受信した地震情報を、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態で報知する出力手段17と、出力手段17に出力する地震情報の報知形態を選択する報知形態選択手段24と、地震発生時に地震情報配信サーバが車両走行情報に基づいて送信する地震情報を受信して、自車両への影響の度合いを判別する地震情報判別手段21とを備え、報知形態選択手段24は、地震情報判別手段21の判別結果に基づいて、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態を選択し、出力手段17から地震情報を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急地震速報を配信する地震情報配信サーバから地震情報を受信する機能を有する車載ナビゲーション装置に関するものであり、特に、所定の時間間隔で車両の現在位置、走行速度、経路情報などの車両走行情報を地震情報配信サーバに送信し、地震発生時に地震情報配信サーバから車両の現在位置に応じて配信される、震源の位置、主要動の到達予想時刻、予想震度などの地震情報を受信し、震源地までの距離や予測震度の段階に応じて、異なる報知方法により地震情報を報知するようにした緊急地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
緊急地震速報は、地震の発生直後に、震源に近い地震計でとらえた観測データを解析して震源の位置や地震の規模(マグニチュード)を直ちに推定し、これに基づいて各地での主要動の到達時刻や震度を推定し、可能な限り素早く知らせる情報である。この緊急地震速報は、オンラインで接続された情報機器であれば、発表される情報に対し予めプログラミングすることで、テレビやラジオでの放送、学校等への通知、列車の制御等、様々な活用が可能である。
【0003】
このような緊急地震速報の活用技術として、例えば、下記の特許文献1(特開2006−148222号公報)では、公衆電話網を介して携帯電話端末に地震情報を配信する緊急地震速報配信システムが提案されている。
【0004】
この緊急地震速報配信システムは、気象庁から受信した緊急地震速報を各地に設置されている携帯電話の基地局に配信し、該緊急地震速報に基づいて、各基地局で、その設置地点における予想震度、主要動が到達するまでの余裕時間等からなる緊急地震予測情報を生成する。そして、それぞれの基地局から、予め契約された携帯電話端末に対して、生成した緊急地震予測情報を配信し、携帯電話端末それを表示するというものである。
【0005】
さらに、この特許文献1には、FM多重放送局やビーコン局を介して緊急地震速報を地震情報受信端末に配信し、各地震情報受信端末では、受信した緊急地震速報と自己の現在位置情報とに基づいて、現在位置における予測震度と到達猶予時間を算出し、それを表示してユーザに報知することも示されている。
【0006】
また、地震発生時に地震情報センターから地震情報を受信し、車両の走行状態に応じた指示を行えるように考慮した車載地震警報装置が、下記の特許文献2(特開2007−206915号公報)に開示されている。この車載地震警報装置は、地震発生時に地震情報センターから送信される地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて自車両の走行地点における予測震度を算出し、算出した予測震度が所定値以上であるか否かを判定するように構成され、予測震度が所定値以上であれば自車両が安全な地域を走行中であるか否かを判定する。
【0007】
自車位置が、住宅密集地域や、橋の上、トンネル内、高架の上または下などの場所、津波の危険性がある海岸付近など、地震に対する安全度の低い地域や場所に該当するか否かを判別し、安全でない地域を走行している場合は、自車両を安全な地域へ移動するよう運転者へ指示するようにしたものである。また、この特許文献2には、各車載地震警報装置から現在位置情報を地震情報センターに送信し、地震情報センターにおいて各車両が安全な地域を走行中であるか否かを判別し、危険な地域を走行中の車両に対してのみ安全な地域へ誘導する指示を送信する構成とすることも開示されている。
【特許文献1】特開2006−148222号公報
【特許文献2】特開2007−206915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2に開示された車載地震警報装置によれば、地震が発生した場合に、車両が走行している位置周辺の予測震度に基づいて、所定の震度を超える震度が予測される場合に、車両が住宅密集地域や、橋の上、トンネル内、高架の上または下などの危険な地域を走行している場合に、安全な地域に誘導することが可能になる。
【0009】
一般的に地震発生時に車両で走行している場合、静止状態や歩行状態と異なり、地震の揺れと車両の揺れとを識別できず、地震の到達に気がつかない場合が多い。車両の走行地点が震源から近く大きな震度が予測される場合、走行地点が震源から遠く、それ程大きな震度が予測されない場合など、種々のケースがあり、予測震度がそれ程大きくない場合であっても、ハンドル操作や車両の安全走行の維持に支障をきたす恐れがある。
【0010】
しかしながら、上記特許文献2に開示された車載地震警報装置においては、予測震度が所定の震度を超える場合にのみ、安全な地域を走行しているか否かを判別し、車両の走行状態に応じた指示をするものであり、震源の位置が遠い場合や、予測震度が所定の震度を超えない場合については、考慮されておらず、上記のような問題点が生ずる。
【0011】
すなわち、車両が現在走行中の地点において地震情報を受信しても、震源地が遠くであり、車両が走行中の地域へ地震が到達するまでの時間が長く、予測震度が小さい場合と、震源地が近くであり、車両が走行中の地域へ地震が到達するまでの時間が短く、予測震度が大きい場合であっても同じようにユーザに地震情報が報知され、ユーザにおいて緊急度や予測される影響の大小が識別できないという問題点が生じる。
【0012】
また、通常、車両の移動速度は早いので、車両が現在走行中の地点において地震情報を受信しても、予測到達時間が長い場合には、その間に車両が移動する距離も大きくなるので、地震到達予測時刻に車両が所在している地点での地震到達時刻や予測震度が大きくずれることも予想される。特許文献2に開示された車載地震警報装置では、地震到達予測時刻において車両が所在する地点の地震到達予想時刻や予想震度を取得することができず、また、地震情報センターに各車両の現在位置を送信しても、車両が危険な地域を走行中でない場合には、地震情報が報知されないという問題点がある。
【0013】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、所定の時間間隔で車両の現在位置、走行速度、経路情報などの車両走行情報を地震情報配信サーバに送信し、地震発生時に地震情報配信サーバから車両の現在位置に応じて配信される、震源の位置、主要動の到達予想時刻、予想震度などの地震情報を受信し、震源地までの距離や予測震度の段階に応じて、異なる報知方法により地震情報を報知するようになせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、地震発生時に、震源との距離、あるいは地震到達予測時刻における車両の走行位置と、その位置における予測震度の大きさに応じて適切な地震報知を行うことができる緊急地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
登録された端末装置に地震情報を配信する地震情報配信サーバであって、地震発生時の観測データに基づいて、前記端末装置の位置に応じて算出した地震情報を配信する地震情報配信サーバに、ネットワークを介して接続される地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置は、少なくとも車両の現在位置を含む車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、
前記取得された車両走行情報を前記地震情報配信サーバに送信し、また地震発生時に前記地震情報配信サーバが前記車両走行情報に基づいて配信する地震情報を受信する送受信手段と、
地震発生時に前記送受信手段を介して前記地震情報配信サーバから受信した地震情報を、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態で報知する出力手段と、
前記出力手段から出力する前記地震情報の報知形態を選択する報知形態選択手段と、
前記送受信手段を介して受信した地震情報に基づき自車両への影響の度合いを判別する地震情報判別手段と、を備え、
前記地震情報配信サーバから配信される地震情報は、震源の情報を含み、前記地震情報判別手段は、自車両から震源までの距離が所定の値を超えるか否かを判別することで自車両への影響の度合いを判別し、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段の判別結果に基づいて、前記複数の異なる報知形態の何れかの報知形態を選択し、前記出力手段から前記地震情報を報知することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項2にかかる発明は、
登録された端末装置に地震情報を配信する地震情報配信サーバであって、地震発生時の観測データに基づいて、前記端末装置の位置に応じて算出した地震情報を配信する地震情報配信サーバに、ネットワークを介して接続される地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置は、少なくとも車両の現在位置を含む車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、
前記取得された車両走行情報を前記地震情報配信サーバに送信し、また地震発生時に前記地震情報配信サーバが前記車両走行情報に基づいて配信する地震情報を受信する送受信手段と、
地震発生時に前記送受信手段を介して前記地震情報配信サーバから受信した地震情報を、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態で報知する出力手段と、
前記出力手段から出力する前記地震情報の報知形態を選択する報知形態選択手段と、
前記送受信手段を介して受信した地震情報に基づき自車両への影響の度合いを判別する地震情報判別手段と、を備え、
前記地震情報配信サーバから配信される地震情報は、前記端末装置の位置に応じて算出された予測震度の情報を含み、前記地震情報判別手段は、前記予測震度が所定の値を超えるか否かを判別することで自車両への影響の度合いを判別し、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段の判別結果に基づいて、前記複数の異なる報知形態の何れかの報知形態を選択し、前記出力手段から前記地震情報を報知することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記車載ナビゲーション装置は指定された地点間の経路を探索する経路探索手段を備え、前記車両走行情報は、車両の速度および前記経路探索手段により探索された車両の経路情報を含み、
前記地震情報配信サーバから配信される地震情報は、前記車両の現在位置に対する地震の到達予測時刻と、前記車両の現在位置と車両の速度および経路情報に基づいて算出された車両が前記到達予測時刻までに走行し位置すると予測される車両予測位置に基づいて算出された地震情報であり、前記地震情報判別手段は、前記車両予測位置に基づいて求められた地震情報に基づいて、自車両への影響の度合いを判別することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記地震情報受信機能を有するナビゲーション装置は、前記地震情報配信サーバから受信する車両の現在位置に基づいて算出された前記車両の現在位置に対する地震の到達予測時刻を含む地震情報に基づいて、車両が前記到達予測時刻までに走行し位置すると予測される車両予測位置を算出して前記地震情報配信サーバに送信し、
前記地震情報配信サーバから、前記車両予測位置に基づいて算出された地震情報を受信することを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記地震情報の複数の報知形態は、少なくとも前記出力手段を用いて音声と表示により報知する形態と、前記出力手段を用いて表示のみにより報知する形態であり、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段が判別した自車両への影響の度合いに応じて前記報知形態の何れかを選択することを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記地震情報受信機能を有するナビゲーション装置は、放送受信手段を備え、前記出力手段を用いて前記放送受信手段が受信した放送を視聴する機能を有し、前記地震情報の報知形態は、強制的に前記放送受信手段による地震に関するニュースを受信する報知形態を含み、前記地震情報受信機能を有するナビゲーション装置が前記放送受信手段により放送を視聴中である場合、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段が判別した自車両への影響の度合いに応じて、強制的に前記放送受信手段による地震に関するニュースを受信する報知形態を選択することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1にかかる発明においては、
登録された端末装置に地震情報を配信する地震情報配信サーバであって、地震発生時の観測データに基づいて、前記端末装置の位置に応じて算出した地震情報を配信する地震情報配信サーバに、ネットワークを介して接続される地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置は、少なくとも車両の現在位置を含む車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、
前記取得された車両走行情報を前記地震情報配信サーバに送信し、また地震発生時に前記地震情報配信サーバが前記車両走行情報に基づいて配信する地震情報を受信する送受信手段と、
地震発生時に前記送受信手段を介して前記地震情報配信サーバから受信した地震情報を、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態で報知する出力手段と、
前記出力手段から出力する前記地震情報の報知形態を選択する報知形態選択手段と、
前記送受信手段を介して受信した地震情報に基づき自車両への影響の度合いを判別する地震情報判別手段と、を備え、
前記地震情報配信サーバから配信される地震情報は、震源の情報を含み、前記地震情報判別手段は、自車両から震源までの距離が所定の値を超えるか否かを判別することで自車両への影響の度合いを判別し、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段の判別結果に基づいて、前記複数の異なる報知形態の何れかの報知形態を選択し、前記出力手段から前記地震情報を報知する。
【0022】
かかる構成によれば、地震情報を、音声と表示あるいは表示のみの報知など、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態で報知することができ、地震発生時に、車両の位置に基づいて地震情報配信サーバから送信される震源の情報を含む地震情報を受信し、車両の現在位置から震源までの距離によって自車両への地震の影響を判別でき、それに応じた報知形態を選択できるようになる。ユーザは報知形態の相違により自車両への地震の影響の度合いを認識することができるようになる。
【0023】
請求項2にかかる発明においては、
登録された端末装置に地震情報を配信する地震情報配信サーバであって、地震発生時の観測データに基づいて、前記端末装置の位置に応じて算出した地震情報を配信する地震情報配信サーバに、ネットワークを介して接続される地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置は、少なくとも車両の現在位置を含む車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、
前記取得された車両走行情報を前記地震情報配信サーバに送信し、また地震発生時に前記地震情報配信サーバが前記車両走行情報に基づいて配信する地震情報を受信する送受信手段と、
地震発生時に前記送受信手段を介して前記地震情報配信サーバから受信した地震情報を、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態で報知する出力手段と、
前記出力手段から出力する前記地震情報の報知形態を選択する報知形態選択手段と、
前記送受信手段を介して受信した地震情報に基づき自車両への影響の度合いを判別する地震情報判別手段と、を備え、
前記地震情報配信サーバから配信される地震情報は、前記端末装置の位置に応じて算出された予測震度の情報を含み、前記地震情報判別手段は、前記予測震度が所定の値を超えるか否かを判別することで自車両への影響の度合いを判別し、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段の判別結果に基づいて、前記複数の異なる報知形態の何れかの報知形態を選択し、前記出力手段から前記地震情報を報知する。
【0024】
かかる構成によれば、車両に到達すると予測される地震の予測震度によって自車両への地震の影響を判別でき、それに応じた報知形態を選択できるようになる。ユーザは報知形態の相違により自車両への地震の影響の度合いを認識することができるようになる。
【0025】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかる地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、前記車載ナビゲーション装置は指定された地点間の経路を探索する経路探索手段を備え、前記車両走行情報は、車両の速度および前記経路探索手段により探索された車両の経路情報を含み、前記地震情報配信サーバから配信される地震情報は、前記車両の現在位置に対する地震の到達予測時刻と、前記車両の現在位置と車両の速度および経路情報に基づいて算出された車両が前記到達予測時刻までに走行し位置すると予測される車両予測位置に基づいて求められた地震情報であり、前記地震情報判別手段は、前記車両予測位置に基づいて算出された地震情報に基づいて、自車両への影響の度合いを判別する。
【0026】
かかる構成によれば、車載ナビゲーション装置は、地震発生時において車両への主要動の到達予測時刻までの間に車両が走行して到達する車両予測位置に基づいて算出された地震情報を受信することができるから、より誤差の少ない地震情報を得ることができ、自車両への地震の影響の度合いを正しく判別することができるようになる。
【0027】
請求項4にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかる地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、該地震情報受信機能を有するナビゲーション装置は、前記地震情報配信サーバから受信する車両の現在位置に基づいて算出された前記車両の現在位置に対する地震の到達予測時刻を含む地震情報に基づいて、車両が前記到達予測時刻までに走行し位置すると予測される車両予測位置を算出して前記地震情報配信サーバに送信し、
前記地震情報配信サーバから、前記車両予測位置に基づいて算出された地震情報を受信する。
【0028】
かかる構成によれば、車載ナビゲーション装置は、地震発生時において車両への主要動の到達予測時刻までの間に車両が走行して到達する車両予測位置に基づいて算出された地震情報を受信することができるから、より誤差の少ない地震情報を得ることができ、自車両への地震の影響の度合いを正しく判別することができるようになる。
【0029】
請求項5にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかる地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、地震情報の複数の報知形態は、少なくとも前記出力手段を用いて音声と表示により報知する形態と、前記出力手段を用いて表示のみにより報知する形態であり、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段が判別した自車両への影響の度合いに応じて前記報知形態の何れかを選択する。
【0030】
かかる構成によれば、地震発生時に、車両の位置に基づいて地震情報配信サーバから送信される震源、主要動の到達予測時刻、予測震度などの地震情報を受信し、自車両への地震の影響の度合いを判別して、その判別結果に応じて、表示のみの報知、あるいは、表示と音声による報知の何れかを選択して地震情報を報知するから、ユーザは報知形態により自車両への地震の影響の度合いを認識することができるようになる。
【0031】
請求項6にかかる発明においては、請求項5にかかる地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、該地震情報受信機能を有するナビゲーション装置は、放送受信手段を備え、前記出力手段を用いて前記放送受信手段が受信した放送を視聴する機能を有し、前記地震情報の報知形態は、強制的に前記放送受信手段による地震に関するニュースを受信する報知形態を含み、前記地震情報受信機能を有するナビゲーション装置が前記放送受信手段により放送を視聴中である場合、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段が判別した自車両への影響の度合いに応じて、強制的に前記放送受信手段による地震に関するニュースを受信する報知形態を選択する。
【0032】
かかる構成によれば、地震情報受信機能を有するナビゲーション装置は、放送受信中であっても、地震発生時に地震情報配信サーバから地震情報を得ることができ、また、自車両への地震の影響の度合いに応じて、放送受信手段による地震に関するニュースに強制的に切換えて報知することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための緊急地震速報受信機能を有するナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明の一実施例にかかる車載用ナビゲーション装置などの移動端末を有する地震情報配信システムの概略構成を示す図である。この地震速報配信システムは、地震計1、気象庁2、地震情報配信サーバ3、固定電話機5、車載用ナビゲーション装置などの移動端末7、移動端末7と通信するための基地局6などを備えており、地震情報配信サーバ3と固定電話機5はインターネット網4を介して接続され、また、地震情報配信サーバ3と移動端末7は基地局6及びインターネット網4を介して接続される構成になっている。ここで、固定電話機5、移動端末7はそれぞれ地震情報の配信契約をしているものとする。
【0035】
図2は、本発明の実施例にかかる車載用ナビゲーション装置20の構成を示すブロック図である。以下の説明においては、図1に示す移動端末7が車載ナビゲーション装置20である場合を例に説明する。
【0036】
車載ナビゲーション装置20は、図2に示すように、制御手段10、地図記憶手段11、経路探索手段12、経路案内手段13、現在位置検出手段14、放送受信手段15、通信手段16、出力手段17、操作入力手段18、車両走行情報取得手段19、地震情報判別手段21、報知形態選択手段24などを備えて構成されている。制御手段10は、ROM101、RAM102を有するマイクロプロセッサであり、ROM101に格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。
【0037】
地図記憶手段11は、各道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとし、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路ノードデータと道路リンクデータを含む道路データを記憶する。道路ノードデータには、道路ノードの番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれる。また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノードの番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータにはさらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別は、高速道路や有料道路の別および国道や都道府県道などの別を含む情報である。
【0038】
また、スピーカや液晶表示ユニットを含む出力手段17に地図画像を表示する際の背景データとなる海岸線、湖沼、河川形状、丘陵や山岳などの形状を示す自然地形のデータも道路データとともに地図記憶手段11に記憶される。制御手段10はこれらのデータを用いて出力手段17に表示する地図画像をVRAM(図示せず)に描画する。経路探索手段12により探索された最適経路(案内経路)の画像や車両の現在位置を示す現在位置マークの画像もVRAMに描画された地図画像上に重ね合わせられ描画される。
【0039】
更に地図記憶手段11には、交差点などの案内ポイントにおいて右左折のメッセージや音声ガイダンスに用いられる案内データが記憶され、経路案内手段13は、経路探索手段12により探索された最適経路(案内経路)のデータに基づいて、これらの案内データから適宜のメッセージや音声ガイダンスの案内データを組み合わせて経路案内データを生成する。
【0040】
地図記憶手段11に記憶された地図データは、通信手段16を用いてインターネットを介してサーバに接続し、サーバから最新の地図データをダウンロードして更新することができる。地図データに含まれる道路のデータは、道路(道路名称や道路ID)ごとに、各道路リンクのリンクID、始点ノード、終点ノード、道路の属性情報が記憶される。属性情報には、高速道路や国道、都道府県道などの道路種別や道路の幅員などの情報が記憶される。
【0041】
現在位置検出手段14は、例えばGPS受信機等で構成され、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの時刻情報を含む電波を受信し、それをもとに現在位置情報を算出するものである。さらに、現在位置検出手段14は、舵角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなる自立航法手段を併用するようにしてもよい。この場合、車両の走行距離と走行方位とをそれぞれ検出し、これらの値を基準位置に対して積算することによって現在位置を求める。この現在位置検出方法は、GPS受信と組み合わせることで、GPS電波を受信できないトンネル内や、誤差が生じやすい高層ビル街において効果を発揮する。
【0042】
操作入力手段18は、キー、スイッチ、ボタンなどからなり、経路探索の条件を設定したり、車載ナビゲーション装置20の各種機能の設定や選択に用いられる。出力手段17の表示画面にはタッチパネルを備え、表示画面に表示されるソフトキーを指でタッチすることにより所望の入力を行うことができる。従って、出力手段17に設けられたタッチパネルは、操作入力手段18の機能も兼ねるものである。
【0043】
経路探索手段12は、現在位置検出手段14が検出した車両の現在位置または操作入力手段18を用いて指定された出発地から指定された目的地を含む経路探索条件に基づいて地図記憶手段11に記憶された道路データを参照して、その間の最適経路を探索する。探索された最適経路を案内経路とし、経路案内手段13は、車両の現在位置と、前述のようにして生成した経路案内データに基づいて、地図記憶手段11から車両の現在位置を含む地図データを読み出して、出力手段17に地図、案内経路、車両の現在位置マークを表示し、経路を案内する。車両が交差点などの案内ポイントに接近すると、右左折などの案内(メッセージや音声ガイダンス)が出力手段17を介して出力される。
【0044】
放送受信手段15は、FM放送やテレビジョン放送を受信するためのものであり、車載ナビゲーション装置20において、所望のラジオ放送やテレビ放送を受信することができる。
【0045】
通信手段16は、インターネット網を通じて各種のサーバと通信するためのインタフェースであり、地震情報配信サーバ3(図1参照)から地震情報の配信サービスを受ける際に必要になる情報を送信し、また、地震発生時に、地震情報配信サーバ3から車両が所在する位置に応じた地震情報を受信するために用いられる。なお、車載ナビゲーション装置20は地震情報配信サーバ3から地震情報の配信サービスを受けるための利用契約やユーザ登録が地震情報配信サーバ3に対してなされているものとする。利用契約や登録に際して、ユーザIDや車載ナビゲーション装置20への情報配信の宛先(電子メールアドレス)などの情報が地震情報配信サーバ3に送られ、地震情報配信サーバ3はこれらの情報を記憶し、以後に車載ナビゲーション装置20から送信される情報はユーザIDに対応して記憶される。
【0046】
車載ナビゲーション装置20は、地震情報配信サーバ3に送信する車両の現在位置などの車両走行情報を取得するための車両走行情報取得手段19、地震情報配信サーバ3から受信する地震情報を記憶し、震源までの距離や予測震度などの自車両への影響の度合いを判別する地震情報判別手段21、地震の影響の度合いに応じて地震情報を報知する報知形態を選択する報知形態選択手段24を備えている。地震の影響の度合いとは、例えば、震源までの距離の大小や予測震度の大小である。
【0047】
地震報知の形態は、例えば、出力手段17を用いて音声と表示により報知する形態、表示のみにより報知する形態、放送受信手段15による受信チャンネルを、地震情報を伝えるニュースを受信するように切換えて報知する形態などであり、報知形態選択手段24は、地震情報判別手段21により判別された影響の度合いに応じて、何れかの報知形態を選択する。
【0048】
車載ナビゲーション装置20は、所望の出発地、目的地を設定して経路探索手段12により最適経路を探索し、その最適経路を案内経路として経路案内を受けて走行する。車載ナビゲーション装置20は、地震情報配信サーバ3から地震情報を受信するため、車両の現在位置を所定の時間間隔で地震情報配信サーバ3に送信する。このため、車両走行情報取得手段19は現在位置検出手段14が検出した現在位置の情報を取得し、通信手段16を介して地震情報配信サーバ3に送信する。
【0049】
いずれかの場所で地震が発生すると、気象庁2のコンピュータを通じて地震の発生時刻、発生場所(震源の位置)、規模(マグニチュード)の推定値、全国各地に予め設定された複数の地震予測地点における主要動の到達予想時刻や予測震度などを含む緊急地震速報が地震情報配信サーバ3に提供される(図1参照)。地震情報配信サーバ3は、各車載ナビゲーション装置20から受信した車両走行情報、すなわち、各車両の現在位置を用い、その位置を含む周辺のいくつかの地震予測地点における主要動の到達予想時刻、予測震度を算出し、車載ナビゲーション装置20に震源の位置情報とともに、車両の現在位置への主要動の到達予想時刻、予測震度を地震情報として送信する。
【0050】
車載ナビゲーション装置20は地震情報配信サーバ3から地震情報を受信すると地震情報判別手段21に一時記憶する。地震情報判別手段21は、距離判別部22を備えており、距離判別部22は車両の現在位置と地震情報に含まれる震源の位置から震源までの距離を算出し、震源までの距離が所定の距離を超えているか否かを判別する。
【0051】
車両の現在位置が震源から所定の距離以上であると判別されると、報知形態選択手段24は表示のみによる報知形態を選択し、出力手段17の表示画面に文字により地震情報(震源、主要動の到達予想時刻、予測震度など)を表示する。震源からの距離が所定の距離以下であると判別されると、報知形態選択手段24は、音声と表示による報知形態を選択し、出力手段17の表示画面に文字により地震情報(震源、主要動の到達予想時刻、予測震度など)を表示するとともに音声による地震情報の出力も行われる。
【0052】
図3は、本発明の実施例1にかかる車載ナビゲーション装置20の動作手順を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、車載ナビゲーション装置20において地震情報配信サーバ3から地震情報を受信する設定がオンの状態である場合の車載ナビゲーション装置20の動作手順を示すものである。また、車載ナビゲーション装置20が所望の出発地、目的地などの経路探索条件を設定して経路探索し、探索された案内経路の情報に従って経路案内を受けて走行中であるものとして説明する。従って、出力手段17の表示画面には、地図、案内経路、車両の現在位置マークが表示されている。
【0053】
ステップS101の処理で現在位置検出手段14は、車両の現在位置を検出する。ステップS102の処理で車両走行情報取得手段19は、現在位置検出手段14が検出した車両の現在位置を取得して、ユーザIDとともに通信手段16を介して地震情報配信サーバ3に送信する。いずれかの場所で地震が発生すると、地震情報配信サーバ3は、各車載ナビゲーション装置20から受信した車両走行情報、すなわち、各車両の現在位置を用い、その位置を含む周辺のいくつかの地震予測地点における主要動の到達時刻と予測震度を算出し、震源の情報とともに各車載ナビゲーション装置20に地震情報を配信する。
【0054】
ステップS103の処理で車載ナビゲーション装置20は地震情報配信サーバ3から地震情報を受信したか否かを判別する。地震情報を受信していなければステップS108の処理に進む。ステップS108の処理では地震情報の受信設定がオフか否かを判別し、地震情報の受信設定がオフにされていなければ、ステップS101の処理に戻り、地震情報の受信設定がオフされていれば処理を終了する。
【0055】
ステップS103で地震情報を受信したと判別されると、ステップS104の処理に進み、地震情報判別手段21は地震情報配信サーバ3から受信した地震情報に基づいて、自車の現在位置から震源までの距離を算出し、ステップS105の処理において距離判別部22は震源までの距離が所定の距離(所定値)を超えるか否かを判別する。震源までの距離が所定値以上である場合、ステップS107の処理に進み、報知形態選択手段24は表示のみによる報知形態を選択し、出力手段17の表示画面に地震情報配信サーバ3から受信した地震情報(震源、主要動の到達予測時刻、予測震度など)を表示してステップS108の処理に進む。
【0056】
ステップS105の判別処理で震源までの距離が所定値を超えないと判別されると、報知形態選択手段24は音声と表示の両方による報知形態を選択し、出力手段17の表示画面に地震情報配信サーバ3から受信した地震情報(震源、主要動の到達予測時刻、予測震度など)を表示するとともに音声出力をしてステップS108の処理に進む。ステップS108の処理では、前述した処理を終了するか否かの判別が行われる。
【0057】
なお、上記実施例1の説明においては、地震情報判別手段21において震源までの距離を算出し、距離判定部22により震源の位置までの距離が所定の値を超えているか否かを判別するものとしたが、現在の車両位置(現在位置)における予測震度が所定の値を超えているか否かを判別するようにしてもよい。
【0058】
また、車載ナビゲーション装置20は、放送受信手段15によりFM放送やテレビジョン放送を受信している場合、CDやDVDの視聴中にも、地震情報配信サーバ3から地震情報を受信することができる。その場合、地震情報判別の結果に応じて、視聴中の放送等において出力手段17に表示されている画面に字幕表示で地震情報を報知する報知形態や、地震情報を報じるニュース放送に強制的に切換える報知形態の何れかを選択する構成にすればよい。
【実施例2】
【0059】
上記実施例1においては、車両の現在位置から震源までの距離に応じて地震情報の報知形態を選択する例を説明したが、予測震度に応じて地震情報の報知形態を選択することもできる。図4は、予測震度により地震情報の報知形態を選択するようにした実施例2にかかる車載ナビゲーション装置20の構成を示すブロック図である。
【0060】
図4に示す車載ナビゲーション装置20の構成は、基本的に図2に示す車載ナビゲーション装置20の構成と同様であり、図2と相違する点は、地震情報判別手段21が予測震度判別部23を備えている点である。図2の構成要素と同一の構成要素は図2の参照番号と同一の参照番号を付しており、実施例1と重複する部分の説明は省略する。
【0061】
また、この実施例2においては車載ナビゲーション装置20が所望の出発地、目的地などの経路探索条件を設定して経路探索し、探索された案内経路の情報に従って経路案内を受けて走行中であり、放送受信手段15を用いてラジオ放送またはテレビジョン放送を受信中であるものとして説明する。地震報知の形態は実施例1と同様に、例えば、出力手段17を用いて音声と表示により報知する形態、表示のみにより報知する形態、放送受信手段15による受信チャンネルを、地震情報を伝えるニュースを受信するように切換えて報知する形態などであり、報知形態選択手段24は、地震情報判別手段21により判別された影響の度合いに応じて、何れかの報知形態を選択する。
【0062】
通常、車両の移動速度は早いので、車両が現在走行中の地点において地震情報を受信しても、予測される地震の到達時間が長い場合には、その間に車両が移動する距離も大きくなるので、地震の到達予測時刻に車両が所在している地点での地震到達時刻や予測震度が大きくずれることも予想される。そこで本実施例2にかかる車載ナビゲーション装置20において、車両走行情報取得手段19は、車両の現在位置、走行速度、経路探索手段12が探索した案内経路の情報を含む車両走行情報を取得して通信手段16を介して地震情報配信サーバ3に所定の時間間隔で送信し、地震情報配信サーバ3において車両の予測位置を算出し、その予測位置に応じた地震情報を車載ナビゲーション装置20に配信すれば、予測震度などのずれが抑えられる。
【0063】
このため、地震情報配信サーバ3は、各車載ナビゲーション装置20から送信される車両走行情報を利用し、地震情報を配信する際に、車両が位置する地域への主要動の到達予測時刻までに車両が走行して到達すると予測される予測位置(車両予測位置)を算出し、再度、予測位置に対する主要動の到達予測時刻と予測震度を求め、これを地震情報として配信するように構成される。
【0064】
車載ナビゲーション装置20において車両の現在位置は現在位置検出手段14から取得し、また、車両の速度は現在位置検出手段14に送られる車速センサの検出出力から取得することができる。経路の情報は経路案内手段13から取得することができる。現在位置および走行速度の情報は所定間隔で地震情報配信サーバ3に送信するが、経路の情報は初回のみ地震情報配信サーバ3に送信すればよく、経路の再探索などにより案内経路が変更された場合には新たな案内経路情報を送信する。
【0065】
図5は、地震情報配信サーバ3に記憶される各登録ユーザの車載ナビゲーション装置20から送信される車両走行情報を記憶する車両走行情報テーブルの構成の一例を示す図である。各車載ナビゲーション装置20からの車両走行情報は、ユーザIDをキー情報として、地震情報を配信する宛先情報、位置情報(緯度・経度)とその測位時刻、車速、経路情報が記憶される。車速は時速であり、経路情報はノード情報とリンク情報列として記憶される。
【0066】
いずれかの場所で地震が発生すると、気象庁2のコンピュータを通じて地震の発生時刻、発生場所(震源の位置)、規模(マグニチュード)の推定値、全国各地に予め設定された複数の地震予測地点における主要動の到達予想時刻や予測震度などを含む緊急地震速報が地震情報配信サーバ3に提供される(図1参照)。地震情報配信サーバ3は、各車載ナビゲーション装置20から受信した車両走行情報に含まれる車両の現在位置を用い、その位置を含む周辺のいくつかの地震予測地点における主要動の到達予想時刻を算出し、その到達予想時刻までに各車両が走行して到達すると予測される予測位置を算出する。次いで地震情報配信サーバ3は各車両の予測位置に、主要動が到達すると予測される到達予想時刻を改めて算出するとともに、予測位置における予測震度を算出して、震源の情報とともに各車両の車載ナビゲーション装置20に配信する。
【0067】
車載ナビゲーション装置20は地震情報配信サーバ3から地震情報を受信すると地震情報判別手段21に一時記憶する。地震情報判別手段21は、予測震度判別部23を備えており、予測震度判別部23は車両の予測位置における予測震度が所定の震度を超えているか否かを判別する。
【0068】
予測震度が所定の値より小さいと判別されると、報知形態選択手段24は放送受信手段15の受信を継続し、表示(字幕表示)のみによる地震情報の報知形態を選択し、出力手段17の表示画面に文字により地震情報(震源、主要動の到達予想時刻、予測震度など)を表示する。予測震度が所定の値を超える震度であると判別されると、報知形態選択手段24は、音声と表示による報知形態を選択し、出力手段17の表示画面に字幕により地震情報(震源、主要動の到達予想時刻、予測震度など)を表示するとともに音声による地震情報の出力も行い、更に、受信中の放送のチャンネルを地震のニュース放送に強制的に切り換える報知形態を選択する。この場合、例えば、予め報知形態として、NHK等の番組を登録しておき、地震情報判別手段21において、地震による自車への影響の度合いが大きいと判別されると、TV放送に切換えさらに登録した番組(NHK)を自動選択するように構成しておけばよい。
【0069】
図6は、本発明の実施例2にかかる車載ナビゲーション装置20の動作手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、車載ナビゲーション装置20において地震情報配信サーバ3から地震情報を受信する設定がオンの状態である場合の車載ナビゲーション装置20の動作手順を示すものである。
【0070】
車載ナビゲーション装置20はステップS201で出力手段17への出力を切換え、放送受信手段15によりFM放送の音楽やテレビジョン放送を視聴中である。ステップS202の処理で現在位置検出手段14は、車両の現在位置を検出する。ステップS203の処理で車両走行情報取得手段19は、車両の現在位置、車速の情報と、案内経路の情報を取得して、ユーザIDとともに通信手段16を介して地震情報配信サーバ3に送信する。
【0071】
いずれかの場所で地震が発生すると、地震情報配信サーバ3は、各車載ナビゲーション装置20から受信した車両走行情報、すなわち、各車両の現在位置を用い、その位置を含む周辺のいくつかの地震予測地点における主要動の到達予測時刻を算出し、車両の速度、経路の情報から、前記到達予想時刻までに車両が走行して位置(到達)すると予測される車両予測位置を算出する(ステップS204)。次いで、地震情報配信サーバ3は、車両予測位置に対して地震の主要動が到達すると予測される時刻(到達予想時刻)、予測震度を算出して震源の情報とともに地震情報を車載ナビゲーション装置20に送信する(ステップS205)。なお、これらのステップS204、S205の処理は地震情報配信サーバ3における処理である。
【0072】
ステップS206の処理で車載ナビゲーション装置20は地震情報配信サーバ3から地震情報を受信したか否かを判別する。地震情報を受信していなければステップS210の処理に進む。ステップS210の処理では地震情報の受信設定がオフか否かを判別し、地震情報の受信設定がオフにされていなければ、ステップS202の処理に戻り、地震情報の受信設定がオフされていれば処理を終了する。
【0073】
ステップS206で地震情報を受信したと判別されると、ステップS207の処理に進み、地震情報判別手段21は地震情報配信サーバ3から受信した地震情報に基づいて、自車の車両予測位置における予測震度を抽出し、予測震度判別部22は予測震度が所定の震度(所定値)を超えるか否かを判別する。予測震度が所定値よりも小さい場合、ステップS209の処理に進み、報知形態選択手段24は出力手段17への字幕表示による報知形態を選択し、出力手段17の表示画面に地震情報配信サーバ3から受信した地震情報(震源、主要動の到達予測時刻、予測震度など)を表示してステップS210の処理に進む。
【0074】
ステップS207の判別処理で予測震度が所定値を超えていると判別されると、ステップS208の処理で、報知形態選択手段24は音声と字幕表示の両方による報知を行い、視聴中のチャンネルをニュース放送に強制的に切換える報知形態を選択する。ステップS210の処理では、前述した処理を終了するか否かの判別が行われる。
【0075】
なお、上記実施例2の説明において、地震情報配信サーバ3が車両から受信する車両走行情報に基づいて、地震の到達予想時刻までの間に車両が走行して位置すると予測される地点(車両予測位置)を算出する構成としたが、車載ナビゲーション装置20側で地震情報を受信した際に、この車両予測位置を算出して地震情報配信サーバ3に送信し、地震情報配信サーバ3が改めて、車両予測位置に対する地震の主要動の到達予測時刻、予測震度を算出して地震情報を送信するように構成することもできる。
【0076】
また、実施例2において、車載ナビゲーション装置20はFM放送やテレビジョン放送を受信中である場合を例に説明したが、これに限ることなく、ナビゲーション機能のみを起動している場合にも適用することができる。その場合、地震情報判別の結果に応じて、表示のみによる報知、あるいは、音声と表示による報知形態を選択する構成にすればよい。
【0077】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる車載ナビゲーション装置20によれば、地震発生時に地震情報配信サーバ3から地震情報を受信し、その地震情報を、音声と表示あるいは表示のみの報知など、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態で報知することができ、地震発生時に、車両の位置に基づいて地震情報配信サーバから送信される震源、主要動の到達予測時刻、予測震度などの地震情報を受信し、自車両への地震の影響の度合いを判別して、その判別結果に応じて報知形態選択手段が出力手段に出力する地震情報の報知形態を選択することができるようになる。また、ユーザは報知形態により自車両への地震の影響の度合いを認識することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1にかかる車載用ナビゲーション装置などの移動端末を有する地震情報配信システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例1にかかる車載用ナビゲーション装置20の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1にかかる車載用ナビゲーション装置20の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2にかかる車載用ナビゲーション装置20の構成を示すブロック図である。
【図5】車両から送信される車両走行情報を記憶する車両走行情報テーブルの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例2にかかる車載用ナビゲーション装置20の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
20: 車載ナビゲーション装置
10: 制御手段
101: ROM
102: RAM
11: 地図記憶手段
12: 経路探索手段
13: 経路案内手段
14: 現在位置検出手段
15: 放送受信手段
16: 通信手段
17: 出力手段
18: 操作入力手段
19: 車両走行情報取得手段
21: 地震情報判別手段
22: 距離判別部
23: 予測震度判別部
24: 報知形態選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録された端末装置に地震情報を配信する地震情報配信サーバであって、地震発生時の観測データに基づいて、前記端末装置の位置に応じて算出した地震情報を配信する地震情報配信サーバに、ネットワークを介して接続される地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置は、少なくとも車両の現在位置を含む車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、
前記取得された車両走行情報を前記地震情報配信サーバに送信し、また地震発生時に前記地震情報配信サーバが前記車両走行情報に基づいて配信する地震情報を受信する送受信手段と、
地震発生時に前記送受信手段を介して前記地震情報配信サーバから受信した地震情報を、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態で報知する出力手段と、
前記出力手段から出力する前記地震情報の報知形態を選択する報知形態選択手段と、
前記送受信手段を介して受信した地震情報に基づき自車両への影響の度合いを判別する地震情報判別手段と、を備え、
前記地震情報配信サーバから配信される地震情報は、震源の情報を含み、前記地震情報判別手段は、自車両から震源までの距離が所定の値を超えるか否かを判別することで自車両への影響の度合いを判別し、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段の判別結果に基づいて、前記複数の異なる報知形態の何れかの報知形態を選択し、前記出力手段から前記地震情報を報知することを特徴とする地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
登録された端末装置に地震情報を配信する地震情報配信サーバであって、地震発生時の観測データに基づいて、前記端末装置の位置に応じて算出した地震情報を配信する地震情報配信サーバに、ネットワークを介して接続される地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置において、
前記地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置は、少なくとも車両の現在位置を含む車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、
前記取得された車両走行情報を前記地震情報配信サーバに送信し、また地震発生時に前記地震情報配信サーバが前記車両走行情報に基づいて配信する地震情報を受信する送受信手段と、
地震発生時に前記送受信手段を介して前記地震情報配信サーバから受信した地震情報を、複数の異なる報知形態の何れかの報知形態で報知する出力手段と、
前記出力手段から出力する前記地震情報の報知形態を選択する報知形態選択手段と、
前記送受信手段を介して受信した地震情報に基づき自車両への影響の度合いを判別する地震情報判別手段と、を備え、
前記地震情報配信サーバから配信される地震情報は、前記端末装置の位置に応じて算出された予測震度の情報を含み、前記地震情報判別手段は、前記予測震度が所定の値を超えるか否かを判別することで自車両への影響の度合いを判別し、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段の判別結果に基づいて、前記複数の異なる報知形態の何れかの報知形態を選択し、前記出力手段から前記地震情報を報知することを特徴とする地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記車載ナビゲーション装置は指定された地点間の経路を探索する経路探索手段を備え、前記車両走行情報は、車両の速度および前記経路探索手段により探索された車両の経路情報を含み、
前記地震情報配信サーバから配信される地震情報は、前記車両の現在位置に対する地震の到達予測時刻と、前記車両の現在位置と車両の速度および経路情報に基づいて算出された車両が前記到達予測時刻までに走行し位置すると予測される車両予測位置に基づいて求められた地震情報であり、前記地震情報判別手段は、前記車両予測位置に基づいて算出された地震情報に基づいて、自車両への影響の度合いを判別することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地震情報受信機能を有する車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地震情報受信機能を有するナビゲーション装置は、前記地震情報配信サーバから受信する車両の現在位置に基づいて算出された前記車両の現在位置に対する地震の到達予測時刻を含む地震情報に基づいて、車両が前記到達予測時刻までに走行し位置すると予測される車両予測位置を算出して前記地震情報配信サーバに送信し、
前記地震情報配信サーバから、前記車両予測位置に基づいて算出された地震情報を受信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地震情報受信機能を有するナビゲーション装置。
【請求項5】
前記地震情報の複数の報知形態は、少なくとも前記出力手段を用いて音声と表示により報知する形態と、前記出力手段を用いて表示のみにより報知する形態であり、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段が判別した自車両への影響の度合いに応じて前記報知形態の何れかを選択することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地震情報受信機能を有するナビゲーション装置。
【請求項6】
前記地震情報受信機能を有するナビゲーション装置は、放送受信手段を備え、前記出力手段を用いて前記放送受信手段が受信した放送を視聴する機能を有し、前記地震情報の報知形態は、強制的に前記放送受信手段による地震に関するニュースを受信する報知形態を含み、前記地震情報受信機能を有するナビゲーション装置が前記放送受信手段により放送を視聴中である場合、前記報知形態選択手段は、前記地震情報判別手段が判別した自車両への影響の度合いに応じて、強制的に前記放送受信手段による地震に関するニュースを受信する報知形態を選択することを特徴とする請求項5に記載の地震情報受信機能を有するナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−54331(P2010−54331A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219383(P2008−219383)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】