説明

基板処理装置

【課題】占拠床面積を減少しつつウエハ面内均一性を向上させる。
【解決手段】複数枚のウエハ200を保持して待機室と処理室との間を移動するボート217と、待機室に設置されボートに複数枚のウエハを一括して授受する授受装置50と、授受装置にウエハを移載するウエハ移載機構125とを備えた基板処理装置において、ボートにウエハをそれぞれ載置する載置面を複数設け、授受装置にはロータリーアクチュエータ53を設け、ロータリーアクチュエータの回転台55には支柱56を垂直に立設し、支柱には載置面外周を半分取り囲む形状の支持部57を載置面と同数設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)にプラズマ処理を施すのに利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICの製造方法においてウエハにプラズマ処理を施す場合には、枚葉式プラズマ処理装置を使用するのが一般的である。
しかしながら、枚葉式プラズマ処理装置はウエハを一枚ずつ処理するために、スループットが小さくなるという問題点がある。
また、枚葉式プラズマ処理装置はウエハを保持したサセプタだけが処理温度に加熱されるコールドウオール形が一般的であるために、ウエハ面内を均一に加熱することが困難であるという問題点がある。
【0003】
そこで、次のバッチ式プラズマ処理装置が、例えば、特許文献1に提案されている。
すなわち、このものは、処理室に複数枚のウエハを搬入搬出するボートの保持部材に複数段のサセプタ電極が架設されているとともに、複数枚のウエハを複数段のサセプタ電極に対して一括して授受するウエハ授受装置が処理室外に設置されており、ウエハ授受装置はウエハを授受する複数のウエハ受けと、複数のウエハ受けを一括して昇降させるエレベータと、複数のウエハ受けを一括してサセプタ電極に対して接近離間移動させるリニアアクチュエータと、から構成されている。
【特許文献1】特開2007−115822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記したバッチ式プラズマ処理装置においては、複数のウエハ受けを一括してサセプタ電極に対して接近離間させるリニアアクチュエータによって構成されているために、次のような問題点がある。
(1)ウエハ受けがウエハ外周縁辺の180度離間した部分を受けることになるために、4箇所の切欠部が必要になる。その分、ウエハ面内均一性が低下する。
(2)ウエハ受けが直線運動するために、移動スペースが大きくなるばかりでなく、メンテナンススペースを大きく確保する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、切欠部および占拠床面積を減少しつつ、処理の基板面内均一性を向上させることができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的なものは、次の通りである。
(1)複数枚の基板を保持して、待機室と処理室との間を移動するボートと、
前記待機室に設置され、前記ボートに前記複数枚の基板を授受する授受装置と、
前記待機室に設置され、前記授受装置に前記基板を移載する移載装置と、
を備えており、
前記ボートは前記基板をそれぞれ載置する載置面を複数有し、
前記授受装置は前記載置面外周を取り囲む支持部を前記載置面と同数有し、
前記授受装置に前記基板を載置する際に、前記支持部の中心が前記載置面の中心と略重なるようにそれぞれ配置する、
基板処理装置。
(2)前記授受装置は、回転機構を有し、前記回転機構より、前記支持部が前記載置面および退避部を旋回するように配置されることを特徴とする基板処理装置。
(3)前記授受装置は上下方向に移動可能に構成されていることを特徴とする前記(1)(2)に記載の基板処理装置。
(4)前記ボートは1軸を中心に旋回するように構成されていることを特徴とする前記(1)(2)(3)に記載の基板処理装置。
【発明の効果】
【0007】
この基板処理装置によれば、切欠部および占拠床面積を減少しつつ、処理の基板面内均一性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0009】
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、ICの製造方法において、ウエハに各種のプラズマ処理を施すバッチ式縦形ホットウオール形プラズマ処理装置(以下、基板処理装置という。)として、図1〜図6に示されているように構成されている。
なお、図1は、斜透視図として示されており、図2は図1に示す処理装置を側面から見た透視図として示されている。
【0010】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置100においては、シリコン等からなるウエハ(被処理基板)200を収納したウエハキャリアとしてフープ(基板収容器。以下ポッドという。)110が用いられる。
基板処理装置100の筐体111の正面壁111aの正面前方部にはメンテナンス可能な開口部として正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104、104がそれぞれ建て付けられている。筐体111の正面壁111aにはポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。
ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置して位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ロードポート114上から搬出されるようになっている。
【0011】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、回転式ポッド棚105は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117とを備えており、複数枚の棚板117はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
筐体111内において、ロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと、搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されている。ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間でポッド110を搬送する。
【0012】
筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120、120には一対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。
ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123、123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0013】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されており、ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転または直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bと、で構成されている。
【0014】
図1に模式的に示されているように、ウエハ移載装置エレベータ125bは、耐圧性の筐体111の右側端部とサブ筐体119の移載室124の前方領域右端部との間に設置されている。ウエハ移載装置エレベータ125bおよびウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウエハ200の載置部とし、ツイーザ125cによりボート(基板保持具)217へのウエハ200の装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)を実施する。
【0015】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機室126が構成されている。待機室126の上方には処理炉202が設けられ、処理炉202の下部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。
処理炉202には処理室(反応室ともいう)1が設けられている。処理室1は誘電体からなる処理室壁2とシールキャップ129とで気密に区画されており、ヒータ13が処理室壁2を取り囲むように設けられる。
【0016】
図1に模式的に示すように、筐体111の右側端部とサブ筐体119の待機室126の右端部との間には、ボート217を昇降させるボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台に連結された連結具としてのエレベータアーム128にはシールキャップ129が水平に据え付けられている。
シールキャップ129はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下部を開閉する蓋体として構成されている。ボート217には後述するように複数本の保持部材217aが設けられている。シールキャップ129はボートエレベータ115のエレベータアーム128に支持されている。
ボートエレベータ115により、エレベータアーム128が上昇して、シールキャップ129が処理炉202の処理室1を閉鎖すると、ボート217が処理室1に挿入、すなわち、搬入され、ボートエレベータ115によりエレベータアーム128が下降すると、処理室1からボート217が処理室1から搬出される。
【0017】
図1に模式的に示すように、移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側およびボートエレベータ115側と反対側である左側端部には、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給フアンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134が設置されている。ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、図示はしないが、ウエハ200の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置が設置される。
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ノッチ合わせ装置およびウエハ移載装置125a、待機室126にあるボート217に流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、筐体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出される。
【0018】
次に、以上の構成に係る基板処理装置の動作について説明する。
なお、以下の各構成の動きは、コントローラ150が制御する。
図1および図2に示すように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
搬入されたポッド110は回転式ポッド棚105の指定された棚板117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接、ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。
この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0019】
載置台122に載置されたポッド110は、その開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、キャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口を開放される。
ポッド110がポッドオープナ121によって開放されると、ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ノッチ合わせ装置に移載する。ノッチ合わせ装置にてウエハ200が整合された後に、移載室124の後方にある待機室126へ搬送され、後述する授受装置に装填(チャージング)される。
ウエハ移載装置125aは授受装置にウエハ200を受け渡した後は、ポッド110に戻って次のウエハ200を授受装置に装填する。
【0020】
一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハ200の授受装置への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には、回転式ポッド棚105から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0021】
予め指定された枚数のウエハ200が授受装置からボート217に授受される(後述する)と、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下部が、炉口シャッタ147によって、開放される。
続いて、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ129がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0022】
ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に任意の処理が実施される。
処理後は、ノッチ合わせ装置135でのウエハ200の整合工程を除き、概上述の逆の手順で、ウエハ200およびポッド110は筐体111の外部へ払出される。
【0023】
図3は本実施形態に係る基板処理装置の基本構成を示す解説図、図4は天板を取り外した状態のボート217の平面図、図5はボートの一例を示す解説図である。
図3に示されるように、処理室1には排気管6が連通しており、排気管6の下流に減圧排気装置としての真空ポンプ7が取り付けられる。ボート217および処理室壁2は、石英(石英ガラス等)、セラミックなど電気的に絶縁可能な誘電材料で構成される。
シールキャップ129に支持されたボート217は、例えば、図5に例示するように、円盤状の天板217bおよび底板217cと、天板217bと底板217cとを同心に且つ並行に接続する複数のロッド状の保持部材217aとを備えている。
ボート217には複数の電極体として複数の電極板201が多段に支持されていて、隣接する電極板201間に被処理基板としてのウエハ200(例えば、50枚〜125枚程度)が配置される。電極板201およびウエハ200は保持部材217aに支持される。各電極板201は耐熱性の高いメタル、Si、SiC等の導電性材料で構成される。保持部材217aの電極板支持用溝部217eには、奇数段の電極板201、偶数段の電極板201がそれぞれ支持される。
そして、図3に示すように、奇数段の電極板201、偶数段の電極板201にそれぞれ絶縁トランス12、整合器9、発信器8からなるプラズマ発生装置(プラズマ発生回路)が接続される。
なお、各電極板201の電気的配線は、シールキャップ129を貫通して処理炉202の外部に引き出された後、絶縁トランス12に接続される。
【0024】
基板処理装置100を用いてエッチング、成膜、改質等の基板処理を実施する際は、まず、ウエハ200をボート217に支持し、シールキャップ129で処理室1を閉鎖した状態で真空ポンプ7により処理室1内の雰囲気を排気する。
そして、処理室1の圧力が処理に適する最適な圧力に設定されると、処理室1に連通するガス供給管10から処理室1に処理ガスが供給される。
次に、発信器8から整合器9および絶縁トランス12を介して偶数段の電極板201と奇数段の電極板201とに位相が180度異なる交流電力(例えば、13.56MHz)が供給される。これにより、処理ガスが奇数段の電極板201の上面と被処理基板の間および被処理基板の上面と偶数段の電極板201の下面との間でそれぞれプラズマ化され、プラズマ化された処理ガスによって各ウエハ200が処理される。
この場合、処理ガスがエッチングガスのときはウエハ200がエッチングされ、処理ガスが成膜ガスのときはウエハ200の表面に成膜が形成され、改質ガスのときはウエハ200が改質される。いずれの場合でも処理ガスのプラズマ化によってガス中の反応成分の電子温度が高温になるのでダメージのない低温度での処理が可能となる。
また、電極板201がウエハ200よりも大径であり、ウエハ200と電極板201とが同心に位置決めされているので、面内一様な処理がなされる。
【0025】
なお、誘電材料としては石英(石英ガラス)が好ましい。石英は、耐熱性が高く、処理の際の反応ガス(原料ガス等の処理ガス)や反応後の反応副生成物と非反応な材料で反応副生成物が付着し難いので、反応副生成物の剥離・落下に起因する汚染を防止することができる利点がある。
【0026】
次に、図5および図6も参照して本実施形態に係る基板処理装置について具体的に説明する。図6は電極板201の支持構造および配線構造を示す解説図である。
図4および図5に示すように、ボート217の保持部材217aの外周部には軸方向に所定間隔を隔てて溝部(以下、電極板支持用溝部という)217eが設けられ、各電極板支持用溝部217eに電極板201が支持されている。各電極板201は円板状に形成されている。
被処理基板としてのウエハ200は、電極板支持用溝部217e間の中央に設けられた各保持部材217aの溝部(以下、基板支持用溝部という)217dに支持されていている。複数の保持部材217aは天板217bおよび底板217cの外周部の半分の領域に円周方向に間隔を隔てて配置され、電極板支持用溝部217eおよび基板支持用溝部217dは、複数の保持部材217aに跨る同心上に形成されている。また、基板支持用溝部217dは、ボート217の中心側および円周方向に臨んで開口している。
このような構成とすると、電極板201と基板との挿抜が可能となり、また、ボート217の軸芯に対して電極板201とウエハ200とを同心に配置することができる。
【0027】
電極板201には、位置決め部および通電部となるリード部220が一体に設けられる。偶数段の電極板201のリード部220aは、各電極板201の外周部から所定長さ半径方向外側に延びた後、各電極板201の円周方向に沿って所定長さ延びており、奇数段の電極板201のリード部220bも各電極板201の外周部から所定長さ半径方向外側に延びた後、各電極板201の円周方向に沿って所定長さ延びている。この場合、奇数段の電極板201のリード部220aと偶数段の電極板201のリード部220bとは、ボート217の円周方向において向きが反対となっている。
奇数段および偶数段の電極板201のリード部220a,220bの先端部および後端部には、それぞれ厚み方向に貫通する位置決め孔221が設けられる。奇数段の電極板201のリード部220aの先端部間および偶数段の電極板201のリード部220の先端部間に、電力供給機構として導電性材料から成る筒状のコマ(スペーサまたはカラーともいう)222aが介設される。また、奇数段の電極板201のリード部220bの後端部と偶数段の電極板201のリード部220aの後端部との間に誘電体からなる筒状のコマ222bが介設される。
ボート217の上方側から各リード部220a,220bの先端部の各位置決め孔221とコマ222aとに位置決め機構として第1位置決めピン224、第2位置決めピン225をそれぞれ挿入すると、奇数段の電極板201および偶数段の電極板201の勝手な回転が防止され、ボート217と同心に位置決めされる。
なお、リード部220a,220bに位置決め孔221を2以上とし、2本の第1位置決めピン224、第2位置決めピン225とコマ220aで奇数段の電極板、偶数段の電極板をそれぞれ位置決めするようにしてもよい。
【0028】
第1位置決めピン224、第2位置決めピン225およびこれらが挿入される各コマ222aは、各電極板201に交流電流を供給するために、導電性材料、例えば、メタル、Si、SiCで構成されている。そして、図6に示すように、第1位置決めピン224、第2位置決めピン225が挿入される各コマ222aは、石英、セラミック等の誘電材料からなるカバー227で覆われていて電極板201との放電を防止するようになっている。さらに、リード部220a,220bが石英、セラミック等の誘電材料からなるカバー240で覆われていて放電を防止するようになっている。
このため、電極棒を兼用する第1位置決めピン224、第2位置決めピン225に絶縁トランス12、整合器9、発信器8からなるプラズマ処理装置を接続し、偶数段の電極板201と奇数段の電極板201とにそれぞれ位相が180度異なる交流電力を供給しても、第1位置決めピン224、第2位置決めピン225と各電極板201との間の放電を防止することができる。
【0029】
さらに、図6に示すように、第1位置決めピン224、第2位置決めピン225の下部は、最下位置の電極板201のリード部220aよりも所定長さ下方に延びており、その外周面にナット228を螺入するための雄ねじ229が形成されている。また、第1位置決めピン224、第2位置決めピン225の上端にはナット状の頭部が一体に設けられている。
第1位置決めピン224および第2位置決めピン225の下部には、石英、セラミック等の誘電材料で構成された断面カップ状の放電防止部材230と、座板231とが挿入されると共に、座板231に着座する丸型などの接続端子232が挿入される。座板231は最下位置に配置されたコマ222aの下端面に接触して電気的に導通するようになっている。
座板231の挿入後、第1位置決めピン224および第2位置決めピン225の下部には、さらに、接続端子232に着座する第1座金233と、この第1座金233に着座されるスプリング234と、スプリング234に着座する第2座金235とが挿入され、この後、ナット228が螺入される。ナット228によりスプリング234のセットフォースを調節し、蓄積された弾性力で接続端子232、座板231、最下位置のコマ222aの下端面に押圧すると、これらが互いに偏りなく密着すると同時に、スプリング234、座板231および接続端子232が密着する。
したがって、常温(例えば、20℃)でナット228によるスプリング234のセットフォースを調節すると、処理の際の熱によって第1位置決めピン224、第2位置決めピン225にそれぞれ線膨張(熱膨張)が生じた場合でも、スプリング234の弾圧力が増加して接続端子232、座板231、各コマ222a間の導通と、スプリング234、座板231、接続端子232の導通とが保持される。
【0030】
以下、本発明の特徴である授受装置を、図9について詳細に説明する。
図9に示されるように、待機室126内におけるボート217の待機位置には、複数枚のウエハ200を一括してボート217に授受する授受装置50が設置されている。すなわち、授受装置50はボートエレベータ115のエレベータアーム128と、ウエハ移載機構125のウエハ移載装置125aとの交差線上に設置されている。
授受装置50は授受装置旋回部51を備えており、授受装置旋回部51はボートエレベータ115の真向かいに設置されている。授受装置旋回部51の軸受台52上には回転機構であるロータリーアクチュエータ53が水平に設置されている。ロータリーアクチュエータ53の回転軸54には回転台55が水平に固定されており、ロータリーアクチュエータ53は回転台55を水平面内で往復回動させる。
回転台55上には支柱56が垂直に立設されている。支柱56にはボート217外周を半分だけ取り囲む略半八角形枠形状の支持部57が複数個、垂直方向に等間隔に配置されて水平に支持されており、複数個の支持部57はボート217の電極板201と同数配置されている。ウエハ200を載置する際に、支持部57の中心はウエハ200の載置面の中心と略重なるようにそれぞれ載置する。
支持部57の内側面には3個のウエハ受け58、58、58が、周方向に等間隔に配置されて径方向内向きにそれぞれ突設されている。3個のウエハ受け58、58、58はボート217の3本の保持部材217a、217a、217aと干渉しない位置にそれぞれ配設されている。
【0031】
以上の構成に係る授受装置50の作用を、図10および図11について説明する。
【0032】
ボート217が待機室126に下降して来るまでは、授受装置50は支持部57をボートエレベータ115から離間した退避位置に退避させている(図9参照)。
図10(a)に示されているように、ボート217が下降して所定の位置に停止する。授受装置50は回転台55をロータリーアクチュエータ53によって旋回させることにより、図9に示されているように、支持部57をボート217に接近した位置に移動させる。
【0033】
この移動により、図9および図10(b)に示されているように、支柱56はボート217外周を半分だけ取り囲む状態になり、各段の支持部57に突設されたウエハ受け58は各段の電極板201の下方にそれぞれ位置した状態になる。
【0034】
続いて、授受装置50は支柱56を授受装置旋回部51によって上昇させることにより、図10(c)に示されているように、支持部57を1段分上昇させる。これにより、各段の支持部57のウエハ受け58は各段の電極板201上方かつ各ツイーザ125cの下方の位置にそれぞれ移動する。
【0035】
図10(d)に示されているように、ウエハ移載装置125aはウエハ200を保持したツイーザ125cを支柱56に向かって前進させて(図9参照)、ウエハ200を各ウエハ受け58の上方位置に搬送する。
【0036】
ウエハ移載機構125はウエハ移載装置エレベータ125bによって、図11(a)に示されているように、ツイーザ125cを支持部57の1段分だけ下降させる。これにより、ツイーザ125cのウエハ200は支持部57のウエハ受け58に乗り移る。
【0037】
図11(b)に示されているように、ウエハ移載装置125aはウエハ200をウエハ受け58に受け渡したツイーザ125cを支柱56から離間する方向に後退させる。
次いで、ウエハ移載機構125はウエハ移載装置125aをポッドオープナ121に移動させて、ポッド110から複数枚のウエハ200をピックアップし、授受装置50に搬送する。授受装置50において、ウエハ移載機構125は複数枚のウエハ200を前述した作動より、各支持部57のウエハ受け58に移載する。
ウエハ移載機構125は以上の作動を繰り返すことにより、全段の支持部57のウエハ受け58にウエハ200を移載する。
【0038】
全段の支持部57のウエハ受け58がウエハ200を保持すると、授受装置50は支柱56を授受装置旋回部51により、図11(c)に示されているように、支持部57を1段分だけ下降させる。これにより、各段の支持部57のウエハ受け58のウエハ200は各段の電極板201にそれぞれ乗り移る。
【0039】
以上の作動が完了すると、授受装置50は回転台55をロータリーアクチュエータ53によって旋回させることにより、図9に示されているように、支持部57をボート217から離間した退避位置に退避させる(図9参照)。
【0040】
支持部57が退避位置に移動すると、図11(d)に示されているように、ウエハ200が移載されたボート217は、ボートエレベータ115によって上昇されて、処理炉202の処理室1に搬入(ボートローディング)される。
なお、以上の各構成の動きは、コントローラ150が制御する。
【0041】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0042】
(1)授受装置の支持部を、支持部の中心がボートの中心と重なりボート外周を半分取り囲む形状に形成することにより、支持部を1軸を中心に旋回してボートに接近離反するように構成することができる。
【0043】
(2)授受装置の支持部を1軸を中心に旋回するように構成することにより、授受装置をボートエレベータの対向位置に配置することができるので、占拠床面積を減少することができる。
【0044】
(3)ウエハ受けを3箇所だけに配置することにより、ボートのウエハ接触箇所を最小限度に抑制することができるので、処理のウエハ面内均一性を向上させることができる。
【0045】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0046】
本発明に係るバッチ式プラズマ処理装置は、プラズマCVDやドライエッチング等のプラズマ処理全般に使用することができる。
【0047】
また、被処理基板はウエハに限らず、ホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施の形態に係る基板処理装置の斜透視図である。
【図2】本実施の形態に係る基板処理装置を側面から見た透視図である。
【図3】本実施形態に係る基板処理装置の基本構成を示す解説図である。
【図4】天井を取り除いた状態の基板処理装置の平面図である。
【図5】本実施の形態に係るボートの構造およびプラズマ処理装置の構成を示す。
【図6】本実施の形態に係る電極板の位置決と配線の構造を示す解説図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の基礎となる基板処理装置を示し、天井を取り除いた状態の基板処理装置の平面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の基礎となる基板処理装置を示し、本実施の形態に係る電極板の位置決め構造および配線構造を示す解説図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の授受装置を示す平面図である。
【図10】授受装置の作用を説明する各解説図である。
【図11】同じく授受装置の作用を説明する各解説図である。
【符号の説明】
【0049】
1…処理室、126…待機室、200…ウエハ(基板)、217…ボート、
50…授受装置、51…授受装置旋回部、52…軸受台、53…ロータリーアクチュエータ、54…回転軸、55…回転台、56…支柱、57…支持部、58…ウエハ受け。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を保持して、待機室と処理室との間を移動するボートと、
前記待機室に設置され、前記ボートに前記複数枚の基板を授受する授受装置と、
前記待機室に設置され、前記授受装置に前記基板を移載する移載装置と、
を備えており、
前記ボートは前記基板をそれぞれ載置する載置面を複数有し、
前記授受装置は前記載置面外周を取り囲む支持部を前記載置面と同数有し、
前記授受装置に前記基板を載置する際に、前記支持部の中心が前記載置面の中心と略重なるようにそれぞれ配置する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記授受装置は、回転機構を有し、前記回転機構より、前記支持部が前記載置面および退避部を旋回するように配置されることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−98222(P2010−98222A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269501(P2008−269501)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】